JP2004131723A - ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンチモン原子を含む化合物を触媒として使用し製造されたポリエステル樹脂とリン化合物を含む特定のポリアミド樹脂とからなり、ガスバリヤー性に優れ、かつ黒ずみの増加を抑制した樹脂組成物を提供する。
【解決手段】メタキシリレンジアミンとアジピン酸を主成分として重縮合して得られ、且つリン化合物を含むポリアミド樹脂(A)と、アンチモン化合物を含むポリエステル樹脂(B)、および元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物であって、前記各樹脂、リンおよびアンチモン濃度が特定の関係を満足し、且つポリエステル系樹脂組成物をペレット化した際のペレットの明度が特定値以上であることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。
【選択図】 無
【解決手段】メタキシリレンジアミンとアジピン酸を主成分として重縮合して得られ、且つリン化合物を含むポリアミド樹脂(A)と、アンチモン化合物を含むポリエステル樹脂(B)、および元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物であって、前記各樹脂、リンおよびアンチモン濃度が特定の関係を満足し、且つポリエステル系樹脂組成物をペレット化した際のペレットの明度が特定値以上であることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。
【選択図】 無
Description
本発明は、ポリアミド樹脂とポリエステル樹脂からなる樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器に関する。詳しくは、リン化合物を含有する特定のポリアミド樹脂と、アンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂及び元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物を溶融混合して得られる樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂のみでは不十分であったガスバリヤー性を改善でき、かつ前記樹脂組成物において従来問題であった黒ずみによる外観不良を解消することが可能な樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器に関する。
芳香族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオール化合物をモノマーとして使用して得られるポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル樹脂(以下「ポリエステル樹脂」ということがある)は、透明性、機械的性能、溶融安定性、耐溶剤性、保香性、リサイクル性等に優れるという特長を有することから、現在フィルム、シート、中空容器等の各種包装材料に広く利用されている。しかしながら、ポリエステル樹脂は酸素、炭酸ガス等に対するガスバリヤー性が必ずしも十分ではないため、ポリエステル樹脂からなる包装容器の利用範囲には制限があった。ポリエステル樹脂のガスバリヤー性を改善する手段としては、酸化アルミニウムや酸化珪素をポリエステル樹脂からなる成形体や包装容器に蒸着したり、あるいはポリエステル樹脂よりも高いガスバリヤー性能を有する樹脂をポリエステル樹脂からなる成形体や包装容器に塗布あるいは積層する等の手段が挙げられるが、複雑な製造工程を必要としたり、リサイクル性や機械的性能が損なわれる等の問題点があるため、その利用範囲は限定されたものであった。
上記のような問題を解決しつつ、ポリエステル樹脂のガスバリヤー性を改善する手段として、高いガスバリヤー性を有する熱可塑性樹脂をポリエステル樹脂に溶融混合する方法が挙げられる。高いガスバリヤー性を有する樹脂の一つとしエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂が挙げられるが、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、その分子構造の特徴からポリエステル樹脂との相溶性に乏しく、両樹脂を混合してなる樹脂組成物は白濁し、ポリエステル樹脂の特徴である透明性を損なう欠点があった。またエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂はポリエステル樹脂と比較して結晶性が高いため、ポリエステル樹脂の延伸性を損なう傾向にあり、二軸延伸フィルムやブローボトル等の延伸工程を必須とする包装容器への利用は困難であった。さらにポリエステル樹脂における最適な加工温度では、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は急激に熱劣化する傾向にあるため、ポリエステル樹脂の加工安定性を損なう等の問題点があった。
エチレン−ビニルアルコール共重合体以外のガスバリヤー性樹脂としては、ナイロン6,ナイロン66等に代表されるポリアミド樹脂が挙げられるが、とりわけメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とアジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分とを重合して得られるメタキシリレンアジパミドはガスバリヤー性に優れるポリアミド樹脂である。メタキシリレンアジパミドは他のポリアミド樹脂と比較して高いガスバリヤー性を有する上に、ポリエステル樹脂の中でも特に広く利用されているポリエチレンテレフタレートとガラス転移温度、融点、結晶性が近似していることから、ポリエステル樹脂の加工安定性を損なうことがない。このことから、ポリエステル樹脂のガスバリヤー性を改善するための材料として、メタキシリレンアジパミドは非常に適した樹脂であるといえる。なお、市販されているメタキシリレンアジパミド(例えば、三菱瓦斯化学株式会社製、商品名:MXナイロン)は溶融加工時の樹脂の着色を防止するために、リン原子濃度として数百ppmのリン化合物を含むことがある。
一方、ポリエステル樹脂の製造方法においては、モノマーの重合速度を速めるためにゲルマニウム原子やアンチモン原子を含む金属触媒を添加するのが一般的である。金属触媒のうち、アンチモン原子を含む化合物を触媒として使用し製造されたポリエステル樹脂を成形して得られる成形品は、アンチモン化合物が還元されて金属アンチモンの析出による僅かな黒ずみを呈することが知られているため、成形品の商品価値を損なわないようにアンチモン化合物の使用量を制限することで黒ずみを抑制している。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂のガスバリヤー性を改善するためにメタキシリレンアジパミドを混合し溶融混練後成形して得られる成形品は、メタキシリレンアジパミドを添加していないポリエステル樹脂からなる成形品に比較して、メタキシリレンアジパミド中のリン化合物による金属アンチモンの析出に起因する黒ずみが大幅に増すために、外観が重要視される食品用途等の包装材料や包装容器においてはその商品価値が大幅に低下する欠点があった。
従来技術として、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートである熱可塑性ポリエステル樹脂にポリアミド樹脂を含有させたガスバリアー性の優れた中空成形体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、当該発明は単にポリアミド樹脂によりガスバリヤー性の改善を提案したものであり、本発明でいうポリアミド樹脂のリン原子濃度と成形体の黒ずみの抑制に関する記載は一切されていない。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂にメタキシリレンジアミンとアジピン酸を主成分として得られるナイロンを混合した合成樹脂製耐熱壜体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)が、当該発明は耐熱壜体の成形の改善に関するものであり、本発明でいうポリアミド樹脂のリン原子濃度と成形体の黒ずみの抑制に関する記載は一切されていない。
特公平4−54702号公報
特公平6−78094号公報
本発明は、上記の課題を解消し、アンチモン原子を含む化合物を触媒として使用し製造されたポリエステル樹脂とリン化合物を含む特定のポリアミド樹脂とからなり、ガスバリヤー性に優れ、かつ黒ずみの増加を抑制した樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題の解決方法について鋭意検討した結果、アンチモン原子を含む化合物を触媒として使用し製造されたポリエステル樹脂に混合されるポリアミド樹脂に関し、ポリアミド樹脂に含まれるリン化合物の量に対して特定割合の量の元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物を存在させることで、リン原子を不活性化し黒ずみの増加を抑制し、かつガスバリヤー性に優れたポリエステル系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られ、且つリン化合物を含むポリアミド樹脂(A)と、アンチモン化合物をアンチモン原子濃度として50〜400ppm含むポリエステル樹脂(B)、および元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物であって、下記の式1および式2の関係を満足し、且つポリエステル系樹脂組成物をペレット化した際のペレットの明度が42以上であることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物に関する。
尚、本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。
また、本発明は、前記ポリエステル系樹脂組成物を利用してなる成形体および包装容器に関する。
また、本発明は、前記ポリエステル系樹脂組成物を利用してなる成形体および包装容器に関する。
本発明のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂および化合物(C)とを溶融混合して得られるポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器は、優れたガスバリヤー性を有し、かつ黒ずみを抑制した外観特性に優れるものであり、従来のもの以上にその商品価値は高く、工業的に優れたものである。
以下に、本発明について詳しく説明する。ポリエステル樹脂(B)は芳香族ジカルボン酸化合物を主成分とするジカルボン酸成分と脂肪族ジオール化合物を主成分とするジオール成分を重縮合して得られるものである。
ポリエステル樹脂(B)のジカルボン酸成分として用いる芳香族ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体が例示でき、これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および4,4’−ビフェニルジカルボン酸が好ましく用いられる。これらの芳香族ジカルボン酸化合物の、ジカルボン酸成分全体に対する割合は、60モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上である。また、ジカルボン酸成分にテレフタル酸を使用する場合、ジカルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合は70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。更に、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸に加えてイソフタル酸を使用する場合、その割合はジカルボン酸成分の総量に対して1〜10モル%、好ましくは1〜8モル%、更に好ましくは1〜6モル%である。イソフタル酸をジカルボン酸成分として上記に示した量を添加して得た共重合樹脂は結晶化速度が遅くなり、成形性を向上させることが可能となる。更に本発明において、ポリエステル樹脂(B)を製造する際には、本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸や、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を用いることができる。
ポリエステル樹脂(B)のジカルボン酸成分として用いる芳香族ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体が例示でき、これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および4,4’−ビフェニルジカルボン酸が好ましく用いられる。これらの芳香族ジカルボン酸化合物の、ジカルボン酸成分全体に対する割合は、60モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上である。また、ジカルボン酸成分にテレフタル酸を使用する場合、ジカルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合は70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。更に、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸に加えてイソフタル酸を使用する場合、その割合はジカルボン酸成分の総量に対して1〜10モル%、好ましくは1〜8モル%、更に好ましくは1〜6モル%である。イソフタル酸をジカルボン酸成分として上記に示した量を添加して得た共重合樹脂は結晶化速度が遅くなり、成形性を向上させることが可能となる。更に本発明において、ポリエステル樹脂(B)を製造する際には、本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸や、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を用いることができる。
一方、ポリエステル樹脂(B)のジオール成分として用いる脂肪族ジオール化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等およびこれらのエステル形成性誘導体が例示でき、これらの中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。ジオール成分中に占める脂肪族ジオール化合物の割合は70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。更に本発明において、ポリエステル樹脂(B)を製造する際には、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、環状アセタール骨格を有するジオール成分等を用いることもできる。
ポリエステル樹脂(B)の製造は、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂製造時の重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等が例示できるが、本発明のポリエステル系樹脂組成物やそれからなる成形体及び包装容器の黒ずみ低減効果は、アンチモン化合物を使用したポリエステル樹脂に対して適用される。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)合成時の触媒として使用するアンチモン化合物の量は、ポリエステル樹脂(B)中のアンチモン原子濃度として50〜400ppm、好ましくは70〜350ppm、さらに好ましくは100〜300ppmであることが望ましい。アンチモン原子濃度が50ppm以上であるとポリエステル樹脂の重縮合反応が速やかに進行するために、副生成物の生成を抑制し、さらには反応時間が短縮されるために工業的に非常に有利である。アンチモン原子濃度が400ppm以下であると、アンチモン化合物の還元による金属アンチモンの析出が抑制され、すなわち原料であるポリエステル樹脂の黒ずみが抑制されるために、該ポリエステル樹脂を用いて成形される成形品の商品価値が向上する。
本発明において好ましいポリエステル樹脂を例示すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4’−ビフェニルジカルボキシレート樹脂がある。特に好ましいポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)は、使用する前にポリマー中の水分率を200ppm以下、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下に乾燥させることが望ましい。本発明で用いるポリエステル樹脂(B)の極限粘度(フェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)には、特に制限はないが、通常0.5〜2.0dl/g、好ましくは0.6〜1.8dl/gであることが望ましい。極限粘度が0.5以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル系樹脂組成物からなる成形体や包装容器が構造物として必要な機械的性質を発現することができる。
本発明において用いるポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重合することにより得られるポリアミドであり、好ましくはメタキシリレンジアミンとアジピン酸からなる繰り返し単位を90モル%以上含むポリアミドである。上記のようなモノマー組成及び構造単位を有するポリアミドはポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル樹脂と成形加工性が近似するため、ポリエステル樹脂の加工性を損なわないので有利である。
本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン成分には、メタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミド樹脂は優れたガスバリヤー性を発現することができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミンとして、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分中には、アジピン酸が70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジカルボン酸成分中のアジピン酸が70モル%以上であると、ガスバリヤー性の低下や結晶性の過度の低下を避けることができる。アジピン酸以外に使用できるジカルボン酸として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、ポリアミド樹脂(A)の重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
また、ポリアミド樹脂(A)の重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
上記のポリアミド樹脂(A)は、溶融重縮合法により製造することができる。例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧状態で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、メタキシリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
上記のポリアミド樹脂(A)には、溶融成形時の加工安定性を高めるため、あるいはポリアミド樹脂の着色を防止するためにリン化合物が含まれる場合がある。リン化合物としては次亜リン酸、亜リン酸、リン酸の元素周期律表第1族または第2族金属または遷移金属のリン化合物が好適に使用され、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のリン酸塩、次亜リン酸塩あるいは亜リン酸塩が挙げられる。本発明においては、ポリアミド樹脂(A)にはリン化合物としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜リン酸塩を使用したものがポリアミドの着色防止効果に特に優れるため好ましく用いられる。十分な着色防止効果を得る為には、ポリアミド樹脂の合成時に含有するリン化合物の濃度はポリアミド樹脂中のリン原子濃度として150〜10000ppmである。
本発明に用いるポリアミド樹脂(A)の相対粘度(ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100mlに溶解し、25℃で測定した値)は1.83〜4.20、好ましくは2.02〜4.20、さらに好ましくは2.30〜4.20である。ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.83未満の場合には、本発明のポリエステル系樹脂組成物から成形体を成形する際に、溶融樹脂の流動性の不安定さから生じる溶融むらが顕著となり成形物の商品価値が低下する。ポリアミド樹脂(A)の相対粘度を上記範囲とすることで本発明のポリエステル系樹脂組成物から得られる成形体の成形性が著しく改善される。
本発明に用いるポリアミド樹脂(A)は、使用する前に水分率が0.10質量%以下、好ましくは0.08質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下になるよう乾燥することが望ましい。ポリアミド樹脂(A)の乾燥は、公知の方法により行うことができる。例えば、ベント付きの押出機でポリアミド樹脂を溶融押出する際にシリンダー内部を真空ポンプにより減圧にすることでポリマー中の水分を除去する方法、ポリアミド樹脂をタンブラー(回転式真空槽)中に仕込み、減圧下でポリマーの融点以下の温度で加熱して乾燥する方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に用いる元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる化合物(C)は、ポリアミド樹脂(A)に含まれるリン化合物と反応し得る化合物であれば、特に制限は無いが、リン化合物としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜リン酸塩が使用されることが多いことから、好ましくは、元素周期律表第1族または第2族または遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含む塩基性無機酸塩もしくは水酸化物であり、更に好ましくはpKb値が4.5以上の塩基性無機酸塩もしくは水酸化物である。このような化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等を例示することができるがこれに限定されるわけではなく、二種類以上の化合物を混合使用しても差し支えない。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)とアンチモン原子濃度が50〜400ppmとなるように調整されたアンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂(B)および化合物(C)とを溶融混合することで得られる。
該樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂(A)の濃度は、ガスバリヤー性の改善及び成形加工の安定性確保を目的として、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対して3〜40質量%とすることが好ましく、更に好ましくは5〜35質量%である。また、同じくポリエステル樹脂(B)の濃度は、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対して60〜97質量%、好ましくは、65〜95質量%である。
該樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂(A)の濃度は、ガスバリヤー性の改善及び成形加工の安定性確保を目的として、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対して3〜40質量%とすることが好ましく、更に好ましくは5〜35質量%である。また、同じくポリエステル樹脂(B)の濃度は、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対して60〜97質量%、好ましくは、65〜95質量%である。
本発明では式1の関係を満たす範囲において、式2の関係を満足するように、化合物(C)を添加することによりアンチモン金属の析出による黒ずみを押さえ、かつガスバリヤー性に優れたポリエステル系樹脂組成物を得ることが可能となる。
なお、式1において、P1×(M1/100)およびB1×(M2/100)は、それぞれ、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するリン原子濃度(ppm)およびアンチモン原子濃度(ppm)を表す。
また、式1の上限は8000であるのが好ましく、式2の上限は50であるのが好ましい。
なお、式1において、P1×(M1/100)およびB1×(M2/100)は、それぞれ、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するリン原子濃度(ppm)およびアンチモン原子濃度(ppm)を表す。
また、式1の上限は8000であるのが好ましく、式2の上限は50であるのが好ましい。
また、本発明のポリエステル系樹脂組成物をペレット化した際のペレットの明度は42以上である。明度が42未満の場合には、ポリアミド樹脂(A)を混合したことによる黒ずみ発生の度合いが大きく、外観が黒ずんだ成形体や包装容器となるため好ましくない。
尚、ここでいう明度とは、前記ペレットを篩にかけ、篩目7メッシュを通り抜け、篩目12メッシュでは通り抜け無いサイズのペレットを選別し、この選別されたペレットについて、JIS−K−7105に準じて、反射測定して求められる明度(L値)を表す。明度が低い値を示すほど、黒ずみが大きいものと判断される。
尚、ここでいう明度とは、前記ペレットを篩にかけ、篩目7メッシュを通り抜け、篩目12メッシュでは通り抜け無いサイズのペレットを選別し、この選別されたペレットについて、JIS−K−7105に準じて、反射測定して求められる明度(L値)を表す。明度が低い値を示すほど、黒ずみが大きいものと判断される。
また、本発明のポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂、具体的にはポリエチレンナフタレートやポリブチレンテレフタレート等の他のポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66等の他のポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン等が配合されていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂、および/またはポリアミド樹脂、またはそれらの溶融混合物等のリサイクル樹脂が配合されていてもよい。また、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、層状ケイ酸塩、コバルト、マンガン及び亜鉛の有機若しくは無機塩、ポリアミド樹脂のゲル化防止剤を加えることもできる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造は、従来公知の方法により混合、製造することができる。例えば、ポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)および化合物(C)とをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混合する方法が挙げられる。また必要に応じて上述の方法にて製造した溶融混合物をさらに固相重合することもできる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用した成形体及び包装容器の製造方法は、射出成形機やシート製造装置、フィルム製造装置等を利用して上述の方法で得た溶融混合物から成形体及び包装容器を製造することができるが、溶融混合物を製造する工程を経ずにポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)および化合物(C)とをドライブレンドしたものから上述の成形機を用いて直接成形体又は包装容器を製造しても良い。例えば、ポリエステル系樹脂組成物を射出成形後、ブロー成形することにより、包装容器を製造することができる。本発明のポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器は上述の方法に限定されること無く従来公知の様々な成形方法を用いて製造することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用した成形体及び包装容器の製造方法は、射出成形機やシート製造装置、フィルム製造装置等を利用して上述の方法で得た溶融混合物から成形体及び包装容器を製造することができるが、溶融混合物を製造する工程を経ずにポリアミド樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)および化合物(C)とをドライブレンドしたものから上述の成形機を用いて直接成形体又は包装容器を製造しても良い。例えば、ポリエステル系樹脂組成物を射出成形後、ブロー成形することにより、包装容器を製造することができる。本発明のポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器は上述の方法に限定されること無く従来公知の様々な成形方法を用いて製造することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物、それからなる成形体及び包装容器を製造する際の加工温度は特に制限はないが、ポリアミド樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が融解する温度よりも高く、かつ成形体及び包装容器が必要な機械的性質を保持できる温度であればよく、例えば240〜310℃、好ましくは260〜300℃、さらに好ましくは270〜290℃である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用してなる成形体及び包装容器は、該ポリエステル系樹脂組成物からなる層を一層以上備えたものである。成形体及び包装容器の形態は、フィルム及びこれからなる包装袋や蓋、シート及びこれからなるカップやトレイ、ボトル、チューブ等が挙げられる。またその層構成はポリエステル系樹脂組成物からなる単層構造でも良く、他の樹脂層を積層した多層構造でも良い。
多層構造を有する成形品及び包装容器の例としては、ポリエチレンテレフタレートからなる層とポリエステル系樹脂組成物からなる層が交互に積層した多層ボトルや、内側からポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン層/接着性ポリオレフィン層/ポリエステル系樹脂組成物からなる層/接着性ポリオレフィン層/ポリオレフィン層の多層構造を有するシート及びこれからなるトレイやカップ等の包装容器、ポリオレフィン層/接着性樹脂層/ポリエステル系樹脂組成物からなる層の多層構造を有するフィルム及びこれからなる包装袋等が挙げられるが、これらの例に限定されること無く、本発明のポリエステル系樹脂組成物は様々な多層構成を有する成形体及び包装容器に利用することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物を利用してなる成形体及び包装容器はガスバリヤー性に優れるポリアミド樹脂(A)を混合することにより、ポリエステル樹脂(B)のみからなる成形体及び包装容器と比較して優れたガスバリヤー性を発揮することができ、これらに保存される物品の保存性を高めることが可能となる。なお、該成形体及び包装容器に十分なガスバリヤー性を付与するためにはポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みは0.003〜5mmの範囲内に設定することが好ましく、更に好ましくは0.01〜4.5mmの範囲内である。ポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みを上記の範囲内に設定することで成形体や包装容器に十分なガスバリヤー性を付与することが可能となる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は特にボトル形状の成形体のように底面部及び口栓部等、部分的にその厚みが2mmを超えるものに対してその有効性を発揮できる。アンチモンの析出による黒ずみが顕著な材料を上記成形体に使用すると底面部及び口栓部等の厚みが厚い部分が黒ずんだ外観となるため、その商品価値が大幅に低下する。一方、本発明のポリエステル系樹脂組成物を使用した場合はガスバリヤー性の改善と共に成形体の部分的な黒ずみを解消することが可能となるため、その商品価値を大きく高めることができる。また、本発明のポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みが比較的薄く設定されるフィルム状の成形体においても、包装容器になる前の製品形態はロール状に巻かれて梱包されたものであり、例えば黒ずみが低減できていない材料を使用するとロール状の製品全体が黒ずんで見えるため、その商品価値は大幅に低下する。それに対して黒ずみが大幅に低減された本発明のポリエステル系樹脂組成物を使用した場合はロール状の製品の外観は良好であり、その商品価値が大きく高められることは明らかである。
更に、近年ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂組成物は、リサイクル使用される傾向にあるが、本発明のポリエステル系樹脂組成物では、混合するポリエステル系樹脂として特定のものを選ばずとも、リサイクル処理時に金属触媒の析出が無い為にフィルターの目詰まりが低減され、リサイクル性が優れる。
このようにして得られた成形体及び包装容器は、ガスバリヤー性に優れ、かつ黒ずみが少なく外観美麗性に優れたものであり、例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができる。
以下、実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例で採用した評価法は以下の通りである。
<評価方法>
(1)相対粘度
ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(イ)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
(1)相対粘度
ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(イ)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
(2)水分率(質量%)
水分率の測定は、三菱化学(株)製カールフィッシャー微量水分測定装置(CA−05型)および気化装置(VA−05型)を用い、融点温度で30分の気化条件で水分量を定量し、水分率を求めた。
水分率の測定は、三菱化学(株)製カールフィッシャー微量水分測定装置(CA−05型)および気化装置(VA−05型)を用い、融点温度で30分の気化条件で水分量を定量し、水分率を求めた。
(3)アンチモン原子濃度
ポリエステル樹脂について湿式灰化装置により湿式灰化(硫酸、硝酸)を行った。灰化試料を用いて原子吸光法によりポリエステル樹脂中のアンチモン原子濃度を定量した。
ポリエステル樹脂について湿式灰化装置により湿式灰化(硫酸、硝酸)を行った。灰化試料を用いて原子吸光法によりポリエステル樹脂中のアンチモン原子濃度を定量した。
(4)明度
成形体及び包装容器の黒ずみ変化を測定する尺度として、明度(L値)を測定した。二軸混錬押出し機により成形、ペレット化したものうち、篩目7メッシュを通り抜け、篩目12メッシュを通らないものについて、JIS−K−7105に準じて、反射測定により明度(L値)を測定した。ペレットの明度が低い値を示すほど、黒ずみが大きいものと判断される。明度の測定装置は、日本電色工業社製の色差測定装置(型式:Z−II OPTICAL SENSOR)を使用した。
成形体及び包装容器の黒ずみ変化を測定する尺度として、明度(L値)を測定した。二軸混錬押出し機により成形、ペレット化したものうち、篩目7メッシュを通り抜け、篩目12メッシュを通らないものについて、JIS−K−7105に準じて、反射測定により明度(L値)を測定した。ペレットの明度が低い値を示すほど、黒ずみが大きいものと判断される。明度の測定装置は、日本電色工業社製の色差測定装置(型式:Z−II OPTICAL SENSOR)を使用した。
(5)酸素透過係数
延伸フィルムについて、23℃、相対湿度60%雰囲気下にて、ASTM D3985に準じて測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。
延伸フィルムについて、23℃、相対湿度60%雰囲気下にて、ASTM D3985に準じて測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。
<実施例1>
アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、リン原子濃度が325ppmとなるように次亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られたポリアミドMXD6(以下、PA1と略す。水分率:0.03質量%、相対粘度:2.79)と、ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(以下、PET1と略す。MPIポリエステルインダストリ(株)製、グレード:GS080A、アンチモン原子濃度:230ppm)の乾燥したペレットをブレンド比(PA1/PET1、質量比)が20/80となるように用意し、更に水酸化カルシウム(和光純薬(株)製 特級 純度96%)をPA1及びPET1の総量に対して、1000ppmとなるように添加し、タンブラーにより混合した。
この混合物を、二軸混錬押出し機(東芝機械(株)製 TEM37BS)を用い、シリンダー温度270〜280℃、スクリュー回転数100rpm、押し出し速度15Kg/hr、ベントは真空ポンプにより減圧として、押出し成形を行い、ペレタイザー(いすず化工機(株)製 SCF―150)によりペレット化した。得られたペレットの明度を表1に示す。
アジピン酸とメタキシリレンジアミンを原料とし、リン原子濃度が325ppmとなるように次亜リン酸ナトリウムを使用して重合させて得られたポリアミドMXD6(以下、PA1と略す。水分率:0.03質量%、相対粘度:2.79)と、ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(以下、PET1と略す。MPIポリエステルインダストリ(株)製、グレード:GS080A、アンチモン原子濃度:230ppm)の乾燥したペレットをブレンド比(PA1/PET1、質量比)が20/80となるように用意し、更に水酸化カルシウム(和光純薬(株)製 特級 純度96%)をPA1及びPET1の総量に対して、1000ppmとなるように添加し、タンブラーにより混合した。
この混合物を、二軸混錬押出し機(東芝機械(株)製 TEM37BS)を用い、シリンダー温度270〜280℃、スクリュー回転数100rpm、押し出し速度15Kg/hr、ベントは真空ポンプにより減圧として、押出し成形を行い、ペレタイザー(いすず化工機(株)製 SCF―150)によりペレット化した。得られたペレットの明度を表1に示す。
更に、上記ペレットを減圧乾燥機にて150℃、5hr減圧乾燥した後に、無延伸及び延伸フィルムを成形した。
無延伸フィルムは、単軸のフルフライトタイプのスクリューを有し、T型ヘッドを装備した押出し機(ラボプラストミル((株)東洋精機製 ))を用い、シリンダー温度265〜280℃、冷却ロール温度70℃にてフィルム成形した。
更に、この無延伸フィルムを二軸延伸機(東洋精機(株)製)にて、延伸倍率3.5×3.5、延伸予熱温度100℃、予熱時間30秒でテンター法により同時二軸延伸を行い、240℃にて熱固定して延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
無延伸フィルムは、単軸のフルフライトタイプのスクリューを有し、T型ヘッドを装備した押出し機(ラボプラストミル((株)東洋精機製 ))を用い、シリンダー温度265〜280℃、冷却ロール温度70℃にてフィルム成形した。
更に、この無延伸フィルムを二軸延伸機(東洋精機(株)製)にて、延伸倍率3.5×3.5、延伸予熱温度100℃、予熱時間30秒でテンター法により同時二軸延伸を行い、240℃にて熱固定して延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
<実施例2>
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、311ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、311ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
<実施例3>
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、466ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、466ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
<比較例1>
水酸化カルシウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
水酸化カルシウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
<比較例2>
水酸化カルシウムの代わりに炭酸水素ナトリウム(和光純薬(株)製 特級 純度96%)を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して1000ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
水酸化カルシウムの代わりに炭酸水素ナトリウム(和光純薬(株)製 特級 純度96%)を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して1000ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
<比較例3>
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、156ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
水酸化カルシウムの添加量を、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の総量に対して、156ppmとした以外は実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを得た。ペレットの明度および延伸フィルムの酸素透過係数を表2に示す。
以上の実施例から明らかなように、ポリアミド樹脂中に含まれる化合物(C)である水酸化カルシウムが式2の関係を満たす実施例1〜3にあっては、比較例1に示した化合物(C)無添加の例と比較してガスバリヤー性は同等であるものの、ポリエステル樹脂中のアンチモン原子の析出による黒ずみの発生が抑制されており、外観が改善されその商品価値は高いものであった。
一方、ポリアミド樹脂中に含まれる化合物(C)である水酸化カルシウムの添加量が式2の関係を満たさない比較例3及び化合物(C)に変えて炭酸水素ナトリウムとした比較例2では、ポリエステル樹脂中のアンチモン原子の析出による黒ずみが発生しており、外観が悪化していた。
Claims (13)
- メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られ、且つリン化合物を含むポリアミド樹脂(A)と、アンチモン化合物をアンチモン原子濃度として50〜400ppm含むポリエステル樹脂(B)、および元素周期律表第1族または第2族または遷移金属の無機酸塩もしくは水酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物であって、下記の式1および式2の関係を満足し、且つポリエステル系樹脂組成物をペレット化した際のペレットの明度が42以上であることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミンを90モル%以上含むジアミン成分と、アジピン酸を90モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られたものである請求項1記載のポリエステル系樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)に含まれるリン化合物が、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸の元素周期律表第1族または第2族金属または遷移金属の塩である請求項1または2記載のポリエステル系樹脂組成物。
- ポリエステル樹脂(B)が、テレフタル酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを70モル%以上含むジオール成分とを重縮合して得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
- ジカルボン酸成分が、イソフタル酸を1〜10モル%含むものである請求項4記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 化合物(C)が、塩基性化合物であり、且つ該化合物のpKb値が4.5以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 化合物(C)が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、および酢酸バリウムからなる群より選ばれた少なくとも一の化合物である請求項6記載のポリエステル系樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有する成形体。
- 前記ポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みが、0.003〜5mmの範囲である請求項8記載の成形体。
- 成形体が、フィルム状又はシート状である請求項8または9記載の成形体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物を成形して得られる包装容器。
- 包装容器が、2mm以上の厚みの口栓部を有する中空成形体である請求項11記載の包装容器。
- 包装容器が、ポリエステル系樹脂組成物を射出成形後、ブロー成形して得られたものである請求項11又は12記載の包装容器
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JP2010254811A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 樹脂組成物および包装材料 |
WO2017002931A1 (ja) * | 2015-07-02 | 2017-01-05 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | カップ型多層容器 |
-
2003
- 2003-09-16 JP JP2003322481A patent/JP2004131723A/ja active Pending
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WO2017002931A1 (ja) * | 2015-07-02 | 2017-01-05 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | カップ型多層容器 |
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