JPWO2009133807A1 - リチウム二次電池負極用炭素材、その製造方法、リチウム二次電池負極およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
リチウム二次電池負極用炭素材の充放電サイクル特性を向上させる。本発明によるリチウム二次電池負極用炭素材は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、該粒子を包囲する樹脂炭素材と、該粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブからなる網状構造体とを含んでなる。
Description
本発明は、リチウム二次電池負極用炭素材、その製造方法、リチウム二次電池負極およびリチウム二次電池に関する。
電子機器類のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、リチウム二次電池の小型軽量化、或いは高エネルギー密度化が、より一層求められている。リチウム二次電池を高密度化するため、その負極材料として、リチウムと合金化するスズ、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウムまたはこれらの酸化物もしくは合金を採用することが知られている。しかしながら、上述のような負極材料は、リチウムイオンを吸蔵する充電時に体積膨張し、反対にリチウムイオンを放出する放電時には体積収縮する。このため充放電サイクルの繰り返しに応じて負極材料の体積が変化し、その結果負極材料が微粉化して負極が崩壊してしまうことが知られている。
充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用負極材料として、リチウム合金を形成しうる金属または半金属を含む活物質核の表面に触媒を添着させ、次いで化学蒸着処理をすることにより、該活物質核の表面に複数の炭素繊維をその一端で結合させた負極材料が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の負極材料によると、無数の炭素繊維の交絡によって活物質核間の導電性が確保されるため、充放電サイクルによる負極材料の体積膨張・収縮が導電性に与える悪影響はほとんど無い。特許文献1に記載の炭素繊維は、化学蒸着法で形成されるものであって、炭素前駆体の炭化処理で形成されるものとは区別される。
また、特許文献1に記載されている負極を長寿命化する技術として、集電体および、少なくともリチウムイオンの吸蔵放出が可能な含ケイ素粒子と、該含ケイ素粒子の表面に付着されたカーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの成長を促進する触媒元素とからなる複合負極活物質を含み、さらに第1結着剤を該含ケイ素粒子と該集電体に結着させ、第2結着剤を該カーボンナノファイバー同士に結着させた非水電解質二次電池用負極が知られている(特許文献2)。特許文献2に記載の負極によると、高容量でかつサイクル特性に優れた非水電解質二次電池が提供される。特許文献2に記載のカーボンナノファイバーは、気相成長法で形成されるものであって、炭素前駆体の炭化処理で形成されるものとは区別される。
リチウム二次電池の負極材として、黒鉛構造を有する炭素粒子の表面の少なくとも一部にSiおよび/またはSi化合物を含む炭素質材料が付着した炭素粒子および繊維状炭素を含み、該炭素質材料が重合体を含む組成物を熱処理して得られるものである炭素材料が知られている(特許文献3)。特許文献3に記載の繊維状炭素が具備された炭素材料によると、充放電を繰り返しても粒子同士の接触が十分に保たれ、二次電池のサイクル特性が向上する。特許文献3に記載の繊維状炭素は、気相成長法で形成されるものであって、炭素前駆体の炭化処理で形成されるものとは区別される。
特許文献1〜3に記載のリチウム二次電池用負極は、いずれもカーボンナノファイバーを含めることによって、充放電サイクルによる負極活物質の体積膨張・収縮に起因する導電性低下をある程度抑えている。しかしながら、特許文献1、2に記載の発明では、充放電サイクルによる負極活物質の微粉化に起因する負極崩壊を防止することができない。また特許文献3に記載の発明では、充放電サイクルによる負極活物質の体積膨張・収縮によって負極活物質と繊維状炭素の間の密着性が低下し、その結果導電性が低下する。このように、特許文献1〜3に記載のリチウム二次電池用負極は充放電サイクル特性が十分であるとはいえない。したがって、本発明は、リチウム二次電池負極用炭素材の充放電サイクル特性を一層向上させることを目的とする。
上述の目的は、下記(1)〜(8)を構成とする本発明によって達成される。
(1)リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、
該粒子を包囲する樹脂炭素材と、
該粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブからなる網状構造体と
を含んでなる、リチウム二次電池負極用炭素材。
該粒子を包囲する樹脂炭素材と、
該粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブからなる網状構造体と
を含んでなる、リチウム二次電池負極用炭素材。
(2)該樹脂炭素材および該網状構造体が、触媒を含有する炭素前駆体の炭化処理により生成したものである、上記(1)に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
(3)該触媒が、銅、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンおよびマンガンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む、上記(2)に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
(4)該炭素前駆体が、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアクリロニトリルからなる群より選択された易黒鉛化材料および/または難黒鉛化材料を含む、上記(2)または(3)に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
(5)該金属もしくは半金属が、ケイ素、スズ、ゲルマニウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
(6)リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合することにより、該粒子の表面に該触媒が付着し、かつ、該粒子が該炭素前駆体に分散された混合物を形成し、次いで該混合物に炭化処理を施すことを特徴とする、リチウム二次電池負極用炭素材の製造方法。
(7)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池負極用炭素材を含むリチウム二次電池負極。
(8)上記(7)に記載のリチウム二次電池負極を含むリチウム二次電池。
本発明によると、充放電サイクルによる負極用炭素材の微粉化が抑制されると共に、カーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブとの密着性が維持されることにより該炭素材の導電性の低下が抑えられるため、これまでにない優れた充放電サイクル特性を示すリチウム二次電池負極用炭素材が提供される。また、本発明よるリチウム二次電池負極用炭素材は、樹脂炭素材とカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブとが同一の炭素前駆体から炭化処理時に一緒に形成されるため、別途カーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブを気相法で用意する必要がなく、製造プロセスが簡便である。
以下、本発明によるリチウム二次電池負極用炭素材、その製造方法、リチウム二次電池負極およびリチウム二次電池について詳細に説明する。
本発明によるリチウム二次電池負極用炭素材は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、該粒子を包囲する樹脂炭素材と、該粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブ(以下、「カーボンナノファイバー等」という。)からなる網状構造体とを含んでなる。このカーボンナノファイバー等からなる網状構造体は、該粒子の表面を起点に炭素前駆体の炭化処理により形成される。
特定の理論に束縛されるものではないが、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバー等からなる網状構造体は、隣接する別の粒子に起因する網状構造体と交絡しているものと考えられる。このため、カーボンナノファイバー等と粒子の間の密着性が高くなり、充放電による粒子体積の膨張収縮に際してカーボンナノファイバー等が粒子から離れにくくなる。また、隣接する複数の粒子の網状構造体同士が交絡することで全体として伸縮性のある網状構造体が形成されるため、充放電による粒子体積の膨張収縮に際して負極全体の導電性が維持される。このような本発明特有の網状構造体は、従来技術のように別途気相法で形成されたカーボンナノファイバー等を添加しただけでは、形成されない。
リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素の例として、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、熱焼成炭素、木炭等を挙げることができる。また、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な金属または半金属の例として、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)等を挙げることができる。さらに、これら金属または半金属の合金、酸化物、窒化物または炭化物の例として、一酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、酸化スズ(SnO)、窒化スズ(SnN)、炭化スズ(SnC)、一酸化ゲルマニウム(GeO)、窒化ゲルマニウム(Ge3N4)、炭化ゲルマニウム(GeC)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化アルミニウム(Al4C3)、アルミニウムリチウム合金(Al−Li系)、チタンシリコン合金(Ti−Si系)等を挙げることができる。これら金属または半金属の中では、エネルギー密度が高い点でSiおよびSnが好ましく、またそれらの酸化物は、対応するSi単体およびSn単体より充電時の膨張率が小さいためより好ましい。
リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属の粒子は、その形状に特に制限はなく、塊状、鱗片状、球状、繊維状等の任意の粒子形状を有することができる。また、これら粒子の大きさは、表面積が大きくなると充放電反応に伴う副反応の影響で充放電効率が著しく低下するため、レーザー回折式粒度分布測定法による中心粒径D50として下限値を0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上とすることが好ましい。反対に、粒度が大きくなると、粒子間の間隙が大きくなって粒子充填密度が低下する、負極の厚さが過大となる、集電体との密着性が低下する等の理由から、上記中心粒径D50として上限値を100μm以下、好ましくは50μm以下とすることが好ましい。粒度分布の調整は、公知の粉砕方法、分級方法を採用すればよい。粉砕装置の例としては、ハンマーミル、ジョークラッシャー、衝突式粉砕器等が挙げられる。また、分級方法の例としては、気流分級、篩による分級が可能であり、特に気流分級装置の例として、ターボクラシファイヤー、ターボプレックス等が挙げられる。
このような本発明特有の網状構造体は、上述したリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合することにより、該粒子の表面に該触媒が付着し、かつ、該粒子が該炭素前駆体に分散された混合物を形成し、次いで該混合物に炭化処理を施すことにより形成することができる。
炭素前駆体の例としては、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアクリロニトリルからなる群より選択された易黒鉛化材料または難黒鉛化材料を挙げることができる。易黒鉛化材料と難黒鉛化材料の混合物を使用してもよい。また、フェノール樹脂等に硬化剤(例、ヘキサメチレンテトラミン)を含めてもよく、その場合、硬化剤も炭素前駆体の一部となり得る。
触媒の例としては、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)およびマンガン(Mn)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含むものが挙げられる。触媒元素は、炭素前駆体に不純物として含まれるものであってもよく、その場合、意図的に別途触媒を用意して混合する必要のない場合もある。これらの触媒元素は、上記粒子の表面に付着させるため、溶液として粒子と混合することが好ましい。このような溶液を提供するため、触媒元素は金属塩化合物として用意することが好ましく、そのような金属塩化合物の例としては、硝酸銅、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸モリブデン、硝酸マンガン等が挙げられる。また、このような溶液に用いる溶媒としては、水、有機溶媒および水と有機溶媒の混合物の中から適宜選択すればよく、特に有機溶媒の例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記の粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合して得られた混合物を炭化処理することにより、炭素前駆体が樹脂炭素材に転化すると共に、粒子の表面に付着した触媒を起点にカーボンナノファイバー等が成長し、隣接する別の粒子から成長してきたカーボンナノファイバー等とも交絡した網状構造体が形成される。上記の粒子は、炭化処理後の炭素材中、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜80質量%を占めるように配合すればよい。炭素前駆体は、炭化処理後の樹脂炭素材が炭素材中、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%を占めるように配合すればよい。なお、炭素前駆体の配合量を決める際には、樹脂炭素材への転化率に影響を与える因子、例えば、炭素前駆体の種類、後述の炭化処理条件等を考慮に入れるべきである。触媒は、上記の粒子に対して、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の量で配合すればよい。溶媒を使用する場合、上記混合物の好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下の量で配合すればよい。
粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合する方法に特に制限はなく、ホモディスパー、ホモジナイザー等の撹拌機による溶融または溶液混合;遠心粉砕機、自由ミル、ジェットミル等の粉砕機による粉砕混合;乳鉢、乳棒による混練混合;等を採用することができる。粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合する順序にも特に制限はないが、溶媒(使用する場合)に、炭素前駆体、(予め触媒を担持させた)粒子の順に添加すればよい。また、炭化処理に際して粉砕処理を施す場合、自由ミル、ジェットミル、振動ミル、ボールミル等の通常の粉砕機を使用すればよい。
炭化処理のための加熱温度は、好ましくは600〜1400℃、より好ましくは800〜1300℃の範囲内で適宜設定すればよい。上記加熱温度に至るまでの昇温速度に特に制限はなく、好ましくは0.5〜600℃/時、より好ましくは20〜300℃/時の範囲内で適宜設定すればよい。上記加熱温度での保持時間は、好ましくは48時間以内、より好ましくは1〜12時間の範囲内で適宜設定すればよい。また、炭化処理は、アルゴン、窒素、二酸化炭素、水素等の還元雰囲気において実施すればよい。
このように、本発明よるリチウム二次電池負極用炭素材は、樹脂炭素材とカーボンナノファイバー等とが同一の炭素前駆体から炭化処理時に一緒に形成されるため、別途カーボンナノファイバー等を気相法で用意する必要がなく、製造プロセスが簡便である。
上述のようにして得られた炭素材を負極活物質として用いることにより、本発明によるリチウム二次電池負極を作製することができる。本発明によるリチウム二次電池負極は、従来公知の方法で作製することができる。例えば、負極活物質としての本発明による炭素材に、バインダー、導電剤等を加えて適当な溶媒または分散媒で所定粘度としたスラリーを調製し、これを金属箔等の集電体に塗工し、厚さ数μm〜数百μmのコーティングを形成させる。そのコーティングを50〜200℃程度で熱処理することにより溶媒または分散媒を除去することにより、本発明による負極を得ることができる。
本発明による負極の作製に用いられるバインダーは、従来公知の材料であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を使用することができる。また、本発明による負極の作製に用いられる導電剤は、導電補助材として通常使用されている材料であればよく、例として、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチャンブラック等が挙げられる。さらに、本発明による負極の作製に用いられる溶媒または分散媒は、負極活物質、バインダー、導電剤等を均一に混合できる材料であればよく、例として、N‐メチル‐2‐ピロリドン、メタノール、アセトアニリド等が挙げられる。
さらに、本発明によるリチウム二次電池負極を用いることにより、本発明によるリチウム二次電池を作製することができる。本発明によるリチウム二次電池は、従来公知の方法で作製することができ、一般に、本発明による負極と、正極と、電解質とを含み、さらにこれらの負極と正極が短絡しないようにするセパレータを含む。電解質がポリマーと複合化された固体電解質であってセパレータの機能を併せ持つものである場合には、独立したセパレータは不要である。
本発明によるリチウム二次電池の作製に用いられる正極は、従来公知の方法で作製することができる。例えば、正極活物質に、バインダー、導電剤等を加えて適当な溶媒または分散媒で所定粘度としたスラリーを調製し、これを金属箔等の集電体に塗工し、厚さ数μm〜数百μmのコーティングを形成させ、そのコーティングを50〜200℃程度で熱処理することにより溶媒または分散媒を除去すればよい。正極活物質は、従来公知の材料であればよく、例えば、LiCoO2等のコバルト複合酸化物、LiMn2O4等のマンガン複合酸化物、LiNiO2等のニッケル複合酸化物、これら酸化物の混合物、LiNiO2のニッケルの一部をコバルトやマンガンに置換したもの、LiFeVO4、LiFePO4等の鉄複合酸化物、等を使用することができる。
本発明によるリチウム二次電池の作製に用いられる電解質としては、従来公知の電解質を使用すればよく、リチウム塩を必須成分として、常温溶融塩、ポリマー、難燃性電解質溶解剤、可塑剤その他の添加剤を含むものを用いることができる。このような電解質は、従来公知の方法で調製することができ、例えば、上記可塑剤または上記常温溶融塩にリチウム塩を溶解させることにより調製することができる。また、ポリマーを含める場合、アルコール、アセトニトリル等の有機溶媒に上記成分を溶かした溶液を調製し、その後その有機溶媒を加熱等により除去することによって電解質を調製することもできる。リチウム二次電池の充放電特性を高めるため、常温溶融塩を含む電解質を用いることが好ましく、さらに常温溶融塩のアニオン成分がフルオロスルホニル基を有するものを用いることがより好ましい。
上記リチウム塩の例としては、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiBF4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2およびLiC(CF3SO2)3、特開2004−307481号公報に記載のリチウム塩のようにLiイオンをカチオン成分として含有する常温溶融塩等が挙げられる。上記リチウム塩は、単独で用いても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記リチウム塩は、電解質全体に対して、一般に0.1質量%〜89.9質量%、好ましくは1.0質量%〜79.0質量%の含有量で用いられる。電解質のリチウム塩以外の成分は、リチウム塩の含有量が上記範囲内にあることを条件に、適当な量で添加することができる。
常温溶融塩は、カチオン成分とアニオン成分から構成されており、カチオン成分としては、窒素、硫黄、リン、酸素、セレン、スズ、ヨウ素、アンチモン等の孤立電子対を有する元素を含む化合物に、陽イオン型の原子団が配位して生じる少なくとも一つの基を有するカチオンが挙げられる。常温溶融塩のアニオン成分としては、アルコラート、フェノラート等の水酸基含有有機化合物のプロトンが脱離したアニオンRO−;チオレート、チオフェノラート等のプロトンが脱離したアニオンRS−;スルホン酸アニオンRSO3 −;カルボン酸アニオンRCOO−;リン酸、亜リン酸等の水酸基の一部が有機基で置換された含リン誘導体アニオンRx(OR)y(O)zP−(但し、x、y、zは0以上の整数で、かつ、x+y+2z=3またはx+y+2z=5の関係を満たす。);置換ボレートアニオンRx(OR)yB−(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4の関係を満たす。);置換アルミニウムアニオンRx(OR)yAl−(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4の関係を満たす。);窒素アニオン(EA)2N−、カルボアニオン(EA)3C−等(但し、EAは水素原子または電子吸引基を表す。)の有機アニオン;ハロゲンイオン、含ハロゲンイオン等の無機アニオン、等が挙げられる。
上記電解質に用いられるポリマーとしては、電気化学的に安定であり、イオン伝導度が高いものであれば特に制限はなく、例えば、アクリレート系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン等を使用することができる。また、重合性官能基を有するオニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンとから構成される塩モノマーを含むものから合成されたポリマーは、特にイオン伝導度が高く、充放電特性のさらなる向上に寄与し得る点で、より好ましい。電解質中のポリマー含有量は、好ましくは0.1質量%〜50質量%、より好ましくは1質量%〜40質量%の範囲内である。
上記難燃性電解質溶解剤としては、自己消火性を示し、かつ、電解質塩が共存した状態で電解質塩を溶解させることができる化合物であれば特に制限はなく、例えば、リン酸エステル、ハロゲン化合物、フォスファゼン等を使用することができる。
上記可塑剤の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、等が挙げられる。上記可塑剤は、単独で用いても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明によるリチウム二次電池にセパレータを用いる場合、正極と負極の間の短絡を防止することができ、電気化学的に安定である従来公知の材料を使用すればよい。セパレータの例としては、ポリエチレン製セパレータ、ポリプロピレン製セパレータ、セルロース製セパレータ、不織布、無機系セパレータ、グラスフィルター等が挙げられる。電解質にポリマーを含める場合には、その電解質がセパレータの機能を兼ね備える場合もあり、その場合、独立したセパレータは不要である。
本発明によるリチウム二次電池は、従来公知の方法で作製することができる。例えば、上記正極および負極を、所定の形状と大きさに切断して用意し、次いで、これらの正極と負極を、セパレータを介して貼り合わせることにより単層セルを作製する。次いで、単層セルの電極間に電解質を注入することができる。また、予め電極、セパレータ等に電解質を含浸させてから、電極とセパレータを重ね合わせることによって単層セルを作製してもよい。このようにして得られたセルを、例えば、ポリエステルフィルム/アルミニウムフィルム/変性ポリオレフィンフィルムの3層構造ラミネートフィルムからなる外装体に装入して封入することにより、リチウム二次電池を得ることができる。
上記セパレータとして、上記塩モノマーを含むものから合成されたポリマーを使用する場合、ポリマー、リチウム塩および常温溶融塩を混合したものを使用することができる。しかし、作業性を向上するため、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリル等の低沸点溶媒を用いて上記ポリマーを希釈して用いることができる。この場合、希釈溶媒を除去すればよく、このポリマーを含む電解質を正極と負極の間に挟み込むことで単層セルを作製し、同様にリチウム二次電池を得ることができる。
以下、本発明をより具体的に説明するための実施例を提供する。
実施例1
炭素前駆体としてのノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−50237)135質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学株式会社製)25質量部をエタノール86mLと混合し、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計が全体の70質量%を占めるエタノール溶液を得た。
このエタノール溶液228質量部に、一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部、硝酸鉄0.0043質量部、硝酸銅0.00076質量部、硝酸モリブデン0.00104質量部およびアルミニウム粉末0.0011質量部(以上、関東化学株式会社製)を添加し、これらを室温下、高速撹拌機(プライミクス株式会社製ホモディスパー)において回転数3000rpmで3分間混合し、配合樹脂325gを得た。
実施例1
炭素前駆体としてのノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−50237)135質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学株式会社製)25質量部をエタノール86mLと混合し、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計が全体の70質量%を占めるエタノール溶液を得た。
このエタノール溶液228質量部に、一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部、硝酸鉄0.0043質量部、硝酸銅0.00076質量部、硝酸モリブデン0.00104質量部およびアルミニウム粉末0.0011質量部(以上、関東化学株式会社製)を添加し、これらを室温下、高速撹拌機(プライミクス株式会社製ホモディスパー)において回転数3000rpmで3分間混合し、配合樹脂325gを得た。
上記配合樹脂300gを容器(ムライトこう鉢)に移し、これを炭化炉(サンケイ真空株式会社製)に配置した。まず、配合樹脂から揮発分を除去するため、炭化炉の昇温速度を100℃/時に設定して加熱を始め、600℃に達したところで昇温を止めてその温度で1時間保持した。その後、室温まで放冷してから容器を炭化炉から取り出した。次いで、配合樹脂を粉砕機(中央化工株式会社製)に移し、レーザー回折式粒度分布測定法による中心粒径D50が10μm以下になるまで粉砕処理した。
得られた粉砕物を再度上記容器に移し、これを上記炭化炉に配置した。次いで、炭化工程として、炭化炉の昇温速度を100℃/時に設定して加熱を始め、1100℃に達したところで昇温を止めてその温度で6時間保持した。その後、容器を炭化炉から取り出して室温にまで放冷し、複合炭素材を得た。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図1に示す。図1からわかるように、カーボンナノファイバー等が複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された。また、得られた複合炭素材を透過型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図2(a)、(b)に示す。(b)は(a)の拡大写真である。図2からわかるように、カーボンナノチューブが複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された。
実施例2
実施例1の手順を繰り返したが、但し、炭化工程における配合樹脂粉砕物の1100℃保持時間を6時間から1時間に変更した。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図3に示す。図3からわかるように、カーボンナノファイバー等が複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された。
実施例1の手順を繰り返したが、但し、炭化工程における配合樹脂粉砕物の1100℃保持時間を6時間から1時間に変更した。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図3に示す。図3からわかるように、カーボンナノファイバー等が複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された。
実施例3
実施例1と同様にして得られた70質量%エタノール溶液228質量部に、一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部、Fe110ppm(硝酸鉄0.07質量部)を添加し、これらを上記高速撹拌機において実施例1と同様に混合して配合樹脂328gを得た。上記配合樹脂300gから、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
実施例1と同様にして得られた70質量%エタノール溶液228質量部に、一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部、Fe110ppm(硝酸鉄0.07質量部)を添加し、これらを上記高速撹拌機において実施例1と同様に混合して配合樹脂328gを得た。上記配合樹脂300gから、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図1と同様に、カーボンナノファイバー等が複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された(図示なし)。
実施例4
ケイ素粉末(平均粒径50μm)100質量部に、硝酸鉄1質量部を添加した後、乳鉢と乳棒にて混練し、さらに炭素前駆体であるノボラック型変性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−55249)535質量部を添加し、コーヒーミルを用いて、同時に粉砕混合し、配合樹脂を得た。
上記配合樹脂500gから、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
ケイ素粉末(平均粒径50μm)100質量部に、硝酸鉄1質量部を添加した後、乳鉢と乳棒にて混練し、さらに炭素前駆体であるノボラック型変性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−55249)535質量部を添加し、コーヒーミルを用いて、同時に粉砕混合し、配合樹脂を得た。
上記配合樹脂500gから、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
実施例5
ノボラック型変性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−55249)300質量部を容器(ムライトこう鉢)に入れ、これを炭化炉(サンケイ真空株式会社製)に配置し、昇温速度100℃/時に設定し加熱を始め、600℃に達したところで昇温を止めて、その温度で1時間保持した。その後、室温まで放冷後、容器を炭化炉から取り出した。次いで、熱処理品を粉砕機(中央化工機株式会社製)に移し、レーザー回折式粒度分布測定法による中心粒径D50が10μm以下になるまで粉砕処理をした。
一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部に硝酸鉄1質量部を添加した後、乳鉢と乳棒にて混練した。この混練物を、炭素前駆体として得られた上記粉砕物83質量部に混合し、再度、上記容器に移して上記炭化炉に配置し、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
ノボラック型変性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−55249)300質量部を容器(ムライトこう鉢)に入れ、これを炭化炉(サンケイ真空株式会社製)に配置し、昇温速度100℃/時に設定し加熱を始め、600℃に達したところで昇温を止めて、その温度で1時間保持した。その後、室温まで放冷後、容器を炭化炉から取り出した。次いで、熱処理品を粉砕機(中央化工機株式会社製)に移し、レーザー回折式粒度分布測定法による中心粒径D50が10μm以下になるまで粉砕処理をした。
一酸化ケイ素粉末(平均粒径6μm)100質量部に硝酸鉄1質量部を添加した後、乳鉢と乳棒にて混練した。この混練物を、炭素前駆体として得られた上記粉砕物83質量部に混合し、再度、上記容器に移して上記炭化炉に配置し、実施例1と同様にして、複合炭素材を得た。
比較例1
硝酸鉄を添加しないことを除き、実施例4の手順を繰り返して複合炭素材を得た。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図4に示す。図4からわかるように、複合炭素材の粒子はカーボンナノファイバー等で包囲されていないことが確認された。
硝酸鉄を添加しないことを除き、実施例4の手順を繰り返して複合炭素材を得た。
得られた複合炭素材を走査型電子顕微鏡で観察した結果(電子顕微鏡写真)を図4に示す。図4からわかるように、複合炭素材の粒子はカーボンナノファイバー等で包囲されていないことが確認された。
比較例2
硝酸鉄を添加しないことを除き、実施例5の手順を繰り返して複合炭素材を得た。
硝酸鉄を添加しないことを除き、実施例5の手順を繰り返して複合炭素材を得た。
充放電特性の評価
(1)負極の作製
上記で得られた複合炭素材を用い、これに対してバインダーとしてポリフッ化ビニリデン10質量%、導電剤としてアセチレンブラック3質量%の割合でそれぞれ配合し、さらに、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加えて混合し、負極用スラリーを調製した。この負極用スラリーを、集電体として厚み10μmの銅箔の両面に塗布して塗膜を形成し、その後、塗膜を110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスで加圧成形することにより厚み100μmの電極を得た。これを幅40mm、長さ290mmの大きさに切り出し負極を作製した。この負極から、リチウムイオン二次電池用電極としてφ13mmの径で打ち抜き負極とした。
(1)負極の作製
上記で得られた複合炭素材を用い、これに対してバインダーとしてポリフッ化ビニリデン10質量%、導電剤としてアセチレンブラック3質量%の割合でそれぞれ配合し、さらに、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加えて混合し、負極用スラリーを調製した。この負極用スラリーを、集電体として厚み10μmの銅箔の両面に塗布して塗膜を形成し、その後、塗膜を110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスで加圧成形することにより厚み100μmの電極を得た。これを幅40mm、長さ290mmの大きさに切り出し負極を作製した。この負極から、リチウムイオン二次電池用電極としてφ13mmの径で打ち抜き負極とした。
(2)リチウムイオン二次電池の作製
上記負極、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:幅45mm、厚さ25μm)、作用極としてリチウム金属(厚さ1mm)の順で、充放電試験用二極セル(宝泉株式会社製)内の所定の位置に配置した。さらに、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液(体積比1:1)に過塩素酸リチウムを1モル/リットルの濃度で溶解させた電解液をセルに注入し、リチウムイオン二次電池を作製した。
上記負極、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:幅45mm、厚さ25μm)、作用極としてリチウム金属(厚さ1mm)の順で、充放電試験用二極セル(宝泉株式会社製)内の所定の位置に配置した。さらに、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液(体積比1:1)に過塩素酸リチウムを1モル/リットルの濃度で溶解させた電解液をセルに注入し、リチウムイオン二次電池を作製した。
(3)評価
充電容量については、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vで定電圧充電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに充電した電気量を充電容量とした。
一方、放電容量については、放電時の電流密度も25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vになるまでに放電した電気量を放電容量とした。
また、以下の式により初回の充放電効率を定義した。
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100
さらに、上記充電工程と上記放電工程のセットを1サイクルとして30サイクル繰り返した後の放電容量を、上記初回放電容量で除した百分率を、30サイクル後の放電容量維持率として算出した。
評価結果を表1に示す。
充電容量については、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vで定電圧充電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに充電した電気量を充電容量とした。
一方、放電容量については、放電時の電流密度も25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vになるまでに放電した電気量を放電容量とした。
また、以下の式により初回の充放電効率を定義した。
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100
さらに、上記充電工程と上記放電工程のセットを1サイクルとして30サイクル繰り返した後の放電容量を、上記初回放電容量で除した百分率を、30サイクル後の放電容量維持率として算出した。
評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5のリチウムイオン二次電池は、30サイクル後の放電容量維持率が80%以上あり、同10%以下の比較例1、2と比べ、充放電サイクル特性が顕著に向上した。これは、図1〜図3に代表されるように、実施例ではカーボンナノファイバー等が複合炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲している結果、充放電サイクルによる負極用炭素材の膨張収縮に伴う微粉化が抑制されたためであると考えられる。比較例では、図4に代表されるように、粒子を包囲するカーボンナノファイバー等が存在しないため、充放電サイクルによる負極用炭素材の膨張収縮に伴う微粉化が進行し、実質的に電極が崩壊した。
Claims (8)
- リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、
該粒子を包囲する樹脂炭素材と、
該粒子の表面に結合し、かつ、該粒子を包囲するカーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノチューブからなる網状構造体と
を含んでなる、リチウム二次電池負極用炭素材。 - 該樹脂炭素材および該網状構造体が、触媒を含有する炭素前駆体の炭化処理により生成したものである、請求項1に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
- 該触媒が、銅、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンおよびマンガンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
- 該炭素前駆体が、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアクリロニトリルからなる群より選択された易黒鉛化材料および/または難黒鉛化材料を含む、請求項2または3に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
- 該金属もしくは半金属が、ケイ素、スズ、ゲルマニウムおよびアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池負極用炭素材。
- リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素または金属もしくは半金属もしくはこれらの合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含む粒子と、炭素前駆体と、触媒とを混合することにより、該粒子の表面に該触媒が付着し、かつ、該粒子が該炭素前駆体に分散された混合物を形成し、次いで該混合物に炭化処理を施すことを特徴とする、リチウム二次電池負極用炭素材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池負極用炭素材を含むリチウム二次電池負極。
- 請求項7に記載のリチウム二次電池負極を含むリチウム二次電池。
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