JP5640985B2 - 新規化合物およびそれを用いたアミド化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
塩化水素および/またはルイス酸と
を混合して、これをベックマン転位触媒および/または反応出発原料として反応工程に提供することを特徴とする、アミド化合物の製造方法。
溶媒を留去する工程と、
再度溶媒を添加し、アルカリ水溶液で水相がアルカリ性になるまで洗浄する工程と
を含むことを特徴とする、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムの製造方法。
溶媒を留去する工程と、
を含むことを特徴とするシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩の製造方法。
オキシム化合物と塩化チオニルとを混合、反応させ、塩素原子を含有する触媒活性種を生成する前調製工程を含むことを特徴とする方法。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムは、新規化合物である。本化合物は下式(1)で表される化合物、その立体異性体、またはそれらの混合物であり、以下、断りのない限り、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムと記載する。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩は、新規化合物である。本化合物は下式(2)で表される化合物、その立体異性体、またはそれらの混合物であり、以下、断りのない限り、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩と記載する。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム、およびその塩酸塩の製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。塩化チオニルを脱水ジクロロメタンなどの溶媒に溶解させ、この溶液に塩化チオニルに対して2倍モルのシクロドデカノンオキシムを添加し、溶解させた後、溶媒を留去することで白色固体としてシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩が得られる。さらに精製する場合には、カラムクロマトグラフィー、再結晶などにより精製することができる。
本発明においてオキシム化合物は特に制限されず、製造目的のアミド化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムは、シクロドデカノンオキシムからラウロラクタムを製造する上で、塩化水素および/またはルイス酸と混合して、ベックマン転位触媒として用いることができる。また、ラウロラクタムを製造する上で、直接的な反応出発原料としても用いる事ができる。本発明においては、転位反応液中にはラウロラクタム以外に存在するものは塩化水素および/またはルイス酸だけであり、塩化水素および/またはルイス酸は簡単な中和処理で除去することが可能であるというメリットがある。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩は、シクロドデカノンオキシムからラウロラクタムを製造する上で、ベックマン転位触媒として用いることができる。さらに助触媒としてルイス酸を添加することで触媒活性が増大し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩の使用量が少量でも、シクロドデカノンオキシムから、対応するラウロラクタムを製造することができる。
本発明のさらに別の態様においては、塩化チオニルを転位触媒として、オキシム化合物をベックマン転位させてアミド化合物を製造する方法であって、前調製工程(後述する)と転位反応工程を有することを特徴とする。前調製工程においては塩素原子を含有する触媒活性種(中間体)が生成され、転位反応工程においてはその触媒活性種を用いてベックマン転位反応が行われる。発明者らは、オキシム化合物の一例としてシクロドデカノンオキシムを用いたとき、前調製工程により得られる反応液中の触媒活性種が、上記シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩であり、さらにそれをアルカリ処理したものがシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムであることを明らかにした。以下、詳しく説明する。
前調製に用いる装置としては、混合部、混合液の導管、脱ガス槽の3つからなるものが好ましい。
前調製において塩化チオニルとオキシム化合物を混合してから脱ガス槽にて脱気するまでの時間は混合部の温度によって異なる。例えば60℃であれば40分以内、40℃であれば、60分以内が好ましい。
前調製工程においては、転位反応させるオキシム化合物の全部を用いてもよいし、その一部を用いてもよい。塩化チオニルとオキシム化合物の前調製における調合比(オキシム化合物/塩化チオニルモル比)は2.0以上10.0以下、好ましくは2.0以上5.0以下、更に好ましくは2.0以上3.0以下である。
前調製の混合部及び脱ガス槽の温度は後述するベックマン転位反応の温度以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下で行うことが好ましい。前調製の温度が高すぎる場合、触媒活性種の大部分がアミド化合物又はラクタム化合物に変化し、触媒活性が低下するため好ましくない。調製温度の下限は、反応系が凝固しない温度であれば、特に制約はないが、10℃以下、さらに0℃以下では、冷却装置が必要となり、経済的ではない。例えばオキシム化合物がシクロドデカノンオキシムの場合は前調製の混合部及び脱ガス槽の温度は好ましくは60℃以下である。工業的には析出物がない方が取り扱いやすいので溶媒がトルエンの場合は触媒活性種(式(2)の化合物)が析出しないように25℃以上が好ましい。
前調製において使用する好適な溶媒は下記のとおりである。
ベックマン転位反応においては、前調製工程において、オキシム化合物の一部のみを用いているときは、前調製液と新たにオキシム化合物とを混合して用いる。
ベックマン転位反応において、塩化水素等の酸類を助触媒として添加することによって、転位反応速度を向上させることができる。特にルイス酸はシクロドデカノンオキシム等のオキシム化合物の加水分解を加速することなく、転位反応速度を向上させることができるので好ましい。
ベックマン転位反応に使用する溶媒として、前調製で用いた溶媒と同一の溶媒を用いることは製造プロセスが簡略化され好ましい態様であるが、異なる溶媒を用いても差し支えない。なお、異なる溶媒を用いる場合は、例えば、前調製液に転位溶媒を加え、前調製溶媒を留去することによって、転位溶媒へ溶媒交換を行う事ができる。また、前調製溶媒と転位溶媒を混合したまま、ベックマン転位反応を行ってもよい。
ベックマン転位反応の温度は、60℃から160℃、好ましくは80℃から150℃である。反応温度が低すぎる場合、反応速度が遅くなり、反応が停止する事になるため好ましくない。また、低温ではオキシム化合物の凝固又は転位溶媒への溶解度低下による析出が起きる場合があり、運転操作上の問題が生じる。この問題を回避するため、溶媒量を増加することは、溶媒の回収・リサイクル量が増大し製造コストが増加する等の問題が生じる為、好ましくない。一方、反応温度が高すぎると、転位反応の発熱が激しくなり温度が急上昇し、反応が制御できなくなるため好ましくない。また、反応温度が高すぎる場合、縮合反応等の副反応ため転位収率が低下するとともに、着色等で製品品質が低下する。例えばオキシム化合物がシクロドデカノンオキシムの場合はベックマン転位反応の温度は80℃から130℃が好ましい。
ベックマン転位反応の反応時間は、オキシム化合物、塩化チオニルの濃度、反応温度等によって異なるが、通常、5分から10時間、好ましくは10分から4時間である。
ベックマン転位反応は減圧、常圧、加圧のいずれで行っても差し支えない。
ベックマン転位反応で使用される連続流通装置としては、管型連続反応装置、攪拌槽型連続反応装置等の一般に用いられる反応装置を使用することができるが、反応温度の制御が容易で運転操作も簡単である槽型連続多段反応装置が好適である。
ベックマン転位反応の終了後、生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらの組み合わせにより分離・精製できる。
(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムの製造方法)
塩化チオニル0.618g(5.19mmol)を脱水ジクロロメタン20gに溶かした。氷冷下、この溶液にシクロドデカノンオキシム
2.05g(10.39mmol)を添加し、溶解させた。溶解後ただちにエバポレーターでこの溶液からジクロロメタンを除去して白色粉末を得た。この白色粉末をジクロロメタンに溶解し、分液ロートに移して、0.5N NaOH(0.5N 水酸化ナトリウム水溶液) 20mlで3回、pH試験紙で確認しながら水槽がアルカリ性になるまで洗浄を繰り返した。さらに、このジクロロメタン溶液を純水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。ジクロロメタン溶液より無水硫酸マグネシウムを濾別除去し、エバポレーターでジクロロメタンを除去して白色粉末
1.89g(収率 96.4%)を得た。この白色粉末をジクロロメタン/アセトンの混合溶媒で再結晶(混合溶媒:ジクロロメタン/アセトン=1/4(重量比)、再結晶温度:−10〜−15℃)して、無色の結晶(融点 85.4〜87.3℃)としてシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムを得た。
実測値(%)H:11.48、C:75.73、N:7.29
計算値(%)H:11.78、C:76.54、N:7.44
(C24H44N2Oとして)
1.30−1.75(36H、m)、2.32−2.35(2H、m)、2.44−2.47(2H、m)、2.58−2.60(2H、m)、3.35−3.37(2H、m)
22.53、23.02、23.33、23,43、23.67、24.01、24.61、24.69、25.07、25.16、25.32、25.69、25.81、25.86、25.90、26.64、26.86、28.31、29.35、30.35、32.24、44.91、160.84、162.82
EI−MS m/z 376(M)、CI−MS m/z 377(MH)
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム(東京化成製品)1.0gを大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)3.7gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。これとは別に、グローブボックス中で、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム0.0605g(0.161mmol)に1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液0.804g(HCl含量 0.325mmol)とジクロロメタン0.498gを加えた溶液(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClのモル比=1.0/2.0)を調製し、密封してグローブボックスから取り出した。前記のシクロドデカノンオキシムを仕込んだ反応管を105℃のオイルバスにセットし、内温が100℃に達した後、注射器にて前記シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムの溶液1.264g(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム 0.150mmol(シクロドデカノンオキシムの3mol%)、HCl 0.320mmol(シクロドデカノンオキシムの6mol%))を反応管に注入した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。
カラム:J‘sphere製 ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm
また、ラウロラクタムの収率は以下の計算式にて求めた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClをそれぞれシクロドデカノンオキシムの3.00mol%、9.77mol%にした以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClをそれぞれシクロドデカノンオキシムの4.08mol%、8.08mol%にした以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClをそれぞれシクロドデカノンオキシムの5.20mol%、5.56mol%にした以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClをそれぞれシクロドデカノンオキシムの4.67mol%、7.15mol%にした以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClをそれぞれシクロドデカノンオキシムの5.24mol%、10.38mol%にした以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムを0.0954g(0.254mmol、シクロドデカノンオキシムの5.00mol%)を添加し、HClを添加しなかったこと以外は、実施例A2と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムを添加せず、1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液0.640g(HCl含量 0.256mmol、シクロドデカノンオキシムの5.01mol%)だけを添加したこと以外は、実施例A2と同様に行った。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム0.309g(0.82mmol)と1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液6.17g(HCl含量 2.47mmol)を大気雰囲気中で仕込み、密封した、90℃のオイルバス中で10分間反応させた。
(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩の製造方法)
塩化チオニル0.6013g(5.05mmol)を脱水ジクロロメタン30gに溶かした。氷冷下、この溶液にシクロドデカノンオキシム1.9955g(10.11mmol)を添加し、溶解させた。溶解後ただちにエバポレーターでこの溶液からジクロロメタンを除去して白色粉末として、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩を得た。この白色粉末をジクロロメタン/ヘキサンの混合溶媒で再結晶(混合溶媒:ジクロロメタン/アセトン=4/7(重量比)、再結晶温度:−10〜−15℃)して、無色の結晶(融点 87.4〜88.9℃)としてシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩を得た。
実測値(%)H:10.31、C:70.65、N:6.16
計算値(%)H:10.42、C:69.82、N:6.79
(C24H44N2O・HClとして)
実測値(%)Cl:8.31
計算値(%)Cl:8.61
(C24H44N2O・HClとして)
1.30−1.91(36H、m)、2.51−2.57(4H、m)、3.26−3.29(2H、m)、3.58−3.59(2H、m)、13.86(1H、br)
22.11、22.24、22.56、23.03、23.21、23.52、23.90、23.98、24.88、24.94、25.45、25.50、25.55、25.69、25.99、26.29、26.63、26.92、29.86、30.59、30.83、43.32、171.68、179.52
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム(東京化成製品)2.0g(10.16mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩 0.1267g(0.307mmol、シクロドデカノンオキシムの3.0mol%)、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)5.11gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。この反応管を105℃のオイルバスにセットし、反応を開始した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。
カラム:J‘sphere製 ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm
また、ラウロラクタムの収率は絶対検量線法により、以下の計算式にて求めた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩をシクロドデカノンオキシムの5.02mol%にした以外は、実施例B2と同様に行った。結果を表2に示す。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩をシクロドデカノンオキシムの4.09mol%にした以外は、実施例B2と同様に行った。結果を表2に示す。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩7.0mgをアセトニトリル50mLに溶解し、室温で24時間反応した。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム(東京化成製品)1.0g(5.08mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、塩化ビスマス(BiCl3)(和光純薬製品)0.0961g(シクロドデカノンオキシムの6.01mol%)、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム0.0573g(シクロドデカノンオキシムの3.00mol%)、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)5.0gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。前記の反応管を105℃のオイルバスにセットし、反応を開始した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。
カラム:J‘sphere製 ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm
また、ラウロラクタムの収率は以下の計算式にて求めた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとBiCl3をそれぞれシクロドデカノンオキシムの5.00mol%、10.04mol%、にした以外は、実施例C1と同様に行った。結果を表3に示す。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとBiCl3をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.00mol%、2.06mol%、にした以外は、実施例C1と同様に行った。結果を表3に示す。
ルイス酸として塩化第2スズ(SnCl4)を使用し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとSnCl4をそれぞれシクロドデカノンオキシムの3.00mol%、6.38mol%、にした以外は、実施例C1と同様に行った。結果を表3に示す。
ルイス酸を添加せず、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムをシクロドデカノンオキシムの5.00mol%、にした以外は、実施例C1と同様に行った。結果を表3に示す。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムを添加せず、BiCl3(シクロドデカノンオキシムの6.05mol%)だけを添加したこと以外は、実施例C1と同様に行った。結果を表3に示す。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム16.0mg(0.043mmol)と塩化ビスマス(BiCl3)(和光純薬製品)14.0mg(0.044mmol)をアセトニトリル50mLに溶解し、60℃のオイルバス中で1時間反応した。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム(東京化成製品)2.0g(10.16mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、塩化亜鉛(ZnCl2)(和光純薬製品)0.0146g(シクロドデカノンオキシムの1.05mol%)、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)4.6gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。これとは別に、グローブボックス中で、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム0.0841g(0.223mmol)に1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液0.242g(HCl含量 0.239mmol)とジクロロメタン0.513gを加えた溶液(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClのモル比=1.0/1.07)を調製し、密封してグローブボックスから取り出した。前記のシクロドデカノンオキシムを仕込んだ反応管を105℃のオイルバスにセットし、反応管の内温が100℃に達した後、注射器にて前記シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムの溶液0.418g(シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム 0.111mmol(シクロドデカノンオキシムの1.09mol%)、HCl 0.119mmol(シクロドデカノンオキシムの1.17mol%))を反応管に注入した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。
カラム:J‘sphere製 ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm
また、ラウロラクタムの収率は以下の計算式にて求めた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとZnCl2をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.07mol%、1.17mol%、0.70mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとZnCl2をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.01mol%、10.91mol%、1.14mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
ルイス酸として塩化ビスマス(BiCl3)を使用し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとBiCl3をそれぞれシクロドデカノンオキシムの0.64mol%、0.70mol%、1.05mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
ルイス酸として塩化コバルト(CoCl2)を使用し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとCoCl2をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.01mol%、1.03mol%、1.18mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
ルイス酸として五塩化アンチモン(SbCl5)を使用し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとSbCl5をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.10mol%、1.12mol%、1.05mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
ルイス酸として塩化第2スズ(SnCl4)を使用し、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムとHClとSnCl4をそれぞれシクロドデカノンオキシムの1.21mol%、1.25mol%、1.77mol%、にした以外は、実施例D1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム、ルイス酸を添加せず、1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液0.640g(HCl含量 0.256mmol、シクロドデカノンオキシムの5.01mol%)だけを添加したこと以外は、実施例D1と同様に行った。
HCl、ルイス酸を添加せず、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム(シクロドデカノンオキシムの5.00mol%)だけを添加したこと以外は、実施例D1と同様に行った。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム0.351g(0.93mmol)と1.48重量%のdryHClを含むジオキサン溶液3.44g(HCl含量 1.40mmol)、ZnCl20.140g(1.03mmol)を大気雰囲気中で仕込み、密封した、90℃のオイルバス中で10分間反応させた。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンオキシム(東京化成製品)2.0g(10.16mmol)を大気雰囲気中で仕込み、次いで窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩 0.0450g(0.109mmol、シクロドデカノンオキシムの1.07mol%)、塩化亜鉛(ZnCl2)0.0512g(0.111mmol、シクロドデカノンオキシムの1.09mol%)、溶媒としてトルエン(和光純薬製品)5.00gを加えた後、密封してグローブボックスから取り出した。この反応管を104℃のオイルバスにセットし、反応を開始した。1時間後、反応管をオイルバスから取り出し放冷した。
カラム:J‘sphere製 ODS−H80、カラム温度:40℃、溶離液:アセトニトリル/水(体積比55/45)、流速:1mL/min、検出波長:210nm
また、ラウロラクタムの収率は以下の計算式にて求めた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.0446g(シクロドデカノンオキシムの1.06mol%)、ルイス酸として五塩化アンチモン0.0567g(シクロドデカノンオキシムの1.84mol%)にした以外は、実施例E1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.0472g(シクロドデカノンオキシムの1.13mol%)、ルイス酸として塩化第2スズ(SnCl4)0.0385g(シクロドデカノンオキシムの1.44mol%)にした以外は、実施例E1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.0440g(シクロドデカノンオキシムの1.05mol%)、ルイス酸として塩化コバルト(CoCl2)0.0145g(シクロドデカノンオキシムの1.08mol%)にした以外は、実施例E1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.0445g(シクロドデカノンオキシムの1.06mol%)、ルイス酸として三塩化ビスマス(BiCl3)0.0346g(シクロドデカノンオキシムの1.08mol%)にした以外は、実施例E1と同様に行った。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.0445g(シクロドデカノンオキシムの1.06mol%)、ルイス酸として臭化亜鉛(ZnBr2)0.0246g(シクロドデカノンオキシムの1.06mol%)にした以外は、実施例E1と同様に行った。
ガラス製反応管(容積30mL)にシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩0.453g(1.10mmol)と、ZnCl20.0082g(0.060mmol)、溶媒として脱水アセトニトリル(和光純薬製品)3.00gを窒素ガス雰囲気のグローブボックス中で仕込み、密封した。グローブボックスより取り出し、90℃のオイルバス中で10分間反応させた。
シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩を添加せず、BiCl3(シクロドデカノンオキシムの6.05mol%)だけを添加したこと以外は、実施例E1と同様に行った。
ジャケット付ガラス製の混合部(内容積2.5ml)に10重量%の塩化チオニル(転位触媒)のトルエン溶液を27.7g/h、20重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を57.5g/hでフィードし、ジャケット冷媒にて混合部内部温度を25℃に制御しながら攪拌子で混合した。シクロドデカノンオキシムの塩化チオニルに対するモル比率は2.5である。混合液は導管を通して、内容積48mlのジャケット付ガラス製の脱ガス槽にフィードした。なお、混合部から脱ガス槽までの滞留時間は1.5分、脱ガス槽での滞留時間は29分であった。脱ガス槽内部温度はジャケット冷媒にて35℃に制御し、攪拌子で攪拌しながら窒素(40mL/min)で脱気し、前調製を行い、オーバーフロー液を転位反応槽に流下させた。
前調製で用いる20重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を45.8g/hでフィードし、シクロドデカノンオキシムの塩化チオニルに対するモル比率を2.0にした以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は92.0%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は99.58%、ラウロラクタムの収率は99.1%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
混合部内部温度が60℃である以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は96.0%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は99.87%、ラウロラクタムの収率は99.6%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
前調製を行わず10重量%の塩化チオニル(転位触媒)のトルエン溶液を転位反応槽に直接フィードした以外は実施例F1と同様の方法で転位反応を実施した。その結果、転位反応でのシクロドデカノンオキシムの転化率は57.62%、ラウロラクタムの収率は56.9%であった。ここで得られた転位反応液は濁っていた。
混合部から脱ガス槽までの滞留時間を200minとした以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は69.0%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は98.70%、ラウロラクタムの収率は98.0%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
前調製で用いる20重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を34.5g/hでフィードし、シクロドデカノンオキシムの塩化チオニルに対するモル比率を1.5にした以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は82.8%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は99.36%、ラウロラクタムの収率は98.8%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
10重量%の塩化チオニル(転位触媒)のトルエン溶液と20重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液の混合部がライン混合である以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。このときの混合部温度は80℃、脱ガス槽の温度は20℃であった。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は88.9%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は99.47%、ラウロラクタムの収率は99.0%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
脱ガス槽の温度を80℃とした以外は実施例F6と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。その結果、前調製で添加した塩化チオニルに対する前調製液中の触媒活性種(式(2))のモル生成割合は59.8%であった。また、この前調製液を用いた転位反応のシクロドデカノンオキシムの転化率は98.30%であり、1%以上のオキシムが残存していた。ラウロラクタムの収率は97.5%であった。ここで得られた転位反応液には濁りがなかった。
前調製で用いる20重量%のシクロドデカノンオキシムのトルエン溶液を63.1g/hでフィードし、シクロドデカノンオキシムの塩化チオニルに対するモル比率を2.75とし、脱ガス槽内部温度を19℃に制御した以外は実施例F1と同様の方法で前調製及び前調製液を用いた転位反応を実施した。本前調製において、脱ガス槽に白色結晶が析出した。
Claims (13)
- シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムと、
塩化水素および/またはルイス酸と
を混合して、これをベックマン転位触媒および/または反応出発原料として反応工程に提供することを特徴とする、アミド化合物の製造方法。 - 塩化水素およびルイス酸を使用するとき、前記ルイス酸が、亜鉛、コバルト、アンチモン、スズ及びビスマスからなる群より選ばれる1又は2以上の金属のハロゲン化物であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 塩化水素を使用せず、ルイス酸を使用するとき、前記ルイス酸が、スズおよび/またはビスマスのハロゲン化物であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩を、ベックマン転位触媒および/または反応出発原料として反応工程に提供することを特徴とする、アミド化合物の製造方法。
- さらにルイス酸を用いることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 前記ルイス酸が、亜鉛、コバルト、アンチモン、スズ及びビスマスからなる群より選ばれる1又は2以上の金属のハロゲン化物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 溶媒存在下、塩化チオニルと塩化チオニルに対して2倍モルのシクロドデカノンオキシムを混合して溶解させる工程と、
溶媒を留去する工程と、
再度溶媒を添加し、アルカリ水溶液で水相がアルカリ性になるまで洗浄する工程と
を含むことを特徴とする、シクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシムの製造方法。 - 溶媒存在下、塩化チオニルと塩化チオニルに対して2倍モルのシクロドデカノンオキシムを混合して溶解させる工程と、
溶媒を留去する工程と、
を含むことを特徴とするシクロドデカノンO−アザシクロトリデセン−2−イルオキシム塩酸塩の製造方法。 - 連続流通装置にて、塩化チオニルを用いてシクロドデカノンオキシムのベックマン転位反応を行うことによりラウロラクタムを製造する方法であって、
シクロドデカノンオキシムと塩化チオニルとを混合、反応させ、塩素原子を含有する触媒活性種を生成する前調製工程を含み、
前記前調製工程において用いる装置が、混合部、混合液の導管、脱ガス槽の3つを含み、混合部でシクロドデカノンオキシムと塩化チオニルを混合、反応させ、脱ガス槽で反応により生成するガスを脱気することを特徴とする方法。 - 前記前調製工程において、シクロドデカノンオキシムの塩化チオニルに対するモル比が2以上である請求項11記載の方法。
- 前記前調製工程における反応温度が、ベックマン転位反応の温度以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
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