JPWO2011108526A1 - 固体電解質膜、燃料電池用セル及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、固体電解質層の厚さが0.3mm未満であると、固体電解質層の強度が不十分となりやすいことが記載されている。当該文献の実施例においては、固体電解質層を厚み1mm程度に成形した試料を用いて燃料電池を構成し、その起電力の評価を行っている。当該文献の図6の電流−電圧曲線を参照すると、運転温度75℃における開回路電圧(OCV)は0.68V程度であり、また電流密度は30mA/cm2までしか測定されていない。
上記のような固体電解質層を利用した燃料電池を実用化するには、従来と比較して固体電解質層をより薄くして固体電解質層の内部抵抗を小さくする必要がある。その一方で、燃料電池が性能を発揮するには固体電解質層が緻密性を有することが必要である。
本発明の別の課題は、燃料電池の高い起電力及び高い電流・電圧特性を得るのに有用であり、特に、電圧降下を抑制し、負荷特性に優れる固体電解質膜、これを用いた燃料電池用セル及びこれらの製造方法を提供することにある。
該基材を使用することで、固体電解質膜における内部抵抗を低く維持できるとともに、緻密性を有する固体電解質膜の機械的強度を高めることができる。
また本発明によれば、固体電解質膜の製造方法であって、固体電解質の粉末、結着剤及び溶媒を含有するスラリーを調製する工程と、シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材の少なくとも一方の面上に前記スラリーを塗布する工程と、前記スラリーが塗布された基材を乾燥及び/又は焼成する工程と、を含む方法が提供される。
また本発明によれば、上記本発明の固体電解質膜と、貴金属を含有する触媒層とを備え、前記固体電解質層が前記基材の両面上にそれぞれ設けられ、前記開口部においてそれぞれの固体電解質が接触しており、前記触媒層が前記固体電解質層の一方に直接接するように当該固体電解質層上に積層されている燃料電池用セルが提供される。
また本発明によれば、燃料電池用セルの製造方法であって、固体電解質の粉末、結着剤及び溶媒を含有する第1のスラリーを調製する工程と、貴金属が担持された触媒の粉末及び溶媒を含有する第2のスラリーを調製する工程と、シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材の両面上に前記第1のスラリーを塗布する工程と、前記第1のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して前記両面上に固体電解質層を形成する工程と、前記基材の前記固体電解質層が形成されている両面上のうち一方の表面上に前記第2のスラリーを塗布する工程と、前記第2のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して前記基材の前記固体電解質層の表面上に触媒層を形成する工程と、を含む方法が提供される。
更に本発明によれば、上記燃料電池用セルを備える燃料電池が提供される。
<第1実施形態>
図1(a)に示す固体電解質膜10Aは、シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部1aを有する基材1と、基材1の一方の面F1上及び開孔部1a内の少なくとも一部に充填された固体電解質層3とを備える。また、図1(b)に示す燃料電池用セル20Aは、上記固体電解質膜10Aの固体電解質層3が設けられていない側の面F2に触媒層4を設けたものである。
基材1の材質としては、例えば、ニッケル、ニッケルめっき品、ニッケル系耐熱合金、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼、鉄−クロム合金、アルミが挙げられる。またこれらは使用温度により適宜選択することができ、例えば耐熱性が必要であれば耐熱性の高い材質を選択することができる。基材1としては、金属基材のような導電性を有するもの以外に、プラスチックなどの合成樹脂も使用することができる。
ここでいう孔径とは、丸孔であれば孔の直径を、角孔であれば角形の頂点同士を結んだ2本の対角線の長径を、長孔であれば長軸方向の長径の値である。またメッシュでは網目を構成する角形の頂点同士を結んだ対角線の長径の値である。
ここでいう開孔率とは、基材1の一方面の面積(開孔部1aの開孔面積を含む)をAとし、複数の開孔部1aの開孔面積の合計をBとしたとき、下記式で算出される値である。
開孔率(%)=B/A×100
塗布後、30分間以上静置した後、空気中で60〜100℃、1分間〜20時間乾燥する。このとき、静置時間が短い、あるいは乾燥温度が高すぎるとスラリー中の溶媒が発泡し、均一な厚みが得られない場合がある。
図3(a)に示す固体電解質膜10Bは、基材1の面F2上にも固体電解質層3が設けられている点において、第1実施形態に係る固体電解質膜10Aと相違する。図3(a)に示す通り、基材1の開孔部1aは固体電解質が充填されている。
焼成により、結着剤はほとんど蒸発するため、焼成後の膜には多くの微細な空隙が存在すると考えられる。そこで、金属酸化物を含む固体電解質層3と基材1を40〜60MPaで1〜30分間でプレスして、固体電解質層3を圧密化させることが好ましい。このとき、プレスが不十分な場合、発電時に供給される水蒸気が電解質内部の空隙で結露し、膜内に水分が溜まることでガスの拡散を阻害し、電池性能を低下させるおそれがある。また、燃料極の貴金属触媒が剥離することにより、電流密度が得られないという問題が生じるおそれがある。
なお、上記工程に用いた結着剤や溶媒及び膜製造方法は第1実施形態と同様である。
<第1実施形態>
図1(b)に示す燃料電池用セル20Aは、固体電解質膜10Aの固体電解質層3が設けられていない側の面F2に触媒層4を設けたものである。図1(b)に示す通り、基材1の開孔部1aにおいて固体電解質層3と触媒層4とが接触している。上述のように、それぞれの開孔部1aにおける固体電解質層3と触媒層4との接触部が、独立して燃料電池として機能する、並列形燃料電池とみなすことができる。そして、ひとつの開孔部1aにおける接触部がなんらかの理由により電池性能を示さなくなったとしても、その他の多くの接触部によりセル全体電池性能は維持されることから、耐久性の飛躍的な向上が図られる。
このとき、必要に応じて該燃料電池用セル20Aを、40〜60MPaで1〜30分間でプレスして圧密化することができる。ただし、前記固体電解質膜10Aの作製時に行うプレスだけでもよい。
図3(b)に示す燃料電池用セル20Bは、固体電解質膜10Bの一方の面上に触媒層5を形成し、固体電解質層3と触媒層5とが直接接するようにしたものである。
燃料電池用セル20Bを製造するには、まず、図3(a)に示す固体電解質膜10B、並びに、第1実施形態と同様にして触媒層形成用のペースト又はスラリー(第2のスラリー)を準備する。触媒層形成用のペースト又はスラリーを固体電解質膜10Bの一方の面上に塗布し、スラリーが塗布された固体電解質膜10Bを乾燥及び/又は焼成することによって燃料電池用セル20Bが得られる。このとき、必要に応じて該燃料電池用セル20Bを、40〜60MPaで1〜30分間でプレスして圧密化することができる。ただし、前記固体電解質膜10Bの作製時に行うプレスだけでもよい。この燃料電池用セル20Bでは、固体電解質層3と触媒層5との界面及び貴金属触媒と固体電解質との接触部が燃料電池の反応に寄与する。
燃料電池用セル20Bを用いて燃料電池を製造すると、広い範囲にわたって燃料電池反応に寄与することとなり、発電性能の向上が期待できる。
燃料電池用セル20Aを備えた燃料電池について説明するが、下記の内容は燃料電池セル20Bを用いた燃料電池にも適用可能である。ここでは、NaCo2O4を含有する固体電解質層3及びPd/NaCo2O4触媒を含有する触媒層4を備える燃料電池用セル20Aを用いて燃料電池を作製した場合を例示する。
アノード32及びカソード33にそれぞれ接続する導線としては、銅線、ニクロム線、白金線などが挙げられる。これらの導線に限定されるものではなく、動作条件などに応じて適宜選択すればよい。
次に、燃料電池30を用いた発電方法について説明する。下記は燃料電池用セル20Aを用いた説明であるが、燃料電池用セル20Bを用いた燃料電池にも適用可能である。燃料電池用セル20Aの水酸化物イオンの伝導性を発現させるためには、燃料電池30による発電を開始するに先立ち、固体電解質層3をなすNaCo2O4の還元・加水処理を行う必要がある。固体電解質層3を構成する金属酸化物を還元処理することにより、酸素欠陥が発生し、さらに加水処理を行うことにより、以下の式(1)のように、当該金属酸化物の酸素欠陥に水分子が水和する。これによって、水酸化物イオンの伝導性が発現する。その処理方法としては、水素濃度10〜100体積%、温度80〜270℃、圧力0.1〜1.0MPa、処理時間2〜48時間という条件で可能であり、水素濃度100体積%、温度250℃、圧力0.1MPa、処理時間として昇温に3時間かけて270℃に達してから30分保持、という条件が特に望ましい。さらにアノード(触媒面)に加湿した水素を5mL/分で供給し、試料が装着された部分を約1.4K/分の昇温レートで80〜270℃で加熱した後、一晩放置して自然冷却するのがよい。
NaCo2O4+H2O→NaCo2O4-2δ(OH)2δ・(1−δ)H2O (1)
酢酸ナトリウム(CH3COONa、関東化学 特級)
酢酸コバルト四水和物((CH3COO)2Co・4H2O、和光純薬 特級)
ジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液(Pd(NH3)2(NO2)2/HNO3、田中貴金属)
エチレングリコール(HOCH2CH2OH、和光純薬 特級)
電解質NaCo2O4の調製は以下の(1)〜(5)の手順に従って調製した。なお、電解質NaCo2O4は、後述のとおり、焼成過程を経て作製されるものであり、このような高温条件にあっては、Naが蒸発する。したがって、理論量のモル比(Na:Co=1:2)で原料を調製すると、生成物中に不純物(Co3O4)が生じるため、ここでは、原料中のNaとCoのモル比を(Na:Co=1.6:2)とするとともに、最終的に得られる電解質NaCo2O4の構造解析を行った。
(1)酢酸ナトリウム4.00g(48.76mmol)と酢酸コバルト四水和物15.11g(60.66mmol)を内容積200mLのテフロン(登録商標)製のビーカーに秤取し、蒸留水40gを用いて溶解した。
(2)上記(1)で得た溶液を80℃で撹拌しながら水分を蒸発させ、乾燥機(温度条件:80℃)に入れて、一晩乾燥させた。
(3)乾燥させた試料をメノウ乳鉢でよく粉砕し、これをアルミナるつぼに入れた。このるつぼをMuffle炉に入れ、試料を空気中にて温度750℃、保持時間5時間の条件で仮焼きした。
(4)仮焼きした試料をメノウ乳鉢でよく粉砕し、ペレットに成型した後空気中にて温度790℃、保持時間3時間の条件で本焼きした。
(5)本焼きした後、メノウ乳鉢で粗粉砕した試料を、遊星ボールミル(FRITSCH pulverisette)に収容し、回転数300rpm、処理時間20分の条件で粉砕した。
粉末X線回折装置(Rigaku、RINT−Ultima+)を用いて、NaCo2O4の構造解析を行った。測定条件は以下の通りである。構造解析の結果、調製した試料(NaCo2O4の粉末)からは不純物(Co3O4)は検出されなかった。
線源:CuKα、
波長λ:0.154056nm、
管電圧:40kV、
電流:20mA、
測定範囲2θ:2〜80°、
走査軸:2θ/θ、
スキャンステップ:0.02°、
スキャンスピード:2°/分、
発散スリット:1/2°、
散乱スリット:1/2°、
受光スリット:0.15mm。
NaCo2O4粉末(S=1m2/g)1.0gを蒸発皿に秤量した後、Pd(NH3)2(NO2)2硝酸溶液(4.557質量%)3.87gを更に添加した。これを80℃の水浴上で含浸させ、粉状になるまで水分を蒸発させた。得られた試料をMuffle炉内に入れ、空気中にて温度600℃、保持時間2時間の条件で焼き、NaCo2O4(担体)の質量を基準としたPd担持量が15質量%であるPd/NaCo2O4触媒を得た。
NaCo2O4粉末1.2gと結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)1.0gおよび溶媒としてのN−メチルピロリドン(NMP)1.3mlを混合し、スラリーを調製した。このとき、NMPが少ない場合、スラリー中にNaCo2O4とPVDFの凝集が生じやすく、均一な膜が作製できないおそれがある。
試料燃料電池用セルを評価装置に装着する前に、当該セルの還元・加水処理を行った。還元・加水処理は、加湿(3%加湿)した水素を5ml/分で流しながら、加熱温度270℃、保持時間30分間で行った後、一晩放置して自然冷却した。
燃料電池の性能を評価するため、図4に示す構成の評価装置50を作製し、これを用いて燃料電池用セルの発電試験を行った。
図4に示すように、Pt導線43a,43bとそれぞれ接続されたPtメッシュ44a,44bで燃料電池用セルを挟むようにして保持した。なお、必要に応じてPtメッシュ44aと酸化剤極(固体電解質層)との間に、カーボンペーパーを挟み込んでも良く、該カーボンペーパーを用いることにより、電圧降下を抑制することができる。また、該カーボンペーパーとして、固体電解質層を塗布したカーボンペーパーを用いることにより、低電流領域における電圧降下を更に抑制することができる。
供給管45aを通じて酸化剤極(固体電解質層)に酸化剤を供給でき、供給管45bを通じて燃料極(触媒層)に燃料を供給できるように構成した。すなわち、触媒層を有しない面(カソード)に対して上方から加湿した酸素を供給でき、触媒層を有する面(アノード)に対して下方から水素を供給できるようにした。なお、供給管45bから供給されるガスの反応面積は管46の内筒面積と同じとみなすことができる。Pt導線43a,43bからの出力を測定した。測定は燃料供給処理を施して行った。
アノード(触媒面)に水素を20mL/分で供給するとともに、カソードに温度条件25℃にて加湿した酸素を10mL/分で供給した。試料が装着された部分の温度を一定にした時の開回路電圧(OCV)と負荷電流を5.4mA/cm2/secで増加させたときの電圧を測定した。
基材としてパンチングメタル(厚み26μm、孔径φ60μm、開孔率32%)を用いて燃料電池用セルを作製し、発電試験を行った。図5にパンチングメタルの走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−6300)の画像を示す。得られた固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計)は47μmであった。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。また温度75℃における電流・電圧を示すグラフを図7に示す。
固体電解質膜の膜厚を53μmとした以外は実施例1と同様の基材を用いて燃料電池用セルを作製し、発電試験を行った。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。
基材として金属メッシュ(厚み45μm、孔径φ25μm、開孔率25%)を用い、固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計)を51μmとした以外は、実施例1と同様とした。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。
基材として金属メッシュ(厚み48μm、孔径φ38μm、開孔率33%)を用い、固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計)を78μmとした以外は、実施例1と同様とした。図6に金属メッシュのSEM画像を示す。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。
基材として金属メッシュ(厚み69μm、孔径φ54μm、開孔率32%)を用い、固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計)を80μmとした以外は、実施例1と同様とした。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。
電解質NaCo2O4に代えて、電解質LaSr3Fe3O10を用い、その固体電解質膜の膜厚(電解質LaSr3Fe3O10の厚みと基材の厚みとの合計)を69μmとした以外は実施例1と同様の基材を用いて燃料電池用セルを作製し、発電試験を行った。測定時の試料が装着された部分の温度を75℃に保持し、開回路電圧(OCV)を測定した。結果を表1に示す。
膜セルを用いずに、以下の方法で作製したNaCo2O4ペレット(電解質厚み895μm)を使用した以外は実施例1と同様とした。開回路電圧(OCV)を測定した結果を表1に示す。また温度75℃における電流・電圧を示すグラフを図7に示す。
NaCo2O4ペレットの調製は以下の方法で行った。なお、最後にペレットに成型する以外は上述した電解質NaCo2O4の調製(1)〜(5)と同様に行った。上記方法で得られた粉体を錠剤成型器に入れてペレット(直径10mm、厚さ:1.7〜12mm)に成型した。なお、ペレットの厚さが6mm以下の場合は、圧力30MPa、保持時間5分、ペレットの厚さが12mm程度の場合は、圧力40MPa、保持時間5分の条件で成型した。得られた成型体をMuffle炉内に入れ、空気中にて温度900℃、保持時間32時間の条件で焼結させ、NaCo2O4の焼結体を得た。
燃料電池用セルの作製において、ドクターブレード法によるスラリーの塗布を2回行って、固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計)を102μmとした以外は実施例1と同様の基材を用いて燃料電池用セルを作製し、発電試験を行った。温度75℃における電流・電圧を示すグラフを図8に示す。なお、参考に、図7に示した実施例1で作製した燃料電池用セルの電流・電圧を示すグラフも図8に併記する。
この実施例7で作製した固体電解質層、及び実施例1で作製した固体電解質層の密度を以下の式に従って測定した。
密度(g・cm-3)=(固体電解質膜全体の質量−基材質量)/(固体電解質膜全体の体積−基材体積)
その結果、実施例1の固体電解質層の密度は3.1g・cm-3、実施例7の固体電解質層の密度は3.3g・cm-3と、2回塗布の実施例7の方が、固体電解質層の緻密差が向上していた。また、固体電解質層の厚みが大きくなったことで、クロスリークが抑制され、全体として、図8に示すように実施例7の方が電圧降下が抑制された。
実施例7で作製した固体電解質層に、更にスラリーをスプレー塗布して、電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとの合計厚みを112μmとした。更に、発電試験において、図4に示すカソード側の固体電解質層3上に、カーボンペーパー(AvCarb P50T、Ballard Power Systems Inc製)を積層させ、固体電解質膜の膜厚(電解質NaCo2O4の厚みと基材の厚みとカーボンペーパーの厚みの合計厚み)を156μmとした以外は実施例1と同様の基材を用いて燃料電池用セルを作製し、発電試験を行った。温度75℃における電流・電圧を示すグラフを図9に示す。なお、参考に、図8に示した実施例7で作製した燃料電池用セルの電流・電圧を示すグラフも図9に併記する。
Claims (18)
- シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に固体電解質層とを備える固体電解質膜。
- 前記開孔部の少なくとも一部に前記固体電解質層が充填されている請求項1記載の固体電解質薄膜。
- 前記固体電解質層は、NaCo2O4、LaFe3Sr3O10、Bi4Sr14Fe24O56、NaLaTiO4、RbLaNb2O7、KLaNb2O7及びSr4Co1.6Ti1.4O8(OH)2・xH2Oからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を含有する請求項1又は2記載の固体電解質膜。
- 前記固体電解質層は、イットリア安定化ジルコニアを含有する請求項1又は2記載の固体電解質膜。
- 前記開孔部の平均孔径が5〜80μmである請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 前記基材の平均厚みが18〜80μmである請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 前記基材は、パンチングメタル、金属メッシュ又はエキスパンドメタルである請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 前記基材の開孔率が20〜75%である請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 膜厚が30〜200μmである請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解質膜と、貴金属を含有する触媒層とを備え、
前記固体電解質層が前記基材の一方の面上に設けられ、前記触媒層が前記基材の他方の面上に設けられ、前記基材の前記開孔部において前記固体電解質層と前記触媒層とが接触している燃料電池用セル。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解質膜と、貴金属を含有する触媒層とを備え、
前記固体電解質層が前記基材の両面上にそれぞれ設けられ、前記開口部においてそれぞれの固体電解質が接触しており、
前記触媒層が前記固体電解質層の一方に直接接するように当該固体電解質層上に積層されている燃料電池用セル。 - 前記触媒層は、NaCo2O4、LaFe3Sr3O10、Bi4Sr14Fe24O56、NaLaTiO4、RbLaNb2O7、KLaNb2O7及びSr4Co1.6Ti1.4O8(OH)2・xH2Oからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を含有し、貴金属が担持されている、請求項10又は11記載の燃料電池用セル。
- 固体電解質膜の製造方法であって、
固体電解質の粉末、結着剤及び溶媒を含有するスラリーを調製する工程と、
シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材の少なくとも一方の面上に前記スラリーを塗布する工程と、
前記スラリーが塗布された基材を乾燥及び/又は焼成する工程と、
を含む方法。 - 前記乾燥及び/又は焼成する工程の後、得られた固体電解質膜をプレスする工程を含む請求項13記載の方法。
- 燃料電池用セルの製造方法であって、
固体電解質の粉末、結着剤及び溶媒を含有する第1のスラリーを調製する工程と、
貴金属が担持された触媒の粉末及び溶媒を含有する第2のスラリーを調製する工程と、
シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材の一方の面上に前記第1のスラリーを塗布する工程と、
前記第1のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して前記一方の面上に固体電解質層を形成する工程と、
前記基材の前記固体電解質層が形成されていない他方の面上に前記第2のスラリーを塗布する工程と、
前記第2のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して前記他方の面上に触媒層を形成する工程と、
を含む方法。 - 燃料電池用セルの製造方法であって、
固体電解質の粉末、結着剤及び溶媒を含有する第1のスラリーを調製する工程と、
貴金属が担持された触媒の粉末及び溶媒を含有する第2のスラリーを調製する工程と、
シート状の材料からなり且つその厚み方向に貫通する複数の開孔部を有する基材の両面上に前記第1のスラリーを塗布する工程と、
前記第1のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して前記両面上に固体電解質層を形成する工程と、
前記基材の両面上にそれぞれ形成した前記固体電解質層のうちの一方の表面上に前記第2のスラリーを塗布する工程と、
前記第2のスラリーが塗布された前記基材を乾燥及び/又は焼成して当該固体電解質層の表面上に触媒層を形成する工程と、
を含む方法。 - 前記固体電解質層を形成する工程及び/又は触媒層を形成する工程の後に更にプレスする工程を含む請求項15又は16記載の方法。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の燃料電池用セルを備える燃料電池。
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