JP2024047396A - 起泡性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳たんぱく質を使用せずとも、良好な乳風味、良好な乳化安定性、及び、良好なホイップ性を有する、起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供すること。
【解決手段】下記の(1)(2)(3)(4)の全てを満たす植物性たんぱく質素材を含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化油脂組成物。
(1)蛋白質含量が70質量%以上である。
(2)粒径のメディアンが10~100μmである。
(3)NSIが65以上である。
(4)蛋白質分子量分布が、10,000Da以上の面積比率が80%超である。
前記植物性たんぱく質素材は、エンドウ豆たんぱく質であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物性たんぱく質素材を含有する起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
生クリームやホイップクリームなどの起泡性水中油型乳化油脂組成物における乳風味は、主に乳たんぱく質により得られている。このため、植物油脂を使用したホイップクリームでもカゼインナトリウムや脱脂粉乳などの乳たんぱく質や乳たんぱく質を含む乳原料が使用されている。
この乳たんぱく質の主成分となるカゼイン蛋白質は、高い乳化性と溶解性を有していながら、その水溶液は低粘度であるという特徴を有している。
しかし近年、動物性食品原料を使用せず、再生可能な植物性食品原料を使用する環境志向の高まりや、動物性食品素材の世界的消費量増大による供給安定性への不安や価格高騰などの面から、乳脂や乳たんぱく質などの動物性原料を使用せず、植物性原料のみを使用した食品の開発が求められることが増加している。
また、乳アレルゲンや卵アレルゲンなどの動物アレルゲンを含まない食品や、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品の開発が求められる場面が多々見られるようになってきた。
ここで近年は、乳アレルゲンや卵アレルゲンなどの動物アレルゲンを含まない食品や、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品の開発が求められる場面が多々見られるようになってきた。
この目的では、乳脂や乳たんぱく質などの乳成分を全く使用せずに、ホイップクリーム、濃縮牛乳状組成物などの水中油型乳化油脂組成物に牛乳のような白濁した外観と良好な乳風味を付与することが必要となる。
そのため、乳脂に代えて植物油脂を使用し、脱脂粉乳やWPCなどの乳たんぱく質に代えて大豆たんぱく質などの植物たんぱく質を使用したり、牛乳に代えて豆乳やココナッツミルクなどの植物ミルクを使用することが行われる。
しかし、乳脂や乳たんぱく質に代えて植物油脂、植物ミルクや植物たんぱく質を使用した水中油型乳化油脂組成物は、植物油脂は乳脂のコク味がないため得られる水中油型乳化物も乳のコク味が不足する問題があり、植物たんぱく質や植物ミルクはその植物自体の風味を強く有しているため、得られる水中油型乳化物はその植物由来の濃厚な風味が付与されてしまう問題がある。
さらに植物たんぱく質は溶解性も乳化性も低く、水溶液は極めて増粘しやすい問題がある。
そのため、ホイップクリーム、濃縮牛乳状組成物などの水中油型乳化物の安定生産は困難であり、とくに起泡性水中油型乳化油脂組成物の場合はホイップ性が極めて低くなってしまうという問題があった。
そのため、豆乳などの植物ミルクを使用する方法(例えば特許文献1参照)や豆腐ピューレを使用する方法(例えば特許文献2参照)、脂質親和性たんぱく質濃縮大豆たんぱく質を使用する方法(たとえば特許文献3参照)、複数の豆類たんぱく質素材を組み合わせて蛋白質素材の粒度分布を調整する方法(たとえば特許文献4参照)、特定のエンドウ豆を使用する方法(たとえば特許文献5参照)なども提案されている。
しかし特許文献1及び2の方法では添加量を多くしないと良好な乳化安定性とホイップ性が得られないため植物たんぱく質特有の風味が強く出やすい問題もあった。
また、特許文献3の方法では、大豆の風味が強く出すぎることに加え、他原料と混合したり、呈味素材を配合した際にそれらの風味を阻害するという問題があった。
また、特許文献4の方法では、起泡性水中油型乳化油脂組成物の解乳化性に乏しく、好ましいホイップ物性が得られないという問題があった。
また、特許文献5の方法では、水中油型乳化油脂組成物がホイップ性を有しておらず、用途が限定されるという問題があった。
特開昭60-153757号公報 特開2008-022821号公報 特開2014-073110号公報 特開2021-052700号公報 特開2006-271279号公報
従って、本発明の目的は、乳たんぱく質を使用せずとも、良好な乳化安定性、及び、良好なホイップ性を有する、起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、特定の植物性たんぱく質素材を使用することで上記問題を解決可能であることを見出した。
即ち本発明は、下記の(1)、(2)、(3)及び(4)の全てを満たす植物性たんぱく質素材を含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供するものである。
(1)蛋白質含量が70質量%以上である。
(2)粒径のメディアンが10~100μmである。
(3)NSIが65以上である。
(4)蛋白質分子量分布が、10,000Da以上の面積比率が80%超である。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、乳たんぱく質を使用せずとも、良好な風味、良好な乳化安定性、及び、良好なホイップ性を有する。
以下、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物について好ましい実施形態に基づき詳述する。
一般に乳風味とは牛乳の風味をいうが、本明細書において乳風味とは、牛乳様のまろやかでコクがある風味を指す。
まず本発明で使用する植物性たんぱく質素材について述べる。
本明細書において「植物性たんぱく質素材」の用語は、植物性蛋白質を主成分とし、各種加工食品や飲料に原料として使用されている食品素材を指す。該植物性たんぱく質素材の由来の例として、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ココナッツ、ゴマ、クルミ等の種実類や、大豆、小豆、緑豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆、落花生等の豆類や、米、大麦、小麦、ハト麦、オーツ麦等の穀類、野菜類、果物類などが挙げられる。また上記蛋白質を酵素、酸、アルカリ、加熱などの方法で部分的に分解した蛋白質部分分解物を使用することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物では、上記植物性たんぱく質素材の一種又は2種以上を使用することができるが、原料由来の臭みが少なく、特に、他原料と混合したり、呈味素材を配合した際にそれらの風味を阻害しないという点でエンドウ豆由来の植物性たんぱく質素材を使用することが好ましい。
なお、本実施形態で用いる(1)~(4)を満たす植物性たんぱく質素材は、典型的には、粉末状や顆粒状等の粉体である。
(1)上記植物性たんぱく質素材は、固形分中の蛋白質含量が70質量%以上であることが乳化安定性を良好にするために必要であり、好ましくは80質量%以上である。70質量%未満であると、乳化安定性が低いことにより、経時的に増粘が進むことに加え、蛋白質含量を高めるために多量の植物性たんぱく質素材を配合することが必要になり、そのため風味が悪化しやすく、また、溶解性の悪化により、保存中の沈殿を生じたり、ホイップ性が損なわれるおそれがある。なお、植物性たんぱく質素材の蛋白質含量の上限に特に制限はないが、例えば97質量%以下であると入手容易性の点で好ましく、95質量%以下がより好ましい。
(2)上記植物性たんぱく質素材は、体積基準のメディアン径が10~100μmであることが乳化安定性を良好にするために必要であり、好ましくは10~50μm、より好ましくは20~50μmである。体積基準のメディアン径が100μm超であると溶解性の悪化により、保存中の沈殿を生じたり、ホイップ性が損なわれるおそれがあり、乳風味に影響する恐れがある。また、体積基準のメディアン径が10μm未満であると、ホイップにかかる時間が非常に長くなってしまうおそれがある。
なお、本発明では、上記粒径の測定方法としては、2.5質量%の水分散液40mLをローテーター(RT-50N、タイテック製)にて、30℃で2時間15rpmにて転倒攪拌したものを粒径測定用試料として、島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2300、島津製作所製)等を用いて測定する方法が挙げられる。
(3)上記植物性たんぱく質素材は、たんぱく質の溶解性の指標として用いられているNSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)が65以上であることが乳化安定性及びホイップ性を良好にするために必要であり、好ましくは70以上である。NSIが65未満であると、溶解性の悪化により、保存中の沈殿を生じたり、ホイップ性が損なわれるおそれがある。
なお、このようなNSIの高い植物性たんぱく質素材としては、水溶液中で均質化処理により物理的に破砕し微細化したものを用いることが好ましい。例えば均質化装置として、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等を用いた処理を行うことができる。
なお、NSIは全窒素量に占める水溶性窒素(粗タンパク)の比率(質量%)で表すものとし、上記NSIの測定方法としては以下の方法が挙げられる。
<NSI測定>
試料1gに39mlの水を加え、30℃で3.5時間攪拌した後、300×gにて10分間遠心分離し上澄み液を採取する。上澄み液と試料それぞれの窒素含量をケルダール法にて測定し、全窒素量に対する上澄み液中窒素の割合を求めNSIとする。撹拌としては、ローテーター(RT-50N、タイテック製)にて、15rpmで転倒撹拌する方法が挙げられる。
(4)上記植物性たんぱく質素材は、ゲルろ過による分子量を測定した場合に、その分子量分布の面積比率は、10,000Da以上が80%超であることが乳化安定性及びホイップ性を良好にするために必要であり、好ましくは82%以上である。80%未満であると、溶解性の悪化により、保存中の沈殿を生じたり、ホイップ性が損なわれるおそれがあり、乳風味に影響する恐れがある。
なお、このような10,000Da以上の面積比率が80%超である植物性たんぱく質素材としては、低分子化処理、たとえば酵素分解処理やアルカリ分解処理がされていないものを用いることができる。
なお、上記分子量分布の測定の測定方法としては以下の方法が挙げられる。
<分子量分布>
標準試料(BSA(分子量66,500)、卵白アルブミン(分子量45,000)、ミオグロビン(分子量17,500)、インスリン(分子量5,800))をカラムに流し標準試料の溶出時間から分子量-溶出時間の検量線を作成する。次に試料液(試料を移動相で0.1質量%に希釈したもの)を流し、クロマトグラムのピーク総面積に占める特定の時間範囲の面積割合から、特定の分子量範囲の蛋白質の含有率を算出する。分析条件はカラム:KW-804(shodex)、移動相:50mMリン酸バッファー(pH7.0) + 200mMNaCl + 1%SDS、流速:0.4ml/分、カラム温度23℃、検出:UV220nm。
本発明の(1)~(4)を満たす植物性たんぱく質素材としては、例えば、エンドウ豆由来のものとして、Cargil社のRADIPURE S8001Bを用いることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物における上記特定の植物性たんぱく質素材の含量は好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.3~8質量%、更に好ましくは1.0~5.0質量%である。特定の植物性たんぱく質素材の含有量が上記下限以上であると、乳化安定性が低下して経時的に凝集してしまうことをより一層効果的に防止でき、良好な乳風味が得やすくなる。また、上記上限以下であると粘度が高くなりすぎてホイップ性を損なったり、起泡性水中油型乳化油脂組成物のコクが強くなりすぎたり、また、風味が乳とは異質なものとなることをより一層効果的に防止できる。
なお、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の蛋白質含量は好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは0.3~6質量%、更に好ましくは1.0~4.0質量%である。蛋白質の含有量が上記下限以上であると、乳化安定性が低下して経時的に凝集してしまうことをより一層効果的に防止でき、良好な乳風味が得やすくなるまた、上記上限以下であると粘度が高くなりすぎてホイップ性を損なうことに加え、起泡性水中油型乳化油脂組成物のコクが強くなりすぎたり、また、風味が乳とは異質なものとなることをより一層効果的に防止できる。
上記蛋白質としては、上記特定の植物性たんぱく質素材に含まれる蛋白質をはじめ、その他のたんぱく質素材や、下記のその他の原材料に含まれる蛋白質も併せて算出するものとする。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物が「植物ベース」であることが好ましい。「植物ベース」とは、植物原料を主体とすることを意味し全蛋白質の割合中、植物由来であるものの比率が50質量%以上であることをいう。上述のように本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、上記特定の植物たんぱく質素材を使用することにより、乳たんぱく質を含まずとも良好な乳風味を呈する。そのため、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品として使用することが可能となる点も併せ、本発明では、乳たんぱく質をはじめ、動物由来蛋白質を使用しないことが好ましい。
例えば動物由来蛋白質の代わりに植物由来蛋白質を用いる場合、起泡性水中油型乳化油脂組成物中の蛋白質の90質量%以上が植物由来の蛋白質であることが好ましく、95質量%以上が植物由来の蛋白質であることがより好ましく、99質量%以上が植物由来の蛋白質であることが特に好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は海洋由来カリウム塩を含有することが好ましい。
本発明で使用する海洋由来カリウム塩は、海水から食塩製造のためにナトリウムを除去したマグネシウムを主体とする、にがりと呼ばれる粗製塩化マグネシウム溶液から、さらにマグネシウム等の塩類を除去して得られる塩化カリウムを主体とする溶質の溶液から得られる塩類である。
本発明で使用する海洋由来カリウム塩としては、塩化カリウム含量が固形分中51質量%以上であればよい。上限については固形分中99.7質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明で使用する海洋由来カリウム塩としては、固形分量が95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。固形分量とは水分を除いた量であり、常圧加熱乾燥法やカールフィッシャー法により測定できる。
該海洋由来カリウム塩を使用することにより「自然でまろやかな風味」「良好なコク味・後味」が得られる。このような海洋由来カリウム塩を(1)(3)及び(4)の要件と組み合わせることで、乳と同様又は乳に近い牛乳様の風味が一層得やすくなると考えられる。海洋由来カリウム塩としては「オーシャンカリ」(エフシー化学製)や、「精製塩化カリウム」(ダイヤソルト製)、「カリベース」(エフシー化学製)が挙げられる。
なお、一般的に食品に使用するカリウム塩としては、クエン酸カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、しゅう酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム等があるが、これら化成品や鉱物由来のカリウム源に比して、優れた乳風味を得る点で海洋由来カリウム塩を用いる方が有利となる。
上記海洋由来カリウム塩の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物の種類や使用目的によって異なるが、起泡性水中油型乳化油脂組成物中、0.1~5質量%であることが好ましく、0.04~1.5質量%であることがより好ましく、より好ましくは0.04~0.5質量%である。なお、海洋由来カリウム塩の代わりに鉱物起源又は化成品のカリウム塩を添加する場合は同様の量を使用することができる。
上記の起泡性水中油型乳化油脂組成物の油脂の含量は、10~49質量%であることが好ましく、より好ましくは25~49質量%である。上記下限以上とすることで起泡性水中油型乳化油脂組成物にコク味が増加する。また49質量%以下とすることで水中油型乳化が安定しやすくなる。
なお上記油分含量(油脂含量)には、下記のその他の成分に含まれる油分を加算して算出するものとする。
上記の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる油脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、上述の植物たんぱく質素材を使用することにより、乳脂を含まずとも良好な乳のコク味を呈する。そのため、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品として使用することが可能となる点も併せ、本発明では、乳脂をはじめ、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物油脂並びに動物油脂を水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂などの動物由来油脂を使用しないことが好ましい。
なお、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、上述の植物たんぱく質素材を使用することにより、乳たんぱく質を使用せずとも、良好な乳風味、良好な乳化安定性、及び、良好なホイップ性を有する。そのため、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、無脂乳固形分の含有量を好ましくは3.0質量%未満、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは無脂乳固形分を含有しないものとする。なお、無脂乳固形分とは、乳由来の固形分から脂質を除いた成分を指す。なお、仮に無脂乳固形分を含有する場合はその下限としては0.01質量%以上としてもよい。
上記起泡性水中油型乳化油脂組成物にコクを付与し、植物たんぱく質素材由来の青臭さをマスキングすることが可能である点で、植物ミルクを含有することが好ましい。
植物ミルクとは、種実類又は穀類若しくは豆類の抽出液、搾汁、摩砕液又は粉砕液であり、牛乳の代替品として最近注目を集めているものである。植物ミルクは通常25℃で液状である。抽出液の場合、溶媒は水であり、種実類、豆類や穀類に加水し、混合後に裏ごししたり、摩砕若しくは粉砕した後に固液分離するなどして得られる。また摩砕液及び粉砕液は、種実類、豆類や穀類に対し、摩砕若しくは粉砕並びに加水を行うことで得ることができ、この場合は摩砕若しくは粉砕と、加水とは、どちらが先であってもよい。
種実類としては、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ココナッツ、ゴマ、クルミ等が挙げられる。また、穀類若しくは豆類としては、大豆、小豆、米、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、オーツ麦、ヒヨコ豆、エンドウ豆、緑豆、そら豆、レンズ豆が挙げられる。本発明においては、良好な乳風味が得られる点から、アーモンド、米、大豆、オーツ麦、ヒヨコ豆、エンドウ豆、からなる群から選ばれる1種又は2種以上の植物ミルクを用いることが好ましく、より良好な乳風味が得られる点から、特に好ましくはオーツ麦である。
限定するものではないが、植物ミルク中の油分含量は例えば0.1~10質量%であることが好適である。また植物ミルク中の蛋白質含量は0.1~10質量であることが好適である。
なお、上記植物ミルクとして、該植物ミルクの濃縮液や、酵素処理や微生物発酵処理、加熱処理、酸処理などの加工液を使用することができる。また、市販品を使用することもできる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物における植物ミルクの含有量は0.3~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、水の含量が35~85質量%であることが好ましく、より好ましくは45~70質量%である。
なお上記水の含量には、下記のその他の成分に含まれる水分を加算して算出するものとする。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は最外相が水相になっていればよいため、水中油中水型などの多重乳化系をも含むものである。
上記の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、糖類を含むものであってもよい。
該糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ショ糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、キャラメル、かえで糖、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖及びゲンチオリゴ糖等が挙げられる。
起泡性水中油型乳化油脂組成物は糖類を非含有であってもよく、好ましい上限としては固形分として50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。生クリーム同様の乳風味の付与のために糖類を含む場合は、生クリームに含まれる乳糖含量である2.5%程度の含有量、すなわち、固形分として1~5質量%程度であることが好ましいが、甘味を付与する目的で糖類を含む場合には、例えば下限としては3質量%以上が好ましく挙げられ、10質量%以上がより好ましく挙げられる。
ただし、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品として使用する場合は、動物起原の糖類、とくに乳製品を起原とした乳糖及びその加工糖は含有しないことが必要である。
起泡性水中油型乳化油脂組成物は、乳化剤を含有していてもよい。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
これらの乳化剤を含有する場合、起泡性水中油型乳化油脂組成物中、0.01~5質量%であることが、乳化安定性および風味の点から好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
起泡性水中油型乳化油脂組成物は、増粘安定剤を含有していてもよい。上記増粘安定剤としては、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、ジェランガム、白キクラゲ多糖、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、低置換度カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。これらの増粘安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において増粘安定剤を使用する場合の好ましい含有量は起泡性水中油型乳化油脂組成物中、増粘安定剤の量が好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.4質量%使用することが好ましい。尚その場合は上記増粘安定剤の中でもキサンタンガム、グアーガム、白キクラゲ多糖、澱粉、及び、化工澱粉のうちの1種または2種以上を使用することが好ましく、より好ましくは特に白キクラゲ多糖の存在下では、キサンタンガム及びグアーガムの組み合わせにより、長期冷凍後に解凍したホイップドクリームにおける離水抑制作用が相乗的に高まるため、キサンタンガム、グアーガム及び白キクラゲ多糖を使用することが好ましい。
上記の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、本発明の効果に影響のない範囲において、その他の成分を含むものであってもよい。
該その他の成分としては、例えば、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、食塩、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、卵及び各種卵加工品、着香料、乳や乳製品、調味料、食品保存料、日持ち向上剤、重曹や炭酸水素ナトリウムなどのpH調整剤、果実、果汁、コーヒー、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類及び魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物中合計で、20質量%以下となる範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
なお、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品として使用する場合は、上記その他の成分についても動物起原の原料は含有しないことが必要である。
次に、上記の起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法は、下記の(1)(2)(3)(4)の全てを満たす植物性たんぱく質素材を添加する工程を含むことを特徴とする。
(1)蛋白質含量が70質量%以上である。
(2)粒径のメディアンが10~100μmである。
(3)NSIが65以上である。
(4)蛋白質分子量分布が、10,000Da以上の面積比率が80%超である。
具体的には、まず、油脂に必要によりその他の原料を加えた油相を用意する。一方、水に植物性たんぱく質素材、さらに必要により植物ミルク、その他の原材料等を加えた水相を用意する。なお植物性たんぱく質素材については水相に加えるのが基本ではあるが油相に添加してもよい。
次いで該水相を上記油相と混合し、水中油型に乳化する。乳化の際には、まず予備乳化物を調製し、次にこれを必要によりバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0~100MPaの範囲で均質化してもよい。
また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、起泡することによりホイップドクリームとすることができる。得られたホイップドクリームは、フィリング用、サンド用、トッピング用、ナッペ用、センター用に主に使用することができる。
尚、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、起泡して或いは起泡することなく、コーヒーホワイトナーや食品練り込み用クリーム、調理用クリームとしても用いることができる。
上記食品としては、例えば、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、セミハードロール、シュー、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品、洋菓子、和菓子、チョコレート菓子、冷菓、プリン、ムース等のデザート類、カスタードクリーム、ジャム、チョコレートペースト等のフィリング類、シチュー、グラタン、ドリア、飲料等を挙げることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何等制限するものではない。
なお、植物性たんぱく質素材、及び、乳たんぱく質素材は、下記〔表1〕のものを使用した。
また、各植物性たんぱく質素材、及び、乳たんぱく質素材のスペックについては〔表2〕に記載した。なお、(2)の粒径については上記前処理したものを島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2300、島津製作所製)で測定した。
<オーツミルクの製造>
水90.76質量部を60℃に昇温し、攪拌しながらαアミラーゼ BAN480L(ノボザイムズ製)0.05質量部、グルコアミラーゼ アミラーゼAG(ノボザイムズ製)0.1質量部、オーツ麦粉末(グランビア製)(油分含量3.0質量%、蛋白質含量11.9質量%、カリウム含量0.330質量%、ナトリウム含量0.008質量%)を8.0質量部加えて、3時間保持して酵素反応させた。そして90℃15分で失活処理した後、5℃冷却してオーツ麦糖化物を作製した。これにヒマワリ油1質量部、食塩0.09質量部を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、オーツミルクAを得た。
<起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造>
[実施例1]
ヨウ素価1のパーム極度硬化油55質量部と、パーム核油45質量部を混合した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として添加し、非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3質量%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5質量%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Aを得た。
パーム核油25質量部、エステル交換油脂A2質量部、パーム分別中融点部3質量部を混合し、65℃に加温溶解し、さらに大豆レシチン0.2質量部、グリセリン脂肪酸エステル(HLB4)0.1質量部を加えて油相とした。
一方、ショ糖脂肪酸エステル(HLB11)0.2質量部、植物性たんぱく質素材A2質量部、オーツミルクA1質量部、食塩0.03質量部、海洋由来カリウム塩(オーシャンカリ:エフシー化学製)(蛋白質含量0質量%、カリウム含量52.2質量%)0.07質量部、白キクラゲ多糖(重量平均分子量300万)0.1質量部、グアーガム0.15質量部、キサンタンガム0.05質量部、液糖(MT500:昭和産業(株)製:糖固形分70質量%)2.4質量部及び水63.7質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。
上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、無脂乳固形分が0質量%である、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物Aを得た。
[実施例2]
水相に炭酸水素ナトリウムを0.03質量部添加し、水の含有量63.7質量部を63.67質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物A2を得た。
[比較例1]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材B2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Bを得た。
[比較例2]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材C2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Cを得た。
[比較例3]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材D2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Dを得た。
[比較例4]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材E2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Eを得た。
[比較例5]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材F2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Fを得た。
[比較例6]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材G2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Gを得た。
[比較例7]
植物性たんぱく質素材A2質量部に代えて、植物性たんぱく質素材H2質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物Hを得た。
[実施例3]
オーツミルク1質量部を無添加とし、水63.7質量部を64.7質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物A3を得た。
[実施例4]
オーツミルク1質量部を、アーモンドミルク(アーモンドブリーズ 砂糖不使用:ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社)(油分含量1.2質量%、蛋白質含量0.6質量%)1質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物A4を得た。
[実施例5]
海洋由来カリウム塩0.07質量部を塩化カリウム(鉱物由来)(シルビン:オルガノフードテック製)(蛋白質含量0質量%、カリウム含量52.0質量%)0.07質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物A5を得た。
[実施例6]
海洋由来カリウム塩0.07質量部を無添加とし、水63.7質量部を63.77質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、無脂乳固形分が0質量%である、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物A6を得た。
<起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価1>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物A~Hに関し、乳化安定性、ホイップ性、及び、風味(乳風味)について、下記の方法で評価を行ない、結果を下記表3に記した。
<乳化安定性の評価方法>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を5℃の冷蔵庫に2週間おいたときの粘度を下記の条件で測定し、下記の分離沈降状況について目視によって観察し、分離沈降が全く発生していないものを◎、分離沈降がほとんど発生していないものを○、わずかに分離沈降が見られるものを△、はっきりとした分離沈降が見られるものを×として評価した。
(粘度の測定条件)リオン社製粘度計(ビスコメーターVT-06)を用い、5℃にて測定した。
<ホイップ性の評価方法>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物100質量部に上白糖8質量部を添加してミキサーボウルに投入し、たて型ミキサーを使用して毎分450回転の速度で最適起泡状態に達するまで起泡させ、起泡時間、オーバーランを測定し、下記の評価基準で評価を行い、結果を表3に記載した。
下記のように起泡時間及びオーバーランの評価を行い、両方◎のものを◎、片方が◎片方が○のものを○+、両方○のものを○、どちらか片方が×のものは△、両方×のものを×として、下記表3に結果を記載した。なお、粘度が高すぎてホイップが不可能であったものについては、××とした。
<起泡時間の評価基準>
起泡時間が4分以上6分未満のものを◎、3分以上4分未満又は6分以上7分未満のものを○、3分未満又は7分以上のものを×として評価した。
<オーバーランの評価基準>
オーバーランが110以上130未満のものを◎、100以上110未満又は130以上140未満のものを○、100未満又は140以上のものを×として評価した。
<風味(乳風味)の評価>
ホイップドクリームを口に含んだときの風味を、15人のパネラーにて官能試験し、下記の6段階評価を行い、一番多かった評価を風味評価の結果とした。
◎:コクのある良好な乳風味を感じる。
○+:良好な乳風味を感じる。
○:乳風味は弱いが豆臭は感じられない。
○-:乳風味は弱く、若干の豆臭が感じられる。
△:乳風味が感じられず、強い豆臭が感じられる。
×:乳風味が感じられず、激しい豆臭が感じられる。
<起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価2>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物A2~A6に関し、乳化安定性、ホイップ性、及び、風味(乳風味)について、上記起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価1と同様の方法で評価を行ない、結果を下記表4に記した。

表3及び表4の結果より、上記の(1)~(4)の条件を全て満たすことで、乳たんぱく質を使用せずとも、良好な乳風味、良好な乳化安定性、及び、良好なホイップ性を有する、起泡性水中油型乳化油脂組成物が得られることが判る。

Claims (9)

  1. 下記の(1)、(2)、(3)及び(4)の全てを満たす植物性たんぱく質素材を含有する、起泡性水中油型乳化油脂組成物。
    (1)蛋白質含量が70質量%以上である。
    (2)粒径のメディアンが10~100μmである。
    (3)NSIが65以上である。
    (4)蛋白質分子量分布が、10,000Da以上の面積比率が80%超である。
  2. 前記植物性たんぱく質素材が、エンドウ豆たんぱく質である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  3. 前記植物性たんぱく質素材が、均質化処理品である、請求項1または2記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  4. 海洋由来カリウム塩を含有する、請求項1または2記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  5. 無脂乳固形分含量が3質量%未満である、請求項1または2記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  6. 上記起泡性水中油型乳化油脂組成物が植物ミルクを含有する請求項1または2記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  7. 上記植物ミルクがオーツ麦由来である請求項6記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  8. 植物ベースである、請求項1又は2に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  9. 下記の(1)、(2)、(3)及び(4)の全てを満たす植物性たんぱく質素材を添加する工程を含む、起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
    (1)蛋白質含量が70質量%以上である。
    (2)粒径のメディアンが10~100μmである。
    (3)NSIが65以上である。
    (4)蛋白質分子量分布が、10,000Da以上の面積比率が80%超である。
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