JP3575221B2 - ポリアミドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定のジカルボン酸を1成分とする新規なポリアミドに関する。さらに詳しくは、側鎖に直鎖ブチル基を有する1,6−デカンジカルボン酸と各種ジアミンを主たる成分とする新規なアモルファス性ポリアミドとその製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
ポリアミドは炭素ー炭素結合とアミド基からなる直鎖状の主鎖骨格とアミド基間の水素結合からなる構造をもつ結晶性のポリマーである。結晶化度の高いポリアミドは剛性、耐摩耗性、耐熱性、耐油性、耐溶剤性、ガスバリヤー性などが優れており、繊維、フィルム、自動車部品や電気・電子製品の部品などの用途に広く使用されている。一方、結晶化度が低いあるいは結晶化速度が極端に遅く、実質的にほとんど結晶性を示さないポリアミドはアモルファス性ポリアミドと呼ばれ、透明性や溶剤への溶解性などが優れており、透明性を生かして繊維、フィルム、成形品の用途に、溶剤への溶解性を生かして接着剤などの用途に使用されている。
【0003】
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12のような結晶性ポリアミドは室温では硫酸、蟻酸、フェノール、クレゾール、ヘキサフルオロイソプロパノールのような特定の酸性溶剤にしか溶解せず、メタノールやエタノールのような低級アルコールやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような非プロトン性の有機溶剤にはほとんど溶解しない。そのため、ポリアミドを溶液状態で取扱うことが難しく、化学修飾反応などによるポリアミドの改質、改良を困難なものにしている。また、結晶化度が高い場合、ポリアミドのアミド基と他材料の水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基などとの水素結合などによる相互作用が阻害されたり、アミド基の金属イオンに対する配位能が低下したりする。そのため、アミド基が本来持っている極性を利用した機能材料分野への展開が困難なものとなっている。市場ニーズの高度化に伴い、ポリアミドの本来の特性を利用した機能材料としての用途展開が期待されており、結晶化をできるだけ抑えたアモルファス性ポリアミドに対する要求は高くなっている。
【0004】
従来、アモルファス性ポリアミドを得るため、結晶化がほとんど起こらない、あるいは結晶化を遅くする方法として、側鎖や環構造を有するポリアミドやコポリアミドの研究が行われている。これらの成果は種々の透明性ポリアミドとして提案されている。例えば、特公昭49−21115号公報ではテレフタル酸ジメチルとトリメチルヘキサンメチレンジアミンとからなる透明性のポリアミドが提案されている。このポリアミドは結晶化が遅く、透明性は優れているが、低級アルコールなどへの溶解性は低い。
【0005】
ベンゼンやシクロヘキサンの1,3位にアミド結合を持つポリアミドは透明でアモルファス性ポリアミドとなることが知られている。例えば、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるポリアミドや1,3ービスアミノメチルシクロヘキサンとアジピン酸とからなるポリアミドなどがある。これらのポリアミドは製造後は外観上、透明であるが、90〜98℃での熱水浸漬処理(以下「熱水処理」と略記する)や室温でのメタノール浸漬処理により、容易に結晶化が進み透明性が失われる。また、これらは低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤への溶解性は低い。
【0006】
ナイロン6、ナイロン66および/あるいはナイロン12を共重合したコポリアミドはアモルファス性ポリアミドになることが知られている。しかし、このコポリアミドのほとんどは示差走査熱量計(以下「DSC」と略記する)測定で結晶に基づく吸熱ピークを示す。また、製造後、外観上は透明であっても、熱水処理で容易に結晶化が進み、透明性を失う。また、非プロトン性の有機溶剤への溶解性は低い。
【0007】
特開昭49−36959号公報ではヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸からなるポリアミドとヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸とからなるポリアミドとを特定割合で共重合することにより、透明なコポリアミドを得ることが提案されている。このコポリアミドは熱水処理により容易に結晶化して、透明性を失う。また、低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤への溶解性は低い。
【0008】
さらに、特開平5−310923号公報にはヘキサメチレンジアミンおよび2,6−ナフタレンジカルボン酸からなるポリアミドとカプロラクタムからなるポリアミドとのコポリアミドが、特開平6−65371号公報ではヘキサメチレンジアミンおよび2,6−ナフタレンジカルボン酸からなるポリアミドとヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸とからなるポリアミドとのコポリアミドが、透明性ポリアミドとして提案されている。これらは、製造後、外観上は透明に見えるが、熱水処理をするまでもなく、製造後のコポリアミドのDSC測定や動的固体粘弾性測定から結晶に基づく吸熱ピークや弾性率の変化が確認でき、結晶化していることがわかる。また、これらのコポリアミドは低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤に対する溶解性は低い。
以上のように、従来、提案されているアモルファス性ポリアミドは、ナイロン6などに比べると結晶化は遅いが、熱水処理で容易に結晶化して透明性を失なったり、低級アルコールや非プロトン性溶剤への溶解性がほとんど見られない材料であった。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は結晶化が遅くて、透明性に優れ、かつ、メタノールやエタノールのような低級アルコールやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような非プロトン性の有機溶剤への溶解性を有する新規なアモルファス性ポリアミドおよびその製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アモルファス性ポリアミドおよびその製造方法の確立を目的として、ポリアミド分子鎖のアミド基間の水素結合相互作用を阻害する新規の方法について鋭意研究を重ねた。その結果、特定長さの分岐を有するジカルボン酸を1成分とするポリアミドは熱水処理で容易に結晶化せず、透明性を保持することや低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤に溶解することを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(A)ジカルボン酸成分中の50〜100重量%が1,6−デカンジカルボン酸であるジカルボン酸成分から誘導される単位、
(B)ジアミン成分から誘導される単位および、
(C)全体量の0〜50重量%が脂肪族アミノカルボン酸成分から誘導される単位および/あるいはラクタム成分から誘導される単位
からなるポリアミドである。
【0012】
本発明における第2の発明は、
上記のポリアミドにおいて、第一段階の重合で数平均分子量が800〜5,000の範囲にあるポリアミドプレポリマーを製造し、第二段階の重合で該ポリアミドプレポリマーを高分子量化して、数平均分子量を7,000〜50,000の範囲とする上記のポリアミドの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の1,6−デカンジカルボン酸はシクロヘキサンの酸化分解や7−シアノウンデカン酸などを原料とする方法などで製造されたものが使用できる。特定量の1,6−デカンジカルボン酸を構成成分とするポリアミドが本発明の目的を達成することを見出したことは、本発明の特徴の一つである。このことは、1,6−デカンジカルボン酸がポリアミドのアミド基間の水素結合相互作用を有効に阻害していることを示唆している。また、1,6−デカンジカルボン酸は重合反応性や熱的安定性が良好で、ポリアミドの原料に適したジカルボン酸であることを見出したことも本発明の特徴の一つである。
【0014】
本発明で使用するジカルボン酸成分中の1,6−デカンジカルボン酸の割合は50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%である。1,6−デカンジカルボン酸の割合が50重量%未満の場合は製造直後あるいは成形直後のポリアミドの透明性が悪かったり、また、外観上透明な状態で得られた場合でも、熱水処理で容易に不透明となることがあり、また、低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤への溶解性が低くなるので、好ましくない。
【0015】
本発明で使用する1,6−デカンジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、公知の脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸をいずれも使用することができる。具体例としては、ブタンジオン酸、ペンタンジオン酸、ヘキサンジオン酸、オクタンジオン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および1,4−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独でも、あるいは2種類以上を適宜組合わせても使用することができる。これらの中では、ブタンジオン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸およびイソフタル酸は取扱が容易で、重合反応性が良好であり、好ましく使用できる。
【0016】
本発明で使用するジアミンとしては、公知のジアミン、例えば、炭素数が4から12の脂肪族アルキレンジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなどがある。炭素数が4から12の脂肪族アルキレンジアミンの具体例としては、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノノナン、1,11−ジアミノウンデカン,1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノトリデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、2,2,4−,2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中では、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサンおよび2,2,4−,2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは取扱が容易で、重合反応性が良好であり、好ましく使用できる。
【0017】
脂環族ジアミンとしては、シクロヘキサン環を含むジアミンであればいずれも使用することができる。具体例としては、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。
【0018】
芳香族ジアミンとしては、芳香環を含むジアミンであればいずれも使用することができる。具体例としては、パラキシレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンおよび4,4´−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。これらの中では、パラキシレンジアミンおよびメタキシレンジアミンは取扱が容易で、重合反応性が良好であり、好ましく使用できる。
これらの脂肪族アルキレンジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンは単独でも、あるいは2種類以上を適宜組合わせても使用することができる。
【0019】
本発明のポリアミド製造にあたって1,6−デカンジカルボン酸を50〜100重量%含むジカルボン酸とジアミンはそのまま使用しても良いし、また、ジカルボン酸とジアミンとを水あるいは熱水中に溶解混合して、pH調整を行うことにより合成したナイロン塩として使用しても良い。ジカルボン酸とジアミンとは一般的にはモル比で100/95〜100/105の範囲、好ましくは100/99〜100/101の範囲の割合で使用される。過度にこの範囲を外れると目標とする数平均分子量(以下「Mn」と略記する)のポリアミドを得ることが難しくなる。尚、数平均分子量は得たポリアミドの末端アミノ基濃度と末端カルボキシ基濃度の平均値の逆数から求められる値である。
【0020】
本発明で使用する脂肪族アミノカルボン酸の具体例としては、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンデカン酸およびε−アミノドデカン酸などが挙げられる。また、ラクタムとしては炭素数が4〜12の環状アミド化合物であり、具体例としてはε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ドデカラクタム、α−ピロリドン、δ−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの脂肪族アミノカルボン酸やラクタムは単独でも、あるいは2種類以上を適宜組合わせても使用することができる。この中では、ε−アミノカプロン酸、ε−アミノドデカン酸およびε−カプロラクタムは取扱が容易で、重合反応性が良好であり、好ましく使用できる。
【0021】
脂肪族アミノカルボン酸やラクタムの使用量は製造するポリアミドの全体量に対して0〜50重量%の範囲である。使用量が50重量%より多い場合、製造直後や成形直後のポリアミドの透明性が悪くなったり、また、外観上は透明な状態で製造できた場合でも、熱水処理により容易に結晶化が起り、不透明となることがあるため、好ましくない。また、低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤への溶解性が低くなることがあるため、好ましくない。
【0022】
本発明のポリアミドの製造は、公知のポリアミドの製造装置を用いることができる。製造時の重合方法としては溶融重合や溶液重合などの公知の方法を用いることができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることもできる。一般的には、溶融重合が簡便であり好ましく採用される。
【0023】
重合方法は回分式でも、連続式でも実施できる。使用する装置としては、バッチ式反応釜、1槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、1軸型混練押出機、2軸型混練押出機および多軸型混練押出機などの混練反応押出機および特公平4−32096号公報に開示されている横型第2重合槽など公知の重合反応装置が使用できる。重合反応は反応混合物をできるだけ均一な状態で行うことが望ましく、この点から撹拌効率の良い重合装置を使用することが望ましい。
【0024】
本発明のポリアミドの製造は、原料である1,6−デカンジカルボン酸を50〜100重量%含むジカルボン酸、ジアミンおよび必要に応じて脂肪族アミノカルボン酸、ラクタムをそのまま、あるいはこれらに水を加えて重合槽に入れ、第一段階の重合でMn800〜5,000のポリアミドプレポリマー(以下「プレポリマー」と略記する)をつくり、第二段階の重合で該プレポリマーを高重合化してMn7,000〜50,000とすることにより行われる。
【0025】
本発明で水を使用する場合、水としてイオン交換水などの純水や蒸留水を使用しても良いが、これらの水を使用直前に沸騰させて水中に溶存している酸素を取除いた脱気水を使用することが好ましい。水の使用量は原料の合計量100重量部に対して一般的には1〜150重量部の範囲、好ましくは5〜100重量部の範囲である。水の使用量が過度に少なくなると、重合反応物の溶融粘度が高くなったり、重合反応時にプレポリマーが析出することがある。また、水の使用量が多くなると、得られるプレポリマーの数平均分子量が小さくなり易く、第二段階での重合時間が長くなったり、末端基のアミノ基濃度とカルボキシル基濃度のバランスが悪くなったりする。
【0026】
プレポリマーを重合する第一段階の重合温度は一般的には160〜320℃、好ましくは180〜280℃、より好ましくは180〜230℃の範囲である。重合温度が低い場合は重合速度が遅くなり、重合時間が長くなる。また、重合温度が高い場合は、副反応や熱分解反応が起こり易くなり、得られるプレポリマーが着色したり、ゲル化したりする。
【0027】
第一段階の重合圧力は常圧あるいは加圧であり、一般的には0〜50kgf/cmGの範囲、好ましくは0〜30kgf/cmGの範囲である。重合圧力が常圧より低い場合、原料、特にジアミン成分が蒸発により重合系外に飛散することがあり、この場合、ジカルボン酸とのモルバランスが崩れ、目的とするMnのプレポリマーを得ることが難しくなる。重合圧力が高い場合、得られるプレポリマーのMnが小さくなり易く、第二段階の重合時間が長くなったり、末端基のアミノ基濃度とカルボキシル基濃度のバランスが悪くなったりすることがある。重合槽内の圧力は重合温度と原料に添加した水および重合(縮合)反応で生じた水の量で決まる。重合圧力の調節は重合槽に直結された圧力調節弁などにより行われる。
【0028】
第一段階の重合時間は重合温度、重合圧力により変わる。通常、5分〜10時間の範囲、好ましくは10分〜7時間の範囲、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。重合時間が過度に短い場合、十分に重合が進まず、プレポリマーの数平均分子量が低くなる。また、重合時間が長い場合、副反応や熱分解反応が起こり易くなり、得られるプレポリマーが着色したり、ゲル化したりすることがある。
【0029】
第一段階の重合反応で得られるプレポリマーのMnは800〜5,000の範囲、好ましくは1000〜4,000の範囲である。プレポリマーのMnが800未満の場合、第二段階での重合時間が長くなったり、末端基のアミノ基濃度とカルボキシル基濃度のバランスが悪くなり、目的のMnのポリアミドを得ることが難しくなるので、好ましくない。また、5,000を越える場合は、重合反応混合物の溶融粘度が高くなり、重合反応が不均一な状態となるため、好ましくない。
【0030】
第二段階の重合温度は一般的に第一段階と同一あるいはそれ以上である。通常は、180〜320℃の温度範囲、好ましくは200〜300℃の温度範囲、より好ましくは230〜280℃の温度範囲である。重合温度が低い場合、重合速度が遅くなり、重合時間が長くなったり、目的のMnのポリアミドを得ることが難しくなる。また、重合温度が高い場合、副反応や熱分解反応が起こり易くなり、得られるポリアミドが着色したり、ゲル化したりすることがある。
【0031】
第二段階の重合圧力は常圧あるいは減圧であり、一般的には10〜760mmHgの範囲である。圧力が常圧より高い場合、プレポリマー中に含まれる水およびプレポリマーの重合(縮合)反応により副生する水を重合反応の系外に排気することが難しく、プレポリマーの高分子量化が困難となる。重合圧力が過度に低い場合、排気のための減圧設備に多大のコストがかかるようになる。
【0032】
重合圧力を減圧する場合、第二段階の重合装置に少なくとも1個のベント口を設け、該ベント口をナッシュポンプ、メカニカルブースター、スチームエゼクターなど公知の真空設備に接続して強制的に排気する方法により行われる。
【0033】
第二段階での重合時間は、使用する重合装置、重合温度、重合圧力により異なるが、通常、1分〜10時間の範囲である。
以上の条件で製造される本発明のポリアミドのMnは7,000〜50,000の範囲、好ましくは10,000〜30,000の範囲である。
Mnが7,000未満の場合、強度などの実用的性質が低く、実用に適したポリアミドが得られなくなるため、好ましくない。また、Mnが50,000を越える場合、溶融時の粘度が高くなり溶融成形が困難となるため、好ましくない。
【0034】
本発明の方法において、第一段階または第二段階の重合の際、必要ならば重合促進剤および重合時の劣化防止のために、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸ならびにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはエステルなどのリン系化合物を添加することができる。これらリン系化合物の添加量は、通常、得ようとするポリアミドに対して50〜3、000ppmの範囲の量が好ましく用いられる。添加量がこの範囲をはずれた場合、重合速度が低下したり、得られるポリアミドが着色したり、ゲル化したりするので、好ましくない。
【0035】
また、得られるポリアミドの分子量調節および成形加工時の溶融粘度安定化を目的に、必要ならば、第一段階または第二段階の重合の際に、アミンやカルボン酸などを分子量調節剤として添加することができる。添加するアミンやカルボン酸としては、一官能および/または二官能のものであれば特に制限はなく、例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ベンジルアミンなどのモノアミン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノノナン、1,11−ジアミノウンデカン,1,12−ジアミノドデカン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどのジアミン、酢酸、安息香酸、ラウリン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸およびブタンジオン酸、ペンタンジオン酸、ヘキサンジオン酸、オクタンジオン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸が好適なものとして挙げられる。
これらの分子量調節剤の添加量は、用いる分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドのMnが7,000〜50,000の範囲になるように、適宜決められる。
【0036】
さらに、本発明のポリアミドは、第一段階または第二段階の重合の際、必要に応じて、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、アンチブロッキング剤などポリマーの物性を損なわない範囲で添加することもできる。
【0037】
本発明のポリアミドは、透明性を要求される繊維、フィルム、成形品やアミド基の有する極性や低級アルコールや非プロトン性の有機溶剤への溶解性を生かし、接着剤や機能性ポリアミド用の原料などの用途に利用できる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の効果を具体的に説明する。尚、実施例および比較例中に示した測定値は以下の方法で測定した。
【0039】
1)相対粘度
JIS K6810に準じ、98重量%の濃硫酸を溶媒として、1重量/容量%のポリマー濃度で、ウベローデ粘度計を用い、25℃の温度で測定した。
【0040】
2)末端アミノ基濃度
約1gのポリマーをフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)40ml に溶解し、この試料溶液を、チモールブルーを指示薬として、N/20塩酸で滴定した。
【0041】
3)末端カルボキシル基濃度
約1gのポリマーに40ml のベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気下で加熱溶解して得た試料溶液を、フェノールフタレインを指示薬として、N/20水酸化カリウムーエタノール溶液で滴定した。
【0042】
4)数平均分子量
末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の平均値の逆数として求めた。
【0043】
5)ガラス転移温度
40℃で72時間減圧乾燥したものを試料として、(株)島津製作所製DSC(DSC−50型)を用い、昇温速度10℃/分、ヘリウムガス雰囲気下で測定した。なお、測定試料は液体窒素により、−50℃まで冷却したものを用い、昇温曲線の変曲点をガラス転移温度とした。
【0044】
6)融点
40℃で72時間減圧乾燥したものを試料として、(株)島津製作所製DSC(DSC−50型)を用い、昇温速度10℃/分、窒素ガス雰囲気下で測定し、吸熱ピーク温度を融点とした。
【0045】
7)結晶化の評価
40℃で48時間減圧乾燥した試料約3gを90〜98℃の熱水約50cc中に入れ、同温度に維持して、試料が白濁する時間を目視で観察し、以下の基準で判断した。
1時間以上白濁しない場合 :結晶化は非常に遅い。
30分〜1時間未満の間に白濁した場合:結晶化は遅い。
0〜30分未満の間に白濁した場合 :結晶化は容易。
熱水処理を行う以前に白濁している場合:結晶化は速い。
【0046】
8)動的粘弾性測定
レオメトリックス社製動的粘弾性測定装置RSAII用い、熱プレス法で成形したフィルムを測定試料として、動的粘弾性の温度分散スペクトルを以下の条件で測定した。
測定モード:引張、周波数:62.7998rad/sec(10Hz)
温度範囲:−150〜250℃、昇温ステップ:3℃、歪み:0.05%
試料フィルムの寸法:幅 5mm、長さ 35mm、厚み 0.03mm
フィルム作成条件:
本発明のポリアミドは、市販の熱プレス成形装置を用い、温度180℃、圧力50kgf/cmG、保持時間2.5分の条件で作成した。比較例のポリアミドは、市販の熱プレス成形装置を用い、温度260℃、圧力100kgf/cmG、保持時間2.5分の条件で作成した。
【0047】
9)溶解性の評価
試料ポリマー1.5gにメタノールあるいはN,N−ジメチルアセトアミドを50ml 加え、攪拌下に室温で24時間保持した後、以下の基準で目視判定を行った。
○:溶解(透明で濁りがない)、×:溶解せず
【0048】
実施例1
高純度交換水を沸騰させて得た50℃の脱気水371.4gに1,6−デカンジカルボン酸200gを分散し、窒素ガス雰囲気下に攪拌しながら、1,6−ジアミノヘキサンの35重量%の水溶液を添加し、pH8.12となった時点で添加を中止して、1,6−ジアミノヘキサンと1,6−デカンジカルボン酸からなるナイロン塩(以下「6D塩」と略記する)の約35重量%水溶液を得た。この水溶液を約75重量%に濃縮し、6D塩水溶液278g(6D塩として0.602mol)を撹拌機、温度計、圧力計、窒素導入口、放圧口および重合物取出口を備えた容量1l の圧力容器に入れた。この圧力容器を十分に窒素置換した後、攪拌下密閉状態で昇温し、温度220℃、圧力16kgf/cmGで3時間重合させプレポリマーを得た。数平均分子量測定用のプレポリマー数gを採取した。プレポリマーの数平均分子量Mnは2300であった。その後、圧力容器内の圧力を16kgf/cmGに保ちながら、270℃まで1時間かけて昇温し、続いて、同温度で圧力容器内の圧力を30分かけて放圧し、常圧にした。常圧で、該圧力容器内に200ml /minの流量で窒素ガスを流しながら、270℃、760mmHgで2時間重合させた。その後、攪拌を止め、生成したポリアミドを圧力容器底部の重合物取出口からひも状に取出し、直ちに水槽で冷却した後、ペレタイザーで円柱状のポリアミドチップとした。このポリアミドチップを40℃で72時間真空乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また得たポリアミドのDSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリアミドの相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0049】
実施例2
撹拌機および窒素導入口を備えた容量100ml のガラス容器に、メタキシリレンジアミン6.829g(0.0501mol)と1,6−デカンジカルボン酸11.530g(0.0501mol)を入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml /minの窒素ガスを流しながら190℃で2時間重合を行った後、280℃まで1時間かけて昇温し、続いて、280℃で4時間重合を行った。攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。その後、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、40℃で72時間減圧で乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、得たポリアミドのDSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリアミドの相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0050】
比較例1
1,6−デカンジカルボン酸の代わりにオクタンジオン酸8.718g(0.0501mol)を使用した以外は実施例2と同様の方法で実施した。得たポリアミドは白濁しており、不透明であった。また、DSC測定では融点が観察された。このことは得たポリアミドの結晶化が速いことを示している。得たポリアミドの相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、数平均分子量、ガラス転移温度、融点および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0051】
比較例2
撹拌機および窒素導入口を備えた容量100ml のガラス容器に、1,6−ジアミノヘキサン8.236g(0.071mol)、テレフタル酸3.486(0.021mol)およびイソフタル酸8.30g(0.050mol)を入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml/minの窒素ガスを流しながら210℃で2時間重合を行った後、300℃まで1時間かけて昇温し、続いて、300℃で5時間重合を行った。攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。その後、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、40℃で72時間減圧で乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたところ、約10分で白濁が始まり、不透明となった。このことは重合直後の結晶化度は低いが、結晶化は容易なことを示している。また、メタノールやN,N−ジメチルアセトアミドへの溶解性はほとんど見られなかった。
【0052】
実施例3
撹拌機および窒素導入口を備えた容量160ml のガラス容器に、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン15.419g(0.1084mol)と1,6−デカンジカルボン酸24.934g(0.1084mol)を入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml /minの窒素ガスを流しながら200℃で2時間重合を行った。この重合反応で得たプレポリマーの数平均分子量を測定するため、約0.5gを採取した後、280℃まで1時間かけて昇温し、続いて、280℃で3時間重合を行った。攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。その後、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、40℃で72時間減圧で乾燥した。プレポリマーの数平均分子量は2800であった。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、DSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリアミドの相対粘度、アミノ基末端濃度、カルボキシル基末端濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0053】
実施例4
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンと1,6−デカンジカルボン酸の代わりに、2,2,4−,2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン16.420g(0.1037mol)と1,6−デカンジカルボン酸23.835g(0.1034mol)を使用した以外は実施例3と同様の方法で実施した。プレポリマーの数平均分子量は3200であった。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、DSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリマーの相対粘度、アミノ基末端濃度、カルボキシル基末端濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0054】
実施例5
撹拌機および窒素導入口を備えた容量160ml のガラス容器に、パラキシリレンジアミン14.923g(0.1097mol)と1,6−デカンジカルボン酸25.149g(0.1092mol)を入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml /minの窒素ガスを流しながら200℃で2時間重合を行った後、260℃まで1時間かけて昇温し、続いて、260℃で1時間重合を行った。さらに、280℃まで30分かけて昇温し、続いて、280℃で3時間重合を行った。攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。その後、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、40℃で72時間減圧で乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、得たポリアミドのDSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリアミドの相対粘度、アミノ基末端濃度、カルボキシル基末端濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価を表1に示した。
【0055】
実施例6
撹拌機および窒素導入口を備えた容量160ml のガラス容器に、ドデカメチレンジアミン7.441g(0.372mol)と1,6−デカンジカルボン酸8.557g(0.0372mol)及びωーアミノドデカン酸4.000g(0.0186g)を入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml /minの窒素ガスを流しながら200℃で1時間重合を行った後、280℃まで1時間かけて昇温し、続いて、280℃で4時間重合を行った。その後、攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。その後、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、30℃で72時間減圧で乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、得たポリアミドのDSC測定や動的粘弾性測定でも、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察されなかった。得たポリアミドの相対粘度、アミノ基末端濃度、カルボキシル基末端濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価を表1に示した。
【0056】
比較例3
ドデカメチレンジアミン、1,6−デカンジカルボン酸、ωーアミノドデカン酸の使用量をそれぞれドデカメチレンジアミンは3.721g(0.0186mol)、1,6−デカンジカルボン酸は4.280g(0.0186mol)およびωーアミノドデカン酸は12.000g(0.0558mol)に代えた以外は実施例6と同様の方法で実施した。得たポリアミドは一部白濁していた。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をした。約18分で全体が白濁し、不透明となった。このポリアミドは結晶化が容易であった。また、メタノールやN,N−ジメチルアセトアミドへの溶解性はほとんど見られなかった。
【0057】
実施例7
撹拌機および窒素導入口を備えた容量160ml のガラス容器に、1,6−ジアミノヘキサン10.180g(0.0877mol)、1,6−デカンジカルボン酸16.196g(0.0702mol)、デカンジオン酸3.535g(0.0175mol)および次亜リン酸ナトリウム0.03gを入れた。このガラス容器内を十分に窒素置換した後、熱媒浴に漬け、攪拌下に50ml /minの窒素ガスを流しながら190℃で2時間重合を行った。その後、260℃まで1時間かけて昇温し、続いて、260℃で4時間重合を行った。攪拌を止め、ガラス容器を熱媒浴から取出し、窒素ガスを流しながら室温まで自然冷却した。次いで、このガラス容器を割ってポリアミドを取出し、粉砕してから、40℃で72時間減圧で乾燥した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃ので熱水処理をした。1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅い物であった。また、メタノールやN,N−ジメチルアセトアミドにはほぼ溶解した。
【0058】
実施例8
1,6−デカンジカルボン酸およびデカンジオン酸の使用量をそれぞれ1,6−デカンジカルボン酸は12.136(0.0526mol)に、デカンジオン酸は7.091(0.0351mol)に代えた以外は実施例7と同様の方法で実施した。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃ので熱水処理をした。約43分後に白濁が始まり、徐々に不透明となった。このポリアミドは結晶化が遅いものであった。
【0059】
実施例9
実施例1と同様の方法で得た6D塩の75重量%水溶液360g(6D塩として0.780mol)およびε−カプロラクタム30g(0.265mol)を撹拌機、温度計、圧力計、窒素導入口、放圧口、減圧口および重合物取出口を備えた容量1l の圧力容器に入れた。この圧力容器内を十分に窒素置換した後、攪拌下密閉状態で昇温し、温度220℃、圧力17kgf/cmGの条件でで4時間重合を行った。この重合反応で得たプレポリマーの数平均分子量を測定するため、数gを採取した。次いで、圧力容器内の圧力を17kgf/cmGに保ちながら、275℃まで1時間かけて昇温し、続いて、温度を維持しながら、30分かけて常圧まで放圧した。その後、減圧して圧力容器内の圧力を500mmHgに維持したままで、275℃で2時間重合を行った。その後、攪拌を止め、窒素ガスで常圧に戻した後、生成したポリマーを圧力容器底部の重合物取出口からひも状に取出し、直ちに水槽で冷却した後、ペレタイザーで円柱状ポリアミドチップにした。このポリアミドチップを40℃、72時間減圧で乾燥した。
プレポリマーの数平均分子量は2400であった。得たポリアミドは無色透明であった。このポリアミドを90〜98℃で熱水処理をしたが、1時間後も透明なままであり、結晶化は非常に遅いものであった。また、得たポリアミドのDSC測定や動的粘弾性測定では、結晶に基づく融解ピークや温度分散スペクトルは観察され無かった。得たポリマーの相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、数平均分子量、ガラス転移温度および溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0060】
【表1】
Figure 0003575221
【0061】
【発明の効果】
本発明は1,6−デカンジカルボン酸を必須成分とする新規なポリアミドとその製造方法である。得られるポリアミドは熱水処理で容易に白濁せず、透明性に優れており、また、低級アルコールや非プロトン性溶剤への溶解性を有するなどの特徴がある。

Claims (2)

  1. (A)ジカルボン酸成分中の50〜100重量%が1,6−デカンジカルボン酸であるジカルボン酸成分から誘導される単位、
    (B)ジアミン成分から誘導される単位および、
    (C)全体量に対して0〜50重量%の脂肪族アミノカルボン酸成分から誘導される単位および/あるいはラクタム成分から誘導される単位
    から構成されるポリアミド。
  2. 第一段階の重合で数平均分子量が800〜5,000の範囲にあるポリアミドプレポリマーを製造し、第二段階の重合で高分子量化して、数平均分子量を7,000〜50,000の範囲とすることを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。
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