JP2019023250A - 水性分散液、含フッ素塗料組成物、塗装物品 - Google Patents

水性分散液、含フッ素塗料組成物、塗装物品 Download PDF

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瑞菜 豊田
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Shuhei Ochi
修平 尾知
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Abstract

【課題】塗膜の耐水性に優れると共に、貯蔵安定性にも優れる水性分散液、水性分散液を含む含フッ素塗料組成物、および、含フッ素塗料組成物より形成される塗膜を含む塗装物品を提供する。【解決手段】フルオロオレフィンに基づく構成単位とフッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位とを有する含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水を含み、実質的にノニオン性界面活性剤を含まず、粒子の平均粒子径が100nm以下であり、粒子のゼータ電位が絶対値で30mV以上である、水性分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、水性分散液、含フッ素塗料組成物、および、塗装物品に関する。
近年、自然環境保護のため、有機溶媒排出による地球温暖化や光化学スモッグ等の公害が問題とされている。そのため、塗料分野においては、合成樹脂を含み、水のみ、または水と水溶性の有機溶媒との混合物を媒体とする水性塗料用組成物が開発されている。
水性塗料用組成物中に含ませる合成樹脂としては、現在、様々なものが提案されているが、耐候性、撥水撥油性、耐汚染性等の点から、フッ素系樹脂が好適に挙げられる。
フッ素系樹脂を含む水性分散液を製造する方法としては、例えば、フルオロオレフィンと親水性部位を有するマクロモノマーとを含む単量体の乳化重合の際に、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤とを併用する方法が知られている(特許文献1)。
特許第3414465号明細書
一方、近年、塗膜の性能に関して、耐水性のより一層の向上が求められている。
本発明者らは、特許文献1に記載されるように、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤とを用いた乳化重合により含フッ素共重合体の粒子を含む水性分散液を製造し、この水性分散液を用いて得られる塗膜の耐水性について検討した結果、昨今要求されるレベルを満たしていないことを確認した。
また、含フッ素共重合体の粒子を含む水性分散液に関しては、優れた貯蔵安定性も求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、塗膜の耐水性に優れると共に、貯蔵安定性にも優れる水性分散液の提供を目的とする。
また、本発明は、水性分散液を含む含フッ素塗料組成物、および、塗装物品の提供も目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、含フッ素共重合体の粒子の特性を制御することにより、所望の効果が得られることを知見して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の実施態様は、フルオロオレフィンに基づく構成単位とフッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位とを有する含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水を含み、実質的にノニオン性界面活性剤を含まず、粒子の平均粒子径が100nm以下であり、粒子のゼータ電位が絶対値で30mV以上である、水性分散液である。
また、第1の実施態様において、フッ素原子を有さない単量体が、後述する式(1)で表される親水性マクロモノマーを含むことが好ましい。
また、第1の実施態様において、フッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位が、式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位を含み、式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位の含有量が、含フッ素共重合体が有する全構成単位に対して、1.5モル%以上であることが好ましい。
また、第1の実施態様において、式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位の含有量が、含フッ素共重合体が有する全構成単位に対して、2モル%以上であることが好ましい。
また、第1の実施形態において、アニオン性界面活性剤が、非フッ素系アニオン性界面活性剤であることが好ましい。
また、第1の実施形態において、アニオン性界面活性剤の含有量が、水性分散液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上0.5質量%未満であることが好ましい。
本発明の第2の実施形態は、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在せず、非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下、水中にて、フルオロオレフィンと、後述する式(1)で表される親水性マクロモノマーと、を重合させて、フルオロオレフィンに基づく構成単位と、式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位と、を有する含フッ素共重合体の粒子が水中に分散した水性分散液を得る工程を含む、水性分散液の製造方法である。
また、第2の実施形態において、式(1)で表される親水性マクロモノマーの使用量が、含フッ素共重合体の重合に使用する単量体の総物質量(100モル%)に対して、1.5モル%以上であることが好ましい。
また、第2の実施形態において、非フッ素系アニオン性界面活性剤の使用量が、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上0.5質量%未満であることが好ましい。
また、第2の実施形態において、粒子の平均粒子径が、100nm以下であることが好ましい。
また、第2の実施形態において、粒子のゼータ電位が、絶対値で30mV以上であることが好ましい。
本発明の第3の実施態様は、第1の実施態様の水性分散液を含む、含フッ素塗料組成物である。
また、第3の実施態様において、増粘剤を含むことが好ましい。
本発明の第4の実施態様は、基材と、基材上に配置され、第3の実施態様の含フッ素塗料組成物を用いて形成(作製)された塗膜と、を有する塗装物品である。
本発明によれば、塗膜の耐水性に優れると共に、貯蔵安定性にも優れる水性分散液を提供できる。
また、本発明によれば、水性分散液を含む含フッ素塗料組成物、および、塗装物品も提供できる。
以下、本発明の水性分散液、含フッ素塗料組成物および塗装物品について詳述する。
なお、本明細書においては、単量体が重合することで直接形成される繰り返し単位と、単量体の重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位とを総称して「構成単位」という。
本明細書において、単量体は、重合性の二重結合を有する化合物を表す。
また、マクロモノマーは、片末端に重合性の二重結合を有する低分子量のポリマーまたはオリゴマーを意味する。
また、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の水性分散液の特徴点としては、ノニオン性界面活性剤を実質的に含有せず、かつ、含フッ素共重合体の粒子の平均粒子径およびゼータ電位が所定の範囲内である点が挙げられる。
本発明者らは特許文献1において、水性分散液を用いて得られる塗膜の耐水性が低下する要因として、ノニオン性界面活性剤が関連することを知見している。つまり、水性分散液中のノニオン性界面活性剤が塗膜に含有されることにより、塗膜の耐水性が劣化していることを知見している。そこで、本発明の水性分散液では、ノニオン性界面活性剤は実質的に含まない。
また、含フッ素共重合体の粒子の平均粒子径が100nm以下であることにより、水性分散液(または、水性分散液を含む含フッ素塗料組成物)を用いて塗膜を形成する際に、粒子同士が密にパッキングしやすくなり、塗膜中でのピンホールの発生が抑制され、結果として塗膜の耐水性が向上するものと推測される。また、含フッ素共重合体の粒子のゼータ電位の絶対値が所定値以上であることにより、粒子同士の反発が生じやすくなり、結果として水性分散液の貯蔵安定性が向上する。
なお、上記のような粒子を得る方法としては、後段で詳述するように、含フッ素共重合体の製造の際に、所定の長さのポリオキシアルキレン鎖を含む親水性マクロモノマーを所定量以上使用すると共に、アニオン性界面活性剤を使用する方法が挙げられる。
本発明の水性分散液は、所定の構成単位を有する含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水を含む。
以下、まず、水性分散液に含まれる各成分について詳述する。
本発明における含フッ素共重合体の粒子は、フルオロオレフィンに基づく構成単位(以下、「単位A」とも称する。)と、フッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位(以下、「単位B」とも称する。)とを有する共重合体の粒子である。
含フッ素共重合体は、水性分散液中において粒子状に分散している。
粒子の平均粒子径は100nm以下であり、得られる塗膜の耐水性がより優れる、および/または、水性分散液の貯蔵安定性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する。)で、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、50nm以上の場合が多い。
粒子の平均粒子径が100nm超の場合、塗膜の耐水性に劣る。
なお、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値を、上記平均粒子径とする。なお、D50は、動的光散乱法により測定した粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径を表す。
また、粒子のゼータ電位の絶対値は、30mV以上であり、本発明の効果がより優れる点で、40mV以上が好ましく、45mV以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、60mV以下の場合が多い。
粒子のゼータ電位の絶対値が30mV未満の場合、水性分散液の貯蔵安定性に劣る。
ゼータ電位の値は正の値でも負の値でもよく、絶対値が上記範囲内であればよい。なお、本発明の効果がより優れる点で、負の値であることが好ましい。
なお、ゼータ電位は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法により測定する。
以下、含フッ素共重合体を構成する各構成単位について詳述する。
本発明における単位Aは、フルオロオレフィンに基づく単位である。つまり、フルオロオレフィン由来の繰り返し単位である。
フルオロオレフィンは、炭化水素系オレフィン(一般式C2n)の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された化合物である。
フルオロオレフィンの炭素数nは、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
フルオロオレフィンにおけるフッ素原子の数は、2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素原子の数が2以上であれば、塗膜の耐候性がより優れる。
フルオロオレフィンにおいては、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」ともいう。)、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニルフルオリドからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、TFEまたはCTFEが特に好ましい。
フルオロオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単位Aの含有量は、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、20〜70モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、30〜60モル%がさらに好ましく、40〜60モル%が特に好ましく、45〜55モル%が最も好ましい。単位Aの含有量が20モル%以上であれば、塗膜の耐候性がより優れる。単位Aの含有量が70モル%以下であれば、粒子の水への分散性が優れる。
本発明における単位Bは、フッ素原子を有さない単量体に基づく単位である。つまり、フッ素原子を有さない単量体由来の繰り返し単位である。
フッ素原子を有さない単量体としては、フッ素原子が含まれておらず、重合性基を有する化合物であればよく、例えば、フッ素原子を有さない、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、α−オレフィン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル等が挙げられる。なお、重合性基の種類は特に制限されず、例えば、後述するラジカル重合性不飽和基が挙げられる。
なお、フッ素原子を有さない単量体としては、フルオロオレフィンとの反応性の点から、フッ素原子を有さないビニル系単量体が好ましく、フッ素原子を有さないビニルエーテル類、および、フッ素原子を有さないアルキルビニルエステル類がより好ましい。
フッ素原子を有さない単量体の好適態様の一つとしては、式(1)で表される親水性マクロモノマー(以下、「単量体I」とも称する。)が挙げられる。なお、式(1)で表される親水性マクロモノマーにはフッ素原子は含まれない。
式(1):X−Y−Z
式(1)中、Xは、ラジカル重合性不飽和基を表す。ラジカル重合性不飽和基としては特に限定されないが、具体的には、ビニル基(CH=CH−)、アリル基(CH=CHCH−)、プロペニル基(CHCH=CH−)、イソプロペニル基(CH=C(CH)−)、アクリロイル基(CH=CHCO−)、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO−)、ビニルエーテル基(CH=CH−O−)、アリルエーテル基(CH=CHCH−O−)等を例示しうる。特に、フルオロオレフィンとの交互共重合性が良好である点から、ビニルエーテル基またはアリルエーテル基が好ましい。
Yは、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の種類は特に限定されないが、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましく、例えば、アルキレン基が挙げられる。また、2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数5〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NR−、−CO−、−COO−、−CONR−、−SO3−、−SO2NR−、または、これらを2種以上組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基等)等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Yは、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい2価の飽和炭化水素基が好ましい。
エーテル性酸素原子を有する2価の飽和炭化水素基としては、オキシメチレン基、オキシジメチルメチレン基、オキシエチレン基等が挙げられる。
Zは、式(2)で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する親水性基を表す。
式(2):−(C2mO)
式(2)中、mは1〜3の整数を表す。具体的には、mが1の場合はオキシメチレン基(オキシメチレン単位)を、mが2の場合はオキシエチレン基(オキシエチレン単位)を、mが3の場合はオキシプロピレン基(オキシプロピレン単位)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、mは2が好ましい。
なお、複数のmの値は、同一であっても異なっていてもよい。つまり、式(2)で表されるポリオキシアルキレン鎖には、mの値が異なる複数種のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。例えば、mが2のオキシアルキレン単位[−(CO)−]と、mが3のオキシアルキレン単位[−(CO)−]とが含まれていてもよい。
複数種のオキシアルキレン基が含まれる場合、それらの結合順は特に制限されず、ランダム型でもブロック型でもよい。
なお、mが3の場合のオキシプロピレン基中のプロピレン基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
nはオキシアルキレン単位の繰り返し数を表し、12以上の整数を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、13以上が好ましく、15以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、40以下が好ましく、20以下がより好ましい。
単量体Iの好適態様としては、本発明の効果がより優れる点で、式(3)で表される親水性マクロモノマーが挙げられる。
式(3):CH=CH−W−(C2mO)−R
式(3)中、Wは、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい2価の飽和炭化水素基を表す。
Rは、水素原子またはアルキル基(好ましくは、炭素数1〜10)を表す。
単量体Iとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
式(E1):CH=CHO−C2a−O−(C2mO)−R
式(E1)中、aは1〜10の整数である。m、nおよびRの定義は、上述の通りである。
式(E2):CH=CHCHO−C2b−O−(C2mO)−R
式(E2)中、bは1〜10の整数である。m、nおよびRの定義は、上述の通りである。
式(E3):CH=CHOCH−cycloC10−(C2mO)−R
式(E4):CH=CHCHOCH−cycloC10−(C2mO)−R
式(E3)および式(E4)中、m、nおよびRの定義は、上述の通りである。
なお、−cycloC10−はシクロへキシレン基を示し、(−cycloC10−)の結合部位は、1,4−、1,3−、1,2−があるが、通常は1,4−が採用される。
単量体Iに基づく構成単位(以下、「単位I」とも称する。)の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、1.5モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、15モル%以下の場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、10モル%以下が好ましい。
フッ素原子を有さない単量体の他の好適態様としては、上記単量体I以外の単量体であって、フッ素原子を含まず、かつ、環状炭化水素基を含む単量体(以下、「単量体II」とも称する。)が挙げられる。
環状炭化水素基としては、環状構造を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
環状炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、重合反応性が良好である点から、4〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
環状炭化水素基の具体例としては、例えば、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基、4−シクロヘキシルシクロヘキシル基等の複環式飽和炭化水素基、1−デカヒドロナフチル基、2−デカヒドロナフチル基等の多環式飽和炭化水素基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基等の架橋環式飽和炭化水素基、スピロ[3.4]オクチル基等のスピロ炭化水素基等が挙げられる。
単量体IIとしては、例えば、上記単量体I以外の単量体であって、フッ素原子を含まず、かつ、環状炭化水素基を有する、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等が好ましく挙げられる。より具体的には、シクロアルキルビニルエーテル(例えば、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)。)が挙げられる。
単量体IIは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体IIに基づく構成単位(以下、「単位II」とも称する。)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、0〜45モル%が好ましく、1〜40モル%がより好ましく、3〜35モル%がさらに好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。
フッ素原子を有さない単量体の他の好適態様としては、上記単量体Iと単量体II以外の単量体であって、フッ素原子を含まず、かつ、架橋性基を含む単量体(以後、「単量体III」とも称する。)が挙げられる。後段で詳述するように、含フッ素共重合体が架橋性基を有する場合、含フッ素塗料組成物に硬化剤を含ませることで、塗膜を硬化させ、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性等をさらに向上させることができる。
なお、本明細書においては、上述した式(2)で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する親水性基と架橋性基(例えば、OH基)とを含む単量体は、単量体Iに含まれる。また、架橋性基と環状炭化水素基とを含む単量体は、上記単量体IIIに含まれる。
架橋性基としては、活性水素を有する官能基(ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等)、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基等)等が好ましい。
単量体IIIとしては、例えば、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエステル類、ヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシアルキルアリルエステル類、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類等が好ましく挙げられる。より具体的には、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等)、ヒドロキシアルキルアリルエーテル類(ヒドロキシエチルアリルエーテル等)、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類(アクリル酸ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類(メタクリル酸ヒドロキシエチル等)が好ましく、共重合性に優れ、形成される塗膜の耐候性がより優れる点から、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類がより好ましい。
単量体IIIは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体IIIの好適態様としては、下式(4)で表される単量体が挙げられる。
式(4) CH=CR(CHn1−Q−R−V
は、水素原子またはメチル基であり、n1は、0または1であり、Qは、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、Rは、分岐構造または環構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、Vは、架橋性基である。
Vとしては、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。Rとしては、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基またはn−ノニレン基が好ましい。Qとしては、酸素原子が好ましい。
単量体IIIに基づく構成単位(以下、「単位III」とも称する。)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、0〜20モル%が好ましく、0〜18モル%がより好ましく、0〜15モル%がさらに好ましい。
フッ素原子を有さない単量体の他の好適態様としては、上記単量体I以外の単量体であって、フッ素原子、環状炭化水素基、および、架橋性基を有さない単量体(以後、「単量体IV」とも称する。)が挙げられる。
単量体IVとしては、上記単量体I以外の単量体であって、フッ素原子、環状炭化水素基、および、架橋性基を有さない、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、アルキルビニルエステル類、アルキルアリルエステル類、オレフィン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
単量体IVとしては、より具体的には、アルキルビニルエーテル(ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル等)、アルキルアリルエーテル(エチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等)、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のビニルエステル、カルボン酸(酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等)のアリルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
単量体IVは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体IVの好適態様としては、下式(5)で表される単量体が挙げられる。
式(5) CH=CR(CHn2−Q−R
は、水素原子またはメチル基であり、n2は、0または1であり、Qは、酸素原子、−C(O)O−または−O(O)C−であり、Rは分岐構造を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基である。
単量体IVに基づく構成単位(以下、「単位IV」とも称する。)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち、0〜50モル%が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、15〜40モル%がさらに好ましい。
含フッ素共重合体の全構成単位(100モル%)に対して、単位A/単位I/単位II/単位III/単位IVの含有量は、それぞれ30〜70モル%/1.5モル%以上/0〜45モル%/0〜20モル%/0〜50モル%が好ましい。
含フッ素共重合体において、単位Aと単位Bとのモル比(単位A/単位B)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、20/80〜70/30が好ましく、30/70〜60/40がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
本発明における各構成単位の割合は、NMR分析および元素分析から求める。なお、NMR分析および元素分析から求められない場合は、各単量体の仕込み量に基づいて算出してもよい。
含フッ素共重合体の数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、30000〜200000が好ましく、50000〜180000がより好ましい。
含フッ素共重合体の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される数平均分子量(Mn)である。
本発明におけるアニオン性界面活性剤としては、水性分散液の貯蔵安定性および塗膜の耐水性がより向上する点から、非フッ素系アニオン性界面活性剤が好ましい。
なお、本明細書において、非フッ素系アニオン性界面活性剤とは、親水基(部位)と親油基(部位)とを一分子内に含む両親媒性の界面活性作用を有する、フッ素原子を含まない化合物であり、水中で解離して陰イオンを形成する化合物を意味する。
非フッ素系アニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸系アニオン性界面活性剤、直鎖アルキルベンゼン系アニオン性界面活性剤、高級アルコール系アニオン性界面活性剤アルファオレフィン系アニオン性界面活性剤、およびノルマルパラフィン系アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる、非フッ素系アニオン性界面活性剤が挙げられ、より具体例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
本発明の水性分散液には、上述した含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水が含まれる。
水性分散液中における含フッ素共重合体の粒子の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、水性分散液全質量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
水性分散液中におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、水性分散液全質量に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%未満がさらに好ましい。特に、アニオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%以上0.5質量%未満であると、塗膜を浸水させて長期間保存した際の耐水性に優れる。
水性分散液中における水の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、水性分散液全質量に対して、30〜85質量%が好ましく、35〜75質量%がより好ましい。
水性分散液には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水以外の成分が含まれていてもよい。
ただし、水性分散液にはノニオン性界面活性剤は実質的に含まれない。ここで、「実質的に含まれない」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、水性分散液全質量に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルフェニルポリオキシエチレン、アルキルポリオキシエチレン、アルキルポリオキシアルキレンポリオキシエチレン、脂肪酸エステル、アルキルアミンオキシエチレン付加体、アルキルアミドオキシエチレン付加体、アルキルアミンオキシエチレンオキシプロピレン付加体、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
上述した水性分散液の製造方法は特に制限されないが、生産性に優れる点から、上述したフルオロオレフィンおよびフッ素原子を有さない単量体を含む混合物を、アニオン性界面活性剤、水、および重合開始剤の存在下にて重合させる方法が挙げられる。この方法は、いわゆる乳化重合に該当し、重合を行うことにより、含フッ素共重合体の粒子を含む水性分散液が得られる。
以下、この方法について詳述する。
本方法で用いられる各種成分(フルオロオレフィン、フッ素原子を有さない単量体、アニオン性界面活性剤等)の定義は上述の通りである。
なお、フルオロオレフィンおよびフッ素原子を有さない単量体を含む混合物100質量部に対する、アニオン性界面活性剤の使用量は、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.05〜1質量部がより好ましい。
重合開始剤としては、重合形式によって最適な重合開始剤が選択される。
重合開始剤の具体例としては、例えば、重合形式としてラジカル重合を採用する場合、公知のラジカル開始剤を限定なく使用することができる。例えば、過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸塩;過酸化水素と亜硫酸水素ナトリウム等との組み合わせからなるレドックス開始剤;第一鉄塩、硝酸銀等の無機系開始剤を混合させた系;ジコハク酸パーオキシド、ジグルタール酸パーオキシド等の二塩基酸過酸化物;アゾビスブチロニトリル等の有機系開始剤;等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は特に限定されない。例えば、上記混合物100質量部に対して、0.01〜5質量部程度が使用できる。
重合反応中には微量の塩酸またはフッ酸が生成する場合があるため、必要に応じて、混合物には緩衝剤(pH調整剤)が含まれていてもよい。緩衝剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム等の無機塩基類、および、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の有機塩基類が例示される。
さらに、混合物には、必要に応じて、他の成分(例えば、有機溶媒)等が含まれていてもよい。
重合方法としては、例えば、公知のラジカル重合法が採用できる。
重合の開始温度は、重合開始剤の種類に応じて適宜最適値が選定され、通常、0〜100℃程度であり、10〜90℃が好ましい。
重合の際の圧力は、適宜選定でき、通常、0.1〜10MPa程度であり、0.2〜5MPaが好ましい。
なお、重合において、単量体の混合物、アニオン性界面活性剤、水、重合開始剤等の成分をそのまま一括仕込みして重合してもよく、重合開始剤を添加する以前にホモジナイザー等の撹拌機を用いて前乳化させ、その後に重合開始剤を添加して重合してもよい。また、単量体の混合物の装入方法は、その全量を一括して反応器に装入する方法、単量体の混合物の全量を連続して装入する方法、単量体の混合物全量を分割して装入する方法、単量体の混合物の一部を仕込んで先ず反応させた後、残りを分割してまたは連続して装入する方法等種々の方法が採用できる。
上述した本発明の水性分散液の製造方法の好適態様(以下、単に「本実施形態の製造方法」ともいう。)について説明する。
本実施形態の製造方法は、ノニオン性界面活性剤が実質的に存在せず、上記非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下、水中にて、フルオロオレフィンと、上記単量体Iと、を重合させて、単位Aと、単位Iと、を有する含フッ素共重合体の粒子が上記水中に分散した水性分散液を得る工程を含む。
ここで、「ノニオン性界面活性剤が実質的に存在せず」とは、ノニオン性界面活性剤の含有量が、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.01質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。なお、「全仕込質量」とは、水、単量体、界面活性剤、重合開始剤など、水性分散液の製造に使用する各成分の合計質量を意味する。
本実施形態の製造方法によれば、水性分散液に含まれる含フッ素共重合体の粒子の平均粒子径を100nm以下に容易に制御できる。また、含フッ素共重合体のゼータ電位を絶対値で30mV以上に容易に制御できる。したがって、得られた水性分散液は貯蔵安定性により優れ、これを用いて得られる塗膜の耐水性にもより優れる。
本実施形態の製造方法において、上記単量体Iの使用量は、上記含フッ素共重合体の重合に使用する単量体の総物質量(100モル%)に対して、1.5モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましい。上限は、特に制限されず、通常、15モル%以下であり、本発明の効果がより優れる点で、10モル%以下が好ましい。
本実施形態の製造方法において、上記非フッ素系アニオン性界面活性剤の使用量は、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上0.5質量%未満が好ましい。非フッ素系アニオン性界面活性剤の含有量が上記範囲にある場合で、その塗膜を浸水させて長期間保存した際における塗膜の耐水性が優れる。
本発明の含フッ素塗料組成物は、本発明の水性分散液を含む。
本発明の含フッ素塗料組成物は、必要に応じて、顔料、硬化剤、硬化助剤、その他の添加剤を含んでもよい。
含フッ素塗料組成物中の水性分散液の含有量は、塗料組成物の全量に対し、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。水性分散液の含有量が上記下限値以上であれば、塗膜の耐候性がより優れ、上限値以下であれば、塗膜の成膜性がより優れる。
その他の添加剤としては、造膜助剤、増粘剤、消泡剤、光安定剤、意匠剤、表面調整剤、水性媒体等が挙げられる。水性媒体は、水性分散液を希釈するために用いられる。
顔料としては、無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料が挙げられる。
なお、増粘剤は、公知の増粘剤を使用でき、ウレタン系増粘剤、ポリアクリル系増粘剤、ポリアマイド系増粘剤、セルロース系増粘剤、ベントナイト等の粘土鉱物等の増粘剤を使用できる。なかでも、ウレタン系増粘剤がより好ましい。ウレタン系増粘剤はいわゆる会合型の増粘剤であり、上述した水性分散液に含まれる含フッ素共重合体の粒子と相性がよい。そのため、ウレタン系増粘剤を含む含フッ素塗料組成物は、液ダレが生じにくい。
ウレタン系増粘剤(ウレタン会合型増粘剤)としては、例えば、分子中にウレタン結合とポリエーテル鎖を有し、末端に疎水基を有する化合物が挙げられる。ウレタン系増粘剤は、水性媒体中において、ウレタン結合同士が会合することにより、効果的に増粘作用を示すことが知られている。市販のウレタン系増粘剤としては、具体的には、「UH−420」、「UH−450」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「GT−1306」(いずれも株式会社ADEKAの製品)、「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(いずれもサンノプコ株式会社の製品)等が挙げられる。
ウレタン系増粘剤の含有量は、特に制限はないが、含フッ素塗料組成物全質量に対して、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。
また、増粘剤が、疎水性相互作用を有する増粘剤(以下、単に「疎水性増粘剤」ともいう。)を含む場合には、チクソトロピー性(時間経過に伴う粘度変化性)に優れた塗料組成物の調製が可能である。なお、本明細書において、チクソトロピー性はB型粘度計で測定されるTI値により評価され、疎水性増粘剤を含む場合の本発明の含フッ素塗料組成物のTI値は、7以下が好ましく、6以下がより好ましい。下限は特に限定されず、1超である。
疎水性増粘剤とは、その分子構造に親水性基と疎水性基とを有する化合物である。疎水性増粘剤は、高極性媒体である水性分散液中で、その疎水性基による凝集力と、その親水性基による分散力とのバランスが良好になり、優れたチクソトロピー性を発現する。
親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、カルバメート基、ウレア基、アミド基またはスルホン酸基を有する基が挙げられる。疎水性増粘剤における親水性の一部または全部は、塩(ナトリウム塩、カリウム塩等。)を形成していてもよい。
疎水性基としては、脂肪族炭化水素基(アルキル基、ポリオキシアルキレンアルキル基、アルキレン基、ポリオキシアルキレン基等。)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等。)、含フッ素炭化水素基(ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロ(ポリオキシアルキレンアルキル)基、ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)基等。)が挙げられる。
疎水性増粘剤としては、(メタ)アクリル酸類と疎水性基を有するモノマーとの共重合体である(メタ)アクリル系増粘剤、疎水性基を有するポリウレタン系増粘剤、主鎖の少なくとも一部が疎水性基で構成されたウレタン鎖を有するウレタン−ウレア系増粘剤、主鎖の少なくとも一部が疎水性基で構成されたアミド鎖を有するアミド−ウレア系増粘剤等が挙げられる。疎水性増粘剤は、水性分散液中の含フッ素共重合体との相溶性の観点から、(メタ)アクリル系増粘剤が好ましい。
(メタ)アクリル酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドが挙げられる。
疎水性基を有するモノマーとしては、スチレン、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系増粘剤を構成する共重合体が有する全モノマー単位(100モル%)のうち、(メタ)アクリル酸類に由来するモノマー単位は10〜90モル%が好ましく、疎水性基を有するモノマーに由来するモノマー単位は10〜90モル%が好ましい。
なお、疎水性増粘剤がポリマー状である場合、その数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、50000〜1000000が好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される数平均分子量(Mn)である。
疎水性増粘剤の具体例としては、GT−1306(ウレタン系増粘剤:ADEKA社製)、SNシックナー(ウレタン系増粘剤:サンノプコ社製)、BYK−425(ウレア変性ウレタン系増粘剤:BYK−Chemie社製)、BYK−420(ウレタン−ウレア系増粘剤:BYK−Chemie社製)、BYK−430(アミド−ウレア系増粘剤:BYK−Chemie社製)、SNシックナー660T、SNシックナー665T(ウレタン系増粘剤:サンノプコ社製)、RHEOLATE216(ウレタン−ウレア系増粘剤:ELEMENTIS社製)、プライマルRM−12W、プライマルRM−895(ウレタン系増粘剤:ダウケミカル社製)が挙げられる。
本発明の含フッ素塗料組成物における疎水性増粘剤の含有量は特に制限はないが、含フッ素塗料組成物全質量に対して、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましい。
水性分散液中の含フッ素共重合体が架橋性基を有する場合、含フッ素塗料組成物に硬化剤を含ませることで、塗膜を硬化させ、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性等をさらに向上できる。
硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンイソシアネート三量体等のブロックイソシアネートまたはその乳化分散体、メチル化メラミン、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン等のメラミン樹脂、メチル化尿素、ブチル化尿素等の尿素樹脂等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、水性分散液全質量に対して、0.1〜50質量%が好ましい。
本発明の含フッ素塗料組成物は、一液型であってもよく、二液型であってもよいが、硬化剤を含ませる場合、二液型とし、使用直前に両液を混合するのが好ましい。
本発明の塗装物品は、基材と、上述の含フッ素塗料組成物により基材上に形成された塗膜(基材上に配置され、上述の含フッ素塗料組成物を用いて形成された塗膜)とを有する。
基材としては、例えば、粘土、ケイ砂、石灰岩等の非金属原料を高熱処理して製造された建材が挙げられ、より具体的には、ガラス板、タイル、レンガ、ガラス繊維強化セメント板、石綿セメント板、木片セメント板、セメントけい酸カルシウム板、石こうスラグ板等が挙げられる。
塗膜の厚みは、10〜100μmが好ましい。塗膜の厚みが下限値以上であれば、塗膜のブロッキング性がより優れ、上限値以下であれば、塗膜の耐候性がより優れる。
塗装物品は、例えば、基材の表面に含フッ素塗料組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を形成することによって製造できる。
含フッ素塗料組成物は、基材の表面に直接塗布してもよく、基材の表面に公知の表面処理(下地処理等)を施した上に塗布してもよい。
含フッ素塗料組成物の塗布方法としては、公知の方法を使用でき、例えば、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗装装置を使用する方法が挙げられる。
塗布後の乾燥温度は、常温〜300℃程度が好ましい。
なお、本発明の含フッ素塗料組成物を用いて得られる(作製される)塗膜の好適態様の一つとしては、水接触角が60°以下である塗膜が挙げられる。特に、このような塗膜は、含フッ素共重合体に、単位Iが含まれ、その含有量が、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち1.5モル%以上の場合において得られる。
なかでも、防曇性の向上の点から、上記塗膜の水接触角は60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、1°以上の場合が多い。
上記水接触角の測定方法としては、塗膜上に直径1〜2mmの水滴を落とし、30秒後の水滴をビデオカメラで撮影し画像解析を行う。水滴の頂点と端点を結ぶ線と塗膜との角度の2倍を水接触角とする。
なお、上述したように、塗膜中の含フッ素共重合体に所定量の単位Iが含まれる場合、塗膜の耐薬品性も優れる。つまり、所定の薬品を用いて塗膜に対して擦り処理を施した場合でも、塗膜の水接触角が低下しにくい。これは、水接触角の低下に寄与する単位Iが含フッ素共重合体中に組み込まれているため、塗膜に擦り処理が施されても、親水性を示す成分が塗膜から剥がれづらく、結果として塗膜の性質が変化しづらい(例えば、水接触角が低下しづらい)と考えられる。
塗膜が上記水接触角を示す場合は、塗装物品は種々の用途に使用できる。例えば、鏡、ガラス等の物品に防曇性を付与するために上記塗膜を使用できる。つまり、塗膜は防曇膜として使用できる。よって、水性分散液、および、含フッ素塗料組成物は、それぞれ防曇膜形成用含フッ素共重合体水溶性分散液、および、防曇膜形成用含フッ素塗料組成物として好適に使用できる。
上記以外にも、上記水接触角を示す塗膜は、自動車、室外機等のフィン、外装用建材等にも使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。
各例で用いた評価方法および材料を以下に示す。
〔水性分散液の評価〕
(貯蔵安定性)
水性分散液の貯蔵安定性は、以下の試験により評価した。
水性分散液50ccを遠沈管に入れ、室温で2週間放置し、遠沈管の底部に沈んだ沈殿物(含フッ素共重合体の粒子)の量を目盛より読みとり、以下の基準に従い評価した。
◎:0〜0.1cc
○:0.1cc超0.5cc未満
×:0.5cc以上
〔塗膜の評価〕
(試験板の作製)
縦120mm、横60mm、厚さ15mmのスレート板の表面に、大日本塗料社製のVセラン(登録商標)#700を、エアスプレーにて、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、100℃で210秒間乾燥させて下塗り膜を形成した。
次いで、下塗り膜の上に、含フッ素塗料組成物を、エアスプレーにて乾燥膜厚が40μmになるように塗布し、100℃で210秒間乾燥させて塗膜を形成し、試験板を得た。
得られた試験板について、以下の評価を行った。
(耐水性評価1)
試験板を60℃の温水に18時間浸漬後、5℃の冷水に15時間浸漬し、その後5℃で乾燥する試験を行った。
乾燥後、塗膜の外観について以下の基準に従い評価した。
○:塗膜面の80%以上の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
×:塗膜面の20%超の面積に、白化やふくれの発生が認められた。
(耐水性評価2)
試験板を60℃の温水に2週間浸漬し、その後5℃で乾燥する試験を行った。
乾燥後、塗膜の外観について以下の基準に従い評価した。
○:塗膜面の80%以上の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
△:塗膜面の60%以上80%未満の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
×:塗膜面の40%超の面積に、白化やふくれの発生が認められた。
(防曇性評価)
試験板を湿度98度、50℃の恒温槽に3.5分静置し、試験を行った。
外観について以下の基準に従い評価した。
○:塗膜面の80%以上の面積に、曇りが認められなかった。
×:塗膜面の20%超の面積に、曇りが認められた。
(水接触角の測定方法)
試験板中の塗膜の水接触角は、以下の方法で測定した。
具体的には、試験板中の塗膜上に直径1〜2mmの水滴を落とし、30秒後の水滴をビデオカメラで撮影し画像解析を行う。水滴の頂点と端点を結ぶ線と試験板との角度の2倍を塗膜の水接触角とする。
(液ダレ性評価)
含フッ素塗料組成物を垂直にしたアルミ板にエアスプレーにて塗布し、液ダレが発生する膜厚を調べた。以下の基準に従い評価した。
○:膜厚が60μmでも液ダレが認められなかった。
×:膜厚が60μm未満で液ダレが認められた。
[平均粒子径の測定方法]
水性分散液中の含フッ素共重合体の粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定した。
具体的には、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により粒子径を測定し、D50の値を平均粒子径とした。
[ゼータ電位の測定方法]
水性分散液中の含フッ素共重合体の粒子のゼータ電位は、以下の方法で測定した。
具体的には、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて電気泳動光散乱法によりゼータ電位を測定した。
[TI値の測定方法]
含フッ素塗料組成物の粘度をB型粘度計により測定し、下記の算式によりTI値を算出した。なお、含フッ素塗料組成物の測定時の温度は、23℃に設定した。
TI値=(6rpmでの粘度)/(60rpmでの粘度)
〔水性分散液の製造に使用した材料〕
CTFE:クロロトリフルオロエチレン(旭硝子(株)製)。
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル(BASF社製)。
EVE:エチルビニルエーテル(BASF社製)。
CHMVE:4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル(BASF社製)
CM−15EOVE:CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)n1H、n1:15、平均分子量830(親水性マクロモノマー)(日本乳化剤(株)製)。
CM−10EOVE:CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)n2H、n2:10、平均分子量550(親水性マクロモノマー)(日本乳化剤(株)製)。
NL−100:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB:13.8)(ノニオン性界面活性剤)。
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)(日光ケミカルズ(株)社製)。
〔含フッ素塗料組成物の製造に使用した材料〕
造膜助剤:日本乳化剤社製、EHG。
増粘剤:ローム&ハース社製、プライマル(登録商標)TT−615(ポリアクリル系増粘剤)。
消泡剤:BASF社製、デヒドラン(登録商標)1620。
[実施例1]
(水性分散液の製造)
内容積2500mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製)中に、CHVE(181g)、EVE(185g)、CM−15EOVE(176g)、イオン交換水(1031g)、炭酸カリウム(KCO)(2.1g)、SLS(2.1g)、過硫酸アンモニウム(0.2g)を仕込み、氷で冷却して、窒素ガスを0.7MPaになるよう加圧し、脱気した。この加圧脱気を2回繰り返し、0.01MPaまで脱気して溶存空気を除去した後、CTFE(490g)を仕込み、60℃で24時間、重合反応を行った。
重合反応後、オートクレーブを60℃から20℃まで冷却し、固形分濃度49.7質量%である含フッ素共重合体の粒子を含む水性分散液(D1)を得た。水性分散液(D1)を金属メッシュ(目開き74μm)で濾過した際にメッシュ上に残った凝集物を乾燥させ、凝集物割合を算出した。
凝集物割合=凝集物量(質量)/含フッ素共重合体量(質量)×100
なお、含フッ素共重合体中における、CHVE、EVE、CM−15EOVEおよびCTFEのそれぞれに由来する構成単位の含有量は、以下の表1の通りであった。
(含フッ素塗料組成物の製造)
実施例1で得た水性分散液(D1)(80g)、造膜助剤(6g)、増粘剤(0.4g)、消泡剤(0.6g)、イオン交換水(13g)を加えて混合し、含フッ素塗料組成物(1)を得た。
[実施例2〜実施例4、比較例1〜3]
各成分の使用量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、水性分散液(D2)〜(D7)を得た。また、水性分散液(D1)の代わりに、水性分散液(D2)〜(D7)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、含フッ素塗料組成物(2)〜(7)を得た。
上記実施例および比較例にて得られた水性分散液(D1)〜(D7)を用いて、上述した貯蔵安定性の評価を実施した。結果を表1に示す。
また、上記実施例および比較例にて得られた含フッ素塗料組成物(1)〜(7)を用いて、前述の手順で試験板を作製し、耐水性評価(耐水性評価1および2)、防曇性評価、および、水接触角の測定方法を行った。結果を表1に示す。
表1中、「含フッ素共重合体組成」欄中の「CTFE」欄〜「CM−10EOVE」欄のmol%は、含フッ素共重合体中の全構成単位に対する各単量体に基づく構成単位の含有量(mol%)を意図する。
また、表1中の「他の成分」欄の各成分のwt%(質量%)は、含フッ素共重合体の全質量に対する各成分の含有割合(質量%)を表す。
表1に示すように、本発明の水性分散液を用いた場合、所望の効果が得られることが確認された。また、各実施例においては、上記のように含フッ素共重合体の粒子の平均粒子径およびゼータ電位が所定の範囲であることが確認された。さらに、実施例1〜2と3との比較より、式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位の含有量が、含フッ素共重合体が有する全構成単位(100モル%)のうち2モル%以上の場合、貯蔵安定性がより優れることが確認された。また、実施例3と4との比較より、アニオン性界面活性剤の含有量が水性分散液の全質量に対して0.1質量%以上0.5質量%未満の範囲内であると(実施例3)、長期間浸水した際の塗膜の耐水性(耐水性評価2)が優れることが示された。
一方、粒子の平均粒子径やゼータ電位が所定の範囲でない比較例1〜2においては、所望の効果が得られなかった。なお、比較例1および2は、いずれも特許文献1に記載のアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤とを併用した態様に該当する。
[実施例5]
増粘剤を疎水変性ポリエーテルウレタン(商品名:アデカノールGT−1306、ADEKA社製)(ウレタン系増粘剤)に変更した以外は、実施例2と同様にして、含フッ素塗料組成物(8)を得た。
なお、得られた含フッ素塗料組成物(8)を用いて、前述の手順で試験板を作製し、耐水性評価(耐水性評価1および2)および防曇性評価を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。
上記実施例にて得られた含フッ素塗料組成物(2)および(8)を用いて、液ダレの評価を実施した。結果を表2に示す。
<鏡の製造とその評価>
[実施例6]
厚さ3mmのガラス基板の片面に、厚みが800mg/mになるように銀メッキ処理を施した。次に、銀メッキ膜上に、鉛を含まないエポキシ樹脂系のミラー用裏止塗料(大日本塗料社製、「SM商品名 COAT DF」)を、乾燥塗膜の膜厚が60μmとなるようにカーテンフローコーターで塗布し、180℃の乾燥炉で塗膜を硬化させた。その後、硬化処理が施された塗膜を有するガラス板を除冷炉で冷却することで、防錆硬化塗膜付き鏡を得た。
次に、この防錆硬化塗膜付き鏡のガラス基板表面に、実施例1で得られた含フッ素塗料組成物(1)を膜厚が1μmとなるように塗布し、150℃のオーブンで20分間乾燥させて、ガラス基板表面上に塗膜を形成し、試験用鏡を得た。
得られた試験用鏡の防曇性を確認したところ、ガラス基板表面に曇りは見られず、高湿度環境下で優れた防曇性を発現することが確認された。
さらに、塗膜に対して、エタノールを含むキムワイプを50往復擦りつけた。その後、塗膜に水洗処理を施した。得られた塗膜を有する試験用鏡を用いて、上記と同様に防曇性を確認したところ、ガラス基板表面に曇りは見られず、耐薬品性にも優れる結果となった。なお、上記エタノールの代わりに、市販シャンプー、または、市販歯磨き粉を用いた場合でも、ガラス基板表面に曇りは見られなかった。
[実施例7]
増粘剤の種類および含有量を表3に示すとおりに変更した以外は、実施例5と同様にして、含フッ素塗料組成物(9)、(10)を得た。なお、BYK−420(ウレタン−ウレア系増粘剤:BYK−Chemie社製)およびBYK−425(ウレア変性ウレタン系増粘剤:BYK−Chemie社製)は、疎水性増粘剤である。
そして、含フッ素塗料組成物(8)、(9)、(10)のTI値を測定し、さらに実施例1と同様に前述の手順で試験板を作製し、塗膜の防曇性について評価した。結果を表3に示す。

Claims (14)

  1. フルオロオレフィンに基づく構成単位とフッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位とを有する含フッ素共重合体の粒子、アニオン性界面活性剤、および、水を含み、
    実質的にノニオン性界面活性剤を含まず、
    前記粒子の平均粒子径が100nm以下であり、
    前記粒子のゼータ電位が絶対値で30mV以上である、水性分散液。
  2. 前記フッ素原子を有さない単量体が、式(1)で表される親水性マクロモノマーを含む、請求項1に記載の水性分散液。
    式(1):X−Y−Z
    (式(1)中、Xは、ラジカル重合性不飽和基を表す。Yは、単結合または2価の連結基を表す。Zは、式(2)で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する親水性基を表す。)
    式(2):−(C2mO)
    (式(2)中、mは1〜3の整数を表す。nは、12以上の整数を表す。)
  3. 前記フッ素原子を有さない単量体に基づく構成単位が、前記式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位を含み、
    前記式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位の含有量が、前記含フッ素共重合体が有する全構成単位に対して、1.5モル%以上である、請求項2に記載の水性分散液。
  4. 前記式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位の含有量が、前記含フッ素共重合体が有する全構成単位に対して、2モル%以上である、請求項3に記載の水性分散液。
  5. 前記アニオン性界面活性剤が、非フッ素系アニオン性界面活性剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性分散液。
  6. 前記アニオン性界面活性剤の含有量が、前記水性分散液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上0.5質量%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性分散液。
  7. ノニオン性界面活性剤が実質的に存在せず、非フッ素系アニオン性界面活性剤が存在する条件下、水中にて、フルオロオレフィンと、式(1)で表される親水性マクロモノマーと、を重合させて、前記フルオロオレフィンに基づく構成単位と、前記式(1)で表される親水性マクロモノマーに基づく構成単位と、を有する含フッ素共重合体の粒子が前記水中に分散した水性分散液を得る工程を含む、水性分散液の製造方法。
    式(1):X−Y−Z
    (式(1)中、Xは、ラジカル重合性不飽和基を表す。Yは、単結合または2価の連結基を表す。Zは、式(2)で表されるポリオキシアルキレン鎖を有する親水性基を表す。)
    式(2):−(C2mO)
    (式(2)中、mは1〜3の整数を表す。nは、12以上の整数を表す。)
  8. 前記式(1)で表される親水性マクロモノマーの使用量が、前記含フッ素共重合体の重合に使用する単量体の総物質量(100モル%)に対して、1.5モル%以上である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記非フッ素系アニオン性界面活性剤の使用量が、全仕込質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上0.5質量%未満である、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 前記粒子の平均粒子径が、100nm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記粒子のゼータ電位が、絶対値で30mV以上である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性分散液を含む、含フッ素塗料組成物。
  13. さらに、増粘剤を含む、請求項12に記載の含フッ素塗料組成物。
  14. 基材と、前記基材上に配置され、請求項12または13に記載の含フッ素塗料組成物を用いて形成された塗膜と、を有する塗装物品。
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