JPWO2009025151A1 - 新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物 - Google Patents

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Abstract

アミンモノマーから誘導されるポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、特にポリイミド樹脂のジアミン成分として有用な新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、式(1)の化学構造を有する。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキレン基であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜3の整数であり、mは1〜30の整数であり、nは0〜20の整数であり、pとqは同時に0とならない。

Description

本発明は、新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物に関する。
フレキシブルプリント配線やリジッド配線板を製造する場合、銅張積層板をベースに樹脂組成物からなる液状レジストやドライフィルム、そして接着剤付ポリイミドフィルムなどがカバー材として広く用いられている。更に、これらに感光性を付与した感光性樹脂組成物(液状感光性レジスト)や感光性ドライフィルムが感光性カバーフィルムとしても使用されている。それらの構成材料として、耐熱性に優れるポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂があるが、樹脂製造の容易性や製造コストの面から特にポリイミド樹脂が大変有用である。
ところで、これらのフレキシブルプリント配線板やリジッド配線板は、有機物や無機物の積層構造をとる。このとき、積層体を構成する材料によっては、基板の反りを生じる懸念がある。反りは、各構成材料の物性を基に以下の式で表すことができる。従って、これらの配線板の反りを防ぐためは、幾つかのアプローチがあるが、ポリイミド系のカバー材を考えた場合、ポリイミド樹脂からなるフィルム自体の弾性率を低下させれば良い。このような要求に対応するために、ポリイミド樹脂を構成する複数のジアミン成分の一つとしてシロキサンジアミンを使用することが提案されている(特許文献1)。また、このシロキサンジアミンを使用したポリイミド樹脂の成膜性や耐薬品性を向上させることも要求されているが、そのような要求に応えるべく、ポリイミド樹脂にアクリレートと反応しうる架橋基としてビニルエーテル残基が導入されている。
Figure 2009025151
特開2003−131371号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているようなシロキサンジアミンは、それを使用して調製したポリイミド樹脂から形成されたフィルムに対し、意図した低い弾性率を付与することができる反面、無電解Ni/Auメッキ耐性が低下するという問題があった。また、このポリイミド樹脂に導入されるべきビニルエーテル残基は、シロキサンジアミンと酸二無水物とを反応させてポリイミドにした後、単離されたポリイミド樹脂に導入されているため、工業生産上、有利な導入方法とは言えない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決しようとするものであり、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、特にポリイミド樹脂から形成されたフィルムに対し、比較的低い弾性率と良好な無電解メッキ耐性とを付与できるようにし、また、水素結合形成能力あるいは、架橋形成能力(架橋点)を有する基をポリイミド樹脂へ予め導入できるようにすることを目的とする。
本発明者は、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂を構成するシロキサンジアミンとして、分子内にアミド基を有する特定構造の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物を使用することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の式(1)で表される新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物を提供する。
Figure 2009025151
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキレン基であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜3の整数であり、mは1〜30の整数であり、nは0〜20の整数であり、pとqは同時に0とならない。
また、本発明は、式(1)のアミド基含有シロキサンアミン化合物の製造方法において、以下の反応スキームAに示すように、式(2)のシロキサンジアミン化合物に、式(3)及び式(3′)のニトロベンゾイルハライドを反応させて式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物を形成し、ニトロ基を還元して式(1)のアミド基含有シロキサンアミン化合物を得る製造方法を提供する。
<反応スキームA>
Figure 2009025151
式(1)〜(4)中、R、R、p、q、m及びnは、式(1)において既に説明した通りであり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子である。
本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、シロキサンユニットを有しているので、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、特にポリイミド樹脂の弾性率を低下させることができる。また、分子内にアミド結合を有するので、配線板の銅など導体部に対するポリイミド樹脂の接着性を向上させることができる。また、アミド基はエポキシ基と付加反応もしくは挿入反応し、架橋基として機能するので、ポリイミド樹脂を単離した後に架橋基を導入する操作が不要となる。
本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、式(1)の化学構造を有する。
Figure 2009025151
式(1)中、R及びRにおける置換されてもよいアルキレン基としては、Cl〜C12のアルキレン基であることが好ましく、C2〜C6のアルキレン基であることがより好ましい。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を挙げることができる。このアルキレン基の置換基としては、メチル基、エチル基等のC1〜C8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、フェニル基等のC1〜C14の単環又は縮合環のアリール基を挙げることができる。中でも、ニトロベンゾイルハライドとの反応性の点から、R及びRとしてはトリメチレン基が特に好ましい。また、R及びRは同一であっても、互いに相違してもよいが、原材料の入手が困難になるため同一であることが望ましい。
また、mは1〜30の整数であるが、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜20の整数である。これは、mが0であると原材料の入手が困難となり、30を超えると反応溶媒に混ざらず分離するからである。一方、nは0〜20の整数であるが、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の整数である。これは、nは1以上であると、難燃性に優れたジフェニルシロキサン単位が導入されることになり、導入されていない場合よりも耐熱性が向上し、20を超えると低弾性への寄与が小さくなるからである。
また、p及びqは、同時に0とならない0〜3の整数であるが、好ましくは1である。ここで、分子末端のアミノフェニル基の態様としては、pまたはqが1の場合には、アミノ基は、カルボニル炭素と結合したフェニル基の炭素を1位とした場合、フェニル基の2位、3位又は4位に存在することになる。pまたはqが2の場合には、アミノ基は、フェニル基の2位と4位、2位と6位、2位と3位、2位と5位、3位と4位又は3位と5位に存在することになる。pまたはqが3の場合には、アミノ基は、フェニル基の2位と3位と4位、2位と3位と5位、2位と3位と6位、2位と4位と5位、2位と4位と6位、又は3位と4位と5位に存在することになる。これらの中でも、原材料の入手が容易である点から、pまたはqが1の場合には、フェニル基の4位に存在する態様が好ましい。pまたはqが2の場合には、フェニル基の2位と4位に存在する態様が好ましい。pまたはqが3の場合には、フェニル基の2位と4位と6位に存在する態様が好ましい。
なお、新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物の両末端のアミノフェニル基においては、アミノ基の数pとqは同じでもよく、相違してもよい。
本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、p、q、m、nの数によりその数平均分子量は変動するが、好ましくは500〜3000、より好ましくは1000〜2000である。
本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、分子の両末端部にアミド結合を有することから、それから調製されたポリイミド樹脂にもアミド結合が引き継がれることになる。このため配線板の銅など導体部に対する、本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物由来のポリイミド樹脂の接着性が向上する。また、アミド基は、エポキシ基と付加反応もしくは挿入反応することが知られている(日立化成テクニカルレポートNo.39(2002−7))、29頁)ことから、樹脂組成物やドライフィルムに普通に用いられているエポキシ樹脂と、本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物由来のポリイミド樹脂とを併用すれば、アミド基が架橋基として機能することになる。よって、ポリイミド樹脂を単離した後に架橋基を導入する操作が不要となる。
本発明の式(1)の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、以下の反応スキームAに従って製造することができる。
<反応スキームA>
Figure 2009025151
式(1)〜(4)中、R、R、p、q、m及びnは、式(1)において既に説明した通りであり、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子である。
本発明の式(1)のアミド基含有シロキサンアミン化合物の製造方法においては、まず、式(2)のシロキサンジアミン化合物と、式(3)および式(3′)のニトロベンゾイルハライドとを塩基および溶媒の存在下、求核置換反応させて式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物を形成する。
式(2)で表されるシロキサンジアミン化合物としては、シロキサン側鎖にメチル基のみを含有する化合物として、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8008、KF−8012(以上、信越化学工業株式会社)、BY16−871、BY−16−853C、BY−16−853U(以上、東レ・ダウコーニング株式会社)、サイラエースFM−3311(チッソ株式会社)を、また、シロキサン側鎖にメチル基およびフェニル基を含有する化合物として、X−22−9409、X−22−1660B−3(以上、信越化学工業株式会社)等を例示することができる。
式(3)及び式(3′)で表されるニトロベンゾイルハライド化合物としては、2−ニトロベンゾイルクロリド、3−ニトロベンゾイルクロリド、4−ニトロベンゾイルクロリド、2−ニトロベンゾイルブロミド、3−ニトロベンゾイルブロミド、4−ニトロベンゾイルブロミド、2−ニトロベンゾイルヨージド、3−ニトロベンゾイルヨージド、4−ニトロベンゾイルヨージド、2−ニトロベンゾイルフロリド、3−ニトロベンゾイルフロリド、4−ニトロベンゾイルフロリド等のモノニトロベンゾイルハライド; 2,3−ジニトロベンゾイルクロリド、2,4−ジニトロベンゾイルクロリド、2,5−ジニトロベンゾイルクロリド、2,6−ジニトロベンゾイルクロリド、3,4−ジニトロベンゾイルクロリド、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド、4,5−ジニトロベンゾイルクロリド及びこれらに対応するブロミド、フロリド、ヨージド等のジニトロベンゾイルハライド; 2,3,4−トリニトロベンゾイルクロリド、2,3,5−トリニトロベンゾイルクロリド、2,3,6−トリニトロベンゾイルクロリド、2,4,5−トリニトロベンゾイルクロリド、2,4,6−トリニトロベンゾイルクロリド、3,4,5−トリニトロベンゾイルクロリド、3,4,6−トリニトロベンゾイルクロリド及びこれらに対応するブロミド、フロリド、ヨージド等のトリニトロベンゾイルハライドを例示することができる。
ジアミンとニトロベンゾイルハライドのモル比は、([式(2)のシロキサンジアミン化合物]/[式(3)のニトロベンゾイルハライド化合物]+[式(3′)のニトロベンゾイルハライド化合物])で表すことができる。ジアミンとニトロベンゾイルハライドのモル比は、(1.0/2.0)〜(1.0/10.0)であり、好ましくは(1.0/2.2)〜(1.0/7.0)であり、より好ましくは、(1.0/2.4)〜(1.0/6.0)である。
本工程で使用できる塩基としては、フェニルナトリウム等のアルカリ金属有機化合物; ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウム等のアルカリ金属アルコラート; 酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム等のアルカリ金属カルボン酸塩; 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の無機塩基; ピリジン、(4−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、ピコリン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)等の、いわゆる三級アミンに代表される有機塩基を例示することができる。中でも三級アミンに代表される有機塩基が好ましく、ピリジン、(4−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミンがより好ましく、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミンがさらに好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
ジアミンと塩基のモル比は、([式(2)のシロキサンジアミン化合物]/[塩基])で表すことができる。ジアミンと塩基のモル比は、(1.0/2.0)〜(1.0/10.0)であり、好ましくは(1.0/2.2)〜(1.0/7.0)であり、より好ましくは、(1.0/2.4)〜(1.0/6.0)である。
本工程で使用できる溶媒としては、反応を阻害せず安定なものであれば良く、例えば、フェニルエ−テル、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類; トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類; デカリンその他脂環式炭化水素類; N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類; ニトロベンゼン、p−ニトロトルエン等の芳香族系ニトロ化合物; クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族系ハロゲン化合物等を例示でき、好ましくはトルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類であり、より好ましくはトルエンを挙げることができる。溶媒は単独で、又は任意の割合の混合溶媒として用いることができる。
本工程における反応温度は、通常、−20〜180℃、好ましくは10〜150℃、より好ましくは30〜130℃の範囲を例示することができ、反応時間は、使用した原料/反応規模/モル比/反応温度により一概には言えないが、通常0.1〜24時間、好ましくは0.5〜10時間である。
なお、式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物の製造については、Organic Chemistry, 第5版, 283頁(Ed.Stanley H. Pine)を参照することもできる。
次に、式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元する。これにより式(1)の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物が得られる。ニトロ基をアミノ基に変換して式(1)の化合物が得られる限り還元方法に制限はなく、例えば酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒中、パラジウムカーボン触媒、ラネーニッケル触媒等に代表される貴金属触媒の存在下で式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物を過剰の水素と接触させる方法(接触水素添加法、Organic Chemistry, 第5版, 642頁(Ed.Stanley H. Pine))や、溶媒量の酢酸等の過剰の水素源及び鉄を用いて反応を行う、いわゆる鉄粉還元によりニトロ基をアミノ基に還元する方法等を例示できる。
得られた新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)などの酸二無水物と反応させポリイミドにすることにより、エポキシ樹脂に対する架橋剤として機能するアミド基を予め備えたポリイミド樹脂とすることができる。この場合、3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン(BSDA)等の他のジアミンと共にポリイミドにすることもできる。得られたポリイミド樹脂から形成された樹脂組成物やドライフィルムは、比較的低い弾性率と良好なメッキ耐性とを示す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
冷却機、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2リットルの反応器に、以下の反応スキームBに記載されているように、トルエン500g、シロキサンジアミン(2a)(X−22−9409:信越化学工業株式会社)200g(0.148mol)、及びトリエチルアミン30g(0.297mol)を仕込んだ。ついで、4−ニトロベンゾイルクロリド54.7g(0.295mol)をトルエン300gに溶解させた溶液を滴下ロートに仕込んだ。反応器内を撹拌しながら50℃まで昇温した後、滴下ロート内の溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、昇温し、加熱還流下で撹拌を6時間行った。反応終了後、30℃に冷却し、800gの水を加えて強撹拌後、分液ロートに移液し、静置分液した。5%水酸化ナトリウム水溶液300gでの洗浄を3回行い、飽和塩化ナトリウム水溶液300gでの洗浄を2回行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエン溶媒を加熱減圧溜去し濃縮後、60℃で1日減圧乾燥した。得られたα−(p−ニトロベンゾイルイミノプロピルジメチルシロキシ)−ω−(p−ニトロベンゾイルイミノプロピルジメチルシリル)オリゴ(ジメチルシロキサン−co−ジフェニルシロキサン)(以下、ジニトロ体(4a))を、収量235g(収率96%)得た。ジニトロ体(4a)は淡黄色のオイル状であった。
得られたジニトロ体(4a)112g(0.068mol)を、撹拌子、水素導入管、水素球を備えた1リットルの反応器に、酢酸エチル180g、エタノール320g、及び2%パラジウム−炭素20g(含水率50%)を共に投入した。反応器内を水素ガス雰囲気下に置換した後、水素球圧力下に室温で撹拌を2日続けた。反応混合液から触媒をろ過除去し、反応液を減圧加熱下に濃縮した後、減圧下で60℃で乾燥を2日行い、淡黄色のオイルとしてα−(p−アミノベンゾイルイミノプロピルジメチルシロキシ)−ω−(p−アミノベンゾイルイミノプロピルジメチルシリル)オリゴ(ジメチルシロキサン−co−ジフェニルシロキサン)(ジアミン体(1a):本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物)を、収量は102g(収率95%)で得た。
得られた新規なジアミン体(1a)のアミン価は69.96KOHmg/gであり、アミノ基当量は802g/molであった。なお、アミン価は、電位差自動滴定装置(AT−550、京都電子工業製)を用いて測定した。アミノ基当量は56.106/(アミン価)×1000により算出した。
<反応スキームB>
Figure 2009025151
また、得られた新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物であるジアミン体(1a)について、赤外吸収スペクトルとH−NMRスペクトルを測定した結果、目的物を確認できた。なお、赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR420、日本分光株式会社)を用いて、透過法にて測定した。また、H−NMRスペクトルは、NMR分光光度計(MERCURY VX−300、バリアン・テクノロジーズジャパン・リミテッド)を用いて、重クロロホルム中で測定した。これらの結果を以下に示す。
IRスペクトル: 3450cm−1(νN−H)、3370cm−1(νN−H)、3340cm−1(νN−H)、3222cm−1(νN−H)、1623cm−1(νC=O)、1260cm−1(νCH3)、1000〜1100cm−1(νsi−o
H−NMR(CDCl,δ): −0.2〜0.2(m、メチル)、0.4〜0.6(m、4H、メチレン)、1.4〜1.8(m、4H、メチレン)、3.2〜3.5(m、4H、メチレン)、3.9(bs、4H、アミノ基水素)、5.8〜6.3(m、2H、アミド基水素)、6.4(m、4H、アミノ基隣接芳香環水素)、7.1〜7.7(m、芳香環水素)
実施例2
冷却機、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた1リットルの反応器に、以下の反応スキームCに記載されているように、トルエン250g、ジメチルシロキサンジアミン(2b)100g(0.219mol)、トリエチルアミン23g(0.228mol)を仕込んだ。次いで、4−ニトロベンゾイルクロリド42g(0.226mol)をトルエン150gに溶解させた溶液を用い、以下、実施例1と同様の操作を行うことにより、α−(p−ニトロベンゾイルイミノプロピルジメチルシロキシ)−ω−(p−ニトロベンゾイルイミノプロピルジメチルシリル)オリゴジメチルシロキサン(以下、ジニトロ体(4b))を淡黄色のオイル状として128g(収率97%)得た。
撹拌子、水素導入管、水素球を備えた1リットルの反応器に、上述の操作で合成したジニトロ体(4b)128g(0.106mol)を加え、酢酸エチル180g、エタノール320g、2%パラジウム−炭素20g(含水率50%)を仕込み、以下実施例1と同様の操作により水素添加還元を行うことで、α−(p−アミノベンゾイルイミノプロピルジメチルシロキシ)−ω−(p−アミノベンゾイルイミノプロピルジメチルシリル)オリゴジメチルシロキサン(ジアミン体(1b):本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物)を淡黄色のオイルとして118g(収率97%)得た。
得られたジアミン体(1b)のアミン価は96.6KOHmg/gで、アミノ基当量は581g/molであった。
<反応スキームC>
Figure 2009025151
参考例1(ポリイミドの合成)
窒素導入管、撹拌機、及びディーン・スターク・トラップを備えた20リットルの反応容器に、シロキサンジアミン化合物(X−22−9409、信越化学工業株式会社)を4460.6g(3.30mol)、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA、新日本理化株式会社、純度99.70%)を1912.7g(5.34mol)、γ−ブチロラクトン287gと、実施例1で得た新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物89.0g(54.3mmol、純度97.10%)との混合液、及びトリグライム2870gを加え、撹拌した。さらに、トルエン1100gを加えた後185℃で2時間加熱還流させ、続いて減圧脱水を行い、酸無水物末端オリゴイミド溶液を調製した。
得られた酸無水物末端オリゴイミド溶液を80℃に冷却し、トリグライム3431gとγ−ブチロラクトン413gと3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン(BSDA、小西化学工業株式会社、純度99.70%)537.80g(1.92mo1)との分散液を加え、80℃で2時間撹拌した。そこにトリグライム524gを加え、185℃で2時間加熱還流させた。室温まで冷却の後、トラップに溜まったトルエン及び水を留去した。以上の操作により、アミド基を有する新規なポリイミド化合物を合成した。
得られたポリイミド樹脂100質量部に対して、感光剤として10質量部のジアゾナフトキノン(4NT−300、東洋合成工業株式会社)と、架橋剤として2質量部のエポキシ樹脂(JER807、ジャパンエポキシレジン株式会社)と、オキサジン化合物として5質量部の6,6−(1−メチリデン)ビス[3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン](BF−BXZ、小西化学工業株式会社)と、0.3質量部の防錆剤(CDA−10、株式会社ADEKA)とを添加し、十分に均一になるまで混合し、ポリイミド樹脂組成物(a)を調製した。得られたポリイミド樹脂組成物(a)について、以下に説明するように、現像性、無電解Ni/Auメッキ耐性、カール性、難燃性を試験評価した。
(現像性)
ポリイミド樹脂組成物(a)を、乾燥厚が10μmとなるように、予め0.3μm相当の化学研磨処理を施した銅箔の片面に塗布し、80℃で10分間乾燥し、銅箔の片面にポリイミド樹脂層を形成し、試験片Aを作成した。得られた試験片Aのポリイミド樹脂層に対し、所定のポジパターンの露光マスクを介し、超高圧水銀ランプ(g,h,i三線混合)を用いて2500mJ/cmの積算光量で光照射した。その後、試験片Aを40℃の3%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、続いて40℃の温水に2分間浸漬することによりアルカリ現像を行った。さらに、10%硫酸水溶液に浸漬して中和した後、蒸留水で十分に洗浄し乾燥させ一連の現像プロセスを完結させた。3%水酸化ナトリウム水溶液の浸漬時間が60秒以下であれば、実用的なアルカリ現像性と評価できるところ、現像時間は60秒以下であり、実用的なアルカリ現像性を実現できた。
(無電解Ni/Auメッキ耐性)
現像性試験に使用した試験片Aを、窒素雰囲気下200℃で1時間加熱しポリイミド樹脂層の架橋を完結させた(ポストベーク)。次に、無電解ニッケルメッキ処理(使用メッキ液:NPR−4)を行い、連続して無電解金メッキ処理(使用メッキ液:TKK−51)を行った。無電解Ni/Auメッキ後の試験片Aの導体開口部周辺のポリイミド樹脂層の変色が、その際から50μm未満であれば実用的な無電解Ni/Auメッキ耐性を有すると評価できるところ、変色は50μm未満であり、実用的な無電解Ni/Auメッキ耐性を実現できた。この理由は、参考例1で得た、アミド基を有する新規なポリイミド化合物を使用したため、アミド基の存在故にポリイミド樹脂層と銅との密着力が向上したためである。
(カール性)
平坦な25μm厚の原反用ポリイミドフィルム(Upilex25S)に、ポリイミド樹脂組成物(a)を、乾燥厚が10μmとなるように片面に塗布し、80℃で10分乾燥した。続いて、窒素雰囲気下200℃で1時間加熱しポリイミド樹脂層の架橋を完結させ(ポストベーク)、試験片Bを得た。得られた試験片Bを10cm角にカットし、カールの内側が天井に向くように平坦な定盤に載置し、四隅の浮きの高さを測定し、それらの平均値を算出した。その平均値が10mm未満であれば、実用的なカール性と評価できるところ10mm未満であり、実用的なカール性を実現できた。この理由は、参考例1で得た、アミド基を有する新規なポリイミド化合物の弾性率が十分に低いためである。
(難燃性)
平坦な25μm厚の原反用ポリイミドフィルム(Upilex25S)に、ポリイミド樹脂組成物(a)を、それぞれの乾燥厚が10μmとなるように両面塗布し、80℃で10分乾燥した。続いて、窒素雰囲気下200℃で1時間加熱しポリイミド樹脂層の架橋を完結させ(ポストベーク)、試験片Cを得た。得られた試験片CをUL−94−VTM規格に従って試験したところ、UL−94−VTM−0の規格を満足しており、良好な難燃性を実現できた。この理由は、参考例1で得た、アミド基を有する新規なポリイミド化合物に難燃効果の高いシロキサン骨格が導入されているためである。
参考例2
実施例1で得た新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物に変えて、シロキサンジアミン化合物(X−22−9409、信越化学工業株式会社)を73.3g(54.3mmo1)とする以外は、参考例1と同様にポリイミドの合成を行い、現像性、無電解Ni/Auメッキ耐性、カール性、難燃性を試験評価した。その結果、実施例1で得た新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物を使用していないために、無電解Ni/Auメッキ耐性については、変色が50μm以上となってしまい、実用的な無電解Ni/Auメッキ耐性を実現できなかった。
本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、それに由来するポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、特にポリイミド樹脂の弾性率を低下させ、カールし難くすることができる。また、分子内にアミド結合を有する、金属配線層やポリイミド等からなる配線板に対するポリイミド樹脂の接着性を向上させることができる。また、アミド基は、エポキシ基と付加反応もしくは挿入反応するから、架橋点として機能する。従って、ポリイミド樹脂を単離した後に架橋基を導入する操作が不要になる。よって、本発明の新規なアミド基含有シロキサンアミン化合物は、電子部品用の樹脂組成物やドライフィルムのためのポリイミド樹脂のジアミン成分として有用である。

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2009025151

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキレン基であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜3の整数であり、mは1〜30の整数であり、nは0〜20の整数であり、pとqは同時に0とならない。)
    で表されるアミド基含有シロキサンアミン化合物。
  2. 及びRが、いずれもトリメチレンである請求項1記載のアミド基含有シロキサンアミン化合物。
  3. mが1〜20であり、nが1〜20である請求項1又は2記載のアミド基含有シロキサンアミン化合物。
  4. p及びqが1であり、分子の両末端のアミノ基がいずれもパラ位に結合している請求項1〜3のいずれかに記載のアミド基含有シロキサンアミン化合物。
  5. 式(1)のアミド基含有シロキサンアミン化合物の製造方法において、式(2)のシロキサンジアミン化合物に、式(3)および式(3′)のニトロベンゾイルハライドを反応させて式(4)のアミド基含有シロキサンニトロ化合物を形成し、ニトロ基を還元して式(1)のアミド基含有シロキサンアミン化合物を得る製造方法。
    Figure 2009025151

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキレン基であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜3の整数であり、mは1〜30の整数であり、nは0〜20の整数であり、pとqは同時に0とならない。)
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