JP2002306064A - βグルカン含有油脂乳化組成物 - Google Patents

βグルカン含有油脂乳化組成物

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JP2002306064A
JP2002306064A JP2001119207A JP2001119207A JP2002306064A JP 2002306064 A JP2002306064 A JP 2002306064A JP 2001119207 A JP2001119207 A JP 2001119207A JP 2001119207 A JP2001119207 A JP 2001119207A JP 2002306064 A JP2002306064 A JP 2002306064A
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glucan
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Kazufumi Tsubaki
和文 椿
Hiroshi Sugiyama
宏 杉山
Yoshikazu Shoji
義和 東海林
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Adeka Corp
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 添加物による食味食感の低下がなく、優
れた健康機能性を有する油脂乳化組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明は、イネ科植物から抽出された
βグルカンを含有することを特徴とするβグルカン含有
油脂乳化組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネ科植物より抽
出したβグルカンを含有する油脂乳化組成物に関する。
詳しくは、従来より使用されている乳化剤の添加量を低
減、あるいは使用しなくても高い乳化安定性を示し、風
味、食感に優れたβグルカン含有油脂乳化組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】油脂と水を混合し分散させたことを特徴
とする乳化組成物を含む乳化食品は、食品分野で幅広く
利用されており、例えば、菓子やパンなどに一般的に使
用されているマーガリン、ファットスプレッド、バター
クリームをはじめ、菓子やパンのコーティング、パレッ
ピング、トッピング、フィリング材などとして使用され
るカスタードクリーム、フラワーペーストやホイップク
リームなどが挙げられる。この他、調味料として多用さ
れるマヨネーズ、ドレッシング、ホワイトソース、タル
タルソースがある。
【0003】近年では、食品に対する消費者のニーズ
は、多種多様・個性化の方向にあり、乳化食品において
も例外ではない。消費者は食品に対して、食味・食感に
優れ、「美味しい」ことはもちろんのこと、衛生・安全
性がより高いことを望んでおり、その上に、これまでに
ないような新たな食味・食感を有するもの、あるいは、
生体調節機能性を有した健康に配慮した食品であること
を求める傾向も強くなっている。一方、このような多様
化するニーズ、そして、消費者に根強い低価格指向への
対応として、食品加工の製造現場からは、加工適正や調
理特性により優れ、高品質で高機能性・多機能性を保持
し、しかも廉価な乳化食品の提供ニーズが高まってい
る。例えば、1)幅広い流通手段への適応性(冷凍・冷
蔵・チルド・常温)、2)ホイップ特性(オーバーラー
ン、起泡時間)、3)物性(耐熱保型性、冷凍保型耐
性、電子レンジ耐性)、4)生クリーム風味の増強、
5)良食味・好食感でありながら風味増強に寄与する乳
成分や卵成分の低減が可能であること、6)合成添加物
や合成乳化剤の低減によっても高機能性を維持すること
等である。
【0004】これまでに乳化食品の多機能化、高品質化
のために、多くの添加剤が開発されるとともに、多くの
組成物が提案されてきた。例えば、a)合成乳化剤、
b)天然乳化剤、c)酵素処理物あるいはd)増粘多糖
類を利用した乳化食品やその製造方法などである。
【0005】従来、a)合成乳化剤は、乳化安定性を上
げるためや、乳化食品の機能性を上げるために使用され
てきた。しかし近年の消費者は、安全や健康志向によ
り、合成の添加物であるこれらの乳化剤をなるべく含ま
ない乳化食品を求める傾向が強まっている。また、これ
ら乳化剤の添加により風味の発現が抑制されるという問
題があった。
【0006】また近年では、大豆レシチンや卵黄レシチ
ンあるいはキラヤサポニン、その他リゾレシチンなど、
b)天然乳化剤を利用した乳化食品やその製造方法が提
案されている。その他、卵、乳、小麦グルテンなどを酵
素分解した、c)酵素処理物が乳化機能性を有し、冷凍
耐性に優れた乳化食品(特開平8−131119号公
報)、電子レンジ耐性に有効な乳化食品が提案されてい
る(特開2000−316521号公報)。しかしなが
ら、これらの天然乳化剤や酵素処理物においても、苦み
や異味に起因した、乳化食品の食味低下という問題があ
った。
【0007】また、常温での耐熱保型性の保持、冷凍耐
性(離水防止)に優れた乳化食品に、d)増粘多糖類の
利用が有効であり、増粘多糖類を添加した組成物やその
製造方法が開発されている(特開平6−225720号
公報)。増粘多糖類の添加は、安定性や離水防止など、
機能性付与に寄与するが、一方において、比較的多量の
増粘多糖類を使用する必要があり、食感がねとついてし
まう、口溶けが悪いなどの問題点がある。
【0008】その他、合成保存料を低減する試みから、
酸性乳化組成物を保存料として利用する試みが提案され
ている(特開平9−23844号公報)。マヨネーズや
ドレッシングあるいはタルタルソースは、酢や酢酸を配
合した水中油型乳化食品であり、調味料として有用であ
るのみならず、食品の保存剤としての役割を発揮するこ
とができる。しかし、酢や酢酸は、刺激的臭気を伴う独
特の酸味があることから、使用対象となる食品が限ら
れ、また、使用量も制限され、保存剤としての機能を利
用するには限界があった。
【0009】他方、食事の西欧化や高齢化の進展によっ
て、近年では、生活習慣病の罹患率が増加しており、消
費者が自身の健康へ配慮し、生体調節機能性が付与され
た食品を積極的に摂取しようとの意識が浸透しつつあ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中、
乳化食品において、食味食感や風味発現の低下につなが
る上記に挙げた添加物の使用量を低減し、なるべく天然
物のみを使用することで乳化食品にかかわる課題を改善
する方法や、上記に上げた添加物を使用しても食味食感
の低下を抑えることが可能な、そのような天然物を中心
とした添加剤の開発が強く望まれていた。また、健康機
能性が従来の食品よりも高められた乳化食品に対するニ
ーズも高まっている。従って本発明の目的は、食味食感
の低下等がなく、高品質かつ高機能性であり、さらに優
れた健康機能性を有する油脂乳化組成物を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、イネ科植物から抽出されたβグルカンに
着目した。イネ科植物から抽出されたβグルカンは、1
−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D
−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラ
ノース結合及び1−6−β−D−グルコピラノース結合
のうちの少なくとも2種類以上の結合を有するβグルカ
ンであり(以下、本発明ではこれを抽出βグルカンとも
言う)、この抽出βグルカンは、近年その優れた生体調
節機能性、例えば、脂質代謝改善作用・整腸作用・血糖
値上昇抑制等が解析され、利用が注目されている素材で
ある。このような素材を加工食品にて広く利用すること
は、加工食品の機能性増強(高付加価値化)に寄与する
のみならず、広く国民の健康維持への貢献が期待され、
きわめて有意義なことである。本発明者らは、乳化食品
に健康機能性を付与することを目的に、イネ科植物から
抽出されたβグルカンを油脂乳化組成物に添加し、その
乳化安定性、冷凍耐性や電子レンジ耐性などの機能性へ
の影響について種々の検討を行ってきた。その過程にお
いて、βグルカンを油脂乳化組成物に添加することで、
合成乳化剤等を添加しなくても、また従来の天然乳化剤
等の量を低減しても、冷凍あるいは加熱条件下等の過酷
な条件においても乳化安定性に優れ、食味、食感に優れ
た高品質の油脂乳化組成物が得られることを見出した。
【0012】すなわち本発明は、油脂、水及び、1−2
−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グ
ルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノー
ス結合及び1−6−β−D−グルコピラノース結合のう
ちの少なくとも2種類以上の結合を有する、イネ科植物
から抽出されたβグルカンを含有することを特徴とする
βグルカン含有油脂乳化組成物を提供するものである。
【0013】また本発明は、βグルカンが、1−3−β
−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D−グル
コピラノース結合を有するものである前記βグルカン含
有油脂乳化組成物を提供するものである。
【0014】また本発明は、イネ科植物が、大麦又はオ
ーツ麦である前記βグルカン含有油脂乳化組成物を提供
するものである。
【0015】また本発明は、乳化剤を含有しないことを
特徴とする前記βグルカン含有油脂乳化組成物を提供す
るものである。
【0016】また本発明は、卵、乳、大豆、イネ科穀類
の由来物またはそれらの酵素処理物からなる群から選ば
れる成分を1種類以上含有することを特徴とする前記β
グルカン含有油脂乳化組成物を提供するものである。
【0017】また本発明は、水中油型乳化組成物である
前記βグルカン含有油脂乳化組成物を提供するものであ
る。
【0018】また本発明は、油中水型乳化組成物である
前記βグルカン含有油脂乳化組成物を提供するものであ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明には、1−2−β−D−グ
ルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノー
ス結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合及び1
−6−β−D−グルコピラノース結合のうちの少なくと
も2種類以上の結合を有する、イネ科植物から抽出され
たβグルカン(抽出βグルカン)が用いられる。該抽出
βグルカンは、その抽出方法に特に制限はなく、抽出原
料となるイネ科植物に、抽出溶媒を添加し抽出すればよ
い。また、固液分離された場合の抽出液そのもの、ある
いは、抽出液より公知の方法で抽出されたβグルカンを
濃縮した液体や固体状のもの、あるいは、抽出液より公
知の方法で精製し純度を上げた液体や固体状のものな
ど、何れの製造方法で得たものでも、何れの形態のもの
でも、何れの純度のものでも使用可能である。もちろん
βグルカン以外の抽出された成分が混合していてもなん
ら問題はない。
【0020】上記抽出βグルカンを得るためのイネ科植
物の例としては、米類・小麦類・トウモロコシ類、モロ
コシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類
(カラス麦類)、ライ麦類等の穀類を挙げることができ
る。抽出には、植物全体を原料とすることができるが、
βグルカンの含有量の比較的高い種子を用いるのが好ま
しい。また、全体を粉砕したもの(全粒粉)をはじめ、
穀類の精製工程で得られる糠、フスマ、麦芽、胚芽、胚
乳部位の何れを用いてもよい。好ましくは大麦類やオー
ツ麦類の全粒粉や穀粒を外周部より搗精した胚乳部分や
その際発生する糠、米糠、小麦やトウモロコシ類のフス
マや胚芽等であり、さらに好ましくは大麦類やオーツ麦
類の全粒粉や穀粒を外周部より搗精した胚乳部分やその
際発生する糠である。
【0021】上記抽出βグルカンは、1−2−β−D−
グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノ
ース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合及び
1−6−β−D−グルコピラノース結合のうちの少なく
とも2種類以上の結合を有するβグルカンであり、1−
3−β−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D
−グルコピラノース結合を有するβグルカンを含有する
ことが好ましい。
【0022】上記抽出βグルカンのイネ科植物からの抽
出方法を説明すると、本発明で用いられるβグルカン
は、水溶性高分子であるので水溶液として溶解させるこ
とができ、例えばイネ科植物の穀類粉末に水、温水、熱
水あるいは塩溶液、さらには酸・アルカリ性の水溶液、
有機溶媒などを用いて、対粉2〜100倍量の溶媒にて
任意の時間・任意の温度で抽出することができる。さら
に抽出液を固液分離してβグルカンを得ることができ
る。なかでも、水、温水または熱水で抽出されたβグル
カンが好ましく、温度80℃以下4℃以上の温水で抽出
されたβグルカンがより好ましい。さらに抽出時に抽出
促進剤などを加えてもよい。
【0023】上記抽出方法としては具体的には、例えば
大麦から高分子量のβグルカンを得る方法としては、多
ろう質大麦を原料とし、水抽出により製造する方法(特
公平4−11197号公報)、大麦、オーツ麦を原料と
して、アルカリ抽出、中和、アルコール沈殿により、重
量平均分子量10万〜100万のβグルカンを得る方法
(特公平6−83652号公報)、搗精歩留まり82%
以下の大麦糠類を原料として、80〜90℃の熱水にて
βグルカンを抽出する方法(特開平11−225706
号公報)などが知られている。これらの抽出方法で得ら
れたβグルカンをさらに公知の方法で低分子化βグルカ
ンとすることができる。低分子化の方法としては、公知
である多糖類の加水分解反応の何れもが利用可能であ
る。例えば、水溶性多糖類は、酸存在下に加圧加熱によ
り加水分解することが知られており、これを利用して低
分子化することができる。また、酵素による加水分解反
応を利用した低分子化も有効で、酵素としては、1−3
−βグルカナーゼなどを用いることができる。また、W
O98/13056号公報、特願2000−28792
0号等の方法により、原料穀物から直接抽出して得るこ
ともできる。また、特願2000−295660号に記
載の抽出促進剤などを使用してもよい。
【0024】本発明に用いられる抽出βグルカンは高分
子体で、いずれの平均重量分子量を持つβグルカンも使
用可能であるが、分子量の低下とともに、水への溶解性
や分散性が向上し、適度な粘性を有し、食味食感の低下
がなくなる傾向があり、分子量300万以下、好ましく
は50万以下、さらに好ましくは10万以下のものがよ
い。抽出されたβグルカンは、公知の方法で低分子化し
てもよく、直接低分子量のβグルカンを抽出してもよ
い。
【0025】なお、イネ科植物から抽出し精製を行わ
ず、抽出液をそのまま、あるいは粉体化、固体化処理の
みを行なったものをそのまま使用する場合、該成分中の
βグルカンの純度は、高純度であれば、ある程良いが、
1〜100%、好ましくは10〜100%、さらに好まし
くは20〜100%がよい。
【0026】抽出βグルカンの配合量は、油脂乳化組成
物中、好ましくは0.005〜20重量%、更に好まし
くは0.5〜5重量%である。
【0027】本発明に用いられる油脂は、いずれでもよ
く、例えば、米油、菜種油、大豆油、綿実油、パーム
油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、魚油、牛脂、豚
脂、カカオ脂、あるいはそれらを必要に応じ加工した硬
化油、微水添油、異性化水添油、エステル交換油、分別
油またはこれらの2種以上の加工を行った油、並びにこ
れらの油脂の2種以上を混合した油脂等の何れも使用可
能である。
【0028】また本発明の油脂乳化組成物は、水中油型
乳化物(O/W乳化物)、油中水型乳化物(W/O乳化
物)、更には、O/W/O乳化物、W/O/Wの2重乳
化物、またはそれ以上の高次乳化構造のエマルジョンを
含むのいずれでもよい。それらの具体的な例をあげる
と、マーガリン、ファットスプレッド、バタークリー
ム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ホイップ
クリーム、マヨネーズ、ドレッシング、ホワイトソー
ス、タルタルソースなどをはじめ、アイスクリーム用、
コーヒー用、洋菓子用などに使用する牛乳クリーム(生
乳、牛乳又は、牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去した
ものを主成分としたもの)や、料理用のクリーム(生ク
リーム、クレーム・シャンティまたはクレーム・フェテ
ー、アントルメ・料理菓子用、パティスリー・こね粉菓
子用、バタークリーム、クレーム・パティシェール、ク
レーム・ア・ラングレーズ、クレーム・サントノレ)等
があげられ、いずれも優れた乳化安定性と、風味、食感
の優れた油脂乳化組成物が得られる。また、マヨネーズ
等の酸性水中油型乳化物の場合、酢なれ効果を発揮し、
自然な酢の風味を出すことができる。
【0029】油脂の配合量は、特に限定されず、目的と
する乳化組成物に合わせて、その配合量を決定すればよ
いが、例えば、水中油型乳化組成物の場合、好ましくは
4〜85重量%、更に好ましくは4〜70重量%、一層
好ましくは4〜50重量%であり、油中水型乳化組成物
の場合、好ましくは40〜95重量%、更に好ましくは
45〜90重量%、一層好ましくは50〜80重量%で
ある。
【0030】本発明の水の含有量は、特に限定されず、
目的とする乳化組成物に合わせて、その配合量を決定す
ればよいが、例えば、水中油型乳化組成物の場合、好ま
しくは15〜95重量%、更に好ましくは30〜95重
量%であり、油中水型乳化組成物の場合、好ましくは5
〜45重量%、更に好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0031】本発明のβグルカン含有油脂乳化組成物の
製造方法は、βグルカンを水相部及び/又は油相部に添
加し、得られた水相部と油相部とを通常の方法で乳化す
ればよい。
【0032】また、得られた本発明の油脂乳化組成物
は、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサ
ー、コロイドミル等の均質化装置により、均質化しても
よい。また、必要により、インジェクション式、インフ
ージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チ
ューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたU
HT、HTST、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱
等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の
加熱調理により加熱してもよい。また、必要により、再
度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷
却等の冷却操作を施してもよい。また、必要によりエー
ジングを行ってもよい。更に、得られた本発明の油脂乳
化組成物は、必要により冷蔵状態もしくは冷凍状態で保
存してもよい。
【0033】本発明のβグルカン含有油脂乳化組成物の
製造にあたり、各原料の乳化、均質化、混合や調製に、
通常使用する各種の混合・混練・攪拌機を用いることが
でき、特に限定されない。例えば、プロペラ型攪拌機、
往復回転型攪拌機、オリフィス混合機、かい型攪拌機、
撹拌型乳化機(ホモミキサー)、カッターミキサー、コ
ニーダー、コンチェ機、サイレントカッター、ジェット
ミキサー、真空攪拌機、スクリュー型混合機、スタティ
ックミキサー、カッティングミキサー、超音波乳化機、
ニーダー、ロール、ハイドロッシャー、パイプラインミ
キサー、ユニバーサルミキサー、ピン・マシン、コロイ
ドミル、ホモジナイザー(高圧均質機)、高圧ホモジナ
イザー、ボールカッター、リボンミキサーなどを挙げる
ことできる。好ましくは撹拌型乳化機(ホモミキサー)
および、または、ホモジナイザー(高圧均質機)、高圧
ホモジナイザー、コロイドミルを使用するのが好まし
い。また加熱、冷却工程に用いられる装置としては、コ
ンサーム掻き取り式熱交換器(テトララバルフード社
製)、サーモシリンダ(岩井機械社製)、掻き取り式熱
交換器(イズミフードマシナリ社製)、CP−ロータプ
ロ掻き取り式熱交換器(APV社製)、ターロサム掻き
取り式熱交換器(Terlet社)などの掻き取り式熱
交換器の間接加熱方式や、スチームノズル(岩井機械社
製)、ノリタケクッカー(ノリタケカンパニー社製)、
スチームインジェクション(テトラパック社製)などの
スチームインジェクション式の直接加熱方式などを用い
ることができる。
【0034】本発明のβグルカン含有油脂乳化組成物
は、従来の乳化剤、特に合成乳化剤を使用しなくても、
優れた乳化安定性と冷凍耐性や電子レンジ耐性、優れた
食味、食感を有し、さらには健康調節機能を有する油脂
乳化組成物である。もちろん、天然乳化剤、酵素処理
物、増粘多糖類等の乳化、安定化効果を有する他の成分
を配合してもよく、例えば、卵、乳、大豆、イネ科穀類
の由来物またはそれらの酵素処理物が挙げられる。
【0035】これらの天然乳化剤、酵素処理物の例とし
ては、レシチン類(大豆レシチン、卵黄レシチン)、卵
(全卵、卵白、卵黄)、牛乳、大豆などの粉砕物や乾燥
物、小麦粉や大麦粉などの穀類粉、あるいは、これらの
食品素材より分離された蛋白質類(卵蛋白、脱脂粉乳、
乳蛋白、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリ
ン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、乳清蛋白、カゼ
イン、カゼインナトリウム、その他の乳蛋白質、卵白ア
ルブミン、オボムコイド、低密度リポ蛋白質、高密度リ
ポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、コン
アルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グルテン、グ
リアジン等の小麦蛋白質、ツエーン、グルテニン、プロ
ラミン等の穀類由来の蛋白質、大豆分離蛋白、その他動
物性及び植物性蛋白質等の蛋白質)、蛋白質と多糖の複
合体、生乳、調製加工乳、濃縮乳、生羊乳などから乳脂
肪分以外の成分を除去したもの、などを乳化剤として使
用することができる。また、これらの素材を酵素と接触
反応させることで得た酵素処理物、例えば、大豆蛋白加
水分解物、小麦蛋白加水分解物、乳蛋白加水分解物、卵
蛋白加水分解物などを使用することができる。これらの
1種または2種以上を組み合せて使用することも、添加
量を適宜変更し使用することもでき、その添加量は特に
限定されず、一般的な量であることができ、本発明の組
成物中、例えば、0.01〜15重量%である。
【0036】上記酵素処理物を得るために使用可能な酵
素とは、卵、牛乳、大豆、穀類素材を改質し、乳化機能
性を向上させるのに効果があると期待されるものであれ
ばいずれでもよく、アミラーゼ類(αアミラーゼ、βア
ミラーゼ、グルコアミラーゼ)、セルラーゼ類(セルラ
ーゼ、ヘミセルラーゼ)、プロテアーゼ類、リパーゼ類
(リパーゼ、ホスホリパーゼ)、その他、グルコースオ
キシターゼ、リポキシゲナーゼ、ラクターゼ、インベル
ターゼ、ペントナーゼ、ペクチナーゼ、カタラーゼ、ア
スコルビン酸オキシダーゼ、スルフィドリルオキシダー
ゼ、ヘキソースオキシダーゼ、などがあげられる。アミ
ラーゼ類とはα−アミラーゼ、イソアミラーゼ、及びグ
ルコアミラーゼからなる群から選ばれた1種又は2種以
上のアミラーゼであり、Bacillus属、Pseudomonas 属、
Aspergillus 属、Rhizopus属、Klebsiells属由来のもの
が好ましい。
【0037】上記穀類粉末の例としては、米類・小麦類
・トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ
類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等の
穀類を粉体としたもの、製粉したものなどいずれも使用
することができる。小麦粉は強力粉、準強力粉、中力
粉、薄力粉、デュラム粉のいずれも使用でき、その他、
そば粉、大豆粉、きな粉も使用できる。
【0038】また増粘多糖類の例としては、いずれも使
用でき、例えば、プルラン、サイリウム、アラビアガ
ム、ジェランガム、グルコマンナン、グアーガム、キサ
ンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン
酸のアルカリ金属塩、ファーセルラン、ローカストビー
ンガム、ペクチン、カードラン、結晶セルロース、CM
C、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストランおよ
びそれらの低分子化物などが挙げられる。また、これら
の1種または2種以上を組み合わせて使用することもで
きる。増粘多糖類の含有量は、好ましくは0.1〜5
%、さらに好ましくは0.5〜3%である。該増粘多糖
類の含有量が0.1%未満では保型性の悪いものとな
り、また5%超では硬く、口溶けの悪いものとなる傾向
があるので好ましくない。
【0039】また、本発明のβグルカン含有油脂乳化組
成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外
の乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤等の食品添加物や
食品を添加することも可能である。これらは食用であれ
ば特に限定されず、乳化剤としては、例えば、脂肪酸モ
ノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステル、シュガーエステル等が挙
げられ、増粘剤、安定剤としては、例えば、澱粉、化工
澱粉、各種α化デンプン等が挙げられる。その他、ブド
ウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元
澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還
元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、ト
レハロース、キシロース、キシリトール、マルチトー
ル、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ
糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、
ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ
糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類、リン酸塩(ヘ
キサメタリン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸
のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)等の安定
剤、食塩、岩塩、海塩、塩化カリウム等の無機塩類、酢
酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ
酸、アスコルビン酸等の酸味料、β―カロチン、カラメ
ル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等
の酸化防止剤、ミルクフレーバー、バニラフレーバー、
バニラエッセンス、チョコフレーバー、イチゴフレーバ
ー、チーズフレーバー等の香料、乳製品、調味料、pH
調整剤、酵素、食品保存料日持ち向上剤、果実、果汁、
コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココ
アパウダー等があげられ、これらの2種以上の併用も可
能である。これらの添加剤の添加量は特に限定されず、
一般的な量であることができ、本発明の組成物中、例え
ば、0.01〜15重量%である。
【0040】また、油脂乳化組成物の酸化安定性を向上
させるために、特にトコフェロールを含有させることが
好ましい。
【0041】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、「部」は特記しない限り全て「重量部」を
示し、「%」は特記しない限り「重量%」を示す。
【0042】〔試験例1〕(βグルカン含有量の測定) βグルカンの分析は、メガザイム社のβグルカン測定キ
ットを用いて、McCleary法(酵素法)にて行っ
た。まず、測定サンプルが粉体の場合、500μm(3
0メッシュ)のふるいにかけ、水分含量を測定し、その
100mgを17mlチューブに取り、50%エタノー
ル溶液を200μl加え、分散させた。次に4mlの2
0mMリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、よく混合し
た後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合
し、更に2分間、湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、
5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液
(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン
酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10
U)を加え、1時間、50℃にて反応させた。チューブ
に200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、5ml加え
て、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離に
て上清を得た。100μlを3本のチューブに取り、1
本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)
を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシ
ターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの5
0mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、5
0℃にて10分間、反応させた。3mlのグルコースオ
キシターゼ/ベルオキシターゼ溶液を加えて、50℃に
て20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける
吸光度(EA)を測定した。βグルカン含有量は、次式
により求めた。 βglucan(%,W/W)=(EA)×(F/W)
×8.46 F=(100)/(グルコース100μgの吸光度) W=算出された無水物重量(mg) また、測定サンプルがβグルカンを抽出した抽出液(液
体)の場合は、以下のように抽出物(固体あるいは粉
末)としてから含有量を測定した。すなわち、βグルカ
ン抽出液に2倍量のエタノールを添加しよく混合してか
ら遠心分離にて沈殿を回収し、よく乾燥させ粉砕し、β
グルカン抽出物(固体)とした。βグルカン抽出物は、
水分含有量を測定後、メガザイム社のβグルカン測定キ
ットを用いて、McCleary法(酵素法)にて分析
した。各沈殿サンプル50mgを17mlチューブに取
り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させ
た。その後は上記と同様に測定した。
【0043】〔試験例2〕(分子量の測定) 抽出物の分子量測定は、以下の通りとした。すなわち、
抽出物の5mgをチューブに取り、0.5mlの蒸留水
を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22μmのフィ
ルターを通してHPLC用のサンプルとした。分離には
HPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックド
カラムKS−805(昭和電工社製)を用い、流速0.
6ml/min.、温度50℃、検出にはRI検出器、
分離溶媒は水で実施した。分子量マーカーとしてはSh
odexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用
いて測定した。抽出βグルカンが抽出液(液体)の場合
は、まず、2倍量のエタノールを加え、−20℃に冷却
して1時間、放置し、沈殿を得た。得られた沈殿の5m
gをチューブに取り、以下、抽出物の場合と同様に操作
して、分子量を測定した。
【0044】〔βグルカン原料及び抽出促進剤の製造
例〕もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、歩留まり
82%まで精麦した。このとき発生した糠を糠―1とし
た。歩留まり82%まで精麦した大麦は、さらに研削式
搗精機により削り、歩留まり55%まで精麦した。この
とき発生した糠を粉砕物−1とした。容器(50L)に
水道水20Lを加え、撹拌しながら、15℃に調温し
た。これに糠―1の6kgを加え、2時間撹拌抽出し、
連続遠心機にて固液分離後、上清を凍結乾燥し、抽出促
進剤450gを得た。
【0045】〔βグルカンの抽出例〕容器(70L)に
水道水30Lを加え、撹拌しながら、上記抽出促進剤を
150g加え、溶解後、上記粉砕物―1の7.5kgを
加えた。2時間、50℃で撹拌抽出してから連続遠心機
にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、
冷却後に15Lのわずかに粘調なβグルカン液を得た。
得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈
殿を回収、乾燥させて、抽出βグルカン460gを得
た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は9
1%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は、
分子量20万〜1万に検出され、最大ピークは、分子量
4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβ
グルカンであることを確認した。
【0046】実施例1 50.5重量%の温水(60℃)に、抽出βグルカンを
0.5重量%分散し、60℃に調温した49重量%のパ
ーム油を分散して乳化した。次に、この乳化物を60℃
の温度で、100kg/cm2 の圧力で均質化した後、
掻き取り式熱交換機(回転数1200r.p.m.)を
用いて100℃まで加熱した。これを5℃まで冷却後、
24時間エージングを行い、水中油型乳化組成物を調製
した。得られた水中油型乳化組成物は、ミキサーで攪拌
した後、60℃に調温し、これを毎分3000回転の回
転速度にて20分間遠心分離した後も、油の分離を起こ
さず、物理的ならびに熱的ストレスに対しても高い乳化
安定性を有していた。
【0047】実施例2 ホエイタンパク濃縮物(β−ラクトアルブミン、α―ラ
クトアルブミンを主成分とする。蛋白質含有量80重量
%)1重量%を溶解した49.5重量%の温水(60
℃)に、抽出βグルカンを0.5重量%分散し、60℃
に調温した49重量%のパーム油を分散して乳化した。
次に、この乳化物を60℃の温度で、100kg/cm
2 の圧力で均質化した後、掻き取り式熱交換機(回転数
1200r.p.m.)を用いて100℃まで加熱し
た。これを5℃まで冷却後、24時間エージングを行
い、水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中油型
乳化組成物は、ミキサーで攪拌した後、60℃に調温
し、これを毎分3000回転の回転速度にて20分間遠
心分離した後も、油の分離を起こさず、物理的ならびに
熱的ストレスに対しても高い乳化安定性を有していた。
【0048】比較例1 実施例1で添加した抽出βグルカンを加えず、且つ温水
を51重量%使用する外は、実施例1と同一配合、同一
工程にて水中油型乳化組成物を調製した。得られた水中
油型乳化組成物は、実施例1と同条件にてミキサーで攪
拌したところ油分の分離を生じ、60℃に調温したもの
を毎分3000回転にて20分間遠心分離したところ相
分離を起こし、油の分離が顕著であり、物理的ならびに
熱的ストレスに対する乳化安定性は認められなかった。
【0049】比較例2 実施例1で添加した抽出βグルカンに代えて、ショ糖脂
肪酸エステル(HLB16)を0.5重量%添加した以
外は、実施例1と同一配合、同一工程にて水中油型乳化
組成物を調製した。また、実施例1と同様の方法で乳化
安定性についても評価を実施した。得られた水中油型乳
化組成物は、ミキサーで攪拌後60℃に調温したものを
毎分3000回転にて20分間遠心分離したところ、油
の分離が顕著であり、物理的及び熱的ストレスに対する
乳化安定性は認められなかった。
【0050】比較例3 実施例1で添加した抽出βグルカンに代えて、グリセリ
ン脂肪酸エステル(HLB4.3)を0.5重量%添加
した以外は、実施例1と同一配合、同一工程にて水中油
型乳化組成物を調製した。また、実施例1と同様の方法
で乳化安定性についても評価を実施した。得られた水中
油型乳化組成物は、ミキサーで攪拌後60℃に調温した
ものを毎分3000回転にて20分間遠心分離したとこ
ろ、油の分離が顕著であり、物理的及び熱的ストレスに
対する乳化安定性は認められなかった。
【0051】実施例3 56.6重量%の温水(60℃)に、抽出βグルカンを
0.4重量%分散し、60℃に調温した43重量%のパ
ーム油を分散して乳化した。次に、この乳化物を60℃
の温度で、100kg/cm2 の圧力で均質化した後、
掻き取り式熱交換機(回転数1200r.p.m.)を
用いて100℃まで加熱した。これを5℃まで冷却後、
24時間エージングを行い、水中油型乳化組成物を調製
した。さらに、得られた水中油型乳化組成物を−20℃
で24時間冷凍した。冷凍した水中油型乳化組成物を1
5℃で解凍したところ油の分離は生じず、冷凍処理に対
しても高い乳化安定性を有していた。
【0052】比較例4 実施例3で添加した抽出βグルカンを加えず、且つ温水
を57重量%使用する外は、実施例3と同一配合、同一
工程にて水中油型乳化組成物を調製した。さらに、得ら
れた水中油型乳化組成物は、実施例3と同条件にて冷凍
した。冷凍した水中油型乳化組成物を15℃で解凍した
ところ油分の分離を生じ、冷凍処理に対する乳化安定性
は認められなかった。
【0053】実施例4 加塩卵黄(食塩含量8重量%)を水酸化ナトリウムにて
pH8.4に調整し、この加塩卵黄100重量部に対し
て豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.015重量部
加え、40℃にて6時間処理し、次いでブロメライン
0.001重量部を加え、45℃にて5時間反応させ、
10℃まで冷却し、水分46重量%の酵素処理卵黄を得
た。水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量
%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重
量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.
1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、から
し粉0.5重量%、及び前記酵素処理卵黄10重量%を
混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量
%、抽出βグルカン1.5重量%、及びワキシーコーン
をリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して
油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加
え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて
乳化し、水分55重量%の本発明のβグルカン含有酸性
水中油型乳化物を得た。この酸性水中油型乳化物50g
を100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの
電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を
調べた。その結果、油分離もなく、保形成も良好であ
り、クリーミーな食感であり、良好なマヨネーズ風味で
あった。また、酸性水中油型乳化物50gを100ml
ビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、
冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30
秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結
果、油分離もなく、保形成も良好であり、クリーミーな
食感であり、良好なマヨネーズ風味であった。
【0054】実施例5 融点34℃の魚硬化油80重量%、大豆油15重量%、
融点25℃のパーム軟質油5重量%からなる配合油8
1.3重量%にレシチン0.1重量%、抽出βグルカン
0.1重量%を添加し、60℃程度に加温した油相を用
意した。一方、水16重量%、脱脂粉乳1重量%、実施
例4と同様の方法で得た酵素処理卵黄1重量%、食塩
0.5重量%からなる水相を用意した。そして上記油相
に上記水相を徐々に加えながら充分に攪拌混合して油中
水型に乳化し、常法に従い、殺菌、急速可塑化して練り
込み用マーガリンを得た。得られた練り込み用マーガリ
ンの乳化安定性(練り込み用マーガリンを5℃、24時
間エージング後、スパチュラで上から圧力をかけたとき
の離水の有無)、風味についての評価を行なった。その
結果、離水はみられず、風味も良好であった。
【0055】
【発明の効果】本発明の抽出βグルカンを含有する油脂
乳化組成物は、優れた乳化安定性と良好な食感・口溶け
・風味を有する。また、従来、乳化組成物の調製に使用
されている各種品質改良効果を有する添加剤の量を低
減、あるいは使用しなくても、従来と同様の効果を得
て、乳化組成物の食味食感の向上に寄与し、製品の風味
を損なうことがない。さらに、消費者の望む天然物指
向、安全・健康志向に合致した、乳化食品の提供を可能
にするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B026 DC05 DL03 DL05 DL07 DL08 DX04 DX05 4B035 LC06 LG20 LG54 LK13 4B047 LB09 LG26 LG66 LP03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂、水及び、1−2−β−D−グルコピ
    ラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結
    合、1−4−β−D−グルコピラノース結合及び1−6
    −β−D−グルコピラノース結合のうちの少なくとも2
    種類以上の結合を有する、イネ科植物から抽出されたβ
    グルカンを含有することを特徴とするβグルカン含有油
    脂乳化組成物。
  2. 【請求項2】βグルカンが、1−3−β−D−グルコピ
    ラノース結合及び1−4−β−D−グルコピラノース結
    合を有するものである請求項1記載のβグルカン含有油
    脂乳化組成物。
  3. 【請求項3】イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である請
    求項1又は2に記載のβグルカン含有油脂乳化組成物。
  4. 【請求項4】乳化剤を含有しないことを特徴とする請求
    項1〜3の何れかに記載のβグルカン含有油脂乳化組成
    物。
  5. 【請求項5】卵、乳、大豆、イネ科穀類の由来物または
    それらの酵素処理物からなる群から選ばれる成分を1種
    類以上含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか
    に記載のβグルカン含有油脂乳化組成物。
  6. 【請求項6】水中油型乳化組成物である請求項1〜5の
    何れかに記載のβグルカン含有油脂乳化組成物。
  7. 【請求項7】油中水型乳化組成物である請求項1〜5の
    何れかに記載のβグルカン含有油脂乳化組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004001053A1 (ja) * 2002-06-25 2003-12-31 Asahi Denka Co., Ltd. βグルカン含有油脂組成物及びβグルカンを生産する新規微生物
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