JP4968703B2 - 有機発光素子 - Google Patents

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Description

この発明は、有機発光素子および有機発光素子の製造方法に関するものであり、特に、自身の電気特性を改善した有機発光素子と該有機発光素子の製造方法に関するものである。
近年、情報化社会の進展に伴いパーソナルコンピュータなどの情報処理装置の普及が飛躍的に進んでいる。パーソナルコンピュータなどに使用される表示装置としては、ブラウン管やノートブック型パソコンなどに使用される液晶ディスプレイが主流となっている。液晶ディスプレイは、装置の薄型・軽量化、省電力化に対応しやすいなどの利点があるため、今後も、パソコンの表示部などを含め、各種装置の表示部分に多用されることが予想される。
一方、近時、薄型の面状発光素子で、低電圧駆動、高輝度発光が期待できる有機発光素子が注目されている。有機発光素子は、電圧を印加すると素子自身が発光するので、液晶ディスプレイでは必要となる後方から光を照射するためのバックライトが不要となる。したがって、有機発光素子を用いた表示装置は、液晶ディスプレイと比較して、小型/薄型にすることができ、消費電力をさらに低減できるという利点が生ずる。また、有機発光素子は自発光であるので、様々な角度からでも鮮明な画像を提供することができ、さらに、柔らかいプラスチック上に有機発光素子を配列することができるので、曲面型の表示装置や、あるいは薄く曲げられるような屈曲性のある表示装置などにも適用することができることから、今後の応用面においても注目が集まっている。
有機発光素子の重要な要素の一つにエネルギー効率がある。このエネルギー効率を高めるためには、素子駆動電圧は低い方が望ましい。一方、素子主要部を構成する有機層の電気伝導度は、一般的に発光ダイオードなどに用いられる無機半導体材料よりはるかに低い。したがって、素子駆動電圧を低下させるためには、有機層の膜厚を減ずればよいと考えられる。なぜなら、有機層の膜厚を減ずれば減ずるほど駆動に必要な電庄が低減されるのは自明のことだからである。
しかしながら、実際に製作されている有機発光素子の有機層の総膜厚は100nmを超えているのが実状である。また、下記に示す特許文献1などにおいても、有機発光素子の有機層を構成する発光層や、キャリア輸送層などはある程度の厚みを有する方がよく、また厚みは一定にするのが好ましいという趣旨の内容が記述されている。
特開平8−185983号公報
上記のような実状には、有機層の総膜厚、すなわち陽極/陰極間の距離を極端に減ずると電極短絡の可能性が高まるという自明な理由以外に、発光出力という発光素子として最も大切な特性が影響を受けてしまうという理由があった。より詳細には、有機層の膜厚を減じて行くと、素子を流れる電流に対する発光量が減少するといった現象が生ずるからである。このような理由から、従来の有機発光素子は、上述したような膜厚構成に設定されているものと考えられる。
しかしながら、有機発光素子の特徴である高輝度発光を維持しつつ、薄型化、低電圧駆動のニーズに的確に対処して行くためには、有機発光素子の有機層のある程度の膜厚を維持しつつ、発光効率を高めるような構造、あるいは製造技術が必要とされる。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、有機発光素子の有機層の電気特性を改善することにより発光効率を高めた有機発光素子および該有機発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、陽極電極と陰極電極との間に有機材料を用いた有機層が形成された有機発光素子において、有機層を、膜厚の厚い部分からなる第1の層と、膜厚の薄い部分からなる第2の層とが出現するように形成することで、有機層の電気特性を改善するとともに、発光効率を高めるようにしたものである。
すなわち、本発明の請求項1に記載の有機発光素子は、陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも発光層および電子輸送層からなる有機層が形成された有機発光素子において、前記電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と、膜厚の薄い部分からなる第2の層と、が交互に出現するように形成され、前記第1の層の最大膜厚位置と該第1の層に隣接する第1の層の最大膜厚位置との平均的間隔である平均的周期長が発光波長の波長以下に設定され、前記第1の層の最大膜厚をL2とし、前記第2の層の膜厚をL1とし、前記平均的周期長をaとし、該第1の層の最大膜厚位置と該第2の層の最大膜厚位置との平均的間隔をbとするとき、L2×(1−b/a)+L1×(b/a)で表される前記有機層の平均的膜厚が、80nm〜180nmの範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の有機発光素子は、前記第2の層の膜厚は、前記陽極電
極と前記陰極電極との間に印加された電圧によって該陽極電極と該陰極電極との間で電極
短絡を起こさない厚さに設定されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の有機発光素子は、陽極電極と陰極電極との間に、少なくともホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層からなる有機層が形成された有機発光素子において、前記電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と、膜厚の薄い部分からなる第2の層と、が交互に出現するように形成され、前記第1の層の最大膜厚位置と該第1の層に隣接する第1の層の最大膜厚位置との平均的間隔である平均的周期長が発光波長の波長以下に設定され、前記第1の層の最大膜厚をL2とし、前記第2の層の膜厚をL1とし、前記平均的周期長をaとし、該第1の層の最大膜厚位置と該第2の層の最大膜厚位置との平均的間隔をbとするとき、L2×(1−b/a)+L1×(b/a)で表される前記有機層の平均的膜厚が、80nm〜180nmの範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の有機発光素子は、前記第2の層の膜厚は、前記陽極電
極と前記陰極電極との間に印加された電圧によって該陽極電極と該陰極電極との間で電極
短絡を起こさない厚さに設定されていることを特徴とする。
以下、図面を参照して、この発明にかかる有機発光素子の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1−1は、この発明の実施の形態1にかかる有機発光素子の主要部の構造を示す模式図であり、図1−2は、従来技術にかかる有機発光素子の主要部の構造を示す模式図である。従来技術にかかる有機発光素子は、図1−2に示すように、透明陽極1の上部にほぼ一定の膜厚L0を有する有機層2bが形成され、その上部に陰極3が形成される。有機層2bの膜厚L0は、上述したように100nmを超えるのが一般的であり、典型的な有機発光素子では、130nm程度の膜厚の有機層が形成されている。
一方、本発明の実施の形態1にかかる有機発光素子は、図1−1に示すように、透明陽極1の上部に異なる膜厚が交互に出現するように有機層2aが形成され、その上部に陰極3が形成されている。これらの異なる膜厚の厚さのうち、薄い方の膜厚をL1とし、厚い方の膜厚をL2とすれば、従来の膜厚L0との間には、L1<L0<L2の関係がある。なお、同図の構造において、膜厚の厚い部分の出現頻度(あるいは膜厚の薄い部分の出現頻度)が一定である必要はない。すなわち、同図に示す膜厚の厚い部分の間隔aが有機発光素子全体に渡って一定である必要はない。また、膜厚の薄い部分の幅bについても有機発光素子全体に渡って一定である必要はない。さらに、溝の部分の深さ、すなわち(L2−L1)も有機発光素子全体に渡って一定である必要はない。
図2−1は、有機発光素子で発生した光の各層への分配割合の解析結果を示す図である。なお、この解析では、図2−2に示す構造および組成の解析モデルを用いた。図2−2に示す解析モデルでは、ガラス基板(屈折率n=1.5)の上部にはITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を成分とする厚さ150nmのITO陽極(n=2.0)が形成され、ITO陽極の上部にはPVKをベースとするホール輸送層(n=1.67)およびAlq3(アルミノキノリール錯体)をベースとする発光層(n=1.7)の2層構造からなる有機層が形成され、有機層の上部には完全導体陰極が形成された構造のものを想定した。解析手法としては、FDTD(時間領域差分:Finite Difference Time Domain)電磁界解析法とモード展開電磁界解析法とを用いた。
図2−1において、横軸は有機層のうちの発光層の厚さとし、縦軸は光の割合とした。同図において、領域R1は、有機層に閉じこめられる光の割合を示し、領域R2はガラスに閉じこめられる光の割合を示し、領域R3は実際に出射される光の割合を示している。ホール輸送層の厚さを50nm程度と仮定すれば、発光層の厚さは上述の130nmという厚さからこの50nmを引いた、130nm−50nm=80nm程度となり、同図に示す実際に出射される発光層の厚さの第1のピークと一致している。つまり、現状の有機発光素子の厚みは、外部への出射光が最も効率よく出射される程度に設定されていることを意味する。一方、図2−1に示す矢印K1の方向に発光層の厚さを減じて行くと、有機発光素子の低電圧化には寄与するものの、出射効率が低下することを示しており、膜厚を減少し過ぎると発光特性が悪化することを裏付けている。
図3は、図1に示す有機発光素子の有機層における薄い部分の割合(b/a)と薄い部分の厚さ比(L1/L0)とによる電流密度特性の解析結果を示す図である。曲線上に示した数値が電流密度の値を示しており、この曲線上のすべての点では同一の電流密度値を有している。なお、同図に示す解析結果は、有機発光素子の電流密度を表す次式を用いて行った。
J=(9/8)・ε・μ・(V2/L3) ・・・・・(1)
式(1)において、V,ε,Lは、それぞれ、印加電圧、誘電率、有機層の厚さを示す記号である。
また、μは、電子や正孔の動きやすさを表すキャリア移動度であり、図3に示す解析結果では、解析の容易性のためキャリア移動度が印加電圧に依存せず一定なものとして扱った。なお、μは、一般的には、印加電圧の関数として、一般的に、次式で表すことができる。
μ(V)=μ0exp[0.89γ(V/L)] ・・・・・(2)
式(2)において、μ0は印加電圧をかけないときのキャリア移動度を示し、γは物質に固有の定数を示す記号である。
式(1)が示すように、電流密度(J)は有機層の厚さ(L)の3乗に反比例するので、有機層の厚さを薄くすると、電流密度は非線形的に増大することになる。一方、膜厚の異なる構造の間隔(図1−1でいうところの間隔b)が発光波長に比べて小さければ、有機発光素子全体で見た有機層の光学的厚さは平均的膜厚で近似することができる。なお、式(2)に示されるように、キャリア移動度μは有機層の厚さLの減少に対して指数関数的に増加するので、実際には、図3に示す解析結果よりも電圧密度特性が飛躍的に増大することが容易に予想される。
このように、有機層の伝導特性には強い非線形性があり、素子全体として見れば膜厚の薄い部分の影響が色濃く現れ、一方、光の取り出しという観点では平均的膜厚が影響することになる。
この実施の形態の有機発光素子は、図1−1に示すように有機層の膜厚が厚い部分と薄い部分とが交互に出現するような構造としているので、電気的特性に関しては膜厚の薄いL1の部分が支配的になるようにし、光学的特性に関しては平均的膜厚(L2×(1−b/a)+L1×(b/a))を減じないようにしているので、素子としての発光特性を維持しつつ電流密度の増加を可能としている。また、逆の見方をすれば、所要の電流密度を発生させるための電圧を大幅に低減させている。
なお、上述の内容から明らかなように、光学的特性に影響を与えないためには有機層の薄い部分の割合(b/a)を極端に大きくすることはできない。一方、陽極/陰極間の電極短絡を起こさないためには有機層の薄い部分の厚さ比を極端に小さくすることはできない。他方、有機層の薄い部分の厚さ比を大きくした場合には、平均的膜厚という観点からは有機層の薄い部分の割合を大きくすることができる。この関係は、図3のグラフ上でいえば、右上がりの直線(図3は片対数のグラフなので実際は右上がりの曲線)として表せる。このような3者の関係から考えれば、これらの3者の条件を満たす閉領域が存在するとともに、電流密度が最大となる唯一の点が存在することになる。
つぎに、図1に示す有機発光素子の製造方法について説明する。図4は、図1に示す有機発光素子の製造工程を示す説明図である。同図において、まず、ガラス基板11上に透明陽極12、有機層(ホール輸送層、発光層など)13を順次形成する(工程1)。つぎに、微少な凹凸が形成された型20を有機層13の表面に圧着し(工程2)、ナノインプリンティングと呼ばれる手法で型20の形状を有機層13に写し取る(工程3)。そして、型20を取り除き(工程4)、微少な凹凸が写し取られた有機層13の表面に金属電極14を蒸着する(工程5)。この実施の形態の有機発光素子は、これらの5つの工程に基づいて製造することができる。なお、型20は、半導体微細加工の技術などを用いれば容易に製作することができる。
図5は、図1に示す有機発光素子の周期長aを変化させたときの電圧−電流密度特性を示す図である。同図において、曲線G1は通常素子(すなわち膜厚が一定)の特性を示している。一方、曲線G2は周期長aが750nmのときの特性を示し、曲線G3は周期長aが300nmのときの特性を示している。なお、溝の深さdは60nmに設定されている。同図の特性を見れば明らかなように、周期長aを減じて行くと同一電圧における電流密度が増大することが示されている。この現象は、周期長aを減じて行くことで電極間の距離が短い部分の出現頻度が高くなり、その結果、非線形効果による電流の増大効果が大きくなることにより生ずるものと考えられる。
図6は、図1に示す有機発光素子の溝の深さdを変化させたときの電圧−電流密度特性を示す図である。同図において、曲線M1は通常素子(すなわち溝の深さdがゼロ)の特性を示している。一方、曲線M2は溝の深さdが40nmのときの特性を示し、曲線M3は溝の深さdが60nmのときの特性を示している。なお、周期長aは300nmに設定されている。同図の特性を見れば明らかなように、溝の深さdを増加させて行くと同一電圧における電流密度が増大することが示されている。この現象は、溝の深さdを増加させて行くことで電極間の距離の短い部分の非線形効果が支配的になり、その結果、この支配的部分の寄与率が高くなって電流が増大することによるものと考えられる。
一方、図7は、図1に示す有機発光素子の溝の深さdを変化させたときの電流密度−輝度特性の一例を示す図である。図7において、曲線N1は通常素子(すなわち溝の深さdがゼロ)の特性を示し、曲線N2は溝の深さdが40nm、曲線N3は60nmの素子の特性を示している。なお、周期長aは300nmに設定されている。同図の結果から明らかなように、本発明による溝構造を適用して素子駆動電圧を低減した場合は素子の発光特性は阻害されず、同図の例ではむしろ改善さえされていることが分かる。
以上説明したように、この実施の形態の有機発光素子によれば、陽極電極と陰極電極との間に有機材料を用いた有機層が形成された有機発光素子において、有機層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と膜厚の薄い部分からなる第2の層とにより形成されているので、有機層の電気特性が改善されるとともに、発光効率が高められるという効果を奏する。
(実施の形態2)
図8は、5層構造の有機層を有する従来技術にかかる有機発光素子の構造を示す模式図である。この有機発光素子は、例えば、ガラス基板30の基板上に蒸着などにより形成された透明陽極31の上部にホール輸送性の有機化合物とドーパントである電子受容性の化合物を共蒸着したホール注入層33が形成され、その上部にホール輸送性の有機化合物を蒸着したホール輸送層34が形成され、その上部に蛍光色素(赤色、緑色、青色)を共蒸着した発光層35が形成され、その上部には、さらに、電子輸送性の有機化合物を蒸着した電子輸送層36が形成され、その上部には、電子輸送性の有機化合物とドーパントである電子供与性の金属を共蒸着した電子注入層37が形成され、最後に、金属を蒸着した陰極38が形成される。図示のように、ホール注入層33から電子注入層37までの5層が有機層32を構成している。
図2−2に示す解析モデルでは、上記の発光層35、電子輸送層36および電子注入層37をAlq3(アルミノキノリール錯体)をベースとする単一の発光層として扱った。この理由は、Alq3という材料は、緑色の発光特性に優れるとともに、電子輸送性にも優れている一方で、電子供与性に特に優れた材料というものが現段階ではあまり知られていないので、これらの各層を単一の発光層として形成させることが性能面、あるいは製造面における利点が大きかったためと考えられる。
しかしながら、Alq3は緑色の発光特性には優れているものの、赤色、青色などの発光特性については不十分である。したがって、緑色以外の光を発光させる場合には、Alq3以外の他の材料を用いる必要があり、この場合には発光層と電子輸送層とは異なる層にする必要がある。また、今後、電子供与性に優れた材料が発見された場合には、電子輸送層と電子注入層とが異なる層として形成されることが当然に予想される。図8に示す有機発光素子は製造工程が多いという欠点を有しているものの、有機発光素子の研究が各方面で様々な研究者によって行われていることに鑑みると、有機発光素子としての最終形態は、同図に示すような5層構造の有機層に形成されるものと予想される。
また、図9は、この発明の実施の形態2にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。ここでは、まず、この有機発光素子の製造方法について説明する。同図において、ホール注入層33から電子輸送層36aまでの各層が上述の製造方法などにより形成される。つぎに、図4に示した型20(図9では図示省略)を電子輸送層36aの表面に圧着し、ナノインプリンティングなどの手法で型20の形状が電子輸送層36aに写し取られる。その後、型20を取り除き、微少な凹凸が写し取られた電子輸送層36aの表面に電子注入層37および陰極38が形成される。このようにして、この実施の形態の有機発光素子の製造を行うことができる。
なお、図9において、発光層35aと電子輸送層36aとの接合面も電子輸送層36aの凹凸に合わせて小さな起伏が生じているが、この起伏は、型20を用いて電子輸送層36aの表面に微少な凹凸を写し取る際に下部の発光層35aとの接合面も加圧されて生じるものであり、特に意図して形成しているものではない。同様に、陰極38の下面に生じている小さな起伏も電子注入層の表面形状に付随して形成されたものであり、意図した形状ではない。
ところで、Alq3という材料は、キャリア移動度が低いという特性を有しており、有機発光素子の低電圧化という観点から見ればボトルネックになっている。したがって、Alq3で構成されている電子輸送層を実施の形態1と同様な構造にすれば、非線形効果による電流の増大効果が期待できる。
実際のところ、図9に示す電子輸送層36aを見れば、図1−1に示す有機層のように膜厚の厚い部分と膜厚の薄い部分とが交互に現れるような構造に形成されているので、電気的特性という観点では膜厚の薄い部分の影響が強くなるような作用が生じ、一方、光の取り出しという観点では平均的膜厚を減少させないような構造を成しているので、素子としての発光特性を維持しつつ電流密度の増加が可能となる。
以上説明したように、この実施の形態の有機発光素子によれば、陽極電極と陰極電極との間に、少なくともホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層からなる有機層が形成された有機発光素子において、電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と膜厚の薄い部分からなる第2の層とにより形成されているので、電子輸送層の電気特性が改善されるとともに、発光効率が高められるという効果を奏する。
(実施の形態3)
図10は、この発明の実施の形態3にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。同図において、実施の形態2の構造との相違点は、発光層35bと電子輸送層36bの接合面がフラットに構成されているところのみである。なお、その他の各層については実施の形態2の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分には同一符号を付して示している。
つぎに、この有機発光素子の製造方法について説明する。同図において、ホール注入層33から電子輸送層36aまでの各層の製造方法は実施の形態2と同一である。ここで、つぎの製造工程において、実施の形態2では、図4に示した型20を電子輸送層36aの表面に圧着して加圧する際に、適度な圧をかけて加圧するようにしたが、この実施の形態では、加圧力を弱め、かつ長時間かけて加圧するようにしている。このように加圧すれば、発光層35bと電子輸送層36bとの間の接合面をほぼフラットに保つことができる。
いま、図9、図10に示すように、電子輸送層36aの厚い部分の膜厚および薄い部分の膜厚をそれぞれL2'、L1'とし、電子輸送層36bの厚い部分の膜厚および薄い部分の膜厚をそれぞれL2''、L1''とする。このとき、溝の深さdがほぼ同一であると仮定すれば、図9と図10とを比較してみれば分かるように、L2'<L2''の関係があり、かつ、L1'>L1''の関係がある。したがって、両者は、平均的な膜厚という観点ではほぼ同一であるが、膜厚変動という観点では実施の形態3の構成の方が大きくなる。つまり、非線形効果による電流の増大効果は実施の形態2と比較して実施の形態3の方が大きくなる。
以上説明したように、この実施の形態の有機発光素子によれば、電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と膜厚の薄い部分からなる第2の層とにより形成されるとともに、電子輸送層と発光層との接合面がほぼフラットに形成されているので、電子輸送層の電気特性がさらに改善されるとともに、発光効率が高められるという効果を奏する。
(実施の形態4)
図11は、この発明の実施の形態4にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。同図に示すように、実施の形態2との相違点の一つは、その製造方法にある。すなわち、実施の形態2では、光の出射光側にある透明陽極側から各層を積層して行ったが、この実施の形態では、陰極側から逆順に積層するようにしている。このような製造方法の違いから、有機発光素子の構造に若干の相違が生じている。
例えば、図9に示す発光層35aと図11に示す発光層35cとでは電子輸送層36a(あるいは36c)との接合面における起伏の大きさが異なっていたり、あるいは図9に示す電子注入層37と図11に示す電子注入層37cとでは陰極38との接合面の形状が異なっていたりするが、これらの相違は本質的なものではない。肝要な点は、電子輸送層36cの構造にあり、図9と図11とを比較すれば明らかなように、これらの構造は同等である。したがって、この実施の形態の有機発光素子のように陰極側から逆順に積層するような製造方法にしても同一の効果を得ることができる。
以上説明したように、この実施の形態の有機発光素子によれば、陽極電極と陰極電極との間に、少なくともホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層からなる有機層が形成された有機発光素子において、電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と膜厚の薄い部分からなる第2の層とにより形成されているので、電子輸送層の電気特性が改善されるとともに、発光効率が高められるという効果を奏する。
なお、この実施の形態では、陰極側から逆順に積層するとともに、電子輸送層36cの表面に型20を圧着する際に、「適度な圧をかけて加圧する」という特徴を有する実施の形態2に示した製造方法を用いるようにしているが、「加圧力を弱め、かつ長時間かけて加圧する」という特徴を有する実施の形態3に示した製造方法を用いることもでき、この場合であっても実施の形態3と同一の効果を得ることができる。
以上のように、この発明にかかる有機発光素子は、表示装置や照明装置などの発光源として、あるいは液晶ディスプレイなどのバックライト用光源として有用であり、特に、これらの装置を低電力化したい場合に適している。
この発明の実施の形態1にかかる有機発光素子の主要部の構造を示す模式図である。 従来技術にかかる有機発光素子の主要部の構造を示す模式図である 有機発光素子で発生した光の各層への分配割合の解析結果を示す図である。 図2−1に示す解析結果のベースとなる解析モデルである。 図1に示す有機発光素子の有機層における薄い部分の割合(b/a)と薄い部分の厚さ比(L1/L0)とによる電流密度特性の解析結果を示す図である。 図1に示す有機発光素子の製造工程を示す説明図である。 図1に示す有機発光素子の周期長aを変化させたときの電圧−電流密度特性を示す図である。 図1に示す有機発光素子の溝の深さdを変化させたときの電圧−電流密度特性を示す図である。 図1に示す有機発光素子の溝の深さdを変化させたときの電流密度−輝度特性を示す図である。 5層構造の有機層を有する従来技術にかかる有機発光素子の構造を示す模式図である。 この発明の実施の形態2にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。 この発明の実施の形態3にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。 この発明の実施の形態4にかかる有機発光素子の主要部の模式的構造とその製造方法の概要を示す図である。
符号の説明
1,12,31 透明陽極
2a,2b,13,32 有機層
3,38 陰極
11 ガラス基板
13 有機層
14 金属電極
20 型
30 ガラス基板
33 ホール注入層
34 ホール輸送層
35,35a,35b,35c 発光層
36,36a,36b,36c 電子輸送層
37,37c 電子注入層

Claims (4)

  1. 陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも発光層および電子輸送層からなる有機層が形成された有機発光素子において、
    前記電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と、膜厚の薄い部分からなる第2の層と、が交互に出現するように形成され、前記第1の層の最大膜厚位置と該第1の層に隣接する第1の層の最大膜厚位置との平均的間隔である平均的周期長が発光波長の波長以下に設定され、前記第1の層の最大膜厚をL 2 とし、前記第2の層の膜厚をL 1 とし、前記平均的周期長をaとし、該第1の層の最大膜厚位置と該第2の層の最大膜厚位置との平均的間隔をbとするとき、L 2 ×(1−b/a)+L 1 ×(b/a)で表される前記有機層の平均的膜厚が、80nm〜180nmの範囲にあることを特徴とする有機発光素子。
  2. 前記第2の層の膜厚は、前記陽極電極と前記陰極電極との間に印加された電圧によって該陽極電極と該陰極電極との間で電極短絡を起こさない厚さに設定されていることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  3. 陽極電極と陰極電極との間に、少なくともホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層からなる有機層が形成された有機発光素子において、
    前記電子輸送層は、膜厚の厚い部分からなる第1の層と、膜厚の薄い部分からなる第2の層と、が交互に出現するように形成され、前記第1の層の最大膜厚位置と該第1の層に隣接する第1の層の最大膜厚位置との平均的間隔である平均的周期長が発光波長の波長以下に設定され、前記第1の層の最大膜厚をL 2 とし、前記第2の層の膜厚をL 1 とし、前記平均的周期長をaとし、該第1の層の最大膜厚位置と該第2の層の最大膜厚位置との平均的間隔をbとするとき、L 2 ×(1−b/a)+L 1 ×(b/a)で表される前記有機層の平均的膜厚が、80nm〜180nmの範囲にあることを特徴とする有機発光素子。
  4. 前記第2の層の膜厚は、前記陽極電極と前記陰極電極との間に印加された電圧によって該陽極電極と該陰極電極との間で電極短絡を起こさない厚さに設定されていることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
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