JP2002234870A - アミド化合物の製造方法 - Google Patents

アミド化合物の製造方法

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JP2002234870A
JP2002234870A JP2001119143A JP2001119143A JP2002234870A JP 2002234870 A JP2002234870 A JP 2002234870A JP 2001119143 A JP2001119143 A JP 2001119143A JP 2001119143 A JP2001119143 A JP 2001119143A JP 2002234870 A JP2002234870 A JP 2002234870A
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oxime
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Yuji Kawaragi
裕二 河原木
Toru Setoyama
亨 瀬戸山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液相中、温和な反応条件下、オキシム化合物を
ベックマン転位せしめ高収率でアミド化合物を製造する
方法を提供する。 【解決手段】シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化
合物を液相中でベックマン転位反応を行うことによりε
−カプロラクタム等のアミド化合物を製造する方法にお
いて、非含フッ素スルホン酸無水物(例えば、p-トルエ
ンスルホン酸無水物)およびN,N-二置換アミド化合
物(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)の存在下で反
応を行うことを特徴とするアミド化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアミド化合物の製造
方法に関する。詳しくは、液相中で触媒の存在下にオキ
シムのベックマン転位反応を行うことによりアミド化合
物を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、工業的に行われているアミド
化合物の製造方法としては、オキシム化合物をベックマ
ン転位反応させてアミド化合物に変換させる方法が知ら
れており、例えば、ε−カプロラクタムはシクロヘキサ
ノンオキシムのベックマン転位反応により製造されてい
る。かかるベックマン転位反応は、現在、工業的には濃
硫酸または発煙硫酸のような強酸を触媒として用いた液
相反応が採用されている。しかしながら、この公知の方
法では、生成したラクタム化合物の分離のために、通
常、硫酸をアンモニアで中和する必要があり、前記ラク
タム化合物の約2倍量の硫酸アンモニウム(硫安)が副
生すること、および大量の強酸を用いるために反応装置
の腐食などの問題があり、必ずしも経済的な方法とは言
えず、効率的な転位反応用触媒の開発が期待されてい
る。
【0003】そこで、硫酸触媒を使用しない液相でのベ
ックマン転位反応に関し、種々の検討が行なわれてき
た。例えば、均一触媒を用いた液相でのシクロヘキサノ
ンオキシムのベックマン転位反応では、N,N−ジメチ
ルホルムアミドとクロルスルホン酸の反応で得られるイ
オン対(ビスマイヤー錯体)を触媒とする方法(M.
A.Kira and Y.M.Shaker,Egy
pt.J.Chem.,16,551(1973))、
エポキシ化合物と強酸(三フッ化ホウ素・エーテラート
等)から生成するアルキル化剤とN,N-ジアルキルホ
ルムアミドから成る触媒を用いる方法(Y.Izum
i,Chemistry Letters,pp.21
71(1990))、シクロヘキサノンオキシムをヘプ
タン溶媒中でリン酸或いは縮合性リン酸化合物を用いて
転位させる方法(特開昭62−149665号公報)、
五酸化リンおよび含フッ素強酸あるいはその誘導体と
N,N-ジアルキルホルムアミド等の化合物から成る触
媒を用いる方法(特開平5−105654号公報;対応
USP5254684)等が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの触媒系を使用して
シクロヘキサノンオキシムを液相でベックマン転位反応
させε−カプロラクタムを製造する方法は、工業的な製
造方法としては必ずしも満足し得るものではない。具体
的には、上述したビスマイヤー錯体を触媒とするシクロ
ヘキサノンオキシムのベックマン転位反応では、生成ラ
クタムと触媒が1:1の錯体を形成するため、原料オキ
シムと等モルの触媒を必要とするために経済的な工業製
造法とは云えない。また、エポキシ化合物と強酸から生
成するアルキル化剤とN,N-ジアルキルホルムアミド
から成る触媒を用いる方法は、従来の硫酸を触媒とする
等量反応とは異なり、反応が触媒的に進行する新しい転
位方法を開示しているが、アルキル化剤を生成するため
にジメチル硫酸やエピクロルヒドリン等の毒性化合物を
用いる場合があることから、操作性の観点で工業的には
必ずしも満足し得る方法ではない。更に、特開昭62−
149665号公報で開示されているリン酸或いは縮合
リン酸を触媒とする方法では、原料オキシム1モルに対
して約2倍モルもの大量のリン酸触媒を用いる必要があ
るために、反応後のアンモニアによる触媒中和工程に多
大な負荷がかかるために経済的な工業製造法とは云えな
い。
【0005】上記した特開平5−105654号公報
(対応USP5254684)で開示されている五酸化リンおよび
含フッ素強酸あるいはその誘導体とN,N-ジアルキル
ホルムアミド等の化合物から成る触媒を用いる方法で
は、高い触媒活性を示すものの、該触媒活性は微量の水
分によって失活することが明細書中にも記載されてお
り、そのために原料オキシムや反応溶媒ならびに反応装
置等の厳重なる水分除去が要求される。特に、触媒成分
である五酸化リン化合物は強い脱水剤として当業者間で
は公知であることから分かるように、極めて高い吸湿性
を有するため、その取り扱いには多大な注意と煩雑性を
伴う。また、触媒構成成分として使用しているトリフル
オロメタンスルホン酸無水物(含フッ素強酸化合物)
は、高活性な触媒成分として有効だが高価であり、また
装置の腐食の問題もある。このように、従来提案されて
いる触媒系は、触媒効率、取り扱い性、さらには経済性
の面から工業的実施のためには必ずしも満足し得るもの
ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点のない、液相中で酸触媒の存在下にオキシム化合物の
ベックマン転位反応を行うにあたり、温和な反応条件下
で、しかも少量の触媒量で触媒的にオキシム化合物を転
位せしめて高収率でアミド化合物を製造する方法を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはオキシム化
合物をアミド化合物へベックマン転位するための触媒に
ついて鋭意検討した結果、高価な含フッ素強酸化合物を
使用しなくても非含フッ素スルホン酸無水物およびN,
N-二置換アミド化合物からなる触媒を用いて転位反応
を行うと、従来法と同等の高い収率でアミド化合物が得
られることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明の
要旨は、オキシム化合物を液相中でベックマン転位反応
を行うことによりアミド化合物を製造する方法におい
て、非含フッ素スルホン酸無水物およびN,N-二置換
アミド化合物の存在下で反応を行うことを特徴とするア
ミド化合物の製造方法に存する。
【0008】本発明の好適な態様としては、上記アミド
化合物の製造方法において、該非含フッ素スルホン酸無
水物が芳香族スルホン酸無水物又は脂肪族スルホン酸無
水物から選ばれ、例えば置換基を有し得る非含フッ素ベ
ンゼンスルホン酸無水物又は非含フッ素アルキルスルホ
ン酸無水物であり、特にp-トルエンスルホン酸無水
物、メタンスルホン酸無水物であること、N,N-二置
換アミド化合物がN,N-ジアルキルホルムアミド、特
にN,N-ジメチルホルムアミドであること、及びオキ
シム化合物が環状オキシム化合物、特にシクロヘキサノ
ンオキシムで、アミド化合物がε-カプロラクタムであ
ることを挙げることができる。又、本発明の好適な態様
としては、上記アミド化合物の製造方法において、該非
含フッ素スルホン酸無水物は、オキシム化合物に対して
0.2〜20モル%の範囲で、N,N-二置換アミド化合物に
対して10〜2000モル比の範囲で使用されること、N,N
-二置換アミド化合物はオキシム化合物に対して10〜100
重量倍使用することが挙げられ、更に反応溶媒として芳
香族炭化水素が、N,N-二置換アミド化合物に対して
0.01〜20容量倍の範囲で使用されることが挙げられる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。 (オキシム化合物)本発明のベックマン転位反応で使用
される原料のオキシム化合物は何ら制限されることなく
公知のオキシム化合物が適用される。オキシム化合物と
して具体的には、シクロヘキサノンオキシム、シクロペ
ンタノンオキシム、シクロドデカノンオキシム、アセト
ンオキシム、2−ブタノンオキシム、アセトフェノンオ
キシム、ベンゾフェノンオキシム、4′−ヒドロキシア
セトフェノンオキシム等の炭素数2〜20、好ましくは
炭素数3〜13のオキシム化合物が挙げられる。なかで
もシクロヘキサノンオキシム、シクロペンタノンオキシ
ム、シクロドデカノンオキシム等の炭素数4〜20、好
ましくは炭素数5〜13の環状オキシム化合物が好まし
く適用され、特にシクロヘキサノンオキシムが好適であ
る。
【0010】(触媒)本発明において用いられる転位反
応触媒は、非含フッ素スルホン酸無水物およびN,N-
二置換アミド化合物を構成成分として含むものである。
これら触媒構成成分からどのような形態の触媒活性種が
生成しているかに関しては、現在のところ明らかではな
いが、原料のオキシム化合物が作用して反応が進行する
ことから、原料オキシム化合物も触媒構成成分の一成分
と見なすことが出来る。非含フッ素スルホン酸無水物 本触媒の構成成分として用いられる非含フッ素スルホン
酸無水物は特に限定されるものではなく、非含フッ素芳
香族スルホン酸無水物または非含フッ素の直鎖又は環状
の脂肪族スルホン酸無水物が挙げられ、芳香環に1以上
の置換基を有していても良い炭素数6〜20、好ましく
は6〜10の非含フッ素芳香族スルホン酸無水物または
置換基を有していても良い炭素数1〜20、好ましくは
1〜10の非含フッ素脂肪族スルホン酸無水物を使用す
ることができる(ここで、置換基とは炭素数1〜8のア
ルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4
のアシル基、Cl、Br等のハロゲン原子を表す)。非
含フッ素スルホン酸無水物の価数は特に制限されない
が、好ましくは1価である。
【0011】具体的な化合物としては、ベンゼンスルホ
ン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物、m-キシレ
ン-4-スルホン酸無水物、p-ドデシルベンゼンスルホ
ン酸無水物、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸無水
物、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸無水物、4-ク
ロロベンゼンスルホン酸無水物、α-ナフチルスルホン
酸無水物、β-ナフチルスルホン酸無水物、ビフェニル
スルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、エタンス
ルホン酸無水物、プロパンスルホン酸無水物、1−ヘキ
サンスルホン酸無水物、1−オクタンスルホン酸無水物
等が挙げられる。これらの中、置換基を有し得る非含フ
ッ素ベンゼンスルホン酸無水物又はアルキルスルホン酸
無水物が好ましく、特にp-トルエンスルホン酸無水
物、メタンスルホン酸無水物が好ましい。本発明で用い
られる転位反応触媒の構成成分である非含フッ素スルホ
ン酸無水物の代わりに、含フッ素系の芳香族スルホン酸
無水物を用いても転位反応は進行する。しかし、上述し
たように、含フッ素強酸化合物は極めて高価であるた
め、経済的な工業製造法を確立するためには含フッ素強
酸化合物の回収技術ならびに再使用技術の確立が必須で
ある。
【0012】本発明における非含フッ素スルホン酸無水
物の使用量は、特に制限されるものではないが、一般に
は、原料オキシムに対して約0.2〜20モル%、好ま
しくは1.0〜15モル%、更に好ましくは2.0〜1
2モル%の範囲で用いられる。この範囲を超えて少な過
ぎると十分な触媒活性が得られず、他方、過多にすぎる
と転位反応後の触媒処理に要する負荷が多くなりいずれ
も好ましくない。
【0013】N,N-二置換アミド化合物 本発明の触媒系で使用するN,N-二置換アミド化合物
としては、通常、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1
〜8、更に好ましくは炭素数1〜4の同一または異なる
アルキル置換基を窒素原子上に有するカルボン酸アミ
ド、特に、ホルムアミドである。窒素原子上の置換基と
しては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等が挙
げられ、中でもアルキル基が好ましく、窒素原子を含む
環状構造を有しないアミド化合物が好ましい。具体的な
化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,
N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジ-i-プロピルホル
ムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジペ
ンチルホルムアミド、N,N-ジオクチルホルムアミ
ド、N-メチル,N-ステアリルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジエチルアセトアミド等を挙げることが
でき、中でも2つのアルキル基が同一のものが好まし
く、特にN,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0014】上記したN,N-二置換アミド化合物の使
用量は特に制限されず、原料オキシム化合物の使用量範
囲ならびに非含フッ素スルホン酸無水物の使用量範囲に
よっても異なり画一的に規定さるものではないが、通
常、オキシム化合物に対して1重量倍から1000重量
倍、好ましくは2重量倍から100重量倍、更に好まし
くは4〜50重量倍の量を用いることが出来る。また、
非含フッ素スルホン酸無水物に対しては、通常10〜2
000モル比、好ましくは25〜1000モル比、更に
好ましくは50〜500モル比で用いられる。本発明で
使用するN,N-二置換アミド化合物は、触媒の構成成
分であると同時に溶媒としての作用をも奏するので、転
位反応を円滑に進行させるために適当な溶媒を使用する
場合には該溶媒と混合して使用する事が出来る。
【0015】(溶媒)本発明の転位反応に使用すること
が出来るN,N-二置換アミド化合物以外の溶媒として
は、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素化合物、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベン
ゼン、メトキシベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、ア
セトニトリル、プロパンニトリル、カプロニトリル、ア
ジポニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニト
リル化合物、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マ
ロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル等のエステル化合物
等を挙げることが出来、芳香族炭化水素化合物が原料オ
キシムおよび触媒成分の溶解性を高めるうえで好まし
い。これらは単独でも混合しても使用することが出来
る。N,N-二置換アミド化合物以外の溶媒を用いる場
合には、N,N-二置換アミド化合物に対し0.01〜
20容量倍で混合することができ、好ましくは0.1〜
10容量倍で、更に好ましくは0.5〜1容量倍で混合
することができる。このような範囲で混合することによ
り、反応後にN,N-二置換アミド化合物を蒸留分離す
る際の負荷を低減することができる。
【0016】(反応条件)本発明方法を実施する条件と
しては特に規定されないが、反応温度は通常0℃から2
00℃、好ましくは40℃から150℃、更に好ましく
は60℃から130℃の範囲で実施される。反応圧力も
特に制限されるものでなく、常圧〜加圧条件下で実施さ
れる。また、反応時間あるいは滞留時間は、通常10秒
〜10時間であり、好ましくは1分〜7時間である。本
発明では各触媒成分と原料オキシム化合物を如何なる順
序で混合しても転位反応は進行する。例えば、非含フッ
素スルホン酸無水物とN,N-二置換アミド化合物を混
合して所定の温度に加熱し、次いでオキシム化合物を溶
解した原料液を逐次的に供給して反応を開始することが
好ましい。その場合、原料オキシム化合物は、N,N-
二置換アミド化合物の一部に溶解して反応に供すること
が出来る。原料オキシム化合物を一括して供給して、上
記触媒成分液中に高濃度のオキシム化合物を存在させた
状態から反応を開始させると、触媒の早期失活や副生成
物の増大の誘因となるため好ましくない。
【0017】(反応形式)本発明の反応を実施する反応
形式は特に規定されるものではなく、回分反応、連続流
通反応のいずれでも実施することができるが、工業的に
は連続流通反応形式を用いるのが好ましい。反応器の形
式については特に制約はなく、1槽あるいは2槽以上の
連続した攪拌槽からなる反応器や、チューブラー型反応
器等、一般的な反応器を使用することができる。また、
本発明では酸触媒を用いるため、反応器材質は耐腐食性
材質のものを用いるのが好ましく、例えばステンレス
鋼、ハステロイ、モネル、インコネル、チタン、チタン
合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニッケル、ニ
ッケル合金、タンタル、又はフッ素樹脂、各種ガラスを
内側にコーテイングした材料などが例示できる。反応で
使用される原料オキシム化合物、触媒成分、反応溶媒は
予め充分な水分除去を施した後に反応に供するほうが高
い触媒活性ならびにアミド化合物への高い選択性を得る
うえで好ましい。
【0018】本発明の反応形式につき、以下、連続流通
反応の例を挙げて具体的に述べる。本発明の非含フッ素
スルホン酸無水物を溶解させたN,N-二置換アミド化
合物液および原料オキシム化合物を溶解させたN,N-
二置換アミド化合物液を必要に応じ溶媒とともに反応器
に連続的に供給し、所望の滞留時間の間に反応させ、同
時に生成したアミド化合物、未反応オキシム化合物およ
び触媒成分を含む反応混合物を連続的に取り出す。 (反応後の処理)取り出した反応混合物は軽沸副生物、
溶媒、触媒の一成分でもあるN,N−二置換アミド化合
物、目的アミド化合物、未反応オキシム化合物、他方の
触媒成分を含む。この反応混合物は次に蒸留塔に導か
れ、蒸留により順次軽沸副生物、トルエン等の溶媒、
N,N-二置換アミドを留去し、目的生成物であるアミ
ド化合物と未反応のオキシム化合物と他方の触媒成分を
含む混合物を得る。回収した溶媒および触媒構成成分で
もあるN,N-二置換アミドは反応器へ再循環し得る
が、この場合、不要な副生成物類は別途、蒸留等の分離
手段で分離除去する。
【0019】蒸留で分離した目的生成物であるアミド化
合物、未反応のオキシム化合物と他方の触媒成分を含む
混合物は、例えば、NH3、NaOH等のアルカリ化合
物の水溶液を加えて中和し触媒を失活させた後、トルエ
ン等の溶媒を貧溶媒として添加して失活触媒を固体析出
化させて、目的生成物であるアミド化合物及びオキシム
化合物と触媒成分とを分離することができる。次に、溶
媒と目的アミド化合物及びオキシム化合物の混合物は、
蒸留分離、抽出分離あるいは晶析分離等の各種分離操作
により溶媒と目的アミド化合物及びオキシム化合物とに
分離する。回収した溶媒は触媒失活工程へと再循環し、
その場合、不要な副生成物類は別途、蒸留等の分離手段
で分離する。目的アミド化合物は更に蒸留塔に導いてオ
キシム化合物と分離・精製することにより、更に高純度
品を得ることができる。
【0020】NH3、NaOH等のアルカリ化合物を加
えて失活・分離した触媒塩は、例えば非含フッ素芳香族
スルホン酸塩は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸、
あるいは固体酸、酸型のイオン交換樹脂等を用いて容易
にスルホン酸に戻すことができる。再生したスルホン酸
化合物は温和な操作条件で、例えば、発煙硫酸、五酸化
二燐、縮合リン酸等の脱水剤との接触で容易に脱水して
スルホン酸無水物に変換させることが可能であり、再生
されたスルホン酸又はスルホン酸無水物は、場合により
溶媒とともに反応器へと再循環することが可能である。
【0021】
【実施例】本発明を実施例を挙げて具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に
限定されるものではない。なお、以下の例において、ラ
クタム収率は仕込みオキシム化合物に対するモル%で表
し、TON値(Turn Over Number)は仕込み非含フッ素ス
ルホン酸無水物(mol)に対する生成ラクタムのモル
数で表した。
【0022】[実施例1]100℃の乾燥機で乾燥した
50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処
理した乾燥窒素で置換後、予めモレキュラシーブ-4A
で乾燥処理したN,N-ジメチルホルムアミド(DM
F)10ml、n-テトラデカン0.10g(ガスクロマ
トグラフィ内部標準物質)、およびp-トルエンスルホン
酸無水物97.6mg(0.30mmol;シクロヘキ
サノンオキシムに対し3.4mol%)を添加し110℃で
10分間加熱攪拌した。次いでシクロヘキサノンオキシ
ム1.00g(8.84mmol)をN,N-ジメチル
ホルムアミド10mlに溶解した液を添加して、110
℃で15分間反応を実施した。反応終了後、反応液を市
販の28%-NH3水溶液で処理して触媒を失活させた後の
反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結
果、ε−カプロラクタムの収率は85.9%、TON値
は25.2であった。
【0023】[比較例1]実施例1において、p-トル
エンスルホン酸無水物の代わりにp-トルエンスルホン
酸一水和塩114.1mg(0.60mmol;シクロ
ヘキサノンオキシムに対し6.8mol%)を用いて操作し
たこと以外は同様の方法でシクロヘキサノンオキシムの
ベックマン転位反応を実施した。その結果、ε−カプロ
ラクタムの収率は1.7%、TON値は0.3であっ
た。
【0024】[比較例2]実施例1において、p-トル
エンスルホン酸無水物の代わりに無水p-トルエンスル
ホン酸(結晶水なし)103.3mg(0.60mmo
l)を用いて操作したこと以外は同様の方法でシクロヘ
キサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。そ
の結果、ε−カプロラクタムの収率は3.3%、TON
値は0.5であった。
【0025】[比較例3]実施例1において、N,N-
ジメチルホルムアミドを用いず、溶媒としてクロロベン
ゼン20mlを用いて操作したこと以外は同様の方法で
シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を実施
した。その結果、ε−カプロラクタムの収率は8.0%
であり、TON値は2.3であった。
【0026】[実施例2〜3]実施例1において、反応
温度を表-1に示した温度で実施した以外は同様の方法
でシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を実
施した。実施例1〜3,比較例1〜3の結果を表−1に
示す。
【0027】
【表1】
【0028】[実施例4]100℃の乾燥機で乾燥した
50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処
理した乾燥窒素で置換後、p-トルエンスルホン酸無水
物0.75g(2.30mmol;シクロヘキサノンオ
キシムに対し13mol%)、予めモレキュラシーブ-4A
で乾燥処理したn-テトラデカン0.10g(ガスクロマ
トグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチルホルム
アミド5mlを添加し74℃まで加熱攪拌させながら昇
温した。次いでシクロヘキサノンオキシム2.00g
(17.67mmol)をN,N-ジメチルホルムアミ
ド5mlに溶解した液を10分間かけて添加して転位反
応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH3
溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガスクロ
マトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロラク
タムの収率は95.8%、TON値は7.4であった。
【0029】[実施例5]実施例4において、N,N-
ジメチルホルムアミド(100%容量)の代わりにN,N
-ジメチルホルムアミド/トルエン(80/20%容量比)
混合液を用いて実施した以外は同様の方法でシクロヘキ
サノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。その
結果、ε−カプロラクタムの収率は95.2%、TON
値は7.3であった。
【0030】[実施例6]実施例4において、N,N-
ジメチルホルムアミド(100%容量)の代わりにN,N
-ジメチルホルムアミド/トルエン(50/50%容量比)
混合液を用いて実施した以外は同様の方法でシクロヘキ
サノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。その
結果、ε−カプロラクタムの収率は94.4%、TON
値は7.3であった。実施例4〜6の結果を表−2に示
す。
【0031】
【表2】
【0032】[実施例7]100℃の乾燥機で乾燥した
50mlの丸底フラスコをモレキュラシーブ-4Aで処
理した乾燥窒素で置換後、p-トルエンスルホン酸無水
物0.600g(1.838mmol;シクロヘキサノ
ンオキシムに対し10.8mol%)、予めモレキュラシー
ブ-4Aで乾燥処理したn-テトラデカン0.10g(ガ
スクロマトグラフィ内部標準物質)およびN,N-ジメチ
ルホルムアミド4mlを添加し74℃まで加熱攪拌させ
ながら昇温した。次いでシクロヘキサノンオキシム1.
92g(16.96mmol)をN,N-ジメチルホル
ムアミド4mlに溶解した液を5分間かけて添加して転
位反応を行った。反応終了後、反応液を市販の28%-NH
3水溶液で処理して触媒を失活させた後の反応液をガス
クロマトグラフィーで分析した。その結果、ε−カプロ
ラクタムの収率は96.3%、TON値は8.8であっ
た。
【0033】[実施例8]実施例7において、p-トル
エンスルホン酸無水物の使用量を0.304g(0.9
31mmol;シクロヘキサノンオキシムに対し5.5
mol%)にして操作したこと以外は同様の方法でシクロヘ
キサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。そ
の結果、ε−カプロラクタムの収率は66.7%、TO
N値は12.2であった。
【0034】[実施例9]実施例8において、N,N-
ジメチルホルムアミドの代わりにN,N-ジエチルホル
ムアミドを用いて実施した以外は同様の方法でシクロヘ
キサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。そ
の結果、ε−カプロラクタムの収率は38.4%、TO
N値は7.0であった。
【0035】[実施例10]実施例8において、N,N
-ジメチルホルムアミドの代わりにN,N-ジメチルアセ
トアミドを用いて実施した以外は同様の方法でシクロヘ
キサノンオキシムのベックマン転位反応を実施した。そ
の結果、ε−カプロラクタムの収率は27.8%、TO
N値は5.3であった。実施例7〜10の結果を表−3
に示す。
【0036】
【表3】
【0037】[実施例11〜14]実施例8において、
p-トルエンスルホン酸無水物の代わりに表−4に記載
のスルホン酸無水物を用いて操作したこと以外は同様の
方法でシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応
を実施した。その結果を表−4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明方法によれば、オキシム化合物か
ら温和な反応条件下で高収率でアミド化合物を製造する
ことが出来るため、工業的に有利な方法である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキシム化合物を液相中でベックマン転
    位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法に
    おいて、非含フッ素スルホン酸無水物およびN,N-二
    置換アミド化合物の存在下で反応を行うことを特徴とす
    るアミド化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 非含フッ素スルホン酸無水物が、芳香族
    スルホン酸無水物及び脂肪族スルホン酸無水物から選ば
    れる非含フッ素スルホン酸無水物であることを特徴とす
    る請求項1記載のアミド化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 非含フッ素スルホン酸無水物が、置換基
    を有し得るベンゼンスルホン酸無水物及びアルキルスル
    ホン酸無水物から選ばれる非含フッ素スルホン酸無水物
    であることを特徴とする請求項2に記載のアミド化合物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 非含フッ素スルホン酸無水物が、p-ト
    ルエンスルホン酸無水物又はメタンスルホン酸無水物で
    あることを特徴とする請求項3に記載のアミド化合物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 非含フッ素スルホン酸無水物を、オキシ
    ム化合物に対して、0.2〜20モル%の範囲で使用す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のア
    ミド化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 N,N-二置換アミド化合物に対して、
    非含フッ素スルホン酸無水物を、10〜2000モル比
    の範囲で使用することを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載のアミド化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 N,N-二置換アミド化合物がN,N-ジ
    アルキルホルムアミドであることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一項記載のアミド化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 N,N-二置換アミド化合物を、オキシ
    ム化合物に対して2重量倍から100重量倍使用するこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のアミ
    ド化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】 反応溶媒として、芳香族炭化水素化合物
    から選ばれる溶媒を使用する請求項1〜8のいずれか一
    項記載のアミド化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 芳香族炭化水素化合物から選ばれる溶
    媒を、N,N-二置換アミド合物に対して0.01〜20容
    量倍使用する請求項9に記載のアミド化合物の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 オキシム化合物が環状オキシム化合物
    である請求項1〜10のいずれか一項記載のアミド化合
    物の製造方法。
  12. 【請求項12】 オキシム化合物がシクロヘキサノンオ
    キシムであり、アミド化合物がε-カプロラクタムであ
    ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載
    のアミド化合物の製造方法。
  13. 【請求項13】 反応温度が40〜150℃の範囲内の
    温度である請求項1〜12のいずれか一項記載のアミド
    化合物の製造方法。
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