JP2020053425A - 固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ及びそれを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ及びそれを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐電解液性に優れ、低抵抗で信頼性の高い固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサを実現することができる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを提供することである。【解決手段】フィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと非フィブリル化繊維とを含有してなり、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ(以下、「固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ」を「セパレータ」と略記する場合がある)及び固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサに関する。
昨今、パーソナルコンピューター(以下、「パーソナルコンピューター」を「パソコン」と略記する場合がある)、家庭用ゲーム機、自動車電装機器等の電子機器の高性能化が著しく進んでおり、それと同時にこれらの電子機器の小型化も強く求められている。そのため、これらの電子機器に用いられる電子回路基板等に搭載される部品にも小型化のニーズが高まっている。
「固体電解コンデンサ」は、導電性高分子を陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサである。固体電解コンデンサは、電解液を陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサと比べ、ESR(等価直列抵抗)特性が良好であることから、員数削減による小型化が可能であり、パソコンやゲーム機等に使用されている。
また、パソコン等では、CPUの高速化・高機能化が求められており、動作周波数が一段と高周波化している。電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサの伝導機構はイオン伝導であるが、固体電解コンデンサの伝導機構は電子伝導であり、高伝導度を示す。つまり、蓄えた電子を放出する応答性が良いことから、低ESR特性となり、電源回路の中でもCPU周りに用いるコンデンサとしてメリットがある。
また、近年は、陰極材料として導電性高分子と電解液とを共に使用した、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサがコンデンサーメーカー各社から上市されており、低ESR特性であることと、ショート不良が少ないことが必須である自動車電装機器用途にも用いられてきている。「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ」は「ハイブリッド電解コンデンサ」とも称される。
陰極材料である導電性高分子をコンデンサ素子内に保持させる方法として、コンデンサ素子内にて導電性高分子を重合させる方法と、あらかじめ重合した導電性高分子をコンデンサ素子内に含浸させる方法とがある。
コンデンサ素子内において、導電性高分子を重合させる場合、モノマー及び酸化剤を含む溶液(以下、「重合液」と略記する)をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥して重合させ、導電性高分子層をコンデンサ素子内に形成させている。
あらかじめ重合した導電性高分子を含浸させる場合、導電性高分子を水に分散させた懸濁液(以下、「分散液」と略記する)をコンデンサ素子に含浸後、加熱・乾燥し、導電性高分子層をコンデンサ素子内に形成させる。
重合液と分散液の何れの場合においても、固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを構成する繊維の耐熱性と耐薬品性が重要になってきている。
これまでに、固体電解コンデンサ用セパレータとして、非フィブリル化有機繊維、融点又は熱分解温度が250℃以上のフィブリル化高分子を含有し、吸水速度が5mm/min以上である湿式不織布からなる固体電解コンデンサ用セパレータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の湿式不織布からなるセパレータは、非フィブリル化有機繊維として、芯部に融点255℃のポリエチレンテレフタレートを、鞘部に融点110℃の共重合体ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体)を配してなる芯鞘型複合繊維を使用している。この芯鞘型複合繊維は、バインダー繊維として使用されているが、これまでの使用環境下では、耐電解液性を持ち、十分に使用可能である。しかしながら、今後、より高温雰囲気下で、特に、ハイブリッド電解コンデンサ用として、導電性高分子と電解液を共に使用した場合では、芯鞘型複合繊維が劣化して、寿命特性や信頼性に影響を及ぼすことが懸念される。
特許第4163523号公報
本発明の課題は、耐電解液性に優れ、低抵抗で信頼性の高い固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサを実現することができる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを提供することである。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明を見出した。
(1)フィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと非フィブリル化繊維とを含有してなり、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
(2)前記芯鞘型複合繊維の芯成分と鞘成分の容積比が80/20〜40/60である(1)記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
(3)上記(1)又は(2)記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ。
本発明の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、耐電解液性に優れ、本発明のセパレータを用いた固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサはESRが低いという効果を達成できる。
本発明の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと非フィブリル化繊維とを含有してなり、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含むことを特徴とする。
固体電解コンデンサは、導電性高分子を陰極材料に用いたアルミニウム電解コンデンサである。ハイブリッド電解コンデンサは、陰極材料として導電性高分子と電解液とを共に使用したアルミ電解コンデンサであり、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサとも称される。固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサに用いられる導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、これらの誘導体が挙げられる。
ハイブリッド電解コンデンサに用いられる電解液としては、非水系溶媒と有機塩とを含む電解液が好ましい。非水系溶媒として、γ−ブチロラクトン、スルホラン又はこれらの混合物を用いることができる。有機塩としては、ボロジサリチル酸トリエチルアミン等の有機アミン塩や環状アミジン塩を用いることができる。非水系溶媒中の有機塩の濃度は特に制限されるものではなく、例えば、5〜50質量%とすることができる。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維としては、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性樹脂からなるフィブリル化繊維が用いられる。これらの中でも、フィブリル化しやすく、電解液や導電性高分子との親和性が高い、全芳香族ポリアミド、特にパラ系全芳香族ポリアミドが好ましい。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維とは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっているものを指し、フィブリルは長さと幅のアスペクト比が20/1〜100000/1の範囲に分布している。そのため、繊維本数が非常に多く存在するだけでなく、アスペクト比が非常に大きいため、フィブリル同士や他の繊維との絡み合う頻度が高く、緻密で細孔の小さな不織布を形成することができる。そのため、耐熱性に優れたセパレータが得られる。
本発明におけるフィブリル化耐熱性繊維の変法濾水度は0ml以上700ml未満であり、好ましくは0ml以上600ml未満であり、さらに好ましくは0ml以上450ml未満である。変法濾水度が700mlを超えた場合、フィブリル化があまり進んでいないため、太い幹繊維が多く存在するため、細孔径が大きくなりやすく、導電性高分子の分布が不均一になる場合や電解液の保持性が悪化する場合がある。一方、変法濾水度が0ml未満である場合、フィブリル化耐熱性繊維のフィブリル化が進み過ぎて、一定量のバインダー繊維で接合する細い繊維の本数が増えるため、機械強度が低下する場合がある。フィブリル化耐熱性繊維のフィブリル化が進むと、変法濾水度は下がり続ける。そして、変法濾水度が0mlに達した後も、さらにフィブリル化すると、繊維がメッシュを通りすぎるようになり、変法濾水度が逆に上昇し始める。本発明では、このように、変法濾水度が逆上昇し始めた状態を「変法濾水度が0ml未満」と称している。
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121−2:2012に準拠して測定した値のことである。
フィブリル化耐熱性繊維において、質量加重平均繊維長は、0.02mm以上1.50mm以下であることが好ましい。また、長さ加重平均繊維長は、0.02mm以上1.00mm以下であることが好ましい。平均繊維長が好ましい範囲よりも短い場合、セパレータからフィブリル化耐熱性繊維が脱落する場合がある。平均繊維長が好ましい範囲よりも長い場合、分散不良が発生しやすく、坪量ムラが発生し、導電性高分子の分布が不均一になる場合や電解液の保持性が悪化する場合がある。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維の質量加重平均繊維長と長さ加重平均繊維長は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して、投影繊維長(Proj)モードにおいて測定した質量加重平均繊維長(L(w))と長さ加重平均繊維長(L(l))である。
フィブリル化耐熱性繊維の平均繊維幅は、0.5μm以上30.0μm以下が好ましく、3.0μm以上25.0μm以下がより好ましく、5.0μm以上20.0μm以下がさらに好ましい。平均繊維幅が30.0μmを超えた場合、導電性高分子に分布が不均一になる場合や電解液の保持性が悪化する場合がある。平均繊維幅が0.5μm未満の場合、セパレータから脱落する場合があり、電解液の保持性が悪化する場合がある。
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維の平均繊維幅は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した繊維幅(Fiber Width)である。
フィブリル化耐熱性繊維は、耐熱性繊維をリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて処理することによって得ることができる。
本発明のセパレータに含まれる全繊維成分に対して、フィブリル化耐熱性繊維の含有率は、5質量%以上70質量%以下であることが好ましい。15質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、65質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。フィブリル化耐熱性繊維の含有率が5質量%未満である場合、繊維本数が減少するため、繊維分布が不均一になりやすく、導電性高分子膜が不均一に形成されやすく、電解液の保持性が低下するため、ESRやサイクル特性が悪化しやすくなる。一方、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が70質量%を超えた場合、セパレータの機械強度が悪化し、電池の生産性が低下する。また、厚みを薄くしにくくなる。
本発明におけるフィブリル化セルロースとしては、溶剤紡糸セルロース、木材繊維や木材パルプ、リンター、リント、麻、柔細胞繊維などの非木材繊維や非木材パルプをフィブリル化したものやバクテリヤセルロースなどが挙げられる。柔細胞繊維とは植物の茎、葉、根、果実等に存在する柔細胞を主体とした部分を、アルカリで処理するなどして得られるセルロースを主成分とし、水に不溶な繊維を指す。
本発明では、フィブリル化セルロースの平均繊維径は、好ましくは0.15〜30μmであり、より好ましくは0.2〜10μmであり、さらに好ましくは0.25〜5μmであり、特に好ましくは0.25〜1μmである。平均繊維径は、セパレータの表面や断面の走査型電子顕微鏡観察により、セパレータを形成する繊維から無作為に選んだ40本の繊維径を計測し、40本の繊維径の平均値である。
フィブリル化セルロースの長さ加重平均繊維長は0.2mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上1.6mm以下であることがさらに好ましい。長さ加重平均繊維長が0.2mm以上であることにより、湿式抄造の際に漉き網から抜け落ちて排水に流失する割合が多くなることを防ぐことができる。また、長さ加重平均繊維長が3.0mm以下であることにより、繊維がもつれてダマになることを防ぐことができ、その結果、厚みムラが生じることを防ぐことができる。
本発明におけるフィブリル化セルロースの長さ加重平均繊維長は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して、投影繊維長(Proj)モードにおいて測定した長さ加重平均繊維長(L(l))である。
叩解される(フィブリル化される)ことによる効果としては、繊維がセパレータ内部に細密構造を形成することにより、電解液の保液性が向上すること、細孔が小さくなること等が挙げられる。また、フィブリル化耐熱性繊維と非フィブリル化繊維とフィブリル化セルロースによる緻密なネットワーク構造が形成され、導電性高分子膜の形成が均一となり、電解液の保持性に優れたセパレータが得られやすくなる。
本発明のセパレータにおけるフィブリル化セルロースの含有率は、1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。フィブリル化セルロースの含有量が1質量%未満だと、構成繊維の十分なネットワーク構造が得られない場合があり、40質量%より多いと導電性高分子が形成される隙間が不十分になる場合や、導電性高分子の重合を阻害し、ESRが高くなる場合がある。
本発明におけるフィブリル化セルロースのフィブリル化は、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて処理することによって得ることができるが、特に高圧ホモジナイザーで処理すると細かいフィブリルが得られるため好ましい。
本発明において、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含むことを特徴としている。以下、特に断りのない限り、「融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維」を「芯鞘型複合繊維」と略記する場合がある。
本発明において、該セパレータに含まれる全繊維成分に対して、芯鞘型複合繊維の含有率は10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。セパレータが芯鞘型複合繊維を含有していると、繊維同士の溶融により接着点が強固になり、セパレータの機械強度が向上するという効果が得られる。また、シート状であるセパレータにおいて、シート表面に存在する芯鞘型複合繊維の溶融により、シート表面の接着も強固となり、表面の毛羽が抑えられるという効果が得られる。また、他の非フィブリル化のバインダー繊維と比較して、フィブリル化耐熱性繊維と均一に絡み合ってネットワーク構造を形成しやすく、熱をかけることで溶融し、接着強度をさらに高めることができ、表面の平滑性がより高く、緻密性に優れたセパレータを得ることができる。
芯鞘型複合繊維の含有率が10質量%より少ない場合、繊維同士の接着点が減るため、機械強度を向上させる効果が低下する場合がある。一方、芯鞘型複合繊維の含有率が40質量%より多い場合、芯鞘型複合繊維同士の接着点が増加し、機械強度は強くなるが、セパレータ表面がフィルム化しやすく、導電性高分子の浸透性が悪化し、導電性高分子の分布が不均一になるため、ESRが悪化する場合がある。
本発明において、芯鞘型複合繊維の芯成分として用いられる融点160℃以上の樹脂には、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂を挙げることができる。
これらの芯鞘型複合繊維は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、芯成分として、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレンがさらに好ましい。
芯成分として用いられる樹脂の融点が160℃以上であることにより、芯部分が形状を保つことができる。樹脂の融点は163℃以上がより好ましい。融点は、JIS K7121:2012に準拠して測定した値である。
本発明において、鞘成分にポリエチレンを用いた芯鞘型複合繊維を含有させることにより、重合液や分散液や電解液に対する耐薬品性が、従来の芯部に融点255℃のポリエチレンテレフタレートを、鞘部に融点110℃の共重合体ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体)を用いた芯鞘型複合繊維よりも格段に向上し、機械強度も向上する効果が得られることが判った。
鞘成分のポリエチレンの融点は115℃以上であることが、セパレータ表面の過度のフィルム化を抑える効果の点から好ましく、140℃以下であることが、芯鞘型複合繊維の接着性を高める効果の点から好ましい。融点は、JIS K7121:2012に準拠して測定した値である。
芯鞘型複合繊維の平均繊維径は、16μm以下が好ましく、5〜15μmがより好ましく、7〜14μmがさらに好ましく、9〜13μmが特に好ましい。平均繊維径が5μm未満の場合、繊維の生産性が低下し、繊維が非常に高価なものになる。また、セパレータがフィルム化しやすくなる。一方、平均繊維径が16μmを超えて、繊維径が大きくなるほど、質量あたりの繊維本数が減るため、繊維同士の接着部分が減少し、セパレータの機械強度が低下する。
芯鞘型複合繊維の平均繊維径は、セパレータ断面の走査型電子顕微鏡観察により、セパレータを形成する繊維から無作為に選んだ40本の繊維の断面積を計測し、繊維の断面形状が真円であると見なして繊維径を算出した際の、40本の繊維径の平均値である。本発明においては、全ての芯鞘型複合繊維の繊維径が16μm以下であることが好ましい。
芯鞘型複合繊維の芯成分と鞘成分の容積比(「芯鞘比」とも称す)は、80/20〜40/60が好ましく、70/30〜50/50がより好ましい。芯成分は熱を付与された後も繊維形状を維持し、繊維の機械強度を維持する。鞘成分は熱を付与されると、溶融又は軟化して、構成繊維間を熱接着させる。鞘成分の熱接着により、構成繊維間の空隙が部分的に埋められるセパレータはより緻密なものになる。
芯鞘比が40/60より鞘成分が多いと、構成繊維間が強く熱接着されるものの、芯成分の占める割合が少なくなり過ぎることによって、芯鞘型複合繊維そのものの単繊維強度が低下する。また、鞘成分が多いと、セパレータの空隙率が低下し過ぎることに起因して導電性高分子や電解液の吸収性が低下し、コンデンサ製造の作業効率が低下する場合や、ESRが悪化する場合がある。一方、芯鞘比が80/20よりも大きくて、芯成分が多くなり過ぎると、芯鞘型複合繊維自体の単繊維強度は高くなるものの、セパレータの構成繊維間が十分に熱接着されなくなる。そのため、繊維間が十分に熱接着されないことに起因して機械強度が低下する。また、構成繊維間が十分に緻密にならないことに起因して空隙率が大きくなるという不都合が生じ、電池特性を低下させる場合がある。さらに、芯鞘比が70/30〜50/50とすると、高い導電性高分子や電解液の吸収性や保持性を有し、かつ、機械強度の高いセパレータを得ることができる。
本発明において、芯鞘型複合繊維以外の非フィブリル化繊維としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ジエン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、これらの誘導体等の合成樹脂からなる、フィブリル化されていない短繊維が挙げられる。
芯鞘型複合繊維以外の非フィブリル化繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。また、本発明のセパレータに含まれる非フィブリル化繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。
本発明において、該セパレータに含まれる全繊維成分に対して、芯鞘型複合繊維を含めた非フィブリル化繊維全体の含有率は25〜94質量%が好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、35〜65質量%であることがさらに好ましい。非フィブリル化繊維を含有することによって、セパレータの引張強度や突刺強度を強くすることができる。非フィブリル化繊維全体の含有率が25質量%より少ない場合、セパレータの引張強度が低くなり、セパレータの生産性やコンデンサの組立生産性が低下する場合がある。一方、非フィブリル化繊維全体の含有率が94質量%を超えた場合、フィブリル化耐熱性繊維やフィブリル化セルロースの含有率が少なくなるため、導電性高分子の浸透性が悪化する場合や導電性高分子の分布が不均一になるため、ESRが悪化する場合や電解液の保持性が低下するため、ESRが悪化する場合がある。
芯鞘型複合繊維以外の非フィブリル化繊維の繊度は、0.01dtex以上0.6dtex以下が好ましく、0.02dtex以上0.3dtex以下がより好ましい。繊度が0.6dtexを超えた場合、厚さ方向における繊維本数が少なくなるため、セパレータの細孔径分布が広くなり、導電性高分子や電解液の吸収性が低下する場合や、内部短絡不良率や漏れ電流が悪化する場合がある。一方、繊度が0.01dtex未満の場合、繊維が非常に高価になり、繊維の安定製造が困難になる場合や、湿式抄紙法によりセパレータを製造する場合、脱水性が低下し、セパレータの生産性が低下する場合や坪量ムラが発生しやすくなり、内部短絡不良率が悪化する場合がある。
非フィブリル化繊維の繊維長としては、1mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。繊維長が10mmを超えた場合、地合不良となることがある。一方、繊維長が1mm未満の場合、セパレータの機械強度が低くなって、電極の積層工程でセパレータが破損する場合がある。
本発明のセパレータの厚みは、特に制限はないが、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。また、70μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。セパレータの厚みを上記の範囲とした場合においても、本発明のセパレータでは、ESRを低く抑えることができ、電極の積層工程で必要な引張強度を維持できるため、セパレータの抄造性も含め、各工程での作業性を損なうことがない。セパレータの厚みが70μmを超えると、セパレータのESRが高くなり過ぎる場合がある。また、電池を高容量にすることができなくなる場合がある。セパレータの厚みが20μm未満であると、セパレータの強度が弱くなり過ぎて、セパレータの取り扱い時や細い幅に断裁する時に破損する恐れがある。
本発明のセパレータの密度は、0.20g/cm以上0.50g/cm以下が好ましく、0.25g/cm以上0.40g/cm以下がより好ましい。密度が0.20g/cm未満である場合、セパレータの強度が弱くなり過ぎて、セパレータの取り扱い時や断裁時に破損する恐れがあり、0.50g/cmを超えた場合、セパレータのフィルム化が進み、導電性高分子や電解液の吸収性や保持性が低下し、ESRやサイクル特性が悪化する場合がある。
本発明のセパレータは、湿式抄造法によって製造される湿式不織布であることが好ましい。湿式抄造法は繊維を水に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを抄紙機で漉きあげて湿式不織布を製作する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらの複合機が挙げられる。湿式不織布を製造する工程において、必要に応じて水流交絡処理を施しても良い。湿式不織布の加工処理として、熱処理、カレンダー処理、熱カレンダー処理などを施しても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りのない限り全て質量基準である。
<セパレータの作製>
実施例1
パラ系全芳香族ポリアミド繊維(繊度2.5dtex、繊維長3mm)を、初期濃度2.5質量%になるように水に分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて、パス回数を重ねる毎にクリアランスを狭めながら、15回繰り返し叩解処理した後、高圧ホモジナイザーを用いて、変法濾水度350ml、質量加重平均繊維長1.30mm、長さ加重平均繊維長0.59mm、繊維幅0.59mmにまでフィブリル化させたフィブリル化耐熱性繊維50部、コットンリンターパルプを濃度2.5質量%になるように水に分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて、クリアランスを徐々に狭めながら、10回繰り返し処理した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理した、平均繊維径0.3μm、長さ加重平均繊維長0.22mmのフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径13.9μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=50/50)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例2
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径15.4μm、繊維長5mmの、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=65/35)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.4g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例3
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維20部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース5部、平均繊維径5.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を45部、平均繊維径13.9μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=50/50)30部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.0g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例4
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径13.2μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=80/20)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例5
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径14.2μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=40/60)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例6
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径13.0μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=85/15)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例7
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径14.3μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点265℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(芯鞘比=35/65)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
比較例1
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維50部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース10部、平均繊維径3.1μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径12.7μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘成分がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレート共重合体(融点110℃)の芯鞘型熱融着短繊維(芯鞘比=50/50)20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.5g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
比較例2
実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維20部、実施例1で使用したフィブリル化セルロース5部、平均繊維径5.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を45部、平均繊維径10.3μm、繊維長5mmの、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘成分がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレート共重合体(融点110℃)の芯鞘型熱融着短繊維(芯鞘比=50/50)30部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、円網型抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度135℃のシリンダードライヤーによって乾燥し、坪量17.0g/m、厚み50μmのセパレータを得た。
実施例及び比較例の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータについて、下記物性の測定と評価を行い、結果を表1に示した。
<セパレータの坪量>
JIS P8124:2011に準拠して、セパレータの坪量を測定した。
<セパレータの厚さ>
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚さを測定した。
<セパレータの引張強度>
卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113:2006に準じて、縦方向の引張強さを測定し、セパレータの引張強度Tを評価した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。
<電解液保存後のセパレータの質量維持率>
電解液保存後のセパレータの質量維持率(%)は、各試料から幅50mm×縦方向250mmの大きさの試験片を5枚採取し、水分平衡状態となした時の質量W(g)を測定した後、電解液の非水系溶媒として使用されるγ−ブチロラクトンに浸漬して、80±1℃の雰囲気下で7日間保存する。その後取り出した試料を水洗乾燥し、再び水分平衡状態となした時の質量W(g)を測定し、次の式により電解液保存後の質量維持率を求めた。5枚の平均値を代表値とした。
電解液保存後のセパレータの質量維持率(%)=W/W×100
<電解液保存後のセパレータの引張強度維持率>
上記の電解液保存後のセパレータの質量維持率を測定した試験片5枚を用いて、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113:2006に準じて、縦方向の引張強さを測定し、電解液保存後の引張強度Tを求めた。次の式により電解液保存後の引張強度維持率を求めた。5枚の平均値を代表値とした。
電解液保存後のセパレータの引張強度維持率(%)=T/T×100
<固体電解コンデンサの製作>
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理を行った陽極箔と陰極箔とが接触しないように各実施例と比較例のセパレータを介在させて巻回し、コンデンサ素子を作製した。作製したコンデンサ素子は、再化成処理後、乾燥した。コンデンサ素子に導電性高分子分散液を含浸後、加熱・乾燥させて導電性高分子を形成した。次に、所定のケースにコンデンサ素子を入れ、開口部を封口後、エージングを行い、定格電圧35V,定格静電容量100μFの固体電解コンデンサを得た。
<ハイブリッド電解コンデンサの作製>
エッチング処理及び酸化皮膜形成処理を行った陽極箔と陰極箔とが接触しないように各実施例と比較例のセパレータを介在させて巻回し、コンデンサ素子を作製した。作製したコンデンサ素子は、再化成処理後、乾燥した。コンデンサ素子に導電性高分子分散液を含浸後、加熱・乾燥させて導電性高分子を形成した。続けて、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸させ、所定のケースにコンデンサ素子を入れ、開口部を封口後、エージングを行い、定格電圧35V、定格静電容量150μFのハイブリッド電解コンデンサを得た。
<ESRの測定>
上記方法で作製した固体電解コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)は、温度20℃、周波数100kHzの条件にてLCRメーターで測定し、結果を表2に示した。
Figure 2020053425
Figure 2020053425
表1に示した通り、実施例1〜7で作製したセパレータは、フィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと非フィブリル化繊維とを含有し、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含んでいる。実施例1〜7のセパレータは、電解液の非水系溶媒であるγ−ブチロラクトンに高温80℃で保存した際の質量維持率と引張強度維持率が高く、耐電解液性に優れていた。
比較例1及び比較例2のセパレータは、融点255℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレート共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維をバインダー繊維として使用した場合であるが、耐電解液性に劣っていた。特に、電解液保存後の引張強度の維持率が大きく低下した。
実施例1と実施例4〜7は、融点265℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維の芯鞘比を変えた場合である。鞘成分の比率が小さくなるほど、引張強度は低下し、芯鞘比が85/15の実施例6では、比較例1の融点255℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレート共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維を使用した場合よりも引張強度が低くなった。また、表2に示した通り、芯鞘型複合繊維の鞘成分の比率が大きくなる程、固体電解質コンデンサとハイブリッド電解コンデンサのESRは大きくなる傾向があった。鞘成分の比率が60を超えた実施例7は特にESRが高くなり、静電容量が定格より低くなった。芯鞘型複合繊維の芯鞘比は80/20〜40/60であることが好ましいことが確認された。
本発明の固体電解コンデンサ、又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータは、固体電解コンデンサ、ハイブリッド電解コンデンサに好適に使用できる。

Claims (3)

  1. フィブリル化耐熱性繊維とフィブリル化セルロースと非フィブリル化繊維とを含有してなり、非フィブリル化繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 前記芯鞘型複合繊維の芯成分と鞘成分の容積比が80/20〜40/60である請求項1記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータ。
  3. 請求項1又は2記載の固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ用セパレータを用いてなる固体電解コンデンサ又はハイブリッド電解コンデンサ。
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