JPWO2010029923A1 - 水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法 - Google Patents

水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

還元反応中に還元反応中間体の凝集が起こりにくく、−C(=O)OHを有するペルフルオロ化合物を原料に用いることができる、水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法を提供する。アルコール系溶媒中で(A−C(=O)−Q−)nRfnを水素化金属およびリチウムの無機塩の存在下で還元して(B−CH(OH)−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)mRfnを得る。ただし、Aは水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基等;Qはペルフルオロアルキレン基等;nは、1以上の整数;mは、0以上n未満の整数;Rfnはn価ペルフルオロ飽和炭化水素基等;Bは、Aに対応する基であって、Aが水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基等の場合のBは水素原子、Aが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基等の場合のBはAと同一の基。

Description

本発明は、水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法に関する。
エステル化合物を還元して水酸基を有する化合物を得る方法としては、たとえば、下記方法が提案されている。
(1)エタノール、水素化ホウ素ナトリウムおよび有機塩基(カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド等)からなる反応混合物を用いて、下式(I)の化合物を下式(II)の化合物に還元する方法(特許文献1)。
ROC(=O)−CFW−O−R−CFW−C(=O)OR ・・・(I)、
HOCH−CFW−O−R−CFW−CHOH ・・・(II)。
ただし、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、WおよびWは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Rは、ペルフルオロポリオキシアルキレン基である。
(2)テトラヒドロピラン中で、3−フェニルプロピオンメチルを水素化ホウ素ナトリウムおよび金属塩を用いて還元する方法(特許文献2)。
しかし、本発明者らが(1)の方法を試してみたところ、還元力が弱く、全ての末端が還元された化合物を収率よく得ることはできなかった。また、−C(=O)ORを3つ以上有する化合物に適用した場合、還元反応中に還元反応中間体の凝集が起こり、反応が途中で停止してしまう問題が認められた。
(2)の方法を−C(=O)ORを有するペルフルオロ基含有化合物に適用した場合、テトラヒドロピランに対するペルフルオロ基含有化合物の溶解性が低いため、不均一反応になる問題や、反応に時間を要する問題がある。また−C(=O)ORを2つ以上有するペルフルオロ基含有化合物に適用した場合には、還元反応中に還元反応中間体の凝集が起こり、反応が途中で停止してしまう問題が認められた。
特開2001−226482号公報 特開2008−001632号公報
本発明は、入手しやすいA−C(=O)−基末端を有する化合物(1)を原料として、凝集を起こすことなく還元反応を行い、収率よく目的とする化合物(2)を製造する方法を提供する。
本発明の水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法は、アルコール系溶媒中で、下式(1)で表される化合物を、水素化金属およびリチウムの無機塩の存在下で還元して、下式(2)で表される化合物を得ることを特徴とする。
(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(1)、
(B−CH(OH)−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(2)。
ただし、Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基であり、Qは、ペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基であり、nは1以上の整数であり、mは0以上n未満の整数であり、Rfnは、n価ペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するn価ペルフルオロ飽和炭化水素基であり、Bは、Aに対応する基であって、Aが水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基である場合のBは水素原子であり、Aが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基である場合のBは、Aと同一の基である。
nは1〜4の整数が好ましく、mは0〜3の整数であり、かつn>mであるのが好ましい。
nは3または4であることが好ましい。
mは0であることが好ましい。
水素化金属は、水素化ホウ素ナトリウムであることが好ましい。
式(1)で表される化合物の分子量は、800以上であることが好ましい。
アルコール系溶媒は、下式(3)で表される化合物であることが好ましい。
−OH ・・・(3)。
ただし、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。
式(1)で表される化合物が下式(11)で表される化合物であり、式(2)で表される化合物が下式(21)で表される化合物であることが好ましい。
(A−C(=O)−Q−)Y(−Z) ・・・(11)、
(B−CH(OH)−Q−)Y(−Z) ・・・(21)。
ただし、Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基であり、Qは、ペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基であり、nは、1〜4の整数であり、bは、0〜3の整数であり、Yは、(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基であり、Zは、ペルフルオロアルキル基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキル基である。
式(11)および式(21)においては、(n+b)が4であり、Yが、下記する、(Y−1)、(Y−2)、(Y−3)または(Y−4)で表わされるいずれかの基であることが好ましい。
Figure 2010029923
式(11)および式(21)においては、(n+b)が3であり、Yが下式(Y−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2010029923
水素化金属の量は、式(1)で表される化合物の化学量論量の1〜2.5倍であるのが好ましい。
リチウムの無機塩の量は、水素化金属の量に対し10〜50モル%であるのが好ましい。
アルコール系溶媒、式(1)で表される化合物およびリチウムの無機塩の混合物に対して、アルコール系溶媒および水素化金属の混合物を加えることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、入手しやすいA−C(=O)−基を有する化合物(1)を原料として、収率よく還元反応を行い、凝集を起こすことなく化合物(2)を製造できる。
本明細書におけるペルフルオロ化合物とは、ペルフルオロ基を有する化合物をいう。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
また、式(Y−1)で表される基を基(Y−1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本発明の水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法は、アルコール系溶媒中で、化合物(1)を、水素化金属およびリチウムの無機塩の存在下で還元して、化合物(2)を得る方法である。
(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(1)、
(B−CH(OH)−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(2)。
Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基である。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
フルオロアルコキシ基とは、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換したアルコキシ基を意味する。フルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ペルフルオロイソプロポキシ基等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
フルオロアルキル基とは、水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換したアルキル基を意味する。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
Aとしては、還元反応における副生物が本方法の溶媒として用いるアルコール系溶媒に含まれるアルコール系化合物となり、かつ還元反応性が良好である点から、エトキシ基またはn−プロポキシ基が好ましい。
Qは、ペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基である。ペルフルオロアルキレン基とは、水素原子のすべてがフッ素原子に置換したアルキレン基を意味する。
Qとしては、基(Q1)が好ましい。
−CFO(CFCFO)− ・・・(Q1)。
ただし、基(Q1)は、該基の右側の末端でRfnに結合する。
dは、1〜200の整数であり、3〜100の整数が好ましく、5〜50の整数がより好ましい。
nが2以上である場合、基(A)は、同一であるのが好ましい。基(Q)は、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。特に、基(Q)が基(Q1)である場合には、dの数が同一である基であっても、異なる基であってもよい。本発明においては、dで表される構造単位数が異なる基は、同一の基として考える。
nは、1以上の整数であり、1〜4の整数が好ましく、2〜4が特に好ましく、3または4がとりわけ好ましい。nが3または4である化合物における反応は、公知の反応に比して反応系中での凝集の問題を起こすことなく顕著に反応を進行させうるからである。
mは、0以上n未満の整数であり、0〜3の整数でありかつn>mであるのが好ましく、0が特に好ましい。
fnは、n価ペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するn価ペルフルオロ飽和炭化水素基である。n価ペルフルオロ飽和炭化水素基とは、水素原子のすべてがフッ素原子に置換したn価の飽和の炭化水素基を意味する。
fnとしては、式Y(−Z)で表される基、すなわち、基Yに基Zがb個結合してなるn価の基が好ましい。ここで、bは、0〜3の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0または1が特に好ましい。Rfnとしては、後述する基(Y)(すなわち、bが0である場合の式Y(−Z)で表される基。)が特に好ましい。
fnが、式Y(−Z)で表される基である場合の化合物(1)としては下記化合物(1A)であり、化合物(2)としては下記化合物(2A)である。
(A−C(=O)−Q−)Y(−Z)・・・(1A)、
(B−CH(OH)−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)Y(−Z)・・・(2A)。
ただし、Yは、(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基である。(n+b)価ペルフルオロ飽和炭化水素基とは、水素原子のすべてがフッ素原子に置換した(n+b)価の飽和の炭化水素基を意味する。
Yがエーテル性酸素原子を有する場合、エーテル性酸素原子の数は、1〜3が好ましい。エーテル性酸素原子は、炭素−炭素原子間に存在する酸素原子であることから、QまたはZに結合するYの末端にはエーテル性酸素原子は存在しない。また、Y中に2以上のエーテル性酸素原子が存在する場合には、該2つの酸素原子間には、それぞれ2以上の炭素原子が存在するのが好ましい。すなわち、Yには−OCFO−構造は存在しないのが好ましく、また、化合物中にも、−OCFO−構造は存在しないのが好ましいことから、QおよびZと結合する末端部分に−OCF−構造は存在しないのが好ましい。−OCFO−構造が存在しない化合物においては、化学的安定性が顕著に向上するため、反応を実施しやすく、生成物も安定である利点がある。
Yとしては、基(Y−1)〜基(Y−4)または基(Y−1)が好ましい。
Figure 2010029923
Zは、ペルフルオロアルキル基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキル基である。ペルフルオロアルキル基とは、水素原子のすべてがフッ素原子に置換したアルキル基を意味する。Zは、反応の前後で変化しない基である。
1分子中に複数のZが存在する場合、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
Zとしては、基(Z1)が好ましい。
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z1)。
sは、0〜19の整数であり、0〜15の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
gは、3〜200の整数であり、3〜100の整数が好ましく、3〜70の整数がより好ましく、5〜50の整数が特に好ましい。
基(Z1)が同一の基であるとは、sの数が同一であり、gの数は同一であっても異なってもよい基をいう。基(Z1)は同一の基からなるのが好ましい。
基(Z1)としては、基(Z11)、基(Z12)または基(Z13)が好ましい。
CFO(CFCFO)− ・・・(Z11)、
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z12)、
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z13)。
Bは、Aに対応する基であって、Aが脱離基である場合のBは水素原子に、Aが非脱離基である場合のBは変化しない。すなわち、Aが水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基から選ばれる脱離基である場合のBは水素原子であり、Aが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、および炭素数1〜5のフルオロアルキル基から選ばれる非脱離基である場合のBは、Aと同一の基である。
Aが脱離基である場合の化合物(1)は、下記化合物(1B)として表され、該化合物は化合物(2B)に変換される。
(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(1B)、
(HO−CH−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(2B)。
ただし、Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基を示す。他の基の定義は、前記と同じである。
また、Aが非脱離基である場合の化合物(1)は、下記化合物(1C)として表され、該化合物は化合物(2C)に変換される。
(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(1C)、
(HO−CHA−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(2C)。
ただし、Aは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数1〜5のフルオロアルキル基を示す。他の基の定義は、前記と同じである。
化合物(1)としては、化合物(11)が好ましく、化合物(D4)または化合物(D3)がより好ましい。
(A−C(=O)−Q−)Y(−Z) ・・・(11)、
{RO−C(=O)−CFO(CFCFO)−} ・・・(D4)、
{RO−C(=O)−CFO(CFCFO)−} ・・・(D3)。
ただし、Rは、アルキル基を示し、エチル基またはプロピル基が好ましい。
化合物(2)としては、化合物(11)から生成する化合物(21)が好ましく、化合物(D4)から生成する化合物(E4)、または化合物(D3)から生成する化合物(E3)がより好ましい。
(B−CH(OH)−Q−)Y(−Z) ・・・(21)、
{HO−CH−CFO(CFCFO)−} ・・・(E4)、
{HO−CH−CFO(CFCFO)−} ・・・(E3)。
化合物(1)および化合物(2)の分子量(重量平均分子量。以下、Mwと記す。)は、800超が好ましく、1000〜100000がより好ましく、1000〜10000がさらに好ましい。本発明の製造方法の反応条件は、凝集を回避できる利点を有することから、特に分子量が800以上の化合物において有利な反応である。
Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)により測定される。
化合物(1)および化合物(2)は、それぞれ2種以上の化合物からなっていてもよい。2種以上の化合物からなる場合、それぞれの化合物は、Rfnが同一であり、基(Q1)のdが異なる化合物が好ましい。基(Q1)におけるdの平均は、3〜100の正数が好ましい。基(Z1)におけるgの平均は、3〜100の正数が好ましい。
本発明の反応において、全ての基が還元された場合には化合物(2)におけるmは0となるが、一部の基が還元されずに残った場合については、複数の化合物(2)が生成しうる。たとえば、nが4である化合物(1)からは、mが0、1、2、3である4種の化合物(2)からなる生成物が得られ、nが3の化合物(1)からは、mが0、1、2である3種の化合物(2)からなる生成物が得られる。生成物として何を得たいかは、化合物(2)の用途にもよる。さらに、化合物(2)の還元率(還元率とは、反応に用いた化合物(1)の基(A−C(=O)−Q−)の総モル量に対して、生成した化合物(2)中の基(B−CH(OH)−Q−)の総モル量の割合をいう。)は、98モル%以上が好ましく、特に99モル%以上が好ましい。化合物(2)を磁気ディスク用の潤滑剤として用いたい場合には、mが0である化合物(2)を収率よく得るのが好ましく、還元率が高い反応として実施できる本発明方法がきわめて有利な方法である。
化合物(1)および化合物(2)は、化学的安定性の点から、−OCFO−構造を有さないことが好ましい。−OCFO−構造を有さない化合物とは、通常の分析手法(19F−NMR等。)では該構造の存在が検出できない化合物を意味する。
水素化金属としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)等が挙げられ、取り扱いやすく、工業的なスケールアップが容易な点から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
水素化金属の量は、化学量論量の1〜2.5倍が好ましく、化学量論量の1.5〜2.0倍がより好ましい。水素化金属の量が化学量論量の1倍以上であれば、化合物(1)の還元反応が充分に進行する。水素化金属の量が化学量論量の2.5倍以下であれば、アルコール系溶媒の還元が抑えられる。化学量論量とは、反応系に存在するA−C(=O)−Q−を化学量論的に還元するのに必要な水素化金属の量である。
本発明の製造方法においては、水素化金属とともに、リチウムの無機塩を併用する。リチウムの無機塩を併用することによる作用効果は、以下の理由によるものと考えられる。
(i)化合物(1)の重量平均分子量が800超の場合、末端に金属が結合した還元反応中間体の溶媒への相溶性が低下する。そのため、還元反応中に還元反応中間体の凝集が起こり、反応が途中で停止する問題がある。本発明において、リチウムの無機塩を併用すると、還元反応中間体の末端の帯電が解消され、還元反応中の還元反応中間体の溶解または懸濁状態を維持できる。その結果、凝集、沈殿によって化合物(1)が水素化金属から隔離されることを回避でき、容易に還元反応を完遂できると考えられる。
(ii)水素化金属のみを用いて還元反応を実施する場合には、基(A−C(=O)−Q−)が残る問題がある。また、Aが加水分解性の脱離基である場合には基(HO−C(=O)−Q−)になった化合物もまた生成する問題がある。水素化金属とリチウムの無機塩を共存させて反応させる本発明においては、反応系中で水素化ホウ素ナトリウムが水素化ホウ素リチウムに変換されていると考えられる。水素化ホウ素リチウムの還元力は高いため、収率よく化合物(2)を得ることができると考えられる。
リチウムの無機塩としては、反応後の除去のしやすさの点から、ハロゲン化リチウムが好ましく、塩化リチウム(LiCl)または臭化リチウム(LiBr)がより好ましい。
リチウムの無機塩の量は、水素化金属の量に対して、0.1〜100モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。リチウムの無機塩の量が0.1モル%以上であれば、水素化ホウ素ナトリウムが反応系内で水素化ホウ素リチウムを生じ、水素化ホウ素ナトリウムのみでは還元力の不足する基(たとえば、カルボン酸基。)の還元反応を進行させることができる。リチウムの無機塩の量が100モル%以下であれば、反応終了後、水洗操作によって容易に抽出除去できる。
本発明の製造方法においては、溶媒としてアルコール系溶媒を用いる。アルコール系溶媒は、原料である化合物(1)、リチウムの無機塩ならびに水素化金属、生成物である化合物(2)、および還元反応中間体の溶解性に優れ、かつ水素化金属による還元を受けにくい利点を有する。
アルコール系溶媒の使用量は、化合物(1)の質量1kgに対して、0.5〜5L(リットル)が好ましく、より好ましくは1〜2Lである。
一方、化合物(1)および化合物(2)を溶解しうる他の溶媒の候補としては、フッ素系溶媒、塩素系溶媒等も挙げられるが、フッ素系溶媒に対する水素化金属の溶解性が低いため、大量の溶媒を必要とする。他の溶媒の多くは、水素化金属の作用を受け、たとえば塩素系溶媒は、脱塩素化反応を起こす欠点もある。さらにこれらの反応を防止するために反応温度を下げると、還元反応が進まない反応温度に設定する必要があり、実用的ではない。
アルコール系溶媒としては、下記化合物(3)が好ましい。さらに、水素化金属、リチウムの無機塩および、化合物(1)の溶解性の点から、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはイソブタノールが好ましく、さらに水素化金属の安定性の点から、エタノールが特に好ましい。
−OH ・・・(3)。
ただし、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。
さらに、還元剤の活性を高く保つために反応系中の水分量はできるだけ低く保つのが好ましいことから、脱水されたアルコール系溶媒を用いるのが好ましい。アルコール系溶剤中の水分量は、50ppm以下とするのが好ましい。さらに、反応系全体中の水分量は、1000ppm以下とするのが好ましい。
本発明の製造方法においては、水素化金属の安定性を保つために、アルコール系溶媒、化合物(1)およびリチウムの無機塩の混合物に、水素化金属を加えることが好ましく、アルコール系溶媒、式(1)で表される化合物およびリチウムの無機塩の混合物に、アルコール系溶媒および水素化金属の混合物を加えることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、反応で副生する水素ガスの安全な取り扱いの点から、不活性ガス雰囲気下で、化合物(1)を還元することが好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
化合物(1)を還元する際の温度(以下、反応温度と記す。)は、0℃以上、アルコール系溶媒の沸点以下が好ましく、0〜30℃がより好ましく、0〜15℃がさらに好ましい。反応温度が0℃以上であれば、還元反応が充分に進行する。反応温度がアルコール系溶媒の沸点以下であれば、化合物(1)が還元反応を受け、アルコール系溶媒が還元されにくい。
反応時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.1〜5時間がより好ましい。
還元反応が終了した後は、化合物(2)を希塩酸で洗浄することが好ましい。
化合物(2)は、磁気ディスク(ハードディスク等。)用潤滑剤、表面改質剤(基材の屈折率を制御する表面改質剤、基材の耐薬品性を改善する表面改質剤等。)、電線被覆材、撥インク剤(たとえば、塗装用撥インク剤、印刷機器(インクジェット等。)用撥インク剤等。)、半導体素子用接着剤(たとえば、リードオンチップテープ用接着剤等。)、半導体用保護コート(たとえば、防湿コート剤、半田用這い上がり防止剤等。)、光学分野に用いる薄膜(たとえば、ペリクル膜等。)への添加剤、ディスプレイ用反射防止膜の潤滑剤、レジスト用反射防止膜、界面活性剤(たとえば、塗料の表面張力を低下させる添加剤、塗料のレベリング剤、研磨液のレベリング剤等。)等として有用である。
磁気ディスク用潤滑剤として用いる場合、化合物(2)におけるmは0が好ましい。他の用途では、mを1以上としてもよい。さらに化合物(2)中のA−C(=O)−の反応性を利用して化学変換を行うことにより、他の官能基を導入してもよい。
以下に本発明を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。実施例において、
テトラメチルシランをTMS、
CClFCClFをR−113、
ジクロロペンタフルオロプロパンをR−225、
CClFCClFCFOCFCClFをCFE−419、
ヘキサフルオロイソプロピルアルコールをHFIPと略記する。
(GPC分析)
特開2001−208736号公報に記載の方法にしたがって、下記の条件にてGPCにより数平均分子量(以下、Mnと記す。)およびMwを測定し、Mw/Mnを求めた。
移動相:R−225(旭硝子社製、アサヒクリンAK−225SECグレード1)とHFIPとの混合溶媒(R−255/HFIP=99/1体積比)、
分析カラム:PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結したもの、
分子量測定用標準試料:Mw/Mnが1.1未満であり、分子量が2000〜10000のペルフルオロポリエーテルの4種およびMw/Mnが1.1以上であり、分子量が1300のペルフルオロポリエーテルの1種、
移動相流速:1.0mL/分、
カラム温度:37℃、
検出器:蒸発光散乱検出器。
(NMR分析)
H−NMR(300.4MHz)の基準物質としては、TMSを用いた。
19F−NMR(282.7MHz)の基準物質としては、CFClを用いた。
溶媒としては、特に記載しない限り、R−113を用いた。
(生成物の組成比)
生成物に含まれる各化合物の組成比は、NMR分析および赤外吸収スペクトル分析により行った。すなわち、19F−NMR分析では、−CHOHおよび−C(=O)OCHCHの存在は、該基に隣接するCF基に由来する−80.1ppm、−77.5ppmのピークの存在比で定量できる。また、−C(=O)OCHCHの存在は、H−NMR分析における8.00ppmのピーク、および赤外吸収スペクトル分析における1700ppmのカルボニル基に由来する吸収ピークの有無を確認することで測定できる。
〔例1〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例11に記載の方法において、ポリオキシエチレングリセロールエーテル種を変更した以外は、同様に反応を実施した。すなわち、市販のポリオキシエチレングリセロールエーテル(坂本薬品工業社製、SC−C1500)に、FCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFFを反応させ、室温で液体の化合物(A4−1)を得た。分析の結果、化合物(A4−1)の(d1+d2+d3+d4)の平均値は27.5であり、Rは−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFであり、Mnは2900であり、Mw/Mnは1.14であった。
Figure 2010029923
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.4〜3.8,4.5。
19F−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):−76.0〜−81.0,−81.0〜−82.0,−82.0〜−82.5,−82.5〜−85.0,−128.0〜−129.2,−131.1,−144.7。
〔例2〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例2−1に記載の方法において、溶媒R−113をCFE−419に変更した以外は、同様に化合物(A4−1)のフッ素化反応を行い、化合物(B4−1)を得た。化合物(B4−1)は、化合物(A4−1)中の水素原子の99.9モル%以上がフッ素原子に置換された化合物であった。
Figure 2010029923
H−NMR δ(ppm):5.9〜6.4。
19F−NMR δ(ppm):−55.8,−77.5〜−86.0,−88.2〜−92.0,−120.0〜−139.0,−142.0〜−146.0。
〔例3〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例3に記載の方法にしたがって、化合物(B4−1)においてエステル分解反応を行い、化合物(C4−1)を得た。
Figure 2010029923
〔例4〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例4に記載の方法にしたがって、化合物(C4−1)とエタノールを反応させることによるエステル化反応を行い、化合物(D4−1)を得た。
Figure 2010029923
H−NMR δ(ppm):1.24,3.68。
19F−NMR δ(ppm):−54.0,−77.5,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
〔例5〕
5℃に冷却されたコンデンサーおよび撹拌機を備え、送液ポンプからの配管を連結した5Lのフラスコの内部を、あらかじめ窒素で置換した。室温においてフラスコに市販の塩化リチウムの12.5gを投入し、脱水エタノールの1Lを投入した。1時間撹拌を行って完全に塩化リチウムを溶解し、例4で得た化合物(D4−1)の500gを投入した。
その後、撹拌を維持しながら、フラスコを氷冷で5℃まで冷却した。同時に送液ポンプおよびその貯液タンクを冷却槽内に設置し、水素化ホウ素ナトリウムの40gを脱水エタノールの1Lで希釈した溶液を貯液タンクに投入した。その後、2.5時間かけ、同溶液の全量をフラスコに滴下した。滴下の間、フラスコを5℃に維持し、貯液タンクを窒素ガスでシールした。その後、2時間かけて室温まで加熱し、12時間撹拌を継続した。この間、反応粗液における凝集物の生成は確認できなかった。
ついで、0.02N塩酸水溶液の1L、R−225の0.5Lおよびスターラーチップを投入した5Lのナスフラスコに、反応粗液をゆっくりと投入した。スターラーを用いて0.5時間撹拌した後、有機層を分取した。有機層を0.02N塩酸水溶液の1Lにて洗浄した後、分取した有機層を飽和重曹水の1Lで水洗した。回収した有機層をエバポレーターにて濃縮し、室温で無色透明の粘調液体の465gを得た。分析の結果、生成物は、化合物(D4−1)のエチルエステル基の99.9モル%が還元された化合物(E4−1)であり、未反応のエチルエステル基を有する化合物(E’4−1a)および化合物(E’4−1b)(以下、化合物(E’4−1a)および化合物(E’4−1b)をまとめて化合物(E’4−1)と記す。)、−C(=O)OHを有する化合物(E”4−1a)および化合物(E”4−1b)(以下、化合物(E”4−1a)および化合物(E”4−1b)をまとめて化合物(E”4−1)と記す。)は確認できなかった。生成物のNMRスペクトルのパターンを下記に示す。また、生成物に含まれる各化合物の組成比を表1に示す。
Figure 2010029923
H−NMR δ(ppm):3.94。
19F−NMR δ(ppm):−54.0,−80.1,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
〔例6〕
〔例6−1(比較例)〕
溶媒をエタノールに変更する以外は、国際公開第2005/068534号の実施例の例5に記載の方法にしたがって、化合物(E4−1)の製造を実施した。
5℃に冷却されたコンデンサーおよび撹拌機を備え、送液ポンプからの配管を連結した5Lのフラスコを、あらかじめ窒素で置換した。室温において同ナスフラスコに市販の脱水エタノールの1Lおよび水素化ホウ素ナトリウムの40gを投入し、1時間撹拌を行った。その後、撹拌を維持しながら、フラスコを氷冷で5℃まで冷却した。同時に送液ポンプおよびその貯液タンクを冷却槽内に設置し、例4で得た化合物(D4−1)の500gを貯液タンクに投入した。その後、2.5時間かけ同化合物の全量をフラスコに滴下した。その後、2時間かけて室温まで加熱し、12時間撹拌を継続した。化合物(D4−1)の滴下開始直後より白色の凝集物が多数生じていることが観測され、滴下終了後、それらは徐々に合一してフラスコ底部に沈殿した。12時間の撹拌終了後も分離状態に変化は見られなかった。
これ以降の操作は例5と同様に実施し、室温で黄色透明の粘調液体の445gを得た。分析の結果、生成物は、化合物(D4−1)のエチルエステル基の92モル%が還元されたものであり、化合物(E4−1)を主に含み、化合物(E’4−1)および化合物(E”4−1)を含むことが確認された。生成物のNMRスペクトルのパターンを下記に示す。また、生成物に含まれる各化合物の組成比を表1に示す。
H−NMR δ(ppm):1.24,3.68,3.94,8.00。
19F−NMR δ(ppm):−54.0,−77.5,−80.1,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
Figure 2010029923
〔例6−2(比較例)〕
特開2001−226482号公報の実施例2に記載の方法にしたがって、化合物(E4−1)の製造を実施した。
すなわち、5℃に冷却されたコンデンサーおよび撹拌機を備え、あらかじめ窒素で置換した5Lの反応器に、脱水エタノールの1L、カリウムtert−ブチラートの7.5g、および水素化ホウ素ナトリウムの40gを反応器に入れ、1時間撹拌を行った。その後、撹拌を維持しながら、フラスコを氷冷で5℃まで冷却した。その後、反応器に設置した滴下ロートより、例4で得た化合物(D4−1)の500gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて室温まで加熱し、12時間撹拌を継続した。化合物(D4−1)の滴下開始直後より白色の凝集物が多数生じていることが観測された。さらに滴下終了後、それらの大部分は壁面に付着し、12時間の撹拌終了後も分離状態に変化は見られなかった。
これ以降の操作は例5と同様に実施し、室温で黄色透明の粘調液体の430gを得た。分析の結果、生成物は、化合物(D4−1)のエチルエステル基の91モル%が還元されたものであり、化合物(E4−1)を主に含み、化合物(E’4−1)および化合物(E”4−1)を含むことが確認された。生成物のNMRスペクトルのパターンを下記に示す。また、生成物に含まれる各化合物の組成比を表1に示す。
H−NMR δ(ppm):1.24,3.68,3.94,8.00。
19F−NMR δ(ppm):−54.0,−77.5,−80.1,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
〔例7〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例11に記載の方法と同様に反応を実施した。すなわち、市販のポリオキシエチレングリセロールエーテル(日本油脂社製、ユニオックスG1200)に、FCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFFを反応させ、室温で液体の化合物(A3−1)を得た。分析の結果、化合物(A3−1)の(d1+d2+d3)の平均値は20.5であった。
Figure 2010029923
〔例8〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例2−1に記載の方法において、溶媒R−113をCFE−419に変更した以外は、同様に化合物(A3−1)のフッ素化反応を行い、化合物(B3−1)を得た。化合物(B3−1)は、化合物(A3−1)中の水素原子の99.9モル%以上がフッ素原子に置換された化合物であった。
Figure 2010029923
〔例9〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例3に記載の方法にしたがって、化合物(B3−1)においてエステル分解反応を行い、化合物(C3−1)を得た。
Figure 2010029923
〔例10〕
国際公開第2005/068534号の実施例の例4に記載の方法にしたがって、化合物(C3−1)とエタノールを反応させることによるエステル化反応を行い、化合物(D3−1)を得た。
Figure 2010029923
〔例11〕
化合物(D4−1)の500gを、例10で得た化合物(D3−1)の500gに変更した以外は、例5と同様に反応を実施し、室温で無色透明の粘調液体の455gを得た。分析の結果、生成物は、化合物(D3−1)のエチルエステル基の99.9モル%が還元された化合物(E3−1)であり、未反応のエチルエステル基を有する化合物(E’3−1a)および化合物(E’3−1b)(以下、化合物(E’3−1a)および化合物(E’3−1b)をまとめて化合物(E’3−1)と記す。)、−C(=O)OHを有する化合物(E”3−1a)および化合物(E”3−1b)(以下、化合物(E”3−1a)および化合物(E”3−1b)をまとめて化合物(E”3−1)と記す。)は確認できなかった。また、還元反応の間、反応粗液に凝集物が生成することはなかった。生成物に含まれる各化合物の組成比を表2に示す。
Figure 2010029923
〔例12〕
〔例12−1(比較例)〕
化合物(D4−1)の500gを、例10で得た化合物(D3−1)の500gに変更した以外は、例6−1と同様に反応を実施し、室温で黄色透明の粘調液体の423gを得た。化合物(D3−1)の滴下開始直後より白色の凝集物が多数生じていることが観測され、滴下終了後、それらは徐々に合一してフラスコ底部に沈殿した。反応終了から6時間後、沈殿物は非常に粘調な1つの塊となり、撹拌機を回転できなくなった。
分析の結果、生成物は、化合物(D3−1)のエチルエステル基の92.1モル%が還元されたものであり、化合物(E3−1)を主に含み、化合物(E’3−1)および化合物(E”3−1)を含むことが確認された。生成物に含まれる各化合物の組成比を表2に示す。
〔例12−2(比較例)〕
化合物(D4−1)の500gを、例10で得た化合物(D3−1)の500gに変更した以外は、例6−2と同様に反応を実施し、室温で黄色透明の粘調液体の410gを得た。化合物(D3−1)の滴下開始直後より白色の凝集物が多数生じていることが観測され、滴下終了後、それらの大部分は壁面に付着し、反応終了から12時間後も変化は見られなかった。
分析の結果、生成物は、化合物(D3−1)のエチルエステル基の90.0モル%が還元されたものであり、化合物(E3−1)を主に含み、化合物(E’3−1)および化合物(E”3−1)を含むことが確認された。生成物に含まれる各化合物の組成比を表2に示す。
Figure 2010029923
本発明の製造方法で得られた水酸基を有するペルフルオロ化合物は、磁気ディスク用潤滑剤として有用である。

なお、2008年9月9日に出願された日本特許出願2008−230708号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. アルコール系溶媒中で、下式(1)で表される化合物を、水素化金属およびリチウムの無機塩の存在下で還元して、下式(2)で表される化合物を得る、水酸基を有するペルフルオロ化合物の製造方法。
    (A−C(=O)−Q−)fn ・・・(1)、
    (B−CH(OH)−Q−)n−m(A−C(=O)−Q−)fn ・・・(2)。
    ただし、
    Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基であり、
    Qは、ペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基であり、
    nは、1以上の整数であり、
    mは、0以上n未満の整数であり、
    fnは、n価ペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するn価ペルフルオロ飽和炭化水素基であり、
    Bは、Aに対応する基であって、Aが水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基である場合のBは水素原子であり、Aが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基である場合のBは、Aと同一の基である。
  2. nは1〜4の整数であり、mは0〜3の整数であり、かつn>mである請求項1に記載の製造方法。
  3. nが3または4であり、mが0である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 水素化金属が、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 式(1)で表される化合物の分子量が800以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. アルコール系溶媒が、下式(3)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
    −OH ・・・(3)。
    ただし、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。
  7. 式(1)で表される化合物が下式(11)で表される化合物であり、式(2)で表される化合物が下式(21)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
    (A−C(=O)−Q−)Y(−Z) ・・・(11)、
    (B−CH(OH)−Q−)Y(−Z) ・・・(21)。
    ただし、
    Aは、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフルオロアルキル基であり、
    Qは、ペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基であり、
    nは、1〜4の整数であり、
    bは、0〜3の整数であり、
    Yは、(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する(n+b)価のペルフルオロ飽和炭化水素基であり、
    Zは、ペルフルオロアルキル基、または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキル基である。
  8. (n+b)が4であり、Yが、下記する、(Y−1)、(Y−2)、(Y−3)または(Y−4)で表わされるいずれかの基である、請求項7に記載の製造方法。
    Figure 2010029923
  9. (n+b)が3であり、Yが式(Y−1)で表される基である、請求項7に記載の製造方法。
    Figure 2010029923
  10. 水素化金属の量が、式(1)で表される化合物の化学量論量の1〜2.5倍である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. リチウムの無機塩の量が、水素化金属の量に対して、10〜50モル%である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. アルコール系溶媒、式(1)で表される化合物およびリチウムの無機塩の混合物に対して、アルコール系溶媒および水素化金属の混合物を加える、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
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