JP2014072361A - 電解コンデンサ用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不織布と導電性高分子で構成されたコンデンサ用セパレータであって、該不織布は、が繊維径が0.1〜4μmの極細繊維不織布層(I層)と、繊維径が6〜30μmである熱可塑性樹脂からなる不織布層(II層)の少なくとも2層を含む積層不織布であり、該I層及び/又はII層の繊維表面の一部又は全部が導電性高分子で被覆されている前記コンデンサ用セパレータ。
【選択図】なし
Description
セパレータとしては、パルプ又はマニラ麻等のセルロース成分を主体とするセパレータの問題(水分、熱分解ガス等)を解決するために、合成繊維を用いたセパレータが種々考案されている。
本発明者らは、先に固体電解質、及び該固体電解質を保持する不織布を含み、該セパレータを構成する該不織布が、少なくとも2層の不織布層を有する積層不織布であり、該積層不織布が、繊維径0.1〜4μmを有する極細繊維で構成される不織布層(I層)と、繊維径6〜30μmを有する熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)とを含む特定の繊維径を有する異なる2層以上を有する積層不織布をセパレータとして用いることにより、より高性能(具体的には、高耐電圧、高容量、及び低ESR(Equivalent Series Resistance))の固体電解コンデンサを得られることを見いだした(以下、特許文献1参照)。
また、セパレータに特徴を持たせた例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、アラミド、ポリイミド、ナイロン、変性PP、変性PE、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)から選択された少なくとも1種の樹脂を有機溶媒または水に溶解し、この溶液を噴射するノズルに直流電圧を印加して繊維径が1μm以下の長繊維の非フィブリル化繊維を堆積させた繊維径1μm以下の繊維からなり、前記セパレータの繊維及びその繊維間にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネートのフィルム状の導電性高分子が形成されたセパレータを用いたコンデンサが知られている(以下、特許文献3参照)。フィルム状の導電性高分子は、セパレータを陽極箔と陰極箔との間に介在させて巻回したコンデンサ素子に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネートの導電性高分子分散液を浸漬して乾燥することで得られる。
さらに、特許文献1に記載された不織布は効果があるものの、導電性高分子分散液を含浸させたセパレータとしては最適状態を引き出すには至っていない。
(コンデンサ)
本発明のセパレータを含むコンデンサは、陽極箔及び陰極箔、並びに該陽極箔と該陰極箔との間に配置された該セパレータを含むコンデンサであって、該陽極箔と該陰極箔との間に該セパレータが介在するように該陽極箔、該陰極箔及び該セパレータが巻回されており、該陽極箔が誘電体酸化皮膜層を有するものであることができる。
「繊維表面の一部又は全部が導電性高分子で被覆されている」とは、不織布繊維間の空隙を全て導電性高分子固体で充填した状態ではなく、繊維表面上に導電性高分子が存在する層があるが、繊維−繊維間で繊維表面から離れた部分では空間を保った部分を有していてもよい。なお、巻回素子全体としては、セパレータの繊維−繊維間に空間を保った部分があれば、繊維−繊維間の間隙を導電性高分子ですべて充填した部分が存在してもよい。一般に、巻回素子全体としては円筒状の素子の両端面付近と、巻芯(巻始め)、巻外(巻終わり)は充填率が高くなりやすい。本発明は、上記の両端面付近と巻芯、巻外付近以外での充填率が低くても、高いコンデンサ性能を示すことが特徴である。
セパレータは、導電性高分子及び不織布を含み、該不織布は、不織布を構成する繊維の平均繊維径を0.1μmより大きく20μmより小さくしてセパレータ中に繊維径の異なる繊維を存在させた不織布であり、繊維表面に導電性高分子が被覆された部分を有する。不織布の平均繊維径は、0.1μm以上20μm以下である必要がある。平均繊維径を0.1μm以上とすることで、不織布を構成する繊維の強力を維持できる。また、平均繊維径を20μmより小さくする事で、不織布自体の粗さ、すなわち繊維間距離を制限し、セパレータ上の導電性高分子の斑を少なくできる。
さらに、本発明の不織布は、繊維径が0.1〜4μmの極細繊維と、繊維径が6〜30μmである熱可塑性樹脂からなる繊維が、それぞれ不織布層を構成した、少なくとも2層を含む積層不織布である必要がある。以下、積層不織布の繊維径が0.1〜4μmの極細繊維不織布層をI層、繊維径が6〜30μmである熱可塑性樹脂からなる不織布層をII層という。
積層不織布は、極細繊維不織布層(I層)及び不織布層(II層)を含む。具体的には、積層不織布は、少なくとも2層を有する積層不織布であって、繊維径0.1〜4μmを有する極細繊維で構成される極細繊維不織布層(I層)と、繊維径6〜30μmを有する熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)とを有する。該積層不織布の繊維表面に導電性高分子が被覆されているので、本発明のセパレータは、導電性高分子を緻密且つ均一に形成することができる上、化成により誘電体酸化被膜層も均一にすることができる。
図4では、不織布の中央部に極細繊維層(I層)が観察され、特にI層の繊維上に導電性高分子が付着した様子が観察される。この図4と同様の部分を、解体してセパレータ表面から観察した様子が、先に説明した図2に相当する。
図5は、図4と同じコンデンサ素子断面の別の位置を撮影した図であり、不織布内部のみでなく、箔表面とセパレータ表面の間に導電性高分子が形成された部分も観察される。コンデンサ素子全体としては図5の様に、セパレータを構成する不織布内部のみでなく、セパレータと箔との間に導電性高分子が存在する所があってもよい。
まず、データ取り込み用の不織布を準備した。
熱可塑性不織布層(II層)/極細繊維不織布層(I)/熱可塑性不織布層(II層)の3層構造とし、II層は各々繊維径11μmの8.3g/m2、I層は繊維径1.6μmの3.5g/m2、全体の目付けを20g/m2、厚みを40μm、嵩密度を0.5g/cm3とし、実施例1と同様な方法で作製した。
次に、上記不織布をX線CTにより3次元形状にデータ化した。
次に、セパレータを構成する不織布繊維上に導電性高分子が付着したモデルとして、モデルAを定めた。すなわち、データを取り込んだ不織布の繊維表面を1μmの厚さで導電性高分子が被覆する様に太らせ、元の繊維分を除いた差分を導電性高分子とした。
また、比較として素子内での化学重合のモデルとして、モデルBを定めた。すなわち、不織布繊維間の空隙の60%を導電性高分子とした(充填率60%)。モデルBの充填率60%は、一般的に用いられるコンデンサ素子内での化学重合のモノマーと酸化剤が、溶媒で希釈されていることに基づき、仮定した。
セパレータ全体の電気抵抗の計算は、モデルA,Bとも、導電性高分子の電気抵抗と、セパレータ内に存在する導電性高分子を厚み方向に積み重ねることで求めた。すなわち、セパレータの厚み方向に各1ピクセルの厚みにスライスし、各スライス層の抵抗を求め、各スライス間を直列に接続したと仮定し、セパレータ全体の抵抗として計算した。
X番目のピクセルの抵抗Rxは、下記式:
Rx=L/(Ax・σ)
{式中、L=1ピクセルの長さ、Ax=スライス面を横切る導電性高分子の面積、σ=導電性高分子の導電率[S/cm]}で、そしてセパレータ全体の抵抗Rtotalは、下記式:
Rtotal=R1+R2+・・・Rn
で求めた。
図7より、本シミュレーションで用いた中央部に緻密な極細繊維層のある不織布は、モデルAでは中央部に緻密なネットワークを作る為、電気抵抗が低く、充填率60%のモデルBと比べて導電性高分子量が小さくても、充分セパレータとしての抵抗を小さくできるシミュレーション結果となった。さらに、本シミュレーションは不織布と導電性高分子のみで構成されているので、モデルAは不織布両表面の電気抵抗が高い結果となっているが、実際の素子ではセパレータの両表面には陽極と陰極のアルミ箔が存在し、図5の様にセパレータと箔との間に導電性高分子が存在する所もあるので、さらに導電性は良い方向にシフトすると考えられる。
実際に、導電性高分子が不織布繊維表円を被覆した本発明のセパレータを含む素子が、導電性高分子量が少ないにもかかわらず、化学重合でセパレータ内部に導電性高分子を充填した素子と比べて遜色無いESRを示すので、シミュレーションの仮定は実際を反映したものと判断できる。
一方、II層は、積層不織布をより安定させ(即ち、不織布の引張強度、曲げ強度及び表面磨耗性を良好にし)、かつ、I層を各工程で安定的に保持するために有効である。さらに、セパレータ内に繊維径の太いII層を含むことで、II層中の繊維間距離を広く保つ事ができ、また、I層で孔径を小さくしながらセパレータ全体中の表面積を必要以上に多くせずに済み、繊維表面上に構成させる導電性高分子の総量を少なくして、低コストでコンデンサを構成することができる。特に、導電性高分子の材料となる液体が導電性高分子分散液の場合、巻回素子に含浸した後、溶媒が揮発するにつれて溶液が少なくなると箔表面と繊維間距離の小さいI層表面により大量に凝集していき、II層中では繊維の極表面のみに留まり、導電性高分子膜のネットワークはI層中に緻密にでき上がるので、II層中の導電性高分子の充填率が小さくても効率的にネットワークを形成することができる。また、全空隙を導電高分子で充填する必要がないので、コストが安くすむ。
また、不織布層内の空隙量は、I層中が少なくてもII層中に多く持つ事ができるので、初期の保液を高くすることができ、箔表面にも液を充分に供給することができ、コンデンサの容量や電気抵抗を良好にすることができる。導電性高分子の材料となる液体が導電性高分子分散液の場合、セパレータを挟む陽極、陰極箔表面も導電性高分子分散液で濡れる必要があるが、先にセパレータ内のII層またはセパレータと箔表面の境界層を濡らしてから、溶媒が揮発する際はI層に多く分布することが出来る。
このような理由で、上記のI層とII層とを有する積層不織布は、良好な性能を有するコンデンサを製造するために有利である。
即ち、本発明で、不織布層(I層)の目付けは、0.5〜45g/m2であることが好ましく、1.0〜25g/m2であることがより好ましく、1.5〜15g/m2であることがさらに好ましい。I層の目付けが0.5g/m2以上であれば、繊維間距離が大きくなり過ぎず、固体電解質層を形成するための導電性のモノマー等が繊維間隙に入り込みやすく、より均一で緻密な固体電解質層を形成できる。また、化成液が、セパレータとなる不織布の細部まで染み込みやすく、誘電体酸化皮膜層(例えばアルミニウム電解コンデンサであれば酸化アルミ層)を、より均一な厚みで形成できる。I層の目付けが45g/m2以下であれば、積層不織布全体の厚みを好ましい範囲に設定しやすく、また不織布層内に形成される固体電解質層を必要以上に多く消費することなくコストを抑えることができる。
Xc=(ΔHTm−ΔHTcc)/(ΔH0)*100 (1)
ここで、Xc:結晶化度(%)、ΔHTm:融点での融解熱(J/g)、ΔHTcc:結晶化熱量(J/g)、ΔH0:樹脂の結晶化度100%時の融解熱の文献値(J/g)である。
本発明において、セパレータを構成する導電性高分子は、不織布の繊維表面に被覆された状態で存在することが好ましい。典型的には、導電性高分子を与える重合性化合物であるモノマー(即ち電解質モノマー)、又は、導電性高分子の微粒子を分散させた導電性高分子分散水溶液若しくは導電性高分子溶液等の液体を使用できるが、繊維表面に導電性高分子が被覆された状態を形成する為には、導電性高分子分散液または導電性高分子溶液の状態でコンデンサ素子に含浸させる方法がより好ましい。
電解質モノマーとしては、例えば、エチレンジオキシチオフェン(例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ピロール、チアゾール、アセチレン、フェニレンビニレン(例えばパラフェニレンビニレン)、アニリン、フェニレン、チオフェン、イミダゾール、フラン等、及びこれらの置換誘導体、等の重合性化合物であるモノマーが挙げられる。また、導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリチアゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン(例えば、ポリ−p−フェニレンビニレン)、ポリアニリン、ポリビニレン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリイミダゾール、ポリフラン等、及びこれらの誘導体、等の電子共役系高分子が挙げられる。また、これらの電子共役系高分子にドーパントを付与する物質を含んでいる導電性高分子が好ましい。また、それぞれの導電性物質に応じて、それを固体化するための酸化剤、重合剤、又は錯体形成剤を適宜選択して使用でき、均一な固体電解質を形成する目的でそれぞれ使用される。また、より好ましい態様においては、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸又はポリビニルスルホン酸と、上記の導電性高分子との重合体を形成し、液中に分散させ、これを不織布に含浸して、導電性高分子層を形成する。例えば、好ましい態様においては、3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸又はポリビニルスルホン酸との重合体の分散液を不織布に含浸し、セパレータ繊維上に均一に導電性高分子層が形成され、より導電性を向上させることができる。本発明では、導電性高分子を形成するための材料は、限定されず、より均一で高導電性の導電性高分子が形成されるように当業者が選定する。
例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸(分子量;約150,000)からなる導電性高分子分散液をコンデンサ素子に含浸し、分散液から引き上げた後に120℃で乾燥する方法が特開平2010−245150に記載されている。
本発明において用いる陽極箔及び陰極箔は、通常金属箔素材である。コンデンサとしての性能を良好に発揮する目的で、弁作用を有する金属を用いることが好ましい。弁作用を有する金属としては、通常用いられるものを使用できる。特にアルミニウム箔及びタンタル箔が好ましい。
特に、陽極箔としては、誘電体酸化皮膜層が形成された箔を用いる。これにより良好なコンデンサ性能が得られる。
陽極箔及び陰極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意である。セパレータの寸法も任意であるが、両極の電極箔の寸法に応じて、陽極箔及び陰極箔の寸法よりやや大きい幅寸法の物を用いることが好ましい。これにより陽極箔と陰極箔とが直接接することなくセパレータに阻まれるので、ショートする恐れが少なくなる。巻回工程では、セパレータとなる素材には、引張り張力がかかる。この工程でかかる張力下での、セパレ−タの幅方向の寸法安定性が劣っていると、すなわち張力がかかることにより幅方向の寸法が短くなる部分があると、性能劣化及び不良率増加に繋がる。
JIS L−1906に規定の方法に従い、縦20cm×横25cmの試験片を、試料の幅方向1m当たり3箇所、長さ方向1m当たり3箇所の、計1m×1m当たり9箇所採取して質量を測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算して求めた。
JIS L−1913に規定の厚み計を用い、10枚重ねで流れ方向に2個所、幅1m当たり5箇所の厚みを測定し、その平均値を求めた。荷重は9.8kPaで行った。
上記(1)にて測定した目付け(g/m2)、上記(2)にて測定した厚み(μm)を用い、以下の式により算出した。
見掛け密度=(目付け)/(厚み)
試料(不織布)の各端部10cmを除いて、試料の幅20cm毎の区域から、それぞれ1cm角の試験片を切り取った。各試験片について、マイクロスコープで繊維の直径を30点測定して、測定値の平均値(小数点第2位を四捨五入)を算出し、試料を構成する繊維の繊維径とした。
試料(不織布)中の各繊維種(1、2・・・n)にて構成する材料の密度ρ1、ρ2・・・ρn(g/cm3)、目付けm1、m2・・・mn(g/m2)、繊維径d1、d2・・・dn(μm)より、繊維長L1、L2・・・Ln(m)を求め、不織布を構成する全ての繊維長の合計である総繊維長Lall(m)を求め、下記の式に従い、平均繊維長Lavgを計算した。
Lx=4mx/(ρx×π×dx 2)×106 (x=1、2・・・n)
Lall=L1+L2+・・・+Ln
Lavg=(d1×L1+d2×L2+・・・dn×Ln)/Lall
試料(不織布)の各端部10cmを除き、幅1.5cm×長さ20cmの試験片を、1m幅につき5箇所切り取った。試験片が破断するまで荷重を加え、MD方向の試験片の最大荷重時の強さの平均値を求めた。
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用いた。測定には浸液にPMI社製のシルウィックを用い、試料を浸液に浸して充分に脱気した後、測定した。
本測定装置は、フィルターを試料として、あらかじめ表面張力が既知の液体にフィルターを浸し、フィルターの全ての細孔を液体の膜で覆った状態からフィルターに圧力をかけ、液膜の破壊される圧力と液体の表面張力とから計算された細孔の孔径を測定する。計算には下記の数式を用いる。
d=C・r/P
{式中、d(単位:μm)はフィルターの孔径、r(単位:N/m)は液体の表面張力、P(単位:Pa)はその孔径の液膜が破壊される圧力、Cは定数である。}。
試料(不織布)の各端部10cmを除いて、試料の幅20cm毎の区域から、それぞれ1cm角の試験片を切り取った。各試験片表面をSEMで撮影し、1mm角の視野の中で、II層の繊維で囲まれた、下層にI層が観察できる多角形を指定した。多角形の面積順に最大から10点を選出し、各多角形の面積S1.S2・・・S10を求め、下記式より繊維間距離R1、R2・・・R30を求め、10点の長さを平均してII層の繊維間距離とした。なお、不織布の両面に各々I層がある場合は、各面の繊維間距離を測定した。
Rx=(4Sx/π)0.5 (x=1,2、・・・10)
測定器として日置電気株式会社製 ディジタル超絶縁/微小電流計DSM−8104を用い、100V60秒 n=3にて測定を行い、不織布試料の体積抵抗(Ωcm)とした。
試料(不織布)の幅方向に長い試験片(幅約30cm×長さ3cm)を、1m幅につき5点採取し、JIS L−0849「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」に記載の摩擦試験機II形(学振形)を用いて測定を行った。試験台上と摩擦子との双方に測定面が接触する様に試験片を取り付け、30回往復摩擦し、摩擦後の不織布の外観検査を以下の基準で実施した。なお、表2中、「表」とは表1中の各実施例及び比較例における層構成の最左に示している層を意味し、「裏」とは表1で各実施例及び比較例における層構成の最右に示している層を意味する。
5級:不織布の表面には、変化がない。
4級:不織布の表面に、ピリングはないが、表面に、1本ずつの糸がたち、表面がわずかに荒れている。
3級:長さ0.5cm未満のピリンングがある。又は、全体に毛羽が浮いている。
2級:長さ1cm以上のピリングがある。又は、摩擦面に綿状物が浮いていたり、若しくは摩擦面が磨耗され磨り減っている。
1級:不織布の一部が破れている。
下記の測定器にて測定を行い、融解ピークの導入部分における変曲点の漸近線とTgより高い温度領域でのベースラインが交わる温度を融点とした。
示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製のDSC210)を使用し、下記の条件で測定した。
測定雰囲気:窒素ガス50ml/分、昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:25〜300℃。
(12)巻回性
コンデンサの巻回装置を用いて陽極箔、セパレータ、陰極箔、セパレータの4枚を重ねて巻回し、正常に巻回出来るかを、A〜Dで判定した。
A:全く問題なし
B:巻回装置の条件を調整すれば問題なし
C:巻回装置の条件を調整しても巻回工程で不良品が発生する
D:不良品が多く発生する
測定周波数120HzでLCRメータを用いて測定した。
誘電体酸化皮膜層形成後の素子について30質量%の硫酸水溶液中にて測定した静電容量に対する、作製された固体電解コンデンサの実際の静電容量を、百分率(%)で示した。
測定周波数120HzでLCRメータを用いて測定した。
コンデンサと直列に1000Ωの保護抵抗器を接続し、定格電圧を印加し、5分後に測定した。
測定周波数100kHzでLCRメータを用いて測定した。
定格電圧を1時間連続的に印加(雰囲気温度105℃)することによりエージングを行った後の、ショートしたコンデンサの比率を百分率(%)で示した。
温度条件:余熱温度150℃120秒、ピーク温度240℃後のサンプルについて(12)〜(17)の測定、並びに外形の寸法変化及び変形を観察し、A〜Dで判定した。
A:全く問題なし
B:一部測定値が変化するが定格内
C:一部不良品が発生する
D:不良品が多く発生する
以下の方法により、実施例1〜13の積層不織布を作製し、性能評価を実施した。
熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)を形成した。具体的には、汎用的なPET(熱可塑性樹脂として)の溶液(OCPを溶媒として用い、温度35℃で測定した溶液粘度:ηsp/c=0.67を有する)(溶液粘度は温度35℃の恒温水槽中の粘度管で測定した。以下同じ。)を用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメント群を、移動する捕集ネット面に向けて押し出し、紡糸速度4500m/分で紡糸した。次いで、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させてフィラメント群を十分に開繊させ、熱可塑性樹脂長繊維ウェブを捕集ネット上に形成した。繊維径の調整は、牽引条件を変えることにより行った。
次いで、このコンデンサ素子を、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸(分子量;約150,000)からなる導電性高分子分散液をコンデンサ素子に含浸し、分散液から引き上げた後に120℃で乾燥して、ポリエチレンジオキシチオフェンの導電性高分子をセパレータ繊維上と電極箔間に形成した。このようにして得られた素子を、その外周に外装樹脂を被覆し、加硫ブチルゴムの封口部材とともに、アルミニウム合金製の外装ケースに封入した後、封口し、固体電解コンデンサを作製した。得られたコンデンサのサイズは、直径φ8mm、縦寸法10mmとなる製品を作製した(定格電圧;35V、)。最後に定格電圧を1時間連続的に印加(雰囲気温度105℃)することによりエージングを行った。
実施例1〜13とは異なり、2層構造(II層及びI層)の積層不織布とし、その他は、実施例1〜13と同様の条件を用いた。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表1、表2に示す。また、コンデンサ性能を、表3に示す。
熱可塑性樹脂としてPPS(ポリプラスチック社製フォートロン)を用いた。不織布を形成する条件は、以下の通りである。
II層:樹脂の溶融粘度:70g/10分(キャピラリーレオメーターを用いて測定、測定条件:荷重5kg、温度315.6℃)、紡糸温度:320℃、紡糸速度:8000m/分。
I層:樹脂の溶融粘度:670g/10分(上記と同様の方法で測定、測定条件:荷重5kg、温度315.6℃)、紡糸温度:340℃、加熱空気温度:390℃、加熱空気量:1000Nm3/hr/m。
また、フラットロールによる熱接着条件は、線圧:260N/cm、ロール温度:上/下=170℃/170℃とし、カレンダー条件は、線圧:350N/cm、ロール温度:上/下=235℃/235℃とした。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表1、表2に示す。その他の条件は、実施例1と同様にした。また、コンデンサ性能を、表3に示す。
不織布層(II層)として、繊維径16μm、繊維長5mmのco−PET/PET鞘芯構造の短繊維を抄造法にてネット上に11g/m2となるように捕集し、脱水乾燥後、エアースルー方式(180℃、5m/分)で繊維同士を融着させ、短繊維ウェブを得た。次いで、その上に中間層として、実施例1と同様に、不織布層(I層)となるメルトブロウン繊維を吹きつけて形成し、さらに、その上に不織布層(II層)として、上記の不織布層(II層)と同じ構成の不織布を重ねた。以上により、3層からなる積層ウェブを得た。得られた積層ウェブを、フラットロール及びカレンダーロールにて熱接着し、積層不織布を得た。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表1、表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。なお表1中、鞘芯構造の短繊維の融点は、鞘/芯の順で記載している(以下同様である)。
不織布層(II層)として、繊維径10μm、繊維長5mmのPET短繊維を抄造法にてネット上に11g/m2となるように捕集し、脱水乾燥後、繊維が散逸しない程度に、フラットロールにて圧着して短繊維ウェブを得た。次いで、その上に中間層として、実施例1と同様に、不織布層(I層)となるメルトブロウン繊維を吹きつけて形成し、さらに、その上に不織布層(II層)として、実施例1と同じ構成の熱可塑性樹脂長繊維ウェブを積層した。得られた積層ウェブを、フラットロール及びカレンダーロールにて熱接着し、積層不織布を得た。積層不織布を形成する条件及びその性能は、それぞれ、表1、表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
不織布層(II層)として、繊維径10μm、繊維長5mmのPET短繊維を抄造法にてネット上に11g/m2となるように捕集し、脱水乾燥後、繊維が散逸しない程度に、フラットロールにて圧着して短繊維ウェブを得た。次いで、その上に中間層として、実施例1と同様に、不織布層(I層)となるメルトブロウン繊維を吹きつけて形成し、さらに、その上に不織布層(II層)として、実施例17と同じ構成の短繊維ウェブを積層した。得られた積層ウェブを、フラットロール及びカレンダーロールにて熱接着し、積層不織布を得た。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表1、表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
熱可塑性樹脂としてPP(日本ポリプロ社製)を用いた。不織布を形成する条件は、以下の通りである。
II層:樹脂の溶融粘度:43g/10分(上記と同様に測定、測定条件:荷重2.1kg、温度230℃)、紡糸温度:230℃、紡糸速度:3300m/分。
I層:樹脂の溶融粘度:1500g/10分(上記と同様の方法で測定、測定条件:荷重2.1kg、温度230℃)、紡糸温度:295℃、加熱空気温度:320℃、加熱空気量:1050Nm3/hr/m。
また、フラットロールによる熱接着条件は、線圧:260N/cm、ロール温度:上/下=90℃/90℃、カレンダー条件は、線圧:350N/cm、ロール温度:上/下=120℃/120℃とした。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表1、表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
まず、実施例1と同様の方法で極細繊維不織布層(I層)を作製し、次にI層上に実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂長繊維不織布層(II層)を積層した。さらにその上に実施例1と同様の方法で極細繊維不織布層(I層)を積層した。これにより、極細繊維不織布層(I層)/熱可塑性樹脂長繊維不織布層(II層)/極細繊維不織布層(I層)からなる3層の積層ウェブを得た。得られた積層ウェブを、表4に示す条件でフラットロールにて熱接着した後、コロナ放電加工(親水化加工として)を実施し、カレンダーロールにて、所望の厚みとなるように厚みを調整するとともに見掛け密度を調整し、積層不織布を得た。その他の条件は、実施例1と同様にした。積層不織布を形成する条件及びその性能を、それぞれ、表2、表4に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
実施例1のII層と同様のPETを用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメントの長繊維群を、移動する捕集ネット上に向けて押し出し、紡糸速度4500m/分で紡糸し、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させて十分に開繊をさせ、熱可塑性樹脂長繊維ウェブを捕集ネット上に形成した。繊維径の調整は、吐出量を変えることにより行った。その後、得られたウェブを、表3に示す条件でフラットロールにて熱接着した後、コロナ放電加工を実施し、カレンダーロールにて、所望の厚みとなるように厚みを調整するとともに見掛け密度を調整し、不織布層(II層)のみからなる不織布を得た。得られた不織布の構成を表1に、及び不織布の性能結果を表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
不織布として、旭化成せんい製のスパンボンド不織布(E05025、繊維径16μm、目付け25g/m2)を用い、不織布層(II層)のみからなる不織布の例とした。不織布の構成を表1に、その性能結果を表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
極細繊維不織布層を、実施例1のI層と同様の樹脂を用い、紡糸温度300℃、加熱空気1000Nm3/hr/mの条件下で、メルトブロウン法により紡糸して、ネット上に吹きつけることによって形成した。この際、メルトブロウンノズルからウェブまでの距離を100mmとし、メルトブロウンノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/秒に設定した。繊維径及び結晶化度の調整は、吐出量を変えることにより行い、極細繊維不織布層(I層)のみからなる不織布を得た。不織布の構成を表1に、その性能結果を表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
極細繊維不織布層として、比較例4と同様の方法で、得られる平均繊維径が0.7μmの、極細繊維不織布層(I層)のみからなる不織布を得た。不織布の構成を表1に、その性能結果を表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
繊維径16μm、繊維長5mmのPET短繊維を、抄造法にて、25g/m2となるようにネット上に捕集してウェブを得た。なお、この際、繊維同士がばらけないように、また不織布強度を保つために、バインダーとしてポリビニルアルコール(溶解温度70℃)を用い、全体の目付け量を33g/m2とした。このウェブを脱水乾燥後、カレンダーロールにて熱圧着して、不織布層(II層)のみからなる不織布を得た。得られた不織布及びその評価結果を表1、2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
繊維径10μm、繊維長5mmのPET短繊維を、抄造法にて、25g/m2となるようにネット上に捕集してウェブを得た。なおこの際、繊維同士がばらけないように、また不織布強度を保つために、バインダーとしてポリビニルアルコール(溶解温度70℃)を用い、全体の目付け量を33g/m2とした。このウェブを脱水乾燥後、カレンダーロールにて熱圧着して、不織布層(II層)のみからなる不織布を得た。得られた不織布及びその評価結果を表1、2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
比較例6と同様の不織布を用い、コンデンサを形成する工程で、バインダーを除去する工程を強化し(90℃の温水浴に10分浸漬し、その後100℃で5分乾燥する、という工程を3回繰り返した)、その他は比較例6と同様の工程で、コンデンサを得た。コンデンサ性能を表3に示す。
比較例7と同様の不織布を用い、コンデンサを形成する工程で、バインダーを除去する工程を強化し(90℃の温水浴に10分浸漬し、その後100℃で5分乾燥する、という工程を3回繰り返した)、その他は比較例7と同様の工程で、コンデンサを得た。コンデンサ性能を表3に示す。
不織布として、日本高度紙製のレーヨン繊維からなる湿式不織布(RCE3040、繊維径8μm、目付け40g/m2)を用いた。不織布の構成を表2に、その性能結果を表2に示す。また、コンデンサ性能を表3に示す。
実施例1と同様の素子を用いて再化成まで行い、エチレンジオキシチオフェンモノマー25%、エタノール75%の液に含浸し、50℃でエタノールを揮発させ、次いでパラトルエンスルフォン酸第二鉄55%、ブタノール45%の液に含浸し、30℃から180℃まで段階的に昇温してコンデンサ素子を得た。このようにして得られた素子を、その外周に外装樹脂を被覆し、加硫ブチルゴムの封口部材とともに、アルミニウム合金製の外装ケースに封入した後、封口し、固体電解コンデンサを作製した。得られたコンデンサのサイズは、直径φ8mm、縦寸法10mmとなる製品を作製した(定格電圧;35V、定格静電容量;30μF)。最後に定格電圧を1時間連続的に印加(雰囲気温度105℃)することによりエージングを行った。コンデンサの性能を表3に示す。
表3から明らかなように、本発明の実施例に係る固体電解コンデンサは、比較例のものに比べてコンデンサ性能の少なくともいずれかの項目において優れた性能を示している。
2 陽極箔
3 陰極箔
4 リード線
5 リード線
10 コンデンサ素子
Claims (11)
- 不織布と導電性高分子から構成されたコンデンサ用セパレータであって、該不織布は、繊維径が0.1〜4μmの極細繊維不織布層(I層)と、繊維径が6〜30μmである熱可塑性樹脂からなる不織布層(II層)の少なくとも2層を含む積層不織布であり、該I層及び/又はII層の繊維表面の一部又は全部が導電性高分子で被覆されている前記セパレータ。
- 前記積層不織布のタテ方向強度が10N/15mm巾以上である、請求項1に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記導電性高分子が、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン及びそれらの誘導体から成る群から選ばれる、請求項1又は2に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記積層不織布において、前記II層が表と裏の両表面層であり、前記I層が中間に存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記II層が連続長繊維不織布である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記I層がメルトブロウン不織布である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記I層の目付けの比率が、前記積層不織布全体の目付けに対して9〜67%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記積層不織布を構成する繊維同士が熱的結合で一体化された部分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記II層が融点180℃以上である結晶性樹脂からなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 前記積層不織布の厚みが10〜80μmであり、かつ、目付けが7〜70g/m2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータ。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のコンデンサ用セパレータを含むコンデンサ。
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