JP7438682B2 - フラワーペースト - Google Patents

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本発明は、製菓・製パンの用途にフィリング材やトッピング材として用いることのできるフラワーペーストに関する。
澱粉の糊化によるボディ感を有するフラワーペーストは、パン類や菓子類のトッピング、フィリングとして広く利用されてきた。このフラワーペーストは、一般的に、小麦粉や穀物澱粉等の澱粉類、ミルク、砂糖、卵、水等を混合した後、加熱して糊化させることによって得られるもので、一般に粘弾性に富んだ物性と食感を示すものである。ここで、フラワーペーストを、焼成したパンや焼菓子と組合せて用いる場合においては、常温で流通や保管を行うことができ、且つ、焼成したパンや焼菓子と同等の長い賞味期限を有することが求められている。
一般的にフラワーペーストは水分含有量が高いことが知られており、例えばフラワーペーストの一種であるカスタードクリームは60%程度の水分を有していることから、比較的賞味期限が短くなりやすかった。(非特許文献1参照)
フラワーペーストの賞味期限を長くする方法の一つとして、フラワーペーストの水分活性を低下させる方法がある。水分活性とは微生物による変敗を防止する際の指標を指し、水分活性が低いほど変敗防止効果が高い。水分活性を低下させる方法の一つとして、例えばフラワーペーストの配合中の油脂や澱粉等を増加させ、固形分量を高める手法が挙げられるが、この手法では、耐熱保型性が劣ったり、包餡時の充填適性が劣ったり、食感が劣ったりする等の課題が生じやすかった。
フラワーペーストの水分活性を低下させる別の方法としては、適度の甘味強度を保持しながら水分活性を下げることができる、糖アルコールを用いる手法が挙げられる。例えば特許文献1では、低甘味糖の1つとしてソルビトールを用いることができるチーズ加工フラワーペーストが開示されている。また、特許文献2では油脂、酢酸澱粉を含む澱粉、糖アルコール、水を含むフラワーペーストが開示されている。
ところで、昨今、健康志向の高まりから、糖類の含有量を少ないパン類や菓子類を製造することが求められており、そのトッピングやフィリングとして使用されるフラワーペーストもあわせて低糖類化することが求められているが、その手法はフラワーペーストに含有される砂糖の一部を糖アルコールに置換する手法が多く検討されていた。
特開昭57-194748号公報 特開2013-021964号公報
日本食品標準成分表2015年版(七訂) 食品番号15138 索引番号1987 「カスタードクリーム」
特許文献1や特許文献2に例示するような、フラワーペーストへの糖アルコールの使用については、比較的長期間の賞味期限を保証することを可能としたり、低糖類化を可能にする一方で、次のような課題があった。すなわち、使用した糖アルコール由来の鋭く刺激のある甘味の質が、フラワーペーストの風味を損ねやすいという課題があった。また、糖アルコールを含有させることに伴って、通常、甘味の面や配合上の理由から、砂糖等の糖類や糖質の含有量を低減させる為、糖アルコール由来の鋭く刺激のある甘味の質が目立ちやすく、また、フラワーペースト自体の食感のなめらかさの低下や、離水等の経時的な物性変化等が起こりやすいという課題があった。
したがって、本願が解決しようとする課題は次の(イ)(ロ)である。
(イ)糖アルコールを含むフラワーペーストであって、糖アルコールが有する鋭くカドのある甘味が緩和されているフラワーペーストを提供すること
(ロ)糖アルコールを含むフラワーペーストであって、糖アルコールを含有してもなお、なめらかな食感を有し、経時的な物性が維持されたフラワーペーストを提供すること
本発明者による鋭意検討の結果、意外にもクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、糖アルコールを含有するフラワーペーストに含有させることで、糖アルコールが有する鋭く刺激のある甘味を和らげ、嗜好性を高めることができることが知見された。また、糖アルコールを含有するフラワーペーストであっても、なめらかな食感を有し、経時的なフラワーペーストが得られることも知見された。本願発明はこの知見に基づくものであり、糖アルコールを含有するフラワーペーストであって、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含有するフラワーペーストを提供するものである。
本発明は、具体的には以下を提供する。
[1]糖アルコールを含有するフラワーペーストであって、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分 を含有するフラワーペースト。
[2]糖アルコールの固形分100質量部に対して、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、固形分として0.30~2.6質量部含有することを特徴とする、1に記載のフラワーペースト。
[3]次の成分(A)及び成分(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする、1又は2に記載のフラワーペースト。
成分(A):乳酸発酵風味素材
成分(B):水溶性食物繊維
[4]澱粉の含有量が1~8質量%であることを特徴とする、1~3のいずれか1項に記載のフラワーペースト。
[5]1~4のいずれか1項に記載のフラワーペーストを用いたベーカリー食品。
[6]クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含む、フラワーペーストの改質剤。
[7]クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含む、糖アルコールの味質の改良剤。
[8]クリーム又はバターからバターオイルを製造し、副産物として生じる水相成分を得る工程を含む、フラワーペースト用食品素材の製造方法。
本願発明によれば、糖アルコールを含むフラワーペーストであって、糖アルコールが有する鋭くカドのある甘味が緩和されているフラワーペーストを得ることができる。また、糖アルコールを含有してもなお、なめらかな食感を有し、経時的な物性が維持された(保型性が良好である)フラワーペーストを得ることができる。
本発明は、フラワーペーストに関する。以下、本発明について詳述する。
<糖アルコール>
本発明のフラワーペーストに含有される糖アルコールについて述べる。
糖アルコールとは、単糖、単糖が2~10分子結合したオリゴ糖、デキストリン、水飴、デンプン等を、発酵や水素添加により還元して得られるものである。具体的には、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、パラチニット、ラクチトール、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、還元水飴(例えば、高糖化還元水飴、還元麦芽糖水飴等)を挙げることができる。本発明においては、これらの糖アルコールを単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらのうち、味質と呈味性の観点からはエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴を用いることが好ましい。また、水分活性を低下させる観点からはソルビトールを用いることが好ましい。したがって、これら2つの観点から、本願発明のフラワーペーストにおいては使用する糖アルコールとしてソルビトールを含むことが特に好ましい。
本発明のフラワーペーストに使用される糖アルコールの形態は、粉末状でもよく、糖アルコールを水に溶解させてシロップ状とした糖アルコール組成物でもよい。粉末状糖アルコールやシロップ状の糖アルコール組成物は、単独で用いることができ、又は組み合わせて用いることもできる。
本発明のフラワーペースト中の他の副原料の種類や配合量によって、糖アルコールの含有量は適宜調整されるが、良好な風味や食感、物性を有するフラワーペーストを得る観点と水分活性が低いフラワーペーストを得る観点から、本発明のフラワーペースト中の糖アルコールの含有量は、固形分として、15~40質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましく、30~40質量%であることがさらに好ましい。
本発明のフラワーペーストを製造する際の、上記糖アルコールの配合方法については、詳しく後述するが、糖アルコールの形態が粉末の場合、油相中に分散させる方法や、水相中に溶解させた後に油相中に乳化させる方法等が挙げられる。糖アルコールの形態がシロップ状の糖アルコール組成物の場合は、必要に応じて他の水溶性成分とともに、油相中に乳化させる方法等が挙げられる。
本発明のフラワーペースト中には、糖アルコール以外の糖質、糖類、高甘味度甘味料を含有させることができる。
本発明に関し、糖質とは、オリゴ糖やデキストリン等の三糖類以上の多糖類をいうが、食物繊維は含まず、また澱粉は含まない。澱粉については後述する。本発明のフラワーペースト中には、糖アルコール以外の糖質を1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に関し、糖類とは、単糖及び二糖をいう。本発明のフラワーペースト中に用いうる糖アルコール以外の糖類としては、例えば、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース等の二糖類が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に関し、高甘味度甘味料とは、ショ糖の甘味度を1とした場合に、50以上の相対甘味度を有する非糖質系甘味料を指す。本発明のフラワーペースト中に用いうる糖アルコール以外の高甘味度甘味料としては、天然物、人工物を問わず、食品や医薬品用として一般に用いられているものを選択することができる。例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、甘草、羅漢果、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩、ジヒドロカルコン、ソーマチン、モネリン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。通常、ステビア、甘草及び羅漢果は、適宜、抽出物として用いられ、サッカリンはナトリウム塩として用いられる。
本発明のフラワーペーストにおける、糖アルコール以外の糖質、糖類、高甘味度甘味料の含有量は、特に制限されないが、水分活性の低下と良好な食感の両立を図る観点から、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。なお、下限は0質量%である。
<クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分>
次に、本発明のフラワーペーストに用いられる、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分について述べる。
クリームとは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいう。バターとは、生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したものをいう。バターオイルとは、クリーム又はバターからほとんどすべての乳脂肪以外の成分を除去したものをいう。
本発明で用いられる、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分、及びバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、出発原料をクリームとするか、バターとするかの違いはあるが、双方とも、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって組成が大きく異なるが、乳固形分中のリン脂質の含有量が、通常、0.5~1.5質量%程度であるのに対して、本発明で用いられるクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、1.5質量%超となる多量のリン脂質を含有しているという特徴を有している。
本発明で用いられるクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分における、乳固形分中のリン脂質の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
本発明のフラワーペーストにおける、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の含有量は、得られたフラワーペーストの官能試験結果から決定しても良いが、例えばフラワーペーストに含有される糖アルコールの固形分量100質量部に対して、上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の固形分は、例えば0.30~2.6とすることができ、0.70~2.5質量部であることが好ましく、0.70~2.0質量部であることがより好ましく、0.70~1.5質量部であることがさらに好ましい。フラワーペーストに含有される糖アルコールの固形分量100質量部に対して、該水相成分を固形分基準で上記の範囲で含有することで、糖アルコールが有する鋭く刺激のある甘味が緩和され、カドのとれた甘味が得られ易い。なお、本発明において、該水相成分を上記範囲よりも多く添加することも可能であるが、糖アルコールが有する鋭く刺激のある甘味を緩和するという観点からは、効果が頭打ちとなりやすい。厚みのある風味を得る観点からは、添加されるほど厚みのある風味が得られやすくなるため好ましい。
本発明のフラワーペーストに用いられる、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30~40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70~95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
本発明に用いられるクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分における乳固形分中のリン脂質は、例えば以下のような定量方法で測定することができる。但し、抽出方法等については、以下の方法に限定されるものではない。
先ず、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分から、脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。
求められたリン量から以下の計算式を用いて、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分-クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
また、本発明では、上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の添加効果をさらに向上させることができる観点から、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、pHが好ましくは3~6、より好ましくは4~6、さらに好ましくは4.7~5.8となるように、酸処理を行ったものを用いてもよい。
上記酸処理を行うには、酸を添加する方法であっても、また、乳酸醗酵等の醗酵処理を行う方法であってもよいが、好ましくは酸を添加する。該酸としては、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルト等の有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸及び/又はグルコン酸を使用することが好ましい。
上記酸の添加によるpHの調整は、上記酸を上記乳原料自体に添加することにより行ってもよいし、フラワーペーストの製造時に上記酸を添加することにより行ってもよい。
また、本発明では、上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の添加効果をさらに向上させることができる観点から、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分には、含有するリン脂質1質量部あたり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.5質量部、さらに好ましくは0.05~0.3質量部のカルシウム塩を添加してもよい。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明においては得られるフラワーペーストの風味を損ねず、物性が良好となる点で塩化カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを使用することが好ましい。
また、本発明で用いる上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、本発明のフラワーペーストを製造する際に、水相や予備乳化液への分散性を高めることが可能である点で、均質化処理を行なったものであることが好ましい。特に上記酸処理、カルシウム塩添加を行なう場合は、その効果を高めるために酸処理やカルシウム塩添加を行った後に均質化処理を行なうことがより好ましい。均質化処理は1回でもよく、2回以上行ってもよい。また、粘性が高い等の場合は、加水により粘度を調整してから均質化処理を行なってもよい。
上記均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。
均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0~100MPaである。2段式ホモジナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3~100MPa、2段目0~5MPaの均質化圧力にて行ってもよい。
さらに本発明で用いる上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、UHT加熱処理を行ってもよい。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、処理温度は好ましくは120~150℃であり、処理時間は好ましくは1~6秒である。
このようにして得られる、本発明で用いられるクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、液状、ペースト状、粉末状、固形状等の状態のものとすることができ、本発明のフラワーペーストでは、何れの状態のものでも使用できるが、液状又はペースト状のものを使用することが、本発明の効果が安定して得られる点で好ましい。クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分中の固形分は、2~60質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることがさらに好ましい。なお、溶剤を用いて濃縮したものは、溶剤による、風味の変質、タンパク質の変性に伴う機能低下の問題から用いないことが好ましい。
上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、糖アルコールを含有するフラワーペースト中に含有させることによって、糖アルコールが有する鋭く刺激のある甘味が緩和され、砂糖を用いたような自然な甘味が得られ、嗜好性が向上したフラワーペーストを得ることができる。また、糖アルコールを含有してもなお、なめらかな食感を有し、経時的な物性が維持されたフラワーペーストを得ることができる。なお、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、従来、スポンジケーキ(特開2019-092520号公報(特許第6534840号))、容器詰乳成分含有飲料(特開2015-53925号公報(特許6358790号))、油中水型可塑性乳化油脂組成物(特開2004-267166号公報(特許第4397170号))等に用いられることはあったが、糖アルコールの味質の改善やフラワーベーストの改質のためには用いられてこなかった。本発明により、糖アルコールの味質が、鋭くカドのある甘味が緩和され、糖アルコールの味質の改良剤、及び改良方法が提供される。本発明により、フラワーペーストが、糖アルコールを含有してもなお、なめらかな食感を有するように改質され、フラワーペーストの改質剤、及び改質方法が提供される。また本発明により、新規なフラワーペースト用の食品素材が製造される。
ここで、フラワーペーストの物性を維持したまま、より嗜好性を向上させる観点から、本発明のフラワーペーストには、下述する成分(A)及び/又は成分(B)を含有させることが好ましく、成分(A)及び成分(B)の双方を含有させることがより好ましい。
成分(A):乳酸発酵風味素材
成分(B):水溶性食物繊維
<成分(A):乳酸発酵風味素材>
以下、本発明において、好ましく含有される、乳酸発酵風味素材について述べる。
本発明のフラワーペースト中には、以下の乳酸発酵風味素材を含有させることにより、風味が複雑なものとなり、糖アルコールが有する鋭く刺激のある甘味が緩和されるため好ましい。
本発明に用いられる乳酸発酵風味素材とは、乳酸菌が資化可能な基質を乳酸発酵して得られた風味素材であり、その基質としては、良好な乳風味が得られる点で、乳原料を使用することが好ましい。該乳原料としては、牛乳、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バター、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の乳や乳製品をはじめ、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー等の粉乳類や、脱脂乳等の乳糖を含有する乳製品も使用可能である。
なお、本発明では乳酸発酵風味素材として、乳酸発酵を利用した市販の飲食品や風味素材、例えばクリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、発酵乳飲料等を使用することもできる。
また、本発明では、乳酸発酵風味素材として、基質や発酵条件の異なる2種以上の乳酸発酵風味素材を用いることもできる。
本発明のフラワーペースト中の乳酸発酵風味素材の含有量は、固形分として、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.03~5質量%であり、さらに好ましくは0.05~3質量%である。0.01質量%よりも少ないと使用効果が見られず、また10質量%よりも多いと酸味が強くなり、風味のバランスが大きく崩れてしまう。
以下、本発明に用いられる乳酸発酵風味素材の製造方法について、乳酸菌が資化可能な基質として乳原料を使用した場合の好ましい実施態様を詳述する。
本発明に好ましく用いられる乳酸発酵風味素材を得るためには、まず乳酸菌が資化可能な基質、好ましくは乳原料を含有するミックス液を調製する。
具体的には、牛乳、濃縮乳、ホエイ、クリーム、バター、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分等の水分を多く含有する乳や乳製品、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー等の粉乳類や、乳蛋白質、乳糖等の乳原料を水に添加したものを、水分含有量が好ましくは20~95質量%、より好ましくは70~90質量%となるように調整し、乳原料を含有するミックス液とする。
なお、本発明のフラワーペーストとの風味の親和性を高める観点から、ミックス液中に上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含有することが好ましい。また、該乳原料を含有するミックス液は、食用油脂を添加した水中油型乳化物とすることもできるが、良好な風味バランスの乳酸発酵風味素材を得るため、本発明では、ミックス液の油脂含有量を、好ましくは10質量%以下とし、より好ましくは5質量%以下とする。
ミックス液は、風味が強化された乳酸発酵風味素材を安定して製造可能とする点で、上記乳原料の含有量が、無脂乳固形分として、2~50質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。
また、ミックス液は、風味が強化された乳酸発酵風味素材が得られる点で、遊離脂肪酸の含有量が、0.01~0.2質量%であることが好ましく、0.02~0.1質量%であることがより好ましい。0.01質量%を下回ると遊離脂肪酸を含有することによる風味強化の効果が得られにくく、0.2質量%を上回ると乳酸発酵風味素材に脂肪酸臭が残存するおそれがある。ミックス液中の遊離脂肪酸含有量を上記範囲とするためには、遊離脂肪酸含有量の高い乳原料を使用する方法や、別途遊離脂肪酸や遊離脂肪酸含有量の高い原材料を添加する方法、さらには油脂を含有するミックス液をリパーゼ等の脂質分解酵素で分解する方法等が挙げられるが、本発明では良好な風味の乳酸発酵風味素材が安定して製造可能であることから、原料として、バター分解物、バターオイル分解物、クリーム分解物、チーズ分解物等の遊離脂肪酸含有量の高い乳原料を使用することが好ましく、バター分解物を使用することがより好ましい。遊離脂肪酸の含有量を定量する方法としては、例えば任意の手法で脂肪酸を抽出し、ADAM試薬を使用して誘導体化した後、蛍光を測定する方法や、LC-MSを利用する方法等が挙げられる。ミックス液の原材料中の遊離脂肪酸の含有量が既知の場合は、その値と原材料の配合量を用いて計算した遊離脂肪酸の推計量を、ここでいうミックス液の遊離脂肪酸含有量としてよい。
次に、必要に応じて、この乳原料を含有するミックス液を加熱する。加熱する温度は、好ましくは35~75℃である。さらに、必要に応じて均質化を行なう。均質化を行なうための均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサー等の高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられ、好ましくは1~200MPaの均質化圧力にて均質化を行なう。
均質化後、必要に応じて、加熱殺菌を行なう。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波、ジュール加熱式等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の50~160℃、好ましくは55~100℃の加熱処理を行なうことができる。
このようにして調製された乳原料を含有するミックス液に乳酸菌を添加して、乳酸発酵を行なう。
なお、本発明で使用する乳酸菌としては特に制限されるものではないが、Lactococcus lactis subsp. lactis、Lactococcus lactis subsp. cremoris、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Lactobacillus casei subsp. casei、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis、Lactobacillus jugurti、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefyr、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Streptococcus thermophilus、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremoris 、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium breve等が挙げられ、これらを単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、これらの乳酸菌は、乳酸菌を含む発酵乳の形態で使用することも可能である。また、さらに、乳酸発酵風味素材の風味を向上させる目的で、Candida kefyr、Kluyveromyces marxianus var. marxianus、Saccharomyces unisporus、Saccharomyces florentinus等の酵母を含むスターターを使用することも可能である。
本発明では、より良好な香味を有する乳酸発酵風味素材が得られる点で、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Lactobacillus helveticus、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremorisのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、より好ましくは、Lactococcus lactis subsp. Lactis var. diacetylactisと、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremorisの2種を併用するか、又は、Lactobacillus helveticusと、Leuconostoc mesenteroidesの2種を併用する。
乳酸菌の添加量は、後述するpHの乳酸発酵風味素材を効率よく得る観点から、ミックス液100質量部に対して、乾燥質量で0.001~0.2質量部であることが好ましく、0.004~0.05質量部であることがより好ましい。
また、乳酸発酵の条件は、温度については、使用される各乳酸菌に好適な発酵温度(例えば20~40℃)を適宜選択すればよい。
乳酸発酵時間は、基質濃度や乳酸菌の添加量等に応じ適宜選択可能であるが、好ましくは、乳酸発酵後のpHの値が4~6、より好ましくは4.0~5.5、さらに好ましくは4.2~5.2、さらに好ましくは4.3~4.8となる時間とする。
上記乳酸発酵時は、静置状態とすることもできるが、好ましくは攪拌を行なう。
このようにして得られる乳酸発酵風味素材の固形分含有量は、5~20質量%であることが好ましく、10~15質量%であることがより好ましい。
<成分(B):水溶性食物繊維>
本発明のフラワーペーストに含有される水溶性食物繊維について述べる。
食物繊維とは、栄養学的に「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義され、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類される。本発明に用いることのできる水溶性食物繊維としては、例えば、ポリデキストロース、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グルコマンナン、寒天(アガロース)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、イヌリン、イソマルトデキストリン、難消化性デキストリン等が挙げられる。
ここで、通常、フラワーペースト中に糖アルコールを含有させた場合においては、通常、これに伴って糖類や糖質の含有量を低減させる為、糖アルコール由来の鋭く刺激のある甘味の質が目立ちやすく、また、食感のなめらかさの低下や、離水等の経時的な物性変化等が起こりやすい。こうした、風味や食感、物性の経時的な安定性を損なわない観点から、本発明においては水溶性食物繊維を含有することが好ましい。なお、水溶性食物繊維の中でも、とりわけ寒天を選択して使用することが、糖アルコールを使用した場合にあっても、風味や食感、経時的な物性の安定性を損なわず得ることができるため好ましい。水溶性食物繊維のうち、カラギーナンについては、pH変動により分解し、発がん性が疑われる物質となることから含有しないことが好ましい。
本発明で使用できる寒天としては特に制限されないが、従来から食品用に使用されているものであればよく、例えば、主に紅藻類のテングサ、オゴノリ等から抽出して得られた寒天が挙げられる。この寒天には、糸寒天、棒寒天、フレーク寒天、粉末寒天等が含まれる。また、なんらかの方法で物性を改変した寒天も使用することができる。なお、物性を改変した寒天としては、ゲル強度を高めたもの、ゲル強度を弱めたもの、粘弾性を高めたもの、粘弾性を低減したもの、高融点化したもの、低融点化したもの等が挙げられる。本発明ではこれらのうちの1種または2種以上をとくに限定することなく使用することができる。
なかでも、食感のなめらかさを得る観点から低強度寒天であることが好ましい。本発明に好ましく用いられる低強度寒天とは通常の寒天を構成する多糖類を低分子化することにより作られたものである。通常の寒天が1.5質量%溶液で400~900g/cm2程度のゲル強度を示すのに対し、本発明において好ましく用いられる低強度寒天は、おおよそ30~200g/cm2という低いゲル強度を示す。なお、このゲル強度は、日寒水式測定法により測定されたものであり、寒天の1.5%溶液を調製し20℃で15時間放置し、凝固させたゲルについて、その表面1cm2当たり20秒間耐えうる最大重量〔g〕をもってゲル強度とする測定法により、測定されたものである。
このような低強度寒天の具体例としては、伊那食品工業株式会社製のウルトラ寒天イーナ、ウルトラ寒天UX-30、ウルトラ寒天AX-30、ウルトラ寒天UX-100、ウルトラ寒天AX-100、ウルトラ寒天UX-200、ウルトラ寒天AX-200、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、低強度寒天のうちでも特に日寒水式測定法により測定されたゲル強度が、50~200g/cm2となるような低強度寒天を使用することが好ましく、50~150g/cm2となるような低強度寒天を使用することがより好ましい。
この好ましいゲル強度を有する低強度寒天の一例としては、例えば上記具体例のうちでは、伊那食品工業株式会社製のウルトラ寒天UX-100、ウルトラ寒天AX-100、ウルトラ寒天UX-200、ウルトラ寒天AX-200が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のフラワーペースト中の水溶性食物繊維の含有量は、求めるフラワーペーストの食感や物性によって適宜調製されるが、0.01~1.0質量%含有されることが好ましく、0.03~0.5質量%であることがより好ましい。また、低強度寒天を用いる場合、フラワーペースト中の含有量は、0.05~1.0質量%であることが好ましく、0.1~0.5質量%であることがより好ましい。
本発明のフラワーペーストは、上記の糖アルコール、及びクリーム又はバターからバターオイルを得る際に生じる水相成分を含有し、上記乳酸発酵風味素材や上記水溶性食物繊維を含有することが好ましいが、これらの他に、フラワーペーストに通常用いられる油脂や澱粉類を含有する。
<油脂>
本発明のフラワーペーストに含有される油脂について述べる。
本発明のフラワーペーストに用いられる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。用いられる油脂の種類は、本発明のフラワーペーストに求める食感や物性にも依るが、例えば注入用のフラワーペーストを調製する場合は、注入用のノズルの詰まりを抑制する観点等から、20℃における固形脂含有量が0~5%の油脂を使用することが望ましい。また、例えば包餡用のフラワーペーストを調製する場合は、適度な可塑性を得る観点から、パーム系油脂を用いることが好ましい。なお、本発明においてパーム系油脂とは、パーム油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームオレインのランダムエステル交換油脂、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂のうちの1種又は2種以上を混合したものを指す。
ここで、本発明のフラワーペーストは、健康への影響の観点から実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂を使用することが好ましい。ここでいう「実質的にトランス脂肪酸を含まない」とは、油脂中の脂肪酸残基組成中、トランス脂肪酸の含有量が5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であることを意味する。
このため、水素添加した油脂を原料の一つとして用いる場合には、トランス脂肪酸の低減、また、その増加を抑制する観点から、ヨウ素価5以下となるように水素添加を施した極度硬化油を用いることが好ましい。
本発明のフラワーペースト中の油分(油脂含有量)は、好ましくは10~50質量%であり、より好ましくは20~50質量%である。フラワーペースト中の油分(油脂含有量)が10質量%未満であると、フラワーペーストの食感がワキシーになりやすく、なめらかな食感を有するフラワーペーストが得られにくい。50質量%を超えると、油分が分離しやすく、フラワーペーストの食感がなめらかさに欠けたものとなりやすい。
なお、本発明のフラワーペーストに、油脂を含有する副原料を使用した場合、上記の油分(油脂含有量)には、それらの副原料に含まれる油脂分も含めるものとする。
<澱粉類>
本発明のフラワーペーストに含有される澱粉類について述べる。
澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉等のその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉等の堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理等の中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等を挙げることができ、この中から1種又は2種以上を含有することができる。なお、なめらかな食感を得る観点から澱粉粒の大きさがより小さいことが好ましく、この観点から米澱粉を使用することが好ましい。
本発明のフラワーペーストには、澱粉類に由来する澱粉が含まれる。フラワーペーストの澱粉の含有量は、フラワーペーストに対して求める物性や食感によって、任意の含有量とすることができるが、本発明の課題である良好な食感を得る観点、離水現象等の物性悪化を抑制する観点から、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%である。澱粉の含有量が1質量%未満である場合には、糊化の効果が十分に得られずに、離水等の経日的な品質の悪化が起こりやすい上、フラワーペーストとしての良好な食感を得られにくい。また、澱粉の含有量が10質量%超の場合は、得られるフラワーペーストの食感が糊のようなべとついた食感となりやすい。フラワーペーストの澱粉の含有量は、澱粉類として澱粉そのものを配合する場合はその配合量、また配合する澱粉類の含有量が既知の場合は、その値と澱粉類の配合量を用いて計算した推計量を、ここでいうフラワーペーストの澱粉の含有量としてよい。
<その他成分>
本発明のフラワーペーストは糖アルコール、クリーム又はバターからバターミルクを得る際に生じる水相成分、油脂、澱粉類、好ましくは乳酸発酵風味素材、水溶性食物繊維の他、本発明の効果を損ねない範囲でその他成分を含有することができる。その他成分としては、例えば、水、ゲル化剤、安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、蛋白質、乳や乳製品、卵製品、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β-ガラクトシダーゼ)、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、小麦フスマ、セルロース、リグニン、キチン、キトサン、ヘミセルロース、コーンファイバー、穀物ファイバー、果実ファイバー、バンブーファイバー、バガスファイバー等の不溶性食物繊維、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
<製造方法>
本発明のフラワーペーストの製造方法について述べる。
本発明のフラワーペーストは、糖アルコール、クリーム又はバターからバターオイルを得る際に生じる水相成分、油脂、澱粉類を含有し、好ましくはさらに、上記の乳酸発酵風味素材、水溶性食物繊維を含有するフラワーペースト原料を、均質化処理した後、加熱することによって製造することができる。
具体的には、まず、水を60℃に加熱して、糖アルコール、クリーム又はバターからバターオイルを得る際に生じる水相成分、澱粉類を加え、好ましくはさらに乳酸発酵風味素材、水溶性食物繊維、その他水溶性原料を加えて攪拌・混合し、分散・溶解させ、水相を調製する。なお、フラワーペーストの配合中に、液糖を含むものであって、水が上記の原料を分散・溶解できる程度に含有されていない場合においては、液糖を60℃に加熱して、この中に上記の原料と水を分散・溶解させたものを水相としてもよい。
次に、油脂を60℃に加熱して融解した後、必要に応じて油溶性原料を加えて攪拌・混合し、油相を調製する。
得られた油相と水相を混合して攪拌し、予備乳化物を得る。この際、水相と油相の比率(水相:油相、質量基準)を99:1~60:40とすることが、得られるフラワーペーストの経時的な油水分離を避ける観点から好ましい。澱粉類や食物繊維は、作業性の点から、油相に添加し分散させてもよい。
得られた予備乳化組成物は、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、好ましくは圧力0~80MPaの範囲で均質化した後、加熱する。加熱は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT、HTST、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等を用いた加熱調理により行なうことができる。加熱温度や加熱時間は、選択する加熱方式等により異なるが、加熱温度は60~160℃が好ましく、加熱時間は0.01~30分が好ましい。
このようにして得られたフラワーペーストは、必要により、再度均質化してもよい。また、必要により、加熱後に急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよく、エージングを行ってもよい。さらに、得られたフラワーペーストは、必要により、冷蔵状態もしくは冷凍状態で保存してもよい。
本発明のフラワーペーストは、その形状を、シート状、ブロック状、円柱状、ダイス状等としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ1~50mm、ブロック状:縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ50~500mm、円柱状:直径1~25mm、長さ5~100mm、ダイス状:縦5~50mm、横5~50mm、厚さ5~50mmである。
本発明のフラワーペーストは、フィリング、トッピング、練り込み用、ロールイン用として、クッキー、パイ、シュー、サブレ、スポンジケーキ、バターケーキ、ケーキドーナツ等の菓子類、食パン、フランスパン、デニッシュ、スイートロール、イーストドーナツ等のパン類等に広く用いることができる。
<ベーカリー食品>
本発明のベーカリー食品について述べる。
本発明のベーカリー食品は、本発明のフラワーペーストを用いたものである。具体的には、本発明のベーカリー食品は、ベーカリー生地に、本発明のフラワーペーストをフィリングとして包餡したり、トッピングしたり、練り込んだり、ロールインする等の方法で複合させた複合生地を、必要に応じ圧延、成形、ホイロ、ラックタイムをとった後、焼成やフライ等の加熱を処理して得られたものであってもよく、加熱処理により得られたベーカリー食品に対して、フィリングとして本発明のフラワーペーストを注入やトッピング等して得られたものであってもよい。
上記のベーカリー生地としては、例えば、クッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地、食パン生地、フランスパン生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地等の菓子生地やパン生地が挙げられる。
上記の複合生地としては、例えば、ベーカリー生地にペースト状のフラワーペーストを包餡した包餡生地、ベーカリー生地にペースト状のフラワーペーストをトッピング又はサンドした積層生地、ベーカリー生地にシート状のフラワーペーストをロールインした積層生地等が挙げられる。上記焼成においては、ホイロは、イーストを含まないベーカリー生地を使用する場合は必要なく、イーストを配合したベーカリー生地を使用する場合のみ必要である。体積が大きく、層剥れの少ないベーカリー食品を得るためには、ホイロは、好ましくは25~40℃、相対湿度50~80%で20~90分、さらに好ましくは32~38℃、相対湿度50~80%で30~60分で行う。
上記焼成は、通常のベーカリー食品と同様、160~250℃、特に170~220℃で行なうのが好ましい。160℃未満であると、火通りが悪くなりやすく、また良好な食感が得られにくい。また、250℃を超えると、フラワーペースト類の水分が飛びすぎて色艶が悪化しやすく、食味が悪くなりやすい。なお、フライする場合、ラックタイムは特に有効である。ラックタイムをとることにより、ベーカリー生地の水分を飛ばし、表面を固化させることができ、結果として、ベーカリー生地の水分を減少させること及びフライ操作時の吸油を減少させることができる点で、ラックタイムをとることが望ましく、時間にして10~40分、相対湿度50%以下の環境中で静置することにより好ましい効果が得られる。
フライ操作は、通常のドーナツ等と同様、160~250℃、特に170~220℃で行なうのが好ましい。160℃未満であると吸油が多く、良好な食感が得られにくい。250℃を超えると、焦げを生じて食味が悪くなりやすい。なお、上記焼成とフライとを併用する場合は、フライした後に焼成しても、焼成した後にフライしてもよい。
以下、実施例を基に本発明を詳述する。
<製造例1:乳酸発酵風味素材の調製>
脱脂粉乳(無脂乳固形分96質量%、蛋白質含有量34質量%)4.5質量部、ホエイパウダー(無脂乳固形分98質量%、蛋白質含有量11質量%)3.5質量部、トータルミルクプロテイン(無脂乳固形分95質量%、蛋白質含有量91質量%)1質量部、無塩バター(無脂乳固形分1.2質量%、蛋白質含有量0.5質量%、乳脂肪分83質量%)4質量部、バター分解物(デリシャンバターテイストHB-2、大洋香料株式会社製)0.2質量部、及び水86.78質量部を混合し、55℃に加熱し、ケミコロイド社製シャーロットコロイドミルにてクリアランス0.2mm、回転数3500rpmにて均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂乳固形分が9質量%、遊離脂肪酸含有量が0.035質量%、乳脂含有量が3.3質量%であるミックス液を調製した。この乳原料を含有するミックス液にLactobacillus helveticus及びLeuconostoc mesenteroidesの乳酸菌スターター各0.01質量部を加え、30℃で15回転/分で攪拌しながら12時間発酵し、固形分が13質量%、pHが4.54である乳酸発酵風味素材を得た。
<試験区Aのフラワーペーストの調製:比較例1、2、実施例1、2>
表1の配合に則り、以下の手順で比較例1、2、及び実施例1、2のフィリング用のフラワーペーストの調製を行った。
比較例1においては、まず、水を60℃まで加熱し、ここに砂糖、クリームからバターミルクを得る際に生じる水相成分、米澱粉、セルロースを加え、十分に撹拌し水相を得た。次に、液状油を60℃まで加熱し、ここにホエイ蛋白質、卵白粉末、卵黄を加え、十分に撹拌し、油相を得た。
上記油相と水相を65℃に調温した状態で30分混合し、加熱殺菌し予備乳化物を得た。この予備乳化物をコロイドミルを用いて3500rpmの条件下で均質化し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、比較例1のフラワーペーストを得た。
比較例2、及び実施例1、2においては、ソルビトール液糖を混合して60℃まで加熱し、ここに、クリームからバターミルクを得る際に生じる水相成分、上記乳酸発酵風味素材、砂糖、米澱粉、セルロース、乳酸発酵風味素材、水を加え、十分に撹拌し水相を得た他は、比較例1と同様に油相を調製し、予備乳化物を得て、これを均質化した後充填し、冷却して比較例2、及び実施例1、2のフラワーペーストを得た。
<試験区Bのフラワーペーストの調製:比較例3、実施例3~5>
表2の配合に則り、以下の手順で比較例3、実施例3~5のフラワーペーストの調製を行った。まず、ソルビトール液糖を混合して60℃まで加熱し、ここに、クリームからバターミルクを得る際に生じる水相成分、米澱粉、セルロース、水を加え、十分に撹拌し水相を得た。次に、液状油を60℃まで加熱し、ここにホエイ蛋白質、卵白粉末、卵黄を加え、十分に撹拌し、油相を得た。
上記油相と水相を65℃に調温した状態で30分混合し、加熱殺菌し予備乳化物を得た。この予備乳化物をコロイドミルを用いて3500rpmの条件下で均質化し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、比較例3、実施例3~5のフラワーペーストを得た。
<試験区Cのフラワーペーストの調製:比較例4、実施例6~9>
表2の配合に則り、以下の手順で比較例4、実施例6~9のフラワーペーストの調製を行った。まず、ソルビトール液糖と還元水飴とを混合して60℃まで加熱し、ここに、クリームからバターミルクを得る際に生じる水相成分、米澱粉、寒天、セルロース、乳酸発酵風味素材、水を加え、十分に撹拌し水相を得た。次に、液状油を60℃まで加熱し、ここにホエイ蛋白質、卵白粉末、卵黄を加え、十分に撹拌し、油相を得た。
上記油相と水相を65℃に調温した状態で30分混合し、加熱殺菌し予備乳化物を得た。この予備乳化物をコロイドミルを用いて3500rpmの条件下で均質化し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、比較例4、実施例6~9のフラワーペーストを得た。
<試験区Dのフラワーペーストの調製:比較例5、実施例10~17>
表3の配合に則り、以下の手順で比較例5、実施例10~17のフラワーペーストの調製を行った。まず、ソルビトール液糖を混合して60℃まで加熱し、ここに、クリームからバターミルクを得る際に生じる水相成分、トレハロース、米澱粉、寒天A、寒天B、イヌリン、乳酸発酵風味素材、水を加え、十分に撹拌し水相を得た。次に、液状油を60℃まで加熱し、ここにホエイ蛋白質、卵白粉末、卵黄を加え、十分に撹拌し、油相を得た。
上記油相と水相を65℃に調温した状態で30分混合し、加熱殺菌し予備乳化物を得た。この予備乳化物をコロイドミルを用いて3500rpmの条件下で均質化し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填した。これを22℃まで冷却し、ペースト状である、比較例5、実施例10~17のフラワーペーストを得た。
なお、使用した原料の詳細については、次の通りである。
・ソルビトール(液糖):ソルビットT70(三菱商事フードテック株式会社製)、固形分70%
・クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分:株式会社ADEKA製、リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%
・還元水飴:SOシロップ(三菱商事フードテック株式会社製)、固形分70%
・寒天A:ウルトラカンテン UX-100
(伊那食品工業株式会社製、ゲル強度50~150g/cm2を満たす)
・寒天B:伊那寒天 UP-37
(伊那食品工業株式会社製、ゲル強度670~730g/cm2
・イヌリン:オラフティGR(Beneo-Orafti S.a.社製)
・米澱粉:松谷ききょう(松谷化学工業株式会社製)
・セルロース:KCフロック(日本製紙ケミカル株式会社製)
・ホエイ蛋白質:ラクプロダン80(アーラフーズ株式会社製)
以下、比較例1をコントロール(Cont.A)として、比較例2、実施例1、2(A-1~A-3)を評価し、比較例3をコントロール(Cont.B)として、実施例3~5(B-1~B-3)を評価し、比較例4をコントロール(Cont.C)として、実施例6~9(C-1~C-4)を評価し、比較例5をコントロール(Cont.D)として、実施例10~17(D-1~D-8)を評価した。
<官能評価>
まず、試験区Aのフラワーペーストについて、12人の専門パネラーにより、次の評価基準に従って、砂糖を使用して製造されたフラワーペーストであるCont.Aの甘味や風味と比較しながら、風味と甘味の評価項目について官能評価を実施した。なお、評価に参加したパネラーは、本評価に先立ち、事前にパネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。また、本試験においては、評価結果が○以上のものを合格品として取り扱った。
◆風味
5点 コントロールと同様の、コクの強い、厚みのある風味を有している。
3点 コントロールに類似した、厚みのある風味を有している。
1点 コントロールと比較して、やや味の厚みが乏しい。
0点 コントロールと比較して、味の厚みが乏しい。
◆甘味
5点 コントロールと同様の、カドのとれた砂糖に近い味質の甘味を有している。
3点 コントロールに類似した、砂糖様の甘味を有している。
1点 コントロールと比較して、やや弱い、カドのある甘味を有している。
0点 コントロールと比較して、鋭くカドのある甘味を有している。
次に、試験区B~Dの各フラワーペーストについても、12人の専門パネラーにより、風味、甘味、食感の各項目について、それぞれ下記評価基準に従って官能評価を実施した。
得られた12人の専門パネラーの合計点を評価点数として、結果を下記のようにして表1、及び、表2に示した。
54~60点:◎+、44~53点:◎、36~43点:○、18~35点:△、0~17点:×
なお、評価に参加したパネラーは、本評価に先立ち、事前にパネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。また、本試験においては、評価結果が○以上のものを合格品として取り扱った。保型性試験においては、フラワーペーストをディッシャーでポリカップにとり、蓋をして5℃の恒温槽に24時間おき、ダレの状況を観察した。
◆風味
5点 コントロールと比較して、より厚みのある風味を有している。
3点 コントロールと比較して、厚みのある風味を有している。
1点 コントロールと比較して、やや味の厚みが乏しい。
0点 コントロールと同様に、味の厚みが乏しい。
◆甘味
5点 コントロールと異なり、カドのとれた砂糖に近い味質の甘味を有している。
3点 コントロールと異なり、カドのとれた甘味を有している。
1点 コントロールと比較して、やや弱い、カドのある甘味を有している。
0点 コントロールと同様の、鋭くカドのある甘味を有している。
◆食感
5点 コントロールと比較して、よりなめらかな口当たりである。
3点 コントロールと比較して、なめらかな口当たりである。
1点 コントロールと比較して、糊感は抑えられているが、僅かにべとつく口当たりである。
0点 コントロールと比較して、同様に糊感があり、べとつく口当たりである。
◆保型性
◎ コントロールと比較して、保型性が特に良好である
○ コントロールと比較して、保型性が良好である
△ コントロールと比較して、同様に保型性に乏しい。
× コントロールよりも保型性に乏しい。
Figure 0007438682000001
Figure 0007438682000002
Figure 0007438682000003
<ベーカリー試験>
上記表2中のCont.C、C-1、C-3のフラワーペーストを使用し、下記配合・製法により、フラワーペーストを包餡したベーカリー生地を焼成して、ブッセをそれぞれ得た。得られたブッセについて、下記の評価基準で評価を行なった。
<官能評価>
フラワーペーストの食感について、12人の専門パネラーにより、下記評価基準に従って官能評価を実施した。得られた12人のパネラーの合計点を評価点数として、結果を下記のようにして表4に示した。
54~60点:◎+、44~53点:◎、36~43点:○、18~35点:△、0~17点:×
なお、評価に参加したパネラーは、本評価に先立ち、事前にパネラー間で各点数に対応する官能の程度をすり合わせた。また、本試験においては、評価結果が○以上のものを合格品として取り扱った。保型性評価基準については、各ブッセを中央部で割断し、目視で確認した。
◆食感評価基準
5点:コントロールと比較して、なめらかな口当たりである。
3点:コントロールと比較して、わずかに糊感があるが、なめらかな口当たりである。
1点:コントロールと比較して、糊感があり、わずかにべとつく口当たりである。
0点:コントロールと同様に、糊感があり、べとつく口当たりである。
◆保型性評価基準
◎:コントロールと比較して、生地との間に空隙がみられず、良好な保型性を有している。
○:コントロールと比較して、生地との間にわずかに空隙がみられるが、良好な保型性を有している。
△:コントロールと比較して、ややダレ気味で、生地との間に空隙がある。
×:コントロールと同様に、ダレ気味で、生地との間に空隙がある。
(ブッセ用生地の配合)
ブッセ用生地の原料として、薄力粉100質量部、グラニュー糖120質量部、全卵(正味)160質量部、ケーキ用起泡剤(株式会社ADEKA製「ジェノワーズ」)6質量部、製菓用液状油(株式会社ADEKA製「グラシュー」)10質量部、ベーキングパウダー1質量部を用いた。
(ブッセ用生地の製法)
全卵、グラニュー糖、ケーキ用起泡剤をミキサーボールに入れ、縦型ミキサーを用いて中速で比重が0.35程度になるまで攪拌した後、薄力粉、ベーキングパウダーを加え、低速でよく混ぜ合わせた。この後、製菓用液状油を加え、比重が0.45程度になるまで攪拌し生地を調製した。
(ブッセの製法)
上記のようにして得られたブッセ用生地を、ロール紙を敷いた天板に流して、上火200℃、下火170℃で10分間焼成した。
焼成した生地をφ9.5cmのセルクルで抜き、ここにフラワーペーストを絞り、未焼成のブッセ用生地でフタをした。これを、95℃、6分30秒の条件で蒸し、ブッセを得た。
Figure 0007438682000004

Claims (7)

  1. 糖アルコールを含有するフラワーペーストであって、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含有するフラワーペーストであって、
    該糖アルコールの固形分100質量部に対して、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、固形分として0.30~2.6質量部含有することを特徴とする、フラワーペースト。
  2. 次の成分(A)及び成分(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のフラワーペースト。
    成分(A):乳酸発酵風味素材
    成分(B):水溶性食物繊維
  3. 澱粉の含有量が1~8質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフラワーペースト。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のフラワーペーストを用いたベーカリー食品。
  5. クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含む、糖アルコールを含有するフラワーペーストの改質剤であって、
    該糖アルコールの固形分100質量部に対して、該水相成分を、固形分として0.30~2.6質量部使用するための、改質剤。
  6. クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を含む、糖アルコールの味質の改良剤。
  7. クリーム又はバターからバターオイルを製造し、副産物として生じる水相成分を得る工程を含む、糖アルコールを含有するフラワーペースト用の食品素材の製造方法であって、
    該食品素材が、該糖アルコールの固形分100質量部に対して、該水相成分を、固形分として0.30~2.6質量部使用するためのものである、製造方法。
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