JP2004155946A - 熱可塑性樹脂用改質剤及びこれを用いた熱可塑性樹脂組成物ならびに製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリフルオロエチレンの取扱性や分散性に関する問題の改良するとともに、熱可塑性樹脂に添加した際に難燃性や成形品外観を発現させる熱可塑性樹脂用改質剤、およびこれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃である重合体(A−2)とからなる熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
また、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の添加量が0.001〜20質量部となるように、上記熱可塑性改質剤(A)を添加した熱可塑性樹脂組成物。
更に、上記熱可塑性樹脂組成物を、射出成形、押出成形、押出ブロー成形、射出発泡成形又は押出発泡成形して得られた成形品。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃である重合体(A−2)とからなる熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
また、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の添加量が0.001〜20質量部となるように、上記熱可塑性改質剤(A)を添加した熱可塑性樹脂組成物。
更に、上記熱可塑性樹脂組成物を、射出成形、押出成形、押出ブロー成形、射出発泡成形又は押出発泡成形して得られた成形品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンと重合体とからなる熱可塑性樹脂用改質剤、およびこれを熱可塑性樹脂に添加してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレンは高結晶性で分子間力が低いので、わずかな応力で繊維化する性質を有している。そのため、熱可塑性樹脂に配合した場合に成形加工性、機械的性質などが改良されることが知られている。このような点から、従来よりポリテトラフルオロエチレンは、熱可塑性樹脂の添加剤としても利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ポリテトラフルオロエチレンを難燃化樹脂組成物に用いる場合、樹脂中で繊維化させておくことによって、燃焼時に火炎滴の滴下による延焼抑制に効果の有ることが一般に知られている(例えば、特許文献2参照)。特に近年は、樹脂材料の難燃化の要請が高まっており、例えばコンピューター、プリンター等のOA機器、テレビ、オーディオ機器等の家電製品のハウジング材料では、火災被害低減のために難燃化の要求が強い。さらに機器の軽量化、薄肉化あるいは形状の複雑化に伴い、樹脂材料にはより高い難燃性が要求されて来ている。
【0004】
しかし、ポリテトラフルオロエチレンは熱可塑性樹脂に対して殆ど親和性を有していないため、熱可塑性樹脂中にポリテトラフルオロエチレンを均一に分散させることは困難である。もし、ポリテトラフルオロエチレンの分散が不均一である熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した場合、成形品表面にポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生が認められ、外観上好ましくない製品となる。また、ポリテトラフルオロエチレンの分散不良は難燃性の均一な発現も妨げることになり、耐衝撃性等の機械的性質の低下を招く恐れもある。
【0005】
従来の熱可塑性樹脂とポリテトラフルオロエチレンとの溶融混合方法としては、熱可塑性樹脂の粉体やペレットとポリテトラフルオロエチレンの粉体とを混合機にて混合してから溶融混合する方法(特許文献3参照)、熱可塑性樹脂組成物に用いる助剤とポリテトラフルオロエチレンの粉体とを予備混合した上で、熱可塑性樹脂の粉体やペレットと混合してから溶融混合する方法(特許文献4参照)、ポリテトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるラテックス(水性分散体)を熱可塑性樹脂のペレット表面に特定の厚みで付着させてから、他の熱可塑性樹脂と混合した上で溶融混合する方法(特許文献5参照)、混合機内部にドライアイスを投入してポリテトラフルオロエチレンの軟化点以下に温度制御しながら混合することによって、ポリテトラフルオロエチレンの凝集物の生成を抑制して、熱可塑性樹脂への均一分散を図る方法(特許文献6参照)等がある。
【0006】
しかしながら、特許文献3の方法は、ポリテトラフルオロエチレンの粉体が室温にて容易に繊維化する性質を有するため、貯蔵安定性および混合時の取扱性や作業性の低下という点で問題がある。
【0007】
特許文献4の方法による場合、熱可塑性樹脂組成物に用いる助剤によってポリテトラフルオロエチレンが希釈された状態で取り扱う事になるため、ポリテトラフルオロエチレン単独よりも取扱性や熱可塑性樹脂単体中での分散性は改良される傾向にはある。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン粒子が完全に被覆されていないので、助剤とポリテトラフルオロエチレンとの予備混合物中におけるポリテトラフルオロエチレンの含量を高くすることはできないし、混合時のせん断力等で容易に繊維化する恐れもあるため、ポリテトラフルオロエチレンの取扱性や分散性の根本的な改良にはならない。
【0008】
また、特許文献5の方法では、水性分散体中のポリテトラフルオロエチレン粒子が粉体の粒子径よりも小さい分だけ熱可塑性樹脂中での分散性の向上は可能であるが、粉体と同様に低せん断力で容易に水性分散体中のポリテトラフルオロエチレンが繊維化する事に加え、水性分散体は長期間静置保管しておくとポリテトラフルオロエチレンの沈降を生ずるために一定期間ごとに攪拌を実施する必要がある。また、沈殿によってポリテトラフルオロエチレンの凝集物を生じた場合、これを用いた樹脂組成物の成形品において外観不良を生ずる恐れもある。したがって、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散体に関しても、粉体と同様に取扱性や貯蔵安定性の点で問題がある。また、熱可塑性樹脂の粉体もしくはペレットと混合した後、不要な水分や乳化剤の除去工程が必要となるので、経済的な方法とは言えない。
【0009】
さらに、特許文献6の方法ではポリテトラフルオロエチレンおよび熱可塑性樹脂とを混合機内で混合する際、温度制御のために投入するドライアイスを使用するが、ドライアイスの投入量は混合時の発熱量と制御すべき温度等を考慮して実験的、経験的に容易に求める事ができると記載されている。しかしながら、実験室スケールでドライアイスの投入量を求める事は容易であるが、工業的スケールにて各樹脂毎、品種毎に当該技術を実施することは経済性の点から好ましくなく、ポリテトラフルオロエチレン粉体の取扱性や流動性の改良という観点から見ても、本質的な解決方法ではない。
【0010】
このように、ポリテトラフルオロエチレンを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造において、ポリテトラフルオロエチレン粉体あるいは水性分散体の取扱性と熱可塑性樹脂組成物中における凝集物の低減を両立できるような技術はなかった。
【0011】
ポリテトラフルオロエチレンの取扱性や分散性を改良する方法として、ポリテトラフルオロエチレン粒子の分散液中でビニル系モノマーを重合する方法、もしくはポリテトラフルオロエチレン粒子分散液とビニル系モノマー重合体の分散液とを混合する方法がある(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)。
【0012】
特許文献7および特許文献8はポリテトラフルオロエチレン粒子分散液中でビニル系モノマーを重合することにより、ポリテトラフルオロエチレンの製膜性を改良する技術であり、熱可塑性樹脂中での分散性改良等については言及されていない。
【0013】
特許文献9は、芯部がフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン系樹脂、殻部がテトラフルオロエチレンとその他のフッ化オレフィンとからなる共重合体からなる含フッ素重合体に関する技術であり、燃焼時の滴下防止用添加剤として使用可能であると示唆している。しかしながら、当該技術で得られる含フッ素重合体は水性分散体として取り扱われるものであり、しかもテトラフルオロエチレンを主体した重合体であるからポリテトラフルオロエチレンの水性分散体と同様、長期間の貯蔵において沈降する恐れがある。
【0014】
特許文献10、特許文献11は、テトラフルオロエチレン重合体の分散液の存在下で有機系単量体を重合して得られる粉体が熱可塑性樹脂中における分散性や取扱性に優れるという技術である。しかしながら、テトラフルオロエチレン重合体分散液の存在下で重合を実施する際、テトラフルオロエチレン重合体を有機系重合体によって全体的または部分的に封入するために必要な有機系重合体の被覆層の最適な厚みの範囲が存在する筈であるが、この技術には有機系重合体による被覆層の厚みに関する記述が認められない。したがって、この技術によるとテトラフルオロエチレン重合体の含有量が増加するほど、有機系重合体による被覆層の厚みが減ることになる。その結果、テトラフルオロエチレン重合体を含む重合物同士が凝集を起こしやすくなるので、粉体の取扱性や流動性も低下する恐れがある。また、分散性も低下する恐れがある。
【0015】
特許文献12では有機系重合体粒子分散液とポリテトラフルオロエチレン粒子分散液とを混合した分散液中でビニル系単量体を重合することによって、ポリテトラフルオロエチレンの分散性が良好で、成形品の外観も良好となるポリテトラフルオロエチレン混合粉体を得る技術が記載されている。しかしながら、当該技術のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は、ガラス転移温度(Tg)の低いメタクリル酸ドデシルが混合粉体中の半分を占めている。したがって、当該技術で得られた粉体を高温となる場所、もしくは荷重の掛かるような状態で長期間保存した場合、粉体同士の融着によって取扱性が著しく低下する恐れがある。これを熱可塑性樹脂に添加した場合には分散性も低下して、未分散のポリテトラフルオロエチレン混合粉体に起因する凝集体によって成形品の外観低下につながる恐れもある。
【0016】
特許文献13、特許文献14では有機系重合体粒子分散液とポリテトラフルオロエチレン粒子分散液との混合液からポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を得る技術が記載されている。しかしながら、当該技術には混合粉体の粒度に関する記述が見られない。混合粉体の粒度も熱可塑性樹脂中における分散性に大きく影響する因子であり、混合粉体の粒度が大きいと未分散の混合粉体、もしくはポリテトラフルオロエチレンによって成形品の外観を低下させる恐れがある。
【0017】
【参考文献】
【特許文献1】
特許第2958175号公報
【特許文献2】
特許第3234503号公報
【特許文献3】
特開2002−179903号公報
【特許文献4】
特開平11−172119号公報
【特許文献5】
特開2000−129141号公報
【特許文献6】
特許第3301938号公報
【特許文献7】
特開昭48−52830号公報
【特許文献8】
特開昭62−32102号公報
【特許文献9】
特開平2−158651号公報
【特許文献10】
特開平9−95583号公報
【特許文献11】
特開平11−49912号公報
【特許文献12】
特開2000−297220号公報
【特許文献13】
特公平5−8749号公報
【特許文献14】
特許3162426号公報
【非特許文献1】
高分子学会編「高分子データハンドブック」培風館、昭和61年1月30日初版、690頁−699頁
【非特許文献2】
J.BRANDRUP、E.H.IMMERGUT編「Polymer Handbook 3rd Edition」A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年、■/209頁
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、ポリフルオロエチレンの取扱性や分散性に関する問題の改良するとともに、熱可塑性樹脂に添加した際に難燃性や成形品外観を発現させる熱可塑性樹脂用改質剤、およびこれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃である重合体(A−2)とからなる熱可塑性樹脂用改質剤(A)にある。
また、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の添加量が0.001〜20質量部となるように、上記熱可塑性改質剤(A)を添加した熱可塑性樹脂組成物にある。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の改質剤に用いるポリテトラフルオロエチレン(A−1)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を重合して得られるものである。ポリテトラフルオロエチレンの所望の特性を損わない範囲で、他の単量体が共重合されたものでもよい。この時用いる他の単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル等の含フッ素(メタ)アクリル酸アルキルエステル;等が挙げられる。用いる他の単量体の量は、テトラフルオロエチレンと他の単量体の合計量100質量%中10質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散体の固形分は20〜60%の範囲にあるものが好ましく、分散体中におけるポリテトラフルオロエチレン(A−1)の平均粒子径は、0.05〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
ポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散液は、例えば、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を乳化重合することにより得ることができる。また、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散液の市販品(商品名)として、旭硝子フロロポリマーズ(株)製フルオンAD−1、AD−936、XAD−911、XAD−938;ダイキン工業(株)製ポリフロンD−1、D−2、D2CE、D3E;三井デュポンフロロケミカル(株)製テフロン(登録商標)30J;ダイニオン(株)製ダイニオンTF5032、TF5035、TF5235等が挙げられる。
【0023】
本発明の改質剤に用いる重合体(A−2)は、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃の重合体であり、1種または2種以上のビニル系単量体を乳化重合させて得られたものであることが好ましい。
【0024】
また、重合体(A−2)において用いられるビニル系単量体は、炭素数1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族アルケニル化合物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0025】
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い。これらは、単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、本発明の熱可塑性樹脂用改質剤に用いることも可能であるが、アルキル基の炭素数の増加に伴い、これを用いて得られる重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)は低下する方向にあり、粉体の貯蔵安定性を損なう傾向にある。
【0026】
芳香族アルケニル化合物の具体例としては、スチレンやα−置換スチレン、核置換スチレンおよびその誘導体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレンおよびビニルトルエン等が挙げられる。
【0027】
共重合体(A−2)には、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な他の単量体を30質量%以下の範囲内で含有する共重合体を用いることができる。他の単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;等が挙げられる。
【0028】
本発明における重合体(A−2)として用いられる硬質共重合体の具体例としては、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと芳香族アルケニル化合物との共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、一括もしくは多段重合形式によって得られるものである。
【0029】
本発明の改質剤は、上述のポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40〜98℃である重合体(A−2)とを含有する。両者の割合については、両者の合計100質量%を基準として、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が0.01〜70質量%であることが好ましい。
【0030】
本発明の改質剤に用いられる重合体(A−2)は、ガラス転移温度(Tg)が40〜98℃の範囲内にある。重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)が40℃未満である場合、高温高荷重下において粉体が固まりやすく、貯蔵安定性、粉体の取扱性や流動性の著しい低下を招く。また、98℃を超えた場合は、凝固による水性分散液中からの固形分の回収時に粗粒が多量に発生して、熱可塑性樹脂中において分散不良による成形外観の低下を招く恐れがある。また、噴霧乾燥による水性分散液中からの固形分の回収時に、噴霧乾燥装置の入口温度を高く設定する必要があり、噴霧乾燥時に粒子の破壊を生ずる恐れがある。粒子の破壊を生じた場合、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が露出すると同時に、繊維化したポリテトラフルオロエチレン(A−1)のネットワークに改質剤粒子が取り込まれて、粉体の貯蔵安定性、取扱性や流動性が大きく低下する恐れがある。
【0031】
本発明の改質剤は、例えば、平均粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた分散液中で、乳化重合によって重合体(A−2)を形成したのち、分散液を凝固もしくは噴霧乾燥する方法(以下、第1の製法という)により得られる。
【0032】
また例えば、平均粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた分散液と、乳化重合によって形成した重合体(A−2)粒子を分散させた分散液とを混合したのち、分散液を凝固もしくは噴霧乾燥する方法(以下、第2の製法という)により得られる。
【0033】
第1の製法および第2の製法のいずれの製法においても、本発明の改質剤を含む水性分散液を得る場合、重合装置の所用攪拌動力(PV)は0.05〜1.5Kw/m3の範囲であることが好ましい。所用攪拌動力が0.05Kw/m3未満の場合、混合不良によって比重の高いポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の沈降を招く恐れがある。また、所用攪拌動力が1.5Kw/m3を越えると、攪拌時のせん断によってカレットの大量発生を招く恐れがある。
【0034】
本発明の改質剤を、分散液から凝固により回収する場合、(Tg+10〜Tg+30)℃の温度範囲で固形分の析出を行う事が好ましい。(Tg+10)℃未満の温度で固形分の析出を行った場合、凝析粒子の成長が進まないので微粉が増える傾向にあり、粉体の取扱性や流動性が劣る恐れがある。(Tg+30)℃を超える温度では粗粒が増える傾向にあるので、熱可塑性樹脂中での分散不良による成形外観の低下をもたらす恐れがある。
【0035】
本発明の改質剤を、分散液の噴霧乾燥により回収する場合、噴霧乾燥装置の入口温度は(Tg+50〜Tg+100)℃の温度範囲に設定して噴霧乾燥を行う事が好ましい。入口温度が(Tg+50)℃未満となる条件で噴霧乾燥を行った場合、乾燥不充分となって粉体の水分含有率が下がらない恐れがある。また、(Tg+100)℃を超える温度では噴霧乾燥時に粒子の破壊を生ずる恐れがある。粒子の破壊を生じた場合、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が露出すると同時に、繊維化したポリテトラフルオロエチレン(A−1)のネットワークに改質剤粒子が取り込まれて、粉体の貯蔵安定性、取扱性や流動性が大きく低下する恐れがある。
【0036】
第1の製法および第2の製法において、分散液の凝固を行う場合、分散液を、例えば塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入して塩析させることに改質剤を回収することができる。また、噴霧乾燥により改質剤を回収する場合、その水性分散液を噴霧乾燥装置中で噴霧することにより行うことができる。
【0037】
本発明で用いられる重合体(A−2)粒子の分散液は、1種または2種以上のビニル系単量体を乳化重合、あるいはミニエマルション重合等を行うことで得られる。これらの重合に用いることのできる乳化剤は特に限定されず、従来より知られる各種の乳化剤を使用できる。例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。これらの乳化剤は単独で、あるいは併用して用いることができる。
【0038】
使用する乳化剤の種類によって重合系のpHがアルカリ側になるときは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの加水分解を防止するために、適当なpH調整剤を使用できる。pH調節剤としては、例えば、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム、ホウ酸−塩化カリウム−炭酸カリウム、クエン酸−クエン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム−ホウ酸、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸等が挙げられる。
【0039】
重合体(A−2)の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、水溶性開始剤または油溶性開始剤の単独系、もしくはレドックス系のものが挙げられる。水溶性開始剤の具体例としては、過硫酸塩等の無機開始剤が挙げられる。油溶性開始剤の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物;アゾ化合物等が挙げられる。レドックス系開始剤の具体例としては、上述の無機開始剤を亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等と組み合わせたもの、上述の有機過酸化物やアゾ化合物をトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等と組み合わせたもの等が挙げられる。ただし、これら具体例に限定されるものではない。
【0040】
凝固もしくは噴霧乾燥によって得られた熱可塑性樹脂用改質剤(A)における粒度は、#14メッシュにて篩別した後の粉体において1000μm以上の粒子径の粉体が15質量%以下であることが好ましい。1000μm以上の粒子径の粉体が15質量%を超えて存在すると、粉体の取扱性や流動性は良好となるが、熱可塑性樹脂中に添加した際に分散不良を起こして、成形品外観の低下や難燃性の低下を招く恐れがある。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の含有量が0.001〜20質量部となるように、改質剤(A)を添加した樹脂組成物である。本発明の改質剤(A)をこの範囲内の量で用いれば、熱可塑性樹脂(B)中でポリテトラフルオロエチレン(A−1)成分が微細フィブリル状に均一分散し、機械的性質と難燃性が良好となる。
【0042】
熱可塑性樹脂(B)は、従来より知られる各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、本発明でいう「熱可塑性樹脂」は、熱可塑性エラストマーをも包含する意味である。その具体例としては、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AES等のスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)等のエンジニアリングプラスチックス、PC/ABS等のPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABS等のPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/PP等のPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PC/PBT等のPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、PP/PE等のポリオレフィン系樹脂同士のアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂アロイ等のポリマーアロイ、ポリエチレン、(超)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン等のポリ−α−オレフィン類、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテン共重合体、エチレンブテンターポリマー等のα−オレフィン同士の共重合体類、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等のα−オレフィンと各種モノマーとの共重合体類等のポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体を主成分とした脂肪族ポリエステル樹脂,生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の生分解性樹脂、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン、アクリル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、これらに限定するものではなく、一般的な熱可塑性樹脂を使用することができる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に難燃剤(C)が添加されてもよい。用いる難燃剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリアリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリ(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどのリン酸エステル、フェニレンビス(フェニルグリシジルフォスフェート)などの縮合リン酸エステル、赤燐、ポリリン酸アンモニウム/ペンタエリスリトール複合系などのリン系化合物、フォスフェート型ポリオール、含ハロゲンポリオール、含リンポリオールなどのポリオール、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイドなどの芳香族ハロゲン化合物、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミンなどのトリアジン化合物、その他カオリンクレー、ド−ソナイト、炭酸カルシウムホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、フェロセン、錫化合物、無機錯塩などが挙げられる。特に、ハロゲンを含まないトリクレジルフォスフェート、トリアリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートなどのリン酸エステル、フェニレンビス(フェニルグリシジルフォスフェート)などの縮合リン酸エステルが好ましく用いられる。
【0044】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、難燃剤(C)として有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることもできる。例えば、有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、有機スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。なお、アルカリ(土類)金属の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の両方を含む意味で使用する。
【0045】
例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、及びかかるアルキル基の一部がフッ素原子で置換されたアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルサルファイド−4,4′−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4′−ジスルホン酸ジカリウム等のモノマー状もしくはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム等の芳香族カルボン酸及びエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ナトリウム、ポリ(1,3−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム等の芳香族スルホートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3′−ジスルホン酸カルシウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4′−ジスルホン酸ジカリウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3′−ジスルホン酸ジナトリウム等の芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム等の複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム等の芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステル等の一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、N−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミド等の芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。特に、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩が好ましく用いられる。
【0046】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に対して、難燃剤(C)として挙げられた各種化合物は、必要に応じて、1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
【0047】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に充填剤(D)が添加されてもよい。添加する充填剤としては、金属粉、酸化物、水酸化物、珪酸または珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性繊維、動物性繊維、合成繊維などが挙げられ、これらの具体的な代表例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、アルミナ、天然木材、紙、炭酸カルシウム、タルク、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、クレー、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、アセテート粉、絹粉、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズおよび再生充填剤材料などが挙げられる。
【0048】
充填剤(D)に使用される再生充填剤材料としては籾殻、フスマ、米糠、とうもろこし屑、芋ガラ、脱脂大豆、胡桃殻、ココナッツヤシ殻、スソコ、バガス、などの農産廃棄物、焼酎などの蒸留酒の蒸留粕、ビール麦芽粕、ワインブドウ粕、酒粕、醤油粕などの醸造粕、茶滓、コーヒー滓、柑橘絞り滓などの飲料工場からの各種滓、オカラ,クロレラなどの食品加工廃棄物、牡蛎殻などの貝殻、海老や蟹の甲羅などの水産廃棄物、おが屑、廃ほだ木、樹皮、伐採竹、製材所での木材切削や、木造家屋の解体などで発生する廃木材などの木質系廃棄物、古紙や製紙業から発生する廃パルプ、紙片などの廃棄物が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
充填剤(D)の形状、大きさは特に限定されないが、粒子状の場合は粒子が大きいと、繊維状の場合は繊維が長すぎると充填材(D)の分散性が低下し、製品外観が悪化するため、粉砕したものを用いるのが好ましく、10メッシュパス以下が、さらには100メッシュパス以下が好ましい。また粉砕品の取り扱いの点で10000メッシュ以上が好ましい。充填剤(D)の含水率は特に限定される物ではないが、充填剤(D)は水分多く含んでいる場合が多く、粉体としての取り扱い性から20質量%以下の含水率にオーブンや加熱攪拌処理などで乾燥するのが好ましい。さらに、20質量%以下の含水率であっても、成形品に異常発泡などが生じる場合は、さらにオーブンや加熱攪拌処理などで乾燥するのが好ましく、含水率を1%以下に乾燥して使用するのが特に好ましい。
【0050】
また、熱可塑性樹脂(B)への分散性を改良するため予め無水マレイン酸などの多塩基酸無水物,ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物,酸変性された変性ポリオレフィン,ポリエステル系のワックス,ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩,酸化チタンや酸化カルシウムなどの金属酸化物などの微粒子などで表面処理した充填剤を使用することもできる。これらの充填剤(D)は、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。前記熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して0〜2000質量部の範囲で配合される。充填剤(D)が2000質量部を超えると、外観が悪化する恐れがある。
【0051】
また、本発明においては発泡剤を使用することもできる。代表的な発泡剤の例としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤などが挙げられる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素など、揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。分解型発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリリル、重炭酸ナトリウムなどを用いることができる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができる。また、発泡剤を使用する場合には、熱可塑性樹脂組成物の溶融混練物中に、さらに気泡調整剤を添加しても良い。気泡調整剤としてはタルク、シリカなどの無機粉末や多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウムあるいは重炭酸ナトリウムとの反応混合物、クエン酸などが挙げられる。
【0052】
また、本発明の樹脂組成物においては、可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノルマルヘキシルノルマルデシルフタレート、ノルマルオクチルノルマルデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ノルマルオクチル−ノルマルデシルアジペート、ノルマルヘプチル−ノルマルノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノルマルオクチルアジペート、ジノルマルオクチルアジペート、ジデシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジイソオクチルセバケート、ブチルベンジルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル系可塑剤;クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル等のクエン酸エステル系可塑剤;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルイソフタレート、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート等のフタル酸異性体エステル系可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等のリシリノール酸エステル系可塑剤;ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケートおよびこれらの変型ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシ(2−エチルヘキシル)ステアレート、エポキシ化あまに油、2−エチルヘキシルエポキシトーレート等のエポキシ系可塑剤などが挙げられる。これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、本発明の樹脂組成物においては必要に応じて安定剤を添加することも出来る。 安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石鹸系安定剤;アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物から誘導される有機錫系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石鹸系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、2エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった通常二種以上の有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これらの安定剤を、石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基などで置換され、かつプロピレングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールAなどの芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル、BHTや硫黄やメチレン基などで二量体化したビスフェノールなどのヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミンまたはニッケル錯塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤、トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール、βーアミノクロトン酸エステル、2ーフェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物、アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、βージケトンなどのケト化合物、有機珪素化合物、ほう酸エステルなどといった非金属系安定剤が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に耐衝撃改質剤を添加することが出来る。耐衝撃改質剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体、ブタジエンゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、ブタジエンゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)のジエンとしては、1,4−ヘキサンジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等が使用される。これらの耐衝撃改質剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、必要に応じて更に滑剤を添加することが出来る。滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系;ハロゲン化炭化水素系;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤を挙げることができる。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物においては必要に応じて加工助剤を使用することができる。 加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−マレイミド共重合体等が挙げられる。
【0057】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その特性を損わない限りにおいて、その目的に応じて顔料、防曇剤、抗菌剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、結晶核剤、耐熱向上剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0058】
改質剤(A)の熱可塑性樹脂(B)への添加は、例えば、押出混練、ロール混練等従来より知られる方法で溶融混練することによって行うことができる。また、本発明の改質剤と、熱可塑性樹脂(B)の一部を混合してまずマスターバッチを作製し、熱可塑性樹脂(B)の残部をさらに添加、混合するなどの多段階混合も可能である。
本発明の改質剤を添加した熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては、例えば、カレンダー成形、熱成形、押出ブロー成形、発泡成形、押出成形、射出成形、溶融紡糸等が挙げられる。中でも、押出ブロー成形、押出成形、射出成形が好ましい。
【0059】
本発明の改質剤を添加した熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる有用な成形品としては、例えば、押出成形によるシート、フィルムおよび異型成形品;押出ブロー成形や射出成形による中空成形体、射出成形体等が挙げられる。その具体例としては、自動車のバンパー、スポイラー、サイドモール、シーリングや内装材、OA機器の筐体、窓枠、棚板、床材、壁材等の建材等が挙げられる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。また、諸物性の測定は以下の方法により実施した。
【0061】
(1)固形分濃度
粒子分散液を180℃で30分間乾燥して求めた。
(2)粒子径測定
改質剤粒子の分散液を蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。すなわち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力約4000psi(2600KPa)および温度35℃を保った状態で、濃度約3%の希釈ラテックス試料0.1mlを測定に用いた。標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(3)ガラス転移温度(Tg)
重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)は、以下に示すFox式を用いて算出した(非特許文献1参照)。
Fox式 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+〜=■Wi/Tgi
(ここで、Tgiはi成分の重合体のTg、Wiはi成分の重量分率を示す。)また、i成分の重合体のガラス転移温度(Tg)は非特許文献2に記載の値を用いた。
【0062】
(4)粉体の流動性測定
JIS K6721に準拠した嵩比重計(筒井理化学器械(株)製)を用いて測定を行った。この測定においては、嵩比重計の漏斗に粉体を充填したのち、漏斗から粉体を10秒間流して、流れ出た粉体を計量して、粉体の流動性(g/10sec)の指標とした。用いた漏斗の出口の径は8mmである。
10秒間に流れ出る粉体の量が多いほど、粉体の流動性が良好である事を意味している。実作業においても、流動性の良好な粉体は取扱性も良好であることを意味する。
(5)粉体の貯蔵安定性測定
アクリル樹脂製の容器に粉体20gを充填して、5Kgの重りを容器上に載せた状態で、オーブン内を50℃としたギヤオーブン(タバイ(株)製 GHPS−222)に入れて6時間放置し、その後取り出して室温にて冷却して、粉体のブロックを作製した。この粉体のブロックを目開きが12メッシュの篩に載せて、振動ふるい機(筒井理化学器械(株)製、ミクロ形電磁振動ふるい機M−2)で破砕し、破砕量が60%に到達した時点の時間、即ち、60%破砕時間を粉体の貯蔵安定性の目安とした。
この60%破砕時間が短いほど、実際に粉体を貯蔵しておいた際に粉体が固まりにくく、固まった場合でも容易に粉体の塊を崩せる事が経験上判っている。また、固まりやすい粉体は塊を崩しても元には戻りにくく、このような粉体を熱可塑性樹脂に添加した場合には熱可塑性樹脂中における分散性不良、成形品外観や難燃性の低下を生じやすくなる。
【0063】
(6)熱可塑性樹脂中における分散性評価
上記(5)の粉体の貯蔵安定性の評価において、60%は最良に到達した時点の粉体をポリカーボネート樹脂に添加して作製したUL94規格に従った厚み1.6mmの垂直型燃焼試験用試験片中の凝集物の有無の観察を透過光で目視にて行い、以下の基準にて判定した。
○:試片中に凝集物を認めない。
×:試片中に凝集物を認めた。
(7)燃焼性試験:
UL94規格に従い、垂直型燃焼試験を実施した。試験片は1.6mm厚のものを用いた。
(8)アイゾット衝撃強さ試験
ASTM D256に準拠して、3.2mm厚・ノッチ付きの試験片を用いて23℃にて測定した。
(9)引張試験
ASTM D638に準拠して、引張強度および引張伸度を測定した。
(10)表面外観の観察
射出成形した試験片の表面外観を目視にて観察し以下の基準にて判定した。
○:表面にブツ無し。
×:表面にブツ有り。
【0064】
<実施例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A1)>
ポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液(旭フロロポリマーズ社製フルオンAD936、固形分濃度60.0%、平均粒子径0.30μm)83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水156.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル40質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、n−オクチルメルカプタン0.2質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を加えてから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。そして、所用攪拌動力が0.15kw/m3となるように攪拌を開始した。反応容器内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.015、ロンガリット塩0.2質量部、蒸留水10質量部とから混合液を加えて、重合体(A1−2)の重合を開始した。重合開始から90分間保持して重合体(A1−2)の重合を終了した。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、均一な熱可塑性樹脂用改質剤(A1)の分散液が得られた。得られた分散液の固形分は34.6%であった。
【0065】
この分散液中における重合体(A1−2)粒子の平均粒子径は0.95μmであった。また、算出した重合体(A1−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0066】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、75℃にまで昇温した。内部の温度が75℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A1)100質量部に対して、2.5質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A1)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A1)を得た。
【0067】
<実施例2:熱可塑性樹脂用改質剤(A2)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、蒸留水220質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部、メタクリル酸メチル80質量部、アクリル酸n−ブチル20質量部、n−オクチルメルカプタン0.2質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を仕込み、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、系内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(II)0.0005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0015質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合を開始した。重合開始より90分間保持して重合を終了し、重合体(A2−2)粒子の水性分散液を得た。得られた重合体(A2−2)粒子の水性分散液の固形分濃度は30.4%であった。
【0068】
この粒子分散液中における重合体(A2−2)粒子の平均粒子径は0.075μmであった。また、算出した重合体(A2−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0069】
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた別の反応容器に、重合体(A2−2)粒子水性分散液を164.5質量部(固形分として50質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A2−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.07kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A2)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.9%であった。
【0070】
攪拌機、熱電対付きの容器に純水100部を加えて、80℃にまで昇温した。内部の温度が80℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A2)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A2)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A2)を得た。
【0071】
<実施例3:熱可塑性樹脂用改質剤(A3)>
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた容器に、製造例2で得た重合体(A2−2)粒子水性分散液を98.7質量部(固形分として30質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。それから、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液116.7質量部(固形分として70質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.1kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A3)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.8%であった。
【0072】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、83℃にまで昇温した。内部の温度が83℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A3)100質量部に対して、6質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A3)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A3)を得た。
【0073】
<実施例4:熱可塑性樹脂用改質剤(A4)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に仕込み、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A4−1)粒子分散液66.7質量部(固形分として40質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込んだ。次いで、蒸留水163.3質量部とN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム3.5質量部とからなる混合液を加え、窒素気流を1時間通ずる事によって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。それから内部の温度を55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、過硫酸カリウム0.2質量部、蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、所用攪拌動力が0.25kw/m3となるように攪拌を調整してから、メタクリル酸メチル18質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.019質量部の混合物を滴下口より10分間かけて滴下を行うことによって、重合を開始した。重合開始から60分間保持したのち、内部の温度を66℃まで昇温した。内部の温度が66℃になった時点でスチレン19.8質量部、アクリル酸n−ブチル13.2質量部、n−オクチルメルカプタン0.1質量部の混合物を90分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持した。保持終了後、メタクリル酸メチル9質量部、n−オクチルメルカプタン0.05質量部の混合物を30分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持したのち、重合体(A4−2)の重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A4)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は34.1%であった。
【0074】
この分散液中における重合体(A4−2)粒子の平均粒子径は0.07μmであった。また、算出した重合体(A4−2)のガラス転移温度(Tg)は52℃であった。
【0075】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、75℃にまで昇温した。内部の温度が75℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A4)100質量部に対して、5質量部の酢酸カルシウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A4)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A4)を得た。
【0076】
<実施例5:熱可塑性樹脂用改質剤(A5)>
実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水163.3質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム3質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル15質量部、メタクリル酸n−ブチル25質量部、n−オクチルメルカプタン0.012質量部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.019質量部とからなる混合物を加えたのち、窒素気流を1時間通ずることによって、反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。それから内部の温度を55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、所用攪拌動力が0.37kw・m3となるように攪拌を調整してから、硫酸鉄(II)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて重合を開始した。重合開始から60分間保持したのち、内部の温度を65℃まで昇温した。内部の温度が65℃になった時点でメタクリル酸メチル10質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05質量部の混合物を10分間かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、60分間保持してから、重合体(A5−2)の重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A5)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は34.6%であった。
【0077】
この分散液中における重合体(A5−2)粒子の平均粒子径は0.075μmであった。また、算出した重合体(A5−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0078】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、78℃にまで昇温した。内部の温度が78℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A5)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A5)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A5)を得た。
【0079】
<比較例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A6)>
メタクリル酸ドデシル70質量部とメタクリル酸メチル30質量部との混合液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を溶解させた。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量部と蒸留水300質量部の混合液を添加して、ホモミキサーにて10000rpmで4分間攪拌したのち、ホモジナイザー に30MPaの圧力で2回通し、安定なメタクリル酸ドデシル/メタクリル酸メチル予備分散液を得た。これを攪拌翼、コンダンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、窒素気流下で内温80℃に昇温して重合を開始せしめ、この状態を3時間保持したのち、重合を終了して重合体(A6−2)粒子分散液を得た。
【0080】
この分散液中における重合体(A6−2)粒子の固形分は25.1%、平均粒子径は0.19μmであった。また、算出した重合体(A6−2)のガラス転移温度(Tg)は−30℃であった。
【0081】
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液33.3質量部(固形分として20質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込んだ。次いで、239質量部の重合体(A6−2)(固形分として60質量部)を仕込んでから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、所用攪拌動力が0.46kw/m3となるように攪拌を開始してから、内部を80℃まで昇温した。内部の温度が80℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.24質量部、蒸留水7.7質量部の混合液を加えた後、メタクリル酸メチル20質量部とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1質量部との混合物を滴下口より30分間かけて滴下することによって、重合体(A6−2)の重合を行った。滴下終了後、1時間保持して重合を終了させて熱可塑性樹脂用改質剤(A6)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は33.8%であった。
【0082】
この分散液中における重合体(A6−2)粒子の平均粒子径は0.2μmであった。また、算出した重合体(A6−2)のガラス転移温度(Tg)は−6℃であった。
【0083】
<比較例2:熱可塑性樹脂用改質剤(A7)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込み、次いで、蒸留水151.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、それから窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。次いで、反応容器内を60℃に昇温して内部の液温が60℃になった時点で、所用攪拌動力が0.2kw/m3となるように攪拌を調整してから、硫酸鉄(■)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.15質量部、蒸留水15質量部とからなる混合液を加えて、さらにアクリロニトリル10質量部、スチレン40質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15質量部の混合物を滴下口より180分間の滴下を開始することによって、熱可塑性重合体(A7−2)の重合を開始した。滴下終了後から90分間保持したのち、重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A7)の分散液を得た。得られた分散液の固形分は、33.1%であった。
【0084】
この分散液中における重合体(A7−2)粒子の平均粒子径は0.15μmであった。また、算出した重合体(A7−2)のガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
【0085】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、内部の温度を95℃まで昇温した。内部の温度が95℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A7)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A7)分散液100質量部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、99℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A7)を得た。
【0086】
<比較例3:熱可塑性樹脂用改質剤(A8)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、蒸留水220質量部、アルケニルコハク酸ジカリウム3.0質量部、アクリロニトリル20質量部、スチレン80質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を仕込み、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、系内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(II)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合を開始した。重合開始より90分間保持して重合を終了し、重合体(A8−2)粒子の水性分散液を得た。得られた重合体(A8−2)粒子の水性分散液の固形分濃度は30.0%であった。
【0087】
この分散液中における重合体(A8−2)粒子の平均粒子径は0.094μmであった。また、算出した重合体(A8−2)のガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
【0088】
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた別の反応容器に、重合体(A8−2)粒子水性分散液を166.7質量部(固形分として50質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.07kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A8)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.3%であった。
【0089】
攪拌機、熱電対付きの容器に純水100部を加えて、95℃にまで昇温した。内部の温度が95℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A8)100質量部に対して、5質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A8)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A8)を得た。
【0090】
<参考例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A9)>
実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水156.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル40質量部、アクリル酸エチル10質量部、n−オクチルメルカプタン0.3質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3質量部を加えてから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。そして、所用攪拌動力が2kw/m3となるように攪拌を調整した。反応容器内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.015質量部、ロンガリット塩0.3質量部と蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合体(A9−2)の重合を開始した。重合開始から90分間保持したが、90分間保持の間に固形物の分離が認められ、重合を終了した時点での分散液中の固形分は9%であった。この分散液を180℃で30分間乾燥して固形分を回収して、得られた固形分を室温にてアセトンに溶解させたところ、固形分は全て溶解した。したがって、分散液中のポリテトラフルオロエチレンは保持の間に全量分離したことを確認した。
【0091】
<実施例1〜5、比較例1〜4>
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた粉体の粒度を表1に、粉体の流動性の評価結果を表2に、粉体の貯蔵安定性についての評価結果を表3に示す。
なお、比較例4は、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(旭硝子フロロポリマーズ(株)製フルオンCD1の粉体を評価した結果である。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
<実施例6〜10、比較例5〜9>
A1〜A8の粉体を、ポリカーボネート樹脂と表4に示した質量比でヘンシェルミキサーにて混合した混合物を、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いてシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)により射出成形を行って、UL94規格に従った厚み1.6mmの垂直型燃焼試験用試験片を得た。
この試験片を用い、分散性評価を行った結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
<実施例11〜15、比較例10〜14>
表5に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
<実施例16〜20、比較例15〜19>
表6に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】
<実施例21〜25、比較例20〜24>
表7に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表7に示す。
【0102】
【表7】
【0103】
<実施例26〜30、比較例25〜29>
表8に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度260℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表8に示す。
【0104】
【表8】
【0105】
<実施例31〜35、比較例30〜34>
表9に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度260℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表9に示す。
【0106】
【表9】
【0107】
<実施例36〜40、比較例35〜39>
表10に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表10に示す。
【0108】
【表10】
【0109】
<実施例41〜45、比較例40〜44>
表11に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表11に示す。
【0110】
【表11】
【0111】
<実施例46〜50、比較例45〜49>
表12に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表12に示す。
【0112】
【表12】
【0113】
<実施例51〜55、比較例50〜54>
表13に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表13に示す。
【0114】
【表13】
【0115】
<実施例56〜60、比較例55〜59>
表14に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表14に示す。
【0116】
【表14】
【0117】
<実施例61〜65、比較例60〜64>
表15に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度220℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度220℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度220℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表15に示す。
【0118】
【表15】
【0119】
<実施例66〜70、比較例65〜69>
表16に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表16に示す。
【0120】
【表16】
【0121】
<実施例71〜75、比較例70〜74>
表17に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表17に示す。
【0122】
【表17】
【0123】
<実施例76〜80、比較例75〜79>
表18に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表18に示す。
【0124】
【表18】
【0125】
<実施例81〜85、比較例80〜84>
表19に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度240℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度240℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表19に示す。
【0126】
【表19】
【0127】
<実施例86〜90、比較例85〜89>
表20に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表20に示す。
【0128】
【表20】
【0129】
<実施例91〜95、比較例90〜94>
表21に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表21に示す。
【0130】
【表21】
【0131】
なお、表5〜表21中の配合成分として記載される、樹脂、添加剤等は、具体的には以下のものを使用した。
・「PC樹脂」:ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンS−2000F
・「PBT樹脂」:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名タフペットN1000
・「PPE樹脂」:ポリフェニレンエーテル樹脂
用いたポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルであり、還元粘度は25℃における0.1%クロロホルム溶液で、ウベローデ型粘度計にて測定したところ、0.59であった。
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K
・「Ny6樹脂」:ポリアミド樹脂、宇部興産(株)製、商品名UBEナイロン1013B
・「PP樹脂」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP BC6
・「PE樹脂」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LC525
・「グラフト共重合体1」:ABSグラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名R−80
・「グラフト共重合体2」:アクリロニトリル−ブチルアクリレート−スチレン)グラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名MUX−80
・「グラフト共重合体3」:アクリロニトリル−ブチルアクリレート−シリコーン)グラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名RK−200
・「ビニル系共重合体」:アクリロニトリル−スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名AP−20
・「難燃剤1」:トリフェニルフォスフェート、大八化学工業(株)製、商品名TPP
・「難燃剤2」:テトラビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、帝人化成(株)製、商品名ファイヤーガードFG−7500
・「難燃剤3」:パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックF114
・「難燃剤4」:ハロゲン化エポキシオリゴマー、Bromine Compounds Ltd.製、商品名F2400
・「難燃剤5」:赤燐、リン化学工業(株)製、商品名ノーバレッド1200
・「難燃剤6」:水酸化マグネシウム、協和化学工業(株)製、商品名キスマ5A
・「難燃助剤」:三酸化アンチモン、日本精鉱(株)製、商品名パトックスM
・「PTFEパウダー1」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子(株)製、商品名アフロンPTFE CD−1。
「PTFEパウダー2」:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン(株)製、商品名F201L。
【0132】
<実施例96〜100、比較例95〜104>
表22に示す熱可塑性樹脂100部に対して、熱可塑性樹脂用改質剤(A2)0.6部(PTFEを0.3部含有)若しくはPTFEパウダー0.3部を添加し、スクリュー径40mmのブロー成形機によりボトル成形を行った。評価結果を表22に示す。
【0133】
【表22】
【0134】
表22に示す熱可塑性樹脂としては以下のものを用い、以下の条件下で成形を行った。
・「ABS樹脂」:三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット3001。成形条件:シリンダー温度(C1)180℃、(C2)200℃、(C3)200℃、ヘッド200℃、ダイス200℃
・「PC樹脂」:ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバレックス7022A。成形条件:シリンダー温度(C1)230℃、(C2)260℃、(C3)270℃、ヘッド270℃、ダイス280℃
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトA−200。成形条件:シリンダー温度(C1)280℃、(C2)280℃、(C3)280℃、ヘッド260℃、ダイス260℃
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K。 成形条件:シリンダー温度(C1)160℃、(C2)180℃、(C3)200℃、ヘッド:200℃、ダイス:210℃
・「PE樹脂」:ポリエチレン樹脂、三井化学(株)製、商品名ハイゼックス7000F。成形条件:シリンダー温度(C1)150℃、(C2)165℃、(C3)175℃、ヘッド175℃、ダイス175℃
また、PTFEパウダーとしては以下のものを用いた。
・「PTFEパウダー」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0135】
各種評価は以下の方法により行った。
(a)「成型時のドローダウン」
成形時におけるパリソンのドローダウンを、以下の基準に従い、目視にて判定した。
○:ダイスウェルが大きくドローダウン無し。
×:ダイスウェルが小さくドローダウン有り。
(b)「ボトルの外観」
得られたボトルの外観を、以下の基準に従い、肉眼により判定した。
○:光沢が良好で、かつ肌荒れが無い。
×:光沢に乏しく、肌荒れが目立つ。
【0136】
<実施例101〜132、比較例105〜123>
表23〜26に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した50mm単軸押出機(IKG(株)製)にて押出成形を行い、幅80mm、厚み3mmの熱可塑性樹脂組成物のシートを作製した。
評価結果を表23〜表26に示す。
【0137】
なお、評価は以下の方法により行った。
(a)表面外観
得られたシートを目視にて観察し、以下の基準にて判定した。
○:肌荒れ、ささくれ、PTFEの分散不良と思われるブツの発生が無い。
×:肌荒れ、ささくれ、PTFEの分散不良と思われるブツの発生が有る。
(b)プレートアウト
2ロールミルを用いて、成形中のロール表面の汚れを観察した。
○:ロール表面い汚れ無し
△:ロール表面が少し汚れた
×:ロール表面が非常に汚れた
【0138】
また、表23〜26中の配合成分としては、以下のものを用い、成形は以下の条件で行っている。
・「PP樹脂1」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP BC06C、成形温度:230℃
・「PP樹脂2」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP FY−6C、成形温度:230℃
・「PE樹脂1」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD HY540、成形温度:210℃
・「PE樹脂2」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LJ801N、成形温度:210℃
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K、成形温度:230℃。
・「ABS樹脂」:ゴム強化したアクリロニトリル/スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット、成形温度:200℃。
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトPA−200、成形温度:250℃。
・「生分解性樹脂」:ポリ乳酸系樹脂、島津製作所(株)製、商品名ラクティ9400、成形温度:220℃。
・「リサイクルPP樹脂」:PP樹脂1を押出、賦形、粉砕のサイクルを2回繰り返したものを用いた。成形温度:230℃
・「バンパー粉砕品」:PP樹脂を主成分とする自動車バンパーを破砕、ペレット状にしたものである。本発明では具体例としてTSOPを用いた。成形温度:240℃。
・「リサイクルPET樹脂」:分別回収された飲料用等の使用済みPETボトルからPET以外の素材を除去したのち、弱アルカリ性水溶液および水にて洗浄してから湿式粉砕を行ったのち、比重差を利用してPET樹脂以外の樹脂や金属片を分離する事によって得られたPETボトルの粉砕品。成形温度:250℃。
・「PTFEパウダー1」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0139】
【表23】
【0140】
【表24】
【0141】
【表25】
【0142】
【表26】
【0143】
<実施例133〜149、比較例124〜136>
表27、28に示す質量比で各成分を混合し、50mm単軸押出機(IKG(株)製)にて押出発泡成形を行い、幅80mm、厚み5mmの発泡体シートを作製した。
評価結果を表27,28に示す。
【0144】
なお、評価は以下の方法により行った。
(a)成形品中の発泡セル状態
発泡体シートの断面を観察、以下の基準で判定した。
○:シートの表面近傍と中心部とでセルの大きさの比が2倍を超えないもの
×:シートの表面近傍と中心部とでセルの大きさの比が2倍を超えるもの
(b)成形品の表面外観
発泡体シートの表面を目視観察して、以下の基準で判定した。
○:シートの表面に破泡の跡が認められず、表面が平滑である。
×:シートの表面に破泡の跡が認められ、表面に凹凸が生じている。
【0145】
表27〜28中の配合成分としては以下のものを用い、成形は以下の条件下で行った。
・「PP樹脂」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP FY−6C、成形温度:230℃
・「PE樹脂1」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD HJ580、成形温度:210℃
・「PE樹脂2」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LC720、成形温度:210℃
・「PE樹脂3」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLL UJ370、成形温度:210℃
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトKR−560、成形温度:250℃
・「リサイクルPP樹脂」:PP樹脂1を押出、賦形、粉砕のサイクルを2回繰り返したものを用いた。成形温度:230℃
・リサイクルPET樹脂:分別回収された飲料用等の使用済みPETボトルからPET以外の素材を除去したのち、弱アルカリ性水溶液および水にて洗浄してから湿式粉砕を行ったのち、比重差を利用してPET樹脂以外の樹脂や金属片を分離する事によって得られたPETボトルの粉砕品。成形温度:250℃。
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K、
成形温度:230℃。
・「ABS樹脂」:ゴム強化したアクリロニトリル/スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット3001、成形温度:200℃。
・「PTFEパウダー」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0146】
【表27】
【0147】
【表28】
【0148】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性用改質剤を用いると、熱可塑性樹脂に添加した際のポリテトラフルオロエチレンの分散性が高く、少量添加で難燃性や機械的性質等の諸物性が向上するとともに、充填剤の分散性向上や、さらには均一な発泡セルを有する外観良好な発泡体が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンと重合体とからなる熱可塑性樹脂用改質剤、およびこれを熱可塑性樹脂に添加してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレンは高結晶性で分子間力が低いので、わずかな応力で繊維化する性質を有している。そのため、熱可塑性樹脂に配合した場合に成形加工性、機械的性質などが改良されることが知られている。このような点から、従来よりポリテトラフルオロエチレンは、熱可塑性樹脂の添加剤としても利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ポリテトラフルオロエチレンを難燃化樹脂組成物に用いる場合、樹脂中で繊維化させておくことによって、燃焼時に火炎滴の滴下による延焼抑制に効果の有ることが一般に知られている(例えば、特許文献2参照)。特に近年は、樹脂材料の難燃化の要請が高まっており、例えばコンピューター、プリンター等のOA機器、テレビ、オーディオ機器等の家電製品のハウジング材料では、火災被害低減のために難燃化の要求が強い。さらに機器の軽量化、薄肉化あるいは形状の複雑化に伴い、樹脂材料にはより高い難燃性が要求されて来ている。
【0004】
しかし、ポリテトラフルオロエチレンは熱可塑性樹脂に対して殆ど親和性を有していないため、熱可塑性樹脂中にポリテトラフルオロエチレンを均一に分散させることは困難である。もし、ポリテトラフルオロエチレンの分散が不均一である熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した場合、成形品表面にポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生が認められ、外観上好ましくない製品となる。また、ポリテトラフルオロエチレンの分散不良は難燃性の均一な発現も妨げることになり、耐衝撃性等の機械的性質の低下を招く恐れもある。
【0005】
従来の熱可塑性樹脂とポリテトラフルオロエチレンとの溶融混合方法としては、熱可塑性樹脂の粉体やペレットとポリテトラフルオロエチレンの粉体とを混合機にて混合してから溶融混合する方法(特許文献3参照)、熱可塑性樹脂組成物に用いる助剤とポリテトラフルオロエチレンの粉体とを予備混合した上で、熱可塑性樹脂の粉体やペレットと混合してから溶融混合する方法(特許文献4参照)、ポリテトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるラテックス(水性分散体)を熱可塑性樹脂のペレット表面に特定の厚みで付着させてから、他の熱可塑性樹脂と混合した上で溶融混合する方法(特許文献5参照)、混合機内部にドライアイスを投入してポリテトラフルオロエチレンの軟化点以下に温度制御しながら混合することによって、ポリテトラフルオロエチレンの凝集物の生成を抑制して、熱可塑性樹脂への均一分散を図る方法(特許文献6参照)等がある。
【0006】
しかしながら、特許文献3の方法は、ポリテトラフルオロエチレンの粉体が室温にて容易に繊維化する性質を有するため、貯蔵安定性および混合時の取扱性や作業性の低下という点で問題がある。
【0007】
特許文献4の方法による場合、熱可塑性樹脂組成物に用いる助剤によってポリテトラフルオロエチレンが希釈された状態で取り扱う事になるため、ポリテトラフルオロエチレン単独よりも取扱性や熱可塑性樹脂単体中での分散性は改良される傾向にはある。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン粒子が完全に被覆されていないので、助剤とポリテトラフルオロエチレンとの予備混合物中におけるポリテトラフルオロエチレンの含量を高くすることはできないし、混合時のせん断力等で容易に繊維化する恐れもあるため、ポリテトラフルオロエチレンの取扱性や分散性の根本的な改良にはならない。
【0008】
また、特許文献5の方法では、水性分散体中のポリテトラフルオロエチレン粒子が粉体の粒子径よりも小さい分だけ熱可塑性樹脂中での分散性の向上は可能であるが、粉体と同様に低せん断力で容易に水性分散体中のポリテトラフルオロエチレンが繊維化する事に加え、水性分散体は長期間静置保管しておくとポリテトラフルオロエチレンの沈降を生ずるために一定期間ごとに攪拌を実施する必要がある。また、沈殿によってポリテトラフルオロエチレンの凝集物を生じた場合、これを用いた樹脂組成物の成形品において外観不良を生ずる恐れもある。したがって、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散体に関しても、粉体と同様に取扱性や貯蔵安定性の点で問題がある。また、熱可塑性樹脂の粉体もしくはペレットと混合した後、不要な水分や乳化剤の除去工程が必要となるので、経済的な方法とは言えない。
【0009】
さらに、特許文献6の方法ではポリテトラフルオロエチレンおよび熱可塑性樹脂とを混合機内で混合する際、温度制御のために投入するドライアイスを使用するが、ドライアイスの投入量は混合時の発熱量と制御すべき温度等を考慮して実験的、経験的に容易に求める事ができると記載されている。しかしながら、実験室スケールでドライアイスの投入量を求める事は容易であるが、工業的スケールにて各樹脂毎、品種毎に当該技術を実施することは経済性の点から好ましくなく、ポリテトラフルオロエチレン粉体の取扱性や流動性の改良という観点から見ても、本質的な解決方法ではない。
【0010】
このように、ポリテトラフルオロエチレンを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造において、ポリテトラフルオロエチレン粉体あるいは水性分散体の取扱性と熱可塑性樹脂組成物中における凝集物の低減を両立できるような技術はなかった。
【0011】
ポリテトラフルオロエチレンの取扱性や分散性を改良する方法として、ポリテトラフルオロエチレン粒子の分散液中でビニル系モノマーを重合する方法、もしくはポリテトラフルオロエチレン粒子分散液とビニル系モノマー重合体の分散液とを混合する方法がある(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)。
【0012】
特許文献7および特許文献8はポリテトラフルオロエチレン粒子分散液中でビニル系モノマーを重合することにより、ポリテトラフルオロエチレンの製膜性を改良する技術であり、熱可塑性樹脂中での分散性改良等については言及されていない。
【0013】
特許文献9は、芯部がフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン系樹脂、殻部がテトラフルオロエチレンとその他のフッ化オレフィンとからなる共重合体からなる含フッ素重合体に関する技術であり、燃焼時の滴下防止用添加剤として使用可能であると示唆している。しかしながら、当該技術で得られる含フッ素重合体は水性分散体として取り扱われるものであり、しかもテトラフルオロエチレンを主体した重合体であるからポリテトラフルオロエチレンの水性分散体と同様、長期間の貯蔵において沈降する恐れがある。
【0014】
特許文献10、特許文献11は、テトラフルオロエチレン重合体の分散液の存在下で有機系単量体を重合して得られる粉体が熱可塑性樹脂中における分散性や取扱性に優れるという技術である。しかしながら、テトラフルオロエチレン重合体分散液の存在下で重合を実施する際、テトラフルオロエチレン重合体を有機系重合体によって全体的または部分的に封入するために必要な有機系重合体の被覆層の最適な厚みの範囲が存在する筈であるが、この技術には有機系重合体による被覆層の厚みに関する記述が認められない。したがって、この技術によるとテトラフルオロエチレン重合体の含有量が増加するほど、有機系重合体による被覆層の厚みが減ることになる。その結果、テトラフルオロエチレン重合体を含む重合物同士が凝集を起こしやすくなるので、粉体の取扱性や流動性も低下する恐れがある。また、分散性も低下する恐れがある。
【0015】
特許文献12では有機系重合体粒子分散液とポリテトラフルオロエチレン粒子分散液とを混合した分散液中でビニル系単量体を重合することによって、ポリテトラフルオロエチレンの分散性が良好で、成形品の外観も良好となるポリテトラフルオロエチレン混合粉体を得る技術が記載されている。しかしながら、当該技術のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は、ガラス転移温度(Tg)の低いメタクリル酸ドデシルが混合粉体中の半分を占めている。したがって、当該技術で得られた粉体を高温となる場所、もしくは荷重の掛かるような状態で長期間保存した場合、粉体同士の融着によって取扱性が著しく低下する恐れがある。これを熱可塑性樹脂に添加した場合には分散性も低下して、未分散のポリテトラフルオロエチレン混合粉体に起因する凝集体によって成形品の外観低下につながる恐れもある。
【0016】
特許文献13、特許文献14では有機系重合体粒子分散液とポリテトラフルオロエチレン粒子分散液との混合液からポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を得る技術が記載されている。しかしながら、当該技術には混合粉体の粒度に関する記述が見られない。混合粉体の粒度も熱可塑性樹脂中における分散性に大きく影響する因子であり、混合粉体の粒度が大きいと未分散の混合粉体、もしくはポリテトラフルオロエチレンによって成形品の外観を低下させる恐れがある。
【0017】
【参考文献】
【特許文献1】
特許第2958175号公報
【特許文献2】
特許第3234503号公報
【特許文献3】
特開2002−179903号公報
【特許文献4】
特開平11−172119号公報
【特許文献5】
特開2000−129141号公報
【特許文献6】
特許第3301938号公報
【特許文献7】
特開昭48−52830号公報
【特許文献8】
特開昭62−32102号公報
【特許文献9】
特開平2−158651号公報
【特許文献10】
特開平9−95583号公報
【特許文献11】
特開平11−49912号公報
【特許文献12】
特開2000−297220号公報
【特許文献13】
特公平5−8749号公報
【特許文献14】
特許3162426号公報
【非特許文献1】
高分子学会編「高分子データハンドブック」培風館、昭和61年1月30日初版、690頁−699頁
【非特許文献2】
J.BRANDRUP、E.H.IMMERGUT編「Polymer Handbook 3rd Edition」A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年、■/209頁
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、ポリフルオロエチレンの取扱性や分散性に関する問題の改良するとともに、熱可塑性樹脂に添加した際に難燃性や成形品外観を発現させる熱可塑性樹脂用改質剤、およびこれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃である重合体(A−2)とからなる熱可塑性樹脂用改質剤(A)にある。
また、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の添加量が0.001〜20質量部となるように、上記熱可塑性改質剤(A)を添加した熱可塑性樹脂組成物にある。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の改質剤に用いるポリテトラフルオロエチレン(A−1)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を重合して得られるものである。ポリテトラフルオロエチレンの所望の特性を損わない範囲で、他の単量体が共重合されたものでもよい。この時用いる他の単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル等の含フッ素(メタ)アクリル酸アルキルエステル;等が挙げられる。用いる他の単量体の量は、テトラフルオロエチレンと他の単量体の合計量100質量%中10質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散体の固形分は20〜60%の範囲にあるものが好ましく、分散体中におけるポリテトラフルオロエチレン(A−1)の平均粒子径は、0.05〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
ポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散液は、例えば、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を乳化重合することにより得ることができる。また、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の水性分散液の市販品(商品名)として、旭硝子フロロポリマーズ(株)製フルオンAD−1、AD−936、XAD−911、XAD−938;ダイキン工業(株)製ポリフロンD−1、D−2、D2CE、D3E;三井デュポンフロロケミカル(株)製テフロン(登録商標)30J;ダイニオン(株)製ダイニオンTF5032、TF5035、TF5235等が挙げられる。
【0023】
本発明の改質剤に用いる重合体(A−2)は、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃の重合体であり、1種または2種以上のビニル系単量体を乳化重合させて得られたものであることが好ましい。
【0024】
また、重合体(A−2)において用いられるビニル系単量体は、炭素数1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族アルケニル化合物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0025】
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い。これらは、単独でまたは二種以上を併用して用いることができる。
炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、本発明の熱可塑性樹脂用改質剤に用いることも可能であるが、アルキル基の炭素数の増加に伴い、これを用いて得られる重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)は低下する方向にあり、粉体の貯蔵安定性を損なう傾向にある。
【0026】
芳香族アルケニル化合物の具体例としては、スチレンやα−置換スチレン、核置換スチレンおよびその誘導体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレンおよびビニルトルエン等が挙げられる。
【0027】
共重合体(A−2)には、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な他の単量体を30質量%以下の範囲内で含有する共重合体を用いることができる。他の単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;等が挙げられる。
【0028】
本発明における重合体(A−2)として用いられる硬質共重合体の具体例としては、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと芳香族アルケニル化合物との共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、一括もしくは多段重合形式によって得られるものである。
【0029】
本発明の改質剤は、上述のポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40〜98℃である重合体(A−2)とを含有する。両者の割合については、両者の合計100質量%を基準として、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が0.01〜70質量%であることが好ましい。
【0030】
本発明の改質剤に用いられる重合体(A−2)は、ガラス転移温度(Tg)が40〜98℃の範囲内にある。重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)が40℃未満である場合、高温高荷重下において粉体が固まりやすく、貯蔵安定性、粉体の取扱性や流動性の著しい低下を招く。また、98℃を超えた場合は、凝固による水性分散液中からの固形分の回収時に粗粒が多量に発生して、熱可塑性樹脂中において分散不良による成形外観の低下を招く恐れがある。また、噴霧乾燥による水性分散液中からの固形分の回収時に、噴霧乾燥装置の入口温度を高く設定する必要があり、噴霧乾燥時に粒子の破壊を生ずる恐れがある。粒子の破壊を生じた場合、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が露出すると同時に、繊維化したポリテトラフルオロエチレン(A−1)のネットワークに改質剤粒子が取り込まれて、粉体の貯蔵安定性、取扱性や流動性が大きく低下する恐れがある。
【0031】
本発明の改質剤は、例えば、平均粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた分散液中で、乳化重合によって重合体(A−2)を形成したのち、分散液を凝固もしくは噴霧乾燥する方法(以下、第1の製法という)により得られる。
【0032】
また例えば、平均粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた分散液と、乳化重合によって形成した重合体(A−2)粒子を分散させた分散液とを混合したのち、分散液を凝固もしくは噴霧乾燥する方法(以下、第2の製法という)により得られる。
【0033】
第1の製法および第2の製法のいずれの製法においても、本発明の改質剤を含む水性分散液を得る場合、重合装置の所用攪拌動力(PV)は0.05〜1.5Kw/m3の範囲であることが好ましい。所用攪拌動力が0.05Kw/m3未満の場合、混合不良によって比重の高いポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子の沈降を招く恐れがある。また、所用攪拌動力が1.5Kw/m3を越えると、攪拌時のせん断によってカレットの大量発生を招く恐れがある。
【0034】
本発明の改質剤を、分散液から凝固により回収する場合、(Tg+10〜Tg+30)℃の温度範囲で固形分の析出を行う事が好ましい。(Tg+10)℃未満の温度で固形分の析出を行った場合、凝析粒子の成長が進まないので微粉が増える傾向にあり、粉体の取扱性や流動性が劣る恐れがある。(Tg+30)℃を超える温度では粗粒が増える傾向にあるので、熱可塑性樹脂中での分散不良による成形外観の低下をもたらす恐れがある。
【0035】
本発明の改質剤を、分散液の噴霧乾燥により回収する場合、噴霧乾燥装置の入口温度は(Tg+50〜Tg+100)℃の温度範囲に設定して噴霧乾燥を行う事が好ましい。入口温度が(Tg+50)℃未満となる条件で噴霧乾燥を行った場合、乾燥不充分となって粉体の水分含有率が下がらない恐れがある。また、(Tg+100)℃を超える温度では噴霧乾燥時に粒子の破壊を生ずる恐れがある。粒子の破壊を生じた場合、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)が露出すると同時に、繊維化したポリテトラフルオロエチレン(A−1)のネットワークに改質剤粒子が取り込まれて、粉体の貯蔵安定性、取扱性や流動性が大きく低下する恐れがある。
【0036】
第1の製法および第2の製法において、分散液の凝固を行う場合、分散液を、例えば塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入して塩析させることに改質剤を回収することができる。また、噴霧乾燥により改質剤を回収する場合、その水性分散液を噴霧乾燥装置中で噴霧することにより行うことができる。
【0037】
本発明で用いられる重合体(A−2)粒子の分散液は、1種または2種以上のビニル系単量体を乳化重合、あるいはミニエマルション重合等を行うことで得られる。これらの重合に用いることのできる乳化剤は特に限定されず、従来より知られる各種の乳化剤を使用できる。例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。これらの乳化剤は単独で、あるいは併用して用いることができる。
【0038】
使用する乳化剤の種類によって重合系のpHがアルカリ側になるときは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの加水分解を防止するために、適当なpH調整剤を使用できる。pH調節剤としては、例えば、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム、ホウ酸−塩化カリウム−炭酸カリウム、クエン酸−クエン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム−ホウ酸、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸等が挙げられる。
【0039】
重合体(A−2)の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、水溶性開始剤または油溶性開始剤の単独系、もしくはレドックス系のものが挙げられる。水溶性開始剤の具体例としては、過硫酸塩等の無機開始剤が挙げられる。油溶性開始剤の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物;アゾ化合物等が挙げられる。レドックス系開始剤の具体例としては、上述の無機開始剤を亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等と組み合わせたもの、上述の有機過酸化物やアゾ化合物をトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等と組み合わせたもの等が挙げられる。ただし、これら具体例に限定されるものではない。
【0040】
凝固もしくは噴霧乾燥によって得られた熱可塑性樹脂用改質剤(A)における粒度は、#14メッシュにて篩別した後の粉体において1000μm以上の粒子径の粉体が15質量%以下であることが好ましい。1000μm以上の粒子径の粉体が15質量%を超えて存在すると、粉体の取扱性や流動性は良好となるが、熱可塑性樹脂中に添加した際に分散不良を起こして、成形品外観の低下や難燃性の低下を招く恐れがある。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の含有量が0.001〜20質量部となるように、改質剤(A)を添加した樹脂組成物である。本発明の改質剤(A)をこの範囲内の量で用いれば、熱可塑性樹脂(B)中でポリテトラフルオロエチレン(A−1)成分が微細フィブリル状に均一分散し、機械的性質と難燃性が良好となる。
【0042】
熱可塑性樹脂(B)は、従来より知られる各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、本発明でいう「熱可塑性樹脂」は、熱可塑性エラストマーをも包含する意味である。その具体例としては、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AES等のスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)等のエンジニアリングプラスチックス、PC/ABS等のPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABS等のPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/PP等のPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PC/PBT等のPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、PP/PE等のポリオレフィン系樹脂同士のアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂アロイ等のポリマーアロイ、ポリエチレン、(超)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン等のポリ−α−オレフィン類、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテン共重合体、エチレンブテンターポリマー等のα−オレフィン同士の共重合体類、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等のα−オレフィンと各種モノマーとの共重合体類等のポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体を主成分とした脂肪族ポリエステル樹脂,生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の生分解性樹脂、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン、アクリル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、これらに限定するものではなく、一般的な熱可塑性樹脂を使用することができる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に難燃剤(C)が添加されてもよい。用いる難燃剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリアリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリ(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどのリン酸エステル、フェニレンビス(フェニルグリシジルフォスフェート)などの縮合リン酸エステル、赤燐、ポリリン酸アンモニウム/ペンタエリスリトール複合系などのリン系化合物、フォスフェート型ポリオール、含ハロゲンポリオール、含リンポリオールなどのポリオール、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイドなどの芳香族ハロゲン化合物、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミンなどのトリアジン化合物、その他カオリンクレー、ド−ソナイト、炭酸カルシウムホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、フェロセン、錫化合物、無機錯塩などが挙げられる。特に、ハロゲンを含まないトリクレジルフォスフェート、トリアリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートなどのリン酸エステル、フェニレンビス(フェニルグリシジルフォスフェート)などの縮合リン酸エステルが好ましく用いられる。
【0044】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、難燃剤(C)として有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることもできる。例えば、有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、有機スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。なお、アルカリ(土類)金属の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の両方を含む意味で使用する。
【0045】
例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、及びかかるアルキル基の一部がフッ素原子で置換されたアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルサルファイド−4,4′−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4′−ジスルホン酸ジカリウム等のモノマー状もしくはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム等の芳香族カルボン酸及びエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ナトリウム、ポリ(1,3−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム等の芳香族スルホートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3′−ジスルホン酸カルシウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4′−ジスルホン酸ジカリウム等のモノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3′−ジスルホン酸ジナトリウム等の芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェノン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム等の複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム等の芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステル等の一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、N−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミド等の芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。特に、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩が好ましく用いられる。
【0046】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に対して、難燃剤(C)として挙げられた各種化合物は、必要に応じて、1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
【0047】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に充填剤(D)が添加されてもよい。添加する充填剤としては、金属粉、酸化物、水酸化物、珪酸または珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性繊維、動物性繊維、合成繊維などが挙げられ、これらの具体的な代表例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、アルミナ、天然木材、紙、炭酸カルシウム、タルク、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、クレー、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、アセテート粉、絹粉、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズおよび再生充填剤材料などが挙げられる。
【0048】
充填剤(D)に使用される再生充填剤材料としては籾殻、フスマ、米糠、とうもろこし屑、芋ガラ、脱脂大豆、胡桃殻、ココナッツヤシ殻、スソコ、バガス、などの農産廃棄物、焼酎などの蒸留酒の蒸留粕、ビール麦芽粕、ワインブドウ粕、酒粕、醤油粕などの醸造粕、茶滓、コーヒー滓、柑橘絞り滓などの飲料工場からの各種滓、オカラ,クロレラなどの食品加工廃棄物、牡蛎殻などの貝殻、海老や蟹の甲羅などの水産廃棄物、おが屑、廃ほだ木、樹皮、伐採竹、製材所での木材切削や、木造家屋の解体などで発生する廃木材などの木質系廃棄物、古紙や製紙業から発生する廃パルプ、紙片などの廃棄物が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
充填剤(D)の形状、大きさは特に限定されないが、粒子状の場合は粒子が大きいと、繊維状の場合は繊維が長すぎると充填材(D)の分散性が低下し、製品外観が悪化するため、粉砕したものを用いるのが好ましく、10メッシュパス以下が、さらには100メッシュパス以下が好ましい。また粉砕品の取り扱いの点で10000メッシュ以上が好ましい。充填剤(D)の含水率は特に限定される物ではないが、充填剤(D)は水分多く含んでいる場合が多く、粉体としての取り扱い性から20質量%以下の含水率にオーブンや加熱攪拌処理などで乾燥するのが好ましい。さらに、20質量%以下の含水率であっても、成形品に異常発泡などが生じる場合は、さらにオーブンや加熱攪拌処理などで乾燥するのが好ましく、含水率を1%以下に乾燥して使用するのが特に好ましい。
【0050】
また、熱可塑性樹脂(B)への分散性を改良するため予め無水マレイン酸などの多塩基酸無水物,ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物,酸変性された変性ポリオレフィン,ポリエステル系のワックス,ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩,酸化チタンや酸化カルシウムなどの金属酸化物などの微粒子などで表面処理した充填剤を使用することもできる。これらの充填剤(D)は、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。前記熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して0〜2000質量部の範囲で配合される。充填剤(D)が2000質量部を超えると、外観が悪化する恐れがある。
【0051】
また、本発明においては発泡剤を使用することもできる。代表的な発泡剤の例としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤などが挙げられる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素など、揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。分解型発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリリル、重炭酸ナトリウムなどを用いることができる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができる。また、発泡剤を使用する場合には、熱可塑性樹脂組成物の溶融混練物中に、さらに気泡調整剤を添加しても良い。気泡調整剤としてはタルク、シリカなどの無機粉末や多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウムあるいは重炭酸ナトリウムとの反応混合物、クエン酸などが挙げられる。
【0052】
また、本発明の樹脂組成物においては、可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノルマルヘキシルノルマルデシルフタレート、ノルマルオクチルノルマルデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ノルマルオクチル−ノルマルデシルアジペート、ノルマルヘプチル−ノルマルノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノルマルオクチルアジペート、ジノルマルオクチルアジペート、ジデシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジイソオクチルセバケート、ブチルベンジルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル系可塑剤;クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル等のクエン酸エステル系可塑剤;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルイソフタレート、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート等のフタル酸異性体エステル系可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等のリシリノール酸エステル系可塑剤;ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケートおよびこれらの変型ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシ(2−エチルヘキシル)ステアレート、エポキシ化あまに油、2−エチルヘキシルエポキシトーレート等のエポキシ系可塑剤などが挙げられる。これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、本発明の樹脂組成物においては必要に応じて安定剤を添加することも出来る。 安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石鹸系安定剤;アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物から誘導される有機錫系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石鹸系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、2エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった通常二種以上の有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これらの安定剤を、石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基などで置換され、かつプロピレングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールAなどの芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル、BHTや硫黄やメチレン基などで二量体化したビスフェノールなどのヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミンまたはニッケル錯塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤、トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール、βーアミノクロトン酸エステル、2ーフェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物、アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、βージケトンなどのケト化合物、有機珪素化合物、ほう酸エステルなどといった非金属系安定剤が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、更に耐衝撃改質剤を添加することが出来る。耐衝撃改質剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体、ブタジエンゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、ブタジエンゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン含有アクリル系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン/アクリル複合ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有メタクリル酸メチルグラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有メタクリル酸メチル−スチレン系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム含有アクリロニトリル−スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)のジエンとしては、1,4−ヘキサンジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等が使用される。これらの耐衝撃改質剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、必要に応じて更に滑剤を添加することが出来る。滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系;ハロゲン化炭化水素系;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤を挙げることができる。
【0056】
また、本発明の樹脂組成物においては必要に応じて加工助剤を使用することができる。 加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−マレイミド共重合体等が挙げられる。
【0057】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その特性を損わない限りにおいて、その目的に応じて顔料、防曇剤、抗菌剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、結晶核剤、耐熱向上剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0058】
改質剤(A)の熱可塑性樹脂(B)への添加は、例えば、押出混練、ロール混練等従来より知られる方法で溶融混練することによって行うことができる。また、本発明の改質剤と、熱可塑性樹脂(B)の一部を混合してまずマスターバッチを作製し、熱可塑性樹脂(B)の残部をさらに添加、混合するなどの多段階混合も可能である。
本発明の改質剤を添加した熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては、例えば、カレンダー成形、熱成形、押出ブロー成形、発泡成形、押出成形、射出成形、溶融紡糸等が挙げられる。中でも、押出ブロー成形、押出成形、射出成形が好ましい。
【0059】
本発明の改質剤を添加した熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる有用な成形品としては、例えば、押出成形によるシート、フィルムおよび異型成形品;押出ブロー成形や射出成形による中空成形体、射出成形体等が挙げられる。その具体例としては、自動車のバンパー、スポイラー、サイドモール、シーリングや内装材、OA機器の筐体、窓枠、棚板、床材、壁材等の建材等が挙げられる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。また、諸物性の測定は以下の方法により実施した。
【0061】
(1)固形分濃度
粒子分散液を180℃で30分間乾燥して求めた。
(2)粒子径測定
改質剤粒子の分散液を蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。すなわち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力約4000psi(2600KPa)および温度35℃を保った状態で、濃度約3%の希釈ラテックス試料0.1mlを測定に用いた。標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(3)ガラス転移温度(Tg)
重合体(A−2)のガラス転移温度(Tg)は、以下に示すFox式を用いて算出した(非特許文献1参照)。
Fox式 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+〜=■Wi/Tgi
(ここで、Tgiはi成分の重合体のTg、Wiはi成分の重量分率を示す。)また、i成分の重合体のガラス転移温度(Tg)は非特許文献2に記載の値を用いた。
【0062】
(4)粉体の流動性測定
JIS K6721に準拠した嵩比重計(筒井理化学器械(株)製)を用いて測定を行った。この測定においては、嵩比重計の漏斗に粉体を充填したのち、漏斗から粉体を10秒間流して、流れ出た粉体を計量して、粉体の流動性(g/10sec)の指標とした。用いた漏斗の出口の径は8mmである。
10秒間に流れ出る粉体の量が多いほど、粉体の流動性が良好である事を意味している。実作業においても、流動性の良好な粉体は取扱性も良好であることを意味する。
(5)粉体の貯蔵安定性測定
アクリル樹脂製の容器に粉体20gを充填して、5Kgの重りを容器上に載せた状態で、オーブン内を50℃としたギヤオーブン(タバイ(株)製 GHPS−222)に入れて6時間放置し、その後取り出して室温にて冷却して、粉体のブロックを作製した。この粉体のブロックを目開きが12メッシュの篩に載せて、振動ふるい機(筒井理化学器械(株)製、ミクロ形電磁振動ふるい機M−2)で破砕し、破砕量が60%に到達した時点の時間、即ち、60%破砕時間を粉体の貯蔵安定性の目安とした。
この60%破砕時間が短いほど、実際に粉体を貯蔵しておいた際に粉体が固まりにくく、固まった場合でも容易に粉体の塊を崩せる事が経験上判っている。また、固まりやすい粉体は塊を崩しても元には戻りにくく、このような粉体を熱可塑性樹脂に添加した場合には熱可塑性樹脂中における分散性不良、成形品外観や難燃性の低下を生じやすくなる。
【0063】
(6)熱可塑性樹脂中における分散性評価
上記(5)の粉体の貯蔵安定性の評価において、60%は最良に到達した時点の粉体をポリカーボネート樹脂に添加して作製したUL94規格に従った厚み1.6mmの垂直型燃焼試験用試験片中の凝集物の有無の観察を透過光で目視にて行い、以下の基準にて判定した。
○:試片中に凝集物を認めない。
×:試片中に凝集物を認めた。
(7)燃焼性試験:
UL94規格に従い、垂直型燃焼試験を実施した。試験片は1.6mm厚のものを用いた。
(8)アイゾット衝撃強さ試験
ASTM D256に準拠して、3.2mm厚・ノッチ付きの試験片を用いて23℃にて測定した。
(9)引張試験
ASTM D638に準拠して、引張強度および引張伸度を測定した。
(10)表面外観の観察
射出成形した試験片の表面外観を目視にて観察し以下の基準にて判定した。
○:表面にブツ無し。
×:表面にブツ有り。
【0064】
<実施例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A1)>
ポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液(旭フロロポリマーズ社製フルオンAD936、固形分濃度60.0%、平均粒子径0.30μm)83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水156.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル40質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、n−オクチルメルカプタン0.2質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を加えてから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。そして、所用攪拌動力が0.15kw/m3となるように攪拌を開始した。反応容器内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.015、ロンガリット塩0.2質量部、蒸留水10質量部とから混合液を加えて、重合体(A1−2)の重合を開始した。重合開始から90分間保持して重合体(A1−2)の重合を終了した。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、均一な熱可塑性樹脂用改質剤(A1)の分散液が得られた。得られた分散液の固形分は34.6%であった。
【0065】
この分散液中における重合体(A1−2)粒子の平均粒子径は0.95μmであった。また、算出した重合体(A1−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0066】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、75℃にまで昇温した。内部の温度が75℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A1)100質量部に対して、2.5質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A1)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A1)を得た。
【0067】
<実施例2:熱可塑性樹脂用改質剤(A2)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、蒸留水220質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部、メタクリル酸メチル80質量部、アクリル酸n−ブチル20質量部、n−オクチルメルカプタン0.2質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を仕込み、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、系内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(II)0.0005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0015質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合を開始した。重合開始より90分間保持して重合を終了し、重合体(A2−2)粒子の水性分散液を得た。得られた重合体(A2−2)粒子の水性分散液の固形分濃度は30.4%であった。
【0068】
この粒子分散液中における重合体(A2−2)粒子の平均粒子径は0.075μmであった。また、算出した重合体(A2−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0069】
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた別の反応容器に、重合体(A2−2)粒子水性分散液を164.5質量部(固形分として50質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A2−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.07kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A2)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.9%であった。
【0070】
攪拌機、熱電対付きの容器に純水100部を加えて、80℃にまで昇温した。内部の温度が80℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A2)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A2)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A2)を得た。
【0071】
<実施例3:熱可塑性樹脂用改質剤(A3)>
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた容器に、製造例2で得た重合体(A2−2)粒子水性分散液を98.7質量部(固形分として30質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。それから、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液116.7質量部(固形分として70質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.1kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A3)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.8%であった。
【0072】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、83℃にまで昇温した。内部の温度が83℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A3)100質量部に対して、6質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A3)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A3)を得た。
【0073】
<実施例4:熱可塑性樹脂用改質剤(A4)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に仕込み、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A4−1)粒子分散液66.7質量部(固形分として40質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込んだ。次いで、蒸留水163.3質量部とN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム3.5質量部とからなる混合液を加え、窒素気流を1時間通ずる事によって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。それから内部の温度を55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、過硫酸カリウム0.2質量部、蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、所用攪拌動力が0.25kw/m3となるように攪拌を調整してから、メタクリル酸メチル18質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.019質量部の混合物を滴下口より10分間かけて滴下を行うことによって、重合を開始した。重合開始から60分間保持したのち、内部の温度を66℃まで昇温した。内部の温度が66℃になった時点でスチレン19.8質量部、アクリル酸n−ブチル13.2質量部、n−オクチルメルカプタン0.1質量部の混合物を90分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持した。保持終了後、メタクリル酸メチル9質量部、n−オクチルメルカプタン0.05質量部の混合物を30分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持したのち、重合体(A4−2)の重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A4)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は34.1%であった。
【0074】
この分散液中における重合体(A4−2)粒子の平均粒子径は0.07μmであった。また、算出した重合体(A4−2)のガラス転移温度(Tg)は52℃であった。
【0075】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、75℃にまで昇温した。内部の温度が75℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A4)100質量部に対して、5質量部の酢酸カルシウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A4)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A4)を得た。
【0076】
<実施例5:熱可塑性樹脂用改質剤(A5)>
実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水163.3質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム3質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル15質量部、メタクリル酸n−ブチル25質量部、n−オクチルメルカプタン0.012質量部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.019質量部とからなる混合物を加えたのち、窒素気流を1時間通ずることによって、反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。それから内部の温度を55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、所用攪拌動力が0.37kw・m3となるように攪拌を調整してから、硫酸鉄(II)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて重合を開始した。重合開始から60分間保持したのち、内部の温度を65℃まで昇温した。内部の温度が65℃になった時点でメタクリル酸メチル10質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05質量部の混合物を10分間かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、60分間保持してから、重合体(A5−2)の重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A5)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は34.6%であった。
【0077】
この分散液中における重合体(A5−2)粒子の平均粒子径は0.075μmであった。また、算出した重合体(A5−2)のガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
【0078】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、78℃にまで昇温した。内部の温度が78℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A5)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A5)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A5)を得た。
【0079】
<比較例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A6)>
メタクリル酸ドデシル70質量部とメタクリル酸メチル30質量部との混合液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を溶解させた。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量部と蒸留水300質量部の混合液を添加して、ホモミキサーにて10000rpmで4分間攪拌したのち、ホモジナイザー に30MPaの圧力で2回通し、安定なメタクリル酸ドデシル/メタクリル酸メチル予備分散液を得た。これを攪拌翼、コンダンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、窒素気流下で内温80℃に昇温して重合を開始せしめ、この状態を3時間保持したのち、重合を終了して重合体(A6−2)粒子分散液を得た。
【0080】
この分散液中における重合体(A6−2)粒子の固形分は25.1%、平均粒子径は0.19μmであった。また、算出した重合体(A6−2)のガラス転移温度(Tg)は−30℃であった。
【0081】
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液33.3質量部(固形分として20質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込んだ。次いで、239質量部の重合体(A6−2)(固形分として60質量部)を仕込んでから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、所用攪拌動力が0.46kw/m3となるように攪拌を開始してから、内部を80℃まで昇温した。内部の温度が80℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.24質量部、蒸留水7.7質量部の混合液を加えた後、メタクリル酸メチル20質量部とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1質量部との混合物を滴下口より30分間かけて滴下することによって、重合体(A6−2)の重合を行った。滴下終了後、1時間保持して重合を終了させて熱可塑性樹脂用改質剤(A6)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は33.8%であった。
【0082】
この分散液中における重合体(A6−2)粒子の平均粒子径は0.2μmであった。また、算出した重合体(A6−2)のガラス転移温度(Tg)は−6℃であった。
【0083】
<比較例2:熱可塑性樹脂用改質剤(A7)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に、実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込み、次いで、蒸留水151.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、それから窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。次いで、反応容器内を60℃に昇温して内部の液温が60℃になった時点で、所用攪拌動力が0.2kw/m3となるように攪拌を調整してから、硫酸鉄(■)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.15質量部、蒸留水15質量部とからなる混合液を加えて、さらにアクリロニトリル10質量部、スチレン40質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15質量部の混合物を滴下口より180分間の滴下を開始することによって、熱可塑性重合体(A7−2)の重合を開始した。滴下終了後から90分間保持したのち、重合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A7)の分散液を得た。得られた分散液の固形分は、33.1%であった。
【0084】
この分散液中における重合体(A7−2)粒子の平均粒子径は0.15μmであった。また、算出した重合体(A7−2)のガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
【0085】
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100部を加えて、内部の温度を95℃まで昇温した。内部の温度が95℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A7)100質量部に対して、4質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A7)分散液100質量部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、99℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A7)を得た。
【0086】
<比較例3:熱可塑性樹脂用改質剤(A8)>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、蒸留水220質量部、アルケニルコハク酸ジカリウム3.0質量部、アクリロニトリル20質量部、スチレン80質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2質量部を仕込み、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。その後、系内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(II)0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、ロンガリット塩0.2質量部および蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合を開始した。重合開始より90分間保持して重合を終了し、重合体(A8−2)粒子の水性分散液を得た。得られた重合体(A8−2)粒子の水性分散液の固形分濃度は30.0%であった。
【0087】
この分散液中における重合体(A8−2)粒子の平均粒子径は0.094μmであった。また、算出した重合体(A8−2)のガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
【0088】
攪拌翼、熱電対、滴下口を備えた別の反応容器に、重合体(A8−2)粒子水性分散液を166.7質量部(固形分として50質量部)を加え、系内部を攪拌しながら55℃まで昇温した。内部の温度が55℃になった時点で、攪拌を停止した。実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より添加した。添加を終了したのち、所用攪拌動力が0.07kw/m3となるように攪拌を行いながら、この状態を30分間保持したのち、粒子分散液同士の混合を終了して熱可塑性樹脂用改質剤(A8)の分散液を得た。一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた分散液の固形分は、34.3%であった。
【0089】
攪拌機、熱電対付きの容器に純水100部を加えて、95℃にまで昇温した。内部の温度が95℃になった時点で熱可塑性樹脂用改質剤(A8)100質量部に対して、5質量部の硫酸アルミニウムを溶解した水溶液120質量部と、熱可塑性樹脂用改質剤(A8)分散液100部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、98℃まで内部を昇温して、この状態を20分間保持した。それから、この析出物を分離し、濾過、洗浄、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有熱可塑性樹脂用改質剤(A8)を得た。
【0090】
<参考例1:熱可塑性樹脂用改質剤(A9)>
実施例1で使用したポリテトラフルオロエチレン(A1−1)粒子分散液83.3質量部(固形分として50質量部)をロータリーローブポンプ(東興産業(株)製バイキングIC30S−D)を用いて、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に仕込み、次いで、蒸留水156.7質量部とアルケニルコハク酸ジカリウム2.0質量部とからなる混合液を加え、さらにメタクリル酸メチル40質量部、アクリル酸エチル10質量部、n−オクチルメルカプタン0.3質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3質量部を加えてから、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。そして、所用攪拌動力が2kw/m3となるように攪拌を調整した。反応容器内を55℃に昇温して内部の液温が55℃になった時点で、硫酸鉄(■)0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.015質量部、ロンガリット塩0.3質量部と蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、重合体(A9−2)の重合を開始した。重合開始から90分間保持したが、90分間保持の間に固形物の分離が認められ、重合を終了した時点での分散液中の固形分は9%であった。この分散液を180℃で30分間乾燥して固形分を回収して、得られた固形分を室温にてアセトンに溶解させたところ、固形分は全て溶解した。したがって、分散液中のポリテトラフルオロエチレンは保持の間に全量分離したことを確認した。
【0091】
<実施例1〜5、比較例1〜4>
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた粉体の粒度を表1に、粉体の流動性の評価結果を表2に、粉体の貯蔵安定性についての評価結果を表3に示す。
なお、比較例4は、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(旭硝子フロロポリマーズ(株)製フルオンCD1の粉体を評価した結果である。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
<実施例6〜10、比較例5〜9>
A1〜A8の粉体を、ポリカーボネート樹脂と表4に示した質量比でヘンシェルミキサーにて混合した混合物を、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いてシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)により射出成形を行って、UL94規格に従った厚み1.6mmの垂直型燃焼試験用試験片を得た。
この試験片を用い、分散性評価を行った結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
<実施例11〜15、比較例10〜14>
表5に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
<実施例16〜20、比較例15〜19>
表6に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】
<実施例21〜25、比較例20〜24>
表7に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表7に示す。
【0102】
【表7】
【0103】
<実施例26〜30、比較例25〜29>
表8に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度260℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表8に示す。
【0104】
【表8】
【0105】
<実施例31〜35、比較例30〜34>
表9に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度260℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表9に示す。
【0106】
【表9】
【0107】
<実施例36〜40、比較例35〜39>
表10に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表10に示す。
【0108】
【表10】
【0109】
<実施例41〜45、比較例40〜44>
表11に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表11に示す。
【0110】
【表11】
【0111】
<実施例46〜50、比較例45〜49>
表12に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表12に示す。
【0112】
【表12】
【0113】
<実施例51〜55、比較例50〜54>
表13に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表13に示す。
【0114】
【表13】
【0115】
<実施例56〜60、比較例55〜59>
表14に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度250℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表14に示す。
【0116】
【表14】
【0117】
<実施例61〜65、比較例60〜64>
表15に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度220℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度220℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度220℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表15に示す。
【0118】
【表15】
【0119】
<実施例66〜70、比較例65〜69>
表16に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度280℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表16に示す。
【0120】
【表16】
【0121】
<実施例71〜75、比較例70〜74>
表17に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表17に示す。
【0122】
【表17】
【0123】
<実施例76〜80、比較例75〜79>
表18に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表18に示す。
【0124】
【表18】
【0125】
<実施例81〜85、比較例80〜84>
表19に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度240℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度240℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度240℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表19に示す。
【0126】
【表19】
【0127】
<実施例86〜90、比較例85〜89>
表20に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表20に示す。
【0128】
【表20】
【0129】
<実施例91〜95、比較例90〜94>
表21に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した同方向二軸押出機(JSW(株)製TEX−30α)で賦形し、ペレットを作製した。次いで、このペレットを用いて、燃焼性試験用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(山城精機製作所(株)製SAV−60)、物性評価用はシリンダー温度230℃、金型温度60℃に設定した射出成形機(名機製作所(株)製M−100AII−DM)により射出成形を行って、それぞれ試験片を得た。
これら組成物の評価結果を表21に示す。
【0130】
【表21】
【0131】
なお、表5〜表21中の配合成分として記載される、樹脂、添加剤等は、具体的には以下のものを使用した。
・「PC樹脂」:ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンS−2000F
・「PBT樹脂」:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名タフペットN1000
・「PPE樹脂」:ポリフェニレンエーテル樹脂
用いたポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルであり、還元粘度は25℃における0.1%クロロホルム溶液で、ウベローデ型粘度計にて測定したところ、0.59であった。
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K
・「Ny6樹脂」:ポリアミド樹脂、宇部興産(株)製、商品名UBEナイロン1013B
・「PP樹脂」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP BC6
・「PE樹脂」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LC525
・「グラフト共重合体1」:ABSグラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名R−80
・「グラフト共重合体2」:アクリロニトリル−ブチルアクリレート−スチレン)グラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名MUX−80
・「グラフト共重合体3」:アクリロニトリル−ブチルアクリレート−シリコーン)グラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名RK−200
・「ビニル系共重合体」:アクリロニトリル−スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名AP−20
・「難燃剤1」:トリフェニルフォスフェート、大八化学工業(株)製、商品名TPP
・「難燃剤2」:テトラビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、帝人化成(株)製、商品名ファイヤーガードFG−7500
・「難燃剤3」:パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、大日本インキ化学工業(株)製、商品名メガファックF114
・「難燃剤4」:ハロゲン化エポキシオリゴマー、Bromine Compounds Ltd.製、商品名F2400
・「難燃剤5」:赤燐、リン化学工業(株)製、商品名ノーバレッド1200
・「難燃剤6」:水酸化マグネシウム、協和化学工業(株)製、商品名キスマ5A
・「難燃助剤」:三酸化アンチモン、日本精鉱(株)製、商品名パトックスM
・「PTFEパウダー1」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子(株)製、商品名アフロンPTFE CD−1。
「PTFEパウダー2」:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン(株)製、商品名F201L。
【0132】
<実施例96〜100、比較例95〜104>
表22に示す熱可塑性樹脂100部に対して、熱可塑性樹脂用改質剤(A2)0.6部(PTFEを0.3部含有)若しくはPTFEパウダー0.3部を添加し、スクリュー径40mmのブロー成形機によりボトル成形を行った。評価結果を表22に示す。
【0133】
【表22】
【0134】
表22に示す熱可塑性樹脂としては以下のものを用い、以下の条件下で成形を行った。
・「ABS樹脂」:三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット3001。成形条件:シリンダー温度(C1)180℃、(C2)200℃、(C3)200℃、ヘッド200℃、ダイス200℃
・「PC樹脂」:ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバレックス7022A。成形条件:シリンダー温度(C1)230℃、(C2)260℃、(C3)270℃、ヘッド270℃、ダイス280℃
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトA−200。成形条件:シリンダー温度(C1)280℃、(C2)280℃、(C3)280℃、ヘッド260℃、ダイス260℃
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K。 成形条件:シリンダー温度(C1)160℃、(C2)180℃、(C3)200℃、ヘッド:200℃、ダイス:210℃
・「PE樹脂」:ポリエチレン樹脂、三井化学(株)製、商品名ハイゼックス7000F。成形条件:シリンダー温度(C1)150℃、(C2)165℃、(C3)175℃、ヘッド175℃、ダイス175℃
また、PTFEパウダーとしては以下のものを用いた。
・「PTFEパウダー」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0135】
各種評価は以下の方法により行った。
(a)「成型時のドローダウン」
成形時におけるパリソンのドローダウンを、以下の基準に従い、目視にて判定した。
○:ダイスウェルが大きくドローダウン無し。
×:ダイスウェルが小さくドローダウン有り。
(b)「ボトルの外観」
得られたボトルの外観を、以下の基準に従い、肉眼により判定した。
○:光沢が良好で、かつ肌荒れが無い。
×:光沢に乏しく、肌荒れが目立つ。
【0136】
<実施例101〜132、比較例105〜123>
表23〜26に示す質量比で各成分を混合し、シリンダー温度230℃に設定した50mm単軸押出機(IKG(株)製)にて押出成形を行い、幅80mm、厚み3mmの熱可塑性樹脂組成物のシートを作製した。
評価結果を表23〜表26に示す。
【0137】
なお、評価は以下の方法により行った。
(a)表面外観
得られたシートを目視にて観察し、以下の基準にて判定した。
○:肌荒れ、ささくれ、PTFEの分散不良と思われるブツの発生が無い。
×:肌荒れ、ささくれ、PTFEの分散不良と思われるブツの発生が有る。
(b)プレートアウト
2ロールミルを用いて、成形中のロール表面の汚れを観察した。
○:ロール表面い汚れ無し
△:ロール表面が少し汚れた
×:ロール表面が非常に汚れた
【0138】
また、表23〜26中の配合成分としては、以下のものを用い、成形は以下の条件で行っている。
・「PP樹脂1」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP BC06C、成形温度:230℃
・「PP樹脂2」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP FY−6C、成形温度:230℃
・「PE樹脂1」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD HY540、成形温度:210℃
・「PE樹脂2」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LJ801N、成形温度:210℃
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K、成形温度:230℃。
・「ABS樹脂」:ゴム強化したアクリロニトリル/スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット、成形温度:200℃。
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトPA−200、成形温度:250℃。
・「生分解性樹脂」:ポリ乳酸系樹脂、島津製作所(株)製、商品名ラクティ9400、成形温度:220℃。
・「リサイクルPP樹脂」:PP樹脂1を押出、賦形、粉砕のサイクルを2回繰り返したものを用いた。成形温度:230℃
・「バンパー粉砕品」:PP樹脂を主成分とする自動車バンパーを破砕、ペレット状にしたものである。本発明では具体例としてTSOPを用いた。成形温度:240℃。
・「リサイクルPET樹脂」:分別回収された飲料用等の使用済みPETボトルからPET以外の素材を除去したのち、弱アルカリ性水溶液および水にて洗浄してから湿式粉砕を行ったのち、比重差を利用してPET樹脂以外の樹脂や金属片を分離する事によって得られたPETボトルの粉砕品。成形温度:250℃。
・「PTFEパウダー1」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0139】
【表23】
【0140】
【表24】
【0141】
【表25】
【0142】
【表26】
【0143】
<実施例133〜149、比較例124〜136>
表27、28に示す質量比で各成分を混合し、50mm単軸押出機(IKG(株)製)にて押出発泡成形を行い、幅80mm、厚み5mmの発泡体シートを作製した。
評価結果を表27,28に示す。
【0144】
なお、評価は以下の方法により行った。
(a)成形品中の発泡セル状態
発泡体シートの断面を観察、以下の基準で判定した。
○:シートの表面近傍と中心部とでセルの大きさの比が2倍を超えないもの
×:シートの表面近傍と中心部とでセルの大きさの比が2倍を超えるもの
(b)成形品の表面外観
発泡体シートの表面を目視観察して、以下の基準で判定した。
○:シートの表面に破泡の跡が認められず、表面が平滑である。
×:シートの表面に破泡の跡が認められ、表面に凹凸が生じている。
【0145】
表27〜28中の配合成分としては以下のものを用い、成形は以下の条件下で行った。
・「PP樹脂」:ポリプロピレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP FY−6C、成形温度:230℃
・「PE樹脂1」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD HJ580、成形温度:210℃
・「PE樹脂2」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLD LC720、成形温度:210℃
・「PE樹脂3」:ポリエチレン樹脂、日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックLL UJ370、成形温度:210℃
・「PET樹脂」:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナイトKR−560、成形温度:250℃
・「リサイクルPP樹脂」:PP樹脂1を押出、賦形、粉砕のサイクルを2回繰り返したものを用いた。成形温度:230℃
・リサイクルPET樹脂:分別回収された飲料用等の使用済みPETボトルからPET以外の素材を除去したのち、弱アルカリ性水溶液および水にて洗浄してから湿式粉砕を行ったのち、比重差を利用してPET樹脂以外の樹脂や金属片を分離する事によって得られたPETボトルの粉砕品。成形温度:250℃。
・「PS樹脂」:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、商品名G440K、
成形温度:230℃。
・「ABS樹脂」:ゴム強化したアクリロニトリル/スチレン共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤペット3001、成形温度:200℃。
・「PTFEパウダー」:ポリテトラフルオロエチレン、旭硝子フロロポリマーズ(株)製、商品名アフロンCD1
【0146】
【表27】
【0147】
【表28】
【0148】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性用改質剤を用いると、熱可塑性樹脂に添加した際のポリテトラフルオロエチレンの分散性が高く、少量添加で難燃性や機械的性質等の諸物性が向上するとともに、充填剤の分散性向上や、さらには均一な発泡セルを有する外観良好な発泡体が得られる。
Claims (16)
- ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜98℃である重合体(A−2)とからなる熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 平均粒子径が0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた水性分散液中で乳化重合を行うことにより、ガラス転移点(Tg)が40℃〜98℃であり、かつ平均粒子径が0.05〜1.0μmの重合体(A−2)粒子を形成させたのち、この水性分散液を凝固もしくは噴霧乾燥して得られた請求項1記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 乳化重合により、ガラス転移温度(Tg)が40〜98℃であり、かつ平均粒子径が0.05〜1.0μmである重合体(A−2)粒子を形成させた水性分散液に対して、平均粒子径が0.05〜1.0μmであるポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた水性分散液を混合させて得られる水性分散液を凝固もしくは噴霧乾燥して得られた請求項1記載の熱可塑性用樹脂用改質剤(A)。
- 重合体(A−2)が、1種または2種以上のビニル系単量体を重合させて得られる硬質重合体であることを特徴とする請求項1〜3記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- ビニル系単量体が、炭素数1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族アルケニル化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 熱可塑性樹脂用改質剤(A)中におけるポリテトラフルオロエチレン(A−1)の含有量が、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)と重合体(A−2)の合計量100質量%を基準として、0.01〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 重合体(A−2)粒子を形成させる際に水性分散液を攪拌する所要攪拌動力(PV)が、0.02〜1.5Kw/m3であることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- ポリテトラフルオロエチレン(A−1)粒子を分散させた水性分散液を混合する際の所要攪拌動力(PV)が、0.02〜1.5Kw/m3であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 凝固を行う際、(Tg+15〜Tg+30)℃の温度範囲で水性分散液から固形分を析出させることを特徴とする請求項1〜8記載の何れか1項記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 噴霧乾燥を行う際、噴霧乾燥装置の入口温度を、(Tg+50〜Tg+100)℃の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- #14メッシュにて篩別された後の粉体中に含まれる1000μm以上の粒子径の粉体が15%以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項記載の熱可塑性樹脂用改質剤(A)。
- 熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン(A−1)の添加量が0.001〜20質量部となるように、請求項1〜11の何れか1項記載の熱可塑性改質剤(A)を添加した熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項12記載の熱可塑性樹脂組成物に、更に難燃剤(C)が添加されてなる熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項12又は13記載の熱可塑性樹脂組成物に、更に充填剤(D)が添加されてなる熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項12〜14の何れか一項記載の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形、押出成形または押出ブロー成形して得られた成形品。
- 請求項12〜14の何れか一項記載の熱可塑性樹脂組成物を、射出発泡成形又は押出発泡成形して得られた成形品。
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