JP2018000137A - 水種生地 - Google Patents

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Abstract

【課題】やわらかくしっとりとした食感が得られ、良好な口溶けを有する平鍋焼き菓子が得られる水種生地の提供。
【解決手段】水溶性多糖類及び食用油脂を含有し且つ連続相を水とするゲル組成物を穀物類100質量部に対して1〜20部含有させ、且つ抱気した水種生地。水溶性多糖類が、アルギン酸及び/又はアルギン酸塩を含有し、さらに、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が0.5質量%以上である食品素材を含有する水種生地。
【選択図】なし

Description

本発明は、水種生地に関する。
平鍋焼き菓子とは、平鍋や一文字鍋と呼ばれる鉄板又は各種の型を用いて穀粉類と同量以上の水分を含有する液状〜流動状の生地を焼き上げてなる菓子であり、例えばどら焼きやあゆ焼、もみじ焼、ワッフル、たい焼き、大判焼き、今川焼きなどがある。この平鍋焼き菓子に用いられる生地の基本的な配合は、卵類、穀粉類、糖類を等量使用し(三同割り)をベースに、上記のように穀粉類と同量以上の水分となるように調整することから、水種生地と呼ばれるものである。
従来の水種生地は、撹拌時の泡立ての程度が過ぎると泡の目の粗いパサついた焼き上がりになりがちである為、生地調製の際に十分立てまで泡立てないことや、膨張剤として重曹の使用が一般的であること等の特徴を有しており、卵の起泡力を利用する洋菓子のスポンジケーキ類の生地とは、当業者の間で明確に区別されてきた。
食感においては、柔らかでしとり感のある口あたりや口溶け等に特徴のある平鍋焼き菓子の改良を行うために、製造条件の調整や、水種生地中の卵類や糖類の配合量や比率の調整が行われてきたが、それらによる改良だけでは限界があり、三同割りの水種生地の生地配合をベースに、更なる生地改良手法の検討が行われてきた。
製造方法の面から改良を検討した例として、先んじて平鍋焼き菓子用の生地中の小麦粉を熱水で捏ねあげる製造方法が挙げられる(特許文献1)。
しかし、この方法では、パン様の内相になり、食感も弾力強くもっちりした歯切れの悪い平鍋焼き菓子となってしまう問題があった。
また、処方の面から改良を検討した例として、ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体を生地に加える方法(特許文献2)や、膨張剤の代わりにイースト菌などの微生物の発酵を利用する方法(特許文献3)、水不溶性の食物繊維と増粘多糖類とHLB5以下の食品用界面活性剤を水種生地に加える方法(特許文献4)、ラクチトールを生地に加える方法(特許文献5)が挙げられる。
しかし、特許文献2の手法では歯切れよい食感は得られるものの、柔らかなしとり感のある口当たりが得られにくかった。特許文献3の方法では、発酵種に応じた発酵工程をとる必要があり製造に時間を要する上、元来発酵工程をとらない平鍋焼き菓子に発酵風味が付与されてしまう等の課題があった。特許文献4の方法では、水種生地の粘度が上昇し、歯切れの悪い、ヒキのある皮となるおそれがあった。また、水種生地を構成する糖類にラクチトールを含有させることを特徴とする特許文献5の方法では、焼成後の生地のウキ改善効果が得られるだけの量のラクチトールを含有させた場合、ラクチトールは砂糖の40%程度の甘味しか有さないために、焼成後の生地のウキは改善されるものの、得られる皮の呈味を損なうおそれがあった。
ところで、ベーカリー製品の風味・食感を改良する手法のひとつとして、生地中に油脂を含有させる方法が一般的であり、改良効果も大きいため広く用いられている。水種生地においても同様に、油脂を乳化させた形態で加える方法(特許文献6、7)が提案されてきた。
しかし、特許文献6及び7では、油脂が水種生地中に細かな粒子として分散されないために、経時的な食感の改善が十分に為されないばかりか、対穀粉類の水分量が多いことが特徴である水種生地を休めておくと油脂が分離してくる等、生地の安定性に問題があった。
故に、平鍋焼き菓子の食感改良を行う方法には未だ検討の余地があった。
特開2003−070414号公報 特開2005−304373号公報 特開2002−051687号公報 特開平7−111855号公報 特開平6−165633号公報 特開平2−154642号公報 特開2002−010730号公報
よって本発明の目的は、やわらかくしっとりとした食感が得られ、良好な口溶けを有する平鍋焼き菓子が得られる水種生地を提供することにある。
上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、水溶性多糖類及び食用油脂を含有し且つ連続相を水とするゲル組成物を含有させ、且つ抱気した水種生地が、油脂分を含んでなお生地安定性に優れていることを知見した。
また該生地を加熱することにより得られる平鍋焼き菓子の内層のキメが細かく、また膜が薄くなっており、これに伴って、平鍋焼き菓子のやわらかさやしとり感、口溶けが向上されていることを知見し、上記課題を解決し得る本発明の完成に至った。
本発明の水種生地を用いることで、やわらかくしっとりとした食感や良好な口溶けを有し、かつ緻密な内層を有する平鍋焼き菓子を得ることができる。
本発明における平鍋焼き菓子とは、穀粉類と同等以上の水分を含有することを特徴とする水種生地を、平鍋や一文字鍋、鉄板やフライパン、各種の型を用いて焼き上げてなる菓子を指し、クレープやガレット、パンケーキ等が挙げられる。また、小豆餡やカスタードクリーム、ジャムのようなフィリングを挟み込んだり注入する場合もあり、どら焼きやあゆ焼、もみじ焼、ワッフル、たい焼き、まんじゅう、大判焼き、今川焼き等も本発明の平鍋焼き菓子として挙げられる。本明細書内ではフィリングの有無やその形状、製造方法を問わず、これらを総じて「平鍋焼き菓子」と呼称する。
まず、本発明の水種生地中に含有されるゲル組成物について述べる。
本発明の水種生地は、水種生地に含有される穀粉類100質量部に対して、下述する水溶性多糖類及び食用油脂含有し且つ連続相を水とするゲル組成物が1〜20質量部、好ましくは2〜17質量部、より好ましくは3〜13質量部含有される。ゲル組成物の含有により、平鍋焼き菓子に求められるやわらかくしとり感のある食感がより強化されるだけでなく、平鍋焼き菓子に頻用される小豆餡やカスタードクリームといった比較的高粘度のフィリングとの口溶けの一体感が向上する。
上記ゲル組成物を構成する水溶性多糖類としては、特に制限は無いが、ラミナラン、フコイダン、アルギン酸、アルギン酸塩、ポルフィラン、カラギーナン、アガロース、澱粉、グリコーゲン、ペクチン、ローカストビーンガム、グアガム、キサンタンガム、デキストリン、イヌリン、カルボキシメチルセルロース等や、その誘導体を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができ、好ましくはアルギン酸及び/又はアルギン酸塩を用いることがよく、最も好ましくは、次の(A)と(B)とを併用することが好ましい。
(A)B型粘度計を用いて、pH7.0、25℃及び30rpmの条件下で測定し、1質量%水溶液の粘度が10mPa・sを超える高粘性アルギン酸及び/又は高粘性アルギン酸塩。
(B)B型粘度計で、pH7.0、25℃、及び30rpmの条件下で測定し、10質量%水溶液の粘度が、700mPa・s以下である低粘性アルギン酸、低粘性アルギン酸塩、又は低粘性アルギン酸エステルのうちの1種又は2種以上。
ゲル組成物中における(A)と(B)の質量比率は、(A):(B)=99:1〜25:75、好ましくは99:1〜30:70、より好ましくは99:1〜50:50である。(A):(B)において(B)の質量比率が1よりも少ないと、ゲル組成物の弾性が過剰に大きくなり、撹拌によっても生地に十分なじまず、大きな塊となって点在しやすくなるため、得られる平鍋焼き菓子の食感を損ねる恐れが有る。また、(A):(B)において(B)の質量比率が75よりも多いとゲル組成物の粘性が低くなり、水種生地中に簡単に練り込まれてしまい、得られる平鍋焼き菓子の食感改善効果が十分に得られない恐れが有る。
上記水溶性多糖類の含有量は、上記ゲル組成物中、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2.5質量%、最も好ましくは0.3〜2.3質量%である。ゲル組成物中の水溶性多糖類の含有量が0.1質量%より少ない場合には平鍋焼き菓子の食感の改良効果が不足する恐れがある。また、3質量%より多い場合には、ゲル組成物が有するゲル強度が過度に強くなり、撹拌によっても生地中に均一に分散されない為、得られる平鍋焼き菓子の強度が不均一なものとなり、モロく割れ易い物性となる恐れがある。
なお、上記ゲル組成物を構成する水溶性多糖類中のアルギン酸及び/又はアルギン酸塩の含有率は、水溶性多糖類中、60質量%以上含有されることが好ましく、75質量%以上含有されることがより好ましく、最も好ましくは100質量%である。アルギン酸及び/又はアルギン酸塩の含有率が60質量%未満である場合、得られる平鍋焼き菓子の内層のキメが粗く、また膜が厚くなってしまう恐れがある。
次に上記ゲル組成物を構成する食用油脂について述べる。
本発明中のゲル組成物を構成する食用油脂の含有量は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜35質量%、最も好ましくは10〜30質量%である。ゲル組成物中に油脂を含有することにより、ゲル組成物が良好な解れ性を有するため、油脂が水種生地中に十分に分散され、且つ水種生地から分離しない、生地安定性の高い水種生地が得られ、伴って口当たりや口溶けに優れた平鍋焼き菓子が得られる。
本発明の水種生地中に含有するゲル組成物に用いることのできる油脂としては特に限定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、菜種油、大豆油、米油、ヒマワリ油、カカオ油、サフラワー油、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂、動物油脂およびこれらの水素添加、分別およびエステル交換処理から一または二以上の処理を行った加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、全脂粉乳、加糖全脂粉乳等の油脂を含有する食品素材があげられる。本発明ではこれらの油脂の中から選ばれた1種または2種以上を使用することができるが、特に好ましくは液状油を用いることにより、やわらかくしとり感のある平鍋焼き菓子が得られる。
なお、本発明における液状油としては、菜種油、コーン油、大豆油、米油、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブ油、ピーナッツ油等の常温で液体である油脂に加え、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ハバス油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、ハイエルシン菜種油、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/またはエステル交換した後に得られる加工油脂から選択される油脂を分別して得られる分別軟部油が挙げられる。
本発明におけるゲル組成物は、油脂を含有する際に連続相を水相とする。連続相が水相でない場合、含有する油脂が水種生地から分離しやすく生地が不安定なものとなる上、好ましいウキを有する平鍋焼き菓子が得られない。
なお、水中油型乳化の形態で含有することが好ましく、その際の油脂粒径は、油滴の体積基準のメディアン径が好ましくは10マイクロメートル以下、更に好ましくは5マイクロメートル以下、より好ましくは3マイクロメートルである。油滴の体積基準のメディアン径が10マイクロメートル超であると、やわらかくしっとりとした食感が得られにくい上、油脂分の分離が起こる等、水種生地の生地安定性が乏しくなるおそれがある。
上記ゲル組成物中の水分含量は、ゲル組成物中、20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%、さらに好ましくは30〜90質量%である。ゲル組成物の水分含量が20質量%より少ないか、95質量%より多いと、十分な強度のゲル組成物を得られない。また、水分含量が20質量%より少ないと、連続相を水相とすることが困難である上、水種生地への分散性の悪化が生じやすいため、平鍋焼き菓子の食感改良効果が得られにくい。
なお、本発明に上記ゲル組成物中の水分とは、水道水や天然水などの配合水に加え、牛乳、液糖等の下述するその他原料に含まれる水分も含め、合算したものとする。
本発明の水種生地中のゲル組成物には、上記の水溶性多糖類や食用油脂の他、必要に応じて、その他原料として、乳化剤や金属イオン封鎖剤、ゼラチン、セルロースやセルロース誘導体、穀類、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β−ガラクトシダーゼ)、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、卵製品、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、牛乳等の乳製品、その他各種食品素材全般、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を、本発明の水種生地の生地安定性を損ねない範囲で含有させてもよい。
なお、上記その他の原料は、上記ゲル組成物中、合計として、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、最も好ましくは20質量%以下とする。60質量%を超えると、ゲル強度が著しく低下し、食品に添加した際に、十分な食感改良効果を付与することができなくなる恐れがあるからである。
本発明の水種生地中のゲル組成物の5℃における好ましい硬さは、一辺が70mmの立方体のゲル組成物を、不動工業株式会社製のレオメーターで、プランジャーとしてφ2cmの円盤を使用し、侵入速度2cm/minでゲルの圧縮応力測定した時の、降伏点での応力が、好ましくは15〜300g/cm、より好ましくは20〜200g/cmとなるものである。なお、ゲルの圧縮応力測定における降伏点とは、上記測定を行なった場合、一定距離まではプランジャーの侵入距離に比例して応力が上昇し極大点に達し、そこで応力が著しく減少する点であり、それ以降は、侵入距離が増しても応力は増さず、いわゆる、塑性変形と呼ばれる永久変形を示すものである。
次に水種生地中に含有させる上記ゲル組成物の製造方法について述べる。
上記ゲル組成物は、例えば、水溶性多糖類、食用油脂、水からなる混合液を均質化することにより得られるが、好ましくは、水溶性多糖類0.1〜3質量%、及び食用油脂1〜50質量%、水分含量が20〜95質量%である混合液を均質化する。
なお、上記食用油脂を配合する際は、水相中に食用油脂を液体の状態で加えることが好ましい。その際、水溶性多糖類は食用油脂中にあらかじめ分散させておくことが好ましい。上記のその他原料のうち、水溶性の物質についてはあらかじめ水相に分散・溶解しておくことが好ましい。
さらに、上記混合液は、均質化前に必要に応じて加熱殺菌を行なうことができる。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の60〜160℃の加熱処理を行なえばよい。
上記均質化において、使用する均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられ、好ましくは1〜200MPa、さらに好ましくは5〜150MPa、最も好ましくは10〜100MPaの均質化圧力にて均質化を行なう。この均質化処理は、2段バルブ式ホモゲナイザーを用いて、例えば、1段目10〜100MPa、2段目0〜10MPaの均質化圧力にて行なってもよい。
また、得られたゲル組成物は、必要に応じて冷却してもよい。冷却方法は、例えば、適当な容器に充填した後に、水浴、氷浴、冷蔵庫、冷凍庫等で冷却する方法も挙げられる。
次に本発明の水種生地について述べる
本発明の水種生地は、穀粉類と同量以上の水分を含有されるものであって、主要原料として、穀粉類、卵類、糖類、及び上記ゲル組成物を使用し、必要に応じて水、乳化剤、膨張剤等の副原料を使用した生地であることを特徴とする。また、上記ゲル組成物が穀粉類100質量部に対して1〜20質量部含有され、抱気していることを特徴とする。
本発明の水種生地で用いる穀粉類としては、特に限定されるものではないが、小麦粉、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等をあげることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよい。本発明の水種生地では、穀粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
なお、水種生地の水分は、水種生地中の穀粉類100質量部に対して同量以上の水分を含有されるものであればよいが、200質量部以下で含有されることが好ましく、150質量部以下で含有されることがより好ましく、100〜130質量部の範囲で含有されることが最も好ましい。穀粉類100質量部に対して水分が200質量部超含有される場合、水種生地の生地粘度が低下し、好適な食感を有する平鍋焼き菓子が得られないおそれがある上、平鍋焼き菓子に求められる厚さやウキが十分に得られないおそれがある。
ここで、本発明の水種生地における水分とは、水道水や天然水などの配合水に加え、下述する糖類、卵類、及びその他原料に含まれる水分も含め、合算したものとする。
本発明の水種生地で用いる卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白等が挙げられ、もちろんこれらの乾燥品、冷凍品、酵素処理品等を用いることもできる。本発明の水種生地における好ましい卵類含有量は、上記水種生地に使用する穀粉類100質量部に対し、好ましくは80〜200質量部であり、より好ましくは100〜150質量部である。なお乾燥品を用いる場合はその乾燥前重量で換算するものとする。
本発明の水種生地で用いる糖類としては、蜂蜜、液糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、ブドウ糖果糖液糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリン等を用いることができる。本発明の水種生地における好ましい糖類含有量は、上記水種生地に使用する穀粉類100質量部に対し、好ましくは80〜200質量部であり、より好ましくは100〜150質量部である。
上記乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン等が挙げられる。
上記膨張剤としては、ベーキングパウダー、重曹、重炭安、炭安、イスパタ等が挙げられるが、特に重曹が好ましい。これらの膨張剤を用いる場合には、事前に必要量の膨張剤を溶解させた水溶液を調製しておき、水溶液の状態で生地に加えることにより、得られる平鍋焼き菓子のウキが均一なものになるため好ましい。
本発明の水種生地は、上記の他に、甘味料、牛乳やヨーグルト、チーズのような乳製品、油脂類、水、食塩、澱粉類、みりん、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、黄な粉、豆類、野菜類、果汁、ジャム、フルーツソース、果物、ハーブ、肉類、魚介類、保存料、日持ち向上剤などの材料を適宜用いることができる。
ここで、本発明では水種生地中に乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が0.5質量%以上である食品素材を含有することにより、平鍋焼き菓子のウキが改善される上、内相のキメが細かくなり膜が薄くなる効果が得られるため好ましく、特に上記ゲル組成物中に含有させることにより、該効果が更に強く得られるためより好ましい。
なお、この食品素材は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%であることが望ましい。
また、上記食品素材は、乳由来のリン脂質を含有する乳原料である牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が0.5質量%以上である食品素材としては、クリームからバターを製造する際に生じる水相成分(バターミルク)や、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。
上記のクリームからバターを製造する際に生じる水相成分は、その製法の違いにより組成が大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常0.5〜1.5質量%程度である。一方、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離機での処理工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離機での分離工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。本発明では、上記乳蛋白質として、上記のクリームからバターを製造する際に生じる水相成分(バターミルク)や、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、さらに濃縮したもの、乾燥したもの、冷凍処理をしたもの等を用いることも可能である。但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。
さらに、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないことが好ましい。
また、本発明では、上記食品素材中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、食品素材をそのままリゾ化したものであってもよく、また食品素材を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
なお、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が0.5質量%以上である食品素材をゲル組成物に含有させる場合は、水相成分として含有させることが好ましい。また、水種生地の原料の一として含有させる場合は、水種生地の製造の任意の時点で含有させることが可能であるが、水相成分として含有させることが好ましい。
次に上記本発明の水種生地の製造方法について述べる。
上記本発明の水種生地は、水種生地の製造の際に、上記ゲル組成物を添加、分散させ、且つ、抱気させることによって得ることができる。
なお、本発明の水種生地の製造方法としては、卵白別立て法(卵白と砂糖でメレンゲを作成し、卵黄及び/又は全卵と混合する方法)と共立て法(卵白と卵黄を分離せずに起泡する方法)のどちらでもよいが、共立て法が好ましい。また、後粉法(起泡した生地に穀粉類を混合する方法)とオールインミックス法(起泡時に穀粉類を添加する方法)のどちらでもよいが、後粉法が好ましい。
また、抱気させる手法は特に限定されず、撹拌やエアレーション、注入等の任意の手法が適宜選択されるが、撹拌による方法が好ましい。
以下に後粉法を例に挙げて、具体的に好ましい製造方法を記載する。
まず卵類、糖類、上記ゲル組成物、その他の原料を混合したのち、撹拌により抱気させる。この撹拌による抱気は卵類の起泡力によるものであるが、ケーキ用起泡剤を用いてもよい。なお、生地中にゲル組成物中に含有される油脂とは別に、その他の原料の一として油脂を含有させる場合、なるべくこの段階では含有させないことが好ましい。また、上記ゲル組成物は、卵類・糖類・穀粉類からなる水種生地を調製した後に添加させてもよく、該生地の調製途中の任意の段階で添加させてもよいが、生地に十分に分散させ、且つ得られる水種生地の生地安定性を更に高める目的から、この段階で添加しておくことが好ましい。加えて、この段階で添加することで、撹拌により起泡された生地の消泡を抑制する効果が得られるため、生地の粘度等の経時的な生地物性の変動を抑制することができ好ましい。添加の際は、卵類・糖類・穀粉類を混合後に添加してもよく、卵類・糖類・穀粉類のうちの1種又は2種以上の原材料に添加してもよいが、卵類や穀粉類と共に撹拌すると、食用油脂を含むゲル組成物が撹拌によって一旦崩壊した後に卵類や穀粉類中の乳化成分と共に再乳化してしまい、風味発現や食感が劣りやすくなるおそれがあるため、糖類に添加することが好ましい。
続いて、少量の水で溶解した膨張剤を添加する。
最後に穀粉類を添加し、生地中の気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、本発明の水種生地を得る。
なお、本発明の水種生地は、最終生地比重が好ましくは0.50〜0.95、より好ましくは0.80〜0.90であることが好ましい。生地比重が0.50未満、若しくは0.95超である場合、平鍋焼き菓子に頻用される小豆餡やカスタードクリームといった比較的高粘度のフィリングとの口溶けの一体感が低下する上、食感が重たくなり、歯切れやソフト性が乏しくなりやすい。
次に本発明の水種生地を加熱処理して得られる菓子について述べる。
本発明の菓子は、上記水種生地を加熱処理して得られるものである。該加熱処理としては焼成、フライ、蒸し、蒸し焼きなどが挙げられ、その温度条件については各種菓子の一般的な加熱条件と同様の条件で行なうことができる。
なかでも本発明の菓子は上述のとおり、平鍋焼き菓子類であることが好ましい。その焼成条件については平鍋焼き菓子の一般的な焼成条件と同様の条件で行なうことができる。
以下、具体的な実施例を示しながら詳述する。なお、本願は下記実施例に限定されるものではない。
(ゲル組成物の調製)
塩化カルシウム0.2質量部、ホエイパウダー3質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(固形分8質量%、固形分中のリン脂質の含有量4.89質量%)5.5質量部を水67質量部に溶解した。さらに乳酸0.1質量部、食塩0.5質量部、乳糖10質量部を添加し、十分に撹拌して混合液を得た。
一方、菜種油12質量部に、高粘性アルギン酸ナトリウム(B型粘度計でpH7、25℃、30rpmの条件下で測定したときの1質量%水溶液の粘度が、150mPa・s)0.5質量部、高粘性アルギン酸(B型粘度計でpH7、25℃、30rpmの条件下で測定したときの1質量%水溶液の粘度が、50mPa・s)0.3質量部、低粘性アルギン酸ナトリウム(B型粘度計でpH7、25℃、30rpmの条件下で測定したときの1質量%水溶液の粘度が、50mPa・s、且つ、10質量%水溶液の粘度が500mPa・s)0.5質量部、低粘性アルギン酸(B型粘度計でpH7、25℃、30rpmの条件下で測定したときの1質量%水溶液の粘度が、50mPa・s、且つ、10質量%水溶液の粘度が500mPa・s)0.4質量部を添加、分散し、油相を調製した。
上記混合液に、上記油相を添加、乳化し水中油型組成物とし、これを掻取式熱交換器にて90℃で1分間加熱殺菌し、掻取式熱交換器にて60℃に冷却した。
次いでイズミフードマシナリー製2段式ホモゲナイザーにて均質化後、ポリエチレン袋に密封し、20℃まで24時間かけて冷却し、油脂を12質量%含有し、水分を70.5質量%含有する、本発明の水種生地に含有させるゲル組成物を得た。
得られたゲル組成物を、一辺が30mmの立方体のゲル組成物として成形した後、5℃に調温し、不動工業株式会社製のレオメーターにて、プランジャーφ2cmの円盤を使用し、侵入速度2cm/minでゲルの圧縮応力測定したところ、降伏点での応力は72g/cmであった。
次に上記ゲル組成物を用いて、表1に示した配合で下記の通り、実施例1〜3、及び比較例1〜4の手順で水種生地A〜Gを得た。
(実施例1)
上白糖130gにゲル組成物を3g加えて、よく撹拌しゲル組成物を細かくし分散させた。ここに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となるまで高速で撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水33.5gを加えた後、薄力粉135gを加え、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、最終生地比重が0.80〜0.90となるように抱気された水種生地Aを得た。
(実施例2)
上白糖130gにゲル組成物を8g加えて、よく撹拌しゲル組成物を細かくし分散させた。ここに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となり十分立てになるまで撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水30gを加えた後、薄力粉135gを加え、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、最終生地比重が0.80〜0.90となるように抱気された水種生地Bを得た。
(実施例3)
上白糖130gにゲル組成物を14g加えて、よく撹拌しゲル組成物を細かくし分散させた。ここに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となり十分立てになるまで撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水25.8gを加えた後、薄力粉135gを加え、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、最終生地比重が0.80〜0.90となるように抱気された水種生地Cを得た。
(比較例1)
上白糖130gに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となり十分立てになるまで撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水35.6gを加えた後、薄力粉135gを加え、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、最終生地比重が0.80〜0.90となるように抱気された水種生地Dを得た。
(比較例2)
上白糖130gにゲル組成物を38g加えて、よく撹拌しゲル組成物を細かくし分散させた。ここに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となり十分立てになるまで撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水8.8gを加えた後、薄力粉135gを加え、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、最終生地比重が0.80〜0.90となるように抱気された水種生地Eを得た。
(比較例3)
上白糖130gにゲル組成物を8g加えて、よく撹拌しゲル組成物を細かくし分散させた。ここに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、五分立てにした。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水30gを加えた後、薄力粉135gを加え、十分に混合したのち、生地を30分間寝かせ、さらに生地中の空気を抜き、最終生地比重が1.00〜1.10とした水種生地Fを得た。
(比較例4)
上白糖130gに別途ホイッパーで均一になるまでよく解しておいた全卵130gを加え、比重が0.6〜0.7の範囲となり五分立てになるまで撹拌した。ここに重曹1.3gを水7mLで溶解した水溶液を加え、軽く混合し、さらにみりん6gと水35.6gを加えた後、薄力粉135gを加え、さっくりと均質に混合し、生地を30分間寝かせ、さらに生地中の空気を抜き、最終生地比重が1.00〜1.10とした水種生地Gを得た。
なお、上記水種生地A〜Gはゲル組成物含量が異なるものの、全て生地中の水分含量は同一となっている。
Figure 2018000137
(製造例:どら焼きの皮)
(どら焼きの皮の製法)
平鍋を良く加熱し、油布巾でよく拭いて、180〜200℃に加熱した後、100gの上記実施例1〜3、及び比較例1〜4により得られた水種生地A〜Gを入れ、それぞれ直径15cmの円形に均等に広げて、下面に焼き色がつき、若干小孔ができて上表面が乾かないうちに反転して、更に軽く加熱して、どら焼きの皮A〜Gを得た。
(どら焼きの皮の評価)
得られたどら焼きの皮について、キメの状態を下記評価基準にて評価し、結果を表2に示した。
<キメの状態評価基準>
◎:特に内相の膜が薄く、且つ気泡が細かく縦目で、どら焼きらしい気泡。
○:気泡が縦目で、どら焼きらしい気泡。
△:気泡が縦目でなく不均一。
×:気泡が潰れて不均一。
また、得られたどら焼きの皮の口溶け、ソフト性及び歯切れを10人のパネラーにより下記評価基準に従って評価させ、その合計点を評価点数とし、結果を表2に示した。
32〜40点:◎、23〜31点:○、14〜22点:△、13点以下:×
・口溶け
4点…非常に口溶けがよい。
3点…口溶けがよい。
2点…口溶けがやや悪い。
1点…口溶けが悪い。
・ソフト性
4点…非常に良好。
3点…良好。
2点…やや硬い。
1点…硬い、若しくは、もちもちした食感である。
・歯切れ
4点…非常に良好。
3点…良好。
2点…やや悪い。
1点…悪い。
Figure 2018000137
どら焼きの皮A〜Cでは良好なキメがみられ、且つ好ましい食感のどら焼きが得られた。特にどら焼きの皮Bでは、内相の膜が薄く、特に好ましいキメのどら焼きの皮が得られた。
これに対し、ゲル組成物を含有しない水種生地Dから得られたどら焼きの皮Dは中央部が大きく隆起するように浮きが得られキメが粗く、また抱気させるものの過剰にゲル組成物を含有する水種生地Eから得られたどら焼きの皮E、及びゲル組成物を適当量含有するものの生地調製時に抱気させない水種生地Fから得られたどら焼きの皮Fでは、不均質な浮きがみられる他、気泡が縦目でなく不均一となるなど、水種生地D〜Fを用いた場合にはそれぞれ歪な形状や内相のどら焼きの皮となった。また抱気させずゲル組成物を含まない水種生地Gから得られたどら焼きの皮Gはキメが不均一となり、またソフトな食感に乏しかった。
これらのことから、水種生地に、抱気させることによりソフト性が向上し好ましい浮きが得られ、水溶性多糖類と食用油脂を含有し連続相を水とするゲル組成物を一定量含有させることで平鍋焼き菓子の食感改善効果が得られることが明らかとなった。一方で、単に抱気させるだけでは得られる平鍋焼き菓子が歪な形状や内相を有してしまうため好ましくなく、水溶性多糖類と食用油脂を含有し連続相を水とするゲル組成物を単に含有させるだけでは、生地比重を大きくしてしまうため、浮きや口溶けを悪化させてしまうことが明らかとなった。したがって双方を兼ね備えた、本発明の水種生地が、従来の平鍋焼き菓子の外観や形状をそのままに内相や食感の改良を行うことが可能であることが明らかとなった。
次に、生地中への油脂分散の安定性を確認した。
まず、ゲル組成物ではなく液状油脂の形で、生地中の油脂含量が同量となるように菜種油を添加させた以外は、上記実施例2の水種生地Bと同様の配合・製法で、水種生地Hを得た。水種生地Bと水種生地Hを、常温で1時間静置し、その後生地表面に表出する油脂を目視で比較したところ、水種生地Bでは生地と添加した油脂の分離はみられなかったが、水種生地Hでは生地表面に分離した液状油脂が点在しており、ゲル組成物の形で油脂を生地中に分散させることにより、水種生地中に安定して油脂を分散させることが可能であることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 水溶性多糖類及び食用油脂を含有し且つ連続相を水とするゲル組成物が穀粉類100質量部に対して1〜20質量部含有されており、さらに抱気していることを特徴とする水種生地。
  2. 上記水溶性多糖類が、アルギン酸及び/又はアルギン酸塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の水種生地。
  3. さらに、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が0.5質量%以上である食品素材を含有する請求項1又は2に記載の水種生地。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水種生地を加熱して得られた菓子類。
  5. 平鍋焼き菓子類である請求項4に記載の菓子類。
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