JP5999686B2 - 耐熱性ポリ乳酸系成形体、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、最近ではモノマーである乳酸が微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきた。
そのため、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになり、容器、フィルム等の包装材料、衣料、フロアマット、自動車用内装材等の繊維材料、及び電気・電子製品の筺体や部品等の多種にわたる成型材料として期待されている。
特許文献1においては、結晶化度を上げるために、ポリ乳酸樹脂非晶性成形体をガラス転位点(Tg)から融点(Tm)の範囲でアニーリングを施し、結晶化する方法が開示されている。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)の過冷却溶融体であるポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)にはポリ乳酸樹脂(A)の微小結晶を含み、さらに成形後のポリ乳酸系成形体の示差走査型熱量計(DSC)による昇温測定で測定された結晶融解熱量(ΔHm-comp)を25J/g以上とすることが重要である。
ここで成形後のポリ乳酸系成形体とはポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)を成形工程において所定の形を与え冷却された物体をいう。
ここで、溶融状態とは過冷却溶融体の状態を含むものである。
さらに好ましいプレアニーリング処理としては、ポリ乳酸樹脂(A)を示差走査型熱量計(DSC)において200℃まで昇温し、その後、設定温度(I)まで冷却した状態で0.1〜1分間保持し、さらに200℃まで昇温した際に微小結晶に由来する融解ピークが観察された場合の設定温度(I)を微小結晶生成温度と定義し、この微小結晶生成温度にてポリ乳酸樹脂(A)の微小結晶を生成させる方法が挙げられる。
成形後のポリ乳酸系成形体の結晶融解熱量(ΔHm−comp)は25J/g以上とすることが好ましい。結晶融解熱量(ΔHm−comp)を25J/g以上とするためにはプレアニーリング処理後にアニーリング処理を行うことが好ましい。成形後のポリ乳酸系成形体の結晶融解熱量(ΔHm−comp)が高ければ耐熱性が高くなることから、成形後のポリ乳酸系成形体の結晶融解熱量(ΔHm−comp)は30J/g以上がさらに好ましく、40J/g以上が特に好ましい。
これは、結晶融解熱量(ΔHm−comp)が高ければ成形後のポリ乳酸系成形体の結晶化度が高く、ガラス転移点(Tg)を超える温度においても結晶の存在によって熱変形を防止できるためである。
示差走査型熱量計(DSC)において室温から100℃/分の速度で200℃まで昇温し、その状態で、10分間保持する。その後、室温まで10℃/分の速度で冷却し、図2のようなDSC等温結晶化曲線を得る。このDSC等温結晶化曲線から、発熱ピークを得て、発熱ピークの頂点が結晶化温度(Tc)として求められる。
そして、滑剤、酸化防止剤を配合したポリ乳酸樹脂(A)のコンパウンドを試料として用いた図2においては100℃から130℃付近にかけての発熱ピークの頂点(d)を結晶化温度(Tc)としている。なお、このときの結晶化温度(Tc)は、112℃であった。
微小結晶の結晶融解熱量(ΔHm−mc)はプレアニーリング処理を示差走査型熱量計(DSC)測定において行い、このプレアニーリング処理と連続してDSC測定をおこなっている。
具体的には示差走査型熱量計(DSC)において200℃まで昇温し、その状態で、10分保持する。その後、120〜140℃の所定温度まで100℃/分の速度で冷却し、その状態で1分間保持する。この冷却、保持の工程がプレアニーリング処理に相当する。その後、10℃/分の速度で200℃まで昇温し、図1のようなDSC曲線を得る。このDSC曲線から、150〜180℃の範囲にある吸熱ピーク(a)を得て、吸熱ピーク(a)から結晶融解熱量(ΔHm−mc)を求めることができる。
なお、ピーク高さは、140℃〜160℃付近のベースラインと180℃〜200℃付近のベースラインを結ぶことにより得られるベースラインからの高さで求められる。
そして、滑剤、酸化防止剤を配合したポリ乳酸樹脂(A)のコンパウンドを試料として用いた図1においては163℃付近と177℃付近とを結ぶことによって得られるベースラインからの高さで求められた斜線部の吸熱ピーク(a)を結晶融解熱量(ΔHm−mc)としている。
結晶化ピーク時間(τt)はプレアニーリング処理を示差走査型熱量計(DSC)測定において行い、このプレアニーリング処理と連続してDSC測定を行っている。
具体的には示差走査型熱量計(DSC)において室温から100℃/分の速度で200℃まで昇温し、その状態で、10分間保持する。その後、120〜140℃の所定温度まで100℃/分の速度で冷却し、その状態で1分間保持する。この冷却、保持の工程がプレアニーリング処理に相当する。その後、130〜160℃の所定温度まで100℃/分の速度で昇温し、その状態で、60分保持し、図3のようなDSC等温結晶化曲線を得る。このDSC等温結晶化曲線から、発熱ピークを得て、0分から発熱ピークが観測される時間までの時間(e)を結晶化ピーク時間(τt)として求められる。
そして、滑剤、酸化防止剤を配合したポリ乳酸樹脂(A)のコンパウンドを試料として用いた図3においては、破線で示された0分から発熱ピークが観測されたときまでの時間(e)である約5分を結晶化ピーク時間(τt)としている。
示差走査型熱量計(DSC)において0℃から10℃/分の速度で200℃まで昇温し、図4のような昇温時のDSC曲線を得る。このDSC曲線から、80〜120℃の範囲にある発熱ピーク(c)、150〜180℃の範囲にある吸熱ピーク(b)を得て、発熱ピーク(c)から冷結晶化量(ΔHc)、吸熱ピーク(b)から結晶融解熱量(ΔHm)を求める。さらに下記の式にてポリ乳酸系成形体の結晶融解熱量(ΔHm−comp)が求められる。
(ΔHm−comp) = (ΔHm) − (ΔHc)
なお、ピーク高さは、65℃〜85℃付近のベースラインと170℃〜200℃付近のベースラインを結ぶことにより得られるベースラインからの高さで求められる。
そして、ポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)を成形して得られた耐熱性ポリ乳酸系成形体を試料として用いた図4においては80℃付近と170℃付近を結ぶことで得られるベースラインからの高さで求められた斜線部(右上がり)の吸熱ピーク(b)を結晶融解熱量(ΔHm)とし、斜線部(右下がり)の発熱ピーク(c)を冷結晶化量(ΔHc)としている。
ポリ乳酸系樹脂(A)は、実質的にL−乳酸及び/又はD−乳酸由来のモノマー単位を主たる構成成分とした熱可塑性樹脂である。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合しても構わないという意味である。更に、分子量増大を目的にして、少量の鎖延長剤(例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等)を使用してもかまわない。
ポリ乳酸系樹脂(A)の製造方法としては、既知の任意の重合方法を採用する事ができる。最も代表的に知られているのは、乳酸の無水環状二量体であるラクチドを開環重合する方法(ラクチド法)であるが、乳酸を直接縮合重合しても構わない。
ポリ乳酸系樹脂(A)の分子量や分子量分布については、特に限定しないが通常、重量平均分子量で10,000〜1,000,000であり、好ましくは100,000〜300,000の範囲である。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。また、異なる分子量のポリ乳酸樹脂を混合して用いても良い。
ポリ乳酸系樹脂(A)の光学純度は95%以上が好ましく、97%以上がさらに好ましい。光学純度が95%未満ではポリ乳酸系樹脂(A)の結晶化速度が遅く、本発明の効果が得られない場合が出てくる。ここでいう光学純度とは総乳酸成分の内、L−乳酸又はD−乳酸のどちらか高含有成分の純度のことを指している。
また、ポリ乳酸系樹脂(A)には、望むべき物性や用途に応じて、本発明を逸脱しない範囲でポリ乳酸系樹脂の中から適宜選択し、使用することができる。また必要に応じて2種類以上のポリ乳酸系樹脂を組み合わせて用いてもかまわない。
ちなみに、本発明に用いることが可能なポリ乳酸系樹脂(A)としては既に上市されているものがある。具体的には、NatureWorks社よりIngeo(登録商標)やユニチカ社よりテラマック(登録商標)が市販されており、本発明ではこのようなポリ乳酸系樹脂を好適に用いることができる。
これらの中では、有機系の結晶核剤が成形体の透明性を維持するために好適であり、さらには、1価ないし3価の金属、例えばリチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の各種金属塩化合物が好適であり、フェニルホスホン酸等のホスホン酸の亜鉛塩などの金属塩が結晶核剤としての効果が大きく好適である。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などを挙げることができる。
また、酸化防止剤の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では熱安定性付与の効果が不十分であり、5重量部を超える場合は酸化防止剤添加量に対する効果が得られ難くなる。
滑剤の種類は特に限定されないが、成形加工時、劣化や蒸発により成形加工が困難になる可能性があることから、炭素数20以上の脂肪酸および/または炭素数20以上の脂肪酸エステルおよび/または炭素数20以上の脂肪酸金属塩を配合することが好ましい。
具体的には、ベヘン酸、ベヘン酸エステル、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、モンタン酸、モンタン酸エステル、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウムなどが挙げられ、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
また、滑剤の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では金属剥離性の効果が乏しく、5重量部を超える場合は滑性が高すぎて成形加工が困難になる場合がある。
封鎖剤としては、ポリマーのカルボキシル末端基を封鎖することのできる化合物であれば特に制限はなく、ポリマーのカルボキシル末端の封鎖剤として用いられているものを用いることができる。その中でもカルボキシル基反応性末端封鎖剤は、ポリ乳酸樹脂の末端を封鎖するのみではなく、ポリ乳酸樹脂や天然由来の有機充填剤の熱分解や加水分解などで生成する乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基も封鎖することができることから好ましい。また、上記末端封鎖剤は、熱分解により酸性低分子化合物が生成する水酸基末端も封鎖できる化合物であることがさらに好ましい。このようなカルボキシル基反応性末端封鎖剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1 種の化合物を使用することが好ましく、なかでもエポキシ化合物および/ またはカルボジイミド化合物が好ましい。
具体例としてはポリ乳酸樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ− 4 − メチルペンテン− 1 、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロー樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができ、中でもポリ乳酸系樹脂以外のポリエステル樹脂が好ましい。ポリ乳酸系樹脂以外のポリエステル樹脂の具体例としては( ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリエチレン( テレフタレート/ サクシネート) 樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂およびセルロースアセテート、セルロースジアセテートセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートなどのセルロースエステル樹脂)などが挙げられる。
具体例としては、例えばポリ乳酸樹脂(A)の融点が166.2℃である場合に、プレス成形において、200℃にて10分間保持し、ポリ乳酸樹脂(A)溶融させ、設定温度130℃、圧力0.3Mpa、時間1分の条件でプレアニーリング処理することでポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)を得る。そして、設定温度150℃、圧力0.3Mpa、時間60分の条件で板状に成形すると同時にアニーリング処理を実施し、その後冷却することで板状の耐熱性ポリ乳酸系成形体を製造することができる。
このようにプレス成型においては、金型の設定温度、圧力を変えることで、プレアニーリング、成形、アニーリングを連続して行うことができるために好ましい製造方法である。また、成形とアニーリングは同条件で同時に行うことも可能である。
この示差走査型熱量計(DSC)を用いた測定方法は、上述の<微小結晶の結晶融解熱量(ΔHm−mc)>の測定方法に準じて行うことができる。そしてこの場合、120〜140℃の所定温度を設定温度(I)として測定を行う。
ポリ乳酸系樹脂(A):融点(Tm)166.2℃、光学純度:98.7%であるポリL乳酸樹脂(商品名;Ingeo4032D、NatureWorks社製)
結晶核剤:フェニルホスホン酸亜鉛系(商品名;エコプロモート、日産化学工業社製)
可塑剤:アジピン酸エステル系(商品名;DAIFATTY101、大八化学工業社製)
酸化防止剤:ヒンダードフェノール系(商品名;アデカスタブAO−60、アデカ社製)
滑剤:モンタン酸エステル(商品名;Licolub WE−40、クラリアントジャパン社製)
表1または2に示したポリ乳酸系樹脂(A)及びその他の添加剤からなる配合物を、容量100cc(0.0001立方メートル)のバッチ式ミキサーで5分間溶融混練した。次に、170℃に設定した10インチ(直径0.254m)の2本ロール成形装置を用いて圧延し、厚さ500μmのシートを作製した。
実施例については先に得たシートを用い、設定温度200℃のプレス成形機にて10分間保持し溶融し、表1の条件にてプレアニーリング処理を行うことでポリ乳酸系樹脂過冷却溶融体(A1)を得た。そして、連続してポリ乳酸系樹脂過冷却溶融体(A1)を金型内で成形すると同時にアニーリング処理を実施し、冷却後にシート状のポリ乳酸系成形体を得た。アニーリング処理は融点(Tm)−30℃からTmの間の温度で行った。
比較例については、プレアニーリング処理を行わず、先に得たシートを用い、設定温度200℃のプレス成形機にて10分間保持し溶融し、表2の条件にて成形すると同時にアニーリング処理を実施し、冷却後に成形体を得た。
以下に詳細方法を説明する。
表1または2に示した実施例1〜5または比較例1〜5の配合物を、2本ロール成形装置にて得た厚さ500μmのシートを用いた。示差走査型熱量計(DSC)においてポリ乳酸系成形体サンプルを200℃まで昇温し、その状態で、10分保持した。その後、室温まで10℃/分の速度で冷却し、DSC等温結晶化曲線を得た。得られたDSC等温結晶化曲線から、発熱ピークを得、発熱ピークのトップの温度を結晶化温度(Tc)として、求めた。
微小結晶の結晶融解熱量(ΔHm−mc)はプレアニーリング処理を示差走査型熱量計(DSC)測定において再現し、プレアニーリング処理と連続してDSC測定を行うことで測定した。一方、比較例においてはプレアニーリング処理を行わないので、本測定を行っていない。
そこで実施例においては表1に示した実施例1〜5の配合物を、2本ロール成形装置にて混練して得た厚さ500μmのシートを用いた。示差走査型熱量計(DSC)においてシートサンプルを200℃まで昇温し、その状態で、10分保持した。その後、表1のプレアニーリング温度まで100℃/分の速度で冷却し、その状態で表1のプレアニーリング時間、保持した。この冷却し保持する工程がプレアニーリング処理に相当する。例えば、実施例1では130℃まで冷却し、その状態で1分間保持した。その後、10℃/分の速度で200℃まで昇温し、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線から、150〜180℃の範囲にある吸熱ピークを得、吸熱ピークから結晶融解熱量(ΔHm−mc)を求めた。
なお、ピーク高さは、140℃〜150℃付近のベースラインと180℃〜200℃付近のベースラインを結ぶことにより得られるベースラインからの高さで求めた。
結晶化ピーク時間(τt)はプレアニーリング処理を示差走査型熱量計(DSC)測定において再現し、プレアニーリング処理と連続してDSC測定を行うことで測定した。一方、比較例においてはプレアニーリング処理を行わないのでDSC測定を行った。
具体的な測定方法として実施例においては表1に示した実施例1〜5の配合物を、2本ロール成形装置にて混練して得た厚さ500μmのシートを用いた。示差走査型熱量計(DSC)においてポリ乳酸系成形体サンプルを200℃まで昇温し、その状態で、10分保持した。その後、表1のプレアニーリング温度まで100℃/分の速度で冷却し、その状態で表1のプレアニーリング時間、保持した。この冷却し保持する工程がプレアニーリング処理に相当する。例えば、実施例1では130℃まで冷却し、その状態で1分間保持した。その後、130〜160℃の所定温度まで100℃/分の速度で昇温し、その状態で、60分保持し、DSC等温結晶化曲線を得た。得られたDSC等温結晶化曲線から、発熱ピークを得、発熱ピークのトップの時間を結晶化ピーク時間(τt)として、求めた。
比較例においては、示差走査型熱量計(DSC)においてポリ乳酸系成形体サンプルを200℃まで昇温し、その状態で、10分保持した。その後、プレアニーリング処理を経ることなく130〜160℃の所定温度まで100℃/分の速度で冷却し、その状態で、60分保持し、DSC等温結晶化曲線を得た。得られたDSC等温結晶化曲線から、発熱ピークを得、発熱ピークのトップの時間を結晶化ピーク時間(τt)として、求めた。
60分間で発熱ピークが観測されなかった場合には、表において「観測できず」と記載した。
実施例1〜5、比較例1〜5で得られたポリ乳酸系成形体を0℃から10℃/分の速度で200℃まで昇温した。昇温時のDSC曲線を得、得られたDSC曲線から、80〜120℃の範囲にある発熱ピーク、150〜180℃の範囲にある吸熱ピークを得、発熱ピークから冷結晶化量(ΔHc)、吸熱ピークから結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。さらに下記式にてポリ乳酸系成形体の結晶融解熱量(ΔHm−comp)を求めた。
(ΔHm−comp) = (ΔHm) − (ΔHc)
なお、ピーク高さは、65℃〜85℃付近のベースラインと170℃〜200℃付近のベースラインを結ぶことにより得られるベースラインからの高さで求めた。
実施例1〜5、比較例1〜5で得られたポリ乳酸系成形体を、120℃のオーブン中で1時間熱処理した後の外観を目視にて観察し、以下の3段階で評価した。
○:変形なし
△:一部変形等が生じた箇所がある
×:大部分で変形等が生じた
(b) 発熱ピークの頂点:結晶化温度(Tc)
(c) 0分から発熱ピークが観測されたときまでの時間:結晶化ピーク時間(τt)
(d) 吸熱ピーク:結晶融解熱量(ΔHm)
(e) 発熱ピーク:冷結晶化量(ΔHc)
Claims (5)
- ポリ乳酸樹脂(A)の過冷却溶融体であるポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)を成形して得られるポリ乳酸系成形体であって、
前記ポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)に前記ポリ乳酸樹脂(A)の微小結晶を含み、
前記微小結晶に由来する示差走査型熱量計(DSC)による昇温測定で測定された結晶融解熱量(ΔHm−mc)が0.05〜5J/gであり、
前記ポリ乳酸系成形体の示差走査型熱量計(DSC)による昇温測定で測定された結晶融解熱量(ΔHm−comp)が25J/g以上である耐熱性ポリ乳酸系成形体。 - 前記ポリ乳酸樹脂過冷却溶融体(A1)は前記微小結晶が生成する温度においてプレアニーリング処理された過冷却溶融体である請求項1に記載の耐熱性ポリ乳酸系成形体。
- 前記ポリ乳酸樹脂(A)を示差走査型熱量計(DSC)において200℃まで昇温し、その後、設定温度(I)まで冷却した状態で0.1〜1分間保持し、さらに200℃まで昇温した際に前記微小結晶に由来する融解ピークが観察された場合の前記設定温度(I)を微小結晶生成温度と定義し、
前記ポリ乳酸樹脂(A)を前記微小結晶生成温度においてプレアニーリング処理して得られる請求項2に記載の耐熱性ポリ乳酸系成形体。 - 前記ポリ乳酸樹脂(A)を融点(Tm)以上で溶融させ、
前記ポリ乳酸樹脂(A)の結晶化温度(Tc)±30℃でプレアニーリング処理し、
前記ポリ乳酸樹脂(A)の融点(Tm)‐30℃から融点(Tm)の間でアニーリング処理して得られる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の耐熱性ポリ乳酸系成形体。 - 前記ポリ乳酸樹脂(A)を融点(Tm)以上で溶融し、
前記ポリ乳酸樹脂(A)の結晶化温度(Tc)±30℃でプレアニーリング処理し、
前記ポリ乳酸樹脂(A)の融点(Tm)‐30℃から融点(Tm)の間でアニーリング処理することを特徴とする耐熱性ポリ乳酸系成形体の製造方法。
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