JP2002332397A - ポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体

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JP2002332397A JP2002035417A JP2002035417A JP2002332397A JP 2002332397 A JP2002332397 A JP 2002332397A JP 2002035417 A JP2002035417 A JP 2002035417A JP 2002035417 A JP2002035417 A JP 2002035417A JP 2002332397 A JP2002332397 A JP 2002332397A
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Masahiko Takashima
雅彦 高島
Koji Yamamoto
山本  幸司
Hiroyuki Nanba
寛行 難波
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ガスバリヤー性に優れ、かつ黒ずみの増加を抑
制した芳香族ポリエステル系樹脂組成物、並びに成形体
及び包装容器の提供。 【解決手段】メタキシリレンジアミンとアジピン酸を主
成分としてなるポリアミド樹脂(A)3〜40質量%
と、アンチモン濃度が特定されたポリエステル樹脂
(B)97〜60質量%とからなるポリエステル系樹脂
組成物(C)。このうち、ポリアミド樹脂(A)中に含
まれるリン原子濃度をP(ppm)、ポリエステル系樹
脂組成物(C)中のポリアミド樹脂(A)の濃度をC
(質量%)としたとき、式1に示す関係を満足し、かつ
ポリエステル樹脂(B)、ポリエステル系樹脂組成物
(C)からそれぞれ得た厚み2mmの平板成形片の明度
をX,Yとしたとき、式2に示す関係を満足するポリエ
ステル系樹脂組成物、並びに成形体及び包装容器。P×
C/100≦25(式1)、(Y/X)×100≧90
(式2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂と
ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物、それからなる成
形体及び包装容器に関する。詳しくは、リン化合物を含
有する特定のポリアミド樹脂と、アンチモン化合物を含
有するポリエステル樹脂とを溶融混合して得られる樹脂
組成物であって、ポリエステル樹脂のみでは不十分であ
ったガスバリヤー性を改善でき、かつ前記樹脂組成物に
おいて従来問題であった黒ずみによる外観不良を解消す
ることが可能な樹脂組成物、それからなる成形体及び包
装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオ
ール化合物をモノマーとして使用して得られるポリマ
ー、例えばポリエチレンテレフタレート等に代表される
ポリエステル樹脂(以下「ポリエステル樹脂」というこ
とがある)は、透明性、機械的性能、溶融安定性、耐溶
剤性、保香性、リサイクル性等に優れるという特長を有
することから、現在フィルム、シート、中空容器等の各
種包装材料に広く利用されている。しかしながら、ポリ
エステル樹脂は酸素、炭酸ガス等に対するガスバリヤー
性が必ずしも十分ではないため、ポリエステル樹脂から
なる包装容器の利用範囲には制限があった。ポリエステ
ル樹脂のガスバリヤー性を改善する手段としては、酸化
アルミニウムや酸化珪素をポリエステル樹脂からなる成
形体や包装容器に蒸着したり、あるいはポリエステル樹
脂よりも高いガスバリヤー性能を有する樹脂をポリエス
テル樹脂からなる成形体や包装容器に塗布あるいは積層
する等の手段が挙げられるが、複雑な製造工程を必要と
したり、リサイクル性や機械的性能が損なわれる等の問
題点があるため、その利用範囲は限定されたものであっ
た。
【0003】上記のような問題を解決しつつ、ポリエス
テル樹脂のガスバリヤー性を改善する手段として、高い
ガスバリヤー性を有する熱可塑性樹脂をポリエステル樹
脂に溶融混合する方法が挙げられる。高いガスバリヤー
性を有する樹脂の一つとしエチレン−ビニルアルコール
共重合樹脂が挙げられるが、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合樹脂は、その分子構造の特徴からポリエステル
樹脂との相溶性に乏しく、両樹脂を混合してなる樹脂組
成物は白濁し、ポリエステル樹脂の特徴である透明性を
損なう欠点があった。またエチレン−ビニルアルコール
共重合樹脂はポリエステル樹脂と比較して結晶性が高い
ため、ポリエステル樹脂の延伸性を損なう傾向にあり、
二軸延伸フィルムやブローボトル等の延伸工程を必須と
する包装容器への利用は困難であった。さらにポリエス
テル樹脂における最適な加工温度では、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合樹脂は急激に熱劣化する傾向にある
ため、ポリエステル樹脂の加工安定性を損なう等の問題
点があった。
【0004】エチレン−ビニルアルコール共重合体以外
のガスバリヤー性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン
66等に代表されるポリアミド樹脂が挙げられるが、と
りわけメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン
成分とアジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分とを
重合して得られるポリメタキシリレンアジパミドはガス
バリヤー性に優れるポリアミド樹脂である。ポリメタキ
シリレンアジパミドは他のポリアミド樹脂と比較して高
いガスバリヤー性を有する上に、ポリエステル樹脂の中
でも特に広く利用されているポリエチレンテレフタレー
トとガラス転移温度、融点、結晶性が近似していること
から、ポリエステル樹脂の加工安定性を損なうことがな
い。このことから、ポリエステル樹脂のガスバリヤー性
を改善するための材料として、ポリメタキシリレンアジ
パミドは非常に適した樹脂であるといえる。なお、市販
されているポリメタキシリレンアジパミドには、通常溶
融加工時の樹脂の着色を防止するために、リン原子濃度
として数百ppmのリン化合物が含まれている。
【0005】一方、ポリエステル樹脂の製造方法におい
ては、モノマーの重合速度を速めるためにゲルマニウム
原子やアンチモン原子を含む金属触媒を添加するのが一
般的である。金属触媒のうち、アンチモン原子を含む化
合物を触媒として使用し製造されたポリエステル樹脂を
成形して得られる成形品は、アンチモン化合物が還元さ
れて金属アンチモンの析出による僅かな黒ずみを呈する
ことが知られているため、成形品の商品価値を損なわな
いようにアンチモン化合物の使用量を制限することで黒
ずみを抑制している。しかしながら、アンチモン化合物
の使用量を制限した場合であっても、アンチモン化合物
を含有するポリエステル樹脂のガスバリヤー性を改善す
るためにポリメタキシリレンアジパミドを混合し溶融混
練後成形して得られる成形品は、ポリメタキシリレンア
ジパミドを添加していないポリエステル樹脂からなる成
形品に比較して、ポリメタキシリレンアジパミド中のリ
ン化合物による金属アンチモンの析出に起因する黒ずみ
が大幅に増すために、外観が重要視される食品用途等の
包装材料や包装容器においてはその商品価値が大幅に低
下する欠点があった。
【0006】特公平4−54702号公報では、主たる
繰り返し単位がエチレンテレフタレートである熱可塑性
ポリエステル樹脂にポリアミド樹脂を含有させたガスバ
リアー性の優れた中空成形体が提案されているが、当該
発明は単にポリアミド樹脂によりガスバリヤー性の改善
を提案したものであり、本発明でいうポリアミド樹脂の
リン原子濃度と成形体の黒ずみの抑制に関する記載は一
切されていない。特公平6−78094号公報では、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂にメタキシリレンジアミ
ンとアジピン酸を主成分として得られるナイロンを混合
した合成樹脂製耐熱壜体の製造方法が提案されている
が、当該発明は耐熱壜体の成形の改善に関するものであ
り、本発明でいうポリアミド樹脂のリン原子濃度と成形
体の黒ずみの抑制に関する記載は一切されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解消し、アンチモン原子を含む化合物を触媒として使
用し製造されたポリエステル樹脂とリン化合物を含む特
定のポリアミド樹脂とからなり、ガスバリヤー性に優
れ、かつ黒ずみの増加を抑制した樹脂組成物、それから
なる成形体及び包装容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
の解決方法について鋭意検討した結果、アンチモン原子
を含む化合物を触媒として使用し製造されたポリエステ
ル樹脂に混合されるポリアミド樹脂に関し、ポリアミド
樹脂に含まれるリン化合物に由来するリン原子濃度とポ
リアミド樹脂の配合量の関係を一定の範囲に設定するこ
とで、黒ずみの増加を抑制し、かつガスバリヤー性が改
善されたポリエステル系樹脂組成物が得られることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、メタキシリレンジア
ミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を
70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合してか
ら得たポリアミド樹脂(A)3〜40質量%と、重縮合
触媒として添加したアンチモン化合物をアンチモン原子
濃度として50〜400ppm含むポリエステル樹脂
(B)97〜60質量%とを溶融混合してなるポリエス
テル系樹脂組成物(C)であって、ポリアミド樹脂
(A)中に含まれるリン化合物のリン原子濃度をP(p
pm)とし、ポリエステル系樹脂組成物(C)中のポリ
アミド樹脂(A)の濃度をC(質量%)としたとき、式
1に示す関係を満足し、かつポリエステル樹脂(B)の
みを成形して得た厚み2mmの平板成形片の明度をXと
し、ポリエステル系樹脂組成物(C)を成形して得た厚
み2mmの平板成形片の明度をYとしたとき、式2に示
す関係を満足することを特徴とするポリエステル系樹脂
組成物、それからなる成形体及び包装容器に関する発明
である。 P×C/100≦25 (式1) (Y/X)×100≧90 (式2) 尚、本明細書において、ppmは質量ppmを意味す
る。
【0010】以下に、本発明について詳しく説明する。
ポリエステル樹脂(B)は芳香族ジカルボン酸化合物を
主成分とするジカルボン酸成分と脂肪族ジオール化合物
を主成分とするジオール成分を重縮合して得られるもの
である。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカル
ボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ビフェ
ニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸
等およびこれらのエステル形成性誘導体が例示でき、こ
れらの中でもテレフタル酸やイソフタル酸が好ましく用
いられる。ジカルボン酸成分にテレフタル酸を使用する
場合、ジカルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合
は70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好
ましくは90モル%以上である。又、ジカルボン酸モノ
マーとしてテレフタル酸以外の成分としてイソフタル酸
を使用する場合、その割合はジカルボン酸成分の総量に
対して1〜10モル%、好ましくは1〜8モル%、更に
好ましくは1〜6モル%である。イソフタル酸をジカル
ボン酸成分として上記に示した量を添加して得た共重合
樹脂は結晶化速度が遅くなり、成形性を向上させること
が可能となる。更に他のジカルボン酸成分として、本発
明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、安息香酸、
プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸や、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸や、無水トリ
メリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物
を用いることができる。
【0011】ポリエステル樹脂(B)の原料であるジオ
ール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロ
ピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール
等およびこれらのエステル形成性誘導体が例示でき、こ
れらの中でもエチレングリコールが好ましく用いられ
る。ジオール成分中に占めるエチレングリコールの割合
は70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好
ましくは90モル%以上である。更に他のジオール成分
として、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコ
ール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモ
ノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、環状
アセタール骨格を有するジオール成分等を用いることも
できる。
【0012】ポリエステル樹脂(B)の製造は、公知の
方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用す
ることができる。ポリエステル樹脂製造時の重縮合触媒
としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン
等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニ
ウム化合物等が例示できるが、本発明のポリエステル系
樹脂組成物やそれからなる成形体及び包装容器の黒ずみ
低減効果は、アンチモン化合物を使用したポリエステル
樹脂に対して適用される。
【0013】本発明におけるポリエステル樹脂(B)合
成時の触媒として使用されたアンチモン化合物の濃度は
アンチモン原子として50〜400ppm、好ましくは
70〜350ppm、さらに好ましくは100〜300
ppmであることが望ましい。アンチモン原子濃度が5
0ppm以上であるとポリエステル樹脂の重縮合反応が
速やかに進行するために、副生成物の生成を抑制し、さ
らには反応時間が短縮されるために工業的に非常に有利
である。アンチモン原子濃度が400ppm以下である
と、アンチモン化合物の還元による金属アンチモンの析
出が抑制され、すなわち原料であるポリエステル樹脂の
黒ずみが抑制されるために、該ポリエステル樹脂を用い
て成形される成形品の商品価値が向上する。
【0014】本発明において好ましいポリエステル樹脂
を例示すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチ
レンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、エチ
レン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレ
ート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレート樹脂、エチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、エチ
レン−テレフタレート−4,4‘−ビフェニルジカルボ
キシレート共重合樹脂がある。特に好ましいポリエステ
ル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン
テレフタレート−イソフタレート共重合樹脂である。
【0015】本発明に用いるポリエステル樹脂(B)
は、使用する前にポリマー中の水分率を200ppm以
下、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは5
0ppm以下に乾燥させることが望ましい。本発明で用
いるポリエステル樹脂(B)の極限粘度(フェノール/
1,1,2,2,−テトラクロロエタン=60/40質
量比混合溶媒中、25℃で測定した値)には、特に制限
はないが、通常0.5〜2.0dl/g、好ましくは
0.6〜1.8dl/gであることが望ましい。極限粘
度が0.5以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充
分に高いために、これを使用して得られるポリエステル
系樹脂組成物からなる成形体や包装容器が構造物として
必要な機械的性質を発現することができる。
【0016】本発明において用いるポリアミド樹脂
(A)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含
むジアミン酸成分とアジピン酸を70モル%以上含むジ
カルボン酸成分とを重合することにより得られるポリア
ミドであり、好ましくはメタキシリレンジアミンとアジ
ピン酸からなる繰り返し単位を90モル%以上含むポリ
アミドである。上記のようなモノマー組成及び構造単位
を有するポリアミドはポリエチレンテレフタレートのよ
うなポリエステル樹脂と成形加工性が近似するため、ポ
リエステル系樹脂組成物の加工性を損なわないので有利
である。本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジア
ミン酸成分には、メタキシリレンジアミンが70モル%
以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれ
るとより好ましい。ジアミン酸成分中のメタキシリレン
ジアミンが70モル%以上であると、それから得られる
ポリアミド樹脂は優れたガスバリヤー性を発現すること
ができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジ
アミン酸成分としては、パラキシリレンジアミン、1,
3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビ
ス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミ
ン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示で
きるが、これらに限定されるものではない。
【0017】本発明のポリアミド樹脂(A)を構成する
ジカルボン酸成分中には、アジピン酸が70モル%以上
含まれることが必要であり、90モル%以上含まれると
より好ましい。ジカルボン酸成分中のアジピン酸が70
モル%以上であると、ガスバリヤー性の低下や結晶性の
過度の低下を避けることができる。アジピン酸以外に使
用できるジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるもので
はない。また、ポリアミド樹脂(A)の重縮合時に分子
量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加
えてもよい。
【0018】上記のポリアミド樹脂(A)は、溶融重縮
合法により製造される。例えば、メタキシリレンジアミ
ンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加
圧状態で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶
融状態で重合させる方法により製造される。また、メタ
キシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加え
て、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。こ
の場合、反応系を均一な液状状態で保つために、メタキ
シリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その
間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミド
の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重
縮合が進められる。
【0019】上記のポリアミド樹脂(A)には、溶融成
形時の加工安定性を高めるため、あるいはポリアミド樹
脂の着色を防止するためにリン化合物が含まれる場合が
ある。リン化合物としてはアルカリ金属又はアルカリ土
類金属を含むリン化合物が好適に使用され、例えば、ナ
トリウム、マグネシウム、カルシウム等のリン酸塩、次
亜リン酸塩、亜リン酸塩が挙げられる。本発明のポリア
ミド樹脂(A)にはリン化合物としてアルカリ金属又は
アルカリ土類金属の次亜リン酸塩を使用したものがポリ
アミドの着色防止効果に特に優れるため好ましく用いら
れるが、本発明においてはポリアミド樹脂(A)中のリ
ン化合物の濃度はリン原子として200ppm以下、好
ましくは160ppm以下、更に好ましくは100pp
m以下であることが望ましい。ポリアミド樹脂(A)中
のリン原子濃度が200ppmを超えると、ポリエステ
ル系樹脂組成物の黒ずみ抑制とガスバリヤー性改善の両
立が困難となり、それから得られる成形体及び包装容器
の商品価値が低下する。
【0020】本発明に用いるポリアミド樹脂(A)の相
対粘度(ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100mlに
溶解し、25℃で測定した値)は1.83〜4.20、
好ましくは2.02〜4.20、さらに好ましくは2.
30〜4.20である。ポリアミド樹脂(A)の相対粘
度が1.80以下の場合には、ポリエステル系樹脂組成
物から成形体を成形する際に、溶融樹脂の流動性の不安
定さから生じる溶融むらが顕著となり成形物の商品価値
が低下する。ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.8
3以上であると本発明のポリエステル系樹脂組成物から
得られる成形体の成形性が著しく改善される。
【0021】本発明に用いるポリアミド樹脂(A)は、
使用する前に水分率が0.10質量%以下、好ましくは
0.08質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%
以下になるよう乾燥することが望ましい。ポリアミド樹
脂(A)の乾燥は、公知の方法により行うことができ
る。例えば、ベント付きの押出機でポリアミド樹脂を溶
融押出する際にシリンダー内部を真空ポンプにより減圧
にすることでポリマー中の水分を除去する方法、ポリア
ミド樹脂をタンブラー(回転式真空槽)中に仕込み、減
圧下でポリマーの融点以下の温度で加熱して乾燥する方
法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】本発明のポリエステル系樹脂組成物(C)
は、ポリアミド樹脂(A)とアンチモン原子濃度が50
〜400ppmとなるように調整されたアンチモン化合
物を含有するポリエステル樹脂(B)とを溶融混合する
ことで得られる。該樹脂組成物中に含まれるポリアミド
樹脂(A)の含有量は、ガスバリヤー性の改善及び成形
加工の安定性確保を目的として、3〜40質量%とする
ことが好ましく、更に好ましくは5〜35質量%である
(ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の質
量%の合計は100質量%である)。ただし、ポリアミ
ド樹脂(A)にリン化合物が含まれている場合、ポリエ
ステル樹脂(B)に含有されるアンチモン化合物中のア
ンチモン金属を析出して黒ずみ発生の原因となることが
あるため、本発明ではポリアミド樹脂(A)含有量を上
記範囲内に制限することに加えて、ポリアミド樹脂
(A)中に含有されるリン化合物濃度を規定濃度以下に
制限する必要がある。本発明ではポリアミド樹脂(A)
に含有するリン化合物の濃度がリン原子濃度としてP
(ppm)とし、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル
樹脂(B)の総和に対するポリアミド樹脂(A)の濃度
をC(質量%)とした場合、P×C/100によって示
される式によって求められる値が25以下となるように
ポリアミド樹脂(A)中のリン化合物量及び該樹脂の含
有量を設定することが必要であり、好ましくは20以
下、更に好ましくは17以下である。上述の式によって
求められる値を25以下となるようにポリアミド樹脂
(A)中のリン化合物量及び該樹脂の含有量を設定する
ことでアンチモン金属の析出による黒ずみを押さえ、か
つガスバリヤー性の改善されたポリエステル系樹脂組成
物を得ることが可能となる。また本発明のポリエステル
系樹脂組成物については、ポリエステル系樹脂組成物
(C)を構成するポリエステル樹脂(B)からなる厚み
2mmの平板成形片の明度をXとし、ポリエステル系樹
脂組成物(C)からなる厚み2mmの平板成形片の明度
をYとした場合、(Y/X)×100で示される式によ
って求められる値が90以上である必要があり、好まし
くは92以上、更に好ましくは95以上である。ここで
いう明度とは、JIS−K−7105に準じて、透過測
定により求められる明度(L値)を表し、試験片の明度
が低い値を示すほど、黒ずみが大きいものと判断され
る。上述の式によって求められる値が90未満の場合、
ポリアミド樹脂(A)を混合したことによる黒ずみ発生
の度合いが大きく、外観が黒ずんだ成形体や包装容器と
なるため好ましくない。
【0023】また、本発明のポリエステル系樹脂組成物
には、ポリエステル系樹脂組成物(C)に加えて、本発
明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂、具体的にはポ
リエチレンナフタレートやポリブチレンテレフタレート
等のポリエステル樹脂(B)以外のポリエステル樹脂、
ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂(A)以
外のポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等
のポリオレフィン等が配合されていてもよい。また、本
発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂、お
よび/またはポリアミド樹脂、またはそれらの溶融混合
物等のリサイクル樹脂が配合されていてもよい。また、
顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、
紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、ポ
リアミド樹脂のゲル化防止を目的としたアルカリ化合物
等の添加剤を加えることもできる。
【0024】本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用
してなる成形体及び包装容器は、該ポリエステル系樹脂
組成物からなる層を一層以上備えたものである。成形体
及び包装容器の形態は、フィルム及びこれからなる包装
袋や蓋、シート及びこれからなるカップやトレイ、ボト
ル、チューブ等が挙げられる。またその層構成は該ポリ
エステル系樹脂組成物からなる単層構造でも良く、他の
樹脂層を積層した多層構造でも良い。多層構造を有する
成形品及び包装容器の例としては、ポリエチレンテレフ
タレートからなる層とポリエステル系樹脂組成物からな
る層が交互に積層した多層ボトルや、内側からポリエチ
レンやポリプロピレン等のポリオレフィン層/接着性ポ
リオレフィン層/ポリエステル系樹脂組成物からなる層
/接着性ポリオレフィン層/ポリオレフィン層の多層構
造を有するシート及びこれからなるトレイやカップ等の
包装容器、ポリオレフィン層/接着性樹脂層/ポリエス
テル系樹脂組成物からなる層の多層構造を有するフィル
ム及びこれからなる包装袋等が挙げられるが、これらの
例に限定されること無く、本発明のポリエステル系樹脂
組成物は様々な多層構成を有する成形体及び包装容器に
利用することができる。
【0025】本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用
してなる成形体及び包装容器はガスバリヤー性に優れる
ポリアミド樹脂(A)を混合することにより、ポリエス
テル樹脂(B)のみからなる成形体及び包装容器と比較
して優れたガスバリヤー性を発揮することができ、これ
らに保存される物品の保存性を高めることが可能とな
る。なお、該成形体及び包装容器に十分なガスバリヤー
性を付与するためにはポリエステル系樹脂組成物からな
る層の厚みは0.003〜5mmの範囲内に設定するこ
とが好ましく、更に好ましくは0.01〜4.5mmの
範囲内である。本発明のポリエステル系樹脂組成物は特
にボトル形状の成形体のように底面部及び口栓部等、部
分的にその厚みが2mmを超えるものに対してその有効
性を発揮できる。アンチモンの析出による黒ずみが顕著
な材料を上記成形体に使用すると底面部及び口栓部等の
厚みが厚い部分が黒ずんだ外観となるため、その商品価
値が大幅に低下する。一方、本発明のポリエステル系樹
脂組成物を使用した場合はガスバリヤー性の改善と共に
成形体の厚みのある部分の黒ずみを解消することが可能
となるため、その商品価値を大きく高めることができ
る。厚みが比較的薄いフィルム等の成形体やこれを更に
加工して得られる薄肉包装材料等においては、アンチモ
ンの析出による黒ずみを有する樹脂組成物から製造され
た場合であっても、目視では黒ずみが認められない場合
がある。しかし、これらの薄肉成形体や薄肉包装材料は
ロール状に巻かれたり積み重ねられた状態で流通する。
従って、黒ずみが低減できていない材料を使用するとロ
ール状の製品や積み重ねた製品全体が黒ずんで見えるた
め、その商品価値は大幅に低下する。それに対して黒ず
みが大幅に低減された本発明のポリエステル系樹脂組成
物を使用した場合はロール状の製品や積み重ねた製品の
外観は黒ずみがなく、その商品価値が大きく高められる
ことは明らかである。
【0026】本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造
は、従来公知の方法により混合、製造することができ
る。例えば、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂
(B)とをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミ
キサー等でドライブレンド混合物を一軸押出機、二軸押
出機、ニーダー等で1回以上溶融混合する方法が挙げら
れる。また必要に応じて上述の方法にて製造した溶融混
合物をさらに固相重合することもできる。本発明のポリ
エステル系樹脂組成物を利用した成形体及び包装容器の
製造方法は、射出成形機やシート製造装置、フィルム製
造装置等を利用して上述の方法で得た溶融混合物から成
形体及び包装容器を製造することができるが、溶融混合
物を製造する工程を経ずにポリアミド樹脂(A)とポリ
エステル樹脂(B)とをドライブレンドしたものから上
述の成形機を用いて直接成形体又は包装容器を製造して
も良い。本発明のポリエステル系樹脂組成物、それから
なる成形体及び包装容器は上述の方法に限定されること
無く従来公知の様々な成形方法を用いて製造することが
できる。
【0027】本発明のポリエステル系樹脂組成物、それ
からなる成形体及び包装容器を製造する際の加工温度は
特に制限はないが、ポリアミド樹脂(A)およびポリエ
ステル樹脂(B)が融解する温度よりも高く、かつ成形
体及び包装容器が必要な機械的性質を保持できる温度で
あればよく、例えば240〜310℃、好ましくは26
0〜300℃、さらに好ましくは270〜290℃であ
ることが望ましい。
【0028】このようにして得られた成形体及び包装容
器は、ガスバリヤー性に優れ、かつ黒ずみが少なく外観
美麗性に優れたものであり、例えば、炭酸飲料、ジュー
ス、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、
茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソー
ス、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味
噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、
チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スー
プ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表され
る液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆ
で麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理さ
れた炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉
末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水
分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀
物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その
他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及
びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳
液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々
の物品を収納することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明を具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。尚、本実施例及び比較例で採用した評価法
は以下の通りである。
【0030】評価方法 (1)相対粘度 ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20
〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかに
キャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25
℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定
した。また、96%硫酸そのものの落下速度(to)も
同様に測定した。tおよびtoから次式(イ)により相
対粘度を算出した。 相対粘度=t/to ・・・(イ) (2)水分率(質量%) 水分率の測定は、三菱化学(株)製カールフィッシャー
微量水分測定装置(CA−05型)および気化装置(V
A−05型)を用い、融点温度で30分の気化条件で水
分量を定量し、水分率を求めた。 (3)アンチモン原子濃度 ポリエステル樹脂について湿式灰化装置により湿式灰化
(硫酸、硝酸)を行った。灰化試料を用いて原子吸光法
によりポリエステル樹脂中のアンチモン原子濃度を定量
した。 (4)明度 成形体及び包装容器の黒ずみ変化を測定する尺度とし
て、射出成形法により成形した厚さ2mmの平板成形片
を用いてJIS−K−7105に準じて、透過測定によ
り明度(L値)を測定した。試験片の明度が低い値を示
すほど、黒ずみが大きいものと判断される。明度の測定
装置は、日本電色工業社製の色差測定装置(型式:CO
H−300A)を使用した。 (5)酸素透過率 23℃、成形体及び包装容器内部の相対湿度100%、
外部の相対湿度50%の雰囲気下にてASTM D39
85に準じて測定した。測定は、モダンコントロールズ
社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。尚、表
1〜3中、酸素透過率の測定値は、ボトル形状の容器の
場合はml/容器・day・0.21MPaで表示し、
トレイ形状の容器の場合はml/pkg・day・0.
21MPaで表示した。
【0031】(6)外観評価 ポリエステル系樹脂組成物からなるテストボトル及びト
レイの外観を前記ポリエステル系樹脂組成物に含まれる
のと同一のポリエステル樹脂のみからなる参照ボトル及
びトレイの外観と比較した。テストボトル及びトレイの
外観が参照ボトル及びトレイの外観と同様にクリアであ
る場合には、外観が「良」であると評価し、テストボト
ルの口栓部及び底面部に黒ずみが認められる場合、ある
いは、テストトレイのフランジ部及び底面部に黒ずみが
認められる場合を外観が「不良」であると評価した。
【0032】実施例1 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、リン
原子濃度が150ppmとなるように次亜リン酸ナトリ
ウムを使用して重合させて得られたポリアミドMXD6
(以下PA1と略すことがある、水分率:0.03質量
%、相対粘度:2.60)と、ポリエステル樹脂として
ポリエチレンテレフタレート(カネボウ合繊(株)製、
グレード:EFS7、アンチモン原子濃度:196pp
m、以下PET1と略すことがある)の乾燥したペレッ
トを、ブレンド比(PA1/PET1、質量比)が10
/90となるように用意し、タンブラーにより混合し
た。この混合物を、射出成形機((株)名機製作所製
M150AII−SJ)を用い、シリンダー温度270〜
280℃、金型温度14℃の条件下で厚さ2mmの平板
成形片を成形した。得られた平板成形片の明度を表1に
示す。さらに、上記の混合物を用いてボトルを成形し
た。ボトルは、射出成形装置((株)名機製作所製 M
200PDM−MJ)を用い、射出シリンダー温度26
5〜285℃、金型内樹脂流路温度275℃、金型冷却
水10℃の条件下でパリソンの成形を行い、長さ96m
m、肉厚4.5mm、外形直径24mmのパリソンを得
た。このパリソンを赤外ヒーターで95〜101℃に加
熱後、二軸延伸ブロー成形を行い、全長223mm、胴
径65mm、容積500ml、口栓部の厚みが1.5〜
3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmのボトルを
得た。得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果
を表1に示す。
【0033】実施例2 ブレンド比(PA1/PET1、質量比)を15/85
とした以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成
形片、および全長223mm、胴径65mm、口栓部の
厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4
mmの容積500mlのボトルを成形した。得られた平
板成形片の明度、ボトルの酸素透過率、及び外観評価結
果を表1に示す。
【0034】実施例3 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料としポリア
ミド樹脂中のリン原子濃度が100ppmとなるように
次亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られたポ
リアミドMXD6(以下PA2と略すことがある、水分
率:0.03質量%、相対粘度:2.65)を使用した
以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成形片と
全長223mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5
〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積5
00mlのボトルを得た。得られた平板成形片の明度、
得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果を表1
に示す。
【0035】実施例4 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、ポリ
アミド樹脂中のリン原子濃度が5ppmとなるように次
亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られたポリ
アミドMXD6(以下、PA3と略すことがある、水分
率:0.02質量%、相対粘度:2.55)を使用した
以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成形片と
全長223mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5
〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積5
00mlのボトルを得た。得られた平板成形片の明度、
得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果を表1
に示す。
【0036】実施例5 ブレンド比(PA3/PET1、質量比)を30/70
とした以外は実施例4と同様にして厚さ2mmの平板成
形片、および全長223mm、胴径65mm、口栓部の
厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4
mmの容積500mlのボトルを成形した。得られた平
板成形片の明度、ボトルの酸素透過率、及び外観評価結
果を表1に示す。
【0037】実施例6 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、リン
化合物を使用せずに重合させて得られたポリアミドMX
D6(以下PA4と略すことがある、水分率:0.03
質量%、相対粘度:2.50)を使用した以外は実施例
1と同様にして厚さ2mmの平板成形片と全長223m
m、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5〜3mm程
度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積500mlの
ボトルを得た。得られた平板成形片の明度、得られたボ
トルの酸素透過率、及び外観評価結果を表1に示す。
【0038】実施例7 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、ポリ
アミド樹脂中のリン原子濃度が190ppmとなるよう
に次亜リン酸マグネシウムを使用して重合させて得られ
たポリアミドMXD6(以下PA5と略すことがある、
水分率:0.03質量%、相対粘度:2.10)を使用
した以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成形
片と全長223mm、胴径65mm、口栓部の厚みが
1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの
容積500mlのボトルを得た。得られた平板成形片の
明度、得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果
を表1に示す。
【0039】実施例8 テレフタル酸/イソフタル酸=98/2(モル比)で混
合したジカルボン酸成分とエチレングリコールを原料と
し、アンチモン原子濃度が230ppmとなるように三
酸化アンチモンを使用して直接エステル化法により合成
したイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(P
ET2と略すことがある)の乾燥したペレットをポリエ
ステル樹脂として使用した以外は実施例1と同様にして
厚さ2mmの平板成形片と全長223mm、胴径65m
m、口栓部の厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚み
が0.5〜4mmの容積500mlのボトルを得た。得
られた平板成形片の明度、得られたボトルの酸素透過
率、及び外観評価結果を表1に示す。
【0040】実施例9 ポリエステル樹脂としてPET2を使用した以外は実施
例4と同様にして厚さ2mmの平板成形片と全長223
mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5〜3mm程
度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積500mlの
ボトルを得た。得られた平板成形片の明度、得られたボ
トルの酸素透過率、及び外観評価結果を表1に示す。
【0041】比較例1 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、ポリ
アミド樹脂中のリン原子濃度が350ppmとなるよう
に次亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られた
ポリアミドMXD6(PA6と略すことがある、水分
率:0.05質量%、相対粘度:2.10)を使用した
以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成形片と
全長223mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5
〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積5
00mlのボトルを得た。得られた平板成形片の明度、
得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果を表2
に示す。
【0042】比較例2 アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、ポリ
アミド樹脂中のリン原子濃度が290ppmとなるよう
に次亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られた
ポリアミドMXD6(PA7と略すことがある、水分
率:0.03質量%、相対粘度:2.40)を使用した
以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの平板成形片と
全長223mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5
〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積5
00mlのボトルを得た。得られた平板成形片の明度、
得られたボトルの酸素透過率、及び外観評価結果を表2
に示す。
【0043】比較例3 ブレンド比(PA6/PET1、質量比)を30/70
とした以外は比較例1と同様にして厚さ2mmの平板成
形片、および全長223mm、胴径65mm、口栓部の
厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4
mmの容積500mlのボトルを成形した。得られた平
板成形片の明度、ボトルの酸素透過率、及び外観評価結
果を表2に示す。
【0044】比較例4 実施例1の方法を用いてPET1からなる厚さ2mmの
平板成形片、および全長223mm、胴径65mm、口
栓部の厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.
5〜4mmの容積500mlのボトルを成形した。得ら
れた平板成形片の明度、ボトルの酸素透過率、及び外観
評価結果を表2に示す。
【0045】比較例5 実施例1の方法を用いてPET2からなる厚さ2mmの
平板成形片、および全長223mm、胴径65mm、口
栓部の厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.
5〜4mmの容積500mlのボトルを成形した。得ら
れた平板成形片の明度、ボトルの酸素透過率、及び外観
評価結果を表2に示す。
【0046】比較例6 テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、アンチ
モン原子濃度が480ppmとなるように三酸化アンチ
モンを使用して直接エステル化法により合成したポリエ
チレンテレフタレート(PET3と略すことがある)の
乾燥したペレットを用意し、実施例1の方法を用いてP
ET3からなる厚さ2mmの平板成形片、および全長2
23mm、胴径65mm、口栓部の厚みが1.5〜3m
m程度、底面部の厚みが0.5〜4mmの容積500m
lのボトルを成形した。得られた平板成形片の明度、ボ
トルの酸素透過率、及び外観評価結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】以上の実施例1乃至9の結果から、発明の
詳細な説明に示したようにポリアミド樹脂の含有量とそ
れに含まれるリン化合物中のリン濃度のバランスを一定
の範囲内とした実施例1乃至9は、平板成形片の明度か
らわかるようにポリエステル樹脂中のアンチモン原子の
析出による黒ずみはほとんど見られず、比較例4、5に
示したポリエステル樹脂が有する外観特性を保持し、さ
らにボトルのガスバリヤー性を改善することができた。
また、実施例7乃至9に示したようにポリアミド樹脂中
のリン化合物の種類やポリエステル樹脂の種類を変更し
てもポリアミド樹脂の含有量とそれに含まれるリン化合
物中のリン濃度のバランスを一定の範囲内とすることで
ポリエステル樹脂中のアンチモン原子の析出による黒ず
みを防止することができた。一方、ポリアミド樹脂の含
有量とそれに含まれるリン化合物中のリン濃度のバラン
スが本発明の範囲から外れる比較例1乃至3について
は、平板成形片の明度からわかるようにポリエステル樹
脂中のアンチモン原子の析出による黒ずみが著しく増加
しており、得られたボトルはポリアミド樹脂を混合した
ことによるガスバリヤー性の改善効果は認められるもの
の、厚みが比較的厚い口栓部や底面部において顕著な黒
ずみが見られ、ボトルの外観美麗性が悪化していた。
【0050】実施例10 実施例1にて用意したPA1(水分率:0.03質量
%、相対粘度:2.60)とPET1のブレンド比(P
A1/PET1、質量比)が10/90である混合物か
ら、押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、
引取機等からなるシート製造装置を用いて、押出機温度
を275℃、引取速度4m/minの条件にて、上記混
合物からなる厚さ750μm、幅40cmのシートを製
造した。得られたシートの明度を表3に示す。次いで得
られたシートから真空圧空成形装置を使用して開口部寸
法が130mm×70mm、高さが25mmの角型トレ
イを得た。得られたトレイの酸素透過率及び外観評価結
果を表3に示す。
【0051】比較例7 比較例2にて用意したPA7(水分率:0.03質量
%、相対粘度:2.40)とPET1のブレンド比(P
A7/PET1、質量比)が10/90である混合物か
ら、実施例10と同様にしてシート、及びトレイを得
た。シートの明度、得られたトレイの酸素透過率及び外
観評価結果を表3に示す。
【0052】比較例8 PET1から、実施例10と同様にしてシート、及びト
レイを得た。シートの明度、得られたトレイの酸素透過
率及び外観評価結果を表3に示す。
【0053】 表3 実施例番号 実施例10 比較例7 比較例8 ポリアミド樹脂 含有量(C、質量%)PA1 10 − − PA7 − 10 − リン原子濃度(P、ppm) 150 290 − ポリエステル樹脂 含有量(質量%) PET1 90 90 100 アンチモン原子濃度(ppm) 196 196 196 P×C/100 15 29 − 平板成形片の明度 Xa) 95 81 95 Yb) 95 95 − (X/Y)×100 100 85 − シートの明度 95 82 95 トレイの酸素透過度c) 0.07 0.07 0.0 9 トレイの外観d) 良 不良 良 a)X:ポリエステル/ポリアミド混合樹脂組成物の平板成形片(厚さ2mm) の明度 b)Y:ポリエステル樹脂の平板成形片(厚さ2mm)の明度 c)単位:ml/pkg・day・0.21MPaにより測定 d)良:PET単独のトレイと同等 不良:PET単独のトレイと比較してフランジ部及び底面部の黒ずみが大きい
【0054】以上の実施例10及び比較例7乃至8の結
果から、発明の詳細な説明に示したようにポリアミド樹
脂の含有量とそれに含まれるリン化合物中のリン濃度の
バランスを一定の範囲内とした実施例10は、ポリアミ
ド樹脂を混合したことにより比較例8に示したPET単
独のトレイと比較してガスバリヤー性が改善された上
に、ポリエステル樹脂中のアンチモン原子の析出による
黒ずみは殆ど見られず、PET単独のトレイと同様の外
観であり、その商品価値の高いものであった。一方、ポ
リアミド樹脂の含有量とそれに含まれるリン化合物中の
リン濃度のバランスが本発明の範囲から外れる比較例7
については、ガスバリヤー性の改善は見られたものの、
ポリエステル樹脂中のアンチモン原子の析出による黒ず
みが著しく増加しており、トレイのフランジ部や底面部
の黒ずみが見られ外観が悪化していた。
【0055】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂とポリエステル
樹脂とを溶融混合して得られるポリエステル系樹脂組成
物、それからなる成形体及び包装容器は、優れたガスバ
リヤー性を有し、かつ黒ずみを抑制した外観特性に優れ
るものであり、従来のもの以上にその商品価値は高く、
工業的に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 67/02 B29K 67:00 77:06) 77:00 B29K 67:00 B29L 22:00 77:00 B65D 1/00 A B29L 22:00 (72)発明者 難波 寛行 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 Fターム(参考) 3E033 BA17 BA21 BB01 CA16 CA20 FA03 4F071 AA46 AA55 AB25 AF08 AF30 AF30Y AF34 AH04 AH05 BA01 BB05 BB08 BC01 BC04 4F208 AA24K AA29 AB04 AB16 AG07 AH55 LA02 LB01 LG28 4J002 CF041 CF051 CF061 CF081 CL032 DH036 DH046 FD036 GB00 GG01 GG02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタキシリレンジアミンを70モル%以
    上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含む
    ジカルボン酸成分とを重縮合してから得たポリアミド樹
    脂(A)3〜40質量%と、重縮合触媒として添加した
    アンチモン化合物をアンチモン原子濃度として50〜4
    00ppm含むポリエステル樹脂(B)97〜60質量
    %とを溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物
    (C)であって、ポリアミド樹脂(A)中に含まれるリ
    ン化合物のリン原子濃度をP(ppm)とし、ポリエス
    テル系樹脂組成物(C)中のポリアミド樹脂(A)の濃
    度をC(質量%)としたとき、式1に示す関係を満足
    し、かつポリエステル樹脂(B)のみを成形して得た厚
    み2mmの平板成形片の明度をXとし、ポリエステル系
    樹脂組成物(C)を成形して得た厚み2mmの平板成形
    片の明度をYとしたとき、式2に示す関係を満足するこ
    とを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。 P×C/100≦25 (式1) (Y/X)×100≧90 (式2)
  2. 【請求項2】 ポリアミド樹脂(A)がメタキシリレン
    ジアミンを90モル以上含むジアミン成分と、アジピン
    酸を90モル以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して
    得たポリアミド樹脂である請求項1記載のポリエステル
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアミド樹脂(A)に含まれるリン化
    合物がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜リン酸
    塩である請求項1記載のポリエステル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(B)が、実質的にテ
    レフタル酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分と、
    エチレングリコールを70モル%以上含むジオール成分
    とを重縮合して得たポリエステル樹脂である請求項1記
    載のポリエステル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(B)が、実質的にイ
    ソフタル酸1〜10モル%とテレフタル酸99〜90モ
    ル%からなるジカルボン酸成分と、エチレングリコール
    を70モル%以上含むジオール成分とを重縮合して得た
    ポリエステル樹脂である請求項1記載のポリエステル系
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリエステル系樹脂組成
    物からなる層を少なくとも一層有する成形体。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリエステル系樹脂組成
    物からなる層の厚みが0.003〜5mmの範囲である
    ことを特徴とする請求項6記載の成形体。
  8. 【請求項8】 成形体が、フィルム状、又はシート状で
    ある請求項6記載の成形体。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のポリエステル系樹脂組成
    物を成形して得られる包装容器。
  10. 【請求項10】 包装容器が2mm以上の厚みの口栓部
    を有する中空成形体であることを特徴とする請求項9記
    載の包装容器。
  11. 【請求項11】 包装容器が、ポリエステル系樹脂組成
    物を射出成形後、ブロー成形して得られたものである請
    求項9又は10記載の包装容器。
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