JPWO2011013543A1 - コモンモードフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 超高速差動伝送線路において、超高速差動信号を通過させ、コモンモード信号を十分減衰させることができるようにする。【解決手段】 一対の導線路1A、1Bは、第1の誘電体層3Aの片面に形成されている。第1の誘電体層3Aの他方の面側には分割浮きグランド9A、9Bが導線路1A、1Bと対面するように形成されている。分割浮きグランド9A、9Bは、外部グランド電位に接続されず独立している。分割浮きグランド9A、9Bのうち少なくとも入力側又は出力側の第1の分割浮きグランド9A、9Bと外部グランド電位には、受動回路素子からなる受動2端子回路CM1A〜CM1Dが接続されている。【選択図】 図1

Description

本発明はコモンモードフィルタに係り、特に、超高速差動伝送線路を伝搬する超高速差動信号の通過を確保し、コモンモード信号を減衰させる新規のコモンモードフィルタに関する。
近年、「HDTV:high definition television」や「Blu-ray Disc」等の高精細な映像コンテンツが普及し、これらコンテンツを支える膨大な量のデジタルデータを高速で伝送するために、高速シリアル伝送が用いられるようになった。
高速シリアル伝送では、立上り時間を短くするために電圧振幅を小さくする必要があることから、ノイズの影響を受け易くなる。そこでノイズの影響を受け難くするために、信号の差動伝送が一般的に使用されている。
この差動伝送方式は、ペアとなる2線路の各々に正相と逆相の差動信号を同時に送ることにより、伝送速度の高速化、省電力のための小振幅化を確保するとともに、外来雑音等のコモンモード信号を減衰させている。
ところが、その差動伝送方式は、外来雑音等のコモンモード信号を減衰させる機能が不十分で、その悪影響を避けるため、差動伝送線路にコモンモードチョークコイルを挿入している。
従来、この種のコモンモードチョークコイルは、図示はしないが、磁性体ボビンに2本の導線を同じ巻数だけ巻いた構成が良く知られている。図16はその回路図を示している。
この構成のコモンモードチョークコイルにおいて、2本の導線を流れる差動信号が互いに逆相で打消しあって磁束が発生せず、2本の導線のインピーダンスが低く保たれるため、それら差動信号を通過し易い。
他方、コモンモード信号は、2本の導線を同相で流れて磁性体に磁束を発生させ、2本の導線のインピーダンスが高くなってその信号が通過し難く、そのコモンモード信号が減衰される。
特開2000−58343号公報(特許文献1)の差動伝送線路用コモンモードチョークコイルは、上述した図16の構成に該当するものである。
この特許文献1は、トロイダルコアに巻装された2本のコイル導体が、ケース部とその蓋部とからなる樹脂製の外装ケース内に収容され、そのケース部の外周壁の外側面、底壁の外面および蓋部の外面にグランド導体がめっき形成され、グランド導体上には絶縁膜が形成され、それら絶縁膜の上に、端子板がそれぞれ接着され、端子板にはコイル導体の端部が半田付けされて構成され、特性インピーダンスを伝送線路に合致させて信号の反射を抑えたものである。
特開2000−58343号公報
近年、上述した差動伝送方式においては、3Gビット/秒から6Gビット/秒の伝送速度が求められつつあり、近い将来、8G〜16Gビット/秒の伝送速度が要求されると言われている。
しかし、上述した図16に示した構成のコモンモードチョークコイルにおいて、最も高い周波数に対応させて構成しようとすると、図17のような差動信号の通過特性Sdd21およびコモンモード信号の通過特性Scc21しか得られない。
図17からも分かるように、コモンモード信号の通過特性Scc21は、V字形になって2〜3GHzの範囲では−20dB程度の減衰が得られるものの、8〜10GHzの範囲では減衰量が僅かとなり、コモンモード信号を十分減衰させ難い。
すなわち、図16の従来構成では、コモンモード信号の通過特性Scc21が限界に近く、今後必要とされる超高速差動信号の良好な伝送には対応し難い。
さらに、通過しないコモンモード信号は、コモンモードチョークコイルの入力端で反射して線路を逆方向に伝播し、反射するときに外部へ電磁放射される可能性があり、これが雑音の原因になり易い。
特にGHz帯の信号は、波長が短いから、その波長が回路パターン長の整数倍と一致する確率が高まり、回路パターンがアンテナとなって電磁放射される可能性が高くなる。
そのため、電磁放射の心配のない低周波数信号においては、コモンモード信号が入力端で反射されても実用上は問題ないが、周波数の高いコモンモード信号の反射を無視できずに問題となる。
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、超高速差動伝送線路において、望ましい超高速差動信号を良好に通過させるとともに、望ましくないコモンモード信号を、反射による遮断のみならず、内部での吸収や減衰させることが可能なコモンモードフィルタの提供を目的とする。
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係るコモンモードフィルタは、第1の誘電体層に形成され差動信号を伝送させる一対の導線路と、外部グランド電位から分離され、その第1の誘電体層を介在させた状態で導線路と対面するとともに、その導線路の長さ方向に複数個に分割され形成され、その導線路とともに差動信号に対して分布定数型の差動伝送線路を形成する複数の第1の分割浮きグランドと、これら第1の分割浮きグランドのうち、少なくとも入力側又は出力側に位置する第1の分割浮きグランドと上記外部グランド電位との間に接続された第1の受動2端子回路と、を具備している。
本発明の請求項2に係るコモンモードフィルタは、上記第1の分割浮きグランドが、それら入力側および出力側の1対である構成を有している。
本発明の請求項3に係るコモンモードフィルタは、上記第1の分割浮きグランドが3個以上形成された構成を有している。
本発明の請求項4に係るコモンモードフィルタは、上記第1の分割浮きグランドが、隣り合う全て又は一部の分割浮きグランド間にもその第1の受動2端子回路が接続された構成を有している。
本発明の請求項5に係るコモンモードフィルタは、隣り合う複数の第1の分割浮きグランドが共通の第1の受動2端子回路が接続された構成を有している。
本発明の請求項6に係るコモンモードフィルタは、上記導線路が矩形状の導線路とする構成を有している。
本発明の請求項7に係るコモンモードフィルタは、上記導線路がスパイラル状の導線路を長さ方向に複数直列接続されてなる構成を有している。
本発明の請求項8に係るコモンモードフィルタは、上記導線路が、その第1の誘電体層としての誘電体基板に形成され、その第1の分割浮きグランドがその誘電体基板と異なる誘電体基板に形成されるとともに、それら異なるそれら誘電体基板が積層一体化されてなる構成を有している。
本発明の請求項9に係るコモンモードフィルタは、上記外部グランド電位から分離され、第2の誘電体層を介在させた状態で導線路と対面するよう形成され、その分布定数型の差動伝送線路を形成する第2の浮きグランドを有する構成となっている。
本発明の請求項10に係るコモンモードフィルタは、上記第2の浮きグランドおよび外部グランド電位の間に接続される第2の受動2端子回路を有する構成となっている。
本発明の請求項11に係るコモンモードフィルタは、上記第2の浮きグランドが導線路の長さ方向に複数個に分割され、それらのうち少なくとも入力側又は出力側の第2の分割浮きグランドと外部グランド電位との間にその第2の受動2端子回路が接続された構成を有している。
本発明の請求項12に係るコモンモードフィルタは、上記第2の分割浮きグランドが、隣り合う全て又は一部の分割浮きグランド間にもその第2の受動2端子回路が接続された構成を有している。
本発明の請求項13に係るコモンモードフィルタは、上記導線路が、その第1の誘電体層としての誘電体基板に形成され、その第1の分割浮きグランドがその誘電体基板と異なる誘電体基板に形成されるとともに、第2の浮きグランドがその第2の誘電体層としての誘電体基板に形成され、異なるそれら誘電体基板が積層一体化されてなる構成を有している。
本発明の請求項14に係るコモンモードフィルタは、上記第1および第2の受動2端子回路が短絡線路である構成を有している。
本発明の請求項15に係るコモンモードフィルタは、上記第1および第2の受動2端子回路が1個以上の受動素子としてのインダクタンス、容量、抵抗、又はこれらの組合せである構成を有している。
そのような構成を有する本発明の請求項1に係るコモンモードフィルタでは、第1の誘電体層に差動信号を伝送させる一対の導線路を形成し、その第1の誘電体層を介在させ、かつ導線路と対面するとともにこの長さ方向に複数個に分割された状態で第1の分割浮きグランドを形成し、少なくとも入力側又は出力側の第1の分割浮きグランドと外部グランド電位との間に第1の受動2端子回路を接続してなるから、その導線路と第1の分割浮きグランドで差動信号に対する分布定数型の差動伝送線路が形成されるとともに、導線路と第1の受動2端子回路とでコモンモード信号に対する直列共振回路が形成され、超高速差動伝送線路において、望ましくないコモンモード信号を遮断および内部吸収させて減衰させる一方、望ましい超高速差動信号を良好に通過させることが可能である。
本発明の請求項2に係るコモンモードフィルタでは、上記第1の分割浮きグランドが、それら入力側および出力側の1対で形成されているから、上述した効果に加えて構成が簡素化される。
本発明の請求項3に係るコモンモードフィルタでは、上記第1の分割浮きグランドが3個以上形成されているから、コモンモード信号に対する種々の減衰特性を得ることが可能である。
本発明の請求項4に係るコモンモードフィルタでは、上記第1の分割浮きグランドが、隣り合う全て又は一部の分割浮きグランド間にもその第1の受動2端子回路が接続されているから、コモンモード信号に対する種々の減衰特性を得ることが可能である。
本発明の請求項5に係るコモンモードフィルタでは、隣り合う複数の第1の分割浮きグランドに共通の第1の受動2端子回路が接続されているから、コモンモード信号に対する種々の減衰特性を得ることが可能である。
本発明の請求項6に係るコモンモードフィルタでは、上記導線路が矩形状の導線路で形成されているから、上述した効果に加えて、望ましい超高速差動信号の遅延特性を任意に設定することが可能である。
本発明の請求項7に係るコモンモードフィルタでは、上記導線路がスパイラル状の導線路を長さ方向に複数直列接続しているから、上述した効果に加えて、望ましい超高速差動信号の遅延特性を増大させることが可能である。
本発明の請求項8に係るコモンモードフィルタでは、上記導線路がその第1の誘電体層としての誘電体基板に形成され、その第1の分割浮きグランドがその誘電体基板と異なる誘電体基板に形成されるとともに、互いに異なるそれら誘電体基板が積層一体化されてなるから、簡単にチップ型構成が得られる。
本発明の請求項9に係るコモンモードフィルタでは、上記外部グランド電位から分離され、第2の誘電体層を介在させた状態で導線路と対面するよう形成され、その分布定数型の差動伝送線路を形成する第2の浮きグランドを有するから、ストリップライン構成において上述した効果が得られる。
本発明の請求項10に係るコモンモードフィルタでは、上記第2の浮きグランドおよび外部グランド電位の間に接続される第2の受動2端子回路を有するから、ストリップライン構成において、より良好な効果が得られる。
本発明の請求項11に係るコモンモードフィルタでは、複数個に分割された第2の浮きグランドにあって、少なくとも入力側又は出力側の第2の分割浮きグランドと外部グランド電位との間に第2の受動2端子回路が接続されているから、ストリップライン構成において、より一層良好な効果が得られるとともに、構成の簡素化も維持される。
本発明の請求項12に係るコモンモードフィルタでは、上記第2の分割浮きグランドが、隣り合う全て又は一部の分割浮きグランド間にもその第2の受動2端子回路が接続されているから、ストリップライン構成において、種々の上述した効果が得られる。
本発明の請求項13に係るコモンモードフィルタでは、上記導線路の形成された第1の誘電体層としての誘電体基板と、第1の分割浮きグランドが形成された誘電体基板と、第2の浮きグランドが形成された誘電体基板が積層一体化されてなるから、ストリップライン構成において、簡単にチップ型構成が得られる。
本発明の請求項14、15に係るコモンモードフィルタでは、上記第1および第2の受動2端子回路が短絡線路、1個以上の受動素子としてのインダクタンス、容量、抵抗、又はこれらの組合せで形成されているから、簡単な素子構成で、種々の上述した効果が得られる。
本発明のコモンモードフィルタの基本構成を説明するための分解斜視図である。 図1のコモンモードフィルタの通過特性図である。 図1のコモンモードフィルタに関する等価回路である。 図3の等価回路の通過特性図である。 図1のコモンモードフィルタの電力配分特性図である。 図1のコモンモードフィルタの別の電力配分特性図である。 本発明のコモンモードフィルタの別の実施の形態を示す分解斜視図である。 図7のコモンモードフィルタの通過特性図である。 図7のコモンモードフィルタの電力配分特性図である。 本発明のコモンモードフィルタの別の実施の形態を示す分解斜視図である。 図10のコモンモードフィルタの通過特性図である。 図10のコモンモードフィルタの電力配分特性図である。 本発明のコモンモードフィルタの別の実施の形態を示す分解斜視図である。 図13のコモンモードフィルタの通過特性図である。 図13のコモンモードフィルタの電力配分特性図である。 従来のコモンモードフィルタを示す回路図である。 図16に示す従来のコモンモードフィルタの特性図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るコモンモードフィルタFの基本構成を示す分解斜視図である。
図1において、焼成セラミックス等の誘電体基板からなる方形の誘電体層3Aの片面(図1中上面)には、誘電体層3Aの対向縁間において、矩形状に折り返した1対の導線路1A、1Bが従来公知の印刷手法等によって形成されている。導線路1A、1Bは、誘電体層3Aの別の対向縁に形成された入力端子5A、5B、出力端子7A、7Bに接続されている。図において、それら入力端子5A、5B、出力端子7A、7Bは、便宜上、誘電体層3Aとは別の箇所に示した。
導線路1A、1Bおよび入出力端子5A、5B、7A、7Bは、導線路1A、1B間を通る仮想線(図示せず)に対して線対称に形成配置されている。
誘電体層3Aの下方には、誘電体層3Aと同様の材料で同形状の誘電体基板からなる誘電体層3Bが配置されている。
誘電体層3Bの片面(図1中上面)のほぼ全域には、分割浮きグランド9A、9Bが公知の印刷手法等によって形成されている。分割浮きグランド9A、9Bは、誘電体層3Bにおいて、入力端子5A、5Bと出力端子7A、7B間方向を2等分する領域に、僅かな間隔を置いて各々独立して平行に形成され、誘電体層3Aを介して導線路1A、1Bに対面している。
誘電体層3Bの同一面には、分割浮きグランド9Aにあって、入力端子5A、5Bに近い側の端を接続点11Aとし、これらと入力側グランド端子13A、13Bとの間に受動2端子回路CM1A、CM1Bが接続されている。分割浮きグランド9Bにあって、出力端子7A、7Bに近い側の端を接続点11Bとし、これらと出力側グランド端子15A、15Bとの間に受動2端子回路CM1C、CM1Dが接続されている。
受動2端子回路CM1A〜CM1Dは、短絡線路としての接続片、折り返し線路等によるインダクタ、平板電極による容量、又は抵抗膜であり、誘電体層3Bに形成されている。
誘電体層3Aの上方には、誘電体層3Aと同様の材料で同形状の誘電体基板からなる誘電体層3Cが配置されている。この誘電体層3Cにあって誘電体層3Aと同様の対向縁には、入力側グランド端子13A、13Bおよび出力側グランド端子15A、15Bが形成されている。
そして、互いに異なる誘電体層3A、3B、3Cは重ねられてチップ状に一体化され、マイクロストリップ分布定数型のコモンモードフィルタFが構成されている。
誘電体層3A〜3Cに形成された入出力端子5A〜7B、入力側グランド端子13A、13Bおよび出力側グランド端子15A、15Bは、誘電体層3A〜3Cが重ねられてチップ状に一体化されたとき、同様に一体化されている。
図2は、図1の構成において、マイクロストリップ分布定数型の差動伝送線路の遅延時間を100psとし、受動2端子回路CM1A〜CM1Dを0.3mm幅の接続片(短絡線路)およびこれと同一形状の50Ωの抵抗膜とし、さらに浮きグランド9A、9Bを中央部で分割し、電磁界解析した結果である。
図2中、各曲線Scc21(1)およびScc21(2)は、次の条件におけるコモンモード信号通過特性である。
Scc21(1):受動2端子回路CM1A〜Dが幅0.3mmの短絡線路
Scc21(2):受動2端子回路CM1A〜Dが幅0.3mmの50Ω抵抗膜
なお、Sdd21は、受動2端子回路CM1A〜CM1Dを幅0.3mmで50Ωの抵抗膜とした場合の差動信号通過特性である。
図2のScc21(1)から分かるとおり、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが短絡線路の場合、コモンモード信号の減衰周波数帯域は約4〜11GHzで、特に5〜10.5GHzでは15dB以上の減衰が得られている。また、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが50Ωの抵抗の場合、Scc21(2)に示すとおり、Scc21(1)よりもコモンモード信号の減衰量は小さいが、より広帯域で一定量の減衰が得られており、特に3〜17GHzの周波数範囲で5〜15dBの減衰が得られている。
なお、図示はしないが、浮きグランドを分割しない構成は、コモンモード信号が直流(DC)〜10GHz以上の帯域において通過し、コモンモードフィルタFとして実用化し難い特性となる。
次に、分割浮きグランド9A、9Bを用いることによって、上述した良好なコモンモード信号の減衰が得られる理由を検証する。
図3は、図1の構成における等価回路である。分割浮きグランド9A、9B間には、分割浮きグランド間容量17が存在する。
導線路1A、1Bは、電磁界解析結果に近い通過特性となるよう、区間数および回路定数を選定して集中定数回路的に等価回路を作成したが、ここでは、その正確な回路定数の表記は省略し、図3に示すように簡略化して表記する。
分割浮きグランド間容量17の容量値と、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが幅0.3mmの短絡線路とした時のこのインダクタンス値とを、電磁界解析による定数抽出および図2の特性が得られるように求めると、分割浮きグランド間容量17は0.5pF、受動2端子回路CM1A〜CM1Dのインダクタンスは0.6nHとなった。
図4は、図2に示す等価回路の回路シミュレーション結果である。符号Scc21(1)およびScc21(2)は、次の条件におけるコモンモード信号通過特性である。
Scc21(1):受動2端子回路CM1A〜CM1Dは0.6nHのインダクタ(幅0.3mmの短絡線路に相当)
Scc21(1):受動2端子回路CM1A〜CM1Dは50Ωの抵抗と0.6nHのインダクタの直列接続(幅0.3mmの50Ω抵抗膜に相当)
なお、Sdd21は、受動2端子回路CM1A〜CM1Dを、50Ωの抵抗と0.6nHのインダクタとの直列回路とした場合での差動信号通過特性である。
図4の結果を図2と比較すると、11〜15GHzの範囲で若干の差異があるものの、10GHz以下では双方との良好な特性が得られており、図3の等価回路は図1の構成を良く表していると言える。
なお、分割浮きグランド間容量17は、分割浮きグランド間のギャップ寸法によって調整可能である。換言すると、分割浮きグランド間にも受動2端子回路としての容量が接続されていることと等価である。また、図示はしないが、分割浮きグランド間に他の受動2端子回路を接続して、コモンモード通過特性を調整することも可能である。
図3の等価回路において、図4に示すような特性が得られる理由は以下のように考えられる。
導線路1A、1Bに印加された差動信号は、線路間では互いに逆相であるため、導線路1A、1Bから分割浮きグランド9A、9Bに向かって流れる電流も互いに逆相となり、分割浮きグランド9A、9B内で互いに打ち消され、分割浮きグランド間容量17や受動2端子回路CM1A〜CM1Dへは流れ出ない。
他方、導線路1A、1Bに印加されたコモンモード信号は、同相であるため、分割浮きグランド9A、9Bから分割浮きグランド間容量17や受動2端子回路CM1A〜CM1Dを経由して外部グランド電位へ流れる。すなわち、分割浮きグランド間容量17や受動2端子回路CM1A〜CM1Dは、コモンモード信号に対してのみ有効な素子となる。
ここで、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが短絡線路であるとした場合、これらはインダクタ成分を有するので、分割浮きグランド間容量17とともにコモンモード信号に対する直列共振回路を形成する。そうなると、分割浮きグランド9A、9Bは、コモンモード信号に対するグランドとして機能しなくなるため、導線路1A、1Bも、コモンモード信号に対する伝送線路ではなくなり、導線路1A、1Bを形成するインダクタおよび容量が上記直列共振回路に直列接続され、それらが複合的な共振回路を形成する。その結果、図4のScc21(1)に示すような共振曲線が得られ、コモンモード信号に対するフィルタとして機能するようになる。
この場合、遅延時間が大きくなるほど、導線路1A、1Bの持つインダクタンスや容量といった時定数も大きくなり、共振周波数も低くなる。すなわち、遅延時間が大きくなるほど、コモンモード信号をより低い周波数から減衰可能となる。
また、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが抵抗膜である場合、外形形状は上記短絡線路と同一形状のためインダクタンス成分を有し、等価回路的には抵抗とインダクタンスとの直列素子と見なすことができる。
そして、その通過特性は、共振回路に抵抗が入ることにより、共振回路の「Q」が下がり、図4のScc21(2)に示すようなブロードな共振曲線となる。すなわち、コモンモード信号の減衰量は少なくなるが、広い帯域で一定量の減衰が得られる。また、共振回路に抵抗が接続されたことで、入力されたコモンモード信号電力の一部が抵抗で損失する。
この抵抗によるコモンモード信号電力の損失が、等価回路上のみならず、図1に示す構成でも実際に発生していることを確認するため、図1における受動2端子回路CM1A〜CM1Dが短絡線路の場合と、50Ωの抵抗膜の場合とで、入力されたコモンモード信号電力が、どのような比率で通過および反射するかを調べた。
図5は、図1における受動2端子回路CM1A〜CM1Dが短絡線路である場合、コモンモードフィルタFに入力されたコモンモード信号電力を100%として、周波数毎に、どのような割合で通過し、どのような割合で反射するか示したものである。ここで、全電力から通過電力および反射電力を差し引いた残りの電力は、コモンモードフィルタF内で吸収消費されるコモンモード信号電力であり、これを吸収電力と定義する。
さらに、図6では、図1の構成において、受動2端子回路CM1A〜CM1Dが50Ωの抵抗膜の場合、コモンモードフィルタFに入力されたコモンモード信号電力を100%として、周波数毎に通過電力の割合、反射電力の割合および吸収電力の割合を示している。
図5では、図2におけるScc(1)の減衰帯域4〜11GHzの特性に対応するように、4〜11GHzで反射電力が高い割合を占め、コモンモードフィルタFを通過しないコモンモード信号電力の多くが、入力端子で反射していることが示されている。なお、若干の吸収電力が発生しているが、これはコモンモードフィルタFを構成する部材の誘電体損失や導体損失等が考えられる。
他方、図6では、図2におけるScc(2)の減衰帯域3〜17GHzの特性に対応して、3〜17GHzで吸収電力が高い割合を占めている一方、反射電力の占める割合が低くなっている。すなわち、コモンモードフィルタFを通過しないコモンモード信号電力の多くが内部で吸収され、反射電力が抑制されていることが示されている。
図7は、本発明のコモンモードフィルタFに係る別の実施の形態を示す分解斜視図であり、受動2端子回路を複数種類の受動2端子素子の直列接続とし、複数の分割浮きグランドがその1個の受動2端子回路を共用するように接続した構成である。
図7の構成では、図1における分割浮きグランドをさらに分割して分割浮きグランド9A〜9Dを形成する一方、入力側グランド端子13A、13Bに接続される受動2端子回路CM1A、CM1Bと、出力側グランド端子15A、15Bに接続される受動2端子回路CM1C、CM1Dとが、短絡線路より値の大きい矩形状のインダクタンスと抵抗の直列回路で形成されている。
分割浮きグランド9Aは、各々受動2端子回路を形成する抵抗とインダクタの直列回路からなる受動2端子回路CM1A、CM1Bを介して入力側グランド端子13A、13Bに接続されている。分割浮きグランド9B〜9Dは、各々受動2端子素子である抵抗およびインダクタの直列回路からなる受動2端子回路CM1C、CM1Dを介して出力側グランド端子15A、15Bに接続されている。
特に、受動2端子回路CM1C、CM1Dは、分割浮きグランド9B〜9Dに対し共用して並列接続されており、受動2端子回路CM1A、CM1Bに比べてインダクタンスが大きな値に設定されている。
このような構成では、分割浮きグランド9A〜9Dがより多く分割され、それらの各分割浮きグランド9A〜9Dに接続される受動2端子回路CM1A〜CM1Dのインダクタンス値が複数となることで、共振周波数が複数に分けられ、幅の広いコモンモード信号減衰帯域が得られる。
さらに、インダクタンスの値が大きくなることで、各共振周波数でより深い減衰量の得られる効果と、低い周波数側へコモンモード信号減衰帯域を広げる効果が期待できる。抵抗によって共振回路の「Q」が下がるので、広い周波数帯域で一定のコモンモード信号減衰特性が得られる。
その結果、このような構成では、図8のScc21に示すように、約3〜13GHzの帯域で、10dB以上のコモンモード信号減衰量が得られる。
図9は、図8の通過特性Scc21を有するコモンモードフィルタFにおいて、入力されたコモンモード信号電力に対する通過電力、反射電力および吸収電力の割合を示しており、図6と同様に、抵抗によるコモンモード電力の吸収が発生していることが示されている。
以上の説明では、本発明に係るコモンモードフィルタFが、分布定数型の差動伝送線路としてのマイクロストリップ分布定数型の差動伝送線路である例を説明した。
しかし、本発明のコモンモードフィルタFは、一対の導線路が誘電体を介して上下からグランドに対面する分布定数型の差動伝送線路、すなわちストリップ分布定数型の差動導線路を用いた構成も可能である。
次に、本発明に係るコモンモードフィルタFとしてストリップ分布定数型の差動導線路を用いた構成を説明する。
図10は、ストリップ分布定数型の差動導線路を用いた本発明のコモンモードフィルタFを示す分解斜視図である。
図10において、図1と同様に誘電体層3Aの下方には、同図と同様の誘電体層3Bが配置されている。
誘電体層3Bにおいて同一の片面(図10中上面)には、導線路1A、1Bの入出力方向を横切るよう、図7に類似した細長い分割浮きグランド9E、9F、9G、9Hが、僅かな間隔を置いて近接するよう平行に形成されている。
個々の分割浮きグランド9E〜9Hの両端部において、隣り合う分割浮きグランド9E〜9Hとの間には、印刷等によって形成された抵抗(例えば50Ω)からなる受動2端子回路CM1Eが接続されている。
入力側の分割浮きグランド9Eの両端部は、抵抗からなる受動2端子回路CM1Eを介して入力側グランド端子13A、13Bに接続されており、出力側の分割浮きグランド9Hの両端部は、出力側グランド端子15A、15Bに接続されている。
誘電体層3Aの上方には、これと同様の誘電体層3Cとの間に誘電体層3Aと同様の材料で同形状の誘電体基板からなる誘電体層3Dが配置されている。
誘電体層3Dの片面(図10中上面)には、導線路1A、1Bの入出力方向を横切るよう、例えば直交するように延びる細長い分割浮きグランド19E、19F、19G、19Hが、僅かな間隔を置いて近接するよう平行に形成されている。個々の分割浮きグランド19E〜19Hは、分割浮きグランド9E〜9Hと同様の形状で、これらに重なる位置に形成されている。
個々の分割浮きグランド19E〜19Hの両端部において、隣り合う分割浮きグランド19E〜19Hとの間には、印刷等によって形成された抵抗(例えば50Ω)からなる受動2端子回路CM2Eが接続されている。
入力側の分割浮きグランド19Eは、抵抗からなる受動2端子回路CM2Eを介して入力側グランド端子13A、13Bに接続されており、出力側の分割浮きグランド19Hの両端部は、出力側グランド端子15A、15Bに接続されている。
そして、互いに異なる誘電体層3A、3B、3D、3Cは重ねられてチップ状に一体化されている。
誘電体層3A、3B、3C、3Dに形成された入出力端子5A、5B、7A、7B、入出力側グランド端子13A、13B、15A、15Bは、誘電体層3A〜3Dが重ねられてチップ状に一体化されたとき、同様に一体化されている。
なお、図10の構成において、誘電体層3A、分割浮きグランド9E〜9H、受動2端子回路CM1Eは、各々、第1の誘電体層、第1の分割浮きグランド、第1の受動2端子回路として機能し、誘電体層3D、分割浮きグランド19E〜19H、受動2端子回路CM2Eは、各々、第2の誘電体層、第2の分割浮きグランド(第2の浮きグランド)、第2の受動2端子回路として機能する。
この図10に示す構成では、入力側および出力側の分割浮きグランド9E、9H、19E、19Hが受動2端子回路CM1E、CM2Eを介して外部グランドに接続されるとともに、隣り合う分割浮きグランド9E〜9H、19E〜19H間にも受動2端子回路CM1E、CM2Eが接続された構成となっている。
図11は、差動導線路が100psの遅延時間を有する図10に示すコモンモードフィルタFの特性であり、Sdd21は差動信号通過特性を、またScc21はコモンモード信号通過特性を示している。両特性ともコモンモードフィルタFとして十分な特性を備えていることが分かる。
さらに、コモンモードフィルタFでは、入力されたコモンモード電力の大部分が受動2端子回路CM1E、CM2Eに吸収されており、コモンモード信号減衰特性を得るために回路が持つ共振を利用し、かつ、受動2端子回路CM1E、CM2Eである抵抗値50Ωの計20個の抵抗において、エネルギーを吸収させ、大きな効果を得ている。そのため、図12に示すように、良好な分配特性が得られる。
また、受動2端子回路CM1E、CM2Eとしての50Ωの抵抗が合計20個と多数配置されているが、これらは抵抗体ペーストによって印刷手法で形成されるし、誘電体層3B、3Dの形状が同じなので、生産も極めて良好である。
さらに、受動2端子回路CM1、CM2としての抵抗のバラツキが特性に与える影響も極めて少なく、従って抵抗値の調整などは必要としない。
なお、図示は省略するが、図10の構成において、第1の分割浮きグランド9E〜9Hと第1の受動2端子回路CM1EとによってコモンモードフィルタFとしての機能が成立していれば、第2の分割浮きグランド19E〜19Hに受動2端子回路CM2Eを接続しない又は第2の分割浮きグランド19E〜19Hを分割しなくても、特性が僅かに劣化するもののコモンモードフィルタFとしての機能は維持される。
この場合、第2の浮きグランドは、差動信号に対するインピーダンスマッチング用のグランドとしてのみ機能し、コモンモードフィルタFの機能は第1の分割浮きグランド9E〜9Hによって維持される。
さらに、図示は省略するが、同構成において、分割浮きグランド9E〜9Hのいずれかに受動2端子回路CM1Eが接続されず、しかも分割浮きグランド19E〜19Hのいずれかに受動2端子回路CM2Eが接続されない状態、すなわち第1の分割浮きグランドも第2の浮きグランドも共に不完全な構成になったとしても、特性は劣化するもののコモンモードフィルタFとしての機能は維持される。必ずしも全ての分割浮きグランドに受動2端子回路が接続されていなくても良い。
上述したコモンモードフィルタFでは、導線路1A、1Bに、矩形状の折り返し線路によるマイクロストリップラインあるいはストリップラインを用いて説明してきた。しかし、本発明のコモンモードフィルタFは、導線路にスパイラル形状の分布定数線路を用いることも可能である。
そこで、次に、本発明に係るコモンモードフィルタFとしてスパイラル形状の分布定数型差動導線路を用いた構成を説明する。
図13は、スパイラル形状の分布定数型差動導線路を用いた本発明のコモンモードフィルタFを示す分解斜視図である。
図13の構成は、図10に示すストリップライン構成において、誘電体層3Aと誘電体層3Dとの間に、誘電体層3Aとともに、これと同様な誘電体層を形成し誘電体基板からなる誘電体層3Eを挿入したものである。
しかも、誘電体層3Aにはスパイラル状の導線路21A、21Bが、誘電体層3Eにはスパイラル状の導線路23A、23Bが印刷等の手法により形成されている。
スパイラル状の導線路21A、21B、23A、23Bは、単位スパイラルコイルを僅かな間隔で、分割浮きグランド9E〜9Hおよび19E〜19Hを横切る方向に複数配列されてなり、独立したそれら単位スパイラルコイルと、隣合って直列接続される一対の単位スパイラルコイルとからなっている。
さらに、導線路21Aにおける単位スパイラルの中心部と導線路23Aにおける単位スパイラルの中心部との間、および導線路21Bにおける単位スパイラルの中心部と導線路23Bにおける単位スパイラルの中心部との間はビア25A、25Bで接続され、結合スパイラルコイルを形成している。
すなわち、スパイラル状の導線路21A、23Aの単位スパイラルコイルが入出力端子間5A、7A間で交互に直列接続され、スパイラル状の導線路21B、23Bの単位スパイラルコイルが入出力端子間5B、7B間で交互に直列接続されている。
入力端子5A、5Bに最も近い側の結合スパイラルコイルは、分割浮きグランド9E、19Eの幅内に収まる寸法で、分割浮きグランド9E、19Eに上下から挟まれることによって分布容量を有している。これにより、インダクタンスは集中定数的であるが、容量が分布定数的であるため、分布定数型線路が形成されている。
分割浮きグランド9Fと19F間、9Gと19G間および9Hと19H間にも、同様な結合スパイラルコイルが挟まれている。
さらに、分割浮きグランド9Eと19E間、9Fと19F間、9Gと19G間および9Hと19H間は、導線路21A、21B、23A、23Bを避ける部位を通るビア25C、25Dで、互いに接続される。
図14は、図13に示すコモンモードフィルタFにおいて、遅延時間を約200psとなるよう設定した場合の、差動信号通過特性Sdd21およびコモンモード信号通過特性Scc21である。受動2端子回路CM1Eは50Ω、CM2Eは100Ωとしている。
図10の構成に比べ、遅延時間が増えたことで、コモンモード信号に対する複合的な直列共振回路の時定数も増えるので、コモンモード信号を減衰する周波数帯域が低い方へシフトし、3GHz付近からの帯域で使えるコモンモードフィルタとなることが示されている。
図15は、図13に示すコモンモードフィルタFへ入力されたコモンモード電力の分配特性を示すものである。この図から、本発明の構成では、11GHz付近で若干反射電力が増えるものの、概ね良好な電力吸収が得られていることが分かる。
以上、本発明の実施例においては、説明の都合上、入力側グランド端子13A、13Bは入力端子5A、5Bに並べて配置され、出力側グランド端子15A、15Bも出力端子7A、7Bに並べて配置された例で説明した。
しかし、電子部品としてのコモンモードフィルタFを小型の電子機器に使用する場合、図1に例示したものよりも一層の小型化が求められる。
その場合は、四角なチップ部品の一辺に入力端子5A、5Bのみを配置し、その対向辺に出力端子7A、7Bのみを配置し、入出力端子5A、5B、7A、7Bを配置してない辺および底面に、入出力側グランド端子13A、13B、15A、15B一緒にまとめ、これを共通の端子として配置する等が必要となる。その場合、入出力側グランド端子13A、13B、15A、15Bを一体とすることもできる。
そして、スパイラル形状の分布定数型差動伝送線路を用いた本発明のコモンモードフィルタFにおいても、ストリップラインやマイクロストリップラインによる分布定数型差動導線路を用いた構成と同様に、上述した構成の種々の組み合せが可能である。
さらに、分割浮きグランド9A〜19Hにおいて、隣り合う全て又は一部間にも、受動2端子回路CM1A〜CM2Eを接続することも可能である。
以上の実施の形態例において、1個のコモンモードフィルタFに使用する複数個の受動2端子回路CM1A〜CM2Eについて、全て同じ種類の受動素子とするか、又は抵抗とインダクタンスとの組み合わせで説明した。
すなわち、図1の構成では4個の短絡線路又は4個の抵抗を、図7の構成では4個のインダクタンスと8個の抵抗を、図10および図13では20個の抵抗を使用した例を示した。
しかし、本発明においては、1個のコモンモードフィルタFにおける受動2端子回路CM1A〜CM2Eとして、インダクタンス、短絡線路、容量、抵抗を任意に組み合わせて使用可能である。
さらに、本発明のコモンモードフィルタFは、単体の部品としてだけでなく他の機能部品と一緒に組み合わせた構成も可能である。
例えば、電子部品としての差動遅延線の中に本発明のコモンモードフィルタFを組み込む場合、差動遅延線の遅延時間がコモンモードフィルタFとして必要な遅延時間以上にあれば、必要な長さ分だけの数の分割浮きグランドに受動2端子回路を接続し、残りの部分は受動2端子回路を接続しない分割浮きグランドとしておけばよい。
また、一対の導線路が誘電体層を挟んで対面する分割浮きグランドを有する分布定数型の差動導線路の例として、マイクロストリップライン、ストリップラインおよびスパイラル線路の3種類のみで例示した。
しかし、本発明の理論的な技術思想に基づけば、一対の導線路の断面形状が同一平面に並置された平面状矩形である必要もないし、さらに一対の導線路が誘電体を挟んで対面するグランドも平面である必要はない。
例えば、ツイストペアとなった絶縁被覆導線を、誘電体として機能する絶縁物で覆い、その周りをグランドとなる導体で丸く覆い、それらを複数個、互いに接触しないよう連続的に並べたものでも、そのグランドを分割浮きグランドとして機能させることができ、本発明の効果を実現可能である。
さらに、本発明では、一対の導線路が、同一の遅延時間を持つものとして解析してきたが、導線路に遅延時間差を持たせても良い。これによって、差動信号間に位相ずれが発生している場合に、コモンモードフィルタFによって、位相ずれの補正とコモンモード信号の減衰の効果を同時に得ることが可能となる。
1A、1B、21A、21B、23A、23B 導線路
3A、3B 誘電体層(第1の誘電体層)
3C 誘電体層(第2の誘電体層)
3D 誘電体層
3E 誘電体層(第1の誘電体層)
5A、5B 入力端子
7A、7B 出力端子
9A、9B、9C、9D、9E、9F、9G、9H 分割浮きグランド(第1の分割浮きグランド)
13A、13B 入力側グランド端子
15A、15B 出力側グランド端子
17 分割浮きグランド間容量
19E、19F、19G、19H 分割浮きグランド(第2の浮きグランド)
25A、25B、25C、25D ビア
21A、21B スパイラル状導線路
23A、23B スパイラル状導線路
CM1A、CM1B、CM1C,CM1D、CM1E 受動2端子回路(第1の受動2端子回路)
CM2E 受動2端子回路(第2の受動2端子回路)
F コモンモードフィルタ

Claims (15)

  1. 第1の誘電体層に形成され差動信号を伝送させる一対の導線路と、
    外部グランド電位から分離され、前記第1の誘電体層を介在させた状態で前記導線路と対面するとともに、前記導線路の長さ方向に複数個に分割され形成され、前記導線路とともに前記差動信号に対して分布定数型の差動伝送線路を形成する複数の第1の分割浮きグランドと、
    これら第1の分割浮きグランドのうち、少なくとも入力側又は出力側に位置する第1の分割浮きグランドと前記外部グランド電位との間に接続された第1の受動2端子回路と、
    を具備することを特徴とするコモンモードフィルタ。
  2. 前記第1の分割浮きグランドは、前記入力側および出力側の1対である請求項1記載のコモンモードフィルタ。
  3. 前記第1の分割浮きグランドは、3個以上形成された請求項1記載のコモンモードフィルタ。
  4. 前記第1の分割浮きグランドは、隣り合う全て又は一部の前記分割浮きグランド間にも前記第1の受動2端子回路が接続された請求項2又は3記載のコモンモードフィルタ。
  5. 隣り合う複数の前記第1の分割浮きグランドは、共通の前記第1の受動2端子回路が接続された請求項3記載のコモンモードフィルタ。
  6. 前記導線路は矩形状の導線路である請求項1〜5いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  7. 前記導線路はスパイラル状の導線路が前記長さ方向に複数直列接続されてなる請求項1〜5いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  8. 前記導線路は、前記第1の誘電体層としての誘電体基板に形成され、前記第1の分割浮きグランドは前記誘電体基板と異なる誘電体基板に形成されるとともに、それら異なる前記誘電体基板が積層一体化されてなる請求項1〜7いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  9. 前記外部グランド電位から分離され、第2の誘電体層を介在させた状態で前記導線路と対面するよう形成され、前記分布定数型の差動伝送線路を形成する第2の浮きグランドを有する請求項1〜7いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  10. 前記第2の浮きグランドおよび前記外部グランド電位の間に接続される第2の受動2端子回路を有する請求項9記載のコモンモードフィルタ。
  11. 前記第2の浮きグランドは、前記導線路の前記長さ方向に複数個に分割され、それらのうち少なくとも入力側又は出力側の前記第2の分割浮きグランドと前記外部グランド電位との間に前記第2の受動2端子回路が接続された請求項9又は10記載のコモンモードフィルタ。
  12. 前記第2の分割浮きグランドは、隣り合う全て又は一部の前記分割浮きグランド間にも前記第2の受動2端子回路が接続された請求項9〜11いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  13. 前記導線路は、前記第1の誘電体層としての誘電体基板に形成され、前記第1の分割浮きグランドは前記誘電体基板と異なる誘電体基板に形成されるとともに、第2の浮きグランドは前記第2の誘電体層としての誘電体基板に形成され、それら異なる前記誘電体基板が積層一体化されてなる請求項9〜12いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  14. 前記第1および第2の受動2端子回路は、短絡線路である請求項1〜13いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
  15. 前記第1および第2の受動2端子回路は、1個以上の受動素子としてのインダクタンス、容量、抵抗、又はこれらの組合せである請求項1〜13いずれか1記載のコモンモードフィルタ。
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