JP2011201816A - ラクタムの製造方法 - Google Patents

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憲次 堀
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倫徳 隅本
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Abstract

【課題】シクロヘキサノンオキシムから、安価な触媒や溶媒、および安価かつ有用な添加物を用いてε−カプロラクタムを製造する。
【解決手段】少なくとも2つの電子求引性置換基を有する三置換トリアジンを転位触媒として用い、かつ、炭素数8〜12のオキシム化合物を共存させて、シクロヘキサノンオキシムを液相転位する。
【選択図】なし

Description

本発明は、オキシム化合物をベックマン転位させることによって、ラクタムを製造する方法に関する。
工業的にε−カプロラクタムなどのラクタムを製造する方法としては、対応するオキシム化合物をベックマン転位する方法が一般的である。例えば、工業的に有用であるε−カプロラクタムはシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位によって製造される。転位触媒としては濃硫酸および発煙硫酸が用いられるが、これらの強酸は化学量論量以上に必要であり、反応終了後に行う中和の際に大量の硫酸アンモニウムが副生する。例えば、特許文献1には、シクロヘキサノンオキシム、カプロラクタムがそれぞれシクロドデカノンオキシム、ラウロラクタムの良溶媒であることを利用して、ラウロラクタムとカプロラクタムを併産する方法が記載されているが、転位触媒として濃硫酸および発煙硫酸を用いており上記のような問題がある。
一方、大量の硫酸や発煙硫酸を用いない転位触媒およびそれを用いたラクタムの製造の研究も近年盛んに行われるようになった。例えば、過酸化レニウムのアンモニウム塩とトリフルオロメタンスルホン酸の混合系(非特許文献1)、インジウムトリフラート(非特許文献2)、イッテルビウムトリフラート(非特許文献3)等が転位触媒として報告されている。また、酸と脱水剤を含むものとしては、N,N−二置換アミド化合物を溶媒として、五酸化リンまたは縮合リン酸化合物と、非含フッ素スルホン酸無水物またはスルホカルボン酸無水物を用いて転位反応を行う方法(特許文献2、特許文献3)、予め酸を含む水溶液で処理したゼオライト触媒(特許文献4)を用いる方法が報告されている。酸を用いない方法としては、レニウム化合物と含窒素複素環化合物の共存下でベックマン転位反応を行う方法(特許文献5,特許文献6)、亜鉛の酸化物を含有するベータ型ゼオライトを触媒としてベックマン転位反応を行う方法(特許文献7)が報告されている。特許文献8には、カルボン酸溶媒中でトリクロロトリアジンを脱水剤に用い、オキシムとカルボン酸とのエステルを生成させ、次いでベックマン転位反応を行う方法が報告されている。特許文献9には、オキシムの塩酸塩をトリクロロトリアジン等を開始剤として、ベックマン転位させる方法が開示されている。
これらの製造方法の中には高い転位収率を示すものもあるが、触媒や溶媒が特殊である。
特許文献10には、(1)芳香環を構成する原子として、脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含み、(2)芳香環を構成する原子として、ヘテロ原子または電子求引基を有する炭素原子のいずれかの一方または両方を少なくとも3つ含み、(3)前記のヘテロ原子または電子求引基を有する炭素原子のうち2つが、前記脱離基を有する炭素原子のオルトあるいはパラ位に位置する芳香環含有化合物を転位触媒として、極性溶媒中でオキシム化合物のベックマン転位を行う方法が報告されている。同様の内容は非特許文献4にも報告されている。また、非特許文献5には、特許文献10に報告された転位触媒に類似の複素環構造を持つ燐酸塩がベックマン転位反応の触媒として活性を持つことが報告されている。
特許文献10及び非特許文献5に報告された触媒のうち、トリクロロトリアジンは活性が高く、安価であり、工業的触媒として好適である。しかし、「転位し易い大環状オキシムでは高い収率でラクタムが得られたのに対しε-カプロラクタムの原料であるシクロヘキサノンオキシムでは高収率でラクタムを得ることはできなかった。」と記載されている通りシクロヘキサノンオキシムに対して活性が低い。(例えば、特許文献10の実施例3、特許文献11の比較例1、非特許文献4)
シクロヘキサノンオキシムの転位反応において、トリクロロトリアジンの触媒活性を向上させる方法として1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等の含フッ素アルコールを溶媒に用いる方法が特許文献12、13及び非特許文献6に報告されている。しかしながら、その収率は58%である(特許文献12の実施例2)。
非特許文献6では高価な1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに換えてトリフルオロ酢酸を溶媒として使用することが推奨されているが、カルボン酸はラクタムと塩を生成する為、特許文献8の場合と同様にカルボン酸の遊離ならびに回収操作が必要となる。
特開平5−4964号公報 特開2001−302602号公報 特開2001−302603号公報 特開2001−072658号公報 特開平09−301951号公報 特開平09−301952号公報 特開2001−019670号公報 特公昭46−23740号公報 特公昭47−18114号公報 特開2006−219470号公報 特開2008−156277号公報 特開2007−284415号公報 特開2008−162935号公報
K.Narasaka,et.al.,Chemistry Letter,pp.489−492(1993) J.S.Sandhu,et.al.,Indian Journal of Chemistry,pp154−156(2002) J.S. Yadav,et.al.,Journal of Chemical Research(S),pp.236−238(2002) K.Ishihara,et.al.,Journal of American Chemical Sociaty,pp.11240−11241(2005) M.Zhu,et.al.,Tetrahedron Letters,pp4861−4863(2006) M.Hashimoto,et. al.,Organic Process Research & Development 2009, 13 (3), pp 411−414
本発明は、シクロヘキサノンオキシムから、安価な触媒や溶媒、そして安価かつ有用な添加物を用いてε−カプロラクタムを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の事項に関する。
1.少なくとも2つの電子求引性置換基を有する三置換トリアジンを転位触媒として用いて、シクロヘキサノンオキシムを液相転位し、ε−カプロラクタムを製造する方法であって、炭素数8〜12のオキシム化合物を共存させて液相転位することを特徴とする方法。
2.前記電子求引性置換基の少なくともひとつがハロゲン原子である上記1記載の方法。
3.前記ハロゲン原子が塩素原子である上記2記載の方法。
4.前記電子求引性置換基を有する三置換トリアジンがトリクロロトリアジンである上記1記載の方法。
5.前記炭素数8〜12のオキシム化合物がシクロドデカノンオキシムである上記1記載の方法。
本発明では、濃硫酸や発煙硫酸を用いないため、硫安等の副生物が生成せず、従来に比べ、簡単なプロセスでε−カプロラクタムを製造することができる。また、安価な触媒を使用し、特殊な溶媒が不要であるため、安価にε−カプロラクタムを製造することができる。
さらに、副生する炭素数8〜12のラクタムはε−カプロラクタムより高価であることから、本発明は付加価値の高いε−カプロラクタムの製造方法を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
[オキシム化合物]
本発明の原料であるシクロヘキサノンオキシムは工業的規模で大量に生産されており、容易に入手できる。
本発明においてシクロヘキサノンオキシムと共に使用するオキシム化合物は炭素数8以上であれば特に制約はない。炭素数7以下のオキシム化合物は、添加してもε−カプロラクタムの収率の顕著な向上効果が期待できない。また、炭素数13以上のオキシム化合物は融点が高く、溶媒への溶解性やシクロヘキサノンオキシムとの相溶性も低くなるためハンドリング性が悪化することに加え、対応するオキシム化合物の入手が難しく、得られるラクタム類の商品価値も低い。したがって、炭素数12以下のオキシムが好ましい。具体的には下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011201816
(式中、R、Rは、それぞれ有機基を示す。また、RおよびRは、一緒になって2価の有機基を表し、RおよびRが結合している炭素原子と共に環を形成してもよい。)
上記R、Rにおける有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族性又は非芳香族性の複素環基などが挙げられる。
ここで、アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素原子数2〜10のアルケニル基が挙げられる。具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−オクテニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、炭素原子数2〜10のアルキニル基が挙げられる。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、炭素原子数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。具体的には、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる。
芳香族性又は非芳香族性の複素環基としては、例えば、2−ピリジル基、2−フリル基、2−チエニル基、4−ピペリジニル基などが挙げられる。
およびRが、一緒になって2価の有機基を表す場合、それらが結合している炭素原子と共に環を形成している。2価の有機基としては、直鎖または分岐アルキレン基、好ましくは直鎖アルキレン基が挙げられ、形成される環は、好ましくは8〜12員環である。
これらの有機基は環形成の有無によらず、反応を阻害しなければ特に限定されることなく種々の置換基を有してもよい。例えば、置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基、メルカプト基、置換オキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換アミノアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(フェニルなど)、アラルキル基、複素環基などが挙げられる。
本発明において好適な炭素数8〜12のオキシムとしては、シクロオクタノンオキシム、シクロノナノンオキシム、シクロデカノンオキシム、シクロウンデカノンオキシム、シクロドデカノンオキシムなどが挙げられる。特に、シクロドデカノンオキシムは、付加価値の高いラウロラクタムを併産することができるため好ましい。
シクロヘキサノンオキシムと共存させるオキシム化合物は、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
オキシム化合物は、式(1)で表されるオキシム化合物に対応するケトンとヒドロキシルアミンを反応させることによって得られる。例えば、シクロドデカノンオキシムは、特開2004−59553号公報に記載されているように、シクロドデカノンと硫酸ヒドロキシルアミンの複分解によって生成したヒドロキシルアミンを反応させることによって得られる。
また、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基(例えば、アセチル基等のアシル基など)を導入することにより得られる化合物の存在下、メチル基又はメチレン基を有する化合物と、亜硝酸エステル又は亜硝酸塩とを反応させることによっても製造することができる(例えば、特開2009−298706号公報)。
その他、シクロアルカンを光ニトロソ化する方法、シクロアルカノンをチタノシリケートのような触媒の存在下にアンモニア及び過酸化水素と反応させる方法等により、製造することもできる。
なお、炭素数12のオキシム化合物はラウロラクタムの中間原料として工業的に生産されており、炭素数10,11のものも同様である。原料の純度等は工業薬品、又は試薬として入手できるものであれば特に制約はない。
[三置換トリアジン]
本発明のベックマン転位反応の触媒として用いる電子求引性置換基を有する三置換トリアジン(以下、単に「三置換トリアジン」という。)において、少なくとも2つの置換基は電子求引性であり、このうち少なくとも1つに脱離性があれば特に制限されない。
脱離基(即ち、脱離性のある電子求引性置換基)としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、スルホニルオキシ基(ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基(トシル基)OTs等のアリールスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基OMs、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(トリフラート基)OTf、トリクロロメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等のアルカンスルホニルオキシ基など)、スルホニルハライド基(スルホニルクロリド、スルホニルブロミド基等)、ジアゾニウム基、カルボニルハライド基(カルボニルクロリド基など)などを挙げることができる。これら脱離基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。このほか、三置換トリアジンは、電子求引性置換基として公知であるシアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基等により置換されていてもよい。これらのうち、ハロゲン原子、特に塩素原子は脱離基としても電子求引基としても最も好適な置換基である。また、三置換トリアジンにおいて、脱離基により2つ置換されている場合、あるいは、脱離基と脱離しない電子求引性置換基それぞれ1つずつにより置換されている場合は、残りの置換基がアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐を有する脂肪族アルコキシ基であり、メトキシ基が好ましい。
これらの三置換トリアジンのうち、トリクロロトリアジンは工業薬品として生産されており、一部の誘導体は実験用試薬として市販されている。また、トリクロロトリアジン以外の三置換トリアジンは、トリクロロトリアジンとの求核置換反応によって誘導することで容易に調製することができる。例えば、ジクロロメトキシトリアジンは溶媒中でトリクロロトリアジンとメタノールを混合することによって容易に得られる。その製造は、トリクロロトリアジンとメタノールの混合比及び反応温度、時間によって制御される。
[転位反応]
本発明のベックマン転位反応は、シクロヘキサノンオキシムと炭素数8〜12のオキシム化合物とを混合溶融した後、触媒である三置換トリアジンを添加して行うことができる。
炭素数8〜12のオキシム化合物の添加量はシクロヘキサノンオキシムに対し、0.1倍モル以上、好ましくは0.2倍モル以上である。
炭素数8〜12のオキシム化合物の添加量が過少の場合、ε−カプロラクタム収率の顕著な向上効果が得られない。炭素数8〜12のオキシム化合物の添加量の上限は特に限定されない。しかし、シクロヘキサノンオキシムに対し10倍モル以上添加した場合、炭素数8〜12のオキシム化合物に対応するラクタムの生産量が過大になり、ε−カプロラクタムの製造方法としては現実的ではない。
三置換トリアジンの使用量はオキシムの合計モル量に対し、好ましくは0.1から20モル%、さらに好ましくは1から10モル%である。電子求引性置換基を有する三置換トリアジンが過少の場合、転位反応が完結せず残存オキシムのリサイクル量が増加し、好ましくない。また、過多の場合、触媒コスト、触媒の処理コストが増大し、好ましくない。
なお、塩化水素等の酸類を助触媒として添加することによって、転位反応速度を向上させることができる。特にルイス酸はオキシム化合物の加水分解を加速することなく、転位反応速度を向上させることができるので好ましい。ルイス酸としては、特に制限されないが、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、五塩化アンチモン、四塩化スズ等が一般的であり、このうち塩化亜鉛、四塩化スズが好適であり、特に塩化亜鉛は反応速度向上効果が顕著であり好ましい。
前記助触媒の添加量は触媒(三置換トリアジン)に対し0.1倍モル量から10倍モル量、好ましくは0.5倍モル量から5倍モル量である。助触媒の添加量が過少な場合、転位速度の向上効果が乏しく、一方、必要以上に添加してもさらに転位速度が向上することはない。
また、転位反応には溶媒を使用してもよい。溶媒を使用することで反応温度をコントロールしやすくなる。
溶媒としては、原料オキシム類を溶解し、触媒である三置換トリアジンと反応しないものであれば特に制限されない。すなわち、水、アルコール類、アミン類、メルカプタン類、アミド類を除く溶媒を用いることができる。例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラリン、デカリン、ジヒドロナフタレン等の縮合芳香環水添物、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン、イソプロピルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロドデカノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。
本発明のベックマン転位反応の反応温度は50℃から160℃、好ましくは80から110℃である。反応温度が低すぎる場合、反応速度が遅く、反応時間が長くなるため好ましくない。一方、反応温度が高すぎる場合、転位反応による発熱によって温度が急上昇し反応が制御できなくなる、縮合反応等が生じるため転位収率が低下する、着色等で製品品質が低下する等の問題が生じるため好ましくない。
ベックマン転位反応の反応時間は5分から10時間、好ましくは20分から4時間である。反応時間はシクロヘキサノンオキシムと炭素数8〜12のオキシム化合物のモル比、三置換トリアジンの種類、三置換トリアジンの濃度、反応温度によって異なるが、反応の制御が容易で、反応器の容積が過大にならないように前記反応条件を調整する。
ベックマン転位反応は減圧、常圧、加圧のいずれで行っても差し支えない。積極的に加圧下で反応を行う必要はないが、密閉して反応を行うことによって、触媒(電子求引性置換基を有する三置換トリアジン)から一旦脱離した成分(例えば脱離基がハロゲン原子である場合、ハロゲン化水素)の反応系外への飛散を防ぐことができる。クローズドプロセスの採用は脱離した成分の吸着・除害設備を軽減すると共に脱離基自身が酸であり、助触媒として転位反応を促進するため、好ましいプロセスである。
転位反応装置は回分式反応装置、管型連続反応装置、攪拌槽型連続反応装置等の一般に用いられる反応装置を使用することができるが、反応温度の制御が容易で運転操作も簡単である槽型連続多段反応装置が適している。
得られた転位反応物に水を加えることによって、三置換トリアジンをシアヌル酸に加水分解し生成ラクタム類から分離除去することができる。反応溶媒として疎水性溶媒を用いている場合は、生成ラクタム類は油相中に溶解している。無溶媒または親水性溶媒を用いている場合は、ベンゼンやトルエン等の疎水性溶媒を加えて抽出する。この場合、溶媒やε−カプロラクタムが水相にも溶解するため、疎水性溶媒で水相から抽出・回収する。その後、必要により、溶媒を蒸留回収し、蒸留によってε−カプロラクタムと炭素数8〜12のラクタムを分離精製することができる。なお、転位溶媒の沸点が低い場合、触媒除去の前に溶媒の蒸留・回収を行っても差し支えない。
また、ε−カプロラクタムと炭素数8〜12のラクタムの分離は両者の水溶性の差を利用して行ってもよい。すなわち、ε−カプロラクタムと炭素数8〜12のラクタムと疎水性溶媒からなる溶液に大量の水を加え、ε−カプロラクタムを水相に抽出・分離後、別々に蒸留精製してもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
なお、本実施例の各生成物の収率は以下の計算式に基づき求めた。
シクロヘキサノンオキシム転化率(%)=(シクロヘキサノンオキシム仕込量(mol)-シクロヘキサノンオキシム残存量(mol))/(シクロヘキサノンオキシム仕込量(mol)×100
シクロドデカノンオキシム転化率(%)=(シクロドデカノンオキシム仕込量(mol)-シクロドデカノンオキシム残存量(mol))/(シクロドデカノンオキシム仕込量(mol)×100
ε-カプロラクタム収率(%)=(ε-カプロラクタム生成量(mol))/(シクロヘキサノンオキシム仕込量(mol)×100
ラウロラクタム収率(%)=(ラウロラクタム生成量(mol))/(シクロドデカノンオキシム仕込量(mol)×100
[実施例1]
攪拌子を入れた反応管にシクロヘキサノンオキシム0.86g(7.6mmol)、シクロドデカノンオキシム1.50g(7.6mmol)、アセトニトリル7.3gを加え80℃に加熱した。得られたオキシムのスラリー液にトリクロロトリアジン0.14g(0.76mmol)をアセトニトリル1gに溶解した溶液を加え、80℃で60分反応を行った。得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサノンオキシム及びシクロドデカノンオキシムの転化率は共に100%であり、ε-カプロラクタムの収率は65.5%、ラウロラクタムの収率は99.8%であった。
[比較例1]
シクロドデカノンオキシムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、表1に示した結果が得られ、また、シクロヘキサノンが7.0モル%生成していた。
[実施例2]
シクロヘキサノンオキシム1.37g(12.1mmol)、シクロドデカノンオキシム0.60g(3.0mmol)に変えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
[実施例3]
シクロヘキサノンオキシム0.37g(3.3mmol)、シクロドデカノンオキシム2.40g(12.3mmol)に変えた以外は実施例1と同様に反応を行った
[実施例4]
実施例1と同条件で反応を行い、シクロヘキサノンオキシム及びシクロドデカノンオキシムの転化率とε-カプロラクタム及びラウロラクタムの収率を経時的に追跡した。シクロヘキサノンオキシム、シクロドデカノンオキシム共40分後には、全て反応したが、その後更に反応を続けたところ、ガスクロマトグラフィーで検出される副生物ピークが減少した。反応開始後40分、および60分において分析を行った。
[実施例5]
トリクロロトリアジンをジクロロメトキシトリアジン(アルドリッチ社製)0.14g(0.77mmol)に変えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
上記実施例および比較例の反応条件および結果を表1に示す。
Figure 2011201816

Claims (5)

  1. 少なくとも2つの電子求引性置換基を有する三置換トリアジンを転位触媒として用いて、シクロヘキサノンオキシムを液相転位し、ε−カプロラクタムを製造する方法であって、炭素数8〜12のオキシム化合物を共存させて液相転位することを特徴とする方法。
  2. 前記電子求引性置換基の少なくともひとつがハロゲン原子である請求項1記載の方法。
  3. 前記ハロゲン原子が塩素原子である請求項2記載の方法。
  4. 前記電子求引性置換基を有する三置換トリアジンがトリクロロトリアジンである請求項1記載の方法。
  5. 前記炭素数8〜12のオキシム化合物がシクロドデカノンオキシムである請求項1記載の方法。
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