JP2015199943A - 含フッ素シード重合体粒子の水性分散液の製造方法 - Google Patents

含フッ素シード重合体粒子の水性分散液の製造方法 Download PDF

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善美 本成
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卓司 石川
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良成 福原
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拓也 山部
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Abstract

【課題】耐水性及び耐候性に優れる塗膜を作成することができる含フッ素シード重合体粒子の水性分散液、及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】(I)界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合して、含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を製造する工程、並びに(II)上記含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、式(4):CH2=CHCH2−O−R1−X (4)(式中、R1は酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭化水素鎖;XはSO3Y(YはNH4又はアルカリ金属)である。)で示されるアニオン系界面活性剤(4)、および、式(5):CH2=CHCH2−O−R2(5)(式中、R2はノニオン性の親水基を有する炭化水素基である。)で示されるノニオン系界面活性剤(5)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(b)を含フッ素重合体(A)粒子にシード重合する工程を含む含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素シード重合体粒子の水性分散液の製造方法に関する。
アクリル系単量体をシード重合用の単量体とする含フッ素シード重合体は、含まれるフッ素重合体の耐候性、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、防汚性と、アクリル系重合体の加工性、透明性、密着性、造膜性を活かし、各種の製品の原料、あるいは塗料の塗膜形成成分として、自動車工業、半導体工業、化学工業、塗料等の広い産業分野において使用されている。
例えば、特許文献1には、ビニリデンフルオライド単量体と特定の構造を有する反応性乳化剤とのビニリデンフルオライド系共重合体の存在下にエチレン性不飽和単量体を乳化重合させて得られるビニリデンフルオライド系シード重合体の水性分散液において、水性分散液の固形分濃度が30〜60重量%であり、かつ該シード重合体の平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするビニリデンフルオライド系シード重合体水性分散液が記載されている。
また、特許文献2には、水性媒体中においてフッ素系重合体をシードポリマーとし、これらフッ素系重合体粒子の存在下にエチレン性不飽和単量体を乳化重合させることが記載されている。
特許文献3には、特定の界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体を水性分散重合して含フッ素重合体粒子の水性分散液を製造する工程、及び、上記水性分散液中でエチレン性不飽和単量体を含フッ素重合体粒子にシード重合する工程を含む含フッ素シード重合体粒子の水性分散液の製造方法が記載されている。
特開平8−67795号公報 特公平4−55441号公報 国際公開第2010/104142号
上記で述べたように、含フッ素シード重合体粒子は、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、防汚性において優れた性能を有するが、含フッ素シード重合体を塗料組成物に用いた場合、含有されるフッ素の量が多いと、得られる塗膜と基材との密着性において改善の余地があった。近年、含フッ素シード重合体はより広い用途で使われるようになってきており、より幅広い基材への密着性が要求されるようになってきている。しかし、この要求に応えるため含フッ素重合体の含有量を下げていくと、耐水性に改善の余地が生じるという問題があった。また、耐候性においても改善の余地があった。また一般的に、乳化重合体粒子を塗料組成物に用いた塗膜のブロッキングを避けるため乳化重合体粒子のガラス転移温度を高くする手法が知られているが、含フッ素シード重合体においてはガラス転移温度を20℃以上にすると耐ブロッキング性は得られるものの、耐水性が悪くなるという問題があった。
本発明は、上記現状を鑑みて、耐水性及び耐候性に優れる塗膜を作成することができる含フッ素シード重合体粒子の水性分散液、及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、(I)界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合して、含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を製造する工程、並びに
(II)上記含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、式(4):
CH=CHCH−O−R−X (4)
(式中、Rは酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭化水素鎖;XはSOY(YはNH又はアルカリ金属)である。)で示されるアニオン系界面活性剤(4)、および、式(5):
CH=CHCH−O−R (5)
(式中、Rはノニオン性の親水基を有する炭化水素基である。)で示されるノニオン系界面活性剤(5)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(b)を含フッ素重合体(A)粒子にシード重合する工程を含む含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液の製造方法である。
上記式(4)で示されるアニオン系界面活性剤(4)が式(4a):
Figure 2015199943
(式中、R’は直鎖状または分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数;XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子)である。)で示される化合物(4a)であり、式(5)で示されるノニオン系界面活性剤(5)が式(5a):
Figure 2015199943
(式中、R’は直鎖状または分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数である。)で示される化合物(5a)であることが好ましい。
上記工程(II)における、アニオン系界面活性剤(4)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対して0.15〜100質量部であり、ノニオン系界面活性剤(5)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対して0.15〜100質量部であることが好ましい。
上記含フッ素シード重合体(B)粒子に含まれる単量体(a)の重合物と単量体(b)の重合物の重量比(a)/(b)が、65/35〜10/90であることが好ましい。
上記フルオロオレフィンは、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、クロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有不飽和単量体からなる群より選択される少なくとも一種の単量体であることが好ましい。
本発明はまた、上述の製造方法により得られた含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液である。
本発明はまた、上述の製造方法により得られた含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液を含む水性塗料組成物である。
本発明はまた、上述の水性塗料組成物を塗布して形成された塗膜を有する塗装物品である。
本発明の製造方法によれば、水性塗料組成物の塗膜形成成分として用いたときに、耐水性及び耐候性に優れる塗膜を作成することができる含フッ素シード重合体粒子の水性分散液を得ることができる。
本発明の含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液の製造方法では、まず、フルオロオレフィンを重合して含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を調製し、次に、得られた含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、含フッ素重合体(A)粒子をシード粒子として、エチレン不飽和単量体のシード重合を行う。本発明では、上記シード重合の際に、特定の2種の界面活性剤を併用することを特徴とする。このような本発明の製造方法により得られた含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液を塗料組成物に適用すると、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成することができる。
以下に各工程について説明する。
<工程(I)>
工程(I)は、界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合して、含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を製造する工程である。
塗料組成物として含有される含フッ素シード重合体(B)の粒子径は、大きすぎると得られる塗膜の光沢が低下すること、また貯蔵時の沈降安定性が低下することから、通常300nm以下である。そのため、含フッ素重合体(A)の平均粒子径は、その後シード重合することも考慮して200nm以下が好ましく、150nm以下が更に好ましい。一方、粒子径が30nmより小さい粒子を得るためには、耐水性および耐候性に悪影響をあたえる界面活性剤を多量に用いなければならないため、含フッ素重合体(A)の平均粒子径は30nm以上が好ましく、50nm以上が更に好ましい。
本発明の製造方法により得られる水性分散体は、重合体(A)及び重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む。重合体(A)及び重合体(B)は単一粒子中に存在する。この点で本発明の含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体は、重合体(A)及び重合体(B)を単に混合することにより形成された水性分散体とは相違する。重合体(A)及び重合体(B)は化学的に結合していない。
工程(I)では、界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合して重合体(A)の水性分散液を製造する。
単量体(a)に含まれるフルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、
Figure 2015199943
などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンなどの非パーフルオロオレフィンが挙げられる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などが挙げられる。
また、上記フルオロオレフィンとして、官能基含有フルオロオレフィンも使用できる。
上記官能基含有フルオロオレフィンとしては、例えば、式(1):
CX =CX−(Rf)−Y (1)
(式中、Yは−OH、−COOM、−SOF、−SO(Mは水素原子、NH基またはアルカリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エポキシ基またはシアノ基;XおよびXは同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子;Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基若しくは含フッ素オキシアルキレン基、または炭素数2〜40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基若しくは含フッ素オキシアルキレン基;mは0または1)で示される化合物が挙げられる。
上記官能基含有フルオロオレフィンの具体例としては、例えば、
Figure 2015199943
Figure 2015199943
等が挙げられる。
また上記フルオロオレフィンとして、ヨウ素含有モノマー、例えば、特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も使用できる。
なかでも、上記フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、クロロトリフロロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記フルオロオレフィンとしては、ビニリデンフルオライドと、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種とであることがより好ましい。
工程(I)において、単量体(a)は、上記フルオロオレフィンの他に、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体を含んでいてもよい。上記フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類、ビニルエーテル系単量体、アリルエーテル系単量体、ビニルエステル系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体などが挙げられる。
工程(I)では、界面活性剤の存在下で、上記フルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合する。
水性分散重合としては、乳化重合または懸濁重合が例示でき、特に粒子径の小さい重合体粒子を多数生成させる点から、乳化重合が好適である。特に、得られた含フッ素重合体中の界面活性剤が同量であっても、粒子数を多くできる点で、シード重合の初期、すなわちシード粒子の製造に適用する乳化重合が好適である。
上記界面活性剤としては、反応性界面活性剤を用いても非反応性界面活性剤を用いてもよく、単独で用いても併用してもよい。また、用いる界面活性剤はアニオン系界面活性剤であってもノニオン系界面活性剤であってもよく、アニオン系とノニオン系の併用でもよい。場合によっては両性乳化剤を用いることもできる。
上記界面活性剤の使用量は、たとえば乳化重合の場合、水の全量に対し、10〜5000ppmが好ましく、20〜4000ppmがより好ましい。上記界面活性剤の使用量が、10ppm未満であると、界面活性能が小さくなり発生粒子数が少なくなる傾向にある。
上記界面活性剤として、非フッ素界面活性剤を用いてもよい。
上記非フッ素界面活性剤としては、例えば、下記式(2):
CH=CHCH−O−R (2)
(式中、Rは、酸素原子、窒素原子および/または極性基を有していてもよい炭化水素基である。)で示される化合物(2)、または、下記式(3):
CH=CR−O−R (3)
(式中、Rは酸素原子、窒素原子および/または極性基を有していてもよい炭化水素基;Rは水素原子またはアルキル基;Rは炭素数2以上のアルキレン基である。)で示される化合物(3)が好ましく挙げられる。
式(2)で示される化合物(2)または式(3)で示される化合物(3)のRは、酸素原子、窒素原子および/または極性基を有していてもよい炭化水素基である。炭化水素基Rは、酸素原子、窒素原子、極性基を2種以上含んでいてもよい。また、炭化水素基Rは直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分子量は45〜5000であることが好ましい。
極性基は炭化水素基Rの末端にあっても、分岐鎖の末端にあってもよい。極性基としては、たとえば−L(LはSO 、OSO 、PO 、OPO 、COOなど;Mは1価のカチオン、たとえばリチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、アンモニウムイオンなど)で示される基が例示できる。
式(2)で示される化合物(2)としては、式(2)において、Rが式(2a):
Figure 2015199943
(式中、XはHまたはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子、たとえばNa、K);nは0〜19の整数である。)
で示される化合物(2a)、または、Rが式(2b):
Figure 2015199943
(式中、AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;XはHまたはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子、たとえばNa、Kである。);rは0〜20の整数;sは正の整数;AOが複数個存在する場合は同一でも互いに異なっていてもよく、また、2種以上のブロック構造を形成していてもよい)で示される化合物(2b)が好ましく挙げられる。
AOは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基であり、アルキレンオキシドを付加重合するなどの方法により得ることができる。AOがアルキレンオキシドの付加重合により形成される場合は、付加されるアルキレンオキシドなどによりAOが決定される。付加されるアルキレンオキシドなどの重合形態は限定されず、1種のアルキレンオキシドの単独重合、2種以上のアルキレンオキシドのランダム共重合、ブロック共重合またはランダム/ブロック共重合であってもよい。
式(2a)で示されるRを有する化合物(2a)としては、
Figure 2015199943
(式中、nは11または12;Xは式(2a)と同じ)で示される化合物(2a−1)が好ましい。
化合物(2a−1)の市販品としては、例えば、三洋化成工業(株)製のエレミノールJS−20などがあげられる。
式(2b)で示されるRを有する化合物(2b)としては、
Figure 2015199943
(式中、AO、X、rおよびsは式(2b)と同じ)で示される化合物(2b−1)が好ましい。
化合物(2b−1)の市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製のアクアロンKH−10などがあげられる。
式(3)においては、Rは水素原子またはアルキル基であり、得られる分散液の安定性が良好な点から炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
式(3)において、Rは炭素数2以上のアルキレン基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。なかでも、分散液の安定性が良好な点から、炭素数2〜10のアルキレン基、特に炭素数2〜4の直鎖状のアルキレン基が好ましい。
式(3)で示される化合物としては、式(3)において、Rが式(3a):
−(AO)−X (3a)
(式中、AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;pは0または正の整数;XはHまたはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子(たとえばNa、K));AOが複数個存在する場合は同一でも互いに異なっていてもよく、また、2種以上のブロック構造を形成していてもよい)で示される化合物(3a)が好ましくあげられる。
また、AOについての説明及び例示は、式(2)と同じである。
式(3a)において、pは0または正の整数であり、たとえば0〜1,000、更には1〜200、特に10〜40が好ましい。
特に、化合物(3a)としては、
CH=CR−R−O−(BO)−(EO)−X (3a−1)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;Rは炭素数2〜10の直鎖状のアルキレン基;Xは式(3a)と同じ;BOはブチレンオキサイド単位;EOはCHCHOまたはCH(CH)O単位;mは0〜50の整数;nは0〜100の整数;m+nは0〜150の整数である。)で示される化合物(3a−1)であることが好ましい。
化合物(3a−1)の具体例としては、次のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(CH)CHCH−O−(BO)−(EO)−H、
CH=C(CH)CHCH−O−(BO)−(EO)−SONH
(式中、BO、EO、nおよびmは式(3a−1)と同じ)で示される化合物が好ましい。
化合物(3a−1)の市販品としては、例えば、花王(株)製のラテムルPD−104や、PD−420などがあげられる。
化合物(2)および(3)の使用量は、たとえば乳化重合の場合、水の全量に対し、10〜5000ppmが好ましく、20〜4000ppmがより好ましい。上記化合物(2)および(3)の使用量が、10ppm未満であると、界面活性能が小さくなり発生粒子数が少なくなる傾向にある。
また、上記化合物(2)および(3)は単独で使用しても十分に単量体(a)の重合が安定して進むが、他の界面活性剤と併用してもよい。
他の界面活性剤としては含フッ素界面活性剤でも非フッ素(炭化水素)界面活性剤(ただし、前記式(2)および(3)の化合物は除く)でもよいが、上記含フッ素界面活性剤が好ましい。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素アニオン系界面活性剤が好ましい。
含フッ素アニオン系界面活性剤としては、公知のものが使用でき、たとえば米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号パンフレット、国際公開第2008/060461号パンフレット、国際公開第2007/046377号パンフレット、国際公開第2007/119526号パンフレット、国際公開第2007/046482号パンフレット、国際公開第2007/046345号パンフレットに記載されたものが例示できる。
併用できる、具体的な含フッ素界面活性剤としては、たとえばF(CFCOOM、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM、CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM、H(CFCFCHOCF(CF)COOM、H(CF)mCOOM、C13CHCHSOM、F(CFCFCHCHSOM、F(CFCFCHCHSOM(式中、Mは1価のカチオン;nは2〜5の整数;mは2〜10の整数;pは2〜10の整数;qは2〜10の整数)などがあげられる。
なかでも、炭素数6以下の含フッ素界面活性剤、特に炭素数6以下の含フッ素アニオン系界面活性剤が、得られる重合生成液中の含フッ素重合体の濃度を高くでき、かつ安定な分散液とすることができる点から好ましい。
また、他に適用可能な非フッ素(炭化水素)界面活性剤としては、例えば、CH(CHSOM、CH(CHSOM、CH(CHCOOM、H(CHCOO(CHCHO)H、(NaSO)CH((CHCH)((CHCH)(式中、Mは1価のカチオン;rは2〜16の整数;sは2〜16の整数;tは2〜16の整数;uは2〜40の整数;vは2〜45の整数;w+x=10〜20の整数)などの炭化水素界面活性剤が挙げられる。
併用可能な他の界面活性剤の使用量は、たとえば乳化重合の場合、化合物(2)および(3)との合計量が、水の全量に対し、10〜5000ppmが好ましく、20〜4000ppmがより好ましい。前記化合物(2)および(3)と他の界面活性剤の合計量が、10ppm未満であると、界面活性能が小さくなり発生粒子数が少なくなる傾向にある。
また、併用できる界面活性剤として、分子中にラジカル重合性不飽和結合と親水基とを有する含フッ素化合物からなる含フッ素反応性界面活性剤もあげることができる。含フッ素反応性界面活性剤は、重合時に反応系に存在させた場合、重合体のポリマー鎖の一部分を構成することができる。
反応性界面活性剤としては、たとえば、特開平8−67795号公報に記載されている含フッ素化合物を用いることができる。
重合温度は特に制限はなく、重合開始剤の種類にしたがって最適な温度が採用される。ただ、高くなりすぎると気相部分でのモノマー密度が容易に低下したり、ポリマーの分岐反応が生じたりし、目的とする共重合体が得られないことがある。好ましくは40〜120℃、更に好ましくは50〜100℃とする。
単量体の供給は連続的であっても逐次供給してもよい。
重合開始剤としては、油溶性の過酸化物も使用できるが、これらの代表的な油溶性開始剤であるジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)やジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)などのパーオキシカーボネート類は爆発などの危険性があるうえ、高価であり、しかも重合反応中に重合槽の壁面などにスケールの付着を生じやすいという問題がある。フルオロポリマーの圧縮永久歪みをよりいっそう低下させるためには、水溶性ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。水溶性ラジカル重合開始剤としては、たとえば過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが好ましくあげられ、特に過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
重合開始剤の添加量は特に限定されないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば数ppm対水濃度)以上を、重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
工程(I)において、更に分子量調整剤などを添加してもよい。分子量調整剤は、初期に一括して添加してもよいし、連続的または分割して添加してもよい。
分子量調整剤としては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、モノヨードメタン、1−ヨードメタン、1−ヨードプロパン、ヨウ化イソプロピル、ジヨードメタン、1,2−ジヨードメタン、1,3−ジヨードプロパンなどがあげられる。
そのほか緩衝剤などを適宜添加してもよいが、その量は本発明の効果を損なわない範囲で用いることが好ましい。
重合圧力は0.1〜10MPa、更には0.2〜8MPaの範囲で適宜選択すればよく、この範囲内であれば、低圧(0.1〜1MPa)でも高圧(1〜10MPa)でもよい。
撹拌手段としては、たとえばアンカー翼、タービン翼、傾斜翼なども使用できるが、モノマーの拡散とポリマーの分散安定性が良好な点からフルゾーンやマックスブレンドと呼ばれる大型翼による撹拌が好ましい。撹拌装置としては横型撹拌装置でも縦型撹拌装置でもよい。
本発明の工程(I)では、重合生成液中の含フッ素重合体濃度を高くしても安定して得ることができる。例えば、上記化合物(2)又は(3)を単独で使用した場合では、含フッ素重合体濃度が約45質量%においても安定した含フッ素重合体の水性分散液を得ることができる。例えば、化合物(2)又は(3)の界面活性剤に、含フッ素界面活性剤、特に炭素数6以下の含フッ素アニオン系界面活性剤を併用するときは、45質量%を超えた高濃度、例えば、45〜55質量%の濃度の含フッ素重合体の水性分散液を安定した状態で得ることができる。
工程(I)で得られる含フッ素重合体(A)粒子は、平均粒子径が30〜200nm程度であり、数平均分子量が1.0×10〜1.0×10程度で、分子量分布(Mw/Mn)も2〜5程度とシャープなものである。水性分散液中の粒子数は1×1014〜5×1016個/水1g)である。
平均粒子径は、動的散乱法により測定して得られる値である。
数平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
工程(I)で得られる含フッ素重合体(A)粒子は、耐候性が良好な点、透明性に優れる塗膜が得られる点で、ビニリデンフルオライド(VdF)に由来する重合単位を含むことが好ましい。
上記含フッ素重合体(A)粒子は、VdFに由来する重合単位が、含フッ素重合体(A)の全重合単位に対して40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが更に好ましい。また、95モル%以下であることが好ましい。
含フッ素重合体(A)は、ビニリデンフルオライド(VdF)に基づく繰り返し単位に加えて、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、及び、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位からなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含むことが好ましく、TFE及びCTFEに基づく繰り返し単位、TFE及びHFPに基づく繰り返し単位、TFEに基づく繰り返し単位、または、HFPに基づく繰り返し単位を含むことがより好ましい。
含フッ素重合体(A)としては、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、及び、VdF/HFP共重合体、PVdFからなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素共重合体が好ましく、VdF/TFE/CTFE=40〜99/1〜50/0〜30(モル%)、VdF/TFE=50〜99/1〜50(モル%)、VdF/TFE/HFP=45〜99/0〜35/5〜50(モル%)、VdF/CTFE=40〜99/1〜30(モル%)、VdF/HFP=50〜99/1〜50(モル%)がより好ましい。
含フッ素重合体(A)のフッ素元素含有量は、得られる塗膜の耐候性および重合体(A)のアクリルとの相溶性を考慮して50〜76質量%、更には58〜68質量%が好ましい。
<工程(II)>
工程(II)では、工程(I)で得られた含フッ素重合体(A)粒子をシード粒子として、シード重合用単量体であるエチレン性不飽和単量体(b)をシード重合し、含フッ素シード重合体(B)粒子を含む水性分散液を得る。
すなわち、工程(II)は、工程(I)で得られた含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、式(4):
CH=CHCH−O−R−X (4)
(式中、Rは酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭化水素鎖、XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属)である。)で示されるアニオン系界面活性剤(4)、および、式(5):
CH=CHCH−O−R (5)
(式中、Rはノニオン性の親水基を有する炭化水素基である。)で示されるノニオン系界面活性剤(5)の存在下にエチレン性不飽和単量体(b)を含フッ素重合体(A)粒子にシード重合する工程である。
工程(II)では、界面活性剤として、式(4)で示されるアニオン系界面活性剤(4)と、式(5)で示されるノニオン系界面活性剤(5)とを併用する。これらを併用して得られた含フッ素シード重合体粒子は、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成することができる。
式(4)中のRは、酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭化水素鎖である。
上記Rは、オキシアルキレン基を含む炭化水素基であることが好ましい。
Xは、SOY(YはNHまたはアルカリ金属)である。アルカリ金属としては、Na、Kが好ましい。
上記オキシアルキレン基としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基が挙げられる。
式(4)で示される化合物としては、式(4a):
Figure 2015199943
(式中、R’は直鎖状又は分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数;XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子)である。)で示される化合物(4a)が好ましくあげられる。
’の炭素数は1〜51が好ましく、5〜21がより好ましく、10〜16が更に好ましい。
nは、1〜60の整数が好ましく、5以上の整数がより好ましく、10以上の整数が更に好ましく、30以下の整数がより好ましく、20以下の整数が更に好ましく、15以下の整数が特に好ましい。
上記アルカリ金属原子としては、Na、Kが好ましい。
式(5)中のRは、ノニオン性の親水基を有する炭化水素基である。
上記Rは、オキシアルキレン基を含む炭化水素基であることが好ましい。
上記オキシアルキレン基としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基が挙げられる。
式(5)で示される化合物としては、式(5a):
Figure 2015199943
(式中、R’は直鎖状または分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数である。)
で示される化合物(5a)が好ましくあげられる。
’の炭素数は1〜51が好ましく、5〜26がより好ましく、10〜21が更に好ましい。
nは、1〜100の整数であり、1〜60の整数であることが好ましく、10〜50の整数であることがより好ましく、30〜40の整数であることが更に好ましい。
AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基であり、エチレンオキサイドであることが好ましい。
式(4a)としては、次の式(4a−1):
Figure 2015199943
(式中、R’は直鎖状又は分岐状であり、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜50の炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数;XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子、たとえばNa、K)である。)で示される化合物(4a−1)、又は、下記式(4a−2);
Figure 2015199943
(式中、R’は炭素数1〜50のアルキル基;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数;XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子、たとえばNa、K)である。)で示される化合物(4a−2)が好ましくあげられる。
式(4a−1)において、R’は炭素数1〜50であり、好ましくは5〜20であり、より好ましくは10〜15である。nは、1〜100の整数であり、分散安定性および耐水性の点から1〜60の整数であることが好ましく、5〜30の整数であることがより好ましく、10〜15の整数であることが更に好ましい。
Xは、SONHが好ましい。
AOは、エチレンオキサイドであることが好ましい。
化合物(4a−1)の市販品としては、例えば、アデカリアソープのSEシリーズ、SRシリーズ(いずれも、ADEKA社製)等を挙げることができる。
式(4a−2)において、R’は炭素数1〜50のアルキル基であり、好ましくは5〜20であり、より好ましくは10〜15である。nは、1〜100の整数であり、分散安定性および耐水性の点から1〜20の整数であることが好ましく、5〜15であることが更に好ましい。
Xは、SONHが好ましい。
AOは、エチレンオキサイドであることが好ましい。
化合物(4a−2)の市販品としては、例えば、アクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製)などがあげられる。
式(5a)で示される化合物としては、次の式(5a−1);
Figure 2015199943
(式中、R’はフェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭素数1〜50の炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数である。)で示される化合物(5a−1)が好ましくあげられる。
式(5a−1)において、R’は、炭素数1〜50であり、好ましくは5〜25であり、より好ましくは10〜20である。
nは、1〜100の整数であり、1〜60の整数であることが好ましく、10〜50の整数であることがより好ましく、30〜40の整数であることが更に好ましい。
AOは、エチレンオキサイドであることが好ましい。
化合物(5a−1)の市販品としては、例えば、アデカリアソープのNEシリーズ、ERシリーズ(いずれも、ADEKA社製)等を挙げることができる。
工程(II)において、アニオン系界面活性剤(4)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対し、0.15〜100質量部が好ましい。添加量が少なすぎると乳化粒子の分散安定性が低下し、添加量が多すぎると得られる塗膜の耐水性や耐候性が低下する点で0.77質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上が更に好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましい。
また、ノニオン系界面活性剤(5)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対し、0.15〜100質量部が好ましい。添加量が少なすぎるとエマルションの化学的安定性が低下し、添加量が多すぎると得られる塗膜の耐水性や耐候性が低下する点で0.30質量部以上がより好ましく、0.46質量部以上が更に好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましい。
上記エチレン性不飽和単量体(b)としては、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体であればよく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、加水分解性シリル基含有単量体、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、及び、α−オレフィン類等が挙げられる。
なかでも、上記エチレン性不飽和単量体(b)としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、エチレン性不飽和単量体(b)として、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体、不飽和カルボン酸類、並びに、加水分解性シリル基含有単量体を用いるのがより好ましい。
そのほか、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体を併用してもよい。
上記アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜10のアクリル酸アルキルエステル、又は、アルキル基の炭素数が1〜10のメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、上記アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体であってもよい。
これらのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、n−ブチルアクリレート、及び、メチルメタクリレートであることが好ましい。
透明性、造膜性が優れる塗膜が得られる点から、なかでも、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しないものである。
2−エチルへキシルメタクリレートは、塗膜の凍結融解性を向上させる作用を有する。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、透明性、耐ブロッキング性及び耐温水性に優れることから、n−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとの組合せ又はn−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2−エチルへキシルメタクリレートとの組合せが更に好ましく、凍結溶解性が優れる塗膜が得られる点からn−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2−エチルへキシルメタクリレートとの組合せが特に好ましい。加えて、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体を組み合わせることも好ましい。
上記不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸などがあげられる。なかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくい点、カルボキシル基の導入を制御しやすい点から、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記加水分解性シリル基含有単量体としては、
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CH(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(CH)(OCH
などがあげられる。これらの加水分解性シリル基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐水性、耐温水性、貯蔵安定性が良好な点から、なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
上記水酸基含有アルキルビニルエーテル類としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどが挙げられる。重合反応性が優れる点で、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどが挙げられる。カルボン酸ビニルエステル類を用いることで、本発明から得られる含フッ素シード重合体を用いた塗膜に、光沢の向上、ガラス転移温度の上昇などの特性を付与できる。
α−オレフィン類としては、たとえばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、スチレンなどがあげられる。α−オレフィン類を用いることで、本発明から得られる含フッ素シード重合体を用いた塗膜に、可とう性の向上などの特性を付与できる。
シード重合は、一般に公知の方法で行うとよい。例えば、アニオン系界面活性剤(4)及びノニオン系界面活性剤(5)の存在下、上述したエチレン性不飽和単量体(b)と重合開始剤を含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液に添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
上記重合開始剤としては、水中でフリーラジカル反応に供し得るものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。使用可能な水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素等が挙げられ、過硫酸塩であることが好ましい。過硫酸塩としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられ、過硫酸アンモニウムがより好ましい。使用可能な還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、シード重合用の単量体100質量部あたり、0.0001〜2.0質量部であることが好ましい。
重合温度は、10〜90℃であってよく、重合時間は、0.5〜6時間であってよい。
また、界面活性剤等の、乳化重合に使用される一般に公知の添加剤を用いてもよい。
工程(II)で得られる含フッ素シード重合体(B)粒子は、平均粒子径が110〜300nmであることが好ましい。
含フッ素シード重合体(B)粒子は、含フッ素シード重合体(B)粒子に含まれる単量体(a)の重合物と単量体(b)の重合物の重量比(a)/(b)が、65/35〜10/90であることが好ましく、60/40〜20/80であることがより好ましく、55/45〜25/75であることが更に好ましい。
含フッ素シード重合体(B)粒子は、フッ素含有量が5〜50質量%であることが好ましく、10〜46質量%であることがより好ましい。
工程(II)において、エチレン性不飽和単量体として、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体、不飽和カルボン酸類、並びに、加水分解性シリル基含有単量体を用いた場合、得られる含フッ素シード重合体(B)粒子は以下であることが好ましい。
すなわち、含フッ素シード重合体(B)粒子は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに基づく重合単位の含有量が、シード粒子に対して50〜900質量%であることが好ましい。上記含有量は、含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液を塗料組成物に適用する場合、得られる塗膜の耐候性がより良好となる点から、より好ましい上限は400質量%であり、可とう性、耐ブロッキング性が良好な点から、より好ましい下限は70質量%である。
また、上述の場合、含フッ素シード重合体(B)粒子は、加水分解性シリル基含有単量体に基づく重合単位の含有量が、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに基づく重合単位の含有量に対して0.1〜2質量%であることが好ましい。造膜性、貯蔵安定性が良好な点から、より好ましい上限は1.5質量%である。耐温水性、密着性が良好な点から、より好ましい下限は0.2質量%である。
また、上述の場合、含フッ素シード重合体(B)粒子は、他の共重合可能なラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体に基づく重合単位の含有量が、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに基づく重合単位の含有量に対して0〜4質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは0.1〜2.5質量%である。
上記他の共重合可能なラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体としては、上述した水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α−オレフィン類等が挙げられる。
含フッ素シード重合体(B)粒子は、ガラス転移温度が、10〜50℃であることが好ましく、20〜45℃であることがより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて求めることができる。
本発明で得られる含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液は、種々の用途にそのまま、または適宜修正して適用することができる。代表的な用途としては、例えば、各種塗料、特に水性塗料組成物として、また、フィルムやシートの成形材料等として有用である。
このような含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液も本発明の好ましい態様の一つである。
水性塗料組成物は、膜形成材として本発明で得られる含フッ素シード重合体(B)粒子を用いるほかは、従来公知の添加剤や配合割合が採用できる。例えば、水性塗料組成物は、含フッ素シード重合体(B)粒子が10〜60質量%であることが好ましい。
このような含フッ素シード重合体(B)粒子を含む水性塗料組成物も本発明の好ましい態様の一つである。
上記水性塗料組成物を用いて形成された塗膜は、耐水性及び耐候性に優れる。
顔料入りの塗料組成物に適用する場合、例えば、含フッ素シード重合体(B)粒子を含有する水性分散液に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタンなどの顔料、消泡剤、顔料分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と造膜補助剤の所定量を撹拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない水性塗料組成物を調製する場合は、含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液に、必要に応じ、水、造膜補助剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で撹拌混合すればよい。
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、架橋剤等を添加することもできる。
上記造膜補助剤は、市販の各種造膜補助剤を使用することができる。具体的には、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、アジピン酸ジエチル、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート等の多価アルコールアルキルエーテルや有機酸エステル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
上記水性塗料組成物を塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。例えば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装などの塗装方法により塗布して塗膜を形成した後、5〜200℃で乾燥する方法が挙げられる。このような方法によって、耐候性、光沢、透明性に優れ、発泡が少なく、耐温水性に富み、凍結と融解が繰り返されても容易に劣化することがない塗膜を形成することができる。
上記水性塗料組成物を塗布して形成された塗膜を有する塗装物品も本発明の好ましい態様の一つである。上記水性塗料組成物を塗装して得られる塗装物品は、幅広い用途で使用可能である。例えば、電気製品(電子レンジ、トースター、冷蔵庫、洗濯機、ヘアードライヤー、テレビ、ビデオ、アンプ、ラジオ、電気ポット、炊飯機、ラジオカセット、カセットデッキ、コンパクトディスクプレーヤー、ビデオカメラなど)の内外装、エアーコンディショナーの室内機、室外機、吹き出口およびダクト、空気清浄機、暖房機などのエアーコンディショナーの内外装、蛍光燈、シャンデリア、反射板などの照明器具、家具、機械部品、装飾品、くし、めがねフレーム、天然繊維、合成繊維(糸状のもの、およびこれらから得られる織物)、事務機器(電話機、ファクシミリ、複写機(ロールを含む)、写真機、オーバーヘッドプロジェクター、実物投影機、時計、スライド映写機、机、本棚、ロッカー、書類棚、いす、ブックエンド、電子白板など)の内外装、自動車(ホイール、ドアミラー、モール、ドアのノブ、ナンバープレート、ハンドル、インスツルメンタルパネルなど)、あるいは厨房器具類(レンジフード、流し台、調理台、包丁、まな板、水道の蛇口、ガスレンジ、換気扇など)の塗装用として、間仕切り、バスユニット、シャッター、ブラインド、カーテンレール、アコーディオンカーテン、壁、天井、床などの屋内塗装用として、外装用としては外壁、手摺り、門扉、シャッターなどの一般住宅外装、ビル外装など、窯業系サイジング材、発泡コンクリートパネル、コンクリートパネル、アルミカーテンウォール、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルムなどの建築用外装材、サイディング材、窓ガラス、その他に広い用途を有する。
次に本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
なお、特性の評価に使用した装置および測定条件は以下のとおりである。
(1)平均粒子径
測定装置:HONEYWELL社製のマイクロトラックUPA
測定方法:動的光散乱法
測定する乳濁液を純水で計測可能な濃度に希釈して試料とし、室温にて測定を行う。得られたデータの個数平均径を粒子径とする。
(2)粒子数
計算方法:(1)で求めた平均粒子径と固形分含有量から、重合体比重を1.8として計算する。
(3)NMR分析:
NMR測定装置:VARIAN社製
H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:376MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
(4)分子量分析:
昭和電工社製Shodex GPC−104を使用し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量を求めた。
測定条件
キャリア:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
試料:測定する樹脂の3%THF溶液
(5)メルトフローレート(MFR)値
安田精機製作所社製Dyniscoメルトインデックステスターを用い、約6gの樹脂を250℃±0.5℃に保たれた0.376インチIDシリンダーに投入し、5分間放置して温度が平衡状態に達した後、10Kgのピストン荷重のもとで直径0.0825インチ、長さ0.315インチのオリフィスを通して押し出した同時期に採取する3回の平均値とした。単位はg/10分。
(6)ガラス転移温度(Tg)値
メトラー・トレド社製DSC(示差走査熱量測定)装置DSC822eを用い、測定した。
測定条件(1st Run、2nd Run)
測定温度範囲:−50℃〜80℃
昇温速度:20℃/min
雰囲気:Air
(7)最低造膜温度(MFT)値
SHIMADEN社製熱勾配試験装置を用い、不揮発成分を50重量%に調製した含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散体を次の条件で乾燥させ、目視により塗膜にヒビの入っていない温度の最高値の3回平均とした。
測定条件
設定温度勾配15℃〜40℃
(8)耐温水性試験
被験塗板をJIS K5600−6−2に従って60℃の水中に7日間浸漬し、その後23℃で1日間乾燥させた後、JIS K5600−4−5に従い、日本電色工業株式会社製の色差計を用いて被験塗板の色彩をL表色系で測定し、色差ΔEabをΔEab=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2の式から求め、試験前後での被験塗板の色差の大きさから白化の等級を評価した。
白化の等級の評価基準
試験前後の色差ΔEabの大きさにより、次の評価基準で評価した。
◎:1.0未満
○:1.0以上1.2未満
△:1.2以上1.5未満
×:1.5以上
(9)初期耐水性試験
被験塗板を60℃の水中に1日間浸漬し、続いて水温を5℃まで下げていき、その後、水槽から塗板を素早く取り出し、5℃の恒温槽内で1日乾燥させ、JIS K5600−4−5に従い、日本電色工業株式会社製の色差計を用いて被験塗板の色彩をL表色系で測定し、色差ΔEabをΔEab=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2の式から求め、試験前後での被験塗板の色差の大きさから白化の等級を評価した。
白化の等級の評価基準
試験前後の色差ΔEabの大きさにより、次の評価基準で評価した。
◎:10未満
○:10以上12未満
△:12以上14未満
×:14以上
実施例1(含フッ素シード重合体(B−1)粒子の水性分散液の製造)
<工程(I)>
2Lのステンレススチール製のオートクレーブに、イオン交換水500g、パーフルオロヘキサン酸アンモニウム(C6)の50質量%水溶液2.2g(パーフルオロヘキサン酸アンモニウムの濃度2200ppm/水。重合溶媒としての水。以下同様)、式(2−1):
Figure 2015199943
(式中、nは11と12の混合物)で示される化合物(2−1)の38質量%水溶液0.789g(化合物(2−1)の濃度600ppm/水)を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換後、減圧にした。続いて重合槽内を系内圧力が0.75〜0.8MPaとなるようにVdF/TFE/CTFE(=72.2/16.0/11.8モル%)混合単量体を圧入し、70℃に昇温した。
ついで過硫酸アンモニウム(APS)1.00g(2000ppm/水)を4mlのイオン交換水に溶解した重合開始剤溶液および酢酸エチル0.75g(1500ppm/水)を窒素ガスで圧入し、600rpmで撹拌しながら反応を開始した。
重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VdF/TFE/CTFE混合単量体(=72.2/16.0/11.8モル%)を内圧が0.75〜0.8MPaを維持するように供給した。重合開始から7時間33分後に未反応単量体を放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度46.1質量%の含フッ素重合体の水性分散液を得た。
NMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/TFE/CTFE=72.1/14.9/13.0(モル%)であった。また、得られた含フッ素重合体の平均粒子径は112.4nmであり、上記水性分散液中の粒子数は、5.0×1014(個/水1g)であった。
この水性分散液200gを−10℃で24時間凍結させ凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体(A−1)を得た。
この含フッ素重合体(A−1)のMFRは4.96g/10minであった。また、この含フッ素重合体(A−1)をGPCにより測定した数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれ9.12×10および4.03×10であり、分子量分布Mw/Mnは4.42であった。
<工程(II)>
(i)工程(I)を複数回行ったものを合わせた含フッ素重合体(A−1)粒子の水性分散液(固形分濃度45.6質量%)853.9gを2L容のセパラブルフラスコにとり、界面活性剤として化合物アニオン1(アデカリアソープSR−1025(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度26.0質量%)54.0gと、界面活性剤として化合物ノニオン1(アデカリアソープER−40(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度20質量%水溶液)76.5gを添加し、30分間攪拌後、内温を75℃まで昇温した。
(ii)次に、2L容のポリプロピレン製ビーカーに、エチレン性不飽和単量体(b)として、メチルメタクリレート(MMA)232.9g、ブチルアクリレート(BA)84.4g、アクリル酸(AA)9.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)17.7g、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)38.3g、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−503)3.8g、水127.5g、界面活性剤として、化合物アニオン1(アデカリアソープSR−1025(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度26.0質量%)4.9gを加え、乳化機により充分に混合して予備乳化液を調製した。
(iii)この予備乳化液に、過硫酸アンモニウム(APS)の5質量%水溶液12.9gを加えて攪拌し、全量を先ほどの含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液に2時間かけて滴下しながら重合を進めた。その後、80℃まで昇温して1時間攪拌し、セパラブルフラスコの蓋を取り外して更に1時間攪拌した。その後、反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、28%アンモニア水溶液を用いてpHを7に調製し含フッ素シード重合体(B−1)の水性分散液を得た(収量1500.0g、固形分濃度50.0質量%)。得られたシード重合体の平均粒子径は180.8nmであった。
実施例2(含フッ素シード重合体(B−2)粒子の水性分散液の製造)
工程(II)の(i)において、アニオン1の代わりにアニオン2(アデカリアソープSE−10N(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度20.0質量%水溶液)70.2gを用い、ノニオン1の代わりにノニオン2(アデカリアソープNE−30(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度20.0質量%水溶液)76.5gを用い、(ii)において、アニオン2(アデカリアソープSE−10N(商品名)、ADEKA社製、固形分濃度20.0質量%水溶液)6.3gを用いた以外は実施例1と同様に含フッ素シード重合体(B−2)の水性分散液を調製した。
比較例1(含フッ素シード重合体(B−3)粒子の水性分散液の製造)
工程(II)の(i)において、ノニオン1の代わりに非反応性のノニオン3(花王社製のエマルゲン120、固形分濃度50質量%水溶液)30.6gを用いた以外は実施例1と同様に含フッ素シード重合体(B−3)の水性分散液を調製した。
比較例2(含フッ素シード重合体(B−4)粒子の水性分散液の製造)
工程(II)の(i)において、アニオン1の代わりにアニオン2を70.2g用い、ノニオン1の代わりに非反応性のノニオン3を30.6g用い、(ii)において、アニオン1の代わりにアニオン2を6.3g用いた以外は実施例1と同様に含フッ素シード重合体(B−4)の水性分散液を調製した。
比較例3(含フッ素シード重合体(B−5)粒子の水性分散液の製造)
工程(II)の(i)において、アニオン1の代わりに非反応性のアニオン3(ニューコール707SF、日本乳化剤社製、固形分濃度28.0質量%)50.1gを用い、ノニオン1の代わりに非反応性のノニオン3を30.6g用い、(ii)において、アニオン1の代わりに非反応性のアニオン3を4.5gを用いた以外は実施例1と同様に含フッ素シード重合体(B−5)の水性分散液を調製した。
クロメート処理アルミ板(予め下記組成の下塗り塗料をウェット膜厚が90g/mとなるように塗装し、室温で一晩乾燥させたもの)に、下記組成のクリア塗料組成物をバーコーター#30を用いて塗装し、25℃で24時間乾燥した後、80℃の送風式乾燥機で3時間乾燥し、続けて送風式乾燥機の温度を120℃に上げて30分乾燥させ、被験塗板を作成した。
この被験塗板について、耐温水性、初期耐水性を調べた。結果を表1に示す。
(下塗り塗料の処方)
ベースエマルション 92.90質量部
顔料 4.66質量部
成膜助剤 2.14質量部
消泡剤 0.30質量部
また、使用した各成分はつぎのものである。
ベースエマルション:日本合成化学工業(株)製 モビニールDM774
顔料:トーヨーカラー(株)製 LIOFAST BLACK M232
消泡剤:ビックケミー社製 BYK−028
成膜助剤:イーストマンケミカル社製 テキサノール
(クリア塗料組成物の処方)
含フッ素シード重合体(B−1〜5)の水性分散液 97.50質量部
成膜助剤 2.44質量部
pH調整剤 0.06質量部
また、使用した各成分はつぎのものである。
pH調整剤:28%アンモニア水
成膜助剤:ジエチレングリコールジエチルエーテル
Figure 2015199943
表1から、工程(II)で乳化剤として反応性のアニオン1と反応性のノニオン1を、または反応性のアニオン2と反応性のノニオン2を組み合わせて使用することで耐温水性および初期耐水性が向上していることがわかる。
本発明の製造方法により得られる含フッ素重合体シード粒子の水性分散液を用いれば、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成することができる。

Claims (9)

  1. (I)界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを含む単量体(a)を水性分散重合して、含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を製造する工程、並びに
    (II)前記含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、式(4):
    CH=CHCH−O−R−X (4)
    (式中、Rは酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭化水素鎖;XはSOY(YはNH又はアルカリ金属)である。)で示されるアニオン系界面活性剤(4)、および、式(5):
    CH=CHCH−O−R (5)
    (式中、Rはノニオン性の親水基を有する炭化水素基である。)で示されるノニオン系界面活性剤(5)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(b)を含フッ素重合体(A)粒子にシード重合する工程
    を含む含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液の製造方法。
  2. 式(4)で示されるアニオン系界面活性剤(4)が式(4a):
    Figure 2015199943
    (式中、R’は直鎖状または分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数;XはSOY(YはNHまたはアルカリ金属原子)である。)で示される化合物(4a)であり、式(5)で示されるノニオン系界面活性剤(5)が式(5a):
    Figure 2015199943
    (式中、R’は直鎖状または分岐状であり、酸素原子、フェニル基またはフェニレン基を含んでもよい炭化水素鎖;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;nは1〜100の整数である。)で示される化合物(5a)である請求項1記載の製造方法。
  3. 工程(II)における、アニオン系界面活性剤(4)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対して0.15〜100質量部であり、ノニオン系界面活性剤(5)の添加量は、含フッ素重合体(A)粒子100質量部に対して0.15〜100質量部である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 含フッ素シード重合体(B)粒子に含まれる単量体(a)の重合物と単量体(b)の重合物の重量比(a)/(b)が、65/35〜10/90である請求項1、2又は3記載の製造方法。
  5. フルオロオレフィンは、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、クロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2、3又は4記載の製造方法。
  6. エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有不飽和単量体からなる群より選択される少なくとも一種の単量体である請求項1、2、3、4又は5記載の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の製造方法により得られた含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の製造方法により得られた含フッ素シード重合体(B)粒子の水性分散液を含む水性塗料組成物。
  9. 請求項8記載の水性塗料組成物を塗布して形成された塗膜を有する塗装物品。
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