JPWO2012086747A1 - ヘッドレストの前後位置調整装置 - Google Patents

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Abstract

乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体と、変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える前後位置調整装置であり、ロック機構は、変位体と一体的に前後方向に変位する係合部と、係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に係合部が係合される被係合部と、を有しており、係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。これにより、ヘッドレストが分厚くなることを抑制でき、前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。

Description

本発明は、車両用シートに設けられたヘッドレストの前後位置の調整を行うための前後位置調整装置に関する。
車両用シートのヘッドレストは、シート着座時における快適性の向上と、車両衝突時の頭部支持による安全性の向上等のために設けられている。
ヘッドレストにより得られる快適性や安全性は、ヘッドレストが乗員の頭部に対して適切な位置であることが重要となる。そこで、ヘッドレストピラーによるヘッドレストの高さ調整だけでなく、前後方向の位置も調整できる技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平08−052044号公報
ところが、特許文献1の前後位置調整装置を構成するためには、ヘッドレストの前後方向にわたって設けられる長尺なシャフトや、ヘッドレストの左右方向にわたって設けられる長尺なフレームのように比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品が必要となる。そして、このように大きな部品や、細工が施された部品を多く用いるとなると、全体の構造が複雑になるだけでなく、重量が大きくなる場合がある。
本発明の課題は、従来に比して軽量かつ簡易に構成されたヘッドレストの前後位置調整装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体と、
前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備えており、
前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部と、
前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部と、を有しており、
前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
ヘッドレストピラーに固定される下部ブラケットと、
ヘッドレストのインナーカバーに固定される前記変位体としての上部ブラケットと、
これら下部ブラケットと上部ブラケットとにそれぞれ枢結されるとともに、前記上部ブラケットを、車両用シートの前後方向に沿って移動させる一方および他方のリンクと、
前記上部ブラケットを、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えており、
前記ロック機構は、前記一方のリンクの上部ブラケットと対向する側壁に、該一方のリンクの回転方向に沿って並設される前記複数の被係合部と、
前記上部ブラケットの一方のリンクと対向する側壁のうち、前記一方のリンクの回転に伴う複数の被係合部の回転軌道上に設けられる貫通孔と、
前記貫通孔を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数の被係合部に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部を少なくとも含むロック部材と、を有していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記ロック部材は、前記ロックピン部と、
前記ロックピン部と平行に配置されるとともに、前記上部ブラケットを左右に貫通して形成されたシャフト挿通孔に挿通されるシャフト部と、
これらロックピン部とシャフト部とを連結するとともに、前記ロックピン部の抜き差し動作に伴って前記上部ブラケットの側壁から当接・離間する連結部と、から構成されており、
前記シャフト部には、このシャフト部を、前記連結部を上部ブラケットの側壁に当接させ、かつ前記ロックピン部を被係合部に差し込む方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記上部ブラケットの側壁には、外側に向かって段状に突出するとともに、前記貫通孔が形成される段状部が設けられており、
前記シャフト部の、前記付勢部材による付勢方向とは反対の方向へのストロークは、前記ロックピン部が貫通孔から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記ロックピン部は、本体軸部と、
前記本体軸部の先端に設けられるとともに、ロックピン部の軸方向先端に向かって縮径するテーパ部と、
前記テーパ部の先端に設けられるとともに、前記本体軸部よりも小径に設定された先端軸部とを有しており、
前記被係合部の孔壁は、前記ロックピン部のテーパ部を受けるテーパ受け面と、
前記先端軸部を受ける先端受け面とからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記上部ブラケットと下部ブラケットとの間には、前記上部ブラケットを下部ブラケット側に引き寄せる方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記ロックピン部と、シャフト部と、連結部とは一体形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
前記連結部は、両端部に、前記ロックピン部とシャフト部とがそれぞれ一体的に設けられる屈曲部と、これら屈曲部間に設けられる直線部とからなり、
前記上部ブラケットの段状部には、外側に向かって突出するとともに、前記ロックピン部の被係合部への差し込み時に、前記連結部の直線部に少なくとも一点で当接する凸部が設けられていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のヘッドレストの前後位置調整装置において、
ヘッドレストピラーに支持されるロックブラケットと、
前記ヘッドレストピラーに前後方向に位置調整可能に取り付けられるとともに、乗員の頭部を受ける前記変位体としてのヘッドレストフレームと、
前記ヘッドレストフレームを、前記ロックブラケットに対して前後方向に複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えており、
前記ロック機構は、前記ロックブラケットの突端部に形成されるとともに、前記ヘッドレストフレームの移動方向に沿って交互に配置される前記被係合部としての複数の係合歯および複数の凹溝を備えるラチェット部と、
前記ヘッドレストフレームに保持されるとともに左右方向に配置され、前記ヘッドレストフレームの移動に伴って前記複数の係合歯に噛み合うように付勢される前記係合部を少なくとも含むロック部材と、を有しており、
前記ロックブラケットは、前記ラチェット部よりもロックブラケットの突出方向先端側にラチェット部から離間して配置されるとともに、ロックブラケットの突端部の前端と後端とを連結する連結部を備えていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のヘッドレストにおいて、
前記複数の係合歯のうち、最後端に位置する係合歯の後端面と、前記連結部の後端部のラチェット部側面は互いに対向しており、前記連結部のラチェット部側面は、前記係合歯の後端面に沿って設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載のヘッドレストにおいて、
前記連結部の後端部は、前記ヘッドレストフレームの最前傾時に、このヘッドレストフレームの背面部に最も近接するように設定されており、
前記複数の係合歯は前方に傾斜しており、前記連結部の後端部のラチェット部側面は、前記複数の係合歯に対応して前方に傾斜していることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載のヘッドレストにおいて、
前記ヘッドレストフレームの背面部には、前記連結部の後端部と対向するとともに、このヘッドレストフレームの外側面から後方に向かって突出する後方突出部が設けられており、この後方突出部のヘッドレストフレーム内部側には凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12のいずれか一項に記載のヘッドレストにおいて、
前記ロックブラケットには、前記ラチェット部よりもヘッドレストピラー側に、前記ラチェット部の前後方向長さよりも短く設定された長孔が形成されていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項9〜13のいずれか一項に記載のヘッドレストにおいて、
前記ヘッドレストフレームとヘッドレストピラーとの間には、前記ヘッドレストフレームをヘッドレストピラーに引き寄せる方向に付勢する複数の付勢部材が設けられており、
前記複数の付勢部材は、前記ヘッドレストピラーの左右方向に互いに離間して配置されており、前記ロックブラケットは、これら複数の付勢部材間に位置するようにして前記ヘッドレストピラーに固定されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、係合部の軌道上に複数設けられた被係合部に対して係合部を係合させるだけで変位体の前後方向の位置を調整できる。さらに、係合部は、被係合部に対して横から係合するように構成されているので、例えば従来のようなヘッドレストの前後方向にわたって設けられる長尺なシャフトが必要なくなり、ヘッドレストが前後方向に長くなる、すなわち、分厚くなることを抑制できる。
これにより、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、一方および他方のリンクの回転に応じて上部ブラケットを前後移動させることができるので、この上部ブラケットが固定されたヘッドレストのインナーカバーも同時に前後移動させることができる。
また、ロックピン部は、複数の被係合部の回転軌道上に設けられた貫通孔を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、複数の被係合部に抜き差し操作されるので、このロックピン部を、複数の被係合部のいずれかに差し込んだ状態では一方のリンクの回転を停止させて上部ブラケットの前後移動をロックすることができ、複数の被係合部から抜いた状態では一方のリンクを回転させて上部ブラケットの前後移動のロックを解除することができる。
これにより、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、シャフト部を、シャフト挿通孔に沿って、付勢部材による付勢方向とは反対の方向に押し込むことによって、ロックピン部を被係合部から抜き出す方向に操作できるとともに、連結部を上部ブラケットの側壁から離間させる方向に操作できる。また、シャフト部は、付勢部材により付勢されているので、シャフト挿通孔に沿って押し込む操作を止めることで、ロックピン部を被係合部に差し込むことができるとともに、連結部を上部ブラケットの側壁に当接させることができる。
また、シャフト部は上部ブラケットを左右に貫通し、さらに付勢部材によって付勢されているので、上部ブラケットからの抜脱を防ぐことができ、これにより、ロック部材自体の上部ブラケットからの脱落も防ぐことができる。
また、連結部が上部ブラケットの側壁に当接するので、この連結部を、付勢部材によって付勢されたロックピン部が、複数の被係合部に必要以上に深く差し込まれるのを防ぐストッパーとすることができる。
さらに、ロック部材を、ロックピン部と、シャフト部と、連結部とから構成された比較的小さな部品とすることができるので、ヘッドレストの前後位置調整装置の軽量化および構成の簡素化に寄与することができる。
請求項4に記載の発明によれば、シャフト部のストロークは、ロックピン部が貫通孔から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されているので、シャフト部を、ロックピン部が貫通孔から抜脱する方向に操作しても、ロックピン部が貫通孔から抜脱することを確実に防ぐことができる。さらに、段状部は上部ブラケットの側壁から外側に向かって突出した位置に設けられ、貫通孔はこの段状部に形成されているので、ロックピン部を貫通孔から抜脱する方向に移動させた際の該貫通孔は、ロックピン部の先端よりも、より基端側に近い部分に位置することになる。これによって、ロックピン部が貫通孔から抜脱することをより確実に防ぐことができる。
請求項5に記載の発明によれば、ロックピン部を被係合部に差し込むことにより、該ロックピン部のテーパ部と被係合部の孔壁のテーパ受け面とを当接させることができるとともに、先端軸部と先端受け面とを当接させることができる。これによって、ロックピン部を被係合部に確実に差し込むことができるとともに、ガタや雑音の発生を抑えることができる。
また、ロックピン部の先端軸部と、被係合部の孔壁の先端受け面とが当接することから、例えばロックピン部に対して捩れ方向に力が加わった際に、捩れ方向に変位しようとするロックピン部の動作を、先端受け面で受け止めることができる。すなわち、先端軸部を先端受け面の部分から抜く際は、先端軸部の軸方向に沿って引き抜く必要があり、ロックピン部に対して捩れ方向に力が加わったとしても、ロックピン部が被係合部から抜けにくくなる。
請求項6に記載の発明によれば、上部ブラケットと下部ブラケットとの間には、上部ブラケットを下部ブラケット側に引き寄せる方向に付勢する付勢手段が設けられているので、上部ブラケットは、前後移動させる際も下部ブラケット側に引き寄せられた状態となり、各部材の接触等により生じる騒音を抑制することができる。
請求項7に記載の発明によれば、ロックピン部と、シャフト部と、連結部とは一体形成されているので、一体形成しない場合に比して部品点数を削減できるとともに、ロックピン部とシャフト部とを連結部で連結するような手間を省略できる。
請求項8に記載の発明によれば、ロックピン部の被係合部への差し込み時に、凸部を連結部の直線部に当接させることができるので、連結部の屈曲部を、上部ブラケットの段状部から離間させた状態にすることができ、これによって、例えば凸部が無い状態で、屈曲部が貫通孔やシャフト挿通孔の縁部に引っ掛かってしまうことを確実に防ぐことができる。
また、上部ブラケットの段状部には、外側に向かって突出する凸部が設けられているので、この凸部が設けられる段状部の周囲の剛性を高めることができる。
請求項9に記載の発明によれば、ヘッドレストピラーに支持されるロックブラケットの複数の係合歯に対して、ロック部材は、左右方向に配置されて横から複数の係合歯に噛み合うことになる。すなわち、前後方向や上下方向ではなく左右方向に配置されたロック部材をヘッドレストフレームとともに前後方向に移動させることになるので、ロック部材が前後方向や上下方向に移動するスペースを極力小さくすることができる。これによって、ヘッドレストが前後方向や上下方向に大型化することを抑制でき、ヘッドレストのコンパクト化に貢献できる。
また、ロックブラケットの突端部には連結部が設けられているので、ラチェット部付近の剛性が向上し、このラチェット部付近の変形を抑制することができる。これによって、ラチェット部付近やロックブラケットの剛性を向上させるために、ロックブラケットの厚みを厚くしたり、その他の補強構造を設けたりする必要が無いので、ロックブラケットの大型化に伴ってヘッドレスト自体が大型化してしまうことを抑制できる。
したがって、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、最後端に位置する係合歯の後端面と、連結部の後端部のラチェット部側面とが、互いに対向しており、連結部のラチェット部側面は、係合歯の後端面に沿って設けられているので、ロック部材が、これら係合歯と連結部の後端部との間をスムーズに通過することが可能となり、ロック部材の通過時に異音等が発生することを抑制できる。
請求項11に記載の発明によれば、複数の係合歯は前方に傾斜しており、連結部の後端部は、複数の係合歯に対応して前方に傾斜しているので、ロックブラケットの突端部の後端は角が削られたような状態となる。すなわち、ヘッドレストフレームの背面部に最も近接するように設定される連結部の後端部が、ヘッドレストフレームの最前傾時に、このヘッドレストフレームの背面側に大きく突出することを防ぐことができるので、ヘッドレストが前後方向に大型化することを抑制できる。これによって、ヘッドレストのコンパクト化に、より貢献できる。
請求項12に記載の発明によれば、ヘッドレストフレームの背面部に設けられた後方突出部には凹部が形成されているので、この後方突出部に対向する連結部の後端部を、ヘッドレストフレームに近接配置することが可能となる。これによって、ヘッドレストフレームの背面部のうち、後方突出部以外の部分を、後方突出部よりも突出させずに済むので、ヘッドレストの大型化を抑制できる。これによって、ヘッドレストのコンパクト化に、より一層貢献できる。
請求項13に記載の発明によれば、ロックブラケットに長孔を形成することによって、その分、ロックブラケットの軽量化に貢献でき、延いてはヘッドレスト自体の軽量化に貢献できる。
さらに、この長孔は、ラチェット部の前後方向長さよりも短く設定されているので、例えばラチェット部の前後方向長さよりも長い場合に比して、ラチェット部の剛性の低下を抑制できる。
また、ラチェット部よりもヘッドレストピラー側に長孔が形成されているので、この長孔によるラチェット部の荷重の吸収効果も期待できる。
請求項14に記載の発明によれば、ロックブラケットが、横軸部の長さ方向に互いに離間して配置された複数の付勢部材間に位置するようにして横軸部に固定されているので、ヘッドレストフレームに対して捻れや傾き等を生じさせないようにバランス良く付勢力を付与できる。これによって、ヘッドレストフレームを良好な状態で取り付けできるので、ヘッドレストフレームの安定した支持が可能となる。
前後位置調整装置を収納した状態のヘッドレストのインナーカバーを示す斜視図である。 前後位置調整装置の一例を示す斜視図である。 図2に示す前後位置調整装置の分解斜視図である。 一方および他方のリンクを示す断面図である。 ロック機構の一例であり、ロック時の状態を示す断面図である。 ロック機構の一例であり、ロック解除時の状態を示す断面図である。 ロックピン部およびロック用孔の形状および差込状態を示す断面図である。 図2に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図2に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図2に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 前後位置調整装置の他の一例を示す斜視図である。 ロック機構の一例であり、ロック時の状態を示す断面図である。 ロック機構の一例であり、ロック解除時の状態を示す断面図である。 図8に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図8に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図8に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図8に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 前後位置調整装置の他の一例を示す斜視図である。 図11に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図11に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図11に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図11に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 前後位置調整装置の他の一例を示す斜視図である。 ロック機構の一例であり、ロック時の状態を示す断面図である。 ロック機構の一例であり、ロック解除時の状態を示す断面図である。 図13に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図13に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図13に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図13に示す前後位置調整装置の動作を示す説明図である。 図13に示す前後位置調整装置を収納するインナーカバーの分解図である。 インナーカバーの外観を示す斜視図である。 前側カバーを示す正面図である。 後側カバーを示す正面図である。 前面固定部を前側カバーの内壁面に固定する状態を示す断面図である。 前側カバーの内壁面に固定された前面固定部を後側カバーによって押さえつける状態を示す断面図である。 ヘッドレストフレームの正面部を示す後方斜視図である。 同、正面図である。 同、左側面図である。 ヘッドレストフレームの背面部を示す前方斜視図である。 同、後方斜視図である。 ヘッドレストフレームに取り付けられるボタンを示す分解図である。 ヘッドレストフレームに収容される可動機構の主要部を示す後方斜視図である。 図28に示す可動機構とは異なる形態の可動機構を示す後方斜視図である。 ロック部材の取り付け状態を示す断面図である。 ガイド部材の取り付け状態を示す断面図である。 ロック部材のヘッドレストフレームへの取り付け状態を示す後方斜視図である。 連結部材挿入部を示す拡大図である。 ロック部材が係合される第一係合部を示す斜視図である。 付勢部材の一端部が係合される第二係合部を示す拡大図である。 付勢部材の他端部が係合される他端部係合部材を示す拡大図である。 他端部係合部材の取り付け状態を示す図である。 他端部係合部材の取り付け状態を示す図である。 ヘッドレストフレームの正面部の動作状態を示す図である。 ヘッドレストフレームの正面部の動作状態を示す図である。 ヘッドレストフレームの正面部の動作状態を示す図である。 ヘッドレストフレームの正面部の動作状態を示す図である。 ロック部材とラチェット部との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体(上部ブラケット120)と、前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える。また、前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部(ロックピン部161)と、前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部(ロック用孔133)と、を有する。そして、前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。
以下、本実施の形態について、より詳細に説明する。
図1は車両用シートのシートバック上端部に設けられるヘッドレストのインナーカバー20を示す斜視図であり、図2は本発明に係る前後位置調整装置100の一例を示す斜視図である。
図1において符号10は、ヘッドレストピラーを示す。このヘッドレストピラー10は、左右に離間する一対のサイドピラー11,11と、これらサイドピラー11,11の上端部間に一体形成される上部ピラー12とを備える。上部ピラー12は、中央部12aがサイドピラー11,11の上端部よりも上斜め前方に位置するように屈曲した形状となっている。
この上部ピラー12の中央部12a上部に、前後位置調整装置100が取り付けられている。また、この前後位置調整装置100は、前記インナーカバー20の内部に収納されている。
前記インナーカバー20は、車両用シートの前後方向の前側に位置する前側カバー30と、後側に位置する後側カバー40とに分割形成されている。
また、インナーカバー20は、図示しないパッド64によって被覆されるものとする。
前後位置調整装置100は、図2および図3に示すように、前記ヘッドレストピラー10に固定される下部ブラケット110と、前記インナーカバー20に固定される前記変位体としての上部ブラケット120と、これら下部ブラケット110と上部ブラケット120とにそれぞれ枢結されるとともに略平行に配置され、前記上部ブラケット120を、車両用シートの前後方向に沿って移動させる一方および他方のリンク130,140と、前記上部ブラケット120を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えている。
なお、前記インナーカバー20の側面には、ロック機構によるロックを解除するための操作部であるボタン61が設けられている。また、ボタン61は、このボタン61を保持するとともに該ボタン61周囲を装飾する装飾部63によってインナーカバー20に保持されている。
下部ブラケット110は、図2,図3,図7A,図7B,図7Cに示すように、互いに対向する一対の側壁111,112と、これら側壁111,112の前側端部間に一体的に設けられる前面壁113と、前記側壁111,112の下側端部間に一体的に設けられる下面壁115と、前記側壁111,112と前面壁113と下面壁115とで形成される角部を、該角部の長さ方向に凹状に切り欠くことによって形成された切欠凹部116とを有している。
前記切欠凹部116は、前記上部ピラー12の中央部12aの外周面に合わせて湾曲して形成されており、該中央部12aに密着するように設定されている。
また、前記側壁112の後側端部には、後述する付勢手段154の下端部が取り付けられる取付部114が、側壁112表面から側方に突出するようにして一体的に設けられている。
上部ブラケット120は、図2,図3,図5A,図5B,図7A,図7B,図7Cに示すように、ブラケット本体121と、このブラケット本体121の前端部に一体的に設けられるとともに、前記インナーカバー20の前側カバー30の内壁面に固定される前面固定部126とを有している。
また、前記ブラケット本体121は、前記前面固定部126と直交して設けられるとともに、互いに対向する一対の側壁122,123を備えている。
これら一対の側壁122,123は、前端部に向かうにつれて斜め上方に徐々にせり上がるような屈曲形状となっており、ブラケット本体121の前端部に設けられる前面固定部126は、各枢結部やロック機構が設けられるブラケット本体121の部位よりも上方に位置している。
前面固定部126は、前記インナーカバー20の前側カバー30の内壁面に固定されるプレート状のものであり、中央部には剛性を高めるためのビード126aが形成されている。
また、前記両側壁122,123の周縁部にはフランジ127が形成されている。
さらに、前記側壁123の中央部付近の上部に位置するフランジ127には、後述する付勢手段154の上端部が取り付けられる取付部128が、フランジ127から側方に突出するようにして一体的に設けられている。
一方のリンク130は前方に配置されており、他方のリンク140は後方に配置されている(以下、前方リンク130・後方リンク140と称する)。
これら前方リンク130および後方リンク140は、図2〜図4,図7A,図7B,図7Cに示すように、前記下部ブラケット110と上部ブラケット120とにそれぞれ枢結されるとともに略平行に配置されていることから、これら前方リンク130および後方リンク140と、前記下部ブラケット110と、前記上部ブラケット120とを含む前後位置調整装置100は、いわゆる“平行リンク機構”として構成されていることになる。
なお、本実施の形態においては、前方リンク130および後方リンク140を略平行に配置したが、これに限るものではなく、例えばハの字型に配置してもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、前方リンク130および後方リンク140は、それぞれ、開口部130a,140aを有する断面略コ字型に形成され、これら前方リンク130および後方リンク140は、開口部130a,140aを前方に向けるようにして配置されている。
前方リンク130は、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁131,135と、これら側壁131,135の後側端部間に一体的に設けられる中央壁136とを備えている。また、この前方リンク130の側壁131には、前方リンク130および後方リンク140の前方への回転を規制するためのストッパー部134が前方に突出するようにして一体的に設けられている。
後方リンク140は、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁141,142と、これら側壁141,142の後側端部間に一体的に設けられる中央壁143とを備えている。また、この中央壁143には、下面壁115に当接するストッパー部144が一体的に設けられている。
また、図2,図3,図7A,図7B,図7Cに示すように、前記下部ブラケット110と前方リンク130との枢結部は、下部ブラケット110と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置している。
さらに、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部は、上部ブラケット120と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置している。
すなわち、各ブラケット110,120と各リンク130,140との枢結部は、後方よりも前方の方が高い位置に設けられ、斜めに並んで配置された状態となっている。これに伴い、前記前方リンク130も、前記後方リンク140より高い位置に設けられることになり、これら前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最後端の位置にある場合には、図7Cに示すように、後方リンク140の上に、前方リンク130が重なり合うような状態となる。
また、各ブラケット110,120と各リンク130,140との枢結部が斜めに並んで配置されたことに伴い、前記上部ブラケット120も斜めに設けられている。
また、この上部ブラケット120のブラケット本体121の前端部は、前記前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最後端の位置にある場合に、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部よりも前方に突出している。より詳細には、図7Cに示すように、前記前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最後端の位置にある場合に、前記前面固定部126が、水平方向において前後位置調整装置100自体の最前部に位置しており、前記ブラケット本体121の後端部が、水平方向において前後位置調整装置100自体の最後部に位置している。
なお、各枢結部は、各ブラケット110,120および各リンク130,140を貫通するリベット孔150a,151a,152a,153aにリベット150,151,152,153を挿通させ、該リベット150,151,152,153の挿通方向先端をかしめることによって構成されている。
すなわち、前記下部ブラケット110と前方リンク130との枢結部は、これら下部ブラケット110と前方リンク130とを貫通するリベット孔150aに、リベット150が挿通され、該リベット150の挿通方向先端がかしめられることによって構成されている。
また、前記下部ブラケット110と後方リンク140との枢結部は、これら下部ブラケット110と後方リンク140とを貫通するリベット孔151aに、リベット151が挿通され、該リベット151の挿通方向先端がかしめられることによって構成されている。
また、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部は、これら上部ブラケット120と前方リンク130とを貫通するリベット孔152aに、リベット152が挿通され、該リベット152の挿通方向先端がかしめられることによって構成されている。
また、前記上部ブラケット120と後方リンク140との枢結部は、これら上部ブラケット120と後方リンク140とを貫通するリベット孔153aに、リベット153が挿通され、該リベット153の挿通方向先端がかしめられることによって構成されている。
また、前記上部ブラケット120と下部ブラケット110との間には、図2および図3に示すように、前記上部ブラケット120を下部ブラケット110側に引き寄せる方向に付勢する付勢手段154が設けられている。
この付勢手段154としてはコイルばねが用いられており、このコイルばね154の下端部は、前記下部ブラケット110に設けられた取付部114に取り付けられており、上端部は、前記上部ブラケット120に設けられた取付部128に取り付けられている。
なお、このコイルばね154によって下部ブラケット110と上部ブラケット120とが互いに引き寄せられているため、ロック機構によって上部ブラケット120の移動をロックしない状態においては、図7Cに示すような、後方リンク140の上に、前方リンク130が重なり合うように近接するとともに、上下ブラケット110,120同士が近接する状態となる。
ロック機構は、図2〜図7A,図7B,図7Cに示すように、前記前方リンク130の上部ブラケット120と対向する側壁131に、該前方リンク130の回転方向に沿って並設される前記被係合部としての複数のロック用孔133…と、前記上部ブラケット120の前方リンク130と対向する側壁122のうち、前記前方リンク130の回転に伴う複数のロック用孔133…の回転軌道上に設けられる貫通孔124と、この貫通孔124を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔133…に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部161を少なくとも含むロック部材160と、を有している。
また、このロック機構は、前記前方リンク130の側壁131の上端部に一体的に設けられるとともに前記複数のロック用孔133…が形成されたロックプレート132を有している。
このロックプレート132は、前記前方リンク130の側壁131よりも幅広に、かつ該側壁131の前側縁よりも前方に突出するようにして形成されている。また、ロックプレート132に対し、前記複数のロック用孔133…は、このロックプレートの幅方向一端から他端にかけて、かつ前記前方リンク130の回転方向に沿って並設されるようにして形成されている。
前記複数のロック用孔133…は、前記ロックプレート132に対し、該ロックプレート132の厚み方向に貫通するようにして形成されている。また、本実施の形態のロック用孔133は、前記ロックプレート132に対して3つ設けられている。ただし、ロック用孔133の数は複数であればよく、これに限定されるものではない。
なお、ロックプレート132および複数のロック用孔133…はロック機構を構成するものであるため、ロックプレート132が設けられた前方リンク130には、後方リンク140に比して外部からの力を受けやすい場合がある。
そこで、前方リンク130の上端部には、図3に示すように、前記ロックプレート132を含む側壁131の上端部と、前記中央壁136の上端部とに一体形成される補強壁137が設けられている。すなわち、前記前方リンク130を作製するにあたり、前記ロックプレート132を含む側壁131と中央壁136と補強壁137とは、前方リンク130の材料である鋼材を絞り加工するなどして形成されている。なお、側壁131と対向する側壁135は、前記中央壁136と一体形成され、折り曲げ加工されるなどして形成されている。
前記貫通孔124は、図5A,図5Bに示すように、前記上部ブラケット120のブラケット本体121の側壁122に、該側壁122を厚み方向に貫通するようにして形成されている。また、この貫通孔124は、側壁122に、前記前方リンク130に設けられた複数のロック用孔133…の回転軌道上の一点に位置するようにして設けられている。
なお、この側壁122の貫通孔124が形成される部位は、外側に向かって段状に突出する段状部122aとなっている。この段状部122aは、側壁122を絞り加工するなどして形成されている。
さらに、図2,図3,図5A,図5Bに示すように、前記上部ブラケット120のうち、前記側壁122と対向する側壁123にも、この側壁122と対称的に段状部123aが形成されている。
また、上部ブラケット120には、この上部ブラケット120を左右に貫通するシャフト挿通孔125が形成されている。より詳細には、このシャフト挿通孔125は、前記側壁122の段状部122aと、側壁123の段状部123aとの、それぞれ対向する位置に形成された孔を指している。このシャフト挿通孔125には、後述するシャフト部162が挿通される。
前記ロック部材160は、図3および図5A,図5Bに示すように、前記ロックピン部161と、このロックピン部161と平行に配置されるとともに、前記上部ブラケット120を左右に貫通して形成されたシャフト挿通孔125に挿通されるシャフト部162と、これらロックピン部161とシャフト部162とを連結するとともに、前記ロックピン部161の抜き差し動作に伴って前記上部ブラケット120の側壁122から当接・離間する連結部167と、から構成されている。
また、これらロックピン部161と、シャフト部162と、連結部167とは一体形成されており、略J字型となるように構成されている。すなわち、ロック部材160は、一本の金属棒を屈曲加工することにより形成されている。
前記ロックピン部161は、図5A,図5Bおよび図6に示すように、本体軸部161aと、この本体軸部161aの先端に設けられるとともに、ロックピン部161の軸方向先端に向かって縮径するテーパ部161bと、このテーパ部161bの先端に設けられるとともに、前記本体軸部161aよりも小径に設定された先端軸部161cとを有している。つまり、このロックピン部161の先端は段階的に縮径された構成となっている。
このようなロックピン部161の構成に対し、前記ロック用孔133の孔壁は、前記ロックピン部161のテーパ部161bを受けるテーパ受け面133aと、前記先端軸部161cを受ける先端受け面133bとからなる。
そして、前記ロックピン部161をロック用孔133に差し込むことにより、該ロックピン部161のテーパ部161bとロック用孔133の孔壁のテーパ受け面133aとを当接させることができるとともに、先端軸部161cと先端受け面133bとを当接させることができる。
前記シャフト部162は、図2,図3,図5A,図5Bに示すように、少なくとも前記上部ブラケット120を左右に貫通するとともに側壁122,123から側方に突出する程度の長さに形成されている。
また、シャフト部162には、このシャフト部162を、前記連結部167を上部ブラケット120の側壁122に当接させ、かつ前記ロックピン部161をロック用孔133に差し込む方向に付勢する付勢部材165が設けられている。
本実施の形態の付勢部材165としては、前記シャフト部162に嵌挿されるコイルばねが採用されている。すなわち、このコイルばね165は、前記側壁122側から挿入され、側壁123から突出するようにしてシャフト挿通孔125挿通された状態のシャフト部162の、側壁123側の突出部分に嵌挿されている。
また、シャフト部162にはプッシュナット166が嵌挿されて固定されており、前記コイルばね165は、このプッシュナット166と前記側壁123との間に設けられた状態となっている。
つまり、プッシュナット166は、前記コイルばね165がシャフト部162から抜けないようにする抜け止め材として設けられている。また、シャフト部162自体を前記シャフト挿通孔125に沿って往復させても該シャフト挿通孔125から抜脱しないようにすることができる。
また、図5A,図5Bに示すように、このシャフト部162の、前記コイルばね165による付勢方向とは反対の方向へのストロークは、前記ロックピン部161が貫通孔124から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されている。
すなわち、前記ロックピン部161を、前記貫通孔124とロック用孔133とに挿通させている時に、本体軸部161aを、前記貫通孔124を貫通した状態にしたまま、先端軸部161cをロック用孔133から抜いたり、ロック用孔133に差し込んだりできるようになっている。
さらに、上述のように前記側壁122には段状部122aが形成されており、この段状部122aに貫通孔124が形成されていることから、この貫通孔124は、段状部122aが無い部分よりも、該段状部122aの外側への突出長さ分、外側に位置していることになる。
すなわち、貫通孔124は、ロックピン部161の先端側(先端軸部161c側)よりも、より基端側(本体軸部161aの連結部167側)に近い部分に位置することになる。
なお、シャフト挿通孔125を構成する側壁122側の孔と、側壁123側の孔には、それぞれブッシュ163,164が嵌合されており、シャフト部162をスムーズに往復させることができるようになっている。
また、前記シャフト部162の連結部167とは反対側の端部には、前記ボタン61が設けられており、ロックの解除動作を行う際には、このボタン61を押し込むことによってシャフト部162が、前記ロックピン部161を、ロック用孔133から引き抜く方向に移動するように設定されている。
前記連結部167は、図2および図5A,図5Bに示すように、ロック部材160が略J字型に形成されることにより、両端部に、前記ロックピン部161とシャフト部162とがそれぞれ一体的に設けられる屈曲部167a,167aと、これら屈曲部167a,167a間に設けられる直線部167bとからなる。
ところで、このように連結部167が屈曲部167a,167aを有する形状の場合、前記ロックピン部161を貫通孔124に挿通させ、前記シャフト部162をシャフト挿通孔125に挿通させた時に、屈曲部167a,167aが、それぞれ貫通孔124の縁部とシャフト挿通孔125の縁部とに引っ掛かることがある。これを防ぐために、前記上部ブラケット120の段状部122aには、図5A,図5Bに示すように、外側に向かって突出するとともに、前記ロックピン部161のロック用孔133への差し込み時に、前記連結部167の直線部167bに少なくとも一点で当接する凸部122bが設けられている。
この凸部122bは、本実施の形態においては前記段状部122aを絞り加工するなどして段状に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば段状部122a表面から盛り上がる盛り上がり状の凸部としてもよいし、段状部122aの一部を切り起こしてなる切り起こし状の凸部としてもよい。
なお、本実施の形態のロック部材160は、上述のようにロックピン部161とシャフト部162と連結部167とが一体形成された略J字型のものを用いたが、これに限るものではなく、例えば各部161,162,167が一体化されていないものや、異なる機構を採用したものでもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、以上のように構成された前後位置調整装置100の動作について説明する。
その動作は、図7A,図7B,図7Cに示すように、前記前方リンク130および後方リンク140の回転に伴う上部ブラケット120の前後移動に基づくものである。
また、上部ブラケット120は、前記コイルばね154によって下部ブラケット110側に引き寄せられており、図7Cで示す状態が、前記位置調整されるヘッドレストの通常位置とされている。
この通常位置では、前記前方リンク130および後方リンク140が、自身の回転範囲の最後端に位置している。また、前記上部ブラケット120の前面固定部126が、水平方向において前後位置調整装置100自体の最前部に位置しており、前記ブラケット本体121の後端部が、水平方向において前後位置調整装置100自体の最後部に位置している。また、前記後方リンク140の中央壁143に設けられたストッパー部144が、前記下部ブラケット110の下面壁115に当接している。
また、前記ロック部材160のロックピン部161は、前記ロックプレート132に形成された複数のロック用孔133…のうち、最も前側に位置するロック用孔133に差し込まれている。
続いて、図7Cに示す状態から、図7Bに示す状態へと動作させる。
つまり、図5Bに示すように、前記ロック部材160のロックピン部161を、前記貫通孔124に貫通させた状態を保持しつつ、ロック用孔133から引き抜くことによってロックを解除する。
続いて、前記前方リンク130および後方リンク140を前方(上方)へと回転させることによって、前記上部ブラケット120を前方へと移動させる。
そして、前記前方リンク130および後方リンク140を回転させて、前記ロックピン部161が、前記複数のロック用孔133…のうち、真ん中のロック用孔133の位置まで到達したら、図5Aに示すように、このロックピン部161を該真ん中のロック用孔133に差し込む。
なお、前記ロックピン部161は、前記コイルばね165によってロック用孔133に差し込まれる方向に付勢された状態となっているので、いったんロックを解除した状態で上部ブラケット120を移動させ、ロックピン部161が次のロック用孔133の位置に差し掛かったら、このロックピン部161は、次のロック用孔133に、付勢力に応じて自動的に差し込まれることになる。
また、ロックピン部161が、次のロック用孔133に、付勢力に応じて自動的に差し込まれる時は、ロックピン部161の先端軸部161cが、ロック用孔133のテーパ受け面133aに沿って摺動し、前記先端受け面133bの位置まで移動することになる。すなわち、前記テーパ受け面133aは、ロックピン部161をロック用孔133に差し込むためのガイドとして利用することができる。
続いて、図7Bに示す状態から、図7Aに示す状態へと動作させる。
すなわち、ロック部材160によるロックを解除してから、前記上部ブラケット120を前方へと移動させる。
そして、前記前方リンク130および後方リンク140を回転させて、前記ロックピン部161が、前記複数のロック用孔133…のうち、最も後側のロック用孔133の位置まで到達したら、このロックピン部161を該後側のロック用孔133に差し込む。
この時、前記前方リンク130の側壁131に設けられたストッパー部134が、前記下部ブラケット110の前面壁113に当接しており、前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最前端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット120の前端部も最前端の位置にある状態となっている。
また、図7Cに示す状態から、図7Bに示す状態、図7Aに示す状態へと動作させるだけでなく、この反対の動作も可能であり、図7Cに示す状態から、直接、図7Aに示す状態へと動作させることも可能となっている。
以上のようにして、前記上部ブラケット120は、図7Aに示す状態と、図7Bに示す状態と、図7Cに示す状態との間で前後位置を調整できるようになっている。このことから、上部ブラケット120の前面固定部126が固定されるインナーカバー20も、この上部ブラケット120の移動に応じて前後位置を調整できるので、ひいてはヘッドレスト自体の前後位置の調整も可能となる。
本実施の形態によれば、係合部の軌道上に複数設けられた被係合部に対して係合部を係合させるだけで変位体の前後方向の位置を調整できる。さらに、係合部は、被係合部に対して横から係合するように構成されているので、例えば従来のようなヘッドレストの前後方向にわたって設けられる長尺なシャフトが必要なくなり、ヘッドレストが前後方向に長くなる、すなわち、分厚くなることを抑制できる。
より詳細には、前記前方および後方リンク130,140の回転に応じて前記上部ブラケット120を前後移動させることができるので、この上部ブラケット120が固定されたヘッドレストのインナーカバー20も同時に前後移動させることができる。
また、前記ロックピン部161は、前記複数のロック用孔133…の回転軌道上に設けられた貫通孔124を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、複数のロック用孔133…に抜き差し操作されるので、このロックピン部161を、複数のロック用孔133…のいずれかに差し込んだ状態では前方リンク130および後方リンク140の回転を停止させて上部ブラケット120の前後移動をロックすることができ、複数のロック用孔133…から抜いた状態では前方リンク130および後方リンク140を回転させて上部ブラケット120の前後移動のロックを解除することができる。
これにより、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。
また、前記シャフト挿通孔125に沿って、コイルばね165を圧縮させる方向にシャフト部162を押し込むことによって、ロックピン部161をロック用孔133から抜き出す方向に操作できるとともに、連結部167を上部ブラケット120の側壁122から離間させる方向に操作できる。また、前記シャフト部162は、コイルばね165により付勢されているので、前記シャフト挿通孔125に沿って押し込む操作を止めることで、ロックピン部161をロック用孔133に差し込むことができるとともに、連結部167を上部ブラケット120の側壁122に当接させることができる。
また、前記シャフト部162は上部ブラケット120を左右に貫通し、さらにコイルばね165によって付勢されているので、上部ブラケット120からの抜脱を防ぐことができ、これにより、ロック部材160自体の上部ブラケット120からの脱落も防ぐことができる。
また、前記連結部167が上部ブラケット120の側壁122に当接するので、この連結部167を、コイルばね165によって付勢されたロックピン部161が、複数のロック用孔133…に必要以上に深く差し込まれるのを防ぐストッパーとすることができる。
さらに、前記ロック部材160を、ロックピン部161と、シャフト部162と、連結部167とから構成された比較的小さな部品とすることができるので、前後位置調整装置100の軽量化および構成の簡素化に寄与することができる。
また、前記シャフト部162のストロークは、ロックピン部161が貫通孔124から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されているので、前記シャフト部162を、ロックピン部161が貫通孔124から抜脱する方向に操作しても、ロックピン部161が貫通孔124から抜脱することを確実に防ぐことができる。さらに、前記段状部122aは上部ブラケット120の側壁122から外側に向かって突出した位置に設けられ、貫通孔124はこの段状部122aに形成されているので、ロックピン部161を貫通孔124から抜脱する方向に移動させた際の該貫通孔124は、ロックピン部161の先端よりも、より基端側に近い部分に位置することになる。これによって、ロックピン部161が貫通孔124から抜脱することをより確実に防ぐことができる。
また、前記ロックピン部161をロック用孔133に差し込むことにより、該ロックピン部161のテーパ部161bとロック用孔133の孔壁のテーパ受け面133aとを当接させることができるとともに、先端軸部161cと先端受け面133bとを当接させることができる。これによって、ロックピン部161をロック用孔133に確実に差し込むことができるとともに、ガタや雑音の発生を抑えることができる。
また、前記ロックピン部161の先端軸部161cと、ロック用孔133の孔壁の先端受け面133bとが当接することから、例えばロックピン部161に対して捩れ方向に力が加わった際に、捩れ方向に変位しようとするロックピン部161の動作を、先端受け面133bで受け止めることができる。すなわち、先端軸部161cを先端受け面133bの部分から抜く際は、先端軸部161cの軸方向に沿って引き抜く必要があり、ロックピン部161に対して捩れ方向に力が加わったとしても、ロックピン部161がロック用孔133から抜けにくくなる。
また、前記上部ブラケット120と下部ブラケット110との間には、上部ブラケット120を下部ブラケット110側に引き寄せる方向に付勢するコイルばね154が設けられているので、前記上部ブラケット120は、前後移動させる際も下部ブラケット110側に引き寄せられた状態となり、各部材の接触等により生じる騒音を抑制することができる。
また、前記ロックピン部161と、シャフト部162と、連結部167とは一体形成されているので、一体形成しない場合に比して部品点数を削減できるとともに、ロックピン部161とシャフト部162とを連結部167で連結するような手間を省略できる。
また、前記ロックピン部161のロック用孔133への差し込み時に、前記凸部122bを連結部167の直線部167bに当接させることができるので、連結部167の屈曲部167a,167aを、前記上部ブラケット120の段状部122aから離間させた状態にすることができ、これによって、例えば凸部122bが無い状態で、屈曲部167a,167aが貫通孔124やシャフト挿通孔125の縁部に引っ掛かってしまうことを確実に防ぐことができる。
また、前記上部ブラケット120の段状部122aには、外側に向かって突出する凸部122bが設けられているので、この凸部122bが設けられる段状部122aの周囲の剛性を高めることができる。
ところで、部品点数削減の観点から、ヘッドレストを前後移動させる機構とロック機構とを、できるだけ一体化したいという要望がある。
ところが、例えば前後移動させる機構を構成する部材と、ロック機構を構成する部材とを一体化した場合、この一体化された部材は、ヘッドレストを前後移動させるための動作と、前後移動をロックしたり、ロック解除したりするための動作とを行わなければならない。すなわち、この部材には、部材同士を一体化しない場合よりも外力が繰り返し加わる頻度が高くなってしまう場合がある。
そこで、一体化した部材の剛性を高めたり、ヘッドレストを前後移動させる動作やロック動作を効率よく行ったりすることが可能な技術の開発が望まれていた。つまり、ヘッドレストを前後移動させる機構とロック機構とを、できるだけ一体化でき、これによって、部品点数の削減を図ることが可能なヘッドレストの前後位置調整装置を開発することが望まれていた。
これに対して、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置100は、上述のように、前記前方リンク130および後方リンク140は開口部130a,140aを有する断面略コ字型に形成され、少なくとも前方リンク130は、開口部130aを前方に向けるようにして配置されており、前記ロック機構は、前記前方リンク130の側壁131の上端部に一体的に設けられるとともに複数のロック用孔133が形成されたロックプレート132と、前記上部ブラケット120から前方リンク130のロックプレート132に向かって突出し、かつ前記複数のロック用孔133に抜き差し操作されるロックピン部161と、を有するように構成されている。
このように構成された前後位置調整装置100によれば、前記前方リンク130および後方リンク140は開口部130a,140aを有する断面略コ字型に形成されているので、これら前方リンク130および後方リンク140の剛性を高めることができる。そして、このように前方リンク130は剛性が高いので、ロック機構を構成するロックプレート132と一体的に設けられていても、例えば剛性を高めない単なる板状のリンク部材を用いるような場合に比して破損しにくくなる。また、前記前方リンク130とロックプレート132とを一体的に設けたことにより、このロックプレート132に形成された複数のロック用孔133…にロックピン部161を差し込むだけで、ロックプレート132に対する上部ブラケット120の前後位置を段階的に位置決めすることができ、前記ロックピン部161をロック用孔133から抜くだけで、上部ブラケット120を前後移動させることができるので、ヘッドレストを前後移動させる動作やロック動作を効率よく行うことができる。これによって、少なくともロックプレート132の分、部品点数を削減することができる。
一方、従来のような前後位置調整装置では、ヘッドレストを前方向にも後方向にも大きく移動させることができるように、長尺なシャフトを用いている。これに伴い、ヘッドレストフレームの前後方向の大きさも大きなものとなっている。
ところが、近年、軽量化の観点から、ヘッドレストの大きさを、快適性および安全性を確保できる範囲内で小さくしたいという要望がある。つまり、ヘッドレストの大きさを、快適性および安全性を確保できる範囲内で小さくすることが可能な前後位置調整装置を開発することが望まれていた。
これに対して、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置100は、上述のように、前記下部ブラケット110と前方リンク130との枢結部は、下部ブラケット110と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置しており、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部は、上部ブラケット120と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置しており、前記上部ブラケット120は、前記前方リンク130および後方リンク140との枢結部の配置方向に沿って斜めに設けられるとともに、前記前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最後端の位置にある場合に、前端部が、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部よりも前方に突出するブラケット本体121と、このブラケット本体121の前端部に一体的に設けられるとともに、前記インナーカバー20の内壁面31に固定される前面固定部126とを有するように構成されている。
このように構成された前後位置調整装置100によれば、前記下部ブラケット110と前方リンク130との枢結部は、前記下部ブラケット110と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置しており、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部は、前記上部ブラケット120と後方リンク140との枢結部よりも上方に位置していることから、各ブラケット110,120と各リンク130,140との枢結部は斜めに並んで配置された状態となる。そして、前記前方リンク130および後方リンク140を回転させた時に、これら前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最前端の位置にある場合の上部ブラケット120は、最後端の位置にある場合の上部ブラケット120の位置よりも前側斜め上方に位置することになる。すなわち、前記上部ブラケット120を、ヘッドレストピラー10に対して前側斜め上方に移動させることができるので、上部ブラケット120のブラケット本体121に一体的設けられた前面固定部126も、この前面固定部126が固定されたインナーカバー20も同じ方向に移動させることができる。これによって、例えば従来のように、ヘッドレストを前後方向に大きく移動させるために、ヘッドレストの前後方向の大きさを大きくする必要がないので、従来に比して前後方向におけるヘッドレストの大きさを小さくできる。
また、前記ブラケット本体121の前端部は、前記上部ブラケット120と前方リンク130との枢結部よりも前方に突出しているので、前記前方リンク130および後方リンク140が回転範囲の最後端から最前端へと回転した時に前方に突出したような状態となる。したがって、前記前面固定部126も前方に突出することになるので、ヘッドレスト自体を前方に突出させることができる。また、前記上部ブラケット120の前後位置をロック機構によって段階的に位置決めできるので、このロック機構によってヘッドレストの前後位置も調整できるようになっている。
これによって、ヘッドレストの大きさを、快適性および安全性を確保できる範囲内で小さくすることが可能となる。また、インナーカバーが、前方リンクおよび後方リンクが回転範囲の最後端の位置にある場合よりも下方に下がることがないので、乗員の頭部を確実に支持できる。
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体(上部ブラケット220)と、前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える。また、前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部(ロックピン部271)と、前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部(ロック用孔241b)と、を有する。そして、前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。
以下、本実施の形態について、より詳細に説明する。
本実施の形態の前後位置調整装置200は、図8〜図10Dに示すように、ヘッドレストピラー10に固定される下部ブラケット210と、前記インナーカバー20に固定される前記変位体としての上部ブラケット220と、これら下部ブラケット210と上部ブラケット220とにそれぞれ枢結されるとともに略平行に配置され、前記上部ブラケット220を、車両用シートの前後方向に沿って移動させる前方および後方リンク230,240と、前記上部ブラケット220を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えている。
前記下部ブラケット210は、互いに対向する一対の側壁211,212と、これら側壁211,212の下端部間に設けられる下面壁215とを有している。
前記上部ブラケット220は、上面壁221aを介して設けられるとともに互いに対向する略矩形状の一対の側壁222,223を備えるブラケット本体221と、側壁222,223の前端部に一体的に設けられるとともに、前記インナーカバー20の前側カバー30の内壁面に固定される前面固定部226,226とを有している。
前記前方リンク230および後方リンク240は、それぞれ、開口部230a,240aを有する断面略コ字型に形成されており、これら前方リンク230および後方リンク240は、互いの開口部230a,240aを向かい合わせるようにして配置されている。
後方リンク240は、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁241,242と、これら側壁241,242の後側端部間に一体的に設けられる中央壁243とを備えている。この後方リンク240の側壁242には、前記前方リンク230に当接することによって、これら前方リンク230および後方リンク240の前方および後方への回転を規制するためのストッパー部242aが前方に突出するようにして一体的に設けられている。
なお、前記前方リンク230の中央部には剛性を高めるためのビード236aが形成されている。
また、図8および図10A,図10B,図10C,図10Dに示すように、前記下部ブラケット210と前方リンク230との枢結部250と、下部ブラケット210と後方リンク240との枢結部251とは、水平方向に並設されている。
さらに、前記上部ブラケット220と前方リンク230との枢結部252と、上部ブラケット220と後方リンク240との枢結部253とは、水平方向に並設されている。
前記ロック機構は、図8〜図10Dに示すように、前記後方リンク240の上部ブラケット220と対向する側壁241に、該後方リンク240の回転方向に沿って並設される前記被係合部としての複数のロック用孔241b…と、前記上部ブラケット220の後方リンク240と対向する側壁222のうち、前記後方リンク240の回転に伴う複数のロック用孔241b…の回転軌道上に設けられる貫通孔224と、この貫通孔224を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔241b…に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部271を少なくとも含むロック部材270と、を有している。
また、このロック機構は、前記後方リンク240の側壁241の上端部に一体的に設けられるとともに前記複数のロック用孔241b…が形成されたロックプレート241aを有している。
このロックプレート241aは、前記後方リンク240の側壁241よりも幅広に、かつ該側壁241の前側縁よりも前方に突出するようにして形成されている。また、ロックプレート241aに対し、前記複数のロック用孔241b…は、このロックプレート241aの幅方向一端から他端にかけて、かつ前記後方リンク240の回転方向に沿って並設されるようにして形成されている。
本実施の形態のロック用孔241bは、前記ロックプレート241aに対して4つ設けられている。
前記貫通孔224は、図9A,図9Bに示すように、前記上部ブラケット220のブラケット本体221の側壁222に、該側壁222を厚み方向に貫通するようにして形成されている。
なお、この側壁222の貫通孔224が形成される部位は、外側に向かって段状に突出する段状部222aとなっている。この段状部222aは、側壁222を絞り加工するなどして形成されている。本実施の形態において、側壁222と対向する側壁223には段状部は形成されていないものとする。また、上部ブラケット220には、シャフト挿通孔225が形成されている。
前記ロック部材270は、前記ロックピン部271と、このロックピン部271と平行に配置されるとともに、前記上部ブラケット220を左右に貫通して形成されたシャフト挿通孔225に挿通されるシャフト部272と、これらロックピン部271とシャフト部272とを連結するとともに、前記ロックピン部271の抜き差し動作に伴って上部ブラケット220の側壁222から当接・離間する連結部277と、から構成されている。
前記ロックピン部271は、図9A,図9Bに示すように、本体軸部271aと、この本体軸部271aよりも大径な頭部271dとを有している。
なお、図示はしないが、このロックピン部271の先端にテーパ部と先端軸部とが設けられていてもよいものとする。これに応じて前記ロック用孔241bにもテーパ受け面および先端受け面が形成されていてもよい。
前記シャフト部272は、本体軸部272aと、この本体軸部272aよりも大径な頭部272dとを有している。また、このシャフト部272には、付勢部材であるコイルばね275が設けられている。さらに、このコイルばね275は、プッシュナット276によって抜け止めされている。
本実施の形態においても、前記シャフト部272の、前記コイルばね275による付勢方向とは反対の方向へのストロークは、前記ロックピン部271が貫通孔224から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されている。
また、前記シャフト部272の連結部277とは反対側の端部には、前記ボタン61が設けられており、ロックの解除動作を行う際には、このボタン61を押し込むことによってシャフト部272が、前記ロックピン部271を、ロック用孔241bから引き抜く方向に移動するように設定されている。
前記連結部277は、図8および図9A,図9Bに示すように、プレート状に形成されており、前記ロックピン部271を挿通させるピン用孔277aと、前記シャフト部272を挿通させるシャフト挿通孔277bと、該連結部277を厚み方向に貫通するようにして設けられている。
次に、以上のように構成された前後位置調整装置200の動作について説明する。
その動作は、図10A,図10B,図10C,図10Dに示すように、前記前方リンク230および後方リンク240の回転に伴う上部ブラケット220の前後移動に基づくものである。
まず、図10Aでは、前記ロックピン部271が、前記ロックプレート241aに形成された複数のロック用孔241b…のうち、最も後側に位置するロック用孔241bに差し込まれた状態となっている。
この時、前記ストッパー部242aが前方リンク230に当接しており、前方リンク230および後方リンク240が回転範囲の最前端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット220の前端部も最前端の位置にある状態となっている。
続いて、図10Aに示す状態から、図10Bに示す状態へと動作させる。
つまり、図9Bに示すように、前記ロック部材270のロックピン部271を、前記貫通孔224に貫通させた状態を保持しつつ、ロック用孔241bから引き抜くことによってロックを解除する。
続いて、前記前方リンク230および後方リンク240を後方(上方)へと回転させることによって、前記上部ブラケット220を後方へと移動させる。
そして、前記前方リンク230および後方リンク240を回転させて、前記ロックピン部271が、前記複数のロック用孔241b…のうち、後側から2番目のロック用孔241bの位置まで到達したら、図9Aに示すように、このロックピン部271を該2番目のロック用孔241bに差し込む。
なお、前記ロックピン部271は、前記コイルばね275によってロック用孔241bに差し込まれる方向に付勢された状態となっているので、いったんロックを解除した状態で上部ブラケット220を移動させ、ロックピン部271が次のロック用孔241bの位置に差し掛かったら、このロックピン部271は、次のロック用孔241bに、付勢力に応じて自動的に差し込まれることになる。
続いて、図10Bに示す状態から、図10Cに示す状態へと動作させる際は、ロック部材270によるロックを解除してから、前記上部ブラケット220を後方へと移動させる。
そして、前記前方リンク230および後方リンク240を回転させて、前記ロックピン部271が、前記複数のロック用孔241bのうち、後側から3番目のロック用孔241bの位置まで到達したら、このロックピン部271を該3番目のロック用孔241bに差し込む。
続いて、図10Cに示す状態から、図10Dに示す状態へと動作させる際は、ロック部材270によるロックを解除してから、前記上部ブラケット220を後方へと移動させる。
そして、前記前方リンク230および後方リンク240を回転させて、前記ロックピン部271が、前記複数のロック用孔241bのうち、最も前側のロック用孔241bの位置まで到達したら、このロックピン部271を該最も前側のロック用孔241bに差し込む。
この時、前記後方リンク240がストッパー部242aに当接しており、前方リンク230および後方リンク240が回転範囲の最後端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット220の後端部も最後端の位置にある状態となっている。
また、上述のように、図10Aに示す状態から、図10Bに示す状態、図10Cに示す状態、図10Dに示す状態へと動作させるだけでなく、この反対の動作も可能であり、図10Aに示す状態から、直接、図10Dに示す状態へと動作させることも可能となっている。
以上のようにして、前記上部ブラケット220は、図10Aに示す状態と、図10Bに示す状態と、図10Cに示す状態と、図10Dに示す状態との間で前後位置を調整できるようになっている。このことから、上部ブラケット220の前面固定部226,226が固定されるインナーカバー20も、この上部ブラケット220の移動に応じて前後位置を調整できるので、ひいてはヘッドレスト自体の前後位置の調整も可能となる。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じように、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することができるので、好ましい。
<第3の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体(上部ブラケット320)と、前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える。また、前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部(ロックピン部161)と、前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部(ロック用孔341b)と、を有する。そして、前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。
以下、本実施の形態について、より詳細に説明する。
本実施の形態の前後位置調整装置300は、図11および図12A,図12B,図12C,図12Dに示すように、ヘッドレストピラー10に固定される下部ブラケット310と、前記インナーカバー20に固定される前記変位体としての上部ブラケット320と、これら下部ブラケット310と上部ブラケット320とにそれぞれ枢結されるとともに略平行に配置され、前記上部ブラケット320を、車両用シートの前後方向に沿って移動させる前方および後方リンク330,340と、前記上部ブラケット320を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えている。
前記下部ブラケット310は、互いに対向する一対の側壁311,312と、これら側壁311,312の下側端部間に一体的に設けられる下面壁315と、前記側壁311,312の前後方向側端部の上部の角部を凹状に切り欠くことによって形成されるとともに、後述する前方および後方ストッパー部336a,343aを受けるストッパー受け部313,314とを有している。
前記上部ブラケット320は、上面壁321aを介して設けられるとともに互いに対向する略矩形状の一対の側壁322,323を備えるブラケット本体321と、側壁322,323の前端部に一体的に設けられるとともに、前記インナーカバー20の前側カバー30の内壁面に固定される前面固定部326,326とを有している。
前記上面壁321aには、前記側壁322,323間にわたって凹部321bが形成されており、上部ブラケット320の剛性を向上させている。
前記前方リンク330および後方リンク340は、それぞれ、開口部330a,340aを有する断面略コ字型に形成されており、これら前方リンク330および後方リンク340は、互いの開口部330a,340aを向かい合わせるようにして配置されている。
前方リンク330は、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁331,335と、これら側壁331,335の前側端部間に一体的に設けられる中央壁336とを備えている。
また、後方リンク340も、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁341,342と、これら側壁341,342の後側端部間に一体的に設けられる中央壁343とを備えている。
そして、前方リンク330の中央壁336の下端部は、前方に向かって膨出した状態となっており、前記前方リンク330および後方リンク340がその回転範囲の最前端の位置にある場合に、この膨出部分の下端部が、前記下部ブラケット310の前方のストッパー受け部313に当接する前方ストッパー部336aとされている。
また、後方リンク340の中央壁343の下端部も、後方に向かって膨出した状態となっており、前記前方リンク330および後方リンク340がその回転範囲の最後端の位置にある場合に、この膨出部分の下端部が、前記下部ブラケット310の後方のストッパー受け部314に当接する後方ストッパー部343aとされている。
また、図11および図12A,図12B,図12C,図12Dに示すように、前記下部ブラケット310と前方リンク330との枢結部350と、下部ブラケット310と後方リンク340との枢結部351とは、水平方向に並設されている。
さらに、前記上部ブラケット320と前方リンク330との枢結部352と、上部ブラケット320と後方リンク340との枢結部353とは、水平方向に並設されている。
前記ロック機構は、前記後方リンク340の、上部ブラケット320と対向する側壁341に、該後方リンク340の回転方向に沿って並設される前記被係合部としての複数のロック用孔341b…と、前記上部ブラケット320の、後方リンク340と対向する側壁322のうち、前記後方リンク340の回転に伴う複数のロック用孔341b…の回転軌道上に設けられる貫通孔324と、この貫通孔324を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔341b…に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部161を少なくとも含むロック部材160と、を有している。
なお、本実施の形態のロック部材160は、いわゆる略J字型に構成されたものが採用されており、上述の第1の実施の形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
また、このロック機構は、図12A,図12B,図12C,図12Dに示すように、前記後方リンク340の側壁341の上端部に一体的に設けられるとともに前記複数のロック用孔341b…が形成されたロックプレート341aを有している。
このロックプレート341aは、前記後方リンク340の側壁341よりも幅広に、かつ該側壁341の前側縁よりも前方に突出するようにして形成されている。また、ロックプレート341aに対し、前記複数のロック用孔341b…は、このロックプレート341aの幅方向一端から他端にかけて、かつ前記後方リンク340の回転方向に沿って並設されるようにして形成されている。
本実施の形態のロック用孔341bは、前記ロックプレート341aに対して4つ設けられている。
前記貫通孔324は、前記上部ブラケット320のブラケット本体321の側壁322に、該側壁322を厚み方向に貫通するようにして形成されているものとする。
なお、この側壁322の貫通孔324が形成される部位は、外側に向かって段状に突出する段状部となっている。この段状部は、側壁322を絞り加工するなどして形成されている。また、上部ブラケット320には、シャフト挿通孔325が形成されている。
次に、以上のように構成された前後位置調整装置300の動作について説明する。
その動作は、図12A〜図12Dに示すように、前記前方リンク330および後方リンク340の回転に伴う上部ブラケット320の前後移動に基づくものである。
まず、図12Aでは、前記ロックピン部161が、前記ロックプレート341aに形成された複数のロック用孔341b…のうち、最も後側に位置するロック用孔341bに差し込まれた状態となっている。
この時、前記前方ストッパー部336aが下部ブラケット310のストッパー受け部313に当接しており、前方リンク330および後方リンク340が回転範囲の最前端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット320の前端部も最前端の位置にある状態となっている。
続いて、図12Aに示す状態から、図12Bに示す状態へと動作させる。
つまり、前記ロック部材160のロックピン部161を、前記貫通孔324に貫通させた状態を保持しつつ、ロック用孔341bから引き抜くことによってロックを解除する(例えば図5B参照)。
続いて、前記前方リンク330および後方リンク340を後方(上方)へと回転させることによって、前記上部ブラケット320を後方へと移動させる。
そして、前記前方リンク330および後方リンク340を回転させて、前記ロックピン部161が、前記複数のロック用孔341b…のうち、後側から2番目のロック用孔341bの位置まで到達したら、このロックピン部161を該2番目のロック用孔341bに差し込む(例えば図5A参照)。
以上のようにしてロック部材160によるロックを解除してから、前記上部ブラケット320を後方へと移動させることにより、図12Bに示す状態から、図12Cに示す状態へと動作させたり、図12Cに示す状態から、図12Dに示す状態へと動作させたりすることができる。
なお、図12Dに示す状態では、前記後方ストッパー部343aが下部ブラケット310のストッパー受け部314に当接しており、前方リンク330および後方リンク340が回転範囲の最後端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット320の後端部も最後端の位置にある状態となっている。
また、図12Aに示す状態から、図12Bに示す状態、図12Cに示す状態、図12Dに示す状態へと動作させるだけでなく、この反対の動作も可能であり、図12Aに示す状態から、直接、図12Dに示す状態へと動作させることも可能となっている。
以上のようにして、前記上部ブラケット320は、図12Aに示す状態と、図12Bに示す状態と、図12Cに示す状態と、図12Dに示す状態との間で前後位置を調整できるようになっている。このことから、上部ブラケット320の前面固定部326,326が固定されるインナーカバー20も、この上部ブラケット320の移動に応じて前後位置を調整できるので、ひいてはヘッドレスト自体の前後位置の調整も可能となる。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じように、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することができるので、好ましい。
<第4の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体(上部ブラケット420)と、前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える。また、前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部(ロックピン部461)と、前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部(ロック用孔441b)と、を有する。そして、前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。
以下、本実施の形態について、より詳細に説明する。
本実施の形態の前後位置調整装置400は、図13〜図15Dに示すように、ヘッドレストピラー10に固定される下部ブラケット410と、前記インナーカバー20に固定される前記変位体としての上部ブラケット420と、これら下部ブラケット410と上部ブラケット420とにそれぞれ枢結されるとともに略平行に配置され、前記上部ブラケット420を、車両用シートの前後方向に沿って移動させる前方および後方リンク430,440と、前記上部ブラケット420を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えている。
前記下部ブラケット410は、互いに対向する一対の側壁411,412と、これら側壁411,412の下側端部間に一体的に設けられる下面壁415とを有している。
前記上部ブラケット420は、上面壁421aを介して設けられるとともに互いに対向する略矩形状の一対の側壁422,423を備えるブラケット本体421と、このブラケット本体421の前端部に取り付けられるとともに、前記インナーカバー20の前側カバー30の内壁面に固定される前面固定部426とを有している。
この前面固定部426は、前記ブラケット本体421とは一体化されておらず、別部材として構成されている。また、前記ブラケット本体421は、前記側壁422,423の前端部に一体形成されるとともに前記前面固定部426に固定される固定部421c,421cを備えている。
また、前記上面壁421aには、前記側壁422,423間にわたって凹部421bが形成されており、上部ブラケット420の剛性を向上させている。
前記前方リンク430および後方リンク440は、それぞれ、開口部430a,440aを有する断面略コ字型に形成されており、これら前方リンク430および後方リンク440は、互いの開口部430a,440aを向かい合わせるようにして配置されている。
前方リンク430は、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁431,435と、これら側壁431,435の前側端部間に一体的に設けられる中央壁436とを備えている。
また、後方リンク440も、断面略コ字型に形成されることによって、互いに対向する一対の側壁441,442と、これら側壁441,442の後側端部間に一体的に設けられる中央壁443とを備えている。
そして、前方リンク430の中央壁436の下端部には、下方に向かって突出し、前記前方リンク430および後方リンク440がその回転範囲の最前端の位置にある場合に前記下部ブラケット410の下面壁415に当接する前方ストッパー部436aが設けられている。
また、後方リンク440の中央壁443の下端部にも、下方に向かって突出し、前記前方リンク430および後方リンク440がその回転範囲の最後端の位置にある場合に前記下部ブラケット410の下面壁415に当接する後方ストッパー部443aが設けられている。
また、図13および図15A,図15B,図15C,図15Dに示すように、前記下部ブラケット410と前方リンク430との枢結部450と、下部ブラケット410と後方リンク440との枢結部451とは、水平方向に並設されている。
さらに、前記上部ブラケット420と前方リンク430との枢結部452と、上部ブラケット420と後方リンク440との枢結部453とは、水平方向に並設されている。
前記ロック機構は、前記後方リンク440の、上部ブラケット420と対向する側壁441に、該後方リンク440の回転方向に沿って並設される前記被係合部としての複数のロック用孔441b…と、前記上部ブラケット420の、後方リンク440と対向する側壁422のうち、前記後方リンク440の回転に伴う複数のロック用孔441b…の回転軌道上に設けられる貫通孔424と、この貫通孔424を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔441b…に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部461を少なくとも含むロック部材460と、を有している。
また、このロック機構は、図13〜図15Dに示すように、前記後方リンク440の側壁441の上端部に一体的に設けられるとともに前記複数のロック用孔441b…が形成されたロックプレート441aを有している。
このロックプレート441aは、前記後方リンク440の側壁441よりも幅広に、かつ該側壁441の前側縁よりも前方に突出するようにして形成されている。また、ロックプレート441aに対し、前記複数のロック用孔441b…は、このロックプレート441aの幅方向一端から他端にかけて、かつ前記後方リンク440の回転方向に沿って並設されるようにして形成されている。
本実施の形態のロック用孔441bは、前記ロックプレート441aに対して4つ設けられている。
前記ロック部材460は、図13および図14A,図14Bに示すように、前記ロックピン部461と、前記上部ブラケット420の側壁422表面から外側に段状に突出するようにして該側壁422に取り付けられる段状部材462と、前記側壁422の表面に外側に向かって突出するようにして設けられる支柱463と、この支柱463に枢結されるとともに前記ロックピン部461を保持するレバーリンク464と、このレバーリンク464を、前記ロックピン部461を、前記貫通孔424とロック用孔441bとに差し込む方向に付勢するコイルばね等の付勢部材467とを備えている。
ここで、前記貫通孔424は、図14A,図14Bに示すように、前記上部ブラケット420のブラケット本体421の側壁422と、前記段状部材462とを貫通するようにして形成されている。より詳細には、この貫通孔424は、前記側壁422と、段状部材462との、それぞれ対向する位置に形成された孔を指している。
また、前記支柱463とレバーリンク464とはリベット等の枢結部465を介して回動するように構成されている。
また、前記レバーリンク464とロックピン部461とはリベット等の枢結部466を介して回動するように構成されている。
さらに、前記側壁422の後側端部には、前記付勢部材467の一端が取り付けられる取付部422aが一体的に設けられており、前記レバーリンク464の後側端部には、前記付勢部材467の他端が取り付けられる取付部464aが一体的に設けられている。
また、前記レバーリンク464は、図14Aに示すように、前記ロックピン部461がロック用孔441bに差し込まれた状態において、前記枢結部465付近が上部ブラケット420に近接し、前側端部と後側端部とが共に上部ブラケット420から離間するような湾曲形状に形成されている。
また、このレバーリンク464の前側端部には、この前側端部を上部ブラケット420側に押し込んだ際に該上部ブラケット420の側壁422に当接するストッパー部464bが一体形成されている。
なお、図16に示すように、このレバーリンク464の前側端部を押し込むには、ヘッドレストのインナーカバー20に設けられるボタン62を用いる。このボタン62は、前記レバーリンク464の前側端部側に突出することによって該前側端部に当接する当接部62aを備えている。
次に、以上のように構成された前後位置調整装置400の動作について説明する。
まず、前記ロック部材460の動作は、前記枢結部465を支点とした前記レバーリンク464の回動に基づくものである。
すなわち、図14Bに示すように、前記ボタン62によって前記レバーリンク464の前側端部を押し込むことによって、このレバーリンク464が枢結部465を支点に回動し、レバーリンク464の後側端部が上部ブラケット420の側壁422から離間する。これに伴って前記ロックピン部461が、前記枢結部466を支点に回動しながらロック用孔441bから引き抜かれる。
反対に、前記ボタン62の押し込みを止めると、図14Aに示すように、前記付勢部材467によってレバーリンク464の後側端部が側壁422側に引き寄せられ、これに伴って前記ロックピン部461が、前記枢結部466を支点に回動しながらロック用孔441bに差し込まれる。
この時、ロックピン部461は、前記貫通孔424を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、ロック用孔441bに抜き差し操作されている。また、レバーリンク464の前側端部を強く押し込んでも、前記ストッパー部464bが側壁422に当接するため、ロックピン部461が前記貫通孔424から抜脱することを確実に防ぐことが可能となっている。
なお、図示はしないが、このロックピン部461の先端にテーパ部と先端軸部とが設けられていてもよいものとする。これに応じて前記ロック用孔441bにもテーパ受け面および先端受け面が形成されていてもよい。
このようなロック部材460を含む前後位置調整装置400の動作は、図15A〜図15Dに示すように、前記前方リンク430および後方リンク440の回転に伴う上部ブラケット420の前後移動に基づくものである。
まず、図15Aでは、前記ロックピン部461が、前記ロックプレート441aに形成された複数のロック用孔441b…のうち、最も後側に位置するロック用孔441bに差し込まれた状態となっている。
この時、前記前方ストッパー部436aが下部ブラケット410の下面壁415に当接しており、前方リンク430および後方リンク440が回転範囲の最前端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット420の前端部も最前端の位置にある状態となっている。
続いて、図15Aに示す状態から、図15Bに示す状態へと動作させる。
つまり、図14Bに示すように、前記ロック部材460のロックピン部461を、前記貫通孔424に貫通させた状態を保持しつつ、ロック用孔441bから引き抜くことによってロックを解除する。
続いて、前記前方リンク430および後方リンク440を後方(上方)へと回転させることによって、前記上部ブラケット420を後方へと移動させる。
そして、前記前方リンク430および後方リンク440を回転させて、前記ロックピン部461が、前記複数のロック用孔441b…のうち、後側から2番目のロック用孔441bの位置まで到達したら、図14Aに示すように、このロックピン部461を該2番目のロック用孔441bに差し込む。
以上のようにしてロック部材460によるロックを解除してから、前記上部ブラケット420を後方へと移動させることにより、図15Bに示す状態から、図15Cに示す状態へと動作させたり、図15Cに示す状態から、図15Dに示す状態へと動作させたりすることができる。
なお、図15Dに示す状態では、前記後方ストッパー部443aが下部ブラケット410の下面壁415に当接しており、前方リンク430および後方リンク440が回転範囲の最後端の位置にある状態となる。したがって、前記上部ブラケット420の後端部も最後端の位置にある状態となっている。
また、図15Aに示す状態から、図15Bに示す状態、図15Cに示す状態、図15Dに示す状態へと動作させるだけでなく、この反対の動作も可能であり、図15Aに示す状態から、直接、図15Dに示す状態へと動作させることも可能となっている。
以上のようにして、前記上部ブラケット420は、図15Aに示す状態と、図15Bに示す状態と、図15Cに示す状態と、図15Dに示す状態との間で前後位置を調整できるようになっている。このことから、上部ブラケット420の前面固定部426が固定されるインナーカバー20も、この上部ブラケット420の移動に応じて前後位置を調整できるので、ひいてはヘッドレスト自体の前後位置の調整も可能となる。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じように、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することができるので、好ましい。
次に、前記前後位置調整装置400が収納されるインナーカバー20の構造について説明する。
ところで、従来のような前後位置調整装置は、ヘッドレストの前後方向への十分な移動長さを確保するためには、長尺なシャフトを用いなければならないが、このように長尺なシャフトを用いると、前後位置調整装置を収納するインナーカバーも大きく形成しなければならない。そして、このようにインナーカバーが大きくなると、インナーカバーの対向する内壁面間にも大きな間隔が開いてしまい、インナーカバーに加えられた外力に対する強度を確保できなかったり、外力を車両用シートのシートフレームに確実に伝達できなかったりする場合がある。そこで、インナーカバーに加えられた外力に対する十分な強度を確保できるとともに、外力をシートフレーム側に確実に伝達することを可能とする技術の開発が望まれていた。
これに対して、本実施の形態のインナーカバー20は、ヘッドレストの前後位置の調整を行うための前後位置調整装置400が内部に収納されるとともに、車両用シートの前後方向の前側に位置する前側カバー30と、後側に位置する後側カバー40とに分割形成されており、
前記前後位置調整装置400は、前記前側カバー30に固定される前記上部ブラケット420と、この上部ブラケット420を前後移動させるための前後移動機構(上述の平行リンク機構を指す)とを備えており、
前記上部ブラケット420は、この上部ブラケット420の前端部に位置し、前記前側カバー30の内壁面31に当接された状態で保持される前面固定部426を有しており、
前記後側カバー40は、前側カバー30と後側カバー40とを結合させた際に、前記前面固定部426を前側カバー30の内壁面31に押さえつける押さえ手段を有している。
また、前記押さえ手段は、図16,図21に示すように、前記後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出するとともに、先端部が、前記前面固定部426に当接する押さえボス42,43である。
また、図16,図18,図20に示すように、前記前側カバー30の内壁面31には、この内壁面31に当接される前記前面固定部426側に突出する突出部32が形成されており、
前記前面固定部426には、前記突出部32が挿入される挿入孔426aが形成されている。
また、図18,図19,図21に示すように、前記前側カバー30は、この前側カバー30の内壁面31から後側カバー40に向かって突出する第1位置決めボス34を有しており、
前記後側カバー40は、この後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出する第2位置決めボス44を有しており、
前記第1位置決めボス34と第2位置決めボス44とは互いに対向して配置され、これら第1位置決めボス34と第2位置決めボス44のうち、一方のボス(第2位置決めボス44)には、この一方のボスの軸方向に沿って、他方のボス(第1位置決めボス34)が挿入される挿入孔44aが形成されている。
また、前記前側カバー30と後側カバー40のうち、一方のカバー(後側カバー40)には、他方のカバー(前側カバー30)側に突出する係合爪部45が、この一方のカバーの周縁に沿って複数設けられており、他方のカバーには、前記係合爪部45が係合される被係合部35が、この他方のカバーの周縁に沿って複数設けられている。
前記上部ブラケット420のうち、前記固定部421c,421cには、図20,図21に示すように、前記前側カバー30の内壁面31から突出する突出部32,32が挿入される挿入孔421d,421dが形成されている。
前記前面固定部426には、前記前側カバー30の内壁面31から突出する突出部32,32が挿入される挿入孔426a,426aが形成されている。なお、これら挿入孔426a,426aは、前記ブラケット本体421の固定部421c,421cに形成された挿入孔421d,421dと重なり合うように設定されている。
また、この前面固定部426は、正面視において略矩形状に形成されている。
さらに、この前面固定部426の前面部分の周縁には、後方に突出する周壁部426bが一体形成されている。なお、この周壁部426bのうち、前面固定部426の上端部に該当する部分は、前記前側カバー30の内壁面31に形成される引掛部33(後述する)に引掛けられる引掛上端部426cとされている。
また、この前面固定部426は、その前面部分に設けられるとともに、前記前側カバー30の内壁面31の傾斜角度や形状に合わせて、該内壁面31に当接される当接面426dを備えている。
一方、前記インナーカバー20は、図16〜図21に示すように、分割形成された前側カバー30と後側カバー40のうち、前記後側カバー40に、前記前側カバー30側に突出する係合爪部45が、この後側カバー40の周縁に沿って複数設けられており、前記前側カバー30に、前記係合爪部45…が係合される被係合部35が、この前側カバー30の周縁に沿って複数設けられた構成となっている。
これにより、前記ヘッドレストピラー10に前後位置調整装置400を取り付けて、この前後位置調整装置400を収納する際に、これら複数の係合爪部45…と複数の被係合部35…とを係合させることができるので、前記前側カバー30と後側カバー40とを確実かつ強固に結合させることができる。
前記前側カバー30の内壁面31には、この内壁面31に当接される前記前面固定部426側に突出する突出部32,32が形成されている。
これら突出部32,32は、前記前面固定部426に形成された挿入孔426a,426aと、前記ブラケット本体421の固定部421c,421cに形成された挿入孔426a,426aとに挿入される。
なお、突出部32は円筒状に形成されており、後方に向かって開口するビス孔32aが設けられた状態となっている。このビス孔32aには、突出部32を前記挿入孔426aおよび挿入孔421dに挿入した後に、ビス32bが螺合されるように設定されており、このビス32bによって、前記前面固定部426およびブラケット本体421の固定部421cを固定できるようになっている。
また、突出部32は、四方に設けられるフランジ32cによって強度が高められた状態となっている。
そして、このような突出部32,32が前記前側カバー30の内壁面31に形成されることにより、これら突出部32,32を、前記前面固定部426を前側カバー30の内壁面31に取り付けるための位置決め手段として用いることができる。これによって、前記前側カバー30の内壁面31の所定の取付位置に前面固定部426を正確に取り付けできる。また、前面固定部426だけでなく、前記固定部421c,421cを備えるブラケット本体421にとっても同様に、突出部32,32を位置決め手段として用いることができる。
また、前記前側カバー30の内壁面31のうち、該前側カバー30の上端部に該当する部分(天井面)には、図18,図20に示すように、下方に突出するように形成されるとともに、前記前面固定部426の引掛上端部426cが引掛けられる引掛部33が設けられている。
また、前記後側カバー40は、図16,図19,図21に示すように、前側カバー30と後側カバー40とを結合させた際に、前記前面固定部426を前側カバー30の内壁面31に押さえつける押さえ手段として、この後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出するとともに、先端部が、前記前面固定部426に当接する押さえボス42,43を有している。
上方に配置される押さえボス42,42は、前記前面固定部426の厚み分、前記前側カバー30の内壁面31との間に隙間が形成される長さに設定されている。
これら押さえボス42,42の下方に配置される押さえボス43,43は、前記前側カバー30の内壁面31に対する前面固定部426およびブラケット本体421の固定部421c,421cの位置を考慮した長さに設定されている。
そして、前記押さえ手段は、前記後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出するとともに、先端部が、前記前面固定部426に当接する押さえボス42,43であることから、前記前側カバー30と前記後側カバー40とを結合させる際に、この押さえボス42,43の先端部を前記前面固定部426に当接させることにより、該前面固定部426を、前記前側カバー30の内壁面31に、より確実に固定することができる。
また、図16,図18,図19,図21に示すように、前記前側カバー30は、この前側カバー30の内壁面31から後側カバー40に向かって突出する第1位置決めボス34,34を有しており、前記後側カバー40は、この後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出する第2位置決めボス44,44を有している。
前記第1位置決めボス34,34と第2位置決めボス44,44とは互いに対向して配置され、これら第1位置決めボス34,34と第2位置決めボス44,44のうち、第2位置決めボス44,44には、この第2位置決めボス44,44の軸方向に沿って、第1位置決めボス34,34が挿入される挿入孔44a,44aが形成されている。
そして、前記第2位置決めボス44に形成された挿入孔44aに、前記第1位置決めボス34を挿入することで、前記前側カバー30と後側カバー40とを結合する際の位置決めを行うことができる。これによって、前記前側カバー30と前記後側カバー40とを正確に結合させることができる。
また、前記インナーカバー20の底面側には、図16に示すように、前記ヘッドレストピラー10のサイドピラー11,11の位置に合わせて底面スリット46,46が形成されている。
これら底面スリット46,46には、前記サイドピラー11,11が挿通されるとともに、ヘッドレストの前後移動を可能とするためのスリット51が形成された底面側カバー50がそれぞれ嵌合されている。なお、底面スリット46,46に嵌合される底面側カバー50,50は左右対称に形成されている。
また、インナーカバー20の側面には、図16,図18,図19に示すように、前記ボタン62を取り付けるためのボタン取付孔部60が形成されている。
このボタン取付孔部60は、前記前側カバー30と後側カバー40とを結合させた時に、前記前側カバー30に形成された凹状部と、前記後側カバー40に形成された凹状部とを向かい合うようにして配置されることによって形成されている。
このボタン取付孔部60には、前記ボタン62が取り付けられる。また、ボタン62は、このボタン62を保持するとともに該ボタン62周囲を装飾する装飾部63によってボタン取付孔部60に保持されている。
以上のように構成されたインナーカバー20によれば、前記前側カバー30と後側カバー40とを結合させた際に、前記後側カバー40の内壁面41から前側カバー30に向かって突出する押さえボス42,43によって、前記前側カバー30の内壁面31に当接された状態で保持される前面固定部426を、前記前側カバー30の内壁面31に押さえつけることができる。したがって、前記上部ブラケット420を前側カバー30に確実に固定できるとともに、前記前側カバー30と後側カバー40とを、押さえボス42,43を介して接合することができる。
これによって、例えば、前記前側カバー30に加えられた外力を、前記前後位置調整装置400やヘッドレストピラー10等を介してシートフレーム側に伝達できることはもちろんのこと、前記後側カバー40に加えられた外力を、まず押さえボス42,43を介して前側カバー30へと伝達してからシートフレーム側に伝達できるので、前記インナーカバー20に加えられた多方向からの外力をシートフレーム側に確実に伝達することができる。また、対向する前側カバー30の内壁面31と後側カバー40の内壁面41との間に押さえボス42,43を介在させることができるので、前記インナーカバー20に加えられた外力に対する十分な強度を確保することが可能となる。
なお、本実施の形態のインナーカバー20に収納される前後位置調整装置は、上述の前後位置調整装置400に限られるものではない。
<第5の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第5の実施の形態について説明する。
ところで、ヘッドレストピラーによるヘッドレストの高さ調整だけでなく、前後方向の位置も調整できる技術として、例えば特開2000−225036号公報(以下、従来の技術1)や、特開2000−342379号公報(以下、従来の技術2)等に記載の技術が知られている。従来の技術1では、比較的大きい部材であるラチェット部材に対して、ヘッドレストフレームの角度を調整するためのラチェット歯を形成し、さらに、このラチェット部材をヘッドレストフレームと一体的に動作させている。このため、ヘッドレストが、ラチェット部材の大きさに応じて前後方向に大きくなってしまう場合がある。従来の技術2においては、左側ブラケットに、上方に向かって形成された円弧状ラチェットに対して、上方からラチェットレバーが係合している。さらに、ケーシング内部に前後リンクのための可動領域が確保されていたり、慣性ウェイトを動作させるための機構が設けられていたりする。このため、ヘッドレストの全体構成が大きくなってしまう場合がある。そこで、ヘッドレストの大型化の抑制を可能とする技術の開発が望まれていた。
これに対して、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体(ヘッドレストフレーム509)と、前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備える。また、前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部(係合部540)と、前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部(複数の係合歯536…および複数の凹溝537…)と、を有する。そして、前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されている。
以下、本実施の形態について、より詳細に説明する。
本実施の形態において符号1は、ヘッドレストを構成するヘッドレストピラーを示す。このヘッドレストピラー501は、図22〜図24に示すように、左右に離間する一対の支柱501a,501aと、これら一対の支柱501a,501aの上端部間に架設される横軸部501bと、を有する。
これら一対の支柱501a,501aと横軸部501bとは一体形成されており、これら一対の支柱501a,501aと横軸部501bとの中間に位置する部位は屈曲形状を成している。
また、前記一対の支柱501a,501aと横軸部501bとのうち、少なくとも横軸部501bは断面正円状に形成されている。
また、横軸部501bには、図28,図29に示すように、ロックブラケット504が支持されている。このロックブラケット504は、前記ロック機構を構成するためのものであり、基端部が、横軸部501bに、上方に突出するとともに、前方に傾斜するようにして固定されている。
このロックブラケット504は左右方向に薄厚な、かつ上下方向に長尺な金属製の板状体であり、突端部505には、ラチェット部535が形成されている。
また、基端部に、アーチ型の軸受け面を形成することによって、前記横軸部501bを把持するようにして、この横軸部501bに設けられている。また、この基端部は横軸部501bに対して溶接等により強固に接合固定されている。
さらに、ロックブラケット504には、図22,図28,図38A〜図38D等に示すように、前記ラチェット部535よりもヘッドレストピラー501側に、前記ラチェット部535の前後方向長さよりも短く設定された長孔504a,504bが形成されている。
一方の長孔504aは、前記ラチェット部535の下側に配置されているが、他方の長孔504bは、一方の長孔504aよりもヘッドレストピラー501側に形成されるガイド凹部564の下側に配置されている。なお、他方の長孔504bよりも下側には、さらに正円状の孔504cが形成されている。これら一方および他方の長孔504a,504bと孔504cは、前記ロックブラケット504を左右に貫通するようにして形成されている。
また、これら一方および他方の長孔504a,504bと孔504cは、下方に設けられる孔ほど前後方向に短くなるように設定されている。すなわち、前後方向長さが一番長いのは一方の長孔504aであり、次に他方の長孔504bであり、次に孔504cとなっている。
また、横軸部501bには、複数の付勢部材503,503を取り付けるための取付部502,502が固定されている。
複数の付勢部材503,503は、ヘッドレストフレーム509とヘッドレストピラー501の横軸部501bとの間に設けられるものであり、ヘッドレストフレーム509を横軸部501bに引き寄せる方向に付勢している。なお、これら付勢部材503はコイルバネとされている。
取付部502,502は、フック状に形成されており、コイルバネである付勢部材503,503の横軸部501b側端部の下端部を引掛けることができる。前記ロックブラケット504の左右両側に、ロックブラケット504から離間し、かつロックブラケット504から等しい間隔で配置されている。これに伴って、前記付勢部材503,503の横軸部501b側端部も、横軸部501bの長さ方向に互いに離間して配置されている。
なお、取付部502,502は、横軸部501bに対して溶接等により強固に接合固定されている。また、これら取付部502,502は、斜め上向きで後方に向かって突出している。
さらに、横軸部501bには、図22〜図27に示すように、ヘッドレストを構成するとともに前記変位体としての前記ヘッドレストフレーム509が、前後方向に位置調整可能に取り付けられている。なお、本実施の形態のヘッドレストフレーム509は、前記ヘッドレストピラー501の横軸部501bの軸心を回動中心として、前後方向に回動自在とされている
また、このヘッドレストフレーム509は、乗員の頭部を受けるものであり、中空状に形成されている。そして、ヘッドレストフレーム509は、クッションパッドとなるウレタン等の樹脂と一体化される。
内部には、ヘッドレストフレーム509のヘッドレストピラー501に対する移動を可能とする可動機構が収容されている。すなわち、ヘッドレストフレーム509は、可動機構をカバーしており、外部から可動機構への荷重や衝撃を軽減したり、クッションパッドとなる樹脂が内部に浸入することを防いだりしている。
また、ヘッドレストフレーム509は、正面部510と、背面部519と、化粧縁部材528,528と、ボタン532とを備えている。
正面部510および背面部519は、周縁部が互いに噛み合うように構成されるとともに、正面部510の周縁部に沿って配置される複数の引掛け爪部515…と、背面部519の周縁部に沿って配置される複数の引掛け凹部525…とを互いに係合させてなる嵌合構造を有している。そして、これら正面部510と背面部519とを嵌合させて組み合わせることで内部に空洞ができるように構成されている。
なお、正面部510と背面部519は嵌合構造を有することによって確実に組み合わせることができるが、組み立て時により嵌合しやすくするために、これら正面部510と背面部519との間に位置決め手段を設けるようにしても良い。
前記正面部510は、シートバックの前後方向の前側に配置されて乗員の頭部を直接受ける部分であり、図22,図28〜図32等に示すように、可動機構を保持している。
この正面部510は、前面壁部511と、周壁512と、膨出部513,513と、底壁514と、凸部516(凸部516A,516B,516C,516D)と、把持部517,517等を有している。また、前面壁部511と、周壁512と、膨出部513,513と、底壁514とは、図24等に示すように、前記横軸部501bよりも前方に位置している。
前面壁部511は、図23に示すように正面部510の大部分を占めるようにして設けられており、図24に示すように上下方向の中央付近で前方に湾曲している。
この前面壁部511の周縁部に沿って前記周壁512と、膨出部513,513と、底壁514とが一体形成されている。
周壁512は、前面壁部511および膨出部513,513の周縁部に沿って設けられており、これら前面壁部511および膨出部513,513から後方に延出することによって、ヘッドレストフレームを中空状にするためのスペースを形成している。
この周壁512には、図27に示すようなボタン532を取り付けるためのボタン取付部512aが側方に突出するようにして一体形成されている。ボタン取付部512aの突出方向側端面には、ボタン532のボタン保持部534を、ボタン取付部512aに嵌め込むための切欠部512bが形成されている。
さらに、この周壁512には、前記ボタン取付部512aとは反対側の位置に切欠部512dが形成されている。この切欠部512dは、後述するロック部材538をヘッドレストフレーム509内部側に挿入するためのものである。
膨出部513,513は、図22および図23に示すように、正面部510下部の左右両側に、それぞれ左右外側および前方に膨出するようにして設けられている。これら膨出部513,513には、前記ヘッドレストピラー501の支柱501a,501aと横軸部501bとの中間に位置する部位が収容される。
底壁514は、前記前面壁部511および膨出部513,513の下縁部に沿って、かつ前記周壁512と連続的に設けられており、正面部510の底面を形成している。
この底壁514には、図22に示すような化粧縁部材528,528を嵌め込むための切欠部514a,514aが形成されている。
凸部516は、前記前面壁部511に一体形成されるとともに、前面壁部511の背面側から後方に向かって突出する複数の凸形状部分を指している。
複数の凸形状部分として、凸部516A,516Aと、凸部516B,516Bと、凸部516Cと、凸部516Dとが、前記前面壁部511の背面側に設けられている。
凸部516A,516Aは、図22に示すように、前記前面壁部511の背面側において、左右方向に間隔をあけて、かつ上下方向に配置される2本の凸形状部分を指している。これら2本の凸部516A,516Aは大きさが略等しくなるように形成されている。
これら凸部516A,516Aは、前記可動機構と並設されるものであり、一方の凸部516Aの壁660と、他方の凸部516Aの壁661とは互いに対向している。
また、これら2本の凸部516A,516Aは、これら凸部516A,516Aに交差する連結部662によって連結されている。本実施の形態においては、連結部662によって、2本の凸部516A,516Aのうち、前記ロックブラケット504よりも上方で連結されており、より詳細には、上端部同士が連結されている。
これら2本の凸部516A,516Aと連結部662とは一体形成されており、これら凸部516A,516Aと連結部662との中間に位置する部位は屈曲形状を成している。すなわち、2本の凸部516A,516Aと連結部662とは、正面部510の背面側を正面から見た際に略逆U字状に形成されている。
また、後述するが、これら凸部516A,516Aは、図30および図31に示すように、これら凸部516A,516Aと一体形成されるとともに前記可動機構側に突出する突出部663a〜663eを備えている。
凸部516B,516Bは、図22および図32に示すように、前記2本の凸部516A,516Aよりも左右の外側に離間して配置されている。これら凸部516B,516Bの突端部には、左右方向に貫通する孔部665,665がそれぞれ形成されている。これら孔部665,665には、後述するガイド部材565が挿通される。
凸部516C,516Dは、前記2本の凸部516A,516Aの対向する壁660と壁661との間に、左右方向に並んで設けられている。また、凸部516Cと凸部516Dとの間には前記ロックブラケット504が設けられている。これら凸部516C,516Dには、ロック部材538の係合部540を挿通させるための係合部用長孔562がそれぞれ形成されている。これら係合部用長孔562,562は、前記ロックブラケット504のラチェット部535の左右両側に設けられている。
なお、これら凸部516C,516Dの基端部側は、互いに連結されるとともに、前記前面壁部511と2本の凸部516A,516Aにも連結されている。図22に示すように、凸部516Cは一方の凸部516A側に配置されており、凸部516Dは他方の凸部516A側に配置されている。また、凸部516Dの突端部側は、前記凸部516Cの突端部からも、前記他方の凸部516Aの壁661からも離間して配置されている。
前記凸部516A,516Aおよび連結部662と、凸部516B,516Bと、凸部516Cと、凸部516Dは、正面部510の製造段階で前面壁部511と一体に成形されており、これに伴って、該各凸部および連結部662が位置する部位の前面壁部511の正面側には、図23に示すように、それぞれ凹部が形成された状態となっている。
把持部517,517は、図22および図24に示すように、前記横軸部501bを把持するためのものであり、正面部510の下端部に設けられている。また、側面視においてアーチ型に形成されることによって、下方に向かって開放された状態となっており、このアーチ型部分で前記横軸部501bを把持している。このように把持部517,517で横軸部501bを把持することによって、前記ヘッドレストフレーム509を前記横軸部501bに対して前後方向に回動自在とすることができる。
また、これら把持部517,517と、前記2本の凸部516A,516Aとは連結されている。すなわち、凸部516Aの下方に把持部517が配置され、これら凸部516Aと把持部517とが一体形成された状態になっている。
把持部517,517は、図24に示すように、前記横軸部501bよりも下方に延出している。これによって、例えば把持部517,517が下方に延出していない場合に比して、より確実に横軸部501bを把持できるので好ましい。
さらに、把持部517,517には、これら把持部517,517の左右外側面から外側に向かって段差を形成する段差部517a,517aがそれぞれ設けられている。これによって把持部517,517を横方向に太くすることができ、より確実に横軸部501bを把持できるので好ましい。
また、前記凸部516A,516Aと一体形成された把持部517,517は、図22および図32に示すように、これら把持部517,517と一体形成されるとともに、前記可動機構としての横軸部501b側に突出する前記突出部663d,663eを備えている。
これら突出部663d,663eは、一見すると凹状に形成されたような形態となっているが、把持部517,517の背面部519側面から前記横軸部501b側に向かって、かつ把持部517,517の内方に向かって突出している形態とされている。突出部663d,663eが形成された部分は剛性の高い部分となるので、前記横軸部501bを確実に支えることができ、横軸部501bの変位を確実に規制できる。
さらに、把持部517,517は、前記横軸部501bに取り付けられた取付部502,502よりも横軸部501b中央側に配置されている。また、把持部517,517の外側端部は、取付部502,502に近接するようにして配置されている。すなわち、ヘッドレストフレーム509と横軸部501bとを接続する役割を果たす把持部517,517が、取付部502,502間に設けられているので、これら取付部502,502によってヘッドレストフレーム509自体の左右位置を規制することができる。
また、このように取付部502,502間に把持部517,517が設けられる場合に限られず、逆に、把持部517,517間に取付部502,502が設けられていても、これら取付部502,502によってヘッドレストフレーム509の左右位置を規制できるようになっている。
また、一方の把持部517と他方の把持部517との間は、下方に向かって開放された下部開放部518とされている。
この下部開放部518は、ヘッドレスト組み立て時において、正面部510を、ロックブラケット504が固定された状態のヘッドレストピラー501に取り付ける際に、前記ロックブラケット504が挿入される挿入口として機能する。
前記背面部519は、シートバックの前後方向の後側に配置されて、正面部510によって保持される可動機構を被覆する。
この背面部519は、後面壁部520と、周壁521と、膨出部523,523と、底壁524等を有している。
後面壁部520は、図25および図26に示すように、背面部519の大部分を占めるようにして設けられており、前記正面部510の凸部516A,516Aに沿うように前傾している。
この後面壁部520の周縁部に沿って前記周壁521と、膨出部523,523と、底壁524とが一体形成されている。
また、後面壁部520の正面側の下部中央には、前方に突出する突出支持部520aが設けられている。この突出支持部520aは、前記横軸部501bの中央部と、この横軸部501bよりも下方に位置する正面部510の底壁514との間に差し込まれる。これによって、前記把持部517,517と上下に互い違いとなるようにして横軸部501bを挟み込むような位置関係となるので、ヘッドレストフレーム509がヘッドレストピラー501から脱落することを確実に防ぐことができる。
また、後面壁部520には、図26に示すように、この後面壁部の外側面から後方に向かって突出する後方突出部526が設けられている。この後方突出部526は、ヘッドレストフレーム509の左右方向中央に設けられている。これによって、例えば後方突出部526が、ヘッドレストフレーム509の左右方向中央よりも左側または右側にすれて配置される場合と比較して、左右のバランスが良く、ヘッドレストフレーム509の剛性でも有利である。
この後方突出部526のヘッドレストフレーム509内部側には、図25に示すように、凹部526aが形成されており、この凹部526aは、前記可動機構のうち、この後面壁部520側に変位する部分が入り込む空間とされている。
さらに、後面壁部520には、図26に示すように、前記後方突出部526とは別の、前記取付部502,502用の後方突出部527,527が設けられている。
これら後方突出部527,527のヘッドレストフレーム509内部側には、図25に示すように、凹部527a,527aがそれぞれ形成されており、これら凹部527a,527aには、取付部502,502が収容される。
周壁521は、後面壁部520および膨出部523,523の周縁部に沿って設けられており、これら後面壁部520および膨出部523,523から前方に延出することによって、ヘッドレストフレームを中空状にするためのスペースを形成している。
この周壁521には、図27に示すようなボタン532を取り付けるためのボタン取付部521aが側方に突出するようにして一体形成されている。ボタン取付部521aの突出方向側端面には、ボタン532のボタン保持部534を、ボタン取付部521aに嵌め込むための切欠部521bが形成されている。
また、この周壁521には、ボタン取付部521aとは反対の位置に、図36および図37A,図37Bに示すような他端部係合部材543に当接して、他端部係合部材543の外側への移動を規制するとともに、前記切欠部512dを閉塞する当接部522が一体形成されている。
膨出部523,523は、図25および図26に示すように、背面部519下部の左右両側に、それぞれ左右外側および後方に膨出するようにして設けられている。これら膨出部523,523には、前記ヘッドレストピラー501の支柱501a,501aと横軸部501bとの中間に位置する部位が収容される。
底壁524は、前記後面壁部520および膨出部523,523の下縁部に沿って、かつ前記周壁521と連続的に設けられており、背面部519の底面を形成している。
この底壁524には、図22に示すような化粧縁部材528,528を嵌め込むための切欠部524a,524aが形成されている。
前記化粧縁部材528,528は、図22〜図26に示すように、互いに嵌合される前記正面部510と背面部519の底壁514,524に、前記ヘッドレストピラー501の一対の支柱501a,501aの位置に対応して設けられる。
前記底壁514に形成された切欠部514a,514aと、前記底壁524に形成された切欠部524a,524aは、正面部510と背面部519とを組み合わせることによって、底壁514,524に長孔状の開口部を2つ形成できるようになっている。
そして、これら2つの長孔状の開口部に化粧縁部材528,528がそれぞれ取り付けられ、長孔状の開口部の縁部を化粧することができる。
化粧縁部材528は、前記支柱501aが挿通されるスリット529と、周壁部530と、鍔部531とを備えている。
スリット529は、前後方向に長くなる長孔状に形成されている。このスリット529によって、ヘッドレストフレーム509の前後方向への回動に伴って移動する化粧縁部材528が支柱501aに接触することを防げるので、ヘッドレストを前後方向にスムーズに回動させることができる。
周壁部530は、前記スリット529の周縁に配置されるとともに、スリット529を形成するものであり、前記底壁514,524に形成された長孔状の開口部に差し込まれて嵌合される。
鍔部531は、前記周壁部530の下端部に一体形成されており、前記底壁514,524の下面に当接するものである。
すなわち、この鍔部531は、前記底壁514,524に形成された長孔状の開口部よりも大径となるように形成されており、化粧縁部材528が、長孔状の開口部からヘッドレストフレーム509内部に没入することを防ぐことができる。
前記ボタン532は、図22〜図27に示すように、互いに嵌合される前記正面部510と背面部519の周壁512,521のボタン取付部512a,521aに設けられる。
前記ボタン取付部512aに形成された切欠部512bと、前記ボタン取付部521aに形成された切欠部521bは、正面部510と背面部519とを組み合わせることによって、ボタン取付部512a,521aの突出方向側端面に長孔状の開口部を形成できるようになっている。
そして、この長孔状の開口部にボタン532が取り付けられ、このボタン532で前記可動機構を操作できる。
前記ボタン532は、ボタン本体533と、前記ボタン保持部534とからなる。
ボタン保持部534は、ボタン本体533が挿入される筒状部534aを備えている。
この筒状部534aのヘッドレストフレーム509外部側端部周縁には、前記長孔状の開口部よりも大径に形成された鍔部534bが設けられている。さらに、筒状部534aのヘッドレストフレーム509内部側端部には、ボタン取付部512a,521aの内周部に形成される引掛けリブ512c,521cに係止する係止部534cが設けられている。
ボタン本体533は、後述するロック部材538の被保持部539のボタン532側端部が取り付けられるものであり、前記ボタン保持部534の筒状部534aに挿入され、この筒状部534aに沿って進退自在とされている。
また、このボタン本体533は、前記筒状部534aの内部側端部に引っ掛かるストッパー板部533aを有している。これによって、ボタン本体533のうち、外側に露出する端面は、ボタン保持部534の鍔部534bよりも外側に突出しない構成となっている。
次に、ヘッドレストフレーム509のヘッドレストピラー501に対する移動を可能とする可動機構について説明する。
可動機構は、図28に示すように、前記ヘッドレストフレーム509を、前記ロックブラケット504に対して前後方向に複数の位置でロックする前記ロック機構と、前記ヘッドレストフレーム509の前後方向への移動をガイドするガイド機構と、を備えている。なお、ヘッドレストフレーム509の前後方向への移動は、上述のように前後方向に回動することを指しており、ロック機構によって回動方向に複数の位置で、ヘッドレストフレーム509をロックすることができる。
ロック機構は、前記ラチェット部535と、ロック部材538と、このロック部材538を、前記ラチェット部535に向かって付勢するとともに、このラチェット部535の凹溝537の底部537aに向かって付勢する付勢手段と、を有する。なお、このロック機構は、ヘッドレストフレーム509を所定の位置でロックするだけでなく、ロックを解除する機能も併せて備えている。
ガイド機構は、ガイド凹部564と、ガイド部材565と、を有する。
また、前記ヘッドレストピラー501やロックブラケット504、ヘッドレストフレーム509には、これらロック機構およびガイド機構を動作させるために必要な、または、これらロック機構およびガイド機構の動作をより良好にするために必要な構成が具備されているものとする。
ラチェット部535は、図28,図39等に示すように、前記ロックブラケット504の突端部505に形成されるものであり、前記ヘッドレストフレーム509の移動方向に沿って交互に配置される前記被係合部としての複数の係合歯536…および複数の凹溝537…を備えている。
これら複数の係合歯536…は前方に傾斜しており、複数の凹溝537…にはロック部材538が挿入される。つまり、ロック部材538は凹溝537に挿入され、係合歯536に引っ掛かるように構成されている。すなわち、ラチェット部535は、前記ヘッドレストフレーム509の前方への移動を許容し、後方への移動を規制するラチェット構造を備えていることになる。
なお、前記凹溝537も、前記係合歯536の傾斜に沿って延在するようにして形成されており、凹溝537の延在方向の最深部が底部537aとされている。ロック部材538は、この凹溝537の底部537aに到達するまで深く挿入されるようになっている。
また、前記ロックブラケット504は、図39に示すように、前記ラチェット部535よりもロックブラケット504の突出方向先端側にラチェット部535から離間して配置されるとともに、ロックブラケット504の突端部505の前端と後端とを連結する連結部506を備えている。
この連結部506は、ロックブラケット504の突端部505に一体形成されており、ロックブラケット504の突端部505の前端側に設けられる前端部507と、突端部505の後端側に設けられる後端部508とを有する。
そして、連結部506は、これら前端部507および後端部508によって支持されることによってラチェット部535から離間して配置できるようになっている。すなわち、この連結部506は、前記ラチェット部535の上方にアーチ状に設けられている。
また、前記複数の係合歯536…のうち、最後端に位置する係合歯536の後端面536aと、連結部506の後端部508のラチェット部側面508aは互いに対向しており、この連結部506のラチェット部側面508aは、前記係合歯536の後端面536aに沿って設けられている。
また、連結部506の後端部508は、図25,図26,図38Dに示すように、前記ヘッドレストフレーム509の正面部510の最前傾時に、このヘッドレストフレーム509の背面部519に最も近接するように設定されており、連結部506の後端部508のラチェット部535側面は、前方に傾斜する複数の係合歯536…に対応して前方に傾斜している。
さらに、連結部506の後端部508は、ラチェット部535側面だけでなく、背面部519側面も前方に傾斜しているため、後端部508自体が前傾している。したがって、ロックブラケット504の突端部505の後端は角が削られたような状態となる。すなわち、ヘッドレストフレーム509の背面部519に最も近接するように設定される連結部506の後端部508が、ヘッドレストフレーム509の最前傾時に、このヘッドレストフレーム509の背面側に大きく突出することを防ぐことができるので、ヘッドレストが前後方向に大型化することを抑制でき、ヘッドレストのコンパクト化に貢献できる。
また、このような連結部506の後端部508と対向する位置に、前記背面部519の後方突出部526が設けられている。そして、この後方突出部526の凹部526aに、連結部506の後端部508とロックブラケット504の後端側とが入り込み、収容されるようになっている。
ロック部材538は、図28,図32,図34等に示すように、前記ヘッドレストフレーム509に保持されるとともに左右方向に配置される被保持部539と、この被保持部539に平行するようにして配置されるとともに前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴って前記複数の係合歯536…および連結部506の後端部508に噛み合う前記係合部540と、これら被保持部539と係合部540とを連結する中間部541とから構成されている。
なお、本実施の形態において、これら被保持部539と、係合部540と、中間部541とは一体形成されており、略J字型となるように構成されている。すなわち、ロック部材538は、一本の金属棒を屈曲加工することにより形成されている。また、本実施の形態では中間部541を備えるものとしたが、少なくとも被保持部539と係合部540とを備えていればよいものとする。
また、被保持部539および係合部540の先端部はテーパ状に形成されている。
また、前記被保持部539は、前記ボタン532付近から他方の凸部516A付近までの長さを有する長尺部分とされており、前記係合部540は、前記他方の凸部516A付近から凸部516C付近までの長さを有する短尺部分とされている。
本実施の形態のロック部材538は略J字型としたが、これに限られるものではなく、図29に示すようなロック部材538Aとしても良い。
このロック部材538Aの場合、本実施の形態のロック部材538とは係合部540のラチェット部535への挿入方向が異なる。
すなわち、このロック部材538Aは、係合部540をラチェット部535から引き抜くことによってヘッドレストフレーム509のロックを解除できる構成となっている。このように係合部540を引き抜く方向に操作するロック部材538Aによれば、操作の確実性を向上させることができる。
また、被保持部539は、ボタン532側端部が前記ボタン本体533に取り付けられており、ボタン本体533が前記ボタン保持部534の筒状部534aに沿って進退するのに応じて、前記ヘッドレストフレーム509によって保持されながら左右方向、すなわち自身の長さ方向に沿って移動できるように設定されている。
これに伴って、係合部540も左右方向、すなわち自身の長さ方向に沿って移動できるようになっている。このように移動可能に設定された係合部540を、前記ラチェット部535側に移動して前記係合歯536および連結部506の後端部508に噛み合わせることによって、前記ヘッドレストフレーム509を、前記ロックブラケット504に対して前後方向に複数の位置でロックすることができる。
また、係合部540を、前記ラチェット部535とは反対側に移動して前記係合歯536および連結部506の後端部508に噛み合わない状態とすることによって、前記ヘッドレストフレーム509のロックを解除することができる。
なお、係合部540は、被保持部539と共に左右方向に配置され、前記ラチェット部535側に移動して係合歯536および連結部506の後端部508に噛み合うものである。したがって、この係合部540は、ラチェット部535内に挿入されるだけでなく、前記連結部506によって周囲を囲まれることにもなる。これによって、ラチェット部535に挿入されたロック部材538は、連結部506によって上方の位置や、前方および後方の位置を規制できる。
前記ヘッドレストフレーム509の凸部516A,516Aには、図22,図30,図32および図33に示すように、前記被保持部539が挿通される被保持部用長孔563がそれぞれ形成されている。これら被保持部用長孔563は、前記被保持部539によって、前記壁660を含む一方の凸部516Aを左右に貫通する位置と、前記壁661を含む他方の凸部516Aを左右に貫通する位置とにそれぞれ形成されている。
なお、図39に示すように、この被保持部用長孔563の長手方向の向きと、前記複数の凹溝537…の深さ方向の向きとが略一致するように設定されている。これは、工場等で多数作成されるロック部材538の被保持部539と係合部540との公差を吸収するためである。
すなわち、被保持部539と係合部540とが、中間部541を介して、ハの字型に広がっていたり、逆ハの字型に狭まったり、その位置関係にバラつきが見られる場合があるが、被保持部用長孔563の長手方向の向きと、前記複数の凹溝537…の深さ方向の向きとを略一致させることによって、このようなバラつきを吸収できる。
また、被保持部539は、図22に示すように、前記凸部516A,516Aに形成された各被保持部用長孔563に挿通されることにより、これら凸部516A,516Aで両持ち保持されることになる。特に、これら凸部516A,516Aの一方の壁660と他方の壁661との間で両持ち保持されることになるので、被保持部539のうちの最も荷重がかかる部分を確実に保持できて好ましい。
さらに、前記一方の凸部516Aは、図23および図30に示すように、この凸部516Aと一体形成されるとともに前記可動機構としての被保持部539側に突出する前記突出部663aを備えている。
この突出部663aは、図22に示すように、ヘッドレストフレーム509の製造段階で、凸部516Aと一体に成形されており、これに伴って、この突出部663aが位置する部位の凸部516Aの背面部519側面には凹部が形成された状態となっている。そして、図23に示すように、凸部516Aに対応して前面壁部511の正面側に形成される凹部側に突出している。
また、突出部663aには被保持部539を挿通させるための孔が形成されており、この孔は、前記被保持部用長孔563と略等しい形状に設定されるとともに連続して設けられている。このように突出部663aが形成された部分は剛性の高い部分となるので、前記被保持部539を確実に支えることができる。
係合部540は、他方の凸部516Aを左右に貫通するようにして設けられている。この他方の凸部516Aの壁661には、係合部用長孔562が形成されている。また、上述のように前記凸部516C,516Dにも係合部用長孔562がそれぞれ形成されており、これら3つの係合部用長孔562は、左右方向に並んで配置された状態となっている。また、上述のように凸部516Dの突端部側は、前記凸部516Cの突端部からも、前記他方の凸部516Aの壁661からも離間して配置されているので、3つの係合部用長孔562もそれぞれ離間して配置された状態となっている。
なお、前記他方の凸部516Aに形成される係合部用長孔562は、壁661を貫通しており、前記凸部516Dに形成される係合部用長孔562は、凸部516Dを左右方向に貫通している。前記凸部516Cに形成される係合部用長孔562は、図30に示すように、凸部516Cを貫通しないように設定されている。
また、これら凸部516C,516Dにそれぞれ形成される係合部用長孔562は、前記ラチェット部535に対向している。また、凸部516Aの壁661に形成される係合部用長孔562も、前記凸部516C,516Dにそれぞれ形成される係合部用長孔562と並んで配置されているので、凸部516Dを介して、前記ラチェット部535と対向したような状態となっている。
さらに、係合部用長孔562は、前記正面部510と背面部519との合わせ面、すなわち前記凸部516A,516Aの背面部519側面を越えない範囲に納まる。つまり、係合部用長孔562は、前記正面部510の前面壁部511から、前記凸部516A,516Aの背面部519側面までの間に設けられている。
これによって、ロック部材538の係合部540も、係合部用長孔562と同様の範囲内に設けられることになり、係合部540の動作範囲も、同様の範囲内に収めることができるので、ヘッドレストフレーム509の前後方向のコンパクト化を図ることができる。
係合部用長孔562は、図33および図39に示すように湾曲している。この係合部用長孔562が湾曲する方向は、前記被保持部539を軸にして係合部540を回転させる方向と等しくなるように設定されている。すなわち、回転する係合部540の軌道に沿うようにして湾曲している。このように係合部用長孔562が湾曲して形成されることによって、前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴って係合部540が係合歯536を乗り越える際の動作を許容することが可能となっている。
また、係合部540は、付勢手段によって、この係合部用長孔562の延在方向下方に押し付けられた状態が通常の状態であり、係合部540が係合歯536を乗り越える際に係合部用長孔562の延在方向上方に持ち上がるように設定されている。したがって、係合部用長孔562の延在方向は、前記通常の状態に対して、付勢手段によって係合部540を付勢する方向とは反対の方向に設定されていることになる。
また、このような係合部用長孔562に挿通される係合部540は、図39に示すように、前記凹溝537…と係合部用長孔562の双方に接することにより、前記凹溝537…に固定されている。さらに、前記凹溝537…と係合部用長孔562が、側面視において交差するようにして配置されている。
すなわち、ヘッドレストフレーム509自体は、前記横軸部501bとの間に設けられた前記複数の付勢部材503,503によって横軸部501b側に常に引き寄せられている状態となっている。したがって、ロック部材538の被保持部539も、常に横軸部501b側に引き寄せられている状態となっている。
さらに、係合部540と被保持部539は中間部541を介して連結されているから、係合部540も横軸部501b側に引き寄せられるが、この係合部540は、前記付勢手段によって係合部用長孔562の延在方向下方に常に押し付けられている。つまり、係合部用長孔562を含むヘッドレストフレーム509が横軸部501b側に付勢されており、係合部用長孔562の延在方向下方の縁部が前記係合部540の前方側に強固に当接することになる。これに伴って、係合部540は、係合歯536および連結部506の後端部508のラチェット部側面508aに強固に当接して、これら係合歯536および連結部506の後端部508のラチェット部側面508aに噛み合うことになる。さらに、係合部540は、付勢手段によって凹溝537の底部537aに当接することになる。
このようにして係合部540は、互いに交差する凹溝537…と係合部用長孔562の双方に接することになる。この時、係合部540は、前記凹溝537の底部537aに位置している。さらに、係合部540の中心軸540aは、図39に示すように、側面視において、前記係合部540と凹溝537とが接する部位P1と、前記係合部540と係合部用長孔562とが接する部位P2とを結ぶ仮想線V1よりも凹溝537の底部537a側に位置している。
さらに、この係合部540の中心軸540aは、ヘッドレストフレーム509を移動させて係合部540を複数の係合歯536…のいずれに係合させた場合であっても、これら部位P1,P2と、前記係合部540と凹溝537の底部537aとが接する部位P3とを互いに結ぶ三角形状の仮想線V2の範囲内に収まるように設定されている。なお、図39において仮想線V2は、仮想線V1を含んでいる。
付勢手段は、図22,図24,図32〜図37A,図37Bに示すように、付勢部材542と、連結部材553と、他端部係合部材543と、回転規制部549等を備えている。
付勢部材542は、前記ロック部材538に対して、係合歯536方向へ付勢する付勢力と、回転方向の付勢力とを付与できる。なお、この付勢部材542は、前記ボタン532の操作によって被保持部539の長さ方向に沿って移動するロック部材538を押し戻す圧縮バネの機能と、前記被保持部539を軸にして係合部540を回転させて凹溝537の底部537aに押し付ける捻りバネの機能とを有する捻りコイルバネとされている。すなわち、この付勢部材542は一つで二つの機能を持っていることになる。
また、この付勢部材542の一端部542aおよび他端部542bは、金属線が円状に巻かれた部分に対して、内側に直線状に突出するようにして形成されている。すなわち、この付勢部材542の一端部542aおよび他端部542bは、図35および図36に示すように、端面視において略e字状に形成されている。
連結部材553は、図32〜図35に示すように、前記ロック部材538と付勢部材542との間に設けられるものであり、前記ロック部材538が係合される第一係合部554と、前記付勢部材542の一端部542aが係合される第二係合部556とを有する。
前記第一係合部554は、前記被保持部539および係合部540の連結部材553側端部を保持する保持部555を備えている。
この保持部555は、図34に示すように、前記被保持部539および係合部540の連結部材553側端部と、前記中間部541とが挿入される筒状部分を指している。この保持部555の内部には、図示はしないが、前記中間部541の脱落を抑制する爪部が設けられている。
前記第二係合部556は、図35に示すように、前記付勢部材542の一端部542a側を収容する凹部557と、付勢部材542の一端部542aが係止される係止部558とを備えている。
この凹部557は、前記第一係合部554の保持部555と一体形成される円状の底壁部557aと、この底壁部557aの周縁部に沿って立設される周壁部557bとからなる。
また、係止部558は、前記底壁部557aに設けられる半円状の突起部559と、矩形状の突起部560とからなる。
突起部559と突起部560との間には隙間が形成されており、この隙間は、前記付勢部材542の一端部542aの直径と略等しくなるように設定されている。また、前記周壁部557bの内径は、前記付勢部材542の一端部542a側の外径よりも若干大きくなるように設定されている。したがって、付勢部材542の一端部542aは、前記突起部559と突起部560との間の隙間に係合されるとともに、この付勢部材542の一端部542a側の円状部分は凹部557によって保持される。
図34および図35に示すように、前記第一係合部554は外形が長円状に形成されており、前記第二係合部556は外形が正円状に形成されている。また、この第二係合部556の直径は、長円状の第一係合部554の短手方向長さよりも長く設定されている。このため、第二係合部556は、第一係合部554の短手方向の両側に突出したような形状となっている。
また、前記第二係合部556の直径は、ロック部材538の中間部541の長さよりも短くなるように設定されている。さらに、この第二係合部556は、前記被保持部539よりも係合部540側に若干近接して配置されている。これにより、第二係合部556が被保持部539側に近接して配置されるよりも、前記付勢部材542による回転方向への付勢力を伝達しやすいので好ましい。
前記他方の凸部516Aには、図24,図33,図37A,図37Bに示すように、連結部材挿入部664が形成されている。
この連結部材挿入部664は、前記第一係合部554が挿入される第一挿入部664aと、前記第二係合部556が挿入される第二挿入部664bとを備えている。
第一挿入部664aの凸部516Aに対する形成深さは、前記他方の凸部516Aの左右方向の長さよりも壁661の厚さ分の長さを差し引いた長さと略等しくなるように設定されている。
また、第二挿入部664bの凸部516Aに対する形成深さは、前記連結部材553の形状に対応して、前記第二係合部556の周壁部557bの高さと略等しくなるように設定されている。
また、第一挿入部664aの底壁は、前記他方の凸部516Aの壁661であり、この底壁である壁661には、上述のように、係合部用長孔562と被保持部用長孔563とが形成されている。
また、上述のように前記ロック部材538の係合部540は、前記付勢部材542によって被保持部539を軸にして回転する。前記第一挿入部664aおよび第二挿入部664bは、係合部用長孔562に向かうにつれて幅広になるように形成されており、係合部540を回転させるためのスペースを確保している。
さらに、この連結部材挿入部664は、前記他方の凸部516Aに形成されているため、図23に示すように、この凸部516Aに対応して前面壁部511の正面側に形成される凹部側に突出している。
他端部係合部材543は、図22,図32,図37A,図37Bに示すように、前記第二係合部556と対向して配置されるとともに付勢部材542の他端部542bが係合されるものであり、固定板部544と、凹部545と、係止部546とを備えている。
固定板部544は、図32,図36,図37A,図37Bに示すように、上端部および下端部が直線状に形成されており、前端部および後端部が曲線状に形成されている。この固定板部544のヘッドレストフレーム509内部側に、前記凹部545が設けられている。この凹部545は、固定板部544の中央後部側に設けられており、前記連結部材挿入部664に挿入される連結部材553の第二係合部556と対向するようにして配置される。
また、この固定板部544のヘッドレストフレーム509内部側面には、リブ544a,544bが形成されている。これらリブ544a,544bは縦横に格子状に配置されており、固定板部544の剛性を高めることができる。
凹部545は、底壁となる固定板部544に立設される円状の周壁部545aと、この周壁部545aの内側で前記固定板部544に形成される開口部545bとからなる。
また、係止部546は、周壁部545aの内側で前記固定板部544に設けられる半円状の突起部547と、矩形状の突起部548とからなる。
突起部547と突起部548との間には隙間が形成されており、この隙間は、前記付勢部材542の他端部542bの直径と略等しくなるように設定されている。さらに、半円状の突起部547には、突起部548側面に突出する爪部547aを備えている。
また、前記周壁部545aの内径は、前記付勢部材542の他端部542b側の外径よりも若干大きくなるように設定されている。したがって、付勢部材542の他端部542bは、前記突起部547と突起部548との間の隙間に係合されるとともに、この付勢部材542の他端部542b側の円状部分は凹部545によって保持される。
なお、矩形状の突起部548は、前記固定板部544の縦リブ544aの延長線上に配置されており、周囲の剛性高めることができる。
また、半円状の突起部547は、縦リブ544aの延長線上に配置されないように設定されている。すなわち、半円状の突起部547には爪部547aが形成されているので、突起部547,548間に付勢部材542の他端部542bを係合させるためには、この半円状の突起部547に若干の撓みが必要となる。したがって、この突起部547を、縦リブ544aの延長線上に配置しない構成としている。
また、前記開口部545bは、前記付勢部材542の他端部542bを突起部547,548間の隙間に係合させた際に、この他端部542bの係合状態を外側から確認するためのものである。また、開口部545bが縦リブ544aの延長線上に設けられてしまうと縦リブ544aによる剛性向上の効果を発揮しにくい。そのため、この開口部545bも縦リブ544aの延長線上に配置しない構成となっている。
なお、本実施の形態の付勢部材542は、一端部542aを前記第二係合部556の凹部557によって受けることができ、他端部542bを他端部係合部材543の凹部545によって受けることができる。つまり、付勢部材の42の両端部を、前記凹部557,545の面で受けることができるので、付勢部材542の付勢力を効果的に伝達できる。
回転規制部549は、図37Bに示すように、前記他端部係合部材543に当接し、前記付勢部材542によるロック部材538への回転方向の付勢力とは反対方向への他端部係合部材543の回転を規制するものである。この回転規制部549は、前記正面部510の周壁512に形成された切欠部512dの位置に対応して設けられている。
そして、この回転規制部549は、図22,図32,図37A,図37Bに示すように、前記他端部係合部材543の直線状の上端部に対して上方から当接する上端押さえ部550と、他端部係合部材543の直線状の下端部に対して下方から当接する下端押さえ部551と、他端部係合部材543の曲線状の前端部に対して前方から当接する前端押さえ部552と、他端部係合部材543の曲線状の後端部に対して後方から当接する後端押さえ部552aと、を備えている。これら各押さえ部550,551,552,552aは、前記他端部係合部材543の周囲の形状に対応した形状となっている。
前記上端押さえ部550および下端押さえ部551は矩形の板状体であり、本実施の形態において、これら上端押さえ部550および下端押さえ部551は、前記正面部510の前面壁部511と、周壁512と、他方の凸部516Aと一体形成されている。また、下端押さえ部551は、この下端押さえ部551の直下に位置する凸部516Bとも一体形成されている。
また、前記前端押さえ部552は、前記上端押さえ部550と下端押さえ部551との間に設けられており、これら上端押さえ部550および下端押さえ部551と、前面壁部511と、周壁512とに一体形成されている。
また、前記後端押さえ部552aは、図25に示すように、前記背面部519の周壁521に一体形成されている。
なお、本実施の形態の回転規制部549は、正面部510や背面部519に一体形成されるものとしたが、これに限られず、前記連結部材挿入部664に対向して配置されるとともに、前記正面部510や背面部519とは別体の部材としても良い。
ガイド機構のガイド凹部564は、図28に示すように、前記ロックブラケット504の側面に、前記ヘッドレストフレーム509の移動方向に沿って形成されるものである。
本実施の形態において、このガイド凹部564は、前記ロックブラケット504を左右の厚さ方向に貫通して形成されることによって前記ラチェット部535と、水平面に直角な同一平面上に設けられている。
なお、本実施の形態では、ロックブラケット504を貫通するガイド凹部564としたが、ロックブラケット504を貫通しないガイド凹部としても良い。
この場合、ロックブラケット504を貫通しないガイド凹部は、一部が前記ラチェット部535と、水平面に直角な同一平面上に設けられることになる。
また、ガイド凹部564を、ロックブラケット504を貫通するもの、ロックブラケット504を貫通しないもののいずれにしても、このガイド凹部564は、前記ラチェット部535よりも、ロックブラケット504の基端部側に設けられている。
ガイド機構のガイド部材565は、金属製の軸部材であり、図22,図28,図31,図38A〜図38D等に示すように、前記ヘッドレストフレーム509に保持されるとともにガイド凹部564に係合し、前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴ってガイド凹部564に沿って移動する。
本実施の形態では、前記ガイド凹部564はロックブラケット504を貫通して形成されているため、このガイド凹部564に挿通されている。
なお、このガイド部材565は金属製であるため、熱等の影響を受けにくい。
また、このガイド部材565は、前記ガイド凹部564に挿通される方向に長尺に形成されており、このガイド部材565のうち前記ガイド凹部564が形成されたロックブラケット504を挟んで両側に位置する部分が、前記ヘッドレストフレーム509よって保持されている。
すなわち、前記ヘッドレストフレーム509の凸部516A,516Aには、ガイド部材565が挿通される孔部566…がそれぞれ形成されている。これら孔部566…は、前記ガイド部材565によって、前記壁660を含む一方の凸部516Aを左右に貫通する位置と、前記壁661を含む他方の凸部516Aを左右に貫通する位置とにそれぞれ形成されている。
また、ガイド部材565は、図22および図31に示すように、前記凸部516A,516Aに形成された各孔部566…に挿通されることにより、これら凸部516A,516Aで両持ち保持されることになる。特に、これら凸部516A,516Aの一方の壁660と他方の壁661との間で両持ち保持されることになるので、ガイド部材565のうちの最も荷重がかかる部分の一つを確実に保持できて好ましい。
さらに、前記一方の凸部516Aおよび他方の凸部516Aは、図23および図31に示すように、これら凸部516A,516Aと一体形成されるとともに前記可動機構としてのガイド部材565側に突出する前記突出部663b,663cを備えている。
これら突出部663b,663cは、図22に示すように、ヘッドレストフレーム509の製造段階で、凸部516A,516Aと一体に成形されており、これに伴って、この突出部663b,663cが位置する部位の凸部516A,516Aの背面部519側面には凹部が形成された状態となっている。そして、図23に示すように、凸部516A,516Aに対応して前面壁部511の正面側に形成される凹部側に突出している。
また、突出部663b,663cにはガイド部材565を挿通させるための孔が形成されており、この孔は、前記孔部566…と略等しい形状に設定されるとともに連続して設けられている。このように突出部663b,663cが形成された部分は剛性の高い部分となるので、前記ガイド部材565を確実に支えることができる。
また、ガイド部材565の両端部は、図22および図31に示すように、このガイド部材565が貫通する前記凸部516A,516Aよりも左右の外側に離間して配置される他の凸部516B,516Bによって、それぞれ保持されている。すなわち、これら他の凸部516B,516Bには、上述のようにガイド部材565用の孔部665,665がそれぞれ形成されており、これら孔部665,665に、ガイド部材565の両端部が挿通されている。
なお、ガイド部材565の両端部はテーパ形状とされており、各孔部566,665に挿通しやすくなっている。
ガイド部材565は各孔部566,665に挿通されているだけであるため、ヘッドレストフレーム509は、このガイド部材565の軸方向への移動を規制する移動規制手段を備えている。この移動規制手段は、前記背面部519の周壁521自体であり、正面部510と背面部519とを組み合わせた時に前記凸部516B,516Bの外側に、背面部519の周壁521が近接して設けられることになる。
すなわち、前記凸部516B,516Bの外側に位置する背面部519の周壁521によって、前記ガイド部材565の軸方向への移動を規制できるようになっている。
さらに、このガイド部材565のうち、このガイド部材565が貫通する凸部516A,516Aを挟んで左右の外側に位置する部分と、前記ヘッドレストピラー501の横軸部501bとの間には、前記ガイド部材565を横軸部501bに引き寄せる方向に付勢する前記付勢部材503,503がそれぞれ設けられている。すなわち、上述したように、付勢部材503,503の横軸部501b側端部が前記取付部502,502に引掛けられている。したがって、これら付勢部材503,503のヘッドレストフレーム509側端部はガイド部材565に引掛けられている。
ガイド部材565は、このように前記凸部516A,516Aから離間して配置される凸形状やビード等によって両端部を保持されることによって、付勢部材503,503のヘッドレストフレーム509側端部を引掛けることができるので好ましい。すなわち、ガイド部材565のうち、付勢部材503,503が引掛けられる部位は、凸部516Aと凸部516Bとによって両持ち保持される状態となっているので、付勢部材503,503が引掛けやすいだけでなく、付勢部材503,503を確実に保持できる。
なお、前記ガイド凹部564は、前記ヘッドレストフレーム509の移動方向に沿って長尺に形成されている。このガイド凹部564の短手方向の長さは、ガイド部材565の直径よりも若干大きい程度に設定されている。これによって、ガイド部材565が、前記ガイド凹部564に沿って移動する際に、このガイド凹部564の延在方向以外の方向に大きく動くことを防ぐことができる。
これによって、このガイド部材565によるヘッドレストフレーム509のガイドを安定的に行うことができる。
次に、ヘッドレストの組立方法について説明する。なお、ヘッドレストフレーム509や可動機構を構成する各部・各パーツは予め加工成形されているものとする。
まず、ヘッドレストピラー501の横軸部501bに、取付部502,502と、ロックブラケット504とを固定する。そして、正面部510の下部開放部518にロックブラケット504を挿入するようにして、この正面部510を横軸部501bに取り付ける。この時、把持部517,517によって横軸部501bを把持する。
続いて、ガイド部材565を、一方の凸部516Bの孔部665から挿入し、凸部516A,516Aの孔部566…とロックブラケット504に形成されたガイド凹部564に挿通させ、さらに他方の凸部516Bの孔部665まで挿通させる。そして、付勢部材503,503を、ガイド部材565と取付部502,502との間に取り付ける。
続いて、連結部材553が装着されたロック部材538を、切欠部512dから連結部材挿入部664に向かって挿入し、第一挿入部664aの底壁に露出する係合部用長孔562に係合部540を挿通させ、被保持部用長孔563に被保持部539を挿通させる。
係合部540は、ラチェット部535にも挿通させるようにする。また、被保持部539は、凸部516A,516Aに形成された各被保持部用長孔563…にも挿通させるようにし、先端部がボタン取付部512aに到達するまで確実に差し込む。この時、連結部材553は、図24に示すように、連結部材挿入部664に収容された状態となる。
また、ボタン取付部512aにはボタン保持部534およびボタン本体533を収容しておき、被保持部539の先端部が差し込まれた時に、この先端部がボタン本体533に取り付けられるようにする。
続いて、連結部材553の第二係合部556に付勢部材542の一端部542aを係合させるとともに、他端部係合部材543に付勢部材542の他端部542bを係合させる。そして、図37Aに示すように、他端部係合部材543が係合された付勢部材542を、圧縮しながら、ロック部材538を前記凹溝537の底部537aに向かって付勢できる方向に回転させ、回転規制部549に、この他端部係合部材543を取り付ける。
続いて、化粧縁部材528,528を、正面部510の底壁514に形成された切欠部514a,514aに取り付ける。その後、背面部519を、正面部510と嵌合するように組み合わせる。このように背面部519を正面部510に嵌合させることによって、ボタン532が、正面部510および背面部519のボタン取付部512a,521aに取り付けられ、化粧縁部材528,528が、正面部510および背面部519の底壁514,524に取り付けられることになる。
さらに、ガイド部材565は、背面部519の周壁521によって軸方向への移動を規制され、他端部係合部材543は、当接部522が当接し、この当接部522によって支持されることになる。また、突出支持部520aが、前記横軸部501bの中央部と、この横軸部501bよりも下方に位置する正面部510の底壁514との間に差し込まれることになる。
以上のようにしてヘッドレストを組み立てることができる。
次に、以上のように構成されたヘッドレストの動作について説明する。
ヘッドレストの動作は、図38A〜図38Dに示すように、前記ヘッドレストピラー501の横軸部501bに対して前後方向に回動自在に取り付けられたヘッドレストフレーム509の前後方向への回動に基づくものである。
また、ヘッドレストフレーム509は、前記付勢部材503,503によって横軸部501b側に引き寄せる方向に付勢されている。したがって、図38Aに示すように、ヘッドレストフレーム509が後方に引き寄せられるとともに、前記ロック部材538の係合部540が、ラチェット部535の凹溝537のうち、最も後方にある凹溝537に挿入され、連結部506の後端部508に噛み合っている状態が、ヘッドレストフレーム509の通常位置とされている。
まず、通常位置からヘッドレストフレーム509を前方に移動させる際は、ヘッドレストフレーム509に対して、このヘッドレストフレーム509を前方に傾ける方向に力を加える。
これによって、係合部540が、図38Bに示すように、ラチェット部535に挿入されたまま、最後方の凹溝537の底部537aから離れて、最後方の係合歯536の後端面536aに沿って上方にスライドしていくことになる。
この時、係合部540は、前記付勢部材542による回転方向の付勢力に逆らって、係合部用長孔562の延在方向の上方へと移動する。すなわち、係合部540には、より強い付勢力が付与されている状態となる。
係合部540は、最後方の係合歯536の後端面536aに沿って上方にスライドしつつ、係合部用長孔562の延在方向の上方へと移動し、最後方の係合歯536の上端部に到達する。
そして、係合部540が、最後方の係合歯536の上端部を乗り越えた時、この係合部540は、前記付勢部材542の付勢力によって、後方から2番目の凹溝537の底部537aに向かって自動的に移動し、図38Cに示すように、この2番目の凹溝537の底部537aに嵌まるとともに、最後方の係合歯536に噛み合う。
また、係合部用長孔562の延在方向の上方へと移動していた係合部540は、最後方の係合歯536の上端部を乗り越えた時に、係合部用長孔562の延在方向の下方へと移動する。
すなわち、係合部540は、2番目の凹溝537の底部537aに嵌まり、最後方の係合歯536に噛み合うのと同時に、係合部用長孔562の延在方向の下方へと移動する動作を行う。
以上のようにして、段階的にヘッドレストフレーム509を前方へと移動させることができる。ヘッドレストフレーム509を、前記ロックブラケット504に対して前後方向に複数の位置でロックすることができる。
図38Dに示すように、係合部540が最前方の凹溝537に挿入され、最前方の係合歯536に噛み合っている状態が、ヘッドレストフレーム509の前後方向への移動の最前位置である。
このように最前位置に移動したヘッドレストフレーム509を通常位置へと戻す場合は、前記ボタン532を押して被保持部539を軸方向にスライドさせる。すなわち、前記付勢部材542を圧縮させる方向にロック部材538自体を移動させる。
係合部540は、被保持部539のスライドに連動してラチェット部535から離脱し、先端部が、前記凸部516Dに形成された係合部用長孔562に移動する。
この時、係合部540は、ラチェット部535のいずれの係合歯536にも連結部506の後端部508にも噛み合っていない状態となるので、付勢部材503,503によって後方付勢されているヘッドレストフレーム509は最後部へと移動する。
係合部540は、ヘッドレストフレーム509が最後部へと戻った後に、付勢部材542の付勢力によって再びラチェット部535に挿入され、図38Aに示すように、最後方にある凹溝537に挿入され、連結部506の後端部508に噛み合う。すなわち、通常位置へと戻ることになる。
また、ヘッドレストフレーム509の動作に伴って、ガイド部材565も、ガイド凹部564の延在方向に沿って移動している。
すなわち、ヘッドレストフレーム509の通常位置においては、図38Aに示すように、ガイド部材565はガイド凹部564の延在方向の後端に位置している。また、ヘッドレストフレーム509の最前位置においては、図38Dに示すように、ガイド部材565はガイド凹部564の延在方向の前端付近に位置している。
なお、ヘッドレストフレーム509を、最前位置よりも前方に移動させようとすると、係合部540は最前方の凹溝537の底部537aから離れて、連結部506の前端部507に沿って上方にスライドしていくことになる。また、係合部540は、係合部用長孔562の延在方向の上方へと移動することになる。
この状態で、さらにヘッドレストフレーム509を前方に移動させようとした場合は、係合部540と係合部用長孔562の延在方向の上端との間に強い力が加わる前に、ガイド部材565がガイド凹部564の延在方向の前端に当接する。これによって、ヘッドレストフレーム509が前方に移動できないように規制できるので、係合部540と係合部用長孔562の延在方向の上端との間に強い力が加わることを防ぐことができる。
以上のようにしてヘッドレストを動作させることができる。
本実施の形態によれば、前記ヘッドレストピラー501に支持されるロックブラケット504の複数の係合歯536…に対して、前記ロック部材538は、左右方向に配置されて横から複数の係合歯536…に噛み合うことになる。すなわち、前後方向や上下方向ではなく左右方向に配置されたロック部材538をヘッドレストフレーム509とともに前後方向に移動させることになるので、ロック部材538が前後方向や上下方向に移動するスペースを極力小さくすることができる。これによって、ヘッドレストが前後方向や上下方向に大型化することを抑制でき、ヘッドレストのコンパクト化に貢献できる。
また、前記ロックブラケット504の突端部505には連結部506が設けられているので、ラチェット部535付近の剛性が向上し、このラチェット部535付近の変形を抑制することができる。これによって、前記ラチェット部535付近やロックブラケット504の剛性を向上させるために、ロックブラケット504の厚みを厚くしたり、その他の補強構造を設けたりする必要が無いので、ロックブラケット504の大型化に伴ってヘッドレスト自体が大型化してしまうことを抑制できる。
したがって、ヘッドレストの大きさに合わせた比較的大きな部品や、孔や溝等の様々な加工が施された多くの部品を用いることなく、ヘッドレストの前後位置調整装置を軽量かつ簡易に構成することが可能となる。
また、最後端に位置する係合歯536の後端面536aと、前記連結部506の後端部508のラチェット部側面508aとが、互いに対向しており、前記連結部506のラチェット部側面508aは、係合歯536の後端面536aに沿って設けられているので、前記ロック部材538が、これら係合歯536と連結部506の後端部508との間をスムーズに通過することが可能となり、ロック部材538の通過時に異音等が発生することを抑制できる。
また、前記複数の係合歯536…は前方に傾斜しており、前記連結部506の後端部は、複数の係合歯536…に対応して前方に傾斜しているので、前記ロックブラケット504の突端部505の後端は角が削られたような状態となる。すなわち、前記ヘッドレストフレーム509の背面部519に最も近接するように設定される連結部506の後端部508が、ヘッドレストフレーム509の最前傾時に、このヘッドレストフレーム509の背面側に大きく突出することを防ぐことができるので、ヘッドレストが前後方向に大型化することを抑制できる。これによって、ヘッドレストのコンパクト化に、より貢献できる。
また、前記ヘッドレストフレーム509の背面部519に設けられた後方突出部526には凹部526aが形成されているので、この後方突出部526に対向する連結部506の後端部508を、ヘッドレストフレーム509に近接配置することが可能となる。これによって、ヘッドレストフレーム509の背面部519のうち、後方突出部526以外の部分を、後方突出部526よりも突出させずに済むので、ヘッドレストの大型化を抑制できる。これによって、ヘッドレストのコンパクト化に、より一層貢献できる。
また、ロックブラケット504に長孔504aを形成することによって、その分、ロックブラケット504の軽量化に貢献でき、延いてはヘッドレスト自体の軽量化に貢献できる。
さらに、この長孔504aは、ラチェット部535の前後方向長さよりも短く設定されているので、例えばラチェット部535の前後方向長さよりも長い場合に比して、ラチェット部535の剛性の低下を抑制できる。
また、前記ラチェット部535よりもヘッドレストピラー501側に長孔504aが形成されているので、この長孔504aによるラチェット部535の荷重の吸収効果も期待できる。
また、前記ロックブラケット504が、前記横軸部501bの長さ方向に互いに離間して配置された複数の付勢部材503,503間に位置するようにして横軸部501bに固定されているので、ヘッドレストフレーム509に対して捻れや傾き等を生じさせないようにバランス良く付勢力を付与できる。これによって、ヘッドレストフレーム509を良好な状態で取り付けできるので、ヘッドレストフレーム509の安定した支持が可能となる。
ところで、従来の技術1では、テンションスプリングのバネ圧により、ヘッドレストフレームを後傾方向に付勢している。ところが、この時のバネ圧により、リベットの頭部で固定しきれていないラチェット部材の下部に外力が加わり、ラチェット部材に傾きが生じる場合がある。ラチェット部材に傾きが生じてしまうと、ラチェット部材の係合歯と係止部材の爪部との間の良好な噛み合わせ状態が得られない場合がある。そこで、ラチェット部の係合歯とロック部材との良好な噛み合わせ状態を得ることを可能とする技術の開発が望まれていた。
これに対して、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置のロック機構は、上述のように、前記ロックブラケット504に形成されるとともに、前記ヘッドレストフレーム509の移動方向に沿って交互に配置される複数の係合歯536…および複数の凹溝537…を備えるラチェット部535と、前記ヘッドレストフレーム509に保持されるとともに左右方向に配置され、前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴って前記複数の係合歯536…に噛み合うロック部材538と、前記ロック部材538を、前記ラチェット部535に向かって付勢するとともに、前記凹溝537の底部537aに向かって付勢する付勢手段と、を有するように構成されている。
このように構成されたヘッドレストの前後位置調整装置によれば、前記ロック部材538が、前記ヘッドレストフレーム509の前後方向への移動に伴って複数の係合歯536…に噛み合うため、ヘッドレストフレーム509を、前後方向に複数の位置で段階的に調整できる。
また、前記付勢部材542を含む付勢手段によってロック部材538をラチェット部535に向かって付勢するので、このロック部材538の係合部540をラチェット部535に差し込むことができる。さらに、付勢手段によって係合部540を凹溝537の底部537aに向かって付勢するので、ラチェット部535に差し込まれた係合部540を凹溝537の底部537a側に押し付けることができる。すなわち、ヘッドレストフレーム509の移動に伴って複数の係合歯536…に噛み合う係合部540を、付勢手段によって、複数の凹溝537…の底部537a側に確実に押し付けることができ、ラチェット部535の係合歯536…とロック部材538の係合部540との良好な噛み合わせ状態が得られる。
また、同じく、ラチェット部の係合歯とロック部材との良好な噛み合わせ状態を得ることを目的として、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置のロック機構は、上述のように、前記ヘッドレストフレーム509のうち、前記ラチェット部535に対向する部位に形成されるとともに、前記係合部540が挿通され、前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴って係合部540が係合歯536を乗り越える際の動作を許容する係合部用長孔562を有しており、前記係合部540は、前記凹溝537と係合部用長孔562の双方に接することにより、前記凹溝537に固定されている。
このように構成されたヘッドレストの前後位置調整装置によれば、前記ロック部材538の係合部540が係合歯536を乗り越える際の動作を係合部用長孔562によって許容するので、ヘッドレストフレーム509の移動に伴って係合部540を複数の係合歯536…に確実に噛み合わせることができる。これによって、ヘッドレストフレーム509を、前後方向に複数の位置で段階的に調整できる。
また、付勢部材542を含む付勢手段によって係合部540をラチェット部535に向かって付勢するので、この係合部540を、ロックブラケット504に形成されたラチェット部535に差し込むことができる。さらに、付勢手段によって係合部540を凹溝537の底部537aに向かって付勢するので、ラチェット部535に差し込まれた係合部540を凹溝537の底部537a側に押し付けることができる。しかも、係合部540は、凹溝537と係合部用長孔562の双方に接することにより、凹溝537に固定されているので、単に凹溝537の底部537a側に押し付けられるだけでなく、複数の箇所で押さえられた状態となる。これによって、係合部540が凹溝537に固定される強度が高まることになるので、ラチェット部の係合歯とロック部材との良好な噛み合わせ状態が得られヘッドレストフレーム509を前後方向に複数の位置で段階的に調整する際に、このヘッドレストフレーム509を確実にロックすることが可能となる。
また、従来の技術1では、ラチェット部材は、ラチェット歯を左右の厚み方向に貫通するガイド孔と、ラチェット部材の係止部材側面から係止部材側に突出するラチェット歯を備えている。ガイド孔には、支持ブラケットに固定されるリベットが差し込まれており、ラチェット歯には係止部材が噛み合うように構成されている。
このような構成のラチェット機構では、ガイド孔とラチェット歯とが左右に配置され、同一平面上に設けられていないため、幅方向に大型化する場合がある。延いては、ヘッドレスト自体が大型化する場合もある。そこで、ヘッドレストの大型化の抑制を可能とする技術の開発が望まれていた。
これに対して、本実施の形態のヘッドレストの前後位置調整装置は、上述のように、前記ヘッドレストフレーム509の前後方向への移動をガイドするガイド機構を備えており、このガイド機構は、前記ロックブラケット504の側面に、前記ヘッドレストフレーム509の移動方向に沿って形成されるガイド凹部564と、前記ヘッドレストフレーム509に保持されるとともにガイド凹部564に係合し、前記ヘッドレストフレーム509の移動に伴ってガイド凹部564に沿って移動するガイド部材565と、を有しており、前記ラチェット部535と、前記ガイド凹部564の少なくとも一部とが、水平面に直角な同一平面上に設けられるように構成されている。
このように構成された前後位置調整装置によれば、前記ガイド部材565はヘッドレストフレーム509によって保持されているので、前記ロックブラケット504の側面に形成されたガイド凹部564に係合させることにより、このガイド部材565は、ヘッドレストフレーム509の移動に伴ってガイド凹部564に沿って移動することになる。このようにガイド部材565がガイド凹部564に沿って移動するので、ヘッドレストフレーム509の動作も、このガイド部材565によってガイドされることになり、ヘッドレストフレーム509の動作を円滑に行うことができる。さらに、前記ラチェット部535と、ガイド凹部564とが、水平面に直角な同一平面上に設けられているので、ラチェット構造の幅方向への大型化を防ぎ、延いてはヘッドレスト自体の大型化の抑制が可能となる。しかも、このようにラチェット部535に係合するロック部材538とロックブラケット504とが、ヘッドレストの幅方向に並んで配置されることを防げるので、ロック部材538とガイド部材565とが接触することを確実に防ぐことができ、ヘッドレストフレーム509の円滑な動作を確保できる。また、例えばガイド凹部564がロックブラケット504を貫通していない場合に比して、同一平面上に設けられる領域が増加するため、ラチェット部535からの荷重を安定して支持できる。さらに、ガイド凹部564に対して、ガイド部材565をより確実に挿通させることができる。これによって、ガイド部材565によるヘッドレストフレーム509のガイドをより円滑に行うことができるので、ヘッドレストフレーム509の動作の安定性を向上させることができる。また、前記ラチェット部535と、ガイド凹部564とが水平面に直角な同一平面上に設けられているので、ガイド凹部564によってラチェット部535の荷重を吸収でき、ラチェット部535の変形を抑制できる。
また、ラチェット構造を有するロック機構が採用されており、ラチェット部材のラチェット歯とポールの爪部とを噛み合わせたり、ロック解除ワイヤーによってポールを操作して爪部をラチェット歯から外したりすることで、ヘッドレストフレームを前後方向に回動させて位置調整できる技術として、例えば特開2001−112573号公報(以下、従来の技術3)等に記載の技術が知られている。
従来の技術3では、上記ラチェット構造のような可動機構がヘッドレストフレーム内に収容された状態となっている。このようにヘッドレストフレーム内に可動機構を収容した場合には、この可動機構の安定した動作を確保するために、可動機構の支持剛性を高めたいという要望がある。
これに対して、ヘッドレストは、乗員の頭部を受ける中空状のヘッドレストフレーム509と、前記ヘッドレストフレーム509内に収容されるとともに、ヘッドレストフレーム509のヘッドレストピラー501に対する移動を可能とする可動機構(前記前後位置調整装置)と、を備えており、前記ヘッドレストフレーム509は、前記可動機構と並設されるとともに、互いに対向する一方および他方の壁660,661を有する凸部516A,516Aを含んで構成されており、前記可動機構は、前記凸部516A,516Aの一方の壁660と他方の壁661との間で両持ち保持されるように構成されている。
このように構成されたヘッドレストによれば、前記ヘッドレストフレーム509内に収容されるロック機構やガイド機構を含む可動機構が、前記凸部516A,516Aの一方の壁660と他方の壁661との間で両持ち保持されているので、片持ちで保持される場合に比して、ロック部材538やガイド部材565等の可動機構の支持剛性をより一層向上させることができる。これによって、ヘッドレストフレーム509内に収容される可動機構の動作の安定性を確保することが可能となり、延いてはヘッドレストフレーム509の動作の安定性も確保することができる。
さらに、中空状のヘッドレストフレーム509は凸部516A,516Aを含んで構成されるので、これら凸部516A,516Aによってヘッドレストフレーム509自体の剛性を向上させることができる。
10 ヘッドレストピラー
20 インナーカバー
100 前後位置調整装置
110 下部ブラケット
120 上部ブラケット
124 貫通孔
130 一方のリンク(前方リンク)
133 ロック用孔
140 他方のリンク(後方リンク)
150 リベット(枢結部)
151 リベット(枢結部)
152 リベット(枢結部)
153 リベット(枢結部)
160 ロック部材
161 ロックピン部
162 シャフト部
163 連結部
501 ヘッドレストピラー
501b 横軸部
503 付勢部材
504 ロックブラケット
506 連結部
508 後端部
508a ラチェット部側面
509 ヘッドレストフレーム
510 正面部
516A 凸部
660 壁
661 壁
519 背面部
535 ラチェット部
536 係合歯
536a 後端面
537 凹溝
537a 底部
538 ロック部材
539 被保持部
540 係合部
540a 中心軸
542 付勢部材
542a 一端部
542b 他端部
543 他端部係合部材
544 固定板部
545 凹部
546 係止部
549 回転規制部
553 連結部材
554 第一係合部
556 第二係合部
557 凹部
558 係止部
562 係合部用長孔
563 被保持部用長孔
564 ガイド凹部
565 ガイド部材

Claims (14)

  1. 乗員の頭部の荷重を受けるとともに、ヘッドレストピラーに対して前後方向に変位する変位体と、
    前記変位体を、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除するロック機構と、を備えており、
    前記ロック機構は、前記変位体と一体的に前後方向に変位する係合部と、
    前記係合部の軌道上に複数設けられるとともに、ロック時に前記係合部が係合される被係合部と、を有しており、
    前記係合部は、前記被係合部に対して横から係合するように構成されていることを特徴とするヘッドレストの前後位置調整装置。
  2. ヘッドレストピラーに固定される下部ブラケットと、
    ヘッドレストのインナーカバーに固定される前記変位体としての上部ブラケットと、
    これら下部ブラケットと上部ブラケットとにそれぞれ枢結されるとともに、前記上部ブラケットを、車両用シートの前後方向に沿って移動させる一方および他方のリンクと、
    前記上部ブラケットを、前後方向の複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えており、
    前記ロック機構は、前記一方のリンクの上部ブラケットと対向する側壁に、該一方のリンクの回転方向に沿って並設される前記複数の被係合部と、
    前記上部ブラケットの一方のリンクと対向する側壁のうち、前記一方のリンクの回転に伴う複数の被係合部の回転軌道上に設けられる貫通孔と、
    前記貫通孔を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数の被係合部に抜き差し操作される前記係合部としてのロックピン部を少なくとも含むロック部材と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  3. 前記ロック部材は、前記ロックピン部と、
    前記ロックピン部と平行に配置されるとともに、前記上部ブラケットを左右に貫通して形成されたシャフト挿通孔に挿通されるシャフト部と、
    これらロックピン部とシャフト部とを連結するとともに、前記ロックピン部の抜き差し動作に伴って前記上部ブラケットの側壁から当接・離間する連結部と、から構成されており、
    前記シャフト部には、このシャフト部を、前記連結部を上部ブラケットの側壁に当接させ、かつ前記ロックピン部を被係合部に差し込む方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  4. 前記上部ブラケットの側壁には、外側に向かって段状に突出するとともに、前記貫通孔が形成される段状部が設けられており、
    前記シャフト部の、前記付勢部材による付勢方向とは反対の方向へのストロークは、前記ロックピン部が貫通孔から抜脱するまでのストロークよりも短くなるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  5. 前記ロックピン部は、本体軸部と、
    前記本体軸部の先端に設けられるとともに、ロックピン部の軸方向先端に向かって縮径するテーパ部と、
    前記テーパ部の先端に設けられるとともに、前記本体軸部よりも小径に設定された先端軸部とを有しており、
    前記被係合部の孔壁は、前記ロックピン部のテーパ部を受けるテーパ受け面と、
    前記先端軸部を受ける先端受け面とからなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  6. 前記上部ブラケットと下部ブラケットとの間には、前記上部ブラケットを下部ブラケット側に引き寄せる方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  7. 前記ロックピン部と、シャフト部と、連結部とは一体形成されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  8. 前記連結部は、両端部に、前記ロックピン部とシャフト部とがそれぞれ一体的に設けられる屈曲部と、これら屈曲部間に設けられる直線部とからなり、
    前記上部ブラケットの段状部には、外側に向かって突出するとともに、前記ロックピン部の被係合部への差し込み時に、前記連結部の直線部に少なくとも一点で当接する凸部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  9. ヘッドレストピラーに支持されるロックブラケットと、
    前記ヘッドレストピラーに前後方向に位置調整可能に取り付けられるとともに、乗員の頭部を受ける前記変位体としてのヘッドレストフレームと、
    前記ヘッドレストフレームを、前記ロックブラケットに対して前後方向に複数の位置でロックおよびロック解除する前記ロック機構と、を備えており、
    前記ロック機構は、前記ロックブラケットの突端部に形成されるとともに、前記ヘッドレストフレームの移動方向に沿って交互に配置される前記被係合部としての複数の係合歯および複数の凹溝を備えるラチェット部と、
    前記ヘッドレストフレームに保持されるとともに左右方向に配置され、前記ヘッドレストフレームの移動に伴って前記複数の係合歯に噛み合うように付勢される前記係合部を少なくとも含むロック部材と、を有しており、
    前記ロックブラケットは、前記ラチェット部よりもロックブラケットの突出方向先端側にラチェット部から離間して配置されるとともに、ロックブラケットの突端部の前端と後端とを連結する連結部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  10. 前記複数の係合歯のうち、最後端に位置する係合歯の後端面と、前記連結部の後端部のラチェット部側面は互いに対向しており、前記連結部のラチェット部側面は、前記係合歯の後端面に沿って設けられていることを特徴とする請求項9に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  11. 前記連結部の後端部は、前記ヘッドレストフレームの最前傾時に、このヘッドレストフレームの背面部に最も近接するように設定されており、
    前記複数の係合歯は前方に傾斜しており、前記連結部の後端部は、前記複数の係合歯に対応して前方に傾斜していることを特徴とする請求項9または10に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  12. 前記ヘッドレストフレームの背面部には、前記連結部の後端部と対向するとともに、このヘッドレストフレームの外側面から後方に向かって突出する後方突出部が設けられており、この後方突出部のヘッドレストフレーム内部側には凹部が形成されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  13. 前記ロックブラケットには、前記ラチェット部よりもヘッドレストピラー側に、前記ラチェット部の前後方向長さよりも短く設定された長孔が形成されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
  14. 前記ヘッドレストピラーは、左右に配置される横軸部を有しており、
    前記ヘッドレストフレームとヘッドレストピラーの横軸部との間には、前記ヘッドレストフレームを横軸部に引き寄せる方向に付勢する複数の付勢部材が設けられており、
    前記複数の付勢部材は、前記横軸部の長さ方向に互いに離間して配置されており、前記ロックブラケットは、これら複数の付勢部材間に位置するようにして前記横軸部に固定されていることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載のヘッドレストの前後位置調整装置。
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