JP5685929B2 - 炭化水素系冷媒バリア性に優れた樹脂製部品 - Google Patents
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Description
エアコンや冷蔵庫用の冷媒を封入する部品部材としては金属が主に使われているが、軽量化等の目的で金属に代えて熱可塑性樹脂を使用したり、振動部分の破壊を防ぐために樹脂製ホースの使用などが検討されている。例えば、特許文献1には、HFC134aをバリアする技術として、ポリアミド系複合樹脂を内層とするホースが提案されている。しかしながら、一般的な樹脂製部品用部材は炭化水素系冷媒に対するバリア性に劣り、大気中に炭化水素系冷媒が放出され、放出を防ぐためには部材厚みを厚くする必要があった。
本発明においては、上記メタキシリレンジアミン以外のジアミン成分のうち、ポリアミドの結晶化速度を向上させる観点、融点を向上させポリアミド耐熱性を向上させる観点、ポリアミドの吸水時の寸法安定性を向上させる観点から、パラキシリレンジアミンが好ましく用いられる。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸とセバシン酸とを組み合わせて使用することで耐熱性やガスバリア性、結晶性を任意にコントロールできる。結晶性を低下させたい場合、あるいは非晶状態とする場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は80/20〜30/70が好ましく、70/30〜40/60がより好ましい。ガスバリア性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。耐熱性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は60/40以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。
本発明において、「主として」とは、ポリアミドを構成する記載されたジアミンあるいはジカルボン酸成分がそれぞれ95モル%以上含まれることを意味する。
ポリアミドの重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。また、ポリアミド(A)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。
炭化水素系冷媒バリア性における炭化水素系冷媒としては、エアコンや冷蔵庫用冷媒として用いられるものが挙げられ、炭素数1〜5程度の炭化水素が好ましく、例えば、イソブタン、ブタン等が例示できる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
ポリアミド(A)は、末端アミノ基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは5〜75μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/g、末端カルボキシル基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは10〜90μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/gのものが好適に用いられる。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、カルボジイミド化合物(C)との反応が容易になり、耐劣化性が良好となる傾向にある。
80℃、0%RHの雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じてフィルムのイソブタン透過度を求め、フィルム厚みを考慮し炭化水素系冷媒透過係数(cc・mm/m2・day)を測定した。なお、炭化水素系冷媒としてはイソブタンを用いた。なお、炭化水素系冷媒透過係数の値が低いほど炭化水素系冷媒バリア性が良好であることを示す。
島津社製DSC−60を用いて示差走査熱量測定(DSC)により求めた。測定条件としては、約5mgのサンプルを10℃/minの条件で昇温し、300℃に到達した時点で急冷し、再び10℃/minの条件で昇温して行った。
東ソー社製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値を求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/l溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃にて測定した。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成した。
(ポリアミド(A1)の合成)
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油製TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A1)を得た。
ポリアミド(A1)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30000であった。曲げ弾性率は、3.24GPaであった。
(ポリアミド(A2)の合成)
アジピン酸(ローディア製)を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とメタキシリレンジアミンのモル比が3:7の混合ジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド(A2)を得た。ポリアミド(A2)の融点は258℃、ガラス転移点は89℃、数平均分子量は25000であった。曲げ弾性率は、4.14GPaであった。
(ポリアミド(A3)の合成)
アジピン酸の代わりにセバシン酸を用いた以外は製造例2と同様にして、ポリアミド(A3)を合成した。ポリアミド(A3)の融点は215℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は19000であった。曲げ弾性率は、3.10GPaであった。
(ポリアミド(A4)の合成)
アジピン酸とイソフタル酸(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)のモル比が9:1の混合ジカルボン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A4)を得た。ポリアミド(A4)の融点は226℃、ガラス転移点は94℃、数平均分子量は48000であった。曲げ弾性率は、4.50GPaであった。
アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)を、30mmφのスクリューとTダイを備える二軸押出機にて押出成形し、50μm厚のフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
ポリアミド(A)を表1記載のものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
S6007に日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1を0.5質量%ドライブレンドし、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。また得られたフィルムを100℃で24hr煮沸処理したが、フィルムの機械物性が低下することは無く、バリア性も処理前と同等であった。
・A1:製造例1で得られたポリアミド(A1)
・A2:製造例2で得られたポリアミド(A2)
・A3:製造例3で得られたポリアミド(A3)
・A4:製造例4で得られたポリアミド(A4)
・S6007:アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)、融点は240℃、数平均分子量は45000、曲げ弾性率は、4.42GPaであった。
・LA−1:日清紡ケミカル社製カルボジライト
・CPP:無延伸ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製ノバテックPP グレードFY6)
・LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLL グレードUF420)
Claims (11)
- メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、炭化水素系冷媒を封入するために用いる炭化水素系冷媒バリア性を有する樹脂製部品であって、含有するポリアミド(A)の80℃、0%RHにおけるイソブタン透過係数が10cc・mm/m 2 ・day・atm以下である、樹脂製部品。
- ポリアミド(A)のガラス転移点Tgが55〜100℃である請求項1に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上、及びイソフタル酸を1〜30モル%含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを含み、メタキシリレンジアミンが30モル%以上であるジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、95モル%以上のメタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と、95モル%以上のアジピン酸を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、95モル%以上のメタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と、95モル%以上のセバシン酸を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、95モル%以上のメタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と、95モル%以上のアジピン酸を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドと、95モル%以上のメタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と、95モル%以上のセバシン酸を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドの混合物である請求項1又は2に記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)を、ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1〜2質量部含有する請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物である請求項9記載の樹脂製部品。
- ホース、チューブ、フィルム、コネクタ、ジョイント、ガスケット、パッキン、及びシール部品から選ばれる請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂製部品。
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