JP4250887B2 - アミド化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアミド化合物の製造方法に関する。詳しくは、液相中で触媒の存在下にオキシムのベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、工業的に行われているアミド化合物の製造方法としては、オキシム化合物をベックマン転位反応させてアミド化合物に変換させる方法が知られており、例えば、ε-カプロラクタムはシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応により製造されている。かかるベックマン転位反応は、現在、工業的には濃硫酸または発煙硫酸のような強酸を用いた液相反応が採用されている。しかしながら、この公知の方法では、生成したラクタム化合物の分離のために、通常、大量の硫酸をアンモニアで中和する必要があり、前記ラクタム化合物の約2倍量の硫酸アンモニウム(硫安)が副生すること、および大量の強酸を用いるために反応装置の腐食などの問題があり、必ずしも経済的な方法とは言えず、効率的な転位反応の開発が期待されている。
【0003】
そこで、効率的な液相でのベックマン転位反応に関し、種々の検討が行なわれてきた。例えば、均一触媒を用いた液相でのシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応では、N,N−ジメチルホルムアミドとクロルスルホン酸の反応で得られるイオン対(ビスマイヤー錯体)を触媒とする方法(M.A.Kira and Y.M.Shaker,Egypt.J.Chem.,16,551(1973))、エポキシ化合物と強酸(三フッ化ホウ素・エーテラート等)から生成するアルキル化剤とN,N-ジアルキルホルムアミドから成る触媒を用いる方法(Y.Izumi,Chemistry Letters,pp.2171(1990))、シクロヘキサノンオキシムをヘプタン溶媒中でリン酸或いは縮合性リン酸化合物を用いて転位させる方法(特開昭62−149665号公報)、五酸化リンおよび含フッ素強酸あるいはその誘導体とN,N-ジアルキルホルムアミド等の化合物から成る触媒を用いる方法(特開平5−105654号公報)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの触媒系を使用してシクロヘキサノンオキシムを液相でベックマン転位反応させε−カプロラクタムを製造する方法は、工業的な製造方法としては必ずしも満足し得るものではない。具体的には、上述したビスマイヤー錯体を触媒とするシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応では、生成ラクタムと触媒が1:1の錯体を形成するため、原料オキシムと等モルの触媒を必要とするために経済的な工業製造法とは云えない。また、エポキシ化合物と強酸から生成するアルキル化剤とN,N-ジアルキルホルムアミドから成る触媒を用いる方法は、従来の硫酸を使用する等量反応とは異なり、反応が触媒的に進行する新しい転位方法を開示しているが、アルキル化剤を生成するためにジメチル硫酸やエピクロルヒドリン等の毒性化合物を用いる場合があることから、操作性の観点で工業的には必ずしも満足し得る方法ではない。更に、特開昭62−149665号公報で開示されているリン酸或いは縮合リン酸を触媒とする方法では、原料オキシム1モルに対して約2倍モルもの大量のリン酸触媒を用いる必要があるために、反応後のアンモニアによる触媒中和工程に多大な負荷がかかるために経済的な工業製造法とは云えない。
【0005】
上記した特開平5−105654号公報で開示されている五酸化リンおよび含フッ素強酸あるいはその誘導体とN,N-ジアルキルホルムアミド等の化合物から成る触媒を用いる方法では、高い触媒活性を示すものの、該触媒活性は微量の水分によって失活することが明細書中にも記載されており、そのために原料オキシムや反応溶媒ならびに反応装置等の厳重なる水分除去が要求される。特に、触媒成分である五酸化リン化合物は強い脱水剤として当業者間では公知であることから分かるように、極めて高い吸湿性を有するため、その取り扱いには多大な注意と煩雑性を伴い、また、実質的には使用済み触媒の再生使用は不可能である。このように、従来提案されている触媒系は、触媒効率、取り扱い性、さらには経済性の面から工業的実施のためには必ずしも満足し得るものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点のない、液相中で酸触媒の存在下にオキシム化合物のベックマン転位反応を行うにあたり、温和な反応条件下で、しかも少量の触媒量で触媒的にオキシム化合物を転位せしめて高効率にアミド化合物を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
本発明者らはオキシム化合物をアミド化合物へベックマン転位するための触媒について鋭意検討した結果、ヘテロポリ酸、N,N - 二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を触媒成分として用いて転位反応を行う、または硫酸、N,N - 二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を触媒成分として用い、カルボン酸無水物が硫酸に対して11.8倍モル以上用いて転位反応を行うと、高効率でアミド化合物が得られることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、オキシム化合物を液相中でベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法において、触媒成分としてヘテロポリ酸、N,N - 二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を用いて、または硫酸、N,N - 二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を用いて反応を行うことを特徴とするアミド化合物の製造方法に存する。
以上
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
(オキシム化合物)
本発明のベックマン転位反応で使用される原料のオキシム化合物は何ら制限されることなく公知のオキシム化合物が適用される。オキシム化合物として具体的には、シクロヘキサノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロドデカノンオキシム、アセトンオキシム、2−ブタノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、4′−ヒドロキシアセトフェノンオキシム等の炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜13のオキシム化合物が挙げられる。なかでもシクロヘキサノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロドデカノンオキシム等の炭素数4〜20、好ましくは炭素数5〜13の環状オキシム化合物が好ましく適用され、特にシクロヘキサノンオキシムが好適である。
【0009】
(触媒)
本発明で用いられる転位反応触媒は、強酸、N,N-二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を触媒の構成成分とするものである。これら触媒構成成分からどのような形態の触媒活性種が生成しているかに関しては、現在のところ明らかではないが、原料のオキシム化合物が作用して反応が進行することから、原料オキシム化合物も触媒構成成分の一成分と見なすことが出来る。
強酸
本発明の無機酸としては、25℃のpKaが4以下の酸であればその種類は問わず、好ましくはpKaが2以下であるのが好ましい。具体的には、硫酸、濃硫酸、発煙硫酸、硝酸、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸やクロム酸などの遷移金属のオキソ酸、タングステンやモリブデンなどのイソポリ酸、ヘテロポリ酸、などを挙げることができる。ここで、pKa値とはLange‘s HANDBOOK OF CHEMISTRY 第12版(J.A. Dean編 マグロウヒル)や化学便覧(丸善)、Zhurnal Neorganicheskoi Khimii 1978 Vol23 2545pを参照することにより特定あるいは算出できる。中でも、無機酸としてはヘテロポリ酸が好ましい。また、本発明の無機酸の形態については特に制限はなく、仕込みの段階で担体に担持された形態や混合酸無水物の形態をとっていてもよい。
【0010】
本発明の触媒成分として用いられるヘテロポリ酸の具体的な化合物としてはケイタングテン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸等のケギン型ヘテロポリ酸、H6P2W18O42等のドーソン型ヘテロポリ酸が挙げられ、中でもケイタングテン酸、リンタングステン酸が好ましい。また用いられるヘテロポリ酸がアルカリなどの部分塩を形成していてもかまわないが、好ましくは酸型のヘテロポリ酸が用いられる。
【0011】
本発明における無機酸は、特に制限されるものではないが、一般には、原料オキシムに対して約0.2〜20モル%、好ましくは1.0〜15モル%、更に好ましくは2.0〜12モル%の範囲で用いられる。この範囲を越えて少なすぎると十分な触媒活性が得られず、他方、過多にしすぎると転位反応後の触媒処理に要するアルカリが多くなりいずれも好ましくない。
【0012】
カルボン酸無水物
本発明の触媒系で使用するカルボン酸無水物としては、特に限定されるものではなく、置換基を有していても良い炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜8の脂肪族カルボン酸無水物、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族カルボン酸無水物を使用することができる(ここで、置換基とは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、Cl、Br、F等のハロゲン原子を表す)。カルボン酸無水物の価数は、特に制限されないが、好ましくは一価である。
具体的な化合物としては無水酢酸、プロピオン酸無水物、n-酪酸無水物、n−吉草酸無水物、n-カプロン酸無水物、n-ヘプタン酸無水物、2-エチルヘキサン酸無水物、安息香酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられる。これらの中、炭素数1〜4のアルキルカルボン酸無水物が好ましく、特に低沸点化合物の無水酢酸、プロピオン酸無水物が好ましく、無水酢酸が最も好ましい。
【0013】
本発明におけるカルボン無水物の化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、一般には、本発明の無機酸より選ばれた少なくとも一種の化合物に対して約0.5〜200モル倍、好ましくは1.0〜100モル倍、更に好ましくは2.0〜50モル倍の範囲で用いられる。この範囲を越えて少なすぎると十分な触媒活性が得られず、他方、過多にしすぎると転位反応後の触媒分離に要する負荷が多くなりいずれも好ましくない。
【0014】
N,N - 二置換アミド化合物
本発明の触媒系で使用するN,N-二置換アミド化合物としては、通常、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜4の同一または異なるアルキル置換基を窒素原子上に有するカルボン酸アミド、特に、ホルムアミドである。窒素原子上の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等が挙げられ、中でもアルキル基が好ましく、窒素原子を含む環状構造を有しないアミド化合物が好ましい。具体的な化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジ-i-プロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジペンチルホルムアミド、N,N-ジオクチルホルムアミド、N-メチル,N-ステアリルホルムアミド等を挙げることができ、中でも2つのアルキル基が同一のものが好ましく、特にN,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0015】
上記したN,N-二置換アミド化合物の使用量は特に制限されず、原料オキシム化合物の使用量範囲ならびに本発明の無機酸より選ばれた少なくとも一種の化合物の使用範囲、更にはカルボン酸無水物の使用量範囲によっても異なり画一的に規定さるものではないが、通常、オキシム化合物に対して1重量倍から1000重量倍、好ましくは2重量倍から100重量倍、更に好ましくは4重量倍から50重量倍の量を用いることが出来る。無機酸に対しては、通常10〜2000モル比、好ましくは25〜1000モル比、更に好ましくは50〜500モル比を用いる。
本発明で使用するN,N-二置換アミド化合物は、触媒の構成成分であると同時に溶媒としての作用をも奏するので、転位反応を円滑に進行させるために適当な溶媒を使用する場合には該溶媒と混合して使用する事が出来る。
【0016】
(溶媒)
本発明の転位反応に使用することが出来るN,N-二置換アミド化合物以外の溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、メトキシベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、アセトニトリル、プロパンニトリル、カプロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル化合物、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル等のエステル化合物等を挙げることが出来、芳香族炭化水素化合物が原料オキシムおよび触媒成分の溶解性を高めるうえで好ましい。これらは単独でも混合しても使用することが出来る。N,N-二置換アミド化合物以外の溶媒を用いる場合には、N,N-二置換アミド化合物に対し0,01〜20容量倍で混合することができ、好ましくは0.1〜10容量倍で、更に好ましくは0.5〜1の容量倍で混合することができる。このような範囲で混合することにより、反応後にN,N-二置換アミド化合物を蒸留分離する際の負荷を低減することができる。
【0017】
(反応条件)
本発明方法を実施する条件としては特に規定されないが、反応温度は通常0℃から200℃、好ましくは40℃から150℃、更に好ましくは60℃から130℃の範囲で実施される。反応圧力も特に制限されるものでなく、常圧〜加圧条件下で実施される。また、反応時間あるいは滞留時間は、通常10秒〜10時間であり、好ましくは1分〜7時間である。
本発明では無機酸、N,N-二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物の触媒成分と原料オキシム化合物を如何なる順序で混合しても転位反応は進行するが、例えば、無機酸とカルボン酸無水物をN,N-二置換アミド化合物に混合し、あるいはこれらの混合物に更に少量の原料オキシムを加えた混合物を所定の温度に加熱し、次いでオキシムを溶解した原料液を逐次的に供給して反応を開始することが好ましい。その場合、原料オキシム化合物は、N,N-二置換アミド化合物の一部に溶解して反応に供することが出来る。原料オキシム化合物を一括して供給して、上記触媒成分液中に高濃度のオキシム化合物を存在させた状態から反応を開始させると、触媒の早期失活や副生成物の増大の誘因となるため好ましくない。
【0018】
(反応形式)
本発明の反応を実施する反応形式は特に規定されるものではなく、回分反応、連続流通反応のいずれでも実施することができるが、工業的には連続流通反応形式を用いるのが好ましい。反応器の形式については特に制約はなく、1槽あるいは2槽以上の連続した攪拌槽からなる反応器や、チューブラー型反応器等、一般的な反応器を使用することができる。また、本発明では酸触媒を用いるため、反応器材質は耐腐食性材質のものを用いるのが好ましく、例えばステンレス鋼、ハステロイ、モネル、インコネル、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、タンタル又はフッ素樹脂、各種ガラスを内側にコーテイングした材料などが例示できる。
触媒として使用される無機酸は、予め充分な水分除去を施した後に反応に供するほうが高い触媒活性ならびにアミド化合物への高い選択性を得るうえで好ましい。必要な場合、使用前の加熱処理や排気処理および脱水処理が好適に用いられる。
【0019】
反応で使用される原料オキシム化合物、触媒成分、反応溶媒は予め充分な水分除去を施した後に反応に供するほうが高い触媒活性ならびにアミド化合物への高い選択性を得るうえで好ましい。
【0020】
本発明の反応形式につき、以下に連続流通反応の例を挙げて具体的に述べる。本発明のスルホン酸(無機酸)およびカルボン酸無水物を溶解させたN,N-二置換アミド液および原料オキシム化合物を溶解させたN,N-二置換アミド液を必要に応じ不活性溶媒とともに反応器に連続的に供給して、所望の滞留時間の間に反応させ、同時に生成したアミド化合物、未反応オキシム化合物および触媒成分を含む反応混合物を連続的に取り出す。
(反応後の処理)
取り出した反応混合物は、軽沸副生物、溶媒、カルボン酸、N,N-二置換アミド、目的アミド化合物、未反応オキシム、残りの触媒成分を含む。この反応混合物は、次に蒸留塔に導かれ、蒸留により順次、軽沸副生物、トルエン等の溶媒、カルボン酸、触媒成分の1つであるN,N-二置換アミドを留去し、目的生成物であるアミド化合物と未反応オキシム化合物と触媒成分を含む混合物を得る。回収した不活性溶媒および触媒構成成分であるN,N-二置換アミドは反応器へ再循環し得るが、この場合、不要な副生成物類は別途、蒸留等の分離手段で分離除去する。
【0021】
蒸留で分離した目的生成物であるアミド化合物、未反応オキシムと残りの触媒を含む混合物は、例えば、NH3、NaOH等のアルカリ化合物の水溶液を加えて中和し触媒を失活させた後、トルエン等の溶媒を貧溶媒として添加して失活触媒を固体析出化させて目的生成物であるアミド化合物及びオキシム化合物と触媒とを分離することができる。次に、溶媒と目的アミド化合物及びオキシム化合物の混合物は、蒸留分離、抽出分離あるいは晶析分離等の各種分離操作により不活性溶媒と目的アミド化合物及びオキシム化合物とに分離する。回収した不活性溶媒は触媒失活工程へと再循環し、その場合、不要な副生成物類は別途、蒸留等の分離手段で分離する。目的アミド化合物は更に蒸留塔に導いて精製することにより、更に高純度品を得ることができる。
NH3、NaOH等のアルカリ化合物を加えて失活・分離した触媒塩、例えばヘテロポリ酸塩は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸、あるいは固体酸、酸型のイオン交換樹脂等を用いてヘテロポリ酸に戻すことができる。再生された無機酸は、場合により不活性溶媒とともに反応器へと再循環することが可能である。蒸留分離後に回収したカルボン酸は、脱水処理によりカルボン酸無水物に再生し、再度反応に使用することができる。脱水処理としては、高温で熱脱水処理により脱水する方法やケトンや五酸化二燐を脱水剤として使用する方法を採用できる。
【0022】
【実施例】
本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において、ラクタム収率は仕込みオキシム化合物に対するモル%で表し、TON値(Turn Over Number)は、仕込み硫酸及びその酸無水物(S換算mol)並びにスルホン酸およびその酸無水物(mol)に対する生成ラクタムのモル数で表した。
【0023】
[実施例1]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、窒素気流中300℃で脱水乾燥したケイタングステン酸2.52g(0.876mmol)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.275g(12.49mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム7.14g(63.07mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド14.2mlに溶解した液を20分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は81.2%、TON値は58.5であった。
【0024】
[実施例2]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、窒素気流中300℃で脱水乾燥したケイタングステン酸2.52g(0.875mmol)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸0.380g(3.72mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム7.14g(63.07mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド14.2mlに溶解した液を20分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は61.6%、TON値は44.4であった。
【0025】
[比較例1]
実施例2において、無水酢酸を添加しないで実施した以外は同様の方法でシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は0.01%、Sに対するTON値は0.01であった。
【0026】
[実施例3]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、窒素気流中300℃で脱水乾燥したケイタングステン酸1.26g(0.437mmol)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸0.371g(3.63mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム5.35g(47.31mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド10.7mlに溶解した液を15分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は63.5%、TON値は68.7であった。
【0027】
[実施例4]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、窒素気流中300℃で脱水乾燥したリンタングステン酸2.51g(0.870mmol)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.266g(12.40mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム7.14g(63.07mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド14.2mlに溶解した液を20分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は46.7%、TON値は33.9であった。
【0028】
[実施例5]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、縮合リン酸0.145g(P1.962mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.395g(13.66mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は41.1%、Pに対するTON値は6.6であった。
【0029】
[比較例2]
実施例19において、無水酢酸を添加しないで実施した以外は同様の方法でシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は4.4%、Pに対するTON値は0.7であった。
[実施例6]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、95%ピロリン酸0.195g(P1.042mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.247g(12.22mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は33.6%、Pに対するTON値は10.2であった。
【0030】
[実施例7]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、99%オルトリン酸0.170g(P1.717mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.308g(12.81mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は38.1%、Pに対するTON値は7.0であった。
[実施例8]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、20%発煙硫酸0.096g(S1.015mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸0.366g(3.59mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は33.3%、Sに対するTON値は10.4であった。
[比較例3]
実施例8において、無水酢酸を添加しないで実施した以外は同様の方法でシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は0.4%、Sに対するTON値は0.14であった。
[実施例9]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、95%硫酸0.108g(S1.045mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸1.257g(12.31mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は64.8%、Sに対するTON値は19.6であった。
[実施例10]
80℃の乾燥機で乾燥した50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処理した乾燥窒素で置換後、95%硫酸0.107g(S1.037mmol相当)を窒素雰囲気下で装填し、無水酢酸0.363g(3.56mmol)、予めモレキュラシーブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.20g(ガスクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルムアミド8.4mlを添加し75℃まで加熱攪拌させながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム3.57g(31.54mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド7.1mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は24.3%、Sに対するTON値は7.4であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明方法によれば、オキシム化合物から温和な反応条件下で高収率でアミド化合物を製造することが出来るため、工業的に有利な方法である。

Claims (6)

  1. オキシム化合物を液相中でベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法において、触媒成分として、ヘテロポリ酸、N,N-二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を用いて反応を行うことを特徴とするアミド化合物の製造方法。
  2. オキシム化合物を液相中でベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法において、触媒成分として、硫酸、N,N - 二置換アミド化合物およびカルボン酸無水物を用いて反応を行い、かつカルボン酸無水物を硫酸に対して11.8倍モル以上用いることを特徴とするアミド化合物の製造方法。
  3. N,N-二置換アミドがN,N-ジメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項1または2記載のアミド化合物の製造方法。
  4. カルボン酸無水物が炭素数1〜4のアルキルカルボン酸無水物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のアミド化合物の製造方法。
  5. カルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のアミド化合物の製造方法。
  6. オキシム化合物がシクロヘキサノンオキシムであり、アミド化合物がε-カプロラクタムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法。
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