JPWO2012032720A1 - 電子部品及び電子部品用リード線 - Google Patents

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Abstract

電子部品は、リード線と、機能素子と、外装体と、を有する。リード線は、アルミニウムを含む金属製の引き出し電極と、錫を含んだ金属ワイヤと、引き出し電極の第1端に金属ワイヤの第1端を溶接して形成された溶接部分と、を有する。引き出し電極の第2端は機能素子に接続されている。外装体は金属ワイヤの第2端を外部に導出するようにして機能素子を封入している。リード線は、溶接部分のうち、少なくとも外装体に被覆されていない部分に被着した樹脂膜をさらに有する。樹脂膜を構成する樹脂材は、単位厚み当たり0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有し、かつ10GPa以下の弾性率を有する。

Description

本発明は、電子部品とそれに用いるリード線に関し、特にリード線を挿通する貫通孔を設けられた絶縁性の封口体を有するコンデンサに関する。
近年、環境意識が高まり、電子機器の鉛フリー化が伸展している。これに伴い、電子機器に搭載される電子部品についても鉛フリー化の要望が強まっている。そのため、構成材料から鉛をなくすように、多くの電子部品の設計仕様が変化しつつある。
その一方で、鉛は、錫などの金属の針状ウィスカの発生を抑制する効果を有する。特に、従来の電子部品では、鉛は、電子部品の外部に導出しているリード線からのウィスカ発生を抑制する役割を担っている。そのため、鉛フリー化により電子部品のリード線から鉛を除くと、電子部品の外部に導出しているリード線にウィスカが発生し易くなる。さらに、振動や衝撃によってウィスカが電子部品外へ流出すると、電子機器の回路基板上へ落下してショートを引き起こし、電子機器に不具合が起きる虞が高まる。この問題を解決するため、電子部品では、ウィスカの発生、成長、流出を防止する様々な対策が検討されている。
図4は、従来の電子部品の一つである面実装形のアルミ電解コンデンサの断面図である。このアルミ電解コンデンサは、機能素子であるコンデンサ素子6と、リード線1と、外装ケース7Aと、封口体7Cと、絶縁端子板8とを有する。リード線1はコンデンサ素子6から引き出されている。有底筒状の外装ケース7Aはコンデンサ素子6を収納している。封口体7Cにはリード線1を挿通させる貫通孔7Dが設けられている。封口体7Cは外装ケース7Aの開口部に配置され、外装ケース7Aの外周面を絞って絞り加工部7Bを形成することによって圧縮され、外装ケース7Aの開口部を封止している。絶縁端子板8は外装ケース7Aの開口部に接するように配置されている。絶縁端子板8には、封口体7Cから導出されたリード線1を挿通させる貫通孔8Aと、貫通孔8Aを挿通し略直角方向に折り曲げられたリード線1を収納するように外表面に形成された溝部8Bとが設けられている。
リード線1は、アルミニウム線からなる引き出し電極2と、金属ワイヤ3と、樹脂膜5とから構成されている。錫メッキを有するCP線である金属ワイヤ3の第1端3Aは引き出し電極2の第1端2Aに溶接されている。引き出し電極2の第2端2Bはコンデンサ素子6に接続され、金属ワイヤ3の第2端3Bは、はんだ9Aにより回路基板9上の回路パターン(図示せず)に接続されている。
樹脂膜5は、引き出し電極2の第1端2Aと金属ワイヤ3の第1端3Aとの溶接部分4を被覆している。樹脂膜5の樹脂材には、熱硬化性樹脂接着剤であるエポキシ樹脂等が用いられている。
なお、引き出し電極2と金属ワイヤ3とを溶接した後、溶接部分4に樹脂膜5を被覆する前に、製造途中のリード線1はアルカリ性洗浄液で洗浄され、次にアルカリ性洗浄液が除去される。さらにこれらの洗浄及び洗浄液除去の前後何れかにおいて、製造途中のリード線1は150℃で約21分間加熱処理される。
溶接部分4をアルカリ性洗浄液で洗浄すると、溶接部分4の表面に付着している錫を溶解除去することができ、そのため錫ウィスカの発生を抑制することができる。また、150℃で熱処理することで、アルミニウムの結晶粒界に蓄積された応力を緩和し、アルミニウムの結晶粒界中に存在する錫が針状のウィスカとして発生、成長することを抑制できる。さらに、樹脂膜5を形成することで、錫ウィスカ発生の要因となる外部からの水分の浸入を防ぐことができる。その結果、錫ウィスカの発生を抑制することができる。またウィスカが発生したとしても、樹脂膜5はウィスカを外部へ流出させないように遮蔽する。このようにして、リード線1では、アルミニウムと錫が混ざり合った状態にある溶接部分4からの錫の針状ウィスカの発生が防止される(例えば、特許文献1)。
確かに、溶接部分4の表面の錫を除去したことにより、ウィスカの発生をある程度遅延させる効果はある。しかしながら、長期間の環境負荷試験を行うと、溶接部分4の深さ方向に存在して除去しきれない錫が表面まで出てきて、依然としてウィスカが発生する。
またリード線1の溶接部分4を樹脂膜5で被覆したにも係らず、樹脂膜5を構成する樹脂材によっては、ウィスカを十分に遮蔽することができない場合がある。この場合、ウィスカが溶接部分4から突出し、さらに振動や衝撃が加わると、電子部品の外部に流出してしまう。
その結果、従来の電子部品を搭載した電子機器は、針状ウィスカが回路基板9上へ落下することに起因したショートや誤作動等を引き起こしてしまう虞がある。
特開2007−67146号公報
本発明は、アルミニウムと錫の混在した溶接部分を有するリード線からのウィスカの発生及び外部流出を防止できる高信頼性の電子部品と、それを提供するリード線である。
本発明の電子部品は、リード線と、機能素子と、外装体とを有する。リード線は、アルミニウムを含む金属製の引き出し電極と、錫を含んだ金属ワイヤと、引き出し電極の第1端に金属ワイヤの第1端を溶接して形成された溶接部分とを有する。引き出し電極の第2端は機能素子に接続されている。外装体は金属ワイヤの第2端を外部に導出するようにして機能素子を封入している。リード線は、溶接部分のうち、少なくとも外装体に被覆されていない部分に被着した樹脂膜をさらに有する。樹脂膜を構成する樹脂材は、単位厚み当たり0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有し、かつ10GPa以下の弾性率を有する。
以上の構成において、リード線の引き出し電極と金属ワイヤとの溶接部分から針状ウィスカが伸長しようとしても、樹脂膜を突き破ることができない。またリード線に機械ストレスがかかっても樹脂膜に亀裂を生じない。そのため、本発明の電子部品では、外部へのウィスカ流出を安定して防止することができる。その結果、本発明の電子部品を搭載した電子機器において、ウィスカに起因するショートや誤作動等の不具合発生を抑制することができる。
図1は本発明の実施の形態における電子部品の一例であるアルミ電解コンデンサの構成を示す断面図である。 図2は図1に示すアルミ電解コンデンサのコンデンサ素子の展開斜視図である。 図3は本発明の実施の形態における電子部品の一例である面実装形のアルミ電解コンデンサの他の構成を示す断面図である。 図4は従来の面実装形のアルミ電解コンデンサの構成を示す断面図である。
図1は、本発明の実施の形態における電子部品の一例である面実装形のアルミ電解コンデンサの構成を示す断面図、図2は、このアルミ電解コンデンサのコンデンサ素子の展開斜視図である。
図1に示すように、このアルミ電解コンデンサは、機能素子であるコンデンサ素子16と、一対のリード線11と、外装体17とを有する。これらは、ラジアルリード形の本体部分を構成している。各リード線11の端部はコンデンサ素子16に接続されている。外装体17はリード線11の他方の端部を外部に導出するようにして、コンデンサ素子16を液体電解質である電解液(図示せず)と共に封じている。
外装体17は、外装ケース17Aと、封口体17Cとで構成されている。有底筒状の外装ケース17Aは電解液を含浸したコンデンサ素子16を収納している。封口体17Cには一対のリード線11をそれぞれ挿通させる一対の貫通孔17Dが設けられている。封口体17Cは外装ケース17Aの開口部に配置され、外装ケース17Aの外周面に絞り加工部17Bを設けることによって圧縮され、外装ケース17Aの開口部を封止している。封口体17Cには、EPT(エチレン・プロピレン・ターポリマー)やIIR(イソブチルとイソプレンの共重合体)等のゴム材料のほか、エポキシ樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
なおラジアルリード形の構成を面実装形とするため、絶縁端子板18が用いられている。絶縁端子板18は外装ケース17Aの開口部に接するように配置されている。絶縁端子板18には、封口体17Cから導出された一対のリード線11の金属ワイヤ13を挿通させる一対の貫通孔18Aが設けられている。さらに絶縁端子板18の外表面には、貫通孔18Aを挿通し略直角方向に折り曲げられた金属ワイヤ13を収納する一対の溝部18Bが設けられている。
図2に示すように、機能素子であるコンデンサ素子16は、陽極箔16Aと、陰極箔16Bとを、セパレータ16Cを介在させて捲回して構成されている。陽極箔16Aはアルミニウム等の弁金属からなる箔をエッチング処理により粗面化しさらにその表面に化成処理によって誘電体酸化皮膜(図示せず)を形成することで構成されている。陰極箔16Bはアルミニウム等の弁金属で構成されている。セパレータ16Cには、セルロース、クラフト、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、レーヨン、ガラス質等を含有する不織布を用いることができる。
引き出し電極12の第2端12Bの偏平部は、陽極箔16A、陰極箔16Bと、カシメ、超音波溶接あるいは圧接等の方法によってそれぞれ接続されている。図1に示すように、引き出し電極12の第1端12Aはコンデンサ素子16の同一端面より引出されている。
また、コンデンサ素子16に含浸された電解液は、溶媒に溶質を溶解して調製されている。一般的に、溶媒材料としては、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、スルホラン等に代表される有機溶剤が用いられ、溶質材料としては、アジピン酸やマレイン酸等の酸成分とアンモニア等の塩基成分等を含んだ塩が用いられる。なお、電解液には、ガス吸収、耐電圧の安定化、pH調整、酸化防止等を目的とした添加剤を適宜含むことができる。
なお、電解質に固体電解質を用いてもよく、固体電解質と液体電解質を併用してもよい。固体電解質の好適な具体例としては、ポリチオフェンやその誘導体等の導電性ポリマーなどが挙げられる。コンデンサ素子16を構成する陽極箔16Aと陰極箔16Bとの間に、ポリチオフェンやその誘導体等の導電性ポリマーからなる固体電解質層(図示せず)を形成する。
なお、コンデンサ素子16は、電極箔を捲回する以外に複数枚の電極箔を積層する構成であってもよい。また、機能素子とは、電気的機能を司る能動、受動素子全般のことを示し、例えば、コンデンサの場合はコンデンサ素子であり、電池の場合は電池素子、半導体の場合は半導体素子である。すなわち、本実施の形態ではコンデンサを例に説明しているが、本発明はコンデンサに限定されない。
次に、リード線11の構成について説明する。リード線11は、アルミニウムを含む金属製の引き出し電極12と、金属ワイヤ13と、樹脂膜15とで構成されている。錫メッキを有する金属ワイヤ13の第1端13Aは引き出し電極12の第1端12Aに溶接されている。すなわち、金属ワイヤ13は錫を含んでおり、リード線11は引き出し電極12の第1端12Aに金属ワイヤ13の第1端13Aを溶接して形成された溶接部分14を有する。樹脂膜15は溶接部分14に被着している。より具体的には、樹脂膜15は溶接部分14のうち、少なくとも外装体である封口体17Cに被覆されていない部分に被着している。
引き出し電極12には、丸棒状のアルミニウム線がアルミ電解コンデンサ用として一般的に用いられる。図2に示すように、引き出し電極12の第2端12Bは、偏平状に加工され、コンデンサ素子16と接続されている。
金属ワイヤ13は、封口体17Cの貫通孔17Dを挿通して外部に引き出され、外部端子としての役割を担う。このアルミ電解コンデンサを回路基板19へ面実装できるようにするため、金属ワイヤ13の第2端13B側はプレスしたり、折り曲げたりして形状加工されている。すなわち、第2端13Bははんだ19Aにより回路基板19上の回路パターン(図示せず)と電気的に接続される。
なお、一般的にアルミ電解コンデンサに用いられる金属ワイヤ13としては、CP線と称される線材が用いられる。CP線は、機械的強度、電導性、はんだ付け性の観点から、芯材として鋼線や銅線を有し、その外表面は銅で被覆され、さらにその上に錫などのはんだ付け性のよい金属層が形成されている。
また、引き出し電極12と金属ワイヤ13との溶接部分14は、引き出し電極12を構成する金属材料と金属ワイヤ13を構成する金属材料とが溶融して混在した金属層である。溶接部分14は、溶融後に冷却固化した部分を拡大鏡によって外観上視認することができる。また、溶接部分14の深さ方向における金属元素の混在状態は、集束イオンビーム装置(FIB)やX線マイクロアナライザ装置(XMA)等によって確認することができる。
アルミニウムを含む金属製の引き出し電極12と、錫メッキ付き鋼線の金属ワイヤ13を溶接した場合、溶接部分14には、アルミニウムと錫の混在した金属層が形成される。このため、水分付着などの外的要因の影響を受けると、溶接部分14の表面から針状の錫ウィスカが発生しやすい。また、溶接部分14のうち金属ワイヤ13側の淵部付近は、錫メッキを施した金属ワイヤ13と溶接部分14との境界となっていることから、溶接部分14全体の中では、比較的に錫が多く混在している。そのため、この箇所では特にウィスカが発生しやすい。
樹脂膜15は、溶接部分14の表面に被着するように設けられている。ただし、溶接部分14に発生するウィスカの流出を防ぐ観点から、少なくとも溶接部分14が外部に露出する部分に被着していればよい。図1の構成では、リード線11は封口体17Cの貫通孔17Dを挿通して、金属ワイヤ13の第2端13Bが外部に引き出されている。この場合、封口体17Cからリード線11を引き出すと、樹脂膜15がなければ、封口体17Cで被覆できない溶接部分14が露出する。また、封口体17Cの貫通孔17Dの径をできる限り小さくする工夫をしたとしても、溶接部分14の金属ワイヤ13側の淵部付近を封口体17Cで完全に被覆することはできない。そのため、樹脂膜15は、溶接部分14のうち少なくとも金属ワイヤ13側の淵部を含むようにして溶接部分14に被着する必要がある。
また、樹脂膜15の樹脂材は、ウィスカが針状に成長しようとする際の伸長力に対し、高強度である必要がある。樹脂材の強度の評価尺度としては、通常、鉛筆強度などが一般的に用いられる。しかしながら、針状ウィスカが外部へ流出するのを遮蔽するという観点で求められる強度として重要なのは、突刺し強度である。そこで、ウィスカが樹脂膜15を突き破って外部へ突出してこないように、単位厚み当たり0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有する樹脂材を樹脂膜15として選定する。一方、突刺し強度が0.05MPa/μm未満の場合、ウィスカが樹脂膜15を突き破って突出し、振動や衝撃によって外部へ流出してしまう虞が高くなる。
なお、リード線11の溶接部分14に被着した状態の樹脂膜15の突刺し強度を計測することは難しいため、突刺し強度計測用の樹脂膜の試料を別途作製して突刺し強度を計測する。この試料は、ガラス基板上に任意の厚みで樹脂溶液を塗布し、樹脂溶液の成膜条件で硬化や乾燥して成膜し、ガラス基板より剥ぎ取って作製する。
突刺し強度は次のようにして計測する。まず、試料を針で突刺す部分の膜厚をあらかじめ測定した後、試料を固定する。そして常温常湿下において、試料に直径1.0mmで先端が平らなSUS製の針を約毎分50±0.5mmの速度で突刺す。その際、針が貫通するまでの最大荷重を測定する。そして、針の断面積でこの最大荷重の測定値を割ることにより、突刺し強度を計算する。さらに測定した膜厚でこの突刺し強度の計算値を割ることにより、単位厚み当たりの突刺し強度を算出する。
また、回路基板19へ実装するためにリード線11は形状加工されている。そのため、リード線11の溶接部分14に機械ストレスがかかる。特に、外部端子の役割を担っている金属ワイヤ13をプレスしたり屈曲したりするため、溶接部分14のうち金属ワイヤ13側の淵部付近が機械ストレスの影響を受けやすい。樹脂膜15を構成する樹脂材の可撓性が不足する場合、つまり、樹脂材の弾性率が高い場合、リード線11の形状加工等の機械ストレスを受けた際に、樹脂膜15に亀裂が発生する。あるいは、樹脂膜15が溶接部分14から剥離する。その結果、樹脂膜15が前述の突刺し強度を十分確保していても、ウィスカ流出のパスとなる隙間を生じてしまう。そのため、樹脂膜15には、リード線11の形状加工の際に加わる機械ストレスに耐えるために、10GPa以下の弾性率を有する樹脂材を使用する。この弾性率とは、曲げ弾性率のことである。
なお、リード線11の形状加工とは、面実装形のアルミ電解コンデンサの場合、絶縁端子板18を装着する際に、リード線11の金属ワイヤ13にプレス加工や折り曲げ加工を施すことである。また、ラジアルリード形のアルミ電解コンデンサの場合であっても、実装形態に応じて、リード線11の金属ワイヤ13に折り曲げ加工を施すことがある。
ウィスカ発生、流出防止にとって、前述した突刺し強度や弾性率の他に、基材である溶接部分14やアルミニウム、錫への密着力が樹脂材の重要な物性として挙げられる。樹脂膜15の樹脂材が、必要な突刺し強度や弾性率を有していても、時間経過に伴って密着力が低下すると樹脂膜15が剥がれ、ウィスカが外部流出するパスとなる虞がある。また、水分等が浸入しやすくなり、溶接部分14の表面でウィスカの発生が誘発される。そこで、前述の突刺し強度や弾性率の条件に、密着力の条件を加えて樹脂膜15の樹脂材を選定するほうが好ましい。その密着力条件としては、樹脂材の密着力の低下程度を評価する代表的な負荷試験であるプレッシャークッカー試験(PCT)を行った後に、密着力が10N以上あるとよい。密着力が10N未満である場合には、ヒートサイクル負荷などによって、樹脂材の体積膨張率が変化した場合に、樹脂膜15が密着力不足のために溶接部分14から剥がれてしまい、ウィスカが外部へ流出するパスを生じてしまう虞がある。
なお、密着力は、リード線11の溶接部分14に被着した樹脂膜15に対して測定しにくいため、密着力測定用の樹脂膜の試料を別途作製して測定する。この試料の作製方法は以下のとおりである。まず、アルミニウム基板、錫基板を用意し、各々の基板上に、樹脂溶液を0.1ml滴下する。次に、その樹脂溶液上に直径5mmの真鍮製のピンを置いて、その状態で樹脂溶液の成膜条件で硬化、乾燥させて成膜する。そして、基板を固定し、常温常湿下において、ピンを引張り試験機(プッシュプルゲージ)で引っ張り、樹脂膜がアルミニウム基板及び錫基板から剥離する力を各々測定する。
また、電子部品が自動車電装用途などに用いられる場合がある。特に近年では、車載用電子機器のECU(電子制御ユニット)がエンジンルーム内に配置されている場合が増えている。それに伴い、ECUに搭載される電子部品には、最高使用温度150℃に耐えられるような高温耐熱性が求められている。このような高温に対して保証されるハイグレードの電子部品においては、リード線11の樹脂膜15に適用する樹脂材は、150℃環境下に晒されたとしても、安定した物性を維持する必要がある。特に、樹脂材は、そのガラス転移温度を越えると軟化し、突刺し強度が低下して不安定になる。このため、樹脂材は、電子部品の最高使用温度以上のガラス転移温度を有することが好ましい。つまり、電子部品の最高使用温度が150℃である場合には、樹脂材には、150℃以上のガラス転移点温度を有するものを選択する。なお、樹脂材のガラス転移温度は、一般的に動的粘弾性装置かTMAを用いて測定できる。
また、電子部品が自動車電装用途などに用いられる場合、外部の環境温度変化、つまりヒートサイクル負荷への耐久性が必要とされる。一方、電子部品がヒートサイクル負荷を受けた場合に、樹脂材の高温側のヤング率と低温側のヤング率との差が大きすぎると、樹脂膜15の密着力が低下する。ヒートサイクル負荷を受けたとしてもウィスカ発生、流出防止にとって必要な樹脂膜15の密着力を確保するためには、樹脂膜15の樹脂材の150℃におけるヤング率が、−55℃におけるヤング率の10〜100%の値であることが好ましい。
以上説明したウィスカ対策に必要となる突刺し強度、弾性率、密着力、ガラス転移温度、150℃と−55℃のヤング率条件を満たすことができる好適な樹脂材としては、ポリエステルイミドや芳香族ポリアミドイミドなどが挙げられる。すなわち、樹脂材が、ポリエステルイミドまたは芳香族ポリアミドイミドを主体とすることが好ましい。これらいずれかの樹脂が、上述の樹脂膜15の物性を支配的に決定付けるのに必要な割合で含有されていればよい。すなわち、硬化剤が残留していたり、フィラーなどが樹脂膜15に含まれていたりしてもよい。特に含有比率が50%以上であることが好ましい。
なお、溶接部分14への樹脂膜15の密着性を向上させるため、溶接部分14に、例えばカップリング剤など密着補助剤の下地層を介して樹脂膜15を形成してもよい。また、密着補助剤を含んだ樹脂膜15を形成してもよい。
なお、ポリアミドイミドには、芳香族系ポリアミドイミドの他に、脂肪族系ポリアミドイミドもある。しかしながら、ウィスカ対策用としての樹脂膜15に必要とされるレベルの突刺し強度の観点から、高強度の樹脂膜を形成できる芳香族系ポリアミドイミドが好ましい。
また、電子部品を自動車電装用途に適用する場合には、電子部品が車体内の環境に晒されるため、最悪の場合、電子部品の外表面にオイル等が付着することを想定しなければならない。また、外装体の内部に機能素子と共に液体電解質を収納している電子部品においては、リード線11の溶接部分14に被着した樹脂膜15が、有機溶剤を主体とした液体電解質に電子部品の製造過程で接触することがある。そのため、樹脂膜15には高い耐溶剤性が必要とされる。芳香族ポリアミドの樹脂材を合成するには、イソシアネート法や酸クロライド法といった製造方法が知られている。この中でイソシアネート法によって合成された芳香族ポリアミドは、耐溶剤性に優れる。しかも前述した溶剤の影響を受ける環境下でも、ウィスカ対策として必要とされる突刺し強度、弾性率、密着力を維持できるため好ましい。
リード線11の溶接部分14全体を樹脂膜15で確実に被覆するためには、樹脂膜15を溶接部分14の金属ワイヤ13側の淵部及び引き出し電極12側の淵部を含む範囲に形成する必要がある。このような場合、引き出し電極12の表面の一部にも樹脂膜15が形成される。しかしながら、アルミ電解コンデンサなどでは、外装体17が外装ケース17Aと封口体17Cとで構成され、リード線11が封口体17Cの貫通孔17Dを挿通して外部に引き出される。このようなタイプの電子部品では、樹脂膜15の膜厚が引き出し電極12の直径の5%より厚いと、引き出し電極12を封口体17Cの貫通孔17Dに挿通させにくい。その結果、組立不良が増加する。また、樹脂膜15が厚すぎると、樹脂膜15のある部分とない部分との段差が大きくなる。そのため、その段差部分で引き出し電極12と封口体17Cとが密着できなくなり、隙間ができる。その結果、引き出し電極12と封口体17Cの貫通孔17Dとの界面の密着性が低下し、気密性が低下する。このため、樹脂膜15の膜厚の上限値は、これらの問題が生じない範囲で形成する必要がある。
また、樹脂膜15の膜厚が、1000μmより厚くなると、樹脂膜15自身に応力が溜まりやすくなる。そのため、リード線11に折り曲げ等の形状加工を施す際に、樹脂膜15が溶接部分14から剥がれてしまう虞がある。
一方、樹脂膜15が薄すぎてしまうと、樹脂膜15の安定性が損なわれ、ウィスカ対策用として重要な突刺し強度を確保できなくなる。そのため、樹脂膜15の膜厚の下限値は、10μmである。
以上のように、アルミ電解コンデンサの場合、樹脂膜15の膜厚が10μm未満だと、ウィスカ対策としての突刺し強度の確保が困難となる。一方、膜厚が引き出し電極12の直径の5%より厚いと、リード線が封口体17Cの貫通孔17Dを容易に挿通できなくなる等の組立不良が増加したり、気密信頼性が低下したりする。したがって、樹脂膜15の膜厚は10μm以上で、かつ引き出し電極12の直径の5%以下の範囲にあることが好ましい。
また、樹脂膜15の突刺し強度と樹脂材の分子量との間には相関関係があり、分子量が大きくなるに従って単位厚み当たりの突刺し強度が高くなる。このため、分子量が大きいほど、薄い膜厚で必要な突刺し強度を確保することができる。
樹脂材として芳香族ポリアミドイミドを用いた場合、30,000以上の重量平均分子量を有する芳香族ポリアミドイミドを用いれば、ウィスカ対策に必要な突刺し強度及び弾性率を有する樹脂膜15を形成できる。一方、分子量が大きいと樹脂材を溶剤に溶解した樹脂溶液の粘度が高くなり、塗布しにくくなる。そのため、溶剤の割合を増やし粘度を下げる必要がある。そして、芳香族ポリアミドイミドの重量平均分子量が150,000を超える場合、樹脂溶液の粘度を下げるために樹脂溶液中の樹脂材の濃度をかなり小さくする必要がある。その結果、1回の塗布作業では、ウィスカ対策に必要な膜厚である10μmを確保することが困難となる。したがって、10μm以上の膜厚を確保するには樹脂溶液を複数回塗布せねばならず、作業性が極端に低下する。
以上のように、芳香族ポリアミドイミドを樹脂膜15に用いる場合には、重量平均分子量が30,000以上、150,000以下の範囲の芳香族ポリアミドイミドを用いることが好ましい。この範囲の材料を用いることで、樹脂膜15を形成するにあたり、1回の樹脂溶液の塗布作業によって、ウィスカ対策に必要な条件を有する樹脂膜15を形成することができる。
次に、リード線11の製造方法について説明する。まず、引き出し電極12の第1端12Aと金属ワイヤ13の第1端13Aを溶接する。その溶接方法としては、アーク溶接、抵抗溶接、レーザー溶接など、各種の溶接方法を用いることができる。引き出し電極12の第1端12Aと金属ワイヤ13の第1端13Aを突き合わせ、突き合わせた部分を上述の溶接方法のいずれかによって加熱して溶融させる。そして冷却固化させて溶接部分14を形成し、引き出し電極12と金属ワイヤ13とを一体化する。
なお、引き出し電極12の第1端12Aに凹部を設け、この凹部に金属ワイヤ13の第1端13Aを嵌合させた後、溶接することが好ましい。すなわち、ガスバーナーやレーザー等で引き出し電極を外部から加熱するなどの方法により、引き出し電極12の第1端12Aと金属ワイヤ13の第1端13Aとが嵌合して接触している界面に金属拡散層を形成させることが好ましい。このようにすると、溶接部分14が、外表面に露出する面積を大きく減らすことができ、ウィスカの発生を低減することができる。ただし、金属ワイヤ13の根元には溶接部分14が若干露出してしまうため、これだけでは完全にはウィスカ発生を防止しきれない。
次に、引き出し電極12の第2端12Bを、プレス加工し、輪郭形状を整えて偏平部を形成する。その後、リード線11を洗浄液で洗浄し、リード線11の表面の付着物を取り除く。なお、アルカリ性洗浄剤などを適用すると、リード線11の溶接部分14の表面を溶解させて、溶接部分14の表層に存在している錫を除くことができ、その結果、ウィスカの発生を遅延させることができる。
なお、この洗浄工程の前後いずれかで150℃程度の熱処理を行ってもよい。この熱処理によりアルミニウムの結晶粒界に蓄積された応力を緩和することができるため、錫ウィスカの発生を遅延させることができる。
また、電子部品の漏れ電流の低減、電解液を適用した場合の液漏れ防止、容量変化の低減等といった品質向上を目的として、リード線11の化成処理を行い、表面にアルミニウムの酸化皮膜を形成してもよい。
次に、溶接部分14に樹脂膜15を形成する。樹脂膜15を形成する方法としては、溶接部分14に樹脂溶液を塗布する方法が、薄く、均一で、密着性の高い樹脂膜15を形成するのに適している。樹脂溶液は、刷毛などを用いて塗布される。また、生産性を高めるためには、リード線11を回転させながら樹脂溶液をディスペンサーやスプレー等で吐出して溶接部分14に付着させることが好ましい。このようにすると、塗布したい溶接部分14に均一な膜厚の樹脂膜15を満遍なく合理的に塗り付けることができる。その後、樹脂溶液の成膜条件に合わせて乾燥や硬化を行い、樹脂膜15を形成する。
なお、リード線11の溶接部分14への樹脂膜15の密着性を向上させるため、溶接部分14に、カップリング剤などの密着補助剤を塗布した後、樹脂材を塗布し、樹脂膜15を形成してもよい。また、樹脂溶液に、カップリング剤などの密着補助剤を混入して用いてもよい。また、樹脂膜15の形成状態の良否を検査しやすくするため、樹脂溶液に顔料、染料、カーボンブラック等の着色剤を含有させ、樹脂膜15を着色してもよい。
なお、樹脂膜15が溶接部分14全体を確実に覆うようにするため、樹脂膜15の形成範囲は、溶接部分14の金属ワイヤ13側の淵部及び引き出し電極側の淵部を含むようにすることが望ましい。
ただし、図3に示すように、樹脂膜25を形成してもよい。図3は本実施の形態における面実装形アルミ電解コンデンサの他の構成を示す断面図である。樹脂膜25は溶接部分14全体を覆うように形成されていないが、リード線11を封口体17Cの貫通孔17Dに挿通させた際に封口体17Cによって被覆しきれない溶接部分14を確実に覆うように形成されている。このような構成でも樹脂膜15と同様の効果が得られる。
以上のようにして製作されたリード線11を用いて、本実施の形態1における電子部品の一例である面実装形アルミ電解コンデンサの製造方法について図1、図2を参照しながら説明する。
まず、図2に示すように、酸化皮膜の誘電体層を表面に有するアルミニウム等の弁金属からなる陽極箔16Aと、陰極箔16Bと、セパレータ16Cとを一定の幅と長さに切断する。そして、一対のリード線11におけるそれぞれの引き出し電極12の第2端12Bを陽極箔16Aと陰極箔16Bとにカシメ、超音波などの方法によって接続する。その後、陽極箔16Aと陰極箔16Bとの間にセパレータ16Cを介在させてロール状に捲回して略円筒形に成形し、その外周側面を絶縁テープ等(図示せず)で固定し、コンデンサ素子16を形成する。
なお、陽極箔16Aの表面にはエッチングや金属粒子の蒸着等が施され、表面積が適宜拡大されている。酸化皮膜からなる誘電体層は、電極材であるアルミニウム等の弁金属を陽極酸化することにより誘電体酸化皮膜として形成される。これ以外に、電極材に誘電体層を蒸着や塗布することで酸化皮膜を形成してもよい。なお、陰極箔16Bの表面にも、必要に応じて、エッチング、酸化皮膜、金属粒子蒸着、カーボン等の導電粒子付着等の表面処理を行ってもよい。
次に、封口体17Cに設けられた一対の貫通孔17Dにコンデンサ素子16から引出された一対のリード線11をそれぞれ挿通させ、コンデンサ素子16に封口体17Cを装着する。その後、コンデンサ素子16を電解液と共に外装ケース17Aに収納し、外装ケース17Aの開口部に封口体17Cを配置する。
なお、外装ケース17A内に予め一定量の電解液を注入しておき、コンデンサ素子16を外装ケース17Aに収納する際に含浸させることでコンデンサ素子16へ電解液を含浸することができる。これ以外に、電解液が蓄えられた含浸槽にコンデンサ素子16を浸漬し、引き上げた後に外装ケース17Aに収納してもよい。場合によって周囲を減圧してもよい。
なお、コンデンサ素子16に液体電解質である電解液を含浸する代わりに、固体電解質層を形成してもよい。その場合にはまず、形成したコンデンサ素子16を化成液に浸漬し、一対のリード線11間に電圧を印加することにより、陽極箔16Aの表面の酸化皮膜を修復化成する。その後、コンデンサ素子16の陽極箔16Aと陰極箔16Bの間に、固体電解質層を形成する。例えば、この固体電解質として導電性高分子であるポリ3,4エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を用いる場合には、PEDOTの分散液にコンデンサ素子16を含浸した後引き上げ、乾燥させることによって形成する。なお、3,4エチレンジオキシチオフェン等のモノマー溶液、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩等を含む酸化剤溶液を用い、これらの溶液にコンデンサ素子16を順次含浸し、コンデンサ素子16内で化学重合反応を起こさせてPEDOTを形成してもよい。あるいはこれらの溶液を混合した溶液にコンデンサ素子16を含浸してPEDOTを形成してもよい。
次に、外装ケース17Aを外周側面から巻き締めて絞り加工部17Bを形成することによって、外装ケース17Aの開口部を封止する。
なお、リード線11の作製時に溶接部分14へ樹脂膜15を形成する以外に、外装ケース17Aの開口部を封口体17Cで封口した後に溶接部分14へ樹脂膜15を形成してもよい。この場合、封口体17Cの貫通孔17Dから外部に露出しているリード線11の溶接部分14を覆うように樹脂溶液を塗布し、成膜条件に合わせて乾燥や硬化を行い、樹脂膜15を形成すればよい。
その後、封口体17Cの外面より導出した一対のリード線11に対し、金属ワイヤ13の第2端13Bを偏平状にプレス加工する。そして、絶縁端子板18に設けられた一対の貫通孔18Aにリード線11を挿通し、外装ケース17Aの開口部に接するように絶縁端子板18を配置する。次に、一対の金属ワイヤ13の第2端13Bを、互いに相反する方向へ略直角に折り曲げて、絶縁端子板18の外表面に設けられた溝部18Bに収納する。以上のようにして、面実装形のアルミ電解コンデンサが完成する。
なお、外装ケース17Aの開口部を封止した後や、リード線11を形状加工した後、もしくは絶縁端子板18を取り付けた後に、適宜、一対のリード線11間に電圧を印加し、再化成を行うことが好ましい。
以上のように、リード線11の引き出し電極12と金属ワイヤ13との溶接部分14に被着する樹脂膜15が、針状ウィスカが伸長しようとしても突き破ることができない強度を有する。しかも、樹脂膜15は、リード線11に形状加工による機械ストレスがかかっても亀裂を生じない弾性を兼ね備えている。そのためリード線11は、溶接部分14から針状ウィスカが突出することを防止できる。
このようなリード線11を適用した電子部品では、リード線11の溶接部分14から針状ウィスカが突出しないため、振動や衝撃によってウィスカが外部へ流出することを安定して防止できる。その結果、このような電子部品を搭載した電子機器において、ウィスカに起因するショートや誤作動等の不具合発生を抑制することができる。
また、樹脂膜15が突刺し強度や弾性率の条件を満足していることに加え、プレッシャークッカー試験を行った後に、その密着力が10N以上を確保することが好ましい。これにより、リード線11は、ヒートサイクル負荷などで樹脂材の体積膨張率が変化した場合であっても、樹脂膜15の密着力を維持することができる。その結果、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出がさらに安定的に防止される。
また、樹脂膜15の樹脂材が、150℃以上のガラス転移点温度を有することにより、リード線11は、外部温度150℃の環境下に晒されるような場合であっても、樹脂材が軟化せず、突刺し強度の低下を抑制することができる。そのため、溶接部分14からの針状ウィスカの突出を防止することができる。その結果、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出がさらに安定的に防止される。
また、150℃におけるヤング率が、−55℃におけるヤング率の10%以上、100%以下の値となる樹脂材を樹脂膜15に適用することが好ましい。すなわち、−55℃〜150℃といった厳しい外部環境の温度変化に晒される場合であっても、高温時と低温時の樹脂材の熱膨張の差が小さいことが好ましい。これにより、リード線11では、樹脂膜15が剥離することなく、密着力を維持することができる。その結果、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出がさらに安定的に防止される。
一般的な電子部品の外装、被覆用の樹脂材として、ポリアミドイミドが用いられる場合がある。しかしながら、前述したウィスカ対策には、突刺し強度、弾性率、密着力、ガラス転移温度、150℃と−55℃のヤング率の差といった特有の条件を考慮する必要がある。このような観点から、多様な種類のあるポリアミドイミドの中でも、特に、芳香族ポリアミドイミドが好ましい。芳香族ポリアミドイミドを樹脂材として用いることで、高強度の樹脂膜15を形成することができる。そのため、樹脂膜15の膜厚が薄くても、リード線11では、ウィスカの発生を効果的に抑制し、ウィスカの流出を防止することができる。その結果、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出がさらに安定的に防止される。さらに、樹脂膜15の膜厚を薄くすることができるため、樹脂膜15の塗布や乾燥、硬化時間を短縮することができ、リード線11および電子部品の生産性を向上することができる。
また、樹脂材である芳香族ポリアミドイミドの中でも、特に、イソシアネート法によって合成された芳香族ポリアミドを用いることが好ましい。これにより、樹脂膜が溶剤に触れるような状況下にあっても、リード線11は、ウィスカ対策として必要とされる樹脂材の突刺し強度、弾性率、密着力を維持できる。その結果、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出がさらに安定的に防止される。
また、樹脂材である芳香族ポリアミドイミドの重量平均分子量を、30,000以上、150,000以下の範囲とすることが好ましい。これにより、樹脂膜15を形成するにあたり、1回の樹脂溶液の塗布作業によって、ウィスカ対策に必要な条件を確保することができる。したがって、リード線11を適用した電子部品では、ウィスカの外部流出が安定的に防止されるとともに、樹脂膜15の塗布や乾燥、硬化時間を短縮して生産性を向上できる。
以下、具体的な実施例1〜6を用いてリード線11の効果を説明する。
(実施例1)
本実施の形態における電子部品の実施例1として、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。なお直径は8mm、高さは10.2mm、保証寿命は125℃3000時間である。
まず、リード線11を以下の手順で作製する。引き出し電極12には、純度99.9%、線径1.5mmのアルミニウム線を用い、金属ワイヤ13には、線径0.6mmの錫メッキ付き銅被覆鋼線を用いる。はじめに、引き出し電極12の第1端12Aと金属ワイヤ13の第1端13Aを突き合わせ、突き合わせた部分をアーク溶接法によって加熱して溶融させる。その後、冷却固化させて溶接部分14を形成し、引き出し電極12と金属ワイヤ13とを一体化する。
次に、引き出し電極12の第2端12Bをプレス加工し、輪郭形状を整えて偏平部を形成する。その後、リード線11をアルカリ性洗浄剤で洗浄し、乾燥させる。次に、アルミ電解コンデンサの漏れ電流の低減、電解液を適用した場合の液漏れ防止、容量変化の低減等といった品質向上を目的として、リード線11を化成液に浸漬して化成処理を行い、表面にアルミニウムの酸化皮膜を形成する。
その後、リード線11を回転させながら、樹脂溶液をディスペンサーで吐出して溶接部分14全体に塗布する。樹脂溶液には、樹脂材として、イソシアネート法によって合成された重量平均分子量が90,000の芳香族ポリアミドイミドを用い、溶剤としてN−メチルピロリドンを用いる。
塗布後、溶剤を揮発させて、樹脂膜15を形成する。なお、樹脂溶液の塗布および溶剤揮発の作業は、1回のみ行い、30μmの膜厚の樹脂膜15を形成する。以上のようにして、リード線11を作製する。
続いて、アルミ電解コンデンサを以下の手順で作製する。まず、酸化アルミ皮膜の誘電体層を表面に有するアルミニウムからなる陽極箔16Aと、陰極箔16Bと、セパレータ16Cとを一定の幅と長さに切断する。そして、一対のリード線11のそれぞれの引き出し電極12の第2端12Bを陽極箔16Aと陰極箔16Bとに針カシメによって接続する。その後、陽極箔16Aと陰極箔16Bとの間にセパレータ16Cを介在させてロール状に捲回して略円筒形に成形する。最後に外周側面を絶縁テープで固定し、コンデンサ素子16を形成する。なお、陽極箔16Aの表面は、エッチング法によって表面積を拡大し、さらに、陽極酸化法により酸化アルミ皮膜からなる誘電体層を陽極箔16Aの表面に形成する。なお、セパレータ16Cには、セルロースを主材料とした不織布を用いる。
次に、ゴムパッキングからなる封口体17Cに設けられた一対の貫通孔17Dにコンデンサ素子16から引出された一対のリード線11をそれぞれ挿通させ、コンデンサ素子16に封口体17Cを装着する。
一方、主溶媒にγ−ブチロラクトン、主溶質として環状アミジン化合物のアンモニウム塩を含んだ電解液を準備し、この電解液をアルミニウム製の有底筒状の外装ケース17A内に注入する。
そして、外装ケース17A内にコンデンサ素子16を挿入してコンデンサ素子16に電解液を含浸させると共に、コンデンサ素子16に装着した封口体17Cを外装ケース17Aの開口部に配置する。
次に、外装ケース17Aの開口部付近を外周側面から巻き締めて絞り加工部17Bを形成し、ゴム弾性体である封口体17Cに圧縮応力を発生させることによって外装ケース17Aの開口部を封止する。
その後、外部に導出された一対のリード線11間に40Vの電圧を60分印加して再化成を行い、ラジアルリード形のアルミ電解コンデンサ本体部分を作製する。
次に、封口体17Cの外面より導出した一対のリード線11におけるそれぞれの金属ワイヤ13の第2端13Bを偏平状にプレス加工する。その後、絶縁端子板18に設けられた一対の貫通孔18Aにリード線11を挿通し、外装ケース17Aの開口部に接するように絶縁端子板18を配置する。そして、一対の金属ワイヤ13の第2端13Bを、互いに相反する方向へ略直角に折り曲げて、絶縁端子板18の外表面に設けられた溝部18Bに収納する。このようにして、面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
この実施例1の構成に対し、実施例2〜6及び比較例1〜4は、リード線11の溶接部分14に被着させる樹脂膜15の樹脂材を変化させたものである。以下にこれら実施例2〜6及び比較例1〜4について詳細を説明する。なお、上記実施例1〜6及び比較例1〜4のアルミ電解コンデンサについて、樹脂膜15に用いた樹脂材を(表1)にまとめている。
Figure 2012032720
(実施例2)
実施例2では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Bを用いている。樹脂材Bの重量平均分子量は、樹脂材Aに比べて小さい。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(実施例3)
実施例3では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Cを用いている。樹脂材Cの重量平均分子量は、樹脂材Aに比べて大きい。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(実施例4)
実施例4では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Dを用いている。樹脂材Dは、樹脂材Aと比較して、樹脂材の合成方法が異なる。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(実施例5)
実施例5では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Eを用いている。樹脂材Eの重量平均分子量は、樹脂材A及び樹脂材Cに比べて大きい。また、樹脂溶液の塗布および溶剤揮発作業を2回繰り返して樹脂膜15を形成している。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(実施例6)
実施例6では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Fを用いている。樹脂材Fは、樹脂材Aと異なる構造の樹脂である。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(比較例1)
比較例1では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Gを用いている。樹脂材Gの重量平均分子量は、樹脂材A及び樹脂材Bに比べて小さい。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(比較例2)
比較例2では、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Hを用いている。樹脂材Hは、樹脂材Aと異なる構造の樹脂である。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Iを用いている。樹脂材Iは、樹脂材Aと異なる構造の樹脂である。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
(比較例4)
比較例4は、実施例1に用いた樹脂材Aの代わりに、(表1)に示した樹脂材Jを用いている。樹脂材Jは、樹脂材Aと異なる構造の樹脂である。これ以外は実施例1と同様とし、定格電圧35V、静電容量100μFの面実装形のアルミ電解コンデンサを作製する。
なお、突刺し強度は、リード線11の溶接部分14に被着した樹脂膜15を直接計測しにくいため、突刺し強度計測用の樹脂膜の試料を別途作製して計測する。この試料の作製方法および突刺し強度の測定方法は前述のとおりである。
また、リード線11を回転させながら樹脂溶液をディスペンサーで吐出して溶接部分14に樹脂膜15を形成する場合、形成できる樹脂膜15の膜厚は、樹脂溶液に適用する樹脂材によって異なる。そのため、1回の塗布で形成可能な膜厚を確認している。
次に、これら実施例1〜6及び比較例1〜4のアルミ電解コンデンサのサンプルを30個ずつ作製し、各種の耐ウィスカの評価試験を行う。なお、各試験の前後において、リード線11の溶接部分14のうち外装体17である封口体17Cに被覆されていない部分に被着した樹脂膜15に異常がないかどうかを確認する。異常であると判断する基準は、針状ウィスカが、樹脂膜15を突き破り、40μmを超えて突出している状態、若しくは、針状ウィスカの突出がなくとも、樹脂膜15に亀裂や剥離が生じている状態である。
まず初めに、樹脂膜15の機械ストレスに対する耐久性の指標として、リード線折り曲げ試験を行う。さらに、ウィスカの発生、成長の加速評価として一般的に実施される環境負荷試験である、高温耐湿試験及びヒートサイクル試験を行う。
なお、リード線折り曲げ試験では、引き出し電極12を固定した状態で金属ワイヤ13を、一度、90°折り曲げる。また、高温耐湿試験では、60℃95%RHの条件下に4000時間、アルミ電解コンデンサを晒す。ヒートサイクル試験では、アルミ電解コンデンサを−40℃〜85℃の条件下で1500サイクル(各温度30分を1サイクルとする)温度変化させる。これらの試験を経たときの結果を(表2)にまとめている。
Figure 2012032720
(表2)からわかるように、比較例1、3、4では樹脂材G、I、Jをそれぞれ適用しているが、針状ウィスカが発生、成長しやすい環境負荷である高温耐湿試験やヒートサイクル試験により、樹脂膜15から、異常と判断されるウィスカの突出が観察されている。この要因としては、(表1)に示すように、樹脂材の突刺し強度が不足していることが挙げられる。
また、比較例2では、樹脂材Hを適用したが、リード線折り曲げ試験により、樹脂膜15に異常と判断される亀裂が観察されている。この要因としては、(表1)に示すように、樹脂材Hの弾性率が高いことが挙げられる。また、ヒートサイクル試験においても、樹脂膜15に異常と判断される剥離が観察されている。この要因としては、(表4)に示すように、−55℃と150℃の間での、樹脂材Hのヤング率の変化が大きいことに起因していることが挙げられる。
一方、実施例1〜6によるリード線11には、樹脂材A〜Fが適用されている。樹脂材A〜Fは、ウィスカが針状に成長しようとする際の伸長力に耐えうる、0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有する。そのため、針状ウィスカが発生、成長しやすい環境負荷を与えても、溶接部分14に被着した樹脂膜15から、異常と判断される40μmを超える針状ウィスカが突出していない。また、リード線11の形状加工の際にかかる機械ストレスに耐えうる、10GPa以下の弾性率を有する。そのため、リード線11に機械ストレスを与えたとしても、樹脂膜15に異常と判断される亀裂や剥離を生じることもない。
次に、樹脂膜15を構成する樹脂材の密着力に着目した評価試験を行っている。密着力は、樹脂材の密着力を加速評価できるプレッシャークッカー試験により評価している。なお、プレッシャークッカー試験では、121℃、2気圧、100%RHの条件下で、樹脂膜試料を24時間放置する。樹脂膜試料の作製方法や試験方法は前述のとおりである。試験結果を(表3)に示す。
Figure 2012032720
(表3)からわかるように、比較例4のアルミ電解コンデンサに用いた樹脂材Jは、プレッシャークッカー試験後において、10N以上の密着力を確保できていない。
一方、実施例1〜6によるリード線11に用いた樹脂材A〜Fは、プレッシャークッカー試験後においても、アルミニウム基板及び錫基板との密着力を10N以上有している。このように、ヒートサイクル負荷などによって樹脂材の体積膨張率が変化した場合でも、樹脂膜15がリード線11の溶接部分14から剥がれることなく密着し続けることができる。そのため、ウィスカの外部流出を安定的に防止することができる。
また、実施例1〜6及び比較例1〜4のアルミ電解コンデンサに用いる樹脂材A〜Jの150℃のガラス転移温度、そして、150℃と−55℃におけるヤング率について、(表4)にまとめている。
Figure 2012032720
一般的に、樹脂材は、ガラス転移温度を超えると軟化してしまい、突刺し強度の低下を招き不安定となる。そのため、耐ウィスカ性能を確保できる樹脂材は、適用する電子部品の最高使用温度以上のガラス転移温度を有することが好ましい。(表4)からわかるように、比較例3の樹脂材Iのガラス転移温度は150℃を大幅に下回っている。したがって、最高使用温度が150℃となる高信頼グレードのアルミ電解コンデンサに樹脂材Iを用いると、物性不安定のため、異常判定となるウィスカが突出しないことを保証し難い。
一方、実施例1〜6に適用している樹脂材A〜Fは、150℃以上のガラス転移温度を有しており、安定した物性を維持することができるため、異常判定となるウィスカが突出しないことを保証できる。
また、(表4)に示すように、樹脂材A〜Fは、樹脂材の150℃におけるヤング率が−55℃におけるヤング率の10〜100%の値となっている。そのため、−55℃〜150℃といった厳しい外部環境の温度変化に晒される場合であっても、樹脂膜15は剥離せずに、密着力を維持できることが期待できる。
また、樹脂膜15を構成する樹脂材として、芳香族ポリアミドイミドを適用した場合、その物性及び膜厚は、樹脂溶液に含まれる樹脂材の分子量によって影響を受ける。(表1)からわかるように、重量平均分子量が25,000である比較例1の樹脂材Gでは、ウィスカ対策に必要な突刺し強度及び弾性率を確保できていない。一方、重量平均分子量が30,000以上である実施例1〜5の樹脂材A〜Eでは、ウィスカ対策に必要な突刺し強度及び弾性率を確保できている。
また、(表1)には、各樹脂材によって形成した樹脂膜15の膜厚を示している。実施例1〜4の樹脂材A〜Dは、樹脂溶液を1回塗布しただけで、ウィスカ対策で最低必要な膜厚である10μm以上の膜厚を得ることができている。一方、実施例5の樹脂材Eは、樹脂溶液を1回塗布しただけでは10μm以上の膜厚を確保することができず、2回以上の塗布が必要である。つまり、樹脂溶液の1回塗布という条件下においては、重量平均分子量が150,000以下である実施例1〜4の樹脂材A〜Dは、ウィスカ対策に必要な10μm以上を確保することができるが、重量平均分子量が200,000である実施例5の樹脂材Eは、10μm以上を確保することができない。
このことから、重量平均分子量が30,000以上、150,000以下の芳香族ポリアミドイミドを用いることにより、樹脂膜15を形成するにあたり、1回の樹脂溶液の塗布作業によって、ウィスカ対策に必要な樹脂膜15を合理的に確保することができる。
また、実施例1、4のアルミ電解コンデンサに用いた樹脂材A、Dは、芳香族ポリアミドイミドの合成法に相違点を有し、樹脂材Aはイソシアネート法により合成され、樹脂材Dは酸クロライド法によって合成されている。樹脂材Aのほうが樹脂材Dよりも耐溶剤性に優れる。アルミ電解コンデンサの組立工程では電解液がリード線11の溶接部分14に付着することがある。また車載環境のあるアルミ電解コンデンサの外表面にオイル等が付着する場合がある。このように樹脂膜15が溶剤に触れるような状況下にある場合、樹脂材Aのほうが、ウィスカ対策として必要とされる物性を安定的に維持することができる。
本発明の電子部品では、リード線の引き出し電極と金属ワイヤとの溶接部分に被着する樹脂膜が、針状ウィスカが伸長しようとしても突き破ることができない突刺し強度を有する。それと同時に、リード線に機械ストレスがかかっても亀裂を生じない弾性率を樹脂膜が有する。そのため、本発明の電子部品においては、外部へのウィスカ流出を安定して防止することができる。その結果、本発明の電子部品を搭載した電子機器において、ウィスカに起因するショートや誤作動等の不具合発生を抑制することができる。したがって、本発明の電子部品は、特に、長期にわたる高信頼性が要求されるAV機器や自動車電装機器に適用される電子部品として有用である。
11 リード線
12 引き出し電極
12A 第1端
12B 第2端
13 金属ワイヤ
13A 第1端
13B 第2端
14 溶接部分
15,25 樹脂膜
16 コンデンサ素子
16A 陽極箔
16B 陰極箔
16C セパレータ
17 外装体
17A 外装ケース
17B 絞り加工部
17C 封口体
17D 貫通孔
18 絶縁端子板
18A 貫通孔
18B 溝部
19 回路基板
19A はんだ
本発明の電子部品は、リード線と、機能素子と、外装体とを有する。リード線は、アルミニウムを含む金属製の引き出し電極と、錫を含んだ金属ワイヤと、引き出し電極の第1端に金属ワイヤの第1端を溶接して形成された溶接部分とを有する。引き出し電極の第2端は機能素子に接続されている。外装体は金属ワイヤの第2端を外部に導出するようにして機能素子を封入している。リード線は、溶接部分のうち、少なくとも外装体に被覆されていない部分に被着した樹脂膜をさらに有する。樹脂膜を構成する樹脂材は、単位厚み当たり0.16MPa/μm以上の突刺し強度を有し、かつ4.5GPa以下の弾性率を有する。

Claims (14)

  1. アルミニウムを含む金属製の引き出し電極と、錫を含んだ金属ワイヤと、前記引き出し電極の第1端に、前記金属ワイヤの第1端を溶接して形成された溶接部分と、を有するリード線と、
    前記引き出し電極の第2端と接続された機能素子と、
    前記金属ワイヤの第2端を外部に導出するようにして前記機能素子を封入した外装体と、を備え、
    前記リード線は、前記溶接部分のうち、少なくとも前記外装体に被覆されていない部分に被着した樹脂膜をさらに有し、前記樹脂膜を構成する樹脂材が、単位厚み当たり0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有し、かつ10GPa以下の弾性率を有する、
    電子部品。
  2. 前記樹脂材が、アルミニウムおよび錫の各々に対する密着力として、121℃、2気圧、100%RHの条件下で24時間放置するプレッシャークッカー負荷試験後に10N以上を有する、
    請求項1記載の電子部品。
  3. 前記樹脂材が、150℃以上のガラス転移温度を有する、
    請求項1記載の電子部品。
  4. 前記樹脂材の150℃におけるヤング率が、−55℃におけるヤング率の10%以上、100%以下である、
    請求項1記載の電子部品。
  5. 前記樹脂材が、ポリエステルイミドまたは芳香族ポリアミドイミドを主体とする、
    請求項1記載の電子部品。
  6. 前記芳香族ポリアミドイミドが、イソシアネート法によって合成されたものである、
    請求項5記載の電子部品。
  7. 前記ポリアミドイミドの重量平均分子量が、30,000以上、150,000以下である、
    請求項5記載の電子部品。
  8. アルミニウムを含む金属製の引き出し電極と、
    錫を含んだ金属ワイヤと、
    前記引き出し電極の第1端に、前記金属ワイヤの第1端を溶接して形成された溶接部分と、
    前記引き出し電極と金属ワイヤとの溶接部分のうち少なくとも金属ワイヤ側の淵部を含むようにして前記溶接部分に被着した樹脂膜と、を備え、
    前記樹脂膜を構成する樹脂材が、単位厚み当たり0.05MPa/μm以上の突刺し強度を有し、かつ10GPa以下の弾性率を有する、
    電子部品用リード線。
  9. 前記樹脂材が、アルミニウムおよび錫の各々に対する密着力として、121℃、2気圧、100%RHの条件下で24時間放置するプレッシャークッカー負荷試験後に10N以上を有する、
    請求項8記載の電子部品用リード線。
  10. 前記樹脂材が、150℃以上のガラス転移温度を有する、
    請求項8記載の電子部品用リード線。
  11. 前記樹脂材の150℃におけるヤング率が、−55℃におけるヤング率の10%以上、100%以下である、
    請求項8記載の電子部品用リード線。
  12. 前記樹脂材が、ポリエステルイミドまたは芳香族ポリアミドイミドを主体とする、
    請求項8記載の電子部品用リード線。
  13. 前記芳香族ポリアミドイミドが、イソシアネート法によって合成されたものである、
    請求項12記載の電子部品用リード線。
  14. 前記ポリアミドイミドの重量平均分子量が、30,000以上、150,000以下である、
    請求項12記載の電子部品用リード線。
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