JP7301010B2 - 複合重合体粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、フルオロポリマー及びアクリルポリマーからなる複合重合体粒子及びその製造方法に関する。
特許文献1には、フッ素系重合体本来のすぐれた性能を保持しながら、フッ素系重合体の欠点を改良した水性重合体分散液を提供することを目的として、水媒体中において、フッ素系重合体をシードポリマーとし、これらフッ素系重合体粒子の存在下に、エチレン性不飽和単量体を乳化重合させる水性重合体分散液の製造方法が記載されている。
特許文献2には、含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解してえられる重合体溶液を乳化重合に供することを特徴とする含フッ素複合重合体粒子の水性分散体の製法が記載されている。
特許文献3には、含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製し、該重合体溶液を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合し、含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する乳化重合工程、および該含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体にエチレン性不飽和基含有単量体(c)を加えて含フッ素複合重合体粒子(II)中に含浸させつつエチレン性不飽和基含有単量体(c)を重合する含浸重合工程を含む複合粒子(III)の水性分散体の製法が記載されている。
特開昭62-32102号公報 国際公開第2007/15477号 特開2009-242479号公報
しかしながら、従来の複合重合体粒子よりも透明性に優れたクリア塗膜を形成することができる複合重合体粒子が求められている。
本発明は、上記現状に鑑み透明性に優れた塗膜を形成することができる複合重合体粒子を提供することを目的とする。
本発明は、また、上記現状に鑑み透明性に優れた塗膜を形成することができる複合重合体粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)とを同一粒子内に含み、示差走査熱量測定により得られる示差走査熱量測定曲線から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下であることを特徴とする複合重合体粒子である。
フルオロポリマー(A)は、ビニリデンフルオライド単位を含むことが好ましい。
フルオロポリマー(A)は、ビニリデンフルオライド単位と、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位とを含むことが好ましい。
アクリルポリマー(B)は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位を含むことが好ましい。
アクリルポリマー(B)は、メタクリル酸エステル単位と、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位とを含むことが好ましい。
フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)との質量比(A/B)が10/90~75/25であることが好ましい。
本発明は、上記複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体でもある。
上記水性分散液は、塗料であることが好ましい。
本発明は、上記水性分散体から得られることを特徴とする塗膜でもある。
本発明は、基材と、上記水性分散体から得られる塗膜とを含むことを特徴とする塗装物品でもある。
本発明は、フルオロポリマー(A)からなる粒子を含む水性分散体(1)を調製する工程(1)、水性分散体(1)に、アクリルモノマーを添加して、添加した上記アクリルモノマーの少なくとも95質量%が消費されるまで、上記アクリルモノマーを重合することにより、中間体粒子を含む水性分散体(2)を得る工程(2)、及び、更に、水性分散体(2)に、上記アクリルモノマーを添加して、アクリルモノマーを重合することにより、水性分散体(3)に分散した複合重合体粒子を得る工程(3)を含むことを特徴とする複合重合体粒子の製造方法でもある。
本発明の複合重合体粒子は、上記構成を有することから透明性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の塗膜及び塗装物品は、上記構成を有することから透明性に優れている。
本発明の製造方法は、上記構成を有することから透明性に優れた塗膜を形成することができる複合重合体粒子を製造することができる。
実施例4で得られた複合重合体粒子のDSC曲線を示す図である。 比較例1で得られた複合重合体粒子のDSC曲線を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の複合重合体粒子は、フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)とを同一粒子内に含む。フルオロポリマー(A)及びアクリルポリマー(B)は単一粒子中に存在する。この点で本発明の含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体は、フルオロポリマー(A)及びアクリルポリマー(B)を単に混合することにより形成された水性分散体とは相違する。フルオロポリマー(A)及びアクリルポリマー(B)は化学的に結合していない。
本発明の複合重合体粒子は、示差走査熱量測定(以下、DSC(Differential scanning calorimetry)ともいう)により得られる示差走査熱量測定曲線(以下、DSC曲線ともいう)から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下であることを特徴とする。図1は、実施例4で得られた複合重合体粒子のDSC曲線を示す図である。上記複合重合体粒子は、フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)とを上記の質量比で含むにも関わらず、DSC測定により、ゆるやかに傾斜する曲線が得られ、小さい微分値ピーク強度が算出される。
一方、フルオロポリマー(A)又はアクリルポリマー(B)のDSC曲線には、明確なベースラインシフトが認められ、大きい微分値ピーク強度が算出される。フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)とを混合して得られる組成物のDSC曲線には、前者の融点を示す吸熱ピークと後者のガラス転移温度を示すベースラインシフトが認められ、大きい微分値ピーク強度が算出される。更に、従来の複合重合体粒子のDSC曲線にも、明確なベースラインシフトが認められ、大きい微分値ピーク強度が算出される。図2は、比較例1で得られた従来の複合重合体粒子のDSC曲線を示す図である。図2から明らかであるように、従来の複合重合体粒子のDSC曲線には明確なベースラインシフトが認められる。
上記DSCは次の方法により行う。
示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e、計算ソフト:STARe)を用いて測定する。測定の方法は、40~50ml/minで窒素パージしながら試料10mgを-50℃で8分間保持した後に、80℃まで20℃/minで昇温する(以下、1stRunという)。80℃到達後すぐに100℃/minで降温し、再度、-50℃で8分間保持した後に、80℃まで20℃/minで昇温する(以下、2ndRunという)。DSC曲線とその微分曲線が得られる。2ndRunの微分曲線のピークにピーク開始から終了までのベースラインを引き、ピークトップからベースラインまでのピーク強度を図り取り、これを微分値ピーク強度とする。
本発明の複合重合体粒子は、微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下であることから、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる。複数の微分値ピーク強度が得られる場合は、全ての微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下であることが必要である。上記微分値ピーク強度は、2.0×10-2mW/℃以下であることが好ましく、1.9×10-2mW/℃以下であることがより好ましい。下限は特に限定されないが、1.0×10-3mW/℃であってよい。
上記複合重合体粒子は、フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)との質量比(A/B)が10/90~75/25であることが好ましい。質量比(A/B)は、40/60以上であることがより好ましく、70/30以下であることがより好ましい。質量比(A/B)が大きすぎると、得られる塗膜の造膜性や、初期耐水性及び耐ブロッキング性が劣り、また、製造コストが大きくなりがちである。質量比(A/B)が小さすぎると、得られる塗膜の耐候性や透明性が劣る傾向がある。
フルオロポリマー(A)は、フルオロオレフィンに基づく繰り返し単位(フルオロオレフィン単位)を含むものである。上記フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、
Figure 0007301010000001
などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペンなどの非パーフルオロオレフィンが挙げられる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などが挙げられる。
また、上記フルオロオレフィンとして、官能基含有フルオロオレフィンも使用できる。
上記官能基含有フルオロオレフィンとしては、例えば、一般式:
CX =CX-(Rf)-Y
(式中、Yは-OH、-COOM、-SOF、-SO(Mは水素原子、NH基またはアルカリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エポキシ基またはシアノ基;XおよびXは同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子;Rfは炭素数1~40の2価の含フッ素アルキレン基若しくは含フッ素オキシアルキレン基、または炭素数2~40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基若しくは含フッ素オキシアルキレン基;mは0または1)で示される化合物が挙げられる。
上記官能基含有フルオロオレフィンの具体例としては、例えば、
Figure 0007301010000002
Figure 0007301010000003
等が挙げられる。
上記フルオロオレフィンとして、ヨウ素含有モノマー、例えば、特公平5-63482号公報や特開昭62-12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6-ジヒドロ-6-ヨード-3-オキサ-1-ヘキセン)、パーフルオロ(5-ヨード-3-オキサ-1-ペンテン)などのパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も使用できる。
なかでも、上記フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、クロロトリフロロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記フルオロオレフィンとしては、ビニリデンフルオライドと、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種と、であることがより好ましい。
フルオロポリマー(A)は、上記フルオロオレフィン単位の他に、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体単位を含んでいてもよい。上記フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類、ビニルエーテル系単量体、アリルエーテル系単量体、ビニルエステル系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体などが挙げられる。
フルオロポリマー(A)は、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性により一層優れる塗膜を形成することができることから、フルオロオレフィン単位として、ビニリデンフルオライド単位を含むことが好ましい。アクリルポリマー(B)との相溶性の観点からは、フルオロポリマー(A)は、ビニリデンフルオライド単位が、フルオロポリマー(A)を構成する全重合単位に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、95モル%以下であることが好ましい。フルオロポリマー(A)は、ビニリデンフルオライド単位と、更に、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンの単位を含むことがより好ましい。
フルオロポリマー(A)としては、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/HFP共重合体、及び、PVdFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、VdF/TFE/CTFE=40~99/1~50/0~30(モル%)、VdF/TFE=50~99/1~50(モル%)、VdF/TFE/HFP=45~99/0~35/5~50(モル%)、VdF/CTFE=40~99/1~30(モル%)、及び、VdF/HFP=50~99/1~50(モル%)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
アクリルポリマー(B)は、アクリルモノマーに基づく繰り返し単位(アクリルモノマー単位)を含む。上記アクリルモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
アクリルポリマー(B)は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位を含むことが好ましく、メタクリル酸エステル単位と、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位とを含むことがより好ましい。
アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~10のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に一層優れる塗膜が得られる点から、なかでも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、及び、グリシジルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、n-ブチルアクリレート及び2-エチルへキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステルであることが更に好ましい。上記アクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しない。
メタクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~10のメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。初期耐水性、耐ブロッキング性及び美観に一層優れる塗膜が得られる点から、なかでも、メチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及び、グリシジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、メチルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステルであることが更に好ましい。上記メタクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しない。
アクリルポリマー(B)は、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に一層優れる塗膜が得られることから、メタクリル酸エステル単位と、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位とを含むことが好ましく、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に一層に優れる塗膜が得られることから、メタクリル酸単位とメタクリル酸エステル単位とアクリル酸単位とアクリル酸エステル単位とを含むことがより好ましい。
アクリルポリマー(B)は、アクリルポリマー(B)の全構成単位に対して、1~10質量%のメタクリル酸単位と、5~90質量%のメタクリル酸エステル単位と、1~10質量%のアクリル酸単位と、5~90質量%のアクリル酸エステル単位とを含むことが更に好ましい。
アクリルポリマー(B)は、加水分解性シリル基含有単量体単位を含むものであってもよい。加水分解性シリル基含有単量体としては、
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)Si(OCH
CH=C(CH)Si(CH)(OCH
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC13
CH=CHSi(OC17
CH=CHSi(OC1021
CH=CHSi(OC1225
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CH(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(CH)(OCH
CH=CHCHOCO(o-C)COO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(o-C)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CHO(CHSi(OCH
CH=CHCHO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(CH10Si(OCH
等が挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
密着性、貯蔵安定性が良好な点から、なかでも、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
加水分解性シリル基含有単量体単位の含有量は、アクリルポリマー(B)の全構成単位に対して、0.1~2質量%であることが好ましい。0.1質量%より少ないと密着性が不充分となるおそれや、クリア塗膜の透明性が悪化するおそれがあり、2質量%を超えると造膜性及び貯蔵安定性が不安定となるおそれがある。より好ましい上限は1.5質量%である。より好ましい下限は0.2質量%である。
アクリルポリマー(B)は、不飽和カルボン酸類、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α-オレフィン類、芳香族ビニル単量体、エポキシ基含有単量体等の非フッ素化オレフィン単位を含むものであってもよい。
不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3-アリルオキシプロピオン酸、3-(2-アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸等が挙げられる。なかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくい点、カルボキシル基の導入を制御しやすい点から、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3-アリルオキシプロピオン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
水酸基含有アルキルビニルエーテル類の具体例としては、たとえば2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等が挙げられる。重合反応性が優れる点で、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
カルボン酸ビニルエステル類の具体例としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ-t-ブチル安息香酸ビニル等が挙げられる。カルボン酸ビニルエステル類を用いることで、本発明の水性分散体から得られる塗膜に、光沢の向上、ガラス転移温度の上昇等の特性を付与できる。
α-オレフィン類の具体例としては、たとえばエチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、スチレン等が挙げられる。α-オレフィン類を用いることで、本発明の水性分散体から得られる塗膜に、可とう性の向上等の特性を付与できる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類が例示できる。エポキシ基含有単量体の具体例としては、アリルグリシジルエーテル等が例示できる。
上述の複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体も本発明の一つである。上記水性分散体は、複合重合体粒子に加えて、更に、水を含む。水に加えて、アルコール、グリコールエーテル、エステル等の有機溶媒を含有してもよい。
上記水性分散体は、10~60質量%の複合重合体粒子を含むことができる。
上記水性分散体に、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することもできる。
上記水性分散体は、塗料として好適に利用できる。上記水性分散体を塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。例えば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装などの塗装方法により塗布して塗膜を形成した後、5~200℃で乾燥する方法が挙げられる。このような方法によって、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に優れる塗膜を形成することができる。
上述の水性分散体から得られることを特徴とする塗膜は、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に優れる。また、基材と、上述の水性分散体から得られる塗膜とを含む塗装物品は、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に優れる。上記塗装物品は、上記基材上に上記水性分散体を塗装することにより得られるものであることが好ましい。
上記基材としては、溶融めっき鋼板、ステンレススチール板、アルミニウム鋼板等の金属系基材;スレート、窯業系サイディング材、発泡コンクリート、ガラス等のセラミック系基材;塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルム等のプラスチック基材に適用できる。溶融めっき鋼板としては、たとえば溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛―アルミニウム―マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム-亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板等が挙げられる。
上述の水性分散体を基材に塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。たとえば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装等の塗装方法が採用できる。
塗装後の乾燥方法は特に制限されず、周囲温度での自然乾燥でもよいし、乾燥時間を掛けての低温(5~60℃)での乾燥でもよいが、上記水性分散体は、常温~200℃、特に60~200℃(基材温度)での強制乾燥においても、初期耐水性、耐ブロッキング性及び美観に優れた塗膜を形成することができる。強制乾燥に要する時間は、通常3秒間~10分間である。
上記塗料としては、耐候性塗料、特に建築・建材用の耐候性塗料、自動車の内・外装用塗料、電気製品の内・外装塗料、事務機器あるいは厨房器具類の塗料等が例示でき、特に耐候性・耐久性が良好な点から建材用の耐候性塗料に有利に適用できる。
上記塗装物品は、幅広い用途で使用可能である。例えば、電気製品(電子レンジ、トースター、冷蔵庫、洗濯機、ヘアードライヤー、テレビ、ビデオ、アンプ、ラジオ、電気ポット、炊飯機、ラジオカセット、カセットデッキ、コンパクトディスクプレーヤー、ビデオカメラなど)の内外装、エアーコンディショナーの室内機、室外機、吹き出口およびダクト、空気清浄機、暖房機などのエアーコンディショナーの内外装、蛍光燈、シャンデリア、反射板などの照明器具、家具、機械部品、装飾品、くし、めがねフレーム、天然繊維、合成繊維(糸状のもの、およびこれらから得られる織物)、事務機器(電話機、ファクシミリ、複写機(ロールを含む)、写真機、オーバーヘッドプロジェクター、実物投影機、時計、スライド映写機、机、本棚、ロッカー、書類棚、いす、ブックエンド、電子白板など)の内外装、自動車(ホイール、ドアミラー、モール、ドアのノブ、ナンバープレート、ハンドル、インスツルメンタルパネルなど)、あるいは厨房器具類(レンジフード、流し台、調理台、包丁、まな板、水道の蛇口、ガスレンジ、換気扇など)の塗装用として、間仕切り、バスユニット、シャッター、ブラインド、カーテンレール、アコーディオンカーテン、壁、天井、床などの屋内塗装用として、外装用としては外壁、手摺り、門扉、シャッターなどの一般住宅外装、ビル外装など、窯業系サイディング材、発泡コンクリートパネル、コンクリートパネル、アルミカーテンウォール、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルムなどの建築用外装材、サイディング材、窓ガラス、その他に広い用途を有する。
本発明の水性分散体を基材に塗装して得られる塗装物品としては、特にサイディング材が好ましい。サイディング材としては、例えば、窯業系サイディング材、金属系サイディング材、プラスチック系サイディング材等が挙げられる。
特に、窯業系サイディング材では、耐水性、耐候性や外観の向上等のため、表面にアクリル系、アクリルシリコン系、アクリルウレタン系の塗膜が形成されることが多いが、本発明の組成物から得られる塗膜は、アクリル系の塗膜にも強固に接着し、耐温水性に優れ、更に透明性にも優れる。すなわち、本発明の塗装物品は、窯業系サイディング材として特に好適である。窯業系サイディング材は、例えば、窯業系基材と、上記組成物を窯業系基材に塗装して得られる塗膜とを有するものであり、窯業系基材は、表面がアクリル樹脂からなるものであってもよい。
窯業系基材としては、従来公知のものを用いることができる。たとえばセメントを主とする水性スラリーの抄造により湿潤シートを得て、これを脱水プレス成形し、乾燥、養生硬化させたものや、セメント等の水性混練物を、押し出し成形、注型成形等することにより得られた成形体を硬化させたもの等、従来より公知の組成のものを使用することができる。窯業系基材は、成形体の表面にアクリル樹脂層を有するものであってもよい。
本発明の複合重合体粒子は、本発明の製造方法により製造できる。
本発明の製造方法は、
フルオロポリマー(A)からなる粒子を含む水性分散体(1)を調製する工程(1)、
水性分散体(1)に、アクリルモノマーを添加して、添加した上記アクリルモノマーの少なくとも95質量%が消費されるまで、上記アクリルモノマーを重合することにより、中間体粒子を含む水性分散体(2)を得る工程(2)、及び、
更に、水性分散体(2)に、上記アクリルモノマーを添加して、アクリルモノマーを重合することにより、水性分散体(3)に分散した複合重合体粒子を得る工程(3)
を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法は、フルオロポリマー粒子をアクリルモノマーに溶解させるのではなく、フルオロポリマー粒子の水性分散体を調製し、該水性分散体にアクリルモノマーを添加して、中間体粒子を含む水性分散体を得る点に特徴がある。本発明の製造方法は、更に、従来公知のシード重合ではなく、アクリルモノマーをシード重合した後、更にアクリルモノマーを重合する点にも特徴がある。これらの特徴によって、微分値ピーク強度が小さい複合重合体粒子を得ることができ、初期耐水性、耐ブロッキング性及び美観に優れた塗膜が形成できる。
特許文献3に記載の製造方法と一見近似しているが、含フッ素重合体をエチレン性不飽和基含有単量体に溶解して重合体溶液を調製してからエチレン性不飽和基含有単量体を重合すると、微分値ピーク強度が小さい複合重合体粒子を得ることができない。従って、初期耐水性、耐ブロッキング性及び透明性に優れた塗膜も得られない。
フルオロポリマー(A)からなる粒子を含む水性分散体(1)は公知の方法により調製することができる。
工程(2)は、水性分散体(1)に、上記アクリルモノマーを添加して、上記アクリルモノマーを重合することにより行う。上記重合は、フルオロポリマー(A)からなる粒子をシード粒子として、水中でアクリルモノマーを乳化重合させるシード重合である。水性分散体(1)は、フルオロポリマー(A)の他に、水、乳化剤等を含むものであってもよい。水性分散体(1)のフルオロポリマー(A)の固形分濃度は20~70質量%であってよい。
上記アクリルモノマーに加えて、重合開始剤を添加することが好ましい。上記アクリルモノマー及び上記重合開始剤は、上記アクリルモノマーを重合させながら添加してもよい。
上記アクリルモノマーの添加量は、合計で、フルオロポリマー(A)からなる粒子100質量部に対して20~300質量部であることが好ましく、25~230質量部であることがより好ましい。
工程(2)で使用する上記重合開始剤としては、水中でフリーラジカル反応に供し得るものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。使用可能な水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等をあげることができる。油溶性の重合開始剤としては、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等をあげることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記アクリルモノマー100質量部あたり、0.05~2.0質量部であることが好ましい。
上記アクリルモノマーに加えて、乳化剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤等を添加してもよい。
工程(2)で使用する上記乳化剤としては、反応性乳化剤でも非反応性乳化剤でも、またはそれらの併用でもよい。非反応性乳化剤としては、従来公知のアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤を単独またはこれらの併用が挙げられる。場合によっては両性乳化剤を用いることもできる。
工程(2)で使用する上記連鎖移動剤としては、たとえばクロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等のメルカプタン類等をあげることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記アクリルモノマー100質量部あたり0~5.0質量部であることが好ましい。
工程(2)において、上記アクリルモノマーの重合温度は10~90℃であってよく、重合時間は0.5~6時間であってよい。
工程(2)では、添加した上記アクリルモノマーの少なくとも95質量%が消費されるまで、上記アクリルモノマーを重合する。上記アクリルモノマーの消費量は、97質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
上記アクリルモノマーの消費量は、ガスクロマトグラフィーを使用して、水性分散体(2)に含まれる未反応の上記アクリルモノマーの量を測定し、次式により算出する。
消費量={(アクリルモノマー添加量)-(未反応のアクリルモノマー量)}/(アクリルモノマー添加量)×100
本発明の製造方法においては、工程(2)において添加した上記アクリルモノマーの大半を重合させた後に、工程(3)を開始させる必要がある。水性分散体(2)に多量の未反応のアクリルモノマーが残存していると、工程(2)におけるシード重合が完了せず、シード重合が完了しない状態で工程(3)を開始することになる。工程(2)におけるシード重合を完了させないと、微分値ピーク強度が小さい複合重合体粒子を得ることができない。
工程(2)において消費されたアクリルモノマーにより形成されるアクリルポリマー(b-1)は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることが好ましい。アクリルポリマー(b-1)のTgが上記範囲内にあることにより、DSC曲線から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下である複合重合体粒子を容易に製造することができる。アクリルポリマー(b-1)のTgは80℃以上であることがより好ましい。また、アクリルポリマー(b-1)のTgは150℃以下であってよい。
アクリルポリマー(b-1)のTgは、アクリルポリマー(b-1)を構成するモノマーの使用量(工程(2)におけるアクリルモノマーの消費量)から、下記のFoxの式を用いることにより算出する。
<Foxの式>
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg
Tg[K]:n種のモノマーからなるアクリルポリマー(b-1)のガラス転移温度(K)
Tg[K]:各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)
:各モノマーの重量分率であり、W+W+・・・+W=1である。
各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、示唆走査熱量計で測定して求めた値を使用できる。
工程(3)は、工程(2)の後、得られた水性分散体(2)に、上記アクリルモノマーを添加して、上記アクリルモノマーを重合することにより行う。上記重合は、上記中間体粒子をシード粒子として、水中で上記アクリルモノマーを乳化重合させるシード重合である。水性分散体(2)は、上記中間体粒子の他に、水、乳化剤等を含むものであってもよい。水性分散体(2)の上記中間体粒子の固形分濃度は20~70質量%であってよい。
上記アクリルモノマーに加えて、重合開始剤を添加することが好ましい。上記アクリルモノマー及び上記重合開始剤は、上記アクリルモノマーを重合させながら添加してもよい。
上記アクリルモノマーの添加量は、合計で、上記中間体粒子100質量部に対して5~300質量部であることが好ましく、10~230質量部であることがより好ましい。
工程(3)で使用する上記重合開始剤としては、水中でフリーラジカル反応に供し得るものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。使用可能な水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等をあげることができる。油溶性の重合開始剤としては、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等をあげることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記アクリルモノマー100質量部あたり、0.05~2.0質量部であることが好ましい。
上記アクリルモノマーに加えて、乳化剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤等を添加してもよい。
工程(3)で使用する上記乳化剤としては、反応性乳化剤でも非反応性乳化剤でも、またはそれらの併用でもよい。非反応性乳化剤としては、従来公知のアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤を単独またはこれらの併用が挙げられる。場合によっては両性乳化剤を用いることもできる。
工程(3)で使用する上記連鎖移動剤としては、たとえばクロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等のメルカプタン類等をあげることができる。連鎖移動剤の使用量は、アクリルモノマー100質量部あたり0~5.0質量部であることが好ましい。
工程(3)において、上記アクリルモノマーの重合温度は10~90℃であってよく、重合時間は0.5~6時間であってよい。
工程(3)において消費されたアクリルモノマーにより形成されるアクリルポリマー(b-2)は、ガラス転移温度(Tg)が-10~30℃であることが好ましい。アクリルポリマー(b-2)のTgが上記範囲内にあることにより、DSC曲線から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下である複合重合体粒子を容易に製造することができる。アクリルポリマー(b-2)のTgは-5~10℃であることがより好ましい。
アクリルポリマー(b-2)のTgは、アクリルポリマー(b-1)について説明した方法に準じて算出する。
アクリルポリマー(b-1)のTgがアクリルポリマー(b-2)のTgより高く、且つ、アクリルポリマー(b-1)とアクリルポリマー(b-2)とのTgの差が35℃より大きいことが好ましい。これにより、DSC曲線から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下である複合重合体粒子を容易に製造することができる。上記Tgの差は50℃以上であることがより好ましい。また、上記Tgの差は150℃以下であってよい。
アクリルポリマー(b-1)及びアクリルポリマー(b-2)は、本発明の複合重合体粒子におけるアクリルポリマー(B)を構成する。
工程(3)では、水性分散体(3)に分散した複合重合体粒子を得ることができる。上記複合重合体粒子は、水性分散体(3)に凝析剤を添加して凝析粒子として回収することができる。また、複合重合体粒子が分散した水性分散体(3)をそのまま塗料として使用することもできる。上記水性分散体(3)に上述した顔料等を添加して塗料としてもよい。得られた複合重合体粒子は、上述した範囲の微分値ピーク強度により特徴付けられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(1)初期耐水性試験
得られた水性分散体に助剤ジエチルジグリコールを固形分に対して10%添加したものをアルミ板(予め下塗りとしてアクリル系塗料に黒顔料ペーストを混ぜたものを100g/mとなるように塗装し、室温で1日間乾燥させたもの)にバーコーター#30で塗装し、100℃で3分乾燥させ、被験塗板を作製した。
乾燥後、1時間以内の塗板を60℃の温水に入れ、温水ごと15℃の恒温槽に入れた。温水が、15℃まで冷却されたのを確認したら、水から取り出し、15℃の恒温槽で3時間乾燥した。3時間後に、塗膜に異常がないか目視で確認した。
色味を色差計で測定し、試験前後でΔL値が2.0以下のものを○、2.1~5.0のものを△、5.1以上のものを×とした。
(2)貯蔵弾性率(E’)
アイティ-計測制御社製動的粘弾性装置DVA220を用い、長さ35mm、巾5mm、厚み0.050mmのサンプル(得られた水性分散体から作製した塗膜)を引張モード、つかみ幅20mm、測定温度 室温から100℃、昇温速度2℃/min、周波数10Hzの条件で測定した。測定結果から、40℃の貯蔵弾性率を記した。
(3)耐ブロッキング性
得られた水性分散体に助剤ジエチルジグリコールを固形分に対して10%添加したものをアルミ板に6ミルアプリケーターで塗装し、100℃で3分加熱乾燥した。乾燥後すぐ発泡ポリウレタンをのせて2.5kg/cmの加重をかけ40℃で保管した。16時間後、目視で塗膜にポリウレタンの跡が確認できなければ○、わずかについていれば△、くっきりとついていれば×とした。
(4)透明性
得られた水性分散体に助剤ジエチルジグリコールを固形分に対して10%添加したものをアルミ板(予め下塗りとしてアクリル系塗料に黒顔料ペーストを混ぜたものを100g/mとなるように塗装し、室温で1日間乾燥させたもの)にバーコーター#30で塗装し、100℃で3分乾燥させ、被験塗板を作製した。
得られた塗膜の透明性を目視で確認し、塗膜の濁りのないものを○、塗膜に僅かな濁りがあるものを△、塗膜全体が白濁したものを×とした。
(5)微分値ピーク強度
示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e、計算ソフト:STARe)を用いて測定した。測定の方法は、40~50ml/minで窒素パージしながら試料10mgを-50℃で8分間保持した後に、80℃まで20℃/minで昇温した(以下、1st Runという)。80℃到達後すぐに100℃/minで降温し、再度、-50℃で8分間保持した後に、80℃まで20℃/minで昇温した(以下、2nd Runという)。DSC曲線とその微分曲線が得られた。2nd Runの微分曲線のピークにピーク開始から終了までのベースラインを引き、ピークトップからベースラインまでのピーク強度を図り取り、これを微分値ピーク強度とした。
実施例1
攪拌機、還流管、温度計、滴下ロートを備えた内容量2リットルのガラス製四つ口セパラブルフラスコに、含フッ素重合体のシード粒子の水性分散液としてVdF/TFE/CTFE共重合体(VdF/TFE/CTFE=72.1/14.9/13(モル%))の粒子の水性分散液(固形分濃度46.6質量%)820.82質量部に、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル・サルフェート・アンモニウム塩を7.65質量部、イオン交換水178質量部を加え、充分に混合して水性分散液を調製した。
つぎに攪拌下に室温で、メチルメタクリレート(MMA)252.45質量部、メタクリル酸(MAA)2.54質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン2.55質量部の混合モノマーを滴下し、75℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム(APS)を所定量加え重合を進めた。その後、サンプリングし、ガスクロマトグラフィーで、各々のモノマーが1%以内であることを確認し、次の重合に進む。75℃撹拌下で、
メチルメタクリレート(MMA)58.40質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)12.75質量部、アクリル酸(AA)3.83質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)6.38質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)46.16質量部の混合モノマーと、過硫酸アンモニウム(APS)所定量を加え重合を進めた。重合後、サンプリングし、ガスクロマトグラフィーで、各々のモノマーが1%以内であることを確認した。熟成後反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、pH調整剤で中和を行ない、重合体粒子の水性分散体を得た。
得られた水性分散体を用いて、上述した方法により各種試験及び測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2~8及び比較例1~7
一段目、二段目及び三段目で使用するVdF系重合体及びアクリルモノマーの種類及び量を表1及び2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして重合体粒子の水性分散体を得、各種試験及び測定を行った。比較例5及び6においては、表中の「二段目」に記載の重合体粒子と「三段目」に記載の重合体粒子とを所定の割合で混合したものを用いた。結果を表1及び2に示す。
Figure 0007301010000004
Figure 0007301010000005
表1及び2中の略号は、以下の通りである。
VTC:VdF/TFE/CTFE共重合体(VdF/TFE/CTFE=72.1/14.9/13(モル%))
VTH:VdF/TFE/HFP共重合体(VdF/TFE/HFP=77/17/6(モル%))
VH:VdF/HFP共重合体(VdF/HFP=78/22(モル%))
MMA:メチルメタクリレート
n-BA:n-ブチルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
n-BMA:n-ブチルメタクリレート
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
2-HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート

Claims (9)

  1. フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)とを同一粒子内に含み、
    示差走査熱量測定により得られる示差走査熱量測定曲線から算出される微分値ピーク強度が2.2×10-2mW/℃以下であり、
    フルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)との質量比(A/B)が40/60~75/25であり、
    フルオロポリマー(A)は、フルオロポリマー(A)を構成する全重合単位に対して50モル%以上のビニリデンフルオライド単位を含み、
    アクリルポリマー(B)は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であるアクリルポリマー(b-1)及びガラス転移温度(Tg)が-10~30℃であるアクリルポリマー(b-2)を含むことを特徴とする複合重合体粒子。
  2. フルオロポリマー(A)は、更に、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位含む請求項記載の複合重合体粒子。
  3. アクリルポリマー(B)は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位を含む請求項1又は2記載の複合重合体粒子。
  4. アクリルポリマー(B)は、メタクリル酸エステル単位と、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー単位とを含む請求項1、2又は3記載の複合重合体粒子。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体。
  6. 塗料である請求項記載の水性分散体。
  7. 請求項又は記載の水性分散体から得られることを特徴とする塗膜。
  8. 基材と、請求項又は記載の水性分散体から得られる塗膜とを含むことを特徴とする塗装物品。
  9. フルオロポリマー(A)からなる粒子を含む水性分散体(1)を調製する工程(1)、
    水性分散体(1)に、アクリルモノマーを添加して、添加した前記アクリルモノマーの少なくとも95質量%が消費されるまで、前記アクリルモノマーを重合することにより、中間体粒子を含む水性分散体(2)を得る工程(2)、及び、
    更に、水性分散体(2)に、前記アクリルモノマーを添加して、アクリルモノマーを重合することにより、水性分散体(3)に分散した複合重合体粒子を得る工程(3)
    を含み、
    工程(2)において消費されたアクリルモノマーにより形成されるアクリルポリマー(b-1)は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であり、
    工程(3)において消費されたアクリルモノマーにより形成されるアクリルポリマー(b-2)は、ガラス転移温度(Tg)が-10~30℃であり、
    アクリルポリマー(b-1)のTgがアクリルポリマー(b-2)のTgより高く、且つ、アクリルポリマー(b-1)とアクリルポリマー(b-2)とのTgの差が35℃より大きく、
    前記複合重合体粒子を構成するフルオロポリマー(A)とアクリルポリマー(B)との質量比(A/B)が40/60~75/25であり、
    フルオロポリマー(A)は、フルオロポリマー(A)を構成する全重合単位に対して50モル%以上のビニリデンフルオライド単位を含む
    ことを特徴とする複合重合体粒子の製造方法。
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