JP4698038B2 - βグルカン含有油脂組成物を含有するベーカリー製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物に関し、詳しくは、油脂中に均一に分散し、該油脂を食品等に使用することにより、生体調節機能を有するβグルカンを容易に供することができ、更に、食品全体に均一に分散し、食味、食感等が向上し、風味発現等の向上効果を有する食用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
βグルカンは、近年その優れた生体調節機能性、例えば、脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制等が解析され、利用が注目されている素材である。このような素材を加工食品にて広く利用することは、加工食品の機能性増強(高付加価値化)に寄与するのみならず、広く国民の健康維持への貢献が期待され、極めて有用なことである。βグルカンは、イネ科植物に含まれているが、このイネ科植物由来のβグルカンは、例えば、大麦やオーツ麦では、主に種子の胚乳細胞壁を構成する成分でほぼ全体に分布している。その含有量は、大麦粉では、部位や種によって差はあるが、概ね3〜10重量%である。構造は、1−3,1−4−β−D−グルコピラノース結合を主成分とするグルコースの重合体である。
【0003】
このようなβグルカンを添加あるいは増強した加工食品を製造する場合、例えば、大麦βグルカンを添加・増強した食品の製造では、1)大麦粒や大麦粉を添加するという方法、2)大麦糠、大麦粒から抽出したβグルカンをそのまま添加する方法が考えられる。1)の方法では、従来の菓子製造過程で用いられる小麦粉を主成分とする生地原料に大麦粒や大麦粉を添加することにより比較的簡単にβグルカンを増強することが可能であるが、βグルカンの含有量は、添加した大麦粒や粉の10重量%程度であり、食品全体としてβグルカンの増強する量が制限されること、大麦粒や粉による食味、食感の低下や焼けムラ等の製品価値の低下等の問題点が多い。また、βグルカン及びその他の機能性成分が多く含まれる大麦糠を添加することも考えられるが、糠は、大麦粒や大麦粉を配合する以上に、食味、食感の低下や焼けムラ等の製品価値の低下を招き問題点が多い。また、油脂等の液状物質に添加する場合、大麦粒、大麦粉、大麦糠は、均一に混合、分散させることは難しく、これらを配合し食用油脂組成物として使用することは非常に困難である。
【0004】
これに対して、2)の抽出したβグルカンの利用では、加工食品においてβグルカンの含有量を任意に調節できる利点があり有用である。しかし、大麦βグルカンは吸水性が大きく、例えば、小麦粉を主成分とする生地原料にそのまま添加し、水を加えて混捏すると、βグルカンがダマになり、生地全体の中で不均一化を引き起こし、食味食感の低下、品質の低下につながるという問題点が発生する。また、予め水に溶解してから生地原料(主に粉体)に添加することで比較的均一に分散したβグルカン含有食品を得ることができるが、溶解させるのに時間がかかるのと同時に水溶液は粘性を呈し、均一な水溶液を得るのが容易ではなく、製造現場では作業性を損ない実際的ではないという欠点があった。そこで、大麦を始めイネ科由来のβグルカンを含有する抽出物を添加した食品を製造するにあたり、βグルカンを均一に分散でき、かつ簡便に同加工食品を製造する方法が、あるいは、そのようなイネ科植物由来βグルカン材料の開発が待たれていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、優れた生体調節機能性を有するβグルカンを、食味、食感の低下等がなく、供することのできるβグルカン含有油脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、イネ科植物から抽出されたβグルカンを使用し、これらを油脂又は油脂組成物中に分散、混合させることにより、食味、食感等を低下させることなく、βグルカンを供することのできる食品が容易に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、イネ科植物から抽出された1−2,1−3,1−4,1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンを油脂に添加、混合したβグルカン含有油脂組成物を含有するベーカリー製品を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の油脂組成物に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカンは、その抽出方法に特に制限はなく、抽出原料となるイネ科植物に、抽出溶媒を添加し抽出すればよい。また、固液分離された場合の抽出液そのもの、あるいは、抽出液より公知の方法で抽出されたβグルカンを濃縮した液体や固体状のもの、あるいは、抽出液より公知の方法で精製し純度を上げた液体や固体状のもの等、いずれの製造方法で得たものでも、いずれの形態のものでも、いずれの純度のものでも使用可能である。もちろんβグルカン以外の抽出された成分が混合していても何ら問題はない。本発明では、これらを全てイネ科植物から抽出されたβグルカンという。
【0015】
イネ科植物の例としては、米類、小麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等の穀類を挙げることができる。抽出には、植物全体を原料とできるが、βグルカンの含有量の比較的高い種子を用いるのが好ましい。全体を粉砕したもの(全粒粉)をはじめ、穀類の精製工程で得られる糠、フスマ、麦芽、胚芽、胚乳部位のいずれを用いてもよい。好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や穀粒を外周部よりと搗精した胚乳部分やその際発生する糠、米糠、小麦やトウモロコシ類のフスマや胚芽等であり、更に好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や穀粒を外周部より搗精した胚乳部分やその際発生する糠である。
【0016】
また、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンは、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合、1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンが好ましく、1−3,1−4−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカンを含有することが好ましい。
【0017】
更に、本発明に係るβグルカンのイネ科植物からの抽出方法を説明すると、本発明に係るβグルカンは、水溶性高分子として水溶液として溶解させることができ、例えばイネ科植物の穀類粉末に水、温水、熱水あるいは塩溶液、更には酸、アルカリ性の水溶液、有機溶媒等を用いて、対粉2〜100倍量の溶媒にて任意の時間、任意の温度で抽出することができる。更に抽出液を固液分離してβグルカンを得ることができる。これらの中でも、水、温水又は熱水で抽出されたβグルカンが好ましく、温度80℃以下4℃以上の温水で抽出されたβグルカンがより好ましい。更に抽出時に抽出促進剤等を加えてもよい。
【0018】
具体的には、大麦から高分子量のβグルカンを得る方法としては、例えば、多ろう質大麦を原料とし、水抽出により製造する方法(特公平4−11197号公報)、あるいは、大麦、オーツ麦を原料として、アルカリ抽出、中和、アルコール沈殿により、重量平均分子量10万〜100万のβグルカンを得る方法(特公平6−83652号公報)、搗精歩留まり82%以下の大麦糠類を原料として、80〜90℃の熱水にてβグルカンを抽出する方法(特開平11−225706号公報)等で得られたβグルカン、またこれらの製造方法で得られたβグルカンを更に公知の方法で低分子化βグルカンとしたもの。例えば低分子化の方法としては、公知である多糖類の加水分解反応のいずれもが利用可能である。例えば、水溶性多糖類は、酸存在下に加圧加熱により加水分解することが知られており、これを利用して低分子化することができる。また、酵素による加水分解反応を利用した低分子化も有効で、酵素としては、1・ 3−βグルカナーゼ等を用いることができる。更にまた、WO98/13056号公報、特願2000−287920号等の方法により、原料穀物から直接抽出して得たβグルカンも用いることができる。また、特願2000−295660号に記載の抽出促進剤等を使用してもよい。
【0019】
本発明に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカンは、高分子体で、いずれの平均重量分子量を持つβグルカンも使用可能であるが、分子量の低下と共に油脂との相和性がよくなるため、分子量300万以下、好ましくは50万以下、更に好ましくは10万以下のものがよい。抽出されたβグルカンは、油脂との相和性が良くなるように、公知の方法で低分子化してもよく、直接低分子量のβグルカンを抽出してもよい。
【0020】
本発明において、イネ科植物から抽出されたβグルカンを分散させる油脂又は油脂組成物は、食用に供することができれば特に制限されない。例えば、米油、菜種油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、魚油、牛脂、豚脂、カカオ脂、あるいはそれらを必要に応じ加工した硬化油、微水添油、異性化水添油、エステル交換油、分別油又はこれらの2種以上の加工を行なった油、並びにこれらの油脂の2種以上を混合した油脂等の何れも使用可能である。更に、これらの食用油脂の乳化物(W/O乳化物、あるいはO/W乳化物、更には、O/W/O乳化物、W/O/Wの2重乳化物、又はそれ以上の高次乳化構造のエマルジョンを含む)や懸濁物等、油脂を分散媒又は分散質とする分散系を使用することができる(以下、本明細書中では該分散系も油脂とする)。
【0021】
イネ科植物から抽出されたβグルカンの油脂への添加方法は、βグルカンの形態には特に制限はなく、そのまま、あるいは、それらを水やその他水溶性の溶媒に溶解させて、油脂に添加することができる。乳化物の場合、既に乳化している油脂にβグルカンを分散させることも、乳化時にβグルカンを分散させることもできる。なお、液状油でも固体脂であっても支障なく例外なく実施できる。
【0022】
本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物は、油脂又は油脂組成物にイネ科植物から抽出されたβグルカンを添加後、混合させて得ることができる。混合させる手段は特に限定されず、ミキサー等の混合器を用いることができる。特にイネ科植物から抽出されたβグルカンを油脂あるいは油脂組成物と混合し50℃以上に一定時間、好ましくは5分以上6時間以下、更に好ましくは10分以上2時間以下保持することにより、イネ科植物由来のβグルカンを均一に、また、イネ科植物から抽出されたβグルカンが十分に油脂と相和した油脂組成物を得ることができ、しかも、油脂と十分に相和したイネ科植物から抽出されたβグルカンを用いて製造された食品では、イネ科植物から抽出されたβグルカンを直接添加する場合に比較して該イネ科植物由来のβグルカンが食品全体に均一に分散し、結果として、食味食感を減じることなく、意外にも乳化剤の使用に起因した風味抑制を緩和する作用のあることや食品の風味発現の向上効果等の効果が著しい。
【0023】
また、エマルジョンのように、油相と水相とからなる場合は、イネ科植物から抽出されたβグルカンを油相、水相いずれに添加することも可能であるが、まず、油相にイネ科植物由来の抽出成分を完全に分散させた後、混合するほうが、イネ科植物から抽出されたβグルカンが油脂と良好に相和し、かつ均質な油脂組成物となり、イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物が短時間で得られ好ましい。
【0024】
また、油中水型エマルジョン又はこれを可塑化したもの等の場合は、上述のように油脂にイネ科植物から抽出されたβグルカンを添加してから乳化させることができる他、乳化時にβグルカンを添加することも、乳化後にβグルカンを添加することも、可塑化の後に添加することもできる。また、固体脂の場合は、必要に応じ適切な方法により軟化あるいは液状化させてイネ科植物から抽出されたβグルカンを混合することができる。更に、高度に均一な状態でイネ科植物から抽出されたβグルカンを分散させるためには、粉体状の該βグルカン100重量部に対して10〜50重量部の食用油脂を添加し混合させた後、ロール掛けあるいはロール掛けに加えてコンチングを行なうことが望ましい。この際、他の原料の添加や追油等により、得ようとするイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物中の該βグルカン成分含有量を調整することもできる。
【0025】
イネ科植物から抽出されたβグルカンを油脂に混合させる手段の例を挙げると、各種の混合・混練、撹拌機を用いることができる。例えば、プロペラ型撹拌機、往復回転型撹拌機、オリフィス混合機、かい型撹拌機、撹拌型乳化機(ホモミキサー)、カッターミキサー、コニーダー、コンチェ機、サイレントカッター、ジェットミキサー、真空撹拌機、スクリュー型混合機、スタティックミキサー、カッティングミキサー、超音波乳化機、ニーダー、ロール、ハイドロッシャー、パイプラインミキサー、ユニバーサルミキサー、ピン・マシン、ホモジナイザー(高圧均質機)、ボールカッター、リボンミキサー等を挙げることできる。好ましくは品温40℃以上80℃以下で撹拌型乳化機(ホモミキサー)及び、又は、ホモジナイザー(高圧均質機)を使用するのが好ましい。イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物は上記方法で混合撹拌後、そのまま保存もしくは乳化物としても良く、更には、急冷可塑化させてもよい。この場合、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター、コンプレクター、オンレーター等が使用できるが、品温10℃以下でピン・マシンを使用するのが好ましい。また、反対に油脂を乳化、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター、コンプレクター、オンレーター等の急冷可塑化装置を使用した後、イネ科植物から抽出されたβグルカンを添加し、上記いずれかの方法でイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を調製してもよい。
【0026】
イネ科植物から抽出されたβグルカンの含有量は、本発明の組成物中、該βグルカン以外の全組成物100重量部に対して0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜150重量部、更に好ましくは1〜100重量部であることが好ましい。イネ科植物から抽出されたβグルカンが0.01重量部未満であると、最終製品での該βグルカンの機能性効果が得られないおそれがあり、500重量部を超えると、その他の成分の種類に拘わらず粉末状乃至ソボロ状となり、均一にイネ科植物から抽出されたβグルカンが混合、分散した食用油脂組成物とはならず、最終製品とした時にダマが残り抽出成分の分布が不均一になってしまう傾向が強い。
【0027】
なお、イネ科植物から抽出し精製を行わず、抽出液をそのまま、あるいは粉体化、固体化処理のみを行なったものをそのまま使用する場合、該成分中のβグルカンの純度は、高純度であればある程良いが、1〜100%、好ましくは10〜100%、更に好ましくは20〜100%がよい。
【0028】
また、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物には、該組成物中でイネ科植物由来のβグルカン成分がダマや固まりになる等の不均一化をよりいっそう抑制するために、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤等の食品添加物や食品を添加することも可能である。これらは食用であれば特に限定されず、乳化剤としては、例えば、レシチン、脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、シュガーエステル等が挙げられ、増粘剤、安定剤としては、例えば、プルラン、サイリウム、アラビアガム、ジェランガム、グルコマンナン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン及びそれらの低分子化物、澱粉、化工澱粉、各種α化デンプン、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。その他、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類、リン酸塩(ヘキサメタリン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)等の安定剤、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質、食塩、岩塩、海塩、塩化カリウム等の無機塩類、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、全卵、卵黄、卵白、酵素処理卵等の卵類、強力粉、中力粉、薄力粉等の穀類、大豆粉末等の豆類、水、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、酵素、食品保存料日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダーを含有させてもよい。これら上記に挙げた添加物の2種以上の併用も可能である。これらの添加剤の添加量は特に限定されず、一般的な量であることができ、本発明の組成物中、例えば、0.01〜15重量%である。
【0029】
次に、本発明の食品について詳述する。本発明の食品は、上述した本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を含有しているものであり、該油脂組成物をもって、従来の油脂の一部又は全部を置換したものである。その態様としては、マーガリン、ショートニング等の油脂食品はもちろん、ベーカリー製品、製菓類、米加工品、小麦加工品、トウモロコシ加工品、大豆加工品、健康食品、薬用食品の他、油脂を含むあらゆる食品が挙げられる。また本発明の食品は、例えば、サラダオイル、揚油、ホイップクリーム等の液状、流動ショートニング等の流動状、あるいは起泡性乳化脂やドレッシング、ファットスプレッド、カスタードクリーム、ディップクリーム等のペースト状又はエマルジョン、また、ショートニング、マーガリン、キャンディー、チョコレート、カレールー等の固体状のいずれであっても、これらの一部又は全部を本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物で置換して、従来と同様の使用態様で用いられるものである。
【0030】
次に、本発明のベーカリー製品について詳述する。本発明のベーカリー製品は、上述した本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を含有しており、該油脂組成物をもって、従来の油脂の一部又は全部を置換して生地を調製し、該生地を焼成したものである。その態様としては、例えば、パン、パイ、カステラ、スポンジケーキ、バターケーキ、シュー菓子、ワッフル、醗酵菓子等が挙げられる。上記生地を調製する方法は特に限定されず、従来公知の方法で用いられている油脂の一部又は全部を、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物で置換することにより行なうことができる。例えば、本発明のベーカリー製品がパンである場合、パン生地の調製においては、小麦粉、水、イースト、砂糖、食塩等の一般的製パン原料と、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有食用油脂組成物とを公知の操作と同一の操作に付することによりパン生地を得ることができる。例えば混捏後、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物をロールインし、一般的方法に従い、醗酵、成形、焙炉等を行い焼成することができる。同様に例えば、本発明のベーカリー製品が折パイであれば、ロールイン油脂又は練込油脂、練パイであれば、チップ状又はストロー状等の小片油脂、スポンジケーキであれば、起泡性乳化脂又はケーキ用液状油の一部又は全部を、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物で置換して使用することができる。
【0031】
このように、ベーカリー製品が焼成工程を伴うものである場合、大麦粒や大麦粉をβグルカンの供給源としてそのまま添加、使用する場合はもとより、生地作成後にイネ科植物から抽出したβグルカンを、そのまま添加したり、粉体等にそのまま混合後生地作成を行うと、生地中でダマになりやすく、ダマや固まりになった場合は、食品にざらつき感やつぶつぶ感、水分の不均一さ、固さの違いに起因した違和感が発生する。一方、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を利用することによって、イネ科植物から抽出されたβグルカンが均一に分散した、ダマや固まりの極めて少ない生地が得られ、焼成した最終製品は、異味を感じないばかりか、ソフトさが大幅に増した食感の良いベーカリー製品となる。
【0032】
次に、本発明の製菓類について詳述する。本発明の製菓類は、上述した本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を含有しており、該イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物をもって、従来の油脂の一部又は全部を置換して生地を調製し、該生地を加工したものである。その態様としては、例えば、生地をフライしたスナック、ドーナッツ類、蒸した蒸ケーキ、まんじゅう等の蒸菓子類が挙げられる。また、別の態様として、上述した本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物と、砂糖、香料等とを混合し、必要に応じて固化成形したキャンディー、ガム、チョコレート、打菓子等の他、ラクトアイス等の氷菓も挙げられる。
【0033】
製菓類として、風味のみでなく、食味、特に甘味を大切にする製菓類を得たい場合には、ダマがないことが更に重要であって、極僅かなダマでも、直ちに違和感を生じてしまい、商品価値が低下する。本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物では、すでにβグルカン成分が均一になった形で存在しているため、製菓類に後添加、混合する場合でも、最終製品である本発明の製菓類は、含有するイネ科植物から抽出されたβグルカンが均一に分散し、ダマがなく、また異味の感じることのない良好な風味のものとなる。
【0034】
本発明の油脂組成物は、生活習慣病予防作用を有する食品成分を含んだ食品又は医薬品に添加し、その作用を増強するために使用可能である。例えば、血中脂質濃度を適正化する高不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、血清コレステロールを調節する植物ステロール、及びそのエステル化物、ジアシルグリセロール、γリノレン酸、αリノレン酸、ビートファイバー、コーンファイバー、サイリウム種皮、茶ポリフェノール、レシチン、血圧降下に有効なかつお節ペプチド、イワシペプチド、カゼインドデカペプチド、大豆分離蛋白質等、腸内環境を改善して整腸作用に働く乳酸菌、グルコン酸、オリゴ糖、各種食物繊維等を含む食品や医薬品である。その他、健康機能性を有することが知られている、クロレラ、スピルリナ、プロポリス、キチン、キトサン、核酸、霊芝、アガリクス、銀杏葉エキス、らかん果、ウコン、ガルシニア、アップルファイバー、ギムネマ、コラーゲン、ブルーベリー、アロエ、ノコギリヤシ、植物発酵酵素、大豆イソフラボン、葉緑素、ローヤルゼリー、高麗人参、プルーン、カモミール、タイム、セージ、ペパーミント、レモンバーム、マロウ、オレガノ、キャットニップティー、ヤロー、ハイピスカス等のハーブ類を本発明の油脂組成物に添加して生体調節機能性を増強した食品又は医薬品を得ることができる。
【0035】
また、本発明の油脂組成物は、米・小麦・トウモロコシ・大豆加工品に添加して、機能性を付与、増強することが可能である。例えば、米飯類(冷凍米飯・無菌米飯);ビーフン、あられ、せんべい等の米加工品;上記に挙げたベーカリー製品、製菓類の他、パスタ、ソバ、うどん、ほうとう、中華麺等の麺類;その他小麦加工品;朝食シリアル、コーンフレークのようなトウモロコシ加工品;豆腐や豆乳、豆乳飲料、湯葉、油揚げ、厚揚げ、がんもどき、あん、みそ等の大豆加工食品が挙げられる。また、その他、牛乳、加工乳、ヨーグルト、乳清飲料、乳酸菌飲料;バター、チーズ等の乳製品;ようかん。最中、餡のような和菓子類;ポタージュスープ、シチュー、カレー等のスープ類;醤油、ソースやたれ、ジャム、トマトケチャップ等の調味料類;ソーゼージのような畜肉加工品;かまぼこ、さつま揚げ等の水産練り製品を始めとするあらゆる食品に添加することができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、「部」及び「%」は特記しない限り重量基準である。
【0037】
〔試験例1〕(βグルカン含有量の測定)
βグルカンの分析は、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)にて行った。まず、測定サンプルが粉体の場合、500μm(30メッシュ)のふるいにかけ、水分含量を測定し、その100mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。次に4mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、よく混合した後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合し、更に2分間、湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、1時間、50℃にて反応させた。チューブに200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、5ml加えて、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。100μlを3本のチューブに取り、1本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分間、反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ベルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)を測定した。βグルカン含有量は、次式により求めた。
【0038】
βglucan(%,W/W)=(EA)×(F/W)×8.46
F=(100)/(グルコース100μgの吸光度)
W=算出された無水物重量(mg)
【0039】
また、測定サンプルがβグルカンを抽出した抽出液(液体)の場合は、以下のように抽出物(固体あるいは粉末)としてから含有量を測定した。すなわち、βグルカン抽出液に2倍量のエタノールを添加しよく混合してから遠心分離にて沈殿を回収し、よく乾燥させ粉砕し、βグルカン抽出物(固体)とした。βグルカン抽出物は、水分含有量を測定後、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)にて分析した。各沈殿サンプル50mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。
その後は上記と同様に測定した。
【0040】
〔試験例2〕(分子量の測定)
抽出物の分子量測定は、以下の通りとした。すなわち、抽出物の5mgをチューブに取り、0.5mlの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22μmのフィルターを通してHPLC用のサンプルとした。分離にはHPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックドカラムKS−805(昭和電工社製)を用い、流速0.6ml/min.、温度50℃、検出にはRI検出器、分離溶媒は水で実施した。分子量マーカーとしてはShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いて測定した。
【0041】
抽出βグルカンが抽出液(液体)の場合は、まず、2倍量のエタノールを加え、−20℃に冷却して1時間、放置し、沈殿を得た。得られた沈殿の5mgをチューブに取り、以下、抽出物の場合と同様に操作して、分子量を測定した。
【0042】
〔製造例1〕(原料及び抽出促進剤の製造)
もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、歩留まり82%まで精麦した。このとき発生した糠を糠―1 とした。歩留まり82%まで精麦した大麦は、更に研削式搗精機により削り、歩留まり55%まで精麦した。このとき発生した糠を粉砕物−1 とした。容器(50L)に水道水20Lを加え、撹拌しながら、15℃に調温した。これに糠―1 の6kgを加え、2時間撹拌抽出し、連続遠心機にて固液分離後、上清を凍結乾燥し、抽出促進剤450gを得た。
【0043】
〔製造例2〕(βグルカンの製造)
容器(70L)に水道水30Lを加え、撹拌しながら、製造例1で得た抽出促進剤を150g加え、溶解後、粉砕物―1 の7.5kgを加えた。2時間、50℃で撹拌抽出してから連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、冷却後に15Lのわずかに粘調なβグルカン液(サンプル1)を得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカン含有量は3%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は分子量9万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。
【0044】
〔製造例3〕(βグルカンの製造)
製造例2と同様に行い、得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈殿を回収、乾燥させてβグルカン抽出物460g(サンプル2)を得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は91%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は分子量20万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。
【0045】
〔製造例4〕(βグルカンの製造)
製造例2と同様に行い、得られたβグルカン液をそのまま凍結乾燥し、βグルカン抽出物580g(サンプル3)を得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は76%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は分子量20万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。
【0046】
〔製造例5〕(βグルカンの製造)
容器(70L)に水道水30Lを加え、撹拌しながら、水酸化ナトリウム60gを加えて溶解後、粉砕物―1の7kgを加えた。2時間、30℃で撹拌抽出してから、塩酸にて中和した。連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、15Lの粘調なβグルカン液(サンプル4)を得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカン含有量は1.8重量%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は分子量10万以下3000以上の範囲にピークは得られず、分子量50万以上から10万までにわたる極めてブロードなピークが検出された。試験例1の方法により分子量10万以上に溶出される画分がβグルカンであることを確認した。
【0047】
<評価>
以下、実施例及び比較例について、必要に応じて安定性、食感(滑らかさ、硬さ、風味)について評価した。安定性は5℃で1 ヶ月保存後の状態変化を目視で確認した。食感については、パネラー10名により、それぞれ下記3段階の評価基準で評価を行ない、最も人数の多い評価を評価結果とした。結果を表1及び2に示す。なお、表1及び2中の―は、評価をしていないことを示す。
【0048】
<評価基準>
(安定性)
○:安定性に優れている。
△:やや分離等、外観に変化がみられる。
×:分離がみられる。
〔食感〕
(滑らかさ)
○:非常に滑らかである。
△:滑らかである。
×:滑らかでない
(硬さ)
○:非常にソフトである。
△:ソフトである。
×:ソフトでない
(風味)
○:優れている。
△:やや劣っている。
×:劣っている。
【0049】
〔実施例1〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例3で得たサンプル2の100部と大豆油100部をニダーでよく混合し、60℃で10分間放置後、室温に冷却してクリーム状になった本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―1(βグルカン含有量45.50%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。
【0050】
〔実施例2〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例4で得たサンプル3の300部に70℃に加温して溶解させたパーム油100部及びレシチン1部を添加し、高速ホモミキサーで混合して、50℃で20分間放置後、室温に冷却してそぼろ状になった本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―2(βグルカン含有量56.90%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0051】
〔実施例3〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例4で得たサンプル3の50部にパームオレイン油30部、菜種油70部、プロテアーゼによって加水分解処理した卵黄0.2部を添加し、ミキサーで混合して、65℃で15分間放置後、室温に冷却してクリーム状になった本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―3(βグルカン含有量25.30%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0052】
〔実施例4〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例3で得たサンプル2の5部に米油40部、オリーブ油20部及び紅花油35部を添加し、高速ホモミキサーで混合して、50℃で30分間放置後、室温に冷却して粘度はほとんど原料油と変わらないが若干濁りを生じた本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―4(βグルカン含有量4.60%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0053】
〔実施例5〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例2で得たサンプル1の13部に硬化大豆油20部(融点45℃)、パーム油35部、綿実油30部及び大豆リゾレシチン0.2部を加え70℃で10分間放置後、高速ミキサーで乳化後、急冷可塑化によりマーガリン様の物性を示す本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―5(βグルカン含有量0.40%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0054】
〔実施例6〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例5で得たサンプル4の50部に魚硬化油27.6部(融点36℃)、コーンサラダ油18部及び酒石酸モノグリセライド0.4部を加え50℃で30分間撹拌混合後、高速ミキサーで乳化後、急冷可塑化によりファットスプレッド様の物性を示す本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―6(βグルカン含有量0.94%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0055】
〔実施例7〕(イネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物)
製造例2で得たサンプル1の20部にオリーブ油0.3部(融点36℃)及びカゼインナトリウム0.1部を加え55℃で15分間放置後、高速ミキサーで乳化後、スプレイドライヤーで乾燥させ、粉末化した本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―7(βグルカン含有量60.00%)を得た。該βグルカンは均一に分散していた。
【0056】
〔実施例8〕(ショートニングの製造例)
パーム油30部、パーム硬化油50部、ナタネ油20部及びレシチン0.3部からなる油相を70℃で溶解し、該油相100部に対し、製造例3で得たサンプル2の5. 0部を添加し、70℃にてそのまま30分間放置した。次にホモミキサーにより高速回転で2分間撹拌混合して、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物−8を得た。目視によれば、該βグルカンは十分に油脂に分散されていた。その後、急冷可塑化を行った後、5℃まで冷却した。このようにして、本発明のショートニング(βグルカン含有量4.30%)を得た。本発明のショートニングについて、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたショートニングは、下記比較例1に比べて、滑らかさと風味に優れていることが分かる。本発明のショートニングは、結晶の熟成工程、すなわちエージングを省略しても食感に優れた適度な結晶の生成を形成、促進する効果、乳化剤による風味抑制を防止する効果を有しているといえる。
【0057】
〔比較例1〕(ショートニングの製造例)
パーム油30部、パーム硬化油50部、ナタネ油20部及びレシチン0.3部からなる油相を70℃にて溶解し、ホモミキサーにより高速回転で2分間撹拌混合して、その後、急冷可塑化を行った後、5℃まで冷却し食用油脂組成物を得た。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。得られたショートニングは風味が非常に劣っていることが分かる。
【0058】
〔実施例9〕(マーガリンの製造例)
パーム油:パーム硬化油:菜種油:ソルビタン脂肪酸エステルを、30:50:20:0.3の割合(重量比)で含有する食用油脂100部を70℃で融解し、これに製造例4で得たサンプル3の8部を添加し、65℃にて30分間放置した後、ホモミキサーで撹拌しながら、70℃に加温した水16部に脱脂粉乳0.5部及び食塩1部を溶解させた溶液を徐々に添加、混合した後、急冷可塑化を行い、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却した。このようにして、本発明のマーガリン(βグルカン含有量4.80%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のマーガリンについて、安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたマーガリンは、きめの細かい滑らかな食感のよいものであった。更に下記比較例2に比べて、風味もよく、乳化剤の風味低減を抑制する効果があるといえる。
【0059】
〔比較例2〕(マーガリンの製造例)
パーム油:パーム硬化油:菜種油:ソルビタン脂肪酸エステルを、30:50:20:0.3の割合(重量比)で含有する食用油脂100部を70℃で融解し、ホモミキサーで撹拌しながら、70℃に加温した水16部に脱脂粉乳0.5部及び食塩1部を溶解させた溶液を徐々に添加、混合した後、急冷可塑化を行い、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却しマーガリンを得た。比較として安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0060】
〔実施例10〕(ドレッシングの製造例)
製造例3で得たサンプル2の10部、卵黄10部、食塩1.5部、酢11部、上白糖2.5部、マスタードパウダー0.05部及びオニオンパウダー0.05部を、ミキサーにより高速で5分間撹拌、混合し、水相とした。該水相を、更にホモミキサーで高速撹拌しながら、これに大豆サラダ油75部を70℃に加温したものを、徐々に添加、混合し、50℃に10分間放置後、乳化させ、24時間、5℃に冷却し、本発明のドレッシング(βグルカン含有量8.27%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のドレッシングについて、安定性と風味を評価した。結果を表1に示す。得られたドレッシングは、安定性と風味に優れていることが分かる。
【0061】
〔比較例3〕(ドレッシングの製造例)
卵黄10部、食塩1.5部、酢11部、上白糖2.5部、マスタードパウダー0.05部及びオニオンパウダー0.05部を、ミキサーにより高速で5分間撹拌、混合し、水相とした。以後は実施例10と同様に操作し、ドレッシングを得た。比較として安定性と風味を評価した。結果を表2に示す。
【0062】
〔実施例11〕(ドレッシングの製造例)
卵黄10部、食塩1.5部、酢11部、上白糖2.5部、マスタードパウダー0.05部及びオニオンパウダー0.05部を、ミキサーにより高速で5分間撹拌、混合し、水相とした。該水相を、更にホモミキサーで高速撹拌しながら、これに実施例4のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―4の75部を、徐々に添加、混合し、乳化させ、24時間、5℃に冷却し、本発明のドレッシング(βグルカン含有量3.45%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のドレッシングについて、安定性と風味を評価した。結果を表1に示す。得られたドレッシングは安定性に優れていることが分かる。
【0063】
〔比較例4〕(ドレッシングの製造例)
卵黄10部、食塩1.5部、酢11部、上白糖2.5部、マスタードパウダー0.05部及びオニオンパウダー0.05部を、ミキサーにより高速で5分間撹拌、混合し、水相とした。該水相を、更にホモミキサーで高速撹拌しながら、これに油脂(米油40部、オリーブ油20部及び紅花油35部を混合したもの)の75部を、徐々に添加、混合し、乳化させ、24時間、5℃に冷却し、ドレッシングを得た。比較として安定性と風味を評価した。結果を表2に示す。
【0064】
〔実施例12〕(マヨネーズの製造例)
製造例2で得たサンプル1の30部に大豆サラダ油30部を添加し、撹拌して予備乳化後、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を得た。これに、卵黄9部、デンプン5.2部、砂糖8.2部、食塩2.8部、食酢8部、調味香辛料1部及び水6部をよく混合したものを添加し、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、本発明のマヨネーズ(βグルカン含有量0.09%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のマヨネーズについて、安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたマヨネーズは、1ヶ月の保存期間中に水の分離がなく、また、滑らかで風味も非常に良好であった。
【0065】
〔比較例5〕(マヨネーズの製造例)
水30部に大豆サラダ油30部を添加し、撹拌して予備乳化後、油脂組成物を得た。これに、卵黄9部、デンプン5.2部、砂糖8.2部、食塩2.8部、食酢8部、調味香辛料1部及び水6部をよく混合したものを添加し、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、マヨネーズを得た。比較として安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0066】
〔実施例13〕(マヨネーズの製造例)
卵黄9部、砂糖8.2部、食塩2.8部、食酢8部、調味香辛料1部及び製造例5で得たサンプル4の36部を混合し、水相を調製した。これに菜種油25部、実施例1の10部を添加し、撹拌して予備乳化後、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、本発明のマヨネーズ(βグルカン5.20%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のマヨネーズについて、安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたマヨネーズは、1ヶ月の保存期間中に水の分離がなく、また、滑らかで風味も非常に良好であった。
【0067】
〔比較例6〕(マヨネーズの製造例)
卵黄9部、砂糖8.2部、食塩2.8部、食酢8部、調味香辛料1部及び36部の水を混合し、水相を調製した。これに菜種油25部、パーム油の10部を添加し、撹拌して予備乳化後、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、マヨネーズを得た。比較として安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0068】
〔実施例14〕(ファットスプレッドの製造例)
魚硬化油(融点36℃)27.6部、綿実油18.4部、製造例2で得たサンプル1の40部、水12.3部、食塩1部、脱脂粉乳0.5部、フレーバー0.2部及びレシチン0.3部を乳化、急冷可塑化により本発明のファットスプレッド(βグルカンの含有量1.20%)を調製した。βグルカンは均一に分散していた。本発明のファットスプレッドについて、安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたファットスプレッドは、1ヶ月の保存期間中に水の分離がなく、また、滑らかで風味も良好であった。
【0069】
〔比較例7〕(ファットスプレッドの製造例)
魚硬化油(融点36℃)27.6部、綿実油18.4部、水52.3部、食塩1部、脱脂粉乳0.5部、フレーバー0.2部及びレシチン0.3部を乳化、急冷可塑化によりファットスプレッドを調製した。比較として安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
〔実施例15〕(カレールーの製造例)
小麦粉(薄力粉)44部、及び実施例8で得られたショートニング34部をキツネ色になるまで炒め、更に市販のカレー粉8部を加え、本発明のカレールー(βグルカン含有量1.70%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。
【0071】
〔実施例16〕(クッキーの製造例)
実施例3で得られたイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物−3の50部と上白糖50部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これに全卵(正味)15部、食塩1部及び重炭安0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。更に、篩にかけた小麦粉100部を添加混合し、低速で30秒間混合して、生地を得た。この生地を直径6cmの筒につめ、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、200℃、13分間焼成して、本発明のクッキー(βグルカン含有量5.86%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のクッキーについて、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。
【0072】
〔比較例8〕(クッキーの製造例)
油脂(パームオレイン油30部、菜種油70部、プロテアーゼによって加水分解した卵黄0.2部を混合したもの)の50部と上白糖50部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これに全卵(正味)15部、食塩1部及び重炭安0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。以後は実施例16と同様に操作し、クッキーを得た。比較として硬さ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
〔実施例17〕(クッキーの製造例)
実施例5で得られたイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物−5の50部とビート上白糖40部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これにレーズンペースト20部を添加し、中速で30秒間混合した。更に、篩にかけた粟粉を添加混合し、低速で30秒間混合して、生地を得た。この生地を直径6cmの筒につめ、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、160℃、15分間焼成して、本発明のクッキー(βグルカン含有量0.10%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のクッキーについて、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたクッキーは、卵、乳製品を使用しないにも拘わらず食感のよいものが得られた。
【0074】
〔比較例9〕(クッキーの製造例)
硬化大豆油20部(融点45℃)、パーム油35部、綿実油30部及び大豆リゾレシチン0.2部を加え70℃で10分間放置後、高速ミキサーで乳化後、急冷可塑化によりマーガリン様の物性を示す食用油脂組成物50部とビート上白糖40部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これにレーズンペースト20部を添加し、中速で30秒間混合した。以後は実施例17と同様に操作し、クッキーを得た。比較として硬さと風味を評価した。結果を表2に示す。
【0075】
〔実施例18〕(チョコレートの製造例)
カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部及び製造例3のサンプル2の2部を配合のうち、カカオバター10部を残し、他の原料をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、更に、ロール掛け、コンチングして、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物を得た。目視によれば、βグルカンは均一に分散していた。残るカカオバターを投入、混合してチョコレートの原液を得、これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、本発明のチョコレートを得た。本発明のチョコレートについて滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたチョコレートは、口溶けのよい風味が良好なものであった。
【0076】
〔比較例10〕(チョコレートの製造例)
カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部及び油脂(パームオレイン油30部、菜種油70部及びプロテアーゼ処理卵黄0.2部を混合したもの)の2部を配合のうち、カカオバター10部を残し、他の原料をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、更に、ロール掛け、コンチングして、油脂組成物を得た。残るカカオバターを投入、混合して、以後は実施例18と同様に操作し、チョコレートを得た。比較として滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0077】
〔実施例19〕(チョコレートの製造例)
カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部及び実施例2で得たイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―2の20部をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、更に、ロール掛け、コンチングして、これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、本発明のチョコレートを得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のチョコレートについて滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたチョコレートは、口溶けのよい風味が良好なものであった。
【0078】
〔比較例11〕(チヨコレートの製造例)
カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部及びパーム油20部をホバートミキサーに投入し、以後は実施例19と同様に操作して、チョコレート製品を得た。比較として滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0079】
〔実施例20〕(食パンの製造例)
実施例9で得られたβグルカン含有マーガリンを使用して食パンを製造した。小麦粉100部、イースト3部、砂糖4部、食塩2部、実施例9で得られたマーガリン6部及び水60部を加え、こね上げ温度28℃にて、ホッパーミキサーで低速2分、高速4分、ミキシングしパン生地を調製した。28℃で60分間発酵させ、450gに分割、丸め、ねかし(28℃、20分)、シーターに3回通して整形後、ワンローフタイプの型に挿入した。ホイロは、38℃で相対湿度90%の条件下、型上縁2cmまで実施し、42分を要した。焼成は、220℃にて23分間行い、本発明の食パン(βグルカン含有量2.10%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の食パンについて、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られた食パンは、ソフトでボリュームのある品質で食感も良好であった。
【0080】
〔比較例12〕(食パンの製造例)
実施例20で使用したマーガリンの代わりに、βグルカンを配合しない以外、実施例9と同様にして得られたマーガリンを使用して、以後は実施例20と同様に操作して食パンを製造した。比較として硬さ、風味を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
〔実施例21〕(食パンの製造例)
小麦粉100部、イースト3部、砂糖4部、食塩2部、実施例7で得られた粉末油脂2部、ショートニング4部、製造例2で得たサンプル50部及び水13部を加え、こね上げ温度28℃にて、ホッパーミキサーで低速2分、高速4分、ミキシングし、パン生地を調製した。28℃で60分間発酵させ、450gに分割、丸め、ねかし(28℃、20分)、シーターに3回通して整形後、ワンローフタイプの型に挿入した。ホイロは、38℃で相対湿度90%の条件下、型上縁2cmまで実施し、46分を要した。焼成は、210℃にて30分間行い、本発明の食パン(βグルカン含有量2.00%)を得た。食パン中にβグルカンは均一に分散していた。本発明の食パンの硬さ、風味について評価した。結果を表1に示す。得られた食パンは、ソフトでボリュームのある品質で食感も良好であった。
【0082】
〔比較例13〕(食パンの製造例)
小麦粉100部、イースト3部、砂糖4部、食塩2部、βグルカンを配合しない以外、実施例7と同様にして得られた粉末油脂2部、ショートニング4部及び水63部を加え、こね上げ温度28℃にて、ホッパーミキサーで低速2分、高速4分、ミキシングし、パン生地を調製した。以後は実施例21と同様に操作し、食パンを得た。比較として硬さ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0083】
〔実施例22〕(米飯の製造例)
新潟産コシヒカリを水でよく研ぎ、その100部に水60部、実施例1で得たイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―1を4部添加し、電気炊飯器にて炊飯し米飯(βグルカン含有量1.10%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の米飯について、硬さを評価した。結果を表1に示す。得られた米飯は、ふっくらとした食感の良好なものであった。
【0084】
〔比較例14〕(米飯の製造例)
新潟産コシヒカリを水でよく研ぎ、その100部に水60部、大豆油を4部添加し、電気炊飯器にて炊飯し米飯を得た。比較として硬さを評価した。結果を表2に示す。
【0085】
〔実施例23〕(ポップコーンの製造例)
ナベにトウモロコシ100部、食塩2、実施例4で得たイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―4を10部添加し、ふたをして直火で加熱し、ポップコーン(βグルカン含有量0.41%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のポップコーンについて、食感を評価した。結果を表1に示す。得られたポップコーンは、さらっとしており食感は滑らかで良好であった。
【0086】
〔実施例24〕(豆腐の製造例)
実施例8で製造したショートニングを用いて豆腐を製造した。大豆を水で浸漬し、処理大豆の100部に水140部を加えて磨砕し、100℃で5分間沸騰させた。煮汁は木綿袋に入れ、圧搾濾過し、豆乳を得た。ここに凝固剤(硫酸カルシウム)3部、実施例8で得たショートニングを10部添加し、静かに撹拌してから、75℃にて凝固させ、木綿布を敷いたザルに流し込み30分間放置して本発明品の豆腐(βグルカン含有量1.70%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の豆腐について、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られた豆腐は、良好な食感であった。
【0087】
〔比較例15〕(豆腐の比較例)
大豆を水で浸漬し、処理大豆の100部に水140部を加えて磨砕し、100℃で5分間沸騰させた。煮汁は木綿袋に入れ、圧搾濾過し、豆乳を得た。ここに凝固剤(硫酸カルシウム)3部、βグルカンを配合しない以外は実施例8と同様にして得たショートニングを10部添加し、静かに撹拌してから、75℃にて凝固させ、木綿布を敷いたザルに流し込み30分間放置して豆腐を得た。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0088】
〔実施例25〕(ソフトチョコレートの製造例)
砂糖50部、カカオマス5部、全脂粉乳15部、実施例2で得られたイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―2を30部、レシチン0.3部及びバニリン0.04部からなる配合で、常法に従いロール掛け、コンチング処理し、本発明のソフトチョコレート(βグルカン含有量17%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のソフトチョコレートについて、滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたソフトチョコレートは、ブルームが発生せず、風味も良好であった。
【0089】
〔比較例16〕(ソフトチョコレートの製造例)
砂糖50部、カカオマス5部、全脂粉乳15部、パーム油30部、レシチン0.3部及びバニリン0.04部からなる配合で、常法に従いロール掛け、コンチング処理し、ソフトチョコレートを得た。比較として滑らかさ、硬さ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0090】
〔実施例26〕(無水クリームの製造例)
実施例8のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―8の35部、砂糖45部、呈味パウダー10部及び粉乳10部を混合し、本発明の無水クリーム(βグルカン含有量1.50%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の無水クリームについて、滑らかさと風味を評価した。結果を表1に示す。得られた無水クリームは、口溶けがよく、風味が非常に良好であった。
【0091】
〔比較例17〕(無水クリームの製造例)
βグルカンを配合しない以外、実施例8と同様にして得られた、油脂組成物35部、砂糖45部、呈味パウダー10部及び粉乳10部を混合し、無水クリームを得た。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0092】
〔実施例27〕(サンドクリームの製造例)
実施例8のイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―8の100部及びモノグリセライド0.1部を混合し、ホイップし、比重を0.3とした。そしてシロップ100部を添加し、更にホイップし、比重0.65のサンドクリーム(βグルカン含有量2.15%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のサンドクリームについて、滑らかさと風味を評価した。結果を表1に示す。得られたサンドクリームは、風味が非常に良好であった。
【0093】
〔比較例18〕(サンドクリームの製造例)
βグルカンを配合しない以外、実施例8と同様にして得られた油脂組成物100部を用いたこと以外は実施例27と同様に操作し、サンドクリームを得た。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0094】
〔実施例28〕(ハードキャンディーの製造例)
実施例1の油脂100部、実施例2の油脂100部、ポリグリセリン脂肪酸エステル23部、グリセリン脂肪酸エステル14部及びショ糖脂肪酸エステル4部を添加混合した油脂組成物の35部、砂糖35部、水飴8.5部、脱脂粉乳1.5部及び水40部を混合して、水中油型乳化物とし、これを140℃になるまで煮詰め、水分含量が1.9%となるまで水をとばし、冷却、成形し、本発明のハードキャンディー(βグルカン含有量17.80%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のハードキャンデーについて、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたハードキャンディーは保存中の油のしみだしがなく、風味も良好であった。
【0095】
〔比較例19〕(ハードキャンディーの製造例)
大豆油100部、パーム油100部、ポリグリセリン脂肪酸エステル23部、グリセリン脂肪酸エステル14部及びショ糖脂肪酸エステル4部を添加混合した油脂組成物の35部、砂糖35部、水飴8.5部、脱脂粉乳1.5部及び水40部を混合して、水中油型乳化物とし、これを140℃になるまで煮詰め、水分含量が1.9%となるまで水をとばし、冷却、成形し、ハードキャンディーを得た。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2にした。
【0096】
〔実施例29〕(ホイップクリームの製造例)
水50部を60℃に昇温し、撹拌しながら、脱脂粉乳5部及びトリポリ燐酸ナトリウム0.1部を溶解した水相を調製した。別に実施例1の油脂組成物10部、実施例2の油脂組成物20部及び実施例3の15部を混合した油相を用意し、上記の水相に油相を混合撹拌し、予備乳化物を調製した。予備乳化後5Mpaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機で142℃、4秒間殺菌し、再度5Mpaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のホイップクリーム(βグルカン含有量19.73%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明のホイップクリームについて、安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表1に示す。得られたホイップクリームは、オーバーラーン、乳化安定性、耐熱保形、風味、口溶け、造花性のいずれもが良好であった。
【0097】
〔比較例20〕(ホイップクリームの製造例)
水50部を60℃に昇温し、撹拌しながら、脱脂粉乳5部及びトリポリ燐酸ナトリウム0.1部を溶解した水相を調製した。別に大豆油10部、パーム油20部及び菜種油15部を混合した油相を用意し、上記の水相に油相を混合撹拌し、予備乳化物を調製した。以後は実施例29と同様に操作し、ホイップクリームを得た。比較として安定性、滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0098】
〔実施例30〕(乳代替組成物の製造例)
水64部を60℃に昇温し、撹拌しながら、脱脂粉乳25部、ヘキサメタ燐酸ナトリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部及びショ糖脂肪酸エステル0.3部を溶解した水相に実施例6の油脂組成物10部、グリセリン脂肪酸エステル0.3部を添加、混合撹拌し、予備乳化物を調製した。予備乳化後5Mpaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機で142℃、4秒間殺菌し、再度15Mpaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、本発明の乳代替組成物(βグルカン含有量0.09%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の乳代替組成物について、安定性、風味を評価した。結果を表1に示す。得られた乳代替組成物は、風味、乳化安定性のいずれも良好であった。
【0099】
〔比較例21〕(乳代替組成物の製造例)
水64部を60℃に昇温し、撹拌しながら、脱脂粉乳25部、ヘキサメタ燐酸ナトリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部及びショ糖脂肪酸エステル0.3部を溶解した水相に比較例6の油脂組成物10部及びグリセリン脂肪酸エステル0.3部を添加、混合撹拌し、予備乳化物を調製した。以後は実施例30と同様に操作し、乳代替組成物を得た。比較として安定性と風味を評価した。結果を表2に示す。
【0100】
〔実施例31〕(生活習慣病予防作用を有する食品(マーガリン)の製造例)硬化大豆油(融点45℃)10部、パーム油35部、実施例1で得たイネ科植物から抽出されたβグルカン含有油脂組成物―1の10部、植物ステロールあるいは植物ステロール脂肪酸エステルを10%以上含有するエステル交換油30部、製造例2で得たサンプル1の13.3部、食塩1部、脱脂粉乳0.5部及びフレーバー0.2部を乳化、急冷可塑化により本発明のコレステロール低下作用を有するマーガリン(βグルカン含有量4.95%)を製造した。βグルカンは均一に分散していた。本発明のコレステロール低下作用を有するマーガリンについて、滑らかさ、風味について評価した。結果を表1に示す。得られたマーガリンは、口溶けのよい、風味が良好なマーガリンであった。
【0101】
〔比較例22〕(生活習慣病予防作用を有する食品(マーガリン)の製造例)硬化大豆油(融点45℃)10部、パーム油35部、大豆油の10部、植物ステロールあるいは植物ステロール脂肪酸エステルを10%以上含有するエステル交換油30部、水13.3部、食塩1部、脱脂粉乳0.5部及びフレーバー0.2部を乳化、急冷可塑化によりコレステロール低下作用を有するマーガリンを製造した。比較として滑らかさ、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0102】
〔実施例32〕(生活習慣病予防作用を有する医薬品の製造例)
高純度DHA(純度98%、POV1.0meq/kg以下)に4000ppmとなるようにαトコフェロールを添加したもの3部、製造例2で得たサンプル1の20部及びカゼインナトリウム10部を加え窒素下、高速ミキサーで乳化後、スプレイドライヤーで乾燥させ、粉末化した本発明の生活習慣病予防作用を有する医薬品(βグルカン含有量4.60%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。本発明の生活習慣病予防作用を有する医薬品について安定性を評価した。結果を表1に示す。同粉末のPOVは0.8meq/kgと酸化安定性に優れた医薬品が得られた。
【0103】
〔比較例23〕(生活習慣病予防作用を有する医薬品の製造例)
高純度DHA(純度98%、POV1.0meq/kg以下)に4000ppmとなるようにαトコフェロールを添加したもの3部、水20部及びカゼインナトリウム10部を加え窒素下、高速ミキサーで乳化後、スプレイドライヤーで乾燥させ、粉末を得た。比較として安定性を評価した。結果を表2に示す。同粉末のPOV は1.4meq/kgと酸化安定性は劣っていた。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた生体調節機能性を有するβグルカンを、食味、食感の低下等がなく、供することのできるβグルカン含有油脂組成物を提供することができる。
Claims (4)
- イネ科植物から抽出された1−2,1−3,1−4,1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンを油脂に添加、混合したβグルカン含有油脂組成物を含有するベーカリー製品。
- 上記βグルカンが、1−3,1−4−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカンである請求項1記載のベーカリー製品。
- 上記イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である請求項1又は2記載のベーカリー製品。
- βグルカン含有量が、該βグルカン以外の全組成物100重量部に対して0.01〜500重量部である請求項1〜3の何れか1項に記載のベーカリー製品。
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