JP2014074126A - フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れた、フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリ乳酸、並びに、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとのブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)を含み、
前記ポリ乳酸、及び、前記ブロック共重合体が、100℃以上に融点ピークを有さないことを特徴とするフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れた、フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりのもと、プラスチック製品の廃棄による土壌汚染問題、また、石油由来プラスチックの製造による石油枯渇問題が注目されている。前者への対策として、種々の生分解性樹脂、後者への対策として、植物由来の樹脂がさかんに研究、開発されている。
フィルムの分野でも、従来使用されてきたポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルムを、例えば、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステルなどで代替する動きがある。しかし、これらの樹脂を単独で用いた場合、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性などの実用性に欠けるため、それらの特性を改良するべく、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1と特許文献2には、ポリ乳酸並びにポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントからなるブロック共重合体により構成される、柔軟性と耐引裂性が改良されたフィルムが開示されている。また特許文献3には、ポリ乳酸とガラス転移温度が10℃以下である生分解性ポリエステルからなる層と、熱可塑性生分解性樹脂からなるシール層により構成される、引裂強度、衝撃強度、ヒートシール性が改良されたフィルムが開示されている。
特開2010−126619号公報 特開2012−031279号公報 特開2005−28615号公報
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の技術では、柔軟性、耐引裂性が良好なフィルムが得られるものの、ヒートシール性が不十分であった。また、特許文献3に記載の技術では、ヒートシール性については改良が見られたものの、新たに層間密着性に劣るという問題が起こり、実用化に耐えうるものではなかった。
つまり、これまでに、従来のポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルムを、生分解性樹脂や植物由来の樹脂で代替する検討がなされてきたが、その性能は十分ではなく、実用レベルの柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性を満足するフィルムの発明は、未だに達成されていなかった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れた、フィルムを提供せんとするものである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下によって前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
1) ポリ乳酸、並びに、ポリエーテルセグメント及びポリ乳酸セグメントのブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)を含み、
前記ポリ乳酸、及び、前記ブロック共重合体が、100℃以上に融点ピークを有さないことを特徴とするフィルム。
2) 前記ブロック共重合体100質量%において、ポリ乳酸セグメントの質量割合が5〜49質量%であり、かつポリ乳酸セグメント中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が95/5〜5/95であることを特徴とする1)に記載のフィルム。
3) 前記ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が90/10〜10/90であることを特徴とする1)又は2)に記載のフィルム
4) ポリ乳酸及びブロック共重合体以外の生分解性樹脂を含むことを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のフィルム。
5) 前記生分解性樹脂が、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンカーボネート、及びポリヒドロキシアルカノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のフィルム。
6) ヒートシール強度が5N/25mm以上であることを特徴とする、1)〜5)のいずれかに記載のフィルム。
本発明によれば、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れた、フィルムが提供される。本発明のフィルムは、主に柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性を必要とする、野菜、果物、肉、魚などの生鮮品の袋、T−シャツバッグ、ショッピングバッグなどのバッグ類、ごみ袋、堆肥袋、コンポスト用袋などの各種包装材料、マルチフィルムなどの農業資材、医療・衛生材料などに好ましく用いることができる。
本発明は、前記課題、つまり柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れた、フィルムについて鋭意検討した結果、特定のポリ乳酸、並びに、ポリエーテルセグメント及びポリ乳酸セグメントからなる特定のブロック共重合体からなるフィルムとすることにより、かかる課題の解決に初めて成功したものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸、並びに、ポリエーテルセグメント及びポリ乳酸セグメントのブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)を含み、前記ポリ乳酸、及び、前記ブロック共重合体が、100℃以上に融点ピークを有さないことを特徴とするフィルムとすることにより前記課題を解決することを究明したものである。以下に本発明の詳細を説明する。

本発明のフィルムは、ポリ乳酸を含む。本発明でいうポリ乳酸とは、乳酸ユニットを主成分とする重合体である。そして乳酸ユニットを主成分とするとは、該重合体を構成する全ユニットのモル数を100モル%とした時に、乳酸ユニットの数を50モル%以上100モル%以下、好ましくは70モル%以上100モル%以下、更に好ましくは90%モル以上100%モル以下含むものである。
本発明で使用するポリ乳酸は、100℃以上に融点ピークを有さないことが重要である。ポリ乳酸が100℃以上に融点ピークを有さないことは、該ポリ乳酸は非晶性であることを意味する。使用するポリ乳酸が、100℃以上に融点ピークを有する場合、ヒートシール時の熱によりポリ乳酸の結晶化が進行してしまい、十分なヒートシール性が得られない。
100℃以上に融点ピークを有さないポリ乳酸を得るためには、ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が適当な範囲に収まっていることが好ましい。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶性に近づき、逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶性に近づき、逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸の結晶性は高くなっていく。
以上のようなポリ乳酸の性質から、ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)は、90/10〜10/90であることが好ましい。

本発明で用いられるポリ乳酸は、乳酸以外の他の単量体ユニットを共重合成分として含んでもよい。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の単量体ユニットの共重合量は、ポリ乳酸の重合体中の単量体ユニット全体100モル%に対し、0〜20モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。なお、上記した単量体ユニットの中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明で用いられるポリ乳酸の質量平均分子量は、実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、8万〜40万であることがより好ましく、10万〜30万であることがさらに好ましい。
本発明におけるポリ乳酸の含有量は、本発明のフィルムの全質量を100質量%としたときに、20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。90質量%を超える場合、柔軟性、耐引裂性が不十分となることがあり、20質量%未満の場合、生分解性に劣ることがある。

本発明のフィルムは、ポリエーテルセグメント及びポリ乳酸セグメントのブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)を含む。該ブロック共重合体の含有は実用化に耐えうる柔軟性、引裂強度を付与するためには重要である。
またブロック共重合体は、100℃以上に融点ピークを有さないことが重要である。ブロック共重合体が100℃以上に融点ピークを有さないことは、該ブロック共重合体は非晶性であることを意味する。ブロック共重合体が100℃以上に融点ピークを有さないと、フィルムに対してヒートシール性を付与できることから好ましい。また、前述の100℃以上に融点ピークを有さないポリ乳酸とともに該ブロック共重合体を用いることで、ヒートシール時の熱による結晶化を完全に抑制することができ、実用性に耐えうるヒートシール性が得られるようになる。
前記ブロック共重合体が、100℃以上に融点ピークを有さないためには、ブロック共重合体100質量%において、ポリ乳酸セグメントの質量割合が5〜49質量%であり、かつ、ポリ乳酸セグメント中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が95/5〜5/95であることが好ましい。
なお、ブロック共重合体100質量%におけるポリ乳酸セグメントの質量割合は、5〜49質量%であることが好ましいが、10〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。ブロック共重合体100質量%中のポリ乳酸セグメントの質量割合が5質量%より少ないと、ポリ乳酸との親和性、耐ブリードアウト性に劣ることがあり、49質量%より多いと、所望の改質効果が得られないことがある。

本発明におけるブロック共重合体のポリエーテルセグメントとしては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などからなるセグメントが挙げられる。これらのなかでもポリエーテルセグメントがポリエチレングリコールセグメントであることが特に好ましく、これにより本発明において用いるポリ乳酸との親和性が高く、改質効率に優れることとなる。
ブロック共重合体中の1つのポリエーテルセグメントの数平均分子量は、400〜20,000であることが好ましく、1,200〜15,000であることがより好ましく、2,000〜10,000であることがさらに好ましい。ブロック共重合体中の1つのポリエーテルセグメントの数平均分子量が400より小さいと、ポリ乳酸セグメントの数平均分子量との比にもよるが、より所望の改質効果を得るために多大な添加量が必要になることがある。数平均分子量が20,000より大きいと、ポリ乳酸との間の親和性に劣り、十分な改質効率が得られず、また、生分解性にも劣ることがある。
本発明におけるブロック共重合体中の1つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は200〜5,000であることが好ましく、1,000〜4,000であることがより好ましく、2,000〜3,000であることがさらに好ましい。数平均分子量が200より小さいと、ポリ乳酸との親和性、また、耐ブリードアウト性に劣ることがある。数平均分子量が5,000より大きいと、ポリエーテルセグメントの数平均分子量との比にもよるが、所望の改質効果を得るために多大な添加量が必要になることが多い。
ブロック共重合体の数平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000より小さいと、本発明のフィルムを構成する組成物全体の溶融粘度の低下が激しくなり所望のフィルムが得られなくなることがある。数平均分子量が20,000より大きいと、ポリ乳酸との親和性、また、生分解性に劣ることがある。該ブロック共重合体の数平均分子量は、5,000〜18,000であることがより好ましく、10,000〜16,000であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体において、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントの順序構成やブロック数については特に制限は無いが、ポリ乳酸との親和性、また、耐ブリードアウト性にも優れるという点で、ブロック共重合体の少なくとも片方の端がポリ乳酸セグメントであることが好ましい。また、両方の端がポリ乳酸セグメントであることがより好ましい。
ブロック共重合体の含有量は、本発明のフィルムの全質量を100質量%としたときに、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましく、15〜20質量%であることがさらに好ましい。30質量%を超える場合、フィルムの加工性、取り扱い性、耐引裂性が不十分となることがあり、5質量%未満の場合、柔軟性、耐引裂性が不足することがある。

本発明のフィルムは、ポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂を含むことが好ましい。本発明でいう生分解性樹脂とは、ISO14855−1(2005)に準じて測定した生分解度が、180日以内にセルロース対比で60%以上となる樹脂のことをいう。
上記の生分解性樹脂は、単体もしくは2種以上を混合して使用してもよく、具体例としては、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンカーボネート、ポリヒドロキシアルカノエート、熱可塑性澱粉、熱可塑性澱粉含有樹脂、熱可塑性セルロースなどが挙げられる。
これらの中でもポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂としては、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンカーボネート、及びポリヒドロキシアルカノエートからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
さらに、これらの中でもポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂としては、脂肪族芳香族ポリエステルであることが最も好ましい。そしてポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂として好適な脂肪族芳香族ポリエステルは、炭素数4〜30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、及び炭素数3〜6のジオールから得られる共重合ポリエステルである。具体例としては、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンアジペート・テレフタレートなどを挙げることができる。
ポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂として好適な脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなどが使用できる。
ポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂として好適なポリアルキレンカーボネートの具体例としては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートなどが使用できる。
ポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂として好適なポリヒドロキシアルカノエートの具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)などが使用できる。
本発明のフィルム中のポリ乳酸およびブロック共重合体以外の生分解性樹脂の含有量は、本発明のフィルムの全質量を100質量%としたときに、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。50質量%を超える場合、フィルム全体の特性に対して生分解性樹脂の特性が支配的になるため、実用化に耐えうる柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性が得られない場合がある。10質量%未満の場合、生分解性樹脂の添加による改質効果が観測されないため意味をなさない。

(相溶化剤)
本発明のフィルムは、ポリ乳酸、ブロック共重合体、及び生分解性樹脂の親和性を向上するために、下記で定義される相溶化剤を含有してもよい。
相溶化剤:イソシアネート、オキサゾリン、カルボジイミド、オキサジン、エポキシド、及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる2つ以上の官能基を有する化合物。
相溶化剤の具体例として、エポキシドを有する化合物は、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジル(メタ)アクリレート化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。市販されているものとしては、エチレンとアクリル酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体であるDuPont社の“Biomax Strong”シリーズ、Arkema社の“LOTADER”シリーズ、グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体であるBASF社の“Joncryl”シリーズ、グリシジル基含有アクリル系樹脂である東亞合成社の“レゼダ”シリーズ、“アルフォン”シリーズ、トリアジン骨格を持つエポキシ化合物である日産化学社の“テピック”シリーズなどが挙げられる。
相溶化剤の具体例として、カルボン酸無水物を有する化合物は、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などを含有する化合物が挙げられる。市販されているものとしては、エチレンとアクリル酸エステル、無水マレイン酸の共重合体であるArkema社の“BONDINE”シリーズ、無水マレイン酸グラフトポリマーであるArkema社の“OREVAC”シリーズ、DuPont社の“Bynel”シリーズ、三洋化成社の“ユーメックス”シリーズ、無水マレイン酸共重合SEBSであるKraton社“Kraton”シリーズなどが挙げられる。
相溶化剤の具体例として、カルボジイミドを有する化合物は、日清紡社の“カルボジライト”シリーズ、Rhein Chemie社の“Stabaxol”シリーズなどが挙げられる。
相溶化剤の具体例として、イソシアネートを有する化合物は、パーストープ社の“Easaqua”シリーズ、DIC社の“バーノック”シリーズ、旭化成社の“デュラネート”などが挙げられる。
相溶化剤の含有量は、フィルム全質量を100質量%としたときに、0.1〜2質量%であることが好ましい。0.1質量%より少ないと相溶化剤の効果が十分にえられないことがあり、2質量部より多いと相溶化剤自身の官能基同士の反応や相溶化剤由来の分解物によりフィルム物性が低下することがある。

(粒子)
本発明のフィルムは、耐ブロッキング性や取り扱い性の向上などを目的として、粒子を含有することができる。
このような粒子は、無機粒子、有機粒子のいずれでも構わないが、例えば、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、ゼピオライト、ゼオライト等の各種複合酸化物、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛等の各種酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる粒子を使用することができる。また、必要に応じ、表面処理を施した粒子を用いることもできる。
本発明のフィルム中の粒子の含有量は、フィルム全体100質量%中に1〜10質量%であることが好ましく、3〜5質量%であることがより好ましい。
(有機滑剤)
本発明のフィルムには、有機滑剤を含有することができる。有機滑剤の含有量は、フィルム全体100質量%中に0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましい。この場合、巻き取り後のフィルムのブロッキングを良好に抑制できる。また、有機滑剤の添加過多による溶融粘度の低下や加工性の悪化、あるいはフィルム化後の有機滑剤ブリードアウトや透明性悪化などの外観不良の問題も発生しにくい。
有機滑剤の種類は特に限定されず、種々の物を使用可能であるが、例えば、脂肪酸アミド系の有機滑剤が使用できる。その中でも、より良好な耐ブロッキング性を発現する観点で、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどの比較的高融点である有機滑剤が好ましい。
(添加剤)
本発明のフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の添加剤を含有することができる。例えば、公知の末端封鎖剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料などが挙げられる。
末端封鎖剤としては、モノカルボジイミド化合物などを好ましく使用することができる。
有機系結晶核剤としては、脂肪族アミド化合物、メラミン系化合物、フェニルホスホン酸金属塩、ベンゼンカルボアミド誘導体、脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジド、ソルビトール系化合物、アミノ酸、ポリペプチド、金属フタロシアニン等を好ましく使用することができる。無機系結晶核剤としては、タルク、クレー、マイカ、カオリナイト等の珪酸塩鉱物、カーボンブラックなどを好ましく使用することができる。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などを好ましく使用することができる。
着色顔料としてはカーボンブラック、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系などの有機顔料などを好ましく使用することができる。

(厚み)
本発明のフィルムは、厚みが5〜200μmであることが好ましい。厚みを5μm以上とすることで、フィルムとした際のコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。厚みを200μm以下とすることで柔軟性が向上し、各用途で使用する際に取り扱い性に優れるものとなり、また、特にフィルム製造方法としてインフレーション製膜法を採用する場合、自重によりバブルが安定化する。フィルム厚みは、7μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましく、12μm以上がさらにより好ましい。また、フィルム厚みは、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、50μm以下がさらにより好ましい。
(引張弾性率)
本発明はポリエチレンのような柔軟性を有するポリオレフィン系フィルムに代わるフィルムの提供を目的としており、その場合、柔軟性の指標である引張弾性率が、フィルムの長さ方向(MD)およびフィルムの幅方向(CD、長さ方向と垂直な方向)の、いずれかの方向において、1200MPa以下を満たすことが好ましい。引張弾性率は、1000MPa以下であることがより好ましく、800MPa以下であることがさらに好ましい。また、いずれかの方向の引張弾性率が上記数値要件を満たすよりも、フィルムの長さ方向およびフィルムの幅方向の両方向の引張弾性率が上記数値要件を満たすことが特に好ましい。引張弾性率の下限は特に制限は無いが、実用上100MPa程度である。
フィルムの長さ方向および幅方向のいずれかの引張弾性率を、いずれも1200MPa以下とするための方法としては、本発明のフィルムを構成する各樹脂の種類と配合量を、それぞれ前述した好ましい範囲とすること、また、特にインフレーション製膜においては製膜時の長さ方向および幅方向の延伸比(ブロー比、ドロー比)を、後述のような好ましい範囲とすること、が挙げられる。

(引裂強度)
本発明のフィルムは、ポリオレフィン系フィルムに代わるフィルムと代替可能とするために、フィルムの長さ方向(MD)および幅方向(CD)の平均の引裂強度が500mN以上であることが好ましい。MDおよびCDの平均の引裂強度は、より好ましくは1000mN以上、さらに好ましくは1500mN以上である。なお、該平均の引裂強度は大きいほど好ましいが、現実的に達成可能な数値として、上限は5000mN程度と考えられる。
引裂強度が500mN以上であると、本発明のフィルムを各用途で使用する際に、十分な耐引裂性が得られ、破れにくく実用性が向上する。
MDとCDの平均の引裂強度を500mN以上とするための方法としては、本フィルムを構成する各樹脂の種類と配合量を、それぞれ前述した好ましい範囲とすること、また、特にインフレーション製膜において製膜時の長さ方向および幅方向の延伸比(ブロー比、ドロー比)を後述する好ましい範囲とすること、などが挙げられる。

(ヒートシール強度)
本発明のフィルムは、ヒートシール強度が5N/25mm以上であることが、ポリエチレンのようなポリオレフィン系フィルムに代わるフィルムと代替可能とする観点から好ましい。ヒートシール強度を5N/25mm以上とすることで、本発明のフィルムをゴミ袋・コンポスト袋等の包装材料やバッグ等の用途で使用する際に、実用化に耐えうるものとなる。ヒートシール強度は大きいほど好ましく、その上限に特に制限はないが、10N/25mm程度のヒートシール強度を有すれば特性として十分である。
本フィルムを構成する各樹脂の種類と配合量を、それぞれ前述した好ましい範囲とすることで、ヒートシール強度を5N/25mm以上とすることができる。

(製造方法)
次に、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明における乳酸系樹脂は、例えば、L−乳酸またはD−乳酸の乳酸成分を主体として直接脱水縮合する方法、また、ラクチド、グリコリド等のヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体を原料として開環重合する方法によって得ることができる。
本発明のフィルムを構成する組成物を得るにあたっては、各成分を溶媒に溶かした溶液を均一混合した後、溶媒を除去して組成物を製造することも可能であるが、溶媒へ原料の溶解、溶媒除去等の工程が不要で、実用的な製造方法である、溶融混練法を採用することが好ましい。その溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の通常使用されている公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
溶融混練法を採用する場合、原料として用いる全ての成分を、予め乾燥するなどして、水分量を500ppm(質量基準)以下、好ましくは200ppm(質量基準)以下、より好ましくは100ppm(質量基準)以下としておくことが好ましい。各成分の水分量を500ppm(質量基準)以下とすることにより、各層の溶融粘度の低下や、フィルムの機械物性の低下を防ぐことができる。同様の観点から、溶融混練は、ベント孔付きの二軸押出機を使用し、水分や低分子量物などの揮発物を除去することが好ましい。
溶融混練時の温度は150℃〜250℃の範囲が好ましく、乳酸系樹脂の劣化を防ぐ意味から、160℃〜210℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明のフィルムは、公知のインフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの既存のフィルムの製造法により得ることが出来るが、本発明の、製造コストやポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルムの代替用途を想定した場合の製造性の観点から、インフレーション法が好ましい。
本発明のフィルムをインフレーション法により製造する場合は、前述した方法で得られた組成物を直接環状ダイに導いて製造してもよいし、前述した方法で得られた組成物を一旦ペレット化してから、環状ダイを取り付けた押出機に投入して製造してもよい。一旦ペレット化する場合は、そのペレットを押出機に投入する前に乾燥するなどして、前述の通り、水分量を500ppm(質量基準)以下、好ましくは200ppm(質量基準)以下、より好ましくは100ppm(質量基準)以下としておくことが好ましい。また、環状ダイを取り付けた押出機も、ベント孔付きの二軸押出機であることが好ましい。
上記の方法により得られた組成物を環状ダイに導き、環状のリップ間隙から押出された溶融樹脂にエアーリングから冷却エアーを吹きつけながら、チューブ内部に乾燥エアーを供給してバブルを形成し、得られたフィルムをニップロールでフラットに折りたたみながら所定の引き取り速度で引き取った後、必要に応じて両端、または片方の端を切り開いて巻き取ることで本発明のフィルムを得る。
本発明のフィルムは、インフレーション製膜時のブロー比と、ドロー比の調整が重要である。ここで、ブロー比とは、フィルムの幅方向の延伸比のことで、(片方の端を切り開いて巻き取った際のフィルムの幅方向の長さ)/(環状ダイスの直径)で計算できる。また、ドロー比とは、フィルムの長さ方向のドロー延伸比のことで、(巻き取り速度)/(環状ダイスからの吐出速度)で表されるが、実用上は、(環状ダイスのリップ間隙)/{(製膜後のフィルム厚み)×(ブロー比)}で計算できる。本発明のフィルムでは、前述した引張弾性率、引裂強度を満たすために、ブロー比は、1.6〜4.0が好ましく、ドロー比は、5〜40が好ましい。ブロー比は、2.2〜3.8がより好ましく、2.8〜3.6がさらに好ましい。ドロー比は10〜30がより好ましく、15〜20がさらに好ましい。
環状ダイのリップ間隙は、上記した好ましいブロー比、ドロー比で製膜した際に目的のフィルム厚みになるように調整すればよいが、通常は0.2〜1.8であり、好ましくは0.3〜1.4であり、より好ましくは0.4〜1.0である。また、環状ダイは、厚み精度、均一性の点から、スパイラル型を用いることが好ましく、同様の観点から環状ダイは回転式のものを用いることが好ましい。
また、本発明のフィルムをインフレーション製膜する際の押出温度は通常140〜240℃の範囲であり、150〜200℃が好ましく、環状ダイスの温度は通常140〜190℃の範囲であり、150〜180℃が好ましい。
フィルムに成形した後に、フィルムの熱収縮を抑制するために加熱ロールやオーブン内で熱処理を施しても良い。また、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で、コロナ放電処理、プラズマ処理などの各種表面処理を施しても良い。
以下、この発明について実施例を用いてより詳細に説明するが、これらによりこの発明は何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)ポリ乳酸およびブロック共重合体の融点ピークTm(℃)
測定は、セイコー電子(株)製示差走査熱量計RDC220型を用いて、窒素雰囲気下で室温から220℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、100℃以上の融点ピーク(Tm)の有無を確認した。なお測定に用いるサンプルは、ポリ乳酸の場合は予め120℃で4時間の熱処理を行ったものを用い、ブロック共重合体の場合は予め80℃で4時間以上熱処理したものを用いた。

(2)ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比
ポリ乳酸をそれぞれクロロホルムに溶解して1.0g/dLの濃度に調整した後、25℃の温度条件下、旋光計(堀場製作所製SEPA−200、ナトリウムD線(589nm)を使用)を用いて比旋光度を測定した(溶液濃度10mg/ml)。得られた比旋光度をもとに式(1)に従って、ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)を算出した。
L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット
= 50×(1+[α]/156) / 50×(1−[α]/−156)・・・式(1)
[α]:比旋光度

(3)ブロック共重合体中のポリ乳酸セグメント中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比
ブロック共重合体の重合直後にサンプル1gを回収し、93gの純水を加え、40℃で3時間加熱撹拌して残留ラクチドを抽出した。続いて10%水酸化ナトリウム水溶液を2g加えて60℃で1晩静置しラクチドを加水分解させて乳酸にした。得られた乳酸水溶液に1mol/Lの塩酸水溶液を5mL添加して水溶液を中和し、HPLC((株)島津製作所製、システムコントローラ(SCL−10AVP)、送液ユニット(LC−10ATVP×2)、脱気ユニット(DGU−14A)、カラムオーブン(CTO−10AVP)、UV−VIS検出器(SPD−10AVP)、カラム(SUMICHIRAL OA−5000))を用い、以下の条件のもとブロック共重合体1g中の未反応のL−乳酸とD−乳酸を定量した。この値と重合直前のモノマー仕込量から重合によりブロック共重合体中に取り込まれたL−乳酸およびD−乳酸量を計算し、ブロック共重合体中のポリ乳酸セグメント中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)を算出した。
溶媒:1mM硫酸銅水溶液
流速: :1.0ml/min
検出波長 :254nm
カラム温度:30℃

(4)質量平均分子量、数平均分子量
日本ウォーターズ(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて以下の条件に従い測定を行い、ポリスチレン換算により計算した。
溶媒:テトラヒドロフラン(高速液体クロマトグラフィ用)
流速:1.0ml/min(Heによるオンライン脱揮)
カラム:SHODEX KF−806L+KF−804L(直列)
各300mm × 8mmφ
GPC KF−G (ガードカラム)
カラム温度:30℃
検出器:RI

(5)引張弾性率(MPa)
オリエンテック社製TENSILON(登録商標)UCT−100を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、引張弾性率を測定した。具体的には、測定方向に長さ150mm、幅10mmの短冊状にサンプルを切り出し、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にしたがって、MDについて10回の測定を行い、その平均値を引張弾性率とした。同様にして、CDについても求めた。

(6)引裂強度(mN)
(株)東洋精機製作所製の引裂伝播抵抗計(エレメンドルフ)を用いて、JIS K 7128−2(1998)に規定された方法に従って引裂強度を測定し、耐引裂性の指標とした。サンプルサイズは引き裂き方向63mm×引き裂きと垂直方向76mmで、引き裂き方向に20mmの切れ込みを入れ、残り43mmを引き裂いた時の指示値を読みとった。測定は5回行い、その平均値を算出した。これをフィルムの長さ方向および幅方向のそれぞれについて算出した。

(7)ヒートシール強度(N/25mm)
TESTER SANGYO.CO.LTD製の7P−701S型HEATSEAL TESTERを用いて、フィルム2枚を重ねて、温度120℃、加圧0.2MPa、加圧時間1secの条件でヒートシールして幅25mmにサンプリングし、東洋ボールドウィン製テンシロンを用いて、剥離速度200mm/分、剥離角度90°で剥離したときの強度をヒートシール強度として求めた。

本発明の実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。なお実施例、比較例では下記の略称で表記することがある。
PLA−A
回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥した非晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo” 4060D)。旋光度計を用いて測定したPLA−A中の光学異性体のモル比はL−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット=89/11であった。またPLA−Aを120℃で4時間熱処理後、DSC測定を行ったが100℃以上に融点ピークは観測されなかった。
PLA−B
回転式真空乾燥機にて120℃で4時間乾燥した結晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo”4032D)。旋光度計を用いて測定したPLA−B中の光学異性体のモル比はL−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット=99/1であった。またPLA−BのDSC測定を行ったところ、168℃に融点ピークが観測された。
製造例1
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量部とL−ラクチド30.4質量部、D−ラクチド7.6質量部、オクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合した後、反応液から1gを取り出し光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)をHPLCにて測定したところ、L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニットは表1に示す値となった。続いて残りの反応液を冷却して固化した後、粉砕を行い6.5倍量の水を添加して40℃で4時間かけて残存モノマーを除去し、80℃で48時間乾燥することでブロック共重合体1を得た。このブロック共重合体1のDSC測定を行ったところ、100℃以上に融点ピークは観測されなかった。またGPCでの数平均分子量は12,600でありポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,300のポリ乳酸セグメントを有するものであった。
製造例2
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量部とDL−ラクチド38質量部、オクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で5時間重合した後、反応液から1gを取り出し光学異性体のモル比(L−乳酸/D−乳酸)をHPLCにて測定したところ、L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニットは表1に示す値となった。続いて残りの反応液を冷却して固化した後、粉砕を行い6.5倍量の水を添加して40℃で4時間かけて残存モノマーを除去し、80℃で48時間乾燥することでブロック共重合体2を得た。このブロック共重合体2のDSC測定を行ったところ、100℃以上に融点ピークは観測されなかった。またGPCでの数平均分子量は12,000でありポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有するものであった。

製造例3
実施例1のブロック共重合体の製造において用いたラクチドを全てL−ラクチドとした以外は、実施例1と同様の方法でブロック共重合体3を製造した。製造例1と同様の方法で測定したL−乳酸ユニット/D−乳酸ユニットは表1に示す値となり、ブロック共重合体3のDSC測定では147℃に融点ピークが観測された。またGPCでの数平均分子量は13,000でありポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有するものであった。

実施例1
ポリ乳酸としてPLA−Aを46.5質量%、ブロック共重合体としてブロック共重合体1を19質量%、生分解性樹脂としてポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(BASF社製、商品名“エコフレックス”FBX7011)を30質量%、粒子として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名“カルテックスR”)を3.5質量%、滑剤としてステアリン酸アミド(日油社製、商品名“アルフローS−10”)を1質量%となるようにブレンドし、シリンダー温度190℃、スクリュー径30mm、L/D=30の真空ベント付き2軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練した。この溶融混練樹脂を、リップ径50mm、リップ間隙1.0mmの温度160℃のスパイラル型環状ダイに導き、環状のリップ間隙から押出された溶融樹脂にエアーリングから冷却エアーを吹きつけながら、チューブ内部に乾燥エアーを供給してブロー比3.0にてバブルを形成し、得られたフィルムをニップロールでフラットに折りたたみながら、ドロー比17、最終厚みが20μmとなるように、吐出量と引き取り速度を調整し、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、それぞれワインダーにてフィルムを巻き取った。得られたフィルムの物性を調べたところ表2に示す結果となり、良好な柔軟性・耐引裂性ととともに高いヒートシール強度を示した。

実施例2
実施例1においてブロック共重合体1の代わりにブロック共重合体2を用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作成し得られたフィルムの物性を評価したところ、表2に示すように良好な柔軟性・耐引裂性とともに高いヒートシール強度を示した。

比較例1
実施例1においてブロック共重合体1の代わりにブロック共重合体3を用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。得られたフィルムの物性を評価したところ、表2に示すように柔軟性・耐引裂性は良好であったがヒートシール強度は不足するものであった。

比較例2
実施例1においてポリ乳酸としてPLA−Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。得られたフィルムを評価したところ、表2に示す結果となり柔軟性・耐引裂性は良好であったがヒートシール力は不足するものであった。
Figure 2014074126
Figure 2014074126
本発明のフィルムは、柔軟性、耐引裂性、ヒートシール性、生分解性に優れ、野菜、果物、肉、魚などの生鮮品の袋、T−シャツバッグ、ショッピングバッグなどのバッグ類、ごみ袋、堆肥袋、コンポスト用袋などの各種包装材料、マルチフィルムなどの農業資材、医療・衛生材料などに好ましく使用できる。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸、並びに、ポリエーテルセグメント及びポリ乳酸セグメントのブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)を含み、
    前記ポリ乳酸、及び、前記ブロック共重合体が、100℃以上に融点ピークを有さないことを特徴とするフィルム。
  2. 前記ブロック共重合体100質量%において、ポリ乳酸セグメントの質量割合が5〜49質量%であり、かつポリ乳酸セグメント中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が95/5〜5/95であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記ポリ乳酸中の乳酸ユニットの光学異性体のモル比(L−乳酸ユニット/D−乳酸ユニット)が90/10〜10/90であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム
  4. ポリ乳酸及びブロック共重合体以外の生分解性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記生分解性樹脂が、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンカーボネート、及びポリヒドロキシアルカノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. ヒートシール強度が5N/25mm以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
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