JPWO2011007878A1 - 回折格子及びそれを用いた有機el素子、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

回折格子及びそれを用いた有機el素子、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

透明支持基板、及び、前記透明支持基板上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層を備える回折格子であって、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在する、回折格子。

Description

本発明は、回折格子及びそれを用いた有機EL素子、並びにそれらの製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は自発光素子として、ディスプレイ等の映像表示装置や面光源として用いられている。そして、このような有機EL素子は、一般的には、ガラス基板、透明プラスチックフィルム等の透明支持基板上に陽極である透明電極と、有機層と、陰極である金属電極を順に積層して作製されるものである。このように、透明電極と金属電極との間で印加された電圧により、陰極から供給された電子と陽極から供給されたホールとが有機層で再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際にEL発光する。EL発光した光は透明電極を透過し、透明支持基板の側から外部に取り出される。
しかしながら、このような有機EL素子においては、有機層で生じた光を外部に十分に取り出すことができないという問題があった。すなわち、有機層で生じた光のうちその多くは、素子の内部において多重反射を繰り返すうちに熱になって消えてしまうか、或いは、素子内部を導波し素子端部から出射してしまうため、十分な外部取り出し効率を達成することができないという問題があった。このような問題を解決するために、例えば、特開2009−9861号公報(特許文献1)には、透明支持基板、前記透明支持基板上に積層され、表面に周期的な配列で凹凸が形成された硬化樹脂層、並びに、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、前記硬化樹脂層上に順次積層された透明電極、有機層及び金属電極を備えることを特徴とするコルゲート構造を有する有機EL素子が開示されている。
特開2009−9861号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような有機EL素子は、外部取り出し効率の問題については改善されているものの、発光の波長依存性が高いために白色発光が困難であるという問題や発光の指向性(一定の方向に強く発光する性質)が高いという問題があり、その性能は必ずしも十分なものではなかった。なお、特許文献1に記載されているような有機EL素子において発光の波長依存性及び指向性が高い理由は、前記透明支持基板上に積層された硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸(回折格子)が、周期性が高い配列であることに起因するものと本発明者らは推察する。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、波長依存性及び指向性が十分に低い回折格子を製造することが可能な回折格子の製造方法、並びにその方法を利用した有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、透明支持基板、及び前記透明支持基板上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層を備える回折格子において、表面の凹凸の形状を解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施して得られるフーリエ変換像が円環状の模様を示すように、前記硬化樹脂層の表面に凹凸の形状を形成することにより、波長依存性及び指向性が十分に少ない回折格子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の回折格子は、透明支持基板、及び、前記透明支持基板上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層を備える回折格子であって、
前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在する、回折格子である。
また、本発明の有機EL素子は、透明支持基板、前記透明支持基板上に積層され且つ表面に凹凸が形成された硬化樹脂層、並びに、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、前記硬化樹脂層上に順次積層された透明電極、有機層、及び、金属電極を備える有機EL素子であって、
前記有機EL素子中の前記透明支持基板と前記硬化樹脂層とにより形成される構成部位が、上記本発明の回折格子からなるものである。すなわち、本発明の有機EL素子は、透明支持基板、前記透明支持基板上に積層され且つ表面に凹凸が形成された硬化樹脂層、並びに、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、前記硬化樹脂層上に順次積層された透明電極、有機層、及び、金属電極を備える有機EL素子であって、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在するものである。
上記本発明の回折格子及び有機EL素子においては、前記模様が円環状の模様であり、且つ、該円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが好ましい。
また、上記本発明の回折格子及び有機EL素子においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均高さが20〜200nmの範囲であることが好ましい。
また、上記本発明の回折格子及び有機EL素子においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均ピッチが100〜600nmの範囲であることが好ましい。
さらに、上記本発明の回折格子及び有機EL素子においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の深さ分布の平均値及び中央値が、下記不等式(1):
0.95×Y≦M≦1.05×Y (1)
[式(1)中、Yは式:Y=1.062m−2.2533(式中、mは凹凸の深さ分布の平均値を示す。)を計算して求められる値を示し、Mは凹凸の深さ分布の中央値を示す。]
で表される条件を満たすことが好ましい。
また、上記本発明の回折格子及び有機EL素子においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の尖度が、−1.2以上の値であることが好ましく、−1.2〜1.2の範囲内の値であることがより好ましい。
本発明の回折格子の製造方法は、透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子の製造方法であって、前記母型が、下記母型製造方法(A)及び(B):
[母型製造方法(A)]
第1のホモポリマーからなる第1のポリマーセグメントと、前記第1のホモポリマーの溶解度パラメーターよりも0.1〜10(cal/cm1/2高い溶解度パラメーターを有する第2のホモポリマーからなる第2のポリマーセグメントとを有しており、且つ、下記条件(i)〜(iii):
(i)数平均分子量が500000以上であること、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であること、
(iii)前記第1のポリマーセグメントと前記第2のポリマーセグメントとの体積比(第1のポリマーセグメント:第2のポリマーセグメント)が3:7〜7:3であること、
を全て満たすブロック共重合体、及び溶媒を含有するブロック共重合体溶液を基材上に塗布する工程と、
前記基材上の塗膜を乾燥させて、前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより、表面に凹凸が形成された第1の母型を得る工程と、
を含む方法;
[母型製造方法(B)]
70℃以上の温度条件下において、熱により体積が変化するポリマーからなるポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した後、前記ポリマー膜及び前記蒸着膜を冷却することにより、前記蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成する工程と、
前記蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた後に、硬化後の母型材料を前記蒸着膜から取り外して母型を得る工程と、
を含む方法;
のうちのいずれかの方法により得られたものである、
方法である。
また、本発明の有機EL素子の製造方法は、透明支持基板、透明電極、有機層及び金属電極を備える有機EL素子の製造方法であって、
透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子形成工程と、
前記硬化樹脂層上に、前記透明電極、前記有機層及び前記金属電極を、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ積層して有機EL素子を得る工程と、
を含み、且つ、
前記回折格子形成工程が上記本発明の回折格子の製造方法である、
方法である。このように、本発明の有機EL素子の製造方法においては、回折格子形成工程に用いられる前記母型が、前述の母型製造方法(A)及び(B)のうちのいずれかの方法により得られたものである。
また、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(A)の前記第1の母型を得る工程において、前記乾燥後の塗膜を前記ブロック共重合体のガラス転移温度より高い温度で加熱することが好ましい。
また、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(A)の前記第1の母型を得る工程において、前記乾燥後の塗膜にエッチング処理を施すことが好ましい。
さらに、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(A)が、前記第1の母型上に転写材料を付着させ硬化させた後、前記第1の母型から取り外すことにより、表面に凹凸が形成された第2の母型を得る工程を更に含むことが好ましい。
また、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(A)において用いられる前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せが、スチレン系ポリマー及びポリアルキルメタクリレートの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリエチレンオキシドの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリイソプレンの組合せ、及び、スチレン系ポリマー及びポリブタジエンの組合せのうちのいずれかであることが好ましい。
さらに、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(A)において用いられる前記ブロック共重合体溶液が、前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーとは異なる他のホモポリマーを更に含有することが好ましく、その場合に、前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せがポリスチレン及びポリメチルメタクリレートの組合せであり、且つ前記他のホモポリマーがポリアルキレンオキシドであることがより好ましい。
また、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記母型製造方法(B)において用いられる前記熱により体積が変化するポリマーがシリコーン系ポリマーであることが好ましい。
さらに、上記本発明の回折格子の製造方法及び有機EL素子の製造方法においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均ピッチが100〜600nmの範囲であることが好ましい。
本発明によれば、波長依存性及び指向性が十分に低い回折格子及びそれを用いた有機EL素子、並びに、その回折格子及びその有機EL素子の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の回折格子の好適な一実施形態を示す模式側断面図である。 本発明の回折格子の製造方法において透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布した状態を示す模式側断面図である。 本発明の回折格子の製造方法において母型を押し付けつつ硬化性樹脂を硬化させた状態を示す模式側断面図である。 本発明の回折格子の製造方法において母型を取り外して硬化樹脂層の表面に凹凸が形成させた状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法においてブロック共重合体溶液を基材上に塗布した状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法においてブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより塗膜の表面に凹凸を形成した状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法において転写材料を第1の母型上に付着させた状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法において硬化後の第2の母型を第1の母型から取り外した状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法においてポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法においてポリマー膜及び蒸着膜を冷却することにより蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成した状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法において表面に凹凸が形成された蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた状態を示す模式側断面図である。 本発明にかかる母型の製造方法において硬化後の母型を蒸着膜から取り外した状態を示す模式側断面図である。 本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式側断面図である。 透明電極と金属電極との間における最短距離と標準距離との関係を概念的に示す模式図である。 実施例1で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例1で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例1及び比較例1で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示すグラフである。 比較例2及び比較例3で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示すグラフである。 比較例4及び比較例5で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例1及び比較例1で得られた有機EL素子における電流効率と輝度との関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例1で得られた有機EL素子における電圧効率と輝度との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2で得られた第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例2で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2で得られた第2の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2で得られた第2の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例3で得られた第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例4で得られた第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例4で得られた第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例5で得られた第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例6で得られた第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例6で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例6で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例7で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例7で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例7で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例8で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例8で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例8で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例9で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例9で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例9で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例10で得られたエッチング処理後の第2の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例10で得られたエッチング処理後の第2の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例10で得られたエッチング処理後の第2の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例11で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例11で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例11で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例12で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例12で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例12で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例13で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例13で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例13で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例14で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例14で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例15で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例15で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例16で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例16で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例17で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例17で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例18で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例18で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例19で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例19で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 比較例9で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 比較例9で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 比較例10で得られたエッチング処理後の第1の母型の表面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 比較例10で得られたエッチング処理後の第1の母型の断面の走査型プローブ顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した断面の凹凸解析画像を示す写真である。 実施例2及び比較例6で得られた有機EL素子における電流効率と輝度との関係を示すグラフである。 実施例2及び比較例6で得られた有機EL素子における電力効率と輝度との関係を示すグラフである。 実施例2及び比較例6で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示すグラフである。 比較例7及び比較例8で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例23で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例23で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例23で得られた回折格子の表面の凹凸の深さ分布のグラフを示す写真である。 実施例23で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる透明電極と金属電極との間の距離の関係を示す画像を示す写真である。 実施例23で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められるリーク電流懸念領域の画像を示す写真である。 実施例23で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる最短距離の分布を示すグラフである。 実施例28で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例28で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例28で得られた回折格子の表面の凹凸の深さ分布のグラフを示す写真である。 実施例28で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる透明電極と金属電極との間の距離の関係を示す画像を示す写真である。 実施例28で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められるリーク電流懸念領域の画像を示す写真である。 実施例28で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる最短距離の分布を示すグラフである。 実施例33で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例33で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例33で得られた回折格子の表面の凹凸の深さ分布のグラフを示す写真である。 実施例33で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる透明電極と金属電極との間の距離の関係を示す画像を示す写真である。 実施例33で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められるリーク電流懸念領域の画像を示す写真である。 実施例33で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる最短距離の分布を示すグラフである。 実施例34で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例34で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例34で得られた回折格子の表面の凹凸の深さ分布のグラフを示す写真である。 実施例34で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる透明電極と金属電極との間の距離の関係を示す画像を示す写真である。 実施例34で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められるリーク電流懸念領域の画像を示す写真である。 実施例34で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる最短距離の分布を示すグラフである。 実施例35で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果をディスプレイ上に表示した凹凸解析画像を示す写真である。 実施例35で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による凹凸解析画像を2次元高速フーリエ変換処理の結果をディスプレイ上に表示したフーリエ変換像を示す写真である。 実施例35で得られた回折格子の表面の凹凸の深さ分布のグラフを示す写真である。 実施例35で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる透明電極と金属電極との間の距離の関係を示す画像を示す写真である。 実施例35で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められるリーク電流懸念領域の画像を示す写真である。 実施例35で得られた回折格子の表面の原子間力顕微鏡による解析結果から求められる最短距離の分布を示すグラフである。 実施例20〜35で得られた回折格子の硬化樹脂層の凹凸の深さ分布の平均値(m)と中央値(M)の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(回折格子)
先ず、本発明の回折格子について説明する。本発明の回折格子は、透明支持基板、及び、前記透明支持基板上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層を備える回折格子であって、
前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在すること特徴とするものである。
図1は、本発明の回折格子の好適な一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す回折格子は、透明支持基板1、及び透明支持基板1上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層2を備えるものである。
透明支持基板1としては、例えば、ガラス等の透明無機材料からなる基材;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)等の樹脂からなる基材;これらの樹脂からなる基材の表面にSiN、SiO、SiC、SiO、TiO、Al等の無機物からなるガスバリア層を形成してなる積層基材;これらの樹脂からなる基材及びこれらの無機物からなるガスバリア層を交互に積層してなる積層基材が挙げられる。また、透明支持基板1の厚みは、1〜500μmの範囲であることが好ましい。
硬化樹脂層2を形成するための硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型液晶樹脂が挙げられる。また、硬化樹脂層2の厚みは0.5〜500μmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、硬化樹脂層の表面に形成される凹凸の高さが不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化時に生じる樹脂の体積変化の影響が大きくなり凹凸形状が良好に形成できなくなる傾向にある。
本発明の回折格子においては、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状若しくは円環状の模様を示しており、且つ、前記円状若しくは円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが必要である。前記フーリエ変換像が上記の条件を示すように、前記硬化樹脂層の表面に凹凸の形状を形成することにより、波長依存性及び指向性が十分に少ない回折格子が得られるようになる。
また、このようなフーリエ変換像の模様としては、波長依存性及び指向性の点でより高度な効果が得られるという観点から、円環状であることがより好ましい。また、同様に波長依存性及び指向性の点でより高度な効果が得られるという観点から、前記フーリエ変換像の円状若しくは円環状の模様は、波数の絶対値が1.25〜10μm−1(更に好ましくは1.25〜5μm−1)の範囲内となる領域内に存在することが好ましい。このような本発明の回折格子は、有機EL素子の光取り出し口側の光学素子として利用できるだけでなく、例えば、太陽電池の光電変換面側に設置することにより太陽電池内部への光閉じ込め効果を付与するための光学素子としても利用することができる。
また、ここにいう「フーリエ変換像の円状や円環状の模様」は、フーリエ変換像において輝点が集合することにより観測される模様である。そのため、ここにいう「円状」とは、輝点が集合した模様がほぼ円形の形状に見えることを意味し、外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む概念であり、また、「円環状」とは、輝点が集合した模様がほぼ円還状に見えることを意味し、環の外側の円や内側の円の形状がほぼ円形の形状に見えるものも含み且つかかる環の外側の円や内側の円の外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む概念である。また、「円状又は円環状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下(より好ましくは1.25〜10μm−1、更に好ましくは1.25〜5μm−1)の範囲内となる領域内に存在する」とは、フーリエ変換像を構成する輝点のうちの30%以上(より好ましくは50%以上、更により好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上)の輝点が波数の絶対値が10μm−1以下(よりこのましは1.25〜10μm−1、更に好ましくは1.25〜5μm−1)の範囲内となる領域内に存在することをいう。このような硬化樹脂層の表面の凹凸の形状は、後述する本発明にかかる母型を利用する方法を採用することで効率よく形成することが可能である。
前記フーリエ変換像は、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して凹凸解析画像を得た後に、前記凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られる。
前記凹凸解析画像は、原子間力顕微鏡を用いて下記解析条件:
測定方式:カンチレバー断続的接触方式
カンチレバーの材質:シリコン
カンチレバーのレバー幅:40μm
カンチレバーのチップ先端の直径:10nm
により解析して得ることができる。
前記原子間力顕微鏡としては、適宜市販されているものを使用することができ、例えば、SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」を使用することができる。また、前記原子間力顕微鏡の測定方式としては、カンチレバー断続的接触方式を採用することが好ましいが、SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡の用いる場合には、ダイナミックフォースモード(DMFモード)を使用することができる。さらに、カンチレバーとしては、材質がシリコンであり、レバー幅が40μmであり且つチップ先端の直径が10nmのものを使用することが好ましく、例えば、SI−DF40を使用することができる。また、前記原子間力顕微鏡を用いて解析する場合には、大気中において温度を25℃として前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を観察することが好ましい。
前記凹凸解析画像の2次元高速フーリエ変換処理は、2次元高速フーリエ変換処理ソフトウエアを備えたコンピュータを用いた電子的な画像処理によって容易に行うことができる。このような2次元高速フーリエ変換処理においては、前記凹凸解析画像に1次傾き補正を含むフラット処理を施すことが好ましい。なお、このような2次元高速フーリエ変換処理を施す前記凹凸解析画像には、表示範囲が3μm角(縦3μm、横3μm)の凹凸解析画像を用いることができる。
また、本発明の回折格子においては、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の平均高さが5〜200nmの範囲であることが好ましく、20〜200nmの範囲であることがより好ましく、50〜150nmの範囲であることが更に好ましい。このような凹凸の平均高さが前記下限未満では、可視光の波長に対し高さが低すぎるため必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られた回折格子を有機EL素子の光取り出し口側の光学素子として利用した場合に、EL層内部の電界分布が不均一となり特定の箇所に電界が集中することによる発熱によって素子の破壊や寿命が短くなる傾向にあるばかりか、ナノインプリントによる凹凸の形状の複製が困難となる傾向にある。なお、凹凸の平均高さとは、硬化樹脂層の表面における凹凸の高さ(凹部及び凸部との深さ方向の距離)を測定した場合において、凹凸の高さの平均値のことをいう。また、このような凹凸の高さの平均値は、表面の凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」等)を用いて、任意の測定領域(好ましくは任意の3μm角の測定領域)において凹凸解析画像を測定した後に、かかる凹凸解析画像中における、任意の凹部及び凸部との深さ方向の距離を100点以上測定し、その平均を求めて算出される値を採用する。更に、このような凹凸の高さ(深さ)は、後述する本発明にかかる母型を利用することで容易に形成させることが可能となる。
このような硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の平均ピッチは100〜600nmの範囲であることが好ましく、200〜600nmの範囲であることがより好ましい。凹凸の平均ピッチが前記下限未満では、可視光の波長に対しピッチが小さくなりすぎるため必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、回折角が小さくなって回折格子としての機能が失われる傾向にある。なお、凹凸の平均ピッチとは、硬化樹脂層の表面における凹凸のピッチ(隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔)を測定した場合において、凹凸のピッチの平均値のことをいう。また、このような凹凸のピッチの平均値は、前述の解析条件で走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」等)を用いて表面の凹凸を解析して凹凸解析画像を測定した後、かかる凹凸解析画像中における、任意の隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔を100点以上測定し、その平均を求めることにより算出できる値を採用する。更に、このような凹凸のピッチは、後述する本発明にかかる母型を利用することで容易に達成することが可能となる。
また、硬化樹脂層2は、その表面に形成されている凹凸の深さ分布の平均値及び中央値が、下記不等式(1):
0.95×Y≦M≦1.05×Y (1)
[式(1)中、Yは式:Y=1.062m−2.2533(式中、mは凹凸の深さ分布の平均値を示す。)を計算して求められる値を示し、Mは凹凸の深さ分布の中央値を示す。]
で表される条件を満たすことが好ましい。このような中央値(M)及び平均値(m)が前記条件を満たす場合には、有機EL素子等に用いた場合にリーク電流の発生を十分に抑制することが可能となる。そのため、このような中央値(M)及び平均値(m)が前記条件を満たす硬化樹脂層2を備える回折格子は、有機EL素子により好適に利用できる。
このような深さ分布の中央値(M)及び深さ分布の平均値(m)の測定方法としては、以下のような方法を採用する。すなわち、先ず、硬化樹脂層2の表面の凹凸の形状を、走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」等)を用いて凹凸解析画像を測定する。このような凹凸を解析する際には、前述の解析条件で任意の3μm角(縦3μm、横3μm)の測定領域を測定して凹凸解析画像を求める。その際に測定領域内の16384点(縦128点×横128点)以上の測定点における凹凸高さのデータをナノメートルスケールでそれぞれ求める。なお、このような測定点の数は、用いる測定装置の種類や設定によっても異なるものではあるが、例えば、測定装置として上述のエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」を用いた場合には、3μm角の測定領域内において65536点(縦256点×横256点)の測定(256×256ピクセルの解像度での測定)を行うことができる。そして、このようにして測定される凹凸高さ(単位:nm)に関して、先ず、全測定点のうち、透明支持基板1の表面からの高さが最も高い測定点Pを求める。そして、かかる測定点Pを含み且つ透明支持基板1の表面と平行な面を基準面(水平面)として、その基準面からの深さの値(測定点Pにおける透明支持基板1からの高さの値から各測定点における透明支持基板1からの高さを差し引いた差分)を凹凸深さのデータとして求める。なお、このような凹凸深さデータは、測定装置(例えばエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」)によっては測定装置中のソフト等により自動的に計算して求めることが可能でき、このような自動的に計算して求められた値を凹凸深さのデータとして利用できる。このようにして、各測定点における凹凸深さのデータを求めた後、凹凸の深さ分布の平均値(m)は、下記式(I):
[式(I)中、Nは測定点の総数(総ピクセル数)を示し、iは1〜Nまでの整数のうちのいずれかを示し、xはi番目の測定点の凹凸深さのデータを示し、mは凹凸の深さ分布の平均値を示す。]
を計算することにより求めることができる。また、凹凸の深さ分布の中央値(M)は、1〜N番目までの全測定点における凹凸深さのデータxを昇順に並べ替えて、これをx(i)と表した場合(この場合、高さの順はx(1)<x(2)<x(3)<・・・<x(N)である。)において、Nが奇数であるか或いは偶数であるかに応じて、下記式(II):
[式(II)中、Nは測定点の総数(総ピクセル数)を示し、Mは凹凸の深さ分布の中央値を示す。]
中のいずれかの式を計算することにより求めることができる。
また、このような硬化樹脂層2は、前記深さ分布の平均値(m)が15〜200nmであるものが好ましく、20〜100nmであるものが好ましい。このような深さ分布の平均値(m)が15nm未満では、凹凸深さが浅いために十分な回折効果が得られず、発光効率を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、200nmより大きい場合には、凹凸のアスペクト比が大きくなるため、有機EL素子に用いた場合に、電極にクラックが発生し易くなるばかりか、使用時にリーク電流が発生し易くなり、発光効率が低下する場合や全く発光しない場合が生じたり、かかる有機EL素子の寿命が短くなってしまう傾向にある。
また、本発明の回折格子においては、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の尖度が−1.2以上であることが好ましく、−1.2〜1.2であることがより好ましく、−1.2〜1であることが更に好ましく、−1.1〜0.0であることが特に好ましい。このような尖度が前記下限未満では、有機EL素子に利用した場合にリーク電流の発生を十分に抑制することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化樹脂層2の断面形状にほとんど凹凸がなくなって、まばらに突起若しくは窪みがある状態になるため、凹凸構造の特長である光取り出し効率を十分に向上することができない(回折効果を十分に得ることができない)ばかりか、その突起の部分に電界が集中し易くなり、リーク電流が発生してしまう傾向にある。
このような尖度の測定方法としては、以下のような方法を採用する。すなわち、先ず、上述の深さ分布の中央値(M)及び深さ分布の平均値(m)の測定方法と同様にして3μm角の測定領域内の16384点(縦128点×横128点)以上(測定装置として例えばエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」を用いた場合には65536点)の測定点において凹凸深さのデータを求める。その後、各測定点の凹凸深さのデータに基づいて凹凸の深さ分布の平均値(m)と凹凸の深さ分布の標準偏差(σ)を計算する。なお、平均値(m)は、上述のように、上記式(I)を計算して求めることができる。一方、深さ分布の標準偏差(σ)は、下記式(III):
[式(III)中、Nは測定点の総数(総ピクセル数)を示し、xはi番目の測定点の凹凸深さのデータを示し、mは凹凸の深さ分布の平均値を示す。]
を計算して求めることができる。次いで、このようにして求められた平均値(m)及び標準偏差(σ)の値に基づいて、尖度(k)は、下記式(IV):
[式(IV)中、Nは測定点の総数(総ピクセル数)を示し、xはi番目の測定点の凹凸深さのデータを示し、mは凹凸の深さ分布の平均値を示し、σは標準偏差の値を示す。]
を計算することにより求めることができる。
なお、硬化樹脂層2において、深さ分布の平均値(m)と中央値(M)が上記不等式(1)で表される条件を満たす場合や、尖度(k)が−1.2以上であるという条件を満たす場合において、リーク電流の発生を十分に高度な水準で抑制することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、凹凸構造において、深さ分布の平均値(m)と中央値(M)が上記不等式(1)で表される条件を満たす場合や、尖度(k)が−1.2以上である場合は、その波形の凹凸の高さやピッチ、表面形状が規則的・不規則的にかかわらず、その構造の断面形状に極端な尖点がないため、これを有機EL素子の製造に用いて、その凹凸の表面に有機層を蒸着させる場合に、有機層の一部の厚みが極端に薄くなることを十分に防止でき、有機層を十分に均一な膜厚で積層できる。その結果、電極間距離を十分に均一なものとすることができ、電界が集中することを十分に抑制できる。また、上記不等式(1)で表される条件又は尖度(k)が−1.2以上であるという条件を満たす場合、有機EL素子において、凹凸構造の波形の傾斜部における電位分布の勾配が緩やかになる。そのため、上記不等式(1)で表される条件又は尖度(k)が−1.2以上であるという条件を満たす硬化樹脂層を備える回折格子を有機EL素子に用いた場合には、リーク電流の発生をより十分に抑制することができるものと本発明者らは推察する。また、このように、リーク電流の発生をより十分に抑制できることから、発光効率が十分に向上するとともに、有機EL素子の長寿命化を図ることも可能となるものと本発明者らは推察する。また、このような条件を満たす硬化樹脂層2を備える回折格子は、後述の本発明の回折格子の製造方法を利用することで、効率よく形成することが可能である。
なお、上記本発明の回折格子は、例えば、以下において説明する本発明の回折格子の製造方法を好適に採用して製造することが可能である。
(回折格子の製造方法)
本発明の回折格子の製造方法は、透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子の製造方法であって、
前記母型が、下記母型製造方法(A)及び(B):
[母型製造方法(A)]
第1のホモポリマーからなる第1のポリマーセグメントと、前記第1のホモポリマーの溶解度パラメーターよりも0.1〜10(cal/cm1/2高い溶解度パラメーターを有する第2のホモポリマーからなる第2のポリマーセグメントとを有しており、且つ、下記条件(i)〜(iii):
(i)数平均分子量が500000以上であること、
(ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であること、
(iii)前記第1のポリマーセグメントと前記第2のポリマーセグメントとの体積比(第1のポリマーセグメント:第2のポリマーセグメント)が3:7〜7:3であること、
を全て満たすブロック共重合体、及び溶媒を含有するブロック共重合体溶液を基材上に塗布する工程と、
前記基材上の塗膜を乾燥させて、前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより、表面に凹凸が形成された第1の母型を得る工程と、
を含む方法;
[母型製造方法(B)]
70℃以上の温度条件下において、熱により体積が変化するポリマーからなるポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した後、前記ポリマー膜及び前記蒸着膜を冷却することにより、前記蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成する工程と、
前記蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた後に、硬化後の母型材料を前記蒸着膜から取り外して母型を得る工程と、
を含む方法;
のうちのいずれかの方法により得られたものである、
方法である。
図2〜4は、本発明の回折格子の製造方法の好適な一実施形態を説明するための模式図である。そして、図2は、透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布した状態を模式的に示す断面図であり、図3は、母型を押し付けつつ硬化性樹脂を硬化させた状態を模式的に示す断面図であり、図4は、母型を取り外して硬化樹脂層の表面に凹凸が形成させた状態を模式的に示す断面図である。
本発明の回折格子の製造方法においては、先ず、図2に示すように、透明支持基板1上に硬化性樹脂2’を塗布し、その後、図3に示すように、母型21を押し付けつつ硬化性樹脂2’を硬化させる。このような透明支持基板1は、前記本発明の回折格子において説明したものと同様のものである。このような硬化性樹脂2’としては、前記本発明の回折格子における硬化樹脂層2を形成するための硬化性樹脂として説明したものと同様のものを用いることができる。また、硬化性樹脂2’の塗工厚みは、硬化樹脂層2の厚みが0.5〜500μmとなる範囲であることが好ましい。硬化性樹脂2’の塗工厚みが前記下限未満では、硬化樹脂層の表面に形成される凹凸の高さが不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化時に生じる樹脂の体積変化の影響が大きくなり、凹凸形状が良好に形成できなくなる傾向にある。また、硬化性樹脂2’を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法,カーテンコート法、インクジェット法、スパッター法等の各種コート方法を採用することができる。さらに、硬化性樹脂2’を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜5J/cmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の回折格子の製造方法においては、次いで、図4に示すように、硬化後の硬化樹脂層2から母型21を取り外す。このように硬化後の硬化樹脂層2から母型21を取り外す方法としては、特に限定されず、適宜公知の方法を採用することができる。このようにして、透明支持基板1上に凹凸が形成された硬化樹脂層2を積層することができる(図4参照)。そして、このような工程により得られる回折格子は、上記本発明の回折格子と同様のものとなる。すなわち、このような工程により、上記本発明の回折格子において説明した、特定の凹凸構造を有する硬化樹脂層2を、透明支持基板1上に積層することが可能となる。
次に、母型製造方法(A)及び(B)を分けて説明する。
[母型製造方法(A)]
母型製造方法(A)は、前記ブロック共重合体、及び溶媒を含有するブロック共重合体溶液を基材上に塗布する工程(ブロック共重合体溶液塗布工程)と、
前記基材上の塗膜を乾燥させて、前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより、表面に凹凸が形成された第1の母型を得る工程(第1の母型形成工程)と、
を含む方法である。
図5〜6は、本発明の回折格子の製造方法における母型製造方法(A)の好適な一実施形態を説明するための模式図である。そして、図5は、母型製造方法(A)においてブロック共重合体溶液を基材上に塗布した状態を模式的に示す断面図であり、図6は、ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより塗膜の表面に凹凸を形成した状態を模式的に示す断面図である。
ブロック共重合体溶液塗布工程においては、図5に示すように、ブロック共重合体溶液を基材22上に塗布する。
基材22としては特に制限はないが、例えば、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリシクロオレフィン等の樹脂基板;ガラス、シリコン基板等の無機基板;アルミニウム、鉄、銅等の金属基板が挙げられる。また、基材22は配向処理等の表面処理を施したものであってもよい。
本発明に用いるブロック共重合体は、第1のホモポリマーからなる第1のポリマーセグメントと、前記第1のホモポリマーの溶解度パラメーターよりも0.1〜10(cal/cm1/2高い溶解度パラメーターを有する第2のホモポリマーからなる第2のポリマーセグメントとを有するものである。第1及び第2のホモポリマー溶解度パラメーターの差が0.1(cal/cm1/2未満では、ブロック共重合体の規則的なミクロ相分離構造を形成することができず、他方、前記差が10(cal/cm1/2を超える場合はブロック共重合体を均一な溶液を調製することが難しくブロック共重合体の規則的なミクロ相分離構造を形成が困難である。
前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーとして用いることができるホモポリマーの原料となるモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、オクチルスチレン、メトキシスチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ジメチルシロキサン、乳酸、ビニルピリジン、ヒドロキシスチレン、スチレンスルホネート、イソプレン、ブタジエン、εカプロラクトン、イソプロピルアクリルアミド、塩化ビニル、エチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレン、ビニルアルコールが挙げられる。これらの中でも、相分離形成が生じやすいことと、エッチングで凹凸を形成しやすいという観点から、スチレン、メチルメタクリレート、エチレンオキシド、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、乳酸を用いることが好ましい。
また、前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せとしては、スチレン系ポリマー(より好ましくはポリスチレン)、ポリアルキルメタクリレート(より好ましくはポリメチルメタクリレート)、ポリエチレンオキシド、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、及びポリ乳酸からなる群から選択される2種の組合せを挙げることができる。これらの組合せの中でも、エッチング処理により一方のホモポリマーを優先的に除去することにより、ブロック共重合体に形成される凹凸の深さを更に深くすることができるという観点から、スチレン系ポリマー及びポリアルキルメタクリレートの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリエチレンオキシドの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリイソプレンの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリブタジエンの組合せがより好ましく、スチレン系ポリマー及びポリメチルメタクリレートの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリイソプレンの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリブタジエンの組合せが特に好ましい。
前記ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は500000以上であることが必要であり、1000000以上であることがより好ましく、1000000〜5000000であることが特に好ましい。数平均分子量が500000未満では、ブロック共重合体のミクロ相分離構造により形成される凹凸の平均ピッチが小さくなり、得られる回折格子の凹凸の平均ピッチが不十分となる。
前記ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は1.5以下であることが必要であり、1.0〜1.35であることがより好ましい。このような分子量分布が1.5を超えると、ブロック共重合体の規則的なミクロ相分離構造を形成することができない。
なお、前記ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
前記ブロック共重合体においては、前記第1のポリマーセグメントと前記第2のポリマーセグメントとの体積比(第1のポリマーセグメント:第2のポリマーセグメント)が3:7〜7:3であることが必要であり、4:6〜6:4であることがより好ましい。体積比が前記範囲外である場合には、ラメラ構造に起因する凹凸パターンを形成することが困難となる。
本発明に用いるブロック共重合体溶液は、前記ブロック共重合体及び溶媒を含有するものである。前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;ブトキシエチルエーテル、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノール等のエーテルアルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;フェノール、クロロフェノール等のフェノール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;2硫化炭素等の含ヘテロ元素化合物;これらの混合溶媒が挙げられる。前記ブロック共重合体溶液における前記ブロック共重合体の含有率は、ブロック共重合体溶液100質量%に対して、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましい。
また、前記ブロック共重合体溶液は、他のホモポリマー(その溶液中に含まれるブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマー以外のホモポリマー:例えば、ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せがポリスチレン及びポリメチルメタクリレートの組合せである場合には、ポリスチレンとポリメチルメタクリレート以外の種類のホモポリマーであればよい。)、界面活性剤、イオン性化合物、消泡剤、レベリング剤等を更に含有していてもよい。前記ブロック共重合体溶液が更に他のホモポリマーを含有することにより、ブロック共重合体のミクロ相分離により形成される凹凸がより深くなる傾向にある。
また、このような他のホモポリマーとしては、その効果(凹凸がより深くなる効果)がより高度なものとなることから、ポリアルキレンオキシドを用いることが好ましい。更に、このようなポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドがより好ましく、ポリエチレンオキシドが特に好ましい。また、このようなポリエチレンオキシドとしては、下記式:
HO−(CH−CH−O)−H
[式中、nは10〜5000の整数(より好ましくは50〜1000の整数、更に好ましくは50〜500の整数)を示す。]
で表されるものが好ましい。このようなnの値が前記下限未満では、分子量が低すぎて、高温での熱処理で揮発・蒸発などにより失われ、効果が消失する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、分子量が高すぎて分子運動性が低いため、相分離の速度が遅くなりミクロ相分離構造の形成が不十分となる傾向にある。
また、このような他のホモポリマーの数平均分子量(Mn)は460〜220000であることが好ましく、2200〜46000であることがより好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では、分子量が低すぎて、高温での熱処理で揮発・蒸発などにより失われ、効果が消失する傾向にあり、他方、前記上限を超えると分子量が高すぎて分子運動性が低いため、相分離の速度が遅くなりミクロ相分離形成が不十分となる傾向にある。
このような他のホモポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は1.5以下であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。分子量分布が前記上限を超えるとミクロ相分離の形状の均一性が保持できなくなる傾向にある。なお、このような数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
また、本発明において他のホモポリマーを用いる場合、前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せがポリスチレン及びポリメチルメタクリレートの組合せ(ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート)であり、且つ前記他のホモポリマーがポリアルキレンオキシドであることが好ましい。このように、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートのブロック共重合体とポリアルキレンオキシドとを組み合わせて用いることにより、垂直方向の配向性が更に向上して、表面の凹凸の深さを更に深くすることが可能となるとともに、製造時の熱処理時間を短縮することも可能となる傾向にある。
前記他のホモポリマーを用いる場合には、その含有量は、前記ブロック共重合体100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、5質量部〜100質量部であることがより好ましい。このような他のホモポリマーの含有量が前記下限未満では他のホモポリマーを含有させることにより得られる効果が十分に得られなくなる傾向にある。
また、前記界面活性剤を用いる場合には、その含有量は、前記ブロック共重合体100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。さらに、前記イオン性化合物を用いる場合には、その含有量は、前記ブロック共重合体100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。
また、前記ブロック共重合体溶液中に前記他のホモポリマーを含有させる場合、前記ブロック共重合体と前記他のホモポリマーとの総量の含有率は、ブロック共重合体溶液中に、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましい。このような総量の含有率が前記下限未満では必要な膜厚を得るために前記溶液を十分なwet膜厚で均一に塗布することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶媒に均一に溶けた溶液を調製することが困難となる傾向にある。
前記ブロック共重合体溶液を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法,カーテンコート法、インクジェット法を採用することができる。
前記ブロック共重合体の塗膜23’の厚みとしては、乾燥後の塗膜23の厚みが、10〜3000nmとなる範囲であることが好ましく、50〜500nmとなる範囲であることがより好ましい。また、乾燥後の塗膜23の厚みはブロック共重合体のラメラ周期の整数倍に近いことが好ましい。
第1の母型形成工程においては、図6に示すように、基材22上の塗膜23’を乾燥させて、前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより、乾燥後の塗膜23の表面に凹凸を形成させる。塗膜23’を乾燥させる際の温度は塗膜23’から溶媒を除去できる温度であれば特に制限はないが、例えば、30〜200℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。このようにして、基材22及び乾燥後の塗膜23を備えており、表面に凹凸が形成された第1の母型24を得ることができる。
前記第1の母型を得る工程においては、乾燥後の塗膜23を前記ブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)より高い温度で加熱することが好ましい。このような加熱温度が上記下限未満になると分子運動性が低いためにミクロ相分離構造を形成するまでの時間が長時間に及ぶ傾向にある。また、この加熱温度の上限は前記ブロック共重合体が熱分解しない温度であればよく特に制限はない。
なお、このような乾燥後の塗膜23に対しては、ミクロ相分離構造により形成される凹凸の規則性を更に向上させるために、前述の乾燥後の塗膜23をガラス転移温度(Tg)より高い温度で加熱する工程の代わりに、例えば、特定の有機溶媒(例えばクロロホルム)の飽和蒸気圧下において3〜240時間程度静置して乾燥後の塗膜23に対して有機溶媒による処理を施して凹凸の規則性を向上させる工程、電場を利用して凹凸の規則性を向上させる工程、剪断力を利用して凹凸の規則性を向上させる工程、超臨界流体を利用して凹凸の規則性を向上させる工程等を適宜実施してもよい。なお、このような工程は、ブロック共重合体の種類、溶媒の種類、他のホモポリマーの種類等に応じて適宜好適な工程を選択すればよく、例えば、前記ブロック共重合体溶液としてポリスチレン−ポリメチルメタクリレートのブロック共重合体とポリアルキレンオキシド(他のポリマー)とを組み合わせたものを利用した場合には、特に、乾燥後の塗膜23を前記ブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)より高い温度で加熱する工程を採用することが好ましい。
前記第1の母型を得る工程において、乾燥後の塗膜23にエッチング処理を施すことが好ましい。前記エッチング処理により、ブロック共重合体のミクロ相分離により形成される凹凸がより深くなる傾向にある。前記エッチング処理としては、例えば、反応性イオンエッチング法、オゾン酸化法、加水分解法、金属イオン染色法、紫外線エッチング法等を用いたエッチング法を採用することができる。また、前記エッチング処理として、前記ブロック共重合体の共有結合を酸、塩基及び還元剤からなる群から選択される少なくとも1種で処理して前記共有結合を切断し、その後、一方のポリマーセグメントだけを溶解する溶媒等でミクロ相分離構造が形成された塗膜を洗浄することにより、ミクロ相分離構造を保ったまま、一方のポリマーセグメントのみを除去する方法を採用してもよい。
このように、第1の母型は、その表面にミクロ相分離構造による凹凸が形成されたものとなる。このような第1の母型の表面に形成されている凹凸の平均ピッチとしては、100〜600nmの範囲であることが好ましく、200〜600nmの範囲であることがより好ましい。凹凸の平均ピッチが前記下限未満では、可視光の波長に対してピッチが小さくなりすぎるため、かかる母型を用いて得られる回折格子において必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、かかる母型を用いて得られる回折格子の回折角が小さくなり、回折格子としての機能が失われてしまう傾向にある。なお、凹凸の平均ピッチとは、硬化樹脂層の表面における凹凸のピッチ(隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔)を測定した場合において、凹凸のピッチの平均値のことをいう。また、このような凹凸のピッチの平均値は、表面の凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」等)を用いて凹凸解析画像を測定した後に、かかる凹凸解析画像中における、任意の隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔を100点以上測定し、その平均を求めて算出される値を採用する。
また、このような第1の母型においては、表面に形成されている凹凸の平均高さは5〜200nmの範囲であることが好ましく、20〜200nmの範囲であることがより好ましく、50〜150nmの範囲であることが更に好ましい。凹凸の平均高さが前記下限未満では、可視光の波長に対し高さが低すぎるため必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られた回折格子を有機EL素子の光取り出し口側の光学素子として利用した場合に、EL層内部の電界分布が不均一となり特定の箇所に電界が集中することによる発熱によって素子が破壊されやすくなり、また寿命が短くなる傾向にある。なお、凹凸の平均高さとは、硬化樹脂層の表面における凹凸の高さ(凹部及び凸部との深さ方向の距離)を測定した場合において、凹凸の高さの平均値のことをいう。また、このような凹凸の高さの平均値は、表面の凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の製品名「E−sweep」等)を用いて凹凸解析画像を測定した後に、かかる凹凸解析画像中における、任意の凹部及び凸部との深さ方向の距離を100点以上測定し、その平均を求めて算出される値を採用する。
また、第1の母型においては、表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して凹凸解析画像を得た後に、その凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施して得られるフーリエ変換像が円状、若しくは、円環状の模様を示すものであることが好ましい。すなわち、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状、若しくは、円環状の模様を示しており、且つ、前記円状、若しくは、円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが好ましく、1.25〜10μm−1の範囲内となる領域内に存在することが特に好ましく、1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することがさらに好ましい。また、円状、若しくは、円環状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在するとは、フーリエ変換像を構成する輝点のうちの30%以上(より好ましくは50%以上、更により好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上)の輝点が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することをいう。
本発明の回折格子の製造方法においては、第1の母型24上に転写材料25’を付着させ硬化させた後、前記第1の母型から取り外すことにより、表面に凹凸が形成された第2の母型を得る工程(第2の母型形成工程)を更に含むことが好ましい。
図7は、本発明にかかる母型の製造方法において転写材料を第1の母型上に付着させた状態を模式的に示す断面図であり、図8は、硬化後の第2の母型を第1の母型から取り外した状態を模式的に示す断面図である。
第2の母型形成工程においては、先ず、図7に示すように、第1の母型24上に転写材料25’を付着させ硬化させる。このような転写材料25’としては、特に限定されず、例えば、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ等の無機物;シリコーン系ポリマー(シリコーンゴム)、ウレタンゴム、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂、液晶ポリマー、エポキシ樹脂等の樹脂組成物が挙げられる。これらの転写材料の中でも、成形性、微細形状の追従性、型離れという観点から、シリコーン系ポリマー、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ、アクリル樹脂がより好ましく、シリコーン系ポリマー、アクリル樹脂が更により好ましく、ポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン系ポリマー、フッ素系アクリル樹脂であることが特に好ましい。また、転写材料の型離れをよくするために、母型24に薄くPt、Al、Au、Ni等の金属を蒸着してもよく、或いは、フッ素系の離型剤による処理又はその他の表面処理を薄く施してもよい。また、このように転写材料25’を付着させる方法としては、特に限定されず、例えば、真空蒸着法;スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッター法等の各種コート方法を採用することができる。また、転写材料25’を硬化させる条件としては、使用する転写材料の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲であることが好ましい。
第2の母型形成工程においては、その後、図8に示すように、硬化後の転写材料25を第1の母型24から取り外して第2の母型25を得る。このように第2の母型25を第1の母型24から取り外す方法としては、特に限定されず、適宜公知の方法を採用することができる。また、以上説明したように、第1の母型24から第2の母型25を直接製造してもよいが、第1の母型24から1以上の中間的な母型を介して第2の母型25を製造してもよい。このような中間的な母型は、第2の母型形成工程と同様の工程により形成することができ、例えば、凹凸構造を反転させるために中間的な母型を介して第2の母型25を製造してもよい。中間的な母型を製造するための転写材料としては、転写材料25’と同様のものを用いることができる。このように、母型から1以上の中間的な母型を介して、凹凸の反転や転写を繰り返すことにより最終的な母型を製造してもよい。
また、母型又は中間的な母型としては、第1の母型、第2の母型、又は、第2の母型を製造する際に用いる中間的な母型に対して、蒸着法(例えばArスパッタ法)により蒸着膜を積層したものを用いてもよい。このように蒸着膜を積層することにより、その表面に樹脂を塗布する等して転写等を行う際に、その樹脂(例えばUV硬化樹脂)との密着性を低下させることができ、母型を剥がし易くなる傾向にある。また、このような蒸着膜の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、金、銀、白金、ニッケル等の金属、酸化アルミニウム等の金属酸化物が挙げられる。また、このような蒸着膜の厚みとしては5〜500nmであることが好ましい。このような厚みが前記下限未満では均一な膜が得られにくく十分な密着性の低下効果が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると母型の形状がなまってしまう傾向にある。また、母型(中間的な母型を含む)に対して、公知の方法を利用してメッキ処理を施して母型を金属金型化してもよい。また、中間的な母型がUV硬化樹脂からなる場合には、その製造時に紫外光を照射して中間的な母型を得た後、再度、紫外光を照射するなどして、適宜ポストキュアを行ってもよい。
また、第1の母型や第2の母型、更には、第2の母型を製造する際に用いる中間的な母型の表面に樹脂(硬化性樹脂2’や後述の母型材料29’、転写材料25’等)を塗布して硬化させた後、これを取り外したものを母型としてもよく、更に、得られた母型の表面に樹脂を塗布する代わりに、樹脂の塗膜に前記母型を押し付け、かかる樹脂を硬化させて得られる硬化樹脂の凹凸膜を母型としてもよい。このように、凹凸を反転させた樹脂膜も母型として利用できる。
そして、本発明においては、このようにして母型製造方法(A)を実施して得られる母型(第1の母型24や第2の母型25等)を、回折格子を形成するための母型21として用いることができる。
[母型製造方法(B)]
母型製造方法(B)は、70℃以上の温度条件下において、熱により体積が変化するポリマーからなるポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した後、前記ポリマー膜及び前記蒸着膜を冷却することにより、前記蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成する工程(凹凸形状形成工程)と、前記蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた後に、硬化後の母型材料を前記蒸着膜から取り外して母型を得る工程(母型形成工程)と、を含む方法である。
図9〜12は、本発明の回折格子の製造方法における母型の製造方法の好適な一実施形態を説明するための模式図である。そして、図9は、本発明にかかる母型の製造方法においてポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した状態を模式的に示す断面図であり、図10は、ポリマー膜及び蒸着膜を冷却することにより蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成した状態を模式的に示す断面図であり、図11は、凹凸が形成された蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた状態を模式的に示す断面図であり、図12は、硬化後の母型を蒸着膜から取り外した状態を模式的に示す断面図である。
凹凸形状形成工程においては、先ず、熱により体積が変化するポリマーからなるポリマー膜を準備する。熱により体積が変化するポリマーとしては、加熱又は冷却により体積が変化するもの(例えば、熱膨張係数が50ppm/K以上のもの)を適宜使用することができるが、ポリマーの熱膨張係数と蒸着膜の熱膨張係数との差が大きく、高い柔軟性を有しているために、蒸着膜の表面に皺による凹凸が形成しやすいという観点から、シリコーン系ポリマーがより好ましく、ポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン系ポリマーであることが特に好ましい。また、このようにポリマー膜を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法,カーテンコート法、インクジェット法、スプレーコート法、スパッター法、真空蒸着法等を採用することができる。さらに、このようなポリマー膜の厚みとしては、10〜5000μmの範囲であることが好ましく、10〜2000μmの範囲であることがより好ましい。
凹凸形状形成工程においては、次に、70℃以上の温度条件下において、ポリマー膜27の表面に蒸着膜28を形成する(図9参照)。蒸着膜28を形成する際の温度は70℃以上であることが必要であるが、90℃以上であることがより好ましい。前記温度が70℃未満では、蒸着膜の表面に皺による凹凸を十分に形成することができない。蒸着膜28を形成する方法としては、蒸着法、スパッター法等の公知の方法を適宜採用することができる。これらの方法の中でも、ポリマー膜の表面に形成されている凹凸の形状を維持するという観点から、蒸着法を採用することが好ましい。また、蒸着膜28の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、金、銀、白金、ニッケル等の金属、酸化アルミニウム等の金属酸化物が挙げられる。
凹凸形状形成工程においては、次いで、ポリマー膜27及び蒸着膜28を冷却することにより、蒸着膜28の表面に皺による凹凸を形成する(図10参照)。このように、ポリマー膜27の熱膨張係数と蒸着膜28の熱膨張係数との間には差があるため、図9に示すようなポリマー膜27及び蒸着膜28がそれぞれ熱により体積が変化して、図10に示すように、蒸着膜28の表面に皺による凹凸(いわゆるバックリングパターン、又は、いわゆるチューリングパターン)を形成することができる。また、冷却後のポリマー膜27及び蒸着膜28の温度は40℃以下であることが好ましい。冷却後のポリマー膜27及び蒸着膜28の温度が前記上限を超える場合には、蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成しにくくなる傾向にある。さらに、ポリマー膜27及び蒸着膜28を冷却する際の降温速度は1〜80℃/分の範囲内とすることが好ましい。前記降温速度が前記下限未満では、凹凸が緩和されてしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリマー膜又は蒸着膜の表面にクラック等の傷が発生しやすくなる傾向にある。
母型形成工程においては、先ず、図11に示すように、蒸着膜28上に母型材料29’を付着させ硬化させる。このような母型材料29’としては、特に限定されず、例えば、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ等の無機物;シリコーン系ポリマー(シリコーンゴム)、ウレタンゴム、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル、液晶ポリマー等の樹脂組成物が挙げられる。これらの母型材料29’の中でも、成形性、微細形状の追従性、型離れという観点から、シリコーン系ポリマー、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカがより好ましく、シリコーン系ポリマーが更により好ましく、ポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン系ポリマーであることが特に好ましい。また、このように母型材料29’を付着させる方法としては、特に限定されず、例えば、真空蒸着法;スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法,カーテンコート法、インクジェット法、スパッター法等の各種コート方法を採用することができる。また、母型材料29’を硬化させる条件としては、使用する母型材料の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲であることが好ましい。
母型形成工程においては、その後、図12に示すように、硬化後の母型材料29を蒸着膜28から取り外して母型29を得る。このように母型29を蒸着膜28から取り外す方法としては、特に限定されず、適宜公知の方法を採用することができる。
本発明の回折格子の製造方法における母型の製造方法においては、母型材料として熱により体積が変化するポリマーを用いる場合には、ポリマー膜として得られた母型29を用いて前記凹凸形状形成工程及び前記母型形成工程を繰り返してもよい。このようにして、母型の表面に形成されている皺を深くすることができ、母型の表面に形成されている凹凸の平均高さを大きくすることができる。
また、得られた母型29の表面に樹脂(母型材料29’や硬化性樹脂2’において説明したような材料)を塗布して硬化させた後、これを取り外したものを母型としてもよく、更に、得られた母型29の表面に樹脂を塗布する代わりに、樹脂の塗膜に前記母型29を押し付け、かかる樹脂を硬化させて得られる硬化樹脂の凹凸膜を母型としてもよい。このように、凹凸を反転させた樹脂膜も母型として利用できる。
さらに、母型29から1以上の中間的な母型を介して、凹凸の反転や転写を繰り返すことにより最終的な母型を製造してもよい。このような中間的な母型としては、上述のようにして適宜凹凸構造を反転又は転写させたものを利用できる。また、このように、凹凸の反転や転写を繰り返して母型を製造した場合には、母型の凹凸構造を転写する際に、樹脂膜等の剥離が困難な柔軟性のない基板(例えばガラス)を用いた場合にも凹凸構造の転写を容易にするために、一旦柔軟性のある材料(例えばプラスチックフィルムやシリコーンゴム)への転写を介することも可能となり、用いた母型と凹凸構造を合わせる(偶奇を合わせる)ことが容易になる傾向にある。また、これらの中間的な母型に熱により体積が変化するポリマーを塗布し、硬化させて得られたポリマー膜を母型29とし、更に、前記凹凸形状形成工程及び前記母型形成工程を繰り返してもよい。また、中間的な母型がUV硬化樹脂からなる場合には、その製造時に紫外光を照射して中間的な母型を得た後、再度、紫外光を照射してポストキュアを行ってもよい。このようにして、UV硬化樹脂からなる母型に再度、紫外光を照射してポストキュアを行うことにより、母型の架橋度が向上し、機械的強度や耐薬品性が向上する傾向にある。
また、母型(中間的な母型を含む)に対して、公知の方法を利用してメッキ処理を施して母型を金属金型化してもよい。このようにしてメッキ化して金属金型化することにより、機械的強度に優れ、繰り返し使用が可能な母型を得られる傾向にある。また、このようなメッキ化に利用できる材料としては、ニッケル、銅、鉄、ニッケルコバルト合金、ニッケル鉄合金等が挙げられる。なお、このようなメッキ層の厚みは、機械的な強度や金型作製に要する時間等の観点から、50μm〜1mmであることが好ましい。
そして、本発明においては、このようにして母型製造方法(B)を実施して得られる母型(母型29や、ポリマー膜として得られた母型29を用いて前記凹凸形状形成工程及び前記母型形成工程を繰り返して得られる母型等)を、前記回折格子を形成するための母型21として用いることができる。
また、本発明の回折格子の製造方法においては、上記母型製造方法(A)又は(B)を実施して得られた母型を大気圧下において80〜200℃程度の温度条件で1〜48時間程度加熱したものを、回折格子の製造に用いる母型21として用いてもよい。このようにして母型を加熱することにより、上記不等式(1)で示す条件及び前記尖度の条件を満たす硬化樹脂層2を備える回折格子をより効率よく製造し得る母型が得られる傾向にある。
(有機EL素子)
本発明の有機EL素子は、透明支持基板、前記透明支持基板上に積層され且つ表面に凹凸が形成された硬化樹脂層、並びに、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、前記硬化樹脂層上に順次積層された透明電極、有機層、及び、金属電極を備える有機EL素子であって、
前記有機EL素子中の前記透明支持基板と前記硬化樹脂層とにより形成される構成部位が、上記本発明の回折格子からなるものである。
図13に本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を模式的に示す断面図である。図13に示す有機EL素子は、透明支持基板1、及び透明支持基板1上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層2、並びに、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、硬化樹脂層2上に順次積層された透明電極3、有機層4及び金属電極5を備えるものである。
透明支持基板1及び硬化樹脂層2は、それぞれ前記本発明の回折格子において説明したものと同様のものである。このように、本発明においては、有機EL素子中の透明支持基板1及び硬化樹脂層2からなる構成部位が、上記本発明の回折格子からなる。このようにして、上記本発明の回折格子を透明支持基板1及び硬化樹脂層2からなる構成部位に用いるため、本発明の有機EL素子においては発光の波長依存性及び指向性が十分に低いものとなる。また、このように、本発明の回折格子を用いているため、光の取り出し効率を十分に高度なものとすることが可能となる。
透明電極3の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、金、白金、銀、銅が用いられる。これらの中でも、透明性と導電性の兼ね合いの観点から、ITOが好ましい。また、透明電極3の厚みは20〜500nmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、導電性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、透明性が不十分となり発光したEL光を十分に外部に取り出せなくなる傾向にある。
有機層4は、有機EL素子の有機層に用いることが可能なものであればよく、特に制限されず、公知の有機層を適宜利用することができる。また、このような有機層4は、種々の有機薄膜の積層体であってもよく、例えば、図13に示すような陽極バッファー層11、正孔輸送層12、及び電子輸送層13からなる積層体であってもよい。ここで、陽極バッファー層11の材料としては、例えば、銅フタロシアニン、PEDOT等が挙げられる。また、正孔輸送層12の材料としては、例えば、トリフェニルアミン、トリフェニルジアミン誘導体(TPD)、ベンジジン、ピラゾリン、スチリルアミン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、カルバゾール等の誘導体が挙げられる。さらに、電子輸送層13の材料としては、例えば、アルミニウムキノリノール錯体(Alq)、フェナンスロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、シロール誘導体が挙げられる。また、このような有機層4は、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、或いはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また或いはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層との積層体であってもよい。さらに、このような有機層4への電荷注入又は正孔注入を容易にするという観点から、透明電極3上或いは有機層4上に、フッ化リチウム(LiF)、Li等の金属フッ化物、Ca、Ba、Cs等の活性の高いアルカリ土類金属、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。
また、有機層4が陽極バッファー層11、正孔輸送層12、及び電子輸送層13からなる積層体である場合、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を維持するという観点から、陽極バッファー層11、正孔輸送層12、及び電子輸送層13の厚みは、それぞれ1〜50nmの範囲、5〜200nmの範囲、及び5〜200nmの範囲であることが好ましい。
金属電極5の材料としては、仕事関数の小さな物質を適宜用いることができ、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、MgAg、MgIn、AlLiが挙げられる。また、金属電極5の厚みは50〜500nmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、導電性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、凹凸形状の維持が困難となる傾向にある。
さらに、本発明の有機EL素子においては、透明電極、有機層及び金属電極がそれぞれ回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、回折格子の硬化樹脂層の表面上に積層されているため、有機EL素子を折り曲げた場合に発生する応力を形成されている凹凸の形状により緩和することができる。そのため、本発明の有機EL素子は、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル照明等のフレキシブル性が要求される有機EL素子としても好適に用いることができる。
また、本発明の有機EL素子においては、上述のように、有機EL素子の構成部位の一部が上記本発明の回折格子からなる。このような有機EL素子においては、リーク電流の発生をより十分に抑制するという観点からは、上記本発明の回折格子の中でも、硬化樹脂層2が上記不等式(1)で示す条件、及び/又は、尖度(k)が−1.2以上(より好ましくは−1.2〜1.2)であるという条件を満たす回折格子を用いることがより好ましい。このような条件を満たす硬化樹脂層2を備える回折格子を用いた場合には、有機EL素子において、図14に示すように、透明電極3、有機層4及び金属電極5が硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状をそのまま維持しているものと仮定した場合(各層がそれぞれ透明電極基板の表面に垂直な方向に均一な厚みを有する層であると仮定した場合)に、硬化樹脂層2の凹凸解析画像に基づいて求められる透明電極基板の表面に垂直な方向における透明電極3と金属電極5との間の電極間距離(標準距離:図14中においてXで表される距離)と、透明電極3と金属電極5との間の電極間距離が最も短くなる距離(最短距離:図14中においてYで表される距離)に関して、凹凸解析の際の全測定点のうち最短距離Yの大きさが標準距離Xの半分以下となる測定点の割合を0〜2%とすることが可能となる。なお、本発明者らは、このような最短距離Yの大きさが標準距離Xの半分以下となるような領域においてリーク電流が発生し易い傾向にあることを見出しており、かかる知見に基づいて、このような最短距離Yの大きさが標準距離Xの半分以下となるような領域の割合が0〜2%となるようにすることによって、リーク電流の発生を十分に抑制することが可能となることを見出している。なお、本明細書においては、このような全領域(全測定点)のうちの、最短距離Yの大きさが標準距離Xの半分以下となるような領域(測定点)の割合を「リーク電流懸念領域の存在比率」という。
このように、本発明の有機EL素子においては、リーク電流を十分に抑制するという観点から、深さ分布の中央値(M)及び平均値(m)の測定方法と同様の方法を採用して硬化樹脂層2の凹凸解析画像を測定し、透明電極3、有機層4及び金属電極5が硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状をそのまま維持しているものと仮定して、上記凹凸解析画像に基づいて電極間距離の分布を求めた場合に、電極間距離の分布から求められる凹凸解析画像の全測定点のうちの最短距離Yの大きさが標準距離Xの半分以下となる測定点の割合(リーク電流懸念領域の存在比率)が0〜2%となることが好ましい。すなわち、本発明の有機EL素子においては、前記透明電極と前記金属電極との間の電極間距離の分布から求められるリーク電流懸念領域の存在比率が0〜2%であることが好ましい。なお、このような電極間距離の分布の測定に際しては、標準距離Xは実際の設計に合わせて30〜500nmの範囲で設定(仮定)することが好ましく、例えば、有機層の透明支持基板と垂直な方向の厚みが70nmである有機EL素子においては、標準距離Xが70nmと仮定する。そして、前記凹凸解析画像(SPM像)に基づいて最短距離の分布を計算して、電極間距離の最短距離Yが標準距離Xの半分以下となる領域(リーク電流懸念領域)が、凹凸解析画像(SPM像)測定の全測定点のうちに占める割合を計算することにより、リーク電流懸念領域の存在比を求めることができる。なお、このような最短距離の計算やリーク電流懸念領域の存在比は、硬化樹脂層2の凹凸解析画像の分析結果に基づいてコンピュータにより計算して求めることができる。
また、本発明の有機EL素子においては、透明電極、有機層及び金属電極がそれぞれ硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層されているため、有機層で生じた光が各界面において全反射してしまい素子の内部において多重反射を繰り返すことを抑制することができる。また、透明支持基板と空気との界面において全反射してしまった光を、回折効果により再出射させることもできる。さらに、透明電極、有機層及び金属電極がそれぞれ硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層されることから、上述のように、透明電極と金属電極との電極間距離が部分的に短くなっている。そのため、透明電極と金属電極との電極間距離が均一なものと比較して、電圧印加時において電界強度の増加を見込むことができ、有機EL素子の発光効率を向上させることもできる。また、リーク電流懸念領域が0〜2%となるように制御した場合には、リーク電流も十分に防止することも可能となり、有機EL素子の発光効率をより向上させることも可能である。このように、本発明の有機EL素子によれば、十分な外部取り出し効率を達成することが可能となる。なお、本発明の有機EL素子は、例えば、以下説明する本発明の有機EL素子の製造方法により製造することが可能となる。
(有機EL素子の製造方法)
本発明の有機EL素子の製造方法は、透明支持基板、透明電極、有機層及び金属電極を備える有機EL素子の製造方法であって、
前記透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子形成工程と、
前記硬化樹脂層上に、前記透明電極、前記有機層及び前記金属電極を、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ積層して有機EL素子を得る工程(有機EL素子形成工程)と、
を含み、且つ、
前記回折格子形成工程が上記本発明の回折格子の製造方法である、
方法である。
このような回折格子形成工程は、上記本発明の回折格子の製造方法であり、これにより、透明支持基板1上に上述のような特性を有する凹凸が形成された硬化樹脂層2を積層する。また、回折格子形成工程が上記本発明の回折格子の製造方法であることから、本発明の有機EL素子の製造方法において回折格子形成工程に用いる母型は、前記本発明の回折格子の製造方法に用いる母型と同様のものであり、前述の母型製造方法(A)及び(B)のうちのいずれかの方法により得られたものである。
次いで、有機EL素子形成工程においては、先ず、図13に示すように、硬化樹脂層2上に透明電極3を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層する。透明電極3の材料としては、前記本発明の有機EL素子において透明電極3の材料として説明したものと同様のものを用いることができる。また、透明電極3を積層する方法としては、蒸着法、スパッター法等の公知の方法を適宜採用することができる。これらの方法の中でも、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を維持するという観点から、蒸着法を採用することが好ましい。
また、有機EL素子形成工程においては、次に、図13に示すように、透明電極3上に有機層4を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層する。このような有機層4の種類や材料としては、前記本発明の有機EL素子における有機層に関して説明したものと同様のものを用いることができる。例えば、有機層4は、図13に示すような陽極バッファー層11、正孔輸送層12、及び電子輸送層13からなる積層体としてもよい。また、有機層4を積層する方法としては、蒸着法、スパッター法等の公知の方法を適宜採用することができる。これらの方法の中でも、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を維持するという観点から、蒸着法を採用することが好ましい。
有機EL素子形成工程においては、次いで、図13に示すように、有機層4上に金属電極5を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層する。金属電極5の材料としては、前記本発明の有機EL素子において金属電極5の材料として説明したものと同様のものを用いることができる。また、金属電極5を積層する方法としては、蒸着法、スパッター法等の公知の方法を適宜採用することができる。これらの方法の中でも、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を維持するという観点から、蒸着法を採用することが好ましい。
以上説明したような本発明の有機EL素子の製造方法によれば、波長依存性及び指向性が十分に低い有機EL素子を製造することが可能となる。また、本発明の有機EL素子の製造方法により得られる有機EL素子においては、透明電極3、有機層4及び金属電極5がそれぞれ硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層されているため、有機層4で生じた光が各界面において全反射して素子の内部において多重反射を繰り返すことを十分に抑制できる。また、透明支持基板と空気との界面において全反射してしまった光を、回折効果により再出射させることもできる。さらに、透明電極3、有機層4及び金属電極5がそれぞれ硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして積層されることから、透明電極3と金属電極5との電極間距離が部分的に短くなっている。そのため、透明電極3と金属電極5との電極間距離が均一なものと比較して、電圧印加時において電界強度の増加を見込むことができ、有機EL素子の発光効率を向上させることもできる。また、明電極3と金属電極5との最短の電極間距離の分布に基づいて求められるリーク電流懸念領域が0〜2%である場合には、リーク電流も十分に防止することが可能となり、有機EL素子の発光効率をより向上させることも可能である。このように、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、十分な外部取り出し効率を達成することも可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、硬化樹脂層や母型等の表面に形成されている凹凸形状の凹凸解析画像を測定する際においては、原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて、前記凹凸形状を以下の解析条件で解析した。
〈解析条件〉
測定モード:ダイナミックフォースモード
カンチレバー:SI−DF40(材質:Si、レバー幅:40μm、チップ先端の直径:10nm)
測定雰囲気:大気中
測定温度:25℃。
また、一部の実施例及び比較例においては、ブロック共重合体等の樹脂として以下に記載のものを用いた。なお、ブロック共重合体における第1及び第2のポリマーセグメントの体積比(第1のポリマーセグメント:第2のポリマーセグメント)は、ポリスチレンの(PS)密度が1.05g/cmであり、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の密度が1.19g/cmであり、ポリイソプレン(PIP)の密度が0.913g/cmであるものとして算出した。更に、ポリマーセグメント又はポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製、型番「GPC−8020」、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000及びSuperH4000を直列に接続したもの)を用いて測定した。また、ポリマーセグメントのガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(Perkin−Elmer社製、製品名「DSC7」)を用いて、0〜200℃の温度範囲について20℃/minの昇温速度にて昇温しつつ測定した。さらに、PS、PMMA及びPIPの溶解度パラメーターはそれぞれ9.0、9.3及び8.1である(化学便覧 応用編 改定2版参照)。
〈ブロック共重合体(P−1)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=1,600,000、PMMAセグメントのMn=1,300,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=2900000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=58:42、分子量分布(Mw/Mn)=1.20、PSセグメントのTg=98℃、PMMAセグメントのTg=110℃
〈ブロック共重合体(P−2)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=868,000、PMMAセグメントのMn=857,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=1720000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=53:47、分子量分布(Mw/Mn)=1.30、PSセグメントのTg=96℃、PMMAセグメントのTg=110℃
〈ブロック共重合体(P−3)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=328,000、PMMAセグメントのMn=173,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=501000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=68:32、分子量分布(Mw/Mn)=1.09、PSセグメントのTg=97℃、PMMAセグメントのTg=108℃
〈ブロック共重合体(P−4)〉
PSとPIPとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=700,000、PIPセグメントのMn=850,000、PSとPIPとのブロック共重合体のMn=1550000、PSセグメントとPIPセグメントとの体積比(PS:PIP)=42:58、分子量分布(Mw/Mn)=1.15、PSセグメントのTg=100℃、PIPセグメントのTg=0℃以下のために測定不可(文献値では−60〜−70℃)
〈ランダム共重合体〉
PSとPMMAとのランダム共重合体、Polymer Source社製、ランダム共重合体のMn=3,500、分子量分布(Mw/Mn)=1.56、スチレンの含有量=57mol%
〈ブロック共重合体(P−5)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=650,000、PMMAセグメントのMn=572,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=1220000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=56:44、分子量分布(Mw/Mn)=1.25、PSセグメントのTg=107℃、PMMAセグメントのTg=125℃
〈ブロック共重合体(P−6)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=400,000、PMMAセグメントのMn=380,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=780000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=54:46、分子量分布(Mw/Mn)=1.35、PSセグメントのTg=108℃、PMMAセグメントのTg=125℃
〈ブロック共重合体(P−7)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=270,000、PMMAセグメントのMn=287,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=557000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=52:48、分子量分布(Mw/Mn)=1.18、PSセグメントのTg=110℃、PMMAセグメントのTg=124℃
〈比較用ブロック共重合体(CP−1)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=133,000、PMMAセグメントのMn=130,000、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=263000、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=54:46、分子量分布(Mw/Mn)=1.15、PSセグメントのTg=110℃、PMMAセグメントのTg=124℃
〈比較用ブロック共重合体(CP−2)〉
PSとPMMAとのブロック共重合体、Polymer Source社製、PSセグメントのMn=50,700、PMMAセグメントのMn=47,600、PSとPMMAとのブロック共重合体のMn=98300、PSセグメントとPMMAセグメントとの体積比(PS:PMMA)=55:45、分子量分布(Mw/Mn)=1.13、PSセグメントのTg=110℃、PMMAセグメントのTg=120℃
〈ホモポリマー(A)〉
PMMAのホモポリマー、Polymer Source社製、ホモポリマーのMn=46,000、分子量分布(Mw/Mn)=1.80
〈ホモポリマー(B)〉
ポリエチレンオキサイド(PEO)、東京化成社製の商品名「ポリエチレングリコール4000」、ホモポリマーのMw=3000、分子量分布(Mw/Mn)=1.10。
(作製例1)
先ず、基材(材質:ガラス、大きさ:20mm×12mm)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]をスピンコート法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させてシリコーン系ポリマー膜を形成した。
次に、シリコーン系ポリマー膜上に蒸着法により、温度が100℃であり、圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。シリコーン系ポリマー膜上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、アルミニウム蒸着膜上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させた後に、アルミニウム蒸着膜から取り外して母型(M−1B)を得た。
そして、表面に凹凸が形成されている母型(M−1B)上に蒸着法により、温度が100℃であり、圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−1B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、アルミニウム蒸着膜上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させた後に、アルミニウム蒸着膜から取り外して母型(M−2B)を得た。更に、表面に凹凸が形成されている母型(M−2B)上に蒸着法により、温度が100℃であり、圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−2B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、アルミニウム蒸着膜上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させた後に、アルミニウム蒸着膜から取り外して母型(M−3B)を得た。
(作製例2)
先ず、基材(材質:ガラス、大きさ:15mm×12mm)上にアゾベンゼンポリマーをスピンコート法により、膜厚が0.8μmとなるように塗布し、アゾベンゼンポリマー膜を形成した。その後、表面レリーフ型回折格子でアルゴンレーザー光を回折させ、その回折光をアゾベンゼンポリマー膜の表面に照射した。次に、回折格子を120°回転させた後にレーザー光を回折させ、その回折光をアゾベンゼンポリマー膜に照射し、次いで、回折格子を更に120°回転させた後にレーザー光を回折させ、その回折光をアゾベンゼンポリマー膜に照射した。このようにして、アゾベンゼンポリマー膜の表面に周期的な配列で凹凸を形成した。
次に、アゾベンゼンポリマー膜上にシリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させ、その後、アゾベンゼンポリマー膜から取り外して母型(M−4B)を得た。
(実施例1)
(i)回折格子の作製
ガラス基板1(Matsunami社製、製品名「Micro slide glass」)及び硬化性樹脂2’(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 61」)を準備し、ガラス基板1上に硬化性樹脂2’を塗布し、その後、作製例1で得られた母型(M−3B)を押し付けつつ硬化性樹脂2’に紫外線を1時間照射して硬化させた(図2及び図3参照)。その後、硬化後の硬化樹脂層2から母型(M−3B)を取り外し、ガラス基板1上に凹凸を形成された硬化樹脂層2を形成して回折格子を得た(図4参照)。
得られた回折格子における硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図15に示す。なお、このような凹凸解析画像から測定された凹凸解析画像に基づいて、任意の100点の高さを求めることにより平均高さを算出したところ、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の平均高さは75nmであった。なお、以下の実施例等において、凹凸の平均高さや平均ピッチは、それぞれ、凹凸解析画像に基づいて、任意の100点の高さや距離を求めることにより算出した値を採用する。
また、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図16に示す。なお、図16に示すフーリエ変換像の縦、横の大きさはそれぞれ25.6μm-1である。図16に示す結果からも明らかなように、フーリエ変換像は波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。
(ii)有機EL素子の作製
得られた回折格子の硬化樹脂層2上に透明電極3(ITO、厚み:120nm)、正孔輸送層12[N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン、厚み:40nm]、電子輸送層13(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、厚み:30nm)、フッ化リチウム層(厚み:1.5nm)、及び金属電極5(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して有機EL素子を得た(図13参照)。
(比較例1)
作製例1で得られた母型(M−3B)を用いずに、硬化樹脂層に凹凸を形成しなかった以外は実施例1と同様にして比較用の有機EL素子を得た。
(比較例2)
作製例1で得られた母型(M−3B)に代えて作製例2で得られた母型(M−4B)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用の回折格子を得た。なお、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸は2次元周期的に配置されており、凹凸のピッチは500nmであり、凹凸の平均高さは50nmであった。また、得られた回折格子の硬化樹脂層2上に透明電極3(金、厚み:30nm)、陽極バッファー層11(銅フタロシアニン、厚み:10nm)、正孔輸送層12[N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン、厚み:40nm]、電子輸送層13(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、厚み:60nm)、フッ化リチウム層(厚み:1nm)、及び金属電極5(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して比較用の有機EL素子を得た。
(比較例3)
作製例2で得られた母型(M−4B)を用いずに、硬化樹脂層に凹凸を形成しなかった以外は比較例2と同様にして比較用の有機EL素子を得た。
(比較例4)
作製例1で得られた母型(M−3B)に代えて1次元回折格子(凹凸のピッチ:380nm、凹凸の平均高さ:65nm)を母型として用いた以外は実施例1と同様にして比較用の回折格子を得た。なお、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸は1次元周期的に配置されており、凹凸のピッチは380nmであり、凹凸の平均高さは60nmであった。また、得られた回折格子の硬化樹脂層2上に透明電極3(ITO、厚み:200nm)、正孔輸送層12[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルフォネート))、厚み:20nm]、電子輸送層13〔ポリ[2−メトキシ−5−(2‘−エチルヘキシルオキシ)−1,4−(1−シアノビニレン)フェニレン]、厚み:100nm〕、フッ化リチウム層(厚み:1nm)、及び金属電極5(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して比較用の有機EL素子を得た。
(比較例5)
1次元回折格子を母型として用いずに、硬化樹脂層に凹凸を形成しなかった以外は比較例4と同様にして比較用の有機EL素子を得た。
<実施例1及び比較例1〜5で得られた有機EL素子の特性の評価>
(i)波長依存性の評価
実施例1及び比較例1〜5で得られた有機EL素子の発光スペクトルを測定した。なお、発光スペクトルは、以下のようにして測定した。すなわち、実施例1及び比較例1〜5で得られた有機EL素子に10Vの電圧を印加した状態で、素子より7cmの距離に分光器(Ocean Optics社製、製品名「USB−2000」)を設置し、発光スペクトル解析を行った。実施例1及び比較例1について得られた結果を図17に示す。また、比較例2〜3について得られた結果を図18に示す。さらに、比較例4〜5について得られた結果を図19に示す。図17〜19に示した結果から明らかなように、本発明の有機EL素子(実施例1)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例1)と比較して発光波長の領域がほとんど変わらず、発光の波長依存性が十分に低いことが確認された。これに対し、硬化樹脂層の表面に周期的な配列で凹凸が形成されている場合(比較例2及び4)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例3及び5)と比較して発光波長の領域が狭くなってしまうことが確認された。
(ii)指向性の評価
実施例1並びに比較例2及び4で得られた有機EL素子の指向性を以下の方法で評価した。すなわち、目視により有機EL素子を全ての方向(全周囲360°の方向)から観察したところ、実施例1で得られた有機EL素子においては、全周囲360°のいずれの方向から観察しても、特に明るい場所、又は特に暗い場所は観察されず、全ての方向に均等な明るさを呈していた。このように、本発明の有機EL素子(実施例1)は、発光の指向性が十分に低いことが確認された。これに対し、比較例4で得られた有機EL素子においては、特定の一方向から観察した場合に特に明るく、その方向に直交する方向から観察した場合には特に暗い傾向があることが確認された。また、比較例2で得られた有機EL素子においては、全周囲360°の方向から観察したところ、合計6回明暗の変化があることが確認された。
(iii)発光効率の評価
実施例1及び比較例1で得られた有機EL素子の発光効率を以下の方法で測定した。すなわち、有機EL素子に電圧を印加し、印加電圧(V)及び有機EL素子に流れる電流(I)を印加測定器(Keithley社製、型番:2400)にて、また発光輝度(L)を輝度計(コニカミノルタ社製、製品名「LS−100」)にて測定した。このようにして得られた印加電圧(V)、電流(I)及び発光輝度(L)の測定値から、電流効率については、下記計算式(F1):
(電流効率)={L−(L/I)}・・・(F1)
電力効率については、下記計算式(F2):
(電力効率)={L−(L/I/V)}・・・(F2)
を用いて、電流効率及び電力効率を算出した。電流効率と輝度との関係を図20に示す。また、電圧効率と輝度との関係を図21に示す。図20及び図21に示した結果からも明らかなように、本発明の有機EL素子(実施例1)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例1)と比較して輝度1000cd/mにおける電流効率及び電圧効率がそれぞれ2.2倍及び2.9倍となっており、十分な外部取り出し効率を有するものであることが確認された。
(実施例2)
99mgのブロック共重合体(P−2)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン(株)製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、次いで、130℃の真空オーブン中で24時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−1A)を得た。
得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図22に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図23に示す。また、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図24に示す。図24に示す結果からも明らかなように、フーリエ変換像は波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、母型(M−1A)の凹凸の平均ピッチは280nmであり、凹凸の平均高さは5nmであった。
さらに、得られた母型におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは104nmであった。
得られた母型(M−1A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−2A)を得た。得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図25に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図26に示す。図22、図23、図25及び図26に示す結果からも明らかなように、エッチング処理により表面に形成されている凹凸の形状が深くなることが確認された。なお、母型(M−2A)の凹凸の平均ピッチは280nmであり、凹凸の平均高さは55nmであった。
得られた母型(M−2A)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−2A)から取り外して第2の母型(M−3A)を得た。得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図27に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図28に示す。なお、第2の母型(M−3A)の凹凸の平均ピッチは280nmであり、凹凸の平均高さは25mであった。
次に、ガラス基板(Matsunami社製、製品名「Micro slide glass」)及び硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 61」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布し、その後、得られた母型(M−3A)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させた。その後、硬化後の硬化樹脂層から母型(M−3A)を取り外し、ガラス基板上に凹凸を形成された硬化樹脂層を形成して回折格子を得た。なお、硬化性樹脂の凹凸の平均ピッチは280nmであり、凹凸の平均高さは35nmであった。
次いで、得られた回折格子の硬化樹脂層上に透明電極(ITO、厚み:120nm)、正孔輸送層[N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン、厚み:40nm]、電子輸送層(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、厚み:30nm)、フッ化リチウム層(厚み:1.5nm)、及び金属電極(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して有機EL素子を得た。
(比較例6)
得られた母型(M−3A)を用いずに、硬化樹脂層に凹凸を形成しなかった以外は実施例2と同様にして比較用の有機EL素子を得た。
(比較例7)
得られた母型(M−3A)に代えて1次元回折格子(凹凸の平均ピッチ:380nm、凹凸の平均高さ:65nm)を母型として用いた以外は実施例2と同様にして比較用の回折格子を得た。なお、硬化樹脂層2の表面に形成されている凹凸は1次元周期的に配置されており、凹凸の平均ピッチは380nmであり、凹凸の平均高さは60nmであった。また、得られた回折格子の硬化樹脂層上に透明電極(ITO、厚み:200nm)、正孔輸送層[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルフォネート))、厚み:20nm]、電子輸送層〔ポリ[2−メトキシ−5−(2‘−エチルヘキシルオキシ)−1,4−(1−シアノビニレン)フェニレン]、厚み:100nm〕、フッ化リチウム層(厚み:1nm)、及び金属電極(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して比較用の有機EL素子を得た。
(比較例8)
1次元回折格子を母型として用いずに、硬化樹脂層に凹凸を形成しなかった以外は比較例7と同様にして比較用の有機EL素子を得た。
(実施例3)
シリコンウェハに、ランダム共重合体の0.1質量%トルエン溶液をスピンコートした後に、温度170℃にて24時間の熱処理を施して基材を得た。187mgのブロック共重合体(P−1)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。このようにして得られたブロック共重合体溶液を、前記基材上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、次いで、170℃のオーブン中で24時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−4A)を得た。
得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図29に示す。図29に示すように、母型(M−4A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されているので、このような母型(M−4A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、得られた母型におけるブロック共重合体(P−1)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは270nmであった。また、母型(M−4A)の凹凸の平均ピッチは450nmであり、凹凸の平均高さは10nmであった。
(実施例4)
206mgのブロック共重合体(P−4)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのガラス上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、次いで、170℃の真空オーブン中で24時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−5A)を得た。
得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図30に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図31に示す。図30及び図31に示すように、母型(M−5A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されているので、このような母型(M−5A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、得られた母型におけるブロック共重合体(P−4)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは315nmであった。また、母型(M−5A)の凹凸の平均ピッチは600nmであり、凹凸の平均高さは50nmであった。
(実施例5)
シリコンウェハに、ランダム共重合体の0.1質量%トルエン溶液をスピンコートした後に、温度170℃にて24時間の熱処理を施して基材を得た。163mgのブロック共重合体(P−3)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。このようにして得られたブロック共重合体溶液を、前記基材上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、次いで、クロロホルム飽和蒸気圧下にて1日間の溶媒処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−6A)を得た。
得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図32に示す。図32に示すように、母型(M−6A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されているので、このような母型(M−6A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、得られた母型におけるブロック共重合体(P−3)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは209nmであった。また、母型(M−6A)の凹凸の平均ピッチは110nmであり、凹凸の平均高さは8nmであった。
(実施例6)
シリコンウェハに、ランダム共重合体の0.1質量%トルエン溶液をスピンコートした後に、温度170℃にて24時間の熱処理を施して基材を得た。292mgのブロック共重合体(P−2)及び87mgのホモポリマー(A)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。このようにして得られたブロック共重合体溶液を、前記基材上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させ、次いで、130℃の真空オーブン中で24時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−7A)を得た。
得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図33に示す。図33に示すように、母型(M−7A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されているので、このような母型(M−7A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、得られた母型におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは529nmであった。また、母型(M−7A)の凹凸の平均ピッチは310nmであり、凹凸の平均高さは11nmであった。
得られた母型(M−7A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−8A)を得た。得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図34に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図35に示す。図33〜35に示す結果からも明らかなように、エッチング処理により表面に形成されている凹凸の形状が深くなることが確認された。また、母型(M−8A)の凹凸の平均ピッチは310nmであり、凹凸の平均高さは65nmであった。
(実施例7)
シリコンウェハに、ランダム共重合体の0.1質量%トルエン溶液をスピンコートした後に、温度170℃にて24時間の熱処理を施して基材を得た。次に、ブロック共重合体(P−2)とホモポリマー(B)とを、ブロック共重合体(P−2)100質量部に対してホモポリマー(B)が25質量部となる割合でトルエン中に溶解し、ブロック共重合体(P−2)とホモポリマー(B)の総量の濃度が1.5質量%となるトルエン溶液を得た後に、これを孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。次いで、このようにして得られたブロック共重合体溶液を、前記基材上に回転速度800rpmにてスピンコートして塗膜を得た。次に、前記塗膜を55℃のホットプレート上で10分間乾燥させた後に、160℃の真空オーブン中で8時間加熱してアニール処理を施し、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−9A)を得た。このようにして得られた母型(M−9A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−9A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−9A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−9A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMA、およびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−10A)を得た。得られた母型(M−10A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図36〜37に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図38に示す。
図36〜38に示す結果からも明らかなように、母型(M−10A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−10A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図36〜38に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図36〜38に示す結果から、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−10A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは160nmであった。また、母型(M−10A)の凹凸の平均ピッチは330nmであり、凹凸の平均高さは120nmであった。
(実施例8)
先ず、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を170℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−11A)を製造した。このようにして得られた母型(M−11A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−11A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−11A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−11A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて6J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、アセトン中に30分浸漬して、PMMA、およびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−12A)を得た。得られた母型(M−12A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図39〜40に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図41に示す。
図39〜41に示す結果からも明らかなように、母型(M−12A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−12A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図39〜41に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図39〜41に示す結果から、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−12A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは155nmであった。また、母型(M−12A)の凹凸の平均ピッチは380nmであり、凹凸の平均高さは144nmであった。
(実施例9)
先ず、トルエン溶液中に溶解するホモポリマー(B)の割合をブロック共重合体(P−2)100質量部に対してホモポリマー(B)が35質量部となるように変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を170℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−13A)を製造した。このようにして得られた母型(M−13A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−13A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−13A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−13A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMA、およびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−14A)を得た。得られた母型(M−14A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図42〜43に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図44に示す。
図42〜44に示す結果からも明らかなように、母型(M−14A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−14A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図42〜44に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図42〜44に示す結果から、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−14A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは172nmであった。また、母型(M−14A)の凹凸の平均ピッチは398nmであり、凹凸の平均高さは158nmであった。
(実施例10)
先ず、トルエン溶液中のブロック共重合体(P−2)及びホモポリマー(B)の総量の濃度が1.0質量%となるように変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を170℃に変更し且つ加熱時間を8時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−15A)を製造した。次いで、得られた母型(M−15A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMA、およびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−16A)を得た。次に、得られた母型(M−16A)上によく混合し、脱泡して気泡を除いたシリコーン系ポリマー[ポリジメチルシロキサン(Wacker社製、製品名「ELASTSIL-A」)90質量%と硬化剤(Wacker社製、製品名「ELASTSIL-B」)10質量%との混合樹脂組成物]を滴下して塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−16A)から取り外して、第2の母型(M−17A)を得た。得られた母型(M−17A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図45〜46に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図47に示す。
図45〜47に示す結果からも明らかなように、母型(M−17A)の表面には、母型(M−16A)の表面に形成されていたミクロ相分離による凹凸に由来して、凹凸が形成されており、このような母型(M−17A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。なお、得られた母型(M−17A)の凹凸の平均ピッチは360nmであり、凹凸の平均高さは40nmであった。
(実施例11)
先ず、トルエン溶液中のブロック共重合体(P−2)及びホモポリマー(B)の総量の濃度が1.3質量%となるように変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を8.5時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−18A)を製造した。このようにして得られた母型(M−18A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−18A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−18A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−18A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−19A)を得た。得られた母型(M−19A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図48〜49に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図50に示す。
図48〜50に示す結果からも明らかなように、母型(M−19A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−19A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図48〜50に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図48〜50に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−14A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは135nmであった。また、母型(M−19A)の凹凸の平均ピッチは370nmであり、凹凸の平均高さは118nmであった。
(実施例12)
先ず、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−20A)を製造した。このようにして得られた母型(M−20A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−20A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−20A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−20A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、アセトン中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−21A)を得た。得られた母型(M−21A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図51〜52に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図53に示す。
図51〜53に示す結果からも明らかなように、母型(M−21A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−21A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図51〜53に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図51〜53に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−21A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは180nmであった。また、母型(M−21A)の凹凸の平均ピッチは780nmであり、凹凸の平均高さは155nmであった。
(実施例13)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−5)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を8.5時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−22A)を製造した。このようにして得られた母型(M−22A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−22A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−22A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−22A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中に30分浸漬して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−23A)を得た。得られた母型(M−23A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図54〜55に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図56に示す。
図54〜56に示す結果からも明らかなように、母型(M−23A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−23A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図54〜56に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図54〜56に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−23A)におけるブロック共重合体(P−5)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは170nmであった。また、母型(M−23A)の凹凸の平均ピッチは880nmであり、凹凸の平均高さは159nmであった。
(実施例14)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−6)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を180℃に変更し且つ加熱時間を4時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−24A)を製造した。このようにして得られた母型(M−24A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−24A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−24A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−24A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−25A)を得た。得られた母型(M−25A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図57に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図58に示す。
図57〜58に示す結果からも明らかなように、母型(M−25A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−25A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図57〜58に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図57〜58に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−25A)におけるブロック共重合体(P−6)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは130nmであった。また、母型(M−25A)の凹凸の平均ピッチは155nmであり、凹凸の平均高さは45nmであった。
(実施例15)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−6)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−26A)を製造した。このようにして得られた母型(M−26A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−26A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−26A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−26A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−27A)を得た。得られた母型(M−27A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図59に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図60に示す。
図59〜60に示す結果からも明らかなように、母型(M−27A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−27A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図59〜60に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図59〜60に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−27A)におけるブロック共重合体(P−6)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは150nmであった。また、母型(M−27A)の凹凸の平均ピッチは450nmであり、凹凸の平均高さは156nmであった。
(実施例16)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−7)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を170℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−28A)を製造した。このようにして得られた母型(M−28A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−28A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−28A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−28A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−29A)を得た。得られた母型(M−29A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図61に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図62に示す。
図61〜62に示す結果からも明らかなように、母型(M−29A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−29A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図61〜62に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図61〜62に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−29A)におけるブロック共重合体(P−7)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは105nmであった。また、母型(M−29A)の凹凸の平均ピッチは118nmであり、凹凸の平均高さは55nmであった。
(実施例17)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−7)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−30A)を製造した。このようにして得られた母型(M−30A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−30A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−30A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−30A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−31)を得た。得られた母型(M−31A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図63に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図64に示す。
図63〜64に示す結果からも明らかなように、母型(M−31A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−31A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図63〜64に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図63〜64に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−31A)におけるブロック共重合体(P−7)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは120nmであった。また、母型(M−31A)の凹凸の平均ピッチは142nmであり、凹凸の平均高さは68nmであった。
(実施例18)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−3)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を210℃に変更し且つ加熱時間を2時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−32A)を製造した。このようにして得られた母型(M−32A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−32A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−32A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−32A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−33A)を得た。得られた母型(M−33A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図65に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図66に示す。
図65〜66に示す結果からも明らかなように、母型(M−33A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−33A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図65〜66に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図65〜66に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−33A)におけるブロック共重合体(P−3)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは110nmであった。また、母型(M−33A)の凹凸の平均ピッチは123nmであり、凹凸の平均高さは25nmであった。
(実施例19)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)からブロック共重合体(P−3)に変更し、トルエン溶液中に溶解するホモポリマー(B)の割合をブロック共重合体(P−2)100質量部に対してホモポリマー(B)が50質量部となるように変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を210℃に変更し且つ加熱時間を2時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−34A)を製造した。このようにして得られた母型(M−34A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、母型(M−34A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−34A)を用いて本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが分かった。
次いで、得られた母型(M−34A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAおよびPEOが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−35A)を得た。得られた母型(M−35A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図67に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図68に示す。
図67〜68に示す結果からも明らかなように、母型(M−35A)の表面にはミクロ相分離による凹凸が形成されており、このような母型(M−35A)を用いることにより、本発明の回折格子及び有機EL素子を得られることが確認された。また、図67〜68に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹部の壁面がより垂直に近いものとなっており、垂直方向の配向性が十分に高くなることが分かった。また、図67〜68に示す結果からも明らかなように、ポリエチレンオキサイド(ホモポリマー(B))を用いることにより、凹凸の形状が十分に深い母型が得られることが確認された。なお、得られた母型(M−35A)におけるブロック共重合体(P−3)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは100nmであった。また、母型(M−35A)の凹凸の平均ピッチは350nmであり、凹凸の平均高さは65nmであった。
(比較例9)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)から比較用ブロック共重合体(CP−1)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−36A)を製造した。このようにして得られた母型(M−36A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、ミクロ相分離による凹凸は十分なものではなかった。
次いで、得られた母型(M−36A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−37A)を得た。得られた母型(M−37A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図69に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図70に示す。
図69〜70に示す結果から、数平均分子量が500000未満のブロック共重合体(CP−1)を用いて比較例9で得られた母型においては、エッチング後においても十分な深さの凹凸が形成されておらず、特に垂直方向への配向性が低いことが分かった。そのため、比較例9で得られた母型を用いても、波長依存性及び指向性が十分に低い回折格子を得ることができないことが分かった。
(比較例10)
先ず、ブロック共重合体の種類をブロック共重合体(P−2)から比較用ブロック共重合体(CP−2)に変更し、真空オーブン中でのアニール処理時の加熱温度を190℃に変更し且つ加熱時間を12時間に変更した以外は、実施例7で採用している第1の母型(M−9A)の製造方法と同様の方法を採用して、第1の母型(M−38A)を製造した。このようにして得られた母型(M−38A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析したところ、ミクロ相分離による凹凸は十分なものではなかった。
次いで、得られた母型(M−38A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて12J/cmの照射強度で紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−39A)を得た。得られた母型(M−39A)について表面に形成されている凹凸の形状を走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名「E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図71に示す。また、得られた断面の凹凸解析画像を図72に示す。
図71〜72に示す結果から、数平均分子量が500000未満のブロック共重合体(CP−1)を用いて比較例10で得られた母型においては、エッチング後においても十分な深さの凹凸が形成されておらず、特に垂直方向への配向性が低いことが分かる。そのため、比較例10で得られた母型を用いても、波長依存性及び指向性が十分に低い回折格子を得ることができないことが分かった。
<実施例2及び比較例6〜10で得られた有機EL素子の特性の評価>
(iv)発光効率の評価
実施例2及び比較例6で得られた有機EL素子を用いた以外は、上述の実施例1で得られた有機EL素子の発光効率を測定した方法(上記(iii)発光効率の評価で採用した方法)と同様の方法を採用して、各有機EL素子の電流効率及び電力効率を算出し、各有機EL素子の発光効率を測定した。電流効率と輝度との関係を図73に示す。また、電力効率と輝度との関係を図74に示す。図73及び図74に示した結果からも明らかなように、本発明の有機EL素子(実施例2)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例6)と比較して輝度2000cd/mにおける電流効率及び電圧効率がそれぞれ1.5倍及び1.6倍となっており、十分な外部取り出し効率を有するものであることが確認された。
(v)波長依存性の評価
実施例2及び比較例6〜8で得られた有機EL素子を用いた以外は、上述の実施例1で得られた有機EL素子の波長依存性を測定した方法(上記(i)波長依存性の評価で採用した方法)と同様の方法を採用して、各有機EL素子の発光スペクトルを測定した。実施例2及び比較例6について得られた結果を図75に示す。また、比較例7〜8について得られた結果を図76に示す。図75及び図76に示した結果から明らかなように、本発明の有機EL素子(実施例2)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例6)と比較して発光波長の領域がほとんど変わらず、発光の波長依存性が十分に低いことが確認された。これに対し、硬化樹脂層の表面に周期的な配列で凹凸が形成されている場合(比較例7)は、凹凸を有しない有機EL素子(比較例8)と比較して発光波長の領域が狭くなってしまうことが確認された。
(vi)指向性の評価
実施例2及び比較例7で得られた有機EL素子の指向性を以下の方法で評価した。すなわち、目視により有機EL素子を全ての方向(全周囲360°の方向)から観察したところ、実施例2で得られた有機EL素子においては、全周囲360°のいずれの方向から観察しても、特に明るい場所、又は特に暗い場所は観察されず、全ての方向に均等な明るさを呈していた。このように、本発明の有機EL素子(実施例2)は、発光の指向性が十分に低いことが確認された。これに対し、比較例7で得られた有機EL素子においては、特定の一方向から観察した場合に特に明るく、その方向に直交する方向から観察した場合には特に暗い傾向があることが確認された。
(実施例20)
100mgのブロック共重合体(P−2)を10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−40A)を得た。
次に、得られた母型(M−40A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−41A)を得た。
次いで、第1の母型(M−41A)の凹凸の形成されている表面に、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−41A)から取り外して母型(M−42A)を得た。次に、ガラス基板(Matsunami社製、製品名「Micro slide glass」)及び硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布し、その後、得られた母型(M−42A)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させた。その後、硬化後の硬化樹脂層から母型(M−42A)を取り外し、ガラス基板上に凹凸を形成された硬化樹脂層を形成して回折格子を得た。
このようにして得られた硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
次いで、得られた回折格子の硬化樹脂層上に透明電極(ITO、厚み:120nm)、正孔輸送層[N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン、厚み:40nm]、電子輸送層(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、厚み:30nm)、フッ化リチウム層(厚み:1.5nm)、及び金属電極(アルミニウム、厚み:150nm)を、硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ蒸着法により積層して有機EL素子を得た。
(実施例21)
51mgのブロック共重合体(P−2)と15mgのポリメチルメタクリレート単独重合体とを6.4gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、110℃の真空オーブン中で7時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−43A)を得た。
得られた母型(M−43A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−44A)を得た。得られた母型について表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、第1の母型(M−44A)は、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、母型(M−44A)の凹凸の平均ピッチは200〜400nmであり、凹凸の平均高さは80nmであった。
このようにして得られた母型(M−44A)を実施例20における母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例22)
100mgのブロック共重合体(P−2)と30mgのポリメチルメタクリレートを10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を110℃の真空オーブン中で7時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−45A)を得た。
次に、得られた母型(M−45A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸浸漬洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−46A)を得た。
次いで、第1の母型(M−46A)の凹凸の形成されている表面に、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−46A)から取り外して母型(M−47A)を得た。
このようにして得られた母型(M−47A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、2次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例23)
60mgのブロック共重合体(P−2)と16mgのポリエチレンオキサイドを5gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、170℃のオーブン中で3時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−48A)を得た。
次に、得られた母型(M−48A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−49A)を得た。次いで、得られた第1の母型(M−49A)を130℃の温度条件で1時間加熱し、加熱処理後の母型(M−50A)を得た。
次いで、母型(M−50A)の凹凸の形成されている表面に、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−50A)から取り外して母型(M−51A)を得た。
このようにして得られた母型(M−51A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図77に示す。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図78に示す。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。なお、深さ分布のグラフを図79に示す。
また、凹凸解析画像(SPM像)に基づいて、以下のようにして、最短距離の分布を計算して、電極間距離の最短距離が標準距離(70nm)の半分以下(35nm以下)となる領域(リーク電流懸念領域)の存在比率を求めた。すなわち、凹凸解析画像(SPM像)と同一の形状の透明電極と金属電極が標準距離だけ離れていると仮定し、透明電極と金属電極間の距離を測定点1点ごとに計算し、求めた最短距離が標準距離の半分以下の場合は白色に、標準距離の半分より大きい場合は元の色のままとする処理により、最短距離の画像と最短距離の分布を求めた。得られた結果のうち、明暗により透明電極と金属電極との間の距離を明示した画像を図80(図中、距離の長い箇所を明るく(白)、短い箇所を暗く(黒)表した。)に示し、リーク電流懸念領域に関する画像を図81(図中、リーク電流懸念領域を白色で示す。なお、本実施例においてはかかる白色部は無かった。)に示し、最短距離の分布のグラフを図82に示す。このような測定の結果、リーク電流懸念領域の存在比率は0.0%であった。
(実施例24)
50mgのブロック共重合体(P−2)とポリエチレンオキサイド13gを5gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、170℃のオーブン中で5時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−52A)を得た。
次に、得られた母型(M−52A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−53A)を得た。
次いで、母型(M−53A)の凹凸の形成されている表面に、Ptを50nmの厚みでArスパッタにより積層して、母型(M−54A)を得た。
次に、母型(M−54A)の凹凸の形成されている表面に、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−49A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−54A)から取り外して母型(M−55A)を得た。
このようにして得られた母型(M−55A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例25)
先ず、基材(材質:ガラス、大きさ:40mm×40mm)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]をスピンコート法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させてシリコーン系ポリマー膜を形成した。次にUVオゾン処理を1分間行い、表面改質を行った。
次に、シリコーン系ポリマー膜上に蒸着法により、温度が100℃であり且つ圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。シリコーン系ポリマー膜上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、アルミニウム蒸着膜上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させた後に、アルミニウム蒸着膜から取り外して母型(M−5B)を得た。
次いで、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に前記UV硬化性樹脂を塗布した後、得られた母型(M−5B)を押し付けつつ前記UV硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−6B)を得た。
次に、表面に凹凸が形成されている母型(M−6B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastsil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃で1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−6B:UV硬化樹脂膜)から取り外して母型(M−7B)を得た。
そして、表面に凹凸が形成されている母型(M−7B)上に蒸着法により、温度が100℃であり、圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−7B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布し、その後、得られたアルミニウム蒸着膜が形成された母型(M−7B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−8B)を得た。
次いで、母型(M−8B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させた後に、UV硬化樹脂膜から取り外して母型(M−9B)を得た。更に、表面に凹凸が形成されている母型(M−9B)上に蒸着法により、温度が100℃であり、圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−9B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。
次に、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布した後、得られたアルミニウム蒸着膜が形成された母型(M−9B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−10B)を得た。
次いで、表面に凹凸が形成されている母型(M−10B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、UV硬化樹脂膜から取り外して母型(M−11B)を得た。
次いで、PET基板(東洋紡製、コスモシャインA−4100)上にアクリル系UV硬化性樹脂を塗布した後、得られた母型(M−11B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−12B)を得た。次いで、母型(M−12B)の凹凸の形成されている表面に対してスパッタ法によりニッケルの薄膜を形成することで導電化した後に、スルファミン酸ニッケル溶液中に浸漬し、通電し、Ni電鋳化することにより、母型(M−12B)を金属金型化して、母型(M−13B)を得た。
次に、PET基板(東洋紡製、コスモシャインA−4100)上にフッ素系UV硬化性樹脂を塗布した後、金属金型化した母型(M−13B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−14B)を得た。
次いで、母型(M−14B)の凹凸の形成されている表面上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−14B:UV硬化樹脂膜)から取り外して母型(M−15B)を得た。
次に、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に前記UV硬化性樹脂を塗布した後、得られた母型(M−15B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された回折格子を得た(なお、このようにして得られた回折格子は母型としても利用できる。)。
そして、このようにして得られた回折格子を実施例20の回折格子として用いた以外は、実施例20と同様にして、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例26)
50mgのブロック共重合体(P−2)とポリエチレンオキサイド13gを5gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、170℃のオーブン中で5時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−56A)を得た。
次に、得られた母型(M−56A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、酢酸中において超音波洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−57A)を得た。次いで、母型(M−57A)の凹凸の表面に、Ptを50nmの厚みでArスパッタ法により積層して、母型(M−58A)を得た。
次いで、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−58A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−58A)から取り外して母型(M−59A)を得た。
このようにして得られた母型(M−59A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例27)
先ず、基材(材質:ガラス、大きさ:40mm×40mm)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]をスピンコート法により塗布し、100℃にて1時間加熱して硬化させてシリコーン系ポリマー膜を形成した。次に、UVオゾン処理を1分間行い、表面改質を行った。
次に、シリコーン系ポリマー膜上に蒸着法により、温度が室温であり且つ圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。シリコーン系ポリマー膜上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、アルミニウム蒸着膜上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、60℃にて2時間加熱して硬化させた後に、アルミニウム蒸着膜から取り外して母型(M−16B)を得た。
次に、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に前記UV硬化性樹脂を塗布した後、得られた母型(M−16B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−17B)を得た。
次いで、表面に凹凸が形成されている母型(M−17B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastsil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、60℃で2時間加熱して硬化させた後に、母型(M−17B:UV硬化樹脂膜)から取り外して母型(M−18B)を得た。
そして、表面に凹凸が形成されている母型(M−18B)上に蒸着法により、温度が100℃であり且つ圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−18B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。次いで、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に前記UV硬化性樹脂を塗布した後、得られたアルミニウム蒸着膜が形成された母型(M−18B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−19B)を得た。
次いで、母型(M−19B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、60℃にて2時間加熱して硬化させた後に、母型(M−19B:UV硬化樹脂膜)から取り外して母型(M−20B)を得た。更に、表面に凹凸が形成されている母型(M−20B)上に蒸着法により、温度が100℃であり且つ圧力が1×10−3Paである条件下において、アルミニウム蒸着膜(厚み:10nm)を形成し、その後、30分かけて室温(25℃)まで冷却した後に、圧力を大気圧(1.013×10Pa)に戻した。母型(M−20B)上に形成されたアルミニウム蒸着膜の表面には凹凸が形成されていた。
次いで、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布した後、得られたアルミニウム蒸着膜が形成された母型(M−20B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を1時間照射して硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−21B)を得た。
次いで、母型(M−21B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−21B:UV硬化樹脂膜)から取り外して母型(M−22B)を得た。更に、UV硬化性樹脂(Norland Optical Adhesive社製、製品名「NOA 81」)を準備し、ガラス基板上に硬化性樹脂を塗布した後、母型(M−22B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射し硬化させて、表面に凹凸の形成された回折格子を得た(このようにして得られた回折格子は母型としても利用できる。)。
このようにして得られた回折格子を実施例20の回折格子として用いた以外は、実施例20と同様にして、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例28)
UVオゾン処理の処理時間を1分間から2分間に変更した以外は実施例27における母型(M−21B)の製造方法と同様の方法を採用して、母型(M−23B)を得た。
このようにして得られた母型(M−23B)を実施例27における母型(M−21B)の代わりに用いた以外は、実施例27と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図83に示す。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図84に示す。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。なお、深さ分布のグラフを図85に示す。
また、凹凸解析画像(SPM像)に基づいて、実施例23で採用した方法と同様にしてリーク電流懸念領域の存在比率を求めた。明暗により透明電極と金属電極との間の距離を明示した画像を図86(図中、距離の長い箇所を明るく(白)、短い箇所を暗く(黒)表した。)に示し、リーク電流懸念領域に関する画像を図87(本実施例においてはリーク電流懸念領域を示す白色部は無かった。)に示し、最短距離の分布のグラフを図88に示す。このような測定の結果、リーク電流懸念領域の存在比率は0.0%であった。
(実施例29)
先ず、実施例27に記載の母型(M−21B)の製造方法と同様の方法を採用して、母型(M−24B)を形成した。
次に、かかる母型(M−24B)の凹凸の形成された表面に、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−24B)から取り外して母型(M−25B)を得た(母型形成工程(I))。
次に、ガラス基板上に、フッ素含有アクリル系UV硬化樹脂を滴下して塗布し、その上に母型(M−25B)を押し付けて、600mJ/cmのUV照射を行って硬化させた後に、母型(M−25B)から取り外して母型(M−26B)を得た(母型形成工程(II))。
次いで、母型(M−25B)の代わりに母型(M−26B)を用いた以外は母型形成工程(II)と同様の工程を採用して、母型(M−27B)を得た。更に、母型(M−24B)の代わりに母型(M−27B)を用いた以外は、母型形成工程(I)と同様の工程を採用して、母型(M−28B)を得た。次いで、母型(M−25B)の代わりに母型(M−28B)を用いた以外は母型形成工程(II)と同様の工程を採用して、母型(M−29B)を得た。
このようにして得られた母型(M−29B)を用いたことと、UV硬化樹脂としてアクリル系UV硬化樹脂を用いたこと以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータを測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例30)
先ず、実施例28に記載の母型(M−23B)の製造方法と同様の方法を採用して、母型(M−30B)を製造した。
次に、母型(M−24B)の代わりに母型(M−30B)を用いた以外は、実施例29に記載の方法と同様の方法を採用して、母型(M−31B)を得た。
このようにして得られた母型(M−31B)を用いたことと、UV硬化樹脂としてアクリル系UV硬化樹脂を用いたこと以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。
(実施例31)
先ず、実施例28に記載の母型(M−23B)の製造方法と同様の方法を採用して、母型(M−32B)を製造した。
次に、母型(M−32B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、UV硬化樹脂膜から取り外して母型(M−33B)を得た。更に、フッ素系UV硬化樹脂を準備し、シランカップリング処理したガラス基板上にフッ素系UV硬化性樹脂を塗布した後、母型(M−33B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射し硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−34B)を得た。このようにして得られた母型(M−34B)に対して、さらに100mWの強度で紫外線を再度照射し、ポストキュアを行った。
更に、フッ素系UV硬化樹脂を準備し、シランカップリング処理したガラス基板上に再度フッ素系UV硬化性樹脂を塗布した後、前述のようにしてポストキュアを行った母型(M−34B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射し硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−35B)を得た。
次いで、母型(M−35B)上にシリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、UV硬化樹脂膜から取り外して母型(M−36B)を得た。
次いで、フッ素系UV硬化樹脂を準備し、PET基板(東洋紡製、コスモシャインA4100)上に再度フッ素系UV硬化性樹脂を塗布した後、母型(M−36B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射し硬化させて、表面に凹凸の形成された母型(M−37B)を得た。
次いで、アクリル系UV硬化性樹脂を準備し、シランカップリング処理したガラス基板上にアクリル系UV硬化性樹脂を塗布した後、母型(M−37B)を押し付けつつ硬化性樹脂に紫外線を600mJ/cm照射し硬化させて、表面に凹凸の形成された回折格子を得た(このようにして得られた回折格子は母型としても利用できる。)。
このようにして得られた回折格子を実施例20の回折格子として用いた以外は、実施例20と同様にして、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円環状の模様を示しており、且つ前記円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)の結果を表1に示す。
(実施例32)
31mgのブロック共重合体(P−2)と8mgのポリエチレンオキサイドを6gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を170℃のオーブン中で5時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−60A)を得た。
次に、得られた母型(M−60A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、アセトン浸漬後にイオン交換水での洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−61A)を得た。
そして、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−61A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−61A)から取り外して母型(M−62A)を得た。
このようにして得られた母型(M−62A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)の結果を表1に示す。
(実施例33)
100mgのブロック共重合体(P−2)と50mgのポリエチレンオキサイドを10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を170℃のオーブン中で8時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−63A)を得た。このようにして得られた母型(M−63A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは104nmであった。
次に、得られた母型(M−63A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、アセトン中に浸漬した後にイオン交換水洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−64A)を得た。
そして、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−64A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−64A)から取り外して母型(M−65A)を得た。
このようにして得られた母型(M−65A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図89に示す。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図90に示す。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。なお、深さ分布のグラフを図91に示す。
また、凹凸解析画像(SPM像)に基づいて、実施例23で採用した方法と同様にしてリーク電流懸念領域の存在比率を求めた。明暗により透明電極と金属電極との間の距離を明示した画像を図92(図中、距離の長い箇所を明るく(白)、短い箇所を暗く(黒)表した。)に示し、リーク電流懸念領域に関する画像を図93(図中、白色の部位がリーク電流懸念領域である。)に示し、最短距離の分布のグラフを図94に示す。このような測定の結果、リーク電流懸念領域の存在比率は7.9%であった。
(実施例34)
76mgのブロック共重合体(P−5)と11mgのポリエチレンオキサイドを5.6gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィド(東レ(株)製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、190℃のオーブン中で8時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−66A)を得た。
次に、得られた母型(M−66A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmの紫外線を照射した後に、アセトンに浸漬した後にイオン交換水での洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−67A)を得た。
そして、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−67A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−67A)から取り外して母型(M−68A)を得た。
このようにして得られた母型(M−68A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図95に示す。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、1次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図96に示す。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が2μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。なお、深さ分布のグラフを図97に示す。
また、凹凸解析画像(SPM像)に基づいて、実施例23で採用した方法と同様にしてリーク電流懸念領域の存在比率を求めた。明暗により透明電極と金属電極との間の距離を明示した画像を図98(図中、距離の長い箇所を明るく(白)、短い箇所を暗く(黒)表した。)に示し、リーク電流懸念領域に関する画像を図99(図中、白色の部位がリーク電流懸念領域である。)に示し、最短距離の分布のグラフを図100に示す。このような測定の結果、リーク電流懸念領域の存在比率は2.5%であった。
(実施例35)
100mgのブロック共重合体(P−2)と50mgのポリエチレンオキサイドを10gのトルエンに溶解した後に、孔径0.50μmのメンブレンフィルターでろ過してブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共重合体溶液を基材としてのポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ株式会社製)上に回転速度800rpmにてスピンコートし、その後、塗膜を170℃のオーブン中で8時間のアニール処理を施して、ミクロ相分離により表面に凹凸が形成された第1の母型(M−69A)を得た。このようにして得られた母型(M−69A)におけるブロック共重合体(P−2)からなる塗膜の厚みを段差測定計(小坂製作所製、製品名「SURF−COATER ET−4000A」)を用いて測定したところ、塗膜の厚みは100nmであった。
次に、得られた母型(M−69A)の塗膜に高圧水銀灯を用いて積算光量12J/cmで紫外線を照射した後に、アセトン浸漬後にイオン交換水での洗浄を施して、PMMAが選択的に除去されたエッチング処理後の第1の母型(M−70A)を得た。
そして、シリコーン系ポリマー[シリコーンゴム(ワッカーケミ社製、製品名「Elastosil RT601」)90質量%と硬化剤10質量%との混合樹脂組成物]を母型(M−70A)に滴下法により塗布し、50℃にて1時間加熱して硬化させた後に、母型(M−70A)から取り外して母型(M−71A)を得た。
このようにして得られた母型(M−71A)を実施例20の母型(M−42A)の代わりに用いた以外は、実施例20と同様にして、回折格子を製造し、有機EL素子を得た。なお、このようにして得られた回折格子の硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製の環境制御ユニット付走査型プローブ顕微鏡「NanonaviIIステーション/E−sweep」)を用いて解析して凹凸解析画像を得た。得られた凹凸解析画像を図101に示す。なお、かかる解析に際しては、3μm角の測定領域内の65536点(縦256点×横256点)の測定点において高さデータをナノメートルスケールで測定した。そして、得られた凹凸解析画像に対し、2次傾き補正を含むフラット処理を施した後に、2次元高速フーリエ変換処理を施すことによりフーリエ変換像を得た。得られたフーリエ変換像を図102に示す。このようなフーリエ変換像において、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状の模様を示しており、且つ前記円状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在することが確認された。また、得られた各測定点での高さデータに基づいて、深さ分布の平均値(m)、深さ分布の中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)を、それぞれ前述の方法と同様の方法を使用して求めた。平均値(m)、中央値(M)、標準偏差(σ)、尖度(k)の結果を表1に示す。なお、深さ分布のグラフを図103に示す。
また、凹凸解析画像(SPM像)に基づいて、実施例23で採用した方法と同様にしてリーク電流懸念領域の存在比率を求めた。最短距離を明示した画像を図104に示し、リーク電流懸念領域に関する画像を図105(図中、白い部位がリーク電流懸念領域である。)に示し、最短距離の分布のグラフを図106に示す。このような測定の結果、リーク電流懸念領域の存在比率は5.1%であった。
<実施例20〜35及び比較例6で得られた有機EL素子の性能の評価>
(vii)波長依存性及び指向性の評価
実施例20〜35及び比較例6で得られた有機EL素子を用いた以外は、上述の実施例1で得られた有機EL素子の波長依存性及び指向性を測定した方法(上記(i)波長依存性の評価及び(ii)指向性の評価で採用した方法)と同様の方法をそれぞれ採用して、波長依存性及び指向性を測定した。このような測定の結果、実施例20〜35で得られた有機EL素子においてはいずれも、比較例6で得られた有機EL素子と比較して、十分に発光の波長依存性及び指向性が低いことが分かった。
(viii)リーク電流の防止性
実施例20〜35で得られた有機EL素子について、以下のようにしてリーク電流の防止性を評価した。すなわち、先ず、各有機EL素子に電圧を印加し、印加電圧(V)及び有機EL素子に流れる電流密度(A/cm)を印加測定器(Keithley社製、型番:2400)にて測定し、また発光輝度(L)を輝度計(コニカミノルタ社製、製品名「LS−100」)にて測定した。得られた電流―電圧―輝度特性より、同一電圧における電流と輝度の関係を比較することにより、リーク電流の発生の有無を評価した。このような測定の結果、実施例20〜32で得られた有機EL素子においては、実施例33〜35で得られた有機EL素子と比較して、十分にリーク電流の発生を防止できることが確認された。表1からも明らかなように、実施例33〜35で得られた有機EL素子においては尖度が−1.3以下の値を示しているのに対して、実施例20〜32で得られた有機EL素子においては尖度が−1.2以上の値を示していることを鑑みれば、尖度を−1.2以上の値とすることにより、リーク電流の発生をより高度に抑制できることが分かる。また、尖度が−1.2以上0.0以下の範囲にある実施例23〜32で得られた有機EL素子においては、リーク電流の発生を更に高い水準で抑制されていた。また、実施例23及び28で得られた有機EL素子においては、本発明にいう「リーク電流懸念領域」の存在比率がいずれも0%であり、このような構造上の特徴により、リーク電流の発生をより高度な水準で十分に抑制できたことが分かった。
また、実施例20〜35で得られた有機EL素子の平均値(m)と中央値(M)の関係を示すグラフを図107に示す。このようなグラフからも明らかなように、上記不等式(1)に示す条件を満たす硬化樹脂層を備える回折格子を備える有機EL素子(実施例20〜32)においては、リーク電流の発生をより高度に抑制できることが分かった。
(ix)発光効率の評価
実施例20〜32及び比較例6で得られた有機EL素子を用いた以外は、上述の実施例1で得られた有機EL素子の発光効率を測定した方法(上記(iii)発光効率の評価で採用した方法)と同様の方法を採用して、各有機EL素子の電流効率及び電力効率を算出し、各有機EL素子の発光効率を測定した。凹凸を有しない有機EL素子(比較例6)の発光輝度2000cd/mにおける電力効率を基準値(1倍)として、実施例20〜32で得られた有機EL素子の発光効率(電力効率)を求めた。得られた結果を表2に示す。
表2に示す結果、及び、波長依存性及び指向性の評価結果からも明らかなように、本発明の有機EL素子においては、いずれも発光の波長依存性及び指向性が十分に低く、しかも電力効率が十分に高いことが確認された。このように、本発明の有機EL素子は、発光効率が十分に高いものであり、十分に高度な外部取り出し効率を有するものであることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、波長依存性及び指向性が十分に低い回折格子及びそれを用いた有機EL素子、並びにそれらの製造方法を提供することが可能となる。

Claims (18)

  1. 透明支持基板、及び、前記透明支持基板上に積層され、表面に凹凸が形成された硬化樹脂層を備える回折格子であって、
    前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状を原子間力顕微鏡を用いて解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施してフーリエ変換像を得た場合において、前記フーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在する、回折格子。
  2. 前記模様が円環状の模様であり、且つ、該円環状の模様が波数の絶対値が1.25〜5μm−1以下の範囲内となる領域内に存在する、請求項1に記載の回折格子。
  3. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均高さが20〜200nmの範囲である、請求項1又は2に記載の回折格子。
  4. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均ピッチが100〜600nmの範囲である、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の回折格子。
  5. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の深さ分布の平均値及び中央値が、下記不等式(1):
    0.95×Y≦M≦1.05×Y (1)
    [式(1)中、Yは式:Y=1.062m−2.2533(式中、mは凹凸の深さ分布の平均値を示す。)を計算して求められる値を示し、Mは凹凸の深さ分布の中央値を示す。]
    で表される条件を満たす、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の回折格子。
  6. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の尖度が−1.2以上の値である、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の回折格子。
  7. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の尖度が−1.2〜1.2の範囲内の値である、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の回折格子。
  8. 透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子の製造方法であって、
    前記母型が、下記母型製造方法(A)及び(B):
    [母型製造方法(A)]
    第1のホモポリマーからなる第1のポリマーセグメントと、前記第1のホモポリマーの溶解度パラメーターよりも0.1〜10(cal/cm1/2高い溶解度パラメーターを有する第2のホモポリマーからなる第2のポリマーセグメントとを有しており、且つ、下記条件(i)〜(iii):
    (i)数平均分子量が500000以上であること、
    (ii)分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であること、
    (iii)前記第1のポリマーセグメントと前記第2のポリマーセグメントとの体積比(第1のポリマーセグメント:第2のポリマーセグメント)が3:7〜7:3であること、
    を全て満たすブロック共重合体、及び溶媒を含有するブロック共重合体溶液を基材上に塗布する工程と、
    前記基材上の塗膜を乾燥させて、前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造を形成することにより、表面に凹凸が形成された第1の母型を得る工程と、
    を含む方法;
    [母型製造方法(B)]
    70℃以上の温度条件下において、熱により体積が変化するポリマーからなるポリマー膜の表面に蒸着膜を形成した後、前記ポリマー膜及び前記蒸着膜を冷却することにより、前記蒸着膜の表面に皺による凹凸を形成する工程と、
    前記蒸着膜上に母型材料を付着させ硬化させた後に、硬化後の母型材料を前記蒸着膜から取り外して母型を得る工程と、
    を含む方法;
    のうちのいずれかの方法により得られたものである、
    回折格子の製造方法。
  9. 前記母型製造方法(A)の前記第1の母型を得る工程において、前記乾燥後の塗膜を前記ブロック共重合体のガラス転移温度より高い温度で加熱する、請求項8に記載の回折格子の製造方法。
  10. 前記母型製造方法(A)の前記第1の母型を得る工程において、前記乾燥後の塗膜にエッチング処理を施す、請求項8又は9に記載の回折格子の製造方法。
  11. 前記母型製造方法(A)が、前記第1の母型上に転写材料を付着させ硬化させた後、前記第1の母型から取り外すことにより、表面に凹凸が形成された第2の母型を得る工程を更に含む、請求項8〜10のうちのいずれか一項に記載の回折格子の製造方法。
  12. 前記母型製造方法(A)において用いられる前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せが、スチレン系ポリマー及びポリアルキルメタクリレートの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリエチレンオキシドの組合せ、スチレン系ポリマー及びポリイソプレンの組合せ、及び、スチレン系ポリマー及びポリブタジエンの組合せのうちのいずれかである、請求項8〜11のうちのいずれか一項に記載の回折格子の製造方法。
  13. 前記母型製造方法(A)において用いられる前記ブロック共重合体溶液が、前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーとは異なる他のホモポリマーを更に含有する、請求項8〜12のうちのいずれか一項に記載の回折格子の製造方法。
  14. 前記ブロック共重合体中の前記第1のホモポリマー及び前記第2のホモポリマーの組合せがポリスチレン及びポリメチルメタクリレートの組合せであり、且つ前記他のホモポリマーがポリアルキレンオキシドである、請求項13に記載の回折格子の製造方法。
  15. 前記母型製造方法(B)において用いられる前記熱により体積が変化するポリマーがシリコーン系ポリマーである、請求項8に記載の回折格子の製造方法。
  16. 前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の平均ピッチが100〜600nmの範囲である、請求項8〜15のうちのいずれか一項に記載の回折格子の製造方法。
  17. 透明支持基板、前記透明支持基板上に積層され且つ表面に凹凸が形成された硬化樹脂層、並びに、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、前記硬化樹脂層上に順次積層された透明電極、有機層、及び、金属電極を備える有機EL素子であって、
    前記有機EL素子中の前記透明支持基板と前記硬化樹脂層とにより形成される構成部位が、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の回折格子からなる、有機EL素子。
  18. 透明支持基板、透明電極、有機層及び金属電極を備える有機EL素子の製造方法であって、
    透明支持基板上に硬化性樹脂を塗布し、母型を押し付けつつ前記硬化性樹脂を硬化させた後、前記母型を取り外すことにより、前記透明支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を積層する工程を含む回折格子形成工程と、
    前記硬化樹脂層上に、前記透明電極、前記有機層及び前記金属電極を、前記硬化樹脂層の表面に形成されている凹凸の形状が維持されるようにして、それぞれ積層して有機EL素子を得る工程と、
    を含み、且つ、
    前記回折格子形成工程が、請求項8〜16のうちのいずれか一項に記載の回折格子の製造方法である、有機EL素子の製造方法。
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