JPWO2011096215A1 - 誘導加熱調理器及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

焦げ付き検知部(5)は、出力設定可能な加熱モードにおいて、鍋(1)からの赤外線を検知する赤外線センサ(4)の出力電圧(V)が第1出力電圧値(V1)から増加して第2出力電圧値(V2)以上になると焦げ付き情報を出力する。制御部(7)は、焦げ付き情報を入力した後、焦げ付き情報を入力しない場合の加熱停止出力停止電圧値(V0)に比べ低く設定される第3出力電圧値(V3)に達すると加熱を停止すると共に、所定値以上の出力設定値で加熱された場合又は鍋(1)の温度上昇速度が所定値以上速い場合に焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行しない。加熱モードで炒め物など高出力調理を行う際に、不必要に加熱を停止することなく焦げ付きを検知することが出来る。

Description

本発明は、焦げ付き検知機能を備えた誘導加熱調理器及びその制御方法に関する。
焦げ付き検知機能を備えた従来技術に係る加熱調理器は、加熱開始後、沸騰検知動作を行い、沸騰を検知した時の温度及び入力電力並びに沸騰に至るまでの温度の変化パターンにより調理鍋内部に存在する調理物の粘度及び容量などの状態量を判定し、沸騰後の加熱に必要な煮込み電力を決定する。さらに、煮込み調理中にだし汁がなくなり鍋底の温度が急上昇して所定値以上に上昇したことを検知した場合に、だし汁がなくなり鍋底に調理物が焦げ付いたと判断して所定の処理を行う自動の煮込み調理モードを有する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、従来技術に係る誘導加熱調理器のブロック図であり、図7はその動作を示すフローチャートである。図6において、トッププレート2は誘導加熱調理器の上面に設けられた結晶化セラミック製の板であり、誘導加熱コイル3はトッププレート2の下方に設けられる。鍋1を加熱するとき、鍋1は誘導加熱コイル3にその鍋底が対向するようにトッププレート2上に載置される。インバータ回路108aはスイッチング素子及び共振コンデンサを含み、誘導加熱コイル3とともにインバータを構成し、誘導加熱コイル3に高周波電流を供給する。制御部107はインバータ回路108aのスイッチング素子をオンオフ制御して加熱出力を制御する。鍋1の温度を検知するために、トッププレート2の裏面温度を測定するサーミスタ104が設けられている。サーミスタ104は検知結果を制御部107に出力する。誘導加熱調理器の使用者が操作する操作部110には、出力設定部110a、加熱動作を開始するための加熱開始キー110b、及び動作モードを選択するための制御モード選択キー110cが設けられている。出力設定部110aには、加熱モードで動作中において押すごとに出力設定値を1段階ずつ減少させるダウンキー110aaと、押すごとに出力設定値を1段階ずつ増加するためのアップキー110abが設けられている。
従来技術に係る誘導加熱調理器の動作を、図7を参照して以下に説明する。電源スイッチ106がオンされると(S301)、制御部107は待機モードとなる。制御部107は待機モードであるとき加熱動作を停止しており、操作部110の制御モード選択キー110cを操作することで煮込みモードを含む複数の動作モードの中からひとつの動作モードを選択することが可能な状態となっている。待機モードにおいて動作モードが選択され(S302)、加熱開始キー110bが押されると(S303)、選択された動作モードで加熱動作が開始される。煮込みモードが選択されて加熱動作が開始されると(S304でYES)、制御部107は使用者が出力設定部110aで出力設定値を変更することを禁止し、特許文献1に記載されたように、沸騰検知動作を行った後加熱出力を自動制御すると共に、鍋1の温度が異常に上昇したことを検知すると、焦げ付きを検知する焦げ付き検知機能を動作させる(S306)。煮込みモードでない、例えば加熱モードが選択されて加熱動作が開始されると(S304でNO)、制御部107は焦げ付き検知機能を動作させない(S305)ようにすると共に、使用者が出力設定部110aを用いて出力設定値を変更することを可能とする。
特開平10−149875号公報
しかしながら、従来技術に係る誘導加熱調理器の構成では、焦げ付き検知機能が働く調理モードが、煮込みモードに限られ、煮込みモードでは出力設定部110aで出力設定値を変更することが禁止される。すなわち、使用者は、出力設定部110aで出力設定値を変更することができる加熱モードでは、焦げ付き検知機能を働かせることができず、焦げ付き検知機能を使用するためには、加熱出力が自動設定される煮込み機能を選択しなくてはならないという課題を有していた。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決し、加熱出力を使用者の操作により自由に選択できる加熱モードで調理を行っても、焦げ付き検知機能が必要と想定される場合に焦げ付き検知機能を動作させるとともに、不必要に焦げ付き検知機能が動作し調理動作に悪影響を与える可能性がある場合には焦げ付き検知機能が動作しないようにして、加熱モードで行う通常の調理動作に与える悪影響を抑制しつつ焦げ付きの程度が悪化するのを防止することができる使い勝手の良い誘導加熱調理器及びその制御方法を提供することにある。
本発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射され前記トッププレートを透過する赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器であって、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。
これによって、使用者が選択した加熱出力で加熱する加熱モードで調理しているときに、焦げ付いたことを検知し焦げ付きがひどくならないようにすることができる。また、所定の出力設定値以上の高出力で加熱動作を行うときは、焦げ付き情報に基づく加熱出力制御が禁止され、焦げ付き情報に基づく加熱出力制御を行わないようにすることにより、湯沸しや炒め物などに代表される高出力調理時、すなわち調理人が鍋の近くにいて、焦げつき検知機能が必要とされないような調理をしている時に、焦げつき検知機能が動作して不必要に加熱が停止したり加熱出力が低下したりすることを避け、使用者が、違和感なく調理を継続することが出来、使い勝手が悪くならないようにすることができる。
本発明の誘導加熱調理器及びその制御方法によれば、使用者が加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードで加熱動作をした場合でも、煮込み調理がされる場合には焦げ付きを検知して自動的に加熱を停止したり加熱出力を弱めて焦げ付きの状態が悪化しないようにしたりすることができると共に、炒め物調理等のように高温で調理される場合には不必要に焦げ付き検知機能が動作しないようにして、使い勝手を向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の焦げ付き検知部5の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を示すフローチャートである。 図2の焦げ付き検知部5によって実行される温度勾配判定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における、加熱開始後における赤外線センサ4の出力電圧Vの時間変化を示すグラフである。 従来技術に係る誘導加熱調理器のブロック図である。 従来技術に係る誘導加熱調理器の動作を示すフローチャートである。
第1の発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射され前記トッププレートを透過する赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器であって、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。従って、加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードにおいて、焦げ付きを検知して焦げ付きの状態が悪化しないようにすることができるので使い勝手を向上させることが出来る。また、高加熱出力に対応する第2出力設定値が選択された場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され焦げ付き検知機能が働かないようにしているので不必要に加熱出力を停止したり抑制したりすることを避けることができる。また、煮込み調理等で使用する比較的低出力の加熱出力に対応する第1出力設定値が選択されて動作している場合であっても、出力電圧が第1出力電圧値から第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満の場合には、炒め物調理がされていると判定して焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され焦げ付き検知機能が働かないようにし、使用者の意図に反して加熱出力を不必要に低下させることがなく、使い勝手を向上させることができる。
第2の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1の発明の誘導加熱調理器において、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することを特徴とする。従って、第2出力設定値が選択されている場合であっても、第1出力設定値が選択された場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することにより焦げ付き検知動作を行うので、焦げ付き検知機能を、その機能の採否を含め、変更された出力設定値で正確に行うことができる。
第3の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1または第2の発明の誘導加熱調理器において、操作スイッチである加熱開始キーを備え、前記制御部は、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作することを特徴とする。従って、加熱開始キーが操作されると自動的に、焦げ付き検知動作が働く中間の所定の出力設定値に設定されるので使い勝手を向上させることができる。
第4の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1〜第3の発明の誘導加熱調理器において、前記制御部は、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作することを特徴とする。従って、不必要に加熱動作を停止したり、加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
第5の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射されて前記トッププレートを透過した赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器の制御方法であって、前記制御部が、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続するステップを含むことを特徴とする。
第6の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記制御部が、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行するステップをさらに含むことを特徴とする。
第7の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5または第6の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記誘導加熱調理器は、操作スイッチである加熱開始キーを備え、前記制御部が、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする。
第8の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5〜第7の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記制御部が、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の全体回路ブロック図であり、図2は、図1の焦げ付き検知部5のブロック図であり、図3は、本実施の形態に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を示すフローチャートであり、図4は、図2の焦げ付き検知部5によって実行される温度勾配判定処理を示すフローチャートである。また、図5は、加熱開始後における赤外線センサ4の出力電圧Vの時間変化を示す図である。
図1において、トッププレート2は誘導加熱調理器の上面に設けられたセラミック製の板であり、誘導加熱コイル3はトッププレート2の下方に設けられる。鍋1は、誘導加熱コイル3に対向する位置でトッププレート2に載置される。また、図2に示すように、交流電源9aからの交流電力を整流する整流器9c、スイッチング素子及び共振コンデンサを有し誘導加熱コイル3とともにインバータ8を構成し誘導加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ回路8a、インバータ8の入力電流を測定する入力電流検知部9b、並びにインバータ回路8aのスイッチング素子を制御して加熱出力を制御する制御部7が設けられている。誘導加熱コイル3は、高周波電流が供給されると高周波磁界を発生する。鍋1の底面にその高周波磁界が鎖交すると鍋1の底面に渦電流が誘起され渦電流はジュール熱を発生して底面が誘導加熱される。
図1において、使用者が操作して制御命令を入力するための操作部10には、出力設定部10aと、加熱動作を開始するための加熱開始キー10bと、動作モードを選択するための制御モード選択キー10cとが設けられている。出力設定部10aには、誘導加熱コイル3の加熱出力に対応する出力設定値を1段階だけ減少させるためのダウンキー10aaと、出力設定値を1段階だけ増加するためのアップキー10abが設けられている。使用者は、それらのキー10aa及び10abを操作することで複数段階の出力設定値の中からひとつの出力設定値を選択して誘導加熱コイル3の加熱出力を設定することができる。例えば、出力設定値の段階数が6の場合、出力設定値が1のとき加熱出力は100Wに設定され、出力設定値が2のとき加熱出力は300Wに設定され、出力設定値が3のとき加熱出力は700Wに設定され、出力設定値が4のとき加熱出力は1000Wに設定され、出力設定値が5のとき加熱出力は1450Wに設定され、出力設定値が6のとき加熱出力は2000Wに設定される。以下、出力設定値1〜6のうち、「低出力」の加熱出力に対応する出力設定値1、2、3及び4を第1出力設定値W1といい、「高出力」の加熱出力に対応する出力設定値5及び6を第2出力設定値W2という。
電源スイッチ6が投入(オン)されると、制御部7の制御モードは、加熱が停止した状態である待機モードとなる。待機モードでは、使用者は、加熱動作時の動作を制御するための制御モードである動作モードが選択できる。使用者は、待機モードにおいて制御モード選択キー10cを操作すると、複数の動作モードの中からひとつの動作モードを選択できる。ここで、複数の動作モードは、例えば、加熱モードと揚げ物モードとを含む。加熱モードは、使用者によって上述したように選択された出力設定値に対応する加熱出力で、加熱動作を行う動作モードであり、揚げ物モードは、揚げ物をするための動作モードである。
加熱モードが選択された後に待機モードとなっているときに、加熱開始キー10bが押されると(操作されると)加熱動作が開始され、制御部7は出力設定値を自動的に4(すなわち、加熱出力は1000Wである。)に設定して加熱モードに移行する。加熱モードは使用者が選択した出力設定値で加熱動作を行う動作モードである。出力設定部10aはアップキー10abとダウンキー10aaとを備えており、制御部7が加熱モードで動作するときは、使用者は、出力設定部10aを操作することにより出力設定値を変更することができる。出力設定部10aの操作により出力設定値が変更されると、出力設定部10aは、変更後の出力設定値を通知するための出力設定情報を、制御部7に出力する。制御部7は、インバータ8の入力電流を、カレントトランスを含む入力電流検知部9bでモニタして、加熱出力が変更後の出力設定値に対応した値になるように、インバータ回路8aを構成するスイッチング素子(図示せず)を制御して必要な大きさの高周波電流を誘導加熱コイル3に供給する。
赤外線センサ4は、鍋1の底面から放射されトッププレート2を透過した赤外線を検知し、鍋1の底面温度に対応した出力電圧Vを制御部7に出力する。制御部7は、加熱モードで動作する場合には、図5に示すように出力電圧Vが所定の出力電圧値V0(例えば、出力電圧値V0は、鍋1の底面温度が油の発火温度である約300℃であるときの出力電圧Vである。)以上になると、加熱を停止して油発火が生じるのを防止する。また、制御部7は、揚げ物をするための動作モードである揚げ物モードを有する。制御部7は、揚げ物モードで動作する場合には、出力電圧Vが図示していない所定の出力電圧値(例えば、鍋1の底面温度が約180℃であるときの出力電圧値Vである。)で安定するように加熱を停止したり加熱出力を増減したりする制御を行う。
次に、図2〜図5を用いて、焦げ付き検知部5の構成とその焦げ付き検知動作について説明する。なお、以下に記載する赤外線センサ4の出力電圧値V0〜V6、時刻t0〜t5、及び第1経過時間T0、煮物判定値T01、第2経過時間T1及び炒め物判定値T11は、図5に記載されている。
ここで、出力電圧値V0〜V6(V1<V6<V2≦V3<V0)は、鍋1の底面温度に対して以下のように定義される。
(1)出力電圧値V0:加熱モードで動作中に、焦げ付き検知部5から後述する焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続しているときに、制御部7が加熱動作を停止する所定の加熱停止温度に対応する出力電圧値であり、上記加熱停止温度は、例えば、油の発火温度(300℃)である。
(2)第1出力電圧値V1:赤外線センサ4で測定可能な最低温度(例えば、129℃)に実質的に対応する所定の出力電圧値。
(3)第2出力電圧値V2:鍋1の鍋底の焦げ付きの程度が比較的小さいとき(焦げ付きが開始するとき)の温度であり、かつ被加熱物の温度勾配が「大」であるか、または「中」であるかを判定するために用いられる所定の温度(例えば、159℃)に対応する所定の出力電圧値。
(4)第3出力電圧値V3:温度勾配が「中」であると判定された、カレーなどの高粘度の被加熱物の焦げ付きを判定するための所定の焦げ付き判定温度(例えば、230℃)に対応する所定の出力電圧値。
(5)第4出力電圧値V4:第2経過時間T1の測定を終了するときの所定の出力電圧値(V1<V4≦V3であり、図5に示すように、V4=V2でもよい。)。
(6)第5出力電圧値V5:加熱開始時に、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を禁止するときの所定の出力電圧値(V1<V5≦V2であり、図5に示すように、V5=V2でもよい。)。
(7)第6出力電圧値V6:温度勾配が「小」であると判定された、煮物などの低粘度の被加熱物の焦げ付きを判定するための所定の焦げ付き判定温度(例えば、135℃)に対応する所定の出力電圧値。
また、第1経過時間T0、煮物判定値T01、第2経過時間T1及び炒め物判定値T11は、以下のように定義される。
(1)第1経過時間T0:時刻t0に加熱動作を開始した後の経過時間。
(2)煮物判定値T01:被加熱物が煮物などの低粘度の調理物あるか否かを判定するための、時刻t0に加熱動作を開始した後の所定の経過時間(例えば、2分)。
(3)第2経過時間T1:赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの経過時間。
(4)炒め物判定値T11:温度勾配が「大」であるか、または「中」であるかを判定するために用いる、赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの所定の経過時間(例えば、20秒〜200秒)。
図3を参照して、本実施の形態に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を説明する。図3において、焦げ付き検知動作を示す部分を破線で示している。待機モード中に、加熱モードが選択されて加熱開始キー10bが操作された場合(S101でYES)、及び加熱モードで動作中に出力設定部10aにより加熱出力に対応する出力設定値が変更された場合(S102でYES)には、制御部7は、現在設定されている出力設定値が「高出力」に対応する第2出力設定値W2か、または「低出力」に対応する第1出力設定値W1であるかを判別する(S103)。出力設定値が第2出力設定値W2である5以上の値であれば、「高出力」であると判定して(S103でYES)、後述する比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(S111の処理である。)を禁止して、加熱動作を継続する(S109)。なお、S109において、制御部7は、出力電圧Vが出力電圧値V0(図5参照。)以上になると、加熱を停止するようにインバータ回路8aを制御して、油発火が生じるのを防止する。一方、S103において出力設定値が第1出力設定値W1である4以下の値であれば、「低出力」であると判定して(S103でNO)、S104以降の焦げ付き検知動作を実行しながら加熱を継続する。
すなわち、制御部7は、第2出力設定値W2が選択されて加熱モードで加熱動作を制御しているとき(S109)、出力設定部10aの操作により出力設定値が第1出力設定値W1に変更されると(S102でYES、かつS103でNO)、S104以降の処理を実行し、焦げ付き検知部5の比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する。この構成により、第2出力設定値W2が選択されている場合であっても、第1出力設定値W1が選択されて加熱動作をする場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(焦げ付き検知動作)を行うので、加熱動作を継続しながらS104以降の焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を、変更された出力設定値で正確に行うことができる。
以下、説明を簡単にするため、出力設定値は、4(対応する加熱出力は1000Wである。)で変更されないものとする。制御部7は赤外線センサ4の出力電圧Vを入力してその大きさを測定しその情報を焦げ付き検知部5に送る。なお、焦げ付き検知部5は、制御部7を介在することなく赤外線センサ4から直接、出力電圧Vを入力してもよい。図2において、焦げ付き検知部5は、第1出力電圧値V1と、第1出力電圧値V1より大きい値の第2出力電圧値V2と、第3出力電圧値V3と、第4出力電圧値V4と、第6出力電圧値V6とを予め記憶する温度記憶部11を備えている。
第1出力電圧値V1は、例えば、鍋1の鍋底が約129℃になったときに赤外線センサ4が出力する電圧とすることができる。本実施の形態で使用する赤外線センサ4の出力電圧Vは鍋1の底面温度Tを変数とした場合にべき乗関数(y=aT,yは赤外線センサ4の出力電圧であり、nは正の実数であり、aは正の実数である。)的に増加するので、図5のように、時間経過と共に増加勾配を大きくしながら増加する。このため、その出力電圧が測定可能な値でかつできるだけ低い値を選んで第1出力電圧値V1として設定すると良い。
第2出力電圧値V2は、鍋1の鍋底が約159℃になったときに赤外線センサ4が出力する電圧としている。鍋1の鍋底が約159℃では焦げ付きの程度が比較的小さいからである。
そして、図3において、S103に続いて、比較部12により、出力電圧Vが第2出力電圧値V2以上か否かの初期値判定を行うことにより、加熱開始キー10bがオンされ加熱が開始された直後の鍋1の底面温度、または加熱中に出力設定値が変更された直後の鍋1の底面温度が第2出力電圧値V2に対応する温度以上であるか否かを判断する(S104)。制御部7は、加熱開始キー10bがオンされ加熱が開始された直後の出力電圧V、または加熱中に出力設定値が変更された直後の出力電圧Vが第2出力電圧値V2以上であると(S104でYES)、「高温」と判定して比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(焦げ付き検知動作)を禁止して実質的に実行せずに、加熱動作を継続する(S109)。加熱開始直後に「高温」と判定した場合には、すでに焦げの発生する底面温度となっておりかつ使用者が調理物の前にいると想定でき、加熱調理をしようとする使用者の意図を妨げないようにしている。一方、出力電圧Vが第2出力電圧値V2未満であると(S104でNO)、「低温」と判定して、温度勾配判定をおこなう(S105)。なお、S104において、第2出力電圧値V2に代え、第2出力電圧値以下で第1出力電圧値V1より大きい所定の第5出力電圧値V5(図示せず)により、「高温」であるか否かを判定しても良い。
図4の温度勾配判定処理は図2の焦げ付き検知部5により実行され、被加熱物の温度勾配が「小」であるか否かを判定する第1温度勾配判定処理(S201〜S206)と、温度勾配が「中」又は「大」であるかを判定する第2温度勾配判定処理(S208)とを含む。図4に示すように、制御部7は、加熱開始キー10bにより加熱動作が開始されたとき(時刻t0)に、カウンタのリセット信号とカウントスタート信号を第2タイマ回路15に送る。第2タイマ回路15は、リセット信号に応答して第1経過時間T0をリセットし、カウントスタート信号に応答して、加熱開始後の経過時間である第1経過時間T0のカウントを開始する(S201)。次に、出力電圧Vが第1出力電圧V1以上であるか否かが比較部12により判断される(S202)。S202においてYESのときは、比較部12はカウンタのリセット信号とカウントスタート信号を第1タイマ回路14に送信し、これに応答して、第1タイマ回路はリセットされ第2経過時間T1のカウントを開始する(S204)。一方、S202においてNOのときは、比較部14により、第1経過時間T0が煮物判定値T01以上であるか否かが判断される(S203)。そして、S203でYESの場合はS207に進む一方、NOの場合はS202に戻る。
図5の曲線Aに示すように、鍋1内の調理物が水分の多い粘度の低い煮物である場合、煮詰まらない限り、鍋1の底面温度は赤外線センサ4で測定可能な最低温度にならず、出力電圧Vは第1出力電圧値V1に到達しない。したがって、出力電圧Vが第1出力電圧値V1に到達する前に、第1経過時間T0が時間記憶部16に記憶された煮物判定値T01となる(時刻t5)。煮物判定値T01は、例えば、約2分とすることができるがこの数値に限定されることはない。このように、煮物判定値T01が経過しても出力電圧Vが第1出力電圧値V1に到達しないとき(S203でYES)、比較部14は、時間経過に伴う鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定して、温度記憶部11にその判定結果を示す信号を送る(S207)。第1温度勾配判定の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定されない場合(S206でNO)には、第2温度勾配判定処理を行う(S208)。
一方、S202においてYESの場合、S204において、第1タイマ回路13により、赤外線センサ4の出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった時刻(例えば、図5の曲線Bの場合は時刻t1であり、曲線Cの場合は時刻t2である。)からの第2経過時間T1のカウントを開始する。そして、S205において、比較部12により、出力電圧Vが第1出力電圧値V1より大きな第2出力電圧値V2以上であるか否かが判断される。S205においてNOのときはS205の処理を繰り返して実行する。一方、S205においてYESのときは、比較部12は、カウント停止を指示する指示信号を第1タイマ回路13に出力し、これに応答して、第1タイマ回路13はカウントを停止して、当該停止時のカウント値に対応する第2経過時間T1を比較部18に出力し、S206に進む。S206では、比較部14により、第1経過時間T0が煮物判定値T01以上であるか否かが判断される。S206においてYESのときは、比較部14は、S207において、時間経過に伴う鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定して、温度記憶部11に当該判定結果を示す信号を送る。一方、S206において、NOのときはS208に進む。すなわち、第1タイマ回路13は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの経過時間(例えば図5の曲線Bにおいて時刻t1から時刻t4までの時間、または曲線Cにおいて時刻t2から時刻t4までの時間)を測定(S204、S205)する。S206では、温度勾配が「小」であるか否かを判定する。温度勾配が「小」と判定されない場合において(S206でNO)、S208に進む。S208において、比較部18は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が時間記憶部16に記憶された炒め物判定値T11以上であるか否かを判断する。例えば、曲線Bのように、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が時間記憶部16に記憶された炒め物判定値T11以上の時は(S208でYES)、比較部18は、鍋1の底面温度の上昇勾配が「中」であると判定し、判定結果を比較部17に出力する(S209)。この場合、比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上であるか否かを判断し(S211)、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上(S211でYES)であれば、鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を制御部7に出力する(S212)。また、比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3未満であれば、焦げ付き情報を制御部7に出力しないで加熱を継続する(S211でNO)。一方、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が炒め物判定値T11未満の時は(S208でNO)、比較部18は、鍋1の底面温度の上昇勾配が「大」であると判定し、この判定結果を入力した比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上になっても焦げ付き情報を制御部7に出力しないで加熱を継続する(S210)。
炒め物判定値T11は、例えば20秒〜200秒の間で設定することができ、例えば約100秒とすることができる。また、炒め物判定値T11は、鍋の板厚に対応させて可変することが好ましい。即ち、板厚が小さく(薄く)なればなるほど、鍋温度の上昇速度が大きくなるので炒め物判定値T11をより小さくするように設定すると良い。板厚の大小は、加熱中の鍋温度の上昇速度の大小で判断することができる。赤外線センサ4での測定温度の上昇速度が大きいほど板厚がより小さい(薄い)と推定することができる。
図3のS105に戻り、図4の第1温度勾配判定処理(S201〜S206)の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」と判定された場合には(S105でYES)、「肉じゃが(肉とじゃがいもの煮込み)」などの煮込み調理であると判別する。温度記憶部11には第2出力電圧値V2より小さな第6出力電圧値V6が記憶されている。第6出力電圧値V6は、例えば約135℃と設定することができる。第6出力電圧値V6は、煮込み調理における被加熱物の焦げ付きの程度ができるだけ低くなるように設定すれば良い。第6出力電圧値V6の設定値を低くしすぎた場合には、不必要に、調理物が焦げ付いたと判定される可能性がある。S106において、比較部17は、出力電圧Vと第6出力電圧値V6とを比較し、出力電圧Vが第6出力電圧値V6以上になると(S106でYES)、鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を制御部7に出力する。制御部7は、比較部17から焦げ付き情報を入力すると、この焦げ付き情報にもとづき加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制し、焦げ付きを報知し(S111)、S101に戻る。この構成により、煮込み調理における被加熱物の焦げ付きを、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物であると判別した場合の焦げ付き判定温度(第3出力電圧V3に対応する温度である。)よりも低い焦げ付き判定温度(第6出力電圧値V6に対応する温度である。)でより早く検出して、加熱を停止しまたは加熱出力を抑制したり、または焦げ付きを報知したりすることができる。
比較部18は、第2温度勾配判定処理(S208)の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「中」であると判定した場合(S208でYES)には、比較部17にこの判定結果を出力する。比較部17は、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物であると判別する(S209)。この場合、S107において、NOと判断され、比較部17は、比較部18から出力される判定結果に応答して、出力電圧Vを、所定の加熱停止出力電圧値V0より小さく第6出力電圧値V6より高い第3出力電圧値V3と比較し(S110)、出力電圧Vが第3出力電圧値V3に到達する(S110でYES)と、加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する制御を行い(S111)、S101に戻る。第3出力電圧値V3は、例えば約230℃に設定することができる。また、比較部18が第2温度勾配判定の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「大」であると判定した場合(S208でNO)には、比較部17は、炒め物調理であると判別し焦げ付き情報を制御部7に出力することをしない(S210)。この結果、S107においてNOと判断され、制御部7の焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続する(S109)。
この構成により、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物である場合には煮物調理の場合に比べ高い焦げ付き判定温度(第3出力電圧値V3に対応する温度である。)で焦げ付き検知動作(S110)を行い、炒め物調理の際には不必要に加熱を停止したり、加熱出力を弱めたりすることがなく使い勝手を向上することができる。
なお、第2温度勾配判定処理(S208)において使用する第2経過時間T1の測定終了時刻を、第2出力電圧値V2に到達した時刻としたが、第3出力電圧値V3以下に設定された第4出力電圧値V4に到達した時刻にしてもよく、第4出力電圧値V4と第2出力電圧値V2とは同一でも異なっていてもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る誘導加熱調理器は、鍋1を載置するトッププレート2と、トッププレート2の下に設けられ鍋1を加熱する誘導加熱コイル3を含むインバータ8と、トッププレート2の下に設けられ、鍋1の底から放射されトッププレート2を透過する赤外線を検知して鍋1の底面温度に対応する出力電圧Vを出力する赤外線センサ4と、出力電圧Vが所定の第1出力電圧値V1から第1出力電圧値V1よりも大きい所定の第2出力電圧値V2以上に増加したことを検知すると鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部5と、第1出力設定値W1と、第1出力設定値W1より高い第2出力設定値W2とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの出力設定値を選択するための出力設定部10aと、誘導加熱コイル3に高周波電流を供給しかつ加熱出力が選択された出力設定値に対応する加熱出力となるようにインバータ8の加熱動作を制御する加熱モードを有し、焦げ付き情報を入力した後は、出力電圧Vが、第2出力電圧値V2以上でありかつ焦げ付き情報を入力しない場合に加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値V0に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値V3以上であるときに加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部7と、を備えた誘導加熱調理器であって、制御部7は、加熱モードで動作中に、第1出力設定値W1が選択されているときに、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、第2出力設定値W2が選択されているときに、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、第1出力設定値W1が選択されているときに、出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第3出力電圧値V3以下に設定された所定の第4出力電圧値V4に達するまでの第2経過時間T1が所定の炒め物判定値T11未満であることを焦げ付き検知部5が検知すると、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。
この構成により、加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードにおいて、焦げ付きを検知して焦げ付きの状態が悪化しないようにすることができる。また、炒め物調理のように焦げ付きが問題となりにくい比較的大きな加熱出力を設定した場合(第2出力設定値W2が選択された場合である。)には、図3において、S103の処理からS109の処理に進むので、不必要に焦げ付いたことを検知して加熱出力が低下しないようにすることができる。
また、第1出力設定値W1が選択されている場合であっても、被加熱物の温度の増加速度が所定値以上である場合(S208においてYESの場合である。)には、炒め物調理がされていると判定して焦げ付き検知機能が働かないようにして、不必要に加熱動作を停止したり加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
また、本実施の形態によれば、制御部7は、第2出力設定値W2が選択されて加熱モードで加熱動作を制御しているとき、第1出力設定値W1に変更されて加熱モードで動作すると、焦げ付き検知部5からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(図3のS103〜S111の処理である。)を行う。この構成により、第2出力設定値W2が選択されている場合であっても、第1出力設定値が選択されて加熱動作をする場合には、焦げ付き検知動作を行うので、焦げ付き検知動作を変更された出力設定値で正確に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、操作スイッチである加熱開始キー10bを備える。また、制御部7は、加熱モードが選択され加熱開始キー10bが操作されると、出力設定値を、最大出力設定値6より小さく最小出力設定値1より大きな4である第1出力設定値W1に設定して加熱モードで加熱動作する。この構成により、加熱開始と共に、自動的に焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する加熱出力に設定されるので、焦げ付き機能が働かず、焦げ付きの状態が悪化する機会を減少させることが出来る。
また、本実施の形態によれば、制御部7は、加熱開始時に、出力電圧Vが、第2出力電圧値V2、または第2出力電圧値V2以下に設定された所定の第5出力電圧値V5以上であると(S104においてYESの場合。)、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することなく加熱動作モードで加熱動作する。この構成により、焦げ付き検知動作により不必要に加熱動作を停止したり、加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
また、本実施の形態によれば、焦げ付き検知部5は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第1出力電圧値V1よりも大きい第2出力電圧値V2以上に増加したことを加熱開始後煮物判定値T01だけ時間が経過するまでの間に検知し(S206でNO)、かつ出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第2出力電圧値V2に達するまでの第2経過時間T1が炒め物判定値T11以上の場合(S208でYES)、すなわち、出力電圧Vに対応する温度の時間経過に対する上昇勾配が所定値以下であることを検知すると鍋底に調理物が焦げ付いたことを検知し、鍋1の底面温度が高温となった場合に炒め物の場合に用いる加熱停止温度(出力電圧値V0に対応する温度である。)比べ低い温度(第3出力電圧値V3に対応する温度である。)で加熱を停止し又は加熱出力を抑制する。この構成により、カレーなどの粘度の高い液体の焦げ付きの状態を緩和することができる。
また、本実施の形態によれば、鍋1の底面温度を赤外線センサ4で検知しているため、サーミスタなどの感温素子を使用する場合は鍋1の底面温度を応答性よく検出できるので焦げ付きを精度良く検出することができる。
以上のように、本発明に係る誘導加熱調理器及びその制御方法は、使用者が選択した出力設定値で加熱する動作モードで焦げ付きを検知することができるとともに、炒め物調理のように高出力で調理するときには、焦げ付き検知機能が不必要に動作しないようにし、継続して調理を行うことが出来るので、組み込み式、テーブルの上で使用する卓上型、又は置き台の上で使用する据え置き型等で、家庭用又は業務用の、出力設定可能な誘導加熱調理器に適用できる。
1 鍋
2 トッププレート
3 誘導加熱コイル
4 赤外線センサ
5 焦げ付き検知部
7 制御部
8 インバータ
10a 出力設定部
10b 加熱開始キー
10c 制御モード選択キー
11 温度記憶部
12 比較部
13 第1タイマ回路
14 比較部
15 第2タイマ回路
16 時間記憶部
17 比較部
18 比較部
19 電源スイッチ
T0 第1経過時間
T01 煮物判定値
T1 第2経過時間
T11 炒め物判定値
【0013】
(1)第1経過時間T0:時刻t0に加熱動作を開始した後の経過時間。
(2)煮物判定値T01:被加熱物が煮物などの低粘度の調理物であるか否かを判定するための、時刻t0に加熱動作を開始した後の所定の経過時間(例えば、2分)。
(3)第2経過時間T1:赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの経過時間。
(4)炒め物判定値T11:温度勾配が「大」であるか、または「中」であるかを判定するために用いる、赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの所定の経過時間(例えば、20秒〜200秒)。
[0030]
図3を参照して、本実施の形態に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を説明する。図3において、焦げ付き検知動作を示す部分を破線で示している。待機モード中に、加熱モードが選択されて加熱開始キー10bが操作された場合(S101でYES)、及び加熱モードで動作中に出力設定部10aにより加熱出力に対応する出力設定値が変更された場合(S102でYES)には、制御部7は、現在設定されている出力設定値が「高出力」に対応する第2出力設定値W2か、または「低出力」に対応する第1出力設定値W1であるかを判別する(S103)。出力設定値が第2出力設定値W2である5以上の値であれば、「高出力」であると判定して(S103でYES)、後述する比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(S111の処理である。)を禁止して、加熱動作を継続する(S109)。なお、S109において、制御部7は、出力電圧Vが出力電圧値V0(図5参照。)以上になると、加熱を停止するようにインバータ回路8aを制御して、油発火が生じるのを防止する。一方、S103において出力設定値が第1出力設定値W1である4以下の値であれば、「低出力」であると判定して(S103でNO)、S104以降の焦げ付き検知動作を実行しながら加熱を継続する。
[0031]
すなわち、制御部7は、第2出力設定値W2が選択されて加熱モードで加
【0022】
抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
[0050]
また、本実施の形態によれば、焦げ付き検知部5は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第1出力電圧値V1よりも大きい第2出力電圧値V2以上に増加したことを加熱開始後煮物判定値T01だけ時間が経過するまでの間に検知し(S206でNO)、かつ出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第2出力電圧値V2に達するまでの第2経過時間T1が炒め物判定値T11以上の場合(S208でYES)、すなわち、出力電圧Vに対応する温度の時間経過に対する上昇勾配が所定値以下であることを検知すると鍋底に調理物が焦げ付いたことを検知し、鍋1の底面温度が高温となった場合に炒め物の場合に用いる加熱停止温度(出力電圧値V0に対応する温度である。)比べ低い温度(第3出力電圧値V3に対応する温度である。)で加熱を停止し又は加熱出力を抑制する。この構成により、カレーなどの粘度の高い液体の焦げ付きの状態を緩和することができる。
[0051]
また、本実施の形態によれば、鍋1の底面温度を赤外線センサ4で検知しているため、鍋1の底面温度を応答性よく検出できるので焦げ付きを精度良く検出することができる。
産業上の利用可能性
[0052]
以上のように、本発明に係る誘導加熱調理器及びその制御方法は、使用者が選択した出力設定値で加熱する動作モードで焦げ付きを検知することができるとともに、炒め物調理のように高出力で調理するときには、焦げ付き検知機能が不必要に動作しないようにし、継続して調理を行うことが出来るので、組み込み式、テーブルの上で使用する卓上型、又は置き台の上で使用する据え置き型等で、家庭用又は業務用の、出力設定可能な誘導加熱調理器に適用できる。
符号の説明
[0053]
1 鍋
2 トッププレート
3 誘導加熱コイル
本発明は、焦げ付き検知機能を備えた誘導加熱調理器及びその制御方法に関する。
焦げ付き検知機能を備えた従来技術に係る加熱調理器は、加熱開始後、沸騰検知動作を行い、沸騰を検知した時の温度及び入力電力並びに沸騰に至るまでの温度の変化パターンにより調理鍋内部に存在する調理物の粘度及び容量などの状態量を判定し、沸騰後の加熱に必要な煮込み電力を決定する。さらに、煮込み調理中にだし汁がなくなり鍋底の温度が急上昇して所定値以上に上昇したことを検知した場合に、だし汁がなくなり鍋底に調理物が焦げ付いたと判断して所定の処理を行う自動の煮込み調理モードを有する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、従来技術に係る誘導加熱調理器のブロック図であり、図7はその動作を示すフローチャートである。図6において、トッププレート2は誘導加熱調理器の上面に設けられた結晶化セラミック製の板であり、誘導加熱コイル3はトッププレート2の下方に設けられる。鍋1を加熱するとき、鍋1は誘導加熱コイル3にその鍋底が対向するようにトッププレート2上に載置される。インバータ回路108aはスイッチング素子及び共振コンデンサを含み、誘導加熱コイル3とともにインバータを構成し、誘導加熱コイル3に高周波電流を供給する。制御部107はインバータ回路108aのスイッチング素子をオンオフ制御して加熱出力を制御する。鍋1の温度を検知するために、トッププレート2の裏面温度を測定するサーミスタ104が設けられている。サーミスタ104は検知結果を制御部107に出力する。誘導加熱調理器の使用者が操作する操作部110には、出力設定部110a、加熱動作を開始するための加熱開始キー110b、及び動作モードを選択するための制御モード選択キー110cが設けられている。出力設定部110aには、加熱モードで動作中において押すごとに出力設定値を1段階ずつ減少させるダウンキー110aaと、押すごとに出力設定値を1段階ずつ増加するためのアップキー110abが設けられている。
従来技術に係る誘導加熱調理器の動作を、図7を参照して以下に説明する。電源スイッチ106がオンされると(S301)、制御部107は待機モードとなる。制御部107は待機モードであるとき加熱動作を停止しており、操作部110の制御モード選択キー110cを操作することで煮込みモードを含む複数の動作モードの中からひとつの動作モードを選択することが可能な状態となっている。待機モードにおいて動作モードが選択され(S302)、加熱開始キー110bが押されると(S303)、選択された動作モードで加熱動作が開始される。煮込みモードが選択されて加熱動作が開始されると(S304でYES)、制御部107は使用者が出力設定部110aで出力設定値を変更することを禁止し、特許文献1に記載されたように、沸騰検知動作を行った後加熱出力を自動制御すると共に、鍋1の温度が異常に上昇したことを検知すると、焦げ付きを検知する焦げ付き検知機能を動作させる(S306)。煮込みモードでない、例えば加熱モードが選択されて加熱動作が開始されると(S304でNO)、制御部107は焦げ付き検知機能を動作させない(S305)ようにすると共に、使用者が出力設定部110aを用いて出力設定値を変更することを可能とする。
特開平10−149875号公報
しかしながら、従来技術に係る誘導加熱調理器の構成では、焦げ付き検知機能が働く調理モードが、煮込みモードに限られ、煮込みモードでは出力設定部110aで出力設定値を変更することが禁止される。すなわち、使用者は、出力設定部110aで出力設定値を変更することができる加熱モードでは、焦げ付き検知機能を働かせることができず、焦げ付き検知機能を使用するためには、加熱出力が自動設定される煮込み機能を選択しなくてはならないという課題を有していた。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決し、加熱出力を使用者の操作により自由に選択できる加熱モードで調理を行っても、焦げ付き検知機能が必要と想定される場合に焦げ付き検知機能を動作させるとともに、不必要に焦げ付き検知機能が動作し調理動作に悪影響を与える可能性がある場合には焦げ付き検知機能が動作しないようにして、加熱モードで行う通常の調理動作に与える悪影響を抑制しつつ焦げ付きの程度が悪化するのを防止することができる使い勝手の良い誘導加熱調理器及びその制御方法を提供することにある。
本発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射され前記トッププレートを透過する赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器であって、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。
これによって、使用者が選択した加熱出力で加熱する加熱モードで調理しているときに、焦げ付いたことを検知し焦げ付きがひどくならないようにすることができる。また、所定の出力設定値以上の高出力で加熱動作を行うときは、焦げ付き情報に基づく加熱出力制御が禁止され、焦げ付き情報に基づく加熱出力制御を行わないようにすることにより、湯沸しや炒め物などに代表される高出力調理時、すなわち調理人が鍋の近くにいて、焦げつき検知機能が必要とされないような調理をしている時に、焦げつき検知機能が動作して不必要に加熱が停止したり加熱出力が低下したりすることを避け、使用者が、違和感なく調理を継続することが出来、使い勝手が悪くならないようにすることができる。
本発明の誘導加熱調理器及びその制御方法によれば、使用者が加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードで加熱動作をした場合でも、煮込み調理がされる場合には焦げ付きを検知して自動的に加熱を停止したり加熱出力を弱めて焦げ付きの状態が悪化しないようにしたりすることができると共に、炒め物調理等のように高温で調理される場合には不必要に焦げ付き検知機能が動作しないようにして、使い勝手を向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の焦げ付き検知部5の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を示すフローチャートである。 図2の焦げ付き検知部5によって実行される温度勾配判定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における、加熱開始後における赤外線センサ4の出力電圧Vの時間変化を示すグラフである。 従来技術に係る誘導加熱調理器のブロック図である。 従来技術に係る誘導加熱調理器の動作を示すフローチャートである。
第1の発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射され前記トッププレートを透過する赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器であって、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。従って、加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードにおいて、焦げ付きを検知して焦げ付きの状態が悪化しないようにすることができるので使い勝手を向上させることが出来る。また、高加熱出力に対応する第2出力設定値が選択された場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され焦げ付き検知機能が働かないようにしているので不必要に加熱出力を停止したり抑制したりすることを避けることができる。また、煮込み調理等で使用する比較的低出力の加熱出力に対応する第1出力設定値が選択されて動作している場合であっても、出力電圧が第1出力電圧値から第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満の場合には、炒め物調理がされていると判定して焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され焦げ付き検知機能が働かないようにし、使用者の意図に反して加熱出力を不必要に低下させることがなく、使い勝手を向上させることができる。
第2の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1の発明の誘導加熱調理器において、前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することを特徴とする。従って、第2出力設定値が選択されている場合であっても、第1出力設定値が選択された場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することにより焦げ付き検知動作を行うので、焦げ付き検知機能を、その機能の採否を含め、変更された出力設定値で正確に行うことができる。
第3の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1または第2の発明の誘導加熱調理器において、操作スイッチである加熱開始キーを備え、前記制御部は、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作することを特徴とする。従って、加熱開始キーが操作されると自動的に、焦げ付き検知動作が働く中間の所定の出力設定値に設定されるので使い勝手を向上させることができる。
第4の発明に係る誘導加熱調理器は、特に、第1〜第3の発明の誘導加熱調理器において、前記制御部は、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作することを特徴とする。従って、不必要に加熱動作を停止したり、加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
第5の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射されて前記トッププレートを透過した赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器の制御方法であって、前記制御部が、前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続するステップを含むことを特徴とする。
第6の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記制御部が、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行するステップをさらに含むことを特徴とする。
第7の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5または第6の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記誘導加熱調理器は、操作スイッチである加熱開始キーを備え、前記制御部が、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする。
第8の発明に係る導加熱調理器の制御方法は、特に、第5〜第7の発明に係る導加熱調理器の制御方法において、前記制御部が、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の全体回路ブロック図であり、図2は、図1の焦げ付き検知部5のブロック図であり、図3は、本実施の形態に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を示すフローチャートであり、図4は、図2の焦げ付き検知部5によって実行される温度勾配判定処理を示すフローチャートである。また、図5は、加熱開始後における赤外線センサ4の出力電圧Vの時間変化を示す図である。
図1において、トッププレート2は誘導加熱調理器の上面に設けられたセラミック製の板であり、誘導加熱コイル3はトッププレート2の下方に設けられる。鍋1は、誘導加熱コイル3に対向する位置でトッププレート2に載置される。また、図2に示すように、交流電源9aからの交流電力を整流する整流器9c、スイッチング素子及び共振コンデンサを有し誘導加熱コイル3とともにインバータ8を構成し誘導加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ回路8a、インバータ8の入力電流を測定する入力電流検知部9b、並びにインバータ回路8aのスイッチング素子を制御して加熱出力を制御する制御部7が設けられている。誘導加熱コイル3は、高周波電流が供給されると高周波磁界を発生する。鍋1の底面にその高周波磁界が鎖交すると鍋1の底面に渦電流が誘起され渦電流はジュール熱を発生して底面が誘導加熱される。
図1において、使用者が操作して制御命令を入力するための操作部10には、出力設定部10aと、加熱動作を開始するための加熱開始キー10bと、動作モードを選択するための制御モード選択キー10cとが設けられている。出力設定部10aには、誘導加熱コイル3の加熱出力に対応する出力設定値を1段階だけ減少させるためのダウンキー10aaと、出力設定値を1段階だけ増加するためのアップキー10abが設けられている。使用者は、それらのキー10aa及び10abを操作することで複数段階の出力設定値の中からひとつの出力設定値を選択して誘導加熱コイル3の加熱出力を設定することができる。例えば、出力設定値の段階数が6の場合、出力設定値が1のとき加熱出力は100Wに設定され、出力設定値が2のとき加熱出力は300Wに設定され、出力設定値が3のとき加熱出力は700Wに設定され、出力設定値が4のとき加熱出力は1000Wに設定され、出力設定値が5のとき加熱出力は1450Wに設定され、出力設定値が6のとき加熱出力は2000Wに設定される。以下、出力設定値1〜6のうち、「低出力」の加熱出力に対応する出力設定値1、2、3及び4を第1出力設定値W1といい、「高出力」の加熱出力に対応する出力設定値5及び6を第2出力設定値W2という。
電源スイッチ6が投入(オン)されると、制御部7の制御モードは、加熱が停止した状態である待機モードとなる。待機モードでは、使用者は、加熱動作時の動作を制御するための制御モードである動作モードが選択できる。使用者は、待機モードにおいて制御モード選択キー10cを操作すると、複数の動作モードの中からひとつの動作モードを選択できる。ここで、複数の動作モードは、例えば、加熱モードと揚げ物モードとを含む。加熱モードは、使用者によって上述したように選択された出力設定値に対応する加熱出力で、加熱動作を行う動作モードであり、揚げ物モードは、揚げ物をするための動作モードである。
加熱モードが選択された後に待機モードとなっているときに、加熱開始キー10bが押されると(操作されると)加熱動作が開始され、制御部7は出力設定値を自動的に4(すなわち、加熱出力は1000Wである。)に設定して加熱モードに移行する。加熱モードは使用者が選択した出力設定値で加熱動作を行う動作モードである。出力設定部10aはアップキー10abとダウンキー10aaとを備えており、制御部7が加熱モードで動作するときは、使用者は、出力設定部10aを操作することにより出力設定値を変更することができる。出力設定部10aの操作により出力設定値が変更されると、出力設定部10aは、変更後の出力設定値を通知するための出力設定情報を、制御部7に出力する。制御部7は、インバータ8の入力電流を、カレントトランスを含む入力電流検知部9bでモニタして、加熱出力が変更後の出力設定値に対応した値になるように、インバータ回路8aを構成するスイッチング素子(図示せず)を制御して必要な大きさの高周波電流を誘導加熱コイル3に供給する。
赤外線センサ4は、鍋1の底面から放射されトッププレート2を透過した赤外線を検知し、鍋1の底面温度に対応した出力電圧Vを制御部7に出力する。制御部7は、加熱モードで動作する場合には、図5に示すように出力電圧Vが所定の出力電圧値V0(例えば、出力電圧値V0は、鍋1の底面温度が油の発火温度である約300℃であるときの出力電圧Vである。)以上になると、加熱を停止して油発火が生じるのを防止する。また、制御部7は、揚げ物をするための動作モードである揚げ物モードを有する。制御部7は、揚げ物モードで動作する場合には、出力電圧Vが図示していない所定の出力電圧値(例えば、鍋1の底面温度が約180℃であるときの出力電圧値Vである。)で安定するように加熱を停止したり加熱出力を増減したりする制御を行う。
次に、図2〜図5を用いて、焦げ付き検知部5の構成とその焦げ付き検知動作について説明する。なお、以下に記載する赤外線センサ4の出力電圧値V0〜V6、時刻t0〜t5、及び第1経過時間T0、煮物判定値T01、第2経過時間T1及び炒め物判定値T11は、図5に記載されている。
ここで、出力電圧値V0〜V6(V1<V6<V2≦V3<V0)は、鍋1の底面温度に対して以下のように定義される。
(1)出力電圧値V0:加熱モードで動作中に、焦げ付き検知部5から後述する焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続しているときに、制御部7が加熱動作を停止する所定の加熱停止温度に対応する出力電圧値であり、上記加熱停止温度は、例えば、油の発火温度(300℃)である。
(2)第1出力電圧値V1:赤外線センサ4で測定可能な最低温度(例えば、129℃)に実質的に対応する所定の出力電圧値。
(3)第2出力電圧値V2:鍋1の鍋底の焦げ付きの程度が比較的小さいとき(焦げ付きが開始するとき)の温度であり、かつ被加熱物の温度勾配が「大」であるか、または「中」であるかを判定するために用いられる所定の温度(例えば、159℃)に対応する所定の出力電圧値。
(4)第3出力電圧値V3:温度勾配が「中」であると判定された、カレーなどの高粘度の被加熱物の焦げ付きを判定するための所定の焦げ付き判定温度(例えば、230℃)に対応する所定の出力電圧値。
(5)第4出力電圧値V4:第2経過時間T1の測定を終了するときの所定の出力電圧値(V1<V4≦V3であり、図5に示すように、V4=V2でもよい。)。
(6)第5出力電圧値V5:加熱開始時に、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を禁止するときの所定の出力電圧値(V1<V5≦V2であり、図5に示すように、V5=V2でもよい。)。
(7)第6出力電圧値V6:温度勾配が「小」であると判定された、煮物などの低粘度の被加熱物の焦げ付きを判定するための所定の焦げ付き判定温度(例えば、135℃)に対応する所定の出力電圧値。
また、第1経過時間T0、煮物判定値T01、第2経過時間T1及び炒め物判定値T11は、以下のように定義される。
(1)第1経過時間T0:時刻t0に加熱動作を開始した後の経過時間。
(2)煮物判定値T01:被加熱物が煮物などの低粘度の調理物であるか否かを判定するための、時刻t0に加熱動作を開始した後の所定の経過時間(例えば、2分)。
(3)第2経過時間T1:赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの経過時間。
(4)炒め物判定値T11:温度勾配が「大」であるか、または「中」であるかを判定するために用いる、赤外線センサ4の出力電圧Vの電圧値が第1出力電圧値V1になった時刻からの所定の経過時間(例えば、20秒〜200秒)。
図3を参照して、本実施の形態に係る誘導加熱調理器の加熱モードにおける加熱処理を説明する。図3において、焦げ付き検知動作を示す部分を破線で示している。待機モード中に、加熱モードが選択されて加熱開始キー10bが操作された場合(S101でYES)、及び加熱モードで動作中に出力設定部10aにより加熱出力に対応する出力設定値が変更された場合(S102でYES)には、制御部7は、現在設定されている出力設定値が「高出力」に対応する第2出力設定値W2か、または「低出力」に対応する第1出力設定値W1であるかを判別する(S103)。出力設定値が第2出力設定値W2である5以上の値であれば、「高出力」であると判定して(S103でYES)、後述する比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(S111の処理である。)を禁止して、加熱動作を継続する(S109)。なお、S109において、制御部7は、出力電圧Vが出力電圧値V0(図5参照。)以上になると、加熱を停止するようにインバータ回路8aを制御して、油発火が生じるのを防止する。一方、S103において出力設定値が第1出力設定値W1である4以下の値であれば、「低出力」であると判定して(S103でNO)、S104以降の焦げ付き検知動作を実行しながら加熱を継続する。
すなわち、制御部7は、第2出力設定値W2が選択されて加熱モードで加熱動作を制御しているとき(S109)、出力設定部10aの操作により出力設定値が第1出力設定値W1に変更されると(S102でYES、かつS103でNO)、S104以降の処理を実行し、焦げ付き検知部5の比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する。この構成により、第2出力設定値W2が選択されている場合であっても、第1出力設定値W1が選択されて加熱動作をする場合には、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(焦げ付き検知動作)を行うので、加熱動作を継続しながらS104以降の焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を、変更された出力設定値で正確に行うことができる。
以下、説明を簡単にするため、出力設定値は、4(対応する加熱出力は1000Wである。)で変更されないものとする。制御部7は赤外線センサ4の出力電圧Vを入力してその大きさを測定しその情報を焦げ付き検知部5に送る。なお、焦げ付き検知部5は、制御部7を介在することなく赤外線センサ4から直接、出力電圧Vを入力してもよい。図2において、焦げ付き検知部5は、第1出力電圧値V1と、第1出力電圧値V1より大きい値の第2出力電圧値V2と、第3出力電圧値V3と、第4出力電圧値V4と、第6出力電圧値V6とを予め記憶する温度記憶部11を備えている。
第1出力電圧値V1は、例えば、鍋1の鍋底が約129℃になったときに赤外線センサ4が出力する電圧とすることができる。本実施の形態で使用する赤外線センサ4の出力電圧Vは鍋1の底面温度Tを変数とした場合にべき乗関数(y=aT,yは赤外線センサ4の出力電圧であり、nは正の実数であり、aは正の実数である。)的に増加するので、図5のように、時間経過と共に増加勾配を大きくしながら増加する。このため、その出力電圧が測定可能な値でかつできるだけ低い値を選んで第1出力電圧値V1として設定すると良い。
第2出力電圧値V2は、鍋1の鍋底が約159℃になったときに赤外線センサ4が出力する電圧としている。鍋1の鍋底が約159℃では焦げ付きの程度が比較的小さいからである。
そして、図3において、S103に続いて、比較部12により、出力電圧Vが第2出力電圧値V2以上か否かの初期値判定を行うことにより、加熱開始キー10bがオンされ加熱が開始された直後の鍋1の底面温度、または加熱中に出力設定値が変更された直後の鍋1の底面温度が第2出力電圧値V2に対応する温度以上であるか否かを判断する(S104)。制御部7は、加熱開始キー10bがオンされ加熱が開始された直後の出力電圧V、または加熱中に出力設定値が変更された直後の出力電圧Vが第2出力電圧値V2以上であると(S104でYES)、「高温」と判定して比較部17及び18からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(焦げ付き検知動作)を禁止して実質的に実行せずに、加熱動作を継続する(S109)。加熱開始直後に「高温」と判定した場合には、すでに焦げの発生する底面温度となっておりかつ使用者が調理物の前にいると想定でき、加熱調理をしようとする使用者の意図を妨げないようにしている。一方、出力電圧Vが第2出力電圧値V2未満であると(S104でNO)、「低温」と判定して、温度勾配判定をおこなう(S105)。なお、S104において、第2出力電圧値V2に代え、第2出力電圧値以下で第1出力電圧値V1より大きい所定の第5出力電圧値V5(図示せず)により、「高温」であるか否かを判定しても良い。
図4の温度勾配判定処理は図2の焦げ付き検知部5により実行され、被加熱物の温度勾配が「小」であるか否かを判定する第1温度勾配判定処理(S201〜S206)と、温度勾配が「中」又は「大」であるかを判定する第2温度勾配判定処理(S208)とを含む。図4に示すように、制御部7は、加熱開始キー10bにより加熱動作が開始されたとき(時刻t0)に、カウンタのリセット信号とカウントスタート信号を第2タイマ回路15に送る。第2タイマ回路15は、リセット信号に応答して第1経過時間T0をリセットし、カウントスタート信号に応答して、加熱開始後の経過時間である第1経過時間T0のカウントを開始する(S201)。次に、出力電圧Vが第1出力電圧V1以上であるか否かが比較部12により判断される(S202)。S202においてYESのときは、比較部12はカウンタのリセット信号とカウントスタート信号を第1タイマ回路14に送信し、これに応答して、第1タイマ回路はリセットされ第2経過時間T1のカウントを開始する(S204)。一方、S202においてNOのときは、比較部14により、第1経過時間T0が煮物判定値T01以上であるか否かが判断される(S203)。そして、S203でYESの場合はS207に進む一方、NOの場合はS202に戻る。
図5の曲線Aに示すように、鍋1内の調理物が水分の多い粘度の低い煮物である場合、煮詰まらない限り、鍋1の底面温度は赤外線センサ4で測定可能な最低温度にならず、出力電圧Vは第1出力電圧値V1に到達しない。したがって、出力電圧Vが第1出力電圧値V1に到達する前に、第1経過時間T0が時間記憶部16に記憶された煮物判定値T01となる(時刻t5)。煮物判定値T01は、例えば、約2分とすることができるがこの数値に限定されることはない。このように、煮物判定値T01が経過しても出力電圧Vが第1出力電圧値V1に到達しないとき(S203でYES)、比較部14は、時間経過に伴う鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定して、温度記憶部11にその判定結果を示す信号を送る(S207)。第1温度勾配判定の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定されない場合(S206でNO)には、第2温度勾配判定処理を行う(S208)。
一方、S202においてYESの場合、S204において、第1タイマ回路13により、赤外線センサ4の出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった時刻(例えば、図5の曲線Bの場合は時刻t1であり、曲線Cの場合は時刻t2である。)からの第2経過時間T1のカウントを開始する。そして、S205において、比較部12により、出力電圧Vが第1出力電圧値V1より大きな第2出力電圧値V2以上であるか否かが判断される。S205においてNOのときはS205の処理を繰り返して実行する。一方、S205においてYESのときは、比較部12は、カウント停止を指示する指示信号を第1タイマ回路13に出力し、これに応答して、第1タイマ回路13はカウントを停止して、当該停止時のカウント値に対応する第2経過時間T1を比較部18に出力し、S206に進む。S206では、比較部14により、第1経過時間T0が煮物判定値T01以上であるか否かが判断される。S206においてYESのときは、比較部14は、S207において、時間経過に伴う鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」であると判定して、温度記憶部11に当該判定結果を示す信号を送る。一方、S206において、NOのときはS208に進む。すなわち、第1タイマ回路13は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの経過時間(例えば図5の曲線Bにおいて時刻t1から時刻t4までの時間、または曲線Cにおいて時刻t2から時刻t4までの時間)を測定(S204、S205)する。S206では、温度勾配が「小」であるか否かを判定する。温度勾配が「小」と判定されない場合において(S206でNO)、S208に進む。S208において、比較部18は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が時間記憶部16に記憶された炒め物判定値T11以上であるか否かを判断する。例えば、曲線Bのように、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が時間記憶部16に記憶された炒め物判定値T11以上の時は(S208でYES)、比較部18は、鍋1の底面温度の上昇勾配が「中」であると判定し、判定結果を比較部17に出力する(S209)。この場合、比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上であるか否かを判断し(S211)、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上(S211でYES)であれば、鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を制御部7に出力する(S212)。また、比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3未満であれば、焦げ付き情報を制御部7に出力しないで加熱を継続する(S211でNO)。一方、出力電圧Vが第1出力電圧値V1になった後に、第2出力電圧値V2になるまでの第2経過時間T1が炒め物判定値T11未満の時は(S208でNO)、比較部18は、鍋1の底面温度の上昇勾配が「大」であると判定し、この判定結果を入力した比較部17は、出力電圧Vが第3出力電圧値V3以上になっても焦げ付き情報を制御部7に出力しないで加熱を継続する(S210)。
炒め物判定値T11は、例えば20秒〜200秒の間で設定することができ、例えば約100秒とすることができる。また、炒め物判定値T11は、鍋の板厚に対応させて可変することが好ましい。即ち、板厚が小さく(薄く)なればなるほど、鍋温度の上昇速度が大きくなるので炒め物判定値T11をより小さくするように設定すると良い。板厚の大小は、加熱中の鍋温度の上昇速度の大小で判断することができる。赤外線センサ4での測定温度の上昇速度が大きいほど板厚がより小さい(薄い)と推定することができる。
図3のS105に戻り、図4の第1温度勾配判定処理(S201〜S206)の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「小」と判定された場合には(S105でYES)、「肉じゃが(肉とじゃがいもの煮込み)」などの煮込み調理であると判別する。温度記憶部11には第2出力電圧値V2より小さな第6出力電圧値V6が記憶されている。第6出力電圧値V6は、例えば約135℃と設定することができる。第6出力電圧値V6は、煮込み調理における被加熱物の焦げ付きの程度ができるだけ低くなるように設定すれば良い。第6出力電圧値V6の設定値を低くしすぎた場合には、不必要に、調理物が焦げ付いたと判定される可能性がある。S106において、比較部17は、出力電圧Vと第6出力電圧値V6とを比較し、出力電圧Vが第6出力電圧値V6以上になると(S106でYES)、鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を制御部7に出力する。制御部7は、比較部17から焦げ付き情報を入力すると、この焦げ付き情報にもとづき加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制し、焦げ付きを報知し(S111)、S101に戻る。この構成により、煮込み調理における被加熱物の焦げ付きを、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物であると判別した場合の焦げ付き判定温度(第3出力電圧V3に対応する温度である。)よりも低い焦げ付き判定温度(第6出力電圧値V6に対応する温度である。)でより早く検出して、加熱を停止しまたは加熱出力を抑制したり、または焦げ付きを報知したりすることができる。
比較部18は、第2温度勾配判定処理(S208)の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「中」であると判定した場合(S208でYES)には、比較部17にこの判定結果を出力する。比較部17は、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物であると判別する(S209)。この場合、S107において、NOと判断され、比較部17は、比較部18から出力される判定結果に応答して、出力電圧Vを、所定の加熱停止出力電圧値V0より小さく第6出力電圧値V6より高い第3出力電圧値V3と比較し(S110)、出力電圧Vが第3出力電圧値V3に到達する(S110でYES)と、加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する制御を行い(S111)、S101に戻る。第3出力電圧値V3は、例えば約230℃に設定することができる。また、比較部18が第2温度勾配判定の結果、鍋1の底面温度の上昇勾配が「大」であると判定した場合(S208でNO)には、比較部17は、炒め物調理であると判別し焦げ付き情報を制御部7に出力することをしない(S210)。この結果、S107においてNOと判断され、制御部7の焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続する(S109)。
この構成により、カレーなど粘度が比較的高い被加熱物である場合には煮物調理の場合に比べ高い焦げ付き判定温度(第3出力電圧値V3に対応する温度である。)で焦げ付き検知動作(S110)を行い、炒め物調理の際には不必要に加熱を停止したり、加熱出力を弱めたりすることがなく使い勝手を向上することができる。
なお、第2温度勾配判定処理(S208)において使用する第2経過時間T1の測定終了時刻を、第2出力電圧値V2に到達した時刻としたが、第3出力電圧値V3以下に設定された第4出力電圧値V4に到達した時刻にしてもよく、第4出力電圧値V4と第2出力電圧値V2とは同一でも異なっていてもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る誘導加熱調理器は、鍋1を載置するトッププレート2と、トッププレート2の下に設けられ鍋1を加熱する誘導加熱コイル3を含むインバータ8と、トッププレート2の下に設けられ、鍋1の底から放射されトッププレート2を透過する赤外線を検知して鍋1の底面温度に対応する出力電圧Vを出力する赤外線センサ4と、出力電圧Vが所定の第1出力電圧値V1から第1出力電圧値V1よりも大きい所定の第2出力電圧値V2以上に増加したことを検知すると鍋1の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部5と、第1出力設定値W1と、第1出力設定値W1より高い第2出力設定値W2とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの出力設定値を選択するための出力設定部10aと、誘導加熱コイル3に高周波電流を供給しかつ加熱出力が選択された出力設定値に対応する加熱出力となるようにインバータ8の加熱動作を制御する加熱モードを有し、焦げ付き情報を入力した後は、出力電圧Vが、第2出力電圧値V2以上でありかつ焦げ付き情報を入力しない場合に加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値V0に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値V3以上であるときに加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部7と、を備えた誘導加熱調理器であって、制御部7は、加熱モードで動作中に、第1出力設定値W1が選択されているときに、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、第2出力設定値W2が選択されているときに、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、第1出力設定値W1が選択されているときに、出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第3出力電圧値V3以下に設定された所定の第4出力電圧値V4に達するまでの第2経過時間T1が所定の炒め物判定値T11未満であることを焦げ付き検知部5が検知すると、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする。
この構成により、加熱出力を選択して加熱調理を行う動作モードである加熱モードにおいて、焦げ付きを検知して焦げ付きの状態が悪化しないようにすることができる。また、炒め物調理のように焦げ付きが問題となりにくい比較的大きな加熱出力を設定した場合(第2出力設定値W2が選択された場合である。)には、図3において、S103の処理からS109の処理に進むので、不必要に焦げ付いたことを検知して加熱出力が低下しないようにすることができる。
また、第1出力設定値W1が選択されている場合であっても、被加熱物の温度の増加速度が所定値以上である場合(S208においてYESの場合である。)には、炒め物調理がされていると判定して焦げ付き検知機能が働かないようにして、不必要に加熱動作を停止したり加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
また、本実施の形態によれば、制御部7は、第2出力設定値W2が選択されて加熱モードで加熱動作を制御しているとき、第1出力設定値W1に変更されて加熱モードで動作すると、焦げ付き検知部5からの焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御(図3のS103〜S111の処理である。)を行う。この構成により、第2出力設定値W2が選択されている場合であっても、第1出力設定値が選択されて加熱動作をする場合には、焦げ付き検知動作を行うので、焦げ付き検知動作を変更された出力設定値で正確に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、操作スイッチである加熱開始キー10bを備える。また、制御部7は、加熱モードが選択され加熱開始キー10bが操作されると、出力設定値を、最大出力設定値6より小さく最小出力設定値1より大きな4である第1出力設定値W1に設定して加熱モードで加熱動作する。この構成により、加熱開始と共に、自動的に焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する加熱出力に設定されるので、焦げ付き機能が働かず、焦げ付きの状態が悪化する機会を減少させることが出来る。
また、本実施の形態によれば、制御部7は、加熱開始時に、出力電圧Vが、第2出力電圧値V2、または第2出力電圧値V2以下に設定された所定の第5出力電圧値V5以上であると(S104においてYESの場合。)、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され、焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することなく加熱動作モードで加熱動作する。この構成により、焦げ付き検知動作により不必要に加熱動作を停止したり、加熱出力を抑制したりすることなく加熱動作を継続することが出来る。
また、本実施の形態によれば、焦げ付き検知部5は、出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第1出力電圧値V1よりも大きい第2出力電圧値V2以上に増加したことを加熱開始後煮物判定値T01だけ時間が経過するまでの間に検知し(S206でNO)、かつ出力電圧Vが第1出力電圧値V1から第2出力電圧値V2に達するまでの第2経過時間T1が炒め物判定値T11以上の場合(S208でYES)、すなわち、出力電圧Vに対応する温度の時間経過に対する上昇勾配が所定値以下であることを検知すると鍋底に調理物が焦げ付いたことを検知し、鍋1の底面温度が高温となった場合に炒め物の場合に用いる加熱停止温度(出力電圧値V0に対応する温度である。)比べ低い温度(第3出力電圧値V3に対応する温度である。)で加熱を停止し又は加熱出力を抑制する。この構成により、カレーなどの粘度の高い液体の焦げ付きの状態を緩和することができる。
また、本実施の形態によれば、鍋1の底面温度を赤外線センサ4で検知しているため、鍋1の底面温度を応答性よく検出できるので焦げ付きを精度良く検出することができる。
以上のように、本発明に係る誘導加熱調理器及びその制御方法は、使用者が選択した出力設定値で加熱する動作モードで焦げ付きを検知することができるとともに、炒め物調理のように高出力で調理するときには、焦げ付き検知機能が不必要に動作しないようにし、継続して調理を行うことが出来るので、組み込み式、テーブルの上で使用する卓上型、又は置き台の上で使用する据え置き型等で、家庭用又は業務用の、出力設定可能な誘導加熱調理器に適用できる。
1 鍋
2 トッププレート
3 誘導加熱コイル
4 赤外線センサ
5 焦げ付き検知部
7 制御部
8 インバータ
10a 出力設定部
10b 加熱開始キー
10c 制御モード選択キー
11 温度記憶部
12 比較部
13 第1タイマ回路
14 比較部
15 第2タイマ回路
16 時間記憶部
17 比較部
18 比較部
19 電源スイッチ
T0 第1経過時間
T01 煮物判定値
T1 第2経過時間
T11 炒め物判定値

Claims (8)

  1. 鍋を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、
    前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射されて前記トッププレートを透過した赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、
    前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、
    第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、
    前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器であって、
    前記制御部は、
    前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、
    前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続することを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 前記制御部は、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 操作スイッチである加熱開始キーを備え、
    前記制御部は、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記制御部は、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  5. 鍋を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下に設けられ前記鍋を加熱する誘導加熱コイルを含むインバータと、
    前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋の底から放射されて前記トッププレートを透過した赤外線を検知して前記鍋の底面温度に対応する出力電圧を出力する赤外線センサと、
    前記出力電圧が所定の第1出力電圧値から前記第1出力電圧値よりも大きい所定の第2出力電圧値以上に増加したことを検知すると前記鍋の鍋底に調理物が焦げ付いたことを示す焦げ付き情報を出力する焦げ付き検知部と、
    第1出力設定値と、前記第1出力設定値より高い第2出力設定値とを含む複数の異なる出力設定値の中から、ひとつの前記出力設定値を選択するための出力設定部と、
    前記誘導加熱コイルに高周波電流を供給しかつ加熱出力が前記選択された出力設定値に対応する加熱出力となるように前記インバータの加熱動作を制御する加熱モードを有し、前記焦げ付き情報を入力した後は、前記出力電圧が、前記第2出力電圧値以上でありかつ前記焦げ付き情報を入力しない場合に前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制するために用いられる所定の出力電圧値に比べ低く設定される所定の第3出力電圧値以上であるときに前記加熱動作を停止しまたは加熱出力を抑制する、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する制御部と、を備えた誘導加熱調理器の制御方法であって、
    前記制御部が、
    前記加熱モードで動作中に、前記第1出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行する一方、前記第2出力設定値が選択されているときに、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続し、
    前記第1出力設定値が選択されているときに、前記出力電圧が前記第1出力電圧値から前記第3出力電圧値以下に設定された所定の第4出力電圧値に達するまでの経過時間が所定の判定値未満であることを前記焦げ付き検知部が検知すると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され加熱動作を継続するステップを含むことを特徴とする誘導加熱調理器の制御方法。
  6. 前記制御部が、前記加熱モードで動作中に、前記出力設定値が前記第2出力設定値から前記第1出力設定値に変更されると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御を実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱調理器の制御方法。
  7. 前記誘導加熱調理器は、操作スイッチである加熱開始キーを備え、
    前記制御部が、加熱モードが選択され前記加熱開始キーが操作されると、前記出力設定値を、所定の最大出力設定値より小さくかつ所定の最小出力設定値より大きい第1出力設定値に設定して前記加熱モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載の誘導加熱調理器の制御方法。
  8. 前記制御部が、加熱開始時に、前記出力電圧が、前記第1出力電圧値より大きくかつ前記第2出力電圧値以下に設定された所定の第5出力電圧値以上であると、前記焦げ付き情報に基づく加熱動作の制御が禁止され前記加熱動作モードで加熱動作するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の誘導加熱調理器の制御方法。
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