JP2011199086A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
陽極箔と陰極箔との間に合成繊維の不織布を含むセパレータが配置されたコンデンサ素子に、pH3未満の導電性高分子の分散溶液を含浸して導電性高分子層を形成したことを特徴としている。
【選択図】 なし
Description
陽極箔は、アルミニウム等の弁作用金属箔からなり、その表面を、塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して多数のエッチングピットが形成され、更にこの陽極箔の表面には、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層が形成されている。
陰極箔は、陽極箔と同様にアルミニウム等の弁作用金属箔からなり、(1)表面にエッチング処理を施したもの、(2)エッチング処理を施さないプレーン箔を用いたもの、(3)前記(1)又は(2)の表面に酸化皮膜を形成したもの、(4)前記(1)、(2)又は(3)の表面にチタンやニッケル等の金属やその炭化物、窒化物、炭窒化物又はこれらの混合物からなる金属薄膜層や、その他カーボン薄膜を形成したものがあげられる。
陽極箔及び陰極箔にはそれぞれの電極を外部に接続するためのリード線が、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。このリード線は、アルミニウム等からなり、陽極箔、陰極箔との接続部と外部との電気的な接続を担う外部接続部からなり、巻回又は積層したコンデンサ素子の端面から導出される。
セパレータは、合成繊維の不織布を含むものであり、合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系繊維、ビニロン系繊維、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、トリメチルペンテン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アクリル繊維等があげられ、これらの繊維を単独で又は複数の繊維を配合して用いられる。中でも、耐熱性を有し、その分解温度が300℃であるアクリル繊維や、その他、ポリエチレンテレフタレート、アラミド繊維、ポリアミド系繊維が好適である。ここで、半芳香族ポリアミドとは、主鎖の一部に例えば、脂肪鎖などを有するものを指すが、これに限定されるものではない。
また、セパレータは、前記合成繊維に、フィブリル状耐熱性合成繊維を配合することもできる。フィブリル状耐熱性合成繊維とは、融点を持たないか、融点が250℃以上の有機繊維である耐熱性合成繊維をフィブリル状にした繊維をいう。フィブリル状とは、繊維の中のフィブリル(小繊維)が摩擦によって表面にあらわれて毛羽立ち、ささくれる現象をいい、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状であり、少なくともその一部が繊維径1μm以下となっている。前記耐熱性繊維としては、例えばパラ型全芳香族ポリアミド、メタ型全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、ポリテトラフルオロエチレン、アクリルなどの樹脂からなる単繊維や複合繊維が挙げられる。これらの中でも均一性の高いフィブリル状耐熱性合成繊維が得られやすいパラ型全芳香族ポリアミド繊維や、融点を持たず耐熱性が高くかつ剛性を有するアクリル繊維が好ましい。
また、コンデンサ素子中には、ポリビニルアルコールが含有されている。このポリビニルアルコールは、主に、導電性高分子の分散溶液による導電性高分子層の形成前にコンデンサ素子中に含有されていることが好ましい。さらには、ポリビニルアルコールは、コンデンサ素子を構成する陽極箔又は陰極箔の表面に付着していることが好ましい。このポリビニルアルコールが陽極箔又は陰極箔の表面に付着することで、固体電解コンデンサの耐電圧特性が向上する。これは後述する導電性高分子の分散溶液を用いて形成された導電性高分子層を改質し、導電性高分子層自体の耐電圧が高まると考えられる。
コンデンサ素子に含浸する導電性高分子の分散溶液は、溶媒に導電性高分子の微粒子を分散させた溶液である。この導電性高分子の微粒子は、概してその粒径は、100nm以下と極めて小さいものである。導電性高分子としては、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。中でも重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。ポリチオフェン類の中では、ポリエチレンジオキシチオフェンが酸化形態で非常に高い導電性を有するので好ましい。導電性高分子の分散溶液の溶媒としては、水及び/又は有機溶剤が挙げられる。この分散溶液には、ポリスチレンスルホン酸等のスルホン酸系のドーパントを含有させることが好ましく、その他、界面活性剤や有機バインダー等を含有させてもよい。この導電性高分子の分散溶液は、pH調整剤等を利用してそのpHを3未満としている。したがって、分散溶液の酸性度は高いものとなっている。また導電性高分子の分散溶液中の導電性高分子の微粒子の濃度は該して1〜5wt%の範囲が好ましい。
コンデンサ素子に導電性高分子の分散溶液を含浸した後、100〜200℃の温度範囲にて乾燥して、導電性高分子の分散溶液から溶媒等を除去して、コンデンサ素子の陽極箔と陰極箔間に導電性高分子層を形成する。ここでいう含浸とは、コンデンサ素子中に分散溶液を含ませる処理をいい、例えば前記コンデンサ素子を分散溶液に浸漬することでコンデンサ素子中に分散溶液を含ませることもできる。なお導電性高分子の分散溶液の導電性高分子の微粒子の濃度は低いため、コンデンサ素子中への導電性高分子の搭載量を確保するにも、上記含浸−乾燥工程は複数回行うことが好ましい。この含浸工程は、常圧化で行うこともできるが、減圧下又は加圧下で行うことで、陽極箔及び陰極箔のエッチングピットの深部にまで、導電性高分子層を形成することができる。
ここでコンデンサ素子中への導電性高分子の搭載量について詳述すると、前述のとおり、導電性高分子の分散溶液の導電性高分子の微粒子の濃度は低いため、コンデンサ素子への導電性高分子の分散溶液の含浸−乾燥工程を複数回行うことで、コンデンサ素子中の導電性高分子の搭載量を増やすことができる。導電性高分子の搭載量を増やすことで、各電極箔間や、陽極箔及び陰極箔の表面に形成される導電性高分子層が密になるため、固体電解コンデンサとしての静電容量やtanδ特性、さらにはLC特性やESR特性も改善されることになる。しかしながら、この導電性高分子のコンデンサ素子への搭載量が多すぎると、耐電圧特性が劣化することが分かった。これはコンデンサ素子中への導電性高分子の搭載量が増えると陽極箔の表面に形成される導電性高分子層の厚みが増えることとなる。ここで陽極箔の表面には酸化皮膜層が形成されているが、この酸化皮膜に亀裂等が生じると該亀裂部分に電流が集中して発熱等が生じる。この発熱によって前記亀裂部分の周辺の導電性高分子層が絶縁化され、固体電解コンデンサの耐電圧特性は維持できるが、この際に陽極箔の表面に形成された導電性高分子層が厚いと絶縁化しにくくなり、その絶縁化範囲も狭くなり、前記亀裂部分の周辺を含めて導電性高分子層が絶縁化されないため、固体電解コンデンサの耐電圧特性が劣化してしまうと考えられる。
このように導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子は、次工程として、乾燥処理が施される。コンデンサ素子中に水分が付着されていると、後工程のエージング時に、陽極箔の酸化皮膜の修復が効率よく行われることになる。しかしながら、この水分の付着量が多いと、コンデンサ素子中に形成された導電性高分子層が水分と反応して劣化し、また固体電解コンデンサの実装時のはんだリフローの熱によって水分が気化して、ケース内の内圧が上昇し、ケースが膨らんでしまう。そこで、コンデンサ素子を乾燥して、コンデンサ素子中の水分量を制御すると好ましい。具体的には、コンデンサ素子中の水分量は、0.1mg以下とすることが好適である。
合成繊維として、半芳香族ポリアミド繊維の不職布を主体として、フィブリル状耐熱性合成繊維を配合し、ポリビニルアルコールをバインダーとして用いたセパレータを介して巻回し、素子形状が5.8φ、高さ3.2Lコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をリン酸を含有する水溶液中で修復化成し、その後温水にコンデンサ素子を浸漬し、セパレータ中に含まれるポリビニルアルコールを溶解させて陽極箔及び陰極箔の表面に付着させた。このコンデンサ素子を、ポリチオフェン系の微粒子とポリスチレンスルホン酸を水溶液に分散した導電性高分子の分散溶液に浸漬し、コンデンサ素子を引き上げて約150℃で乾燥する。さらにこのコンデンサ素子の導電性高分子の分散溶液への浸漬−乾燥を複数回繰り返して、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した。このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口してからエージングを行い、固体電解コンデンサを作製した。なお、導電性高分子の分散溶液のpHは2.3とした。
た。
Claims (6)
- 陽極箔と陰極箔との間に合成繊維の不織布を含むセパレータが配置されたコンデンサ素子に、pH3未満の導電性高分子の分散溶液を含浸して導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサ。
- 前記セパレータが、フィブリル状耐熱性合成繊維を含む請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記コンデンサ素子には、ポリビニルアルコールが含有され、その含有量はコンデンサ素子体積あたり、11.0mg/cm3以下の範囲である請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記コンデンサ素子に含まれる水分が0.1mg以下である請求項1ないし3いずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記陰極箔は、表面にエッチング層と該エッチング層上に10V以下の酸化皮膜が形成されている請求項1ないし4いずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記コンデンサ素子に搭載された導電性高分子の搭載量は、コンデンサ素子体積あたり、20mg/cm3〜40mg/cm3の範囲である請求項1ないし5いずれかに記載の固体電解コンデンサ。
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