JPWO2009017043A1 - ポリアミド組成物 - Google Patents

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Abstract

融点が270〜340℃であるポリアミド(A)100質量部、難燃剤(B)1〜100質量部、および滴下防止剤(C)1〜10質量部を含有してなるポリアミド組成物において、前記滴下防止剤(C)として、フッ素樹脂(C1)と、アイオノマーおよびハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(C2)とを、質量比(フッ素樹脂(C1)/重合体(C2)=)1/4〜4/1で用いる。

Description

本発明は、ポリアミド組成物に関する。より詳細には、本発明は、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)方式に対応可能な薄肉部を有する電子部品を成形するための材料として好適な難燃性、耐熱性、成形性(流動性)および力学特性に優れたポリアミド組成物に関する。
表面実装技術方式では、ペースト状のハンダをあらかじめ塗布したプリント基板を用意し、これにチップマウンターという専用の装置でチップなどの表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)を装着する。次に高温炉内で250℃程度に加熱してハンダを溶融させ(ハンダリフロー工程)、表面実装部品をプリント基板上に接着させる。従来は、リード線やチップの足などをスルーホール(部品穴)を通して基板を貫通させた上で裏面にハンダ付けする「ピン挿入方式」(Through Hole Technology)が採用されていた。この表面実装技術方式を用いることで、ピン挿入方式で必要だったスルーホールが必要なくなり、部品の小型化、実装密度の増大、基板の小型化などが可能となった。さらに、多層基板を用いることで配線の自由度が高まった。
表面実装技術の開発によって、小型薄肉でかつ高機能な電子機器の開発が活発化している。中でも携帯電話やノート型パソコンなどは薄肉化が進んでいる代表例である。
このような電子機器の薄肉化の要望に伴って、内部に搭載される電子部品等の軽薄短小化がさらに強く求められるようになっている。
電子部品は、樹脂材料を射出成形法などによって成形することによって得られる。電子部品が薄肉化してくると、樹脂材料の流動性不足に起因して、樹脂材料が未充填となる問題が生じやすくなる。このため樹脂材料には高い流動性が求められる。
また、一般に電気・電子部品分野では、UL−94規格に基づくV−0クラスの高度な難燃性が樹脂材料に要求される。UL−94規格の垂直燃焼試験では、垂直に固定した薄肉試験片に接炎し、燃焼の継続性や、燃焼樹脂の滴下によるコットンへの接炎が判断される。一般に、樹脂材料の流動性を高くすると垂直燃焼時に溶融張力が不足し、燃焼樹脂の滴下によりコットンが着火しV−2判定になる傾向がある。このように、流動性と難燃性とは相反する特性であり、これら特性を両立させる必要がある。
ポリアミドは機械的強度に優れるため、本用途で使用される樹脂材料の代表例である。ポリアミドの中でも、SMT方式におけるハンダリフロー工程に対応可能な耐熱性を有することから、ナイロン46や半芳香族ポリアミドが採用されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。そして、このようなポリアミドを使用したポリアミド組成物の流動性を改善する手段として、使用される樹脂や配合物の分子量を低下させる方法や、減粘剤を配合する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、流動性を改善したポリアミド組成物は、UL−94規格に基づく難燃性試験において、試験片が大きく変形したり、溶融物が滴下(ドリップ)する問題が生じやすかった。難燃性試験において試験片の変形量が大きなポリアミド組成物や、滴下の発生が生じるポリアミド組成物は、目的とする成形体の大きさや形状によっては、所望の難燃性を発現させることができない場合がある。
溶融物の滴下を防止する手段としては、滴下防止剤を配合する方法が知られている。
例えば、特許文献4には、ポリカーボネート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、難燃剤、鱗片状無機粉末、およびフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる難燃性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献5には、ポリアミド等の熱可塑性重合体、特定のリン化合物、および水酸化マグネシウムを含有してなる難燃性重合体組成物が開示されている。この難燃性重合体組成物には、フッ素樹脂を、燃焼時の液滴の滴下(ドリップ)抑制効果を狙って配合することができることが開示されている。
しかしながら、流動性を改良したポリアミド組成物にフィブリル形成能を有するPTFE等のフッ素樹脂を配合しただけでは、特にUL−94規格に基づく難燃性試験の試験片として0.75mm厚程度の薄肉部を有する電子部品を想定した薄い試験片を使用した場合に滴下を十分に防止することができない場合があった。また薄肉試験片での滴下防止効果の改善を意図してフィブリル形成能を有するPTFE等のフッ素樹脂の添加量を増加させた場合には、当該フィブリル形成能を有するPTFE等のフッ素樹脂に由来する繊維状の異物が成形体表面に発生し外観不良を引き起こしたり、ウェルド強さ等の機械的強度が低下する場合があった。
フィブリル形成能を有するPTFE等のフッ素樹脂以外の滴下防止剤も知られている。
例えば、特許文献6には融点が280℃以上330℃未満であり、末端アミノ基濃度が10〜150mmol/kgである芳香族ポリアミド樹脂に、燃焼時のドリップを防止する目的で、変性ポリオレフィン類を添加することができることが開示されている。しかしながら、変性ポリオレフィン類についても上記のフィブリル形成能を有するPTFE等のフッ素樹脂と同様に、単に変性ポリオレフィン類を配合しただけでは、特にUL−94規格に基づく難燃性試験の試験片として0.75mm厚程度の薄いものを使用した場合に滴下を十分に防止することができない場合があった。
特開2003−82228号公報 米国特許出願公開第2002/0055589号明細書 米国特許出願公開第2003/0229162号明細書 特開平11−172119号公報 特開2005−170963号公報 特開2002−114906号公報 米国特許第5773556号明細書 米国特許第3370030号明細書 米国特許第3032589号明細書
本発明の目的は、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)方式に対応可能な薄肉部を有する電子部品を成形するための材料として好適な難燃性、耐熱性、成形性(流動性)および力学特性に優れたポリアミド組成物、およびそれからなる成形体を提供することである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討をした結果、高融点のポリアミドに、難燃剤と、特定割合のフッ素樹脂(C1)並びにアイオノマーおよび変性芳香族ビニル系重合体から選ばれる重合体(C2)からなる滴下防止剤とを、特定量配合することによって、難燃性、耐熱性、成形性(流動性)および力学特性に優れたポリアミド組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を加えて完成したものである。
すなわち、本発明によれば、融点が270〜340℃であるポリアミド(A) 100質量部、難燃剤(B) 1〜100質量部、および滴下防止剤(C) 1〜10質量部を含有してなるポリアミド組成物において、前記滴下防止剤(C)として、フッ素樹脂(C1)と、アイオノマーおよびハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(C2)とを、質量比(フッ素樹脂(C1)/重合体(C2)=)1/4〜4/1で用いる、ポリアミド組成物、およびそれからなる成形体が提供される。
本発明のポリアミド組成物は、高い流動性とV−0クラスの難燃性を有し、さらにハンダ耐熱性および力学特性に優れている。特に本発明のポリアミド組成物はミルドファイバーやカットファイバー等の、ポリアミド組成物の流動性を高くすることができる充填材を用いた場合でも、流動性向上による難燃性の低下、難燃性試験における変形量の増加やドリップの発生などの不具合を抑制することができる。
本発明のポリアミド組成物を用いることによって、SMT方式に対応した、コネクター(自動車用コネクターを含む)、ソケット、コンデンサー座板、スイッチ、カメラモジュールなどの薄肉部を有する電子部品等を、未充填等の欠落無く成形することができる。本発明のポリアミド組成物を用いて得られた成形体は、SMTにおけるリフロー工程でも変形せず、溶融接合部の強度が高く、燃えにくいので、電子機器の小型薄肉化および高機能化に大きく貢献することができる。
本発明のポリアミド組成物は、ポリアミド(A)、難燃剤(B)および滴下防止剤(C)を含有してなるものである。
本発明において使用されるポリアミド(A)は、融点が270〜340℃の範囲内にあるものである。ポリアミドの融点が270℃未満であるとハンダ耐熱性が十分で無くなる。一方、融点が340℃を超えると、成形時の温度を340℃超にしなければならなくなるため、ポリアミドや難燃剤の熱安定性が低下し、成形性が著しく低下する。ポリアミド(A)の融点は、285〜330℃の範囲内であることが好ましく、295〜315℃の範囲内であることがより好ましい。
ポリアミド(A)の具体例としては、PA46等の脂肪族ポリアミドや半芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらのうち耐熱性、低吸水性の点で半芳香族ポリアミドが好ましい。
好適な半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位を含有するジカルボン酸単位(a1)と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を含有するジアミン単位(a2)とからなる重合体である。
ジカルボン酸単位(a1)は、得られるポリアミド組成物の耐熱性が過度に低下しないようにするために、芳香族ジカルボン酸単位を40〜100モル%含有することが好ましく、50〜100モル%含有することがより好ましく、60〜100モル%含有することがさらに好ましく、75〜100モル%含有することが特に好ましく、90〜100モル%含有することが最も好ましい。
芳香族ジカルボン酸単位としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、または4,4’−ビフェニルジカルボン酸から誘導される単位などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの芳香族ジカルボン酸単位の中でも、得られるポリアミド組成物の耐熱性が過度に低下しないようにするために、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、または1,4−ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が好ましく、テレフタル酸から誘導される単位がより好ましい。
ジカルボン酸単位(a1)は、芳香族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。かかる他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位や;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ジカルボン酸単位(a1)におけるこれらの他のジカルボン酸単位の含有量は、60モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることがさらに好ましく、25モル%以下であることが特に好ましく、10モル%以下であることが最も好ましい。
半芳香族ポリアミドは、さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸から誘導される単位(a3)を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
ジアミン単位(a2)は、得られるポリアミド組成物の耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性が過度に低下しないようにするために、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有することが好ましく、60〜100モル%含有することがより好ましく、75〜100モル%含有することがさらに好ましく、90〜100モル%含有することが特に好ましい。
炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミンから誘導される単位や;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−へキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジエチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンから誘導される単位などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位の中でも、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、または1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましく、1,9−ノナンジアミンから誘導される単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位がより好ましい。
1,9−ノナンジアミンから誘導される単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位とを併用する場合には、1,9−ノナンジアミンから誘導される単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位のモル比は、99:1〜1:99であることが好ましく、95:5〜60:40であることがより好ましく、90:10〜80:20であることがさらに好ましい。1,9−ノナンジアミンから誘導される単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位を上記の割合で含有するポリアミドを用いると、耐熱性、成形性、低吸水性により一層優れたポリアミド組成物が得られ、表面美麗性に優れた成形体を得ることができる。
ジアミン単位(a2)は、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含有しても良い。かかる他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;シクロへキサンジアミン、メチルシクロへキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ジアミン単位(a2)におけるこれらの他のジアミン単位の含有量は、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いられるポリアミド(A)は、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。末端封止剤により封止されている末端基の割合(末端封止率)は、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。末端封止率が10%以上のポリアミドを用いると、得られるポリアミド組成物は溶融成形性に優れたものとなり、該組成物から得られる成形体の表面美麗性などの物性がより優れたものとなる。
なお、末端封止率は、ポリアミドに存在しているカルボキシル基末端およびアミノ基末端の数と、末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記計算式に従って求めることができる。各末端基の数は、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値に基づいて求めることができる。
末端封止率(%)=[(X−Y)/X]×100
〔式中、Xは分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Yは封止されずに残ったカルボキシル基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。〕
末端封止剤としては、末端アミノ基もしくは末端カルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物を用いることができる。具体的には、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類、モノカルボン酸、モノアミンなどを挙げることができる。反応性および封止末端の安定性などの点から、末端アミノ基に対する末端封止剤としては、モノカルボン酸が好ましく、末端カルボキシル基に対する末端封止剤としては、モノアミンが好ましい。また、取り扱いの容易さなどの観点から末端封止剤としてはモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸は、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、または安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンは、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、またはアニリンが好ましい。
ポリアミド分子鎖末端を封止する方法としては、末端封止剤の存在下に、ジカルボン酸やジアミン等のモノマーを重縮合反応させる方法が挙げられる。この方法で用いる末端封止剤の量は、ポリアミドに求められる重合度;末端封止剤の反応性や沸点;反応装置、反応条件などによって適宜設定することができるが、通常、ポリアミドの原料であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して0.1〜15モル%の範囲内であることが好ましく、0.3〜15モル%の範囲内であることがより好ましい。
本発明で使用するポリアミド(A)は、その末端アミノ基含量が、好ましくは40μ当量/g以上120μ当量/g以下、より好ましくは50μ当量/g以上110μ当量/g以下、特に好ましくは60μ当量/g以上105μ当量/g以下である。末端アミノ基含量が少なすぎる場合には、後述する重合体(C2)との反応点が不足し、滴下防止効果や熱安定性が低下傾向になる。また、後述する難燃剤や充填材がアミノ基と反応しうる極性基を有する場合、これらの成分とポリアミド(A)との反応が阻害され、力学特性が低下傾向になることがある。
一方、末端アミノ基含量が多すぎる場合には、ポリアミドの重合度が低下傾向になり、また、滞留安定性が不十分な傾向になる。
本発明で使用するポリアミド(A)は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法;ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
本発明で使用するポリアミド(A)の具体的な製造法としては、例えば、まず、ジカルボン酸単位となるジカルボン酸と、ジアミン単位となるジアミンと、触媒と、必要に応じて用いられる末端封止剤とを反応器に一括添加してナイロン塩を得、次に、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーを得、さらに該プレポリマーを固相重合させるか、若しくは押出機を用いて該プレポリマーを溶融重合させる方法が挙げられる。ここで、プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gの範囲内であると、後の重合の段階においてカルボキシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少なくなり、さらに分子量分布が小さく、各種物性や成形性に優れたポリアミド(A)を得ることができる。
また、ナイロン塩を調製する際、反応原料に含まれるすべてのカルボキシル基のモル数(V)と、すべてのアミノ基のモル数(Z)が、1.0≦〔(Z−V)/Z〕×100≦6.0の関係となるようにすると、末端アミノ基含量が40μ当量/g以上120μ当量/g以下であるポリアミド(A)を容易に製造することができ好ましい。
なお、重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。
重合の最終段階を押出機により行う場合、重合温度は370℃以下であることが好ましい。かかる温度で重合すると、ポリアミドの分解がほとんどなく、劣化の無いポリアミドが得られる。
ポリアミド(A)の製造に用いられる触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびそれらの塩またはエステルなどが挙げられる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどが挙げられる。
本発明に用いられるポリアミド(A)は、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が好ましくは0.6〜1.1dl/g、より好ましくは0.65〜1.0dl/g、特に好ましくは0.7〜0.95dl/gである。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを使用すると、流動性に優れたポリアミド組成物が得られ、薄肉部を有する成形型への充填性が向上し、軽薄短小の電子部品等が容易に得られるようになる。
本発明のポリアミド組成物に用いられる難燃剤(B)は、特に制限されない。例えば、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤;ホスフィネート、ジホスフィンオキシド、ホスファゼン化合物等のリン系難燃剤;シリコーン系難燃剤;パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩、トリハロベンゼンスルホン酸金属塩、ジフェニルスルホン−ジスルホン酸金属塩、ジフェニルスルホンスルホン酸金属塩等の有機カルボン酸または有機スルホン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
難燃剤(B)の量は、ポリアミド(A)100質量部に対し、1〜100質量部、好ましくは10〜75質量部である。難燃剤(B)の量が少なすぎる場合には、得られるポリアミド組成物の難燃性または流動性が低下する。一方、難燃剤の量が多すぎる場合には、得られるポリアミド組成物の力学物性が低下する。
臭素系難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモビフェニル、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモドデカン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリス(ペンタブロモベンジル)イソシアヌレート、臭素化ポリカーボネート、パーブロモシクロペンタデカン、臭素化架橋芳香族重合体などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。臭素系難燃剤はポリアミドとの相容性を向上させる観点から、エポキシ基および/または酸無水物基を有する臭素系難燃剤が好ましい。
臭素系難燃剤中の臭素原子含有量は15〜87質量%の範囲内にあることが好ましい。また、熱安定性に優れ、分子量が低い難燃剤を好ましく使用することができる。
リン系難燃剤はリン原子を有する難燃剤である。リン系難燃剤として使用されるホスフィネートとしては、例えば、特許文献7に開示されているホスフィン酸またはジホスフィン酸のカルシウム塩またはアルミニウム塩が挙げられる。またリン系難燃剤として使用されるジホスフィンオキシドとしては、例えば、特許文献5、特許文献8または特許文献9に開示されているジホスフィンオキシドが挙げられる。これらのホスフィネートやジホスフィンオキシドは耐熱性に優れるため、融点の高いポリアミドに対して好適に使用することができる。
難燃剤(B)として、ホスフィネートやジホスフィンオキシドを使用する場合には、リン系難燃剤としてポリリン酸メラミン類を併用することが好ましい。ポリリン酸メラミン類を併用することにより、難燃性試験時にポリアミドの炭化を促進し燃焼時間を短縮させることができる。ポリリン酸メラミン類を過剰に使用するとポリアミド組成物を射出成形する際に金型汚染等の不具合を生じる傾向があることから、ポリリン酸メラミン類の量はポリアミド(A)100質量部に対して1質量部未満であることが好ましい。
難燃剤(B)としては、耐熱性に優れ、融点の高いポリアミドに対して有効に使用することができることから、ハロゲン系難燃剤およびリン系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤であることが好ましく、臭素系難燃剤およびリン系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤であることがより好ましく、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、およびホスフィネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド組成物には、難燃助剤(D)を含有させてもよい。難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化錫、錫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硼酸亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの難燃助剤はシランカップラー、チタンカップラーなどで処理されていてもよい。これらのなかでも、錫酸亜鉛、アンチモン酸ナトリウムおよび/または硼酸亜鉛が好ましい。難燃助剤(D)の量は、ポリアミド(A)100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは1〜20質量部である。難燃助剤を配合することにより難燃性がより優れたポリアミド組成物が得られる。
本発明には、滴下防止剤(C)として、フッ素樹脂(C1)と、アイオノマーおよびハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(C2)とが用いられる。
フッ素樹脂(C1)は、燃焼時に滴下防止能を示すものであれば、特に制限されないが、繊維形成能を有するフッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素原子の一部が置換された変性ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。これらのうち、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制の点からポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体が好ましい。
フッ素樹脂の製造方法としては、懸濁重合および乳化重合のいずれの方法を採用してもよいが、繊維形成能と初期粒子径の制御の容易さの点から、乳化重合が好ましい。フッ素樹脂の平均粒径は100〜800μmであることが好ましい。フッ素樹脂(C1)は市販されているものを使用することができ、例えば、「繊維化PTFE」として市販されているものを好ましく使用することができる。
重合体(C2)として使用される変性芳香族ビニル系重合体は、官能基が導入された芳香族ビニル系重合体のうち、ハロゲン原子の含有率が15質量%未満のものである。
該官能基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基などが挙げられる。これらのうち、エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ポリアミド(A)が有する末端アミノ基や末端カルボキシル基と反応しやすく、難燃性に一層優れるポリアミド組成物となることから、エポキシ基および/または酸無水物基がより好ましい。
変性芳香族ビニル系重合体としては、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造されたものと、芳香族ビニル系重合体に変性剤をグラフト反応させることによって製造されたものとが挙げられる。これらのうち、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造されたものが好ましい。なお、グラフト反応に供される変性前の芳香族ビニル系重合体は芳香族ビニルを含んでなるモノマーを重合して得られたものである。
芳香族ビニルを含んでなるモノマーは、芳香族ビニル単独のものであってもよいし、芳香族ビニルと他のモノマーとからなるものであってもよい。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、メトキシスチレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビニルは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの芳香族ビニルの中でもコスト面、および製造が容易であり入手性に優れることからスチレンが好ましい。
芳香族ビニル以外の他のモノマーとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(別名:イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン;メチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの他のモノマーは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基の導入に用いられる変性剤としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、p−グリシジルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、グリシジルアクリレート、またはグリシジルメタクリレートが好ましい。
カルボキシル基の導入に用いられる変性剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、フタル酸などが挙げられる。
酸無水物基の導入に用いられる変性剤としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水シトラコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を挙げることができる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
変性前の芳香族ビニル系重合体が、単一の芳香族ビニルから構成される単独重合体であるか、または、複数種のモノマーから構成されるランダム共重合体である場合、芳香族ビニル系重合体における芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、変性前の芳香族ビニル系重合体の質量に基づいて、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。なお、変性剤が共重合により導入されている場合(すなわち、変性芳香族ビニル系重合体が芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造されたものである場合)には、上記の「変性前の芳香族ビニル系重合体の質量」とは、変性後の芳香族ビニル系重合体の質量から導入された変性剤の質量を差し引いた値(すなわち、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造された変性芳香族ビニル系重合体の質量から共重合された変性剤の質量を差し引いた値)を意味する。
言い換えれば、芳香族ビニル系重合体に変性剤をグラフト反応させることによって製造された変性芳香族ビニル系重合体において、グラフト反応に供される変性前の芳香族ビニル系重合体が、単一の芳香族ビニルから構成される単独重合体であるか、または、複数種のモノマーから構成されるランダム共重合体である場合、グラフト反応に供される変性前の芳香族ビニル系重合体における芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。また、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造された変性芳香族ビニル系重合体において、変性剤から誘導される構造単位を除外した構造の重合体(つまり変性前の芳香族ビニル系重合体)を想定した際に当該重合体が単一の芳香族ビニルから構成される単独重合体となるか、または、複数種のモノマーから構成されるランダム共重合体となる場合、芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、変性後の芳香族ビニル系重合体の質量から導入された変性剤の質量を差し引いた値に基づいて、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、変性前の芳香族ビニル系重合体は、芳香族ビニル系エラストマーであってもよい。芳香族ビニル系エラストマーとしては、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体を好ましく使用することができる。このようなブロック共重合体としては、芳香族ビニル系重合体ブロックをM、共役ジエン系重合体ブロックをNとした場合に、例えば、(M−N)p−M 、 (M−N)q 、 N−(M−N)r (但し、p、q、およびrはそれぞれ1以上の整数を表す。)で表されるものが挙げられ、M−Nで表されるジブロック共重合体またはM−N−Mで表されるトリブロック共重合体であることが好ましく、M−N−Mで表されるトリブロック共重合体がより好ましい。
芳香族ビニル系重合体ブロックを構成する芳香族ビニルとしては、上述した芳香族ビニルを使用することができる。また共役ジエン系重合体ブロックを構成する共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(別名:イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの共役ジエンは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、共役ジエン系重合体ブロックは、水素添加されていなくても、一部が水素添加されていても、全部が水素添加されていてもよいが、水素添加前の共役ジエン系重合体ブロックが有する二重結合の総モル数に基づいて、50モル%以上、さらには60モル%以上、特に80モル%以上水素添加されていることが好ましい。
変性前の芳香族ビニル系重合体が、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体である場合、芳香族ビニル系重合体における芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、変性前の芳香族ビニル系重合体の質量に基づいて、1〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。なお、変性剤が共重合により導入されている場合(すなわち、変性芳香族ビニル系重合体が芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造されたものである場合)には、上記の「変性前の芳香族ビニル系重合体の質量」とは、変性後の芳香族ビニル系重合体の質量から導入された変性剤の質量を差し引いた値(すなわち、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造された変性芳香族ビニル系重合体の質量から共重合された変性剤の質量を差し引いた値)を意味する。
言い換えれば、芳香族ビニル系重合体に変性剤をグラフト反応させることによって製造された変性芳香族ビニル系重合体において、グラフト反応に供される変性前の芳香族ビニル系重合体が、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体である場合、グラフト反応に供される変性前の芳香族ビニル系重合体における芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、1〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。また、芳香族ビニルを含んでなるモノマーと変性剤とを共重合することによって製造された変性芳香族ビニル系重合体において、変性剤から誘導される構造単位を除外した構造の重合体(つまり変性前の芳香族ビニル系重合体)を想定した際に当該重合体が芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体となる場合、芳香族ビニルから誘導される構造単位の含有率は、変性後の芳香族ビニル系重合体の質量から導入された変性剤の質量を差し引いた値に基づいて、1〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。
変性前の芳香族ビニル系重合体の具体例としては、ポリスチレン(PS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。
変性芳香族ビニル系重合体に含まれる官能基の量は特に限定されないが、変性剤の使用量として、変性芳香族ビニル系重合体の質量に基づいて0.1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、1〜25質量%の範囲内であることがより好ましく、5〜20質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
変性芳香族ビニル系重合体の重量平均分子量は、小さすぎるとポリアミド(A)の末端アミノ基との反応性が高くなりすぎ不具合を生じる場合があることから、1,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、50,000以上がさらに好ましく、100,000以上が特に好ましい。重量平均分子量の上限としては特に制限はないが、重量平均分子量が1,000,000以下の変性芳香族ビニル系重合体を使用することができる。
重合体(C2)として使用されるアイオノマーは、オレフィンを主成分とする長鎖間にイオン結合(架橋)を導入することによって得られるものである。好適なアイオノマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらのコポリマーやポリオレフィンコポリマー等のアイオノマーが用いられる。イオン架橋の陰イオン部には、カルボキシル基が通常用いられ、陽イオン部には、Na、K、Mg、Znなどの金属イオンが用いられる。カルボキシル基は、アクリル酸やメタクリル酸を共重合することにより導入することができる。アイオノマーの具体例としては、カルボキシル基を有する官能基が導入されたポリオレフィンを、Naイオンで架橋したものが挙げられる。また、アイオノマーとして、市販されているものを使用することもできる。
滴下防止剤(C)の量(フッ素樹脂(C1)と重合体(C2)との合計量)は、ポリアミド(A)100質量部に対し、1〜10質量部、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは1〜3質量部、さらに好ましくは1〜2質量部である。また、フッ素樹脂(C1)と重合体(C2)とは質量比(フッ素樹脂(C1)/重合体(C2))で、1/4〜4/1、好ましくは1/3〜3/1、より好ましくは1/1〜3/1の範囲で配合する。
フッ素樹脂(C1)の量は、そのハンドリングや繊維形成能を考慮するとポリアミド(A)100質量部に対して2質量部以下にするのが好ましく、1.5質量部以下にするのが特に好ましい。フッ素樹脂を2質量部を超えて配合すると、成形体に繊維状の外観不良が発生しやすくなり、繊維状の異物により電子部品の接点不良を引き起こしやすくなる傾向がある。
重合体(C2)の量は、熱安定性の低下、成形加工時のバリ、流動性などの観点から、ポリアミド(A)100質量部に対して2質量部以下が好ましく、1.5質量部以下が特に好ましい。
これらの滴下防止剤(C)としての、フッ素樹脂(C1)と重合体(C2)との好ましい組み合わせは、繊維形成能を有するポリテトラフルオロエチレンと、エポキシ基および/または酸無水物基が導入されたポリスチレンとの組み合わせである。この組み合わせの滴下防止剤(C)によって、流動性が高いポリアミド組成物で課題となる射出成形時のドルーリングの抑制にも効果を示す。
本発明のポリアミド組成物には、充填材(E)を含有させてもよい。充填材(E)としては、繊維状、粉末状、クロス状などの各種形態を有するものを使用することができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維、金属繊維等の繊維状充填材;マイカ、タルク等の平板状の充填材;チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー等の針状の充填材;シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、アスベスト、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイト、二硫化モリブデン、フェノール樹脂粒子、架橋スチレン系樹脂粒子、架橋アクリル系樹脂粒子などの粉末状充填材などが挙げられる。これら充填材は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら充填材の表面は、ポリアミド(A)中への分散性を高める目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の高分子または低分子の化合物によって表面処理されていることが好ましい。
本発明においては、力学強度が高い成形体が得られるという観点から、繊維状または針状の充填材が好ましいものとして用いられる。
厚さ0.2mm以下の薄肉部を有する成形体に適応するために、使用される繊維状または針状の充填材の平均長さは10〜500μmであることが好ましく、10〜400μmであることがより好ましい。平均長さが10μm未満になると得られる成形体の機械的強度が低下傾向になる。平均長さが500μmを超えると繊維状または針状の充填材が綿状になり配合手法が限定され、生産性が低下傾向になる。断面形状は、丸型、繭型、偏平のいずれでも良い。
繊維状または針状の充填材のなかで、特にガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を配合すると、ポリアミド組成物から得られる成形体の機械的強度が向上するだけでなく、寸法安定性、低吸水性などがより向上する。
充填材(E)として用いられるガラス繊維には、チョップドストランド、ミルドファイバー、カットファイバーなどがある。チョップドストランドは、ガラスフィラメント(単繊維)を集束したストランドを所定の長さ(例えば、3mmから6mm程度)に切断したものである。本発明では繊維径が3〜30μmの範囲のチョップドストランドを使用することができる。繊維長の長いチョップドストランドであっても、成形体を成形する際に成形体の厚さに適合する長さに繊維が切断される。繊維断面形状は、丸型、繭型、偏平のいずれでも良い。
ミルドファイバー(パウダー)は、ガラス繊維を石臼やボールミル等で微粉末にしたものである。カットファイバーはチョップドストランドとパウダーの中間の、アスペクト比(約10〜約50)に揃えてカットしたグラスファイバーである。本発明において、ミルドファイバーやカットファイバーを用いると得られるポリアミド組成物の流動性が高くなるが、難燃性は高く維持される。
成形体の寸法安定性、機械特性、耐熱特性、化学的物理的特性、摺動特性、放熱性などがより向上するという観点から粉末状充填材を配合することができる。使用される粉末状充填材の平均粒径は0.1〜200μmの範囲内であることが好ましく、1〜100μmの範囲内であることがより好ましい。タルクやマイカなどの板状の充填材を添加した場合にはウェルド強さなどの機械的な特性が若干低下傾向になる。
充填材(E)の量は、ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1〜300質量部であることが好ましく、0.1〜150質量部であることがより好ましく、0.5〜100質量部であることが特に好ましい。充填材(E)の量が上記の範囲内にあると、成形性、力学的特性のいずれかに優れるポリアミド組成物が得られる。
本発明のポリアミド組成物には、アミド化合物(F)を含有させてもよい。アミド化合物(F)としては、アミドオリゴマー、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビスアミド、脂肪族ジアミンのビスアミドなどを包含する。これらの中で、モノカルボン酸とジカルボン酸の混合物とジアミンとの反応で得られるアミド化合物が好ましい。アミド化合物(F)はポリアミド組成物の流動性、成形性などの観点から、その融点が80〜260℃のものが好ましい。アミド化合物(F)の分子量は、300〜3000であることが好ましい。アミド化合物(F)の量は、ポリアミド(A)100質量部に対し、好ましくは0.2〜10質量部である。
本発明のポリアミド組成物には、特許文献3に開示されている化学式(I)で表されるエステル化合物(G)を必要に応じて流動性改善を目的に配合することができる。
Figure 2009017043
(式(I)中のR1およびR2はそれぞれ独立に炭素数9以上のアルキル基であり、mおよびnはそれぞれ独立に1〜3の整数である。)
該エステル化合物(G)の量は、ポリアミド(A)100質量部に対し、好ましくは0.2〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明のポリアミド組成物には、ハイドロタルサイト、アルカリ土類金属類などの酸キャッチャー;ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー等の他種ポリマー;着色剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系などの光安定剤;亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸やこれらのエステルなどの熱安定剤;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤;帯電防止剤;結晶核剤;可塑剤;ポリオレフィンワックス、高級脂肪酸エステルのごときワックス類、シリコーンオイルなどの離型剤;滑剤などをさらに配合することもできる。
流動性が改良されたポリアミド組成物において、本発明の効果はより重要となる。本発明のポリアミド組成物の流動性は、シリンダー温度320℃、射出圧力74MPaおよび金型温度140℃の条件下で、厚さ0.5mmおよび幅40mmの平板形状の金型内に溶融樹脂を射出成形したときの流動長(バーフロ流動長)として、65mm以上であることが好ましく、68mm以上であることがより好ましい。
本発明のポリアミド組成物は、上記した各構成成分を、公知の方法に従って混練することにより製造することができる。本発明は、上記ポリアミド(A) 100質量部、上記難燃剤(B) 1〜100質量部、および上記滴下防止剤(C) 1〜10質量部を溶融混練してなるポリアミド組成物の製造方法を包含する。本発明のポリアミド組成物を製造する方法としては、例えば、混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)で各成分を予備混合し、次いで溶融混練機(一軸またはベント式二軸押出機など)で溶融混練し、ペレット化手段(ペレタイザーなど)でペレット化する方法;所望の成分のマスターバッチを調製し、必要により他の成分と混合して溶融混練機で溶融混練してペレット化する方法;各成分を溶融混練機に供給して溶融混練してペレット化する方法;所定の成分を溶融混練機の途中部で添加して混練する方法などが挙げられる。生産性の観点から、少なくともポリアミド(A)、難燃剤(B)、フッ素樹脂(C1)および重合体(C2)については、他の成分とマスターバッチや重合体組成物(封入体等)を予め形成させておくことなく、各成分をそのまま使用する方法が好ましく、ポリアミド(A)、難燃剤(B)、フッ素樹脂(C1)および重合体(C2)を少なくともそれぞれ別々に準備し、これらを一括してドライブレンドした後、さらに溶融混練する方法や、ポリアミド(A)、難燃剤(B)、フッ素樹脂(C1)および重合体(C2)を少なくともそれぞれ別々に準備し、これらを一括して溶融混練する方法がより好ましい。溶融混練機としての押出機は二軸スクリューを備えたものが好ましく、溶融混練温度としては280〜340℃の範囲内が好ましい。本発明のポリアミド組成物はペレット形状にして各種成形体の製造に使用することができる。スクリュー径18mmΦ以下の小型の射出成形機に適用するケースも想定されるので、本発明のポリアミド組成物のペレットは、ペレット径が1mm〜3mmであることが好ましく、ペレット長さが1mm〜3.5mmであることが好ましい。
フッ素樹脂(C1)として、繊維形成能を有するフッ素樹脂を使用する場合には、該フッ素樹脂を20℃以下の温度に冷やし、その冷やされた状態のものを、ポリアミド組成物の製造に用いることが好ましい。フッ素樹脂を冷やすことによって、自己凝集や繊維化が抑制され、分散不良による成形体の外観不良や繊維状の異物発生が抑えられる。
また、ポリアミド(A)は、パウダー、顆粒、ペレットなどの形状で入手または調製することができる。いずれの形状のポリアミド(A)でも本発明のポリアミド組成物を製造することができる。フッ素樹脂(C1)として繊維形成能を有するフッ素樹脂を使用する場合には、その凝集や繊維化を防ぐ観点から、ポリアミド(A)はパウダー形状のものが好ましい。
本発明のポリアミド組成物は、目的とする成形体の種類、用途、形状などに応じて、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形、インサート成形、2色成形などの熱可塑性樹脂に対して通常採用される成形方法を選択でき、それによって各種の成形体とすることができる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法を採用することもできる。特に、成形の容易さ、量産性、コストなどの面で射出成形が好ましい。
また、本発明のポリアミド組成物と他のポリマーとを複合成形することもできる。さらに、本発明のポリアミド組成物を、金属からなる成形体や布帛などと複合化することも可能である。
本発明のポリアミド組成物は、高い流動性とV−0クラスの難燃性を有するので難燃性を必要とする様々な電子部品、自動車部品、家電製品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ用品、雑貨等の幅広い分野で使用することができる。具体例としては、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンショナー、ワッシャー、各種ハウジング、ウエイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が挙げられる。中でも、本発明のポリアミド組成物は、SMT方式に対応した、コネクター、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等に特に有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
ポリアミドの融点:
示差走査熱量分析装置(DSC)を使用して、ポリアミド(試料質量10mg)をDSCの炉の中で、窒素雰囲気下、350℃で2分間加熱して完全に融解させた後、100℃/分の速度で50℃まで冷却し、再び10℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を測定し、これを融点(℃)とした。
末端アミノ基含量:
ポリアミド1gをフェノール35mlに溶解し、メタノール2mlを混合し試料溶液とした。チモールブルーを指示薬とし、0.01規定のHCl水溶液を使用した滴定を実施し、末端アミノ基含量(μ当量/g)を測定した。
極限粘度[η]:
濃硫酸中、30℃にて、0.05g/dl、0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.4g/dlの濃度の試料のインヘレント粘度(ηinh)を下記式により求め、これを濃度0に外挿した値を極限粘度[η]とした。下記式中、t0は溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時間(秒)を表し、Cは溶液中の試料濃度(g/dl)を表す。なお、試料溶液が固形物を含有している場合、かかる固形物を孔径0.5μmのフィルターでろ過して得られたろ液を測定に供した。
ηinh=〔ln(t1/t0)〕/C
力学物性:
ポリアミド組成物に含まれるポリアミドの融点よりも約20℃高い温度でポリアミド組成物を射出成形(金型温度:140℃)して引張破断強さ評価用の試験片(JIS1号ダンベル)を作製した。また、JIS1号ダンベル用金型の両端から充填することでウェルド強さ評価用の試験片を作製した。これらをJISK7113に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して、23℃における引張破断強さおよびウェルド強さを測定した。
難燃性:
ポリアミド組成物を厚さ0.75mmの板状に射出成形し、成形体(試験片)を得た。該成形体について、以下に示すUL−94規格の規定に準じて難燃性を評価した。
厚さ0.75mmの試験片の上端をクランプで留めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10秒間当て、炎を離した後の試験片の燃焼時間(1回目)を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を10秒間当て、炎を離した後の試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとする。
Tが50秒以下、Mが10秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下にセットした乾燥したコットンに着火することがなければ「V−0」; Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV−0と同様の条件を満たせば「V−1」; Tが250秒以下、Mが30秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下のコットンに着火した場合には「V−2」となる。
変形度:
本実施例では滴下防止効果をより明確にするため、上記した難燃性の評価試験において変形度を評価した。すなわち、接炎する試験片の下端をゼロとし、2回目接炎後消火した段階での状態を以下の指標で評価した。
試験片の下端が上方に移動するか、または下方に移動し且つその下方への変形量(2回目接炎後に消火した段階の試験片の下端と、接炎前の試験片の下端(ゼロ)との距離)が5mm未満で、溶融物の滴下なしを「◎」; 試験片の下端が下方に移動し且つその下方への変形量が5mm以上で、溶融物の滴下なしを「○」; 溶融物が滴下したがコットンが着火しない場合を「△」; 溶融物が滴下しコットンが着火した場合を「×」とした。
ハンダ耐熱性:
ポリアミド組成物に含まれるポリアミドの融点よりも約20℃高い温度でポリアミド組成物を射出成形して、厚さ0.5mm、幅10mmおよび長さ30mmの板を作製した。この板を40℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に100時間放置した。この試験片を赤外線加熱炉中で150℃で1分間加熱し、次いで100℃/分の速度で昇温し、板に変形や膨れが発生した温度をハンダ耐熱性の指標とした。
バーフロ流動長:
シリンダー温度320℃、射出圧力74MPaおよび金型温度140℃の条件下で、厚さ0.5mmおよび幅40mmの平板形状の金型内に溶融樹脂を射出成形したときの流動長を測定してバーフロ流動長とした。なお、流動長が射出成形された平板の幅または厚さに基づく各位置において一定の値とならない場合には、最大の流動長と最小の流動長の和を2で割った値をバーフロ流動長とした。流動性が高い材料ほど高い値を示す。
外観観察:
ポリアミド組成物に含まれるポリアミドの融点よりも約20℃高い温度でポリアミド組成物を射出成形して、厚さ0.5mm、幅10mmおよび長さ30mmの板を作製した。該板の表面を観察し、目視で見える範囲で繊維化PTFEの凝集物が確認されない場合は「○」、凝集物が確認される場合は「×」とした。凝集物はゲート部に発生する糸状の異物を含む。
実施例および比較例では、下記のものを使用した。
〔ポリアミド〕
PA9T−1:
テレフタル酸4994.4g(30.1モル)、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=85/15(モル比)〕4977.1g(31.4モル)、安息香酸149.8g(1.2モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物10gおよび蒸留水2.5リットルを内容積20リットルのオートクレーブに入れ窒素置換した。この混合物を100℃で30分間攪拌し、2時間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブ内部の圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま2時間反応を続けた。その後、230℃に昇温し、温度230℃を保ち且つ水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら2時間反応させた。次に、30分間かけて圧力を1MPaまで下げ、さらに1時間反応させて、極限粘度[η]が0.14dl/gのプレポリマーを得た。これを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の粒径になるまで粉砕した。これを、230℃、13Pa(0.1mmHg)にて10時間固相重合し、融点が306℃、極限粘度[η]が0.73dl/g、末端アミノ基含量が100μ当量/g、末端封止率が90%(末端封止剤:安息香酸)である白色のポリアミド(PA9T−1)を得た。
PA9T−2:
テレフタル酸の量を4931.5g(29.7モル)に、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=85/15(モル比)〕の量を4844.1g(30.6モル)に、安息香酸の量を224.2g(1.8モル)に変更した以外は、上記PA9T−1の製造と同様にして、融点が306℃、極限粘度[η]が0.80dl/g、末端アミノ基含量が10μ当量/g、末端封止率が90%である白色のポリアミド(PA9T−2)を得た。
PA9T−3:
テレフタル酸の量を5032.1g(30.3モル)に、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=85/15(モル比)〕の量を4984.3g(31.5モル)に、安息香酸の量を105.0g(0.9モル)に変更した以外は、上記PA9T−1の製造と同様にして、融点が306℃、極限粘度[η]が1.19dl/g、末端アミノ基含量が75μ当量/g、末端封止率が86%である白色のポリアミド(PA9T−3)を得た。
PA6−6T:
上記PA9T−1の製造に用いた、テレフタル酸4994.4g(30.1モル)、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物〔前者/後者=85/15(モル比)〕4977.1g(31.4モル)、および安息香酸149.8g(1.2モル)を、テレフタル酸3134.4g(18.9モル)、アジピン酸2255.9g(15.4モル)、ヘキサメチレンジアミン4295.9g(37.0モル)、および安息香酸303.9g(2.5モル)に替えた以外は、上記PA9T−1の製造と同様にして、融点が310℃、極限粘度[η]が0.82dl/g、末端アミノ基含量が72μ当量/g、末端封止率が89%である白色のポリアミド(PA6−6T)を得た。
〔臭素系難燃剤〕
a: GMA−PBS(CHEMTURA社製、CP44HF;グリシジルメタクリレート変性ポリ臭素化スチレン)
〔難燃助剤〕
b: 錫酸亜鉛(アルキャン社製、FLAMTARD−S;焼成錫酸亜鉛)
〔滴下防止剤〕
c: 繊維化PTFE(三井デュポンフロロケミカル社製、640J;ポリテトラフルオロエチレンの微粉末)
d: Mah−PS(ノバケミカル社製、D332;酸無水物変性ポリスチレン;無水マレイン酸(変性剤)使用量15質量%;重量平均分子量20万)
e: Mah−SEBS(旭化成ケミカルズ(株)社製、M1913;無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体)
f: アイオノマー(三井デュポンポリケミカル社製、1707;オレフィン系アイオノマー(Na系))
〔強化剤〕
g: 汎用ガラス繊維(日東紡績(株)社製、CS−3G−225;断面は丸型、3mmチョップドストランド、繊維径9.5μm)
h: カットファイバー(日東紡績(株)社製、05DE−404;断面は丸型、繊維長100μm、繊維径6.5μm)
〔アミド化合物〕
i: アミド化合物(共栄社化学(株)社製、WH255;エチレンビスアマイド系の減粘剤)
〔エステル化合物〕
j:R1およびR2がヘンエイコシル基であり、mおよびnが1である式(I)に示す化合物。
〔マイカ〕
k: マイカ(山口雲母(株)社製、A−41;平板状の充填材)
<実施例1〜7および比較例1〜12>
下記の表1〜3に示す配合処方に従って汎用ガラス繊維またはカットファイバー以外の成分について予備混合(一括してドライブレンド)し、次いで2軸押出機(プラスチック工学研究所製、「BTN−32;スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度320℃、回転数150rpm」)に前記予備混合物をホッパーより供給し、汎用ガラス繊維またはカットファイバーをサイドフィーダーより供給して、可塑化混練、冷却、切断し、ポリアミド組成物のペレットを得た。
本ペレットを用いて、力学物性、難燃性、変形度、ハンダ耐熱性、バーフロ流動長、外観を評価した。結果を表1〜3に示した。
表1〜3から、良好な流れ性を示すポリアミド(PA9T−1)に滴下防止剤(C)としてフッ素樹脂だけを配合したもの(比較例1、2および6)は、難燃性試験中に試験片が変形し、難燃化効率の低下および滴下によるコットンの着火によりV−2となる。マイカを配合した場合(比較例6)はウェルド強さが低下傾向になることが見られる。またフッ素樹脂を多量に配合した場合(比較例5および7)には、V−0は取得可能であるが変形量が大きかったり、滴下をともなったりするため、極めて不安定なV−0であり、また繊維異物が目立つようになり外観不良になりやすい。流動性の低いポリアミド(PA9T−3)に滴下防止剤(C)としてフッ素樹脂だけを配合したもの(比較例4)は強度と安定した難燃性は得られるが、流動性が低く成形性に難点がある。
滴下防止剤(C)として酸無水物変性ポリスチレンだけを配合したもの(比較例3)は、難燃性試験中に試験片が変形し、難燃化効率の低下および滴下によるコットンの着火によりV−2となる。
また、フッ素樹脂と酸無水物変性ポリスチレンとを併用してもその使用量が少ない場合(比較例8)には、難燃性試験中に試験片が変形し、難燃化効率の低下および滴下によるコットンの着火によりV−2となる。またフッ素樹脂と酸無水物変性ポリスチレンまたはアイオノマーとの割合が本発明の規定範囲から外れる場合(比較例9〜12)には、難燃性がV−2となりやすく、V−0であったとしても変形と滴下をともなうため、極めて不安定なV−0である。
これに対して、実施例1〜7に示すように、フッ素樹脂と、酸無水物変性ポリスチレン、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体またはアイオノマーとを本発明の規定範囲内で併用したポリアミド組成物は、難燃性評価試験後の変形が小さく、安定したV−0が取得可能である。
Figure 2009017043
Figure 2009017043
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本発明のポリアミド組成物は、高い流動性と高度なV−0クラスの難燃性を有するので、表面実装部品に搭載されているコネクター、ソケット、コンデンサー座板、スイッチ、カメラモジュール、自動車用コネクターなど薄肉部を有する電子部品の射出成形を可能にし、好適に使用することができる。近年、軽薄短小化される家電製品や自動車用電装部品などその利用範囲は広く、産業上の利点は非常に大きいものである。

Claims (17)

  1. 融点が270〜340℃であるポリアミド(A) 100質量部、難燃剤(B) 1〜100質量部、および滴下防止剤(C) 1〜10質量部を含有してなるポリアミド組成物において、
    前記滴下防止剤(C)として、フッ素樹脂(C1)と、アイオノマーおよびハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(C2)とを、質量比(フッ素樹脂(C1)/重合体(C2)=)1/4〜4/1で用いる、ポリアミド組成物。
  2. 前記重合体(C2)は、ハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体である請求項1に記載のポリアミド組成物。
  3. 前記ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a1)と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(a2)とからなるものである、請求項1または2に記載のポリアミド組成物。
  4. 芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸から誘導される単位である請求項3に記載のポリアミド組成物。
  5. 炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位が、1,9−ノナンジアミンから誘導される単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位である請求項3または4に記載のポリアミド組成物。
  6. 前記ポリアミド(A)は、末端アミノ基含量が40μ当量/g以上120μ当量/g以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  7. 前記ポリアミド(A)は、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度が0.6〜1.1dl/gである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  8. 前記難燃剤(B)が、臭素系難燃剤およびリン系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  9. 前記難燃剤(B)が、エポキシ基および/または酸無水物基を有する臭素系難燃剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  10. 前記滴下防止剤(C)を、ポリアミド(A)100質量部に対して1〜3質量部含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  11. フッ素樹脂(C1)が繊維形成能を有するポリテトラフルオロエチレンであり、重合体(C2)がエポキシ基および/または酸無水物基が導入されたポリスチレンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  12. ポリアミド(A) 100質量部に対して、難燃助剤(D) 1〜50質量部および/または充填材(E) 0.1〜300質量部をさらに含有してなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  13. 充填材(E)が、チョップドストランド、ミルドファイバー、およびカットファイバーからなる群から選ばれる少なくとも1種のガラス繊維である、請求項12に記載のポリアミド組成物。
  14. ポリアミド(A) 100質量部に対して、アミド化合物(F) 0.2〜10質量部をさらに含有してなる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  15. シリンダー温度320℃、射出圧力74MPaおよび金型温度140℃の条件下で、厚さ0.5mmおよび幅40mmの平板形状の金型内に溶融樹脂を射出成形したときの流動長が65mm以上である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリアミド組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリアミド組成物からなる成形体。
  17. 融点が270〜340℃であるポリアミド(A) 100質量部、難燃剤(B) 1〜100質量部、および滴下防止剤(C) 1〜10質量部を溶融混練してなるポリアミド組成物の製造方法であって、
    前記滴下防止剤(C)として、フッ素樹脂(C1)と、アイオノマーおよびハロゲン原子の含有率が15質量%未満の変性芳香族ビニル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(C2)とを、質量比(フッ素樹脂(C1)/重合体(C2)=)1/4〜4/1で用いる、製造方法。
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