JPWO2010101229A1 - アミド化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、オキシム化合物を、少なくとも2個の電子吸引性の脱離基を有する化合物である転位触媒を用いてベックマン転位させることによりアミド化合物を製造する方法であって、前記転位触媒と、少なくとも一部のオキシム化合物とを混合して反応させる前調製工程と、前記前調製工程の温度より高い温度において、オキシム化合物の転位反応を行う転位反応工程とを有することを特徴とする方法に関する。

Description

本発明はオキシム化合物をベックマン転位し、アミド化合物を製造する方法に関する。
工業的にアミド化合物を製造する方法としては、対応するオキシム化合物をベックマン転位する方法が一般的であり、工業的には濃硫酸及び発煙硫酸が用いられる。しかし、これらの強酸類は化学量論量以上に必要であり、中和の際に大量の硫酸アンモニウムが副生する。そのため、濃硫酸及び発煙硫酸の製造設備や硫酸アンモニウムの処理設備が必要であり、環境負荷、設備負担の大きなプロセスである(特許文献1、特許文献2)。
一方、近年、大量の硫酸、発煙硫酸を用いないベックマン転位の研究も盛んに行われている。強酸をその触媒として含むものとしては、過酸化レニウムのアンモニウム塩とトリフルオロメタンスルホン酸の混合系(非特許文献1)、インジウムトリフラート(非特許文献2)、イッテルビウムトリフラート(非特許文献3)を触媒として用いる方法が報告されている。酸と脱水剤を含むものとしては、N,N−二置換アミド化合物を溶媒として、五酸化リンまたは縮合リン酸化合物と、非含フッ素スルホン酸無水物またはスルホカルボン酸無水物を用いて転位反応を行う方法(特許文献3、特許文献4)、予め酸を含む水溶液で処理したゼオライト触媒(特許文献5)を用いる方法が報告されている。酸を用いない方法としては、レニウム化合物と含窒素複素環化合物の共存下で転位反応を行う方法(特許文献6,特許文献7)、酸化亜鉛を含有させる方法(特許文献8)が報告されている。特許文献9には、カルボン酸溶媒中で塩化シアヌル(別称:トリクロロトリアジン)を脱水剤に用い、オキシムとカルボン酸のエステルを生成させ、転位させる方法が報告されている。特許文献10には、オキシムの塩酸塩を塩化シアヌル酸(別称:トリクロロトリアジン)等を開始剤として転位させる方法が報告されている。これらの触媒、製造方法の中には高い転位収率を示すものもあるが、触媒、溶媒が特殊であり、その回収・リサイクル方法等も明確ではなく、工業的プロセスとしては完成されていない。
また、特許文献11には、(1)芳香環を構成する原子として、脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含み、(2)芳香環を構成する原子として、ヘテロ原子または電子吸引基を有する炭素原子のいずれかの一方または両方を少なくとも3つ含み、(3)前記のヘテロ原子または電子吸引基を有する炭素原子のうち2つが、前記脱離基を有する炭素原子のオルトあるいはパラ位に位置する芳香環含有化合物を転位触媒として、極性溶媒中でオキシム化合物のベックマン転位を行う方法が報告されている。同様の内容は非特許文献4にも報告されている。
また、非特許文献5には、特許文献11に報告されている触媒と類似した複素環構造を持つ燐酸塩がベックマン転位の触媒として活性を持つことが報告されている。特許文献12は、特許文献11及び非特許文献4に開示されている触媒を用いて、非極性溶媒中でベックマン転位を行うことが報告されている。特許文献13及び特許文献14には、特許文献11に開示されている触媒の類縁化合物でオキシム化合物のベックマン転位を行う方法が報告されている。
特許文献15、16には塩化チオニルを触媒に用いたオキシム化合物のベックマン転位が開示されている。
上記先行文献で報告されたベックマン転位反応の触媒の中で、比較的安価で、工業薬品として容易に入手できるものとしては、塩化シアヌル、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル等が挙げられる。これらのなかで塩化シアヌル、三塩化リン、五塩化リンは失活の際に、シアヌル酸、リン酸等有機溶媒に不溶な化合物に変化するため、多量に使用した場合、工業プロセスにおいて配管の閉塞や伝熱不良を引き起こし好ましくない。また、三塩化リン、五塩化リンは毒性が強く環境面でも問題がある。
一方、塩化チオニルは、分解物が塩化水素と二酸化硫黄であり、固体は析出しない点で工業化に適した触媒である。しかし、特許文献15、16に開示された方法は塩化チオニルとオキシム化合物を混合し昇温する方法であって、同方法では昇温速度等によって収率が変動し、収率自体も低いことがわかった。また、ベックマン転位は激しい発熱反応であり、特許文献15、16記載の方法では反応の制御が困難であり、工業的な規模へのスケールアップが困難である。さらに、所定温度に加熱したオキシム化合物溶液に塩化チオニルを添加する方法では目的のアミド化合物が収率良く得られない問題が存在することがわかった。
特公昭52−033118号公報 特開平5−4964号公報 特開2001−302602号公報 特開2001−302603号公報 特開2001−072658号公報 特開平09−301951号公報 特開平09−301952号公報 特開2001−019670号公報 特公昭46−23740号公報 特公昭47−18114号公報 特開2006−219470号公報 国際公開第07/125002号パンフレット 特開2008−156277号公報 特開2008−162935号公報 特開昭51−041376号公報 特公昭52−012198号公報 特開昭62−215558号公報
K.Narasaka,et.al.,Chemistry Letter,pp.489−492(1993) J.S.Sandhu,et.al.,Indian Journal of Chemistry,pp154−156(2002) J.S. Yadav,et.al.,Journal of Chemical Research(S),pp.236−238(2002) K.Ishihara,et.al.,Journal of American Chemical Sociaty,pp.11240−11241(2005) M.Zhu,et.al.,Tetrahedron Letters,pp4861−4863(2006) Marin G.Hitzler,et.al.,Liebigs Ann,pp247−257(1996)
本発明はオキシム化合物をベックマン転位しアミド化合物を製造する方法において、安価で分解析出しない触媒を用い、硫酸アンモニウムを副生しない製造方法を提供することを目的とする。
更には、少量の触媒で目的のアミド化合物が収率良く製造できる工業的に好適なアミド化合物の製造方法を提供する事を課題とする。
本発明は、以下の事項に関する。
1.オキシム化合物を、少なくとも2個の電子吸引性の脱離基を有する化合物である転位触媒を用いてベックマン転位させることによりアミド化合物を製造する方法であって、前記転位触媒と少なくとも一部のオキシム化合物とを混合して反応させる前調製工程と、前記前調製工程の温度より高い温度において、オキシム化合物の転位反応を行う転位反応工程とを有することを特徴とする方法。
2.オキシム化合物の一部を用いて前調製工程を行い、かつ、転位反応工程において、残りのオキシム化合物液と前記前調製工程の反応物とを混合し、前記前調製工程の温度より高温で転位反応を行うことを特徴とする、上記1に記載の方法。
3.前調製工程において、転位触媒と全部のオキシム化合物とを混合し、転位反応工程において、該混合物を昇温することを特徴とする、上記1に記載の方法。
4.前記転位触媒が、塩化チオニル、塩化シアヌル、三塩化リン、五塩化リンから選ばれる少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.前記転位触媒が、塩化チオニルである上記1〜3のいずれかに記載の方法。
6.前記前調製工程を、オキシム化合物の一部と塩化チオニルを用いて行い、かつ、オキシム化合物と塩化チオニルとのモル比(オキシム化合物/塩化チオニル)が0.5以上であることを特徴とする、上記2に記載の方法。
7.前記転位反応工程をルイス酸の存在化で行うことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の方法。
8.前記ルイス酸が、亜鉛、コバルト、アンチモン、スズ及びビスマスからなる群より選ばれる1又は2以上の金属のハロゲン化物であることを特徴とする、上記7に記載の方法。
9.前記前調製工程の温度が50℃以下であり、かつ、転位反応工程の温度が60℃から160℃であることを特徴する、上記1〜8のいずれかに記載の方法。
10.前記オキシム化合物が、シクロドデカノンオキシムであることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の方法。
本発明は、オキシム化合物をベックマン転位させアミド化合物を製造する方法において、安価で、工業的に入手が容易な転位触媒を用い、少ない触媒量で反応を完結させることが可能である。そして、硫酸アンモニウムなどの副生物が生成したり、触媒分解物が析出したりすることなく、高収率でアミド化合物を取得することが可能であり、工業的に好適である。
また、本発明のベックマン転位反応では、不溶物が生成しない為、反応液に濁りがない。すなわち、反応器や配管に析出物が沈積せず、閉塞や伝熱不良が起きない。そして、不溶物は一般に高沸であるが、これが無い為、蒸留釜残の処理が容易で蒸留ロスも小さい。また、不溶物は触媒の失活生成物と推察され、不溶物がないことは触媒活性が高いことの傍証でもある。
以下、本発明について詳細に説明する。
[オキシム化合物について]
本発明においてオキシム化合物は特に制限されず、製造目的のアミド化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010101229
(式中、R、Rは、それぞれ有機基を示す。また、RおよびRは、一緒になって2価の有機基を表し、RおよびRが結合している炭素原子と共に環を形成してもよい。)
上記R、Rにおける有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族性又は非芳香族性の複素環基などが挙げられる。
ここで、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基が挙げられるが、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素原子数2〜20のアルケニル基が挙げられるが、好ましくは炭素原子数2〜12のアルケニル基であり、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のアルケニル基である。具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−オクテニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、炭素原子数2〜20のアルキニル基が挙げられるが、好ましくは炭素原子数2〜12のアルキニル基であり、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のアルキニル基である。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基が挙げられるが、好ましくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、炭素原子数3〜20のシクロアルケニル基が挙げられるが、好ましくは炭素原子数3〜15のシクロアルケニル基である。具体的には、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる。
芳香族性又は非芳香族性の複素環基としては、例えば、2−ピリジル基、2−キノリル基、2−フリル基、2−チエニル基、4−ピペリジニル基などが挙げられる。
およびRが、一緒になって2価の有機基を表す場合、それらが結合している炭素原子と共に環を形成している。2価の有機基としては、直鎖または分岐アルキレン基、好ましくは直鎖アルキレン基が挙げられ、形成される環は、例えば3〜30員環、好ましくは4〜20員環であり、さらに好ましくは5〜14員環である。
これらの有機基は環形成の有無によらず、反応を阻害しなければ特に限定されることなく種々の置換基を有してもよい。例えば、置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基、メルカプト基、置換オキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換アミノアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(フェニル、ナフチル基など)、アラルキル基、複素環基などが挙げられる。
式(1)で表されるオキシム化合物として、具体的には、アセトンオキシム、2−ブタノンオキシム、2−ペンタノンオキシム、3−ペンタノンオキシム、1−シクロヘキシル−1−プロパノンオキシム、ベンズアルデヒドオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、4−ヒドロキシアセトフェノンオキシムなどが挙げられ、環を形成したものとしては、シクロプロパノンオキシム、シクロブタノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロへプタノンオキシム、シクロオクタノンオキシム、シクロノナノンオキシム、シクロデカノンオキシム、シクロドデカノンオキシム、シクロトリデカノンオキシム、シクロテトラデカノンオキシム、シクロペンタデカノンオキシム、シクロヘキサデカノンオキシム、シクロオクタデカノンオキシム、シクロノナデカノンオキシムなどが挙げられる。
オキシム化合物は、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
オキシム化合物は、式(1)で表されるオキシム化合物に対応するケトンとヒドロキシルアミンを反応させることによって得られる。例えば、シクロドデカノンオキシムは、特開2004−59553号公報に記載されているように、シクロドデカノンと硫酸ヒドロキシルアミンの複分解によって生成したヒドロキシルアミンを反応させることによって得られる。
また、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基(例えば、アセチル基等のアシル基など)を導入することにより得られる化合物の存在下、メチル基又はメチレン基を有する化合物と、亜硝酸エステル又は亜硝酸塩とを反応させることによっても製造することができる(例えば、特開2009−298706号公報)。
その他、シクロアルカンを光ニトロソ化する方法、シクロアルカノンをチタノシリケートのような触媒の存在下にアンモニア及び過酸化水素と反応させる方法等により、製造することもできる。
[転位触媒について]
本発明の少なくとも2個の電子吸引性の脱離基を有する化合物(以下、転位触媒と称する。)としては、例えば、下記式(2)
Figure 2010101229
(式中、Aは、C(炭素原子)、P、N、S、B又はSi原子を示し、Xは電子吸引性の脱離基を示す。AはX以外に、1又は2以上の原子又は基と結合している。)
で示される構造を少なくとも2個含む化合物が挙げられる。なお、Aに複数のXが結合したものもこれに含む。また、複数のA−Xが存在するとき、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xにおける電子吸引性の脱離基としては、一般的な脱離性の官能基であればよく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、−OR基(Rは有機基を示す)、カルボキシル基、アミノ基、スルホニルオキシ基等が挙げられる。これらの官能基の中でもハロゲン原子が好ましい。Rで表される有機基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基、又はハロアルキル基などが好ましい。
Rにおけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。Rにおけるハロアルキル基としては、上述のアルキル基にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子が1又は2以上置換した基などを例示できる。また、その他の置換基としてハロゲン化されたアリール基が例示できる。
転位触媒としては、式(2)で示される構造を分子中に少なくとも2個含む化合物(Aに複数のXが結合したものもこれに含む。)であれば特に制限はなく、環状化合物であっても非環状化合物であってもよい。
本発明における、転位触媒の具体例としては、例えば、ホスファゼン化合物(ホスファゼン誘導体)、ホスフィン化合物(ホスフィン誘導体)、イミド化合物(イミド誘導体)、スルホニル又はスルフィニル化合物(スルホニル又はスルフィニル誘導体)、シラン化合物(シラン誘導体)、ポリハロホスフェート類、ケイ素原子を環の構成要素として含む環状化合物、リンハロゲン化物、ハロスルフリル類、あるいは、これらの混合物などが挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、ヘキサクロロホスファゼン、ヘキサフルオロホスファゼン、ヘキサブロモホスファゼン等のハロホスファゼン誘導体などが挙げられる。
ホスフィン化合物としては、例えば、ジクロロエチルホスフィン、ジクロロブチルホスフィン、ジクロロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
イミド化合物としては、例えば、塩化シアヌル(別称:トリクロロトリアジン又は塩化シアヌル酸、トリクロロシアヌル酸)、ジクロロシアヌル酸ナトリウム塩等のシアヌル酸ハライド誘導体などのシアヌル酸誘導体;1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン等のハロヒダントイン誘導体などのヒダントイン誘導体などが挙げられる。
スルホニル又はスルフィニル化合物としては、例えば、トリクロロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、塩化チオニルなどが挙げられる。
シラン化合物としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、クロロトリフェニルシラン、ジクロジフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン等のハロシラン誘導体などが挙げられる。
ポリハロホスフェート類としては、メチルジクロロホスフェート、フェニルジクロロホスフェート等が挙げられる。
ケイ素原子を環の構成要素として含む環状化合物としては、例えば、ハロゲン化窒化珪素などが挙げられる。
リンハロゲン化物としては、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられる。
ハロスルフリル類としては、塩化スルフリル等が挙げられる。
これらの中で、少なくとも2個の構造(2)の間に共役π電子を有する化合物あるいはAに複数のXが結合した化合物が好適であり、トリクロロシアヌル酸、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リンが更に好適に使用することができる。
転位触媒(上記式(2)で示される構造を含む化合物)において、脱離基Xが−OR基を有する化合物である場合、該化合物をあらかじめ調製した後に反応に使用してもよいが、相当する化合物であって脱離基Xとしてハロゲン原子を有する化合物と、アルコール又は金属アルコキシドとをアミド化合物を製造する反応系中に共存させ、反応系中でハロゲン原子と−OR基との置換反応を進行させることにより、脱離基Xとして−OR基を有する化合物を反応系中で生成させて使用することもできる。
[オキシム化合物と転位触媒の前調製]
オキシム化合物と転位触媒とを、オキシム化合物のベックマン転位反応の反応温度に対して低温で調合(以下、前調製と称する。)する。前調製工程の目的はベックマン転位反応の触媒作用を示す化合物(活性前駆体と称する)を生成することである。ここで、オキシム化合物の一部を用いて前調製を行う場合、前調製工程におけるオキシム化合物と転位反応工程におけるオキシム化合物は同一である必要はないが、通常同一である。
ここで、前調製工程における上記活性前駆体が生成される反応機構について詳説する。
まず、式(1)に示されるオキシム化合物の水素原子と転位触媒の脱離基が縮合、脱離して式(3)で示されるオキシム誘導体が生成する。
式(3)において、Yは電子吸引性置換基を示す。例えば、塩化シアヌルを触媒に用いた場合、Yは3,5-ジクロロ-2,4,6-トリアジノキシ基、または、3-クロロ-5-アルキリデン-2,4,6-トリアジノキシ基がこれに相当する(式(4)、式(5))。なお、オキシム化合物がシクロドデカノンオキシムの場合、式(4)、(5)で示されるオキシム誘導体は特開2009-185005で開示されている方法で合成され、HPLCを用いて定量することができる。
一方、転位触媒として、塩化チオニルを用いた場合、式(3)で示されるオキシム誘導体の生成機構は以下のように考えられる。まず、塩化チオニルとオキシム化合物とから塩化水素が脱離して式(6)で表される構造を有する化合物が生成し、さらに式(6)の化合物の分子内求核置換反応によって式(7)の化合物が生成する。このときイオウは二酸化イオウとなって脱離する。すなわち、転位触媒として、塩化チオニルを用いた場合、Yは塩素原子と考えられる。このことは、前調製液を減圧脱気し、脱離生成したガスや、残存塩化チオニルを除去した後、自動試料燃焼装置(例えば三菱化学社製AQF−100型)で燃焼し、発生ガスをアルカリ水溶液に吸収させイオンクロマトグラフィー(例えば、三菱化学社製DIONEX−ICS1000システム)で分析した結果、フィードした塩化チオニルの約0.5倍量の塩素が検出され、イオウの検出量は微量であったことから推定される(実施例B20に記載)。
また、前調製液の高速液体クロマトグラフィーによる分析においては、原料であるオキシム化合物の減少とともにオキシム化合物に対応するアミド又はラクタム化合物とは異なる複数の新たなピークが現れること、さらに、前調製液にアセトニトリル等の極性溶媒を加え室温で一昼夜保存すると新たなピークは消失し、オキシム化合物の減少量に対応するアミド化合物又はラクタム化合物のピークが現れることから、塩素原子を一原子含む活性中間体を経由してアミド化合物又はラクタム化合物が生成することが示唆される。
Figure 2010101229
Figure 2010101229
ここで、Y中に電子吸引性置換基が残存していることが、転位活性中間体として必須の要件であり、このことによって、Yは電子吸引性を有する。従って、N−Y間の結合電子はY側に偏ることになり、窒素原子は電子が不足した状態になり、ベックマン転位が進行し式(8)で示されるアミド又はラクタム中間体が生成する。
Figure 2010101229
式(8)で示されるアミド又はラクタム中間体はオキシム化合物と反応し、式(9)で示されるオキシム−アミド(又はオキシム−ラクタム)中間体が生じ、さらに、ベックマン転位が進行したアミド−アミド(又はラクタム−ラクタム)中間体(式(10)に示す)が生成する。
Figure 2010101229
オキシム−アミド(又はオキシム−ラクタム)中間体(式(9))から、アミド(又はラクタム)が脱離した場合、式(3)のオキシム誘導体が再生され、アミド−アミド(又はラクタム−ラクタム)中間体(式(10))からアミド(又はラクタム)が脱離した場合、式(8)で示されるアミド(又はラクタム)中間体が再生され、触媒転位サイクルが完成される。
式(3)、(8)、(9)、(10)で示される中間体を総称して活性前駆体と呼ぶ。
次に、前調製工程における反応条件について説明する。
[前調製工程における調合比]
オキシム化合物の一部を用いて前調製を行う場合、オキシム化合物と転位触媒の調合比((オキシム化合物/転位触媒)モル比)はオキシム化合物と転位触媒の選択によって異なるが、例えばオキシム化合物としてシクロドデカノンオキシム、転位触媒として塩化チオニルを選択した場合、0.5以上、好ましくは0.5以上10.0以下、より好ましくは1.0以上5.0以下、さらに好ましくは1より大きく5.0以下、特に好ましくは1.5以上3.0以下である。
なお、前調製に用いる転位触媒の量は前調製および転位工程に投入する全オキシム化合物量に対し、0.01モル%から20モル%、好ましくは0.1モル%から5モル%となるように混合する。
オキシム化合物が過少の場合、転位触媒である塩化チオニルの大部分は触媒活性種を形成せず、前調製を行う効果が現れない。
オキシム化合物が過多の場合、前調製装置が長大になり好ましくない。例えば、オキシム化合物としてシクロドデカノンオキシム、転位触媒として塩化チオニルを用いた場合、シクロドデカノンオキシムは触媒活性種に比べ高融点で、後述する溶媒への後述する温度での溶解性が低いため、前調製工程での固体析出や閉塞を防止するため、大量の溶媒が必要となり、前調製装置が長大になり好ましくない。さらに、溶媒の回収、リサイクルに要するエネルギーコストが増大し、好ましくない。なお、触媒の脱離基が全て脱離し、オキシム化合物とエーテル結合を形成した場合(転位触媒が塩化チオニルの場合、式(11)で、塩化シアヌルの場合は(12)で例示する)、Yに相当する部分(点線で囲んで表示)の電子吸引性が小さく、窒素原子に十分な正電荷を与えられないため、ベックマン転位は進行しない。このような不活性化を避けるためにもオキシム化合物が過多であることは避けなければならない。
Figure 2010101229
上記のように触媒とオキシム化合物の過剰な縮合反応を防止し、活性前駆体を効率よく調製することが前調製のひとつの目的である。
[前調製工程の温度]
前調製の温度は特に制限されないが、後述するベックマン転位反応の温度以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下、最も好ましくは室温以下で行うことが好ましい。前調製の温度が高すぎる場合、触媒活性種の大部分がアミド化合物又はラクタム化合物に変化すると共にHY(例えば、塩化チオニル触媒の場合塩化水素、塩化シアヌルの場合2,4−ジクロロ−6−オキシ−1,3,5−トリアジン)が脱離し、触媒活性が低下するため好ましくない。調製温度の下限は、反応系が凝固しない温度であれば、特に制約はないが、10℃以下、さらに0℃以下では、冷却装置が必要となり、経済的ではない。
[前調製工程の溶媒]
本発明の前調製工程において溶媒を使用してよい。各態様において好適な溶媒は下記のとおりである。
転位触媒と少なくとも一部のオキシム化合物を用いて前調製する場合、使用する溶媒は、転位触媒及びオキシム化合物と反応しなければ特に制約はない。使用可能な溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸、;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロドデカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール等のフッ素系アルコール;或いは、これらの混合溶媒などが挙げられる。
なお、転位触媒の脱離基Xがハロゲン原子の場合、水、アルコール類、アミン類、メルカプタン類、アミド類以外の溶媒が使用できる。
転位触媒として塩化チオニルを用いる場合、前調製に使用する溶媒は、塩化チオニル及びオキシム化合物と反応しなければ特に制約はない。使用可能な溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロドデカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;或いは、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのうち、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の使用は前調製工程でのベックマン転位反応の速度のコントロールが容易であり、特に好適な溶媒である。
なお、アミン類等の有機塩基、水、アルコール類、メルカプタン類等の活性なヒドロキシル基やそれに類する官能基を有するもの、カルボン酸やカルボン酸エステル等の塩化チオニルが塩素化剤として作用するものは使用できない。
転位触媒として塩化チオニルを用い、ルイス酸の存在下で転位反応工程を行う場合においても前記溶媒が使用できる。
前調製工程における溶媒の使用量は特に制限はなく、温度や反応槽等の大きさにもよるが、オキシムとしてシクロドデカノンオキシム、溶媒としてトルエンを用いた場合オキシム化合物の重量濃度が、1%以上60%以下が好ましく、3%以上30%以下が特に好ましい。溶媒の量が少なすぎると、オキシム化合物が十分に溶解できず、溶媒の量が多すぎると、回収に手間がかかり経済的でないため好ましくない。
[前調製工程の時間]
転位触媒と少なくとも一部のオキシム化合物を用いて前調製する場合、前調製に要する時間は、転位触媒の種類、オキシム化合物/転位触媒の調合比、調製温度、溶媒の使用量などによって異なり特に限定されるものではないが、1分以上24時間以下が好ましく、1分以上10時間以下が更に好ましい。
前調製に要する時間の下限は、活性前駆体の生成およびオキシム化合物と転位触媒の均一混合に必要な時間で決まるが、前調製に要する時間が短すぎると、転位触媒を直接転位反応槽に投入した場合とベックマン転位反応により生成するアミド化合物の収率等の結果は変わらないため、好ましくない。調製時間が長すぎると、活性前駆体の一部が徐々に不活性な化合物に変化するため、転位速度が低下し、好ましくない。
例えば、転位触媒として塩化チオニル、オキシム化合物としてシクロドデカノンオキシム、調合比1、溶媒としてトルエン、調製温度を25℃、前調製時のシクロドデカノンオキシムの濃度3重量%とした場合、1分以上10時間以下が好適であり、さらに好ましくは1分以上3時間以下であるが、調合比が1より大きいときは、反応時間がさらに長くてもよい。
オキシム化合物と塩化チオニルの調合比と前調製の反応時間に関し、後述する実施例および比較例においては、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルの調合比が1/1の場合は、前調製の所要時間が5秒では、塩化チオニルを直接転位反応槽に投入した場合と触媒活性は変わらず転位反応後のシクロドデカノンオキシム転化率は48%であった(後述する比較例B5)。一方、5分、10分および60分の場合は、転化率100%と良好であり(後述する実施例B9、B8、B10)、2.5時間では99%(実施例B11)、4.5時間では91%(実施例B12)、15時間では77%(比較例B1)、24時間では68%(比較例B2、直接転位反応槽に投入した場合よりは高活性)であった。
また、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルの調合比が2.5/1では24時間経過後でも、シクロドデカノンオキシムの転化率は93%であった(実施例B14)。これに塩化チオニルを20%増すと、転化率は100%であった(実施例B15)。
なお、工業的には、前調製に要する時間の上限は、反応槽の大きさで決まるが、3時間以上の滞留時間を設けると装置が長大になるため、3時間未満であることが好ましい場合がある。
[前調製に使用される装置]
本発明において、前調製は回分式、半回分式、連続式等の一般に用いられる混合槽のいずれを用いても差し支えない。また、所定の滞留時間を確保できれば、配管内で混合しても差し支えない。混合方式も攪拌翼による混合のほか、スタティックミキサー等を使用するライン内での混合でも差し支えない。
[ベックマン転位反応]
次にベックマン転位反応について説明する。
[前調製後の転位触媒の使用量]
ベックマン転位反応においては、前調製工程で一部のオキシム化合物を用いているときは、残りのオキシム化合物を加えて転位反応を行う。このとき、前調製後の反応物を全て用いるとして、転位触媒が、前調製工程および転位反応工程に投入する全オキシム化合物量に対し、好ましくは0.01モル%から20モル%、さらに好ましくは、0.1モル%から5モル%となるように混合する。転位触媒の量が少量の場合には、転位反応が停止するため好ましくない。一方、転位触媒の量が過多の場合には、触媒コストが上がり、触媒の後処理またはリサイクルのためのコストが増大し工業的見地から好ましくない。
[助触媒]
本発明において、塩化水素等の酸類を助触媒として添加することによって、転位反応速度を向上させることができる。特にルイス酸はシクロドデカノンオキシムの加水分解を加速することなく、転位反応速度を向上させることができるので好ましい。
ルイス酸としては、亜鉛、コバルト、アンチモン、スズ及びビスマスからなる群より選ばれる1又は2以上の金属のハロゲン化物であり、具体的には、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、五フッ化アンチモン、五塩化アンチモン、五臭化アンチモン、四フッ化スズ、四塩化スズ、四臭化スズ、三フッ化ビスマス、三塩化ビスマス、三臭化ビスマス等が挙げられる。塩化亜鉛、四塩化スズが好適であり、塩化亜鉛は反応速度の向上効果が顕著であり、特に好ましい。
助触媒の添加量は、転位触媒に対し0.01倍モル量から10倍モル量、好ましくは0.1倍モル量から5倍モル量である。助触媒の添加量が過少な場合、それによる転位反応の速度向上の効果は乏しく、一方、必要以上に添加しても、さらに転位反応の速度が向上することはなく、助触媒の後処理またはリサイクルのためのコストが増大し工業的見地から好ましくない。
[ベックマン転位反応に使用する溶媒]
転位反応に使用する溶媒として、前調製で用いた溶媒と同一の溶媒を用いることは製造プロセスが簡略化され好ましい態様であるが、異なる溶媒を用いても差し支えない。なお、異なる溶媒を用いる場合は、例えば、前調製液に転位溶媒を加え、前調製溶媒を留去することによって、転位溶媒へ溶媒交換を行う事ができる。また、前調製溶媒と転位溶媒を混合したまま、ベックマン転位反応を行ってもよい。
[ベックマン転位反応の温度]
ベックマン転位反応の温度は、60℃から160℃、好ましくは80から130℃である。反応温度が低すぎる場合、反応速度が遅くなり、反応が停止する事になるため好ましくない。また、低温ではオキシム化合物の凝固又は転位溶媒への溶解度低下による析出が起きる場合があり、運転操作上の問題が生じる。この問題を回避するため、溶媒量を増加することは、溶媒の回収・リサイクル量が増大し製造コストが増加する等の問題が生じる為、好ましくない。一方、反応温度が高すぎると、転位反応の発熱が激しくなり温度が急上昇し、反応が制御できなくなるため好ましくない。更に、反応温度が高すぎる場合、縮合反応等の副反応ため転位収率が低下するとともに、着色等で製品品質が低下する。
[ベックマン転位反応の時間]
転位反応の時間は、オキシム化合物及び転位触媒の種類、同触媒濃度、反応温度等によって異なるが、通常、5分から10時間、好ましくは10分から4時間である。
なお、反応条件は反応の制御が容易で、反応器の容積が過大にならないように制御される。
ベックマン転位反応は減圧、常圧、加圧のいずれで行っても差し支えない。積極的に加圧下で反応を行う必要はないが、密閉して反応を行うことによって、転位触媒から生成する成分(例えば脱離する脱離基Xがハロゲン原子である場合は、ハロゲン化水素)の反応系外への飛散を防ぐことができる。このようなクローズドプロセスの採用は転位触媒から生成するハロゲン化水素などの成分の吸着・除害設備を別途設ける必要がない。また、ハロゲン化水素が生成する場合、それ自身が酸であり、助触媒として転位反応を促進するため、好ましい。
転位反応で使用される装置としては、回分式反応装置、管型連続反応装置、攪拌槽型連続反応装置等の一般に用いられる反応装置を使用することができるが、反応温度の制御が容易で運転操作も簡単である槽型連続多段反応装置が好適である。
転位反応終了後、生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらの組み合わせにより分離精製できる。
例えば、シクロドデカノンオキシムの反応後の処理としては、水を添加、有機溶媒で抽出した後、溶媒を留去することによりラウロラクタムを得ることができ,更に、蒸留・結晶化等により分離・精製することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本実施例は本発明の実施態様の一例を示すものであり、本発明は本実施例に限定されるものではない。
[参考例1:シクロドデカノンオキシムの製造]
内部が4室に分割され、各室毎に攪拌翼が設けられた液相部容積30Lの枕型オキシム化第1反応器に、ヒドロキシルアミン硫酸塩(和光純薬工業社製)の15重量%水溶液を1.5kg/h及びオキシム化第2反応器から送液される油相をフィードした。反応温度を95℃に設定し、各室に25重量%アンモニア水を32g/hでフィードしオキシム化反応を行い、シクロドデカノンオキシムとトルエンからなる油相を得た。
水相はオキシム化第2反応器へフィードした。オキシム化第2反応器は15Lで内部が4室に分割された枕型反応器で、前記オキシム化反応液の水相と25重量%のシクロドデカノンのトルエン溶液2kg/h(第1反応器へのヒドロキシルアミン硫酸塩と等モル量)を同反応器にフィードし、反応温度を95℃に設定し、各室に25重量%アンモニア水を16g/hでフィードしオキシム化反応を行った。得られた反応液は分液し、油相はオキシム化第1反応器にフィードした。
オキシム化第1反応器で取得した油相10kgを20Lのエバポレータに入れ、トルエンを留去し、5.26kgのシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を得た。シクロドデカノンオキシム含有量をガスクロマトグラフィーで定量した結果、シクロドデカノンオキシム含有率50重量%であった。
[参考例2:シクロドデカノンオキシムの乾燥]
参考例1で得たシクロドデカノンオキシム溶液をエバポレータでさらにトルエンを留去し乾固した、得られたシクロドデカノンオキシム粉末を真空乾燥機に入れ、150Paの減圧下120℃で24時間乾燥して、乾燥シクロドデカノンオキシム2.62kgを得た。
[参考例3:シクロドデカノンオキシム溶液の調製]
参考例1で得られた50重量%のシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液5.26kgに塩化亜鉛18.2gを加え、90℃に加熱して溶解した(50重量%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液という)。これとは別に参考例1で得られた50重量%のシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液をトルエンで希釈して20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液及び3重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を調製した。なお、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液は50℃に加温しなければ、シクロドデカノンオキシムが析出したが、3重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液は室温でも析出物はみられなかった。
実施例A1〜A10及び比較例A1〜A3では、転位触媒と一部のシクロドデカノンオキシム化合物とを混合して反応させる前調製を行った後、前調製より高い温度でベックマン転位反応を行うときの反応条件と、シクロドデカノンオキシムの転化率およびラウロラクタムの収率との関係を明らかにすることを目的とした。
[実施例A1]
グローブボックス内で参考例2で製造したシクロドデカノンオキシム0.033g(0.17mmol)、を5重量%の塩化チオニル(転位触媒)/トルエン溶液0.400gに溶かし(塩化チオニル純分0.020g(0.17mmol))、マグネティックスターラーを用いて5分間室温(25℃)で攪拌し、転位触媒の前調製を行った。前調製後、高速液体クロマトグラフィーの分析の結果、シクロドデカノンオキシムが消費されている事を確認した。一方、シクロドデカノンオキシム3.285g(16.64mmol)、塩化亜鉛0.023g(0.17mmol)をグローブボックス(窒素雰囲気中)内で枝管付平底フラスコに秤取り、7.00gのトルエンを加えてオイルバス中で100℃に加熱溶解した。この塩化亜鉛を含むシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液に前記シクロドデカノンオキシム対塩化チオニルが1対1のモル比で前調製した反応混合物を添加し、60分反応した。反応液は濁りがなく透明であり、ガスクロマトグラフィーでの分析の結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は98.8%であった。
[実施例A2]
転位触媒の前調製時間を60分とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液は濁りがなく透明であった。
[実施例A3]
転位触媒の前調整に用いるシクロドデカノンオキシムを0.066gとし、シクロドデカノンオキシムに対する塩化チオニルのモル比(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル)を2/1とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液は濁りがなく透明であった。
[実施例A4]
触媒の前調製に用いるシクロドデカノンオキシムを0.166gとし、シクロドデカノンオキシム対塩化チオニルのモル比を5/1とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液はわずかな濁りが観測された。
[実施例A5]
触媒の前調整に用いるシクロドデカノンオキシムを0.332gとし、シクロドデカノンオキシム対塩化チオニルのモル比を10/1とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液は濁りが観測された。
[実施例A6]
触媒の前調整に用いるシクロドデカノンオキシムを0.022g(0.11mmol)、5重量%塩化チオニル/トルエン溶液を0.26g(塩化チオニル純分0.013g(0.11mmol))、に変えた以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液は濁りがなく透明であった。
[比較例A1]
転位触媒の前調製を行わず、塩化亜鉛を含むシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液に塩化チオニルのトルエン溶液を直接添加した以外、実施例A1と同様に反応を行った。反応液は黄褐色の濁りがあった。反応時間を更に120分まで延長したが、シクロドデカノンオキシムの転化率は変化しなかった。なお、反応液中には黄褐色の濁りが観測された。
[比較例A2]
転位触媒の前調整温度を75℃、時間を10分とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。反応液中には黄褐色の濁りが観測された。
[実施例A7]
オーバーフロー抜き出し口の付いた35mlの二口平底フラスコに10重量%の塩化チオニル(転位触媒)のトルエン溶液を26.2g/h、3重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を217.5g/hでフィードし、室温(25℃)下、スターラー攪拌子で攪拌して転位触媒の前調製を行い、転位反応槽に流下させた。前調整液を少量サンプリングし、自動試料燃焼装置(三菱化学社製AQF-100型)で燃焼させ、発生ガスを水酸化ナトリウム水溶液に吸収させイオンクロマトグラフィー(三菱化学社製DIONEX-ICS1000システム)で分析した結果、塩素が0.28重量%含まれていた。
一方、転位反応槽には参考例1で製造した50重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液に塩化亜鉛を0.52重量%加え580g/hでフィードした。転位反応槽は160mlのCSTR(Continuous Stirred Tank Flow Reactor:連続攪拌槽型流通反応器)2槽から構成され、液温が105℃となるようジャケットの熱媒温度を調整した。反応時間(CSTR1,2槽の平均滞留時間の合計)は0.3時間であり、同条件で10時間継続して連続反応を行った。なお、反応液は濁りがなく透明であった。
[実施例A8]
転位触媒としてトリクロロトリアジンを用い、前調製に用いる5重量%のトリクロロトリアジンのトルエン溶液を0.224g(トリクロロトリアジン0.06mmol)、シクロドデカノンオキシムを0.012g(0.06mmol)とし、枝管付平底フラスコに仕込むシクロドデカノンオキシムを3.00g(15.20mmol)、塩化亜鉛を0.021g(0.15mmol)とした以外は実施例A1と同様に反応を行った。
[比較例A3]
触媒の前調整を行わず、塩化亜鉛を含むシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液にトリクロロトリアジン溶液を直接添加した以外、実施例A8と同様に反応を行った。
[実施例A9]
転位触媒として五塩化リンを用い、前調製に用いる5重量%の五塩化リンのトルエン溶液を0.700g(五塩化リン0.17mmol)とした以外は実施例A3と同様に反応を行った。
[実施例A10]
転位触媒として三塩化リンを用い、前調製に用いる5重量%の三塩化リンのトルエン溶液を0.462g(三塩化リン0.17mmol)とした以外は実施例A3と同様に反応を行った。
以上の実施例A1〜A10、比較例A1〜A3の反応条件および結果は表1に示す。
Figure 2010101229
次に、実施例B1〜26および比較例B1〜5では、転位触媒を塩化チオニルとしたときの前調製工程と転位反応工程の反応条件と、シクロドデカノンオキシムの転化率およびラウロラクタムの収率との関係を明らかにすることを目的とした。
さらに、実施例B20〜23においては、前調製工程後の液中に含まれる塩素とイオウの分析を行い、前調製工程におけるオキシム化合物と転位触媒との反応機構を明らかにすることを目的とした。
[実施例B1]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液0.281g(0.236mmol)をジャケット付き平底フラスコに入れ、10℃に冷却し回転子で攪拌した。これに50℃の参考例3で得られた20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液0.582g(0.590mmol)を加え、10分間前調整を行った(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比2.5(mol/mol))。反応熱のため、25℃まで温度が上昇したが、すぐに10℃まで温度が下がった。なお、降温後も析出物はみられなかった。また、高速液体クロマトグラフィーの分析の結果、シクロドデカノンオキシムの消費が認められたが、対応するラウロラクタムの生成は少量であった。次にこの前調整液を105℃に加熱した6.0gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液(シクロドデカノンオキシム14.147mmol、塩化亜鉛0.151mmol)に投入し(塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム:1.50モル%、塩化亜鉛/シクロドデカノンオキシム:0.96モル%)同温度で20分間反応した。反応液は濁りがなく透明であった。
[実施例B2]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.277g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を0.344gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比1.5(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった反応液は濁りがなく透明だった。
[実施例B3]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.283g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を0.704gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比3.0(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった(塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム:1.50モル%、塩化亜鉛/シクロドデカノンオキシム0.96モル%)。反応液は濁りがなく透明だった。
[実施例B4]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.274g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を0.228gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比1.0(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった。
[実施例B5]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.292g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を1.212gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比5.0(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった。
[実施例B6]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.318g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を2.638gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比10(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった。
[実施例B7]
10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.272g、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を0.113gに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比0.5(mol/mol))に変えた以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった。
[実施例B8]
転位反応時間を60分とした以外は実施例B4と同様に反応を行った。
[実施例B9]
前調製時間を5分とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[実施例B10]
前調製時間を60分とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[実施例B11]
前調製時間を2.5時間とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[実施例B12]
前調製時間を4.5時間とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[比較例B1]
前調製時間を15時間とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[比較例B2]
前調製時間を24時間とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[実施例B13]
前調製に用いる10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液を0.225g(0.189mmol)、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を0.466g(0.472mmol)とし、転位反応時間を30分とした以外は実施例B1と同様にして反応を行った。
[実施例B14]
転位反応時間を24時間とした以外は実施例B13と同様に反応を行った。
[実施例B15]
前調製条件での10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液及び20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液の使用量を実施例B1に戻した以外は実施例B14と同様に(前調製:シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比2.5(mol/mol)、転位反応:塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム:1.50モル%、塩化亜鉛/シクロドデカノンオキシム1.00モル%)反応を行った。
[比較例B3]
転位触媒の前調製を行わず、6.0gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液に直接10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液0.270gを添加(塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム:1.50モル%、塩化亜鉛/シクロドデカノンオキシム1.00モル%)し、反応時間を60分に延ばした以外は実施例B1と同様にして反応をおこなった。応液には赤褐色の濁りがあり、反応時間を120分に延長したが、シクロドデカノンオキシムの転化率は向上しなかった。
[比較例B4]
前調整を80℃で行った以外は実施例B1と同様にして反応を行った。
[比較例B5]
前調製時間を5秒とした以外は実施例B8と同様に反応を行った。
[実施例B16]
参考例1で調製した50重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液をトルエンで希釈した30重量%シクロドデカノンオキシムのトルエン溶液803g(シクロドデカノンオキシム:1.22モル)に塩化亜鉛2.50g(塩化亜鉛0.018モル)を加えた溶液を調整し、攪拌機、冷却塔、温度計を備えた2Lのジャケット付三つ口フラスコに入れ、熱媒を循環させ、92℃まで昇温した。これとは別に10重量%塩化チオニルのトルエン溶液22g(塩化チオニル0.018モル)、2.8重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液175g(シクロドデカノンオキシム:0.025モル)を室温下で10分間混合し、前調製を行った。前調製液を約5ml/分の速度でマイクロフィーダを用いて2Lのジャケット付三つ口フラスコにフィードし、フィード終了後さらに60分反応を行った。触媒フィード中の最高温度は95℃で、暴走することなく反応を制御できた。取得した反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は97.6%であった。
[比較例B6]
実施例B16におけるシクロドデカノンオキシム、塩化チオニル、塩化亜鉛、トルエンの使用量をすべて1/10に減らし、攪拌機、冷却塔、温度計を備えた0.5Lのジャケット付三つ口フラスコに入れ、熱媒を循環させ昇温した。内温80℃を超えると激しく反応し、内温が急上昇し、反応を制御できなくなった。温度計の指示は130℃、溶液は冷却管上部まで吹き上がった。60分反応を行った後、反応液には茶褐色の沈殿物が生じた。
[実施例B17]
オーバーフロー抜き出し口の付いた35mlの二口平底フラスコに10重量%の塩化チオニル(転位触媒)のトルエン溶液を26.2g/h、3重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を217.5g/hでフィードし、室温(20℃)下、スターラー攪拌子で攪拌して転位触媒の前調製を行い、転位反応槽に流下させた。一方、転位反応槽には参考例3で製造した50重量%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液を580g/hでフィードした。転位反応槽は160mlのCSTR(Continuous Stirred Tank Flow
Reactor:連続攪拌槽型流通反応器)2槽から構成され、液温が105℃となるようジャケットの熱媒温度を調整した。反応は10時間連続して行った。反応液は濁りがなく透明であった。
[実施例B18]
前調整工程での10重量%の塩化チオニル/トルエン溶液フィード量を27.15g/h、シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液の濃度を20重量%、フィード量を56.3g/hに変え(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比2.5(mol/mol))、20重量%シクロドデカノンオキシム/トルエン溶液を50℃に加熱してフィードした以外は実施例B17と同様に反応を行った。前調整の温度は35℃であった。
[実施例B19(1)]
前調整槽へフィードするシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液の濃度を20重量%にフィード量を67.7g/hに変えた(シクロドデカノンオキシム/塩化チオニル比3.0(mol/mol))以外は実施例B18と同様に反応を行った。前調整槽で白色の不溶物が生じたが、懸濁状態のまま転位槽にフィードした。生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は99.2%であった。一方、前調製槽内の白色の不溶物をろ別、洗浄、乾燥し、得られた粉末の蛍光X線分析を行った結果、塩素7.44重量%、イオウ950重量ppmであった。また、前記不溶物をアセトニトリルに溶かし、高速液体クロマトグラフィー(カラム:東ソー製 TSK-GEL ODS-80TS 溶離液:アセトニトリル/水 緩衝液:リン酸)で分析を行った結果、少量のラウロラクタム(3.5重量%)以外に大きくブロードな吸収が2本検出された。同サンプルを40時間経過後再度分析した結果、前記ブロードな吸収はいずれも消失し、ラウロラクタムが大幅に増加(ほぼ100重量%)した。
[実施例B19(2)]
さらに、シクロドデカノンオキシム3.00g(15.2mmol)、塩化亜鉛21mg(0.15mmol)、トルエン7.00gからなる溶液に前記粉末63mg(塩素0.13mmol)を加え100℃で1時間反応を行った。生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は98.9%であり、前調製の過程で生成するトルエン不溶物もベックマン転位の触媒作用があることが確認された。
また、マススペクト分析の結果、分子量が376であり、元素分析の結果、水素10.3重量%、炭素70.3重量%、窒素6.2重量%であったことから、同不溶物は主として前記(9)又は(10)に相当する活性種からなると推定された。((9)又は(10)の各元素理論比 水素:10.4重量%、炭素:69.8重量%、窒素:6.8重量%、塩素:8.6重量%、酸素:4.4重量%。分子量:412.5(HClを含有した場合)又は376(HClが脱離した場合))
[実施例B20]
前調製槽へフィードするシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液のフィード量を45.1g/hに前調製槽温度を50℃に変えた以外は実施例B19と同様にして前調製を行った(滞留時間24.3分、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルフィード比2.0(mol/mol))。得られた前調整液を減圧脱気後自動試料燃焼装置(三菱化学社製AQF-100型)で燃焼させ、発生ガスを水酸化ナトリウム水溶液に吸収させイオンクロマトグラフィー(三菱化学社製DIONEX−ICS1000システム)で分析した結果、塩素が1.12重量%、イオウが0.29重量%含まれていた。これは、フィードした塩化チオニルの塩素の50.1%、イオウの28.4%に相当する。次にこの前調整液0.65gを105℃に加熱した6.14gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液(シクロドデカノンオキシム14.48mmol、塩化亜鉛0.155mmol)に投入し(前調製工程フィード塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム比(mol/mol)1.29、塩素分析値/シクロドデカノンオキシム比(g原子/mol)1.29)、20分間反応し生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は84.0%、ラウロラクタム収率は82.6%であった。
[実施例B21]
前調製槽へフィードするシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液のフィード量を67.7g/hと変えた以外は実施例B20と同様に前調製を行った(滞留時間18.4分、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルフィード比3.0(mol/mol))。実施例B20と同様に塩素、イオウの分析を行った結果、塩素0.99重量%、イオウが0.026重量%でフィードした塩化チオニルの塩素の57.8%、イオウの3.5%に相当した。次にこの前調整液0.86gを105℃に加熱した6.00gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液(シクロドデカノンオキシム14.147mmol、塩化亜鉛0.151mmol)に投入し(前調製工程フィード塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム比(mol/mol)1.30、塩素分析値/シクロドデカノンオキシム比(g原子/mol)1.50)、20分間反応し生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は99.7%、ラウロラクタム収率は98.6%であった。
[実施例B22]
前調製槽へフィードするシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液のフィード量を112.8g/hと変えた以外は実施例B20と同様に前調製を行った(滞留時間12.4分、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルフィード比5.0(mol/mol))。実施例B20と同様に塩素、イオウの分析を行った結果、塩素0.70重量%、イオウが0.035重量%でフィードした塩化チオニルの塩素の60.5%、イオウの6.6%に相当した。次にこの前調整液1.30gを105℃に加熱した6.04gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液(シクロドデカノンオキシム14.241mmol、塩化亜鉛0.152mmol)に投入し(前調製工程フィード塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム比(mol/mol)1.28、塩素分析値/シクロドデカノンオキシム比(g原子/mol)1.55)、20分間反応し生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は85.6%、ラウロラクタム収率は84.7%であった。
[実施例B23]
前調製槽へフィードするシクロドデカノンオキシム/トルエン溶液のフィード量を225.6g/hと変えた以外は実施例B20と同様に前調製を行った(滞留時間6.8分、シクロドデカノンオキシム/塩化チオニルフィード比10.0(mol/mol))。実施例B20と同様に塩素、イオウの分析を行った結果、塩素0.39重量%、イオウが0.031重量%でフィードした塩化チオニルの塩素の60.9%、イオウの10.8%に相当した。次にこの前調整液2.53gを105℃に加熱した6.01gの50%シクロドデカノンオキシム/塩化亜鉛溶液(シクロドデカノンオキシム14.171mmol、塩化亜鉛0.151mmol)に投入し(前調製工程フィード塩化チオニル/シクロドデカノンオキシム比(mol/mol)1.30、塩素分析値/シクロドデカノンオキシム比(g原子/mol)1.58)、20分間反応し生成物を分析した結果シクロドデカノンオキシムの転化率は59.7%、ラウロラクタム収率は58.8%であった。
[実施例B24]
反応温度を80℃にし、CSTRを4槽にした以外は実施例B18と同様に反応を行った。各槽出口のシクロドデカノンオキシムの転化率は40.0%、63.2%、84.9%、99.8%であり、最終槽出口のラウロラクタム収率は99.1%であった。
[比較例B7]
前調整の温度を80℃とした以外は実施例B18と同様に反応をおこなった。1、2,3槽出口のシクロドデカノンオキシムの転化率は35.1%、55.1%、70.4%であったが、第4槽出口でも74.1%であり、収率も69.6%に留まった。
以上の実施例B1〜B24の反応条件と、結果を表2に示す。さらに、実施例B20〜B23については、前調製液中の塩素およびイオウの分析結果を表3に示す。
実施例B20〜B23の前調製液中の塩素およびイオウの分析結果から、フィードした塩化チオニルの量に対し、塩素は約50〜60%検出されたのに対し、イオウの検出量は微量であることから、前述の前調製工程におけるオキシム化合物と塩化チオニルとの反応において、前述の電子吸引性置換基Yは、イオウではなく塩素原子であることが推定された。
Figure 2010101229
Figure 2010101229
次に、実施例C1〜C8および比較例C1〜C3は、ルイス酸の存在下、オキシム化合物を、塩化チオニルを用いてベックマン転位させるアミド化合物の製造方法における反応条件と、シクロドデカノンオキシムの転化率およびラウロラクタムの収率との関係を明らかにすることを目的とした。
[実施例C1]
トルエン5.0gに塩化チオニル0.0624g(0.524mmol)を溶解したトルエン溶液に、上記参考例2の通り製造したシクロドデカノンオキシム0.2089g(1.059mmol、塩化チオニルの2.0倍モル)を加え、マグネティックスターラーを用いて5分間室温(25℃)で攪拌し、転位触媒の前調製を行った。これとは別に、ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム2.0g(10.16mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、塩化コバルト(CoCl)0.0145g(0.112mmol、シクロドデカノンオキシムの1.10mol%)と、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)4.0gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。前記のシクロドデカノンオキシムを仕込んだ反応管を105℃のオイルバスにセットし、内温が約100℃に達した後、前記の転位触媒の前調製のトルエン溶液1.04g(塩化チオニルとして仕込んだシクロドデカノンオキシムの1.01mol%、シクロドデカノンオキシム0.0410gを含む)を注射器で反応管内に注入した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。反応液をトルエンで希釈した後、高速液体クロマトグラフィーにて生成したラウロラクタムを定量分析した(高速液体クロマトグラフィーの分析条件: カラム:J‘sphere製ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm)。分析した結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は101.5%であった。
なお、ラウロラクタムの収率は絶対検量線法により、以下の式で算出した。
ラウロラクタム収率(%)=100×(生成したラウロラクタムのモル数)/{(仕込んだシクロドデカノンオキシムのモル数)+(触媒を含むトルエン溶液中のシクロドデカノンオキシムのモル数)}
[実施例C2]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して0.99モル%、塩化コバルトに代えて四塩化スズ(SnCl)をシクロドデカノンオキシムの0.92モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C3]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.03モル%、塩化コバルトに代えて五塩化アンチモン(SbCl)をシクロドデカノンオキシムの1.04モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C4]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.03モル%、塩化コバルトに代えて三塩化ビスマス(BiCl)をシクロドデカノンオキシムの1.28モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C5]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.02モル%、塩化コバルトに代えてフッ化亜鉛(ZnF)をシクロドデカノンオキシムの1.07モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C6]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.06モル%、塩化コバルトに代えて塩化亜鉛(ZnCl)をシクロドデカノンオキシムの1.05モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C7]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.03モル%、塩化コバルトに代えて臭化亜鉛(ZnBr)をシクロドデカノンオキシムの1.05モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[実施例C8]
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム2.0g(10.16mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、室温下、塩化亜鉛(ZnCl)0.0141g(0.103mmol、シクロドデカノンオキシムの1.01モル%)、5.19重量%の塩化チオニルを含むトルエン溶液0.36g(塩化チオニルとして0.155mmol、シクロドデカノンオキシムの1.53モル%)、トルエン4.7gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。前記の反応管を105℃のオイルバスにセットし、反応を開始した。
1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。反応液をトルエンで希釈した後、高速液体クロマトグラフィーにて生成したラウロラクタムを定量分析した。シクロドデカノンオキシムの転化率は100%、ラウロラクタム収率は100.5%であった。
[比較例C1]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.04モル%、塩化コバルトに代えて酢酸亜鉛(Zn(OAc))をシクロドデカノンオキシムの1.43モル%に変えた以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[比較例C2]
塩化チオニルを、仕込んだシクロドデカノンオキシムに対して1.01モル%に変え、ルイス酸を加えなかったこと以外は実施例C1と同様にして反応をおこなった。
[比較例C3]
塩化チオニル以外を実施例C8と同様に仕込んだ後、反応管を105℃のオイルバにセットし、内温が99℃に達した後、7.21重量%の塩化チオニルを含むトルエン液0.26g(塩化チオニルとして0.160mmol、シクロドデカノンオキシムの1.57mol%)を注射器で反応管内に注入したこと以外は実施例C8と同様に反応を行った。
以上の実施例C1〜C8および比較例C1〜C3の反応条件と、結果を表4に示す。
Figure 2010101229

Claims (10)

  1. オキシム化合物を、少なくとも2個の電子吸引性の脱離基を有する化合物である転位触媒を用いてベックマン転位させることによりアミド化合物を製造する方法であって、
    前記転位触媒と少なくとも一部のオキシム化合物とを混合して反応させる前調製工程と、
    前記前調製工程の温度より高い温度において、オキシム化合物の転位反応を行う転位反応工程
    とを有することを特徴とする方法。
  2. オキシム化合物の一部を用いて前調製工程を行い、かつ、
    転位反応工程において、残りのオキシム化合物液と前記前調製工程の反応物とを混合し、前記前調製工程の温度より高温で転位反応を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前調製工程において、転位触媒と全部のオキシム化合物とを混合し、
    転位反応工程において、該混合物を昇温することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記転位触媒が、塩化チオニル、塩化シアヌル、三塩化リン、五塩化リンから選ばれる少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記転位触媒が、塩化チオニルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記前調製工程を、オキシム化合物の一部と塩化チオニルを用いて行い、かつ、オキシム化合物と塩化チオニルとのモル比(オキシム化合物/塩化チオニル)が0.5以上であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  7. 前記転位反応工程をルイス酸の存在化で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ルイス酸が、亜鉛、コバルト、アンチモン、スズ及びビスマスからなる群より選ばれる1又は2以上の金属のハロゲン化物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記前調製工程の温度が50℃以下であり、かつ、転位反応工程の温度が60℃から160℃であることを特徴する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記オキシム化合物が、シクロドデカノンオキシムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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