JP2013071989A - 水性分散体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材との密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成させることができる水性分散体を提供する。
【解決手段】ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)、並びに、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性分散体及びその製造方法に関する。
従来、各種建造物用の塗料としては耐水性及び耐候性に優れているフッ素系塗料が用いられている。一方で、フッ素系塗料には基材との密着性や耐水性が充分ではないという欠点がある。
特許文献1には、含フッ素系重合体の粒子の存在下に、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルならびにこれらのエステルとの共重合が可能なエチレン性不飽和単量体を含有している単量体混合物を水性媒体中において乳化重合してえられる含フッ素系重合体水性分散液が記載されており、エチレン性不飽和単量体としてシクロヘキシル基を有する単量体が密着性の改良に著しい効果を奏することが記載されている。
特許文献2には、界面活性剤の存在下に少なくとも1種のフルオロオレフィンを水性分散重合して含フッ素重合体粒子の水性分散液を製造する工程(1)、及び、得られた含フッ素重合体粒子の水性分散液中でエチレン性不飽和単量体を含フッ素重合体粒子にシード重合する工程(2)を含む製造方法で得られた含フッ素シード重合体粒子を含む水性塗料組成物が記載されている。そして、工程(1)で使用する界面活性剤として、CH=CHCH−O−R(Rは酸素原子、窒素原子および/または極性基を有していてもよい炭化水素基)で示される化合物を使用することにより、基材との密着性、発泡性および光沢が向上することが記載されている。
このように、密着性の改良を目的とした技術開発が進められてきたが、更なる密着性及び耐水性の改善が要求されている。
特開平8−259773号公報 国際公開第2010/104142号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、基材との密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成させることができる水性分散体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を鋭意検討した結果、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体と特定のモノマーに基づく繰り返し単位を含む重合体とからなる粒子を含む水性分散体を使用すると、優れた密着性を示す塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)、並びに、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体である。
モノマー(a)は、スチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、及び、ジシクロペンテニルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
含フッ素複合重合体粒子は、モノマー(a)に基づく繰り返し単位が含フッ素複合重合体粒子全体の10〜85質量%であることが好ましい。
共重合体(B)は、更に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー(但し、モノマー(a)を除く)に基づく繰り返し単位を含むことが好ましい。
重合体(A)は、更に、テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位及びクロロトリフルオロエチレン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含むことが好ましい。
水性分散体は、含フッ素複合重合体粒子を20〜65質量%含むことが好ましい。
含フッ素複合重合体粒子は、平均粒子径が50〜300nmであることが好ましい。
水性分散体は、更に、無機ケイ素化合物を含むことが好ましい。
本発明は、上述の水性分散体を含む水性塗料用組成物でもある。
本発明は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体に、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)及び重合開始剤を添加する工程、並びに、モノマー(a)を重合させることにより、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)及びモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体を得る工程、からなることを特徴とする水性分散体の製造方法でもある。
本発明の水性分散体は、上記の構成からなるので、基材に塗布した場合に優れた密着性を示す塗膜を形成させることができる。また、得られる塗膜は耐水性にも優れる。本発明の製造方法は、上記の構成からなるので、優れた密着性及び耐水性を示す塗膜を形成させることができる水性分散体を製造することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の水性分散体は、重合体(A)及び重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む。重合体(A)及び重合体(B)は単一粒子中に存在する。この点で本発明の含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体は、重合体(A)及び重合体(B)を単に混合することにより形成された水性分散体とは相違する。重合体(A)及び重合体(B)は化学的に結合していない。
重合体(A)は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む。重合体(A)は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を、重合体(A)を構成する全単量体単位の20〜95モル%含むことが好ましく、65〜85モル%含むことがより好ましい。
重合体(A)は、ビニリデンフルオライド(VDF)に基づく繰り返し単位に加えて、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位からなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含むことが好ましく、TFE及びCTFEに基づく繰り返し単位、TFEに基づく繰り返し単位、または、HFPに基づく繰り返し単位を含むことがより好ましい。
重合体(A)としては、VDF/TFE共重合体、VDF/TFE/CTFE共重合体、VDF/HFP共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体、VDF/CTFE共重合体等が挙げられる。
重合体(A)は、上述したフルオロオレフィン以外のフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含んでいてもよく、たとえばパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、
Figure 2013071989
等のパーフルオロオレフィン;フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン等の非パーフルオロオレフィンが挙げられる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としてはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)等が挙げられる。
重合体(A)は、官能基含有フルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含んでいてもよい。官能基含有フルオロオレフィンとしては、たとえば式(1):
CX =CX−(Rf)−Y (1)
(式中、Yは−OH、−COOM、−SOF、−SO(Mは水素原子、NH基またはアルカリ金属)、アルコキシカルボニル基、エポキシ基またはシアノ基;XおよびXは同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子;Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基または炭素数2〜40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基;mは0または1)で示される化合物が挙げられる。
具体例としては、たとえば、
Figure 2013071989
Figure 2013071989
等が挙げられる。
重合体(A)は、ヨウ素含有モノマーに基づく繰り返し単位を含んでいてもよい。ヨウ素含有モノマーとしては、たとえば特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)等のパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も使用できる。
重合体(A)は、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素化オレフィンに基づく繰り返し単位を含んでいてもよい。
重合体(A)のフッ素元素含有量は、50〜76質量%、さらには60〜70質量%が好ましい。
重合体(A)の製造方法は特に限定されず、従来公知の乳化重合法であってよい。
重合体(B)は、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む。含フッ素複合重合体粒子は、モノマー(a)に基づく繰り返し単位を含フッ素複合重合体粒子全体の5〜85質量%含むことが好ましく、10〜70質量%含むことがより好ましい。
芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ジフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基等のアリール基を有するモノマーが挙げられる。
ノルボルニル基を有するモノマーは、ノルボルニル基を有するモノマーであってもよいし、シクロペンテン骨格等を導入したノルボルニル基を有するモノマーであってもよい。ノルボルニル基を有するモノマーとしては、ビニルノルボルネン、ビニルノルボルナンノルボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ノルボルナニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルナニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート等が挙げられる。
モノマー(a)としては、密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成させることができることから、スチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、及び、ジシクロペンテニルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
重合体(B)は、密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成させることができることから、更に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー(但し、モノマー(a)を除く)に基づく繰り返し単位を含むことが好ましい。
アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜10のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。透明性、造膜性、透明性が優れる塗膜が得られる点から、なかでも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、及び、グリシジルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、ブチルアクリレート及び2−エチルへキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステルであることが更に好ましい。上記アクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しない。
メタクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜10のメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。透明性、造膜性、透明性が優れる塗膜が得られる点から、なかでも、メチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及び、グリシジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、メチルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステルであることが更に好ましい。上記メタクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しない。
重合体(B)は、密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成させることができることから、メタクリル酸エステルに基づく繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸及びアクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマーに基づく繰り返し単位とを含むことが好ましく、メタクリル酸エステルに基づく繰り返し単位と(メタ)アクリル酸に基づく繰り返し単位とアクリル酸エステルに基づく繰り返し単位とを含むことがより好ましい。
重合体(B)は、5〜90質量%のメタクリル酸エステルに基づく繰り返し単位と、1〜10質量%の(メタ)アクリル酸に基づく繰り返し単位と、5〜90質量%のアクリル酸エステルに基づく繰り返し単位とを含むことが更に好ましい。
重合体(B)は、加水分解性シリル基含有単量体に基づく繰り返し単位を含むものであってもよい。加水分解性シリル基含有単量体としては、
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)Si(OCH
CH=C(CH)Si(CH)(OCH
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC13
CH=CHSi(OC17
CH=CHSi(OC1021
CH=CHSi(OC1225
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CH(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(CH)(OCH
CH=CHCHOCO(o−C)COO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(o−C)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CHO(CHSi(OCH
CH=CHCHO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(CH10Si(OCH
等が挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
密着性、貯蔵安定性が良好な点から、なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
加水分解性シリル基含有単量体に基づく繰り返し単位の含有量は、アクリルモノマーに基づく繰り返し単位の0.1〜2質量%であることが好ましい。0.1質量%より少ないと密着性が不充分となるおそれがあり、2質量%を超えると造膜性及び貯蔵安定性が不安定となるおそれがある。より好ましい上限は2質量%、更に好ましい上限は1.5質量%である。より好ましい下限は0.1質量%、更に好ましい下限は0.2質量%である。
重合体(B)は、不飽和カルボン酸類、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α−オレフィン類、芳香族ビニル単量体、エポキシ基含有単量体等の非フッ素化オレフィンに基づく繰り返し単位を含むものであってもよい。
不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸等が挙げられる。なかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくい点、カルボキシル基の導入を制御しやすい点から、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
水酸基含有アルキルビニルエーテル類の具体例としては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等が挙げられる。重合反応性が優れる点で、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
カルボン酸ビニルエステル類の具体例としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル等が挙げられる。カルボン酸ビニルエステル類を用いることで、本発明の水性分散体から得られる塗膜に、光沢の向上、ガラス転移温度の上昇等の特性を付与できる。
α−オレフィン類としては、たとえばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、スチレン等が挙げられる。α−オレフィン類を用いることで、本発明の水性分散体から得られる塗膜に、可とう性の向上等の特性を付与できる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類が例示できる。エポキシ基含有単量体としては、アリルグリシジルエーテル等が例示できる。
上記含フッ素複合重合体粒子は、重合体(A)と重合体(B)との質量比(A)/(B)が10/90〜90/10であることが好ましく、10/90〜70/30であることがより好ましい。重合体(A)が多すぎると塗装時の造膜性及び基材への密着性が劣るおそれがある。更に好ましくは、(A)/(B)が20/80〜60/40である。
本発明の水性分散体は、更に、無機ケイ素化合物を含むことが好ましい。無機ケイ素化合物を含むことによって、更に密着性及び耐水性に優れた塗膜を形成させることができる。
無機ケイ素化合物としては、シリカであることが好ましく、溶媒にシリカを分散安定化させてえられるシリカゾル(コロイダルシリカ溶液)であることがより好ましい。
シリカは、その粒子表面に−SiOH、−SiOR(式中、Rは炭素数1以上のアルキル基)等の親水性基をもつ。
上記Rとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。炭素数の上限は、親水性発現という点から6程度であればよく、とくにメチル基、エチル基であるのが好ましい。
シリカの平均粒径は、水性分散体中における分散安定性が良好である点で、10〜200nmであることが好ましく、平滑性及び光沢に優れた塗膜が得られることから、10〜100nmであることがより好ましい。
シリカの比重は、水性分散体中における分散安定性が良好である点で、0.90〜1.5g/cm3であることが好ましい。
溶媒としてはシリカを分散させてゾルを形成しうるものであれば特に制限はなく、たとえば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、エチレングリコール、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、メチルカルビトール等のモノエーテル類、及び、水が挙げられる。
これらのなかでも、含フッ素複合重合体粒子との親和性および配合時の安定性が優れることから、ケトン類、エステル類、又は、水を用いるのが好ましい。
上記シリカゾルは、上記シリカと溶媒とを常法で混合することにより製造できる。
上記シリカゾルの粘度は、計量のしやすさ、取り扱いやすさをはじめとする作業性という点から、1〜200mPa/sであればよいが、水性分散体に配合後の分散容易性という点から1〜50mPa/sであるのが好ましい。
本発明において好適に用いることのできるシリカゾルとして、市販のものとしては、たとえば日産化学工業(株)製のMIBK−ST、XBA−ST、NPC−ST、EG−ST−ZL、IPA−ST、MEK−ST、EG−ST−ZL、EG−ST等の溶剤型のシリカゾル、スノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−S、ST−50、ST−20L、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、QAS−40、LSS−35、LSS−45、ST−UP、ST−OUP、ST−AK等の水型のシリカゾルが挙げられる。
無機ケイ素化合物は、含フッ素複合重合体粒子100質量部に対し0.1〜300質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。無機ケイ素化合物が少なすぎると、密着性に優れた塗膜を形成させることができないおそれがあり、無機ケイ素化合物が多すぎると、水性分散体の透明性が劣るおそれがある。シリカゾルを使用する場合は、シリカゾルの固形分が含フッ素複合重合体粒子100質量部に対し0.1〜300質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
本発明の水性分散体は、含フッ素複合重合体粒子を20〜65質量%含むことが好ましく、30〜60質量%含むことがより好ましく、35〜50質量%含むことが更に好ましい。
含フッ素複合重合体粒子は、平均粒子径が50〜300nmであることが好ましい。より好ましくは、50〜250nmである。粒子径が小さすぎると水性分散体の粘度が高すぎて取扱い性に劣るおそれがある。粒子径が大きすぎると水性分散体の沈降安定性が低下するおそれがあったり、最低成膜温度の上昇を招くことがあったりする。
本発明の水性分散体は、後述する本発明の製造方法により製造することができる。
本発明は、上述の水性分散体を含む水性塗料用組成物でもある。本発明の水性塗料用組成物は、上述の水性分散体を用いるほかは、従来公知の添加剤や配合割合が採用できる。含フッ素複合重合体粒子の濃度は10〜65質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、35〜50質量%であることが更に好ましい。
また、顔料入りの水性塗料用組成物を調製する場合は、上述の水性分散体に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタン等の顔料、消泡剤、顔料分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と造膜補助剤の所定量を撹拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない水性塗料用組成物を調製する場合は、上述の水性分散体に、必要に応じ、水、造膜補助剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で撹拌混合すればよい。
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することもできる。
本発明の水性塗料用組成物を適用する基材としては特に限定されず、溶融めっき鋼板、ステンレススチール板、アルミニウム鋼板等の金属系基材;スレート、窯業系サイジング材、発泡コンクリート、ガラス等のセラミック系基材;塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルム等のプラスチック基材に適用できる。溶融めっき鋼板としては、たとえば溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板等が挙げられる。
本発明の水性塗料用組成物を各種の基材に塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。たとえば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装等の塗装方法が採用できる。
塗装後の乾燥方法は特に制限されず、周囲温度での自然乾燥でもよいし、乾燥時間を掛けての低温(5〜60℃)での乾燥でもよいが、本発明の塗料用組成物は、常温〜200℃、特に60〜200℃(基材温度)での強制乾燥においても、耐候性、耐水性、強度、基材密着性、造膜性に優れた塗膜を形成することができる。強制乾燥に要する時間は、通常3秒間〜10分間である。
塗料用組成物としては、耐候性塗料用組成物、特に建築・建材用の耐候性塗料用組成物、自動車の内・外装用塗料用組成物、電気製品の内・外装塗料用組成物、事務機器あるいは厨房器具類の塗料用組成物等が例示でき、特に耐候性・耐久性が良好な点から建材用の耐候性塗料用組成物に有利に適用できる。
本発明は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)からなる粒子を含む水性分散体に、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)及び重合開始剤を添加する工程、並びに、モノマー(a)を重合させることにより、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)及びモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体を得る工程、からなることを特徴とする水性分散体の製造方法でもある。
本発明の製造方法は、重合体(A)からなる粒子をシード粒子として、水中でモノマー(a)を乳化重合させるシード重合である。重合体(A)からなる粒子を含む水性分散体は、重合体(A)の他に、水、乳化剤等を含むものであってもよい。水性分散体の重合体(A)の固形分濃度は20〜70質量%であってよい。
重合体(A)からなる粒子を含む水性分散体に、モノマー(a)及び重合開始剤に加えて、アクリルモノマーを添加することも好ましい。
モノマー(a)、重合開始剤及びアクリルモノマーは、モノマー(a)及びアクリルモノマーを重合させながら添加してもよい。
モノマー(a)の添加量は、合計で、重合体(A)からなる粒子100質量部に対して10〜250質量部であることが好ましく、15〜90質量部であることがより好ましい。
アクリルモノマーの添加量は、合計で、重合体(A)からなる粒子100質量部に対して40〜400質量部であることが好ましく、45〜300質量部であることがより好ましい。
重合開始剤としては、水中でフリーラジカル反応に供し得るものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。使用可能な水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等をあげることができる。油溶性の重合開始剤としては、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等をあげることができる。重合開始剤の使用量は、アクリルモノマー100質量部あたり、0.05〜2.0質量部であることが好ましい。
モノマー(a)及び重合開始剤に加えて、乳化剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤等を添加してもよい。
乳化剤としては、反応性乳化剤でも非反応性乳化剤でも、またはそれらの併用でもよい。非反応性乳化剤としては、従来公知のアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤を単独またはこれらの併用が挙げられる。場合によっては両性乳化剤を用いることもできる。
連鎖移動剤としては、たとえばクロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類等をあげることができる。連鎖移動剤の使用量は、アクリルモノマー100質量部あたり0〜5.0質量部であることが好ましい。
モノマー(a)の重合温度は10〜90℃であってよく、重合時間は0.5〜6時間であってよい。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(水性塗料組成物の調製)
各実施例及び比較例で得られた含フッ素複合重合体粒子の水性分散体を用い、トリエチルアミンでpH7.5まで中和した。水性分散体に成膜助剤(アジピン酸ジエチル)を5質量%/固形分添加し、スリーワンモーターで30分撹拌して、クリア塗料用の水性塗料用組成物を調製した。
(ワンコート塗装および試験片の作製)
得られた水性塗料用組成物をガルバリウム鋼板(日本テストパネル(株)製)にバーコーターにより塗装し、140℃にて7秒間の条件で乾燥して厚さ4μmのクリア塗膜を有する試験片を作製した。
(外観)
(評価基準)
作製した試験片に凝集物、ふくれ、割れ等があるか否かを目視により判断する。○はふくれ、割れ等が全くないもの、△はふくれ、割れ等が1つ以上で5つ以内のもの、×はふくれ、割れ等が5つより多いものである。
(初期密着性)
塗膜の乾燥後24時間放置した後、試験片に対してJIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
(耐候性)
(試験方法)
作製した試験片を促進耐候性試験機に入れ、322時間後の赤外分光スペクトルをATR法(減衰全反射法)を用い測定する。アクリレート由来のC−H伸縮振動(1700cm−1付近)の吸収の減衰率によって、耐侯性を評価する。
促進耐候性試験機(SUV):スーパーUVテスター、岩崎電気(株)製
試験サイクル:純水スプレー(10秒毎)1時間→露光11時間(ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%)→結露11時間(ブラックパネル温度30℃、相対湿度100%)。このサイクルを1サイクル(23時間)とする。
試験時間:322時間(14サイクル)
(評価基準)
試験後の試験片表面部をATR法(減衰全反射法)を用い、赤外分光スペクトルを測定する。促進耐候性試験前の試験片と試験後(322時間後)の試験片を比較する。1150cm−1付近のC−F伸縮振動の吸収を規格化し、1700cm−1付近のアクリレート由来のC−H伸縮振動の吸収が試験前後で減衰していないかを確認する。○は試験前と比較し、1700cm−1付近のアクリレート由来のC−H伸縮振動の吸収の減衰が10%以内のもの、△は減衰が10%より大きく、25%以内のもの、×は減衰が25%より大きいものである。
ATR測定:Perkin Elmer社製 FT−IR Spectrometer Spectorum100を使用
(耐水密着性試験)
試験片を23℃で5分没水処理し、没水処理後取り出した試験板の水をふき取る。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は塗膜が完全に残っている場合は○、少しでも剥がれた場合は△、完全に剥がれた場合は×と表す。
(トップクリア塗装および試験片の作製)
得られた水性塗料用組成物をガルバリウム鋼板(日本テストパネル社製)に下塗り:ダイキン社製(ゼッフル遮熱塗料下塗り)、中塗り:ダイキン社製(ゼッフル遮熱塗料下塗り)を塗布した塗板に、バーコーターを用いて塗布し、1日乾燥して厚さ10μmのクリア塗膜を有する試験片を作製した。
(初期密着試験)
試験片に対してJIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
(初期耐水試験)
得られた試験片を23℃で1日没水処理し、取り出した直後の膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を評価する。
(2次密着性試験)
また、没水処理後取り出し、23℃で1日乾燥した後、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
(膨れ)
膨れの等級(JIS K5600−8−2)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に分け、たとえば2(S1)のように記載する。
(割れ)
割れの等級(JIS K5600−8−4)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS0〜S5の等級(S0の方が小さい)に、深さをa〜cの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)bのように記載する。
(はがれ)
はがれの等級(JIS K5600−8−5)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に、深さをa〜bの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)aのように記載する。
(耐候性)
作製した試験片を促進耐候性試験機に入れ、一定サイクルごとに光沢値、L値、a値、b値を測定する。その結果から光沢保持率(%)を算出し、塗膜の耐侯性を評価する。
促進耐候性試験機(SUV):スーパーUVテスター、岩崎電気(株)製
試験サイクル:純水スプレー(10秒毎)1時間→露光11時間(ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%)→結露11時間(ブラックパネル温度30℃、相対湿度100%)。このサイクルを1サイクル(23時間)とする。
試験時間:966時間(42サイクル)〜1610時間(70サイクル)
実施例1
(VDF系重合体(A)の水性分散液の製造)
VDF系重合体粒子としてVdF/TFE/CTFE共重合体(=72.1/14.9/13(モル%))(VTC)の粒子の水性分散液(固形分濃度45.5質量%)659.3gを2.0L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、そこに乳化剤としてニューコール707SF(日本乳化剤(株)製)37.1gと、水59.3gを加えて充分に混合して水性分散液を調製した。
つぎに1.0L容のガラス製フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)110.5g(42.5質量%)、スチレン(SM)89.0g(34.2質量%)、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)49.9g(19.2質量%)、メタクリル酸(MAA)10.7g(4.1質量%)を加え、モノマー溶液を調製した。
セパラブルフラスコの内温を80℃にまで昇温し、モノマー溶液の全量を前記VDF/TFE/CTFE共重合体粒子の水性分散液に3時間かけて添加した。また、モノマー溶液滴下と同時に過硫酸アンモニウム(APS)(1質量%水溶液)41.1gを30分ごとに7回に分けて添加しながら重合を進めた。重合開始から5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、アクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体を得た(固形分濃度52.0質量%)。得られたアクリル−フッ素複合重合体中のアクリル系重合体部分の組成は、MMA/SM/2EHA/MAA=42.5/34.2/19.2/4.1(質量%比)であった。また、得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子におけるVDF系重合体部分とアクリル系重合体部分との質量比(VDF/アクリル)は、50/50であった。
実施例2〜3
アクリル系重合体用のアクリル系単量体混合物として、表1に示す単量体混合物を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、それぞれアクリル−フッ素複合重合体を得た。
実施例4
VDF系重合体粒子としてVdF/TFE共重合体(=80/20(モル%))(VT)の粒子の水性分散液(固形分濃度10.0質量%)を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、アクリル−フッ素複合重合体を得た。
実施例5
VDF系重合体粒子としてVdF/HFP共重合体(=91/9(モル%))(VH)の粒子の水性分散液(固形分濃度10.0質量%)を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、アクリル−フッ素複合重合体を得た。
比較例1
アクリル系重合体用のアクリル系単量体混合物として、MMA/2EHA/MAA=82.1/13.8/4.1(質量%比)の比較用単量体混合物を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、比較用のアクリル−フッ素複合重合体を得た。アクリル系重合体部分の組成は、MMA/n−BA/AA=82.1/13.8/4.1(質量%比)であった。また、得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子におけるVDF系重合体部分とアクリル系重合体部分との質量比(VDF/アクリル)は、50/50であった。
Figure 2013071989
表1から、重合体(A)、並びに、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体が、基材との密着性及び耐水性に優れる塗膜を形成することができることが分かる。

Claims (10)

  1. ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)、並びに、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含むことを特徴とする水性分散体。
  2. モノマー(a)は、スチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、及び、ジシクロペンテニルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1記載の水性分散体。
  3. 含フッ素複合重合体粒子は、モノマー(a)に基づく繰り返し単位を含フッ素複合重合体粒子全体の10〜85質量%含む請求項1又は2記載の水性分散体。
  4. 共重合体(B)は、更に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリルモノマー(但し、モノマー(a)を除く)に基づく繰り返し単位を含む請求項1、2又は3記載の水性分散体。
  5. 重合体(A)は、更に、テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位及びクロロトリフルオロエチレン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位を含む請求項1、2、3又は4記載の水性分散体。
  6. 含フッ素複合重合体粒子を20〜65質量%含む請求項1、2、3、4又は5記載の水性分散体。
  7. 含フッ素複合重合体粒子は、平均粒子径が50〜300nmである請求項1、2、3、4、5又は6記載の水性分散体。
  8. 更に、無機ケイ素化合物を含む請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の水性分散体。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の水性分散体を含む水性塗料用組成物。
  10. ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)からなる粒子を含む水性分散体に、芳香環を有するモノマー及びノルボルニル基を有するモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー(a)及び重合開始剤を添加する工程、並びに、
    モノマー(a)を重合させることにより、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を含む重合体(A)及びモノマー(a)に基づく繰り返し単位を含む重合体(B)からなる含フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体を得る工程、
    からなることを特徴とする水性分散体の製造方法。
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