JPWO2011162046A1 - ポリ乳酸系フィルム - Google Patents

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Abstract

樹脂(A)、樹脂(B)、可塑剤(C)を含む組成物からなるポリ乳酸系フィルムであって、樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂、樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂であり、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計をΔHmcAとしたとき、次の条件を満たすポリ乳酸系フィルム。0.5≦ΔHmcA≦9.5

Description

本発明は、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりのもと、プラスチック製品の廃棄による土壌汚染問題、また、焼却による二酸化炭素増大に起因する地球温暖化問題が注目されている。前者への対策として、種々の生分解樹脂、後者への対策として、焼却しても大気中に新たな二酸化炭素の負荷を与えないバイオマス(植物由来原料)からなる樹脂がさかんに研究、開発されている。その両者を満足し、かつ、コスト面でも比較的有利なポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸を、ポリエチレンなどのポリオレフィンに代表される軟質フィルム用途に適用しようとすると柔軟性や耐衝撃性に欠けるため、これらの特性を改善し実用化するために各種の試みがなされている。
例えば、特許文献1には、結晶性ポリ乳酸系樹脂、可塑剤、結晶核剤を必須成分とし、熱特性を規定したフィルムが開示されている。また、特許文献2には、弱晶質性または非晶質性ポリ乳酸、結晶性ポリ乳酸からなるポリ乳酸系樹脂と、可塑剤と、防曇剤とを含有するフィルムに、結晶化処理を施す技術について開示されている。特許文献3には、ポリ乳酸系樹脂、可塑剤を含む組成物からなり、伸度、厚み、熱収縮率を規定したフィルムが開示されている。
特開2002−146170号公報 特開2006−063308号公報 特開2009−138085号公報
前述の特許文献1および特許文献2に記載の技術では、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性が十分ではなく、また、フィルムの耐引き裂き性、耐衝撃性を向上する技術については全く開示されていない。
また特許文献3の技術では、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性は優れるものであったが、耐引き裂き性向上に関する技術については全く開示されていない。
以上のように、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムに関して種々の検討がなされてきたが、未だに達成されていなかった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムを提供せんとするものである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次によって前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(A)、樹脂(B)、可塑剤(C)を含む組成物からなるポリ乳酸系フィルムであって、樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂、樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂であり、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計をΔHmcとしたとき、次の条件を満たすポリ乳酸系フィルムである。
0.5≦ΔHmc≦9.5
本発明のポリ乳酸系フィルムは、可塑剤(C)が、ポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、および/または、ポリエステル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(B)が、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートおよびポリブチレンアジペート・テレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(B)の温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が400〜1,000Pa・sであることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(B)がポリブチレンアジペート・テレフタレートであり、該ポリブチレンアジペート・テレフタレートの温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が600〜700Pa・sであることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、5℃における長さ方向と幅方向(長さ方向と垂直な方向)の伸度(%)の平均値Eと、23℃における長さ方向と幅方向の伸度(%)の平均値Eが、次の条件を満たすことが好ましい。
/E≧0.70
本発明のポリ乳酸系フィルムは、メラミン系化合物、フェニルホスホン酸金属塩、ベンゼンカルボアミド誘導体、タルク、クレー、マイカおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1つを、前記組成物の全量100質量%中、0.1〜20質量%含有することが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(A)が、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、長さ方向、幅方向それぞれの引張弾性率が100〜1,500MPaであることが好ましい。
本発明によれば、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムが提供される。本発明のポリ乳酸系フィルムは、主に柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性を必要とする農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物など食料品用袋、各種工業製品の袋など各種包装用途などに好ましく用いることができる。
本発明は、前記課題、つまり柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムについて鋭意検討した結果、特定な組成を有し、さらに、その組成物を示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際の結晶化ピークの位置、その発熱量を一定の条件内に納めることにより、かかる課題の解決に初めて成功したものである。すなわち本発明は、樹脂(A)、樹脂(B)、可塑剤(C)を含む組成物からなるポリ乳酸系フィルムであって、樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂、樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂であり、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計をΔHmcとしたとき、次の条件を満たすポリ乳酸系フィルムである。
0.5≦ΔHmc≦9.5
以下、本発明のポリ乳酸系フィルムについて説明する。
(樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂))
本発明のポリ乳酸系フィルムは、樹脂(A)を含む組成物からなることが重要である。ここで樹脂(A)とは、ポリ乳酸系樹脂を意味する。またポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸ユニットおよび/またはD−乳酸ユニットを主たる構成成分とする重合体である。ここで主たる構成成分とは、重合体中の単量体ユニット全体100mol%中において乳酸ユニットの割合が最大であることを意味し、好ましくは全単量体ユニット100mol%中、乳酸ユニットが70〜100mol%である。
本発明でいうポリL−乳酸とは、ポリ乳酸重合体中の全乳酸ユニット100mol%中、L−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。一方、本発明でいうポリD−乳酸とは、ポリ乳酸重合体中の全乳酸ユニット100mol%中、D−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づき、逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づき、逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸の結晶性は高くなっていく。
本発明で用いられるポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、本発明で用いられるポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合は、組成物の機械強度を維持する観点から全乳酸ユニット100mol%中、80〜100mol%が好ましく、より好ましくは85〜100mol%である。
本発明でいう結晶性ポリ乳酸系樹脂とは、該ポリ乳酸系樹脂を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量計(DSC)にて測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されるポリ乳酸系樹脂のことをいう。
一方、本発明でいう非晶性ポリ乳酸系樹脂とは、同様に測定を行った場合、明確な融点を示さないポリ乳酸系樹脂のことをいう。
後述するように樹脂(A)としては、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物であることが好ましい。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、乳酸以外の他の単量体ユニットを共重合してもよい。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の単量体ユニットの共重合量は、ポリ乳酸系樹脂の重合体中の単量体ユニット全体100mol%に対し、0〜30mol%であることが好ましく、0〜10mol%であることがより好ましい。なお、上記した単量体ユニットの中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
また、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂の、主成分がポリL−乳酸の場合はポリD−乳酸を、また、主成分がポリD−乳酸の場合はポリL−乳酸を、少量混合することも好ましい。その理由は、これにより形成されるステレオコンプレックス結晶が、後述する結晶核剤の役割をするためであり、後述する結晶核剤を添加する場合と比較してフィルムの透明性を維持できる。このとき、少量混合するポリ乳酸の質量平均分子量は、主成分のポリ乳酸の質量平均分子量よりも小さい方が、ステレオコンプレックス結晶を効率的に形成できる観点で好ましい。少量混合するポリ乳酸の質量平均分子量は、主成分のポリ乳酸の質量平均分子量の0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがより好ましく、2〜30%であることがさらに好ましい。
さらに、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸ユニットからなるセグメントとD−乳酸ユニットからなるセグメントにより構成される、ポリ乳酸ブロック共重合体であることも耐熱性向上の点で好ましい。この場合、ポリ乳酸ブロック共重合体が分子内でステレオコンプレックス結晶を形成するため、通常の結晶よりも融点が高くなる。効率的なステレオコンプレックス結晶形成のためには、ポリ乳酸ブロック共重合体の質量平均分子量Xおよびセグメント1単位の最大質量平均分子量Yについて、Y<X/2を満たすようなセグメント長であることが好ましい。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂の質量平均分子量は、実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、8万〜40万であることがより好ましく、10万〜30万であることがさらに好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート換算法により計算した分子量をいう。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、詳細は後述するが、既知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、ポリ乳酸系フィルムを構成する組成物全体100質量%中、樹脂(A)を30〜95質量%含有することが好ましい。つまり、該組成物全体100質量%中、ポリ乳酸系樹脂を30〜95質量%含有することが好ましい。組成物全体100質量%中、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)を30質量%以上とすることで、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れたものとなり、かつ、バイオマス度(植物由来原料の含有割合)が高くなり、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)を95質量%以下とすることで、柔軟性に優れたものとなる。組成物全体100質量%中、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)は35〜90質量%であることがより好ましく、40〜85質量%であることがさらに好ましい。
(樹脂(B)(ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂))
本発明のポリ乳酸系フィルムは、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性を発現させるために、樹脂(B)を含む組成物からなることが重要である。ここで樹脂(B)とは、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂である。また、フィルムの生分解性発現のため、樹脂(B)も生分解性を有することが好ましい。これらの樹脂は、生分解速度の調整、およびポリ乳酸系フィルムを構成する組成物全体の溶融粘度を調整して特にインフレーション製膜法において安定したバブルを形成する役割も果たす。
ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールと、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルが好ましく用いられる。
ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)などが好ましく用いられる。
なかでも、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性の改良効果が大きいという点から、樹脂(B)としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートおよびポリブチレンアジペート・テレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一つがより好ましく用いられる。そして、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性の改良効果が最も高いのは、脂肪族芳香族ポリエステルであるポリブチレンアジペート・テレフタレートである。
本発明のポリ乳酸系フィルムに含まれる、樹脂(B)(ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂)は、ポリ乳酸系フィルムを構成する組成物全体100質量%中、5〜45質量%であることが好ましい。5質量%以上であると、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性の改良効果が得られやすく、45質量%以下であれば主には特に農林業用途における生分解性が必要な分野において、適度な生分解性を付与することができ、また、バイオマス度が高くなる点で好ましい。組成物全体100質量%中、樹脂(B)(ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂)は、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましい。
(可塑剤(C))
本発明のポリ乳酸系フィルムは、主に柔軟性を付与するために可塑剤(C)を含む組成物からなることが重要である。
本発明に用いる可塑剤(C)としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル系、アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなどのリン酸エステル系、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステル系、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸アミルなどの脂肪酸エステル系、グリセリントリアセテート、トリエチレングリコールジカプリレートなどの多価アルコールエステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤、ポリプロピレングリコールセバシン酸エステルなどのポリエステル系可塑剤、ポリアルキレンエーテル系、エーテルエステル系、アクリレート系などが挙げられる。そして、これらのうち複数種以上の混合物を、可塑剤(C)として用いることも可能である。
特に、ブリードアウトを抑制し透明性を維持し、可塑化効率を高めるため、ポリ乳酸系フィルムを構成する組成物に含有されるすべての可塑剤(C)の溶解性パラメータ:SPが、(16〜23)1/2MJ/mであることが好ましく、(17〜21)1/2MJ/mであることがより好ましい。なお、溶解性パラメータの計算方法は、P.Small、J.Appl.Chem.,3,71(1953)に示された手法で計算できる。また、かかる可塑剤の中でも、フィルム全体の生分解性を維持する観点から生分解性可塑剤であることが好ましい。
また、食品包装用途への適性や、農林業用途においては、一時的にせよコンポスト・農地への未分解物の残留の可能性を考慮すると、米食品衛生局(FDA)やポリオレフィン等衛生協議会などから認可された可塑剤(C)であることが好ましい。かかる可塑剤(C)としては、たとえばトリアセチン、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、アジピン酸系脂肪族ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アジピン酸ジアルキルエステル、ビス(アルキルジグリコール)アジペートまたはポリエチレングリコール等が挙げられる。
さらに、可塑剤(C)の耐ブリードアウト性やフィルムの耐ブロッキング性の観点から、本発明に使用する可塑剤(C)は、例えば数平均分子量1,000以上のポリエチレングリコールなど、常温(20℃±15℃)で固体状、つまり、融点が35℃を超えることが好ましい。また、ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂との溶融加工温度を合わせる点で、150℃が上限値である。
同様の観点から、本発明に使用する可塑剤(C)は、ポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、および/または、ポリエステル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体であることがさらに好ましい。ここで、可塑化成分は、ポリエーテル系セグメント、ポリエステル系セグメントとなる。これらブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体可塑剤」)について次に説明する。
ブロック共重合体可塑剤の有するポリ乳酸セグメントの質量割合は、ブロック共重合体可塑剤全体の50質量%以下であることが、より少量の添加で所望の柔軟性を付与できるため好ましく、5質量%以上であることが、ブリードアウト抑制の点から好ましい。また、ブロック共重合体可塑剤1分子中のポリ乳酸セグメントの数平均分子量は1,200〜10,000であることが好ましい。ブロック共重合体可塑剤の有するポリ乳酸セグメントが、1,200以上であると、ブロック共重合体可塑剤と樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)との間に十分な親和性が生じ、また、該セグメントの一部は樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)から形成される結晶中に取り込まれ、いわゆる共晶を形成することで、可塑剤(C)を樹脂(A)につなぎ止める作用を生じ、ブロック共重合体可塑剤のブリードアウト抑制に大きな効果を発揮する。ブロック共重合体可塑剤のポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、1,500〜6,000であることがより好ましく、2,000〜5,000であることがさらに好ましい。なお、ブロック共重合体可塑剤の有するポリ乳酸セグメントは、L−乳酸が95〜100質量%であるか、あるいはD−乳酸が95〜100質量%であることが、特にブリードアウトが抑制されるため好ましい。
また、ブロック共重合体可塑剤はポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有するが、ポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体である方が、少量の添加で所望の柔軟性を付与できる観点から好ましい。さらにポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体においては、より少量の添加で所望の柔軟性を付与できる観点から、ポリエーテル系セグメントとしてポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することがより好ましい。具体的には、ポリエーテル系セグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などからなるセグメントが挙げられるが、特にポリエチレングリコールからなるセグメントは、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)との親和性が高いために改質効率に優れ、特に少量の可塑剤(C)の添加で所望の柔軟性を付与できるため好ましい。
なお、ブロック共重合体可塑剤がポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有する場合、成形時などで加熱する際にポリアルキレンエーテルセグメントが酸化や熱分解され易い傾向があるため、後述するヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤やリン系などの熱安定剤を併用することが好ましい。
ブロック共重合体可塑剤がポリエステル系セグメントを有する場合は、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエステルなどが、ポリエステル系セグメントとして好適に用いられる。
なお、ブロック共重合体可塑剤は、その1分子中に、ポリエーテル系セグメントとポリエステル系セグメントの両方の成分を含有してもよいし、いずれか一方の成分でもよい。可塑剤の生産性やコスト等の理由から、いずれか一方の成分とする場合は、より少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を付与できる観点から、ポリエーテル系セグメントを用いる方が好ましい。つまりブロック共重合体可塑剤として好ましい態様は、ポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとのブロック共重合体である。
さらにまた、ブロック共重合体可塑剤の1分子中のポリエーテル系セグメントやポリエステル系セグメントの数平均分子量は、7,000〜20,000であることが好ましい。上記範囲とすることで、ポリ乳酸系樹脂フィルムを構成する組成物に十分な柔軟性を持たせ、なおかつ、可塑剤(C)、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)、並びに樹脂(B)を含む組成物とした際に溶融粘度を適度なレベルとし、インフレーション製膜法などの製膜加工性を安定させることができる。
前記ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントと、ポリ乳酸セグメントの各セグメントブロックの順序構成に特に制限は無いが、より効果的にブリードアウトを抑制する観点から、少なくとも1ブロックのポリ乳酸セグメントがブロック共重合体可塑剤分子の端にあることが好ましい。
次に、ポリエーテル系セグメントとして、両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(以下、PEG)を採用した場合について具体的に説明する。
両末端に水酸基末端を有するPEGの数平均分子量(以下、PEGの数平均分子量をMPEG)は、通常、市販品などの場合、中和法などにより求めた水酸基価から計算される。両末端に水酸基末端を有するPEGのw質量部に対し、ラクチドw質量部を添加した系において、PEGの両水酸基末端にラクチドを開環付加重合させ十分に反応させると、実質的にPLA−PEG−PLA型のブロック共重合体を得ることができる(ここで、「PLA」はポリ乳酸を示す)。この反応は、必要に応じてオクチル酸錫などの触媒併存下でおこなわれる。このブロック共重合体可塑剤の一つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、実質的に(1/2)×(w/w)×MPEGにより求めることができる。また、ポリ乳酸セグメント成分のブロック共重合体可塑剤全体に対する質量割合は、実質的に100×w/(w+w)%により求めることができる。さらに、ポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑剤成分のブロック共重合体可塑剤全体に対する質量割合は、実質的に100×w/(w+w)%により求めることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムを構成する組成物に含有される可塑剤(C)は、組成物全体100質量%中、5〜30質量%であることが好ましい。5質量%以上とすることで、フィルムの柔軟性が高くなり、30質量%以下とすることで、フィルムとした際のコシが強く取り扱い性、強度、耐久性、可塑剤の耐ブリードアウト性が高くなる。可塑剤(C)の含有率は、好ましくは組成物全体100質量%中、7〜25質量%、より好ましくは、10〜20質量%である。
(その他の樹脂)
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物には、様々な物性改良を目的に、上記以外の熱可塑性樹脂を含有することができる。含有量は、該組成物全体100質量%中、0.1〜50質量%が好ましく、0.3〜40質量%がより好ましく、0.5〜30質量%がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体、熱可塑性デンプン、デンプンを含むポリマーなどが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有することによる物性改良の例としては、ポリ(メタ)アクリレートを含有することによるポリ乳酸系フィルムの高温剛性向上、ポリエステルを含有することによるポリ乳酸系フィルムの耐衝撃性、靭性向上、熱可塑性デンプン、またはデンプンを含むポリマーを含有することによるポリ乳酸系フィルムの生分解性促進などが挙げられる。デンプンを含むポリマーとしては、例えば、ノバモント社の生分解性樹脂「マタービー」などが使用できる。生分解促進に関しては、本発明のポリ乳酸系フィルムが用いられる用途の中で、特に、農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途では、生分解性の促進が求められるので重要である。
(結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合)
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物に含有される樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)は、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物であることが好ましい。混合物とすることにより、結晶性、非晶性、それぞれのポリ乳酸系樹脂の利点を両立できるからである。
なお前述のように、結晶性ポリ乳酸系樹脂とは、該ポリ乳酸系樹脂を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量計(DSC)にて測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する融点が観測されるポリ乳酸系樹脂のことをいう。
一方で非晶性ポリ乳酸系樹脂とは、同様の測定を行った際に、明確な融点を示さないポリ乳酸系樹脂のことをいう。
つまり、結晶性ポリ乳酸系樹脂の含有は、フィルムの耐引き裂き性、耐衝撃性、耐熱性、耐ブロッキング性向上に好適である。また、前述の可塑剤(C)としてブロック共重合体可塑剤を用いる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂はブロック共重合体可塑剤が有するポリ乳酸セグメントと共晶を形成することで、耐ブリードアウト性に大きな効果を発揮する。
一方、非晶性ポリ乳酸系樹脂の含有は、フィルムの柔軟性、耐ブリードアウト性の向上に好適である。これは、可塑剤が分散できる非晶部分を提供していることが影響している。
本発明のポリ乳酸系フィルムに用いられる結晶性ポリ乳酸系樹脂は、耐引き裂き性、耐衝撃性向上の観点から、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が全乳酸ユニット100mol%中、96〜100mol%が好ましく、より好ましくは98〜100mol%であり、さらに好ましくは99〜100mol%であり、特に好ましくは99.5〜100mol%である。
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物中の樹脂(A)の量を100質量%としたとき(結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%としたとき)、結晶性ポリ乳酸系樹脂の割合は5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40%であることがさらに好ましい。
(樹脂(A)と樹脂(B)の溶融粘度の関係)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、フィルムの耐引き裂き性、耐衝撃性、伸度、透明性を向上させ、熱収縮率を抑制するためには、温度200℃、剪断速度100sec-1における樹脂(A)の溶融粘度ηと、温度200℃、剪断速度100sec-1における樹脂(B)の溶融粘度ηとの粘度比(η/η)が0.2〜2であることが好ましい。粘度比(η/η)は0.4〜1.5がより好ましく、0.6〜1.1がさらに好ましく、0.6〜1.0が特に好ましい。
ここで、可塑剤(C)が樹脂(A)あるいは樹脂(B)のいずれか一方にのみ分散する場合は、可塑剤が分散した樹脂の溶融粘度(ηあるいはη)を、可塑剤(C)を含有して溶融粘度を測定する必要がある。例えば、可塑剤(C)が前述したポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリエステル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体である場合、樹脂(A)にのみ分散するので、ηは樹脂(A)+可塑剤(C)として測定する。
また、ポリ乳酸フィルムの柔軟性、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性を向上して、同時に前記した好ましい粘度比(η/η)を満たすためには、樹脂(B)の溶融粘度ηは400〜1,000Pa・sが好ましく、600〜1,000Pa・sがより好ましい。さらにこの場合、樹脂Bとして、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートおよびポリブチレンアジペート・テレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1つを選択することが好ましい。これらの中でも、樹脂(B)としてポリブチレンアジペート・テレフタレートを選択し、さらに該ポリブチレンアジペート・テレフタレートの温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度を600〜700Pa・sとすることが好ましく、さらに好ましくは溶融粘度を630〜670Pa・sとすることであり、最も好ましくは溶融粘度を645〜655Pa・sとすることである。
(結晶化ピーク、発熱量)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計をΔHmcとしたとき、次の条件を満たすことが重要である。
0.5≦ΔHmc≦9.5
発明者らは、これらの結晶化ピーク温度と発熱量の条件を有することで、ポリ乳酸系フィルムに柔軟性と、耐引き裂き性、耐衝撃性を付与せしめることが可能であることを見出した。これは、上記条件を満たす場合、ポリ乳酸系フィルムを溶融押し出し製膜する際、特にインフレーション法で製膜する際に、口金から空気中に押し出された樹脂が、耐引き裂き性、耐衝撃性の発現に有効な結晶化を進めるためである。本発明のポリ乳酸系フィルムの製造方法は後述する。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有することが重要であるが、105〜160℃の温度領域に存在する結晶化ピークの個数は、1個もしくは2個が好ましい。
ΔHmcが0.5未満である場合、耐引き裂き性、耐衝撃性が不足する。また、ΔHmcが9.5を超える場合、柔軟性が不足する。
ΔHmcは、0.6≦ΔHmc≦8.0であることが好ましく、0.7≦ΔHmc≦6.5であることがより好ましく、0.8≦ΔHmc≦5.0であることがさらに好ましく、0.9≦ΔHmc≦3.5であることが特に好ましい。
なおΔHmcは、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計である。そのため105〜160℃の温度領域の結晶化ピークが一つのみであれば、その一つの結晶化ピークの有する発熱量が、ΔHmcに該当する。一方で、105〜160℃の温度領域に結晶化ピークが複数存在すれば、その複数個の結晶化ピークの有する発熱量の合計の値が、ΔHmcに該当することとなる。
結晶化ピーク、発熱量が上記の条件(105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、さらに0.5≦ΔHmc≦9.5)を満たすための方法は特に限定されないが、下記の方法が使用できる。つまり、(1)樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)、樹脂(B)(ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂)、可塑剤(C)をそれぞれ、前記した好ましい配合割合とし、(2)樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)は、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合を前記した好ましい範囲とした結晶性ポリ乳酸系樹脂と、非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物として、その割合は前記した好ましい割合とし、(3)さらに、ある特定の結晶核剤を後述する好ましい添加量で含有する、方法が採用できる。
なお前記結晶核剤としては、例えば下記のものが使用できる。
有機系結晶核剤では、メラミン系化合物、フェニルホスホン酸金属塩、ベンゼンカルボアミド誘導体、脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジド、ソルビトール系化合物、アミノ酸、ポリペプチド、金属フタロシアニン等を好ましく使用することができる。
メラミン系化合物の具体例としては、メラミンシアヌレート、ポリビン酸メラミンなどが挙げられ、フェニルホスホンフェニルホスホン酸金属塩の具体例としては、フェニルホスホン酸亜鉛塩、フェニルホスホン酸マグネシウム塩、フェニルホスホン酸カルシウム塩などが挙げられ、ベンゼンカルボアミド誘導体の具体例としては、N,N',N''−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミドなどが挙げられる。
無機系結晶核剤では、タルク、クレー、マイカ、カオリナイト等の珪酸塩鉱物、カーボンブラック等を好ましく使用することができる。
これらの結晶核剤としては、メラミン系化合物、フェニルホスホン酸金属塩、ベンゼンカルボアミド誘導体、タルク、クレー、マイカおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが、耐引き裂き性、耐衝撃性の向上割合、透明性の点で好ましい。さらには、耐引き裂き性、耐衝撃性の向上割合、透明性の点で、結晶核剤としてはタルクが特に好ましく、耐引き裂き性、耐衝撃性の向上割合の点で、カーボンブラックが特に好ましい。
上記の観点で、カーボンブラックを除く無機系結晶核剤の平均粒径は、0.5〜7.5μmであることが好ましく、0.8〜5.0μmであることがより好ましく、1.0〜4.0μmであることがさらに好ましい。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折法により測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。
無機系結晶核剤の平均粒径において、カーボンブラックの平均粒径のみ例外で、10〜75nmであることが好ましく、15〜50nmであることがより好ましく、20〜40nmであることがさらに好ましい。なお、ここでいうカーボンブラックの平均粒径とは、カーボンブラック一次凝集体(アグリゲート)を構成する小さな球状(微結晶による輪郭を有し、分離できない)成分の任意の10個の粒径(一次粒子径)を、倍率10万倍で電子顕微鏡により測定、算出して、それらの10個の値の平均を、平均粒径という。
結晶核剤の添加量は特に限定されないが、核剤能を有効に発現するため、また、添加過多による溶融粘度の低下や、加工性の悪化、透明性の悪化を抑制するため、ポリ乳酸系フィルムを構成する組成物の全量100質量%中、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜10質量%がより好ましく、0.5〜7.0質量%がさらに好ましく、1.0〜5.0質量%が特に好ましく、1.5〜4.5質量%が最も好ましい。
(伸度)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、長さ方向および幅方向(長さ方向と垂直な方向)の伸度が、いずれも200%以上700%以下であることが好ましい。伸度が200%以上であると耐引き裂き性、耐衝撃性が高くなり、農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途やゴミ袋、堆肥袋、あるいは各種包装用用途とした際に破れにくく実用性が向上する。また、伸度が700%以下であると製膜時にロール間走行時や巻き取り時のタルミやシワが生じにくく、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。長さ方向および幅方向の伸度は、250%以上600%以下がより好ましく、300%以上500%以下がさらに好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系フィルムは、5℃における長さ方向と幅方向(長さ方向と垂直な方向)の伸度(%)の平均値Eと、23℃における長さ方向と幅方向の伸度(%)の平均値Eが、次の条件を満たすことが好ましい。
/E≧0.70
農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物など食料品用袋、各種工業製品の袋など各種包装用途などに用いる際に、比較的低温条件下で作業を行う場合がある。一般的にプラスチックフィルムは温度が低くなると伸度が低下する傾向があり、その結果、低温条件下での作業時に、フィルムが破れやすくなったり、引き裂かれやすくなったりして、作業性が著しく低下する。そこで、フィルムの伸度が上記条件を満たすことで、該作業性の低下を最小限に抑えることができる。EとEの関係は、E/E≧0.75であることがより好ましく、E/E≧0.80であることがさらに好ましい。なお、E/Eの上限値は、1.00である。
長さ方向および幅方向の伸度をいずれも200〜700%とするための方法としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、可塑剤の配合量を、それぞれ前述した好ましい範囲とする方法が挙げられる。
とEが、E/E≧0.70を満たすための方法としては、特に限定されないが、例えば、上記伸度の達成方法に加えて、(結晶化ピーク、発熱量)の項で述べた、結晶核剤を前述した好ましい量で添加する方法が挙げられる。
(弾性率)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、十分な柔軟性を付与するために、長さ方向、幅方向それぞれの引張弾性率が100〜1,500MPaであることが好ましい。引張弾性率は、200〜1,200MPaであることがより好ましく、300〜1,000MPaであることがさらに好ましい。
長さ方向、幅方向それぞれの引張弾性率を100〜1,500MPaとするための方法としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、可塑剤の配合量を、それぞれ前述した好ましい範囲とする方法が挙げられる。
(厚み)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、フィルム厚みが5〜200μmであることが好ましい。フィルム厚みを5μm以上とすることで、フィルムとした際のコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。フィルム厚みを200μm以下とすることで柔軟性が向上し、農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途やゴミ袋、堆肥袋、あるいは各種包装用用途とした際に取り扱い性に優れるものとなり、また、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが不安定化しない。フィルム厚みは、7〜150μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、12〜50μmがさらにより好ましい。
(熱収縮率)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、65℃、30分間で処理した時の、長さ方向と幅方向の熱収縮率は、−5〜5%であることが好ましい。5%以下とすることで、巻き取った後のフィルムの経時収縮、いわゆる巻締りによる巻姿の悪化を抑制できる。さらには巻き硬度が高くなりすぎることによるブロッキングの発生を抑制できる。また、−5%以上とすることで、巻き取った後のフィルムが経時で長さ方向に弛むことによる、巻姿の悪化を抑制できる。なおここで、熱収縮率が0未満のマイナスの値をとる場合は、フィルムが伸長することを意味する。
(有機滑剤)
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物は、組成物全体100質量%中、有機滑剤を0.1〜5質量%含むことが好ましい。この場合、巻き取り後のブロッキングを良好に抑制できる。また、有機滑剤の添加過多による溶融粘度の低下や加工性の悪化、あるいはフィルムとした際のブリードアウトやヘイズアップなどの外観不良の問題も発生しにくい。
有機滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレンなどの脂肪族炭化水素系、ステアリン酸、ラウリル酸、ヒドロキシステアリン酸、硬性ひまし油などの脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックスなどの長鎖エステルワックスなどの長鎖脂肪酸エステル系などが挙げられる。中でも、ポリ乳酸との適度な相溶性から少量で効果の得られやすい脂肪酸アミド系の有機滑剤が好ましい。さたにその中でも、より良好な耐ブロッキング性を発現する観点で、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどの比較的高融点である有機滑剤が好ましい。
(ヘイズ)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、ヘイズが50%以下であることが好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。ヘイズが50%以下である場合、野菜や果物など食料品用袋、各種工業製品の袋など各種包装用途などに成形加工した際には内容物が容易に確認できる、商品としての見栄えがよいなど高い意匠性により好適である場合が多い。なお、ポリ乳酸の一般的な特性から、ポリ乳酸系フィルムのヘイズとしては1%未満にすることは困難であることから、下限は1%程度である。
(添加剤)
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の添加剤を含有してもよい。例えば、公知の酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料などが含有できる。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などが例示される。
着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。
(粒子)
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物には、加工品の易滑性や耐ブロッキング性の向上などを目的として、粒子を添加してもよい。
例えば無機粒子としては、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ホウ化アルミニウム、ゼピオライト等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の各種酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
これらの無機粒子には、樹脂との相溶性を高める目的や、樹脂中での凝集を防止する目的で、脂肪酸、樹脂酸、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、リン酸エステル等で表面処理を施してもよい。
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などからなる微粒子が使用される。架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
無機粒子、有機粒子ともその平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜4μm、最も好ましくは0.5〜3μmである。
(カルボキシル基末端)
本発明のポリ乳酸系フィルムは、特に各種工業製品の包装用途など生分解性を必要としない場合や保管耐久性があった方が好ましい用途においては、ポリ乳酸系樹脂の加水分解による強度低下を抑制し、良好な耐久性を付与する観点から、該フィルムのカルボキシル基末端濃度が30当量/103kg以下であることが好ましく、より好ましくは20当量/103kg以下、さらに好ましくは10当量/103kg以下である。該フィルムのカルボキシル基末端濃度が30当量/103kg以下であると、加水分解の自己触媒ともなるカルボキシ基末端濃度が十分低いために、用途にもよるが実用的に良好な耐久性を付与できる場合が多い。
該フィルムのカルボキシル基末端濃度を30当量/103kg以下とする方法としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂の合成時の触媒や熱履歴により制御する方法、フィルム製膜時の押出温度を低下あるいは滞留時間を短時間化する等熱履歴を低減する方法、反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法等が挙げられる。
反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法では、フィルム中のカルボキシル基末端の少なくとも一部が封鎖されていることが好ましく、全量が封鎖されていることがより好ましい。反応型化合物としては、例えば、脂肪族アルコールやアミド化合物等の縮合反応型化合物やカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等の付加反応型化合物が挙げられるが、反応時に余分な副生成物が発生しにくい点で付加反応型化合物が好ましく、中でも反応効率の点からカルボジイミド化合物が好ましい。
(製造方法)
次に、本発明のポリ乳酸系フィルムを製造する方法について具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明における樹脂(A)であるポリ乳酸系樹脂は、例えば、次のような方法で得ることができる。原料としては、L−乳酸またはD−乳酸の乳酸成分を主体とし、前述した乳酸成分以外のヒドロキシカルボン酸を併用することができる。またヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、ラクチド、グリコリド等を原料として使用することもできる。更にジカルボン酸類やグリコール類等も使用することができる。
ポリ乳酸系樹脂は、上記原料を直接脱水縮合する方法、または上記環状エステル中間体を開環重合する方法によって得ることができる。例えば直接脱水縮合して製造する場合、乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより高分子量のポリマーが得られる。
また、ラクチド等の環状エステル中間体をオクチル酸錫等の触媒を用い減圧下開環重合することによっても高分子量のポリマーが得られることも知られている。このとき、有機溶媒中での加熱還流時の水分および低分子化合物の除去の条件を調整する方法や、重合反応終了後に触媒を失活させ解重合反応を抑える方法、製造したポリマーを熱処理する方法などを用いることにより、ラクチド量の少ないポリマーを得ることができる。
本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物、つまり、樹脂(A)(ポリ乳酸系樹脂)、樹脂(B)(ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂)、可塑剤(C)、あるいは結晶核剤などのその他の成分を含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶媒に溶かした溶液を均一混合した後、溶媒を除去して組成物を製造することも可能であるが、溶媒へ原料の溶解、溶媒除去等の工程が不要で、実用的な製造方法である、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法を採用することが好ましい。その溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の通常使用されている公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
溶融混練時の温度は150℃〜240℃の範囲が好ましく、ポリ乳酸系樹脂の劣化を防ぐ意味から、190℃〜210℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、例えば上記した方法により得られた組成物を用いて、公知のインフレーション法、Tダイキャスト法などの既存のフィルムの製造法により得ることが出来る。
本発明のポリ乳酸系フィルムを製造するにあたっては、例えば前述した方法により得られた組成物を一旦ペレット化し、再度溶融混練して押出・製膜する際には、ペレットを60〜100℃にて6時間以上乾燥するなどして、水分量を1,200ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下としたポリ乳酸系樹脂等を含有する組成物を用いることが好ましい。さらに、真空度10Torr以下の高真空下で真空乾燥をすることで、ポリ乳酸系樹脂等を含有する組成物中のラクチド含有量を低減させることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂等を含有する組成物の水分量を1,200ppm以下、ラクチド含有量を低減することで、溶融混練中の加水分解を防ぎ、それにより分子量低下を防ぐことができ、ポリ乳酸系樹脂等を含有する組成物とした際の溶融粘度を適度なレベルとし、製膜工程を安定させることができるためにも好ましい。また、同様の観点から、一旦ペレット化、あるいは溶融押出・製膜する際には、ベント孔付きの2軸押出機を使用し、水分や低分子量物などの揮発物を除去しながら溶融押出することが好ましい。
本発明のポリ乳酸系フィルムをインフレーション法により製造する場合は、例えば、前述のような方法により調整した組成物をベント孔付き2軸押出機にて溶融押出して環状ダイスに導き、環状ダイスから押出して内部には乾燥エアーを供給して風船状(バブル)に形成し、さらにエアーリングにより均一に空冷固化させ、ニップロールでフラットに折りたたみながら所定の引き取り速度で引き取った後、必要に応じて両端、または片方の端を切り開いて巻き取れば良い。その後、フィルムの熱収縮を抑制するために加熱ロールやオーブン内で熱処理を施しても良い。
この場合、環状ダイスからの吐出量とニップロールの引き取り速度、バブルのブロー比により、厚さが5〜200μmとなるように調整すれば良いが、厚み精度、均一性の点から、環状ダイスはスパイラル型を用いることが好ましく、同様の観点から環状ダイスは回転式のものを用いることが好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系フィルムを構成する組成物の押出温度は通常150〜240℃の範囲であるが、良好な耐引き裂き性、耐衝撃性を発現させるために有効な結晶化を進めるためには環状ダイスの温度が重要であり、環状ダイスの温度は150〜190℃、好ましくは155〜185℃の範囲である。
バブルのブロー比は、吐出量とニップロールの引き取り速度との関係にもよるが、低過ぎても高過ぎてもフィルムに異方性を生じる場合があり、また、特に高過ぎる場合にはバブルが不安定となり易く、通常2.0〜4.0の範囲である。
さらに、フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、耐ブリード性、耐ブロッキング性に優れるので、巻き取った後のフィルムロールから、フィルムを巻き出す際に、問題なく滑らかに巻き出すことができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すとおりの条件で行った。
(1)結晶化ピーク温度(℃)、発熱量ΔHmc(J/g)
セイコーインスツル(株)製示差走査熱量計RDC220を用い、フィルム試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温、250℃のまま5分間溶融保持したのち、降温速度20℃/分で25℃まで降温した。その降温時に観測される結晶化ピークをもとに、結晶化ピーク温度、発熱量を、JIS
K 7121(1987)に規定された方法に従って求めた。なおΔHmcは、105℃から160℃の領域に存在する結晶化ピークの発熱量を合計することで求めた。
(2)5℃における長さ方向と幅方向の伸度(%)の平均値Eと、23℃における長さ方向と幅方向の伸度(%)の平均値E
恒温槽を備えた(株)オリエンテック製TENSILON UCT-100を用いて、5℃、23℃それぞれにおける応力−歪み測定を行った。
具体的には、測定方向に長さ150mm、幅10mmの短冊状にサンプルを切り出し、5℃に調整された恒温槽の中で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS
K 7127(1999)に規定された方法に従って測定を行い、10回の測定の平均伸度(%)を、長さ方向と幅方向について求め、それぞれ、ELMD、ELTDとし、下記式にてEを算出した。
=(ELMD+ELTD)/2
同様にして、23℃に調整された恒温槽の中で測定を行い、10回の測定の平均伸度(%)を、長さ方向と幅方向について求め、それぞれ、EHMD、EHTDとし、下記式にてEを算出した。
=(EHMD+EHTD)/2
(3)引張弾性率(MPa)
(2)に記載した方法で、23℃における応力−歪み測定を行い、応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、引張弾性率を計算した。測定は計10回行い、その平均値を採用した。これを長さ方向、幅方向、それぞれについて算出した。
(4)引き裂き強度(N/mm)
(株)東洋精機製作所製引き裂き伝播抵抗計(エレメンドルフ)を用いて、JIS K 7128-2に規定された方法に従って測定した。サンプルサイズは引き裂き方向63mm×引き裂きと垂直方向76mmで、引き裂き方向に20mmの切れ込みを入れ、残り43mmを引き裂いた時の指示値を読みとった。
(5)インパクト強度(kN・m/mm)
フィルムインパクトテスター((株)東洋精機製作所製)により、直径1/2inchの半球状衝撃頭を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下においてインパクト強度の測定を行った。測定は1水準につき10回行い、10回の測定の平均値から求めた。さらに、フィルムサンプルの平均厚さ(mm)で割り返し、単位厚み当たりの値として求めた。
(6)ヘイズ(%)
ヘイズメーターHGM-2DP型(スガ試験機(株)製)を用いてJIS K 7136(2000)に規定された方法に従ってヘイズ値を測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の測定の平均値から求めた。
(7)巻き出し性
ロールサンプルを温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下において3日間保管の後、ロールサンプルの紙管に紙管の内径より小さい直径の鉄製軸を通し、鉄製軸の両端をフックにかけてロールを水平に、且つ自由に回転できる状態で掛けおいた状態とし、フィルムを10m/minの速度で巻き出した際の巻出しの様子を目視にて観察し、次の基準にて判断した。
A:問題なく滑らかに巻き出すことができる。
C:時々不連続な巻出しとなる。
F:断続的に不連続な巻出しとなる。
(8)溶融粘度
(株)島津製作所製フローテスターCFT-500A(ダイ径1mm、ダイ長10mm、プランジャ断面積1cm)を用いて、温度200℃、予熱3分で測定、剪断速度100sec-1の溶融粘度の値(Pa・s)を用いた。
[樹脂(A)]
(A1)
ポリL−乳酸、質量平均分子量200,000、D体含有量1.4%、融点166℃、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,400Pa・s
(A2)
ポリL−乳酸、質量平均分子量200,000、D体含有量5.0%、融点150℃、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,400Pa・s
(A3)
ポリL−乳酸、質量平均分子量200,000、D体含有量12.0%、融点無し、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,400Pa・s
(A4)
ポリD−乳酸、質量平均分子量20,000、L体含有量1.5%
(A5)
ポリL−乳酸、質量平均分子量200,000、D体含有量0.5%、融点180℃、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,400Pa・s
なお、上記の質量平均分子量は日本ウォーターズ(株)製、Waters2690を用い、ポリメチルメタクリレートを標準とし、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒を用いて測定した。
[樹脂(B)]
(B1)
ポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(BASF社製、商品名“エコフレックス”FBX7011)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,200Pa・s
(B2)
ポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学(株)製、商品名“GSPla”(登録商標)AZ91T)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,050Pa・s
(B3)
ポリブチレンサクシネート・アジペート系樹脂(昭和高分子(株)製、商品名“ビオノーレ”(登録商標)#3001)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度1,250Pa・s
(B4)
ポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(BASF社製、商品名“エコフレックス”FBX7020)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度650Pa・s
(B5)
ポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学(株)製、商品名“GSPla” (登録商標)AZ81T)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度900Pa・s
(B6)
ポリブチレンサクシネート・アジペート系樹脂(昭和高分子(株)製、商品名“ビオノーレ”(登録商標)#3010)、温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度750Pa・s
[可塑剤(C)]
(C1)
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量部とL−ラクチド38質量部とオクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有する可塑剤C1を得た。
(C2)
アセチルトリブチルクエン酸(ATBC)、森村商事(株)製、商品名“シトロフレックス(登録商標)A−4”)
[有機滑剤]
(滑剤1)
エチレンビスステアリン酸アミド(日本化成(株)製、商品名“スリパックスE”(登録商標))
(滑剤2)
ステアリン酸アミド(日油(株)製、商品名“アルフロー(登録商標)S-10”)
[結晶核剤]
(核剤1)
タルク(日本タルク(株)製、商品名“SG-95”、平均粒子径2.5μm)
(核剤2)
カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名“RCF#45”、平均粒子経24nm)
(核剤3)
フェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業(株)製、商品名“PPA-Zn”)
[その他]
(炭酸カルシウム)
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名“カルテックスR”、平均粒子径2.8μm)
[ポリ乳酸系フィルムの作製]
(実施例1)
ポリ乳酸(A1)55質量部、可塑剤(C1)16質量部、有機滑剤(滑剤1)1質量部、結晶核剤(核剤1)3質量部の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度60℃で12時間真空乾燥した。
この組成物のペレットを75質量%、脂肪族芳香族ポリエステル(B1)を25質量%の混合物として、最終的に表1に示す組成物とし、押出機シリンダー温度190℃のスクリュー径65mmの一軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.3mm、温度155℃のスパイラル型環状ダイスより、ブロー比3.4にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら22m/minにて引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、それぞれワインダーにて、5.5kgf張力で、フィルムを巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが18μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
実施例2〜30、比較例1〜4は、フィルムの組成を表1、表2、表3のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1、表2、表3に示した。
Figure 2011162046
Figure 2011162046
Figure 2011162046
本発明のポリ乳酸系フィルムは、柔軟性、耐引き裂き性、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現するポリ乳酸系フィルムであり、農業用マルチフィルムや松くい虫燻蒸用シートなどの農林業用途、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物など食料品用袋、各種工業製品の袋など各種包装用途などに好ましく用いることができる。

Claims (9)

  1. 樹脂(A)、樹脂(B)、可塑剤(C)を含む組成物からなるポリ乳酸系フィルムであって、樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂、樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル系樹脂および/または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂であり、示差走査型熱量計にて融解状態から20℃/minの速度で冷却した際に105〜160℃の温度領域に少なくともひとつの結晶化ピークを有し、105〜160℃の温度領域の結晶化ピークの発熱量の合計をΔHmcとしたとき、次の条件を満たすポリ乳酸系フィルム。
    0.5≦ΔHmc≦9.5
  2. 可塑剤(C)が、ポリエーテル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、および/または、ポリエステル系セグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体である請求項1に記載のポリ乳酸系フィルム。
  3. 樹脂(B)が、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートおよびポリブチレンアジペート・テレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1または2に記載のポリ乳酸系フィルム。
  4. 樹脂(B)の温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が400〜1,000Pa・sである請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
  5. 樹脂(B)がポリブチレンアジペート・テレフタレートであり、該ポリブチレンアジペート・テレフタレートの温度200℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が600〜700Pa・sである請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
  6. 5℃における長さ方向と幅方向(長さ方向と垂直な方向)の伸度(%)の平均値Eと、23℃における長さ方向と幅方向の伸度(%)の平均値Eが、次の条件を満たす請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
    /E≧0.70
  7. メラミン系化合物、フェニルホスホン酸金属塩、ベンゼンカルボアミド誘導体、タルク、クレー、マイカおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1つを、前記組成物の全量100質量%中、0.1〜20質量%含有する請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
  8. 樹脂(A)が、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物である請求項1〜7のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
  9. 長さ方向、幅方向それぞれの引張弾性率が100〜1,500MPaである請求項1〜8のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
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