JP2011101637A - 起泡性水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の起泡性水中油型乳化組成物と比較して、糖質の含有量が少ないにも関わらず、良好な乳風味とコク味を有するホイップクリームとして好適に用いることができる起泡性水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】糖質の含有量が0.5質量%以下であり、高甘味度甘味料と乳清ミネラルを含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化組成物。上記の高甘味度甘味料は、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、甘草及び羅漢果の中から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましく、上記の乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満であることが好ましい。また、本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、さらに食物繊維を含有することも好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は糖質の含有量が少ない起泡性水中油型乳化組成物に関する。
近年、食生活の多様化や健康志向の高まりを背景に、食品のライト化、低カロリー化への要求が強まっている。さらに最近では、メタボリックシンドロームに象徴される生活習慣病に対する認識の高まりから、その予防や改善に寄与する食品への関心はますます高まってきており、単に低脂肪であるだけでなく、糖質オフあるいは糖質ゼロという特徴も加わった商品の開発が進んでいる。
ホイップクリームについても例外ではなく、こうした要請に対応すべく、これまでに様々な試みがなされてきた。例えば、低カロリー化のため、ホイップクリームの油分を低減した技術としては、特許文献1を挙げることができる。特許文献1では、油脂、無脂乳固形分、水及び乳化剤を含む水中油型乳化物において、油脂分が10〜35重量%であり、乳化剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレートを含むことを特徴とする低油分起泡性水中油型乳化物が提案されているが、この水中油型乳化物は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート特有の苦味を呈するものであり、風味面で十分満足しうるものではなかった。
また、特許文献2には、カゼイン分解物、カルシウムイオン、酸性多糖類を含有することで、低油分でありながら起泡特性、保型性、食感が良好な水中油型乳化物が提案されている。特許文献2においては、糖質の含有量も減じた水中油型乳化物の実施例が例示されているが、該水中油型乳化物は、乳風味、コク味において十分満足しうるものではなかった。
そして、ホイップクリームにおいて、栄養表示基準に基づき糖質ゼロ表示が可能な0.5質量%未満まで糖質を排除しようとした場合、ホイップクリームの原料として使用される脱脂粉乳等の糖質を含有する乳原料を、ホイップクリームの乳風味の発現に寄与する量で配合できないという問題があった。
乳原料として脱脂粉乳を例にすると、脱脂粉乳中の糖質、すなわち乳糖の含有量は、約53質量%であるため、脱脂粉乳をホイップクリーム中に1質量%配合した時点で、糖質ゼロ表示が可能な基準を上回ってしまう。しかし、1質量%程度の脱脂粉乳を含有したホイップクリームでは、十分な乳風味とコク味を得ることができなかった。
特開2004−208639号公報 特開2006−158231号公報
従って、本発明の目的は、従来の起泡性水中油型乳化組成物と比較して、糖質の含有量が少ないにも関わらず、良好な乳風味とコク味を有するホイップクリームとして好適に用いることができる起泡性水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、高甘味度甘味料と乳清ミネラルとを含有させることで、糖質の含有量が少ないにも拘わらず、良好な乳風味とコク味を有する起泡性水中油型乳化組成物が得られることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、糖質の含有量が0.5質量%以下であり、高甘味度甘味料及び乳清ミネラルを含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記起泡性水中油型乳化組成物の製造方法であって、油脂を含有する油相と、高甘味度甘味料及び乳清ミネラルを含有する水相とを混合し、乳化することを特徴とする起泡性水中油型乳化組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記起泡性水中油型乳化組成物を用いたことを特徴とする食品を提供するものである。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、糖質の含有量が少ないにも拘わらず、良好な乳風味とコク味を有するものである。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、糖質の含有量が0.5質量%以下であり、高甘味度甘味料及び乳清ミネラルを含有する。糖質の含有量は、好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。尚、糖質には上記高甘味度甘味料が含まれるため、糖質の含有量の好ましい下限は、後述する高甘味度甘味料の含有量の好ましい下限である0.00001質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記の糖質は、全組成から、蛋白質、脂質、食物繊維、灰分及び水分を除いたものを指すものとする。上記の蛋白質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の測定方法は以下の通りである。
蛋白質:二酸化チタン−硫酸銅触媒によるマクロ改良ケルダール分解法(係数:6.38)
脂質:レーゼゴットリーブ法
食物繊維:酵素−HPLC法
灰分:直接灰化法
水分:常圧加熱乾燥法
上記糖質としては、具体的には、糖類、デキストリン、デキストラン、澱粉類、高甘味度甘味料が挙げられる。
上記糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。この糖類には、例えば脱脂粉乳等の乳製品に含まれる乳糖も含むものとする。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記糖類の含有量は好ましくは0.49999質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。上記糖類の含有量が0.49999質量%よりも多いと、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中の糖質の含有量を0.5質量%以下とすることが難しくなる。
上記デキストリンとしては、直鎖デキストリン、分枝デキストリン、環状デキストリン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記デキストリンの含有量は好ましくは0.49999質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。上記デキストリンの含有量が0.49999質量%よりも多いと、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中の糖質の含有量を0.5質量%以下とすることが難しくなる。
上記デキストランとしては、直鎖デキストラン、分枝デキストラン、環状デキストラン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記デキストランの含有量は好ましくは0.49999質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。上記デキストランの含有量が0.49999質量%よりも多いと、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中の糖質の含有量を0.5質量%以下とすることが難しくなる。
上記澱粉類としては、生澱粉、澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したもの、酸やアルカリ処理・エステル化・アセチル化・リン酸架橋化・加熱・湿熱処理等の化学的・物理的処理を行った化工澱粉、さらにこれらの化工澱粉を水に溶けやすいようにあらかじめ加熱処理により糊化させた澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記澱粉類の含有量は好ましくは0.49999質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。上記澱粉類の含有量が0.49999質量%よりも多いと、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中の糖質の含有量を0.5質量%以下とすることが難しくなる。
上記高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、甘草、羅漢果等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。通常、ステビア、甘草及び羅漢果は、適宜、抽出物として用いられ、サッカリンはナトリウム塩として用いられる。
尚、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度のことであり、通常、基準にショ糖溶液を用い、ショ糖の甘味を1として、ショ糖以外の甘味料の甘さの強さをショ糖の甘さの強さに対する倍率で示したものである。本発明において「高甘味度」とは、甘味を示す化合物又は組成物について、その甘味の強さがショ糖の甘味の強さの50倍程度及びそれ以上であることを意味する。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物における上記高甘味度甘味料の含有量は、起泡性水中油型乳化組成物中、ショ糖を好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.3〜18質量%、最も好ましくは0.5〜16質量%を添加したときと同じ甘味となる質量とすることが望ましい。
即ち、本発明の起泡性水中油型乳化組成物における上記高甘味度甘味料の好ましい含有量は、ショ糖に関する上記の範囲を、使用する高甘味度甘味料の甘味度で割った範囲であり、より詳しくは、好ましくは0.1/X〜20/X質量%、さらに好ましくは0.3/X〜18/X質量%、最も好ましくは0.5/X〜16/X質量%である(Xは使用する高甘味度甘味料の甘味度を示す)。例えばショ糖の200倍の甘さを有するアセスルファムカリウムを用いる場合は、上記のショ糖に関する範囲を200で割った値である好ましくは0.0005〜0.1質量%、さらに好ましくは0.0015〜0.09質量%、最も好ましくは0.0025〜0.08質量%となる。
また、本発明の起泡性水中油型乳化物において、上記の高甘味度甘味料の含有量は好ましくは0.00001〜0.5質量%、さらに好ましくは0.00003〜0.5質量%、最も好ましくは0.00005〜0.5質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記の高甘味度甘味料の含有量が0.00001質量%よりも少ないと、甘味が不足するとともに乳風味が弱くなりやすく、0.5質量%を超えると甘味が強く、また人工的で風味が不良なものになりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物では、上記高甘味度甘味料として、アセスルファムカリウム又はスクラロースを用いることが好ましく、アセスルファムカリウムとスクラロースとを併用することがさらに好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、アセスルファムカリウムを用いる場合の含有量は、好ましくは0.0005〜0.1質量%、さらに好ましくは0.0015〜0.09質量%、最も好ましくは0.0025〜0.08質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、アセスルファムカリウムの含有量が0.0005質量%よりも少ないと、甘味が不足するとともに乳風味が弱くなりやすく、0.1質量%よりも多いと甘味が強く、また人工的で風味が不良なものになりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、スクラロースを用いる場合の含有量は、好ましくは0.00016〜0.033質量%、さらに好ましくは0.00048〜0.03質量%、最も好ましくは0.0009〜0.026質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、スクラロースの含有量が0.00016質量%よりも少ないと、甘味が不足するとともに乳風味が弱くなりやすく、0.033質量%よりも多いと甘味が強く人工的で、風味が不良なものになりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、アセスルファムカリウムとスクラロースとを併用する場合は、上記の含有量を満たしつつ、さらに質量基準でアセスルファムカリウム1に対し、スクラロースを好ましくは0.2〜2、さらに好ましくは0.3〜1.8、最も好ましくは0.4〜1.5となるように含有させることが望ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、質量基準でアセスルファムカリウム1に対し、スクラロースが0.2よりも少ないと、食したときラストに感じる乳風味が不自然なものになりやすく、2よりも多いと食したとき、トップに感じる乳風味が不自然なものになりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、上記高甘味度甘味料と共に、乳清ミネラルを含有する。乳清ミネラルは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する上記乳清ミネラルとしては、乳風味及び乳化安定性の面で、固形分中のカルシウム含量が好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満、最も好ましくは0.5質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用するカルシウムの除去の工程としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物における上記乳清ミネラルの配合割合は、固形分として0.003〜2.1質量%、好ましくは0.06〜1.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。上記乳清ミネラルの配合割合が固形分として0.003質量%より少ないとコク味を一層良好にするという配合効果が充分に得られにくく、また固形分として2.1質量%を超えると、塩味が強くなりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記の高甘味度甘味料と乳清ミネラルとの比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖を好ましくは1.5〜100質量部、さらに好ましくは1.5〜60質量部、最も好ましくは1.5〜40質量部添加したときと同じ甘味となる質量の高甘味度甘味料であることが望ましい。
即ち、本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、乳清ミネラルの固形分1質量部に対する高甘味度甘味料の好ましい比率は、ショ糖に関する上記の範囲を、使用する高甘味度甘味料の甘味度で割った範囲であり、より詳しくは、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、高甘味度甘味料が好ましくは1.5/X〜100/X質量部、さらに好ましくは1.5/X〜60/X質量部、最も好ましくは1.5/X〜40/X質量部の比率を満たすことが望ましい(Xは使用する高甘味度甘味料の甘味度である)。例えばショ糖の200倍の甘さを有するアセスルファムカリウムを用いる場合は、ショ糖に関する上記の範囲を200で割った値となり、乳清ミネラルの固形分1質量部に対するアセスルファムカリウムの質量は、好ましくは0.0075〜0.5質量部、さらに好ましくは0.0075〜0.3質量部、最も好ましくは0.0075〜0.2質量部となる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、上記の乳清ミネラルの固形分1質量部に対する上記の高甘味度甘味料の量が、乳清ミネラルの固形分1質量部に対してショ糖を1.5質量部添加したときの甘味よりも弱くなる量であると、苦味や不快臭が強くなりやす
く、ショ糖を100質量部添加したときの甘味よりも強くなる量であると、人工的で、風味が不良なものになりやすい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は油脂を含有する。本発明の起泡性水中油型乳化組成物で用いる油脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明では、これらのうち、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油及びヤシ油並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が好ましい。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、油脂の含有量は、カロリー低減が図れる点で低油分であるほど好ましく、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは10〜35質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物において、水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは49〜89質量%、さらに好ましくは59〜89質量%、最も好ましくは64〜89質量%である。なお、ここでいう水とは、水道水や天然水のほか、牛乳、液糖等の水以外の成分に含まれる水分も含めたものである。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、蛋白質を含有する。本発明の起泡性水中油型乳化組成物で用いる蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
本発明では、上記の蛋白質の中でも乳蛋白質を用いるのが好ましい。乳蛋白質としては、ホエイ蛋白質のみ、カゼイン蛋白質のみ、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との併用のいずれでもよいが、ホエイ蛋白質とカゼイン蛋白質とを併用するのが好ましい。
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、バターカード、バターカードパウダー、バターセーラム、バターセーラムパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、醗酵乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物中の蛋白質の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.3〜8質量%、最も好ましくは0.5〜6質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物はさらに食物繊維を含有することがコク味やボディ感の向上の点で好ましい。
上記食物繊維としては、特に限定されないが、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム、グアーガム分解物、小麦胚芽、プルラン、水溶性大豆食物繊維、タマリンドシードガム、難消化性でんぷん、アラビアガム、ビートファイバー、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ファーセルラン、ローカストビーンガム、カードラン、サイリウム種皮、ジェランガム、セルロース、低分子化アルギン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では上記食物繊維として、好ましくは難消化性デキストリン及び/又はポリデキストロースを、乳のコク味向上の点で用いるのがよい。
上記食物繊維を使用する場合、上記食物繊維の含有量は、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中、好ましくは0.001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜15質量%、最も好ましくは0.001〜10質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は乳化剤を含有することが好ましい。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。本発明では上記乳化剤として、好ましくは大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリドの中から選ばれた1種又は2種以上を、さらに好ましくは大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルの中から選ばれた1種又は2種以上を、最も好ましくは大豆レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルの中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのがよい。
上記乳化剤を使用する場合、上記乳化剤の含有量は、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.01〜1.5質量%、最も好ましくは0.01〜1質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物には、必要により、安定剤、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、卵製品、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、着香料、着色料、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、苦味料、調味料等の呈味成分、酸化防止剤、pH調整剤等を配合してもよい。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)、ゼラチン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。尚、これらの安定剤のうち、本発明では、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を使用しないのが好ましい。さらに好ましくは、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)のカルシウム封鎖能を有する安定剤を使用しないのがよい。
上記安定剤を使用する場合、上記安定剤の含有量は、本発明の起泡性水中油型乳化組成物中、好ましくは1質量以下、さらに好ましくは0.001〜0.5質量%、最も好ましくは0.001〜0.1質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、100g当たりのカロリーが好ましくは400kcal以下、さらに好ましくは300kcal以下、一層好ましくは100〜250kcal、最も好ましくは100〜200kcalである。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物の好ましい製造方法について以下に説明する。
まず、油脂に必要によりその他の原料を加えた油相を用意する。一方、水に高甘味度甘味料、乳清ミネラル、必要によりその他の原料を加えた水相を用意する。該水相を、上記油相と混合し、乳化する。
乳化の際には、まず予備乳化物を調製し、次にこれを必要によりバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、フィリング用、サンド用、トッピング用、ナッペ用、センター用等のホイップクリーム、練り込み用クリーム、コーヒーホワイトナー等として食品に用いることができる。本発明の起泡性水中油型乳化組成物は、特にホイップクリームとして好適である。上記の食品としては、例えば、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、セミハードロール、シュー、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品、洋菓子、和菓子、チョコレート菓子、冷菓、デザート、シチュー、グラタン、ドリア、飲料等を挙げることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1に記載の配合にて本発明の起泡性水中油型乳化組成物を製造した。
即ち、水62.3質量%を60℃に昇温し、撹拌しながら、ショ糖脂肪酸エステル0.2質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)0.75質量%、キサンタンガム0.2質量%、アセスルファムカリウム0.05質量%、乳清ミネラルBの1.2質量%を溶解させた水相を用意した。一方、パーム中部油7質量%、エステル交換油Iの7質量%、パーム核分別硬部油16質量%、エステル交換油IIの5質量%に、グリセリン脂肪酸エステル0.1質量%、大豆レシチン0.2質量%を溶解してなる油相を用意した。上記水相64.7質量%に該油相35.3質量%を加え混合、乳化して予備乳化物を調製した。予備乳化後に5MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃にて4秒間殺菌し、再度15MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の起泡性水中油型乳化組成物(実施例1)を得た。
<評価>
実施例1で得られた起泡性水中油型乳化組成物500gを、縦型ミキサーにて、毎分700回転の速度で、最適起泡状態までホイップし、ホイップクリームを得た。得られたホイップクリームの乳風味とコク味を以下の基準にて評価した。また、起泡性水中油型乳化組成物の乳化安定性を以下の方法により評価した。これらの評価結果を表1に示す。
(乳風味)
○○○:強く乳風味を感じる
○○:かなり乳風味を感じる
○:乳風味を感じる
△ :わずかに乳風味を感じる
×:乳風味を感じない
(コク味)
+++:強くコク味を感じる
++:かなりコク味を感じる
+:コク味を感じる
−:コク味を感じない
(乳化安定性)
得られた起泡性水中油型乳化組成物20gを50ml遠沈管に入れ、20℃で1時間インキュベートした。その後、振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させ、起泡性水中油型乳化脂が流動性を失うまでの振動回数が15000回以上を良、10000回以上〜15000回未満のものを可とした。
〔実施例2〜20、比較例1〜3〕
表1又は表2に示す配合を用いたほかは、実施例1と同様の製法により本発明の起泡性水中油型乳化組成物(実施例2〜20)と比較例1〜3の起泡性水中油型乳化組成物を得た。得られた実施例2〜20、比較例1〜3の起泡性水中油型乳化組成物は、実施例1と同様の基準にて評価を行った。これらの評価結果を表1及び表2に示す。
〔実施例21〜27〕
表3に示す配合を用いたほかは、実施例1と同様の製法により本発明の起泡性水中油型乳化組成物(実施例21〜27)を得た。得られた実施例21〜27の起泡性水中油型乳化組成物は、実施例1と同様の基準にて評価を行った。これらの評価結果を表3に示す。
Figure 2011101637
Figure 2011101637
Figure 2011101637

Claims (7)

  1. 糖質の含有量が0.5質量%以下であり、高甘味度甘味料及び乳清ミネラルを含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化組成物。
  2. 上記高甘味度甘味料が、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、甘草及び羅漢果の中から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の起泡性水中油型乳化組成物。
  3. 上記乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である請求項1又は2記載の起泡性水中油型乳化組成物。
  4. 上記の高甘味度甘味料と乳清ミネラルとの比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖を1.5〜100質量部添加したときと同じ甘味となる質量の高甘味度甘味料である請求項1〜3のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化組成物。
  5. 食物繊維を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化組成物。
  6. 請求項1に記載の起泡性水中油型乳化組成物の製造方法であって、油脂を含有する油相と、高甘味度甘味料と乳清ミネラルを含有する水相とを混合し、乳化することを特徴とする起泡性水中油型乳化組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化組成物を用いたことを特徴とする食品。
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