JP4303207B2 - 高周波差動信号用フィルタ - Google Patents

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Description

この発明は高周波差動信号用フィルタに関し、特にマイクロ波帯の広帯域フィルタを分布定数線路で実現するための構造に関する。
近年、データや画像等の大容量の通信のニーズが高まると同時に通信機器の相互接続が進んでいる。やがて、家電や普通の電話、時計や音楽プレーヤなどがネットワークで結ばれるばかりでなく、駅の自動券売機や飲料の自販機までもがネットワークにつながれ、車や電車の中からでもインターネットにアクセスできるような社会、いわゆるユビキタス社会の到来が言われている。ユビキタス社会の実現という点で見れば、場所を選ばず通信が行えるという長所をもつ無線通信が重要性を増している。
ところで、無線通信用の高周波回路として平衡回路や不平衡回路が知られている。平衡回路は高速で低消費電力の実現に有利であり、そのための差動信号伝送は半導体ICでは一般的となっているが、パッケージ・モジュール・プリント基板上ではまだ一般的ではなく、もっぱら不平衡回路が用いられている。半導体ICは平衡回路のインタフェースを持つため、半導体ICとプリント基板上の外部回路を接続するために平衡不平衡変換回路(バラン:Balun)を備える必要がある。
特開2002−198765(特願2001−330844):統合フィルタ・バラン 特許文献1は、差動回路に用いることが可能な共振子ベースのフィルタを開示している。これは個別部品(集中定数)により構成されている。
半導体IC以外の外部回路も平衡回路で構成されていれば平衡不平衡変換回路が不要となり、装置の小型化や低価格化の点で有利なことは言うまでもない。ここで例えば、外部回路のひとつであるフィルタを平衡回路で構成することを考えてみる。
図15(a)は不平衡高域通過フィルタの回路図を示し、同図(c)は不平衡低域通過フィルタの回路図を示す。同図(a)に示すような片側接地の不平衡信号を取り扱う高域通過フィルタはシリーズ(series直列)の容量C1、C2とシャント(shunt短絡)のインダクタL1で構成できる。同図(c)に示すような片側接地の不平衡信号を取り扱う低域通過フィルタはシリーズのインダクタL4,L5とシャントの容量C7で構成できる。
ところで、同図(a)(c)のフィルタを平衡信号用のフィルタとするには、これらと同じフィルタを用意し、それぞれを同図(a)(c)のフィルタの接地されていた部分に接続すればよい。同図(a)(c)のフィルタを平衡信号用フィルタとして構成した回路図を同図(b)(d)に示す。同図(b)(d)の回路は対称に構成されている。同図(b)の平衡高域通過フィルタはシリーズの容量C3乃至C6とシャントのインダクタL2及びL3で構成され、同図(d)の平衡低域通過フィルタはシリーズのインダクタL6乃至L9とシャントの容量C8及びC9で構成される。
上記のようにシリーズの容量とインダクタ、シャントの容量とインダクタで構成される不平衡信号用フィルタが与えられれば、これを平衡信号用フィルタに変換して作製することができる。
高速伝送に用いられるような高周波帯では、個別部品は寄生の容量、インダクタンス、抵抗が悪影響を及ぼし、単純なインダクタL,容量Cではなくなって、高速伝送で使用されるマイクロ帯ではフィルタ特性が大きく劣化してしまう。そのために図15で示すような集中定数を用いることができず、分布定数線路を用いる必要がある。しかし、集中定数回路を分布定数回路に変換すること、特にシリーズの容量Cの変換を行うことができなかった(変換結果が周波数に依存してしまうという問題があった)。また、具体的にどのような構造を用いて分布定数線路を用いた平衡回路用フィルタを作製すれば良いのか知られていなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、マイクロ波帯以上の高周波帯でも設計精度よく作製できる分布定数線路を用いた平衡回路用(差動信号用)フィルタを提供することを目的とし、特に、分布定数線路を用いて平衡回路用フィルタを作製するために好適な構造を提供することを目的とする。
この発明に係る高周波差動信号用フィルタは、
第1誘電体基板8Uと第2誘電体基板8Lが積層され、
前記第1誘電体基板8Uの一方の面に、前記第1誘電体基板8U及び前記第2誘電体基板8Lに垂直な対称面SPに対して対称に第1の2結合線路2,2及び第2の2結合線路3,3が配置され、前記第1の2結合線路2,2と前記第2の2結合線路は縦続接続され、
前記第2誘電体基板8Lの一方の面に、前記第1誘電体基板8Uを挟んで前記第1の2結合線路2,2及び第2の2結合線路3,3に対向し、かつ、前記対称面SPに対して対称に第3の2結合線路4a,4a及び第4の2結合線路4b、4bが配置され、前記第3の2結合線路4a,4aと前記第4の2結合線路4b、4bは縦続接続され、
前記第2誘電体基板の他方の面に、前記第3の2結合線路4a,4a及び前記第4の2結合線路4b、4bに対向し、かつ、前記対称面SPに対して対称に線路が配置され、
前記第1の2結合線路2,2及び前記第2の結合線路3,3の縦続接続個所は開放されていて、前記第1の2結合線路2,2と前記第2の結合線路3,3は直流的に分離され、
前記第3の2結合線路2,2及び前記第4の結合線路3,3の縦続接続個所は短絡され、
前記第3の2結合線路4a,4aと前記第3の2結合線路4b、4bの短絡点の近傍にはそれぞれ接続線路5,5が接続され、これら接続線路5,5は前記第2誘電体基板8Lの他方の面に形成された前記線路6に接続されていることを特徴とするものである。
この発明に係る高周波差動信号用フィルタは、図7に示すように
誘電体基板17の一方の面に第1の2結合線路11、11と、第2の2結合線路12、12と、第3の2結合線路13、13とが、前記誘電体基板17に垂直な対称面SPに対して対称に配置され、
前記第1の2結合線路11、11、前記第2の2結合線路12、12及び前記第3の2結合線路13、13は縦続接続され、
前記第2の結合線路の幅は、前記第1の結合線路と前記第3の結合線路よりも広く、
前記第2の2結合線路12、12に対向する前記誘電体基板17の他方の面には、前記第2の2結合線路12、12を覆うに十分な大きさの導体16が設けられ、
前記第1の2結合線路11、11と前記第3の2結合線路13、13に対向する部分には導体は設けられていない、ことを特徴とするものである。
この発明に係る高周波差動信号用フィルタは、
シリーズの容量を含む高周波差動信号用フィルタであって、前記シリーズの容量を、
積層された第1誘電体基板85及び第2誘電体基板86と、
前記第1誘電体基板の表面に、前記第1誘電体基板及び前記第2誘電体基板に垂直な対称面に対して対称に配置された第1の2結合線路83、83と、
前記第1誘電体基板と前記第2誘電体基板の間の面に、前記第1の2結合線路に対向し、かつ、前記対称面に対して対称に配置された第2の2結合線路84、84と、を備える分布定数線路で構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、分布定数線路を用いて高周波差動信号用フィルタを作製することができる。
最初に、発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタの構造を説明し、次に、発明の実施の形態2に係る平衡低域通過フィルタの構造を説明し、最後に集中定数を分布定数線路に変換するための計算式を説明する。
発明の実施の形態1.
発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタの構造の例を図1乃至図3に示す。
図1(a)は平衡高域通過フィルタの平面図(上面図)、同図(b)はa−a’矢視断面図である。同図(b)から判るようにこの平衡高域通過フィルタは積層された2層の誘電体基板とその各面に形成された合計3層の導体層から構成されている。各導体層を上から順番に第1層、第2層、第3層と呼ぶことにする。図1(a)において実線で示されているものは第1層の導体層である。
図2(a)は第2層の平面図である。同図において実線で示されているものは第2層の導体層である。図2(b)は第3層の平面図である。同図において実線で示されているものは第3層の導体層である(点線は第1層の導体層であり、相互の位置関係を示すために表現した)。
図3は3層の導体層を分離して表現したものである。図3の各層が積層されて発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタが構成される。
以上の図において、1は差動信号の入出力端子、2及び3は第1層に形成された複数(各2つ)の導体(2結合線路)である。4は第2層に形成された導体(2結合線路)である。2結合線路は対称面SPに対称に配置された複数(2つ)の導体から構成される。線路4は、線路2に対向する部分4aと、線路3に対向する部分4bとからなり、部分4aと4bは図1(b)のS点で短絡されている(導体同士が接触するか又は一体に形成されて直流的に接続されている)。第1層に形成された線路2,2と第2層に形成された線路4,4(正確には線路4,4の部分4a,4a)で1対のシリーズ容量を構成する。同様に、第1層に形成された線路3,3と第2層に形成された線路4,4(正確には線路4,4の部分4b,4b)で1対のシリーズ容量を構成する。6はインダクタを構成する線路(左側の6aと右側の6bが中心付近で短絡されている)、5はシリーズ容量を前記インダクタの構成線路6に接続するための接続線路、7は線路5を線路6に接続するためのビアである。線路6は、左右対称に構成された1対のシャントLを実現する。
線路6はシリーズCの各導体2,3、4と短絡することを避けるため第3層に形成されており、線路5と線路6はビア7によって接続されている。
図1乃至図3から判るように発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタは次のような構造を備えている。
(1)第1誘電体基板8Uと第2誘電体基板8Lが積層されている。
(2)第1誘電体基板8U及び第2誘電体基板8Lに垂直な対称面SPを考える。第1誘電体基板8Uの一方の面(上面)に、前記対称面SPに対して互いに対称に2結合線路2,2及び3,3が配置されている。2結合線路2,2及び3,3は縦続接続されている。
(3)第2誘電体基板8Lの一方の面(上面)に、前記第1誘電体基板8Uを挟んで前記2結合線路2,2及び3,3に対向し、かつ、前記対称面SPに対して互いに対称に2結合線路4a,4a及び4b、4bが配置されている(4aと4bは短絡され一体となっているので、2結合線路4,4と表現することもある)。
(4)2結合線路2,2及び3,3と、4a,4a及び4b、4bはそれぞれ4結合線路を構成する。
(5)第2誘電体基板8Lの面に形成された2結合線路4a,4a及び4b、4bは縦続接続されるとともに、縦続接続された隣接の線路4aと4bは符号S点で短絡されている。
(6)第1誘電体基板8Uの面に形成された2結合線路2,2及び3,3の縦続接続個所は開放されていて、線路2,2と線路3,3は直流的に分離されている。
(7)2結合線路4a,4aと4b、4bの短絡点(縦続接続個所)Sの近傍にはそれぞれ線路5,5が接続され、これら線路5,5は第2誘電体基板8Lの他方の面に形成された線路6を介して接続されている。具体的には、ビア7,7により、第2誘電体基板8Lの上面に設けられた線路5,5をその下面に設けられた線路6に接続している。
線路2,2と4a,4a及び3,3と4b、4bはそれぞれシリーズの容量Cを構成し、線路5と6はシャントのインダクタLを構成する。シャントのインダクタLの導体6は対称面SPに対称に配置され、その中心で短絡されている必要がある。第1層、第2層の中央にはシリーズCの導体があるため、インダクタを実現するための線路6を通すことができない。そこで、線路6を第3層に形成し、ビア7を介して線路5,5を線路6に接続している。図2(b)に示すように中心対称面SP上で左右の線路6aと6bが短絡されている。第2誘電体基板8Lは第3層を形成するために必要であるが、シリーズの容量Cを実現するためにも必要である(後述の(3)差動信号のシリーズCの構造の説明を参照されたい)。
発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタの等価回路を図4に示す。
発明の実施の形態1に係る平衡高域通過フィルタの特性例を図5に示す。図5は次のような条件下のシミュレーション結果である。
(a)第1誘電体基板8Uの誘電率9.8、厚み0.1mm
(b)第2誘電体基板8Lの誘電率7.2、厚み0.2mm
(c)線路2,3を1.2mm角の導体とする。
(d)線路2と3の間隔を0.1mmとする。
(e)線路5を0.1mm幅、0.4mmの長さとする。
(f)ビア7用の方形パッドは0.5mm角とし、ビア7は円形の直径0.3mmのビアとする。
(g)線路6はビア7用パッドから0.1mm幅で取り出され、左右とも1.7mmの長さとして中心対称面SP上で短絡されるとする。
図5によれば良好な高域通過フィルタ特性が得られている。
なお、集中定数を分布定数線路に変換する方法は、後述の(2)差動信号のシャントLの構造、及び、(3)差動信号のシリーズCの構造の説明を参照されたい。
図1乃至図3では4結合線路は2個しか示されていないが、4結合線路は3個以上あってもよい。その場合、短絡される面は第1層と第2層で交互となり、すべての接続点から線路が引き出され、ビアを介して第3層で短絡される。図6に4結合線路を3個備えるフィルタの構造例を示す。第1層の線路3,3に隣接して線路31,31が設けられ、第2層の線路4,4に隣接して線路41,41が設けられ、第3層にシャントのインダクタ用線路61が設けられる。線路3,3と線路31,31は符号S1の個所で短絡される。シャントのインダクタに接続するための線路51は短絡点S1から引き出される。下側の端子1は8Uの下面に構成される。
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態2に係る平衡低域通過フィルタの構造の例を図7に示す。
図7(a)は低域通過フィルタの上面図、図7(b)は図7(a)のa−a’矢視断面図を示す。11は1対の高インピーダンス線路、12は1対の低インピーダンス線路、13は1対の高インピーダンス線路、14と15は差動信号用入力端子また差動信号用出力端子である。16は12の低インピーダンス線路を取り囲む一体化された導体、17は誘電体基板である。
図7のフィルタは、誘電体基板17の一方の表面に線路11乃至13が設けられている。線路11乃至13、端子14及び15は、誘電体基板17に垂直な面SPに対称に配置されている。線路12に対向する他方の表面に導体16が設けられているが、線路11及び13に対向する部分には導体は設けられていない。図7のフィルタは、誘電体基板17の片面に、幅の狭い2結合線路11と、幅広の2結合線路12と、幅の狭い2結合線路13が縦続接続された構造をもつ。
図7から判るように発明の実施の形態2に係る平衡低域通過フィルタは次のような構造を備えている。
(8)誘電体基板17に垂直な対称面SPを考える。誘電体基板17の一方の面(表面、上面)に線路幅の狭い2結合線路11、11と、線路幅の広い2結合線路12、12と、線路幅の狭い2結合線路13、13とが対称面SPに対して互いに対称に配置されている。
(9)2結合線路11、11、2結合線路12、12及び2結合線路13、13は縦続接続されている。
(10)2結合線路12、12に対向する誘電体基板17の他方の面(下面)には、2結合線路12、12を覆うに十分な大きさの導体16が設けられている。
(11)2結合線路11、11と2結合線路13、13に対向する部分には導体は設けられていない。
図7の線路11と13はシリーズのインダクタLを構成し、線路12はシャントの容量Cを構成する。したがって、図7のフィルタは、図15(d)のフィルタを分布定数線路で実現したものと言える。
図8は、図7の低域通過フィルタの等価回路を示す。
図9は、図7の低域通過フィルタの特性例を示す。
なお、集中定数を分布定数線路に変換する方法は、後述の(1)差動信号のシャントCの構造、及び、(4)差動信号のシリーズLの構造の説明を参照されたい。
<集中定数を分布定数線路に変換するための計算式>
(1)差動信号のシャントCの構造
図10は差動回路のシャントCを示す。図10(a)は集中定数で表した構成、図10(b)と(c)はそれを分布定数線路で実現したもので、それぞれ上面図とa−a’矢視断面図である。41は差動信号の入出力端子、42はシャントCの上面電極、43はシャントCの下面電極を表す。下面電極43はその中央で短絡されている(発明の実施の形態2の説明参照)。44は誘電体基板を表す。
集中定数で表した図10(a)のZ行列は以下のように与えられる。
Figure 0004303207
一方(b)、(c)の構造の左右対称なマイクロストリップ結合線路のZ行列は以下のように求められる。
Figure 0004303207
これのZ行列は下の式の係数で与えられる。Zoは結合線路の奇モードのインピーダンス、βoは奇モードの位相定数、dは結合線路の線路長を示す。
Figure 0004303207
従ってβoL<<1の場合、差動Z行列はすべての項は1次近似で―jZo/(βod)になる。
これが上のCのZ行列と一致するには
Figure 0004303207
となる。ここでvoは奇モードの速度である。すなわち奇モードの特性インピーダンスが小さくなるほど容量は大きくなる。
Cとして近似がよいのはβod<<1の範囲になるため、長さの短い結合線路がよい。またこの場合、容量値は線路長が短いと小さくなるので、線路幅を大きくして奇モードのインピーダンスを小さくし容量値を一定の値に保つことができる。ここで、通常の容量では線路幅と長さで容量が決まるが、発明の実施の形態に係る差動信号のシリーズCでは、奇モードのインピーダンスは線路間隔を近づけることでも小さくすることができることから、左右線路間隔を短くしても容量を大きくできるという特徴を有する。
(2)差動信号のシャントLの構造
図11は差動回路シャントLの構造を示す。図11(a)は集中定数で表した構成、図11(b)と(c)はそれを分布定数線路で実現したもので、それぞれ上面図とa−a’矢視断面図である。51は差動信号の入出力端子、52はインダクタンスを構成する線路、53は誘電体基板を示す。
端子側からLの中間の仮想グランドを見たインピーダンスは、図11(a)の集中定数回路の場合jωLであるが、分布定数線路で見た場合先端短絡のスタブと考えられる。このインピーダンスはjtanβLで与えられ、βd<<1の場合jβdとなる。従ってL=βd/ω=d/v(周波数によらず一定)となる。ここでvは単線路での伝播速度である。
(3)差動信号のシリーズCの構造
図12は差動回路シリーズCの構造を示す。図12(a)は集中定数で表した構成、図12(b)と(c)はそれを分布定数線路で実現したものである。61,62は差動信号の入出力端子である。入出力端子61は4結合線路の第1面にある2結合線路63に接続されており、入出力端子62は同じく第2面の2結合線路64に接続されている。65は誘電体基板を示す。
集中定数回路(a)のY行列は以下のように与えられる。
Figure 0004303207
一方分布定数線路で構成された図12(b)、(c)の4結合線路で63は上側開放、64は下側開放と端子条件を設定することで差動信号のY行列は以下のように与えられる。
Figure 0004303207
ここでZe>>Zoとすることで
Figure 0004303207
線路長Lを短くしてβed<<1とすると
Figure 0004303207
これが集中定数の値と一致するには
Figure 0004303207
となり周波数に依存する値となる。
実用化するためには、分布定数線路によるシリーズCの値が周波数に依存しないようにする必要がある。そこで図13(a)(b)に示す構造を提案する。
図13は本発明の実施の形態に係る差動のシリーズCを実現する方法と実現された容量値を示す。図13(a)はシリーズCの上面図を示し、同図(b)は本シリーズCの断面図、同図(c)は本シリーズCの容量値の例を示す。81は第1面に構成された差動入出力端子、82は第2面に構成された差動入出力端子、83は第1面に構成された2結合線路、84は第2面に構成された2結合線路を示す。85は第1の誘電体、86は第2の誘電体を示す。図13のシリーズCを図12の構造と比較すると、第2層の2結合線路を第2の誘電体で覆う点に特徴があることが判る。
実際の構造で厳密に電磁界シミュレーションでCの値を求めた例を図13に示す。第1の導体83と第2の導体84は各1.0mm角とし、その間隔を0.2mmとする。第1の誘電体85が誘電率9.8で厚み0.1mmとし、第2の誘電体86が誘電率7.2で誘電体厚み0.2mmとする。この構造でYパラメタの虚部からCeff=Im(Y)/ωの式で実効的なCの値を求めたものは、3GHz程度まではほぼ一定の容量値を示しCとして実用可能なことがわかった。これは寸法をさらに小型化することにより容量値は下がるもののより高周波まで一定の容量値を示す。これらのことから、本発明の実施の形態の構造によりシリーズのCも実現することができる。
(4)差動信号のシリーズLの構造
図14は差動回路シリーズLの構造を示す。図14(a)は集中定数で表した構成、図14(b)と(c)はそれを分布定数線路で実現したものである。71は差動信号の入出力端子、72は差動のインダクタンスを構成する2結合線路、73は誘電体基板を示す。
図14(a)の集中定数回路のY行列は以下のように与えられる。
Figure 0004303207
一方分布定数線路で構成された図14(b)、(c)のマイクロストリップ型2結合線路の差動信号に対するY行列は以下のように与えられる。
Figure 0004303207
βoL<<1の場合は
Figure 0004303207
従って平衡モード集中定数Lと近似できるのは
Figure 0004303207
すなわち奇モードのアドミタンスが小さいほどインダクタンスは大きい。
接地が近くにない平衡2線路では奇モードのアドミタンスが小さくなり効率よくインダクタンスを大きくできる。
以上から、理論的にシリーズL,シャントCは実現できることがわかり、差動信号用低域通過フィルタは実現できる。実際図7の構成で低域通過フィルタを構成すると図9のような低域通過フィルタの特性が実現できる。
一方、シャントLは実現できるが、シリーズCは理論上は周波数に依存する値となって実現できない。しかし、図13の構造を提案し、これに基づき電磁界シミュレーションを行ったところ実用上差し支えない程度に周波数に依存しないシリーズCを実現できることがわかった。上述のようにシリーズCを要する高域通過フィルタは電磁界シミュレーションでは可能なことがわかったので、これを用いて差動信号用高域通過フィルタを実現できる。その具体的構造については発明の実施の形態1で既に説明した。
以上述べたように、上述の構造を採用することにより、マイクロ波帯でも特性のよい差動信号用フィルタを作製することができる。
なお、発明の実施の形態2に係る低域通過フィルタは誘電体1層の上に構成したが、下層に誘電体があっても、線路幅、線路間隔等の寸法を調整することで実現できる。従って発明の実施の形態2に係る低域通過フィルタ、発明の実施の形態1に係る高域通過フィルタを同一基板上に集積することもできる。またこの場合低域通過フィルタのシャントCの下部電極(図7の16)に4結合線路の短絡点近傍から引き出される1対の線路を接続することでビアを介さずシャントLを構成することもできる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
図1(a)は発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの上面図、図1(b)はa−a’矢視断面図である。 図2(a)は発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの第2層の上面図、図2(b)は発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの第3層の上面図である。 発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの斜視組立図である。 発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの集中定数等価回路である。 発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタの特性例である。 発明の実施の形態1に係る差動信号用高域通過フィルタを2つ縦続接続した場合の上面図である。 図7(a)は発明の実施の形態2に係る差動信号用低域通過フィルタの上面図、図7(b)はa−a’矢視断面図である。 発明の実施の形態2に係る差動信号用低域通過フィルタの集中定数等価回路である。 発明の実施の形態2に係る差動信号用低域通過フィルタの特性例である。 差動回路のシャントCの説明図である。図10(a)は集中定数で表した構成、図10(b)及び(c)はそれを分布定数線路で実現したときの上面図及び断面図である。 差動回路のシャントLの説明図である。図11(a)は集中定数で表した構成、図11(b)及び(c)はそれを分布定数線路で実現したときの上面図及び断面図である。 差動回路のシリーズCの説明図である。図12(a)は集中定数で表した構成、図12(b)及び(c)はそれを分布定数線路で実現したときの上面図及び断面図である。 発明の実施の形態に係る差動回路のシリーズCの説明図である。図13(a)及び(b)はシリーズCを分布定数線路で実現したときの上面図及び断面図、図13(c)はその特性例を示すグラフである。 差動回路のシリーズLの説明図である。図14(a)は集中定数で表した構成、図14(b)及び(c)はそれを分布定数線路で実現したときの上面図及び断面図である。 集中定数で表した不平衡フィルタ、平衡フィルタの説明図である。
符号の説明
1 差動信号の入出力端子
2 第1層に形成された導体(2結合線路)
3 第1層に形成された導体(2結合線路)
4 第2層に形成された導体(2結合線路)
5 導体4を線路6に接続するための線路
6 シャントLを構成する線路
7 線路5を線路6に接続するためのビア
8U 第1の誘電体基板
8L 第2の誘電体基板
11 1対の高インピーダンス線路
12 1対の低インピーダンス線路
13 1対の高インピーダンス線路
14 差動信号用入力端子また差動信号用出力端子
15 差動信号用入力端子また差動信号用出力端子
16 導体
17 誘電体基板

Claims (2)

  1. 第1誘電体基板と第2誘電体基板が積層され、
    前記第1誘電体基板の表面に第1の2結合線路及び第2の2結合線路が配置され、前記第1の2結合線路と前記第2の2結合線路は縦続接続され、
    前記第1誘電体基板と前記第2誘電体基板の間の面に、前記第1の2結合線路及び第2の2結合線路にそれぞれ対向して第3の2結合線路及び第4の2結合線路が配置され、前記第3の2結合線路と前記第4の2結合線路は縦続接続され、
    各2結合線路を構成する複数の導体は、それぞれ前記第1誘電体基板及び前記第2誘電体基板に垂直な対称面に対して対称に配置され、
    前記第2誘電体基板の他方の面に、前記対称面に対して対称にインダクタ用線路が配置され、
    前記第1の2結合線路と前記第2の2結合線路の縦続接続個所は開放され、
    前記第3の2結合線路と前記第4の2結合線路の縦続接続個所は短絡され、
    前記第3の2結合線路と前記第4の2結合線路の短絡点の近傍には接続線路が接続され、前記接続線路は前記インダクタ用線路に接続されていることを特徴とする高周波差動信号用フィルタ。
  2. 平衡低域通過フィルタであって、
    誘電体基板の一方の面に第1の2結合線路、第2の2結合線路、及び、第3の2結合線路が形成され、各2結合線路を構成する複数の導体は、それぞれ前記誘電体基板に垂直な対称面に対して対称に配置され、
    前記第1の2結合線路、前記第2の2結合線路及び前記第3の2結合線路は縦続接続され、
    前記第2の2結合線路の幅は、前記第1の2結合線路と前記第3の2結合線路よりも広く、
    前記第2の2結合線路に対向する前記誘電体基板の他方の面には、前記第2の2結合線路を覆うに十分な大きさの導体が設けられ、
    前記第1の2結合線路と前記第3の2結合線路に対向する前記誘電体基板の他方の面には導体が設けられていないものであって、
    前記第2の2結合線路とこれに対向する前記導体はシャントの容量を構成することを特徴とする高周波差動信号用フィルタ。
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