JP5652143B2 - フロン類バリア性に優れた樹脂製部品 - Google Patents
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エアコンや冷蔵庫用の冷媒を封入する部品部材としては金属が主に使われているが、軽量化等の目的で金属に代えて熱可塑性樹脂を使用したり、振動部分の破壊を防ぐために樹脂製ホースの使用などが検討されている。しかしながら、一般的な樹脂製部品用部材はフロン類に対するバリア性に劣り、大気中にフロン類が放出され、放出を防ぐためには部材厚みを厚くする必要があった。
このようなフロン類バリア性に関しては、特許文献1又は2にフロンガスバリア性に強いホース開示されているが、これらの文献に開示された方法ではフロン類バリア性が十分ではなかった。また、ホース以外の樹脂製部品にしたときの強度が十分ではなかった。
本発明においては、上記1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外のジアミン成分のうち、耐熱性を向上させる観点から、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましく用いられる。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸とセバシン酸とを組み合わせて使用することで耐熱性やガスバリア性、結晶性を任意にコントロールできる。結晶性を低下させたい場合、あるいは非晶状態とする場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は80/20〜30/70が好ましく、70/30〜40/60がより好ましい。ガスバリア性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。耐熱性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は60/40以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。
ポリアミドの重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。また、ポリアミド(A)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。
フロン類バリア性におけるフロン類としては、エアコンや冷蔵庫用冷媒として用いられるものが挙げられ、例えばクロロフルオロカーボンやフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等が例示できる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
ポリアミド(A)は、末端アミノ基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは5〜75μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/g、末端カルボキシル基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは10〜90μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/gのものが好適に用いられる。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、カルボジイミド化合物(C)との反応が容易になり、耐劣化性が良好となる傾向にある。
80℃、0%RHの雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じてフィルムのフロン類透過度を求め、フィルム厚みを考慮しフロン類透過係数(cc・mm/m2・day)を測定した。なお、フロン類としてはHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を用いた。なお、フロン類透過係数の値が低いほどフロン類バリア性が良好であることを示す。
島津社製DSC−60を用いて示差走査熱量測定(DSC)により求めた。測定条件としては、約5mgのサンプルを10℃/minの条件で昇温し、300℃に到達した時点で急冷し、再び10℃/minの条件で昇温して行った。
東ソー社製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値を求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/l溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃にて測定した。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成した。
(ポリアミド(A1)の合成)
反応缶内でアジピン酸(ローディア製)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学(株)製)をアジピン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A1)を得た。なお、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体/トランス体比を、74/26に調整したものを用いた。ポリアミド(A1)の融点は230℃、ガラス転移点は103℃、数平均分子量は30000であった。
(ポリアミド(A2)の合成)
アジピン酸の代わりにセバシン酸(伊藤製油製TAグレード)を用いた以外は製造例1と同様にして、ポリアミド(A2)を合成した。ポリアミド(A2)の融点は181℃、ガラス転移点は84℃、数平均分子量は30000であった。
(ポリアミド(A3)の合成)
セバシン酸の代わりに、セバシン酸とアジピン酸のモル比が4:6の混合ジカルボン酸を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド(A3)を合成した。ポリアミド(A3)の融点は135℃、ガラス転移点は98℃、数平均分子量は35000であった。
製造例1および製造例2で製造した、ポリアミド(A1)および(A2)を1:1の重量比でタンブラー中でドライブレンドして混合ポリアミドを得た。
ポリアミド(A1)を、30mmφのスクリューとTダイを備える二軸押出機にて押出成形し、50μm厚のフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
ポリアミド(A)を表1記載のものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)95.5質量%と、日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1を0.5質量%とをドライブレンドし、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。また得られたフィルムを100℃で24hr煮沸処理したが、フィルムの機械物性が低下することは無く、バリア性も処理前と同等であった。
・A1:製造例1で得られたポリアミド(A1)
・A2:製造例2で得られたポリアミド(A2)
・A3:製造例3で得られたポリアミド(A3)
Claims (10)
- 1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを30モル%以上含むジアミン成分と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、フロン類を封入するために用いるフロン類バリア性に優れた樹脂製部品。
- ポリアミド(A)のガラス転移点Tgが80〜120℃である請求項1に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)の80℃、0%RHにおける1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC-134a)透過係数が1cc・mm/m2・day・atm以下である請求項1または2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸とセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドと、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドの混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)を、ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1〜2質量部含有する請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物である請求項8記載の樹脂製部品。
- ホース、チューブ、フィルム、コネクタ、ジョイント、ガスケット、パッキン、及びシール部品から選ばれる請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂製部品。
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