JPWO2009084529A1 - 新規大豆たん白素材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、カゼインナトリウムの30重量%以上を大豆蛋白質に置換した場合に、高い乳化安定性を示す大豆たん白素材を得ることを課題とした。大豆たん白原料と還元糖を混合し、pH6.3〜8.0にて、100℃を超え170℃以下,10秒〜300秒の加熱処理を行い、続けて加水分解処理を行なう事で、糖含有大豆たん白素材を製造する。また、蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、0.22M TCA溶解率が5重量%以上で、蛋白質1g当たり糖が180μmol以上結合し、且つELISA法による蛋白質中β-コングリシニン含量が35%以下である、糖含有大豆たん白素材や、0.22M TCA溶解率が15重量%以上且つ30重量%以下であり、蛋白質溶解率が80重量%以上であり、SDS-PAGEによるβ-コングリシニン及びグリシニンの合計含量が30%以下のコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材を用いる。これら高乳化の性質を持つ大豆たん白素材を用いることで、乳化物や飲食品を得ることができる。

Description

本発明は、新規の糖含有大豆たん白素材とその製造方法に関する。
従来、液状や粉末状のコーヒーホワイトナー,乳化油脂等の乳化市場でカゼインナトリウムは、高い乳化活性と乳化安定性を持つことから原料として広く使用されている。しかしながら、近年カゼインナトリウムの需要が世界的に高まっている事から、入手が困難になってきている。また、近年の健康志向から、コレステロールがたまる等の問題でカゼインナトリウムを含む動物性原料が避けられている風潮から、乳化市場における大豆たん白素材への要請は高まっている。
これまでにも、大豆たん白素材を利用しての液状コーヒーホワイトナーの製造が試みられてきた。しかし、液状コーヒーホワイトナー中の蛋白質の30重量%程度が大豆蛋白質となると、コーヒーへの使用時にフェザーリングが発生し、コーヒーホワイトナーとして使用が制限される。特許文献1には、分離大豆たん白をカゼインナトリウムと併用することで、コーヒーに添加した場合のフェザーリングが抑制されることが開示されているが、保存中のホワイトナーの離水を抑えるには至っていない。
また、特許文献2には、加水分解された分離大豆たん白と種々の乳化剤の組合せによる液状コーヒーホワイトナーが開示されている。しかしながら本方法でも、フェザーリングは抑制されているが、保存中のホワイトナーの離水を抑えるには至っていない。つまり、フェザーリングを抑制すると共に保存中の離水をも抑制する、蛋白質中の30重量%以上が大豆蛋白質である液状コーヒーホワイトナーは、いまだ得られていない。
粉末状コーヒーホワイトナーについても、特許文献3において大豆蛋白質を使用した製法が試みられている。しかしながら、粉末状コーヒーホワイトナー中の蛋白質の80重量%以上を大豆蛋白質にした場合、調液時に増粘し噴霧乾燥できなかったり、コーヒーに添加した際にフェザーリングが発生するなど、蛋白質中の80重量%以上が大豆蛋白質である粉末状コーヒーホワイトナーは、いまだ得られていない。
一方、還元糖と分離大豆たん白の反応物の検討はこれまでも試みられている。例えば、特許文献4には、未分解の大豆たん白、還元糖及びアミノ基含有化合物からなる反応物の検討が試みられているが、風味向上を志向したものであり、本発明の目的である乳化安定性を向上させることは難しい。あるいは特許文献5には、分離大豆蛋白質と多糖類であるキトサンを、混合粉体とした後に60℃,7日間メイラード反応させた、乳化性が向上した複合体の調製が記載されているが、これ程の長期間の反応は工業的に困難である。
特開昭51‐144764号公報 特開平6‐303901号公報 特開平6‐30698号公報 特開2000‐312562号公報 特開2005‐187401号公報
本発明は、高い乳化安定性を示す大豆たん白素材を得ること、並びに、蛋白質中に大豆蛋白質を多く含んだ、フェザーリング及び保存時の離水が起こらない、コーヒーホワイトナーを得ることを課題とした。
本発明者らは本課題について鋭意検討する中で、大豆たん白原料に還元糖を混合し、加熱処理を行い、続けて加水分解処理を行なうことで、高い乳化安定性を示す新たな大豆たん白素材が得られることを見出し、さらに、液状及び粉末状コーヒーホワイトナーの調製に必要な大豆たん白素材の物性を特定することに成功することで、大豆たん白素材を含み、かつ物性が良好なコーヒーホワイトナーを得るに至り、ついに本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)大豆たん白原料と還元糖を混合し、pH6.3〜8.0にて、100℃を超え170℃以下,10秒〜300秒の加熱処理を行い、続けて加水分解処理を行なう事を特徴とする、糖含有大豆たん白素材の製造方法。
(2)還元糖を大豆たん白原料の乾燥重量当たり0.5重量%以上添加する、(1)記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
(3)大豆たん白素材が蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、0.22M TCA溶解率が5重量%以上である、(1)記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
(4)大豆たん白素材が蛋白質溶解率が80重量%以上である、(1)記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
(5)蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、0.22M TCA溶解率が5重量%以上且つ35重量%以下で、蛋白質1g当たり糖が180μmol以上結合している、糖含有大豆たん白素材。
(6)蛋白質中ELISA法によるβ-コングリシニン含量が35%以下である、(5)記載の糖含有大豆たん白素材。
(7)蛋白質溶解率が80重量%以上である、(5)記載の糖含有大豆たん白素材。
(8)(5)に記載の糖含有大豆たん白素材または(1)に記載の方法で得られる糖含有大豆たん白素材を用いた、飲食物。
(9)乳化組成物である、(8)に記載の飲食物。
(10)コーヒーホワイトナー,フラワーペースト,マーガリン,乳化油脂から選ばれる何れかである、(9)に記載の飲食物。
(11)酸性たん白飲料である、(8)に記載の飲食物。
(12)0.22M TCA溶解率が15重量%以上且つ30重量%以下であり、蛋白質溶解率が80重量%以上であり、SDS-PAGEによる全蛋白質中のβ-コングリシニン及びグリシニンの合計含量が30%以下の、大豆たん白素材。
(13)コーヒーホワイトナー用である、(12)記載の大豆たん白素材。
(14)(12)記載の大豆たん白素材を用いた、コーヒーホワイトナー。
(15)大豆たん白素材が分離大豆たん白である、(14)記載のコーヒーホワイトナー。
である。
本発明により、高い乳化安定性を示す大豆たん白素材を得、またこれを製造するとともに、大豆たん白素材を用いて、フェザーリング及び保存時の離水が起こらない、良好な液状コーヒーホワイトナー及び、フェザーリング及び調液時の増粘が起こらない、良好な粉末状コーヒーホワイトナーを調製することが出来る。
(大豆たん白原料)
以下、本発明を具体的に説明する。本発明における大豆たん白原料とは、本発明品である、糖含有大豆たん白素材を調製するに当たっての、加糖加熱処理を行う対象の原料である。丸大豆や脱脂大豆等から蛋白質成分を水又は温水で抽出し、オカラ成分を除去した全脂豆乳や脱脂豆乳等であり、またはこれら豆乳から、UF膜による処理や酸を用いた等電点沈殿等で蛋白質を濃縮した分離大豆たん白等であり、またはこれを殺菌・乾燥した物である。尚、最終的に得られる糖含有大豆たん白素材が、蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含むことが好ましいために、大豆たん白原料としては、分離大豆たん白等の素材中の蛋白質純度が高いものを用いることが良い。例えば、分離大豆たん白は以下の様に調製することができる。すなわち、脱脂大豆に水又は温水を加え、中性付近にて抽出を行い、オカラを分離して豆乳を得る。次に豆乳をpH4.5付近とし等電点沈殿物を回収する。沈殿物に水及びアルカリ剤を加え、固形分濃度5〜15重量%、pH5.7〜8.0、好ましくはpH6.8〜7.5付近の水溶液を得る。この様にして得られた分離大豆たん白は、溶液をそのまま以下の工程に用いても良いし、未殺菌の物又は殺菌した物を、乾燥後に改めて溶解して用いても良い。後述する還元糖を、予め水溶液とし、これに大豆たん白原料を溶解させることも可能である。
(還元糖の添加)
得られた大豆たん白原料の水溶液、例えば固形分濃度(乾燥物濃度)5〜15重量%の水溶液に還元糖を加え、一段目の加熱処理を行なう。用いる還元糖としては、単糖ではL‐アラビノース,D‐キシロース,D‐グルコース,D‐リボース,D‐フルクトースなど、二糖類ではラクトース,マルトースなど、三糖以上では還元末端を保有するデキストリンなどが例示できる。用いる還元糖の価格や最終的に得られる大豆たん白素材の乳化性から、二糖以下が好ましく、D-グルコース,D-フルクトース,ラクトース,マルトースが更に好ましく、D-グルコースが最も好ましい。これらの還元糖から1種類以上を選択し、水溶液中の大豆たん白原料の固形分に対し、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは2重量%以上加える。また、10重量%以下が好ましい。10重量%を超えると、得られる糖含有大豆たん白素材に着色を生じることがあるし、たん白素材中の蛋白質含量の低下が大きい。また、還元糖添加の前または後に、pHを6.3〜8、好ましくは7〜8に調整する。pHが低いと得られるたん白素材の乳化性が低く、例えばコーヒーホワイトナーの保存中に離水が発生し、pHが高いとリジノアラニンが生成し得るため好ましくない。
(一段加熱)
還元糖を添加後に、該溶液に対し、100℃を超え好ましくは130℃以上、且つ170℃以下好ましくは150℃以下の加熱処理を加圧下にて行なう。加熱時間は10秒〜300秒間であり、20秒〜180秒間が好ましい。加熱温度が低い場合や加熱時間が短い場合は、得られる大豆たん白素材の乳化性が低く、加熱温度が高い場合や加熱時間が長い場合は、大豆たん白素材に着色を高め易く、また設備への負荷が増す。
(加水分解処理)
続けて加熱後の水溶液について、蛋白質の加水分解を行なう。加水分解は例えば酸性下で非酵素的に行うこともできるが、プロテアーゼによる加水分解が、その後の乳化性の向上に効果的であり、好ましい。ここで用いるプロテアーゼは、プロテアーゼの分類において「金属プロテアーゼ」(Bacillus中性プロテイナーゼ,Streptomyces中性プロテイナーゼ,Aspergillus中性プロテイナーゼ,サモアーゼ等),「酸性プロテアーゼ」(ペプシン,Aspergillus酸性プロテイナーゼ,スミチームAP等),「チオールプロテアーゼ」(ブロメライン,パパイン等),「セリンプロテアーゼ」(トリプシン,キモトリプシン,ズブチリシン,Streptomycesアルカリプロテイナーゼ,Aspergillusアルカリプロテイナーゼ,アルカラーゼ,ビオプラーゼ等)に分類されるプロテアーゼの、1種または2種以上を作用させる事ができる。
反応pHや反応温度は、それぞれのプロテアーゼの至適条件、或いは活性の得られる条件で行なうことが好ましい。通常、反応pHは各々の酵素の至適pH付近であり、温度は0〜100℃,好ましくは20〜80℃,更に好ましくは40〜70℃で反応を行なう。反応時間もpHや温度により変化するが、概ね5分〜12時間、好ましくは10分〜6時間が適当である。プロテアーゼ処理後の0.22M TCA可溶化率は5重量%以上であることが好ましく、また30重量%以下がより好ましく、8重量%以上であることが最も好ましい。TCA可溶化率が低いと乳化性が低く、TCA可溶化率が高いと、蛋白質溶解率が低下することがある。なお、加水分解処理後に還元糖を添加し加熱処理を行っても、得られる大豆たん白素材に高い乳化性を発現させることは難しくなる。
(二段加熱)
プロテアーゼによる加水分解後に更に加熱を行うことが好ましい。加熱温度は110〜170℃が好ましく、130〜170℃が更に好ましい。加熱時間は3〜20秒間が好ましい。二段加熱は殺菌がその主たる目的のひとつであり、好ましい条件が設定されるが、温度が低く時間が短いと殺菌の効果に弱く、温度が高く時間が長いと、風味や着色等の問題が起き易くなる。
(糖含有大豆たん白素材)
こうして得られる大豆たん白素材は、従来の分離大豆たん白等に比べ、高い乳化性およびたん白粒子の分散性を示し、乳化物製品の原料として非常に適しており、また以下の物性を持つ。すなわち、蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、蛋白質中のELISA法によるβ-コングリシニン含量が35%以下であり、0.22M TCA溶解率が5重量%以上であり、さらに、蛋白質1g当たり糖が180μmol以上結合しているものである。そして、蛋白質溶解率が80重量%以上であると好ましく、また0.22M TCA溶解率が30重量%以下であると更に好ましく、15重量%以上であると最も好ましい。また、蛋白質中のELISA法によるβ-コングリシニン含量が30%以下であると好ましい。尚、0.22M TCA溶解率,蛋白質溶解率,蛋白質定量法,ELISA法によるβ-コングリシニン含量測定法,糖結合量はそれぞれ後述する方法にて確認することができる。
前述の工程で得られた本発明の糖含有大豆たん白素材は、液体のまま流通使用することも出来るが、乾燥し粉末化した上で、改めて種々の原料と調合調製し、種々の用途で使用されることができる。尚、本明細書において、「大豆蛋白質」とは大豆に由来する蛋白質の分子またはその加水分解物を意味し、その組成に蛋白質以外を含んだ「大豆たん白素材」「大豆たん白原料」「分離大豆たん白」等と区別している。
(コーヒーホワイトナー用大豆たん白素材)
一方、コーヒーホワイトナーの使用に適した大豆たん白素材は、以下の性質を持ち、その典型は前述した糖含有大豆たん白素材である。すなわち、本発明におけるコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材とは、丸大豆または脱脂大豆等から蛋白質成分を水または温水で抽出し、オカラ成分を除去した全脂豆乳や脱脂豆乳、またはこれら豆乳から、UF膜による処理や酸を用いた等電点沈殿等で蛋白質を濃縮した分離大豆たん白等が例示される。さらにこれを中和した物や、殺菌・乾燥した物を用いることが出来る。但し、a)大豆たん白素材の0.22M TCA溶解率が15重量%以上且つ30重量%以下、b)大豆たん白素材の蛋白質溶解率が80重量%以上、c)SDS-PAGEによる全蛋白質中のβ-コングリシニン及びグリシニンの合計含量が30%以下、で表される物性を全て持つことが必須であり、この物性に合致したコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材のみが、フェザーリング及び保存時の離水が起こらない、良好なコーヒーホワイトナーを調製することが出来る。通常の製造工程に於て、0.22M TCA溶解率を15重量%以上にするべく加水分解を進めると、蛋白質溶解率が80重量%未満に低下してしまう。本発明の条件を満たす物性を持ったコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材は、単なる最適化の中で得られるものではなく、またこの大豆たん白素材がコーヒーホワイトナーに適性を持つことは、これまで全く知られていなかった。尚、プロテアーゼの選択によっては、SDS-PAGEによる全蛋白質中のβ-コングリシニン及びグリシニンの合計含量が30%を超える場合があり、この場合には、コーヒーホワイトナーに適した物性を得ることはできない。
また、a)に記載の0.22M TCA溶解率は20重量%以上且つ30重量%以下が、b)に記載の蛋白質溶解性は80重量%以上が、さらに適切であり好ましい。0.22M TCA溶解率が15重量%より低いと、コーヒーに添加した際のフェザーリングやコーヒーホワイトナーのオイルオフ及び増粘を発生し易い。TCA可溶化率が30重量%より高い場合や、蛋白質溶解率が80重量%未満の場合は、乳化が弱く離水が発生し易い。更に、大豆たん白素材は、脱脂豆乳から等電点沈澱で得られた蛋白質を中和した分離大豆たん白であると、フェザーリング及び保存時の離水が更に起こりにくく、好ましい。尚、フェザーリングとはコーヒーにコーヒーホワイトナーを添加した際に生じる凝集物のことで、オイルオフはコーヒーホワイトナー上に出来る油膜、離水は保存時に生じる水相の分離である。
(大豆たん白素材の用途)
本発明の糖含有大豆たん白素材は、畜肉加工品、水産練製品、焼成菓子、各種飲料等の種々の飲食品用途に使用する事ができるが、特に乳化組成物への使用が好適である。また、飲料としては、酸性たん白飲料が適する。
本発明の糖含有大豆たん白素材が使用できる乳化組成物として、例えば、液状コーヒーホワイトナー,粉末状コーヒーホワイトナー,インスタントコーヒーパウダー,アイスクリーム,アイスミルク,ラクトアイス,育児粉乳,マヨネーズ様食品,チーズ様食品,フラワーペースト,各種のマーガリン,粉末油脂,乳化油脂,乳化安定化剤等を例示することが出来る。これらの乳化組成物を調製するに当たり、乳蛋白等の他の蛋白質を併用することができるが、他蛋白質の併用量が少ないほど、本発明の糖含有大豆たん白素材の効果が認められる。
本発明品である糖含有大豆たん白素材およびコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材は、液状及び粉末状コーヒーホワイトナーの原料として非常に適した物性を持つ。これらの大豆たん白素材は、液体のまま流通使用し、コーヒーホワイトナーに調製することも出来るが、乾燥し粉末化した上で、改めて種々の原料と混合調製し液状及び粉末状コーヒーホワイトナーにすることが好ましい。
(液状コーヒーホワイトナー)
本発明において液状コーヒーホワイトナーとは、成分として蛋白質,脂質,乳化剤を含み、常温で液体の水中油型乳化物を指す。好ましくは、蛋白質3〜10重量%、脂質10〜40重量%、燐酸塩0.2〜1.5重量%、乳化剤0.4〜2.5重量%の組成を持つものであり、液状コーヒーホワイトナーの好ましい粘度として60mPa・s以上が例示できる。また液状コーヒーホワイトナーを構成する蛋白質成分はとしては、全脂乳,脱脂乳,カゼイン,乳ホエー,濃縮大豆たん白,分離大豆たん白,コーングルテン,小麦グルテン,卵白,卵黄等の、種々の蛋白質原料やたん白素材が使用できるが、液状コーヒーホワイトナーを構成する蛋白質中、大豆蛋白質が30重量%以上含まれていても、本発明は従来大豆たん白素材と比較して特に効果的に保存後の離水を抑制できる。しかし、大豆蛋白質が60重量%を超えると、フェザーリングや離水が発生し易くなる。従って、本発明の大豆たん白素材を用いた液状コーヒーホワイトナーは、その蛋白質中に大豆蛋白質を30重量%以上含むことが好ましく、また60重量%以下含むことが更に好ましい。
(粉末状コーヒーホワイトナー)
本発明において粉末状コーヒーホワイトナーとは、成分として蛋白質、脂質、炭水化物、乳化剤を含み、常温で粉末状の乳化物を示す。好ましくは、脂質10〜50重量%、蛋白4〜20重量%、炭水化物20〜70%重量%、燐酸塩0.2〜1.5重量%、乳化剤0〜10重量%の組成を持つものである。粉末状コーヒーホワイトナーを構成する蛋白質としては、全脂乳,脱脂乳,カゼイン,乳ホエー,濃縮大豆たん白,分離大豆たん白,コーングルテン,小麦グルテン,卵白,卵黄等の、種々の蛋白質原料やたん白素材が使用できるが、粉末状コーヒーホワイトナーを構成する蛋白質中、大豆蛋白質が80重量%以上含まれていても、本発明は従来大豆たん白素材と比較してフェザーリング及び調液時の増粘を効果的に抑制する事が出来る。従って、本発明の大豆たん白素材を用いた粉末状コーヒーホワイトナーは、その蛋白質中に大豆蛋白質を80重量%以上含むことが好ましい。
(コーヒーホワイトナー製法)
液状および粉末状コーヒーホワイトナーを調製するには、これらの原料を水系にて混合し、さらに含まれた脂質を均質化する。均質化とは、水と油を含む混合液を水中油型乳化組成物とし、さらに水中油型乳化組成物の液滴を微細化することである。微細化の一つの方法としては乳化機などの装置を用いる方法がある。乳化機としては、例えば、回転羽を有する撹拌機、高速回転するディスクやローターと固定ディスクを有するコロイドミル,超音波式乳化機,一種の高圧ポンプである均質機(ホモジナイザー)などが挙げられ、中でも均質機(ホモジナイザー)が好ましい。均質化工程としては例えば、上記原料を含む水中油型乳化物を、ホモジナイザーで30〜200kg/cm2の圧力で均質化した後、110〜150℃好ましくは120〜140℃で1〜10秒好ましくは3〜7秒で殺菌処理を行い、さらにホモジナイザーを用いて150〜500kg/cm2の圧力で均質化する方法が挙げられる。
本発明の液状コーヒーホワイトナーは、先に説明した水中油型乳化物を収納した容器と併せて流通することも出来る。組成物が加熱滅菌され、無菌充填することが出来るため、保存,輸送が容易であり、必要な時直ぐに利用できる利点がある。また、従来の大豆たん白素材を利用したコーヒーホワイトナーと比較して保存時において、オイルオフ,離水が起こりにくい利点がある。充填法としては、当該コーヒーホワイトナーをあらかじめ加熱滅菌した後に無菌的に容器に充填する方法(例えばUHT滅菌とアセプティック充填を併用する方法)、また、当該コーヒーホワイトナーを容器に充填した後、容器と共に加熱滅菌する方法(例えばレトルト殺菌)などが採用できる。なお、UHT滅菌法では、間接加熱方式及び直接加熱方式のどちらでも使用することが出来る。また、コーヒーホワイトナーを水溶液として殺菌することなく、乾燥粉体として調製、流通し、使用直前に水溶液とするコーヒーホワイトナーにおいても、本発明の糖含有大豆たん白素材およびコーヒーホワイトナー用大豆たん白素材は、フェザーリングが発生せず離水の起こらない好ましい物性を持ったコーヒーホワイトナーとすることが出来る。
(フラワーペースト)
本発明の高乳化型大豆たん白素材は、以下の乳化組成物へも使用できる。
フラワーペーストとは、成分として脂質、蛋白質、乳化剤、炭水化物、酸性化剤などを含む水中油型乳化組成物である。本発明の糖含有大豆たん白素材を用いることで、耐熱保形性・保存性といった効果を得ることができる。フラワーペーストは、例えば、本発明の糖含有大豆たん白素材、通常油脂、糖類、澱粉性原料、溶解塩、酸性化剤を含み、これら原料を混合して予備乳化した後、必要ならさらにpH調整し、次いで均質化、加熱、糊化、冷却する事により得る事ができる。また、本発明の高乳化大豆たん白素材を0.1重量%〜5重量%含むことが好ましい。
(シューマーガリン)
本発明の高乳化型大豆たん白素材は、各種マーガリンに使用できるが、シューマーガーリンが好適である。シューマーガリンとは、成分として脂質、蛋白質、乳化剤、炭水化物、リン酸塩などを含む油中水型乳化組成物である。本発明の糖含有大豆たん白素材を用いることで、シュー生地を焼成した時の保形性・保存性といった効果を得ることができる。シューマーガリンは、本出願大豆たん白素材、糖類、食塩、粉乳、発酵乳などの水溶性成分に、脂質を混合し、予備乳化した後、パーフェクター、ボテーター、コンビネーターなどで急冷捏和する事で製造することができる。また、本発明の高乳化大豆たん白素材を1重量%〜10重量%含むことが好ましい。
(粉末状乳化油脂)
乳化油脂とは、成分として脂質、蛋白質、乳化剤、炭水化物などを含む油中水型乳化組成物である。本発明の糖含有大豆たん白素材を用いることで、粉末化した時に生じるオイルオフを抑制する効果を得ることができる。乳化油脂は、水相に油相を添加し、ホモミキサー等で攪拌後、ホモジナイザーなどを使用し、30〜200kg/cm2の圧力をかけて均質化し、冷却後噴霧乾燥を行うことにより得る事ができる。本発明の高乳化大豆たん白素材を0.5重量%〜7重量%含むことが好ましい。
(酸性たん白飲料)
また、本発明の大豆たん白素材は、酸性たん白飲料に好適に使用できる。酸性たん白飲料とは、成分として炭水化物、蛋白質、安定剤(ペクチン,CMC,水溶性大豆多糖類等)を含み、pHが3〜6で液体の飲料を示す。酸性たん白飲料を構成する蛋白質としては、全脂乳,脱脂乳,カゼイン,乳ホエー,濃縮大豆たん白,分離大豆たん白,コーングルテン,小麦グルテン,卵白,卵黄等の、種々の蛋白質原料やたん白素材が使用できるが、本発明の糖含有大豆たん白素材を添加することで、保存時に沈殿物の発生を抑制するといった効果を得ることができる。本発明の高乳化大豆たん白素材を0.1重量%〜5重量%含むことが好ましい。
(測定方法)
次に本発明で用いた測定方法を示す。
<蛋白質含量>
105℃, 12時間乾燥した大豆たん白素材重量に対して、ケルダール法により測定した窒素の質量を、乾燥物中の蛋白質含量として重量%で表す。尚、窒素係数は6.25とする。
<0.22M TCA溶解率>
大豆たん白素材試料の2重量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定する。
<蛋白質溶解率>
大豆たん白素材試料の5重量%水溶液を、7,000×g(3,500rpm)で20分間遠心分離を行い、上清に含まれる蛋白質量をケルダール法により測定し、その割合を表す。
<ビュレット法>
約1重量%濃度の大豆たん白素材試料を1ml取り、4mlのビュレット液に混合し十分に撹拌する。30分室温で放置後、波長540nmで吸光度を測定する。定量はBSA standard solution (和光純薬株式会社)を使用し検量線を作製し定量を行う。
<糖結合量測定>
80容量%のプロパノール水溶液に溶解しない成分中の糖をフェノール硫酸法で定量し、糖結合量とする。すなわち、大豆たん白素材試料の5重量%水溶液1mlに対して、2-プロパノール(キシダ化学株式会社)を4ml加え十分に撹拌する。10分間室温で放置後、3,000rpmで10分間撹拌し沈殿を回収する。沈殿に対し80容量%の2-プロパノールを5ml加え沈殿を十分に分散させ、3,000rpmで10分間撹拌し沈殿を回収する。この操作をもう一度繰り返し沈殿を回収する。沈殿に対し、1M NaOHを5ml加え十分に懸濁させ、10分間加熱溶解させる。加熱溶解させたサンプルを水浴中で冷却した後、蛋白質定量法(ビュレット法)により蛋白質量を定量し、15mg/mlになるようにサンプル濃度を調整する。脱イオン水0.8mlに対して濃度調整したサンプルを0.2ml加え、5重量%フェノール水溶液を1ml加え十分に撹拌する。このサンプル懸濁液に対して濃硫酸を5ml素早く加え10分間室温で放置する。室温で放置後、十分に撹拌し水浴中で10分間放置後、波長490nmで吸光度を測定する。定量はD-グルコース(和光純薬株式会社)を使用し検量線を作製し定量を行う。また、濃度調整したサンプルの蛋白質量も定量し、糖結合量=糖濃度(μmol)/蛋白質量(g)として算出する。
<β-コングリシニン含量測定法>
β-コングリシニン含量はELISA法により定量を行う。サンプル0.1gを精秤し、50ml栓付三角フラスコ中に入れ、0.05M Tris-HCl緩衝液(pH8.2)を2.5ml及び8M Urea-DTT緩衝液7.5mlを添加する。100℃で1時間抽出する。抽出後シスチンを含む0.4M NaCl溶液(pH9.0)で再会合させた後、100mlに定容し、ろ過液をELISA用サンプルとした。ELISA用96ウェルEIAマイクロプレート(IWAKI(株)製)にサンプル及び検量線用β-conglysinin(不二製油(株)製)をそれぞれ4℃で1日間保存する事で固定化し、ブロッキング液(大日本住友製薬(株)製)を200μl加え37℃で2時間インキュベートしブロッキングする。ブロッキング後、50mMリン酸緩衝液(pH7.2)で3回洗浄する。次に、1次抗体として0.5μg/mlの抗ベータコングリシニンウサギポリクロナール抗体(タカラバイオ(株)製)を100μl添加し37℃で1時間インキュベートする。50mMリン酸緩衝液(pH7.2; 0.1%Tween20)で3回洗浄する。その後、2次抗体として0.1μg/mlのペルオキダーゼ結合抗ウサギIgG抗体(Promega(株)製)を100μl添加し37℃で1時間インキュベートする。50mMリン酸緩衝液(pH7.2; 0.1%Tween20)で3回洗浄する。洗浄後、TMB Micowell Peroxidase Substrate(KPL(株)製)を100μl加え5分間発色させる。1N硫酸を100μl加え発色反応を停止後、波長450nmで吸光度を測定する。測定後、検量線用β-コングリシニンの吸光度を用いて検量線を作製し、サンプルのβ-コングリシニン含量を算出し、ケルダールで算出した全蛋白質に対する比率を求める。
<β-コングリシニン及びグリシニンの合計含量>
β-コングリシニン及びグリシニンの合計含量はSDS-PAGEにより行なう。すなわち、大豆たん白素材試料の1重量%水溶液100μlにSDS-PAGE用サンプルバッファー(コスモバイオ株式会社製)を100μl添加し、95℃で10分間加熱しサンプル液を調製する。調製したサンプル液を SDS-PAGE用ゲル(和光純薬工業製スーパーセップ5〜20%)に4μlづつアプライし、電気泳動を行う。その後、電気泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルーで染色後、脱色する事により泳動ゲルを得る。
SDS-PAGEにより得られたゲルをスキャナーにて、画像データとしてPCに取り込み、Scion Image(Scion Corp製)を使用し、レーン全体並びにレーン中に含まれるβ-コングリシニン(7Sグロブリン)及びグリシニン(11Sグロブリン)のバンドの積算値を測定し、全蛋白質中の含量として解析する。
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
○糖含有大豆たん白素材の製造方法(大豆たん白素材A〜C)
水10重量部に低変性脱脂大豆1重量部を加えて、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で撹拌しながら50℃,30分間抽出を行い、3,000×gで遠心分離してオカラを除き、脱脂豆乳を得た。これを塩酸でpH4.5に調整して等電点沈殿させ、遠心分離して酸沈カードを得た。これに4倍量の水を加えて水酸化ナトリウムでpH7.3に調整し、分離大豆たん白を含有する溶液を得た。この固形分に対して無水結晶ブドウ糖(サンエイ糖化(株)製)を1重量%添加した後、得られた溶液を90℃,110℃,140℃でそれぞれ30秒間、連続式直接加熱方式殺菌機(アルファ・ラバル(株)製)で加熱を行い、得られた溶液に対してアルカラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たりそれぞれ、0.2重量%添加し、55℃,15分間酵素反応を行った。酵素反応後に連続式直接加熱方式殺菌機で140℃,10秒間加熱を行い、スプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、粉末状の糖含有大豆たん白素材(A〜C)を得た。
○糖の選択(大豆たん白素材D〜H)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材を得た。但し、分離大豆蛋白に対して、無水結晶ブドウ糖に替えて各種糖(キシロース,マルトース,ラクトース,スクロース,トレハロース)を1重量%添加して大豆たん白素材を得た。
○糖添加量の選択(大豆たん白素材I〜M)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材I〜Mを得た。但し、固形分に対するグルコースの添加量を0,3,6,8,10重量%に変更して処理を行った。
○酵素添加量の検討(大豆たん白素材N〜S)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材N〜Sを得た。但し、固形分に対するグルコースの添加量を1重量%とし、プロテアーゼの添加量を固形分当たり0,0.02,0.05,0.10,0.15,0.40重量%に変更して調製した。
○酵素添加量の検討2(大豆たん白素材T〜V)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材T〜Vを得た。但し、一段加熱時のpHを7.0から6.5に変更し、140℃,30秒間の加熱時間を60秒に変更した。また、プロテアーゼの添加量を固形分当たり0.2,0.3,0.4重量%に変更して調製した。
○グルコース無添加の検討(大豆たん白素材W〜Y)
大豆たん白素材Tと同様に処理し、大豆たん白素材W〜Yを得た。但し、グルコースは添加せず、プロテアーゼの添加量を固形分当たりそれぞれ、0.2,0.1,0.05重量%に変更して調製した。
○加熱時pHの検討(大豆たん白素材Z)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材Zを得た。但し、一段加熱時のpHを7.0から6.0に変更し、140℃,30秒間の加熱時間を60秒に変更して調製した。
○一段加熱省略調製の検討(大豆たん白素材α)
大豆たん白素材Cと同様に処理をし、大豆たん白素材αを得た。但し、酸沈カードの希釈液をpHを7.0とし、一段加熱は行なわずにプロテアーゼ処理を行なった。
○β-コングリシニン含量の検討(大豆たん白素材β〜γ)
分離大豆たん白よりβ-コングリシニンを国際公開W002/28198号公報に記載の製造方法を用いて分離し、β-コングリシニン濃縮素材を得た。このβ-コングリシニン濃縮素材を140℃,30秒間加熱後噴霧乾燥を行い、粉末状大豆たん白素材βを得た。また、このβ-コングリシニン濃縮素材を比較例4(たん白素材I)と同様にプロテアーゼ分解処理を行い、粉末状大豆たん白素材γを得た。
○液状コーヒーホワイトナーの調製
大豆たん白素材A〜Z,α〜γ及び、市販分離大豆たん白(TCA可溶化率:22.2重量%)フジプロCLE(不二製油(株)製)、カゼインナトリウム(ALANATE180,フォンテラ・ジャパン(株)製)をたん白素材として各々使用し液状コーヒーホワイトナーを調製した。まず、水73重量部を70℃に加熱し燐酸2カリウムを0.4重量部溶解させ、ここに、上記たん白素材とカゼインナトリウムの等量混合物をそれぞれ5重量部添加し、シュガーエステル(DKエステルF160, 第一工業製薬(株)製)を0.5重量部加えて撹拌した。さらに、この溶液に菜種硬化油(硬化菜種油(融点22℃), 不二製油(株)製)を20重量部添加して、90℃湯浴中で撹拌混合し水中油型乳化物を得た。上記のようにして得られた各水中油型乳化物を、ホモジナイザーを用いて100〜200kg/cm2の圧力で均質化させた後、これらを80℃,10分間加熱して殺菌し、再度ホモジナイザーを用いて1次ホモ圧100〜300kg/cm2、2次ホモ圧50〜100kg/cm2の圧力で2段階均質化を行った後、これらを冷却して液状コーヒーホワイトナーを得た。また、Supro710(ソレイ(株)製)を30重量%,カゼインナトリウムを70重量%の混合物を用いたコーヒーホワイトナーを比較例18として、大豆たん白素材Uを70重量%,カゼインナトリウムを30重量%の混合物を用いたコーヒーホワイトナーを比較例19として、それぞれ調製した。
○コーヒーホワイトナーの評価
<フェザーリング評価>
市販のインスタントコーヒー2gを熱湯150ml(80℃以上)で溶解し、調製したコーヒーホワイトナー5mlを静かに滴下し、30秒後に撹拌して目視にてフェザーリングの程度を確認した。表中『無し』を『−』、『少ない』を『±』、『多い』を『+』で表記した。
<液状コーヒーホワイトナー保存後離水率>
調製したコーヒーホワイトナーを200ml保存瓶にて、4℃で1週間(大豆たん白素材A〜S,Z,α〜γ)、または50℃で24時間(大豆たん白素材T〜Y,比較例15〜19,実施例15)保管し、保管後の離水率を測定した。表中『無し』を『−』、『少ない』を『±』、『多い』を『+』で表記した。また、オイルオフについても確認し、表中『無し』を『−』、『少ない』を『±』、『多い』を『+』で表記した。
<コーヒーホワイトナー粘度および乳化粒子径>
コーヒーホワイトナーの粘度は25℃にてB型粘度計(TOKIMEC社製)で、乳化粒子径はレーザー粒度分布計(島津製作所社製)で、それぞれ測定した。
○各大豆たん白素材の分析値比較
大豆たん白素材A〜Z,αの物性評価を表1上段に纏めた。大豆たん白素材B〜F,J〜M,O〜Uのものが、『TCA可溶化率が15重量%〜30重量%、蛋白質溶解率が80重量%以上』の条件に合致し、コーヒーホワイトナーとしての物性に優れていた。一方で、大豆たん白素材A,G〜I,W,Zは蛋白質溶解率が、大豆たん白素材N,O,X,YはTCA可溶化率が、それぞれ低いものだった。また大豆たん白素材SおよびVはTCA可溶化率が高く、且つ蛋白質溶解率が低いものだった。
大豆たん白素材A〜T,Zの糖結合量も表1にまとめた。大豆たん白素材Aでは蛋白質溶解率が80重量%を下回っており、且つ糖結合量も180μmol/g proteinを下回っていた。一方大豆たん白素材B,Cでは蛋白質溶解率が80重量%を上回り、且つ糖結合量も180μmol/g proteinを上回っていた。
次に、大豆たん白素材D〜Fでは蛋白質溶解率が80重量%を超えているのに対して、大豆たん白素材G,Hでは蛋白質溶解率が80重量%を下回っており、且つ糖結合量も180μmol/g proteinを下回っていた事から、還元糖のみが大豆蛋白質と反応していると考えられた。また、フルクトースも蛋白質溶解率が82重量%あり、他の還元糖同様に反応していると推察された。
また、大豆たん白素材C,I〜Mより大豆たん白素材中の糖結合量が、グルコース濃度依存的に増加している事から、糖と大豆蛋白質は前述の調製法により、少なくても含水イソプロピルアルコール処理では解離しない程度の強さを以て結合していることが推察された。また、酵素添加量の多かった大豆たん白素材S,Vから、0.22M TCA溶解率が30重量%を超えると蛋白質溶解率が低下することが確認された。加熱時pHが低い大豆たん白素材Zは、加熱時間を増やしたにも拘わらず糖結合量が低いものだった。また、糖を添加せずに熱履歴とプロテアーゼ処理だけを行なった大豆たん白素材W〜Yは、TCA可溶化率と蛋白質溶解率が同時に適切な範囲とすることが出来なかった。
各々の評価を総合し、コーヒーホワイトナーの総合評価として表1に表した。尚、『○』は良好、『△』はやや良好、『×』は不良とした。大豆たん白素材Aではコーヒーホワイトナーにおける離水が抑えられていないが、大豆たん白素材Bでは離水率が抑えられる傾向にあり、大豆たん白素材Cでは、カゼインNa(比較例15)を下回る良好な離水率を示した。次に、大豆たん白素材C〜Fでは、コーヒーホワイトナー保存後の離水が抑制されており良好な性質を示した一方で、大豆たん白素材G〜Iは、加水分解のみ行なった分離大豆たん白である比較例16のフジプロCLEや比較例17の従来大豆たん白素材であるSupro710と同様に、保存後の離水率が30重量%を超えており、また乳化安定性が劣っていることが認められた。これより、還元糖の使用が効果的であることが判った。
プロテアーゼによる処理を行っていない未分解の大豆たん白素材Nは、フェザーリングが多く見られ且つ保存後に凝固してしまい、乳化安定性は非常に悪い事が認められた。一方、プロテアーゼによる処理を行った大豆たん白素材O〜R,T,Uは、特にOでフェザーリングは多く認められたが、保存後の離水は抑えられ、プロテーゼ処理は乳化安定性向上に非常に効果的であると認められた。また、0.22M TCA溶解率が30重量%を超える大豆たん白素材S,Vは、離水率がやや増加することが確認された。糖結合量の低い大豆たん白素材Uの離水率は高く、その乳化安定性は低いものだった。更に一段加熱を省いた大豆たん白素材αについては、β-コングリシニン(7S)及びグリシニン(11S)の一部が分解されずに、7Sと11Sの合計含量が蛋白質中の30%以上あるため、TCA可溶化率を15重量%以上,蛋白質溶解率を80重量%以上と適切な範囲としたにも関わらず、オイルオフ及びフェザーリングが発生し、保存後の離水が発生した(比較例12)。
以上の様に、TCA可溶化率と蛋白質溶解率および7S/11Sの含量から定めたコーヒーホワイトナーの適性と、TCA可溶化率と糖結合量から定めたコーヒーホワイトナーの適性とは、非常に関連していた。
○表1(大豆たん白素材の製造条件,大豆たん白素材物性とコーヒーホワイトナー物性)
Figure 2009084529
従来大豆たん白素材(Supro710)を全蛋白質中に30重量%用いた比較例18は、同素材を50重量%用いた比較例17よりコーヒーホワイトナー粘度が高く保存後離水率は改善されたが、まだ実用に耐え得るものではなかった。本発明の糖含有大豆たん白素材は、全蛋白質中に50重量%用いて使用できることから、従来の大豆たん白素材では使用が困難である、全蛋白質中の30重量%以上が大豆蛋白質であるコーヒーホワイトナーに於て、特に有効であることが判った。但し、本発明の糖含有大豆たん白素材である大豆たん白素材Uを全蛋白質中に70重量%用いた比較例19は、フェザーリングや保存後の離水が発生し、好ましくなかった。本発明の糖含有大豆たん白素材は、大豆蛋白質として全蛋白質中の60重量%以下で使用することで、特に効果的であると推察される。
○表2(各種大豆たん白素材とコーヒーホワイトナー物性)
Figure 2009084529
また、大豆たん白素材βおよびγは、糖タンパク質であるβ-コングリシニンに富むために、糖の結合量は300μmol/g proteinを超えている(表2)。しかし、βはTCA溶解率が低く、またフェザーリングが多く見られ且つ保存後に凝固してしまい、その乳化性は低いものだった。加水分解物であるγは、0.22M TCA溶解率を23.3重量%としたが、蛋白質溶解率が80重量%を下回り、保存後の離水は抑えられていないことから、Z同様に乳化性が低いものだった。乳化安定性を向上させるためには、内在の糖質ではなく、還元糖による反応が必要であることが確認された。
○表3(大豆たん白素材の製造条件,β-コングリシニン含量,大豆たん白素材物性とコーヒーホワイトナー物性)
Figure 2009084529
○粉末状コーヒーホワイトナーの調製
大豆たん白素材C、及びカゼインナトリウムをたん白素材とし粉末状コーヒーホワイトナーを調製した。水50重量部を70℃に加熱しリン酸2水素ナトリウムを0.8重量部溶解させ、ここに、上記たん白素材又はカゼインナトリウム等量混合物を5重量部添加し、シュガーエステル(DXエステルF160, 第一工業製薬(株)製)を1.0重量部、コーンシロップを18重量部、ブドウ糖を10重量部添加し攪拌混合した。さらに、この溶液に菜種硬化油15重量部添加して、90℃湯浴中で撹拌混合し水中油型乳化物を得た。上記のようにして得られた各水中油型乳化物を、ホモジナイザーを用いて100〜200kg/cm2の圧力で均質化させた後、これらを80℃,10分加熱して殺菌し、再度ホモジナイザーを用いて1次ホモ圧100〜300kg/cm2、2次ホモ圧50〜100kg/cm2の圧力で2段階均質化を行なった後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し、粉末状コーヒーホワイトナーを得た。
粉末状コーヒーホワイトナーの評価を表4に纏めた。実施例17及び比較例20(カゼインナトリウム)を用いた粉末状コーヒーホワイトナーは、オイルオフも観察されず、コーヒーに添加した時のフェザーリングは認められず、非常に良好な性質を示した。
○表4(大豆たん白素材と粉末状コーヒーホワイトナー物性の評価)
Figure 2009084529
○酸性たん白飲料の調製。
大豆たん白素材C、フジプロCLEをたん白素材とし酸性たん白飲料を調製した。水90部に上記たん白素材を0.6重量部添加し、全脂粉乳を2重量部、グラニュー糖5重量部、ソヤファイブDH(不二製油株式会社)を0.3重量部、香料0.04重量部添加し、十分に溶解させた。上記の様に調製した溶液をクエン酸でpH4.0に調製後、ホモジナイザーを用いて100〜200kg/cm2の圧力で均質化させ、これを140℃で4秒間加熱殺菌し、酸性たん白飲料を調製した。
○酸性たん白飲料の評価
<遠心後沈殿量>
調製した酸性たん白飲料を、空重量を測定した50mlの遠心チューブに40g程度添加し、重量を測定する。これを3,000rpmで10分間遠心分離を行い、上清部分を捨てて、沈殿の重量を測定した。
酸性たん白飲料の評価を表5に纏めた。大豆たん白素材Cを用いた酸性たん白飲料は遠心後沈殿量が0.2g程度と少なく、風味も良好であった(実施例18)。一方、従来大豆たん白であるフジプロCLEを用いた酸性たん白飲料では風味については良好であったが、遠心後沈殿量が1.5gと多く使用に適するものではなかった(比較例21)。
○表5(酸性たん白飲料の評価)
Figure 2009084529
○フラワーペーストの調製
大豆たん白素材C,フジプロCLE,または乳清たん白をそれぞれたん白素材とし、フラワーペーストを調製した。水40重量部に上記たん白素材を1重量部、パーム油を18重量部、グラニュー糖を15重量部、水飴を15重量部、脱脂粉乳を4重量部、『澱粉デリカSE』(日澱化学(株)社製)を4重量部加え、攪拌混合した。液温を50℃まで昇温後、乾燥卵黄(キューピー(株)社製)を3重量部加えて、60℃に達するまで攪拌混合し予備乳化した。これをホモジナイザーを用いて50kg/cm2の圧力で均質化させ、チーズニーダーにて80℃まで昇温し、冷却後評価を行った。さらに、フラワーペーストをパン生地中に充填し、焼成後パン内部におけるフラワーペーストの評価を行った。
フラワーペーストの評価を表6に纏めた。大豆たん白素材C(実施例19)及び乳清たん白(比較例22)を用いたフラワーペーストは、乳化生地及び焼成耐性に問題なく良好であった。一方フジプロCLEを用いたフラワーペースト(比較例23)では乳化不良であり、焼成耐性も弱く不良であった。
○表6 (大豆たん白素材を用いたフラワーペーストの評価)
Figure 2009084529
○シューマーガリンの調製
大豆たん白素材C、またはカゼインナトリウムをたん白素材としシューマーガリンの調製を行った。水20重量部に上記たん白素材を3.5重量部、精製塩を0.5重量部、リン酸カリウムを0.1重量部添加し攪拌混合した。同時に、ラード75重量部を60℃程度まで加温し、これにグリセリン脂肪酸エステルを0.2重量部、大豆レシチンを0.05重量部加え混合した。これらを混合しさらに攪拌混合し、コンビネーターにより急速捏和しシューマーガリンを得た。
○シュー生地の調製
水24重量部に、上記で得られたシューマーガリンを22重量部加え攪拌させながら加熱沸騰させた。加熱終了後薄力粉を13.5重量部、強力粉を3.5重量部、炭酸アンモニウムを0.2重量部、重曹を0.1重量部加え混合した。この後、攪拌しながら全卵を37.2重量部加え、十分に攪拌混合した。上記で得られたシュー生地を200℃で15分間加熱しシューを得た。
大豆たん白素材C及びカゼインナトリウムを原料とするシューマーガリンを用いたシュー生地の評価を表7に纏めた。大豆たん白素材C(実施例20)及びカゼインナトリウム(比較例24)を用いて作成したシューマーガリンを使用したシュー生地は、生地の乳化状態及び焼成後の風味どちらにおいても良好であった。
○表7 (大豆たん白素材を用いたシュー生地の評価)
Figure 2009084529
○粉末状乳化油脂の調製
大豆たん白素材C、フジプロCLE、またはカゼインナトリウムをそれぞれたん白素材とし粉末状乳化油脂を調製した。すなわち水40重量部に上記たん白素材を5重量部,ソルビトールを21重量部添加し攪拌混合した。同時に、菜種油20重量部を60℃程度まで加温し、エマルジーMS-A(理研ビタミン(株)社製)を10重量部、リケマールPB-100(理研ビタミン(株)社製)を2.5重量部、ポエムW-10(理研ビタミン(株)社製)を2重量部、SYグリスター(坂本薬品工業(株)社製)を0.5重量部添加し混合する。これらを混合し、さらに攪拌混合し、ホモジナイザーを用いて30〜200kg/cm2の圧力で均質化し、スプレードライヤーで噴霧乾燥した。
粉末状乳化油脂の評価を表8に纏めた。大豆たん白素材C(実施例21)及びカゼインナトリウム(比較例25)を用いた粉末状乳化油脂は、粉質良好で水に溶解させた時のオイルオフも見られず良好であった。一方フジプロCLE(比較例26)を用いて作成した粉末状乳化油脂は、粉質については良好であったが、水に溶解させた時にオイルオフが見られた。
○表8(大豆たん白素材を用いた粉末状乳化油脂の評価)
Figure 2009084529

Claims (15)

  1. 大豆たん白原料と還元糖を混合し、pH6.3〜8.0にて、100℃を超え170℃以下,10秒〜300秒の加熱処理を行い、続けて加水分解処理を行なう事を特徴とする、糖含有大豆たん白素材の製造方法。
  2. 還元糖を大豆たん白原料の乾燥重量当たり0.5重量%以上添加する、請求項1記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
  3. 大豆たん白素材が蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、0.22M TCA溶解率が5重量%以上である、請求項1記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
  4. 大豆たん白素材が蛋白質溶解率が80重量%以上である、請求項1記載の糖含有大豆たん白素材の製造方法。
  5. 蛋白質を乾燥重量で80重量%以上含み、0.22M TCA溶解率が5重量%以上且つ35重量%以下で、蛋白質1g当たり糖が180μmol以上結合している、糖含有大豆たん白素材。
  6. 蛋白質中ELISA法によるβ-コングリシニン含量が35%以下である、請求項5記載の糖含有大豆たん白素材。
  7. 蛋白質溶解率が80重量%以上である、請求項5記載の糖含有大豆たん白素材。
  8. 請求項5に記載の糖含有大豆たん白素材または請求項1に記載の方法で得られる糖含有大豆たん白素材を用いた、飲食物。
  9. 乳化組成物である、請求項8に記載の飲食物。
  10. コーヒーホワイトナー,フラワーペースト,マーガリン,乳化油脂から選ばれる何れかである、請求項9に記載の飲食物。
  11. 酸性たん白飲料である、請求項8に記載の飲食物。
  12. 0.22M TCA溶解率が15重量%以上且つ30重量%以下であり、蛋白質溶解率が80重量%以上であり、SDS-PAGEによる全蛋白質中のβ-コングリシニン及びグリシニンの合計含量が30%以下の、大豆たん白素材。
  13. コーヒーホワイトナー用である、請求項12記載の大豆たん白素材。
  14. 請求項12記載の大豆たん白素材を用いた、コーヒーホワイトナー。
  15. 大豆たん白素材が分離大豆たん白である、請求項14記載のコーヒーホワイトナー。
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