JP2002003470A - ラクタムの製造方法 - Google Patents

ラクタムの製造方法

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JP2002003470A
JP2002003470A JP2000190224A JP2000190224A JP2002003470A JP 2002003470 A JP2002003470 A JP 2002003470A JP 2000190224 A JP2000190224 A JP 2000190224A JP 2000190224 A JP2000190224 A JP 2000190224A JP 2002003470 A JP2002003470 A JP 2002003470A
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lactam
reaction
catalyst
cycloalkane
extraction
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JP2000190224A
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Masami Shimamura
真美 嶋村
Hitoshi Watanabe
仁志 渡邊
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクロアルカンから対応するラクタムを効率
よく得る。 【解決手段】 ラクタムの製造方法は、N−置換環状イ
ミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒との存在
下、シクロアルカンと窒素酸化物とを反応させて対応す
るラクタムを製造する方法であって、(A)前記触媒の
存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させる反
応工程と、(B)反応混合物から晶析、蒸留及び抽出か
ら選択された少なくとも1つの操作によりラクタムを回
収するラクタム回収工程とを含む。前記ラクタム回収工
程(B)の前に、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒
及び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程、
(D)反応混合物を塩基で処理する塩基処理工程、
(E)反応混合物を水と有機溶剤とを用いた抽出操作に
付してラクタムを水層側に移行させる水抽出工程などを
設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬、染
料、ポリアミドなどの原料等として有用なラクタムの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクタムを製造する方法として、シクロ
アルカンを酸化して得られるシクロアルカノンと、一酸
化窒素を還元して得られるヒドロキシルアミンとを反応
させてシクロアルカノンオキシムを製造し、このシクロ
アルカノンオキシムに硫酸などを作用させて、いわゆる
ベックマン転位により対応するラクタムを生成させる方
法が知られている。しかし、この方法では、シクロアル
カンからラクタムを誘導する場合には、ケトンの製造工
程を含め、少なくとも3つの工程を経なければならな
い。また、硫酸アンモニウム等の無機副生物が多く副生
する。
【0003】ラクタムを製造する他の方法として、シク
ロアルカンと塩化ニトロシルとを特殊な波長を有する光
の照射下で反応させてシクロアルカノンオキシムを製造
し、次いでこのシクロアルカノンオキシムをベックマン
転位によりラクタムに転化する方法も知られている。し
かし、この方法では、特殊な波長を発生する光源ランプ
が必要であり、しかも腐食性の強い塩化水素を副生する
ため特殊な耐食材料の反応器を使用しなければならな
い。
【0004】また、ラクタムの製造法として、相当する
アミノ酸の脱水環化により得る方法が知られている。し
かし、この方法では、アミノ酸が高価なため経済的に極
めて不利である。一方、硝酸酸化プロセスなどから排出
される二酸化窒素や一酸化窒素などの窒素酸化物は大気
汚染を引き起こすため、これを有効に利用する方法が求
められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、シクロアルカンから対応するラクタムを効率よく得
る方法を提供することにある。本発明の他の目的は、特
殊な装置を用いたり多量の無機副生物を副生させること
なく簡易にラクタムを製造できる方法を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、環境汚染の原因とな
る窒素酸化物を有効に利用して、ラクタムを簡易に製造
する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定の触媒を用いて
シクロアルカンと窒素酸化物とを反応させると対応する
ラクタムを効率よく製造できることを見出し、本発明を
完成した。
【0007】すなわち、本発明は、N−置換環状イミド
系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒との存在下、
シクロアルカンと窒素酸化物とを反応させて対応するラ
クタムを製造する方法であって、(A)前記触媒の存在
下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させる反応工
程と、(B)反応混合物から晶析、蒸留及び抽出から選
択された少なくとも1つの操作によりラクタムを回収す
るラクタム回収工程とを含むラクタムの製造方法を提供
する。
【0008】この製造方法において、ラクタム回収工程
(B)の前に、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及
び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程、
(D)反応混合物を塩基で処理する塩基処理工程、
(E)反応混合物を水と有機溶剤とを用いた抽出操作に
付してラクタムを水層側に移行させる水抽出工程などを
設けてもよい。
【0009】前記製造方法は、さらに、(F)副生成物
を回収する副生成物回収工程、及び(G)N−置換環状
イミド系触媒を回収する触媒回収工程から選択された少
なくとも1つの工程を含んでいてもよい。前記副生成物
回収工程(F)において、副生成物は、蒸留、晶析及び
抽出から選択された少なくとも1つの操作により回収で
きる。また、前記触媒回収工程(G)において、N−置
換環状イミド系触媒は、濾過、リパルプ、晶析又はアル
カリ水抽出処理により回収できる。回収した触媒は、そ
のまま又は再生処理を施した後、反応工程にリサイクル
できる、また、回収した副生成物も反応工程にリサイク
ルできる。上記製造方法において、シクロアルカンとし
てシクロヘキサンなどを使用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】[反応工程(A)]反応工程
(A)では、N−置換環状イミド系触媒とハロゲン又は
ベックマン転位触媒との存在下、シクロアルカンと窒素
酸化物とを接触させて対応するラクタムを生成させる。
【0011】前記N−置換環状イミド系触媒としては、
下記式(1)
【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式中に示されるN−置換
環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよ
い)で表されるイミド化合物が挙げられる。
【0012】式(1)において、置換基R1及びR2のう
ちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素
が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s
−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直
鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアル
キル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素
数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0013】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポ
キシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチ
ルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程
度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程
度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0014】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキ
シカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程
度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含
まれる。
【0015】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0016】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族性環で構成される場合が多い。前記環は、アルキ
ル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子など
の置換基を有していてもよい。前記式(1)において、
Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、窒素原子Nと
Xとの結合は単結合又は二重結合である。
【0017】前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結
合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香
族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状
イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例
えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場
合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形
成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミ
ド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互
いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成す
る場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含ん
で前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0018】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化2】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0019】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0020】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げら
れる。
【0021】式(1)で表されるイミド化合物は、慣用
のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキ
シルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環
及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。
【0022】前記酸無水物には、例えば、無水コハク
酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカル
ボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカル
ボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性
環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環
式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリ
メット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水
物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族
多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0023】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミド等が含まれる。
【0024】N−置換環状イミド系触媒は一種又は二種
以上使用できる。また、N−置換環状イミド系触媒は担
体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性
炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナ
イトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。前記イミド
化合物の担体への担持量は、担体100重量部に対し
て、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜3
0重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度であ
る。
【0025】N−置換環状イミド系触媒の使用量は、広
い範囲で選択でき、例えば、原料として用いるシクロア
ルカン1モルに対して0.000001〜1モル、好ま
しくは0.00001〜0.5モル、さらに好ましくは
0.0001〜0.05モル程度である。
【0026】前記ハロゲンには、塩素、臭素、ヨウ素な
どが含まれる。また、ベックマン転位触媒とは、いわゆ
るベックマン転位反応に通常用いられる触媒又は試薬を
意味し、その代表的な例として、硫酸、塩酸、臭化水素
酸、ヨウ化水素酸、ポリリン酸、ギ酸、三フッ化ホウ素
などの酸(プロトン酸及びルイス酸);オキシ塩化リ
ン、五塩化リン、塩化アセチルなどのハロゲン含有化合
物;無水酢酸などの酸無水物などが挙げられる。このよ
うなベックマン転位触媒は、その前駆体を使用して反応
系内で発生させてもよい。ハロゲン及びベックマン転位
触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0027】なお、塩素などのハロゲンは、本反応にお
いて、ラジカル開始剤的に機能し、基質から水素を引き
抜いてハロゲン化水素に変換され、これがベックマン転
位触媒として作用するものと推測される。
【0028】ハロゲン及びベックマン転位触媒の使用量
は、反応速度や副反応等を考慮して適宜選択でき、その
種類によって異なるが、例えば、シクロアルカン1モル
に対して、0.0001〜1モル程度、好ましくは0.
0005〜0.1モル程度である。
【0029】本発明において原料として用いるシクロア
ルカンとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタ
ン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタ
ン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シ
クロドデカン、シクロトリデカン、シクロテトラデカ
ン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン、シクロ
オクタデカン、シクロノナデカンなどの3〜30員(好
ましくは5〜20員、さらに好ましくは6〜10員)程
度のシクロアルカンが挙げられる。
【0030】シクロアルカン環には、反応を阻害しない
範囲で置換基を有していてもよい。該置換基としては、
例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、メ
ルカプト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、
カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無
置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無
置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、
イソプロピル基などのC1-4アルキル基等)、アルケニ
ル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケ
ニル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、アラルキル基、複素環基などが挙げられる。
【0031】本発明において用いる窒素酸化物には、式
(2) Nxy (2) (式中、xは1又は2、yは1〜6の整数を示す)で表
される化合物が含まれる。この化合物において、xが1
である場合、yは通常1〜3の整数であり、xが2であ
る場合、yは通常1〜6の整数である。
【0032】窒素酸化物の代表的な例として、N2O、
NO、N23、NO2、N24、N25、NO3、N26
などが挙げられる。これらの窒素酸化物は単独で又は二
種以上組み合わせて使用できる。窒素酸化物は純粋なも
のであってもよく、窒素酸化物を主成分として含む混合
物であってもよい。窒素酸化物を主成分として含む混合
物として、例えば、硝酸酸化プロセスの排ガスなどを利
用できる。
【0033】好ましい窒素酸化物には、NO、N23
NO2、N25などが含まれる。N23は酸化二窒素
(N2O)及び/又は一酸化窒素(NO)と酸素との反
応で容易に得ることができる。より具体的には、反応器
内に一酸化窒素(又は酸化二窒素)と酸素とを導入し
て、青色の液体N23を生成させることにより調製でき
る。そのため、N23を予め生成させることなく、酸化
二窒素(N2O)及び/又は一酸化窒素(NO)と酸素
とを反応系に導入することにより本反応を行ってもよ
い。
【0034】窒素酸化物の量は、シクロアルカンに対し
て当モル又は過剰モル量(例えば、1〜50モル倍量)
用いてもよく、逆にシクロアルカンに対して等モル未満
の量用いてもよい。なお、窒素酸化物(例えば、二酸化
窒素など)の使用量を、シクロアルカン1モルに対して
1モル未満とすると、窒素酸化物の転化率及び目的のラ
クタムの選択率が大幅に向上する場合がある。従って、
本発明を窒素酸化物の処理法として利用する場合には、
窒素酸化物1モルに対して1モルを超える量のシクロア
ルカンを使用するのが好ましい。
【0035】シクロアルカンと窒素酸化物との反応を酸
素の存在下で行うと、反応速度が大きく向上する場合が
ある。この効果は、窒素酸化物として二酸化窒素(NO
2)などを用いた場合において著しい。
【0036】酸素は純粋な酸素であってもよく、不活性
ガス(二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)で
希釈して使用してもよい。また、酸素源は空気であって
もよい。酸素の使用量は、窒素酸化物(例えば、二酸化
窒素)1モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル
以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは
2〜50モル程度である。窒素酸化物に対して過剰モル
の酸素を使用する場合が多い。
【0037】反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行う
ことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼンなどの
芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、
1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロ
ゲン化炭化水素類;t−ブタノール、t−アミルアルコ
ールなどのアルコール類;アセトニトリル、ベンゾニト
リルなどのニトリル類;酢酸、プロピオン酸などの有機
酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
ニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;酢
酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエー
テルなどが例示でき、これらの溶媒は混合して使用して
もよい。なお、シクロアルカンを窒素酸化物に対して過
剰量用いて溶媒として使用することもできる。
【0038】反応温度は、基質の種類などに応じて、例
えば、0〜300℃、好ましくは15〜200℃、さら
に好ましくは30〜150℃程度であり、通常60〜1
25℃程度で反応する場合が多い。反応圧力は、常圧、
加圧下の何れであってもよい。反応は、回分式、半回分
式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
反応装置は1槽でもよく、2槽以上を連続的に接続して
使用してもよい。
【0039】本発明では、温和な条件下で反応が進行
し、シクロアルカンから員数の1つ多いラクタム(例え
ば、シクロヘキサンからはε−カプロラクタム、シクロ
ヘプタンからは7−ヘプタンラクタム、シクロオクタン
からは8−オクタンラクタム)が生成する。また、副生
成物として、ニトロシクロアルカン、シクロアルカノ
ン、シクロアルカノール、シクロアルキルナイトレー
ト、シクロアルカノンオキシム、ニトロシクロアルカノ
ン、シクロアルカンカルボン酸などが生成しうる。これ
らの中でも、ニトロシクロアルカンが比較的多く副生し
やすい。
【0040】なお、この反応の機構は必ずしも明らかで
はないが、まず基質のシクロアルカンの環を構成するメ
チレン基がカルボニル基に酸化された後、オキシム化さ
れ、次いでいわゆるベックマン転位により対応するラク
タムが生成するものと推測される。
【0041】反応工程において、N−置換環状イミド系
触媒(例えば、N−ヒドロキシフタルイミドなど)の一
部が変質又は失活する場合があるが、以下の工程におけ
る「触媒」には、これらの変質又は失活した化合物も含
まれる。また、以下の工程において、「反応混合物」に
は、反応終了時の反応混合物のみならず、何らかの処理
がなされた反応混合物も含まれる。
【0042】[ラクタム回収工程(B)]反応で生成し
たラクタムは、反応混合物から、晶析、蒸留及び抽出か
ら選択された少なくとも1つの操作により回収できる。
【0043】ラクタムを晶析により回収する際に用いる
晶析溶剤としては、目的のラクタムに応じて、例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの
芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの
脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水
素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,
2−ジクロロエタン、トリフルオロメチルベンゼン、ク
ロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど
のアルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル、安息香酸エチルなどのエステル;アセトニト
リル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリ
ル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−
ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシ
エタン、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン
などの鎖状又は環状エーテル類;N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロ
トン極性溶媒;二硫化炭素;フェノール類;ニトロメタ
ンなどのニトロ化合物;水;これらの混合溶媒などから
適宜選択して使用できる。晶析溶剤の量は、ラクタム及
び溶剤の種類に応じて適宜設定できる。
【0044】晶析は、1又は複数の晶析槽を用い、例え
ば、常圧下、温度−20℃〜100℃程度(好ましくは
0〜30℃)で行われる。また、徐々に温度を低下させ
て晶析する場合には、冷却速度1〜50℃/時(好まし
くは30〜40℃/時)、熟成時間0.5〜4時間(好
ましくは0.5〜2時間)程度の条件で行うことができ
る。
【0045】ラクタムを蒸留操作により回収する際、蒸
留は1又は複数の蒸留塔を用いて行われる。蒸留は、通
常、低沸点成分を留去する脱低沸工程と、目的のラクタ
ムを留出させて該ラクタムと高沸点成分とを分離する脱
高沸工程とからなる。蒸留は、バッチ式、連続式等の何
れの方式で行ってもよい。蒸留に供する供給物が固体又
はスラリーの場合には、溶融させたり、適当な溶剤に溶
解させて蒸留塔に仕込んでもよい。蒸留塔の段数は、例
えば2〜80段程度、好ましくは20〜60段程度であ
る。
【0046】蒸留条件は分離すべき成分の種類等に応じ
て適宜設定できる。前記脱低沸工程における塔頂温度
は、例えば0〜250℃、好ましくは15〜150℃程
度、塔底温度は、例えば25〜500℃、好ましくは1
00〜300℃程度、圧力は、例えば1mmHg〜20
atm(0.133kPa〜2000kPa)、好まし
くは50mmHg〜5atm(6.65kPa〜500
kPa)程度であり、還流比は、例えば0.1〜50、
好ましくは1〜20程度である。また、前記脱高沸工程
における塔頂温度は、例えば0〜300℃、好ましくは
30〜210℃程度、塔底温度は、例えば50〜500
℃、好ましくは100〜300℃程度、圧力は、例えば
1mmHg〜5atm(0.133kPa〜500kP
a)、好ましくは5mmHg〜1atm(0.665k
Pa〜100kPa)程度であり、還流比は、例えば
0.1〜50、好ましくは1〜20程度である。
【0047】ラクタムを抽出操作により回収する場合、
抽出は、例えば、後述の水抽出工程(E)と同様の方法
により行うことができる。この場合、ラクタムは、水溶
液などの溶液の形態で回収される。
【0048】ラクタム回収工程(B)では、上記晶析と
蒸留と抽出を適宜組み合わせることができ、この場合、
任意の2つの操作の間(例えば、晶析と蒸留の間)に他
の分離操作を挿入してもよい。例えば、反応混合物を晶
析に付し、得られた晶析物を蒸留に付してラクタムを回
収したり、前記晶析物をリパルプ操作に付してN−置換
環状イミド系触媒を除去し、その濾液を蒸留してラクタ
ムを回収することにより、高純度のラクタムを効率よく
回収することができる。
【0049】[濃縮工程(C)]本発明の製造方法で
は、ラクタム回収工程(B)の前に、反応混合物を濃縮
して反応混合物から反応溶媒や未反応シクロアルカンを
留去する濃縮工程(C)を設けてもよい。
【0050】反応混合物の濃縮には、1又は複数の蒸発
器又は蒸留塔を使用できる。濃縮装置として蒸留塔を用
いる場合、蒸留条件は濃縮に供する液の組成に応じて適
宜設定できる。例えば、蒸留塔の段数は2〜80段、好
ましくは20〜60段程度、塔頂温度は、例えば0〜2
50℃、好ましくは10〜150℃程度、塔底温度は、
例えば25〜500℃、好ましくは100〜300℃程
度、圧力は、例えば1mmHg〜20atm(0.13
3kPa〜2000kPa)、好ましくは50mmHg
〜5atm(6.65kPa〜500kPa)程度であ
り、還流比は、例えば0.1〜50、好ましくは1〜2
0程度である。
【0051】この濃縮工程(C)で得られた濃縮物は、
必要に応じて水抽出や塩基処理などの操作の後、ラクタ
ム回収工程(B)に供される。濃縮工程(B)で得られ
る留出液(反応溶媒、未反応シクロアルカン等)は、反
応工程(A)にリサイクルできる。
【0052】[塩基処理工程(D)]本発明の製造方法
では、ラクタム回収工程(B)の前に、反応混合物を塩
基で処理(中和)する塩基処理工程(D)を設けてもよ
い。例えば、反応溶媒、ベックマン転位触媒又は反応副
生物が酸性物質であり、これらが反応で生成したラクタ
ムと塩を形成している場合には、反応混合物を塩基で処
理することによりラクタムを遊離化できる。また、N−
置換環状イミド系触媒は一般に酸性であるため、塩基で
処理することにより水溶性又は水親和性の塩を形成しう
る。従って、反応混合物をアルカリ水(塩基を含む水溶
液又は水性スラリー)と有機溶剤とを用いて処理した
り、反応混合物に塩基処理を施した後、抽出操作を行う
ことにより、遊離のラクタムを有機層側に、N−置換環
状イミド系触媒の塩を水層側に移行させることができ、
ラクタムと触媒とを効率よく分離できる。
【0053】塩基としては無機塩基及び有機塩基の何れ
も使用できる。無機塩基には、例えば、アンモニア;水
酸化ナトリム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸
化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金
属炭酸塩;炭酸水素ナトリム、炭酸水素カリウムなどの
アルカリ金属炭酸水素塩;水酸化カルシウムなどのアル
カリ土類金属水酸化物;炭酸カルシウムなどのアルカリ
土類金属炭酸塩等が含まれる。有機塩基には、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンなどの
脂肪族アミン、ピペリジン、モルホリンなどの環状アミ
ン(複素環式アミン)、ピリジンなどの塩基性含窒素複
素環化合物;酢酸ナトリウムなどの有機酸のアルカリ金
属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドな
どのアルカリ金属アルコキシドなどが含まれる。
【0054】なお、ラクタムは水に溶けやすいが、水層
が無機物質を含有する場合には、ラクタムは有機層側に
移行しやすくなるため、反応溶媒や触媒が有機酸の場合
には、塩基として無機塩基を用いるのが好ましい。
【0055】塩基の使用量は、例えば、N−置換環状イ
ミド系触媒1当量に対して、1〜50当量程度、好まし
くは1〜10当量程度である。また、ラクタムが塩を形
成しており、この塩からラクタムを遊離化する際には、
塩基の使用量は、ラクタムの塩1当量に対して、1〜5
0当量程度、好ましくは1〜10当量程度である。
【0056】塩基処理をアルカリ水と有機溶剤による抽
出と同時に行う場合や、塩基処理後、アルカリ水と有機
溶剤による抽出を行う場合において、用いるアルカリ水
及び有機溶剤の量は抽出操作や抽出効率を損なわない範
囲で適宜選択できる。例えば、前記濃縮工程(C)で得
られた濃縮物を上記抽出操作に付す時の有機溶剤の使用
量は、例えば濃縮物100重量部に対して、5〜100
重量部程度、好ましくは8〜50重量部程度である。反
応液を直接塩基処理に施す場合や、前記濃縮物を塩基処
理に付す際に、濃縮物中の有機溶剤量が多い場合には、
有機溶剤を新たに添加しなくてもよい。塩基処理を施す
際の温度は、例えば0〜80℃程度、好ましくは15〜
60℃程度である。
【0057】塩基処理工程(D)は、反応溶媒が水溶性
であるときは前記濃縮工程(C)の後に設けるのが好ま
しい。無溶媒又は疎水性溶媒下で反応を行う場合には、
前記濃縮工程(C)の前又は後の何れに設けてもよい。
【0058】[水抽出工程(E)]本発明の製造方法
は、ラクタム回収工程(B)の前に、反応混合物を水と
有機溶剤とを用いた抽出操作に付してラクタムを水層側
に移行させる水抽出工程(E)を有していてもよい。
【0059】抽出には、例えば、反応終了時の反応混合
液、前記濃縮工程(C)で得られた濃縮液、反応終了時
の反応混合液を濾過して得られる濾液などが供される。
【0060】有機溶剤としては、目的のラクタムに応じ
て、前記反応溶媒及び晶析溶剤として例示した有機溶剤
の中から適宜選択して使用できる。有機溶剤として抽出
に供する供給物中に含まれている溶剤を利用することも
できる。好ましい有機溶剤として、炭化水素類、エーテ
ル、フェノール類、アルコール、ケトン、エステル、ニ
トロ化合物、ニトリルなどが挙げられる。
【0061】水及び有機溶剤の使用量は、操作性及び分
離効率等を考慮して適宜設定できる。抽出は、1又は複
数の抽出装置を用い、例えば0.001〜5時間程度攪
拌した後、0.001〜50時間程度静置させることに
より行われる。抽出温度は、例えば0〜90℃、好まし
くは15〜70℃程度であり、圧力は、例えば1〜3a
tm(100〜300kPa)程度である。抽出は回分
式、抽出塔を用いた連続式など何れの方法で行ってもよ
い。
【0062】本工程では、抽出に供する供給物(反応混
合液)中の成分のうちラクタムは水層側に移行し、未反
応原料であるシクロアルカンや、反応副生成物であるニ
トロシクロアルカン、シクロアルカノン、シクロアルカ
ノール、シクロアルキルナイトレート、シクロアルカノ
ンオキシム、ニトロシクロアルカノン、シクロアルカン
カルボン酸などは、通常、有機層側に移行する。水抽出
工程(E)は、反応溶媒が水溶性であるときは前記濃縮
工程(C)の後に設けるのが好ましい。
【0063】[副生成物回収工程(F)]本発明の製造
方法は、さらに反応で生成した副生成物を回収する副生
成物回収工程(F)を含んでいてもよい。
【0064】副生成物としては、前記水抽出工程(E)
において例示した化合物などが挙げられる。この工程
(F)には、例えば、ラクタム回収工程(B)における
晶析で得られる母液、水抽出工程(E)で得られる有機
層又はその処理物、塩基処理工程(D)で得られる有機
層などが供給される。
【0065】副生成物の回収は、副生成物の種類に応じ
て、例えば、蒸留、晶析、抽出などにより行うことがで
きる。副生成物を蒸留で回収する場合の蒸留条件は、該
副生成物の沸点により、例えば、前記ラクタム回収工程
(B)において記載した蒸留条件の範囲から適宜選択で
きる。副生成物の回収は前記ラクタムの回収時に付随し
て行ってもよい。
【0066】回収した副生成物は反応工程(A)にリサ
イクルできる。また、回収した副生成物は他の製品の原
料として利用することもできる。例えば、ニトロシクロ
アルカンは、そのまま反応工程(A)にリサイクルして
もよく、又、水添反応等に付すことにより、ラクタム、
シクロアルカノンオキシムなどに変換できる。
【0067】[触媒回収工程(G)]本発明の製造方法
は、さらにN−置換環状イミド系触媒を回収する触媒回
収工程(G)を含んでいてもよい。N−置換環状イミド
系触媒の回収は、濾過、リパルプ、晶析又はアルカリ水
抽出処理(中和処理)、及びこれらの組み合わせ等によ
り行うことができる。
【0068】例えば、反応が無溶媒又は疎水性溶媒下で
行われた場合には、反応終了時にN−置換環状イミド系
触媒が析出(沈殿を含む)していることが多く、このよ
うな時には、反応混合物を濾過することによりN−置換
環状イミド系触媒を固体として回収できる。また、前記
水抽出工程(E)後の処理液においてもN−置換環状イ
ミド系触媒が析出していることがあり、この場合にも濾
過によりN−置換環状イミド系触媒を回収することがで
きる。
【0069】一方、ラクタム回収工程(B)における晶
析で得られる晶析物には、N−置換環状イミド系触媒が
付着していることがある。この場合には、晶析物を適当
なリパルプ溶剤を用いてリパルプすることにより、N−
置換環状イミド系触媒を固体として回収できる。この場
合、濾液に移行したラクタムは前記のように蒸留、晶析
等により回収できる。
【0070】リパルプ溶剤としては、前記の反応溶媒、
晶析溶剤などから適宜選択できるが、例えば、炭化水素
類(ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘ
キサン等の脂環式炭化水素)、鎖状エーテル類(ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチ
ルエーテルなど)、水、これらの混合溶剤などが特に好
ましい。
【0071】リパルプ溶剤の使用量は、リパルプに供す
る固体100重量部に対して、例えば100〜2000
重量部、好ましくは200〜1000重量部程度であ
る。リパルプは1又は複数のリパルプ槽を用い、例え
ば、温度0〜100℃、好ましくは20〜50℃程度、
攪拌時間0.001〜5時間程度という条件で行うこと
ができる。
【0072】また、前記水抽出工程(E)で得られる有
機層を濃縮又は冷却して晶析することによりN−置換環
状イミド系触媒を固体として回収することもできる。こ
の場合、晶析後の母液を蒸留することによりニトロシク
ロアルカン等の副生成物を取得することができる。
【0073】さらに、アルカリ水抽出処理は、前記塩基
処理工程(D)において、塩基としてアルカリ水(アル
カリ性水)を用いることにより行うことができる。アル
カリ水抽出により、N−置換環状イミド系触媒の塩を含
む水溶液が得られる。こうして得られた塩に、例えば塩
酸などの酸を作用させることにより、遊離のN−置換環
状イミド系触媒を得ることができる。
【0074】触媒回収工程(G)は、ラクタム製造工程
全体のどの位置に置いてもよいが、リパルプは、シクロ
アルカノンオキシムが副生する場合には、シクロアルカ
ノンオキシムを晶析、濾過した後に行うのが好ましい。
また、アルカリ水抽出処理は、前記濃縮工程(C)の前
又は後に設ける場合が多い。
【0075】回収したN−置換環状イミド系触媒は、そ
のまま、又は変質若しくは失活した触媒については適当
な再生処理を施して反応工程(A)にリサイクルでき
る。
【0076】反応により変質又は活性が低下した触媒の
再生は、変質した触媒が、主に、イミド化合物に対応す
る多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、フタル酸
イミド、無水フタル酸など)で構成されていることに着
目して、ヒドロキシルアミン又は酸(塩酸、硫酸、又は
その無水物など)で処理又は反応させることにより触媒
を再生できる。また、変質又は活性が低下した触媒を酸
又はアルカリを用いて多価カルボン酸又はその塩にし、
必要に応じて酸無水物に変換した後、ヒドロキシルアミ
ンで処理又は反応させることにより触媒を再生してもよ
い。
【0077】触媒の再生に用いるヒドロキシルアミンと
しては、遊離のヒドロキシルアミン又はヒドロキシルア
ミンの塩(硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機
酸塩、酢酸塩等の有機酸塩)の何れを使用してもよい。
再生反応は、生成するアンモニア及び/又は水などを除
去しながら行う反応蒸留により行ってもよい。前記触媒
の再生に用いる酸としては、塩化水素、臭化水素などの
ハロゲン化水素、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫
酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ベンゼンスルホン酸、
p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸等が挙げられ
る。酸は無水物であるのが好ましい。
【0078】触媒の再生に用いるアルカリ(アルカリ性
物質)としては、特に制限されないが、例えば、アルカ
リ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)又はア
ルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)の水
酸化物又は酸化物、或いは前記アルカリ金属の塩又はア
ルカリ土類金属の塩などの無機塩基が使用できる。より
具体的には、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金
属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムな
ど)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウムなど)、アルカリ土類金属水
酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムな
ど)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウムなど)などが挙げられる。また、
前記アルカリとして、アンモニア又は有機塩基[アミン
類(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、メチレンジアミン、エ
チレンジアミンなどの脂肪族アミン;モルホリンなどの
環状アミン)、ピリジンなどの含窒素複素環化合物な
ど)]を用いてもよい。好ましいアルカリは、アルカリ
金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
ど)である。これらのアルカリは単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。
【0079】触媒の再生は、温度0〜200℃(好まし
くは5〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃)
程度で、失活した触媒と前記ヒドロキシルアミン又は酸
等とを混合することにより行われる。
【0080】上記の各工程において反応溶媒、抽出溶
剤、晶析溶剤、リパルプ溶剤、リンス溶剤等として用い
た溶剤は、蒸留又は蒸発により回収し、各工程にてリサ
イクル使用できる。
【0081】図1は本発明の製造方法の一例を示す製造
工程図である。この製造工程は、(A)N−置換環状イ
ミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒との存在
下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させる反応工
程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及び/又は
未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程と、(B1)前
記濃縮工程で得られた濃縮物を晶析に付す晶析工程と、
(G2)前記晶析工程で得られた晶析物をリパルプに付
し、N−置換環状イミド系触媒を固体として分離する触
媒回収工程と、(B2)前記触媒回収工程で得られる母液
を蒸留に付してラクタムを分離するラクタム回収工程と
を含んでいる。
【0082】ニトロシクロアルカンなどの反応副生成物
は、晶析工程(B1)で得られる母液を蒸留することによ
り回収できる。また、ラクタム回収工程(B2)における
蒸留によっても反応副生成物を回収することができる。
この製造工程は、水溶性の溶剤を反応溶媒として用いた
場合などに特に有用である。
【0083】図2は本発明の製造方法の他の例を示す製
造工程図である。この製造工程は、(A)N−置換環状
イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒との存
在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させる反応
工程と、(G1)反応混合物を濾過して、N−置換環状イ
ミド系触媒を固体として分離する触媒回収工程と、
(C)前記触媒回収工程で得られた濾液を濃縮して、反
応溶媒及び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮
工程と、(B1)前記濃縮工程で得られた濃縮物を晶析に
付す晶析工程と、(B2)前記晶析工程で得られた晶析物
を蒸留に付してラクタムを分離するラクタム回収工程と
を含んでいる。
【0084】反応副生成物は、晶析工程(B1)で得られ
る母液を蒸留することにより回収できる。また、ラクタ
ム回収工程(B2)における蒸留によって反応副生成物を
回収することもできる。この製造工程は、無溶媒又は疎
水性溶媒下で反応を行った場合に特に有用である。
【0085】図3は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及
び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程と、
(D)前記濃縮工程で得られた濃縮物を塩基(アルカリ
水)で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水層側
に移行させる塩基処理工程と、(B1)前記塩基処理工程
で得られた有機層を晶析に付す晶析工程と、(B2)前記
晶析工程で得られた晶析物を蒸留に付してラクタムを分
離するラクタム回収工程とを含む。
【0086】反応副生成物は図2の場合と同様にして回
収できる。この製造工程は、ラクタムが反応系で塩を形
成する場合に特に有用である。また、そうでない場合に
おいても、この工程によれば、N−置換環状イミド系触
媒とラクタムとを早い段階で分離できる。また、N−置
換環状イミド系触媒を塩の形態、特にその水溶液の形態
で回収できる。
【0087】図4は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(D)反応混合物を塩基(アルカリ水)
で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水層側に移
行させる塩基処理工程と、(C)前記塩基処理工程で得
られた有機層を濃縮して反応溶媒及び/又は未反応シク
ロアルカンを留去する濃縮工程と、(B1)前記濃縮工程
で得られた濃縮物を晶析に付す晶析工程と、(B2)前記
晶析工程で得られた晶析物を蒸留に付してラクタムを分
離するラクタム回収工程とを含む。
【0088】反応副生成物は図2の場合と同様にして回
収できる。この製造工程は、無溶媒又は疎水性溶媒下で
反応を行い、且つラクタムが反応系で塩を形成する場合
や、N−置換環状イミド系触媒を塩の形態、特にその水
溶液の形態で回収する場合に特に有用である。
【0089】図5は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及
び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程と、
(E)前記濃縮工程で得られた濃縮物を水と有機溶剤と
を用いた抽出に付し、ラクタムを水層側に移行させる水
抽出工程と、(B2)前記水抽出工程で得られた水層を蒸
留に付してラクタムを分離するラクタム回収工程とを含
む。
【0090】水抽出工程(E)において、濃縮物中に有
機溶剤が十分存在する場合には特に有機溶剤を添加する
必要はないが、濃縮物中の有機溶剤の量が少ない場合に
は、適宜有機溶剤を添加する。ラクタムの回収は晶析に
より行ってもよい。
【0091】前記水抽出工程(E)で得られる有機層を
濃縮し、晶析することによりN−置換環状イミド系触媒
を固体として回収できる。反応副生成物は前記晶析操作
における母液を蒸留することにより回収できる。また、
水抽出工程(E)で得られる有機層の濃縮の際の留出液
として、或いはラクタム回収工程(B2)における蒸留に
より回収することもできる。
【0092】図6は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及
び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程と、
(E)前記濃縮工程で得られた濃縮物を水と有機溶剤と
を用いた抽出に付し、ラクタムを水層側に移行させる水
抽出工程と、(G1)抽出処理液を濾過して、N−置換環
状イミド系触媒を固体として分離する触媒回収工程と、
(B2)前記触媒回収工程で得られた濾液のうち水層を蒸
留に付してラクタムを分離するラクタム回収工程とを含
む。この製造工程は、図5の例において、水抽出工程
(E)でN−置換環状イミド系触媒が析出する場合に有
用である。
【0093】図7は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(E)反応混合液を水と有機溶剤とを用
いた抽出に付し、ラクタムを水層側に移行させる水抽出
工程と、(B2)前記抽出工程で得られた水層を蒸留に付
してラクタムを分離するラクタム回収工程とを含む。
【0094】水抽出工程(E)において、反応混合液中
の反応溶媒を抽出用有機溶剤として使用できる。ラクタ
ムの回収は晶析により行ってもよい。N−置換環状イミ
ド系触媒の回収及び反応副生成物の回収は図5の場合に
準じて行うことができる。この製造工程は、反応を無溶
媒又は疎水性溶媒下で行った場合に有用である。
【0095】図8は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(G1)反応混合物を濾過して、N−置換
環状イミド系触媒を固体として分離する触媒回収工程
と、(E)前記触媒分離工程で得られた濾液を水と有機
溶剤とを用いた抽出に付し、ラクタムを水層側に移行さ
せる水抽出工程と、(B2)前記水抽出工程で得られた水
層を蒸留に付してラクタムを分離するラクタム回収工程
とを含む。この製造工程は、図7の例において、反応終
了時にN−置換環状イミド系触媒が析出している場合に
特に有用である。
【0096】図9は本発明の製造方法のさらに他の例を
示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−置
換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触媒
との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触させ
る反応工程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒及
び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程と、
(D)前記濃縮工程で得られた濃縮物を塩基(アルカリ
水)で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水層側
に移行させる塩基処理工程と、(E)前記塩基処理工程
で得られた有機層を水と有機溶剤とを用いた抽出に付
し、ラクタムを水層側に移行させる水抽出工程と、(B
2)前記水抽出工程で得られた水層を蒸留に付してラク
タムを分離するラクタム回収工程とを含んでいる。
【0097】なお、水抽出工程(E)において、有機層
中の有機溶剤を抽出用の有機溶剤として使用できる。こ
の製造工程は、ラクタムが反応系で塩を形成する場合
や、N−置換環状イミド系触媒を塩の形態、特にその水
溶液の形態で回収する場合に特に有用である。
【0098】図10は本発明の製造方法のさらに他の例
を示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−
置換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触
媒との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触さ
せる反応工程と、(D)反応混合液を塩基(アルカリ
水)で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水層側
に移行させる塩基処理工程と、(E)前記塩基処理工程
で得られた有機層を水と有機溶剤とを用いた抽出に付
し、ラクタムを水層側に移行させる水抽出工程と、(B
2)前記抽出工程で得られた水層を蒸留に付してラクタ
ムを分離するラクタム回収工程とを含む。この製造工程
は、図9の例において、反応を無溶媒又は疎水性溶媒下
で行った場合に適用できる。
【0099】図11は本発明の製造方法のさらに他の例
を示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−
置換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触
媒との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触さ
せる反応工程と、(C)反応混合物を濃縮して反応溶媒
及び/又は未反応シクロアルカンを留去する濃縮工程
と、(D)前記濃縮工程で得られた濃縮物を塩基(アル
カリ水)で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水
層側に移行させる塩基処理工程と、(B2)前記塩基処理
工程で得られた有機層を蒸留に付してラクタムを分離す
るラクタム回収工程とを含む。
【0100】反応副生成物はラクタム回収工程(B2)に
おける蒸留により分離回収できる。なお、反応副生成物
のうち、特にニトロシクロアルカンは、ラクタムを留出
させた缶残液をさらに蒸留することにより得ることがで
きる。また、ラクタムとニトロシクロアルカンとは塩基
処理工程で得られた有機層を晶析操作に付すことにより
分離することもできる。
【0101】図12は本発明の製造方法のさらに他の例
を示す製造工程図である。この製造工程は、(A)N−
置換環状イミド系触媒とハロゲン又はベックマン転位触
媒との存在下でシクロアルカンと窒素酸化物とを接触さ
せる反応工程と、(D)反応混合液を塩基(アルカリ
水)で中和処理し、N−置換環状イミド系触媒を水層側
に移行させる塩基処理工程と、(B2)前記塩基処理工程
で得られた有機層を蒸留に付してラクタムを分離するラ
クタム回収工程とを含む。この製造工程は、図11にお
いて、反応を無溶媒又は疎水性溶媒下で行った場合に適
用できる。
【0102】本発明の製造方法で得られたラクタムは、
医薬、農薬、染料、溶剤、爆薬などの原料、ポリアミド
(ナイロン)の原料などとして利用できる。特に、6〜
10員のシクロアルカンから得られる7〜11員ラクタ
ムは、それぞれポリアミド6〜ポリアミド10の原料と
して有用である。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、シクロアルカンから対
応するラクタムを効率よく得ることができる。また、特
殊な装置を用いたり多量の無機副生物を副生させること
なくラクタムを製造することができる。さらに、環境汚
染の原因となる窒素酸化物を有効に利用してラクタムを
簡易に製造できる。
【0104】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0105】実施例1 図3の製造工程図に従ってε−カプロラクタムを製造し
た。反応器1にシクロヘキサン8.4kg(100mo
l)、N−ヒドロキシフタルイミド0.8kg(5mo
l)、塩素(0.5mol)及び酢酸200Lを仕込
み、一酸化窒素(223mol)を供給しながら攪拌を
行い、100℃で10時間反応させた。反応混合液中の
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ε−
カプロラクタムが収率17%、ニトロシクロヘキサンが
収率28%、ニトロシクロヘキサノンが収率5%、シク
ロヘキサノンが収率8%で生成していた。シクロヘキサ
ンの転化率は72%であった。反応混合液を蒸発器2に
供し、常圧下、フラッシュ蒸留によりシクロヘキサン及
び酢酸を留去した。塔底液を中和槽11に移し、そこに5
Nの水酸化ナトリウム水溶液を1L加えた。その混合液
を1時間攪拌した後、1時間静置し、分液させた。有機
層を晶析槽3に移し、10℃まで冷却した後、濾過によ
りラクタムを回収した。このラクタムをシクロヘキサン
10Lに溶解した後、蒸留塔7(8)に供し、まずは常
圧、還流比5の条件でシクロヘキサンを回収した後、圧
力を50mmHg(6.65kPa)、還流比を10に
して、塔頂より1.6kg(精製収率85.0%)のε
−カプロラクタムを得た。得られたε−カプロラクタム
の純度は99.2%であった。
【0106】実施例2 図9の製造工程図に従ってε−カプロラクタムを製造し
た。反応器1にシクロヘキサン8.4kg(100mo
l)、N−ヒドロキシフタルイミド0.8kg(5mo
l)、塩素(0.5mol)、酢酸150L、ベンゾニ
トリル150L及び凍結青色液体(N23として2km
ol;一酸化窒素と酸素から調製)を仕込み、攪拌しな
がら60℃で10時間反応させた。反応混合液中の生成
物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ε−カプ
ロラクタムが収率20%、ニトロシクロヘキサンが収率
33%、ニトロシクロヘキサノンが収率6%、シクロヘ
キサノンが収率6%で生成していた。シクロヘキサンの
転化率は74%であった。反応混合液を蒸発器2に供
し、常圧下、フラッシュ蒸留によりシクロヘキサン及び
酢酸を留去した。塔底液を中和槽11に移し、そこに5N
の水酸化ナトリウム水溶液を1L加えた。その混合液を
1時間攪拌した後、1時間静置し、分液させた。次に、
有機層にシクロヘキサン2L及び水4Lを加え、混合液
を1時間攪拌した後、1時間静置し、分液させてラクタ
ムを水層へ抽出した。この水層を蒸留塔13(14)に供
し、まずは常圧、還流比5の条件で水を回収した後、圧
力を50mmHg(6.65kPa)、還流比を10に
して、塔頂より1.8kg(精製収率80.1%)のε
−カプロラクタムを得た。得られたε−カプロラクタム
の純度は99.5%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す製造工程図であ
る。
【図2】本発明の製造方法の他の例を示す製造工程図で
ある。
【図3】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図4】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図5】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図6】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図7】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図8】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図9】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造工
程図である。
【図10】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造
工程図である。
【図11】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造
工程図である。
【図12】本発明の製造方法のさらに他の例を示す製造
工程図である。
【符号の説明】
1 反応器 2,15 濃縮装置 3,16 晶析槽 4,6,10,17,19,20 濾過器 5 リパルプ槽 7,8,9,13,14,18,19 蒸留塔 11 中和槽 12 抽出槽

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−置換環状イミド系触媒とハロゲン又
    はベックマン転位触媒との存在下、シクロアルカンと窒
    素酸化物とを反応させて対応するラクタムを製造する方
    法であって、(A)前記触媒の存在下でシクロアルカン
    と窒素酸化物とを接触させる反応工程と、(B)反応混
    合物から晶析、蒸留及び抽出から選択された少なくとも
    1つの操作によりラクタムを回収するラクタム回収工程
    とを含むラクタムの製造方法。
  2. 【請求項2】 ラクタム回収工程(B)の前に、(C)
    反応混合物を濃縮して反応溶媒及び/又は未反応シクロ
    アルカンを留去する濃縮工程を有する請求項1記載のラ
    クタムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ラクタム回収工程(B)の前に、(D)
    反応混合物を塩基で処理する塩基処理工程を有する請求
    項1又は2記載のラクタムの製造方法。
  4. 【請求項4】 ラクタム回収工程(B)の前に、(E)
    反応混合物を水と有機溶剤とを用いた抽出操作に付して
    ラクタムを水層側に移行させる水抽出工程を有する請求
    項1〜3の何れかの項に記載のラクタムの製造方法。
  5. 【請求項5】 さらに、(F)副生成物を回収する副生
    成物回収工程、及び(G)N−置換環状イミド系触媒を
    回収する触媒回収工程から選択された少なくとも1つの
    工程を含む請求項1記載のラクタムの製造方法。
  6. 【請求項6】 副生成物回収工程(F)において、副生
    成物を蒸留、晶析及び抽出から選択された少なくとも1
    つの操作により回収する請求項5記載のラクタムの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 触媒回収工程(G)において、N−置換
    環状イミド系触媒を濾過、リパルプ、晶析又はアルカリ
    水抽出処理により回収する請求項5記載のラクタムの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 回収した触媒をそのまま又は再生処理を
    施した後、反応工程にリサイクルする請求項5記載のラ
    クタムの製造方法。
  9. 【請求項9】 回収した副生成物を反応工程にリサイク
    ルする請求項5記載のラクタムの製造方法。
  10. 【請求項10】 シクロアルカンがシクロヘキサンであ
    る請求項1記載のラクタムの製造方法。
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