JP2009242479A - 含フッ素複合粒子の水性分散体の製法 - Google Patents

含フッ素複合粒子の水性分散体の製法 Download PDF

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Abstract

【課題】初期の耐水性や粒子同士の融着能が改善され、かつフッ素含有量が低減化された含フッ素複合重合体粒子の分散体を製造する方法を提供する。
【解決手段】含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製し、該重合体溶液を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合し、含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する乳化重合工程、および該含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体にエチレン性不飽和基含有単量体(c)を加えて含フッ素複合重合体粒子(II)中に含浸させつつエチレン性不飽和基含有単量体(c)を重合する含浸重合工程を含む複合粒子(III)の水性分散体の製法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合化された含フッ素重合体の水性分散体の製造方法に関する。
従来、複合化された含フッ素重合体の水性分散体の製法としては、乳化重合で製造された含フッ素重合体粒子にアクリル系単量体などのエチレン性不飽和基含有単量体をシード重合して複合化した粒子を得る方法(特許文献1)、含フッ素重合体エマルションとアクリル系重合体エマルションを混合して共凝析させるエマルションブレンド法(特許文献2)などが知られている。
しかし、シード重合する方法では、シード粒子が含フッ素重合体粒子であるため、複合化された粒子の表面は必然的にアクリル系重合体の割合が多くなり、含フッ素重合体の特性が出しにくくなっている。一方、エマルションブレンド法では、単に均一なブレンドができるだけである。
ところで含フッ素重合体は他の汎用樹脂に比べて高価なため、その含有割合を少なくすることが望まれている。
この観点から、特許文献3では、含フッ素重合体をエチレン性不飽和基含有単量体に溶解して得られる重合体溶液を乳化重合に供して得られる含フッ素複合重合体粒子において、溶解していた含フッ素重合体が得られた複合重合体粒子の表面に偏在しており、少ないフッ素含有量で従来の含フッ素重合体粒子と同等の性能をもつ複合粒子が得られることが記載されている。
しかし、特許文献3に記載の含フッ素複合重合体粒子は、初期の耐水性や粒子同士の融着能に改善の余地がある。
特開昭62−32102号公報 国際公開第96/17890号パンフレット 国際公開第2007/15477号パンフレット
本発明は、初期の耐水性や粒子同士の融着能が改善され、かつフッ素含有量が低減化された含フッ素複合重合体粒子の水性分散体を製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
(1)含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製し、該重合体溶液を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合し、含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する乳化重合工程、および
(2)該含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体にエチレン性不飽和基含有単量体(c)を加えて含フッ素複合重合体粒子(II)中に含浸させつつエチレン性不飽和基含有単量体(c)を重合する含浸重合工程
を含む複合粒子(III)の水性分散体の製法に関する。
前記含フッ素重合体(A)としては、構造単位としてテトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位およびフッ化ビニリデン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位を含むことが好ましく、また構造単位としてフッ化ビニリデン単位を含むことが耐候性、相溶性、耐薬品性、耐溶剤性などが良好な点から好ましい。
また、前記エチレン性不飽和基含有単量体(b)としては、アクリル系単量体またはメタクリル系単量体を含むことが、耐候性、透明性、光沢、密着性などが良好な点から好ましい。
さらにまた、前記エチレン性不飽和基含有単量体(c)としては、アクリル系単量体またはメタクリル系単量体を含むことが耐候性、透明性、光沢、密着性などが良好な点から好ましく、特にメタクリル系単量体を含むことが耐候性、透明性、光沢、密着性、相溶性などが良好な点から好ましい。
前記工程(1)において、乳化重合は、反応性乳化剤を少なくとも含む乳化剤の存在下に行うことが耐水性、低起泡性などが良好な点から好ましい。
本発明はまた、本発明の製法により得られる複合粒子の水性分散体にも関する。
本発明の製法によれば、初期の耐水性や粒子同士の融着能が改善され、かつフッ素含有量が低減化された含フッ素複合重合体粒子の分散体を製造することができる。
本発明の製法は、重合体溶液を用いた乳化重合工程(1)と含浸重合工程(2)を含む。以下、これらの工程について説明する。
(1)重合体溶液を用いた乳化重合工程
含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製する工程と、該重合体溶液を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合し、含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する工程とからなる。
(1−1)重合体溶液調製工程
含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製する工程である。
本発明において、「含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して得られる重合体溶液(I)」とは、含フッ素重合体(A)が単分子で溶解している場合、複数の分子が集合しているが集合体の形態で溶解または微分散している場合、複数の分子が集合しているが集合形態で部分的に溶解または部分的に膨潤している場合、含フッ素重合体がエチレン性不飽和基含有単量体に相溶化剤を介して溶解している場合などを含むが、シード重合法のような粒子状の重合体を実質的に含んでいる場合は含まない。別の観点からは、含フッ素重合体が溶媒としての単量体中を自由に移動できる状態といってもよい。
従来のシード重合法では、含フッ素重合体粒子の存在下にエチレン性不飽和基含有単量体を乳化重合しているが、エチレン性不飽和基含有単量体は含フッ素重合体粒子に一部浸入してはいる(いわゆる膨潤)が含フッ素重合体を溶解はしていない。この点で本発明の製法と基本的に異なる。なお、本発明において、含フッ素重合体(A)は結果として単量体(b)に溶解していればよく、単量体(b)と混合する時点で顆粒状でもペレット状でも微粉末状でも樹脂状でも溶液状でもよい。
本発明で使用可能な含フッ素重合体(A)としては、官能基(後述するとおり、エチレン性不飽和基も含む。以下同様)を有する含フッ素重合体でも、官能基を有さない含フッ素重合体でもよい。これらについて以下説明する。
(A1)官能基を有しない含フッ素重合体
(A1−1)フルオロオレフィン系重合体
フルオロオレフィンとしては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VdF)などの1種または2種以上があげられる。
具体例としては、つぎのものがあげられる。
(A1−1−1)TFE系重合体
PTFE、TFE/HFP系共重合体、TFE/PAVE系共重合体、TFE/エチレン系共重合体、TFE/ビニルエーテル系共重合体、TFE/ビニルエステル系共重合体、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル系共重合体、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル系共重合体などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、TFE/エチレン系共重合体、TFE/ビニルエーテル系共重合体、TFE/ビニルエステル系共重合体、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル系共重合体、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル系共重合体などが好ましい。
(A1−1−2)CTFE系重合体
PCTFE、CTFE/HFP系共重合体、CTFE/PAVE系共重合体、CTFE/エチレン系共重合体、CTFE/ビニルエーテル系共重合体、CTFE/ビニルエステル系共重合体、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル系共重合体、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル系共重合体などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、CTFE/エチレン系共重合体、CTFE/ビニルエーテル系共重合体、CTFE/ビニルエステル系共重合体、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル系共重合体、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル系共重合体などが好ましい。
(A1−1−3)VdF系重合体
PdVF重合体、VdF/TFE系共重合体、VdF/HFP系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体、VdF/CTFE系共重合体、VdF/TFE/PAVE系共重合体、VdF/CTFE/TFE系共重合体、VdF/CTFE/HFP系共重合体などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、VdFが重合体中に50モル%以上含有されていることが好ましい。
(A1−2)フッ素化アクリル系重合体
αフルオロアクリレート単位やフルオロメタクリレートを含む重合体があげられる。
具体例としては、αフルオロアクリレートとしては、たとえばCH2=CFCOOCH2CF2CF2H(4FFA)、CH2=CFCOOCH2CF2CF3(5FFA)、CH2=CFCOOCH2(CF23CF2H(8FFA)、CH2=CFCOOCH2(CF25CF2H(12FFA)など;フルオロメタクリレートとしては、たとえばCH2=C(CH3)COOCH2CF3(3FMA)、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2H(4FMA)、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF3(5FMA)、CH2=C(CH3)COOCH2(CF22CF3(7FMA)、CH2=C(CH3)COOCH2(CF23CF2H(8FMA)などが例示できる。
(A2)官能基含有含フッ素重合体
官能基含有単量体として、水酸基含有単量体、カルボン酸基含有単量体、反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物などを含む重合体があげられる。
水酸基含有単量体の具体例としては、たとえば式(IV):
CH2=CHR1 (IV)
(式中、R1は−OR2または−CH2OR2(ただし、R2は水酸基を有するアルキル基である))で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルアリルエーテルがあげられる。R2としては、たとえば炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどがあげられる。
カルボン酸基含有単量体としては、式(V):
Figure 2009242479
(式中、R3、R4およびR5は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、カルボキシル基またはエステル基;nは0から13である)で表わされる不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、そのモノエステルまたは酸無水物などの不飽和カルボン酸類;または式(VI):
Figure 2009242479
(式中、R6およびR7は同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキレン基;nは0または1;mは0または1である)で表わされるカルボン酸基含有ビニルエーテル単量体などがあげられる。
式(V)の不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、10−ウンデセン酸などがあげられる。
式(VI)のカルボン酸基含有ビニルエーテル単量体の具体例としては、たとえば3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−アリロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸などの1種または2種以上があげられる。
カルボン酸基含有単量体としては、また、前記水酸基含有含フッ素重合体へ二塩基性酸無水物を作用せしめたものなどもあげられる。
本発明に用いられる反応性α、β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物が有する加水分解性シリル基の具体例としては、式:
n(R83-nSi−
(式中、Xは加水分解性基または元素を示し、R8は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、nは1〜3の整数)で示される基が例示できる。
前記加水分解性基としては、ハロゲン元素、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが含まれるが、塗料としての取り扱い性、反応速度、臭気、腐蝕物質を発生させないなどの点で、アルコキシ基を有するものを用いることが好ましい。
ここで、アルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜5であり、たとえばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基が架橋反応速度の点で好ましい。
加水分解性シリル基を含み、ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランまたはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
含フッ素重合体(A)の製造方法は特に限定されず、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法、ミニエマルション重合法などが採用できる。重合条件は従来公知の条件が採用できる。なお、本発明では単量体に溶解するため、重合生成物の形態(たとえば粒子径など)は特に問題とならない。
含フッ素重合体(A)の分子量は数平均分子量で1,000,000以下、さらには200,000以下、特に100,000以下のものが溶液重合性の点で好ましく、1,000以上、さらには4,000以上、特に5,000以上のものが耐候性、耐久性に優れる点で好ましい。
本発明ではこの含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して含フッ素重合体溶液とする。したがって、エチレン性不飽和基含有単量体(b)は含フッ素重合体(A)を溶解するものであることが必要である。
そうしたエチレン性不飽和基含有単量体(b)としては、種々の特性を有する単量体を使用すればよい。
たとえば耐候性、耐薬品性、密着性、光沢などを向上させるためには(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルが好ましく、さらに耐候性を向上させるためには炭素数4〜10のアルキル基を含むエチレン性不飽和基含有単量体が好適である。
また含フッ素複合重合体に水溶性や水分散性を付与するには、カルボキシル基および/またはスルホン酸基を含有するエチレン性不飽和基含有単量体を使用すればよいし、密着性、顔料分散性という特性を付与するにはカルボキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基を有するエチレン性不飽和基含有単量体を使用すればよい。また、架橋性という特性を付与するには架橋性官能基として、たとえば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基を有するエチレン性不飽和基含有単量体を使用すればよい。
特に架橋性官能基を有する単量体および炭素数4〜10のアルキル基を含有するアクリル系またはメタクリル系単量体をそれぞれ少なくとも1種含む単量体混合物であることが好ましい。
具体例としては、たとえばメチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル類;2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数4〜10のアルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアミド化合物類;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有単量体類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体類;γ−トリメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシランメタクリレートなどのシロキサン基含有単量体類;アクロレインなどのアルデヒド基含有単量体類などの1種または2種以上があげられる。
これらのうち、高い重合性と市販されている単量体の豊富性の点から(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
含フッ素重合体(A)の単量体(b)への溶解は、通常の方法により行えばよい。たとえば単量体(b)へ含フッ素重合体(A)を添加する方法、含フッ素重合体(A)へ単量体(b)を添加する方法などの方法が採用される。また、常温で溶解しない場合、加温するか、相溶化剤を使用してもよい。
含フッ素重合体溶液における含フッ素重合体(A)の濃度は、塗膜性能(耐候性、耐久性、耐薬品性)などによって適宜選定すればよいが、耐候性、耐久性などが良好な点から、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、さらには3質量%以上が採用される。上限は重合安定性、光沢、密着性などの観点から90質量%、好ましくは80質量%、さらには70質量%である。
(1−2)乳化重合工程
重合体溶液調製工程(1−1)で得られた重合体溶液(I)を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合して含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する工程である。
乳化重合は以下の方法および条件下に行えばよい。
すなわち、この含フッ素重合体溶液に乳化剤と水を添加し、機械的な乳化方法を用いて含フッ素重合体溶液のプレ水性分散体とする。このプレ水性分散体をさらに超音波、コロイドミルまたは高圧ホモジナイザーなどの強力エネルギー付与手段を用いて剪断し、ミニエマルション化することも可能である。重合段階はこの乳化段階の後に、重合開始剤を用いて行う。このとき乳化剤としては、非反応性乳化剤、反応性乳化剤またはそれらの組み合わせを使用することができる。また重合は、エマルション重合で一般的に用いられる任意の方式、すなわちバッチ式、半連続式または連続式重合法で行うことができる。
重合温度は約20〜100℃、特には約40〜90℃が好ましい。
重合開始剤としては、たとえばオクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;イソプロポキシカルボニルパーオキサイド、tert−ブトキシカルボニルパーオキサイドなどのジアルコキシカルボニルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレートなどのアルキルパーオキシエステル類;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類(さらに必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの還元剤も併用できる);酸化剤(たとえば過酸化アンモニウム、過酸化カリウムなど)と還元剤(たとえば亜硫酸ナトリウムなど)および遷移金属塩(たとえば硫酸鉄など)からなるレドックス開始剤類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンテン酸)などのアゾ系化合物などが使用できる。
乳化剤としては、たとえばアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤またはそれらの組み合わせを使用することができ、場合により両性乳化剤、カチオン性乳化剤を使用することができる。
非イオン性乳化剤として、たとえばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;たとえばポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;たとえばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;たとえばポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;たとえばオレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;たとえばポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどを例示することができる。
アニオン性乳化剤としては、たとえばオレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;たとえばラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;たとえばポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;たとえばモノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩;その誘導体類などが使用できる。
特に含フッ素重合体溶液中の含フッ素重合体(A)の濃度が高い場合は、反応性乳化剤を単独または非反応性乳化剤と併用すればよい。反応性乳化剤としてはアニオン性および非イオン性の何れの乳化剤にも特に限定されず、たとえば、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などのラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤が単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
このようなアニオン性の反応性乳化剤としては、たとえば式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示される反応性乳化剤をあげることができる。
式(1):
Figure 2009242479
式(2):
Figure 2009242479
式(3):
Figure 2009242479
式(4):
Figure 2009242479
式(5):
Figure 2009242479
(式中、R1aは炭素数1〜12の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基;R2aは水素原子またはメチル基;R2bは水素原子またはメチル基;R2cは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基;R2dは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基;X1は単結合またはメチレン基;EOはエチレンオキシド単位;nは1〜50の整数;mは1〜50の整数;qは0または1)。
上記式(1)で示されるアニオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばアデカリアソープ SE−10N、アデカリアソープ SE−20N、アデカリアソープ SE−30N(以上、旭電化工業(株)製)をあげることができる。上記式(2)で示されるアニオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばアクアロン HS−05、アクアロン HS−10、アクアロン HS−20、アクアロン HS−30(以上、第一工業製薬(株)製)をあげることができる。上記式(4)のアニオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばラテムル S−120、ラテムル S−120A、ラテムル S−180、ラテムル S−180A(以上、花王(株)製)、エレミノール JS−2(三洋化成工業(株)製)などをあげることができる。上記式(5)のアニオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばアントックス MS−60(日本乳化剤(株)製)などをあげることができる。
またその他のアニオン性の反応性乳化剤としては、たとえばラテムル ASK(花王(株)製)などのアルキルアルケニルコハク酸エステル塩系反応性乳化剤;たとえばエレミノール RS−30(三洋化成工業(株)製)などのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性乳化剤;たとえばRA−1120、RA−2614(以上、日本乳化剤(株)製)などのポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪族不飽和ジカルボン酸エステル塩系反応性乳化剤;たとえばアントックス MS−2N(日本乳化剤(株)製)などの(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩系反応性乳化剤;フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性乳化剤;たとえばH−3330PL(第一工業製薬(株)製)などのモノもしくはジ(グリセロール−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩系反応性乳化剤などをあげることができる。
本発明で用いることのできる非イオン性の反応性乳化剤としては、たとえば式(6)や(7)で示される反応性乳化剤をあげることができる。
式(6):
Figure 2009242479
式(7):
Figure 2009242479
(式中、R1a、R2a、R2b、R2c、X1、EOおよびmは前記と同じ)。
上記式(6)で示される非イオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばアデカリアソープ NE−10、アデカリアソープ NE−20、アデカリアソープ NE−30(以上、旭電化工業(株)製)などをあげることができる。式(7)で示される非イオン性の反応性乳化剤の具体例としては、たとえばアクアロン RN−10、アクアロン RN−20、アクアロン RN−30、アクアロン RN−50(以上、第一工業製薬(株)製)などをあげることができる。
またその他の非イオン性の反応性乳化剤としては、たとえばRMA−564、RMA−568(以上、日本乳化剤(株)製)などのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性乳化剤;たとえばRMA−1114(日本乳化剤(株)製)などのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性乳化剤などの反応性乳化剤があげられる。
乳化剤の使用量は、含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して得られる重合体溶液100質量部に対して0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上が好ましい。上限は、耐候性、耐水性、乳化重合安定性などの点から30質量部、さらには20質量部が好ましい。
反応性乳化剤を併用する場合は、非反応性乳化剤の種類、含フッ素重合体(A)の種類や量、エチレン性不飽和基含有単量体(b)の種類や量などによって異なるが、全乳化剤中の90質量%以下、さらには85質量%以下、特に80質量%以下であることが、重合反応をスムーズに継続できる点から好ましい。もちろん、反応性乳化剤を使用しなくてもよいし、全ての乳化剤を反応性乳化剤としてもよい。
本発明において、アクリル系共重合体水性分散体の乳化重合に際しては、得られる共重合体水性分散体の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、以上に述べた反応性乳化剤や前記の非反応性のアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤とともに水溶性保護コロイドを併用することもできる。
上記の水溶性保護コロイドとしては、たとえば部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;たとえばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;グアガムなどの天然多糖類などがあげられ、これらは、単独でも併用してもよい。
乳化重合に際して、所望により、重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。このような還元剤としては、たとえばアスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩などの還元性有機化合物;チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物などを例示できる。これら還元剤は、不飽和基含有単量体の合計100質量部に対して、0.1〜1質量部程度の量を用いるのが好ましい。
さらにまた、乳化重合に際しては連鎖移動剤を使用することができる。このような連鎖移動剤としては、たとえば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタンなどをあげることができる。これら連鎖移動剤は、不飽和基含有単量体の合計100質量部に対して、0〜1質量部程度の量を用いるのが好ましい。
かくして得られる水性分散体中には、エチレン性不飽和基含有単量体(b)を重合して得られるエチレン性重合体(B)と含フッ素重合体(A)とからなる含フッ素複合重合体粒子(II)が存在する。
この含フッ素複合重合体粒子(II)は、粒子の表面のフッ素含有量が理論フッ素含有量の1.1倍以上である含フッ素複合重合体粒子である。このことは、乳化重合においてエチレン性不飽和基含有単量体(b)の重合が進むにしたがって溶解している含フッ素重合体(A)が重合溶液の液滴の表面に移行していき、そのまま重合が完了するからと推測される。この現象は、本来相溶性に優れる樹脂同士が均一に存在しないといった従来の予測から外れるものであり、本発明者らによって見出されたものである。
理論フッ素含有量に対する粒子の表面のフッ素含有量比は、たとえばフッ素重合体やエチレン性不飽和基含有単量体などを選択することによって制御することができる。好ましい理論フッ素含有量に対する粒子の表面のフッ素含有量比は、耐久性、耐候性の観点から1.15倍以上、さらには1.2倍以上である。上限は20倍程度である。
粒子の表面のフッ素含有量は、化学分析用電子分光法(ESCA)で測定できる。
含フッ素複合重合体粒子(II)の数平均粒子径は、特に制限されないが、500nm以下、さらには400nm以下、特に300nm以下のものが得られる。下限は10nm程度である。
(2)含浸重合工程
乳化重合工程(1−2)で得られた含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体にエチレン性不飽和基含有単量体(c)を加えて含フッ素複合重合体粒子(II)中に含浸させつつエチレン性不飽和基含有単量体(c)を重合する工程であり、その結果、複合粒子(III)の水性分散体が得られる。
このエチレン性不飽和基含有単量体(c)の含浸重合は、種粒子の周囲に重合体の殻を形成して肥大化した重合体粒子(コア−シェル粒子)とするいわゆる従来のシード重合とは異なり、含フッ素複合重合体粒子(II)中にエチレン性不飽和基含有単量体(c)が含浸していき、含フッ素複合重合体粒子(II)中で重合が進行する重合であると考えられる。含フッ素複合重合体粒子(II)中にエチレン性不飽和基含有単量体(c)が含浸していく理由は、含フッ素複合重合体粒子(II)が類似のエチレン性不飽和基含有単量体(b)の重合体を含んでいることによるもの、または、含フッ素複合重合体粒子(II)とエチレン性不飽和基含有単量体(c)との相溶性が優れていることによるもの、あるいは、これら2つの理由の相乗効果によるものと考えられる。そして、含フッ素複合重合体粒子(II)内部でエチレン性不飽和基含有単量体(c)の重合が進む結果、得られる複合粒子(III)の表面部分は内部よりも含フッ素重合体(A)に富む領域となっていると考えられる。しかし、乳化重合工程(1−2)で得られる含フッ素複合重合体粒子(II)の表面部分よりはエチレン性不飽和基含有単量体(c)の重合体の影響でフッ素含有量は低下しており、その結果、粒子同士の融着性、および初期の耐水性が向上しているものと考えられる。
なお、含侵重合工程において、全てのエチレン性不飽和基含有単量体(c)が含侵重合に供されていなくてもよい。含侵重合に供されていないエチレン性不飽和基含有単量体(c)が存在する場合には、そのエチレン性不飽和基含有単量体(c)は複合粒子(III)とは別のエチレン性不飽和基含有単量体(c)の粒子を形成してもよい。
含浸重合工程(2)で使用するエチレン性不飽和基含有単量体(c)としては、エチレン性不飽和基含有単量体(b)に例示したものが好ましい例も含めてあげられる。エチレン性不飽和基含有単量体(b)とエチレン性不飽和基含有単量体(c)は同じであっても異なっていてもよいが、親和性が良好であることから、同じまたは類似の単量体を使用するのが好ましい。ただ、2種以上を使用する場合は、その混合比率はそれぞれで変更してもよい。
特に好ましいエチレン性不飽和基含有単量体(c)としては、含フッ素複合重合体粒子(II)との相溶性が良好な点からからアクリル系単量体またはメタクリル系単量体である。
具体的には、たとえばメチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル類;2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数4〜10のアルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアミド化合物類;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有単量体類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体類;γ−トリメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシランメタクリレートなどのシロキサン基含有単量体類;アクロレインなどのアルデヒド基含有単量体類などの1種または2種以上があげられる。
これらのうち、高い重合性と市販されている単量体の豊富性の点から(メタ)アクリル系単量体が好ましい。この含浸重合の重合条件や使用する開始剤は乳化重合工程(1−2)と同様である。
これらの工程(1)および(2)を行うことにより、複合粒子(III)の水性分散体(ディスパージョン)が得られる。
複合粒子(III)の構造は明確ではないが、上述したように、表面部分は内部よりも含フッ素重合体(A)に富む領域となっているが、乳化重合工程(1−2)で得られる含フッ素複合重合体粒子(II)の表面部分よりはエチレン性不飽和基含有単量体(c)の重合体の影響でフッ素含有量は低下しており、その結果、粒子同士の融着性、および初期の耐水性が向上しているものと考えられる。
複合粒子(III)の全体のフッ素樹脂含有量は5質量%以上、さらには50質量%以下であることが、安価に製造できる点、また初期の耐水性が良好な点から好ましい。また複合粒子(III)の粒子径は100nm以上、さらには300nm以下であることが、貯蔵安定性が良好な点、また光沢が良好な点から好ましい。
本発明の製法で得られる含フッ素複合粒子(III)の水性分散体は、粒子同士の融着性が良好でしかも含フッ素重合体の特性を有しているので、種々の形態で各種の用途に利用できる。
たとえば、各種の塗料組成物の塗膜形成成分、フィルムやシートの成形材料のほか、接着剤組成物、インキ用組成物などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
塗料組成物としては、耐候性塗料組成物、特に建築・建材用の耐候性塗料組成物、自動車の内・外装用塗料組成物、電気製品の内・外装塗料用組成物、事務機器あるいは厨房器具類の塗料組成物などが例示でき、特に耐候性・耐久性が良好な点から建材用の耐候性塗料組成物に有利に適用できる。
耐候性塗料組成物は、たとえばクリアー塗料組成物でも、各種顔料が配合された塗料組成物でもよい。配合してもよい塗料用添加剤としては、硬化剤のほか、たとえば界面活性剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤などがあげられる。
また、含フッ素重合体(A)の製造を乳化剤を使用しない懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで製造するときは、最終的に得られる含フッ素複合重合体粒子中、さらには塗膜中に存在する乳化剤量を低減化させることができ、屋外に形成する塗料、たとえば遮熱塗料などにおいて、施工後の降雨による乳化剤が流れ落ち難い点で有利である。なお、含フッ素重合体(A)を乳化重合法で製造した場合でも、単量体(b)に溶解させる前に十分洗浄して乳化剤を除去しておけば、同様の効果が得られる。
フィルムやシートは、本発明の水性分散体をキャスティング法といった従来公知の方法で製造することができる。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
本明細書で採用している測定方法について以下にまとめた。
(1)数平均粒子径
レーザー光散乱粒子径測定装置(大塚電子(株)ELS−3000(商品名))により実施する。
(2)低温造膜性試験
JIS 5663 7.7.3にしたがって試験板を5±1℃で4時間乾燥した後、さらに5±2℃で16時間水中に浸漬し、その後5±1℃で3時間乾燥し、膨れ(JIS 5600−8−2)、割れ(JIS 5600−8−4)、はがれ(JIS 5600−8−5)の等級を評価する。
膨れの等級(JIS 5600−8−2)の見方
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に分け、たとえば2(S1)のように記載する。
割れの等級(JIS 5600−8−4)の見方
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS0〜S5の等級(S0の方が小さい)に、深さをa〜cの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)bのように記載する。
はがれの等級(JIS 5600−8−5)の見方
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に、深さをa〜bの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)aのように記載する。
(3)光沢(60°鏡面光沢)
JIS 5600−4−7にしたがって変角光沢計(日本電色工業(株)VGS(商品名))により実施する。
また、塗料組成物の処方に用いた各種成分はつぎのものである。
酸化チタン:石原産業(株)製タイペークCR−97(商品名)
顔料分散剤:サンノプコ(株)製ノプコスパースSN−5027
凍結防止剤:エチレングリコール
pH調整剤:アンモニア水
消泡剤:ダウコーニング社製FSアンチフォーム013A(商品名)
増粘剤A:旭電化工業(株)製アデカノールUH−420(商品名)
増粘剤B:ローム・アンド・ハーツ・ジャパン(株)製プライマルASE−60(商品名)
造膜助剤:アジピン酸ジエチル
実施例1
(1)乳化重合工程
1L容のポリエチレン製容器に乳化重合法で製造したフッ素樹脂(フッ化ビニリデン(VdF)/テトラフルオロエチレン(TFE)/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体)を42.7g、メチルメタクリルレート(MMA)44.8g、ブチルアクリレート(BA)18.56g、アクリル酸(Ac)0.64gを加えて充分に混合して含フッ素重合体溶液を調製した(重合体濃度40質量%)。
つぎに反応性乳化剤としてビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリルレート酸エステル塩を4.44g、水を119.8g加え、乳化機を使用して乳化剤を調製した。
この乳化剤の全量とメチルポリグリコールメタクリル酸エステル2.4g、水30.3gを0.5L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら窒素置換を行い、80℃まで昇温した。過硫酸アンモニウム(1%水溶液)9.6gを加えて反応を開始し、重合開始から2.5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、水性分散体を得た(得量263.64g、濃度40.5質量%)。
(2)含浸重合工程
この水性分散体の全量とメチルメタクリルレート(MMA)7.65g、ブチルアクリレート(BA)7.65gを0.5L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら窒素置換を行い、80℃まで昇温した。過硫酸アンモニウム(1%水溶液)2.3gを加えて反応を開始し、重合開始から2.5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、水性分散体を得た(得量281.24g、濃度43.4質量%)。次に水性分散体の濃度調整を行い、濃度50質量%の水性分散体1を得た。
この水性分散体1中の含フッ素複合重合体について、フッ素含有量の理論値を算出し、数平均粒子径を調べた。結果を表1に示す。
さらに次の処方で建築用の耐候性塗料組成物(白塗料組成物)を調製した。
水性分散体1 65.00質量部
水 9.12質量部
酸化チタン 31.39質量部
顔料分散剤 2.35質量部
凍結防止剤 1.79質量部
pH調整剤 0.04質量部
消泡剤 0.11質量部
増粘剤A 0.38質量部
増粘剤B 0.40質量部
造膜助剤 2.35質量部
ガルバリウム鋼板に下塗用塗料(大同塗料(株)製のハイルーフプライマー(商品名))を刷毛により所定量塗布し、室温で1日乾燥させた。ついでこの下塗り塗膜の上に上記白塗料組成物を刷毛により所定量塗布し、5±1℃で4時間乾燥した後、さらに5±2℃で16時間水中に浸漬し、その後5±1℃で3時間乾燥したのち低温造膜性を調べた。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1の乳化重合工程(1)を行って得られた水性分散体(濃度40.5質量%)を用いて、つぎの含浸重合工程(2)を行った。
(2)含浸重合工程
この水性分散体の全量とメチルメタクリルレート(MMA)7.65g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)7.65gを0.5L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら窒素置換を行い、80℃まで昇温した。過硫酸アンモニウム(1%水溶液)2.3gを加えて反応を開始し、重合開始から2.5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、水性分散体を得た(得量281.24g、43.4質量%)。次に水性分散体の濃度調整を行い、濃度50質量%の水性分散体2を得た。
この水性分散体2中の含フッ素複合重合体について、フッ素含有量の理論値を算出し、数平均粒子径を調べた。結果を表1に示す。
さらに水性分散体1に代えて水性分散体2を用いたほかは実施例1と同様にして建築用の耐候性塗料組成物(白塗料組成物)を調製し、続いて塗装して塗膜を形成し、低温造膜性を調べた。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1の乳化重合工程(1)を行って得られた水性分散体(濃度40.5質量%)を用いて、つぎの含浸重合工程(2)を行った。
(2)含浸重合工程
この水性分散体の全量と2−エチルヘキシルアタクリレート(2EHA)15.3gを0.5L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら窒素置換を行い、80℃まで昇温した。過硫酸アンモニウム(1%水溶液)2.3gを加えて反応を開始し、重合開始から2.5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、水性分散体を得た(得量281.24g、濃度43.4質量%)。次に水性分散体の濃度調整を行い、濃度50質量%の水性分散体3を得た。
この水性分散体3中の含フッ素複合重合体について、フッ素含有量の理論値を算出し、数平均粒子径を調べた。結果を表1に示す。
さらに水性分散体1に代えて水性分散体3を用いたほかは実施例1と同様にして建築用の耐候性塗料組成物(白塗料組成物)を調製し、続いて塗装して塗膜を形成し、低温造膜性を調べた。結果を表1に示す。
比較例1
水性分散体1に代えて実施例1の乳化重合工程(1)を行って得られた水性分散体(濃度40.5質量%)を用いたほかは実施例1と同様にして建築用の耐候性塗料組成物(白塗料組成物)を調製し、続いて塗装して塗膜を形成し、低温造膜性を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2009242479
表1から、含浸重合工程(2)で使用するエチレン性不飽和基含有単量体(c)としては、エチレン性不飽和基含有単量体(b)と同種のものを使用することが、初期の耐水性や粒子同士の融着能が良好な点から好ましい。特に好ましい混合比率はメチルメタクリルレートが50質量%、n−ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートが50質量%の場合ということがわかる。

Claims (8)

  1. (1)含フッ素重合体(A)をエチレン性不飽和基含有単量体(b)に溶解して重合体溶液(I)を調製し、該重合体溶液を用いてエチレン性不飽和基含有単量体(b)を乳化重合し、含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体を製造する乳化重合工程、および
    (2)該含フッ素複合重合体粒子(II)の水性分散体にエチレン性不飽和基含有単量体(c)を加えて含フッ素複合重合体粒子(II)中に含浸させつつエチレン性不飽和基含有単量体(c)を重合する含浸重合工程
    を含む複合粒子(III)の水性分散体の製法。
  2. 前記含フッ素重合体(A)が、構造単位としてテトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位およびフッ化ビニリデン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位を含む請求項1記載の製法。
  3. 前記含フッ素重合体(A)が、構造単位としてフッ化ビニリデン単位を含む請求項1記載の製法。
  4. 前記エチレン性不飽和基含有単量体(b)が、アクリル系単量体またはメタクリル系単量体を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. 前記エチレン性不飽和基含有単量体(c)が、アクリル系単量体またはメタクリル系単量体を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製法。
  6. 前記エチレン性不飽和基含有単量体(c)が、メタクリル系単量体を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製法。
  7. 前記工程(1)において、乳化重合を反応性乳化剤を少なくとも含む乳化剤の存在下に行う請求項1〜6のいずれかに記載の製法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製法により得られる複合粒子の水性分散体。
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