JP6443988B2 - ポリ乳酸樹脂組成物から成るシート又はフィルム - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物から成るシート又はフィルム Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物からなるシート又はフィルムに関する。更に詳しくは、食品包装等に好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物からなるシート又はフィルム、その製造方法、及びシート又はフィルムからなる熱成形品に関する。
食品包装容器市場では、透明非耐熱用途にはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が、不透明耐熱用途にはポリプロピレン(PP)樹脂が、透明耐熱用途には二軸延伸ポリスチレン(OPS)樹脂が使用されている。しかし、これらの樹脂は処分される際に、焼却時に有害ガスが発生したり、化学的に安定であるため埋立てにおいても残留するなど問題があることから、代替樹脂の開発が検討されている。
例えば、ポリ乳酸(PLA)樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ない等の特徴を有する生分解性に優れる樹脂である。また、未改質のPLAは高透明で剛性に優れるが、ガラス転移点(Tg)が60℃程度であり耐熱食品容器としての耐熱性が不足しているため、透明非耐熱用途で使用されている。一方、結晶性樹脂でもあるため、結晶化させれば耐熱用途に使用可能であると考えられるものの、結晶化速度が遅く、結晶化させると透明性も悪化するため透明耐熱用途に使用可能な、改質PLA樹脂組成物について更なる検討が行われている。
例えば、特許文献1には、特定のポリエステル系可塑剤を配合することで、高い結晶化度を有し、かつ、透明性、耐熱性、耐ブリード性、及び強度に優れる熱成形品を調製可能なポリ乳酸樹脂組成物が得られることが開示されている。前記ポリエステル系可塑剤は、酸基や水酸基が少なく、かつ、化合物の末端が封止(capping)されていることから反応性が低いために樹脂の分解が抑制されることになって、また、分子内の各セグメントが適度な極性を持った鎖状構造をしているために樹脂と適度な相互作用が得られて相溶性が向上し、該化合物を配合した樹脂組成物は可塑性及び成形性が向上するとともに、二次加工処理(熱成形)して得られた熱成形品は可塑剤の耐ブリード性が良好で透明性に優れ、且つ耐熱性及び強度に優れるものになると記載されている。
また、特許文献2には、重合触媒を失活処理した乳酸系ポリエステル(A)に、特定の可塑剤(B)を溶融混練することにより、ポリマーの分子量低下が殆どなく、15℃以下での応力によるクレージングの発生も無く、フィルムとしての使用に不可欠な十分な柔軟性を発現でき、しかも貯蔵安定性に優れ、また、該乳酸系ポリエステル(A)と特定の可塑剤(B)との溶融混練物を成形後、結晶化させることにより、耐熱性や耐溶剤性を向上できることが開示されている。ここでの可塑剤(B)としては、乳酸系ポリエステル(A)との相溶性の観点からエステル系可塑該が挙げられており、なかでも、二塩基酸と二価アルコールの繰り返し単位から成り、数平均分子量が500〜20,000の範囲ものが好ましいと開示されている。
特開2014−51642号公報 特開平10−36651号公報
しかしながら、従来技術に依って得られる改質ポリ乳酸樹脂組成物を食品包装容器として用いたところ、未だ十分ではないことが判明した。即ち、食品包装容器に対して適用される厚生省告示第370号試験「合成樹脂製の器具又は容器包装」により不適であると評価され、耐溶出性が劣ることが判明した。
また、当該改質ポリ乳酸樹脂組成物を販売したり成形するまで原反ロール(樹脂シートの筒状巻物)として保管するところ、特に夏場の倉庫での保管の様な比較的高温(30〜40℃)での保管により熱成形性が悪化(結晶化速度が低下)し、保存安定性にも劣ることが判明した。
本発明は、このような夏場の比較的高温での保存後においても、熱成形性及び保存安定性に優れるポリ乳酸樹脂組成物からなるシート又はフィルム、その製造方法、ならびに、当該シート又はフィルムを用いた耐溶出性に優れる、透明耐熱用途に使用可能な熱成形品に関する。
本発明は、〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 ポリ乳酸樹脂、下記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物から成るシート又はフィルム。
O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−COO−〕−R (1)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜8のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは13〜50の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
〔2〕 下記工程(1)を含む、前記〔1〕記載のシート又はフィルムの製造方法。
工程(1):ポリ乳酸樹脂、前記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出して得られた成形品を、該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシート又はフィルムを得る工程
〔3〕 前記〔1〕記載のシート又はフィルムを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形する工程を含む製造方法により得られる熱成形品。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物から成るシート又はフィルムは、熱成形性、なかでも高温での保存後における熱成形性に優れ、また、厚生省告示第370号試験「合成樹脂製の器具又は容器包装」で規定する耐溶出性に優れる、透明耐熱用途に使用可能な食品包装容器を極めて容易に提供することができる。また、高温保存後においても熱成形性に優れることから、本発明のシート又はフィルムは保存安定性にも優れるという優れた効果を奏する。
図1は、実施例の熱成形品を成型する際に用いた金型を示す図である。
本発明のシート又はフィルムは、ポリ乳酸樹脂、下記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなることに1つの特徴を有する。なお、本明細書において、〔(ORO−CO−R−COO−〕で表される構造のことを、式(1)における繰り返し単位と記載することもある。
O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−COO−〕−R (1)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜8のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは13〜50の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
一般に、樹脂に可塑剤を配合する場合、分子量が大きいほど、可塑化効果の低下に伴って結晶化速度が低下して成形性が低下し、また、樹脂との相溶性悪化により得られる成形品の透明性が低下する傾向にある。ここで、本願発明と特許文献1で用いられるポリエステル系可塑剤を対比してみると、いずれも前記式(1)で表される構造を有するものであるが、式中のn数が特許文献1では1〜12であるのに対し、本願発明では13〜50と大きく、本願発明で用いる可塑剤の方が分子量が大きいことが分かる。よって、本願発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は成形性が低く、得られる成形品の透明性も低下することが予想される。しかしながら、意外にも、これらの低下が抑制されることに加えて、シート又はフィルムとして成形した場合の保存安定性が向上し、また、食品包装容器として成形した場合に要求される耐溶出性もクリアできることが分かった。このような効果が奏される理由を以下に説明する。
先ず、シート又はフィルムとして成形した場合の保存安定性が向上する理由としては、次のように考えられる。一般に、結晶化していない樹脂組成物からなる成形品は、その構成樹脂組成物のガラス転移点(Tg)よりも10℃程度低い温度において変性が開始される。これは、樹脂の緩和現象(応力、エンタルピー、エントロピー)によるもので、可塑剤等の改質剤が偏析してしまう事に起因していると考えられる。よって、本願発明では、可塑剤の分子量が向上したことで、構成樹脂組成物のガラス転移点(Tg)そのものを向上させることが可能となり、保存安定性が向上したと考えられる。
食品包装容器として成形した場合に要求される耐溶出性が向上する理由としては、可塑剤の分子量が向上したことにより、可塑剤の運動性が低下して溶出されにくくなったことに起因していると考えられる。
また、本願発明で用いる可塑剤は、特許文献1において示されるようにポリ乳酸樹脂との相溶性が良好な繰り返し単位が高分子量化したものであることから、高分子量化に伴う相溶性の悪化を最小限に抑える事が可能となり、また、前記式(1)における繰り返し単位を有する可塑剤は、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化温度(成形温度域)での可塑化効果が、高分子量化した場合でも低分子量可塑剤と同等であるため結晶化速度の低下を抑制し、成形性と透明性の両立を達成できると考えられる。
〔ポリ乳酸樹脂組成物〕
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂、例えば、Nature Works社製:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032Dや、トヨタ自動車社製:エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。高温での保存後における熱成形性、透明性の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の高温での保存後における熱成形性、透明性の観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を用いてもよい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。なお、本明細書において「生分解性」とは、自然界において微生物によって低分子化合物に分解され得る性質のことであり、具体的には、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性のことを意味する。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、非晶シート又はフィルムの保存安定性の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物中、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、93質量%以上が更に好ましい。また、熱成形品の透明性の観点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、96質量%以下が更に好ましい。なお、本明細書において、非晶シートとは、非晶状態のシートを意味し、後述において規定される相対結晶化度を有するシートのことである。
[可塑剤]
本発明で用いられる可塑剤は、下記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤を含む。
O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−COO−〕−R (1)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜8のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは13〜50の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(1)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させ、かつ、有機結晶核剤の結晶化効果を向上させる観点から、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1が更に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させる観点から、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させ、かつ、有機結晶核剤の結晶化効果を向上させる観点から、2〜3が好ましく、2がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(1)におけるRは、炭素数が2〜8のアルキレン基を示し、オキシアルキレン基として、繰り返し単位中に存在する。Rは炭素数が2〜8であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させ、かつ、有機結晶核剤の結晶化効果を向上させる観点から、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3が更に好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
mはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。mが大きくなると、式(1)で表される化合物のエーテル基価が上がり、酸化されて分解しやすくなる。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させ、かつ、有機結晶核剤の結晶化効果を向上させる観点から、1〜5の数が好ましく、1〜4の数がより好ましく、1〜3の数が更に好ましい。
nは繰り返し単位の平均の繰り返し数(平均重合度)を示し、13〜50の数である。非晶シート又はフィルムの保存安定性及び結晶化速度を向上させる観点、ならびに、熱成形品からの溶出抑制の観点から、15以上が好ましく、また、45以下が好ましく、35以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。なお、本明細書において、平均重合度は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(1)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、mが3、nが15のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、mが3、nが20のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがプロピレン基であって、mが1、nが15のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがプロピレン基であって、mが1、nが20のエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rが全てエチレン基、Rがエチレン基又はプロピレン基であって、mが1〜3、nが15〜45のエステルが好ましく、Rが全てメチル基、Rが全てエチレン基、Rがエチレン基又はプロピレン基であって、mが1〜3、nが15〜25のエステルがより好ましい。
式(1)で表される化合物は、前記構造を有するのであれば特に限定なく、公知の方法に従って調製することができる。例えば、特開2014−51642号公報に記載の方法において、n数が前記範囲内となるように、原料使用量を適宜調整して調製することができる。具体的には、下記(1)〜(3)の原料を用いて得られるものが好ましい。
(1)炭素数が1〜4のアルキル基を有する一価アルコール
炭素数が1〜4のアルキル基を有する一価アルコールとしては、前記Rを含むアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1,1−ジメチル−1−エタノールが挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点の他、エステル交換反応の効率を上げる観点から、メタノール、エタノールが好ましく、メタノールがより好ましい。
(2)炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸
炭素数が2〜4のアルキレン基を有するジカルボン酸としては、前記Rを含むジカルボン酸であり、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル)が挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル)が好ましく、コハク酸及びその誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル)がより好ましく、可塑化効果を発現させる観点及び経済性の観点から、コハク酸、アジピン酸及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジメチル)が好ましく、コハク酸及びその誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル)がより好ましい。
(3)炭素数が2〜8のアルキレン基を有する二価アルコール
炭素数が2〜8のアルキレン基を有する二価アルコールとしては、前記Rを含む二価アルコールであり、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールがより好ましい。
よって、前記(1)〜(3)としては、
(1)一価アルコールがメタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、ことが好ましく、
(1)一価アルコールがメタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、ことがより好ましく、
(1)一価アルコールがメタノールであり、(2)ジカルボン酸がコハク酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、ことが更に好ましい。
前記(1)〜(3)を用いて式(1)で表される化合物を得る方法としては、特に限定はないが、例えば、以下の態様1及び態様2の方法が挙げられる。
態様1:(2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程(工程1)と、得られたジカルボン酸エステルと(3)二価アルコールをエステル化反応させる工程(工程2)を含む方法
態様2:(1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを一括反応させる工程を含む方法
これらのなかでも、平均重合度を調整する観点から、ポリエステル樹脂の加アルコール分解の生じ難い態様1の方法が好ましい。
態様1の方法について、以下に説明する。
態様1は、ジカルボン酸と一価アルコールとの反応物であるジカルボン酸エステルを二価アルコールとエステル交換反応させる方法であり、本明細書では、態様1の方法をエステル交換反応ともいう。
具体的には、先ず、態様1の工程1で、(2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する。エステル化方法としては、例えば、(2)ジカルボン酸と触媒の混合物に(1)一価アルコールを添加して攪拌し、生成する水や一価アルコールを系外に除く、脱水エステル化方法が挙げられる。具体的には、
1)ジカルボン酸の中に一価アルコールの蒸気を吹き込んでエステル化反応を行うと共に、生成する水と未反応の一価アルコールを共に除く方法、
2)過剰の一価アルコールを用いてエステル化反応を行うと共に、生成する水と一価アルコールを共沸させて除く方法、
3)エステル化反応を行うと共に、水又は、水、一価アルコール等と共沸をする溶剤(例えばトルエン)を加えて水とアルコールを除く方法
等が挙げられる。
触媒としては、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の無機酸、又は有機酸が挙げられるが、なかでも、パラトルエンスルホン酸が好ましい。触媒の使用量はジカルボン酸100モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、0.10〜3モルがより好ましい。
一価アルコールとジカルボン酸のモル比(一価アルコール/ジカルボン酸)は、反応率の向上と経済性の観点から、2/1〜20/1が好ましく、3/1〜12/1がより好ましい。なお、この場合「反応率」とは、ジカルボン酸を基準として、反応に供した原料が反応した割合を意味する。
反応温度は、用いる一価アルコールの種類にもよるが、反応率の向上と副反応抑制の観点から、50〜200℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。反応時間は、0.5〜15時間が好ましく、1.0〜5時間がより好ましい。なお、反応は減圧下で行ってもよく、反応圧力は好ましくは2.7〜101.3kPa、より好ましくは6.7〜101.3kPaである。
得られたジカルボン酸エステルは、2個の分子末端に対するアルキルエステル化率が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
かくして得られたジカルボン酸エステルを工程2に供する。なお、本発明において、ジカルボン酸エステルは、前記のようにして得られた反応物を用いてもよいが、市販品を用いてもよく、市販品を工程2に供してもよい。好適な市販品としては、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)、アジピン酸ジメチル(和光純薬工業社製)が挙げられる。
態様1の工程2では、ジカルボン酸エステルの(3)二価アルコールによるエステル交換反応を行う。
具体的には、例えば、ジカルボン酸エステルと触媒の混合物に(3)二価アルコールを連続的に添加して、生成する一価アルコールを系外に除くエステル交換反応、(3)二価アルコールと触媒の混合物にジカルボン酸エステルを連続的に添加して、生成する一価アルコールを系外に除くエステル交換反応、又は(3)二価アルコール、ジカルボン酸エステル、及び触媒を一括混合して、生成する一価アルコールを系外に除くエステル交換反応が挙げられる。いずれにおいても、生成した一価アルコールを留去することにより平衡をずらして、反応を進行させることができる。また、触媒は段階的に添加してもよく、例えば、ジカルボン酸エステルに二価アルコールを投入、あるいは、二価アルコールにジカルボン酸エステルを投入する際に存在させ、かつ、生成する一価アルコールを系外に除く段階でさらに添加することができる。なお、エステル交換反応に用いるジカルボン酸エステルは前述のエステル化反応で得られた反応混合物又は市販品をそのまま使用することもできるし、蒸留単離した後、使用することもできる。
触媒としては、前述の硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の無機酸、又は有機酸の他、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、2−エチルヘキサン酸スズなどの有機金属化合物、ナトリウムメトキシドなどのアルカリアルコキシド等が挙げられる。なかでも、パラトルエンスルホン酸、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、2−エチルヘキサン酸スズ、ナトリウムメトキシドが好ましい。触媒の使用量は、例えば、パラトルエンスルホン酸、ナトリウムメトキシドでは、ジカルボン酸エステル100モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、0.10〜5モルがより好ましく、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンでは0.0001〜0.1モルが好ましく、0.0005〜0.05モルがより好ましい。なお、ここでいう触媒の使用量とは、工程2で用いた触媒の総使用量を言う。
ジカルボン酸エステルと二価アルコールのモル比(ジカルボン酸エステル/二価アルコール)は、本発明におけるポリエステル系可塑剤の分子量と構造を制御する観点から、1.01〜2.00が好ましく、1.02〜1.80がより好ましく、1.03〜1.60が更に好ましい。
反応温度は、反応率の向上と副反応抑制の観点から、50〜250℃が好ましく、60〜250℃がより好ましい。この場合、「反応率」とは、二価アルコールを基準として、反応に供した原料が反応した割合を意味する。反応時間は、0.1〜10時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。なお、反応は減圧下で行ってもよく、反応圧力は好ましくは0.7〜101.3kPa、より好ましくは2.0〜101.3kPaである。
態様2の方法について、以下に説明する。
態様2の方法は、(1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを、必要により、触媒の存在下で一括反応させる方法であり、本明細書では、態様2の方法を一括添加反応ともいう。
原料は、一括又は分割して供給することができるが、一価アルコールは分割又は連続的に反応器内に導入してもよい。
触媒としては、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の無機酸、又は有機酸が挙げられ、なかでも、パラトルエンスルホン酸が好ましい。触媒の使用量はジカルボン酸100モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、0.10〜5モルがより好ましい。
ジカルボン酸と、一価アルコール、二価アルコールのモル比(ジカルボン酸/一価アルコール/二価アルコール)は、本発明におけるポリエステル系可塑剤の分子量を制御する観点から、1.01/1.1/1〜10/100/1が好ましく、1.02/3/1〜3/30/1がより好ましく、1.03/5/1〜3/20/1が更に好ましい。
また、本発明におけるポリエステル系可塑剤の分子量を制御する観点から、ジカルボン酸と二価アルコールのモル比(ジカルボン酸/二価アルコール)は、1.02/1〜1.6/1が好ましい。
反応温度は、用いるアルコールの種類にもよるが、50〜200℃が好ましく、反応時間は0.5〜15時間が好ましい。反応は減圧下で行ってもよく、6.7〜101.3kPa圧力下が好ましい。また、温度70〜140℃、常圧下(101.3kPa)で3〜5時間反応させて、生成する水と一価アルコールを除いた後に、温度70〜120℃、圧力0.7〜26.7kPaで0.5〜3時間熟成してもよい。
また、本発明においては、態様3として、前記(2)ジカルボン酸と(3)二価アルコールのエステル化反応(脱水エステル化反応)を行ってジカルボン酸エステルを合成後に、得られたジカルボン酸エステルに、さらに(1)一価アルコールをエステル化反応(脱水エステル化反応)させてもよい。
なお、得られた反応物は、公知の方法に従って、未反応原料や副生物を留去してもよい。
かくして、式(1)で表される化合物が得られる。
式(1)で表される化合物の数平均分子量は、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させて可塑化効果を発現させ、かつ、有機結晶核剤の結晶化効果を向上させる観点から、2000以上が好ましく、2500以上がより好ましく、3000以上が更に好ましい。また、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましい。なお、本明細書において、可塑剤の数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記式(1)で表される化合物以外の他の可塑剤を併用することができる。他の可塑剤としては特に限定はないが、分子内に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物が好ましく、具体的には、特開2008−174718号公報及び特開2008−115372号公報に記載の可塑剤等が挙げられる。式(1)で表される化合物の含有量は、組成物に含有される全可塑剤成分中、耐熱性及び成形作業性の観点から、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。
式(1)で表される化合物の含有量は、熱成形品の透明性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上が更に好ましい。また、非晶シート又はフィルムの保存安定性を向上させる観点、及び、熱成形品からの溶出抑制の観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下が更に好ましく、5質量部以下が更に好ましい。
また、式(1)で表される化合物の含有量は、熱成形品の透明性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂組成物中、0.4質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.3質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上が更に好ましい。また、非晶シート又はフィルムの保存安定性を向上させる観点、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
[有機結晶核剤]
有機結晶核剤としては、公知のものであれば特に制限はないが、カルボン酸アミド及びフェニルホスホン酸の金属塩からなる群より選ばれる1種又は2種が好ましい。
カルボン酸アミドとしては、エチレンビス脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。エチレンビス脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミドやエチレンビスオレイン酸アミドが例示され、アルキレンビス脂肪酸アミドとしては、プロピレンビス脂肪酸アミド、ブチレンビス脂肪酸アミドが例示される。また、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドとしては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するアルキレンビスヒドロキシステアリン酸アミドが好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、また、熱成形品の透明性を向上させる観点から、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
フェニルホスホン酸の金属塩としては、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基(−PO(OH))を有するフェニルホスホン酸の金属塩が挙げられる。フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、フェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、成形性の観点から、フェニルホスホン酸が好ましい。また、金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、成形性の観点から、亜鉛塩が好ましい。本発明におけるフェニルホスホン酸の金属塩としては、無置換のフェニルホスホン酸の亜鉛塩が好ましい。
有機結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.15質量部以上が更に好ましく、0.2質量部以上が更に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。
また、有機結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂組成物中、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外に、さらに、分散剤、加水分解抑制剤を含有することができる。
[分散剤]
分散剤としては、特に限定されず、一般の生分解性樹脂に用いられる分散剤が挙げられる。なかでも、熱成形品の透明性を向上させる観点から、下記式(2)で表される非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
−O(AO)−R (2)
〔式中、Rは炭素数8以上22以下のアルキル基、総炭素数8以上22以下のアシル基、又は水素原子を示し、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は総炭素数2以上4以下のアシル基を示し、Aは炭素数2又は3のアルキレン基を示し、pはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、0<p≦300を満足する数であり、(AO)で表されるp個のオキシアルキレン基は、同一でも異なっていてもよく、異なる場合の繰り返し単位はブロック型、ランダム型のいずれでも良い〕
式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、特開2014−51646号公報の記載を参照にして用いることができる。具体例としては、例えば、炭素数8以上22以下の脂肪族アルコールとポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールとのモノ又はジエーテル化物、あるいは炭素数8以上22以下の脂肪酸とポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールとのモノ又はジエステル化物、及び炭素数8以上22以下の脂肪酸とポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールとのモノエステル化物のメチルエーテル体が挙げられるが、透明性の観点から、脂肪酸ポリオキシエチレングリコールエステルや脂肪酸とメチルポリグリコールとのエステルが好ましく、オレイン酸等の長鎖脂肪酸とポリグリコールとのエステルがより好ましい。
式(2)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよい。好適な市販品としては、例えば、脂肪酸ポリオキシエチレングリコールエステル(例えば、花王社製、「エマノーン4110」等のエマノーンシリーズ)が挙げられる。また他に好ましい例としては、高分子型ノニオンであるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(例えば、ADEKA社製、商品名:アデカプルロニックノニオンシリーズ)が挙げられるが、流動性、成形品の透明性や溶融時のポリ乳酸樹脂に対する相溶性の観点から、ポリオキシエチレングリコール両末端に酸化プロピレンを付加重合させた、いわゆる逆ブロック型のアデカプルロニックノニオンがより好ましい。具体的には、好適な市販品として、例えばADEKA社製のアデカプルロニック25R−2、25R−1等が挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、式(2)で表される非イオン性界面活性剤以外の公知の他の分散剤を用いることができる。他の分散剤の種類としては、特に限定されないが、混練時のポリ乳酸樹脂の分解を避ける観点から、イオン性界面活性剤以外の界面活性剤を用いるのが好ましい。分散剤における式(2)で表される非イオン性界面活性剤の含有量は、成形性の観点から、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが更により好ましい。
分散剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ、熱成形品の透明性を向上させる観点から、4.5質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が更に好ましい。
[加水分解抑制剤]
加水分解抑制剤としては、熱成形性の観点から、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物を用いることができる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、ジ−イソプロピルカルボジイミド、ジ−オクタデシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の耐久性、耐衝撃性及び熱成形性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡ケミカル社製)を、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドは、スタバクゾールP及びスタバクゾールP−100(Rhein Chemie社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾールI(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、加水分解抑制、高温保存後における熱成形性、透明性の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.15質量部以上が更に好ましく、透明性の観点から、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、滑剤、無機結晶核剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を含有することも可能である。
本発明のシート又はフィルムは、ポリ乳酸樹脂、式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物からなるものであればよく、前記ポリ乳酸樹脂組成物は、前記成分を含有するのであれば特に限定なく調製することができる。例えば、ポリ乳酸樹脂、式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤、更に必要により各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよく、溶融混練後は公知の方法に従って溶融混練物を乾燥又は冷却させてもよい。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)以上であり、Tm℃以上、Tm+100℃以下の範囲内が好ましく、Tm℃以上、Tm+50℃以下の範囲内がより好ましい。具体的には、例えば、170℃以上が好ましく、240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15秒間以上900秒間以下が好ましい。なお、本明細書において、融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)は、後述の実施例に記載の方法に従って、求めることができる。
前記ポリ乳酸樹脂組成物の融点(Tm)は、熱成形性の観点から、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上が更に好ましく、220℃以下が好ましく、210℃以下がより好ましく、200℃以下が更に好ましい。
また、前記ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、熱成形性の観点から、48℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、52℃以上が更に好ましく、60℃以下が好ましく、58℃以下がより好ましく、57℃以下が更に好ましい。
かくして得られた溶融混練物は、透明性及び熱成形性に優れることから、ポリ乳酸樹脂組成物からなる一次加工品、即ち、本発明のシート又はフィルムに成形される。
本発明のシート又はフィルムは、前記ポリ乳酸樹脂組成物を用いるのであれば特に調製方法に限定はなく、押出成形、射出成形、又はプレス成形することによって調製することができる。
押出成形は、具体的には、加熱した押出機に充填された前記ポリ乳酸樹脂組成物を溶融させた後にTダイから押出すことにより、シート状又はフィルム状の成形品(シート成形品又はフィルム成形品ともいう)を得ることができる。この成形品を直ぐに冷却ロールに接触させて冷却して、該冷却ロールから引き離した後、巻き取りロールにて巻き取ることにより、本発明のシート又はフィルムを得ることができる。なお、押出機に充填する際に、前記ポリ乳酸樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリ乳酸樹脂、式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤、更に必要により各種添加剤を含有する原料をそのまま充填して溶融混練してもよく、予め溶融混練したものを押出機に充填してもよい。
押出機の温度は、ポリ乳酸樹脂組成物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、170℃以上が好ましく、240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。なお、本発明において、押出機の温度とは押出機のバレル設定温度を意味する。また、押出機における滞留時間は、シート又はフィルムの厚さや幅、巻き取り速度に依存するため一概には規定できないが、熱による劣化を避ける観点から、30秒から数分程度が好ましい。
冷却ロールの温度は、非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムを得る観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に設定することが好ましく、具体的には、40℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下が更に好ましい。なお、本明細書において、非晶状態及び半結晶状態とは、以下の式により求めた相対結晶化度が60%未満となる場合を非晶状態、相対結晶化度が60%以上、80%未満となる場合を半結晶状態とする。よって、非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムとは、相対結晶化度が80%未満のシート又はフィルムを意味し、単に、非晶シート又は非晶フィルムともいう。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、降温速度−500℃/分で200℃から25℃まで降温し、25℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
冷却ロールに接する時間としては、冷却ロールの設定温度や冷却ロールの個数、押出速度、巻き取り速度によって異なるため必ずしも規定されるものではないが、例えば効率よく非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムを得る観点から、0.1秒以上が好ましく、0.5秒以上がより好ましく、0.8秒以上が更に好ましく、50秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましく、5秒以下が更に好ましい。また、巻き取り速度としては、同様の観点から、0.1m/分以上が好ましく、0.5m/分以上がより好ましく、1m/分以上が更に好ましく、50m/分以下が好ましく、30m/分以下がより好ましく、20m/分以下が更に好ましい。
射出成形で本発明のシート又はフィルムを成形する場合は、具体的には、ポリ乳酸樹脂組成物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、前記ポリ乳酸樹脂組成物を、シリンダー温度を好ましくは170℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下に設定した射出成形機を用いて、所望の形状を有する金型内に充填し、シート又はフィルム状に成形することができる。
プレス成形で本発明のシート又はフィルムを成形する場合は、具体的には、所望のシート形状又はフィルム形状を有する枠で前記ポリ乳酸樹脂組成物を囲みプレス成形して、本発明のシート又はフィルムを得ることができる。
プレス成形の温度と圧力としては、ポリ乳酸樹脂組成物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、170℃以上240℃以下、5MPa以上30MPa以下の条件が好ましく、175℃以上220℃以下、10MPa以上25MPa以下の条件がより好ましく、180℃以上210℃以下、10MPa以上20MPa以下の条件が更に好ましい。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、均一混合の観点から、1分間以上が好ましく、10分間以下が好ましく、7分間以下がより好ましく、5分間以下が更に好ましい。
また前記条件でプレスした後直ぐに、好ましくは0℃以上40℃以下、0.1MPa以上20MPa以下の条件下、より好ましくは10℃以上30℃以下、0.1MPa以上10MPa以下の条件下、更に好ましくは10℃以上20℃以下、0.1MPa以上5MPa以下の条件下でプレスして冷却することが好ましい。この温度条件によるプレスにより、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物をそのTg未満に冷却して、非晶状態又は半結晶状態を維持することができる。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、冷却効率と生産性の観点から、1分間以上が好ましく、10分間以下が好ましく、7分間以下がより好ましく、5分間以下が更に好ましい。
かくして本発明のシート又はフィルムが得られる。シートの厚さは、成形性の観点から、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。また、1.5mm以下が好ましく、1.4mm以下がより好ましく、1.2mm以下が更に好ましい。フィルムの厚さは、成形性の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましい。また、0.1mm以下が好ましく、0.09mm以下がより好ましく、0.08mm以下が更に好ましい。
また、本発明のシート又はフィルムのガラス転移温度は、保存安定性、成形性の観点から、50℃以上が好ましく、51℃以上がより好ましく、52℃以上が更に好ましい。また、60℃以下が好ましく、59℃以下がより好ましく、58℃以下が更に好ましい。
本発明のシート又はフィルムの半結晶化時間は、成形性の観点から、5秒以上が好ましく、8秒以上がより好ましく、10秒以上が更に好ましい。また、30秒以下が好ましく、27秒以下がより好ましく、25秒以下が更に好ましい。なお、本明細書において、半結晶化時間は、後述の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
本発明のシート又はフィルムは、成形性の観点から、非晶状態又は半結晶状態で得られることが好ましいことから、前出の式により求めた相対結晶化度が好ましくは80%未満が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましく、50%以下が更に好ましい。下限は特に設定されないが、成形性の観点から、0%以上であればよい。
また、本発明は本発明のシート又はフィルムの製造方法を提供する。具体的には、前記本発明のシート又はフィルムを調製する工程を含むものであれば特に限定はなく、例えば、下記工程(1)を含む製造方法を挙げることができる。
工程(1):ポリ乳酸樹脂、前記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出して得られた成形品を、該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシート又はフィルムを得る工程
ここでの溶融混練の条件、押出成形の条件、冷却の条件は、前述の通りである。なお、冷却の方法としては、冷却ロールに接触させる方法以外に、得られるシート又はフィルムが相対結晶化度80%未満となるのであれば、冷却用の金属板への接触、冷却された空気の吹付け(エアーナイフ)、冷却用の水槽等を行うことができる。また、例えば、温度調整用の金属ロールによる接触や、温度調整用の金属板への接触、温度調整用された空気の吹付け(エアーナイフ)、赤外線や熱線ヒーター等による温度調整槽等を使用することもできる。
また、前記のように得られたシート又はフィルムは、巻き取りロールにて巻き取る工程を含む製造方法以外にも、冷却ロールで冷却した後、特定の長さに裁断しながら、シートを積み重ねた状態で製造する方法や、シート又はフィルムをロール状にすることなく、そのまま熱成形機へ送る連続的な成形方法を含むものも行うことができる。なかでも、一般的には、生産性やシートの保管、及びその後の輸送の観点から、「巻き取り工程」でロール状にする製造方法を行う。
具体的には、例えば、押出機における溶融混練からTダイによる押出しを行い、次いで、Tダイから押し出されたシートを冷却ロールにて冷却する「押出・冷却工程」と、その後、一定の張力又は一定の巻き取り速度でロール状に巻き取る「巻き取り工程」を含む。製造現場の環境や、製造する時期によっては巻き取り工程にて、シート又はフィルムの表面温度が上昇することが有り、シート又はフィルムの表面温度が高い状態でロール状に巻き取られると、シート又はフィルムに僅かながら押出方向への延伸が起こる。こうして得られたシート又はフィルムは、僅かに延伸されたことが原因で、シート又はフィルムの位相差が大きくなるために、その後の熱成形性(成型可能温度幅)に悪影響を与える。よって、巻き取り工程における過度な温度上昇を抑えるためにシート又はフィルムの表面温度を低く調整(冷却)することが好ましく、巻き取り工程においてシート又はフィルムの表面温度を0〜50℃にすることで、良好なシート又はフィルムを製造することが可能となる。シート又はフィルムの表面温度は、接触式あるいは非接触式温度計を用いて測定することができる。
かくして得られた本発明のシート又はフィルムは、熱成形性が良好であり、耐溶出性が向上していることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイ等に熱成形することができる。なかでも、食品包装容器として熱成形することが好ましい。よって、本発明はまた、本発明のシート又はフィルムを成形してなる熱成形品を提供する。
本発明の熱成形品は、本発明のシート又はフィルムを熱成形したものであればよく、その成形方法は特に限定されず、公知の方法に従って行うことができる。例えば、本発明のシート又はフィルムをポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形する工程を含む製造方法により得られる熱成形品が挙げられる。本発明のシート又はフィルムが非晶状態又は半結晶状態である場合、このように特定の温度領域中で熱成形しても前記可塑剤の可塑化効果が高く、かつポリ乳酸樹脂との親和性も高いことから、有機結晶核剤や他の添加剤等が配合されている場合にでも、耐ブリード性に優れ、かつ、前記温度範囲内での加熱により結晶化されて耐熱性及び透明性が優れるものになる。
熱成形の方法としては、前記温度領域中での成形が行なえる方法であればよく、真空成形又は圧空成形の方法を採用することができる。具体的には、例えば、本発明の非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムを真空圧空成形機中の金型内に設置して、前記温度領域内の温度に加熱し、加圧又は無加圧状態に保ち成形することができる。
金型温度としては、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度であればよく、具体的には、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。また、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。
金型内での保持時間は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品の耐熱性及び生産性の向上の観点から、例えば90℃の金型において、2〜60秒が好ましく、3〜30秒がより好ましく、5〜20秒が更に好ましい。本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度が速いために、前記のような短い時間の保持時間でも十分な耐熱性を有する成形品が得られる。
かくして得られた本発明の熱成形品の厚みは、特に限定されないが、均一な成形品(二次加工品)を得る観点から、0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましく、0.2mm以上が更に好ましい。また、1.5mm以下が好ましく、1.4mm以下がより好ましく、1.2mm以下が更に好ましい。
本発明の熱成形品は、前記非晶状態又は半結晶状態のシート又はフィルムが熱成形性が良好であることから、嵌合性に優れるものである。また、式(1)で表される化合物による可塑化効果に優れることから、得られた成形品は結晶性の高いものであり、耐熱性、透明性に優れるものでもある。得られた熱成形品は、熱成形品の耐熱性の観点から、前出の式により求めた相対結晶化度が好ましくは80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が更に好ましく、98%以上が更に好ましい。また、上限は特に設定されないが、熱成形品の耐熱性の観点から、100%以下であればよい。
かくして得られた本発明の熱成形品は結晶性の高いものであり、かつ、透明性が良好で、耐熱性、耐ブリード性、及び強度に優れることから、各種用途、なかでも、日用品、化粧品、家電製品などのブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイに好適に用いることができる。
また、本発明の熱成形品は100℃超の耐熱性が要求される食品容器、例えば、電子レンジでの使用が可能な食品容器への用途を想定した場合、可塑剤等の耐溶出性にも優れることから、厚生省告示第370号における溶出試験において、例えば、溶出溶液を水又は4%酢酸とした場合、95℃×30分の溶出条件において、蒸発残量物の溶出量が30μg/mLを超えないものである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔ポリ乳酸樹脂組成物の融点、ガラス転移温度〕
示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用いて、下記測定条件にて測定される2ndRUNの変曲点をガラス転移温度(Tg)とする。また160℃付近に観察される吸熱ピークのピークトップを融点(Tm)とする。
測定条件: PerkinElmer社製スタンダードアルミパンに試料約10mgを測り取り、作製したアルミパンをDSC8500にセットし、25℃から200℃まで15℃/minで昇温した後に、200℃で1分間保持する(1stRUN)。その後200℃から25℃まで500℃/minで冷却した後に、25℃から200℃まで15℃/minの速度で昇温する(2ndRUN)。
〔ポリエステル系可塑剤の分子量〕
本明細書において、ポリエステル系可塑剤の分子量とは数平均分子量を意味し、前記式(1)で示す構造から成る重合度nの化合物として、Rで示すアルキル基のプロトンとRで示すアルキレン基のプロトンの面積比によるH−NMR測定による末端基定量法により算出する。
可塑剤の製造例1(化合物1)TEG共重合体
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にトリエチレングリコール214g(1.43モル)、触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.102g(0.379ミリモル)、及びコハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)219g(1.50モル)を加え、常圧下、195℃から225℃まで徐々に温度を上げ、反応により生じるメタノールを留去した。その後圧力0.03kPaで、温度を1時間かけて210℃から227℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温暗褐色のペースト状液体(化合物1)を得た。得られた化合物は、Rはメチル基、Rはエチレン基、Rはエチレン基であり、mは3、nは20の数であり、分子量は5500であった。
可塑剤の製造例2(化合物2)PD共重合体
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,2−プロパンジオール143g(1.88モル)、触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.205g(0.505ミリモル)、及びコハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)292g(2.0モル)を加え、常圧下、165℃から230℃まで徐々に温度を上げ、反応により生じるメタノールを留去した。その後圧力0.02kPaで、温度を1時間かけて150℃から210℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温暗褐色のペースト状液体(化合物2)を得た。得られた化合物は、Rはメチル基、Rはエチレン基、Rはプロピレン基であり、mは1、nは15の数であり、分子量は2400であった。
可塑剤の製造例3(化合物3)TEG共重合体
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28質量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(化合物3)を得た。得られた化合物は、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物〔(MeEO)SA〕であり、分子量は410であった。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであつた。
可塑剤の製造例4(化合物4)TEG共重合体
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にトリエチレングリコール220g(1.47モル)、触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.195g(0.379ミリモル)、及びコハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)278g(1.90モル)を加え、常圧下、室温(25℃)から200℃まで徐々に温度を上げ、反応により生じるメタノールを留去した。その後圧力0.03kPaで、温度を1時間かけて150℃から210℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温暗褐色のペースト状液体(化合物4)を得た。得られた化合物は、Rはメチル基、Rはエチレン基、Rはエチレン基であり、mは3、nは5の数であり、分子量は1300であった。
可塑剤の製造例5(化合物5)PD共重合体
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,2−プロパンジオール78.8g(1.04モル)、触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.159g(0.392ミリモル)、及びコハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)227g(1.55モル)を加え、常圧下、140℃から200℃まで徐々に温度を上げ、反応により生じるメタノールを留去した。その後圧力0.05kPaで、温度を1時間かけて150℃から210℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(化合物5)を得た。得られた化合物は、Rはメチル基、Rはエチレン基、Rはプロピレン基であり、mは1、nは5の数であり、分子量は600であった。
可塑剤の製造例6(化合物6)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,4−ブタンジオール129g(1.43モル)、触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.102g(0.379ミリモル)、及びアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)690(1.86モル)を加え、圧力0.4kPaで、92℃から160℃まで徐々に温度を上げ、反応により生じる2-エチルヘキサノールを留去した。その後圧力0.02kPaで、温度を1時間かけて160℃から215℃に上げて、残存アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)を留去し、常温暗褐色のペースト状液体(化合物6)を得た〔アジピン酸/1,4BD/2−EHOH〕。
実施例1〜4及び比較例1〜8
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1〜2に示す組成物原料を、二軸押出機「HK−25D」(PARKER社製)にて、回転数90r/minで10分間、溶融混練温度180〜190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
シートの調製
ハードクロムメッキ仕上げした0.5mm厚のステンレス板(ASANUMA&CO.LTD製、フェロタイププレート デラックス)2枚の間に、正方形スペーサー(厚さ0.25mm、幅1cm、内側の一辺が20cm)と、その内側に前記混練したペレット15gを充填し、オートプレス成形機(東洋精機社製)を用いて、プレス温度185℃、プレス圧力0.4MPaで2分間プレスした後、180℃、20MPaでさらに2分間プレスした。その後、直ぐに15℃に設定したプレス板で1分間、0.4MPaで冷却し、一定の厚みのシート(非晶シート)を得た(厚さ0.25mm)。
熱成形品の調製
次いで、単発真空圧空成形機(脇坂製作所社製、FVS−500P WAKITEC)を用いて、前記非晶状態のシートをガイドに取り付け、ヒーター温度を400℃に設定したヒーター部中での保持時間を変えることで、シート表面の温度が表1〜2に示す温度となるまでシートを加熱・軟化させた後、シートを表面温度107℃に設定した上下金型を用いて真空成形を行い、金型内で10秒間保持した後に脱型し、熱成形品を得た(厚さ0.23mm)。シート表面の温度は、加熱後のシート表面温度を直接表面温度計にて測定した。なお、使用した金型を図1に示す。
得られたシート及び熱成形品の特性を、下記試験例1〜8に従って評価を行った。
試験例1<ガラス転移温度>
示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用いて、下記測定条件にて測定される2ndRUNの変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。ガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れることを示す。
測定条件:PerkinElmer社製スタンダードアルミパンに、シート約10mgを測り取り、DSC8500にセットし、25℃から200℃まで15℃/minで昇温した後に、200℃で1分間保持する(1stRUN)。その後200℃から25℃まで500℃/minで冷却した後に、25℃から200℃まで15℃/minの速度で昇温する(2ndRUN)。
試験例2<半結晶化時間>
示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用いて、下記測定条件にて測定される熱量より、50%結晶化が進行するまでに必要な時間を算出し、その時間を半結晶化時間(秒)とした。半結晶化時間が短いほど、結晶化速度に優れることを示す。
測定条件:PerkinElmer社製スタンダードアルミパンに、シート約10mgを測り取り、DSC8500にセットし、25℃から90℃まで500℃/minで昇温し、その後90℃で10分間保持する。
試験例3<熱成形性>
成形品の形状と嵌合性を以下の方法に従って評価を行った。なお、成形品標品とは、市販品の容器(商品名 湯呑90 志野 シーピー化成社製)の蓋である。評価基準で3以上であれば合格、4以上であることが好ましい。
形状:得られた成形品の形状を、図1の金型(蓋)で成型した成形品標品の形状と目視で比較し、以下の評価基準に従って評価した。
嵌合性:市販品の容器(商品名 湯呑み90 志野 シーピー化成社製)の本体部分(φ81mm、高さ51mm、材質 PP入り低発泡PS製)に嵌合させ、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
4 :成形品標品と同一形状であり、負荷をかけずに嵌合することが可能である。
3 :成形品標品と同一形状であり、負荷をかけることで嵌合することが可能である。
2 :成形品標品と概ね同一形状であり、辛うじて嵌合することが可能である。
1 :成形品標品と明らかに形状が異なる、若しくは嵌合しない。
試験例4<シート保存安定性>
シートを紙芯(岡包装資材製、内径76.2mm、厚み10mm、長さ300mm)に2kgの力で巻き付けたものを42℃に設定した恒温恒湿機(ESPEC社製 LHL−113)に入れ静置後、前記の熱成形性評価において評価基準4で成形可能なシート表面温度の中央値の温度に加熱して熱成形を行い、成形品が調製可能な保存日数を計測した。保存日数が長いほど、シート保存安定性に優れることを示す。
試験例5<結晶性>
シート又は熱成形品について、それぞれ7.5mg精秤し、アルミパンに封入後、示差走査熱量分析装置「DSC8500」(PerkinElmer社製)を用い、1stRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、降温速度−500℃/分で200℃から25℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求め、得られた値から、下記式により相対結晶化度(%)を求め、結晶性を評価した。なお、比較例7の熱成形品については、表面温度が79℃のシートを用いたものの値を、その他の熱成形品については、熱成形性評価において評価基準4で成形可能なシート表面温度の中央値の温度に加熱して熱成形したものの値を代表値として記載した。相対結晶化度が80%未満であれば非晶状態、80%以上であれば結晶状態である。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}×100
試験例6<透明性>
成形品の一部を切り取り、ヘイズメーター「HM−150型」(村上色彩技術研究所社製)を用いて、Haze値(%)を測定し、これを透明度の指標とした。なお、比較例7については、表面温度が79℃のシートを用いたものの値を、その他については、熱成形性評価において評価基準4で成形可能なシート表面温度の中央値の温度に加熱して熱成形したものの値を代表値として記載した。Haze値の値が小さいほど、透明性に優れることを示す。
試験例7<耐久性>
成形品の一部を長方形(1cm×4cm)に切り取り、環境試験機(Platinousエスペック社製)を用いて60℃、75%RHの条件で保存後、1日に1度取り出して、手で180度の角度まで屈曲させ、割れが発生しない最大日数を耐久日数とした。耐久日数が長いほど、耐久性に優れることを示す。
試験例8<溶出試験>
食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示370号)の第3のDの2の13、ポリ乳酸を主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装に倣い、浸出用液として水と4%酢酸について、使用温度100℃を超える場合の溶出条件にて蒸発残留試験法により評価を行った。残留物の溶出量が30μg/mL未満であれば合格であり、5μg/mL以下であることが好ましい。
なお、表1〜2における原料は以下の通りである。
[ポリ乳酸樹脂]
NW4032D:ポリ−L−乳酸(光学純度98.5%)、ネイチャーワークス社製
[可塑剤]
化合物1:前記可塑剤の製造例1で製造したTEG共重合体
化合物2:前記可塑剤の製造例2で製造したPD共重合体
化合物3:前記可塑剤の製造例3で製造したTEG共重合体〔(MeEO)SA〕
化合物4:前記可塑剤の製造例4で製造したTEG共重合体
化合物5:前記可塑剤の製造例5で製造したPD共重合体
化合物6:前記可塑剤の製造例6で製造した化合物〔アジピン酸/1,4BD/2−EHOH〕
[有機結晶核剤]
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製
[分散剤]
アデカプルロニック25R−2:ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ADEKA社製、平均分子量3500
[加水分解抑制剤]
カルボジライトLA−1:脂肪族ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製
Figure 0006443988
Figure 0006443988
表1〜2の結果から、本発明のシート又はフィルムは、高温での保存後においても、熱成形に優れ、また、得られた熱成形品は高い結晶化度を示し、且つ透明性、耐久性、及び耐溶出性にも優れるものであった。一方、特許文献1で用いられる可塑剤を用いた比較例3〜6は、得られた熱成形品は熱成形性が良好であり、透明性や耐久性、耐溶出性に優れるものの、非晶シートの状態では保存安定性が悪いことが分かる。
本発明のシート又はフィルムは、熱成形性が高いことから、食品容器、日用品や家電製品の包装材料、工業用部品のトレイ等、様々な用途に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸樹脂、下記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物から成るシート又はフィルム。
    O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−COO−〕−R (1)
    (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜8のアルキレン基であり、mは1〜6の数、nは13〜50の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
  2. ポリエステル系可塑剤の含有量が、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下である、請求項1に記載のシート又はフィルム。
  3. 有機結晶核剤の含有量が、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下である、請求項1又は2記載のシート又はフィルム。
  4. 有機結晶核剤が、カルボン酸アミド及びフェニルホスホン酸の金属塩からなる群より選ばれる1種又は2種である、請求項1〜3いずれか記載のシート又はフィルム。
  5. 下記工程(1)を含む、請求項1〜4いずれか記載のシート又はフィルムの製造方法。
    工程(1):ポリ乳酸樹脂、前記一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤、及び有機結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出して得られた成形品を、該ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシート又はフィルムを得る工程
  6. 請求項1〜4いずれか記載のシート又はフィルムを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形する工程を含む製造方法により得られる熱成形品。
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