JP2017019957A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に異物の発生が抑制された透明シートを調製可能なポリ乳酸樹脂組成物、該ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート、及び該透明シートの製造方法に関すること。
【解決手段】(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物、前記ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート、前記ポリ乳酸樹脂組成物を温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程、前記工程で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程、及び前記工程で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程を含む、前記透明シートの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物、前記ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート、前記ポリ乳酸樹脂組成物を温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程、前記工程で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程、及び前記工程で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程を含む、前記透明シートの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。更に詳しくは、日用品、化粧品、家電製品等のパックやトレイ等の成形体の材として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、該ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート、及び該透明シートの製造方法に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いこと等の特徴により、現在その利用が期待されている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸樹脂と可塑剤と多官能性化合物を特定割合で含有することにより、柔軟性、透明性に優れるだけでなく、ヒートシール性に優れ、またインフレーション製膜法における延伸性、製膜安定性やブロー成形性に優れ、かつフィルムの強度や伸度などの経時での特性変化が抑制されたフィルムが得られると開示されている。ここで、多官能性化合物とは、ポリ乳酸樹脂あるいは可塑剤の水酸基やカルボキシル基と反応性を有する官能基を、1分子中に2つ以上有する化合物であり、カルボジイミド基、グリシジル基、オキサゾリン基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有することが好ましいと記載されている。
特許文献2には、成形加工性が良好であり、さらには成形時のフィルムのロール離れが良く、製膜したフィルムもブロッキングせず、かつ、柔軟性及び透明性が共に良好なフィルムを提供可能なポリ乳酸系樹脂組成物として、ポリ乳酸系樹脂65%重量以上94%重量以下、可塑剤5重量%以上30重量%以下、有機滑剤0.1重量%以上5重量%以下を含む組成物が開示されている。また、有機滑剤の含有量が前記範囲内であることにより、フィルムとした際のブリードアウトやヘイズアップなどの外観不良が抑制されると記載されている。
特許文献3は、乳酸系樹脂(A)と、乳酸系樹脂(A)以外の生分解性樹脂(B)を含有する生分解性フィルムが、フィルムの長さ方向と厚さ方向の断面において、生分解性樹脂(B)からなる連続相に、乳酸系樹脂(A)からなる分散相が、フィルムの長さ方向に長い楕円状又は長い層状に分散した構造を有し、かつ、その相の厚みと樹脂含有量とが特定の関係を満たす場合に、柔軟性、耐引裂性、透明性に優れ、かつバイオマス性に優れた、特にインフレーション製膜法で良好な効果が発現する生分解性フィルムが得られることを報告している。
特許文献4には、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造された樹脂シートであって、前記樹脂シートが、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、かつ、シートの表面粗さが特定の関係を有する場合に、耐熱性、透明性、及びすべり性に優れ、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートが得られることが開示されている。また、特許文献4で用いられる多官能性化合物としては、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸ハロゲン化物、多価カルボン酸、多価イソシアネート、多価アミン、多価アルコールおよび多価エポキシ化合物などが挙げられている。
しかしながら、従来技術に依って、ポリ乳酸樹脂を含有する透明シートを調製したところ、シート上に微小な異物が形成されることが認められ、更なる改良が必要であることが分かった。
本発明は、表面に異物の発生が抑制された透明シートを調製可能なポリ乳酸樹脂組成物、該ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート、及び該透明シートの製造方法に関する。
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 (A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物。
〔2〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート。
〔3〕 下記工程(1)〜(3)を含む、前記〔2〕記載の透明シートの製造方法。
工程(1):(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程
工程(3):工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程
〔1〕 (A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物。
〔2〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート。
〔3〕 下記工程(1)〜(3)を含む、前記〔2〕記載の透明シートの製造方法。
工程(1):(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程
工程(3):工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程
本発明により、表面に異物の発生が抑制されたポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シートが提供される。本発明の透明シートは、透明性に優れ、生分解性に優れることから、日用品、化粧品、家電製品等のパックやトレイ等の成形体の材として好適に使用することができる。
従来、ポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シートは、公知の製膜法に従って調製することが可能であり、例えば、溶融混練後のポリ乳酸樹脂組成物を押出機に充填してTダイから押出すことによって調製している。しかしながら、押出機を用いて調製した透明シートを顕微鏡で観察したところ、その表面に異物(ヤケ)が形成される場合があることが判明した。本発明者らが、その原因を検討したところ、押出機のスクリュー部分、なかでも、原料供給口付近のスクリュー部分における残留物と前記異物とが同じ成分で構成され、それらがカルボジイミド基とアミド基を有する化合物であることが分かった。そこで、これらの発生源として、イソシアネート基(−N=C=O)に着目した結果、分子中にイソシアネート基を有さないカルボジイミド化合物をポリ乳酸樹脂に配合して押出成形したところ、得られるシート表面にはヤケ物の発生が抑制されることが分かった。このような現象が確認される理由としては、以下の様に考えられる。イソシアネート基を有するカルボジイミド化合物は、元来、ポリ乳酸樹脂の末端を封止する剤として使用されているが、イソシアネート基を持つカルボジイミド化合物は軟化点が低いことから、押出機内で付着滞留することで残存し、組成物中の水と反応してカルバミン酸を生成し、さらに、脱炭酸反応を経てアミンを生成後、生成したアミンが未反応の前記カルボジイミド化合物のイソシアネート基と反応し、ウレア結合を形成する。この反応を繰り返すことで架橋体となり、結果として、時間を経るに従って異物が確認されるようになる。一方、分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を用いると、イソシアネートによる上記反応が起こらないため、異物の原因である架橋体の生成を抑制できると推測される。ただし、これらの推測は、本発明を限定するものではない。
〔ポリ乳酸樹脂組成物〕
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有する。
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂、例えば、Nature Works社製:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032Dや、トヨタ自動車社製:エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。ポリ乳酸樹脂組成物の強度や透明性の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂、例えば、Nature Works社製:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032Dや、トヨタ自動車社製:エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。ポリ乳酸樹脂組成物の強度や透明性の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度や透明性の観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を用いてもよい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。なお、本明細書において「生分解性」とは、自然界において微生物によって低分子化合物に分解され得る性質のことであり、具体的には、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性のことを意味する。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、成形性の観点から、融点が140℃以上のものが好ましく、150℃以上のものがより好ましく、160℃以上のものが更に好ましい。また、高温での溶融混練による異物発生を抑制する観点から、190℃未満のものが好ましく、180℃以下のものがより好ましい。なお、本明細書において、融点及びガラス転移点は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、生分解性の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物中、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。
[分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物]
本発明で用いる分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物としては、分子中に、イソシアネート基(−N=C=O)を含有せずに、カルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物のことである。以降、前記カルボジイミド化合物のことを、単に、イソシアネート基非含有カルボジイミド化合物と記載することもある。本発明において、イソシアネート基を含有しない化合物とは、イソシアネート基を実質的に含有しない化合物だけでなく、分子末端のイソシアネート基が公知の封鎖処理によって封鎖された化合物も含むものとする。また、当該封鎖処理によって残存するイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含有率)は、封鎖処理前に含まれるイソシアネート基を100%とすると、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、実質的に0%である。
本発明で用いる分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物としては、分子中に、イソシアネート基(−N=C=O)を含有せずに、カルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物のことである。以降、前記カルボジイミド化合物のことを、単に、イソシアネート基非含有カルボジイミド化合物と記載することもある。本発明において、イソシアネート基を含有しない化合物とは、イソシアネート基を実質的に含有しない化合物だけでなく、分子末端のイソシアネート基が公知の封鎖処理によって封鎖された化合物も含むものとする。また、当該封鎖処理によって残存するイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含有率)は、封鎖処理前に含まれるイソシアネート基を100%とすると、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、実質的に0%である。
本発明において用いるイソシアネート基非含有カルボジイミド化合物としては、以下の2種類の化合物を例示することができる。
(1)単官能イソシアネート化合物の1種又は2種以上を脱二酸化炭素縮合反応させることにより得られる化合物
(2)多官能イソシアネート化合物の1種又は2種以上を脱二酸化炭素縮合反応させて一旦カルボジイミド化した後、さらに末端の残存イソシアネート基を親水性基で封止することにより得られる化合物
ここで、末端封止に用いられる親水基としては、アルキルスルホン酸塩の残基、ジアルキルアミノアルコールの残基の四級塩、アルコキシ基末端を封鎖されたポリオキシアルキレンの残基などがあげられる。また、前記(1)と(2)を組み合わせた化合物、具体的には、単官能イソシアネート化合物と多官能イソシアネート化合物を脱二酸化炭素縮合反応させて一旦カルボジイミド化した後、必要により末端の残存イソシアネート基を前記親水性基で封止することにより得られる化合物も用いることができる。
(1)単官能イソシアネート化合物の1種又は2種以上を脱二酸化炭素縮合反応させることにより得られる化合物
(2)多官能イソシアネート化合物の1種又は2種以上を脱二酸化炭素縮合反応させて一旦カルボジイミド化した後、さらに末端の残存イソシアネート基を親水性基で封止することにより得られる化合物
ここで、末端封止に用いられる親水基としては、アルキルスルホン酸塩の残基、ジアルキルアミノアルコールの残基の四級塩、アルコキシ基末端を封鎖されたポリオキシアルキレンの残基などがあげられる。また、前記(1)と(2)を組み合わせた化合物、具体的には、単官能イソシアネート化合物と多官能イソシアネート化合物を脱二酸化炭素縮合反応させて一旦カルボジイミド化した後、必要により末端の残存イソシアネート基を前記親水性基で封止することにより得られる化合物も用いることができる。
具体的には、前記単官能イソシアネート化合物としては、2,6一ジイソプロピルフェニルイソシアネートが挙げられる。また、多官能イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(H6TDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート(TIDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、2,4,−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。これらイソシアネート化合物を公知の条件に従って脱二酸化炭素縮合反応させ、多官能イソシアネート化合物を用いた場合は、必要により末端イソシアネート基を封鎖したものを用いることができる。
これらのなかでも、上記イソシアネート化合物から脱二酸化炭素縮合反応させ得られたイソシアネート基非含有カルボジイミド化合物としては、異物の発生抑制の観点から、ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、末端イソシアネートを封止したポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、末端イソシアネートを封止したジ−4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、末端イソシアネートを封止したテトラメチルキシリレンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物が挙げられ、前記カルボジイミド化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
カルボジイミド化合物の含有量は、熱安定性の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が更に好ましく、異物の発生抑制の観点から、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましく、0.8質量部以下が更により好ましい。なお、カルボジイミド化合物を複数用いる場合は、合計使用量を意味する。
また、ポリ乳酸樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量は、熱安定性の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、異物の発生抑制の観点から、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましく、0.8質量%以下が更により好ましい。
[可塑剤]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、熱成形性及び流動性を向上させる観点から、可塑剤を含有することができる。なかでも、透明性の観点から、以下の(i)及び(ii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物を含むことが好ましい。
(i)分子中に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物、及び
(ii)式(I):
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2又は3のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
で表される化合物
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、熱成形性及び流動性を向上させる観点から、可塑剤を含有することができる。なかでも、透明性の観点から、以下の(i)及び(ii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物を含むことが好ましい。
(i)分子中に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物、及び
(ii)式(I):
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2又は3のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
で表される化合物
(i)のエステル化合物としては、熱成形性と透明性の観点から、分子中に2個以上、好ましくは2個以上5個以下、より好ましくは2個以上3個以下のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキサイドを平均0.5モル以上5モル以下、好ましくは1モル以上5モル以下、より好ましくは1モル以上3モル以下付加したアルコールであるエステル化合物を用いることができる。なかでも、好ましくは、分子中に2個以上、好ましくは2個以上5個以下、より好ましくは2個以上3個以下のエステル基を有する多価アルコールエステル又は多価カルボン酸エステルであって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキサイドを平均0.5モル以上5モル以下、好ましくは1モル以上5モル以下、より好ましくは1モル以上3モル以下付加したアルコールであるエステル化合物を用いることができる。
具体的には、例えば、特開2008−174718号公報及び特開2008−115372号公報に記載の可塑剤が挙げられる。なかでも、酢酸とグリセリンのエチレンオキサイド平均3モル以上6モル以下付加物(水酸基1個あたりエチレンオキサイドを1モル以上2モル以下付加)とのエステル、酢酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が4以上6以下のポリエチレングリコールとのエステル、コハク酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が2以上3以下のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(水酸基1個あたりエチレンオキサイドを2モル以上3モル以下付加)とのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルが好適に用いられる。
(ii)のエステル化合物は、透明性及び耐ブリード性の観点から、好ましい。
式(I)におけるR1は、炭素数が1以上4以下、好ましくは1又は2のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。R1は炭素数が1以上4以下であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑剤のブリードアウトを抑制する観点、及び透明性の観点から、メチル基が好ましい。
式(I)におけるR2は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑剤のブリードアウトを抑制する観点、及び透明性の観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよい。
式(I)におけるR3は、炭素数が2又は3のアルキレン基を示し、OR3はオキシアルキレン基を示す。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が挙げられる。但し、全てのR3は同一でも異なっていてもよい。
mはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1以上6以下の数である。mが大きくなると、式(I)で表されるエステル化合物のエーテル基価が上がり、酸化されやすくなり安定性が低下する傾向がある。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1以上4以下の数が好ましく、1以上3以下の数がより好ましく、1以上2以下の数が更に好ましい。
nは平均重合度を示し、1以上12以下の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑剤のブリードアウトを抑制する観点、及び透明性の観点から、1以上4以下の数が好ましく、1以上3以下の数がより好ましく、1以上2以下の数が更に好ましい。
かかる構造のうちでも、透明性の観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(I)中、n=1〜3〕が好ましい。
式(I)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよく、例えば特開2012−62467号公報に開示されているような方法に従って製造することができる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、前記(i)及び(ii)以外の他の可塑剤を用いることができる。他の可塑剤としては、例えば、前記(i)及び(ii)以外の、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、及びエポキシ系可塑剤等を用いることができる。可塑剤における前記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物の含有量は、透明性の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が更により好ましく、100質量%が更により好ましい。なお、本明細書において、(i)及び(ii)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のエステル化合物の含有量とは、複数の化合物を用いている場合は合計含有量を意味する。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましく、6質量部以上が更により好ましく、透明性の観点から、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、透明性の観点から、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。
[有機結晶核剤]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、結晶化速度を向上させる観点から、前記成分以外に、更に、有機結晶核剤を用いることができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、結晶化速度を向上させる観点から、前記成分以外に、更に、有機結晶核剤を用いることができる。
有機結晶核剤としては、公知のものを用いることができるが、組成物中での安定性の観点から、水酸基を有する脂肪族アミド化合物が好ましい。
水酸基を有する脂肪族アミド化合物としては、水酸基を1つ以上有し、かつ、アミド結合を2つ以上有する脂肪族化合物が好ましく、水酸基を2つ以上有し、かつ、アミド結合を2つ以上有する脂肪族化合物がより好ましい。かかる化合物としては、ヒドロキシ脂肪酸ビスアミド等が挙げられ、具体的には、例えば、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、キシリレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドが用いられる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、水酸基を有する脂肪族アミド化合物以外の公知の他の有機結晶核剤を用いることができる。他の有機結晶核剤としては、特に限定されないが、アルキレンビス脂肪酸アミドやフェニルホスホン酸の金属塩を用いることができる。有機結晶核剤における水酸基を有する脂肪族アミド化合物の含有量は、安定な分散性の観点から、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが更により好ましい。
有機結晶核剤の含有量は、結晶化速度を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.4質量部以上が更に好ましい。また、透明性の観点から、2.0質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が更に好ましい。
[架橋剤]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、熱成形性の観点から、前記成分以外に、更に、架橋剤を用いることができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、熱成形性の観点から、前記成分以外に、更に、架橋剤を用いることができる。
架橋剤としては、特に限定はなく公知のものが挙げられるが、例えば、ポリ乳酸樹脂との反応性の観点、ダイラインの発生抑制(成形性)の観点から、エポキシ基を有するアクリル/スチレン共重合体が好ましい。具体的には、BASF社製「JONCRYL ADR4370S」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量6700、エポキシ当量285g/mol)、「JONCRYL ADR4368CS」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量6700、エポキシ当量285g/mol)、「JONCRYL ADR4368F」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量6700、エポキシ当量285g/mol)、「JONCRYL ADR4300S」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量5500、エポキシ当量445g/mol)、東亜合成社製「ARUFON UG4035」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量11000、エポキシ当量556g/mol)、「ARUFON UG4040」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量11000、エポキシ当量480g/mol)、「ARUFON UG4070」(グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、重量平均分子量9700、エポキシ当量714g/mol)が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
架橋剤の含有量は、ダイラインの発生抑制及び熱成形性の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が更に好ましく、熱安定性の観点から、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましく、0.8質量部以下が更により好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、滑剤、無機結晶核剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を含有することも可能である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記成分(A)及び(B)を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、ポリ乳酸樹脂及び分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物、さらに必要により、可塑剤を含む他の添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥させてもよい。
溶融混練温度は、分解抑制及び透明性の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物の融点(Tm)以上であり、好ましくはTm℃以上、Tm+100℃以下の範囲であり、より好ましくはTm℃以上、Tm+80℃以下の範囲である。具体的には、例えば、好ましくは170℃以上であり、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15〜900秒間が好ましい。
前記ポリ乳酸樹脂組成物の融点(Tm)は、生産性の観点から、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、160℃以上が更に好ましく、210℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、190℃以下が更に好ましく、180℃以下が更により好ましく、170℃以下が更により好ましい。
また、前記ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、生産性の観点から、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、35℃以上が更により好ましく、70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
〔透明シート〕
かくして得られた本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、熱成形性等の二次加工性に優れることから、例えば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を加熱した押出機に充填し、溶融させた後にTダイから押出すことで、透明のシート状成形体を得ることができる。よって、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シートを提供する。ここで、本発明の透明シートは、押出されたシート状成形体を直ぐに冷却ロール、次いで加熱ロールに接触させることでシートの結晶性を調整し、その後、裁断して得ることもできる。なお、押出機に充填する際に、予め溶融混練した本発明のポリ乳酸樹脂組成物を押出成形機に充填してもよいが、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリ乳酸樹脂及び分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物、さらに必要により、可塑剤を含む各種添加剤を充填して溶融混練後、押出成形してもよい。
かくして得られた本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、熱成形性等の二次加工性に優れることから、例えば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を加熱した押出機に充填し、溶融させた後にTダイから押出すことで、透明のシート状成形体を得ることができる。よって、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シートを提供する。ここで、本発明の透明シートは、押出されたシート状成形体を直ぐに冷却ロール、次いで加熱ロールに接触させることでシートの結晶性を調整し、その後、裁断して得ることもできる。なお、押出機に充填する際に、予め溶融混練した本発明のポリ乳酸樹脂組成物を押出成形機に充填してもよいが、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリ乳酸樹脂及び分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物、さらに必要により、可塑剤を含む各種添加剤を充填して溶融混練後、押出成形してもよい。
押出機としては、公知の押出成形機を用いることができる。例えば、冷却ロールと加熱ロールを備えた押出シート成形機(プラスチック工学研究所社製、500mmT−ダイ)を用いる場合は、結晶性が調整された透明シートを得ることができる。
押出機の温度は、透明性向上の観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。なお、本発明において、押出機の温度とは押出機の二軸混練部のシリンダー温度を意味する。また、押出機における滞留時間は、シートの厚さや幅、巻き取り速度に依存するため一概には規定できないが、熱による劣化を避ける観点から、30秒から数分程度が好ましい。
冷却ロールの表面温度は、透明性向上と冷却ロールからの剥離性向上の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に設定することが好ましく、具体的には、40℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましい。
冷却ロールに接する時間としては、冷却ロールの設定温度や冷却ロールの個数によって異なるため必ずしも規定されるものではないが、例えば透明性向上と冷却ロールからの剥離性向上の観点から、好ましくは1秒以上、より好ましくは3秒以上、更に好ましくは5秒以上であり、好ましくは60秒以下、より好ましくは50秒以下、更に好ましくは40秒以下である。前記範囲内の接触時間となるよう、公知技術に従って、押出速度、シート巻取速度等を調整すればよい。
加熱ロールの表面温度は、透明性向上と結晶化度向上の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のTg以上、Tm未満の温度範囲内に設定することが好ましく、具体的には、65℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、また、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加熱ロールに接触している時間の合計は、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、15秒以上が更に好ましい。なお、冷却ロール及び加熱ロールの表面温度とは、ロール表面の実測した温度を意味し、接触式温度計を用いて測定することができる。
かくして本発明の透明シートが得られる。透明シートのHaze値は、透明性の観点から、好ましくは8.0%以下、より好ましくは7.0%以下、更に好ましくは6.5%以下である。また、下限は特に設定されないが、0.1%程度である。なお、本明細書において、Haze値は、透明性の指標であり、後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
また、本発明の透明シートは、厚みが好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは600μm以下である。また、押出成形後に冷却ロール、加熱ロールに順に接触させた場合は、厚みは前記と同じであり、相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上と結晶性の高いものである。なお、本明細書において、相対結晶化度とは以下の式により求めることができ、相対結晶化度が80%以上であれば結晶性が高いことを意味する。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、降温速度−500℃/分で200℃から25℃まで降温し、25℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、降温速度−500℃/分で200℃から25℃まで降温し、25℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
〔透明シートの製造方法〕
本発明はまた、本発明の透明シートの製造方法を提供する。
本発明はまた、本発明の透明シートの製造方法を提供する。
製造方法としては、(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含む原料を溶融混練して押出成形する工程を含む方法であればよく、例えば、以下の方法が好適に用いられる。
具体的には、下記工程(1)〜(3)を含む製造方法が挙げられる。
工程(1):(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程
工程(3):工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程
工程(1):(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程
工程(3):工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程
工程(1)は、(A)ポリ乳酸樹脂、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物と、さらに必要に応じて他の添加剤を含む原料を、好ましくは170℃以上であり、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で溶融混練して調製したポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170℃以上、好ましくは175℃以上、より好ましくは180℃以上であり、240℃以下、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下の押出機により押出成形してシート成形品を調製する。原料や溶融混練の条件、押出成形の条件は、前記本発明のポリ乳酸樹脂組成物の項及び透明シートの項に準ずる。
工程(2)は、工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する。これにより、シート成形品が冷却されて、前記式により算出される相対結晶化度が好ましくは80%未満、より好ましくは60%以下の非晶状態又は半結晶状態のシート成形品が得られる。冷却手段としては、冷却ロールに接触させる方法以外に、冷却用の金属板への接触、冷却された空気の吹付け(エアーナイフ)、冷却用の水槽等を行うことができる。冷却ロールに接触させる場合の条件は、前記本発明の透明シートの項に準ずる。
工程(3)は、工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する。これにより、シート成形品の結晶化が促進されて、前記式により算出される相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上と結晶性の高いシート成形品が得られる。加熱手段としては、加熱ロールに接触させる方法以外に、温度調整用の金属ロールによる接触や、温度調整用の金属板への接触、温度調整された空気の吹付け(エアーナイフ)、赤外線や熱線ヒーター等による温度調整槽等を使用することもできる。加熱ロールに接触させる場合の条件は、前記本発明の透明シートの項に準ずる。
かくして得られた本発明の透明シートは、透明性が良好で、耐熱性に優れることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイ等に熱成形することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔ポリ乳酸樹脂、ポリ乳酸樹脂組成物の融点及びガラス転移温度〕
示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用いて、下記測定条件にて測定される2ndRUNの変曲点をガラス転移温度(Tg)とする。また160℃付近に観察される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)とする。
測定条件: PerkinElmer社製スタンダードアルミパンに試料約10mgを測り取り、作製したアルミパンをDSC8500にセットし、25℃から200℃まで15℃/minで昇温した後に、200℃で1分間保持する(1stRUN)。その後200℃から25℃まで−500℃/minで冷却した後に、25℃で1分間保持した後、25℃から200℃まで15℃/minの速度で昇温する(2ndRUN)。
示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用いて、下記測定条件にて測定される2ndRUNの変曲点をガラス転移温度(Tg)とする。また160℃付近に観察される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)とする。
測定条件: PerkinElmer社製スタンダードアルミパンに試料約10mgを測り取り、作製したアルミパンをDSC8500にセットし、25℃から200℃まで15℃/minで昇温した後に、200℃で1分間保持する(1stRUN)。その後200℃から25℃まで−500℃/minで冷却した後に、25℃で1分間保持した後、25℃から200℃まで15℃/minの速度で昇温する(2ndRUN)。
〔カルボジイミド化合物の残存イソシアネート基含有率〕
イソシアネート基含有率は、ジブチルアミンを用いた逆滴定により求めることができる。逆滴定は、試料に過剰のジブチルアミンを加えて反応させ、滴定指示薬としてブロモフェノールブルーを用い残余のジブチルアミンを塩酸水溶液で滴定することにより行う。平沼自動滴定装置COM−900(平沼産業社製)、タイトステーション K−900(平沼産業社製)を使用し、既知濃度のジブチルアミン/トルエン溶液を加え、塩酸水溶液で電位差滴定により算出する。
イソシアネート基含有率は、ジブチルアミンを用いた逆滴定により求めることができる。逆滴定は、試料に過剰のジブチルアミンを加えて反応させ、滴定指示薬としてブロモフェノールブルーを用い残余のジブチルアミンを塩酸水溶液で滴定することにより行う。平沼自動滴定装置COM−900(平沼産業社製)、タイトステーション K−900(平沼産業社製)を使用し、既知濃度のジブチルアミン/トルエン溶液を加え、塩酸水溶液で電位差滴定により算出する。
可塑剤の製造例1((MeEO3)2SA、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、更に、触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。得られたジエステルは、重量平均分子量410、粘度(23℃)27mPa・s、酸価0.2mgKOH/g、鹸化価270mgKOH/g、水酸基価1mgKOH/g以下、色相APHA200であった。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであった。なお、本可塑剤は、水酸基1個当たりエチレンオキサイドを3モル付加したアルコールとのエステル化合物である。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、更に、触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。得られたジエステルは、重量平均分子量410、粘度(23℃)27mPa・s、酸価0.2mgKOH/g、鹸化価270mgKOH/g、水酸基価1mgKOH/g以下、色相APHA200であった。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであった。なお、本可塑剤は、水酸基1個当たりエチレンオキサイドを3モル付加したアルコールとのエステル化合物である。
可塑剤の製造例2(MeSA−1,3PD、コハク酸ジメチルと1,3−プロパンジオ−ルとのオリゴエステル化合物)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3−プロパンジオール86.8g(1.14モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.2g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)500g(3.42モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.0g(ナトリウムメトキシド0.010モル)を添加し、100℃で、圧力を3時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)6gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力4.5kPaで、温度を1時間かけて114℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.61モルであった。なお、本可塑剤は、式(I)で表されるエステル化合物(R1はメチル基、R2はエチレン基、R3はプロピレン基であり、mは1、nは1.5)である。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3−プロパンジオール86.8g(1.14モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.2g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)500g(3.42モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.0g(ナトリウムメトキシド0.010モル)を添加し、100℃で、圧力を3時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)6gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力4.5kPaで、温度を1時間かけて114℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.61モルであった。なお、本可塑剤は、式(I)で表されるエステル化合物(R1はメチル基、R2はエチレン基、R3はプロピレン基であり、mは1、nは1.5)である。
実施例1〜8及び比較例1〜2
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1に示す組成物原料を、二軸押出機(Perker社製、HK25D、シリンダー直径25.2mm、回転数100rpm、吐出量8kg/h)を使用して、表1に示す溶融混練温度で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、110℃減圧下で2時間乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1に示す組成物原料を、二軸押出機(Perker社製、HK25D、シリンダー直径25.2mm、回転数100rpm、吐出量8kg/h)を使用して、表1に示す溶融混練温度で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、110℃減圧下で2時間乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
透明シートの調製
得られたペレットをT−ダイ押出機(プラスチック工学研究所社製、500mmT−ダイ)を用いて、下記の条件にて幅400mmのシート成形を行った。
<押出成形条件>
二軸混練部のシリンダー温度:180℃
Tダイ(出口)温度:180℃
押出し速度:8kg/h (冷却ロール接触時間が34秒となる速度)
冷却ロール表面温度:25℃
加熱ロール表面温度:80℃
シート厚み:0.4mm
得られたペレットをT−ダイ押出機(プラスチック工学研究所社製、500mmT−ダイ)を用いて、下記の条件にて幅400mmのシート成形を行った。
<押出成形条件>
二軸混練部のシリンダー温度:180℃
Tダイ(出口)温度:180℃
押出し速度:8kg/h (冷却ロール接触時間が34秒となる速度)
冷却ロール表面温度:25℃
加熱ロール表面温度:80℃
シート厚み:0.4mm
なお、表1における原料は以下の通りである。
<ポリ乳酸樹脂>
Nature Works 4032D:ポリ−L−乳酸(光学純度98.5%、融点166℃、重量平均分子量180000)
<カルボジイミド化合物>
BioAdimide 100:ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ラインケミー社製
カルボジライトV−02B:末端封止したジ−4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトHMV−15CA:末端封止したポリジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトV−04K:末端封止したテトラメチルキシリレンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトLA−1:ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、イソシアネート基含有率2%、日清紡ケミカル社製
<可塑剤>
(MeEO3)2SA:前記可塑剤の製造例1で製造したジエステル化合物
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1との混合ジエステル、大八化学工業社製
MeSA−1,3PD:前記可塑剤の製造例2で製造したオリゴエステル化合物
<有機結晶核剤>
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製
<架橋剤>
Joncryl ADR4368CS:グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、Mw6700、エポキシ当量285g/mol、BASF社製
<ポリ乳酸樹脂>
Nature Works 4032D:ポリ−L−乳酸(光学純度98.5%、融点166℃、重量平均分子量180000)
<カルボジイミド化合物>
BioAdimide 100:ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ラインケミー社製
カルボジライトV−02B:末端封止したジ−4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトHMV−15CA:末端封止したポリジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトV−04K:末端封止したテトラメチルキシリレンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、イソシアネート基含有率0%、日清紡ケミカル社製
カルボジライトLA−1:ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、イソシアネート基含有率2%、日清紡ケミカル社製
<可塑剤>
(MeEO3)2SA:前記可塑剤の製造例1で製造したジエステル化合物
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1との混合ジエステル、大八化学工業社製
MeSA−1,3PD:前記可塑剤の製造例2で製造したオリゴエステル化合物
<有機結晶核剤>
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製
<架橋剤>
Joncryl ADR4368CS:グリシジル基含有アクリル/スチレン系共重合体、Mw6700、エポキシ当量285g/mol、BASF社製
得られた透明シートの特性を、下記の試験例1〜2の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
試験例1<異物>
シート成形開始時から30分経過後のシートを400×1500mmのサイズに切り出し、光学顕微鏡(VHX−1000キーエンス社製)を用いてシート中に含まれる異物(ヤケ物)の数を計測した。ヤケ物の個数が少ない方が優れており、5個以下であれば合格、3個以下が好ましいと評価した。
シート成形開始時から30分経過後のシートを400×1500mmのサイズに切り出し、光学顕微鏡(VHX−1000キーエンス社製)を用いてシート中に含まれる異物(ヤケ物)の数を計測した。ヤケ物の個数が少ない方が優れており、5個以下であれば合格、3個以下が好ましいと評価した。
試験例2<透明性>
試験例1で用いたシートについて、JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(HM−150 村上色彩技術研究所)を用い、Haze値を測定した。Haze値の値が小さいと透明性が良好であることを示す。
試験例1で用いたシートについて、JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(HM−150 村上色彩技術研究所)を用い、Haze値を測定した。Haze値の値が小さいと透明性が良好であることを示す。
表1より、実施例のポリ乳酸樹脂組成物から得られたシートは、ヤケ物の発生が抑制され、透明性も良好である。なかでも、実施例1−1と1−2との対比より、溶融混練温度が高くなってもヤケ物の発生が抑制されていることから、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は優れたものであることが分かる。また、実施例3と実施例7、8の対比より、有機結晶核剤が組成物中に含まれていても透明性が低下せず、ヤケ物の発生も抑制されることが分かる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、透明性及び生分解性に優れることから、食品容器、日用品や家電製品の包装材料、工業用部品のトレイ等、様々な用途に好適に使用することができる。
Claims (6)
- (A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物。
- さらに、(C)可塑剤を含有してなり、前記可塑剤が、
(i)分子中に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物、及び
(ii)式(I):
R1O−CO−R2−CO−〔(OR3)mO−CO−R2−CO−〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が2又は3のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは1〜12の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
で表される化合物
からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含んでなる、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。 - さらに、(D)有機結晶核剤を含有し、前記有機結晶核剤が水酸基を有する脂肪族アミド化合物を含んでなる、請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
- (A)ポリ乳酸樹脂の融点が190℃未満である請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物からなる透明シート。
- 下記工程(1)〜(3)を含む、請求項5記載の透明シートの製造方法。
工程(1):(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)分子構造中にイソシアネート基をもたないカルボジイミド化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、温度が170〜240℃の押出機により押出してシート成形品を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られたシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却する工程
工程(3):工程(2)で冷却したシート成形品を該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲内に加熱する工程
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