JP2014105306A - 生分解性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性及び耐久性が良好な生分解性樹脂成形品の製造方法に関すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物からなるシート又はフィルムを加工する工程を含む生分解性樹脂成形品の製造方法であって、前記シート又はフィルムが下記工程1及び工程2を含む方法によって成形されてなることを特徴とする、生分解性樹脂成形品の製造方法。
工程1:ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物用原料を特定の式で算出される総せん断ひずみ量が25,000〜200,000となる条件で溶融混練する工程
工程2:工程1で得られた溶融混練物を押出成形法によりダイからシート又はフィルムとして押出した後、該シート又はフィルムを表面温度0〜15℃の冷却媒体の1つ以上と接触させる工程
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性樹脂成形品の製造方法に関する。さらに詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得る生分解性樹脂成形品の製造方法に関する。
ポリ乳酸は樹脂の性能として剛性が強く透明性が良いという特徴があるので、現在その利用が期待されている。しかし、ポリ乳酸樹脂は、脆く、硬く、可撓性に欠けるといった特性も有するため、フィルムやシートなどに成形した場合は、柔軟性が不足したり、折り曲げたときに白化したりするなどの問題があり、軟質又は半硬質分野ではなく硬質成形品分野への適用に限られているのが現状である。また、ポリ乳酸のガラス転移温度(Tg)は60℃と低く耐熱性に劣るため、温度が55℃以上となる環境下では使用できない問題があった。
ポリ乳酸樹脂を軟質、半硬質分野に応用する技術として、可塑剤を添加する方法や、あるいは耐熱性を向上させるため結晶核剤を添加して結晶化させる方法が種々提案されている。例えば、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する樹脂組成物から、高い透明性と耐熱性を有するシート又はフィルムを成形する生分解性樹脂成形品の製造方法であって、溶融混練機から押出後に特定温度で処理することにより相対結晶化度を30%以上に結晶化させてシート又はフィルムを得る、生分解性樹脂成形品の製造方法が開示されている(特許文献1参照)。また、ポリ乳酸樹脂に特定のアミド化合物を配合したものを該アミド化合物の溶解温度以上で混練した後、特定温度に冷却することで、該アミド化合物を特定の結晶状態で結晶化させて分散させることにより、剛性や耐衝撃性に優れる成形体が得られることが開示されている(特許文献2参照)。
特許文献3には、ポリ乳酸と有機充填剤を混練する条件として、混練温度、滞留時間、せん断速度を特定の範囲内に設定することにより、有機充填剤の分解による耐熱性の低下を抑制する混練方法も開示されている。
特開2007−130893号公報 特開2011−6654号公報 特開2005−35134号公報
しかし、包装材料や熱成形品等には柔軟性、耐熱性だけでなく、高い透明性と耐久性の両立が求められている。
本発明は、透明性及び耐久性が良好な生分解性樹脂成形品の製造方法に関する。
本発明は、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物からなるシート又はフィルムを加工する工程を含む生分解性樹脂成形品の製造方法であって、前記シート又はフィルムが下記工程1及び工程2を含む方法によって成形されてなることを特徴とする、生分解性樹脂成形品の製造方法、に関する。
工程1:ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物用原料を下記式(A)及び(B)で算出される総せん断ひずみ量が25,000〜200,000となる条件で溶融混練する工程
総せん断ひずみ量=せん断速度γ(sec−1)×滞留時間t(sec) (A)
せん断速度γ(sec−1)=π×D×N/60×1/H (B)
D:溶融混練装置のシリンダー直径(mm)
N:溶融混練装置の回転数(rpm)
H:溶融混練装置のスクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離(mm)
工程2:工程1で得られた溶融混練物を押出成形法によりダイからシート又はフィルムとして押出した後、該シート又はフィルムを表面温度0〜15℃の冷却媒体の1つ以上と接触させる工程
本発明の製造方法によれば、透明性及び耐久性が良好な生分解性樹脂成形品が得られるという優れた効果が奏される。
本発明の生分解性樹脂成形品の製造方法は、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物からなるシート又はフィルムを加工する工程を含むものであって、前記シート又はフィルムが下記工程1及び工程2を含む方法によって成形されたものであることを特徴とする。
工程1:ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物用原料を下記式(A)及び(B)で算出される総せん断ひずみ量が25,000〜200,000となる条件で溶融混練する工程
総せん断ひずみ量=せん断速度γ(sec−1)×滞留時間t(sec) (A)
せん断速度γ(sec−1)=π×D×N/60×1/H (B)
D:溶融混練装置のシリンダー直径(mm)
N:溶融混練装置の回転数(rpm)
H:溶融混練装置のスクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離(mm)
工程2:工程1で得られた溶融混練物を押出成形法によりダイからシート又はフィルムとして押出した後、該シート又はフィルムを表面温度0〜15℃の冷却媒体の1つ以上と接触させる工程
<工程1>
工程1では、本発明における生分解性樹脂組成物用原料を溶融混練する。
〔生分解性樹脂組成物〕
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、Nature Works社製:商品名 Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:商品名 エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等)の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐熱性及び透明性の向上の観点から、ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂は、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂であり、ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の質量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、特に限定されないが、生分解性樹脂組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
[可塑剤]
可塑剤としては、特に限定はなく、従来公知の可塑剤を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等のヒドロキシ安息香酸エステル、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル等の多価アルコールエステル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル、マレイン酸ジ−n−ブチル等のマレイン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、リン酸トリクレジル等のアルキルリン酸エステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリカルボン酸エステル、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル等の多価カルボン酸のアルキルエーテルエステル、アセチル化ポリオキシエチレンヘキシルエーテル等のアセチル化ポリオキシエチレンアルキル(アルキル基の炭素数2〜15)エーテル、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜20のポリエチレングリコールジアセテート、ポリオキシエチレン1,4−ブタンジオールエーテルジアセテート等が挙げられる。
なかでも、生分解性樹脂成形品の成形性、耐衝撃性の観点から、分子内に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物(以下、「AO付加エステル化合物)という)が好ましく、水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が平均0.5〜5モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物等のアルコール成分と公知のカルボン酸成分との縮重合により得られる化合物がより好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法、例えば、特開2008−174735号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
前記AO付加エステル化合物としては、具体的には、マロン酸やコハク酸、グルタル酸、2-メチルコハク酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとのジエステルや、酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのジエステルが挙げられる。なかでも、生分解性樹脂成形品の強度と可撓性の両立、成形性、可塑性、及び可塑剤の耐ブリード性の向上の観点から、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、耐揮発性及び可撓性の向上の観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールの混合物(質量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
前記AO付加エステル化合物は、生分解性樹脂成形品の可撓性を向上させる観点から、全ての酸基がエステル化された完全エステルであることが好ましい。
前記AO付加エステル化合物の平均分子量は、生分解性樹脂成形品の強度と可撓性の両立、ならびに可塑剤の耐ブリード性及び耐揮発性を向上させる観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、本明細書において、AO付加エステル系可塑剤の平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56108×(1分子中のエステル基の数)/鹸化価
また、耐揮発性の観点から、下記式(I)で表されるポリエステル系可塑剤(オリゴエステルともいう)が好ましい。
O−CO−R−CO−〔(OR)O−CO−R−CO−〕OR (I)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(I)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、メチル基が好ましい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可撓性を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、可撓性を発現させる観点及び経済性の観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜6のアルキレン基を示し、ORはオキシアルキレン基を示す。Rは炭素数が2〜6であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
mはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。mが小さくなると、式(I)で表されるエステル化合物のエーテル価が下がり、酸化されにくくなり安定性が向上する傾向がある。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。
nは平均重合度を示し、1〜12の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、ポリ乳酸樹脂の可撓性を向上させる観点から、1〜6の数が好ましく、1〜4の数がより好ましい。なお、本明細書において、平均重合度は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(I)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、mが2、nが1.5のエステル、Rがエチル基、Rが1,4−ブチレン基、Rが1,3−プロピレン基であって、mが1、nが2のエステル、Rがブチル基、Rが1,3−プロピレン基、Rがエチレン基であって、mが3、nが1.5のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rが1,6−ヘキシレン基であって、mが1、nが3のエステル等が挙げられる。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、mが1〜3の数、nが1〜4の数である化合物が好ましく、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、mが1〜3の数、nが1〜3の数である化合物がより好ましい。
式(I)で表されるオリゴエステルの酸価は1.00mgKOH/g以下が好ましく、0.90mgKOH/g以下がより好ましく、水酸基価は5.0mgKOH/g以下が好ましく、4.0mgKOH/g以下がより好ましい。なお、本明細書において、可塑剤の酸価、水酸基価は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(I)で表されるオリゴエステルの平均分子量は、耐揮発性と可塑化効率を向上させる観点から、好ましくは500〜1500、より好ましくは500〜1400、さらに好ましくは500〜1300、よりさらに好ましくは500〜1200である。なお、本明細書において、オリゴエステル系可塑剤の数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(I)で表されるオリゴエステルは、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点及び可塑化効率を向上させる観点から、2個の分子末端に対するアルキルエステル化率(末端アルキルエステル化率)が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
式(I)で表されるオリゴエステルのエーテル基価は、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、0〜8mmol/gが好ましく、0〜6mmol/gがより好ましく、1〜6mmol/gがさらに好ましく、1〜5mmol/gがさらに好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(I)中、n=1.2〜3〕が好ましい。
式(I)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよく、例えば特開2012−62467号公報に開示されているような方法に従って製造することができる。
これらのAO付加エステル化合物及び式(I)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。前記AO付加エステル化合物及び式(I)で表される化合物の含有量は、特に限定されないが、生分解性樹脂成形品の強度と可撓性の両立、及び可塑剤の耐ブリード性を向上させる観点から、可塑剤中、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質100質量%であることがさらにより好ましい。
可塑剤の含有量は、生分解性樹脂成形品の強度、可撓性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、生分解性樹脂成形品の透明性の観点から、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。また、生分解性樹脂成形品の耐熱性と透明性の両立の観点から、2〜50質量部が好ましく、3〜40質量部がより好ましく、4〜30質量部がさらに好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。なお、本明細書において「含有量」とは、「含有量もしくは配合量」のことを意味する。
[結晶核剤]
結晶核剤としては、天然又は合成珪酸塩化合物、酸化チタン、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ソーダ等の金属塩やカオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、マイカ等の無機系結晶核剤の他、エチレンビス脂肪酸アミドやプロピレンビス脂肪酸アミド、ブチレンビス脂肪酸アミド等や、フェニルホスホン酸金属塩等の有機系結晶核剤が挙げられる。これらのなかでも、透明性向上の観点から、有機系結晶核剤が好ましく、分子中にエステル基、水酸基、及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有する脂肪族化合物がより好ましい。上記の官能基を2つ以上有するとポリ乳酸樹脂との相互作用が良好となり、相溶性が向上する結果、樹脂中で微分散すると考えられ、水酸基を1つ以上、好ましくは2つ以上有することによりポリ乳酸樹脂への分散性が良好となり、エステル基又はアミド基を1つ以上、好ましくは2つ以上有することによりポリ乳酸樹脂への相溶性が良好となるものと考えられる。
前記脂肪族化合物としては、脂肪族エステル、脂肪族アミド等が挙げられる。具体的には、脂肪族エステルとしては、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等の脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸エステル;脂肪族アミドとしては12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド等の脂肪族ビスアミド、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。生分解性樹脂成形品の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性の観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミドが好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドがより好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがさらに好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがよりさらに好ましい。
前記脂肪族化合物の融点は、65℃以上が好ましく、70℃〜220℃が好ましく、80〜190℃がより好ましい。なお、本明細書において、結晶核剤の融点は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
結晶核剤の含有量は、耐熱性の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上がさらに好ましく、生分解性樹脂成形品の透明性を向上させる観点から、5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。また、生分解性樹脂成形品の耐熱性と透明性の両立の観点から、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。
[加水分解抑制剤]
本発明における生分解性樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、強度、耐久性、耐加水分解性を向上させる観点から、さらに加水分解抑制剤を含有することができる。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、生分解性樹脂成形品の強度、耐久性、耐衝撃性向上の観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、生分解性樹脂成形品の耐久性、成形性(流動性)を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。また、生分解性樹脂成形品の耐久性、耐衝撃性、成形性をより向上させる観点から、モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを併用することが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,3−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、生分解性樹脂成形品の耐久性、耐衝撃性及び成形性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡ケミカル社製)を、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,3−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドは、スタバクゾールP及びスタバクゾールP−100(Rhein Chemie社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾールI(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、生分解性樹脂成形品の透明性、成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
本発明における生分解性樹脂組成物は、前記の成分以外に、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、原料として、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。
工程1では、前記生分解性樹脂組成物の原料を用いて、生分解性樹脂組成物の溶融混練物を調製する。
本発明における生分解性樹脂組成物の溶融混練物は、前記ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の溶融混練装置(混練機)を用いて溶融混練することにより調製することができるが、本発明では、以下に示す条件下で溶融混練を行なうことを特徴とする。
一般的に、溶融混練では、内容物を連続的にせん断することで混練を行なう。よって、混練性の一般的な指標としては、「せん断速度」が挙げられる。せん断速度とは、単位時間あたりのせん断変形に関する速度勾配を意味し、例えば、二面間でせん断変形を行なう場合のせん断速度は下記式により求めることができる。
せん断速度(sec−1)=V/H
V:変形速度(mm/秒)
H:二面間距離(mm)
従って、溶融混練装置が、例えば、シリンダー及びスクリューからなる構造を有する押出機のような円筒形構造においてせん断変形を行う場合には、上記式を下記式に読みかえることにより求めることができ、本発明においては、これにより得られる値をせん断速度とする。
例えば、シリンダー及びスクリューを有する溶融混練装置を用いる場合には、せん断速度は、
せん断速度γ(sec−1)=π×D×N/60×1/H (B)
D:溶融混練装置のシリンダー直径(mm)
N:溶融混練装置の回転数(rpm)
H:溶融混練装置のスクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離(mm)
により求めることができる。ここで、せん断速度は溶融混練装置のスクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離を有する部分におけるせん断速度であり、これは最高せん断速度に相当する。溶融混練装置がニーディング部を有する押出機である場合には、通常、ニーディング部におけるせん断速度である。
本発明で用いられる溶融混練装置としては、例えば、シリンダー直径が好ましくは30〜200mm、より好ましくは40〜150mmのものが好ましく、シリンダー長が1000〜10000mm、より好ましくは1200〜7500mmのものが好ましい。また、スクリュー直径が好ましくは29〜200mm、より好ましくは39〜150mmのものが好ましく、スクリュー長が1000〜10000mm、より好ましくは1200〜7500mmのものが好ましい。さらに、スクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離が好ましくは0.05〜0.3mm、より好ましくは0.1〜0.25mmとなるものが好ましい。
また、溶融混練装置の回転数は好ましくは50〜250rpm、より好ましくは100〜200rpmである。
このように、混練性の一般的な指標であるせん断速度を決定することはできるが、本発明者らは、透明性向上および樹脂劣化の抑制の理由から、前記せん断速度と滞留時間からなるパラメーターを混練性の新たな指標として見出した。即ち、下記式により求められる「総せん断ひずみ量」が特定の範囲内となる条件下で溶融混練して得られた生分解性樹脂組成物を用いて成形品とした場合に、透明性と耐久性に優れることを見出した。
総せん断ひずみ量=せん断速度γ(sec−1)×滞留時間t(sec) (A)
本発明では、総せん断ひずみ量が25,000以上、好ましくは80,000以上、より好ましくは110,000以上となる条件で溶融混練を行なうことにより、透明性が向上する。また、総せん断ひずみ量が200,000以下、好ましくは190,000以下で溶融混練を行なうことにより、樹脂の劣化を抑制できる。また、透明性と樹脂劣化の抑制の観点から、総せん断ひずみ量が25,000〜200,000であり、好ましくは80,000〜190,000、より好ましくは110,000〜190,000となる条件で溶融混練を行なう。前記範囲内の総せん断ひずみ量とするには、せん断速度や滞留時間を適宜調整すればよく、例えば、スクリュー構成や回転数、溶融混練装置のL/D(スクリュー長/スクリュー径)、吐出量等を調整することによりできる。なお、滞留時間とは、原料を投入してから溶融混練し樹脂組成物として取り出すまでの時間を意味する。
また、せん断速度としては、透明性の観点から、1000(sec−1)以上が好ましく、1200(sec−1)以上がより好ましく、1400(sec−1)以上がさらに好ましく、1600(sec−1)以上がさらに好ましい。また、樹脂劣化の抑制の観点から、2200(sec−1)以下が好ましく、2100(sec−1)以下がより好ましく、2000(sec−1)以下がさらに好ましい。また、総せん断ひずみ量が1000〜2200(sec−1)が好ましく、1200〜2100(sec−1)がより好ましく、1400〜2000(sec−1)がさらに好ましく、1600〜2000(sec−1)がさらに好ましい。
滞留時間は、透明性の観点から、25秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、40秒以上がさらに好ましい。また、樹脂劣化の抑制の観点から、90秒以下が好ましく、80秒以下がより好ましく、70秒以下がさらに好ましい。同様に、25〜90秒が好ましく、30〜80秒がより好ましく、40〜70秒がさらに好ましい。
また、溶融混練温度としては、ポリ乳酸樹脂の成形性及び劣化防止を向上する観点から、ポリ乳酸樹脂の融点(Tpm)以上が好ましく、より好ましくはTpm〜Tpm+100℃の範囲、さらに好ましくはTpm〜Tpm+50℃の範囲である。具体的には、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは185℃以上、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。また、総せん断ひずみ量が好ましくは170〜240℃、より好ましくは170〜220℃、さらに好ましくは185〜210℃である。
なお、溶融混練に供する原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に用いることも可能である。生分解性樹脂組成物の溶融混練物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥又は冷却させてもよい。
得られた溶融混練物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下である。また、また、総せん断ひずみ量が好ましくは30〜60℃、より好ましくは30〜55℃、さらに好ましくは35〜55℃である。
溶融混練物の冷結晶化温度(Tc)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、そして、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。また、好ましくは50〜110℃、より好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃である。
溶融混練物の融点(Tm)は、成形体の耐熱性や加工性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、そして、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。また、好ましくは130〜210℃、より好ましくは140〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃である。なお、本明細書において、ポリ乳酸樹脂及び生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)、冷結晶化温度(Tc)、融点(Tm)は、後述の実施例に記載の方法に従って、測定することができる。
かくして得られた溶融混練物を工程2に供する。
<工程2>
工程2では、工程1で得られた溶融混練物を押出成形法によりダイからシート又はフィルムとして押出した後、該シート又はフィルムを表面温度0〜15℃の冷却媒体の1つ以上と接触させて、生分解性樹脂組成物からなる一次加工品(一次成形体ともいう)を調製する。なお、本明細書において「シート」とは厚さが0.1mm以上の平板状のものをいい、「フィルム」とは厚み0.1mm未満の平板状のものをいう。
本発明では、押出し成形されたシート又はフィルムを冷却媒体に接触させることで、一次加工品を非晶又は半結晶の状態で調製することができる。なお、本明細書において、非晶状態及び半結晶状態とは、以下の式により求めた相対結晶化度が60%未満となる場合を非晶状態、相対結晶化度が60%以上、80%未満となる場合を半結晶状態とする。よって、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品とは、相対結晶化度が80%未満の一次加工品を意味する。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、及び2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
押出成形法としては、例えば、前記溶融混練物を乾燥後に、押出機に充填してシート又はフィルムに成形するか、押出機でさらに混合後、直接シート又はフィルムに成形する方法が挙げられる。本発明では、成形性の観点から、加熱した押出機に前記溶融混練物を充填して溶融させた後にTダイから押出すことにより、シート又はフィルムの成形体を得ることができる。
押出機の温度は、生分解性樹脂組成物の溶融混練物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、170〜240℃が好ましく、175〜220℃がより好ましく、180〜210℃がさらに好ましい。なお、本発明において、押出機の温度とは押出機のバレル設定温度を意味する。
押出速度は特に限定されないが、成形性の観点から、1〜100m/分が好ましく、5〜80m/分がより好ましく、10〜50m/分がさらに好ましい。
冷却媒体としては、冷却ロール、冷却金属ベルト、水槽、またはこれらの組み合わせが用いられるが、成形性の観点から、冷却ロール、冷却金属ベルト、および冷却ロールと冷却金属ベルトの組み合わせが好ましく、冷却ロールがより好ましい。また、冷却媒体は、1つ以上であれば特に個数は制限されず、複数ある場合には、押出し成形品に連続して接触できるよう配置されていることが好ましい。
冷却媒体の表面温度とは、冷却媒体の表面層の温度を意味する。本発明では、該表面温度が、成形性の観点から、0℃以上が好ましい。また、透明性の観点から、15℃以下であり、10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。また、同様の観点から、0〜15℃であり、0〜10℃が好ましく、0〜5℃がより好ましい。なお、冷却媒体が複数ある場合、個々の温度は前記範囲内に設定されていれば異なっていてもよいが、同一温度に設定されていることが好ましい。
冷却媒体に接する時間としては、透明性と成形性の観点から、0.1〜50秒が好ましく、0.5〜10秒がより好ましく、0.8〜5秒がさらに好ましい。また押出速度は、非晶状態又は半結晶状態の成形体を得る観点から、1〜100m/分が好ましく、5〜80m/分がより好ましく、10〜50m/分がさらに好ましい。
非晶状態又は半結晶状態のシート状の一次加工品を調製する場合、その厚さは均一な成形品を得る観点から、0.1〜1.5mmが好ましく、0.1〜1.4mmがより好ましく、0.15〜1.2mmがさらに好ましい。
かくして特定条件下で溶融混練して得られた生分解性樹脂組成物を押出し成形した後、特定温度に冷却して非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムを得ることができる。該シート又はフィルムは、熱成形や延伸処理等の二次加工に供しても、結晶核剤の分散状態や樹脂組成は変わらないことから、透明性、耐久性に優れた成形品を提供できる。
本発明における生分解性樹脂成形品は、前記工程1及び工程2を経て得られた非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムを用いるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って加工(二次加工、二次成形)して得ることができる。なお、本発明における生分解性樹脂成形品のことを二次加工品ともいう。
二次加工の方法としては、二次加工品の形態によって異なり、例えば、二次加工品が延伸フィルムである場合は、以下の工程を含む態様が挙げられる。
工程3−1:工程2で得られたシート又はフィルムを、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、冷結晶化温度(Tc)以下の温度領域中で一軸又は二軸延伸して相対結晶化度80%以上に結晶化させた延伸フィルムを得る工程
延伸温度としては、延伸フィルムの結晶化を促進する観点から、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、冷結晶化温度(Tc)以下の温度領域中が好ましい。具体的には、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。また、45〜80℃が好ましく、50〜75℃がより好ましく、55〜70℃がさらに好ましい。かかる温度範囲内で延伸することにより、例えば、前記方法により求めた相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上となるよう結晶化させた延伸フィルムとすることができる。
二軸延伸の場合、同時延伸でも逐次延伸によっても延伸フィルム化することが可能であり、延伸倍率は縦方向に、好ましくは1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍、横方向に、好ましくは1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍の範囲で適宜選択される。さらに、フィルムの強度と厚み精度の観点から縦横それぞれ2倍以上であることが好ましい。また、縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積、すなわち面積延伸倍率は、2〜50倍が好ましく、4〜36倍がより好ましく、6〜20倍がさらに好ましく、8〜16倍がさらに好ましい。
延伸速度は延伸に供されるシートの大きさや所望の延伸倍率によって適宜設定することができる。これらの適正範囲は、樹脂組成物の組成や、未延伸(延伸前の)シートの熱履歴によって異なるので、フィルムの強度、伸びを考慮しながら適宜決められる。
なお、延伸後には、熱処理(熱固定)、具体的には、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃の温度下で、好ましくは3〜120秒、より好ましくは5〜60秒維持することができる。
また、延伸フィルムの一態様としては、少なくとも一方向に、所望の厚みまで延伸して結晶化させた後に実質、熱固定を行わないことにより熱収縮フィルムとすることができる。
得られた延伸フィルムの厚みは、透明性と剛性の観点から、0.01mm以上0.1mm未満が好ましく、0.02〜0.09mmがより好ましく、0.03〜0.08mmがさらに好ましい。
また、二次加工品が熱成形品である場合は、以下の工程を含む態様が挙げられる。
工程3−2:工程2で得られたシート又はフィルムを、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形して相対結晶化度80%以上に結晶化させた熱成形品を得る工程
熱成形の方法としては、加熱した状態で真空成形又は圧空成形する方法が挙げられる。具体的には、例えば、前記方法により調製したシート状の一次加工品を真空圧空成形機中の金型内に設置して、金型内を生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度に加熱し、加圧又は無加圧状態に保ち成形することができる。
金型温度としては、生分解性樹脂組成物の結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度であればよく、具体的には、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。また、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は70〜120℃が好ましく、75〜115℃がより好ましく、80〜110℃がさらに好ましい。
金型内での保持時間は、熱成形品の耐熱性及び生産性の向上の観点から、例えば90℃の金型において、2〜60秒が好ましく、3〜30秒がより好ましく、5〜20秒がさらに好ましい。
得られた熱成形品の厚みは、特に限定されないが、均一な成形体(二次加工品)を得る観点から、0.1〜1.5mmが好ましく、0.15〜1.4mmがより好ましく、0.2〜1.2mmがさらに好ましい。
さらに、二次加工品がシート又はフィルムである場合は、以下の工程を含む態様が挙げられる。
工程3−3:工程2で得られたシート又はフィルムを、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度に加熱して相対結晶化度80%以上の結晶化シート又は結晶化フィルムを得る工程
工程3−3では、例えば、工程2で得られたシート又はフィルムをそのまま、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度に加熱すればよく、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜110℃の温度下で維持することにより結晶化を行うことができる。具体的には、表面温度60〜100℃の1つ以上の金属ロールに接触させる、あるいは、60〜100℃の恒温層を通すことで熱処理を行なうことができる。好ましくは表面温度60〜100℃の2つ以上の金属ロールに接触させる、あるいは、60〜100℃の恒温層を通すことで熱処理を行なうことができる。維持(接触又は恒温槽通過)する時間は、好ましくは5〜60秒、より好ましくは7〜45秒、さらに好ましくは10〜30秒である。
かくして、本発明の製造方法によると、透明性及び耐久性を両立する成形品を生産性良く製造することができる。
本発明はまた、本発明の製造方法により得られる生分解性樹脂成形品を提供する。
本発明の生分解性樹脂成形品は、本発明の製造方法により得られるものであれば特に限定はなく、前記方法により調製することができる。即ち、本発明の生分解性樹脂成形品は、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物用原料を特定条件下で溶融混練して、押出し成形された後、特定温度に冷却されたシート又フィルムを二次加工することにより得られる。前記溶融混練において特定の総せん断ひずみ量で混練することにより、ポリ乳酸樹脂中での可塑剤、結晶核剤の分散性が向上し、かつ、ポリ乳酸樹脂の劣化が抑制され、また、押出し成形後に特定温度に冷却することで結晶核剤が微細な状態で析出するため、透明性に優れ、耐久性に優れるものとなる。
本発明の生分解性樹脂成形品は、透明性及び耐久性に優れることから、高温での使用が可能となり、各種用途、なかでも、日用品、化粧品、家電製品などのクリアケースや紙箱の透明窓等の包装容器やクリアホルダーやIDカードケース等の文具類、耐熱性の容器、ブリスターパック、トレイ等の製品に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔可塑剤の酸価、水酸基価、及び鹸化価〕
酸価:滴定溶媒としてトルエン/エタノール=2/1(体積比)を用いる他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
水酸基価:アセチル化試薬として無水酢酸/ピリジン=1/4(体積比)を用い、添加量を3mLとする他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
鹸化価:水浴の温度を95℃に、加熱時間を1時間にする他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
〔オリゴエステル系可塑剤の分子量〕
分子量:本明細書においてオリゴエステル系可塑剤の分子量とは数平均分子量を意味し、酸価、水酸基価、及び鹸化価から次式により算出する。
平均分子量 M=(M+M−M×2)×n+M−(M−17.01)×2+(M−17.01)×p+(M−17.01)×q+1.01×(2−p−q)
q=水酸基価×M÷56110
2−p−q=酸価×M÷56110
平均重合度 b=鹸化価×M÷(2×56110)−1
〔AO付加エステル系可塑剤の平均分子量〕
AO付加エステル系可塑剤の平均分子量は、質量平均分子量を意味し、鹸化価から次式より計算で求める。
平均分子量=56108×(1分子中のエステル基の数)/鹸化価
〔結晶核剤の融点〕
結晶核剤の融点は、JIS K7121に従って、DSC装置(パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)を用い、昇温速度10℃/分で20℃から500℃まで昇温して測定を行う。
〔ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移点及び冷結晶化温度〕
JIS K7121に従い、試料をアルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、25℃から200℃まで15℃/minで昇温させ、ガラス転移温度(℃)及び冷結晶化温度(℃)を測定する。
〔ポリ乳酸樹脂組成物の融点〕
ポリ乳酸樹脂の融点は、JIS K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
可塑剤の調製例1(コハク酸ジメチルと1,3−プロパンジオールのオリゴエステル化合物)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3−プロパンジオール521g(6.84モル)及び触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.9g(ナトリウムメトキシド0.031モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1500g(10.26モル)を1時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、60℃に冷却し、28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、2時間かけて120℃に昇温した後、圧力を1時間かけて常圧から3.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.1kPaで、温度を2.5時間かけて85℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.58モルであった。
実施例1〜11及び比較例1〜4
表1〜2に示す生分解性樹脂組成物用原料を、2軸押出機(Perker製 HK25D、シリンダー直径25.2mm、回転数100rpm又は200rpm、スクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離0.125mm)を使用して、シリンダー及びダイの温度が180〜190℃、かつ、表1〜2に示す条件で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、110℃、減圧下で2時間乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
そのペレットを200℃に設定したT−ダイ押出機(創建社製 250mmT−ダイ)を用いて押出した後、表1〜2に示す表面温度に制御した冷却ロール(第1ロール)に3秒間接触させて、次いで、80℃の1つの熱処理ロールにより10秒間、熱処理加工を行って、シートを得た。
なお、表1〜2における原料は以下の通りである。
<ポリ乳酸樹脂>
NW4032D:ポリ乳酸樹脂、ネイチャーワークスLLC社製、ポリ−L−乳酸、NatureWorks 4032D、融点165℃
<可塑剤>
エコラA−1010:コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、式(I)におけるRがメチル基、Rがエチレン基、Rがメチル基であって、m及びnが3のエステル化合物、花王社製、質量平均分子量410
DAIFATTY−101:アジピン酸とメチルジグリコール/ベンジルエステル等量混合物とのジエステル化合物、大八化学工業製、質量平均分子量338
MeSA−1,3PD:可塑剤の調製例1により調製されたジメチルコハク酸と1,3プロパンジオールとのオリゴエステル化合物、数平均分子量840
<結晶核剤>
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製、融点145℃
スリパックスZHH:ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製、融点135℃
<加水分解抑制剤>
カルボジライトLA−1:ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル社製
得られたペレット及びシートの特性を、下記の試験例1〜5の方法に従って評価した。結果を表1〜2に示す。
試験例1(透明性)
JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、ヘイズ値を測定した。数字が低いほど透明性が良好であることを示す。
試験例2(透過性)
シートの裏に0.4mmの隙間を開けて新聞紙を置いたときの文字の見易さを、下記の3段階評価に沿って、専門パネラー(3名)にて評価を行なった。その際の3名の評価点の平均値を透過性の指標とした。数値が低いほど透過性に優れることを示す。なお、パネラーは、老若男女問わない専門パネラー10人から無作為に3人選択して用いた。
<透過性の評価基準>
3:はっきり見える
2:少し見えにくいが読める
1:かなり見えにくく読めない
試験例3(耐久性)
シートを長方形(1cm×4cm)に切り取り、環境試験機(Platinousエスペック社製)を用いて60℃、75%RHの条件で保存後、1週間に1度取り出して、手で180度の角度まで屈曲させ、割れが発生しない最大日数を耐久日数とした。
試験例4(質量平均分子量)
得られたペレットをクロロホルム(和光社製)で溶解させ、約1mg/Lのサンプルを調製した。その後、ゲル浸透クロマトグラフ(CHCl系GPC、東ソー社製)により、サンプルの質量平均分子量Mwを算出した。
試験例5(結晶性)
シートについて7.5mg精秤し、アルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温した。1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求め、得られた値から、下記式により相対結晶化度(%)を求めた。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
Figure 2014105306
Figure 2014105306
表1〜2の結果から明らかなように、冷却ロールの温度が低いほど透明性が向上する。また適当な総せん断ひずみ量で溶融混練することで、透明性が向上し、樹脂劣化が抑制されることがわかる。
本発明の製造方法により得られる生分解性樹脂成形品は、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物からなるシート又はフィルムを加工する工程を含む生分解性樹脂成形品の製造方法であって、前記シート又はフィルムが下記工程1及び工程2を含む方法によって成形されてなることを特徴とする、生分解性樹脂成形品の製造方法。
    工程1:ポリ乳酸樹脂、可塑剤、及び結晶核剤を含有する生分解性樹脂組成物用原料を下記式(A)及び(B)で算出される総せん断ひずみ量が25,000〜200,000となる条件で溶融混練する工程
    総せん断ひずみ量=せん断速度γ(sec−1)×滞留時間t(sec) (A)
    せん断速度γ(sec−1)=π×D×N/60×1/H (B)
    D:溶融混練装置のシリンダー直径(mm)
    N:溶融混練装置の回転数(rpm)
    H:溶融混練装置のスクリューとシリンダー内壁との最小間隙距離(mm)
    工程2:工程1で得られた溶融混練物を押出成形法によりダイからシート又はフィルムとして押出した後、該シート又はフィルムを表面温度0〜15℃の冷却媒体の1つ以上と接触させる工程
  2. 工程1において、滞留時間25〜90秒、せん断速度1000〜2200(sec−1)で溶融混練する、請求項1記載の生分解性樹脂成形品の製造方法。
  3. 結晶核剤が、分子中にエステル基、水酸基、及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有する脂肪族化合物である、請求項1又は2記載の生分解性樹脂成形品の製造方法。
  4. 可塑剤が、分子内に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性樹脂成形品の製造方法。
  5. 可塑剤が、下記式(I)で示されるポリエステル系可塑剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性樹脂成形品の製造方法。
    O−CO−R−CO−〔(OR)O−CO−R−CO−〕OR (I)
    (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
  6. 工程2における押出し温度が170〜240℃である、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
  7. さらに、工程2で得られたシート又はフィルムを、表面温度60〜100℃の1つ以上の金属ロールに接触させて、及び/又は、60〜100℃の恒温層を通して、熱処理して結晶化させる工程(工程3)を含む、請求項1〜6いずれかに記載の製造方法。
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