JPWO2017141934A1 - 油脂含有大豆たん白素材及びそれを用いた水中油型乳化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低粘度で高い乳化性と溶解性を併せ持つ大豆たん白素材及びそれを用いた水中油型乳化物を得ることを目的とする。
【解決手段】適切なたん白酵素分解を行い、特定の範囲の油脂を配合した油脂含有大豆たん白素材が、特定のTCA分解率を有し、溶液の粘度が一定値以下であり、ゼータ電位が一定値以下となる物性を有すること、さらに、たん白酵素分解前に加熱処理することにより、効果的に該物性を付与できることを見出した。さらに、このような物性を持つ該油脂含有大豆たん白素材を用いた水中油型乳化物が、例えば、ホワイトナーとして使用した場合分離が抑えられる等安定性が向上し、コーヒーにおけるオイルオフやフェザーリングが起こらないことを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】適切なたん白酵素分解を行い、特定の範囲の油脂を配合した油脂含有大豆たん白素材が、特定のTCA分解率を有し、溶液の粘度が一定値以下であり、ゼータ電位が一定値以下となる物性を有すること、さらに、たん白酵素分解前に加熱処理することにより、効果的に該物性を付与できることを見出した。さらに、このような物性を持つ該油脂含有大豆たん白素材を用いた水中油型乳化物が、例えば、ホワイトナーとして使用した場合分離が抑えられる等安定性が向上し、コーヒーにおけるオイルオフやフェザーリングが起こらないことを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明は、油脂含有大豆たん白素材及びそれを用いた水中油型乳化物に関する。
人口増加に伴う食糧供給不安から、動物性蛋白を使用している食品から植物性蛋白を使用した食品に代替する試みが数多く行われている。しかしながら、動物性蛋白と植物性蛋白の性質の差から未だ十分に変更が進んでいないのが現状である。例えば高濃度でも低粘度で高い乳化性と溶解性を併せ持つカゼイネートを使用した食品を植物性蛋白で代替しようという検討は数多く行われているが、未だ十分に達成できていない。
これまでにも、分離大豆たん白の低粘度化と溶解性の両立を図る検討が試みられている。例えば特許文献1においては、分離大豆たん白に還元糖を添加することによりメイラード反応を促しつつ酵素分解を行うことで、溶解性と低粘度化の両立を図っている。また、特許文献2では、蛋白質を強く加熱殺菌することで溶解性を保持しつつ、低粘度化を図っている。
しかしながら、特許文献1の技術では、水中油型乳化物にした場合の乳化安定性が十分に満足できるものではなく、さらに改良する余地があった。
また、特許文献2の技術では、蛋白の酵素分解を行っておらず、十分に低粘度化されておらず、乳化性も十分に満足できるものではなかった。
このように、カゼイネートが主に使用される食品、特に水中油型乳化物において、カゼイネートを代替し得る大豆たん白素材は未だ得られていない。
そこで、本発明は、低粘度で高い乳化性と溶解性を併せ持つ大豆たん白素材及びそれを用いた水中油型乳化物を得ることを目的とする。
また、特許文献2の技術では、蛋白の酵素分解を行っておらず、十分に低粘度化されておらず、乳化性も十分に満足できるものではなかった。
このように、カゼイネートが主に使用される食品、特に水中油型乳化物において、カゼイネートを代替し得る大豆たん白素材は未だ得られていない。
そこで、本発明は、低粘度で高い乳化性と溶解性を併せ持つ大豆たん白素材及びそれを用いた水中油型乳化物を得ることを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、適切なたん白酵素分解を行い、特定の範囲の油脂を配合した油脂含有大豆たん白素材が、特定のTCA分解率を有し、溶液の粘度が一定値以下であり、ゼータ電位が一定値以下となる物性を有すること、さらに、たん白酵素分解前に加熱処理することにより、効果的に該物性を付与できることを見出した。さらに、このような物性を持つ該油脂含有大豆たん白素材を用いた水中油型乳化物が、例えば、ホワイトナーとして使用した場合分離が抑えられる等安定性が向上し、コーヒーにおけるオイルオフやフェザーリングが起こらないことを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)大豆たん白素材及び、該大豆たん白素材に対して油脂を5〜45重量%含む油脂含有大豆たん白素材であって、次の(A)〜(C)の物性を有する油脂含有大豆たん白素材。
(A)TCA溶解率が5〜30重量%である。
(B)蛋白質含量として15重量%水溶液の25℃での粘度が1000mPa・s以下である。
(C)0.1重量%水溶液のpH7.0におけるゼータ電位が-40mV以下である。
(2)大豆たん白素材に対して油脂を20〜45重量%含むものである、(1)記載の油脂含有大豆たん白素材、
(3)油脂含有大豆たん白素材のTCA溶解率が5〜15重量%である、(1)または(2)記載の油脂含有大豆たん白素材、
(4)(1)〜(3)何れか1つに記載の油脂含有大豆たん白素材を含む水中油型乳化物、
である。
(1)大豆たん白素材及び、該大豆たん白素材に対して油脂を5〜45重量%含む油脂含有大豆たん白素材であって、次の(A)〜(C)の物性を有する油脂含有大豆たん白素材。
(A)TCA溶解率が5〜30重量%である。
(B)蛋白質含量として15重量%水溶液の25℃での粘度が1000mPa・s以下である。
(C)0.1重量%水溶液のpH7.0におけるゼータ電位が-40mV以下である。
(2)大豆たん白素材に対して油脂を20〜45重量%含むものである、(1)記載の油脂含有大豆たん白素材、
(3)油脂含有大豆たん白素材のTCA溶解率が5〜15重量%である、(1)または(2)記載の油脂含有大豆たん白素材、
(4)(1)〜(3)何れか1つに記載の油脂含有大豆たん白素材を含む水中油型乳化物、
である。
本発明により、例えば、高い乳化性で沈殿物が生じず、油層と水層が分離しない保存性に優れた水中油型乳化物を得ることが出来る。
以下、本発明を具体的に説明する。
(大豆たん白素材)
本発明の大豆たん白素材は、丸大豆や脱脂大豆等から蛋白質成分を水又は温水で抽出し、オカラ成分を除去した全脂豆乳や脱脂豆乳等であり、またはこれら豆乳から、UF膜による処理や酸を用いた等電点沈殿等で蛋白質を濃縮した分離大豆たん白等であり、またはこれを殺菌、乾燥した物を酵素で加水分解したものと油脂が含有する複合素材である。
尚、大豆たん白素材に用いられる大豆たん白は、蛋白質純度が高いものが好ましく、蛋白質含量が乾燥重量で好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。蛋白質純度が高いものとして、例えば、分離大豆たん白等が挙げられる。
例えば、分離大豆たん白は以下の様に調製することができる。すなわち、脱脂大豆に水又は温水を加え、中性付近にて抽出を行い、オカラを分離して豆乳を得る。次に豆乳をpH4.5付近とし等電点沈殿物を回収する。沈殿物に水及びアルカリ剤を加え、固形分濃度を概ね5〜15重量%とし、好ましくはpH5.7〜8.0、より好ましくはpH6.8〜7.5付近の水溶液を得る。この様にして得られた分離大豆たん白は、溶液をそのまま以下の工程に用いても良いし、未殺菌の物又は殺菌した物を、乾燥後に改めて溶解して用いても良い。
本発明の大豆たん白素材は、丸大豆や脱脂大豆等から蛋白質成分を水又は温水で抽出し、オカラ成分を除去した全脂豆乳や脱脂豆乳等であり、またはこれら豆乳から、UF膜による処理や酸を用いた等電点沈殿等で蛋白質を濃縮した分離大豆たん白等であり、またはこれを殺菌、乾燥した物を酵素で加水分解したものと油脂が含有する複合素材である。
尚、大豆たん白素材に用いられる大豆たん白は、蛋白質純度が高いものが好ましく、蛋白質含量が乾燥重量で好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。蛋白質純度が高いものとして、例えば、分離大豆たん白等が挙げられる。
例えば、分離大豆たん白は以下の様に調製することができる。すなわち、脱脂大豆に水又は温水を加え、中性付近にて抽出を行い、オカラを分離して豆乳を得る。次に豆乳をpH4.5付近とし等電点沈殿物を回収する。沈殿物に水及びアルカリ剤を加え、固形分濃度を概ね5〜15重量%とし、好ましくはpH5.7〜8.0、より好ましくはpH6.8〜7.5付近の水溶液を得る。この様にして得られた分離大豆たん白は、溶液をそのまま以下の工程に用いても良いし、未殺菌の物又は殺菌した物を、乾燥後に改めて溶解して用いても良い。
(一段加熱)
上記分離大豆たん白が溶解した液に対し、加圧下で加熱処理を行う。加熱温度は、好ましくは、100℃を超え、より好ましくは130℃以上である。また、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。加熱時間は概ね10秒〜300秒間であり、20秒〜180秒間が好ましい。このような条件で分離大豆たん白の溶解液を加熱することで、粘度を低下することができる。この状態で次の工程であるプロテアーゼによる加水分解したものを用いて水中油型乳化物を調製した場合に油層と水層の分離を抑制することができるため、本発明の大豆たん白素材の製造において、この段階での加熱処理は重要である。
上記分離大豆たん白が溶解した液に対し、加圧下で加熱処理を行う。加熱温度は、好ましくは、100℃を超え、より好ましくは130℃以上である。また、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。加熱時間は概ね10秒〜300秒間であり、20秒〜180秒間が好ましい。このような条件で分離大豆たん白の溶解液を加熱することで、粘度を低下することができる。この状態で次の工程であるプロテアーゼによる加水分解したものを用いて水中油型乳化物を調製した場合に油層と水層の分離を抑制することができるため、本発明の大豆たん白素材の製造において、この段階での加熱処理は重要である。
(加水分解処理)
続けて加熱後の水溶液について、蛋白質の加水分解を行う。加水分解は例えば酸性下で非酵素的に行うこともできるが、プロテアーゼによる加水分解が、その後の乳化性の向上に効果的であり、好ましい。ここで用いるプロテアーゼは、プロテアーゼの分類において「金属プロテアーゼ」(バチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ,ストレプトマイセス(Streptomyces)属由来の中性プロテアーゼ,アスペルギルス(Aspergillus)属由来の中性プロテアーゼ,サモアーゼ等),「酸性プロテアーゼ」(ペプシン,アスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼ,スミチームAP等),「チオールプロテアーゼ」(ブロメライン,パパイン等),「セリンプロテアーゼ」(トリプシン,キモトリプシン,ズブチリシン,ストレプトマイセス(Streptomyces)属由来のアルカリプロテアーゼ,アスペルギルス(Aspergillus)属由来のアルカリプロテアーゼ,アルカラーゼ,ビオプラーゼ等)に分類されるプロテアーゼの、1種または2種以上を作用させることができる。
続けて加熱後の水溶液について、蛋白質の加水分解を行う。加水分解は例えば酸性下で非酵素的に行うこともできるが、プロテアーゼによる加水分解が、その後の乳化性の向上に効果的であり、好ましい。ここで用いるプロテアーゼは、プロテアーゼの分類において「金属プロテアーゼ」(バチルス(Bacillus)属由来の中性プロテアーゼ,ストレプトマイセス(Streptomyces)属由来の中性プロテアーゼ,アスペルギルス(Aspergillus)属由来の中性プロテアーゼ,サモアーゼ等),「酸性プロテアーゼ」(ペプシン,アスペルギルス(Aspergillus)属由来の酸性プロテアーゼ,スミチームAP等),「チオールプロテアーゼ」(ブロメライン,パパイン等),「セリンプロテアーゼ」(トリプシン,キモトリプシン,ズブチリシン,ストレプトマイセス(Streptomyces)属由来のアルカリプロテアーゼ,アスペルギルス(Aspergillus)属由来のアルカリプロテアーゼ,アルカラーゼ,ビオプラーゼ等)に分類されるプロテアーゼの、1種または2種以上を作用させることができる。
反応pHや反応温度は、それぞれのプロテアーゼの至適条件、或いは活性の得られる条件で行うことが好ましい。通常、反応pHは各々の酵素の至適pH付近であり、温度は0〜100℃,好ましくは20〜80℃,更に好ましくは40〜70℃で反応を行う。反応時間もpHや温度により変化するが、概ね5分〜12時間、好ましくは10分〜6時間が適当である。
プロテアーゼ処理後の大豆たん白素材のTCA溶解率は5〜30重量%である。また、5〜15重量%が好ましく、5〜13重量%であることがより好ましい。TCA溶解率を5〜30重量%にすることで、乳化性が良好で遠心沈殿量が少ない大豆たん白素材を得ることができる。
なお、TCA溶解率とは、大豆たん白素材の2重量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定したときの値をいう。
プロテアーゼ処理後の大豆たん白素材のTCA溶解率は5〜30重量%である。また、5〜15重量%が好ましく、5〜13重量%であることがより好ましい。TCA溶解率を5〜30重量%にすることで、乳化性が良好で遠心沈殿量が少ない大豆たん白素材を得ることができる。
なお、TCA溶解率とは、大豆たん白素材の2重量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定したときの値をいう。
(二段加熱)
プロテアーゼによる加水分解後に更に加熱を行うことが好ましい。加熱温度は110〜170℃が好ましく、130〜170℃が更に好ましい。加熱時間は3〜20秒間が好ましい。二段加熱は殺菌がその主たる目的のひとつであり、好ましい条件が設定されるが、温度が低く時間が短いと殺菌の効果に弱く、温度が高く時間が長いと、風味や着色等の問題が起き易くなる。
プロテアーゼによる加水分解後に更に加熱を行うことが好ましい。加熱温度は110〜170℃が好ましく、130〜170℃が更に好ましい。加熱時間は3〜20秒間が好ましい。二段加熱は殺菌がその主たる目的のひとつであり、好ましい条件が設定されるが、温度が低く時間が短いと殺菌の効果に弱く、温度が高く時間が長いと、風味や着色等の問題が起き易くなる。
(油脂添加)
本発明では、さらに、上記の大豆たん白素材に油脂を配合して、油脂含有大豆たん白素材を製造する。油脂の添加は一段加熱の前でも、二段加熱の後でも問題なく、大豆蛋白質の固形分に対して5〜45重量%添加し、高圧ホモジナイザーにて150 kg/cm2の圧力にて均質化することが出来る。油脂の添加量は20〜45重量%がより好ましく、30〜45重量%であることが最も好ましい。
このようにして得られた大豆たん白複合素材は、水に対する分散性が向上する。また、油脂の配合の増加に伴いゼータ電位が低下し、これを用いて調製した水中油型乳化物の安定性は増し油層と水層の分離が抑制され安定性が増す。
本発明では、さらに、上記の大豆たん白素材に油脂を配合して、油脂含有大豆たん白素材を製造する。油脂の添加は一段加熱の前でも、二段加熱の後でも問題なく、大豆蛋白質の固形分に対して5〜45重量%添加し、高圧ホモジナイザーにて150 kg/cm2の圧力にて均質化することが出来る。油脂の添加量は20〜45重量%がより好ましく、30〜45重量%であることが最も好ましい。
このようにして得られた大豆たん白複合素材は、水に対する分散性が向上する。また、油脂の配合の増加に伴いゼータ電位が低下し、これを用いて調製した水中油型乳化物の安定性は増し油層と水層の分離が抑制され安定性が増す。
この発明において使用する油脂としては、植物性、動物性問わず使用しても良い。植物性油脂としては、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油など、動物性油脂としては、乳脂、魚油、ラードなどから1種類、若しくは複数組み合わせて使用する事が出来る。コレステロールがたまる等の健康上の問題で動物性原料を避けた方が良いという場合には、植物性油脂を使用することが好ましい。
前述の工程で得られた本発明の大豆たん白素材は、液体のまま流通使用することも出来るが、乾燥し粉末化した上で、改めて種々の原料と調合調製し、種々の用途で使用されることができる。尚、本明細書において、「大豆蛋白質」とは大豆に由来する蛋白質の分子またはその加水分解物を意味し、その組成に蛋白質以外を含んだ「大豆たん白素材」「大豆たん白原料」「分離大豆たん白」等と区別している。
このようにして得られた油脂含有大豆たん白素材は、油脂を大豆たん白に対して5〜45重量%含み、(A)TCA溶解率が5〜30重量%である。(B)蛋白質含量として15重量%水溶液の25℃での粘度が1000mPa・s以下である。(C)0.1重量%水溶液のpH7.0におけるゼータ電位が-40mV以下である、という特徴を持つ。
本発明の油脂含有大豆たん白素材はこのような特徴を持つことにより、本発明の効果を発揮させることができる。
本発明の油脂含有大豆たん白素材はこのような特徴を持つことにより、本発明の効果を発揮させることができる。
(水中油型乳化物の調製)
水中油型乳化物は、油脂含有大豆たん白素材、リン酸塩、糖類、乳化剤を水系にて混合し、さらにこれらと油脂を混合した後、均質化し、必要に応じて冷却することにより調製することができる。均質化とは、水と油を含む混合液を水中油型乳化物とし、さらに水中油型乳化物の液滴を微細化することである。微細化の一つの方法としては乳化機などの装置を用いる方法がある。乳化機としては、例えば、回転羽を有する撹拌機、高速回転するディスクやローターと固定ディスクを有するコロイドミル,超音波式乳化機,一種の高圧ポンプである均質機(ホモジナイザー)などが挙げられ、中でも均質機(ホモジナイザー)が好ましい。均質化工程としては例えば、上記原料を含む水中油型乳化物を、ホモジナイザーで30〜200kg/cm2の圧力で均質化した後、110〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜30秒間、好ましくは3〜20秒間で加熱殺菌処理を行い、さらにホモジナイザーを用いて50〜500kg/cm2の圧力で均質化する方法が挙げられる。
水中油型乳化物は、油脂含有大豆たん白素材、リン酸塩、糖類、乳化剤を水系にて混合し、さらにこれらと油脂を混合した後、均質化し、必要に応じて冷却することにより調製することができる。均質化とは、水と油を含む混合液を水中油型乳化物とし、さらに水中油型乳化物の液滴を微細化することである。微細化の一つの方法としては乳化機などの装置を用いる方法がある。乳化機としては、例えば、回転羽を有する撹拌機、高速回転するディスクやローターと固定ディスクを有するコロイドミル,超音波式乳化機,一種の高圧ポンプである均質機(ホモジナイザー)などが挙げられ、中でも均質機(ホモジナイザー)が好ましい。均質化工程としては例えば、上記原料を含む水中油型乳化物を、ホモジナイザーで30〜200kg/cm2の圧力で均質化した後、110〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜30秒間、好ましくは3〜20秒間で加熱殺菌処理を行い、さらにホモジナイザーを用いて50〜500kg/cm2の圧力で均質化する方法が挙げられる。
水中油型乳化物中の油脂含有大豆たん白素材の配合量は0.3〜7重量%である。油脂含有大豆たん白の配合量を0.3〜7重量%にすることで、水中油型乳化物の乳化安定性が良好であり、例えば、コーヒーに添加した場合にフェザーリングやオイルオフがなく良好なものとなる。
(油脂)
この発明において使用する油脂としては、植物性、動物性問わず使用しても良い。植物性油脂としては、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油など、動物性油脂としては、乳脂、魚油、ラードなどから1種類、若しくは複数組み合わせて使用することが出来る。一般に水中油型乳化物を作成する際には、融点の低い液状〜半固形油脂を使用する方が好ましく、粉末状乳化組成物を作成する際には、固形〜極度硬化油脂を使用する方が好ましい。
コレステロールがたまる等の健康上の問題で動物性原料を避けた方が良いという場合には、植物性油脂を使用することが好ましい。
油脂の含量は水中油型乳化物中の油脂含量で求められる。油脂が含有された大豆たん白素材を用いる場合には、該蛋白質素材中の油脂の量を含めて油脂の含量が算出される。
この発明において使用する油脂としては、植物性、動物性問わず使用しても良い。植物性油脂としては、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油など、動物性油脂としては、乳脂、魚油、ラードなどから1種類、若しくは複数組み合わせて使用することが出来る。一般に水中油型乳化物を作成する際には、融点の低い液状〜半固形油脂を使用する方が好ましく、粉末状乳化組成物を作成する際には、固形〜極度硬化油脂を使用する方が好ましい。
コレステロールがたまる等の健康上の問題で動物性原料を避けた方が良いという場合には、植物性油脂を使用することが好ましい。
油脂の含量は水中油型乳化物中の油脂含量で求められる。油脂が含有された大豆たん白素材を用いる場合には、該蛋白質素材中の油脂の量を含めて油脂の含量が算出される。
水中油型乳化物中の油脂の配合量は10〜40重量%である。油脂の配合量を10〜40重量%にすることで、本発明の水中油型乳化物は、コーヒーに添加した場合に分散、安定性が良好となる。
(リン酸塩)
リン酸塩としては、ヘキサメタリン酸塩、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが例示される。
リン酸塩としては、ヘキサメタリン酸塩、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが例示される。
水中油型乳化物中のリン酸塩の配合量は0.01重量%以上1.5重量%未満である。更に配合量は0.01重量%以上0.8重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.7重量%以下がより好ましい。リン酸塩の配合量を0.01重量%以上1.5重量%未満にすることで、本発明の水中油型乳化物は、コーヒーに添加した場合に分散、安定性が良好となる。
(糖類)
糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等を上げることができる。
糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等を上げることができる。
水中油型乳化物中の糖類の配合量は0〜70重量%である。液体状の水中油型乳化物の場合の糖類の配合量は10重量%以下が好ましいが、粉末状の乳化物の場合の糖類の配合量は40〜70重量%であるのが好ましい。
糖類の含量は水中油型乳化物中の炭水化物量で求められる。糖類が含有された大豆たん白素材を用いる場合には、該蛋白素材中の糖類(炭水化物)の量を含めて糖類の含量が算出される。
糖類の含量は水中油型乳化物中の炭水化物量で求められる。糖類が含有された大豆たん白素材を用いる場合には、該蛋白素材中の糖類(炭水化物)の量を含めて糖類の含量が算出される。
(乳化剤)
乳化剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベート、レシチンなどが例示される。これら乳化剤は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。HLBが12以上の乳化剤を使用すると水中油型乳化物の安定性が向上し、フェザーリングやオイルオフの発生を抑制することが出来る。特にHLB12以上のシュガーエステルとHLBが7以上の有機酸モノグリセリドを併用すると、更に水中油型乳化物の乳化安定性が良くなり、凝集物の形成がより一層抑制されるとともに、調液時の水中油型乳化物の粘度が急激に上昇しにくくなる。
水中油型乳化物中の乳化剤の配合量は、0.8〜2.5重量%である。乳化剤の配合量を0.8〜2.5重量%とすることで、本発明の水中油型乳化物をコーヒーに添加した際に分散性が良好となり、また、風味も良好となる。
乳化剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベート、レシチンなどが例示される。これら乳化剤は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。HLBが12以上の乳化剤を使用すると水中油型乳化物の安定性が向上し、フェザーリングやオイルオフの発生を抑制することが出来る。特にHLB12以上のシュガーエステルとHLBが7以上の有機酸モノグリセリドを併用すると、更に水中油型乳化物の乳化安定性が良くなり、凝集物の形成がより一層抑制されるとともに、調液時の水中油型乳化物の粘度が急激に上昇しにくくなる。
水中油型乳化物中の乳化剤の配合量は、0.8〜2.5重量%である。乳化剤の配合量を0.8〜2.5重量%とすることで、本発明の水中油型乳化物をコーヒーに添加した際に分散性が良好となり、また、風味も良好となる。
(甘味料)
また、現在公知若しくは将来知られ得る甘味成分も本発明の水中油型乳化物に配合することもできる。具体的にはアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物などの甘味料を用いても良い。
また、現在公知若しくは将来知られ得る甘味成分も本発明の水中油型乳化物に配合することもできる。具体的にはアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物などの甘味料を用いても良い。
以上の方法により得られた水中油型乳化物は、低粘度で且つ溶解性が高く良好な保存安定性と乳化安定性を示すため様々な食品にも応用することができる。例えば、コーヒーホワイトナー、油中水型乳化物、マーガリン、乳化調味料、デザート、菓子類、栄養補助剤及び飲料などの、様々な形態の飲食品にも応用することができる。
(測定方法)
次に本発明で用いた測定方法を示す。
<蛋白質含量>
105℃, 12時間乾燥した大豆たん白素材重量に対して、ケルダール法により測定した窒素の質量を、乾燥物中の蛋白質含量として重量%で表す。尚、窒素係数は6.25とする。
<TCA溶解率>
大豆たん白素材の2重量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定した値とする。
<遠心沈殿率>
大豆たん白素材の5重量%水溶液を、1500×g(3000rpm)で20分間遠心分離を行い、沈殿の重量を測定し、その割合を表す。
<ゼータ電位>
大豆たん白素材の0.1重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム若しくは塩酸を用いてpH7.0に調整する。pH調整した試料をゼータサイザーナノ (Malvern社製)を用いてゼータ電位を測定する。
<CP15重量%粘度>
CP15重量%粘度は、各大豆たん白素材の蛋白質含量として15重量%となるように水溶液を調製し、25℃にてB型粘度計(TOKIMEC社製)で測定した。CP15重量%粘度が1000mPa・s以下のものを合格とする。
<乳化粒子径>
水中油型乳化物の乳化粒子径はレーザー粒度分布計(島津製作所社製)で測定した。
<水中油型乳化物の分離>
水中油型乳化物の分離評価は、水中油型乳化物を4℃で2日保管後に目視観察により行った。
クリーム層と水層が明確に分離している物を「+」、明確ではないが分離が認められるものを「±」、分離が認められない物を「-」と評価した。「-」と評価された物を合格とした。
次に本発明で用いた測定方法を示す。
<蛋白質含量>
105℃, 12時間乾燥した大豆たん白素材重量に対して、ケルダール法により測定した窒素の質量を、乾燥物中の蛋白質含量として重量%で表す。尚、窒素係数は6.25とする。
<TCA溶解率>
大豆たん白素材の2重量%水溶液に、0.44M トリクロロ酢酸(TCA)を等量加え、可溶性窒素の割合をケルダール法により測定した値とする。
<遠心沈殿率>
大豆たん白素材の5重量%水溶液を、1500×g(3000rpm)で20分間遠心分離を行い、沈殿の重量を測定し、その割合を表す。
<ゼータ電位>
大豆たん白素材の0.1重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム若しくは塩酸を用いてpH7.0に調整する。pH調整した試料をゼータサイザーナノ (Malvern社製)を用いてゼータ電位を測定する。
<CP15重量%粘度>
CP15重量%粘度は、各大豆たん白素材の蛋白質含量として15重量%となるように水溶液を調製し、25℃にてB型粘度計(TOKIMEC社製)で測定した。CP15重量%粘度が1000mPa・s以下のものを合格とする。
<乳化粒子径>
水中油型乳化物の乳化粒子径はレーザー粒度分布計(島津製作所社製)で測定した。
<水中油型乳化物の分離>
水中油型乳化物の分離評価は、水中油型乳化物を4℃で2日保管後に目視観察により行った。
クリーム層と水層が明確に分離している物を「+」、明確ではないが分離が認められるものを「±」、分離が認められない物を「-」と評価した。「-」と評価された物を合格とした。
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例中の%は重量基準を意味する。
○大豆たん白素材の製造方法(大豆たん白素材A〜E)
水10重量部に低変性脱脂大豆1重量部を加えて、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で撹拌しながら50℃,30分間抽出を行い、3,000×gで遠心分離してオカラを除き、脱脂豆乳を得た。これを塩酸でpH4.5に調整して等電点沈殿させ、遠心分離して酸沈カードを得た。これに4倍量の水を加えて水酸化ナトリウムでpH7.3に調整し、分離大豆たん白を含有する溶液を得た。140℃で30秒間、連続式直接加熱方式殺菌機(アルファ・ラバル(株)製)で加熱を行い、得られた溶液に対してアルカラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たりそれぞれ、0.2、0.1、0.05、0.02、0重量%添加し、55℃,15分間酵素反応を行った。酵素反応後に連続式直接加熱方式殺菌機で140℃,10秒間加熱を行い、スプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(A〜E)を得た。
水10重量部に低変性脱脂大豆1重量部を加えて、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で撹拌しながら50℃,30分間抽出を行い、3,000×gで遠心分離してオカラを除き、脱脂豆乳を得た。これを塩酸でpH4.5に調整して等電点沈殿させ、遠心分離して酸沈カードを得た。これに4倍量の水を加えて水酸化ナトリウムでpH7.3に調整し、分離大豆たん白を含有する溶液を得た。140℃で30秒間、連続式直接加熱方式殺菌機(アルファ・ラバル(株)製)で加熱を行い、得られた溶液に対してアルカラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たりそれぞれ、0.2、0.1、0.05、0.02、0重量%添加し、55℃,15分間酵素反応を行った。酵素反応後に連続式直接加熱方式殺菌機で140℃,10秒間加熱を行い、スプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(A〜E)を得た。
○油脂含有大豆たん白素材の製造方法2(大豆たん白素材F〜I)
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり10重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(F〜I)を得た。
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり10重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(F〜I)を得た。
○油脂含有大豆たん白素材の製造方法3(大豆たん白素材J〜N)
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり20重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(J〜N)を得た。
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり20重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(J〜N)を得た。
○油脂含有大豆たん白素材の製造方法3(大豆たん白素材O〜S)
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり30重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(O〜S)を得た。
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり30重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(O〜S)を得た。
○油脂含有大豆たん白素材の製造方法3(大豆たん白素材T〜X)
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり40重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(T〜X)を得た。
大豆たん白素材A〜Eと同様に酵素分解を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり40重量%添加し高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(T〜X)を得た。
○油脂含有大豆たん白素材の製造方法4(大豆たん白素材Y、Z)
大豆たん白素材A〜Eと同様に酸沈カードを得、4倍量の水を加え水酸化ナトリウムを用いてpHを7.3に調整し分離大豆たん白を含有する溶液を得た。得られた溶液に対してアルカラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たりそれぞれ、0.2、0.1重量%添加し55℃,15分間酵素反応を行った。酵素反応後に連続式直接加熱方式殺菌機で140℃,10秒間加熱を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり20重量%添加し、高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(Y,Z)を得た。
大豆たん白素材A〜Eと同様に酸沈カードを得、4倍量の水を加え水酸化ナトリウムを用いてpHを7.3に調整し分離大豆たん白を含有する溶液を得た。得られた溶液に対してアルカラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たりそれぞれ、0.2、0.1重量%添加し55℃,15分間酵素反応を行った。酵素反応後に連続式直接加熱方式殺菌機で140℃,10秒間加熱を行い殺菌後、菜種油(不二製油(株)製)を分離大豆たん白の固形分当たり20重量%添加し、高圧ホモゲナイザーを利用して乳化後噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆たん白素材(Y,Z)を得た。
○水中油型乳化物の調製
表1記載の配合で、水を70℃に加熱しながら、リン酸2カリウム、各大豆たん白素材、乳化剤を添加し撹拌して溶解させる。更に80℃に加温した油脂(菜種硬化油、不二製油株式会社製)を加え更に撹拌する。なお、油脂の添加量は配合量として22重量%とするが、各大豆たん白素材中に油脂が含有される場合には、大豆たん白素材に含まれる油脂量を差し引いて配合する。次に高圧ホモゲナイザーを用いて30〜150kg/cm2の圧力で均質化した後、121℃で3秒間加熱殺菌を行った。なお、表1の水以外の原料の配合は、乾燥重量に換算した値であり、各原料中の水分は水の配合量に加算したものである。
殺菌処理された各水中油型乳化物を、再度高圧ホモゲナイザーを用いて200〜500kg/cm2の圧力で更に均質化させた後、これらを冷却し比較例1〜11、実施例1〜16を得た。
表1記載の配合で、水を70℃に加熱しながら、リン酸2カリウム、各大豆たん白素材、乳化剤を添加し撹拌して溶解させる。更に80℃に加温した油脂(菜種硬化油、不二製油株式会社製)を加え更に撹拌する。なお、油脂の添加量は配合量として22重量%とするが、各大豆たん白素材中に油脂が含有される場合には、大豆たん白素材に含まれる油脂量を差し引いて配合する。次に高圧ホモゲナイザーを用いて30〜150kg/cm2の圧力で均質化した後、121℃で3秒間加熱殺菌を行った。なお、表1の水以外の原料の配合は、乾燥重量に換算した値であり、各原料中の水分は水の配合量に加算したものである。
殺菌処理された各水中油型乳化物を、再度高圧ホモゲナイザーを用いて200〜500kg/cm2の圧力で更に均質化させた後、これらを冷却し比較例1〜11、実施例1〜16を得た。
(比較例1〜11、実施例1〜16)
表2に各大豆たん白素材の分析値及び各大豆たん白素材を用いて調製した水中油型乳化物の分析値を纏めた。一般的な酵素分解を行った比較例1から5については酵素分解に伴い粘度の低下は認められるが、遠心沈殿率の低下が起こっている。またこれらを用いて水中油型乳化物を調製した結果、乳化粒子径はTCA溶解率が9%以上で1μmを下回っており、良好であったが未分解の比較例5では粒子径が1μm以上であり不良であった。また、比較例1〜5では全て分離が認められ不適であった。
一方で、油脂を10%添加した実施例1から4については、油脂無添加で同一分解度の大豆たん白素材A〜Dと比較するとゼータ電位の低下に伴い遠心沈殿率が改善し、乳化物の分離についても改善した。特に実施例3と4では全く分離は認められなかった。一方で、酵素分解を行っていない比較例6では油脂を10%添加しても、油脂無添加の比較例5と比較して差は認められなかった。
更に、油脂の添加量を20%、30%、40%と増やしていくとゼータ電位は添加量依存的に低下し、同時に遠心沈殿率も低下した。また、実施例5〜16においては水中油型乳化物の分離は認められなかった。一般にゼータ電位の絶対値が増大するに伴い粒子は安定化するため水中油型乳化物も安定化したと考えられる。一方で、酵素分解を行っていない比較例7〜9については、油脂の添加量が20、30、40%と増えるに従いゼータ電位の低下は認められたが、顕著な粘度増加が起こり、酵素分解を行っていないために乳化性は低いままであった。また、一段加熱を行わずに調製した大豆たん白素材を用いたもの(比較例10、11)は、CP15%粘度が高く、水中油型乳化物の分離が生じた。
表2に各大豆たん白素材の分析値及び各大豆たん白素材を用いて調製した水中油型乳化物の分析値を纏めた。一般的な酵素分解を行った比較例1から5については酵素分解に伴い粘度の低下は認められるが、遠心沈殿率の低下が起こっている。またこれらを用いて水中油型乳化物を調製した結果、乳化粒子径はTCA溶解率が9%以上で1μmを下回っており、良好であったが未分解の比較例5では粒子径が1μm以上であり不良であった。また、比較例1〜5では全て分離が認められ不適であった。
一方で、油脂を10%添加した実施例1から4については、油脂無添加で同一分解度の大豆たん白素材A〜Dと比較するとゼータ電位の低下に伴い遠心沈殿率が改善し、乳化物の分離についても改善した。特に実施例3と4では全く分離は認められなかった。一方で、酵素分解を行っていない比較例6では油脂を10%添加しても、油脂無添加の比較例5と比較して差は認められなかった。
更に、油脂の添加量を20%、30%、40%と増やしていくとゼータ電位は添加量依存的に低下し、同時に遠心沈殿率も低下した。また、実施例5〜16においては水中油型乳化物の分離は認められなかった。一般にゼータ電位の絶対値が増大するに伴い粒子は安定化するため水中油型乳化物も安定化したと考えられる。一方で、酵素分解を行っていない比較例7〜9については、油脂の添加量が20、30、40%と増えるに従いゼータ電位の低下は認められたが、顕著な粘度増加が起こり、酵素分解を行っていないために乳化性は低いままであった。また、一段加熱を行わずに調製した大豆たん白素材を用いたもの(比較例10、11)は、CP15%粘度が高く、水中油型乳化物の分離が生じた。
Claims (11)
- 大豆たん白素材及び、該大豆たん白素材に対して油脂を5〜45重量%含む油脂含有大豆たん白素材であって、次の(A)〜(C)の物性を有する油脂含有大豆たん白素材。
(A)TCA溶解率が5〜30重量%である。
(B)蛋白質含量として15重量%水溶液の25℃での粘度が1000mPa・s以下である。
(C)0.1重量%水溶液のpH7.0におけるゼータ電位が-40mV以下である。 - 大豆たん白素材に対して油脂を20〜45重量%含むものである、請求項1記載の油脂含有大豆たん白素材。
- 大豆たん白素材に対して油脂を30〜45重量%含むものである、請求項1記載の油脂含有大豆たん白素材。
- 油脂含有大豆たん白素材のTCA溶解率が5〜15重量%である、請求項1記載の油脂含有大豆たん白素材。
- 油脂含有大豆たん白素材のTCA溶解率が5〜13重量%である、請求項1記載の油脂含有大豆たん白素材。
- 請求項1記載の油脂含有大豆たん白素材を含む水中油型乳化物。
- 下記の工程(a)〜(c)を含む、油脂含有大豆たん白素材の製造方法。
(a)大豆たん白素材の水溶液を100℃を超え170℃以下で加熱する工程、
(b)該加熱した大豆たん白素材の水溶液に対しプロテアーゼを作用させ、大豆たん白素材のTCA溶解率が5〜30重量になるように加水分解する工程、
(c)(b)の工程後の大豆たん白素材の大豆蛋白質固形分に対して5〜45重量%の油脂を添加する工程。 - (b)の工程においてTCA溶解率が5〜15重量%になるように加水分解する、請求項7記載の油脂含有大豆たん白素材の製造方法。
- (b)の工程においてTCA溶解率が5〜13重量%になるように加水分解する、請求項7記載の油脂含有大豆たん白素材の製造方法。
- (c)の工程において、20〜45重量%の油脂を添加する、請求項7記載の油脂含有大豆たん白素材の製造方法。
- (c)の工程において、30〜45重量%の油脂を添加する、請求項7記載の油脂含有大豆たん白素材の製造方法。
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