JP2012021094A - 耐ブロッキング改良剤および塗料組成物 - Google Patents

耐ブロッキング改良剤および塗料組成物 Download PDF

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良成 福原
Mayumi Shimano
真由美 島野
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克彦 井本
Hidemi Nishii
秀実 西井
Akinori Ueda
明紀 上田
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Abstract

【課題】耐ブロッキング性と造膜性の両方を改善するとともに、耐温水性も向上できる耐ブロッキング改良剤を提供すること。該耐ブロッキング改良剤を用いた耐ブロッキング性に優れた塗料組成物を提供すること。
【解決手段】MFTが70〜90℃であり、Tg75〜95℃である、含フッ素重合体とアクリル重合体との複合粒子(I)を含む耐ブロッキング改良剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐ブロッキング改良剤および該耐ブロッキング改良剤を用いた塗料組成物に関する。
トップコート(たとえば窯業建材(ライン建材)用のトップコート)として使用される水性分散体は、耐ブロッキング性と造膜性が要求される。ここでいう耐ブロッキング性とは、たとえば窯業建材の場合、トップコートされた建材を積み上げて保管や輸送するときは建材の間にシート(たとえばポリウレタンシート)を介して積み上げているが、建材のトップコートが前記シートと接着して離れなくなったり、建材のトップコートにシートの一部が付着したりする性質をいう。また、造膜性とは、いわゆる塗膜を形成する性質をいう。
一般に、耐ブロッキング性を上げる方法の1つとしてトップコートを形成する塗料組成物の塗膜形成用重合体のガラス転移温度(Tg)を上げる方法がある。一方、造膜性を上げる方法の1つとしては塗膜形成用重合体のTgを下げる方法がある。したがって、Tgなどの熱的特性に着目した改良では、耐ブロッキング性と造膜性という2つの性能を同時に満たす塗料組成物を調製することは困難であった。
かかる問題を解決するために、たとえば特許文献1には、塗膜形成用重合体としてビニリデンフルオライド(VdF)系共重合体を用いることが提案されている。該水性分散体は、VdF系モノマーを反応性乳化剤の存在下に乳化重合して製造されている。しかしながら、得られたVdF系共重合体は、最低造膜温度(MFT)が高く、かつ、ガラス転移温度も40℃程度であり、依然として耐ブロッキング性と造膜性のバランスに改善の余地があった。
特開平8−67795号公報
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、耐ブロッキング性と造膜性の両方を改善するとともに、耐温水性も向上できる塗膜の耐ブロッキング改良剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐ブロッキング性と耐温水性に優れた塗膜を与える塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、含フッ素重合体(Ia)とアクリル重合体(Ib)との複合粒子であってMFTが70〜90℃であり、かつTgが75〜95℃であるフッ素/アクリル複合粒子(I)を含むことを特徴とする耐ブロッキング改良剤に関する。
また、本発明は、前記フッ素/アクリル複合粒子(I)および、含フッ素重合体(IIa)とアクリル重合体(IIb)との複合粒子であってMFTが5〜20℃であり、かつTgが10〜25℃であるフッ素/アクリル複合粒子(II)を含み、
該複合粒子(II)100質量部に対して該複合粒子(I)を50〜150質量部含む塗料組成物にも関する。
本発明によれば、耐ブロッキング性と造膜性の両方を同時に改善するとともに、耐温水性も向上できる耐ブロッキング改良剤を提供することができる。また、該耐ブロッキング改良剤を用いた耐ブロッキング性に優れた塗膜を与える塗料組成物を提供することができる。
本発明の耐ブロッキング改良剤は、含フッ素重合体(Ia)とアクリル重合体(Ib)との複合粒子であってMFTが70〜90℃であり、かつTgが75〜95℃であるフッ素/アクリル複合粒子(I)を含むことを特徴とする。
以下、各要素について説明する。
フッ素/アクリル複合粒子(I)は、含フッ素重合体(Ia)とアクリル重合体(Ib)とが複合化しているものである。この複合化は、単なるブレンドでは得られず、いわゆるシード重合法により、含フッ素重合体(Ia)粒子の存在下にアクリル系単量体を重合して製造されたものが好ましい。
(1−1)含フッ素重合体(Ia)
含フッ素重合体(Ia)としては、フルオロオレフィン単位を少なくとも1種含んでいればよい。
フルオロオレフィンとしては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、
Figure 2012021094
などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VdF)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテンなどの非パーフルオロオレフィンがあげられる。PAVEとしてはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などがあげられる。
また、官能基含有フルオロオレフィンモノマーも使用できる。官能基含有フルオロオレフィンとしては、たとえば式(1):
CX1 2=CX2−(Rf)m−Y1 (1)
(式中、Y1は−OH、−COOH、−SO2F、−SO32(M2は水素原子、NH4基またはアルカリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エポキシ基またはシアノ基;X1およびX2は同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子;Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基;mは0または1)で示される化合物があげられる。
具体例としては、たとえば
Figure 2012021094
Figure 2012021094
などがあげられる。
非パーフルオロオレフィンとしては、ヨウ素含有モノマー、たとえば特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も使用できる。
本発明においては、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体、たとえばエチレン、プロピレンなどのオレフィン類などを共重合してもよい。
シード粒子として特に好ましい含フッ素重合体は、耐侯性が良好な点からVdF単位を含む含フッ素共重合体であり、具体的には、VdF/TFE/CTFE共重合体などがあげられる。
シード粒子の製造方法は特に限定されず、従来公知の乳化重合法で行うことができる。
(1−2)アクリル系重合体(Ib)
たとえば、含フッ素重合体(Ia)粒子をシード粒子として、アクリル系単量体を含む単量体混合物をシード重合することにより、含フッ素重合体(Ia)とアクリル系重合体(Ib)の複合粒子(I)が得られる。
アクリル系単量体混合物は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含んでいればよい。
(メタ)アクリル酸のエステル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸などの1種または2種以上が例示できる。なかでも、相溶性が良好な点から、MMA、BAなどの1種または2種以上が好ましい。
(メタ)アクリル酸のエステル系単量体以外の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸系単量体が例示できる。
不飽和カルボン酸系単量体としては、たとえばアクリル酸(AA)、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸などがあげられる。それらのなかでも密着性、増粘性が良好な点から、アクリル酸が好ましい。
そのほか、単量体混合物中に、適宜、他の共重合可能なラジカル重合性の非フッ素系単量体を含ませることができる。他の単量体としては、たとえばビニルエーテル系単量体、オレフィン系単量体、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体などがあげられる。
ビニルエーテル系単量体としては、水酸基含有ビニルエーテル類などがあげられる。
水酸基含有ビニルエーテルとしては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどがあげられ、密着性などの向上に寄与する。
オレフィン系単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、スチレンなどがあげられ、塗膜に可とう性の向上などの特性を付与できる。
加水分解性シリル基含有ビニル系単量体としては、たとえばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがあげられ、密着性の向上に寄与する。
ビニルエステル系単量体としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類などがあげられ、塗膜に光沢の向上、ガラス転移温度の上昇などの特性を付与できる。
限定されない好ましいアクリル系重合体(Ib)としては、つぎのものがあげられる。
MMA/BA/AA(=70〜98/1〜30/0.5〜3.0 質量%比)
シード重合法は特に限定されず、従来公知の方法と条件で行うことができる。
(1−3)最低造膜温度(MFT)
MFTは、造膜温度測定機を用いて、測定される物性値であり、塗膜の造膜性を評価する指標となる。
本発明では、5〜30℃である。最低造膜温度(MFT)が5未満の場合、本発明の耐ブロッキング改良剤を配合した塗料で形成した塗膜の耐温水性が悪く白化を生じやすい傾向があり、30を超える場合、造膜に時間がかかり、生産効率が低下するという問題がある。これらの観点から、MFTは、10℃以上、特に15℃以上が好ましく、30℃以下、特に25℃以下が好ましい。
(1−4)ガラス転移温度(Tg)
本発明の耐ブロッキング改良剤の好ましいTgの範囲は75〜95℃である。80〜85℃がさらに好ましい。Tgが75℃未満の場合、耐ブロッキング性が低下する傾向があり、95℃を超える場合、造膜性が低下する傾向がある。
これらのMFTおよびTgを本発明の範囲に調整する方法には種々の方法が採用できるが、たとえば(1)アクリル系単量体混合物中の(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量を調整する方法、なかでも、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてメチルメタクリレート(MMA)を用い、その割合を調整する方法;(2)複合粒子(I)における含フッ素重合体(Ia)とアクリル系重合体(Ib)の割合を調整する方法、これらの方法を組み合わせた方法などがあげられる。
たとえば(メタ)アクリル酸エステル単量体のアクリル系単量体混合物中の含有量は、1〜5質量%が好ましい。1質量%より少ないと基材との密着性が不充分となり、また、5質量%を超えると耐水性が不充分となる傾向にある。好ましい上限は耐水性が良好な点から4質量%、さらには3質量%である。好ましい下限は密着性が良好な点から2質量%、さらには1質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としてMMAを用いる場合、MFTはMMAの割合を増やすと大きくなり、減らすと小さくなる傾向にある。この観点から、たとえばMMAをアクリル系単量体混合物中に70質量%以上、さらには80質量%以上、特に90質量%以上存在させることにより、複合粒子(I)のMFTを本発明の範囲に調整することができる。
また複合粒子(I)における含フッ素重合体(Ia)とアクリル系重合体(Ib)の質量比を調製することにより、MFTおよび造膜性を調整することができる。アクリル系重合体(Ib)の割合を増やすと、耐ブロッキング性は向上し、減らすと低下する傾向にある。この観点から、たとえば含フッ素重合体(Ia)とアクリル系重合体(Ib)の質量比を70/30〜30/70、さらには60/40〜40/60にすることにより、複合粒子(I)のMFTおよび造膜性を本発明の範囲に調整することができる。
複合粒子(I)のフッ素含有量としては、30〜45質量%、さらには35〜40質量%のものが好ましい。この範囲にあるときに、含フッ素重合体とアクリル系重合体の相溶性の点で良好である。
また複合粒子(I)の平均粒子径としては250nm以下、さらには50〜250nm、特に100〜160nmが好ましい。前記平均粒子径が50nm未満になると水性分散液の粘度が上昇し、高濃度の水性分散液が得られなくなる傾向があり、250nmを超えると水性分散液の保存時に粒子の沈降や凝固を生じ、さらには塗膜調製時に光沢がでなくなる傾向がある。
本発明の耐ブロッキング改良剤は、フッ素/アクリル複合粒子(I)のみからなっていてもよいし、耐ブロッキング性に実質的な影響を与えない限り、他の添加剤を適量で含んでいてもよい。
他の添加剤としては、たとえばアクリル樹脂ビーズ、溶剤などがあげられる。溶剤としては、イソプロピルアルコールを例示することができる。
本発明の耐ブロッキング改良剤は、他の塗膜形成樹脂またはエラストマーに添加することにより、形成される塗膜や成形品表面の耐ブロッキング性が改良される。
なお、フッ素/アクリル複合粒子(I)を単独で塗膜形成成分として用いた場合、造膜性不良となり、耐水性などの塗膜物性が不充分となる。
本発明はまた、本発明の耐ブロッキング改良剤を配合した塗料組成物にも関する。
すなわち、本発明の塗料組成物は、前記フッ素/アクリル複合粒子(I)および、含フッ素重合体(IIa)とアクリル重合体(IIb)との複合粒子であってMFTが0〜10℃であり、かつTgが5〜15℃であるフッ素/アクリル複合粒子(II)を含み、
複合粒子(II)100質量部に対して複合粒子(I)を50〜150質量部含む。
2種類のフッ素/アクリル複合粒子(I)と(II)を含む本発明の塗料組成物は造膜性に優れるうえ、形成された塗膜は、耐ブロッキング性が改善され、しかも耐温水性にも向上したものである。
(2−1)含フッ素重合体(IIa)および(2−2)アクリル系重合体(IIb)
本発明の塗料組成物に用いる複合粒子(II)を構成する含フッ素重合体(IIa)とアクリル重合体(IIb)については、前記複合粒子(I)で用いる単量体が例示できる(前記(1−1)および(1−2))。しかし、それらの組合せおよび割合は、つぎのMFTの範囲およびTgの範囲を満たすように選択される。
限定されない好ましい含フッ素重合体(IIa)としては、たとえばつぎのものがあげられる。
VdF/TFE/CTFE(=70〜80/10〜20/10〜15 質量%比)
限定されない好ましいアクリル系重合体(IIb)としては、つぎのものがあげられる。
MMA/BA/AA(=70〜98/1〜30/0.5〜3.0 質量%比)
(2−3)最低造膜温度(MFT)
MFTは、造膜温度測定機(たとえば、(株)井元製、造膜温度試験装置(商品名))を用いて測定される物性値であり、塗膜の造膜性を評価する指標となる。
複合粒子(II)では、5〜20℃である。最低造膜温度(MFT)が5℃未満の場合、耐水性が低下する傾向があり、20℃を超える場合、造膜に時間がかかり、生産効率が低下するという問題がある。これらの観点から、MFTは、5℃以上が好ましく、15℃以下が好ましい。
(2−4)ガラス転移温度(Tg)
複合粒子(II)のTgの範囲は10〜25である。造膜性の観点から10〜20℃がさらに好ましい。Tgが10℃未満の場合、耐水性が低下する傾向があり、20℃を超える場合を超える場合、造膜不良、造膜不充分になる傾向がある。
これらのMFTおよびTgを複合粒子(II)の範囲に調整する方法には、複合粒子(I)で説明した種々の方法が採用できる。
複合粒子(II)においては、たとえば(メタ)アクリル酸エステル単量体のアクリル系単量体混合物中の含有量は、1〜5質量%が好ましい。1質量%より少ないと基材との密着性が不充分となり、また、5質量%を超えると耐水性が不充分となる傾向にある。好ましい上限は耐水性が良好な点から4質量%、さらには3質量%である。好ましい下限は密着性が良好な点から2質量%である。
複合粒子(II)においては、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてメチルメタクリレート(MMA)を用いる場合、MFTはMMAの割合を増やすと大きくなり、減らすと小さくなる傾向にある。この観点から、たとえばMMAをアクリル系単量体混合物中に30質量%以上、さらには35質量%以上、特に40質量%以上存在させることにより、複合粒子(I)のMFTを本発明の範囲に調整することができる。
また複合粒子(II)における含フッ素重合体(IIa)とアクリル系重合体(IIb)の質量比を調製することにより、MFTおよび造膜性を調整することができる。アクリル系重合体(IIb)の割合を増やすと、MFTは低下し、減らすとMFTが上昇する傾向にある。この観点から、たとえば含フッ素重合体(IIa)とアクリル系重合体(IIb)の質量比を70/30〜30/70、さらには60/40〜40/60にすることにより、複合粒子(II)のMFTを本発明の範囲に調整することができる。
複合粒子(II)のフッ素含有量としては、30〜45質量%、さらには35〜40質量%のものが好ましい。この範囲にあるときに、含フッ素重合体とアクリル系重合体の相溶性の点で良好である。
また複合粒子(II)の平均粒子径としては250nm以下、さらには50〜250nm、特に100〜160nmが好ましい。前記平均粒子径が50nm未満になると水性分散液の粘度が上昇し、高濃度の水性分散液が得られなくなる傾向があり、250nmを超えると水性分散液の保存時に粒子の沈降や凝固を生じ、さらには塗膜調製時に光沢が出なくなる傾向がある。
本発明の塗料組成物は、複合粒子(II)100質量部に対して複合粒子(I)を50〜150質量部含む。複合粒子(I)が50質量部よりも少ない場合は、耐ブロッキング性が不充分となり、また、150質量部よりも多くなると造膜性が低下して、いずれも本発明の課題を解決できない。好ましい複合粒子(I)の割合は、複合粒子(II)100質量部に対して80質量部以上、さらには90質量部以上であり、120質量部以下、さらには110質量部以下である。
本発明の塗料組成物は、水性塗料組成物、などに調製できるが、水性塗料組成物とするとき、耐ブロッキング性と造膜性を併せ持つ点で優れている。
水性塗料組成物には、膜形成材として前記の含フッ素シード重合体粒子を用いるほかは、従来公知の添加剤や配合割合が採用できる。たとえば、複合粒子(I)と(II)の合計の濃度としては、たとえば10〜60質量%程度の範囲から選定すればよい。
また、顔料入りの水性塗料組成物を調製する場合は、含フッ素シード重合体粒子の水性分散液に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタンなどの顔料、消泡剤、顔料分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と造膜補助剤の所定量を撹拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない水性塗料組成物を調製する場合は、含フッ素シード重合体粒子の水性分散液に、必要に応じ、水、造膜補助剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で撹拌混合すればよい。
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することもできる。
本発明の水性塗料組成物は各種の部材の塗装に用いることができるが、なかでも窯業分野の各種建材、たとえば一般住宅壁、屋根向けの窯業ボードなど、介在させるシート(たとえばウレタン樹脂シート、ポリエステルシートなど)に対する耐ブロッキング性が要求される建材の表面塗装に好適である。
本発明の塗料組成物を各種の部材に塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。たとえば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装などの塗装方法により塗布して塗膜を形成した後、5〜200℃で乾燥すればよい。膜厚は特に制限されないが、コスト、塗装性の点から5〜100μmの範囲で適宜選択すればよい。
本発明の塗料組成物は造膜性が良好であり、得られた塗膜は、耐ブロッキング性と耐温水性に優れている。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、特性の評価に使用した装置および測定条件は以下のとおりである。
(耐ブロッキング性試験)
被験塗板を80℃で30分乾燥した後、ウレタン樹脂製のシートをのせ、1.8〜2.7kg/cm2の荷重がかかるようにおもりを乗せる。40℃の雰囲気下で16時間静置した後、おもりとシートをはずす。被験塗板に残っているシートの痕跡の状態を目視により1〜5段階で評価する。5はまったく痕跡がない状態であり、1は明らかに痕跡が残っている状態である。
(耐水性試験)
被験塗板を23℃で1日間乾燥した後、JIS K5600−5−6に従って一次密着試験を行い、はがれ(JIS K5600−8−5に準拠)の等級を評価した。その後JIS K5600−6−2に従って23℃の水中に6日間浸漬し、その後23℃で1日間乾燥し、膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を評価した。さらに被験塗板を23℃で1日間乾燥した後、JIS K5600−5−6に従って二次密着試験を行いはがれ(JIS K5600−8−5に準拠)の等級を評価した。
膨れの等級(JIS K5600−8−2)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に分け、たとえば2(S1)のように記載する。
割れの等級(JIS K5600−8−4)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS0〜S5の等級(S0の方が小さい)に、深さをa〜cの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)bのように記載する。
はがれの等級(JIS K5600−8−5)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に、深さをa〜bの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)aのように記載する。
実施例1
2Lのステンレススチール製のオートクレーブに、イオン交換水500g、式:CH2=C(CH3)−CH2CH2−O−(BO)6−(EO)10−SO3NH4(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基;R4は炭素数2〜10の直鎖状のアルキレン基;XはHまたはSO3Y(YはNH4またはアルカリ金属原子、たとえばKまたはNaなど);BOはブチレンオキサイド単位;EOはCH2CH2OまたはCH(CH3)O単位;mは0〜50の整数;nは0〜100の整数;m+nは0〜150の整数)で示される化合物)(以下同じ)で示される化合物0.10g(200ppm/水(重合媒体としての水を使用。以下同じ))を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換後、減圧にした。続いて重合槽内を系内圧力が0.75〜0.80MPaとなるようにVdF/TFE/CTFE(=74/14/12モル%)混合単量体を圧入し、70℃に昇温した。
ついで過硫酸アンモニウム(APS)1.0g(2000ppm/水)を4mLのイオン交換水に溶解した重合開始剤溶液および酢酸エチル0.75g(1500ppm/水)を窒素ガスで圧入し、600rpmで撹拌しながら反応を開始した。
重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VdF/TFE/CTFE(=74/14/12モル%)混合単量体を内圧が0.75〜0.80MPaを維持するように供給した。重合開始から2時間5分後に未反応単量体を放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度10.6質量%の含フッ素重合体(Ia)のディスパージョンを得た。
撹拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、含フッ素重合体(Ia)ディスパージョン900gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤(日本乳化剤(株)製、707SF)をVdF系共重合体固形分に対して15質量%、RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%添加した。撹拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、MMAとBAとAAの98/1/1(モル%比)の混合単量体(390g)とAPSの1%水溶液16mL(混合単量体の0.158質量%に相当する量)の混合エマルジョンを調製し、この混合エマルジョンを2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径200nm、複合体粒子(I))の水性分散体を製造した。得られた耐ブロッキング改良剤について、耐ブロッキング性、耐温水性を測定した。結果を表1に示す。得られた複合体粒子(I)のTgは85℃であり、MFTは80℃であった。
比較例1
(比較用VdF系シード重合体の水性分散体の製造)
撹拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、実施例1で得られたVdF系共重合体水性分散液250gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤(三洋化成工業(株)製、エレミノールJS−20)をVdF系共重合体固形分に対して1.0質量%添加した。撹拌下に別途、MMA/BA/AAの98/1/1(モル%比)混合単量体(48g)に連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンを混合単量体の0.5質量%に相当する量で添加したエマルジョンを調製し、この混合単量体エマルションを0.5時間かけてフラスコ中に滴下し、30分撹拌した。その後RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して4.3質量%、RS−3000(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して1.4質量%添加し、撹拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。APSの1%水溶液7.5mL(混合単量体の0.158質量%に相当する量)を2時間かけて添加し、重合を開始した。重合開始2時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の比較用のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径134nm、複合体粒子)の水性分散体を製造した。得られたVdF系重合体水性分散液について、耐ブロッキング性、耐温水性を測定した。結果を表1に示す。得られた複合体粒子のTgは45℃であり、MFTは40℃であった。
比較例2
撹拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、実施例1と同様の方法で得た含フッ素重合体(Ia)のディスパージョン900gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤(日本乳化剤(株)製、707SF)をVdF系共重合体固形分に対して15質量%、RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%添加した。撹拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、MMAとBAとAAの49/49/2(モル%比)の混合単量体(390g)とAPSの1%水溶液16mL(混合単量体の0.158質量%に相当する量)の混合エマルジョンを調製し、この混合エマルジョンを2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の比較用のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径200nm、複合体粒子(II))の水性分散体を製造した。得られた複合体粒子(II)のTgは15℃であり、MFTは10℃であった。
実施例2
撹拌翼を備えた内容量2Lのフラスコに、実施例1で得た耐ブロッキング改良剤を500g仕込み、比較例2で得た複合体粒子(II)を500g添加した。混合液を回転数約300rpmで10分間撹拌し、本発明の塗料組成物を得た。得られた塗料組成物について、耐ブロッキング性、耐温水性を測定した。結果を表1に示す。得られた塗料組成物のTgは25℃であり、MFTは20℃であった。
実施例3
実施例1で得た耐ブロッキング改良剤を、比較例2で得た複合体粒子(II)100質量部に対して120質量部含むよう調製したほかは、実施例2と同様にして塗料組成物を得た。得られた塗料組成物について、耐ブロッキング性、耐温水性を測定した。結果を表1に示す。得られた塗料組成物のTgは20℃であり、MFTは15℃であった。
実施例4
実施例1で得た耐ブロッキング改良剤を、比較例2で得た複合体粒子(II)100質量部に対して80質量部含むよう調製したほかは、実施例2と同様にして塗料組成物を得た。得られた塗料組成物について、耐ブロッキング性、耐温水性を測定した。結果を表1に示す。得られた塗料組成物のTgは30℃であり、MFTは25℃であった。
Figure 2012021094

Claims (2)

  1. 含フッ素重合体(Ia)とアクリル重合体(Ib)との複合粒子であって最低造膜温度(MFT)が70〜90℃であり、かつTgが75〜95℃であるフッ素/アクリル複合粒子(I)を含むことを特徴とする耐ブロッキング改良剤。
  2. 請求項1記載の前記フッ素/アクリル複合粒子(I)および、含フッ素重合体(IIa)とアクリル重合体(IIb)との複合粒子であってMFTが5〜20℃であり、かつTgが10〜25℃であるフッ素/アクリル複合粒子(II)を含み、
    該複合粒子(II)100質量部に対して該複合粒子(I)を50〜150質量部含む塗料組成物。
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