JP2024122009A - 固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ及び固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ及び固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱性及び耐電解液性に優れ、低抵抗で信頼性の高い固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサを実現することができる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを提供することである。【解決手段】セパレータに含まれる繊維全体に対し、全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維の含有率が55質量%超87質量%以下であり、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%以上35質量%未満であり、ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維の含有率が3質量%以上25質量%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ及び固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサに関する。
「固体電解コンデンサ」は、導電性高分子を陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサである。電解液のみを陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサの伝導機構はイオン伝導であるが、固体電解コンデンサの伝導機構は電子伝導であり、高い周波数まで高い伝導度を有する。そのため、例えばCPUに電源を供給するための降圧回路に固体電解コンデンサを用いることで、低リップル化やコンデンサ個数の削減と言ったメリットを得ることができる。近年の電子機器の小型化、高性能化の要求に対応するため、固体電解コンデンサの使用が拡大している。
固体電解コンデンサの欠点として、何らかの理由で陽極表面の酸化アルミニウム層が損傷した場合に、自己修復作用が無い点がある。この点について改良するため、陰極材料として、導電性高分子(導電性ポリマー)と電解液とを共に使用した、「ハイブリッド電解コンデンサ」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる方法として、コンデンサ素子内にて導電性高分子の前駆体となるモノマーを酸化剤により酸化重合させる方法と、あらかじめモノマーを重合した導電性高分子をコンデンサ素子内に含浸させる方法とがある。
コンデンサ素子内において、導電性高分子を酸化重合させる場合、モノマー及び酸化剤を含む溶液(以下、「重合液」と略記する場合がある)をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥して酸化重合させ、導電性高分子をコンデンサ素子内に形成させている。重合液は媒体として水を含む場合が多い。
あらかじめ重合した導電性高分子を含浸させる場合、導電性高分子を水等の媒体に分散させた懸濁液(以下、「分散液」と略記する場合がある)をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥し、導電性高分子膜をコンデンサ素子内に形成させる。
前記したいずれの方法で導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる場合においても、セパレータを構成する繊維の耐熱性と耐薬品性が重要である。従来、耐熱性に優れ、ESRの低い固体電解コンデンサ用セパレータとして、融点又は熱分解温度が250℃以上のフィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと芯鞘複合繊維とを含有した湿式不織布からなる、固体電解コンデンサ用セパレータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2のセパレータでは、芯成分に融点255℃のポリエチレンテレフタレートを、鞘成分に融点110℃の共重合体ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体)を配してなる芯鞘複合繊維が用いられている。この芯鞘複合繊維はバインダー繊維として使用されており、従来のコンデンサの使用環境下に対して、十分な耐電解液性を持ち、問題なく使用可能である。しかし、コンデンサの使用用途が、自動車用、特に自動車の駆動系近くに配置される機器に組み込まれる場合においては、従来よりも高い温度に耐えられるコンデンサが求められている。特に電解液を用いるハイブリッド電解コンデンサにおいては、従来よりも高い温度の下で使用された場合、繊維が電解液溶媒等の作用により劣化して、寿命特性や信頼性に影響を及ぼすことが懸念される。
特許文献3のセパレータ用不織布では、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された有機繊維を含有して透気度を一定値以上に高めてガス透過性および電解液保持性に優れ、ピンホールがなく、内部短絡を防止する電池セパレータ用不織布を提案している。特許文献3には、電池セパレータ用不織布の坪量は、5~100g/mが好ましく、厚みは、10~200μmが好ましいことが記載されているが、実施例における厚みの最低値は97μmである。また、実施例1の電池セパレータ用不織布は、坪量が35g/m、厚みが152μmであり、非常に厚いため、ESRが高くなり、固体電解コンデンサ用セパレータには不適であった。
特許文献4には、(A)剪断力を加えて幹部から離脱し、繊維径1μm以下にフィブリル化した全芳香族ポリアミド繊維、(B)剪断力を加えて繊維径2μm以上の幹部から繊維径1μm以下の枝部が発生したフィブリル化した全芳香族ポリアミド繊維の少なくとも一方の繊維と、(C)繊維径1~15μmのポリアミド繊維およびポリオレフィン繊維の少なくとも一方の繊維を含有した不織布からなり、デンドライトによる短絡を防止し、且つ電解液の保液性を向上させ、さらに高い耐アルカリ性を持つアルカリ二次電池に好適に使用できる電池用セパレータが提案されている。特許文献4には、好ましい坪量や厚さの記載はないが、実施例1の電池セパレータ用不織布は、坪量が62.0g/m、厚さが150μmであり、非常に厚いため、ESRのが高くなり、固体電解コンデンサ用セパレータには不適であった。
特許文献5では、耐熱性繊維であるポリフェニレンサルファイド繊維と、耐熱性パルプであるアラミドパルプとから選択され、前記ポリフェニレンサルファイド繊維の含有量が52~78重量%、前記アラミドパルプの含有量が20~40重量%、残部がバインダー成分であるポリビニルアルコール繊維2~8重量%で構成され、前記アラミドパルプが、CSF値が200~50mlまで叩解され、厚さが100~300μmである電気二重層コンデンサ用セパレータが提案されている。特許文献5では、セパレータの厚さが100μm未満では、セパレータの強度が弱く、カシメ時において破れによる不良が発生するおそれがあり、また、セパレータの遮蔽性が乏しいため、漏れ電流が大きい電気二重層コンデンサとなると記載されていて、厚さが100μm未満を否定している。実施例のセパレータも厚さ100μm以上であり、実施例1ではセパレータの坪量が40g/m、厚さが200μmであり、非常に厚く、ESRが高くなり、固体電解コンデンサ用セパレータには不適であった。
特許文献6では、導電性高分子を有するアルミニウム電解コンデンサに用いるセパレータにおいて、耐ショート性を向上させ、また、該セパレータを用いたアルミニウム電解コンデンサにおいて、ESRを従来のアルミニウム電解コンデンサと同等としつつ、ショート不良の発生を抑制するために、一対の電極の間に介在し、陰極材料として導電性高分子を有するアルミニウム電解コンデンサに用いる、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータを、合成繊維とバインダーとからなり、破裂強さが40~180kPa、比破裂強さが3.5~7.5kPa/(g/m)である構成とすることが提案されている。セパレータを構成する合成繊維は、フィブリル化合成繊維と非フィブリル化合成繊維である。特許文献6では、フィブリル化合成繊維が70質量%を超え、非フィブリル化合成繊維が10質量%未満の場合は、セパレータの緻密性が高い傾向となり、導電性高分子の重合液や分散液の含浸が不均一になりやすく、ESR特性がばらつく傾向があると記載されている。そして、比較例を除いた実施例においては、フィブリル化合成繊維と非フィブリル化合成繊維のいずれかに耐熱性繊維が含まれている場合があるが、コンデンサを構成する繊維中の耐熱性繊維の比率は0~70質量%であり、必ずしも耐熱性を満足できるコンデンサではなかった。
特開平11-186110号公報 特許第4163523号公報 特開平09-027311号公報 特開2005-228544号公報 特許第6313930号公報 特開2022-035309号公報
本発明の課題は、耐熱性及び耐電解液性に優れ、低抵抗で信頼性の高い固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサを実現することができる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを提供することである。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明を見出した。
(1)セパレータに含まれる繊維全体に対し、全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維の含有率が55質量%超87質量%以下であり、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%以上35質量%未満であり、ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維の含有率が3質量%以上25質量%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
(2)非フィブリル化耐熱性繊維が全芳香族ポリアミドである(1)記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
(3)(1)又は(2)に記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ。
本発明の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、耐熱性の高いフィブリル化耐熱性繊維と非フィブリル化耐熱性繊維を含有することにより、セパレータの耐熱性が向上し、高温で加熱してもシワが発生しにくいセパレータとすることができる。また、フィブリル化耐熱性繊維と非フィブリル化耐熱性繊維による空隙を確保したネットワーク構造が形成され、導電性高分子膜の形成が均一となり、電解液の保持性に優れたセパレータが得られやすくなる。また、耐薬品性と親水性に優れたポリビニルアルコール湿熱接着性繊維を含有することにより、耐熱性を損なうことなく、電解液により劣化しにくいセパレータとすることが可能となる。そして、フィブリル化耐熱性繊維と非フィブリル化耐熱性繊維とポリビニルアルコール湿熱接着性繊維を最適な配合比率で含有していることから、吸水速度が速く、耐電解液性に優れる。その結果、導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる方法として、コンデンサ素子内にて導電性高分子の前駆体となるモノマーを酸化剤により酸化重合させる方法と、あらかじめモノマーを重合した導電性高分子をコンデンサ素子内に含浸させる方法のどちらを用いた場合でも、導電性高分子を速やかに保持させることができ、また、低抵抗で信頼性の高い固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサを実現することができる。
本発明の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化耐熱性繊維と非フィブリル化耐熱性繊維とポリビニルアルコール湿熱接着性繊維とを含有している。以下、「固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ」を「セパレータ」と略記する場合がある。また、「固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ」を「コンデンサ」と略記する場合がある。
固体電解コンデンサは、導電性高分子を陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサである。ハイブリッド電解コンデンサは、陰極材料として導電性高分子と電解液とを共に使用したアルミニウム電解コンデンサであり、導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサとも称される。固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサに用いられる導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、これらの誘導体が挙げられる。
ハイブリッド電解コンデンサに用いられる電解液としては、非水系溶媒と有機塩とを含む電解液が好ましい。非水系溶媒として、γ-ブチロラクトン、スルホラン又はこれらの混合物を用いることができる。有機塩としては、ボロジサリチル酸トリエチルアミン等の有機アミン塩や環状アミジン塩を用いることができる。非水系溶媒中の有機塩の濃度は特に制限されるものではなく、例えば、5~50質量%とすることができる。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維としては、融点又は熱分解温度が250℃以上の耐熱性樹脂のフィブリル化繊維であることが好ましい。耐熱性樹脂としては、例えば、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が知られている。本発明では、フィブリル化しやすく、電解液や導電性高分子との親和性が高い、全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維を使用する。より好ましい耐熱性樹脂としては、パラ系全芳香族ポリアミドである。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維とは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっているものを指し、フィブリルは長さと幅のアスペクト比が20/1~100000/1の範囲に分布していることが好ましい。そのため、繊維本数が非常に多く存在するだけでなく、アスペクト比が非常に大きいため、フィブリル同士や他の繊維との絡み合う頻度が高く、緻密で細孔の小さなセパレータを形成することができる。
本発明におけるフィブリル化耐熱性繊維の変法濾水度は、0~700mlであることが好ましく、より好ましくは0~600mlであり、さらに好ましくは0~450ml未満である。変法濾水度が700mlを超えた場合、フィブリル化があまり進んでいないため、太い幹繊維が多く存在するため、細孔が大きくなりやすく、導電性高分子の分布が不均一になる場合や電解液の保持性が悪化する場合がある。一方、変法濾水度が0ml未満である場合、平均繊維長が短くなりやすく、セパレータからフィブリル化耐熱性繊維が脱落する場合がある。フィブリル化耐熱性繊維のフィブリル化が進むと、変法濾水度は下がり続ける。そして、変法濾水度が0mlに達した後も、さらにフィブリル化すると、繊維がメッシュを通りすぎるようになり、変法濾水度が逆に上昇し始める。本発明では、このように、変法濾水度が逆上昇した状態を「変法濾水度が0ml未満」と称している。
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1質量%にした以外はJIS P8121-2:2012に準拠して測定した値のことである。
フィブリル化耐熱性繊維は、耐熱性繊維をリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて処理することによって得ることができる。
本発明のセパレータに含まれる繊維全体に対して、フィブリル化耐熱性繊維の含有率は、55質量%超87質量%以下であり、60質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。フィブリル化耐熱性繊維の含有率が55質量%以下である場合、吸水速度が遅くなり、ESRが高くなる。一方、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が87質量%を超えた場合、セパレータの耐電解液性が不十分となり、電解液浸漬後の強度維持率が悪化する。
非フィブリル化耐熱性繊維としては、融点又は熱分解温度が250℃以上の耐熱性樹脂の非フィブリル化繊維であることが好ましく、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドの耐熱性樹脂からなる非フィブリル化耐熱性繊維が用いられる。これらの中でも、耐熱性に優れ、電解液や導電性高分子との親和性が高い、全芳香族ポリアミドが好ましく、パラ系全芳香族ポリアミドが特に好ましい。
半芳香族ポリアミド繊維としては、株式会社クラレ製のジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60モル%以上が炭素数6~12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン成分とから合成させたポリアミド樹脂(ナイロン9T)からなる繊維、その変性繊維としてのジカルボン酸成分の100モル%がテレフタル酸成分と、ジアミン成分の50モル%が1,9-ノナンジアミン、ジアミン成分の残り50モル%が2-メチル-1,8-オクタンジアミン成分とから合成させたポリアミド樹脂(PA9T)からなる繊維等が挙げられる。
本発明のセパレータに含まれる繊維全体に対して、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率は、10質量%以上35質量%未満であり、15質量%以上35質量%未満であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%未満である場合、セパレータの耐電解液性が不十分となり、電解液浸漬後の強度維持率が悪化する。一方、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が35質量%以上の場合、吸水速度が遅くなる。また、ESRが高くなる場合がある。
本発明において、非フィブリル化耐熱性繊維の繊維径は、好ましくは3~20μmであり、より好ましくは4~17μmであり、さらに好ましくは5~15μmである。繊維径が3μm未満の非フィブリル化耐熱性繊維を使用した場合には、導電性高分子の浸透性が悪化する場合がある。一方、繊維径が20μmを超える非フィブリル化耐熱性繊維を使用した場合、地合いが不均一になり、セパレータの厚さにむらが生じる場合がある。
本発明において、非フィブリル化耐熱性繊維の繊維長は、好ましくは1~15mmであり、より好ましくは2~12mmであり、さらに好ましくは3~10mmである。繊維長が1mm未満の場合には、セパレータの強度が低下する場合があり、15mmを超える場合には、繊維同士がよれて地合いが不均一になり、セパレータの厚さにむらが生じる場合がある。
湿熱接着性繊維とは、水分存在下で加熱することによって膨潤・ゲル化し、接着性を発現するバインダー繊維を指し、本発明のセパレータの好ましい製造法である湿式抄造法において、湿式抄造時のドライヤー乾燥時に、湿熱接着性樹脂が膨潤・ゲル化した状態となり、この状態にてシートを熱圧乾燥することで、他の繊維を強固に固定する。本発明のセパレータは、ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維を含有する。
本発明において、セパレータに含まれる繊維全体に対して、湿熱接着性繊維の含有率は3質量%以上25質量%以下であり、4質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。湿熱接着性繊維の含有率が3質量%未満の場合、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率が低く、耐電解液性が劣る。また、セパレータの吸水速度が遅くなる場合がある。一方、湿熱接着性繊維の含有率が25質量%より多い場合、セパレータ表面がフィルム化しやすく、セパレータの吸水速度が遅くなり、導電性高分子の浸透性が悪化し、導電性高分子の分布が不均一になり、ESRが高くなる。
本発明において、湿熱接着性繊維の繊維径は、好ましくは2~30μmであり、より好ましくは3~25μmであり、さらに好ましくは4~20μmである。繊維径が2μm未満の湿熱接着性繊維を使用した場合には、セパレータの強度が不十分となる場合がある。一方、繊維径が30μmを超える湿熱接着性繊維を使用した場合、抄紙の際の繊維分散が悪くなり、セパレータの地合いが不均一となりやすく、導電性高分子膜が不均一となる場合がある。
本発明において、湿熱接着性繊維の繊維長は、好ましくは1~15mmであり、より好ましくは2~12mmであり、さらに好ましくは3~10mmである。繊維長が1mm未満の場合には、セパレータの強度が低下する場合があり、15mmを超える場合には、繊維分散性が低下しやすく、セパレータの地合いが不均一となりやすく、導電性高分子膜が不均一となる場合がある。
本発明のセパレータにおいては、必要に応じて、前記した全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維及びポリビニルアルコール湿熱接着性繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、合成繊維としては、ポリオレフィン、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、脂肪族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ジエン、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、これらの誘導体等の合成樹脂からなる繊維が挙げられる。天然繊維としては、麻パルプ、コットンリンター、リント;再生繊維としては、リヨセル繊維、レーヨン、キュプラ;半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス;無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ・シリカ繊維、ロックウール、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカ、ホウ酸アルミウィスカなどの繊維が挙げられる。上記の繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。また、断面形状がT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有できる。
本発明のセパレータの坪量は、特に制限はないが、5g/m以上30g/m以下が好ましく、8g/m以上25g/m以下がより好ましく、10g/m以上20g/m以下がさらに好ましい。坪量が5g/m未満である場合、セパレータの強度が弱くなり過ぎて、セパレータの取り扱い時や断裁時に破損するおそれがあり、30g/mを超えた場合、セパレータのESRが高まり、サイクル特性が悪化する場合がある。
本発明のセパレータの厚さは、特に制限はないが、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。また、65μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。セパレータの厚さを上記の範囲とした場合において、本発明のセパレータでは、ESRを低く抑えることができ、電極の積層工程で必要な引張強度を維持できるため、セパレータの抄造性も含め、各工程での作業性を損なうことがない。セパレータの厚さが65μmを超えると、セパレータのESRが高くなり過ぎる場合がある。また、コンデンサを高容量にすることができなくなる場合がある。セパレータの厚さが10μm未満であると、セパレータの強度が弱くなり過ぎて、セパレータの取り扱い時や細い幅に断裁する時に破損するおそれがある。
坪量/厚さで求められる、本発明のセパレータの密度は、0.20g/cm以上0.50g/cm以下が好ましく、0.25g/cm以上0.40g/cm以下がより好ましい。密度が0.20g/cm未満である場合、セパレータの強度が弱くなり過ぎて、セパレータの取り扱い時や断裁時に破損するおそれがあり、0.50g/cmを超えた場合、導電性高分子や電解液の吸収性や保持性が低下し、ESRやサイクル特性が悪化する場合がある。
本発明のセパレータは、湿式抄造法によって製造される湿式不織布であることが好ましい。湿式抄造法は繊維を水に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを抄紙機で抄きあげて湿式不織布を製作する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらの複合機が挙げられる。湿式不織布を製造する工程において、必要に応じて水流交絡処理を施しても良い。湿式不織布の加工処理として、熱処理、カレンダー処理、熱カレンダー処理などを施しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<フィブリル化耐熱性繊維1>
パラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、変法濾水度350mlのフィブリル化耐熱性繊維を作製した。
<フィブリル化耐熱性繊維2>
少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化されたパラ系全芳香族ポリアミド繊維(ダイセルミライズ株式会社製、ティアラ(登録商標)KY-400S、変法濾水度50ml)をフィブリル化耐熱性繊維2とした。
<フィブリル化セルロース>
リンターを、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに高圧ホモジナイザーにて処理して、変法濾水度0mlのフィブリル化セルロースを作製した。
<非フィブリル化耐熱性繊維1>
パラ系全芳香族ポリアミド繊維(繊維径:13μm、繊維長:6mm)を非フィブリル化耐熱性繊維1とした。
<非フィブリル化耐熱性繊維2>
半芳香族ポリアミド繊維(株式会社クラレ製PA9T、繊維径:8μm、繊維長:5mm)を非フィブリル化耐熱性繊維2とした。
<非フィブリル化耐熱性繊維3>
ポリフェニレンサルファイド繊維(繊維径:10μm、繊維長:5mm)を非フィブリル化耐熱性繊維3とした。
<湿熱接着性繊維1>
ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維(株式会社クラレ製VPB041-3、繊維径:6μm、繊維長:3mm)を湿熱接着性繊維1とした。
<湿熱接着性繊維2>
ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維(株式会社クラレ製VPB107-1、繊維径:10μm、繊維長:3mm)を湿熱接着性繊維2とした。
<芯鞘型PET複合繊維>
芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:255℃)、鞘成分がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体からなる非晶性の共重合ポリエステル(融点:115℃)であり、繊維径:11μm、繊維長:5mm、芯成分/鞘成分の体積比が50/50の芯鞘型ポリエステル複合繊維を、芯鞘型PET複合繊維とした。
<PET単繊維>
ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径:3μm、繊維長:3mmの延伸ポリエステル繊維をPET単繊維とした。
実施例及び比較例のセパレータを、以下の条件で製造した。
(セパレータの製造)
2mの分散タンクに水を投入後、表1に示す原料配合比率(質量%)で配合し、分散濃度0.1質量%で15分間分散して、円網抄紙機を用い、湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって熱圧乾燥し、幅450mmの実施例及び比較例のセパレータを得た。
Figure 2024122009000001
実施例及び比較例のセパレータについて、下記物性の測定と評価を行い、結果を表2に示した。
<セパレータの坪量>
JIS P8124:2011に準拠して、セパレータの坪量を測定した。
<セパレータの厚さ>
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚さを測定した。
<電解液浸漬後の質量維持率>
幅50mm×縦方向250mmの大きさの試験片を5枚採取し、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置して水分平衡状態となした時の質量W(g)を測定した後、電解液の非水系溶媒として使用されるγ-ブチロラクトンに浸漬して、150±1℃の雰囲気下で7日間保存した。その後、γ-ブチロラクトンより取り出した試験片を水洗乾燥し、再び水分平衡状態となしたものを電解液浸漬後セパレータとした。電解液浸漬後セパレータの質量W(g)を測定し、次の式により電解液浸漬後の質量維持率を求め、以下の指標で評価した。
電解液浸漬後の質量維持率(%)=W/W×100
指標
A:95%以上。
B:95%未満、90%以上。
C:90%未満。
<電解液浸漬後の強度維持率>
<電解液浸漬後の質量維持率>と同様の方法で、電解液浸漬後セパレータを作製した。卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA-1150)を用い、JIS P8113:2006に準じて、試験片幅50mm、つかみ間隔100mm、伸張速度200mm/minで電解液浸漬前後のセパレータについてMD方向の引張強度を測定し、電解液浸漬前の引張強度をT、電解液浸漬後の引張強度をTとし、次の式により電解液浸漬後の強度維持率を求め、以下の指標で評価した。
電解液浸漬後の強度維持率(%)=T/T×100
指標
A:80%以上。
B:80%未満、75%以上。
C:75%未満。
<セパレータの吸水速度>
幅100mm×縦方向100mmの大きさのセパレータ試験片を、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内にて24時間調湿した後に、セパレータ試験片に対して、高さ10mmの位置からマイクロピペットを用いて純水を1滴(0.02ml)滴下し、滴下直後から水滴が完全に消えるまでの時間(秒)を計測し、以下の指標で評価した。時間が短いほど吸水性が高く良好である。
指標
A:300秒未満。
B:300秒以上、400秒未満。
C:400秒以上。
<150℃加熱後のシワ>
幅200mm×縦方向250mmの大きさのセパレータ試験片を、150℃の熱風乾燥機内にて1時間加熱処理後に、セパレータ試験片のシワの発生状況を観察し、以下の指標で評価した。シワの発生がないものが良好である。
指標
A:全くシワの発生がない。
B:わずかにシワの発生が見られる。
C:シワの発生が多い。
<200℃加熱後のシワ>
幅200mm×縦方向250mmの大きさのセパレータ試験片を、200℃の熱風乾燥機内にて1時間加熱処理後に、セパレータ試験片のシワの発生状況を観察した。シワの発生がないものが良好である。
指標
A:全くシワの発生がない。
B:わずかにシワの発生が見られる。
C:シワの発生が多い。
<固体電解コンデンサの作製>
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理を行った陽極箔と陰極箔とが接触しないように各実施例及び比較例のセパレータを介在させて巻回し、コンデンサ素子を作製した。作製したコンデンサ素子は、再化成処理後、乾燥した。コンデンサ素子に、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との導電性高分子水分散液を含浸後、加熱・乾燥させて導電性高分子を形成した。次に、所定のケースにコンデンサ素子を入れ、開口部を封口後、エージングを行い、定格電圧35V、定格静電容量100μFの固体電解コンデンサを得た。
<ハイブリッド電解コンデンサの作製>
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理を行った陽極箔と陰極箔とが接触しないように各実施例及び比較例のセパレータを介在させて巻回し、コンデンサ素子を作製した。作製したコンデンサ素子は、再化成処理後、乾燥した。コンデンサ素子に、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との導電性高分子水分散液を含浸後、加熱・乾燥させて導電性高分子を形成した。続けてコンデンサ素子に、ポリエチレングリコールとγ-ブチロラクトンとスルホランとフタル酸エチルジエチルアミン塩を同一比率で混合した駆動用電解液を含浸させ、所定のケースにコンデンサ素子を入れ、開口部を封口後、エージングを行い、定格電圧35V、定格静電容量150μFのハイブリッド電解コンデンサを得た。
<ESRの測定>
上記方法で作製した固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)は、温度20℃、周波数200kHzの条件にてLCRメーター(GWINSTEK社製、装置名:LCR-821)で測定し、比較例1の測定値を1として相対値で評価した。
Figure 2024122009000002
表2に示した通り、実施例1~8で作製したセパレータは、全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維と全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維とポリビニルアルコール湿熱接着性繊維を最適な配合比率で含有していることから、吸水速度は速く、電解液の非水系溶媒であるγ-ブチロラクトンに高温(150±1℃)で浸漬した後の質量維持率と強度維持率が高く、耐電解液性に優れていた。
実施例1と実施例3との比較から、セパレータに含まれる繊維全体に対し、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が75質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が15質量%である実施例3のセパレータは、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が56質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が34質量%である実施例1のセパレータよりも、セパレータの吸水速度が速く良好であった。
実施例4と実施例5との比較から、セパレータに含まれる繊維全体に対し、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が87質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が3質量%である実施例4のセパレータは、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が80質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が15質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が5質量%である実施例5のセパレータよりも、電解液浸漬後の強度維持率が低かった。
実施例6と実施例7との比較から、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が15質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が15質量%である実施例6のセパレータは、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が25質量%である実施例7に対して、セパレータの吸水速度が速く、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが低く、好ましい結果となった。
実施例3と実施例8との比較から、非フィブリル化耐熱性繊維として半芳香族ポリアミド繊維を用いた実施例8は、パラ系全芳香族ポリアミド繊維を用いた実施例3と比較して200℃加熱後のシワ及び固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高く、200℃の加熱後にシワが見られた。
湿熱接着性繊維を含有せず、芯鞘型PET複合繊維をバインダー繊維とした比較例1のセパレータは、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率が低く、耐電解液性が劣り、また、セパレータの吸水速度も遅かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が30質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が40質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が30質量%である比較例2のセパレータは、セパレータの吸水速度が遅く、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が92質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が5質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が3質量%である比較例3のセパレータ及びフィブリル化耐熱性繊維の含有率が49質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が50質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が1質量%である比較例4のセパレータは、電解液浸漬後の強度維持率が低かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が55質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が35質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が10質量%である比較例5のセパレータ(特許文献3に開示)は、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率及び吸水速度は良好であったが、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高い結果となった。
比較例6のセパレータは、電解液浸漬後セパレータの質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率、吸水速度は良好であったが、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維を含有しておらず、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高い結果となった。
比較例5(坪量35g/m、厚さ152μm)と同じ繊維構成で、坪量が18g/m、厚さ50μmの比較例7のセパレータは、吸水速度が遅く、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高い結果となった。
比較例6(坪量40g/m、厚さ200μm)と同じ繊維構成で、坪量が18g/m、厚さ50μmの比較例8のセパレータは、150℃加熱後のシワと200℃加熱後のシワが比較例6よりも悪化した。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が54質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が35質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が11質量%である比較例9のセパレータは、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率は良好であったが、吸水速度が遅かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が89質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が9質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が2質量%である比較例10のセパレータは、吸水速度、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRは良好であったが、電解液浸漬後の強度維持率が低かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が56質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が36質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が8質量%である比較例11のセパレータは、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率は良好であったが、吸水速度が遅かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が87質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が9質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が4質量%である比較例12のセパレータは、吸水速度、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRは良好であったが、電解液浸漬後の強度維持率が低かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が87質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が11質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が2質量%である比較例13のセパレータは、吸水速度、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRは良好であったが、電解液浸漬後の強度維持率が低かった。
フィブリル化耐熱性繊維の含有率が63質量%であり、非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が27質量%である比較例14のセパレータは、電解液浸漬後の質量維持率及び電解液浸漬後の強度維持率は良好であったが、吸水速度が遅く、固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRが高い結果となった。
本発明の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサに好適に使用できる。

Claims (3)

  1. セパレータに含まれる繊維全体に対し、全芳香族ポリアミドからなるフィブリル化耐熱性繊維の含有率が55質量%超87質量%以下であり、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドからなる非フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%以上35質量%未満であり、ポリビニルアルコール湿熱接着性繊維の含有率が3質量%以上25質量%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 非フィブリル化耐熱性繊維が全芳香族ポリアミドである請求項1記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
  3. 請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ。
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