JPWO2011002038A1 - 新規なジアリールアミン化合物、並びに、老化防止剤、ポリマー組成物、ゴム架橋物、及び、その成形品、並びに、ジアリールアミン化合物の製造方法 - Google Patents

新規なジアリールアミン化合物、並びに、老化防止剤、ポリマー組成物、ゴム架橋物、及び、その成形品、並びに、ジアリールアミン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

重ジメチルスルホキシド溶液において1H−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有することを特徴とする、下記式(I)、(II)、または(III)で表される新規なジアリールアミン化合物、並びに、老化防止剤、ポリマー組成物、ゴム架橋物、及び、その成形品、並びに、ジアリールアミン化合物の製造方法。式中、A1〜A6は、置換基を有していてもよい芳香族基。Aは、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表し、Lは、1または2、nは、0または1。

Description

本発明は、高い耐熱性が求められるゴム材料等に対しても効果が高い老化防止剤として用いることができる新規なジアリールアミン化合物、並びに、老化防止剤、ポリマー組成物、ゴム架橋物、及び、その成形品、並びに、ジアリールアミン化合物の製造方法に関する。
ゴムや樹脂等のポリマーは、そのままでは熱等により酸化劣化を受けやすいので、それらの耐熱性を向上させるために、種々の老化防止剤を添加することで目的に応じた耐熱性を得ている。従来、老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤や、アミン系老化防止剤がよく知られており、アミン系老化防止剤の代表的なものとしてジアリールアミン化合物であるジフェニルアミン系の老化防止剤がある。
ジアリールアミン化合物であるジフェニルアミン系の老化防止剤としては、特開平9−53070号公報(特許文献1)、特開平10−298551号公報(特許文献2)、特開平11−21411号公報(特許文献3)等に以下のような化合物が記されており、汎用的に使用されている。
Figure 2011002038
近年、ゴム等のポリマー材料は、従来に比べより過酷な高温下で使用されることが増えてきている。自動車のエンジン周りに用いられるゴムを例に取ると、自動車エンジンの高出力化や低公害エンジンの登場などにより、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。そこで、その周辺で使用されるゴム材料に対しては、従来より高い耐熱性が求められるようになってきており、それに耐えうるゴム材料が強く求められている。その目的を達成する一つの方策として、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを酸化劣化させることがない、耐熱性効果の高い老化防止剤に適する、新たな構造を有するジフェニルアミン系の化合物が強く求められている。しかし、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤では十分な効果が得られなかった。
ゴム材料のなかでも、アクリルゴムは、耐油性、特に高温下での耐油性に優れ、かつ、耐熱性が良好なゴムとして知られ、自動車関連の分野などにおいて、ホース、オイルシール、ガスケット、Oリングや装置・機械内蔵コンベアベルト等として需要が増大している。自動車用ゴム部材、特にエンジンルーム内のゴム部材については、エンジンの高出力化に伴う過給機(ターボチャージャー)の高性能化、及び、近年の排ガス規制の強化などにより、更なる耐熱性能の向上が求められている。
例えば、先の特開平11−21411号公報(特許文献3)では、アクリルゴムと、2種類のジフェニルアミン系酸化防止剤の併用により、アクリルゴム架橋物の耐熱性が向上することが開示されている。しかしながら、この技術では、短時間での耐熱性試験における引張強さ変化率、伸び変化率、及び圧縮永久歪率の改善は認められるが、アクリルゴム架橋物の高温下での長時間の耐熱性試験における効果は認められない。
また、近年、アクリルゴム架橋物の耐熱性を向上させるために、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどに代わり、様々な老化防止剤の使用が提案されている。例えば、国際公開第2006/001299号(特許文献4)には、カルボキシル基含有アクリルゴムに、スチレン化ジフェニルアミン化合物を配合させることにより、アクリルゴム架橋物の耐熱性が向上することが開示されている。しかしながら、この技術では、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンを配合させた場合と比較して、引張強さ変化率の改善は認められるが、伸び変化率や圧縮永久歪率、及びアクリルゴム架橋物の高温下での長時間の耐熱性試験における効果の改善が不充分である。
特開昭9−53070号公報 特開平10−298551号公報 特開平11−21411号公報 国際公開第2006/001299号
本発明の課題は、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを酸化劣化させることがない、耐熱性効果の高い老化防止剤に適する、新たな構造を有するジアリールアミン化合物を提供することである。さらに、本発明の課題は、該化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤を提供することである。本発明の課題は、該化合物とポリマーとを含む耐熱性の高いポリマー組成物、特にゴム組成物、とりわけアクリルゴム組成物を提供することである。また、本発明の課題は、該ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、及び、ゴム架橋物からなる成形品を提供することである。さらに、本発明の課題は、ジアリールアミン化合物を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを老化劣化させにくくし、極めて優れた熱安定性を付与することが可能となる、老化防止剤に適する、新規な構造を有するジアリールアミン化合物を見い出した。さらに、この新規な化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤、及び、耐熱性の高いポリマー組成物、特にゴム組成物、とりわけアクリルゴム組成物を得ることに成功した。また、本発明者らは、該ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、及び、ゴム架橋物からなる成形品を提供することに成功し、ジアリールアミン化合物を効率的に製造する方法を見い出した。
すなわち、本発明によれば、新規なジアリールアミン化合物として、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有することを特徴とする、下記式(I)、(II)、または(III)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物が、提供される。
式(I)
Figure 2011002038
〔式(I)中、
- A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- R'は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
- R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結器が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕;
式(II)
Figure 2011002038
〔式(II)中、
- A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕;または
式(III)
Figure 2011002038
〔式(III)中、
- Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の環状脂肪族基を表す。
- Lは、1または2を表し、nは、0または1である。
- 以下の式(iii−1)は、以下の式(iii−2)である。
式(iii−1)
Figure 2011002038
式(iii−2)
Figure 2011002038
- X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
また、本発明によれば、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する新規なジアリールアミン化合物として、以下の実施態様が提供される。
(1)式(I)において、
- Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
- Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
- R、R及びRは、水素原子を表す。
- Rは、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
- R'は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
で表されるジアリールアミン化合物。
(2)式(I)において、
- 前記Rが、−C(=O)−OR'''である。
- R'''は、炭素数1〜18の置換基を有していてもよいフェニル基または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいナフチル基である。
で表されるジアリールアミン化合物。
(3)式(I)において、
- 前記Rは、−C(=O)−OR'''であり、R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。
- かつ、前記A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。
で表されるジアリールアミン化合物。
(4)式(II)において、
- 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
- 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
- 前記R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
で表されるジアリールアミン化合物。
(5)式(II)において、前記R及びRは、水素原子であるジアリールアミン化合物。
(6)式(III)において、前記Aが、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい五員環環状脂肪族基、置換基を有していてもよい六員環環状脂肪族基、及び置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプチル基からなる群より選ばれる1種であるジアリールアミン化合物。
本発明によれば、これらのジアリールアミン化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤が提供される。
本発明によれば、これらの化合物とポリマーとを含むポリマー組成物が提供される。本発明によれば、該ポリマーがゴムであるポリマー組成物、すなわちゴム組成物が提供される。本発明によれば、ゴムがアクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムであるゴム組成物が提供され、また、アクリルゴムと架橋剤を含有するゴム組成物、特に、アクリルゴム100重量部、式(I)〜(III)で表される化合物0.1〜50重量部、及び架橋剤0.05〜20重量部を含有するゴム組成物が提供される。本発明によれば、該ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供され、特に、押出成形品またはシール部材であるゴム架橋物が提供される。
さらに、本発明によれば、新規なジアリールアミン化合物の製造方法として、下記式(IV)
Figure 2011002038
〔式(IV)中、
‐ R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
‐ R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
‐ 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
‐ R’及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
‐ 前記置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基が含まれる。
‐ Xは、ハロゲン原子を表す。〕
で表される無水トリメリット酸ハライド化合物と下記式(V)
Figure 2011002038
〔式(V)中、
‐ R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。〕
で表される水酸基含有化合物とを有機溶剤中で塩基の存在下に反応させて、下記反応式(1)
Figure 2011002038
〔反応式(1)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程1;
該工程1で生成した無水トリメリット酸エステル化合物と下記式(VI)
Figure 2011002038
〔式(VI)中、
‐ A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
‐ 該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、下記反応式(2)
Figure 2011002038
〔反応式(2)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、アミド酸化合物を生成させる工程2;並びに、
該工程2で生成したアミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱して、下記反応式(3)
Figure 2011002038
〔反応式(3)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、該アミド酸化合物をイミド化する工程3;
の3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことを特徴とする下記式(VII)
Figure 2011002038
で表される新規なジアリールアミン化合物の製造方法が、提供される。
また、本発明によれば、該ジアリールアミン化合物の製造方法として、以下の実施態様が提供される。
(1)前記アミノ基含有ジアリールアミン化合物が、下記式(VIII)
Figure 2011002038
〔式(VIII)中、
‐ R〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノジフェニルアミン化合物であり、かつ、下記反応式(1a)
Figure 2011002038
〔反応式(1a)中、R'''の意味は、前記と同じである。〕、
下記反応式(2a)
Figure 2011002038
〔反応式(2a)中、
‐ R'''は、前記と同じである。
‐ R〜R15の意味は、前記と同じである。〕、並びに、
下記反応式(3a)
Figure 2011002038
〔反応式(3a)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことにより、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物として、下記式(IX)
Figure 2011002038
〔式(IX)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物を生成させる前記のジアリールアミン化合物の製造方法。
(2)前記無水トリメリット酸ハライド化合物が、無水トリメリット酸クロリドであり、前記アミノ基含有ジアリールアミン化合物が、下記式(X)
Figure 2011002038
〔式(X)中、R15は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノジフェニルアミン化合物であり、かつ、下記反応式(1b)
Figure 2011002038
〔反応式(1b)中、R'''の意味は、前記と同じである。〕、
下記反応式(2b)
Figure 2011002038
〔反応式(2b)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕、並びに、
下記反応式(3b)
Figure 2011002038
〔反応式(3b)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことにより、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物として、下記式(XI)
Figure 2011002038
〔式(XI)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物を生成させる前記のジアリールアミン化合物の製造方法。
(3)該有機溶剤が、非プロトン性極性溶剤及び無極性溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤である前記のジアリールアミン化合物の製造方法。
(4)該有機溶剤が、含窒素非プロトン性極性溶剤と芳香族炭化水素系無極性溶剤との混合溶剤である前記のジアリールアミン化合物の製造方法。
(5)該有機溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミドとキシレンとの混合溶剤である前記のジアリールアミン化合物の製造方法。
本発明の式(I)〜(III)で表される化合物において、ジアリールアミン分子骨格内のN−Hの水素に起因するシグナルは、8.14ppmに現れるので、本発明のジアリールアミン化合物は、低磁場側にシグナルを有する化合物である。これは、ジアリールアミン分子骨格におけるN−Hに対して、p−位に結合するイミド環含有基が電子吸引基として作用する結果、N−Hの水素原子の電子密度が低下したことによると推察される。従来は、電子供与性基を有するジフェニルアミン等が安定剤としての効力を高めると想定されていたので、本発明はこの常識を覆す新規な発想に基づくものであり、N−Hの水素原子の電子密度を下げることが、ポリマー等の老化防止剤として使用した場合に、耐熱性向上の効果を奏することを新たに見いだし、新規な化合物を想到したものである。
本発明の化合物は、重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有するものであるが、該シグナルを、好ましくは8.31ppm〜8.97ppm、より好ましくは8.37ppm〜8.95ppmに有する化合物であると、耐熱性とゴム弾性とをバランスよく改良することができる。
なお、本発明のジフェニルアミン系化合物が、分子内に複数のN−Hを有する場合は、少なくとも一つのN−Hの水素に起因するシグナルが、8.30ppm〜9.00ppmにあればよい。
本発明によれば、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを酸化劣化等させることがない、老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジアリールアミン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、該ジアリールアミン化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤を提供し、該化合物とポリマーとを含む耐熱性の高いポリマー組成物、特に長時間高温化の条件下にさらされても、伸びや圧縮永久歪などの物性の低下を抑制できるゴム組成物、とりわけアクリルゴム組成物を提供することができる。本発明によれば、該ゴム組成物を架橋してなる耐熱性が高いゴム架橋物、及び、ゴム架橋物からなる成形品、特に押出成形品、およびシール部材を提供することができる。本発明によれば、ジアリールアミン化合物を効率的に製造することができる。
本発明の老化防止剤に用いることができる、新規な構造を有するジアリールアミン化合物は、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、上記の式(I)、(II)、または(III)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物である。ジアリールアミン化合物は、上記の式(I)、(II)または(III)の式のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物であればよく、式(I)、(II)または(III)のうちの2つの式で表されるジアリールアミン化合物であってもよい。例えば、式(I)及び(III)の両方で表されるジアリールアミン化合物、または、式(II)及び(III)の両方で表されるジアリールアミン化合物であってもよい。
1.式(I)で表されるジアリールアミン化合物
本発明の重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、式(I)で表されるジアリールアミン化合物は、
Figure 2011002038
〔式(I)中、
- A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- R'は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
- R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結器が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕;で表されるジアリールアミン化合物である。
式(I)において、好ましくは、
- Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
- Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
- R、R及びRは、水素原子を表す。
- Rは、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
- R'は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
- R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
で表される化合物を選択することが好ましい。
この中で、より好ましくは、
式(I)において、
- 前記Rが、−C(=O)−OR'''である。
- R'''は、炭素数1〜18の置換基を有していてもよいフェニル基または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいナフチル基である。
で表されるジアリールアミン化合物を選択することができる。
さらに好ましくは、
式(I)において、
- 前記Rは、−C(=O)−OR'''であり、R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。
- かつ、前記A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。
で表されるジアリールアミン化合物、すなわち、
Figure 2011002038
の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を選択することができる。
さらに、具体的に、式(I)で表されるジアリールアミン化合物について説明する。
としては、−C(=O)−OR'''で表されるエステル基であることが、化合物の製造が容易であることから好ましい。ここで、R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基であり、該有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキルアリール基、アルコキシ基など多くの脂肪族基や芳香族基が選択できるが、耐熱性の観点から、芳香族基、特に、フェニル基またはナフチル基を選択することが好ましい。
特に、Rが、−C(=O)−OR'''であり、かつ、R'''が、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の芳香族基であると、老化防止剤として使用する場合、より優れた耐熱性向上の効果が得られる。Rが、−C(=O)−OR'''であり、かつ、R'''が、炭素数1〜18の置換基を有していてもよいフェニル基または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいナフチル基であるエステル構造であると、特に優れた耐熱性向上の効果を奏することは、当業者が到底予期できないものである。
本発明の老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジアリールアミン化合物は、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(I)を満足するものであれば、特に限定されるものではないが、優れた耐熱性向上の効果を奏する点で、特に、好ましい化合物としては、以下のものがある。
化合物1
Figure 2011002038
化合物2
Figure 2011002038
化合物3
Figure 2011002038
化合物4
Figure 2011002038
化合物5
Figure 2011002038
化合物6
Figure 2011002038
化合物7
Figure 2011002038
化合物8
Figure 2011002038
なかでも、化合物8は、ジアリールアミン骨格、具体的にはジフェニルアミン骨格において、フタルイミド構造を介してRが結合しているフェニル基ではない側のフェニル基にも電子吸引性が高い基(−CF基)を備えるため、後述のとおり、特に優れた耐熱性向上の効果を奏することができる。
2.式(I)で表されるジアリールアミン化合物の製造方法
重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(I)で表されるジアリールアミン化合物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、第1段階で、4−アミノジフェニルアミンに、
式(a)で表される、4の位置が、−C(=O)−OH、−OH、−NHまたは−NHR(ここでは、Rは、単に任意の有機基を意味する。)であるカルボニル基を有する基で置換された芳香族の1,2−ジカルボン酸無水物を、加熱溶液中で反応させることによって、イミド結合を形成し、フタルイミド構造を有する、式(b)の中間体を製造し、
Figure 2011002038
(Yは、−C(=O)−OH、−OH、−NHまたは−NHRである。)
Figure 2011002038
(Yは、式(a)と同じ。)
次いで、第2段階で、フタルイミド構造の4の位置にある置換基(Y)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する化合物またはナフトール化合物などとを、溶液中で反応させて、目的化合物を製造する方法により、簡単に製造することができる。特に、Yが−C(=O)−OHである場合には、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンのような触媒を使用して比較的容易にエステル化反応を起こすことができる。
また、化合物8を製造する場合のように、第1段階で、置換基を有する4−アミノジフェニルアミンを使用する必要があるときは、例えば、酸化銅(II)存在下で、ハロゲン化アリールを置換アニリンとクロスカップリング反応させる方法を採用して、置換基を有する4−アミノジフェニルアミンを製造すればよい。
3.式(I)で表されるジアリールアミン化合物が、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物である場合の製造方法
上記式(b)において、Yが、−C(=O)−OR(ここでは、Rは、単に任意の有機基を意味する。)であるような4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を製造しようとする場合については、4位にエステル基を有するフタルイミド化合物を製造する方法の適用が考えられる。
具体的には、特公平5−53789号公報には、下記反応式(P1)
Figure 2011002038
〔反応式(P1)中、
‐ R及びRは、それぞれ独立に、低級アルキル基または低級アルケニル基を示し、
‐ Rは、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示し、
‐ Rは、アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルキル基が置換していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ジ低級アルキルアミノ基、N原子及び/またはO原子を含む5員環若しくは6員環の複素環基を示す。〕
に示されているように、出発原料として、トリメリット酸無水物とアニリン誘導体とを用いて、3つの工程で製造する方法が開示されている。
上記反応式(P1)を採用した製造方法は、各工程で異なる溶剤を用い、かつ各工程での生成物の精製を行う必要があり、操作が煩雑である。加えて、該製造方法では、フタルイミド基の4位にあるカルボキシル基を酸クロリド基に変換するために、塩化チオニルを用いる必要がある。塩化チオニルは、反応性に富む塩素化剤であり、Rとしてアミンやアルコールなどの活性水素を有する置換基が導入されているアニリン誘導体を用いた場合、これらの置換基とも反応する。このため、該製造方法は、使用する原料に制約がある。
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Vol.19, No.3、p.878−881 (2009)には、下記反応式(P2)
Figure 2011002038
に従って、4位にカルボキシル基を有するフタルイミド化合物と水酸基を含有する化合物(ROH)とを、縮合剤を用いて反応させることにより、該カルボキシル基をエステル化する方法が開示されている。この方法によれば、1段階の反応で4位にエステル基を有するフタルイミド化合物を製造することができる。縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、及び塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)が代表的なものである。
しかし、縮合剤としてDCCを用いた場合は、副生成物のジシクロヘキシル尿素が有機溶剤に不溶であるため、反応後の目的化合物の結晶化または再結晶化による精製が困難である。他方、WSCは、高価な試薬であるため、製造コストの面で、工業的に有利な製造方法ではない。
4位にエステル基を有するフタルイミド化合物を製造する他の方法として、無水トリメリット酸クロリドを出発原料として用いる方法が考えられる。特開昭63−172154号公報には、下記反応式(P3)
Figure 2011002038
に従って、塩基の存在下に、無水トリメリット酸と水酸基を含有する化合物(ROH)とを反応させて、無水トリメリット酸の4位のカルボキシル基をエステル基に変換する方法が開示されている。
また、特開昭60−237064号公報には、下記反応式(P4)
Figure 2011002038
(式中、R、R、及びRは、アルキル基を示す。)
に従って、無水トリメリット酸の4位のカルボキシル基をエステル基に変換した無水トリメリット酸誘導体をアニリンと反応させて、4位にエステル基を有するフタルイミド化合物を製造する方法が開示されている。
しかし、前記反応式(P3)及び(P4)を組み合わせた方法は、各工程で使用する溶剤の種類が異なること、溶剤の使用量が多いこと、各工程での精製が煩雑であることなどのため、4位にエステル基を有するフタルイミド化合物の製造方法としては、工業的に有利ではない。
本発明者らは、例えば、N−(4−フェニルアミノフェニル)−フタルイミド化合物などの4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を、高効率かつ高収率で製造する方法を見いだした。
すなわち、まず、無水トリメリット酸ハライド化合物と水酸基含有化合物とを、有機溶剤中で塩基の存在下に反応させて、4位にエステル基を有する無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程1;該無水トリメリット酸エステル化合物とアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、アミド酸化合物を生成させる工程2;並びに、該アミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱してイミド化する工程3;の3つの工程を含む製造方法を適用することができる。
次に、これら3つの工程をこの順で組み合わせることにより、無水トリメリット酸ハライド化合物のエステル化、アミド酸化、及びイミド化を、同じ反応器内で同じ有機溶剤を用いてワンポットで実施することができる方法を見いだした。更に、この方法によれば、各工程において、煩雑な精製工程を必要とすることがなく、また、反応終了後には、冷却した反応溶液の濾過により、高純度の結晶として、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を高収率で回収することができることを見いだした。
本発明のこの製造方法によれば、4位にエステル基を有するN−(4−フェニルアミノフェニル)−フタルイミド化合物に代表され、ポリマーの老化防止剤(酸化防止剤)として有用な4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を高効率かつ高収率で得ることができる。
かくして、本発明によれば、下記式(IV)
Figure 2011002038
〔式(IV)中、
‐ R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
‐ R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
‐ 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
‐ R’及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
‐ 前記置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基が含まれる。
‐ Xは、ハロゲン原子を表す。〕
で表される無水トリメリット酸ハライド化合物と下記式(V)
Figure 2011002038
〔式(V)中、
‐ R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
- 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。〕
で表される水酸基含有化合物とを有機溶剤中で塩基の存在下に反応させて、下記反応式(1)
Figure 2011002038
〔反応式(1)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程1;
該工程1で生成した無水トリメリット酸エステル化合物と下記式(VI)
Figure 2011002038
〔式(VI)中、
‐ A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
‐ 該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、下記反応式(2)
Figure 2011002038
〔反応式(2)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、アミド酸化合物を生成させる工程2;並びに、
該工程2で生成したアミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱して、下記反応式(3)
Figure 2011002038
〔反応式(3)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
により、該アミド酸化合物をイミド化する工程3;
の3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことを特徴とする、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、下記式(VII)
Figure 2011002038
で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法が提供される。
上記各工程において、有機溶剤としては、非プロトン性極性溶剤及び無極性溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤が好ましい。該有機溶剤は、非プロトン性極性溶剤と無極性溶剤との混合溶剤であることがより好ましく、含窒素非プロトン性極性溶剤と芳香族炭化水素系無極性溶剤との混合溶剤であることが更に好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドとキシレンとの混合溶剤であることが特に好ましい。
本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法によれば、3つの工程をワンポット(同一反応器内での反応方法)で実施することができる上、反応終了後には、反応溶液の濾過によって簡便に目的化合物を単離することができる。このため、本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法は、全工程での操作が簡単で、反応時間を短縮することができ、その上、目的化合物を高効率かつ高収率で得ることができる。したがって、本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法は、生産性が高く、工業的な実施に適している。
以下に、本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法を詳説する。
本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法は、(1)無水トリメリット酸ハライド化合物と水酸基含有化合物とを、有機溶剤中で塩基の存在下に反応させて、4位にエステル基を有する無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程1;(2)該無水トリメリット酸エステル化合物とアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、アミド酸化合物を生成させる工程2;並びに、(3)該アミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱してイミド化する工程3;の3つの工程を、有機溶剤中、ワンポットで実施する製造方法である。
該工程1は、無水トリメリット酸ハライド化合物と水酸基含有化合物とを下記反応式(1)
Figure 2011002038
に従って反応させて、無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程である。
出発原料として使用する無水トリメリット酸ハライド化合物は、下記式(IV)で表される化合物である。
Figure 2011002038
前記式(IV)中、
‐ R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。これらの中でも、合成が容易な点から、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
‐ R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
‐ 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
‐ R’及びR''は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
‐ 前記置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基が含まれる。
‐ Xは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)を表す。Xは、塩素原子であることが好ましい。
無水トリメリット酸ハライド化合物は、下記式(IV−a)の化合物
Figure 2011002038
〔式(IV−a)中、Xは、ハロゲン原子を表す。〕
であることが好ましく、下記式(IV−b)
Figure 2011002038
で表される無水トリメリット酸クロリドであることがより好ましい。
他方の出発原料の水酸基含有化合物は、下記式(V)
Figure 2011002038
で表される化合物である。
前記式(V)中、
‐ R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、アントラセニル基等のベンゼン系芳香族基;アズレニル基、ベンタレニル基等の非ベンゼン系芳香族基;ピロリル基、ピリジニル基、フリル基、ピラニル基等の複素芳香族基:等が挙げられる。
‐ 該置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
- R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。
前記式(V)中のR'''は、置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数6〜25のフェニル基、または置換基を有していてもよい炭素数10〜30のナフチル基であることがより好ましい。これらの芳香族基の炭素数には、置換基がある場合には、該置換基の炭素数も含まれる。
前記置換基の中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、− NRが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基がより好ましく、炭素数6〜30の芳香族基が更に好ましい。炭素数6〜30の芳香族基中でもフェニル基が特に好ましい。
前記式(V)で表わされる水酸基含有化合物(R'''OH)の好ましい具体例としては、下記の式(V−a)乃至(V−g)で表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物を挙げることができる。
Figure 2011002038
Figure 2011002038
Figure 2011002038
Figure 2011002038
Figure 2011002038
Figure 2011002038
Figure 2011002038
前記反応式(1)での反応に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの三級アミン; ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどのピリジン類; 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基;が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びピリジンが好ましい。該塩基の使用量は、無水トリメリット酸ハライド化合物に対して、好ましくは1.0〜2.0当量、より好ましくは1.1〜1.2当量である。
この反応の操作としては、例えば、(1) 無水トリメリット酸ハライド化合物、塩基、及び有機溶媒を含有する反応系に、R'''OHを滴下する方法、(2)無水トリメリット酸ハライド化合物、R'''OH、及び有機溶媒を含有する反応系に、塩基を滴下する方法、(3)無水トリメリット酸ハライド化合物と有機溶媒とを含有する反応系に、R'''OHと塩基と有機溶媒との混合液を滴下する方法が挙げられる。これらの中でも、無水トリメリット酸ハライド化合物、R'''OH、及び有機溶媒を含有する反応系に、塩基を滴下する方法が反応熱を抑制できる点から好ましい。
この反応の反応温度は、好ましくは−30℃から+40℃までの間、より好ましくは0〜+30℃である。反応時間は、通常、数十分から数時間までの間である。
前記工程2では、前記工程1で生成した無水トリメリット酸エステル化合物と下記式(VI)
Figure 2011002038
〔式(VI)中、
‐ A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
‐ 該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、下記反応式(2)
Figure 2011002038
により、アミド酸化合物を生成させる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などを挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができる。
前記式(VI)で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物は、下記式(VI−a)(式(VIII)と同一である。)
Figure 2011002038
〔式(VI−a)中、
‐ R〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノ基含有ジフェニルアミン化合物が好ましい。
さらに、前記式(VI)で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物は、下記式(VI−b)(式(X)と同一である。)
Figure 2011002038
〔式(VI−b)中、
‐ R15は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
で表されるアミノ基含有ジフェニルアミン化合物がより好ましい。
前記式(VI)、より具体的には式(VI−b)(式(X))で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物の具体例としては、下記式(VI−c)
Figure 2011002038
で表される4−アミノジフェニルアミン、及び
下記式(VI−d)
Figure 2011002038
で表される4−アミノ−4'−トリフルオロメチルジフェニルアミンが挙げられる。
前記反応式(2)で表わされる工程2は、前記工程1で生成した無水トリメリット酸エステル化合物とアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、アミド酸化合物を生成させる工程である。該工程2では、前記工程1で得られた反応溶液にアミノ基含有ジアリールアミン化合物を添加して、アミド酸化合物を合成する。この反応の反応温度は、好ましくは−30℃から+60℃までの間、より好ましくは0〜+40℃である。反応時間は、通常、数分から数時間までの間である。
該工程3では、前記工程2で生成したアミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱して、下記反応式(3)
Figure 2011002038
により、該アミド酸化合物をイミド化する。該工程3でのイミド化により、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を合成することができる。
該工程3での反応温度は、好ましくは80〜250℃、より好ましくは120〜160℃である。反応時間は、通常、数時間である。イミド化反応は、反応溶液を還流する方法により実施することが望ましい。
このイミド化反応は、通常、酸触媒または塩基触媒の存在下に実施する。酸触媒として用いる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、酢酸などの有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。塩基触媒として用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの三級アミン;ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどのピリジン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、塩基触媒が好ましく、塩基触媒では、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びピリジンがより好ましい。
イミド化反応に用いる酸触媒の使用量は、[〔工程1で用いる塩基の当量−1〕+0.5〜1.5]当量の範囲内である。塩基触媒の使用量は、工程1で原料となる無水トリメリット酸ハライドに対して、好ましくは0.05〜1.5当量、より好ましくは0.1〜0.5当量である。
イミド化反応に用いる塩基触媒は、前記工程1で用いるものと同じ塩基であることが好ましい。該工程1において、過剰量の塩基を用いておいて、工程3では塩基を追加しない方法を採用することがより好ましい。即ち、該工程1で反応に関与しない過剰量分の塩基を工程3におけるイミド化触媒として作用させることが望ましい。
本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法は、前記3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことを特徴とする。これら3工程に用いられる有機溶剤としては、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系無極性溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系無極性溶剤;等の無極性溶剤;N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N‐ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N‐メチルピロリドン(NMP)などの含窒素系非プロトン性極性溶剤;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン系非プロトン性極性溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系非プロトン性極性溶剤;等の非プロトン性極性溶剤が挙げられるが、溶剤はこれらの2種以上からなる混合溶剤が好ましい。これらの中でも、非プロトン性極性溶剤と無極性溶剤の混合溶剤がより好ましく、含窒素非プロトン性極性溶剤と芳香族炭化水素系無極性溶剤との混合溶剤が更に好ましく、N,N‐ジメチルホルムアミドとキシレンとの混合溶剤が特に好ましい。
有機溶剤の使用量は、前記工程1で原料となる無水トリメリット酸ハライド化合物100重量部に対して、通常50〜2000重量部、好ましくは1000〜1200重量部である。
N,N−ジメチルホルムアミドとキシレンとの混合溶剤などの含窒素非プロトン性極性溶剤と芳香族炭化水素系無極性溶剤との混合溶剤は、両者の混合比(容量比)が含窒素非プロトン性極性溶剤:芳香族炭化水素系無極性溶剤=5:95〜50:50であることが好ましく、5:95〜20:80であることがより好ましい。多くの場合、N,N−ジメチルホルムアミド:キシレン=5:95〜20:80の混合溶剤を用いることにより、特に良好な結果を得ることができる。
前記工程3において、イミド化反応の進行とともに目的物が反応溶液中に析出する。反応終了後、反応溶液を冷却し、目的物を溶解しない貧溶媒を添加して、目的物を完全に析出させることが望ましい。貧溶媒としては、メタノールなどの炭素数1〜5の低級アルコールが好ましい。
貧溶媒としてメタノールなどの低級アルコールを用いる場合、その添加量は、前記工程1で用いた無水トリメリット酸ハライド化合物100重量部に対し、通常100〜1000重量部、好ましくは200〜300重量部である。アルコールを添加するときの反応溶液の温度は、通常0〜70℃ 、好ましくは40〜60℃である。
アルコールの添加方法としては、反応溶液を攪拌しながら、アルコールを少量ずつ連続的に添加する方法;反応溶液を攪拌しながら、アルコールを一定量ずつ分割して添加する方法;などが挙げられる。
前記工程3で得られた反応溶液にメタノールなどの貧溶媒を添加すると、副生成物である塩類が完全に溶解し、目的物のみが析出した状態となる。このため、反応溶液の濾過という簡便な操作のみで、目的とする化合物を収率良く単離することができる。目的物である化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等のスペクトル測定、及び/または元素分析により、同定することができる。
本発明の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の製造方法によれば、ワンポット法により、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物を高効率かつ高収率で得ることができる。ワンポット法とは、各工程の反応を同じ反応器内で実施する方法を意味するが、反応に使用する有機溶剤も各工程で実質的に同じものを使用することが好ましい。
本発明の製造方法は、前記反応式(1)から反応式(3)の3つの工程を含んでいる。本発明の好ましい製造方法は、下記反応式(1a)
Figure 2011002038
〔反応式(1a)中の符号R'''の意味は、前記と同じである。〕、
下記反応式(2a)
Figure 2011002038
〔反応式(2a)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕、及び
下記反応式(3a)
Figure 2011002038
〔反応式(3a)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
の3つの工程を含むものである。
本発明の代表的な製造方法は、下記反応式(1b)
Figure 2011002038
〔反応式(1b)中の符号R’’’の意味は、前記と同じである。〕、
下記反応式(2b)
Figure 2011002038
〔反応式(2b)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕、及び
下記反応式(3b)
Figure 2011002038
〔反応式(3b)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
の3つの工程を含むものである。
本発明の製造方法により得られる4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物は、下記式(VII)
Figure 2011002038
〔式(VII)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される化合物である。
4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物は、下記式(IX)
Figure 2011002038
〔式(IX)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物であることが好ましい。
4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物は、下記式(XI)
Figure 2011002038
〔式(XI)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物であることがより好ましい。
4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物の好適な具体例としては、式(I)の説明において挙げた化合物1〜化合物8などがある。
4.式(II)で表されるジアリールアミン化合物
本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(II)で表されるジアリールアミン化合物は、
Figure 2011002038
〔式(II)中、
- A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
で表されるジアリールアミン化合物である。
式(II)において、好ましくは、
- 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
- 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
- 前記R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
で表されるジアリールアミン化合物を選択することができる。
さらに好ましくは、式(II)において、前記R及びRは、水素原子であるジアリールアミン化合物を選択することができる。
本発明の老化防止剤に用いることができる式(II)で表されるジアリールアミン化合物は、式(II)を満足するものであれば限定されないが、優れた耐熱性向上の効果を奏する点で、特に、好ましい化合物としては、以下の化合物9がある。
化合物9
Figure 2011002038
5.式(II)で表されるジアリールアミン化合物の製造方法
本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(II)で表されるジアリールアミン化合物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、第1段階で、4−アミノジフェニルアミンに、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を、溶液中で反応させて、ジフェニルアミンとノルボルネン系化合物がイミド結合した中間体を製造し、次いで、第2段階で、ノルボルネンのC=C結合を水素化して、ノルボルナンとして目的化合物を製造する方法により、簡単に製造することができる。
6.式(III)で表されるジアリールアミン化合物
本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(III)で表されるジアリールアミン化合物は、
式(III)
Figure 2011002038
式(III)中、
- Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の環状脂肪族基を表す。
- Lは、1または2を表し、nは、0または1である。
- 以下の式(iii−1)は、以下の式(iii−2)である。
式(iii−1)
Figure 2011002038
式(iii−2)
Figure 2011002038
- X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
- R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
- 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
- R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
で表されるジアリールアミン化合物である。
式(III)で表されるジアリールアミン化合物として、好ましくは、前記Aが、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい五員環環状脂肪族基、置換基を有していてもよい六員環環状脂肪族基、及び置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプチル基からなる群より選ばれる1種であるジアリールアミン化合物を選択することができる。
ここで前記Aにおける置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアラルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−NR、または−O−C(=O)−NRが好ましく選択される。ここで、R及びRは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表し、該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。なお、R及びRは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記Aにおける置換基としてより好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアラルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−ORである。ここで、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。
更に好ましくは、前記Aにおける置換基が、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、−C(=O)−ORである。ここで、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の芳香族基を表す。
なかでも、式(III)で表されるジアリールアミン化合物において、前記Aが、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、該置換基はフェニル基と、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、または、−C(=O)−を介して結合していることが好ましい。
更にまた、式(III)で表される化合物において、前記式(iii−2)中のX〜Xが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであることが好ましい。
本発明の式(III)で表されるジアリールアミン化合物において、優れた耐熱性向上の効果を奏する点で、より好ましい化合物としては、以下の化合物10〜26がある。なお、これらの化合物には、本発明の式(I)または(II)で表されるジアリールアミン化合物と重複するものもある。
化合物10
Figure 2011002038
化合物11
Figure 2011002038
化合物12
Figure 2011002038
化合物13
Figure 2011002038
化合物14
Figure 2011002038
化合物15
Figure 2011002038
化合物16
Figure 2011002038
化合物17
Figure 2011002038
化合物18
Figure 2011002038
化合物19
Figure 2011002038
化合物20
Figure 2011002038
化合物21
Figure 2011002038
化合物22
Figure 2011002038
化合物23
Figure 2011002038
化合物24
Figure 2011002038
化合物25
Figure 2011002038
化合物26
Figure 2011002038
これらの中でも、特に好ましい化合物は、以下の化合物10である。
化合物10
Figure 2011002038
老化防止剤に適するこれらの化合物の分子量とN−Hの水素に起因するシグナルの値を表1−1に示す。また、従来から老化防止剤として知られているジフェニルアミン系化合物についても、分子量とN−Hの水素に起因するシグナルの値を表1−2に示す。
Figure 2011002038
Figure 2011002038
7.式(III)で表されるジアリールアミン化合物の製造方法
本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有し、式(III)で表されるジアリールアミン化合物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよい4−アミノジフェニルアミンとジカルボン酸無水物とを酢酸に溶解し、加熱還流下に反応させてイミド環を形成する反応を経由することにより、目的化合物を容易に製造することができる。
8.老化防止剤
本発明の新規なジアリールアミン化合物は、ポリマー等の有機材料の老化防止剤として使用できる。本発明のジアリールアミン化合物は、ポリマー用の老化防止剤として使用すると好ましいものである。適用することができるポリマー材料は、特に限定されるものではなく、ゴム、ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド等、耐熱性が求められる用途に使用されてきたポリマー材料に適用することができる。中でも、近年従来に比べより高い耐熱性が求められるようになってきたゴムやポリオレフィンに対して好適に使用することができる。
本発明の化合物を、ポリマー用老化防止剤として使用する場合、本発明の化合物をポリマーに配合する方法は特に限定されず、ポリマーラテックス中やポリマー溶液中に添加してから凝固することにより配合したり、最終製品を製造する工程までの任意の段階で配合したりすればよい。具体的には、ポリマーペレット製造の段階でもよいし、混練りの段階でもよいし、成形機に投入する段階でもよく、要は、本発明の化合物をポリマーの中に十分均一に分散させることができるように配合時期を選択すればよい。
本発明の化合物をポリマー用老化防止剤として使用する場合、本発明の化合物の配合量は、ポリマー100gに対して、本発明の化合物が、0.5〜100mmol、好ましくは1〜50mmol、特に好ましくは2〜30mmolでよい。本発明の化合物の配合量が、0.5mmolより少ないと老化防止剤としての効果が奏されず、100mmolより多いと、老化防止剤としての効果の向上はみられず、他方、ブリードアウトや成形品の変色が生じる可能性があり好ましくない。また、本発明の化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、発明の効果を損なわない範囲で、従来から用いられている老化防止剤と組み合わせて用いることができる。
9.ポリオレフィン
本発明のジアリールアミン化合物、特に、式(I)または式(II)で表されるジアリールアミン化合物は、ポリオレフィンに老化防止剤として配合することによって、該ポリオレフィンを、従来に比べより高温で使用可能にすることができる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー等のうち、耐熱性が求められる分野に使用されるポリオレフィンが挙げられ、特に耐熱性材料として知られ、半導体等の実装部品、車輛部品や土木建築用部材等の分野に用いられているシクロオレフィンポリマーに適用することによって、従来に比べより高温環境下で使用できるようになる。
なかでも、シクロオレフィンポリマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有するシクロオレフィンモノマーを重合することで得られるものであり、本発明による老化防止剤を好ましく使用することができる。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーである。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
シクロオレフィンポリマーの重合方法は、塊状重合でも溶液重合でもよいが、シクロオレフィンモノマーをメタセシス触媒を使用して塊状開環重合することが好ましい。
10.ゴム
本発明のジアリールアミン化合物を適用することができるゴムは、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(ニトリルゴム)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどの共役ジエン単位が含まれるゴム;アクリルゴム;ヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム;などが挙げられる。これらのゴムは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、アミノ基及びエポキシ基などを有していてもよい。また、これらのゴムは水素化されていてもよく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム水素添加物(水素化ニトリルゴム)が挙げられる。これらのゴムは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に、高い耐熱性が求められるアクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムに適用することが耐熱性の改善効果の観点から好ましい。
(アクリルゴム)
本発明で用いるアクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50〜100重量%、架橋性単量体単位10〜0重量%、及び必要に応じこれらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能なその他の単量体の単位50〜0重量%を有する。なお、本発明では、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、及びメタクリル酸のことを示す(以下、同様)。
アクリルゴムの主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、特に限定されないが、例えば、好ましいものとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、及びアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、及び(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチル、及びアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
アクリルゴム中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜95重量%、更に好ましくは70〜95重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、ゴム架橋物の耐候性、耐熱性、及び耐油性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の内訳は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%、及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%であることが好ましい。
架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体としては、特に限定されないが、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体;ハロゲン原子を有する単量体;エポキシ基を有する単量体;ジエン単量体;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、及び炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルなどが挙げられる。
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;などが挙げられる。
これらの中でも、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル、または脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、及びマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましい。
これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。なお、上記単量体のうち、ジカルボン酸には、無水物として存在しているものも含まれる。
ハロゲン原子を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピルなどが挙げられる。
ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテルなどが挙げられる。
ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトンなどが挙げられる。
ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレン、p−ビス(クロロメチル)スチレンなどが挙げられる。
ハロゲン含有不飽和アミドとしては、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステルなどが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、及びエポキシ基含有エーテルなどを挙げることができる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。エポキシ基含有エーテルとしては、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ジエン単量体としては、共役ジエン単量体、及び非共役ジエン単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどを挙げることができる。非共役ジエン単量体としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタジエニルエチルなどを挙げることができる。
これらの架橋性単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。アクリルゴム中のこれらの架橋性単量体に由来する架橋性単量体単位の量は、0〜10重量%が好ましく、0.5〜7重量%がより好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。これらの架橋性単量体単位の量が多すぎると、ゴム架橋物の伸びが低下したり、圧縮永久歪率が増大したりする可能性がある。逆に、少なすぎると、架橋が不十分で良好な機械的特性が得られなかったり、成形品の表面肌が滑らかさに欠けたりするおそれがある。
また、前記したその他の単量体の単位を構成するその他の単量体としては、特に限定されないが、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(以下、「多官能アクリル単量体」ということがある。)、オレフィン系単量体、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンなどが挙げられる。ビニルエーテル化合物としては、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルがより好ましい。
その他の単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。アクリルゴム中のその他の単量体の単位の量は、0〜50重量%が好ましく、0〜40重量%がより好ましく、0〜30重量%が更に好ましい。
本発明で用いるアクリルゴムは、上記各単量体を含んでなる単量体(混合物)を重合することにより得ることができる。重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性などから、従来公知のアクリルゴムの製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合は通常0〜70℃、好ましくは5〜50℃の温度範囲で行われる。
このようにして製造される、本発明で用いるアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(ポリマームーニー)は、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜70、特に好ましくは25〜60である。
(水素化ニトリルゴム)
本発明で用いることのできる水素化ニトリルゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、及び共役ジエン単量体単位、並びに、必要に応じて加えられる前記単量体単位を形成する単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する単量体単位を有するニトリルゴムを水素化(水素添加反応)したものである。水素化ニトリルゴムは、共役ジエン単量体単位が有する炭素−炭素不飽和結合の少なくとも一部を水素化したものであることから、耐熱性、耐サワーガソリン性、耐オゾン性に優れるゴムとして知られ、シール・ホース・パッキンをはじめとする用途において高温での高機能性材料であることが知られている。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいが、複数種を併用してもよい。水素化ニトリルゴム中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは12〜55重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量によって、耐油性、耐寒性、耐熱性、耐サワーガソリン性及び耐オゾン性等の性質が異なり、用途によって幅広く選択することが可能になる。
共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。水素化ニトリルゴム中の共役ジエン単量体単位(水素化されたものも含む)の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは45〜88重量%、さらに好ましくは50〜85重量%である。
また、前記したその他の単量体としては、特に限定されないが、共役ジエン単量体以外のジエン単量体、α−オレフィン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物、共重合性の老化防止剤などが例示される。これらの共重合可能なその他の単量体は、1種を単独で使用してもよく、また、複数種類を併用してもよい。
共役ジエン単量体以外のジエン単量体としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。
α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル類としては、特に限定されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのアクリレートまたはメタクリレート;メトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートまたはアルコキシアルキルメタクリレート;α−シアノエチルアクリレート、β−シアノエチルアクリレート、シアノブチルメタクリレートなどのシアノアルキルアクリレートまたはシアノアルキルメタクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ−n−ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルまたはα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体;トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレートなどのフルオロアルキル基を有するアクリレートまたはメタクリレート;フルオロベンジルアクリレート、フルオロベンジルメタクリレートなどのフッ素置換ベンジルアクリレートまたはフッ素置換ベンジルメタクリレート;などが例示される。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが例示される。フッ素含有ビニル系単量体としては、特に限定されないが、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−(トリフルオロ)メチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが例示される。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸などが例示される。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、特に限定されないが、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが例示される。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物としては、特に限定されないが、無水マレイン酸などが例示される。それらの中でもアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
共重合性の老化防止剤としては、特に限定されないが、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
水素化ニトリルゴム中の、その他の単量体に由来する単量体単位の含有量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%である。
上記ニトリルゴムの製造方法は特に限定されない。一般的には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及び必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が簡便で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御が容易なことから乳化重合法が好ましい。
製造されたニトリルゴムを水素化して水素化ニトリルゴムとすることによって、耐熱性、耐サワーガソリン性及び耐オゾン性が更に向上する。水素化(水素添加反応)を行う方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。水素化ニトリル系ゴムのヨウ素価(JIS K6235に準じて測定)も特に限定されず、好ましくは120以下、より好ましくは60以下、さらに好ましくは30以下である。ヨウ素価が高すぎると、耐熱性が悪くなる。水素化ニトリルゴムのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕(ポリマームーニー)は、好ましくは15〜200、より好ましくは30〜150、特に好ましくは45〜120である。水素化ニトリルゴムのムーニー粘度が低すぎるとゴム架橋物の機械的特性が低下するおそれがあり、逆に、ムーニー粘度が高すぎると加工性が低下する可能性がある。
11.ポリマー組成物、及びゴム組成物
本発明のポリマー組成物は、式(I)〜(III)で表されるジアリールアミン化合物とポリマーとを含むポリマー組成物である。本発明においては、該ポリマーがゴムであるポリマー組成物、すなわちゴム組成物が提供され、特に、ゴムがアクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムであるゴム組成物が提供される。本発明のゴム組成物は、ゴム、特に前記アクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムに、前記一般式(I)〜(III)で表される化合物と、架橋剤とを含有する。
本発明のゴム組成物を、ゴムがアクリルゴムであるゴム組成物、すなわちアクリルゴム組成物を例にあげて説明するが、水素化ニトリルゴムについても同様のことがいえる。アクリルゴム100重量部に対し、老化防止剤として、本発明の一般式(I)〜(III)で表される化合物0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜25重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部を含有する。また、モル基準では、アクリルゴム100gに対し、老化防止剤として、本発明の一般式(I)〜(III)で表される化合物0.5〜100mmol、好ましくは1〜50mmol、特に好ましくは2〜30mmolを含有する。本発明の一般式(I)〜(III)で表される化合物の含有量が、前記範囲内より少ないと、老化防止剤としての効果が奏されず、一方、前記範囲内より多いと、ブリードアウトや成形品の変色が生じる可能性があり好ましくない。本発明の一般式(I)〜(III)で表される化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、発明の効果を損なわない範囲で、従来から用いられている老化防止剤と組み合わせて用いることができる。
本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、本発明の一般式(I)〜(III)のいずれかの式で表される化合物を、アクリルゴムに配合する方法は、特に限定されず、例えば、ポリマーラテックス中やポリマー溶液中に添加してから凝固することにより配合したり、最終製品を製造する工程までの任意の段階で配合すればよい。具体的には、ポリマーペレット製造の段階でもよいし、混練りの段階でもよいし、成形機に投入する段階でもよく、要は、本発明の化合物をポリマーの中に十分均一に分散させることができるように配合時期を選択すればよい。
本発明のアクリルゴム組成物は、架橋剤をアクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは0.3〜12重量部含有する。架橋剤の含有量が少なすぎると架橋が充分に行われないため、得られるゴム架橋物の形状維持が困難になり、多すぎると得られるゴム架橋物が硬くなりすぎる場合がある。
特に好ましいのは、アクリルゴム100重量部と、本発明の一般式(I)で表される化合物に属する以下の式(XII)
Figure 2011002038
〔式(XII)中、A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。〕で表される化合物、または、同じく本発明の一般式(II)で表される化合物に属する以下の式(XIII)
Figure 2011002038
〔(XIII)式中、A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕で表される化合物0.1〜50重量部と、架橋剤0.05〜20重量部とを含有するアクリルゴム組成物である。
アクリルゴム組成物には、アクリルゴム、老化防止剤、及び架橋剤以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤を配合することができる。このような配合剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカなどの補強性充填剤;炭酸カルシウムやクレーなどの非補強性充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋促進剤、架橋遅延剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
アクリルゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明で用いるアクリルゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などの樹脂;などを配合することができる。なお、上記ゴム、エラストマー、および樹脂の合計配合量は、本発明で用いるアクリルゴム100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは10重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。
アクリルゴム組成物の調製にあたっては、アクリルゴムと、老化防止剤、架橋剤、およびその他の配合剤とをバンバリーミキサーやニーダーなどで混合・混練し、次いで、混練ロールを用いて、さらに混練することが好ましい。各成分の配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合することが好ましい。老化防止剤のアクリルゴム組成物への配合方法は、先に述べたように、特に限定されない。
本発明のアクリルゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4、100℃)(コンパウンドムーニー)は、好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90、特に好ましくは25〜80である。
12.ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、前記ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、所望の形状に対応した成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、架橋反応によりゴム架橋物としての形状を固定化することにより得ることができる。その際には、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、130〜220℃、好ましくは150〜190℃であり、架橋時間は、通常、2分〜2時間、好ましくは3分〜1時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで充分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
このようにして得られるゴム架橋物は、前記本発明のゴム組成物、特に、アクリルゴム組成物を用いて得られるものであるため、耐熱性に優れるものである。
13.押出成形品、シール部材
本発明のゴム組成物、特に、アクリルゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物は、その特性を活かして、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウェルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧機器用シールなどの各種シール;シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックまたはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジエーターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;として好適に用いられ、特に、過酷な高温下で使用されるホースなどの押出成形品、およびガスケット、シールなどのシール部材用途に、好適に用いられる。
以下に、本発明の重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、式(I)〜(III)で表されるジアリールアミン化合物の製造例(合成方法)、並びに、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれら製造例及び実施例に限定されるものではない。
1.式(I)で表されるジアリールアミン化合物の製造例
〔製造例1〕
(化合物1の合成方法)
化合物1
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Aの合成
中間体A
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、無水トリメリット酸80g(0.42mol)、及び4−アミノジフェニルアミン76.7g(0.42mol)を、酢酸1リットルに溶解した。この溶液をオイルバスにて10時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水2リットルに投入し、固体を析出させた。その後、析出した固体を吸引ろ過した。ろ物を水、メタノールの順で洗浄した後、真空乾燥機で乾燥させ、黄緑色固体を138.5g得た(収率:92%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、THF−d8、TMS、δppm):6.97(t、1H、J=7.0Hz)、7.24−7.28(m、4H)、7.33−7.36(m、2H)、7.40−7.42(m、2H)、7.68(s、1H)、8.11(d、1H、J=8.5Hz)、8.56−8.58(m、2H)、12.20(bs、1H)。
ステップ2:化合物1の合成
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体A10g(0.028mol)、4−ヒドロキシビフェニル5.7g(0.033mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて14時間反応を行った。反応終了後、反応液を水に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、メタノール1リットルに徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。さらに再度、得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに溶解させ、メタノール1リットルに徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られたろ物を真空乾燥機で乾燥させ、黄色固体を12.1g得た(収率:85%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.92(t、1H、J=7.5Hz)、7.25(d、2H、J=7.5Hz)、7.29−7.33(m、4H)、7.41−7.44(m、3H)、7.52(t、2H、J=8.0Hz)、7.57(d、2H、J=9.0Hz)、7.77(dd、2H、J=1.0Hz、8.5Hz)、7.87(d、2H、J=11.5Hz)、8.22(d、1H、J=13.5Hz)、8.49(s、1H)、8.58−8.59(m、1H)、8.71(dd、1H、J=1.5Hz、7.5Hz)。
(化合物2の合成方法)
化合物2
Figure 2011002038
化合物1の合成におけるステップ2において、4−ヒドロキシビフェニルを4−α−クミルフェノール7.1g(0.033mol)に代えた以外は同様にして合成し、黄緑色固体を得た(収率:81%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):1.71(s、6H)、7.00(t、1H、J=7.0Hz)、7.12−7.33(m、18H)、8.07(dd、1H、J=0.5Hz、8.0Hz)、8.60(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.72−8.73(m、1H)。
(化合物3の合成方法)
化合物3
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Aは化合物1の合成ステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物3の合成
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体A10g(0.028mol)、2−フェニルフェノール5.7g(0.033mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて12時間反応を行った。反応終了後、反応液を水/メタノール=1:1の混合溶剤に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、オレンジ色の固体10.7gを得た(収率:75%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):5.88(s、1H)、6.99(t、1H、J=7.5Hz)7.13−7.15(m、4H)、7.25−7.50(m、13H)、7.98(d、1H、J=8.0Hz)、8.40(dd、1H、J=1.5Hz、7.5Hz)、8.54−8.55(m、1H)。
(化合物4の合成方法)
化合物4
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Aは化合物1の合成ステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物4の合成
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体A10g(0.028mol)、2−ナフトール4.8g(0.033mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて12時間反応を行った。反応終了後、反応液をメタノールに投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、緑色固体7.4gを得た(収率:55%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.93(t、1H、J=7.0Hz)7.24−7.33(m、6H)、7.43(d、2H、J=8.5Hz)、7.58−7.66(m、3H)、8.01−8.07(m、3H)、8.13(d、1H、J=9.0Hz)、8.24(d、1H、J=8.0Hz)、8.49(s、1H)、8.62(d、1H、J=1.0Hz)、8.74(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)。
(化合物5の合成方法)
化合物5
Figure 2011002038
化合物4の合成におけるステップ2において、2−ナフトールを4−ヒドロキシジフェニルアミン6.2g(0.033mol)に代えた以外は同様にして合成し、黄緑色の固体を得た(収率:45%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.84(t、1H、J=7.0Hz)、6.93(t、1H、J=7.0Hz)、7.21(d、2H、J=7.0Hz)、7.24−7.34(m、12H)、7.42(d、2H、J=7.0Hz)、8.21(d、1H、J=8.0Hz)、8.32(s、1H)、8.49(s、1H)、8.55(s、1H)、8.67(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物6の合成方法)
化合物6
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Aは化合物1の合成ステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物6の合成
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体A10g(0.028mol)、4−tert−ブチルフェノール5.0g(0.033mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて20時間反応を行った。反応終了後、反応液を水:メタノール=1:1の混合溶剤に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、水:メタノール=1:1の混合溶剤に徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、黄緑色固体5.9gを得た(収率:43%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):1.30(s、9H)、6.89(t、1H、J=7.5Hz)、7.15−7.19(m、4H)、7.28−7.31(m、6H)、7.51(d、2H、J=9.0Hz)、8.16(d、1H、J=7.5Hz)、8.44(s、1H)、8.47(s、1H)、8.58(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物7の合成方法)
化合物7
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Aは化合物1の合成ステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物7の合成
冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体A10g(0.028mol)、4−シアノフェノール3.9g(0.033mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて18時間反応を行った。反応終了後、反応液をメタノール1.5リットルに投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、再度メタノール1リットルに徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、オレンジ色の固体9.9gを得た(収率:77%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):6.89(t、1H、J=7.5Hz)、7.14−7.19(m、4H)、7.27−7.31(m、4H)、7.66(d、2H、J=9.0Hz)、8.03(d、2H、J=9.0Hz)、8.17(d、1H、J=8.0Hz)、8.43(s、1H)、8.51(d、1H、J=1.0Hz)、8.60(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物8の合成方法)
化合物8
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Bの合成
中間体B
Figure 2011002038
2つ口反応器に窒素気流中、4−ヨードベンゾトリフルオリド40.00g(147.1mmol)、及び4−ニトロアニリン30.47g(220.6mmol)をジメチルスルホキシド150mlに溶解させた。この溶液に酸化銅(II)11.70g(147.1mmol)、及び水酸化カリウム12.38g(220.6mmol)を加え、110℃にて8時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水1000ml、及び飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:テトラヒドロフラン =9:1)により精製することで、中間体Bを18.20g得た(収率44%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):6.47(s、1H)、7.09(d、2H、J =9.0 Hz)、 7.27(d、2 H、J =8.5Hz)、 7.62(d、2 H、J =8.5 Hz)、8.18(d、2 H、J =9.0 Hz)。
ステップ2:中間体Cの合成
中間体C
Figure 2011002038
3つ口反応器に中間体B17.15g(60.76mmol)を加えて、メタノール600mlに溶解させた。この溶液に5%パラジウム炭素(STD品、含水品、エヌイーケムキャット社製)を3.77g加え、水素微加圧下5時間反応させた。その後、反応液をろ過助剤を敷いた桐山ロートでろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル =4:1)により精製することで、中間体Cを13.84g得た(収率90%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):3.63(s、2H)、5.65(s、1H)、6.69(d、2 H、J =9.0Hz)、6.79(d、2 H、J =8.5Hz)、6.99(d、2H、J =9.0Hz)、7.38(d、2H、J =8.5 Hz)。
ステップ3:中間体Dの合成
中間体D
Figure 2011002038
温度計を備えた3つ口反応器に窒素気流中、4-フェニルフェノール16.17g(94.98mmol)、ピリジン7.51g(94.98mmol)をテトラヒドロフラン200mlに溶解させた。その後、無水トリメリット酸クロリド20g(94.98mmol)を反応液の温度が40℃以上にならないように少量ずつ加えた。室温にて2時間反応させ、メタノール800mlを加えて析出した結晶をろ過し、メタノールでリンスした。得られた結晶を真空乾燥させることで、中間体Dを白色固体として21.18g得た。(収率65%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):7.40(t、1H、J =7.5Hz)、7.47−7.51(m、4H)、7.70−7.73(m、2H)、7.80(d、2H、J =9.0 Hz)、8.30(dd、1H、J =1.5Hz、8.0Hz)、8.64(m、1H)、8.67(dd、1H、J =1.5Hz、8.0 Hz)。
ステップ4:化合物8の合成
2つ口反応器に窒素気流中、中間体C8.0g(31.47mmol)、及び中間体D13.0g(37.76mmol)を酢酸250mlに溶解させた。室温で1時間、さらに過熱還流条件下3時間反応させた後、反応液を室温に戻してメタノール500mlを加えた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を1−メチル−2−ピロリドン200gに加えて、100℃に加熱し完全に溶解させた。その均一となった溶液にメタノール:酢酸エチル=1:1の混合溶媒400gを加え、析出した結晶をろ過し、真空乾燥させることで、淡黄色固体として化合物8を18.35g得た(収率86%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):7.25(d、2H、J=8.5Hz)、7.32(d、2H、J=8.5 Hz)、7.38−7.43m、3H)、7.48−7.52(m、4H)、7.57(d、2H、J=9.0Hz)、7.72(d、2H、J=7.0Hz)、7.80(d、2H、J=8.5Hz)、8.19(dd、1H、J=1.0Hz、8.0 Hz)、8.53(dd、1H、J=1.0Hz、1.5Hz)、8.63(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.94(s、1H)。
〔製造例2:ワンポット法による化合物1の合成〕
下記反応式(4)
Figure 2011002038
に従って、ワンポット法により、同じ有機溶剤を用いて、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物である化合物1を、ワンポット法による合成実施例1〜3により合成した。
参考例1として、2ポット法により、各工程で使用する有機溶剤の種類を代えて、反応を行った。さらに、参考例2及び3として、以下の反応式(5)に従って反応を行った。
反応式(5)
Figure 2011002038
(化合物1の合成実施例1)
化合物1の合成実施例1は、前記反応式(4)において、R=ビフェニルである下記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物
化合物1
Figure 2011002038
のワンポット法による合成例である。
冷却器、温度計、及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、N,N−ジメチルホルムアミド80gとo−キシレン720gとを加えて攪拌した。この混合溶剤(混合比=10:90)中に、4−フェニルフェノール64.8g(380mmol)、及び無水トリメリット酸クロリド80.0g(380mmol)を順次加え、次いで、反応溶液の内温が30℃を超えないように、トリエチルアミン42.3g(418mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに内温30〜35℃で2時間反応させた。その後、4−アミノジフェニルアミン70g(380mmol)を加え、加熱還流条件下で3時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を55℃まで冷却し、その時点で、メタノール200gを加えて、反応生成物を析出させた。析出した固体の反応生成物を吸引濾過し、次いで、ろ物をメタノール80gで洗浄した。得られたろ物を真空乾燥機で乾燥し、黄色固体を162.9g得た(収率=84%)。反応生成物の化学構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.92(t、1H、J=7.5Hz)、7.25(d、2H、J=7.5Hz)、7.29−7.33(m、4H)、7.41−7.44(m、3H)、7.52(t、2H、J=8.0Hz)、7.57(d、2H、J=9.0Hz)、7.77(dd、2H、J=1.0Hz、8.5Hz)、7.87(d、2H、J=11.5Hz)、8.22(d、1H、J=13.5Hz)、8.49(s、1H)、8.58−8.59(m、1H)、8.71(dd、1H、J=1.5Hz、7.5Hz)。
(化合物1の合成実施例2)
合成実施例1において反応溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミドとo−キシレンとの混合溶剤を、o−キシレンの単一溶剤に代えて、同様の操作により、前記反応式(4)において、R=ビフェニルである上記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物(化合物1)をワンポット法によって合成した。
(化合物1の合成実施例3)
合成実施例1において反応溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミドとo‐キシレンとの混合溶剤を、メチルイソブチルケトンに代えて、同様の操作により、前記反応式(4)において、R=ビフェニルである上記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物(化合物1)をワンポット法によって合成した。
(参考例1)
以下の2ポット法により、前記反応式(4)において、R=ビフェニルである上記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物(化合物1)を合成した。
ステップ1:
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、テトラヒドロフラン200mlを投入し、次いで、攪拌しながら4−フェニルフェノール16.17g(94.98mmol)、及びピリジン7.51g(94.98mmol)を加えて、該テトラヒドロフランに溶解させた。次いで、無水トリメリット酸クロリド20g(94.98mmol)を、反応溶液の温度が40℃以上にならないように、少量ずつ加えた。その後、室温にて2時間反応させた。
反応終了後、反応溶液にメタノール800mlを加えて、反応生成物を析出させた。次に、析出した結晶を濾過し、メタノールでリンスした。得られた結晶を真空乾燥させて、中間体Eを白色固体として21.18g得た(ステップ1における収率:65%)。この中間体Eは、下記式(6)
中間体E(式(6))
Figure 2011002038
で表される4位にエステル基を有する無水フタル酸誘導体である。該中間体Eの化学構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):7.40(t、1H、J =7.5Hz)、7.47−7.51(m、4H)、7.70−7.73(m、2H)、7.80(d、2H、J =9.0 Hz)、8.30(dd、1H、J =1.5Hz、8.0Hz)、8.64(m、1H)、8.67(dd、1H、J =1.5Hz、8.0 Hz)。
ステップ2:
2つ口反応器で、窒素気流中、4‐アミノジフェニルアミン8.0g(31.47mmol)、及び該中間体E13.0g(37.76mmol)を酢酸250mlに溶解させた。室温で1時間、さらに加熱還流条件下で3時間させた。反応終了後、反応溶液を室温に戻して、メタノール500mlを加えた。析出した結晶を濾過した。得られた結晶をN-メチル‐2‐ピロリドン200gに加えて、100℃に加熱して、完全に溶解させた。得られた均一溶液に、メタノール:酢酸エチル=1:1の混合溶媒400gを加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、真空乾燥させて、淡黄色固体として生成物18.35gを得た(ステップ2における収率:86%)。この生成物は、R=ビフェニルである3位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物であった。ステップ1及びステップ2を経て得られた該化合物のトータル収率は、56%であった。
(参考例2)
以下の2ポット法により、前記反応式(5)において、R=ビフェニルである上記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物(IV−c)を合成した。
ステップ1:
冷却器、及び温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、無水トリメリット酸80g(0.42mol)と4−アミノジフェニルアミン76.7g(0.42mol)を酢酸1リットルに溶解した。この溶液をオイルバスにて10時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水2リットルに投入し、反応生成物を析出させた。その後、析出した固体の反応生成物を吸引濾過した。ろ物を、水、及びメタノールの順で洗浄した後、真空乾燥機で乾燥し、黄緑色固体として精製した反応生成物138.5g得た(ステップ1における収率:92%)。このようにして、下記式(7)
式(7)
Figure 2011002038
で表される4位にカルボキシル基を有するN−(4−フェニルアミノフェニル)−フタルイミド化合物からなる中間体Fを合成した。該中間体Fの化学構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(500MHz、THF−d8、TMS、δppm):6.97(t、1H、J=7.0Hz)、7.24−7.28(m、4H)、7.33−7.36(m、2H)、7.40−7.42(m、2H)、7.68(s、1H)、8.11(d、1H、J=8.5Hz)、8.56−8.58(m、2H)、12.20(bs、1H)。
ステップ2:
冷却器、及び温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記中間体F10g(0.028mol)、4−ヒドロキシビフェニル5.7g(0.033mol)、及びN,N‐ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN‐メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に、室温下にて、縮合剤として1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて14時間反応を行った。
反応終了後、反応溶液を水に投入して、反応生成物を析出させた。析出した固体の反応生成物を吸引濾過した。得られた固体をN‐メチル‐2‐ピロリドン100mlに再度溶解させた。得られた溶液を、メタノール1リットル中に徐々に投入して、固体を析出させた。析出した固体を吸引濾過し、ろ物をメタノールで洗浄した。さらに再度、得られた固体をN‐メチル‐2‐ピロリドン100mlに溶解させ、次いで、溶液をメタノール1リットル中に徐々に投入して、固体を析出させた。析出した固体を吸引濾過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られたろ物を真空乾燥機で乾燥し、精製した反応生成物(化合物1)12.1gを得た(ステップ2における収率:85%)。ステップ1及びステップ2を経て得られた該化合物1のトータル収率は、78%であった。
(参考例3)
以下の2ポット法により、前記反応式(5)において、R=ビフェニルである上記の4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物を合成した。
ステップ1:
参考例2と同様にして、前記式(7)で表される中間体Fを合成した。
ステップ2:
冷却器、温度計、及び滴下漏斗を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、該中間体F10g(0.028mol)をN‐メチル‐2‐ピロリドン150mlに溶解した。この溶液に、室温にてp−トルエンスルホニルクロリド5.59g(0.029mol)を加え、トリエチルアミン3.1g(0.031mol)をゆっくりと滴下した後、2時間反応させた。その後、反応溶液に、2‐フェニルフェノール3.8g(0.023mol)、トリエチルアミン2.8g(0.00.028mol)、及びN,N‐ジメチルアミノピリジン340mg(0.0028mol)を順次に加え、その後、室温にて2時間反応させた。
反応終了後、反応溶液にメタノール4.5g(0.14mol)を加え1時間攪拌した。次いで、反応溶液をメタノール:酢酸エチル=1:2(容量比)の混合溶媒300gに投入して、固体を析出させた。析出した固体を吸引濾過し、ろ物をメタノールで洗浄した。さらに再度、得られた固体をN‐メチル‐2‐ピロリドン100mlに溶解させた。この溶液を、メタノール1リットル中に徐々に投入して、固体を析出させた。析出した固体を吸引濾過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られたろ物を真空乾燥機で乾燥し、精製した化合物(化合物1)11.5gを得た(ステップ2における収率:81%)。ステップ1及びステップ2を経て得られた該化合物1のトータル収率は、75%であった。
合成実施例1〜3及び参考例1〜3の結果を、表2にまとめて示す(表2においては、「合成実施例」を、単に「実施例」と表記している。)。化合物の純度は、高速液体クロマトグラフィにて測定した。
(高速液体クロマトグラフィの条件)
高速液体クロマトグラフィーは、以下の条件で測定した。
・装置: アジレント社製1100シリーズ
・溶離液: アセトニトリル:THF:水(バッファー:リン酸二水素カリウム 5mM)=65:15:20(容積比)
・カラム: アジレント社製 ZERBAX Eclipse XDB−C18(登録商標)(4.6mmφ×250mm長)
・温度: 40℃
・流速: 1ml/分
・検出UV: 254nm
Figure 2011002038
脚注: 反応試薬・溶剤コストは、使用する反応試薬の価格と有機溶剤の使用量に基づいて、以下の基準で評価した。
A: 相対的に低コストである。
B: 高価な反応試薬及び/または多量の有機溶剤の使用が必要である。
参考例1は、エステル化反応後の後処理において、精製ロスが大きいため、収率が悪くなる。参考例2及び3では、原料としてトリメリット酸無水物を用いてイミド化した後にエステル化する方法を採用している。この方法では、イミド化により得られる中間体の有機溶剤に対する溶解性が悪いことから、2ステップ目の反応で、有機溶剤のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を大量に使用する必要がある。この結果、溶剤コストが上がるだけでなく、精製工程が多くなる点で、これらの2ポット法は、工業的な製造方法には適していない。
これらに対し、合成実施例1〜3では、反応終了後に濾過のみで簡便に目的物を高純度で単離することができる。さらに、反応をワンポットで実施することができるため、反応工程に要する時間が大幅に短縮され、目的とする化合物を高生産性かつ安価に製造することができる。
(化合物4の合成実施例4)
前記反応式(4)において、R'''OHのR=ナフチルである化合物4
Figure 2011002038
をワンポット法によって合成した。
合成実施例1において、4−フェニルフェノール64.8gを2−ナフトール54.8g(380mmol)に代えたこと以外は、同様に操作して、黄緑色固体を得た(収率:75%)。該黄緑色固体は、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物4(IV−f)であった。反応生成物の化学構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.93(t、1H、J=7.0Hz)7.24−7.33(m、6H)、7.43(d、2H、J=8.5Hz)、7.58−7.66(m、3H)、8.01−8.07(m、3H)、8.13(d、1H、J=9.0Hz)、8.24(d、1H、J=8.0Hz)、8.49(s、1H)、8.62(d、1H、J=1.0Hz)、8.74(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)。
(化合物7の合成実施例5)
前記反応式(4)において、R'''OHのR=4−シアノベンゼンである下記の化合物7
Figure 2011002038
をワンポット法によって合成した。
合成実施例1において、4−フェニルフェノール64.8gを4−シアノフェノール45.3g(380mmol)に代えたこと以外は、同様にして合成し、黄緑色固体を得た(収率:78%)。この黄緑色固体は、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物7(IV−i)であった。反応生成物の化学構造は、H−NMRにより同定した。
H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):6.89(t、1H、J=7.5Hz)、7.14−7.19(m、4H)、7.27−7.31(m、4H)、7.66(d、2H、J=9.0Hz)、8.03(d、2H、J=9.0Hz)、8.17(d、1H、J=8.0Hz)、8.43(s、1H)、8.51(d、1H、J=1.0Hz)、8.60(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
2.式(II)で表されるジアリールアミン化合物の製造例(合成方法)
〔製造例〕
(化合物9の合成方法)
化合物9
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Gの合成
中間体G
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物10g(0.061mol)、及び4−アミノジフェニルアミン11.2g(0.061mol)を酢酸500mlに溶解した。この溶液をオイルバスにて6時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水1リットルに投入し、固体を析出させた。その後、析出した固体を吸引ろ過した。ろ物を水洗した後、得られたろ物の固体、及びメタノール250mlを冷却器、温度計を備えた3つ口反応器に投入して、窒素気流中1時間加熱還流した後、水125mlを加えて、0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を吸引ろ過した。その後、ろ物の結晶をメタノール/水=2/1の混合溶剤でリンスした。得られた結晶を真空乾燥機で乾燥させ、無色固体を18.3g得た(収率:91%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):1.57−1.61(m、2H)、3.31−3.33(m、2H)、3.45(dd、2H、J=1.8Hz、2.5 Hz)、6.26(t、2H、J=1.8Hz)、6.86(t、1H、J=7.5Hz)、6.92(d、2H、J=9.0Hz)、7.07(d、2H、J=9.0Hz)、7.09(d、2H、J=8.5Hz)、7.24(dd、2H、J=7.5Hz、8.5Hz)、8.35(s、1H)。
ステップ2:化合物9の合成
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中 中間体G10.0g(0.03mol)、及び5%パラジウム炭素(STD品、含水品、エヌイーケムキャット社製)1gをテトラヒドロフラン/メタノール=2/1の混合溶剤300mlに加えて、水素ガスにて微加圧下、室温にて16時間反応を行った。反応終了後、反応液をろ過助剤を敷いた桐山ロートにて吸引ろ過した。ロータリーエバポレータで、得られたろ液から溶剤を留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン=3:2)により精製し、淡黄色固体を得た。更に、得られた淡黄色固体をトルエンで再結晶を行い、無色結晶7.3gを得た(収率:73%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):1.44−1.48(m、2H)、1.64−1.73(m、4H)、2.83−2.89(m、2H)、3.20−3.25(m、2H)、5.88(s、1H)、6.98(t、1H、J=7.5 Hz)、7.09−7.12(m、6H)、7.28(dd、2H、J=7.5Hz、8.5Hz)。
3.化合物1〜9についての実施例、及び比較例
製造例で合成したジアリールアミン化合物1〜9、及び、比較例で使用する従来のジフェニルアミン系化合物化合物の構造と分子量を表3及び表4に示す。
Figure 2011002038
Figure 2011002038
〔実施例及び比較例〕
以下、本発明の、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、式(I)または(II)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物を老化防止剤として使用するときの評価を、実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。以下において、「部」、「%」は、特に断りのない限り重量基準である。試験片の作成及び耐熱性の評価は以下のとおりである。
(試験片の作成)
ゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形、架橋して、15cm×15cm×2mmのシートを作成した。更に、このシートを170℃にて4時間加熱して二次架橋させた。このシートからダンベル状3号形の試験片を作成した。
(耐熱性の評価)
耐熱性の評価は、作成した試験片をアクリルゴム組成物は190℃の環境下で、水素化ニトリルゴム組成物は150℃の環境下で、504時間放置する前後で、JIS K6251に従い、それぞれ伸びを測定し、以下の計算式に従い、その変化率(絶対値)を計算することによって行った。
変化率がゼロに近いほど耐熱性が高いと判断され、好ましい結果となる。
計算式:
変化率(%)=|100×[(試験前の伸び(%))−(試験後の伸び(%))]/(試験前の伸び(%))|。
I.アクリルゴム組成物(実施例1〜11及び比較例1〜8)
(1)ゴム組成物の調製
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製、Nipol AR22)100重量部、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、シーストSO)60重量部、ステアリン酸2重量部、及び先の製造例によって合成した化合物1〜9の老化防止剤を表5に示す所定量加えて0.8リットルバンバリーを用いて50℃で5分間混練した後、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンカルバメート(デュポンダウエラストマージャパン社製、Diak No.1)0.5重量部、及び架橋促進剤としてジ−o−トリルグアニジン(大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーDT)2重量部をオープンロールで混練して、ゴム組成物を調製した。
比較例1は、老化防止剤を添加せず、比較例2〜8では、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤を加えてゴム組成物を調製した。
(2)耐熱性の評価
耐熱性の評価の結果を以下の表5に示す。本発明の式(I)または(II)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物を老化防止剤として使用する実施例1〜11は、190℃の環境下で504時間という過酷な条件を経ても、比較例1〜8に対比して、伸びの変化が小さいことが認められ、耐熱性が向上していることが確認できた。
また、実施例1〜3から、本発明の化合物の配合量を増すことにより、一層耐熱性が向上することが認められ、老化防止剤としての配合効果が確認できた。
Figure 2011002038
II.水素化ニトリルゴム組成物(実施例12、13及び比較例9)
(1)ゴム組成物の調製
水素化ニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製、Zetpol2000L)100重量部、FEFカーボンブラック(東海カーボン株式会社製、シーストSO)40重量部、ステアリン酸1重量部、可塑剤としてトリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(ADEKA社製、アデカサイザー C−8)5重量部、酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、亜鉛華1号)5重量部、及び表6に示す老化防止剤を規定量、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学工業株式会社製、ノクラックMBZ)1.5重量部を、0.8リットルバンバリーを用いて50℃で5分間混練した後、架橋剤として2,2′−ビス(tert−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン(ハーキュレス社製、Vul−cup 40KE)10重量部をオープンロールで混練して、実施例12及び13に供するゴム組成物を調製した。
比較例9では、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤を加えてゴム組成物を調製した。
(2)耐熱性の評価
耐熱性の評価の結果を以下の表6に示す。本発明の式(I)または(II)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物を老化防止剤として使用することにより、150℃の環境下で504時間という過酷な条件を経ても伸びの変化が小さいことから、耐熱性が向上したことが分かる。
Figure 2011002038
4.式(III)で表されるジアリールアミン化合物の製造例(合成方法)
[製造例]
化合物10〜25を以下の方法により製造した。製造例で合成した化合物のそれぞれを重ジメチルスルホキシド溶剤を用いて、H−NMRを測定した。必要に応じて13C核、H−13C COSY法を用いてN−H由来のシグナルを特定した。化合物10〜25、及び、従来から知られている老化防止剤について、分子量と、重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルとは、前述の表1−1及び表1−2にまとめたとおりである。
(化合物10の合成方法)
化合物10
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体H
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、無水トリメリット酸80g(0.42mol)及び4−アミノジフェニルアミン76.7g(0.42mol)を、酢酸1リットルに溶解した。この溶液をオイルバスにて10時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水2リットル中に投入し、固体を析出させた。その後、析出した固体を吸引ろ過した。ろ物を水、メタノールの順で洗浄した後、真空乾燥機で乾燥させ、黄緑色固体を138.5g得た(収率:92%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、THF−d8、TMS、δppm):6.97(t、1H、J=7.0Hz)、7.24−7.28(m、4H)、7.33−7.36(m、2H)、7.40−7.42(m、2H)、7.68(s、1H)、8.11(d、1H、J=8.5Hz)、8.56−8.58(m、2H)、12.20(bs、1H)。
ステップ2:化合物10の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H 10g(0.028mol)、4−ヒドロキシビフェニル5.7g(0.033mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて14時間反応を行った。反応終了後、反応液を水1.5リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、メタノール1リットル中に徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。さらに再度、得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに溶解させ、メタノール1リットル中に徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られたろ物を真空乾燥機で乾燥させ、黄色固体を12.1g得た(収率:85%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.92(t、1H、J=7.5Hz)、7.25(d、2H、J=7.5Hz)、7.29−7.33(m、4H)、7.41−7.44(m、3H)、7.52(t、2H、J=8.0Hz)、7.57(d、2H、J=9.0Hz)、7.77(dd、2H、J=1.0Hz、8.5Hz)、7.87(d、2H、J=11.5Hz)、8.22(d、1H、J=13.5Hz)、8.49(s、1H)、8.58−8.59(m、1H)、8.71(dd、1H、J=1.5Hz、7.5Hz)。
(化合物11の合成方法)
化合物11
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物11の合成
化合物10の合成におけるステップ2において、4−ヒドロキシビフェニルを、それと等モル数の4−α−クミルフェノールに替えた以外は同様にして合成し、黄緑色固体を得た(収率:81%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):1.71(s、6H)、7.00(t、1H、J=7.0Hz)、7.12−7.33(m、18H)、8.07(dd、1H、J=0.5Hz、8.0Hz)、8.60(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.72−8.73(m、1H)。
(化合物12の合成方法)
化合物12
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物12の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H 10g(0.028mol)、2−フェニルフェノール5.7g(0.033mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて12時間反応を行った。反応終了後、反応液を水/メタノール=1:1の混合溶剤2リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、オレンジ色の固体10.7gを得た(収率:75%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):5.88(s、1H)、6.99(t、1H、J=7.5Hz)7.13−7.15(m、4H)、7.25−7.50(m、13H)、7.98(d、1H、J=8.0Hz)、8.40(dd、1H、J=1.5Hz、7.5Hz)、8.54−8.55(m、1H)。
(化合物13の合成方法)
化合物13
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物13の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H 10g(0.028mol)、2−ナフトール4.8g(0.033mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて12時間反応を行った。反応終了後、反応液をメタノール1.5リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、緑色固体7.4gを得た(収率:55%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.93(t、1H、J=7.0Hz)7.24−7.33(m、6H)、7.43(d、2H、J=8.5Hz)、7.58−7.66(m、3H)、8.01−8.07(m、3H)、8.13(d、1H、J=9.0Hz)、8.24(d、1H、J=8.0Hz)、8.49(s、1H)、8.62(d、1H、J=1.0Hz)、8.74(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)。
(化合物14の合成方法)
化合物14
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物14の合成
化合物13の合成におけるステップ2において、2−ナフトールを、それと等モル数の4−ヒドロキシジフェニルアミンに替えた以外は同様にして合成し、黄緑色の固体を得た(収率:45%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMF−d7、TMS、δppm):6.84(t、1H、J=7.0Hz)、6.93(t、1H、J=7.0Hz)、7.21(d、2H、J=7.0Hz)、7.24−7.34(m、12H)、7.42(d、2H、J=7.0Hz)、8.21(d、1H、J=8.0Hz)、8.32(s、1H)、8.49(s、1H)、8.55(s、1H)、8.67(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物15の合成方法)
化合物15
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物15の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H10g(0.028mol)、4−ターシャリーブチルフェノール5.0g(0.033mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて20時間反応を行った。反応終了後、反応液を水:メタノール=1:1の混合溶剤2リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、水:メタノール=1:1の混合溶剤2リットル中に徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、黄緑色固体5.9gを得た(収率:43%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):1.30(s、9H)、6.89(t、1H、J=7.5Hz)、7.15−7.19(m、4H)、7.28−7.31(m、6H)、7.51(d、2H、J=9.0Hz)、8.16(d、1H、J=7.5Hz)、8.44(s、1H)、8.47(s、1H)、8.58(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物16の合成方法)
化合物16
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物16の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H10g(0.028mol)、4−シアノフェノール3.9g(0.033mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて18時間反応を行った。反応終了後、反応液をメタノール1.5リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、再度メタノール1リットル中に徐々に投入し固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、オレンジ色の固体9.9gを得た(収率:77%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):6.89(t、1H、J=7.5Hz)、7.14−7.19(m、4H)、7.27−7.31(m、4H)、7.66(d、2H、J=9.0Hz)、8.03(d、2H、J=9.0Hz)、8.17(d、1H、J=8.0Hz)、8.43(s、1H)、8.51(d、1H、J=1.0Hz)、8.60(dd、1H、J=1.0Hz、7.5Hz)。
(化合物17の合成方法)
化合物17
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Iの合成
中間体I
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物10g(0.061mol)、及び4−アミノジフェニルアミン11.2g(0.061mol)を酢酸500mlに溶解した。この溶液をオイルバスにて6時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水1リットル中に投入し、固体を析出させた。その後、析出した固体を吸引ろ過した。ろ物を水洗した後、得られたろ物の固体、メタノール250mlを冷却器、温度計を備えた3つ口反応器に投入して、窒素気流中1時間加熱還流した後、水125mlを加えて、0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を吸引ろ過した。その後、ろ物の結晶をメタノール/水=2/1の混合溶剤でリンスした。得られた結晶を真空乾燥機で乾燥させ、無色固体を18.3g得た(収率:91%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):1.57−1.61(m、2H)、3.31−3.33(m、2H)、3.45(dd、2H、J=1.8Hz、2.5Hz)、6.26(t、2H、J=1.8Hz)、6.86(t、1H、J=7.5Hz)、6.92(d、2H、J=9.0Hz)、7.07(d、2H、J=9.0Hz)、7.09(d、2H、J=8.5Hz)、7.24(dd、2H、J=7.5Hz、8.5Hz)、8.35(s、1H)。
ステップ2:化合物17の合成
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体I10.0g(0.03mol)、及び5%パラジウム炭素(STD品、含水品、エヌイーケムキャット社製)1gをテトラヒドロフラン/メタノール=2/1の混合溶剤300mlに加えて、水素ガスにて微加圧下、室温にて16時間反応を行った。反応終了後、反応液をろ過助剤を敷いた桐山ロートにて吸引ろ過した。得られたろ液をロータリーエバポレータで溶剤を留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン=3:2)により精製し、淡黄色固体を得た。更に、得られた淡黄色固体をトルエンで再結晶を行い、無色結晶7.3gを得た(収率:73%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):1.44−1.48(m、2H)、1.64−1.73(m、4H)、2.83−2.89(m、2H)、3.20−3.25(m、2H)、5.88(s、1H)、6.98(t、1H、J=7.5 Hz)、7.09−7.12(m、6H)、7.28(dd、2H、J=7.5Hz、8.5Hz)。
(化合物18の合成方法)
化合物18
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、無水フタル酸10g(0.068mol)、4−アミノジフェニルアミン12.4g(0.068mol)、及び酢酸500mlを加えてオイルバスにて8時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液をメタノール1リットル中に投入し、固体を析出させた。その後、析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をN−メチルピロリドン100mlに再度溶解させ、再度メタノール1リットル中に徐々に投入し固体を析出させた。真空乾燥機で乾燥させ、緑色固体を19.2g得た(収率:91%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、THF−d8、TMS、δppm):6.88(t、1H)、7.13−7.17(m、4H)、7.25−7.29(m、4H)、7.93(dd、2H、J=3.0Hz、33.5Hz)、7.93(dd、2H、J=3.0Hz、22.5Hz)、8.41(s、1H)。
(化合物19の合成方法)
化合物19
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Jの合成
中間体J
Figure 2011002038
2つ口反応器に窒素気流中、4−ヨードベンゾトリフルオリド40.00g(147.1mmol)、及び4−ニトロアニリン30.47g(220.6mmol)をジメチルスルホキシド150mlに溶解させた。この溶液に酸化銅(II)11.70g(147.1mmol)、及び水酸化カリウム12.38g(220.6mmol)を加え、110℃にて8時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水1000ml、飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:テトラヒドロフラン =9:1)により精製することで、中間体Jを18.20g得た(収率44%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):6.47(s、1H)、7.09(d、2H、J=9.0Hz)、7.27(d、2H、J=8.5Hz)、7.62(d、2H、J=8.5Hz)、8.18(d、2H、J=9.0Hz)。
ステップ2:中間体Kの合成
中間体K
Figure 2011002038
3つ口反応器に中間体J 17.15g(60.76mmol)を加えて、メタノール600mlに溶解させた。この溶液に5%パラジウム炭素(STD品、含水品、エヌイーケムキャット社製)を3.77g加え、水素微加圧下5時間反応させた。その後、反応液をろ過助剤を敷いた桐山ロートでろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル =4:1)により精製することで、中間体Kを13.84g得た(収率90%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、CDCl、TMS、δppm):3.63(s、2H)、5.65(s、1H)、6.69(d、2H、J=9.0Hz)、6.79(d、2H、J=8.5Hz)、6.99(d、2H、J=9.0Hz)、7.38(d、2H、J=8.5Hz)。
ステップ3:中間体Lの合成
中間体L
Figure 2011002038
温度計を備えた3つ口反応器に窒素気流中、4−フェニルフェノール16.17g(94.98mmol)、及びピリジン7.51g(94.98mmol)をテトラヒドロフラン200mlに溶解させた。その後、無水トリメリット酸クロリド20g(94.98mmol)を反応液の温度が40℃以上にならないように少量ずつ加えた。室温にて2時間反応させ、メタノール800mlを加えて析出した結晶をろ過し、メタノールでリンスした。得られた結晶を真空乾燥させることで、中間体Lを白色固体として21.18g得た。(収率65%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):7.40(t、1H、J=7.5Hz)、7.47−7.51(m、4H)、7.70−7.73(m、2H)、7.80(d、2H、J=9.0Hz)、8.30(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.64(m、1H)、8.67(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)。
ステップ4:化合物19の合成
2つ口反応器に窒素気流中、中間体K8.0g(31.47mmol)、及び中間体L13.0g(37.76mmol)を酢酸250mlに溶解させた。室温で1時間、さらに加熱還流条件下3時間反応させた後、反応液を室温に戻してメタノール500mlを加えた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を1−メチル−2−ピロリドン200gに加えて、100℃に加熱し完全に溶解させた。その均一となった溶液にメタノール:酢酸エチル=1:1の混合溶媒400gを加え、析出した結晶をろ過し、真空乾燥させることで、淡黄色固体として化合物19を18.35g得た(収率86%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):7.25(d、2H、J=8.5Hz)、7.32(d、2H、J=8.5 Hz)、7.38−7.43m、3H)、7.48−7.52(m、4H)、7.57(d、2H、J=9.0Hz)、7.72(d、2H、J=7.0Hz)、7.80(d、2H、J=8.5Hz)、8.19(dd、1H、J=1.0Hz、8.0 Hz)、8.53(dd、1H、J=1.0Hz、1.5Hz)、8.63(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.94(s、1H)。
(化合物20の合成方法)
化合物20
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物20の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中、中間体H 10g(0.028mol)、4−ターシャリーブチルシクロヘキサノール4.36g(0.028mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて4時間反応を行った。反応終了後、反応液を水/メタノール=1:1の混合溶剤に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、黄緑色の固体9.5gを得た(収率:68%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):8.43−8.40(m、2H)、8.29(m、1H)、8.12−8.08(m、1H)、7.29−7.25(m、4H)、7.18−7.14(m、4H)、6.89(t、1H、J=7.5Hz)、5.23(s、0.4H)、4.90−4.83(m、0.6H)、2.14−2.03(m、2H)、1.84−1.82(m、1H)、1.66−1.60(m、2H)、1.53−1.46(m、1H)、1.40−1.32(m、1H)、1.23−1.04(m、2H)0.89(s、3.6H)、0.87(s、5.4H)。
(化合物21の合成方法)
化合物21
Figure 2011002038
ステップ1:中間体Hの合成
中間体Hを、化合物10のステップ1と同様にして合成した。
ステップ2:化合物12の合成
冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた4つ口反応器に窒素気流中 中間体H 10g(0.028mol)、4−アミノジフェニルアミン5.14g(0.028mol)、及びN,N−ジメチルアミノピリジン400mg(0.0033mol)をN−メチルピロリドン150mlに溶解した。この溶液に室温下にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)6.4g(0.033mol)を加えた。その後、室温下にて16時間反応を行った。反応終了後、反応液をメタノール1.5リットル中に投入し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。さらに、得られた固体をN−メチルピロリドンに溶解させた。その溶液をメタノール1.5リットル中に投入し、固体を析出させ、析出した固体を吸引ろ過することにより精製した。淡黄色の固体12.1gを得た(収率:82%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):10.50(s、1H)、8.52(m、1H)、8.44(dd、1H、J=1.5Hz、8.0Hz)、8.43(s、1H)、8.16(s、1H)、8.10−8.09(m、1H)、7.70−7.68(m、2H)、7.31−7.26(m、4H)、7.24−7.21(m、2H)、7.19−7.14(m、4H)、7.12−7.09(m、2H)、7.07−7.05(m、2H)、6.91−6.87(m、1H)、6.82−6.79(m、1H)。
(化合物22の合成方法)
化合物22
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、4−ニトロフタル酸無水物30g(0.155mol)、及び4−アミノジフェニルアミン28.6g(0.155mol)に酢酸1リットルを加えた。この溶液をオイルバスにて4時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレータにて反応液が三分の一程度になるまで濃縮した。濃縮した反応液を水2リットル中に投入した。この溶液に発泡がなくなるまで重曹を加えた後、酢酸エチル1リットルを加えて抽出した。酢酸エチル層を分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過を行って得られた酢酸エチル層をロータリーエバポレータにて濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、紫色の固体41.9gを得た(収率:75%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):8.67(dd、1H、J=2.0Hz、8.0Hz)、8.56(d、1H、J=2.0Hz)、8.44(s、1H)、8.19(d、1H、J=8.0Hz)、7.29−7.26(m、4H)、7.19−7.14(m、4H)、6.89(t、1H、J=7.0Hz)。
(化合物23の合成方法)
化合物23
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、テトラフルオロフタル酸無水物10g(0.045mol)、4−アミノジフェニルアミン8.37g(0.045mol)に酢酸150mlを加えた。この溶液をオイルバスにて5時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、反応液を水1リットル中に投入して固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=95:5)により精製し、黄色の固体11.8gを得た(収率:68%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):8.45(s、1H)、7.30−7.26(m、2H)、7.24−7.22(m、2H)、7.18−7.14(m、4H)、6.90(t、1H、J=7.5Hz)。
(化合物24の合成方法)
化合物24
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物20g(0.076mol)、4−アミノジフェニルアミン27.9g(0.152mol)に酢酸1リットルを加えた。この溶液をオイルバスにて5時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレータにて反応液が三分の一程度になるまで濃縮した。濃縮した反応液を水2リットル中に投入した。この溶液に発泡がなくなるまで重曹を加えた後、酢酸エチル1リットルを加えて抽出した。酢酸エチル層を分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過を行って得られた酢酸エチル層をロータリーエバポレータにて濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=7:3)により精製し、淡黄色の固体29.5gを得た(収率:65%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(500MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):8.36(s、1H)、8.35(s、1H)、7.28−7.23(m、4H)、7.18−7.11(m、10H)、7.05(d、2H、J=9.0Hz)、6.87(t、2H、J=7.0Hz)、5.50(s、1H)、3.55−3.50(m、2H)、3.17−3.14(m、1H)、2.93−2.87(m、1H)、2.58−2.56(m、1H)、2.50−2.43(m、2H)、2.35−2.32(m、1H)、1.95(s、3H)。
(化合物25の合成方法)
化合物25
Figure 2011002038
冷却器、温度計を備えた4つ口反応器に窒素気流中、ホモフタル酸10g(0.056mol)、4−アミノジフェニルアミン10.23g(0.056mol)に酢酸150mlを加えた。この溶液をオイルバスにて5時間加熱還流下にて反応を行った。反応終了後、ロータリーエバポレータにて反応液が三分の一程度になるまで濃縮した。濃縮した反応液を水1リットル中に投入した。この溶液に発泡がなくなるまで重曹を加えた後、酢酸エチル500ミリリットルを加えて抽出した。酢酸エチル層を分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過を行って得られた酢酸エチル層をロータリーエバポレータにて濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=8:2)により精製し、淡灰色の固体13gを得た(収率:71%)。構造はH−NMRで同定した。H−NMR(400MHz、DMSO−d7、TMS、δppm):8.31(s、1H)、8.02(d、1H、J=8.2Hz)、7.66(t、1H、J=7.3Hz)、7.48−7.41(m、2H)、7.23(t、2H、J=7.8Hz)、7.11−7.01(m、6H)、6.83(t、1H、J=7.9Hz)、4.23(s、2H)。
5.化合物10〜25についての実施例、及び比較例
製造例で合成した本発明の式(III)で表されるジアリールアミン化合物10〜25についての実施例14〜31、及び比較例10〜19を示す。
以下、本発明の式(III)で表されるジアリールアミン化合物を、アクリルゴムの老化防止剤として使用したゴム組成物の評価を、実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。以下において、「部」、「%」は、特に断りのない限り重量基準である。試験片の作成及び耐熱性の評価方法は、本発明の式(I)及び(II)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物についてと同じである。なお、比較例10は、老化防止剤を添加せず、比較例11〜19は、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤を加えてゴム組成物を調製した。
(実施例及び比較例の考察)
耐熱性評価の結果を表7(実施例)及び表8(比較例)に示す。
Figure 2011002038
Figure 2011002038
特有の化学構造を備え、かつ、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも一つ有することを特徴とする本発明の式(III)で表されるジアリールアミン化合物を、アクリルゴムの老化防止剤として使用した実施例14〜31では、190℃の環境下で504時間という過酷な条件を経ても、伸び変化率が小さく、優れた耐熱性を示すことが分かる。特に、該シグナルを8.38ppm〜8.94ppmの間に有する化合物においては、190℃、504時間後の伸び変化率が70%〜74%という極めて優れた耐熱性を実現することができる。また、化合物10を老化防止剤として使用した実施例14〜16においては、老化防止剤の添加量を増大させると、伸び変化率で表される耐熱性が向上するとともに、破断伸びの値が変化せず優れたゴム弾性が保持されていることから、製品設計の自由度が増していると評価できる。
これに対して、老化防止剤を添加しない比較例10においては、アクリルゴムの伸び変化率の絶対値が大きく耐熱性が十分でないことが分かる。また、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤を添加した比較例11〜19においては、老化防止剤を添加しない比較例10と対比して、伸び変化率、すなわち耐熱性の改善効果が小さいことが分かる。なお、比較例17〜19においては、老化防止剤の添加量の増大に伴って伸び変化率が向上しているが、他方、破断伸びが増大しており、老化防止剤の増量によって、ゴムが可塑化するという悪影響が生じていることが分かる。
6.ゴム組成物の常態特性及び成形品の耐熱性試験
さらに本発明のジアリールアミン化合物の製造例で合成した化合物1、4、8及び9について、その状態特性と成形品の耐熱性を試験した。
I.押出成形品用途の耐熱性試験
試験片の作成、および各種の物性の試験は、以下の方法に従って行った。
(試験片の作成)
アクリルゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形、架橋して、15cm×15cm×2mmのシートを作成した。更に、このシートを170℃にて4時間加熱して二次架橋させた。このシートからダンベル状3号形の試験片を作成した。
(常態特性の試験)
常温での機械的特性として、作成した試験片をJIS K6251の引張試験に従って引張強さ、破断伸び(伸び)、100%引張応力をそれぞれ測定した。また、JIS K6253の硬さ試験に従って硬度を測定した。
(耐熱性試験)
押出成形品用途の耐熱性試験は、作成した試験片を180℃の環境下で、1000時間放置した後のものを使用して行った。伸び変化率は、JIS K6251に従って伸びを測定し、以下の計算式に従い、その変化率(絶対値)を計算することによって行った。伸び変化率がゼロに近いほど、押出成形品とした場合においても、耐熱性が高いと判断され、好ましい結果となる。
計算式:
伸び変化率(%)=|100×[(試験前の伸び(%))−(試験後の伸び(%))]/(試験前の伸び(%))|。
また、JIS K6251に従い100%引張応力を測定した。試験途中で試験片がちぎれてしまうものをBO(ベンティングアウト)として評価した。更に、折り曲げ試験として、耐熱老化後の試験片を180°折曲げ、亀裂の発生や折れなどの異常がないかどうかを外観評価した。亀裂の発生や折れなどの異常がないものをA、亀裂の発生や折れなどの異常があるものをBとして評価した。
〔実施例32〜39、及び、比較例20,21〕
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製 Nipol AR22)100重量部、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、シーストSO)60重量部、ステアリン酸2重量部、および老化防止剤として先の製造例によって合成した化合物1(実施例32及び33)、化合物4(実施例34及び35)、化合物8(実施例36及び37)、化合物9(実施例38及び39)、または、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(白石カルシウム社製 ナウガード445:比較例20及び21)を所定量加えて、0.8リットルバンバリーを用いて50℃で5分間混練した後、架橋剤として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業社製 BAPP)1重量部、および架橋促進剤としてジアルキル(C8〜18)アミン(ライオン・アクゾ社製 アーミン2C)2重量部を加えて、オープンロールで混練し、アクリルゴム組成物を調製した。このアクリルゴム組成物を、上述した条件で成形、架橋して試験片を作製し、この試験片について、常態特性の試験、並びに耐熱性試験として伸び変化率、100%引張応力、および折り曲げ試験を行った。表9にその結果を示す。
Figure 2011002038
表9に示すように、老化防止剤として、本発明のジアリールアミン化合物(化合物1、4、8及び9)を使用する実施例32〜39は、180℃の環境下で1000時間という過酷な条件を経ても、比較例20及び21に比べ、伸びの変化が小さい。また、100%引張応力でも、比較例20及び21がベンティングアウト(BO)するのに対し、実施例32〜39では、試験片がちぎれることはなかった。更に、折り曲げ試験では、比較例20及び21が途中で折れてしまうのに対し、実施例32〜39では、180°折り曲げても、亀裂が発生したり折れたりすることはなく、本発明のアクリルゴム組成物を用いてなるゴム架橋物は、押出成形品用途の耐熱性試験において、耐熱性が向上していることが確認された。また、実施例33、35、37及び39から、本発明のジアリールアミン化合物の含有量が増すことにより、一層耐熱性が向上することが認められ(伸び変化率、および100%引張応力)、本発明の化合物(化合物1、4、8及び9)の老化防止剤としての配合効果が確認された。
II.シール部材用途の耐熱性試験
試験片の作成、および各種の物性の試験は、以下の方法に従って行った。
アクリルゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成型、架橋して、直径29mm、厚さ12.5mmの円柱型試験片を作成し、更に、170℃にて4時間加熱して二次架橋させた。常温での機械的特性として、作成した試験片をJIS K6251の引張試験に従って引張強さ、破断伸び(伸び)、100%引張応力をそれぞれ測定した。また、JIS K6253の硬さ試験に従って硬度を測定した。次いで、JIS K6262に従い、上記試験片を25%圧縮させたまま、180℃の環境下で168時間放置した後、圧縮を解放して圧縮永久歪率を測定した。
〔実施例40〜43、及び比較例22〕
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製、Nipol AR12)100重量部、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、シーストSO)60重量部、ステアリン酸2重量部、及び老化防止剤として先の製造例によって合成した化合物1、4、8及び9(実施例40〜43)、または4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(白石カルシウム社製 ナウガード445:比較例22)を所定量加えて、0.8リットルバンバリーを用いて50℃で5分間混練した後、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンカルバメート(デュポンダウエラストマージャパン社製 Diak No.1)0.6重量部、および架橋促進剤としてジ−o−トリルグアニジン(大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーDT)2重量部を加えて、オープンロールで混練し、アクリルゴム組成物を調製した。このアクリルゴム組成物を、上述した条件で成形、架橋して試験片を作製し、この試験片について、常態特性の試験、および耐熱性試験として圧縮永久歪率を測定した。表10にその結果を示す。
Figure 2011002038
表10に示すように、老化防止剤として本発明のジアリールアミン化合物(化合物1、4、8及び9)を使用する実施例40〜43は、180℃の環境下で168時間という過酷な条件を経ても、比較例22に比べ、圧縮永久歪率が小さく、本発明のアクリルゴム組成物を用いてなる架橋物は、シール部材用途の耐熱性試験においても、耐熱性が向上していることが確認された。
本発明によれば、従来に比べより高温の環境で使用しても、ゴムやポリオレフィン樹脂等のポリマーを酸化劣化させることがない、老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジアリールアミン化合物を提供することができ、また、該化合物を含有する老化防止剤、特に、ポリマー用老化防止剤を提供することができ、該化合物を含む耐熱性の高いゴム組成物またはポリオレフィン組成物等のポリマー組成物を提供することができるので、ゴムやポリオレフィン樹脂等のポリマー材料を、従来に比べより過酷な高温下で使用することができる。

Claims (22)

  1. 重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有することを特徴とする、下記式(I)、(II)、または(III)のいずれかの式で表されるジアリールアミン化合物。
    式(I)
    Figure 2011002038
    〔式(I)中、
    - A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
    - R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
    - R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    - R'は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    - 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    - R''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    - Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
    - R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    - 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結器が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    - R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕;
    式(II)
    Figure 2011002038
    〔式(II)中、
    - A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の置換基を有してもよい芳香族基を表す。
    - R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
    - R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    - 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    - R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕;または
    式(III)
    Figure 2011002038
    〔式(III)中、
    - Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の環状脂肪族基を表す。
    - Lは、1または2を表し、nは、0または1である。
    - 以下の式(iii−1)は、以下の式(iii−2)である。
    式(iii−1)
    Figure 2011002038
    式(iii−2)
    Figure 2011002038
    - X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
    - R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    - 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    - R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
  2. 式(I)において、
    - Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
    - Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
    - R、R及びRは、水素原子を表す。
    - Rは、−O−C(=O)−R'''、−C(=O)−OR'''、−NR'−C(=O)−R'''、−C(=O)−NR'''R''''、または−O−C(=O)−NR'''R''''を表す。
    - R'は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    - R'''及びR''''は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    で表される請求項1に記載の化合物。
  3. 式(I)において、
    - 前記Rが、−C(=O)−OR'''である。
    - R'''は、炭素数1〜18の置換基を有していてもよいフェニル基または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいナフチル基である。
    で表される請求項1または2に記載の化合物。
  4. 式(I)において、
    - 前記Rは、−C(=O)−OR'''であり、R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
    - 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
    - R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。
    - かつ、前記A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
    - 該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。
    で表される請求項1に記載の化合物。
  5. 式(II)において、
    - 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
    - 前記Aは、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
    - 前記R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
    - R及びRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    - 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    - R'及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    で表される請求項1に記載の化合物。
  6. 式(II)において、前記R及びRは、水素原子である請求項1または5に記載の化合物。
  7. 式(III)において、前記Aが、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい五員環環状脂肪族基、置換基を有していてもよい六員環環状脂肪族基、及び置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプチル基からなる群より選ばれる1種である請求項1に記載の化合物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の化合物を含有する老化防止剤。
  9. ポリマー用老化防止剤である請求項8に記載の老化防止剤。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の化合物とポリマーとを含むポリマー組成物。
  11. 請求項10に記載のポリマー組成物において、ポリマーがゴムであるゴム組成物。
  12. ゴムが、アクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムである請求項11に記載のゴム組成物。
  13. アクリルゴム及び架橋剤を含有する請求項11に記載のゴム組成物。
  14. 請求項11乃至13のいずれか1項に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  15. 押出成形品である、請求項14に記載のゴム架橋物。
  16. シール部材である、請求項14に記載のゴム架橋物。
  17. 下記式(IV)
    Figure 2011002038
    〔式(IV)中、
    ‐ R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR'−C(=O)−R、−C(=O)−NRR、または−O−C(=O)−NRRを表す。
    ‐ R及びRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。
    ‐ 該有機基は、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR''−C(=O)−、−C(=O)−NR''−、−NR''−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれる少なくとも1種の連結基が介在するものであってもよいが、−O−または−S−が、それぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
    ‐ R’及びR''は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    ‐ 前記置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基が含まれる。
    ‐ Xは、ハロゲン原子を表す。〕
    で表される無水トリメリット酸ハライド化合物と下記式(V)
    Figure 2011002038
    〔式(V)中、
    ‐ R'''は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4〜30の芳香族基を表す。
    - 該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数6〜30の芳香族基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(= O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)− NR、−O−C(=O)−NR、−SR、−S(=O)−R、または−S(=O)−Rである。
    - R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはフェニル基を表す。
    で表される水酸基含有化合物とを有機溶剤中で塩基の存在下に反応させて、下記反応式(1)
    Figure 2011002038
    〔反応式(1)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
    により、無水トリメリット酸エステル化合物を生成させる工程1;
    該工程1で生成した無水トリメリット酸エステル化合物と下記式(VI)
    Figure 2011002038
    〔式(VI)中、
    ‐ A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族基を表す。
    ‐ 該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
    で表されるアミノ基含有ジアリールアミン化合物とを有機溶剤中で反応させて、下記反応式(2)
    Figure 2011002038
    〔反応式(2)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
    により、アミド酸化合物を生成させる工程2;並びに、
    該工程2で生成したアミド酸化合物を含有する反応溶液を加熱して、下記反応
    式(3)
    Figure 2011002038
    〔反応式(3)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
    により、該アミド酸化合物をイミド化する工程3;
    の3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことを特徴とする、重ジメチルスルホキシド溶液においてH−NMRを測定した際に、8.30ppm〜9.00ppmにN−Hの水素に起因するシグナルを少なくとも1個有する、下記式(VII)
    Figure 2011002038
    で表されるジアリールアミン化合物の製造方法。
  18. 前記アミノ基含有ジアリールアミン化合物が、下記式(VIII)
    Figure 2011002038
    〔式(VIII)中、
    ‐ R〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
    で表されるアミノジフェニルアミン化合物であり、かつ、下記反応式(1a)
    Figure 2011002038
    〔反応式(1a)中、R'''の意味は、前記と同じである。〕、
    下記反応式(2a)
    Figure 2011002038
    〔反応式(2a)中、
    ‐ R'''の意味は、前記と同じである。
    ‐ R〜R15の意味は、前記と同じである。〕、並びに、
    下記反応式(3a)
    Figure 2011002038
    〔反応式(3a)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕
    で表される3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことにより、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物として、下記式(IX)
    Figure 2011002038
    〔式(IX)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
    で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物を生成させる請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記無水トリメリット酸ハライド化合物が、無水トリメリット酸クロリドであり、前記アミノ基含有ジアリールアミン化合物が、下記式(X)
    Figure 2011002038
    〔式(X)中、R15は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン置換アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基である。〕
    で表されるアミノジフェニルアミン化合物であり、かつ、下記反応式(1b)
    Figure 2011002038
    〔反応式(1b)中、R'''の意味は、前記と同じである。〕、
    下記反応式(2b)
    Figure 2011002038
    〔反応式(2b)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕、並びに、
    下記反応式(3b)
    Figure 2011002038
    〔反応式(3b)中、各符号の意味は、前記と同じである。〕
    で表される3つの工程を含み、かつ、これら3つの工程を、有機溶剤の存在下にワンポットで行うことにより、4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジアリールアミン化合物として、下記式(XI)
    Figure 2011002038
    〔式(XI)中の各符号の意味は、前記と同じである。〕
    で表される4位にエステル基を有するフタルイミド基含有ジフェニルアミン化合物を生成させる請求項17または18に記載の製造方法。
  20. 該有機溶剤が、非プロトン性極性溶剤及び無極性溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤である請求項17乃至19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 該有機溶剤が、含窒素非プロトン性極性溶剤と芳香族炭化水素系無極性溶剤との混合溶剤である請求項17乃至20のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 該有機溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミドとキシレンとの混合溶剤である請求項請求項17乃至21のいずれか1項に記載の製造方法。
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