JP2017174928A - 固体電解コンデンサ用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】低ESRと高耐熱性を両立できる固体電解コンデンサ用セパレータを提供する。【解決手段】固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ用セパレータにおいて、該セパレータはフィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロース繊維とを含み、該フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とする固体電解コンデンサ用セパレータであり、該フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であることがより好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ用として好適な固体電解コンデンサ用セパレータ(以下、「セパレータ」と表記することもある)に関する。
陽極、陰極、セパレータ及び電解質を含有してなるコンデンサにおいて、電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサでは、セパレータとして最も一般的に使用されているのは、エスパルトや麻パルプなどのセルロース繊維100%からなる紙セパレータである。紙セパレータは、導電性高分子を重合する際に用いる酸化剤と反応し、導電性高分子の重合を阻害してしまうという欠点があり、重合を阻害しないように、紙セパレータには、予め炭化処理が施される。炭化処理は一般的に280℃以上の温度で行われることが多いため、固体電解コンデンサの製造工程が煩雑になる。また、炭化処理によって紙セパレータが脆くなり、崩れやすくなることから、ショート不良率が高くなることや、リード線や封止材などのコンデンサ部品が劣化することや、固体電解コンデンサの電圧を例えば20V以上に上げると導電性高分子膜が破壊される率が高くなり、耐圧が低いという問題があった。
このような紙セパレータの代わりに、合成繊維を主体とする不織布を用いたセパレータを用いた固体電解コンデンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、コンデンサにおいて、近年、リフロー方式による半田処理が行われることから、リフロー耐熱性が求められ、その要求温度が高くなってきている。リフロー耐熱性を有する固体電解コンデンサ用セパレータとして、融点又は熱分解温度が250℃以上のフィブリル化合成繊維を含有する湿式不織布からなるセパレータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらのセパレータは導電性高分子モノマー液の吸液性が不十分であり、導電性高分子の重合が不均一になり、固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)が高くなる問題があった。
導電性高分子モノマー液の吸液性の向上を図る手段として、合成繊維を主体とする不織布に導電性高分子と非導電性樹脂からなる導電性高分子複合体を塗布した固体電解コンデンサ用セパレータが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これら導電性高分子複合体は不織布内でフィルム状になるため、導電性高分子複合体の担持量が多い場合、不織布の空隙を塞ぎやすく、固体電解コンデンサのESRが高くなるおそれがあった。
本発明の課題は、リフロー耐熱性が高く、ショート不良率とESRが低い固体電解コンデンサ用セパレータを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。
(1)固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ用セパレータにおいて、該セパレータがフィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロース繊維とを含み、該フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とする固体電解コンデンサ用セパレータ。
(2)該フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上である(1)に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
(3)該フィブリル化天然セルロース繊維がコットン由来のセルロースである(1)又は(2)に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
(4)該フィブリル化天然セルロース繊維の割合が10質量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
(2)該フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上である(1)に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
(3)該フィブリル化天然セルロース繊維がコットン由来のセルロースである(1)又は(2)に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
(4)該フィブリル化天然セルロース繊維の割合が10質量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、微細で耐熱性の高いフィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とを含むことにより、セパレータの熱寸法安定性が向上し、半田処理後のショート率が低い、リフロー耐熱性に優れたセパレータを得ることができる。
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上である。フィブリル化した天然セルロース繊維のフィブリル化状態は、濾水度、繊維径、繊維長等の物性で規定されていた。本発明における検討の結果、これらの物性によって、フィブリル化の状態を管理しているだけでは不十分であり、機械強度がより強く、抵抗のより低いセパレータが得られるフィブリル化状態が存在することがわかった。本発明では、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることによって、フィブリル状耐熱性繊維や合成繊維と、フィブリル化天然セルロース繊維とがしっかりと絡み合い、引張強度等の機械強度を高めることができる。その結果、セパレータとしてのハンドリング性や工程不良抑制効果を飛躍的に向上させることができる。さらに、固体電解コンデンサ用セパレータが緻密でありながらも、導電性高分子モノマー液の均一な吸収を促進するため、内部抵抗を低く抑えることができ、放電特性やサイクル特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
さらに、フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であることによって、上記の効果がより発現しやすくなり、フィブリル化天然セルロース繊維の割合が10質量%以下である固体電解コンデンサ用セパレータであっても、機械強度が強く、ショート不良率が低く、導電性高分子モノマー液の吸液性が向上し、均一な導電性高分子膜を形成することから、ESRが低い固体電解コンデンサ用セパレータを得ることができる。
以下、本発明の固体電解コンデンサ用セパレータを詳細に説明する。本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロース繊維とを含み、該フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とする。
本発明における固体電解コンデンサとは、固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサを指す。導電性高分子としては、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、これらの誘導体が挙げられる。本発明においては、固体電解コンデンサが導電性高分子と電解液とを併用したものでも良い。
本発明において、フィブリル状耐熱性繊維としては、融点又は熱分解温度が250℃以上であり、高圧ホモジナイザー、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置などを用いて微細化処理されてなり、フィルム状でなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部の繊維径が1μm以下になっている繊維を指す。融点又は熱分解温度が250℃以上の耐熱性繊維としては、例えば、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル類からなる単繊維又は複合繊維が挙げられる。これらの中でも、液晶性であるため、均一にフィブリル化されやすい、全芳香族ポリアミド、特にパラ系全芳香族ポリアミドと全芳香族ポリエステルが好ましい。
本発明におけるフィブリル状耐熱性繊維は、変法濾水度が0〜600mlであることが好ましい。本発明における「変法濾水度」とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1質量%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度を意味する。変法濾水度が600mlより大きいと、繊維径分布が広くなり、セパレータの地合斑や厚み斑を生じる場合がある。
本発明のセパレータにおいて、フィブリル状耐熱性繊維の含有量は、セパレータに含まれる繊維全体に対して、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。含有量が10質量%未満だと、セパレータの熱寸法安定性が不十分になり、リフロー耐熱性が不十分になるおそれがある。一方、80質量%を超えると、セパレータの機械的強度が不十分になる場合がある。
本発明のセパレータは合成繊維を含有してなる。合成繊維はセパレータの骨格を形成し、セパレータの機械的強度の向上に貢献する。本発明における合成繊維としては、上記した耐熱性繊維、ポリエステル類、アクリル類、ポリアミド類の樹脂を紡糸して得られる短繊維が挙げられる。ポリエステル類としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートなどが挙げられる。アクリル類としては、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニルなどを共重合させたものが挙げられる。ポリアミド類としては、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが挙げられる。ポリエステル類とアクリル類からなる合成繊維は、低ESRが得られる傾向がある。全芳香族ポリアミドからなる合成繊維は、セパレータの耐熱性を向上させる。
合成繊維は、単一成分からなる繊維でも良いし、2種類以上の成分からなる複合繊維でも良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型、分割型が挙げられる。分割型複合繊維としては、異なる成分からなる樹脂が相互に隣接してなる繊維や海島型繊維が挙げられる。前者はパルパーやミキサーなどで撹拌する方法や高圧水流を当てる方法により機械的に、後者は海成分の樹脂を薬品で溶出する方法により化学的に分割させて、極細繊維を得ることができる。前者の分割型複合繊維の断面形状としては、放射状型、層状型、櫛型、碁盤型等が挙げられる。
合成繊維の各々の平均繊維径は、0.5〜15.0μmが好ましく、1.0〜10.0μmがより好ましい。分割型複合繊維の分割後の平均繊維径もこの範囲が好ましい。15.0μmより太いと、セパレータの厚みを薄くしにくい場合があり、0.5μm未満だと、セパレータの機械的強度が不十分になる場合がある。平均繊維径とは、繊維断面の面積を真円の同じ面積の直径に換算した値を指す。合成繊維の繊維長は、0.5〜10mmが好ましく、1.0〜6mmがより好ましい。繊維長が0.5mm未満だと、セパレータの強度が不十分になる場合があり、10mmより長いと、繊維同士が縺れて地合斑や厚み斑を生じる場合がある。
本発明のセパレータにおいて、合成繊維の含有量は、セパレータに含まれる繊維全体に対して、20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。20質量%未満だと、セパレータの機械的強度が不十分になる場合があり、90質量%を超えると、相対的にフィブリル状耐熱性繊維の含有量が低下し、リフロー耐熱性が不十分になるおそれがある。
本発明のセパレータはフィブリル化天然セルロース繊維を含有する。フィブリル化天然セルロース繊維を含有すると、セパレータの機械的強度が向上し好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維の変法濾水度は0〜400mlであることが好ましい。
本発明において、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合は85%以上である。より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、蜘蛛の巣状の繊維ネットワークを形成しやすくなるため、フィブリル状耐熱性繊維や合成繊維ともしっかりと絡み合い、引張強度等の機械強度を高めることができる。さらに、固体電解コンデンサ用セパレータが緻密でありながらも、導電性高分子モノマー液の均一な吸収を促進するため、内部抵抗を低く抑えることができ、放電特性やサイクル特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
一方、0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分が85%未満の場合、天然セルロース繊維のフィブリル化が進んでおらず、繊維同士が絡みにくくなり、セパレータの引張強度が低下すると共に、ショート不良率が悪化する。また、繊維の幹部分に太い部分が残るため、乾燥後、繊維の幹部分が被膜形成してしまい、導電性高分子モノマー液の分布が不均一になる場合があり、ESRが上昇しやすくなる。フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。フィブリル化された天然セルロース繊維の長さと巾のアスペクト比が約20〜約100000の範囲にあることが好ましい。
本発明において、フィブリル化天然セルロース繊維は、その繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有するファイン分の割合が75%以上であることが好ましい。フィブリル状耐熱性繊維や合成繊維との絡み合いによる引張強度の向上やセパレータの緻密性向上による細孔径の縮小やESRの低減という点から、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.04〜0.08mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有するファイン分の割合が80%以上であることがより好ましい。
フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維に近赤外発光ダイオードを光源として当てて、拡散照明で投影された繊維の画像をCCDカメラで取り込んで繊維の輪郭から算出して求めることができ、市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、繊維長測定装置(Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)を使用して測定した。フィブリル化天然セルロース繊維の「繊維長」、「平均繊維長」、「繊維長分布」とは、上記に従って、測定・算出される「長さ加重繊維長」、「長さ加重平均繊維長」及び「長さ加重平均繊維長分布」を意味する。
本発明で使用されるフィブリル化天然セルロース繊維の原料としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプと、コットンリンターパルプ、コットンパルプ、麻、バガス、ケナフ、竹、藁由来の非木材パルプを使用することができる。中でも、フィブリル化後の繊維強度や品質の安定性やセルロース純度の観点から、コットン由来のセルロースが好ましい。
固体電解コンデンサ用セパレータに含まれる全繊維に対して、フィブリル化天然セルロースの含有量は、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。フィブリル化天然セルロース繊維は、溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化物に比べ、繊維1本の太さの均一性が劣る傾向にあるが、繊維間の物理的な絡みと水素結合力が強いという特徴を有する。フィブリル化天然セルロース繊維の含有率が10質量%を超えると、蜘蛛の巣状の繊維ネットワークが密になり過ぎ、イオン伝導性が阻害されることで、導電性高分子モノマー液が浸透しにくくなる場合やESRが高くなる場合や放電特性が低くなる場合がある。また、後述する抄紙方法を用いたセパレータの生産性が、脱水性の低下によって悪化することがある。
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータに使用されるフィブリル化天然セルロース繊維を製造するための処理装置としては、リファイナー、ビーター、ミル、グラインダー式摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が上げられるが、この中では、特に石臼式摩砕機は、生産性の高さとそのフィブリル化状態及びその均一性の観点から最も優れている。石臼式摩砕機を用いることにより、天然セルロース繊維を均一にフィブリル化させ、繊維長を短くすることにより、繊維本数を増やし、セパレータ全体に蜘蛛の巣状の繊維ネットワークを形成させることで、セパレータの引張強度が向上し、繊維の被膜化を防止し、ESRの上昇を抑えることができる。
石臼式摩砕機(例えば、増幸産業社製のスーパーマスコロイダー(登録商標))での天然セルロース繊維のフィブリル化方法としては、天然セルロース繊維である原料パルプを好ましくは0.5質量%〜4.0質量%、より好ましくは0.8質量%〜3.0質量%、さらに好ましくは1.0質量%〜2.5質量%の固形分濃度となるように水に分散させ、微粉砕用の砥石(MKG−C)46#を用いて、クリアランスを砥石同士が軽く接している状態を0.00(軽接点)mmとして、0.50mm〜0.00mmで数回程度通して天然セルロース繊維を解して流動性を上げた後、クリアランスを−0.05mm〜−0.15mmの間で徐々に狭め、フィブリル化をさらに進めていく方法が挙げられる。より好ましくは、砥石を微粉砕用から超微細用(MKG−A)の80#や120#に変更し、クリアランスを−0.00〜−0.15mmの間で徐々に狭める処理を数回加えることで、よりフィブリル化が進行し、繊維長分布がシャープになる。
砥石の回転数は、特に制限されず、300〜2000rpmの広い範囲から選択でき、好ましくは600〜1500rpmである。
石臼式摩砕機による処理回数(パス回数)は10〜40回が好ましく、より好ましくは15〜30回であり、さらに好ましくは20〜25回である。
本発明のセパレータは、フィブリル状耐熱性繊維、合成繊維、フィブリル化天然セルロース繊維以外の繊維を含んでいても良い。例えば、天然セルロース繊維;天然セルロース繊維のパルプ化物;溶剤紡糸セルロースの短繊維やフィブリル化物;再生セルロースの短繊維やフィブリル化物;合成樹脂からなるフィブリッド、パルプ化物、フィブリル化物;ガラス、アルミナ、シリカ、セラミックス、ロックウールなどの無機繊維;などが挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータは、円網、長網、短網、傾斜型短網等の抄紙方式の中から1種の抄紙方式を有する抄紙機、同種又は異種の2種以上の抄紙方式を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄紙する湿式抄造法によって製造することができる。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加することができ、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に原料スラリーを調製する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙し、乾燥する。抄紙して得られた固体電解コンデンサ用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
本発明の固体電解コンデンサ用セパレータの厚みは、20〜70μmであることが好ましく、30〜60μmであることがより好ましく、40〜50μmであることがさらに好ましい。厚みが20μm未満では、セパレータの機械的強度が不十分になる場合があり、70μmを超えると、固体電解コンデンサのESRが高くなる場合がある。
本発明のセパレータの密度は、0.20〜0.50g/cm3であることが好ましく、0.30〜0.40g/cm3であることがより好ましい。密度が0.20g/cm3未満では、漏れ電流が大きくなる場合があり、また、セパレータの機械的強度が不十分になる場合がある。0.50g/cm3を超えると、セパレータの空隙率が低下し、導電性高分子の担持量が不十分になり、固定電解コンデンサのESRが高くなる場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、部数及び百分率は、特に断りのない限り、質量基準である。
[変法濾水度]
変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
[長さ加重平均繊維長及び繊維長分布ヒストグラム]
フィブリル化天然セルロース繊維の長さ加重平均繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維長測定装置(Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)を使用して測定した。
フィブリル化天然セルロース繊維の長さ加重平均繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維長測定装置(Hires Fiber Quality Analyzer Op Test Equpment Inc社製)を使用して測定した。
<固体電解コンデンサ用セパレータの作製>
実施例1
リファイナーを用いてフィブリル化したパラ系全芳香族ポリアミド繊維(フィブリル状耐熱性繊維、変法濾水度50ml)を50部、平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(合成繊維)を25部、平均繊維径10.1μm、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着短繊維(合成繊維)を20部、コットンリンターパルプを増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%であるフィブリル化天然セルロース繊維5部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、傾斜式抄紙機を使用し、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度130℃で乾燥した後、カレンダー処理を施して、坪量14.5g/m2、厚さ40.0μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例1
リファイナーを用いてフィブリル化したパラ系全芳香族ポリアミド繊維(フィブリル状耐熱性繊維、変法濾水度50ml)を50部、平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(合成繊維)を25部、平均繊維径10.1μm、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着短繊維(合成繊維)を20部、コットンリンターパルプを増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%であるフィブリル化天然セルロース繊維5部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な原料スラリー(0.5%濃度)を調製した。この原料スラリーを、傾斜式抄紙機を使用し、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度130℃で乾燥した後、カレンダー処理を施して、坪量14.5g/m2、厚さ40.0μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例2
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が90%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が84%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.4g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が90%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が84%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.4g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例3
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が95%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が90%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.6g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が95%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が90%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.6g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例4
パラ系全芳香族ポリアミド繊維を50部、平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径10.1μm、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着短繊維を20部、フィブリル化天然セルロース繊維を10部とし、坪量10.5g/m2、厚さ30.0μmとした以外は、実施例1と同様な方法で、固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
パラ系全芳香族ポリアミド繊維を50部、平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を20部、平均繊維径10.1μm、繊維長5mmの、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点253℃)、鞘部がポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(軟化点75℃)のポリエステル系芯鞘型熱融着短繊維を20部、フィブリル化天然セルロース繊維を10部とし、坪量10.5g/m2、厚さ30.0μmとした以外は、実施例1と同様な方法で、固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例5
平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を22部、フィブリル化天然セルロース繊維を3部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
平均繊維径2.3μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を22部、フィブリル化天然セルロース繊維を3部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例6
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が72%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.4g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が72%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.4g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例7
LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)をパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が87%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が80%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例4と同様な方法で、坪量10.2g/m2、厚さ30.3μmの固体コンデンサ用セパレータを得た。
LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)をパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が87%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が80%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例4と同様な方法で、坪量10.2g/m2、厚さ30.3μmの固体コンデンサ用セパレータを得た。
実施例8
ポリエチレンテレフタレート短繊維を18部、フィブリル化天然セルロース繊維を12部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
ポリエチレンテレフタレート短繊維を18部、フィブリル化天然セルロース繊維を12部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
比較例1
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が82%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.1g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が82%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.1g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
比較例2
コットンリンターパルプをパルパーで離解した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理し、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が84%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
コットンリンターパルプをパルパーで離解した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理し、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が84%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.125mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が70%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.2g/m2、厚さ40.2μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
比較例3
ポリエチレンテレフタレート短繊維を30部、フィブリル化天然セルロース繊維を0部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.3g/m2、厚さ40.3μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
ポリエチレンテレフタレート短繊維を30部、フィブリル化天然セルロース繊維を0部とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.3g/m2、厚さ40.3μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
比較例4
LBKPをパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が80%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が74%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.1g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
LBKPをパルパーで離解した後、増幸産業社製スーパーマスコロイダー(登録商標)でフィブリル化させ、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が80%であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.075mmに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が74%であるフィブリル化天然セルロース繊維を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、坪量14.1g/m2、厚さ40.1μmの固体電解コンデンサ用セパレータを得た。
実施例及び比較例で作製した固体電解コンデンサ用セパレータについて、下記の試験方法により測定を行い、測定結果を表1に示した。また、実施例及び比較例で作製した固体電解コンデンサ用セパレータを用いて固体電解コンデンサを作製し、ESR、工程不良率、耐圧、リフロー後の漏れ電流の評価を行い、評価結果を表1に示した。
測定
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[厚さ]
JIS C2111に準拠して、厚さを測定した。
JIS C2111に準拠して、厚さを測定した。
[密度]
JIS C2111に準拠して、密度を測定した。
JIS C2111に準拠して、密度を測定した。
<固体電解コンデンサの作製>
厚み50μm、エッチング孔1〜5μmのアルミニウム箔の表面を酸化処理して、酸化アルミニウム誘電体を形成させ、これを陽極として用いた。酸化処理する前のアルミニウム箔を陰極として用いた。実施例及び比較例で得た固体電解コンデンサ用セパレータを陽極の誘電体上に配置し、陰極と合わせて巻き取り、固体電解コンデンサ素子を作製した。この素子を3,4−エチレンジオキシチオフェン:p−トルエンスルホン酸第二鉄の50質量%ブタノール溶液を質量比で1:20になるように混合した溶液(導電性高分子モノマー液)に浸漬し、引き上げて200℃で30分加熱してポリエチレンジオキシチオフェンを重合した。この素子をメタノールで洗浄してセパレータに残留している未反応の3,4−エチレンジオキシチオフェンとp−トルエンスルホン酸第二鉄を除去した後、120℃で乾燥させた。同様に、ポリエチレンジオキシチオフェンの重合作業をもう1回繰り返した後、素子をアルミニウム製外装缶に収納して封口し、定格電圧25V、定格静電容量33μFの固体電解コンデンサを作製した。
厚み50μm、エッチング孔1〜5μmのアルミニウム箔の表面を酸化処理して、酸化アルミニウム誘電体を形成させ、これを陽極として用いた。酸化処理する前のアルミニウム箔を陰極として用いた。実施例及び比較例で得た固体電解コンデンサ用セパレータを陽極の誘電体上に配置し、陰極と合わせて巻き取り、固体電解コンデンサ素子を作製した。この素子を3,4−エチレンジオキシチオフェン:p−トルエンスルホン酸第二鉄の50質量%ブタノール溶液を質量比で1:20になるように混合した溶液(導電性高分子モノマー液)に浸漬し、引き上げて200℃で30分加熱してポリエチレンジオキシチオフェンを重合した。この素子をメタノールで洗浄してセパレータに残留している未反応の3,4−エチレンジオキシチオフェンとp−トルエンスルホン酸第二鉄を除去した後、120℃で乾燥させた。同様に、ポリエチレンジオキシチオフェンの重合作業をもう1回繰り返した後、素子をアルミニウム製外装缶に収納して封口し、定格電圧25V、定格静電容量33μFの固体電解コンデンサを作製した。
[ESR測定]
上記の方法で作製した固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、20℃、100kHzの条件で測定し、50個の平均値をESRとした。
上記の方法で作製した固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、20℃、100kHzの条件で測定し、50個の平均値をESRとした。
[工程不良率]
固体電解コンデンサを100個作製するにあたり、固体電解コンデンサ用セパレータと電極を一緒に巻回する際に、固体電解コンデンサ用セパレータが切断される、破れるなどして、製造工程において不良が生じた割合を工程不良率(%)とした。
固体電解コンデンサを100個作製するにあたり、固体電解コンデンサ用セパレータと電極を一緒に巻回する際に、固体電解コンデンサ用セパレータが切断される、破れるなどして、製造工程において不良が生じた割合を工程不良率(%)とした。
[耐圧]
上記の方法で作製した固体電解コンデンサに対して0.1V/0.1秒の間隔で印加電圧を上げていき、5mAの電流が流れたときの電圧を耐圧とした。耐圧の数値が大きいほど優れていることを意味する。
上記の方法で作製した固体電解コンデンサに対して0.1V/0.1秒の間隔で印加電圧を上げていき、5mAの電流が流れたときの電圧を耐圧とした。耐圧の数値が大きいほど優れていることを意味する。
[リフロー後漏れ電流測定]
上記の方法で作製した固体電解コンデンサを260℃の半田浴に10秒間浸漬して取り出し、25V印加して60秒後の漏れ電流を測定し、その結果を表1に示した。漏れ電流が小さいものほど、リフロー耐熱性に優れることを意味する。
上記の方法で作製した固体電解コンデンサを260℃の半田浴に10秒間浸漬して取り出し、25V印加して60秒後の漏れ電流を測定し、その結果を表1に示した。漏れ電流が小さいものほど、リフロー耐熱性に優れることを意味する。
表1に示した通り、実施例1〜5の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であるため、低坪量で、しかも低厚みでありながらも、工程不良率が少ない。また、抵抗成分を表すESRが低く、耐圧とリフロー耐熱性に優れている。
フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であるが、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.10mmを超えたところに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満である実施例6の固体電解コンデンサ用セパレータと比較して、実施例1〜5の固体電解コンデンサ用セパレータは、抵抗成分を表すESRが低く、耐圧とリフロー耐熱性に優れていた。
天然セルロース繊維の原料としてLBKPを用いた実施例7の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化する前に繊維長が短くなりやすく、フィブリル状耐熱性繊維や合成繊維との絡み合いや補足性が低く、実施例7の固体電解コンデンサ用セパレータと比較して、原料としてコットン由来のセルロースを用いた実施例1〜6、8の固体電解コンデンサ用セパレータは、工程不良率が少なかった。さらに、フィブリル化の程度が高いため、実施例1〜6、8の固体電解コンデンサ用セパレータでは、抵抗成分を表すESRが低くなり、耐圧とリフロー耐熱性も優れていた。
フィブリル化した天然セルロース繊維の割合が10質量%を超えている実施例8の固体電解コンデンサ用セパレータと比較して、該割合が10質量%である実施例4の固体電解コンデンサ用セパレータは、緻密になり過ぎることがないため、導電性高分子モノマー液の吸収性が阻害されず、重合が均一であったため、ESRが低くなった。また、実施例8と比較して、実施例4では、湿式抄造法で抄紙する際に、脱水性が良く、抄速を上げることもできた。
一方、比較例1の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有するが、繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%未満であり、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満であるため、フィブリル化天然セルロース繊維の原料がLBKPである実施例7を除く、実施例1〜6、8と比較して、フィブリル状耐熱性繊維や合成繊維との絡み合いや補足能力が低く、工程不良率が悪化した。また、耐圧とリフロー耐熱性も悪化した。さらに、ESRが高くなった。
比較例2の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%未満であり、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.10mmを超えたところに最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満であるため、フィブリル化天然セルロース繊維の原料がLBKPである実施例7を除く、実施例1〜6、8と比較して、フィブリル化天然セルロース繊維のフィブリル化の程度が低いため、工程不良率が悪化し、ESRが高くなった。また、耐圧とリフロー耐熱性も悪化した。
比較例3の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維を添加しなかった場合であるが、工程不良率が悪化し、導電性高分子モノマー液の吸収性が低下し、重合が不均一となり、ESRが高くなった。フィブリル状耐熱性繊維と合成繊維との絡み合いや補足性が低下したため、耐圧とリフロー耐熱性が悪化した。
比較例4の固体電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化天然セルロース繊維の原料としてLBKPを用い、フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%未満であり、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%未満であるため、フィブリル化天然セルロース繊維の原料としてLBKPを用いた実施例7と比較して、フィブリル化が進んでいないため、セパレータの引張強度が著しく低下し、工程不良率が悪化し、さらに、フィブリル化天然セルロース繊維の部分的な皮膜化が起きるため、ESRが高くなり、耐圧やリフロー耐熱性も悪化した。
以上の結果から、天然セルロース繊維のフィブリル化された処理状態で、セパレータの工程不良率やESRに影響が出て、フィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロース繊維を含んでなる固体電解コンデンサ用セパレータにおいて、繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることによって、ESR及び工程不良率が低いという効果、そして、優れた耐圧とリフロー耐熱性が得られることがわかる。また、該フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上であること、該フィブリル化天然セルロース繊維がコットン由来のセルロースであること、又は、該フィブリル化天然セルロース繊維の割合が10質量%以下であることがより好ましいことがわかる。
本発明の活用例としては、固体電解コンデンサ用セパレータが挙げられ、耐熱性と低いESRが求められる固体電解コンデンサに好適である。
Claims (4)
- 固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ用セパレータにおいて、該セパレータはフィブリル状耐熱性繊維と合成繊維とフィブリル化天然セルロース繊維とを含み、該フィブリル化天然セルロース繊維における繊維長が0.04mm〜0.20mmの範囲にあるファイン分の割合が85%以上であることを特徴とする固体電解コンデンサ用セパレータ。
- 該フィブリル化天然セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜0.10mmの間に最大頻出ピークを有し、0.13mm未満の繊維長を有する繊維の割合が75%以上である請求項1に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
- 該フィブリル化天然セルロース繊維がコットン由来のセルロースである請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
- 該フィブリル化天然セルロース繊維の割合が10質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用セパレータ。
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